香美町村岡区萩山、元小学校教諭西村誉一さん(64)が、幼少時に母親から聞いた萩山地区にまつわる昔話を基にした絵本
「キツネのくすり」(A4判、33ページ)を出版した。西村さんは地域の目の不自由な人や子どもたちのために本の朗読をしており、
「多くの人に話を知ってもらいたい」としている。
絵本は、萩山地区から旧美方町へ通じる一二(ほい)峠が舞台。
石屋の男になついた峠の小ギツネが、傷や病気に効く草木を持ってくるようになり、村人を助けるという内容。
母親から何度も話を聞いた西村さんは、人を化かすなど良く描かれることの少ないキツネが良い行いをすることを珍しく思い、
強く印象に残っていたという。
西村さんは村岡区の朗読ボランティアサークル「そよかぜ」に所属しており、キツネの話を紙芝居にして朗読しようと考案。
6月ごろ、養父市八鹿町高柳のデザイン会社を経営する、元美術教諭、西垣憲志さん(54)に相談したところ、
「本として残してみては」と提案され、自費出版することにした。
母親から聞いて覚えていた話を膨らませ、石屋と小ギツネが病気の少女を助ける話などを盛り込んだ。
絵本には、西垣さんの教え子らが描いた素朴な絵も付けた。
100部作製。サークルの知人に配ったほか、今後は絵本の読み聞かせなどもしていくという。
西村さんは「古里にまつわる温かい話を、語り継いでいってもらえたら」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/news005.htm