[森を楽しむ]塗料を見直す=水野一男 /愛知
木のものを塗装によって長持ちさせる技術は太古より存在
する。器具や装飾品、建築などに彩色、被覆して直接木地を
曝(さら)さず紫外線や風雪から護(まも)る方法や、油脂など
を含ませて汚れや腐朽菌に対抗する方法。蝋(ろう)をコーテ
ィングして摩滅を防ぐ方法など、さまざまである。そしてそうい
う用途を持った材料も、漆をはじめ柿渋、荏(え)ゴマの油や
菜種油、イボタ蝋、ハゼ蝋、紅柄(べにがら)、トノコなど自然
から採取できるもので、今でも容易に手にはいるものばかりである。
ところが、こうした技術も石油の出現によって大きく様変わり
して、性能も飛躍的に向上したといわれてきた。作業性もよく、
色や塗膜の耐候性に優れ、技術を機械化することで製品の
量産化に一役買ってきた。結果、安くて奇麗な木製品が大量
にできるようになったのである。しかし、これが今度は弊害を
もたらすようになってきた。これらの塗料から放出される成分が、
化学物質過敏症の体質に反応してアレルギーなどを引き起こす
ことがわかってきたからである。
石油化学の優れた技術が、大量の消費をもたらし、多大な
影響を社会に残している。やがてその商品が廃棄の段階を
迎えて人々は被る影響の深刻さを知った。思い出したように
今では過去の技術がひもとかれようとしている。木や植物を
利用して暮らしを豊かにする方法としての自然塗料への関心
が高まっている。森の価値の見直しにつながってほしい。
おソース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040527-00000004-mai-l23