盛岡市や紫波町、矢巾町内で、農薬や化学肥料の使用量を県が示す基準値の半分以下
に抑えたリンゴが収穫期を迎えた。JAいわて中央が3年前から栽培を指導している。
簡単ではないが、「おいしくて、安心して食べられる」と評判を呼び、出荷先も北海道、
関東、近畿、四国と広がりを見せている。
JAいわて中央は2002年から減農薬・化学肥料の栽培事業に着手。今は管内730
世帯のリンゴ農家が栽培している。農作物の安全を求める声が消費者や販売店の間で高
まったのがきっかけだった。この年の夏、無登録農薬の使用発覚が全国で相次いだ。
岩手でも国内では使用が認められていない農薬を散布していたリンゴ農家があり、JA
いわて中央やリンゴ農家は「消費者が農薬に敏感になり、基準値をただクリアしただけ
のリンゴでは満足しなくなった。何か思いきった手を打たなければ」と考えた。
そこで減農薬・化学肥料リンゴに注目し、03年、7世帯の農家が1・5ヘクタールの
リンゴ畑で試験的に栽培してみた。農薬を減らせば、当然、病害虫にやられやすくなる。
約6割が虫に食われてしまった農家もあった。毎日、リンゴの木を観察し、状態に注意
を払った。手間がかかる割には収量が少なかった。秋、なんとか収穫できたリンゴを
愛媛県内のスーパーで販売してみた。すると、「安心だから子どもにも食べさせたい」
「甘くておいしい」と予想以上の評判だった。値段は普通のリンゴの3倍以上もしたが、
店では並べた端から売れた。04年は777世帯、430ヘクタールで栽培した。
出荷先も北海道や横浜、京都などに広げた。この年の販売予約は予想収穫高約2450
トンのうち約45%。今年の予想収穫量は同じだが、販売予約は60%を上回った。
JAいわて中央は「固定客が増えてきたようだし、量産して知名度を上げたい」と将来
を展望し、生産者代表の北田さん(51)は「安全安心を消費者に届けるのは生産者の
役目。売れ行きも良くて私たちも自信を付けてきました」と、甘酸っぱいにおいが漂う
収穫前のリンゴ畑を歩いていた。
ソースは
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news004.htm