正直ダークロとデステニィー2どっちがエロいんだよ

このエントリーをはてなブックマークに追加
411なまえをいれてください
 目が醒めてから10数分、カイル=デュナミスはその事態をただ把握できずにいた。
「一体、どうなってるんだ……」
 ベットの上で膝を抱えてうなだれる少女は、溜息をついた。
 何か悩み事でもあるのか?
 彼女を知らぬ者が見たら、おそらくそんな想像を抱いただろう。
 別段それは珍しくもなければ不思議でもない日常の風景。
 だが、当のカイルは生まれてこの方15年、こんな朝を迎えた事はなかった。
 そんな事が起こりうると考えた事すらなかった。
 なにしろカイルは、昨日の夜ベットに入るまでは、確かに男だったはずなのだから。

(――?なんか、夢の中でロニに抱きしめられてたような……う、気色悪……)
 目覚めたばかりの時は、自分の変化にも気付かず、奇妙な夢の無いようにただ顔をしかめていた。
 異変に気がついたのは、その直後だった。

 夢が何を意味するものだったのか、カイルには皆目見当もつかない。
 だが、どうやらあれがただの夢などではなかった事は確かだ。
 そうでなければ、今現在自分の身に起きている事の説明がつかないからである。
 あるいは今だに夢の続きを見ているのか? 自分はただ寝ぼけているだけなのか?
 そんな自問も、今のカイルには何の慰めにもならなかった。
 妙にシャツに圧迫され、絞めつけられるような感覚のある胸。
 毎朝、若さゆえの怒張を示す部位の奇妙な沈黙。
 起きてすぐ、その奇妙な感覚に思わず触れた手の感覚が今だに手のひらに残っている。
 目が冴えてきてからパニックになり、落ち付くまで随分と時間がかかった。
 その後何度となく事態を確認しようと手を動かしかけ、そして止めた。
 理由は簡単、それを行うとほぼ間違いなくカイルの希望を裏切るからだ。
 だけどずっとそんな事ばかりを考えていては、さすがにカイルも疲れてきた。
 既に日は高く、普段ならまもなく誰かがカイルを起こしにくる時刻だ。無論人前に出られるような状態ではないが、今のカイルにはそんな事に気を回す余裕はなかった。
 アイグレッテのホテルに記帳して3日目。気心の知れた仲間たちの中には、いまさら彼の寝坊を咎めるような者もいない。
 だが、このまま一生ベットの上でうずくまっているわけにもいかなかった。
412なまえをいれてください:02/12/08 00:27
 結局カイルは、漠然と空腹感をともない始めると同時に覚悟を決めた。
「確かめなくちゃ……」
 呟き、その声音に絶句する。
 変声期半ばのテナーボイスは消え失せ、代わりに発せられるのは澄んだソプラノの囀りである。
 そう。まるで――。
「き、昨日は遅くまで騒いでたから、喉がおかしくなっちゃったかな?」
 微かに震える声でそう呟くと、カイルは気合を入れるように「ふっ」と軽く息を吐きつつ、ベッドから飛び起きた。
 立ち上がった時に感じた胸の違和感を気のせいだと強引に否定し、寝室の隅に置いてある豪華なあしらいの鏡の前に立つ。
 クレスタに居た頃は、よくルーティが大きな立て鏡の前で洋服を合わせている光景を見たものだが、よもや自分がその前に立つ日が来るなど、カイルは予想もしなかった。
 一瞬の迷いの後、覚悟を決めてカイルは鏡の前に立ち全身を写す。
「なんだ!やっぱ俺は普段……どお……り……」
 あくまで自身にとって最良の結果を想像して強気に鏡の前に立ってみたカイルの声は、みるみるうちにトーンダウンしていった。
 160cmちょうどの身長は確かに変わったところはなかったし、その顔立ちも対して何かが変わったわけではないと思えなくもない。何となく、輪郭や目元が丸みを帯びているような気もしたが。
 だが……首より下は、15年間慣れ親しんできたものと、明らかに違っていた。
 寝間着のシャツの上からでも、極些細な、しかし一目でソレとわかる胸の膨らみ。ラフな布地の上からでもわかるくびれた腰と張った尻。
 だがカイルはそんな鏡に映った姿すら必死に否定しようとする。
「ち、違う! そう、そうだ! 最近モンスターとも遭わなかったし、体がなまって……」
 自分自身の心に必死の言い訳をする。全ての可能性を消さないように必死に努力をした。
 言い訳だと頭のどこかで理解していても、否定しないわけにはいかなかった。
 ―ウソだ! 服を脱げば……全部わかる―
 そして最後の可能性に賭けて、カイルは上着のボタンをむしり取るように外しかけた。
 だが、その行動は得てはいけない解答を突き付けた。
 鏡に映ったのは、あきらかに少女のものである微かな胸の丘陵。
 カイルは慌てて目を逸らし、首を振って目に焼きついた光景を振り放そうとする。
413なまえをいれてください:02/12/08 00:28
「む、胸じゃなくて……大切なのは…そう……そうだ……」
 カイルは、先ほどまでとは打って変わった緩慢な動作でズボンに手をかけた。
 だが、ココは最後の砦だ。
 カイルの手が自然と震える。どうしても躊躇してしまう。
 結局、カイルはまずゆっくりとズボンだけを下ろした。まだトランクスは履いたままだ。
 だがその行動すら、カイルの希望を冷酷に奪い去った。
 妙にほっそりとして、すらりと伸びた足。元々毛深くはなかったとはいえ、肌はスネ毛すらなくつるりとしていた。
 子どもの頃の古傷や、昨今の戦いでの傷痕は微塵も残っていない。
「そんな、こんな事……」
 それでもカイルはなんとか最後の望みにすがり付いた。
 それはもちろん今彼が履いているトランクスである。泣いても笑ってもこれが最後だ。
 目をつぶって、カイルはその最後の望みを足から抜き取った。
 そしてゆっくりと目を開け、正面の鏡を見る。
「――――ッ……」
 手に持っていたトランクスがパサリと床に落ちた。
 目の前に鏡には、カイルが望んだものは何一つ写っていなかったのだ。
 始めから、無駄な抵抗をしていることには薄々気がついていたが、それでも確認せずにはいられなかった。
 そしてその結果が今目の前にある。もう全ての希望は遮断された。
 カイルの体は、紛れもなく女性のものになっていた。
「そんな……俺は、オレは……」
 ”男なんだ” そう言おうとして、カイルは言葉に詰った。
 誰がどう見ようと、鏡に写っているのは紛れも無く少女だ。
 もはや否定は無意味だった。それを自分の言いかけた言葉で確信してしまった。
 そしてそれを認めてしまったカイルにできる事は、呆然と立ち尽くす事だけだった……。
414なまえをいれてください:02/12/08 00:28

