子どもと一緒に過ごす時間の少ない多忙な親も、空いた時間にインターネットを
通してわが子を抱きしめることができる―。そんな機能を備えた特殊なジャケット
が、シンガポール・ナンヤン大学で開発され、近く商品化される見通しとなった。
同大のエイドリアン・チャク助教授がCNNに語ったところによると、ジャケット
はセンサー付きのぬいぐるみとセットになっている。親がぬいぐるみを抱きしめると、
その感触が無線インターネットで子どものジャケットに送信される。ジャケットは
携帯電話と同様の振動機能でこれを再現し、さらに内臓の銅線によって「ぬくもり」
も伝えることができるという。
ジャケットには相手の居場所を感知し、距離に応じて色が変化する機能も搭載。
「親が遠くにいる時は茶色のジャケットだが、近くまで戻ってくると赤やピンクに
変わるので、子どもにもひと目で分かる」と、チャク氏は説明する。
チャク氏はインタビューの中で「現代人は忙しく、子どもとスキンシップをとる
時間のない親が増えている。これは世界共通の問題だ」と強調。「科学技術が発達
するにつれて、多くの人がコンピューター画面にくぎ付けになり、それが原因で
家族がばらばらになってしまうといった問題も生じてきた。しかし今後は、家族
のつながりを強めるために技術を利用したい」と力を込めた。
同氏らのチームはこれまでに、鶏に飼い主の手の感触を伝える機器を試作している。
もちろん鶏以外の動物にも応用可能だ。「動物とのコミュニケーションはスキン
シップが中心。飼い主が人形をなでて、それがペットに伝わればいつでもどこでも
愛情を示すことができる」と、チャク氏は語る。
親子向けのぬいぐるみとジャケットは、来年6月ごろ発売される予定。チームでは
その後、離れて暮らすカップルたちのために「バレンタインデー」モデルの開発に
取り掛かる計画だという。
CNN:2005.12.04
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200512040001.html