県内唯一の無医村(歯科医は除く)だった野田村で、待望の内科医が今月3日から診療を始めた。
ちょうど1年前、開業医が病気で亡くなってから、村民は体の具合が悪くなると隣の久慈市内の病院まで
足を運ばなければならなかった。そんな不便と不安が解消された村では「子供もお年寄りも、ようやく安心
して暮らせる」と喜んでいる。
内科医は鹿児島県出身の押川さん。「おしかわ内科クリニック」を開き、内科、呼吸器科、消化器科、
循環器科を診る。入院棟もあるが、当面使用はしない。ただ押川さんの住居も兼ねているため、夜間の
急診にも対応できる。
病院の建物は、村が1989年、今回のように村外の医師を招いて開業してもらおうと建設したもの。
昨年10月、開業医が亡くなってからは空いていた。押川さんと賃貸契約を結んでいる。
押川さんは直前まで青森県八戸市の八戸東リハビリテーションセンター長の要職にあった。今年の春、
知人から野田村では医者がいなくて困っていると聞き、「私の知り合いの医師でも紹介できれば」と、軽い
気持ちで村長と面会した。ただ、医師不足の時代だけに、結局、紹介する医師は見つからなかった。
申し訳ないと思っていると、村に「押川先生こそ、ここにいらしていただけませんか」と請われた。迷いも
あったが、「お役に立てるのなら」と、村に行く決心をした。
村では医師不在だったこの1年、久慈市の医師会の協力を仰ぎ、乳幼児らの健診や予防接種を実施。
5月からは交通手段のない高齢者らのために、野田と久慈を往復するバスを走らせるなど、医療水準の
低下を食い止めようと努力してきた。
押川さんは「村に骨を埋める覚悟。開業医は住民の家庭医でなくてはならないので、コミュニケーションを
大切にしたい。何より、大きな疾患を早く見つけてあげることが大切」と意欲に満ちている。
YOMIURI ONLINE(2005年10月13日 読売新聞) リンク切れはお許しください
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news002.htm スレ立て依頼をいただきました、ありがとうございます