 どれほどの時間が立ったか立たぬかのうち、ふと、鏡の中の少女を意識する。
 自分を見つめるこの少女は、紛れもなくカイル自身だ。
 儚げな、涙の浮かぶ瞳でこちらを見つめているその姿。
「……あ……」
 カイルはようやく、自分が随分と扇情的な格好で立ち尽くしている事に気が付いた。
 胸元をはだけたシャツを上だけ着ており、下半身は裸。
 大きめのシャツなので、その秘部が微妙に隠れるか否かという微妙な長さだ。
 胸からくびれた腰のラインが美しく、綺麗な足は足首でキュっとしまっていた。
 そんな美しい肢体を持った、金髪碧眼のボーイッシュな少女、その瞳が真っ直ぐに自分を見ているのだ。そしてそれは紛れもなく自分自身。
 カイルはどんどん心臓が高まっていくのを感じた。
 無意識に少女に触れようと手を伸ばすが、無論その手は鏡に遮られる。
 越える事は決して適わぬ鏡の向こうの世界。だがそれは反転したこちらの世界だ。
(さ、触りたい……)
 そう思ったのは、鏡に映る華奢な少女に、リアラの面影を重ねたからなのだろうか。
 カイルはゆっくりと鏡から手を戻し、そしておそるおそる自分に近づける。
 鏡の中の少女が、期待と不安が入り混じった目で同じ動作をトレースしていた。
 そしてそれは紛れもなく今の自分の姿である。
 一瞬の迷いを置いて、思い切って手を胸に当てる。が……
 触れた、ただそれだけの感覚だった。葛藤の割にはあっけない結果。
 それじゃあと試しに指に力を入れてみる。
 弾力のある、明らかに男のものではない感覚。だけどそれだけだった。
 色々と力の加減を変えて揉みしだいてみてもそれは変わらない。
 何か期待が外れた感覚で、あっさりと興が冷めてしまった。
「……そりゃそうだよな」
 落胆の溜息をつき、鏡を見たままベットに腰をかける。
415なまえをいれてください:02/12/08 00:29
 そもそも、女性に対してのそういった行為の経験はおろか、知識すら欠けているのだ。快感など覚えようはずも無い。
 が、なんとなく悔しかったので、カイルはそのまま片手で胸を揉み続けた。
 結果的にとはいえ、取りあえず冷静になったカイルは、現状を整理してみる事にした。
 はっきりしているのは”自分は女になってしまった”という事。
 考えられる原因は無い。昨晩見た妙な夢が気になったが、たかが夢である。大して意味もあるまい。
 それよりももっと重大な問題がある。
(オレ……このまんまなのかな)
 自分は男に戻れるのか? 仮にそうだったとしても、それまでいったいどう過ごすべきか?
 なにしろ昨日まで15年間、ずっと男として生活してきたのだ。
 いきなり女になりましたなんて、そんな事は自分が死ぬことよりも想像しなかった。
 第一仲間にはどう説明するのか?
(それにもしも……)
 一番考えたくない可能性が頭をよぎった時、カイルはその思考を無理矢理中断した。
 だがそれは無駄な抵抗だ。なにしろそれはカイル自身が一番最初に思った事だから。
(もしも元に戻れなかったら……オレは……)
 今一番恐れている事は正にそれだった。しかも可能性は決して低くない。
 漠然とした不安がカイルの頭をよぎる。その不安に心が押し潰されそうになった。
 答えのない思案を繰り返していた時だった。
「っ……ふ、ん……」
 聞きなれない声に気が付く。甘ったるい、少女の声、だがこれは誰かが発した声ではない。
 そのまま頭に響く声……カイル自身で発している声だった。
 それに気がついてカイルは唐突に我に返る。いつのまにか呼吸が苦しくなっていたのだ。
「あ……な、なんで…!?」
 自分の異変に視線を下げ、カイルはようやく自分自身の手が行っていた事に気が付いた。
 カイルは間抜けにも、悩んでいた間中ずっと自分の胸を無意識に揉み続けていたのだ。
416なまえをいれてください:02/12/08 00:29
(そ、そうか。剣の稽古の跡にマッサージしてるの、と、同じ……っ、ワケ……でぇ)
 理屈立って考えてはみたものの、カイルはあきらかにそれとは違う事を理解していた。
 胸を揉んでいただけなのに、胸だけでなく全身が熱い。
 いつのまにか全身の肌がねっとりと汗ばんでいる。呼吸もいつになく荒い。
 ただのマッサージ効果とは明らかに違う何かが、体の芯から熱を発している感じだ。
 目の前に視線を移すと、ベットに腰掛けた少女が鏡の向こうで頬を赤く染め、潤んだ瞳で自分の胸を揉みしだいていた。
「う、わぁっ」
 思わず感嘆の声を漏らす。これがもしリアラやナナリーの行為だったなら、カイルは間違いなくこの場で自身を慰めていただろう。
 だが、悲しいかな。その少女は紛れもなくカイル自身であり、慰めるべき男性自身が存在しなかった。
 それでも無意識に手はそれを求め、カイルは自分の秘部に手を触れた。
 ぴちゃりと、何か濡れたものに触れた音がする。

