東京都の地域の条例では、一定の大きさの建物には屋上に植物を植える、
いわゆる屋上緑化が義務付けられていると聞いた。なんでも都市部の気温が
周辺部よりも上昇してしまうヒートアイランド現象への対策、エアコンに
かけるエネルギーの削減、空気浄化、都市の安らぎ、防火効果、建物の保護、
といろいろな効果があるのだそうだ。
こちらフィンランドやノルウェー、デンマークといった北欧諸国では、
屋上緑化は決して目新しいことではない。むしろ伝統的な木造の小屋に
多く見られると言ったほうが良いだろう。屋根の上に植木鉢のような
型枠を作り、その上に土を盛り、草を生やす。草の根が土を屋根の上に
とどまらせる。そして、その土と植物の層がそのまま屋根の断熱材の
役割を果たす。
北欧の伝統的な建物は、大きな丸太を削って積んでいくログハウスが多い。
木材はそれ自体が断熱性に優れている。ログの間の目張りにはコケをつめ、
建物が石の土台に接する部分には樺の木の皮などを挟むことで、さらなる
断熱と湿気防止など家を長持ちさせる工夫をしていたのだ。
北欧流屋上緑化は、住宅が自然の材料ばかりで作られていた頃の知恵である。
そんな家々は森の中の小屋でも集落でも、まるでムーミンか伝説の妖精トロル
たちが出てきそうなロマンチックなたたずまいで周りの風景に溶け込む。
東京の場合は暑い夏を涼しく、北欧の場合は寒い冬を暖かくと目的は逆のようだが、
緑が人の生活を快適にしてくれるのは間違いなさそうだ。
ソースは
http://www.asahi.com/housing/world/TKY200506110118.html (写真アリ)