クレオパトラの時代から女性を引きつけてやまないバラの香りの秘密が解き
明かされた。高根の花だった天然バラの高級香水がぐっと身近になるかも
しれない。
カネボウ化粧品(東京都港区)はこれまで解明されていなかったバラの香り
の重要な成分を初めて発見した。バラの香りは数100種もの成分で構成
されるが、今回発見した新成分はごく微量でみずみずしくゴージャスなバラ
特有の香りを引き立てる役割を果たすことが分かった。
天然のバラからしか作れなかった高級フレグランス(香料)の成分とほぼ
同じ香りが「10分の1から20分の1の低価格」(香料研究室)で合成
可能になるという。
従来、高級フレグランスに使われるバラの香りは、大量の天然の花びらを
圧搾・蒸留して作ったローズ精油が原料。原料コストが高いうえ多大な労力
を必要とするため、1キログラム当たり120万円と高価で、通常は数万円
以上の化粧品や香水にしか使われない。一般的な化粧品やヘアケア商品には
バラの香りに近い合成香料が使われている。
カネボウ化粧品は、フレグランス製造大手の曽田香料(東京都中央区)と共同
で、原種に近く香りのバランスがいいローズ・ダマセナ種の精油を使って、
香り成分を精密分析。軽い香り成分の集合体「ローズトップ」(全体の5・3%)
にバラの香りの重要な特徴が存在することを突きとめた。
ローズトップを曽田香料の分析機器でミクロ分析したところ、ごく微量の香り2種
に、個々のバラの香りを調和させて広がりを持たせる「香り共鳴効果」があること
を発見した。
この成分は、フローラルでほんのりフルーティーな香りの「トップローズアロマI」
と、グリーン調の野菜のような香りの「同II」。ともに非常に軽く揮発しやすい
香りで、これまで存在が知られていなかった。
この成分はスズランやジャスミンの香りに加えてもその花の香りを増幅する効果を発揮。
すべての香りに同様の効果があると期待している。
カネボウ化粧品はこの成分を合成したフレグランスを今春中に商品化。化粧品などへの
応用を図る考えで、今後は化粧品業界向けの原料供給ビジネスも検討していくという。
ソースは
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/art-20050223215414-LNGTRWUKAJ.nwc