F1日本GP:開催地浮かぬ顔 経済効果薄く…静岡・小山
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070919k0000e050062000c.html F1日本グランプリが28〜30日、富士スピードウェイで30年ぶりに開かれる静岡県小山町。
期間中、人口約2万人の町に世界中から約28万人の観客が押しかける。同町だけで経済効果は
約7億円という試算もあるが、地元の熱気はもう一つ。町商工会の米山享雄会長の表情は「我々
が手がけるのは大会スタッフの弁当くらい」とさえない。
同町は富士や箱根の山々に囲まれ、田園風景が広がる農業が盛んな町。町南東部の金時山には金
太郎がクマと相撲を取ったという伝説があり、「金太郎の町」とPRしている。
地元が盛り上がっていない最大の理由は、主催者が「チケット&ライドシステム」を採用したた
め。来場者は鉄道駅や場外駐車場を指定され、そこから無料のシャトルバスで会場に向かう。交
通渋滞を避けるための措置だが、町内のJR御殿場線駿河小山駅に降りる来場者はわずか500
人と予想され、大半は町を素通り。同町の観光協会や商工会からは「バスは会場と町の外を行き
来するだけ」と不満の声が上がっている。
一方、富士スピードウェイや静岡大などの調査研究では、経済波及効果は国内で約135億円
(静岡県内は約32億円)。だが、同町分の約7億円は会場内での売り上げなどを見込んでおり、
地元の人たちには実感できていない。同町上野の農業、池谷清一さん(83)は「F1と言われ
ても、誰が来て何をするのか、田舎の年寄りには分からん」と話す。
高橋宏町長は「経済効果や交通渋滞などは、やってみなければわからない。とにかく無事大会を
終了させ、次につなげたい」と話している。
F1はホンダ系列の鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)の契約切れを機にトヨタ系列の富士スピー
ドウェイが誘致活動を展開。09年以降は鈴鹿と交互開催となる。【山田毅】
毎日新聞 2007年9月19日 15時00分