 当然の如く、カイルの秘部は濡れていた。性的知識は人並み以下であるが、さしものカイルにも、それが尿などではない事は容易に想像がついた。
「ぁ…あ……こ、これ……?」
 指がその液体の僅かな粘りを感じ取る。
 それを意識したカイルは、体が急に熱くなるような感覚を覚えた。
 いつのまにか胸を揉む手の動きも激しくなっている。荒々しく、そして力強く。
 だけど体が何かを訴えていた。胸を揉むごとにそれは増幅する。
(と、止まらない……こんなんじゃ、足りない……)
 頭の中にぼんやりとそんな言葉が浮かぶ。カイル自身の意識がそう言ったのか、本能がそう命じたのかはわからない。カイルの理性はそれを判断できなかった。
 その言葉に従うように、カイルは秘部に当てた手を少しずつ上になぞる。
 そしてその指は秘部の頂点のわずか手前で動きを止めた。その先にあるものを、カイルは知らない。 僅かな迷いの後、本能に押されるようにカイルはその頂、クリトリ○に触れた。
417なまえをいれてください:02/12/08 00:30
「わ……っ、ひゃあっ!!」
 突然全身に電気が走ったかのような感覚。
 カイルはびくん!と体を仰け反らせて背中からベットに倒れこんだ。
 はあはあと荒い息を吐き、その小さな胸が上下する。何が起こったのか、カイルの意識は理解できなかった。
 だが体は確かにそれを求めていた。また無意識に手がクリトリ○に向う。
「あ……ぁあ! こん…な……の駄目…ふぁ!」
 指がクリトリ○の頭を擦るたびにカイルは卑猥な声を上げた。
 いや、上げさせられていた。
(オレ……、男なのに……こんな声を出しちゃ……いけない……っ)
 必死に声を止めようとする。だけど体はカイルの意に反してどんどん甘い声を上げ続けた。
 胸を揉んでる手やクリトリ○を責めている手がさらに激しくなる。
 手や腰の動きを止めようとするのだが、何故か体が言う事を聞かない。
 いや、正確にはそれを止めようとする動きにだけ抑制がかかるのだ。

