「日本のおばあちゃん」として親しまれた現役最年長女優の原ひさ子(はら・ひさこ=本名・石島久=
いしじま・ひさ)さん=顔写真=が4日午後9時32分、心不全のため都内の病院で死去した。96歳だった。
温かみのある幅広い演技が定評で、母親役やおばあちゃん役には欠かせない存在に。最近まで映画や
テレビドラマなどに出演し続け、“生涯現役”を貫き通して俳優人生に幕を閉じた。
さりげない芝居の中に人柄をしのばせる存在感のある名脇役が、突然、人生の幕を下ろした。
所属事務所の俳協によると、原さんは4日夕方、東京・足立区内の自宅で家族と一緒に夕食を食べた後、
いすに座ってテレビを見ている最中に、突然眠るように意識を失った。異変に気づいた長女夫婦が119番
通報。原さんは救急車で病院に搬送される途中、心肺機能が停止状態となり、長女夫婦に看取られ静かに
息を引き取ったという。死亡は荒川区内の病院で確認された。
原さんは静岡市内の旧制女学校を卒業後に上京し、昭和8年に劇団「前進座」入り。東京・新橋演舞場での
「牛を喰らふ」で初舞台を踏んだ。17年に東宝の専属映画女優となり、終戦後は黒澤明監督の「わが青春
に悔なし」(昭和21年)や映画「青い山脈」(同24年)などに出演。35年に俳協の所属となった。
また、65歳で小唄、70歳で俳句を始めるなど多才で、70歳を過ぎてからバラエティー番組にも挑戦。身長
1メートル50という小柄な体格と、優しく穏やかなまなざしがあいまって、一躍お茶の間の人気者となり、
“日本のおばあちゃん”の代名詞的存在となった。
以来、若者向けの映画やドラマにも引っ張りダコで、映画「ワンダフルライフ」「三文役者」、ドラマ「ふぞろい
の林檎たち」「ロングバケーション」「踊る大捜査線」など数々の名作に出演。老人役には欠かせない名脇役
となった。
米ニューヨーク・タイムズ紙でも「日本の現役最高齢の女優」として紹介されたほどで、90歳を超えても“生涯
現役”にこだわり活動を続けた。遺作となった公開中の映画「サヨナラCOLOR」(竹中直人監督、平成16年
撮影)では入院患者役を好演した。
最近では体を気遣い、スタッフが原さん宅を訪れ撮影することが多かった。が、同映画では原さんがわざわざ
調布市の日活撮影所まで出向いて撮影したほど力が入っていたという。
(後略)
SANSPO.COM−2005.12.07 更新
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