引用元ハケーン
前年度トータルでのアパレル及び外資系ブランドその他、一般に「ファッシ
ョン」のカテゴリに属される企業の申告所得(税法上の裏技利用後)の第一位
はベルナード・アルノー総帥率いるMHLVの日本法人「・ルイヴィトン・ジャパ
ン」となっている。数字は個別に調べて頂ければ良いと思うのであえて掲載し
ないが先日、バブルの虚構、放慢経営の末、会社更生法の適用を申請し事実上
の倒産をした宮崎のシーガイヤの負債額よりも遥かに多い。儲かってるんです
よ、ヴィトンは。
ハリウッドでグウィネス・パルトロウと「お高くとまってる度ランキング」
で争うシャロン・ストーンのデザインしたバニティと、一点モノのモノグラム
柄の大形キャビンがモナコ公国でお披露目、即時オークションにかけれたもの
のオークション開始価格は80万円程度と日本人のヴィトンマニアからすれば
一点モノでしかもシャロン・ストーンがデザインしたキャビンが「その価格」
なら即買いの破格だと思ってしまうだろうが、オークションの開始値なので、
それから何倍にも下手すれば何十倍にもなるだろうと見ていた人は大いに違い
ない。しかし、結果は116万円まで緩やかに価格が上昇した時点で会場から
オークショニアの問いかけに応える入札者の手は挙がらなくなった。
結局、開始価格から約36万円程度の上昇をしただけで2倍はおろか半値も
価格が高騰する事はなかった。ちなみこのキャビンは現行でもヴィトンでスペ
シャルオーダーをかければプロパー商品として購入する事ができる。その参考
販売価格は「110万円」となっている。オカシイ、一点モノのプロトタイプ
でシャロンストーンの手掛けた逸品が「116万円」までしか及ばなかったと
言う事は考えられない。またオークション会場は世界上のVIPやセレブレティが
別荘を持ち、シーズンにはF1も開催されカジノなどの考えうる高級リゾートを
具現化したモナコ公国である。観光シーズンにもなれば、モナコに運ばれる、
「金」は10兆円を超えるとも言われている。ワンシーズンにだ。その客層も
桁違いの資産家や目利きも多いはずのオークション会場で、世界のヴィトンの
プレミアアイテムがたったの116万円でオークショニアがハンマーを振り下
ろさなくてならなかった理由とは。少なくとも私達日本人のヴィトンを含め、
高級インポートブランドへの異常な羨望と、その所有への飽くなき欲求度、金
に糸目を付けないバブル逆行型人種の増殖と、一部の鼻息の荒さから考慮する
に「有り得ない事態」だった。肝心の116万円で落札した人はイギリス人で
妻への贈り物にしたいという、ブランドマニアでもなければヴィトンコレクタ
−でもない。ただオークションに参加して偶発的に落札したとのことだ。
この後日談の話は余り知られていないのだが、当のシャロン・ストーンもこ
の落札価格にはかなり不満だったらしく「この価格(落札価格)には納得もで
きないし、残念だわ。」と、ため息吐息のセクシーヴォイスを漏らしたと言う。
それは、シャロンもため息吐息になるだろう、、だが、鼻息の荒い日本人が、
この状況を静観していた訳ではない。イギリス人が妻の為に落札したはずの、
その美しき贈り物は現在、日本にある。そのイギリス人妻は日本人だったのか。
いや、イギリス人だという。ではなぜ、日本にあるのかと言うと日本人バイヤ
ーが個人的にその落札者であるイギリス人宛に買い付けに行ったのだ。
凄い、日本人のヴィトン信奉。当然だがその譲渡金額は公開さえれていないが
シャロンが望んだ額に優るとも劣らない金が動いたとは推測される。
元々オークションそのものも、日本で開催していればこのような手の込んだ裏
事情が生じる事もなく、シャロン・ストーンもため息吐息になることもなかっ
たはずである。しかしヴィトン、そういう訳にもいかないようだ。世界で最高
の市場であり、収益の半分以上を日本で上げていると言うのに、MHLVの首脳は
その極東の島国「日本」がお好きではないらしい。矛盾しているように思える
がヴィトンに限らず、日本を好まない高級ブランド、老舗ブランド首脳は多い。
フランスに関しては「芸術はパリで生まれた」という気質があり「黄金率」の
誕生からルネッサンスの本拠等々、美しいものや芸術というカテゴリに類する
ものは「フランス」がお家芸という根底的で深い粘着質のイデオロギーが棲み
ついているようだ。そのフランスの代表格かつ老舗のルイ・ヴィトンが一点モ
ノの逸品を極東の島国で公開する。これが首脳達の首を縦に振らせなかった理
由のようだ。欧米、得に欧州には日本の程の高級ブランドへの執着心は元来な
い。オークションという体裁を取る以上、本来はブランドへの執着心が強いロ
ケーションを選ぶはずなのだが、ブランドの複雑な所、「体裁」だ大事なのだ。
日本人が卑下されているのは事実で仕方のないことであることは、ワイド番組
などを見ていれば分る。それでも、日本人の鼻息は今日も、明日も明後日も荒
いだろう。構造的不況、少子化に伴う高齢化、日本人消滅説、累積赤字国債、
そんなのどこ吹く風、知った事ではない、日本未発表のヴィトンが持てればそ
れで幸せ。この国の幸せの価値観を万人が納得できるような注釈をつける事が
できれば、それこそ世界的な権威ある賞を受賞できるのではないかと思う。
「極東の島国・日本における消費行動と価値観の存在」みたいな感じで。