冬の魚の代表格といえば、ちょっとぜいたくなフグ。
最近は低カロリーで、コラーゲン豊富な健康食としても注目されている。
比較的安く食べられるチェーン店も出てきたが、今回は、伝統を受け継ぐ老舗と、モダンな雰囲気の新しい店を紹介する。
上品な甘さを堪能してみてはいかが。
フグは、秋の彼岸から春の彼岸までがおいしいといわれている。最近は、年中出回っているが、やはり寒い時期が旬だ。
東京・浅草の「三角(さんかく)」は、創業100年を超える老舗。
まずは定番の「ふぐさし」(2850円)から。厚さ2ミリ程度の薄造りが、大輪の菊のように盛られている。
もともと身がしっかりしているフグは、薄い刺し身にしないと、食べにくいのだとか。
3代目主人の戸塚富士男さんは「好みにもよりますが、一度に1、2枚くらいがちょうどよいのでは。
あまりたくさん口にいれても、かむのに大変で、おいしさが半減してしまいます」。
さっそく、一切れ口に運んでみる。ほのかな甘みが口に広がる。
ダイダイを加えた特製のポン酢は、やさしい酸味で、フグの味を引き立てる。
「から揚」(950円)は、トラフグではなく、水分の多いショウサイフグを使うのが、「三角」流。
トラフグよりも、ほくほくとしていて、適度な弾力がある。最後に、「にこごり」(600円)を試した。
フグの皮のゼラチン質だけで、しっかり固まるのだという。コラーゲンたっぷりで女性にもうれしい。
東京・南青山の「黒門燈(くろもんとう)」では、そのコラーゲンに着目した
「ふぐちりコラーゲン鍋」(3675円)がお勧めの1品。
2003年にオープンした、モダンで落ち着いた空間だ。
煮立てただしに、刻んだ皮をたっぷりと入れて、コラーゲンを溶け出させる。
少しとろみがついた中に、フグや野菜などを加え、ポン酢で食べる。
青トウガラシと大根おろしを混ぜた緑色の薬味は、すがすがしい辛さで、癖になりそうだ。
フグのぷりぷりとした食感が楽しく、野菜との組み合わせも絶妙だ。
ご飯と卵で雑炊にすれば、溶け出したコラーゲンをそのまま食べられる。
「ふぐ寿司」(1890円)は、刺し身より少し厚めに切られたフグと酢飯との相性がいい。
一味トウガラシが、鮮やかなアクセントになっている。
「野菜にもこだわっています。フグをよりヘルシーに食べられるので、どうぞ女性の方に味わってもらいたい」
と料理長の多田康範さんは話している。
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/food/trend/20051201gr03.htm 写真
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