乳がんの乳房温存療法を巡り、神奈川県鎌倉市の大船中央病院(166床)が、
手術の際、保険に含まれる費用の一部を患者から自費でも取る「二重取り」をしたり、保険診療と同時に行った
保険外の検査で厚生労働省が認めていない実費徴収をしたりしていたことが13日わかった。
病院側は不正な徴収を認め、患者に費用の返還を始めた。
同病院は乳房温存療法の草分けとして知られ、全国から患者が集まるだけに、衝撃が広がった。
患者からの過剰な徴収は合わせて1人あたり4―5万円で、昨年11月までの1年間だけで259件あり、
総額約1000万円にのぼるとみられる。病院側によると、少なくとも5年前から行っていたという。
同病院の山科展宏理事長(72)は「患者にできる限りの検査や手術を行った結果、こうなったが、
制度を正しく理解していなかった」と謝罪。手術費用の過剰請求については、
「保険の審査機関の判断に従うが、差額分を患者に返還する方針」と話している。
同病院では、国内での乳房温存手術の第1人者とされる外科部長が、慶応大放射線科の近藤誠講師と組み、94年から乳房温存手術を開始した。
昨年12月、患者の1人が領収書の記載内容に不審を抱き、近藤講師に問い合わせて不正徴収が判明。
同講師の指摘で、病院側は自費診療分の返還を始めた。
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040114it01.htm