 出来損ないのレンズ動力炉のように、カイルの手は激しさだけを増してゆく。
「あ、あ、あああぁあ……あふっ……は、はあああぁぁ……!」
 ベットの上で腰を浮かし、甘い叫びを上げる。
 カイルの理性がいくらそれを止めようとしても、本能がその命令を否定した。
 快楽が頭の上から指の先までカイルの体を支配する。そして理性すら薄らぐ。
 だけど体はまだ満足していなかった。求めても求めても足りなかった。
(ゆ…指を……ここにぃ……)
 それは、一番神聖な場所。
 10分前の彼ならすぐさまそんな考えを否定しただろう。
 だが今のカイルにはそれこそが唯一の救いのように思えた。それしか考えらなくなっていたと言っても良い。
 クリトリ○を責めていた指が、愛液にまみれたその場所を探り当てる。
 カイルはそのまま迷う事なく中指を第一関節ぐらいまで押しこんだ。
418なまえをいれてください:02/12/08 00:30
「ぅ、あああぁぁぁンッ!」
 指が入る感覚と同時に、少しの痛みと圧倒的な快楽が全身を流れ、カイルは大声で叫んだ。
 それだけで男なら射精を免れない凄まじい快楽。だがカイルの本能はそこがまだ頂ではないと知っている。
「ああぁあ……は、はああぁ……ああん」
 あえぎながらカイルはゆっくりと指を差しこんでいく。肉壁が指を絞め付けるように動くのがわかる。
 そしてゆっくりと抜き、抜き切る直前でまた差しこむ。
 最初は痛みもあることで緩慢な動作だった抽挿も、時間が立つごとに少しずつ速度が上がってく。
 いつのまにかその指の動きに合わせるように腰も上下していた。
「ふぁ…!あ…はぁ、あ……あああああぁッ!」
 カイルはいつのまにか、羞恥心も理性もかなぐり捨てて大声で喘いでいた。
 今その頭の中にあるのは、ただひたすら快楽を追い求める事だけ。
 そしてその頂が少しずつ近づいてきた。頭の中に白い光が生まれ、少しずつ脹らんでいる。
419なまえをいれてください:02/12/08 00:31
「ん…やぁぁぁ…なんか…来る……きちゃううぅぅ…っ!」
 無意識に出た言葉に、僅かに残ったカイルの理性が奇妙な納得をする。
 その圧倒的快楽の頂が迫ってくる時、恐怖にも似た感情が心にできるからだ。
 自分自身の手で招いているにもかかわらず、それが来た時の事が想像もつかない。
 だから女の体はその頂点が来る事に脅えるのだ。
 だけどその一方で何よりもそれが来ることを望んでいる。
 そんな複雑な感情が入り混じった時の嬌声が、この言葉なのだ。
 そしてその事を思うか思わないかのタイミングで、その光がカイルの頭の中で爆発した。
「ふぁっ、あああああぁぁぁぁぁ!」
 腰を浮かせ、体を大きく弓なりにしてカイルは絶叫する。
 足は引きつるように伸び、圧倒的快楽がカイルの全身を駆け巡った。
 そしてどさり、と腰からベットく崩れる。
 胸を大きく上下させて、カイルは荒い息を吐き続けた。
「こ……こんなに……すご…い…」
 信じられない快楽だった。男の自慰では想像すらつかない凄まじい快楽だ。
 股間だけ、しかもイク直前ぐらいしか気持ちいい部分のない男のそれとは違い、男の絶頂レベルの快楽が増幅しながら全身を駆け巡るのだ。
 まだ快楽の余韻さめやらぬ体をベットに預けながら、カイルの心は奇妙な達成感と満足感に包まれていた。
420なまえをいれてください:02/12/08 00:31



