文部科学省が年末の来年度予算編成で、子どもの安全に関する予算の大幅な増額を要求している。
地域ボランティアが学校を守る「スクールガード」の増員や、
IT(情報技術)を活用して不審者情報を地域で共有する事業の拡充を目指す。
子どもが狙われる事件が相次いだのを受けて、財務省原案が内示される直前の要求となり、
概算要求時点で計10億円程度だった予算の大幅上積みをねらう。
拡充を目指している主な要求項目は、小学校の安全を確保するための
「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」に含まれるプロジェクト。
この整備推進事業は
(1)学校内外を巡回して子どもを見守る安全ボランティア(スクールガード)の養成・研修
(2)そのスクールガードの指導役として元警察官らを地域学校安全指導員(スクールガード・リーダー)に委嘱
(3)学校の安全のための先導的な取り組みを進めるモデル地域を指定して財政支援ーー
となっている。
今年度から全国で70を超える地域で事業が始まった。
文科省によると、この事業で約900人のスクールガード・リーダーが委嘱され、
約9000の小学校がスクールガードによる巡回対象になっているという。
文科省は概算要求の時点で、同事業について今年度と同額の7億5000万円を盛り込んでいた。
しかし、事件後、各地で学校安全ボランティアを立ち上げる動きが活発化したのにともない、
増員や財政支援の要望も高まり、予算の増額を求めることにした。
文科省は将来的には全国に約2万3000ある公立小学校すべてに発足させたい考えだ。
さらに、パソコンや携帯電話などのITを活用して不審者情報などを地域で共有するシステムを推進する事業については、
来年度から全国の20程度でモデル地域を指定し、新規に始めることにしていた。
当初概算要求に盛り込んでいたのは約9000万円だった。
この事業は、具体的には
(1)警察などと連携して得た不審者情報をパソコンや携帯電話を利用して学校と保護者、地域住民らが共有するシステム
(2)ICタグを利用して、子どもが登下校時にどの場所を通過したかを確認する位置情報システムーー
などの効果を探る予定だ。
しかし、不審者情報をいかに早く具体的に保護者や学校などが共有できるかが、事件後、課題となってきた。
このため、都市部や山間部、農村部など地域の実情に応じて、この試みをいっそう広げる必要があるとして、
モデル地域の数を大幅に増やすため、予算の増額を求めることにしている。
http://www.asahi.com/national/update/1218/TKY200512170297.html