929 :
テンプレ案 駄目?:
冥界の門まで残り200メートル。
そこで立ち尽くす。
「はぁ」
ため息と共に空を仰ぐ。
その先に冥界の門はあった。
誰が好んで、あんな場所に異界門を据えたのか。
長い坂道が、悪夢のように延びていた。
「はぁ…」
別のため息。俺のよりかは小さく、短かかった。
隣を見てみる。
そこに同じように立ち尽くす住人がいた。
同じSFファン。けど、見慣れない顔だった。
短い髪が、肩のすぐ上で風にそよいでいる。
「GOCは、好きですか」
「え…?」
いや、俺に訊いているのではなかった。
「わたしはとってもとっても好きです。
でも、なにもかも…変わらないままなんです。
戦闘システムとか、RPGパートとか、ぜんぶ。
…ぜんぶ、変わらないままなんです」
たどたどしく、ひとり言を続ける。
「それでも、このGOCが好きでいられますか」
「わたしは…」
「見つければいいだけだろ」
「えっ…?」
続いて、俺の顔を見る。
「自分なりの楽しみ方とか、こだわりを見つければいいだけだろ。
あんたの楽しいことや、ハァハァなことはひとつだけなのか? 違うだろ」
そう。
何も知らなかった無垢な頃。
誰にでもある。
「ほら、いこうぜ」
俺たちは登り始める。
長い、長い苦行の道を。