なまえをいれてください其の3

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641稲川淳二
題:悪の十字架

ある日の夜中、その男は走っていた…
時々後ろを振り返りながら何かを恐れるように…
やがて男の目に明かりのついた建物が見えてくる。
男は安堵の表情を浮かべながらその建物の入り口まで
最後の力を振り絞り走った。
そしてドアに手をかけると力いっぱいに開けようとした
…が開かない…男は狂ったようにドアを叩きだす。
しかし中からの反応は無い…
男の顔が次第に絶望のそれへと変わっていく。
やがてあきらめた男の目に一枚の張り紙が飛び込んできた。
男はそれを見るなりこうつぶやいた。
「開くの十時か…」

開くの十時か=あくのじゅうじか=悪の十字架

楽しんでいただけたでしょうか?