「難関」と言われる公認会計士試験に受かったのに、就職できない「会計士浪人」が急増している。
企業に勤める財務の専門家を増やそうと4年前から合格者を増やしたが、ふたを開けてみれば、
企業は受け入れる態勢になっていなかった。国は再び試験制度の見直しを検討し始めた。
会計士は国家資格で、金融庁が試験をしている。会計士の資格を得るには、会計士試験に合格後、
企業か監査法人などで会計監査の実務を2年以上積まなければならない。
金融庁は2006年、「企業内の専門家など幅広い分野で活躍が期待される」として、
合格者数をそれまでの1千人台から2千〜4千人台に増やした。
ところが、08年の合格者のうち企業に就職したのは1〜2%。試験合格者ではなく
経験のある会計士を求める企業が多く、合格者が実務経験する環境も整っていなかった。
「合格者は会計の実務経験が積めるか不安が強く、企業への就職希望者が少ない」(金融庁)という。
監査法人や会計士事務所も09年には、不況で採用者数を大幅に減らした。
日本公認会計士協会によると、今年3月末で、09年の合格者約2200人のうち約600人が未就職で
「受かっているのに資格が取れない状況」という。
金融庁は昨年12月、産業界や会計士協会などとつくる懇談会で試験の見直しを検討し始めた。
試験を2回に分け、難易度を下げた1次試験の合格者にも何らかの資格を与える案が有力だ。
1次試験後に企業などに就職して実務経験を積み、その後、2次試験に合格すれば会計士になれるようにする。
企業に勤めても資格を取りやすくするため、実務や講習の条件も緩くする。
懇談会は今年夏にも方向性を出す。これに基づき、最短で来年の通常国会で公認会計士法を改正し、
その3〜4年後に制度が変わる見込みだ。
http://www.asahi.com/business/update/0713/TKY201007130524.html