胎児のへその緒の中にある臍帯血(さいたいけつ)は、
血液のもとになる造血幹細胞を豊富に含んでいることで知られ、白血病治療などに活用されてきた。
これを受けて近年、出生時に採取した臍帯血を保存するためのギフト券が登場。
祖父母らから赤ちゃんへのひと味違った贈り物として、人気を集めている。
ギフト券を販売しているのは、欧州各地や中東、
アジアに営業所を持つ英企業、スマート・セルズ・インターナショナル。
5年前の創業以来、約5000人の赤ちゃんの臍帯血を採取し、保存している。
保存期間は25年間で、料金は総額2215ドル(約26万円)。
「孫の誕生祝いに臍帯血の保存をプレゼントしたい」といった顧客が多く、
クリスマス前には特に多くの注文が寄せられたという。
臍帯血は出生時、胎児からへその緒が切り離された直後に、
同社が用意した用具セットを使って、医師や助産師が採取。
英南部プリマスの同社研究所に運ばれ、保存される。
臍帯血に含まれる造血幹細胞を使った「臍帯血移植」は、
白血病や再生不良性貧血の有効な治療法とされ、すでに多くの患者の命を救ってきた。
スマート・セルズ代表のシャムシャド・アハメド氏によると、
最近、同社が保存する臍帯血の初の使用例が報告された。
アラブ首長国連邦で4歳の男の子が、1歳のきょうだいの出生時に採取された造血幹細胞の移植を受けたという。
アハメド氏は一方で、「赤ちゃんが将来白血病にかかった場合に備えて、というだけなら、
その確率はごく小さい」と説明する。
だが最近の研究によれば、臍帯血にはほかにもさまざまな再生能力を秘めた幹細胞が含まれ、
その活用法は今後飛躍的に広がることが予想される。
「体を傷付けることなく幹細胞を採取できる機会は、一生のうちでこの一度だけ。
将来に向けた保険のようなものと考えていただきたい」と、同氏は話している。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200512250002.html