メガネ君はゲームやるな

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5なまえをいれてください
 私の名はメガネ。かつては友引高校に通う平凡な高校生であり、退屈な日常と闘い
つづける下駄履きの生活者であった。だがあの夜、ハリヤーのコクピットから目撃し
たあの衝撃の光景が、私の運命を大きく変えてしまったのだ。ハリヤーであたるの家
に強行着陸したその翌日から、世界はまるで開き直ったかのごとくその装いを変えて
しまった。いつもと同じ町、いつもと同じ角店、いつもと同じ公園、だが何かが違う。
路上からは行き来する車の影が消え、建売住宅の庭先にピアノの音も途絶え、牛丼屋
のカウンターであわただしく食事する人の姿もない。この町に、いやこの世界にわれ
われだけを残し、あの懐かしい人々は突然その姿を消してしまった・・・。

 数日を経ずして、荒廃という名の時が駆け抜けていった。かくも静かな、かくもあっ
けない終末をいったい誰が予想しえたであろう。人類が過去数千年にわたり営々と築
いてきた文明とともに・・・西暦は終わった。しかし残された我々にとって終末は新たな
始まりに過ぎない。世界が終わりを告げたその日から我々の生き延びるための戦いの
日々が始まったのである。あの運命の夜からどれくらいの歳月が流れたのか・・・しかし
今、我々が築きつつあるこの世界に時計もカレンダーも無用だ。我々は衣食住を保障
されたサバイバルを生き抜き、いかなる先達も実現し得なかった地上の楽園を、あの
永遠のシャングリラを実現するだろう。嗚呼選ばれし者の恍惚と不安共に我にあり!
人類の未来がひとえに我々の双肩にかかっていることを認識するとき、眩暈にも似た
感動を禁じえない・・・。