【2009】クソゲーオブザイヤー part47【総合】
PCギャルゲーからの移植作品『戦極姫』。天下無双のバグ量を引っさげての、堂々の出陣であった。
そのバグの多さはまさに圧巻の一言であり、可愛らしい絵柄に惹かれた購入者達を完膚なきまでに叩きのめすものだった。
軍資金はいきなり増え、領民の感情はいきなり急降下し、切腹したはずのキャラクターは堂々と次の戦に出陣し、
兵力を減らしたはずの敵軍が一瞬で全快して遠方へワープし、イベントがあったはずのキャラにイベントがない……。
なくなったエロの代わりにバグを3倍追加しましたとでも言わんばかりの"バグの塊"っぷりは、ターンごとのセーブを不可欠にした上、
多くの研究者達によって日々新しいバグが発見されるという、さながらひとつの研究分野としての様相すら呈している。
さらには、発売後すぐに続編が発表され、プレイヤーのバグ発見活動は、体のいい「有償デバッグ」であったと判明。
バグにもめげず逞しく生きる領民達から徹底的に搾取するその暴君っぷりが、住民達を沸き立たせた。
『戦極姫』は圧倒的な兵力でKOTYスレを蹂躙し、クソゲー戦国時代の寵児として領地を構えてしまったのだった。
そして、この巨人の出陣を好機と捉えた猛者がいた。
遡ること7ヶ月、あの春の嵐の中でひっそりと旗をあげていた、SLG『戦国天下統一』である。
開発は、『姫』と同じシステムソフトアルファ。『姫』の出陣を機に、再評価が始まったのだ。
PCからPS2への移植作品である今作は、マイナータイトルであることと、同時期に出現したノミネート候補2作品の影響で、
当初は注目されなかったものの、この再評価でその驚くべき実態が判明。
発売時期が10年単位で遅れたとしか思えないほどに旧時代的なグラフィック、ある種のノスタルジアすら感じさせる古典的システム、
移植元から忠実に受け継いだバグ要素などで、田舎の足軽からあっというまに天下を狙う大名へと成長。
年末に至って今作もまた、2009年の天下統一を貪欲に狙い始めたのだ。