863 :
◆LINk80lU :
リンクという生き物をしっていますか?
リンクは初めて目にした人を恋人だとおもってついていく習性があるんです。
恋人のために働いて時にはこんなどう猛な生き物とも闘って……あらら〜、食べられちゃってますね。
夜になるとリンクは、樹にもどっていきます。
明日も一日頑張ってね。
任天堂ゲームキューブ『リンク』
864 :
1日目 ◆LINk80lU :01/12/12 12:27
1日目
気がつけば未知の惑星にいた。
私は宇宙船で旅をするパイロット。愛機ドルフィン号で帰路に就く途中、何かに衝突しここに墜落することとなった。
尻をしこたま打った意外に怪我はなさそうだ。顔をあげると地面に突き刺さった愛機が目に入る。パーツがすべて飛び散っているようだ。
私は絶望のため息をつき、宇宙服のバイザーを曇らせた。
あたりを見回す。空のように青く可憐な花や、すっと弓のようにしなる葉を茂らせる草、湯から上げたばかりのスパゲティのように複雑に絡む蔦などがあたりを被っていた。
暖かな光に包まれ風に花々がそよぐというのに、私の心は晴れるどころか沈む一方だった。
草花が巨大なのだ。花びら1枚で座布団くらいある。私は事故で頭を撲ち、身体が縮んだ夢を見ているのだろうか……。
この悪い夢から覚めるためにも、宇宙に飛び立つためにもパーツを探さねばならない。
私は自らを奮い立たせ、一歩を踏み出した。
865 :
1日目 ◆LINk80lU :01/12/12 12:28
突然地面が揺れ、私は足をとられて転んでしまった。突然目の前に巨大な樹が現れた。生えてきたのだ!
それは巨大な顔をもった樹だった。顔はうろや枝が形作ったもので、年老いた男のようにも、苦悶する貧者のようにも見える。
これは何かの皮肉だろうか? 転んだ拍子の怪我チェックのついでに、この星の大気は猛毒の酸素を含んでいて、吸い込めば肺が爛れて死んでしまうと、宇宙服が告げる。生命維持装置は30日しか持たない。
30日でなにが出来るというのだろう? 出鼻をくじかれ猛烈な無力感に襲われた私は、腹立ちまぎれにこの役立たずの樹を「デクの樹」と名付けた。
デクの樹を見上げると、巨大な木の実が一つだけぶら下がっていた。
その実は私を誘うかのように陽光を反射している。もしかしたら役に立つかもしれない。
私は調べることにした。
節だらけの樹を登る。実はゆりかごほどの大きさで、黄緑がかかっている。近寄るとブルブルと震動した。中に生き物がいるのだろうか?
私は割れ目に指をかけ、恐る恐るAボタンを押した。
866 :
1日目 ◆LINk80lU :01/12/12 12:29
スポンッ。
「ヤッホー!」
少年が飛び出した!
少年は緑のチュニックをなびかせながらクルッ回ると軽やかに枝に着地する。剣と盾を背負っているのにそれを感じさせない。
青い瞳で伺うように私を見上げると、にへらと相好を崩し、勢いよく私に抱きついてきた。
うわ、あ、あ。
私はバランスを崩し、落ちそうになる。地面が一瞬目に入る。高い!
しかし私は落ちなかった。
少年が枝を持ち、もう一方の手で私の尻を持って、支えてくれたのだ。
少年は金の髪を揺らしながら嬉しそうに笑う。どうやらずいぶん力が強いようだ。
867 :
1日目 ◆LINk80lU :01/12/12 12:30
私は地面に下り、少年と話をしてみることにした。この惑星のことがわかるかもしれない。
「君の名前は?」
「う?」
「う、ではなく」
首を傾ける少年の顔をじっとみていると、彼は顔を茹で蛸のように真っ赤にして、帽子で隠してしまった。
たまに、チラリ、チラリと帽子をあげて、私が顔をみていないか確認する。
視線を逸らしてやると、やっと安堵したように元にもどった。ずいぶん恥ずかしがり屋ならしい。
いくつか質問をしたが意味のある答えを返さない。どうやら言葉を理解していないようだ。その上言葉をもたないらしい。
868 :
1日目 ◆LINk80lU :01/12/12 12:31
私は少年から情報を得ることを諦め、周囲を探索することにした。
どんな危険が待っているのだろうか? 凶暴な肉食動物はいるのだろうか? 巨大な草花を見上げる私の胸には不安と同時に、冒険心が満ちていた。
「ねーー」
草むらに足を踏み入れようとする私を少年が呼び止めた。私が振り返ると、なんでもないというように首を振る。
私は草むらを進んだ。少年がトコトコとついてくる。
「ねーー」
また振り返るが、首を振るだけだ。
「ねーー」
私は振り返らない。少年は私の前に回り込み、顔を見上げて覗き込んできた。
「いったい何がしたいのだ?」
問いかけると彼は、カタツムリの角のようにさっと身を縮ませ顔を赤くする。
そしておずおずと私の腕に腕をからめてきた。
どうやら、腕組みして歩きたかったらしい。
少年は頬をギュっと上げて、目を細めて嬉しそうにしながら歩いている。
……そろそろ少年少年いうのも失礼だ。
腕組み(Link arms)を喜んだところから、リンクと名付けることにした。
869 :
1日目 ◆LINk80lU :01/12/12 12:31
リンクとしばらく進むと、奇妙な物体を発見した。
それは巨大なハート形の……器のようなものだった。桃色で材質はプラスチックに似ている。かなり重い。
これはなんだろうか? しかしこのジャングルの中では草が邪魔をして上手く観察ができない。せめて墜落地点の空き地に運べられればいいのだが……。
悩んでいるとリンクが下から不思議そうな顔で私をみていた。
「これをどうやって運ぼうかと考えていたんだ」
優しくそういうと、リンクは突然飛び上がって私に大きく頷いてみせた。
そしてその巨大な器を持ち上げたではないか!
