なんということだ!
私はコックピット眠ってしまっていたようだ。エンジンテストをして、大気圏内に飛び上がり、自動操縦に切り替えて食事をしたところまでは覚えているのだが……。
リンクたちが気がかりでならない。すぐにあの小さな広場へと戻る。
宇宙船のゲートから地表に下りると、朝霧が視界をおおった。山の端から差し込む光が乱反射し、円形の虹が見える。
私はデクの樹に向かった。しかしそこにあの樹はなく、三角形を3つ組み合わせた図形が地面に描かれていただけだった。
私は呆然とした。あれは夢だったのだろうか?
私の腕を掴み、照れながらあるいた少年たちは存在しなかったというのだろうか?
胸がぽっかり空いたような不安に襲われた。
朝日が完全に姿を現し、霧が晴れる。足の裏に振動を感じた。地面がムクムクと動き始める。
私は地面を見つめた。高速再生されたムービーのように、デクの樹が姿を現す。
そしてその枝には大きな実がたわわに生っていた。
おもわず近寄って見上げる。実の数は11個。昨日と同じ人数だ!
駆け上がり、実を見つめた。実は近づいても震えない。よく耳をすますと、すうすうという寝息が聞こえた。
私はホイッスルをBで吹き鳴らしてみることにした。
ピピーッ!
「むにゅ? うーぅ?」
「ふわぁぁぁ」
カパカパカパっと実が開くと、リンクたちが起きあがってきた。眠たそうに目をこすったり、腕を回して身体をならしたりしている。早くも私に抱きついてくるものもいた。
彼等の愛らしい姿に思わず目を細める。思ったとおりだ。彼らは夜、樹で眠るのだ。
リンクは樹から栄養を得ているらしくなにも食べないようだ。朝食をとりながら、そのことを少し寂しく思う。
今日もジャングルの探索を続けることにした。
「みけー! みっけー!」
昨日いかなかったほうへと進むと、後列のリンクが声を上げた。
そちらに向かうと、窪地に巨大な木製の箱が刺さっていた。蔦が絡み、節々を金属で補強されたそれは宝箱に見えた。
ほほう、こんなものが落ちているとは。私は冒険心の高鳴りを覚える。リンクたちに協力して運ばせよう。
私は宝箱にターゲットをあわせ、Aを長押しした。
リンク達がくぼみに飛び出て宝箱に指をかける。ところがビクリともしない。大きさからすれば10人もいれば運べるはずなのだが、奇妙な姿勢で斜めに埋まっているおかげでもちあげられないようだ。
Zで視点を切り替えながらあたりを見回していると、宝箱の反対側に長い板が出ているのを発見した。その板を利用すればテコの原理で持ち上げられるかも知れない。
私は急いでリンク達を板の端に集合させた。
板に同時に手をかけられる人数は5人ほどしかいない。10人で持ち上がらなかったものを5人でもちあげるのだ。一丸となって力を合わせなくてはならない。
私はCをつかい、リンク達にかけ声をかけることにした。彼等が声を上げた瞬間、スティックを傾けるようにして腹の底から声をだすのだ。
「よいっ、しょ!」
リンクが指の先が白くなるほど力をこめ、一生懸命板を押す。私は精一杯応援する。
何度か繰り返すと宝箱をほじくり返すことができた!
宝箱をリンクたちが運んでいく。デクの樹の前まで運ぶ。さすがに樹も箱は食べないようだった。
リンク達も興味津々といったように、宝箱をみている。私の裾を引き、尋ねるように指さすものもいた。
私も興味があったので、命令をして開けさせることにした。だがまたしてもスムースにことが運ばない。鍵はかかっていないようだが絡みついた蔦が邪魔をしているのだ。
チャレンジを続けて疲れてしまったリンクが助けを求めるように私を見る。
「さあ、リンク。力をあわせようじゃないか!」
息にあわせCをポンと上に傾け、蔦を引きちぎって宝箱を開く。
「わーい」「やったー」
「うにうに?」「ふぅ」「わわわ!」
仕事が終わったリンクが思い思いのことをする。早くもなかを覗き込み、へりに捕まって足をばたつかせているものもいた。
覗き込むと、大きな宝箱のなかには、小さなブーメランが10個入っていた。
ドタンとなかに転がり込んでしまったリンクがブーメランをつかみ、首を傾けている。右手や左手に持ち替え、感触を確かめる。ついには立ち上がり、腰をひねると空に向かって武器を放った。
ヴン。私の頬を風がきる。慌てて目で追うとブーメランは太陽に消える。目を眩ませていると再び頬のそばを風がすり抜けていった。
ゆっくり振り返ると、ブーメランを手にして私に笑うリンクがいる。
思わずへたれて腰をついてしまった。
彼らは産まれながらにしてブーメランの達人のようだ。
決して私のそばでブーメランを使わないように何度も何度も言い聞かせると、ブーメランを持たせてやる。そのままだと腰にさしてしまうので、十字ボタンの上で命令していつでもつかえるように手にもたせることにした。ブーメランは10個しかないので一人は手ぶらだ。
宝箱は大きい。今後なにか手には入ったらここに保管ができるだろう。
再び探索にむかった。この惑星はいろいろなものがあるようだ。
リンクは道具を使う賢さも兼ね備えているようだし、私に対する態度をみると情緒も発達している。
ブーメランを握り私の周りを囲む姿は、小さいながらもりりしいではないか。ついつい微笑みがこぼれる。
枯れ木の曲がり角を抜けると、リンク2人分くらいの大きさのあるスミレの群集のなかにパーツを見つけた。
よしよし2つ目だ。パーツにターゲットをあわせ、いつものようにAで命じてやる。
いけ、私のリンクたち!
