精子の運動能力が低下する「精子無力症」に、細胞を形作るたんぱく質
「セプチン」の異常が関係している可能性のあることを、京都大大学院医学
研究科の木下専(まこと)助教授(細胞生物学)らの研究グループが突き止めた。
セプチンを作れないマウスが同症になることが分かったためで、同症の男性の
一部にも精子の尾(べん毛)に本来あるセプチン組織がなかったという。
男性不妊の原因解明や、治療への貢献が期待される。28日発行の米科学誌
「ディベロップメンタル・セル」で発表する。
セプチンは脳や肝臓、精巣など全身に広く存在する。木下助教授らがセプチン
を作れないマウスを遺伝子操作で作製したところ、雄側に原因のある不妊に
なることが判明。精子のべん毛を形作る、セプチンで出来た輪「輪状小体」
(直径約0.5ミクロン)がなくなっており、べん毛の一部が細くくびれて
動きが鈍くなったうえ、約60%の精子でべん毛がこの部分で折れて授精能力
を失っていた。
また、京大病院を受診する精子無力症の男性15人の精子のうち3人の精子で
マウスと同様、セプチンの輪が欠けていた。男性不妊の少なくとも2〜3割が、
精子の運動率が50%未満の精子無力症という。木下助教授は「研究成果が
不妊症の診断や治療方針の決定などに役立てば」と話している。
ソースは
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kenko/news/20050301k0000m040153000c.html