むかしむかしあるところに、あくまがいました。
あくまは、ちからがほしくてほしくてたまりませんでした。
そこであくまはたびにでて、ちからをさがすことにしました。
でもせかいはひろいので、あくまはふたつにわかれてたびにでました。
いっぴきはひがしへ、もういっぴきはにしへ。
ひがしへむかったあくまはおっどあいのおとこあいました。
「おっどあいのおじさん、ぼくにちからをください」
「ならおれにきょうりょくしろ」
あくまはおっどあいにきょうりょくしました。
でも、あるひ、
「ぼくをみてぼくをみて、ぼくのなかのあくまがこんなにおおきくなったよ」
ズシャ、グシャッ、シュパッ。
あきてしまったあくまはおっどあいをころしてしまいました。
あくまはまたふりだしにぎゃくもどり。
あたらしいまものにあってはころし、またあってはころし。
あくまはすべてのまものをころしてしまいました。
あるひあくまはにしへいったあくまにであいました。
「あみゅれっとをわたして」
にしへいったあくまはいいました。
「ちからなんていらない、ちからなんてなくてもしあわせだ」
「ほんとうにたいせつなのはたましいなんだから」
あくまはにしへいったあくまをころしてしまいました。
あみゅれっとをてにいれてあたらしいちからをてにいれたあくま。
しかしあくまはそのちからをつかうすべがありませんでした。
すぱあだ、むてきのちからなのに。