リンクはタカタカと駆けていく。そしてスミレの林に突入するとパタンと倒れてしまった。
「リンク!?」
死んでしまったのだろうか! 私は大慌てでかけつける。リンクの小さな肩を揺すった。なにか埃のようなものが舞う。
「ぅぅん?」
リンクは小さく呻くとふらふら立ち上がった。そしてひょこんと瞼をあけて私をじっと見上げる。ふにゃりと抱きついてきた。
よかった。いつものリンクだ。バイザーにまとわりつく黄色い埃を払って、体温の高いリンクを抱き返してやる。こうすると彼は嬉しそうに肩を揺らすのだ。
だが、リンクは反応しない。私に体重を預けて力を失い崩れてしまった。慌てて小さな顔を持ち上げてやる。見ると、眠たげに目が半分閉じている。可愛い舌を覗かせながらあくびをする。
よくみれば倒れたリンクたちは、眠っているようだ。
私は大きく息をすうと、Bでホイッスルを吹き鳴らした。ピピーッ!
ビクンッ! 皆が跳ね起きる。
スミレから少し離れたところでリンク達と観察をすると、どうやらあのスミレが睡眠効果のある花粉を出していることがわかった。
パーツをとりに向かうと眠ってしまうのだ。
ふむふむ。ではあのスミレを切ってしまえばいいではないか。
私はターゲットをスミレにあわせ、Aでリンクに命じた。
「えいやっ!」
スミレを切りにいくはずのリンクは、ブーメランを投げた。しまった! 装備を持たせたままだった!
ブーメランはスミレにちかづくと、スパンッと花を切り落とし、戻ってきた。
「え?」
紫の花弁が地面に落ちている。仕事が成功したリンクは両手を上げて喜んでいる。
もしかしてこのブーメランは、とても強力なのだろうか?
褒めて、褒めてと、見上げてくるリンクを、私は乾いた笑いを浮かべながら撫でてやる。当たったら即死だ。
他のリンクにも命じてスミレを狩ると、パーツを運ばせることにした。
今更気が付いたのだが、リンクのもっている剣でスミレを切ろうとすれば、運ばせようとしたときと同様に眠ってしまっただろう。命令ミスが思わぬ幸運を招いたことになる。神に感謝しよう。
ハートの器を集め、その日は夕暮れになってしまった。
23人に増えたリンクは仲良くデクの樹へ帰っていく。
樹は最後に宝箱を吸い込み、地面に消えた。
■Cスティック
かけ声&カーソル操作
Cスティックではリンクに細かい命令をだしたり、主人公を動かさずにカーソルを操作できます。
ものを引っ張ってる場合……
リンクの動きにあわせてその方向に傾けると早く引っ張れます
重いものを持ち上げる場合……
リンクの動きにあわせて素早く上に傾けると持ち上げやすくなります。
■アイテム
大きな宝箱を手に入れると、リンクの持つアイテムを自由に交換できるようになります。
大きな宝箱はいつもデクの樹のそばにあります。近づいてAボタンで使用することが出来ます。
アイテムを装備したリンクは、十字キーで装備モードになることができます。
装備モードのリンクに命令をすると、その装備を使用します。
■十字ボタン
主人公がつれているリンクの使用できる能力を一気に切り替えます
Aで命令をするとセットされている能力を使用します。
能力が使用できない場合はノーマルモードとみなされます。
能力の切り替えは情報画面でも行えます。
↑ 装備モード(アイテムを持っているときだけ)
↓ ノーマルモード
→ 2Lv能力モード
← 3Lv能力モード