米テキサス州ダラス(AP)
戦争や犯罪、災害などの暗いニュースはお断りーー。
インターネット上に最近、明るい話題だけを伝えるニュースサイトが開設され、米国内で静かな人気を集めている。
サウスカロライナ州に住む保険外交員、ケリー・ロジャーズさん(28)は、
夫から「中毒」と呼ばれるほどのニュース好き。
ケーブルテレビのニュースチャンネルにどっぷりと漬かる毎日だったが、
最近になってひと味違うウェブサイトを見つけた。
今年7月に開設された「ハッピーニュース(www.happynews.com)」だ。
テレビや新聞が連日伝える暗いニュースには一切触れず、芸術や科学、各界で活躍した人物などの話題を掲載している。
ロジャーズさんは1日に2ー3回、このサイトをチェックするようになった。
「どこを見ても悲しい出来事ばかりが目につくけれど、
このサイトのおかげで世の中も捨てたものじゃないという気持ちになれる」と、ロジャーズさんは語る。
ハッピーニュースの生みの親は、実用向けウェブサイトなどを運営する
米企業ページワイズ(本社・テキサス州オースティン)のバイロン・リース最高経営責任者(CEO)。
「ニュースの役割は世界の姿を見せることなのに、昨今のメディアは悪いニュースばかりを強調し、
ゆがんだ姿を伝えている。そのゆがみを補正するのが私たちの目的だ」と、リース氏は説明する。
例えば、12月2日。この日の米主要紙はトップニュースとして、
イラクで米海兵隊員10人が死亡した爆弾事件を報じた。
一方、ハッピーニュースがトップに掲載したのは「迷子の猫エミリー、無事帰還へ」というニュース。
ウィスコンシン州でコンテナに迷い込み、貨物船でフランスまで運ばれた猫の話題だった。
同サイトに掲載されるニュースは1日40本前後。
AP通信からの配信や、編集スタッフが報道資料を基に書く記事もあるが、
残りは各地の「市民ジャーナリスト」150人から寄せられる。
スタッフによれば、推定10万人の読者のうち、5%が反感を示すとみられる記事は排除する。
この基準に従うと、政治的な記事はほとんど落ちてしまう。
イラクのニュースは、「米兵らが感謝祭を祝った」
「ボランティア団体が現地の子どもたちにぬいぐるみを贈った」といった話題に限定。
有名企業の人員削減も掲載しない。
スポーツのニュースも、「一方のチームが勝てばもう一方は負ける」との理由から、除かれることが多いという。
リース氏によると、読者の年齢や居住地などに目立った特徴はないが、全体の約6割を女性が占めている。
積極的な宣伝はせず、目立った広告も掲載していないため、
「今のところ赤字」だが、同氏は「将来的には採算が取れるようになるはず」と自信を示している。
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200512180002.html