強度の近視を大幅に改善できる、永続的に使用可能な移植型(眼内)コンタクトレンズが、年内に米食品医薬品局(FDA)から認可される見通しだ。
米スター・サージカル社の眼内レンズは、3年に及ぶ臨床試験の結果、294名の被験者の60%近くの視力が
20/20(日本における1.0)以上に回復し、20/40(同0.5)以上に回復した患者は95%に達したことが確認された。
ほぼすべての患者が手術に満足しており、結果に満足していないと答えた患者は1%に満たなかった。
今回の研究結果は、眼科学の専門誌である『オフサルモロジー』誌の9月号に掲載されている。
このレンズの埋め込み手術にかかる時間は約8分で、麻酔には点眼液を使用するだけだ。患者は術後すぐに、はっきりと見えるようになる。
デイビス・デュア・ディーン屈折矯正手術センター(ウィスコンシン州マディソン)の手術責任者、ジョン・ビュキチ医師は次のように述べる。
「牛乳瓶の底のような眼鏡をかけていた人にとって、眼鏡なしで見たり、運転免許試験に合格できるのは、
人生を変えるような経験と言っても過言ではないだろう」。ビュキチ医師はスター・サージカル社の顧問を務めており、
全米の15ヵ所で実施された今回の試験を医学的な立場から監視してきた。
強度の近視の人が、分厚い眼鏡やコンタクトレンズを装着する以外の選択肢を初めて手にしたという点で、この技術は画期的といえる。
ここ10年ほどでしだいに広まってきた、レーザーを照射して近視を矯正するレーシック手術は、強度の近視患者には効果がない。
「(レンズの移植は)レーザー手術が可能な患者にも施せるが、強度の近視を矯正できる点がまさに画期的だ」とビュキチ医師は言う。
埋め込まれるレンズは、コラーゲンとポリヘマを混合した、コラマー(collamer)と呼ばれるレンズによく使われる柔らかい素材でできている。
ビュキチ医師によると、レンズは「形状記憶」特性があるため、小さな円筒状にたたみ、目に挿入した後に広げることが可能だという。
レンズを埋め込むことで起こり得る問題としては、眼球の水晶体にこすれることで、白内障のほか、なんらかの炎症を起こす可能性が挙げられる。
臨床試験では、白内障を発症した患者からレンズを取り除いたケースが3例あった。
レンズは永続的に目に入れておけるように作られているが、患者の視力が変わった場合はレンズを取り除いたり、
取り替えたりすることが可能だ。あるいはその後、一般的な矯正用の眼鏡やコンタクトレンズを使用したり、レーシック手術を受けることもできる。
(一部略)
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040903302.html
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