2009会計士論文スレ31

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159一般に公正妥当と認められた名無しさん
企業法
第1問 問1
新株発行によって人的・物的組織が拡大するために既存株主は会社の支配面と経済面で不利益を受ける可能性がある。
本問においては経済的不利益を受けるので会社法は株主総会特別決議を要求しているが
取締役会決議しかしていないので法令違反が存在する。
よってXは甲会社に対して新株発行差し止めを請求することができる(210条1項)。
 有利発行の場合は株主総会特別決議が必要になるが本問は総会特別決議をせずに発行している。
新株発行の無効の訴えの無効原因については明文規定があいまいなので、当該新株発行が有効か否かが問題となる。
この事例では利害関係者の利益を衡量して無効原因となるかどうかを決する。
新株の発行は本来、組織上の行為であるが取締役会の決議事項となっており、
業務執行に準ずるものとして解されており取引の安全を考慮すべきである。
そして株主総会の特別決議も取締役会の権限行使の内部的要件にすぎないと見ることも可能である。
さらに公示がある場合は差し止めの機会があるのにその機会を行使しなかった株主が悪い。
よって公示がある場合は相手方の善意悪意を問わず無効原因とならず当該新株の発行は有効である。

問2
甲会社の新株発行には、法令定款違反はないが自己の支配権を強化する新株発行が著しく不公正な方法に該当するかが問題となる。
授権資本制度から新株の発行が取締役会の決議事項となっているのは機動的な資金調達が重要だからである。
よって主要目的が機動的な資金調達でない場合には著しく不公正な方法に該当する。よって差止請求ができると解する。(210条2項)
本問で無効主張することなく新株発行が行われた場合にXは無効主張することができるか。
無効原因があいまいなために問題となる。この事例では利害関係者の利益を衡量して無効原因となるかどうかを決する。
新株の発行は本来、組織上の行為であるが取締役会の決議事項となっており、
業務執行に準ずるものとして解されており取引の安全を考慮すべきである。
そして取締役会決議の存在は容易に知り得ない。さらに公示がある場合は差し止めの機会があるのにその機会を行使しなかった株主が悪い。
よって公示がある場合は相手方の善意悪意を問わず無効原因とならず当該新株の発行は有効である。
160一般に公正妥当と認められた名無しさん:2009/11/17(火) 01:49:31 ID:???
第2問
問1
株式会社は所有と経営の分離によって取締役に大きな権限が集中している。
よって株主のコントロールを強くするために株主が取締役を解任することができる。
まず取締役を株主総会の普通決議で解任することができる(339条1項)。
取締役の解任は重要であるから定足数の3分の1の未満の割合への引き下げは許されない(341条)
次に累積投票で選任された取締役の解任は少数派株主の保護のために株主総会の特別決議が必要である(342条6項)
さらに取締役の職務の執行に際し不正の行為または重要な法令違反が存在する場合であっても、
当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決された時は
854条1項2項に該当する株主が当該株主総会の日から30日以内に訴えをもって当該役員の解任を請求することができる(854条)
これは少数派株主を多数派株主から保護するためである。

問2
 株式会社と会計監査人は委任に関する規定に従うので、株式総会の普通決議で当該関係を解消することができる(339条1項)。
そして会計監査人は会社と直接契約しているにすぎないので定足数の3分の1の未満の割合への引き下げは許される。
 次に会計監査人は役員ではないので854条により役員の解任の訴えは認めらない。
 さらに340条1項の事項に会計監査人が該当した場合は
監査役会の全員の同意によって解任することができる(340条2項)。
会計監査人による外部監査は監査役による内部の監査が前提となっているため、監査役のコントロールを強くするためである。
また取締役が、会計監査人の解任を株主総会の目的にすることを
株主総会の目的とすることをする場合には監査役会の同意を得なければならない(344条1項)。
さらに監査役会は会計監査人の解任を株主総会の目的とすることを
取締役に対して請求することができる(344条2項)。以上も同様の趣旨である。