「…………ぉ…ぃ」
 突然、緊迫を破って、扉の外から足音と、そして聞き慣れた低い声が聞こえた。
(……ロニ!? そんな……マズイ!)
 聞き間違えるはずもない。気だるさをはらむその声音は、間違いなくロニのものだ。
 最悪のタイミング。
 慌てて何とかしようとするも、体を隠すものは布団のみ、それも思い切り跳ね除けてしまい、部屋の片隅に丸まっていた。回収する時間は無い。
(駄目だ、ロニ、入っちゃ駄目だ!!)
 声にならない叫びは、当然ロニの耳には届かなかった。
「おぉい、朝からなーに騒いでるんだカイル、入るぞ?」
 パニックになっているカイルを無視し、寝室の扉が容赦なく開かれた。

『……あっ』
 見事に二人の声がハモる。そして時が止まった。
421なまえをいれてください:02/12/08 00:32

「ま、間違え……!」
「ロ、ロニ!見ないで!!」
 思わず見詰め合ったのもつかの間、カイルはロニにその体を見られた事に気が付き、慌ててその場に膝を付いた。局部を手で覆うが、すでに隠しても無駄な時間が経っていただろう。
 てっきり部屋を間違えてしまったものだと思い込み、扉を閉めようとしていたロニは、唖然とした表情でカイルを見つめ返した。
{何で俺の名前を…ん?あの金髪、それにあのシャツは俺が昔着ていた……}
 ロニの顔がみるみる驚愕に染まっていく。
「ロニって……カ、カイル? もしかして君…いや、お前…カイルか!?」
「あ……そ、その……」
 しどろもどろな口調で慌てるカイルをよそに、ロニはしばし目を見開いてカイルを凝視した後、いきなり寝室に入ってきた。肩を掴み、カイルの顔を上に向かせる。
「この顔……やっぱりカイルだな?……一体どうしたっていうんだ!?」
「ロ、ロニ……その……あの……」
 ロニは焦燥に駆られながらも、真っ直ぐにカイルを見据え、当然の疑問をストレートに聞いてきた。予想外の事態でも自分を見失わないのは、さすが兄貴分のロニであった。
 とはいえ、彼の質問は、今のカイルには簡潔に答えられるような代物ではない。
 言葉あぐね、俯くカイルをしばし見ていたロニだったが、しばらくして肩から手を離し、代わりにカイルの頭にそっと手を置き、優しく数度その金髪を撫でた。。
422なまえをいれてください:02/12/08 00:32
「悪い。一番困ってるのはお前だな。待ってるから、とにかく落ち着け、な?」
 ロニはカイルにそう言い聞かせると、まるで普段通りといった足取りで布団を拾い、ほこりを払ってカイルの体にそっとかけてくれた。
(バレ……ちゃった。あぁ……どうしよう……)
 カイルの頭は完全に混乱しきっていた。がっくりとうなだれ、微動だにしないその様子を、ロニは沈痛な面持ちで見つめていた。
「部屋の外で待ってる、気が落ち着いたら呼んでくれ。大丈夫だ、他の皆にはまだ話さない」
 言いながら、ロニは立ち上がり扉に向かっていた。
「……え?あ……うん…ゴメン」
 ロニの気遣いに、カイルは曖昧な返事を返す事しかできなかった。
 漠然とした不安と混乱、しかしいつまでもそうしている訳にもいかず、カイルはとりあえずいつものジャケットをはおり、ほうり捨てたトランクスとズボンに脚を通した。
 浴場を出て脱衣所で体を拭く。できるだけ女の感覚を引き出さないように静かに体を拭いた。
 そして一通りの身支度を済ませ、二度、三度と深呼吸。


 ――ロニは、困惑と衝撃の波に襲われながら、声を荒げて喚きちらしたい衝動を抑えて壁にもたれかかった。
(マジかよ…)
 幼い頃から2人で過ごしてきて、誰よりも解り合えていた無二の親友にして弟分のカイル。
 そのカイルが、たった一夜のうちに、あれほど魅力的な『少女』に変じてしまったとは。
 しかも――
(濡れてた…よな。カイル、まさか……)
 当惑の中でひそかに頭をもたげる情欲に、ロニは気がつかないフリをした。認めたくなかった。自分の欲望も、カイルの行為も――


 カイルは意を決して、そっと扉の外のロニに声をかけた。
「ロニ……もう、いいよ」
 間も無く、ドアノブがカチャリと音を立てて回った。