7月14日、北海道の知床が世界自然遺産に登録された。登録条件は他にはない自然とそれを守る管理
態勢。屋久島(鹿児島)、白神山地(青森、秋田)に続く日本で3番目の快挙の裏には自然を守る“レンジャー”
たちの姿があった。作家で探検家として知られるC・W・ニコルさんの教えを受けた知床財団職員の亀山さん
もその一人。「世界遺産登録はゴールではありません。これからが大変です」と力こぶを作る美しき番人を
追った。
きっかけは目の前に現れたクマだった。1992年秋、短大卒業後、“自分探しの旅”の一環として北海道の
大雪山でアルバイトをしていた亀山さんの30メートル前に、草を食べる体長約3メートルのクマがいた。
「うわあ、大きい」立ちすくむ亀山さんに気付きながらも、モグモグ口を動かし続ける姿に心が震えた。“旅”
の答えは「こんな自然を守りたい」だった。自身もアフリカで大自然を守るレンジャーとして働いた経験を持つ
ニコルさんが東京に開設したレンジャー養成専門学校に、1期生として入学。卒業後、約200頭のヒグマが
生息する知床に向かった。
国立公園を管理する正規のレンジャーは環境省職員にあたり、知床には4人だけ。亀山さんは地元の斜里
町が設立し、約30人の職員がいる知床財団に所属。環境省からの委託という形で活動している。財団所属
の“レンジャー”たちは主に自然調査とパトロールを行う。ヒグマやエゾシカを生け捕りにし、発信器を取り付け、
禁止区域でキャンプを張る人を注意、観光客と野生動物が出合わないように心がける。危険も伴うため、ヒグ
マ撃退用スプレーや空気銃は欠かせない。
研修も手がける亀山さん。獣医師を目指す学生や、クマが出没する県の職員に対して知識を授ける。そうした
地域の小学校にも講義に行く。「クマに出合ったら死んだフリをすればいいんですよね」そう聞くと、「駄目な時も
あります」穏やかな表情でピシャリ。「そっと離れるのが一番です」笑顔で続けた。
今年7月、世界自然遺産に登録された知床に対し、ライバルだった小笠原諸島と南西諸島は管理態勢面の弱さ
を理由に落選。知床財団の果たした役割は大きいが「うれしさ半分と、これからが大変という気持ち半分です。登録
はゴールではありませんから」と表情を引き締める。
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