西宮市出身のフィギュアスケートの井上怜奈選手(29)が、トリノ冬季五輪の米国代表に選ばれ、
同市の自宅で朗報を聞いた母玲子さん(54)は十四日「引退を覚悟して出場した試合。よく踏ん張った。
亡くなった父親への最高のプレゼントです」と語った。
昨年九月に同国の市民権を得て、全米選手権に臨み、十三日、見事ペアで優勝。
日本スケート連盟によると、日本の五輪代表が他国で五輪代表になったのは初。
井上選手は西宮で生まれ、三歳からスケートを始めた。
父雅彦さんの転勤で千葉県に移り、新松戸南中三年の十五歳のとき、一九九二年のアルベールビル五輪のペアに出場。
九四年リレハンメル五輪にも女子シングルで出場した。
しかし、長野五輪では代表選考にもれ、その年に父を肺がんで亡くした。
その後、独立するため渡米。練習に励んだが、自らもがんの宣告を受けた。
抗がん剤や放射線の治療を受ける日々。引退も考えたが、治療は成功し、リンクに戻った。
全米選手権に臨む前、ペアを組むジョン・ボルドウィン選手のけがなどもあり、
「トリノに出れなかったら引退する」と玲子さんに打ち明けた井上選手。
同選手権ショートプログラムで4位と出遅れた後、電話があった。「もうだめかも」。
気丈な娘の涙声に「怜奈なら大丈夫」と母は励ました。
逆転優勝して表彰台に上る直前、同選手から再び電話が入った。
「本当にうれしい。お母さん、ありがとう」。
これまでにない弾んだ声だった。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sp/00046839sp200602151000.shtml ※依頼スレでご依頼頂きました。