ジャガイモの品種が多彩になっている。
赤みがかった皮や黄色い中身など、見た目がカラフルで食感や味も豊富になってきた。
家庭菜園用の種芋も種類が増えており、食べても育てても楽しめそうだ。
京都市のフランス家庭料理店「ビストロ スリージェ」は、
料理に使うすべてのジャガイモがフランス原産の「シンシア」だ。
マッシュポテトにしたり、皮付きのまま焼いたりして、付け合わせに取り入れている。
同店オーナーシェフの四宮知之さんは「メークインや男爵イモとは異なるきめの細かさや独特の甘味に目を付け、
肉料理と合わせています」と話す。
ダイニングバー「キリンシティ」(本社・東京)も先月から、
「シンシア」を使った煮込み料理をメニューにのせている。
「シンシア」が発売されたのは2003年。
煮くずれしにくく、卵形で皮がむきやすいのが消費者に受け、首都圏の主要スーパーでも買えるようになった。
青森県深浦町の「黄金崎農場」は、珍しいジャガイモの詰め合わせセット
「テイスティングポテト」を販売し、歳暮としても好評だ。
南米ペルー原産の「インカのめざめ」、皮がピンク色がかった
「ヨーデル」など5品種(各600グラム入り)で3000円(送料込み)から。
家庭菜園用の種芋も種類が増えている。
種苗会社の「サカタのタネ」(横浜)では、「シンシア」以外に、鮮やかな赤い皮で
サラダにも煮物にも向いている「レッドムーン」、ほくほく感が特徴の「十勝こがね」が人気だという。
農林水産省によると、ジャガイモの品種の多様化は7年ほど前から進んできたという。
「保存や加工のしやすさ、見た目の良さなどを重視した新しい品種が次々に育成されてきた」と同省特産振興課。
一方、1980年度に春植えの品種の作付け面積の割合で42%を誇った男爵イモは、2002年度は30%を切った。
ジャガイモに詳しい北海道農業研究センター「ばれいしょ育種研究室」室長の森元幸さんは
「消費者がヨーロッパ旅行などでいろいろな品種のジャガイモを使った料理と出合い、
多少高くても珍しいジャガイモを求める動きが出てきたようだ」と話す。
森さんは「食感や性質をよく知って選ぶと、料理が一層おいしくなるはずです」とアドバイスする。
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20051211gr0c.htm 煮崩れしにくい「シンシア」は煮込み料理向き
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/photo/GR20051211100729285L2.jpg