リンクが見かけによらず力持ちだということをすっかりわすれていた。
私たちは広場に戻る。ところがリンクはそこを通り過ぎデクの樹の前までいってしまった。
器を自分のものだとおもっているのだろうか?
不思議に思っている私の目の前で、デクの樹が突然ほらを大きくあけてハートの器を吸い込んだ。
まるで樹が口をあけて呑み込んだかのようだ。リンクはテクテクと私の前に戻ってきて、「えらい? えらい?」というような顔で見上げている。
私はリンクの髪を撫でる。キャッキャとリンクは照れる。愛らしいこの少年はあの樹から生まれたのか……と、樹に視線をやる。
そこに大きな実が生っていた。
870 :
1日目 ◆LINk80lU :01/12/12 12:32
みたことのある実だ。私はある仮定をおもいついた。
Xボタンでリンクにここで待つようにいい、私はデクの樹を登る。そしてブルブル震える実の前でAを押した。
「イエーイ!」
リンクが飛び出てきた。
思ったとおりだ、この樹は女王蟻か、食虫植物よろく、リンクをつかって栄養をあつめているのだ。
新しいリンクも、前のリンクとほとんど変わりないらしい。顔もいっしょだ。
恥ずかしがるそぶりもそっくりだった。私は両腕にリンクを連れて、再びジャングルを探索した。
昼を過ぎるころにはリンクは11人に増えていた。
皆私を愛してくれているらしい。しかし喧嘩もおきず、私の移動する先についてくる。
彼らの力があれば、脱出ができるかもしれない。
そんな希望がわいてくるのだった。
871 :
1日目 ◆LINk80lU :01/12/12 12:33
ジャングルでいくつかの障害をくぐり抜けると、そこに金属の塊があった。
草に埋もれてキラキラと光るそれは……
「エンジンだ!」
なんと私の船のメインエンジンではないか! 爆発で散ってしまったパーツ、それも一番重要なものをこんなに早く見つけることができるとは!
だがエンジンはとてつもなくデカイ。もちろん私の力では無理だ。
リンクたちは私の顔を下から覗き込む。
私はエンジンからのびて木にぶら下がるを指さし、Aを長押しした。
リンクたちは一斉に「ウンッ!」と満面の笑顔で頷いて、駆けていった。そして全員で持ち運びにかかった。
私のために働けることを喜んでいるように見える。声をあわせて持ち上げると、一歩一歩広場のほうへと運びはじめた。
私は思わず胸が熱くなった。宇宙服のバイザーが曇る……。
この小さな友たちを大切にしよう。
872 :
1日目 ◆LINk80lU :01/12/12 12:33
広場に運びエンジンの組み込みが終わるともう夕暮れだった。沈みかける太陽に従うように、リンクたちの動きが急速に鈍ってくる。
リンクは太陽の光を活動源にしているらしい。
彼らは少し困った顔で私の宇宙服の裾を引き、デクの樹の方向を指さした。
樹の前まで誘導すると、口のようなほらに向かっていった。
デクの樹が吸い込み、口が閉じる。
いつもなら数十秒と待たずに生るはずの実が生らない。
なんだというのだろう? 栄養源になってしまったというのだろうか?
私は恐ろしい不安に囚われた。口の中に飛び込み、リンクを助けるべきか。
だが彼等はこの樹から産まれたのだ……。
葛藤を胸に宇宙船に戻った。一度食事をしよう。エンジンのテストもしなくては……。
私が食事をしていると……
873 :
【取り扱い説明書】 ◆LINk80lU :01/12/12 12:34
■コントロールスティック
強く倒す 主人公の移動
ゆっくり倒す カーソルの移動
■Lトリガーボタン
カメラを主人公の背後に回す
■Rトリガーボタン
カメラズーム 近い/普通/遠い
■Zボタン
カメラ視点の切り替え 主人公視点/俯瞰(上から見た)視点/主人公の後ろから見た視点
■Yボタン
情報画面へ
■Xボタン
リンクを色分けにして解散、待機させる
■Bボタン
ホイッスルを吹いてリンクを集合させる
寝ているリンクを起こす
■Aボタン
ゆりかごの実の前で押す
リンクを誕生させる
カーソルを対象にあわせて押す
隊列のリンク一人に命令をする
カーソルを対象にあわせて長く押す
隊列のリンク全員に命令をする