【反省】愛★地球博・懺悔の小部屋【ごめんなさい】

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236↓嘘ついてだましたの俺です、ごめんなさい
幼い頃に父が亡くなり、母は再婚もせずに俺を育ててくれた。
学もなく、技術もなかった母は、
個人商店の手伝いみたいな仕事で生計を立てていた。
それでも当時住んでいた土地は、まだ人情が残っていたので、
何とか母子二人で質素に暮らしていけた。
娯楽をする余裕なんてなく、日曜日は母の手作りの弁当を持って、
近所の河原とかに遊びに行っていた。
給料をもらった次の日曜日には、クリームパンとコーラを買ってくれた。

ある日、母が勤め先から愛・地球博のチケットを2枚もらってきた。
俺は生まれて初めての万博に興奮し、
母はいつもより少しだけ豪華な弁当を作ってくれた。
愛・地球博の会場に着き、ゲートに向かおうとすると若者に呼び止められた。万博では各展示に入るためには
別にお金がいるという。しかも最低二箇所の展示場の予約券がないと中に入れないが、それぞれ1000円もするという。
帰りの電車賃くらいしか持っていなかった俺たちは、会場の周辺を夕方まで散歩した。
リニモの中で無言の母に「楽しかったよ」と言ったら、
うつむいた母は「母ちゃん、よく知らなかった。バカでごめんね」と言って
少し涙をこぼした。

俺は母につらい思いをさせた貧乏と無学がとことん嫌になって、
一生懸命に勉強した。
親元を離れて新聞奨学生として大学まで進み、
いっぱしの社会人になり毎月少しばかりの仕送りもできた。
結婚もして、孫を見せてやることもできた。

そんな母が去年の暮れに病気で亡くなった。
死ぬ前に一度だけ目を覚まし、うわごとのように「愛・地球博、ごめんね」と言った。
俺は「楽しかったよ」と言おうとしたが、最後まで声にならなかった。
237EXPO'774:2005/09/28(水) 01:37:46 ID:9NGld5G3