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「何やってたの?風邪ひいちゃうじゃない」
「ううん、大したことじゃないよ。・・・あ〜生き返るなあ」
旅館の中は流石に暖かく、僕は思わず感激に浸った。
「そういうセリフは温泉に浸かってから!・・・すみません。
もう、恥ずかしいんだから。ほら、早くしてよ」
顔を赤くした真理に促され宿帳に記入する。
「はいはい・・・っと。これでいいですか?」
「はい、結構です。仲がよろしいですね。ご姉弟?」
「え?・・・あの、違いますけど。宿帳にも・・・」
キョトンとしながらも、真理は宿帳の二人の名字を指した。
「ああ、本当やー。名字違うなあ。でも名字が違うくても
姉弟やないとは限らんよ?生き別れとか離婚とかでなー。
引っかけよう思てもあかんよ。わたしはだまされんで?」
・・・変な人だな。
しかもなぜかいきなり関西弁(?)だ。ここは長野なのに。
「いや、僕らは本当に赤の他人で・・・」
「あはははは、赤の他人は二人で旅行なんかせんなあ。
ここだけの話、誰にも教えんから、な?白状しい?」
「・・・え〜と、どう言えばいいのかな。ねえ、真理?」
僕は困惑して真理と顔を見合わせた。
「あー、ごめんなー。色々秘密の事情があるんやな。
人の秘密を詮索するんは良うないな。無理に言わんでええよ」
・・・なんなんだろう、この人。本当に。
「そうや、そんなことより部屋に案内せんとな。
・・・え〜と、お夏ちゃ〜ん?ちょお来てー?」