1 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:
「ワタナベ君、あなた税理士試験で何科目合格してるの?」
と直子がふと思いついたように小さな声で聞いた。
「酒税法だけです」と僕は正直に答えた。
レイコさんが練習をやめてギターをはたと膝の上に落とした。
「あなたもう三十歳でしょ?いったいどういう生活してんのよ、それ?」
直子は何も言わずにその澄んだ目でじっと僕を見ていた。
早く書き込みがないかソワソワして待ってる
>>1を想像したら萌えた
やれやれ。
そう言って僕はログ削除のボタンに手を伸ばした
あたたかなヴァギナにペニスを入れた。
「所得金額は適当でいいよ。」
羊男が言った。
彼女が<30歳=酒税のみ>と言うと、それはなんだかひどい疫病をもたらす
不道徳な細菌のように聞こえた。
僕はまるで答案を勝手に書き直しているような気分になった。
いつも不安でしかたなかった。
だからそういう時、僕はなるべく解釈や意味付けの必要ない客観的事実だけを語るように心がけたが
(僕は受験勉強が好きです。嫌いな論点は、複雑な工程の絡んだ総合原価計算や、半端な社債の償還です。)
それでもなんだか架空の人間についての架空の事実を語っているような気がしたものだ。
9 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/07/22(土) 07:05:29 ID:u8XL6qJs
dance dance dance
10 :
背の高いブ男:2006/07/22(土) 07:09:23 ID:???
ダンスは上手く踊れない♪
オーケイ、正直に認めよう。
僕は5年連続短答落ちなんだ
もう依頼だされてる。マジで自治房うざい
「彼は今年の4月頃何をしてたの?」
「肢別に夢中だったよ。」肢別チェック、かつての星。
「その後短答はどうなったの?」
「散々だったね。」
「あなたは気付いていた?」
「遠くから見れば、」と僕は論文総まとめにマーカーを引きながら言った。
「大抵の特化厨は幸福そうに見える。」
気持ちを整理するのにはもっと長い時間がかかった。
まず一番最初にTACの言ったことを信じるか信じないかという問題があった。
僕はそれを純粋な可能性の問題として分析してみた。
感情的な要素を見渡せる限りのフィールドから徹底的に排除した。
それはさして困難な作業ではなかった。
僕の感情はそもそもの最初から仕手に刺されたみたいにぼんやりと麻痺していたからだ。
7割を切る可能性はある。と僕は思った。
「どうしてトレンドに逆らって原価計算なんかするわけ?」
「変ですか?」
「わからないな。君は本試験1ヶ月前のいま計算をするし、僕は逆に理論をする。
そのあいだにははっきりとした違いがあるし、僕としてはどちらが変かというよりは、
まず違いをはっきりさせておきたいんだ。お互いのためにね。
それに、管理会計の話は君が先に持ち出したんだよ」
「そうですね」と彼は言った。
「ところで池邊問題集はお持ちですか?」
もちろん、と僕は言った。
「複数正解の問題はございません。」
電話の向こうの男性は僕に冷たく言い放った。
「ふぅ・・・そうか・・・」
相変わらず、審査会のホームページに変化はない。
「風評に惑わされることなく」
ふと、どこかの予備校が唐突にこの言葉をアップした場面を僕は回想していた。
その予備校によれば僕の点数は71点になるらしい。
「たぶん受かったと思います」とブログを更新するのに
そう時間はかからなかった。自然と体が動いていたのだ。
しかし、監査で2問。管理で1問。僕は68点だった。
「終わりか・・・」
僕はパソコンの電源を入れたまま、顔を上げ、
机のまわりをぐるりと見まわしてみた。
僕は今どこにいるのだ?
でもそこがどこなのか僕には見当もつかなかった。
いったいここはどこなんだ?
僕の目にうつるのは簡単すぎる、多すぎるという
無数のレスだけだった。
僕はどこでもない場所のまん中から伸びるスレッドを眺めつづけていた。
このスレイイ!!
「例えば会計士受験生という生き方さ。
ある日突然会計士試験を受けようと思い立つ。
誰にバカにされたって止まるわけじゃない。専門学校にも通い始める。
そうするとね、自分自身に対してひどく優越感を持つようになる。
“他の連中よりオレはかっこいい”とか“オレはこんな難関資格を勉強してるんだ”という感じでね。
そしてその次に、自分に対して何にも思わない奴らに対して無性に腹が立ち始めるんだ。
わかるかい?」
「少しはね」と僕は言った。
「でもね、よく考えてみろよ。気持ちの悪くない会計士受験生なんてどこにも居やしない。
気持ちが悪くないと思い込める会計士受験生が居るだけさ」
「ひとつ質問していいか?」
僕は肯いた。
「あんたは本当にそう信じてる?」
「ああ」
鼠はしばらく黙り込んで、僕をじっと眺めていた。
「嘘だと言ってくれないか?」
鼠は真剣にそう言った。
そして2ちゃんねるの予想はいつものように僕を混乱させた。
いや旧試験とは比べものにならないくらい激しく僕を混乱させ揺り動かした。
僕は頭がはりさけてしまわないように身をかがめて両手で顔を覆い、そのままじっとしていた。
僕は自分が短答対策で犯した失敗のことを考えた。
実務指針、委報あるいはポケット六法、もう戻ることのない想い。
「き、君はどんな予備校を選択するの?」と最初に会ったときヴェテはそう言った。
「どこでもいいんだよ。僕の場合」 と僕は答えた。
「TACだって、大原だって、LECだって何だっていいんだよ。
多くの友人がで通っているところに飛び乗るんだ。本科生としてね。」
「合格実績のいい予備校でやるんだね。」とヴェテは訊いた。
「いや合格実績は関係ない。とにかく友人さえ多ければいいんだよ。」 と僕は答えた。
しかし、その答えは彼を混乱させてしまった。
「よ、よくわからないな。そ、そんなことしたら失敗することもあるだろうし、内容も調べないで不安じゃないかい?」
彼の言うことはもっともだった。
「ぼ、僕はね。ゆ、有名講師が好きなんだよ。」とヴェテは言った。
「2ちゃんねるで評判のいい講師を調べてさ、た、単科で申込んで、カリキュラムを自分で組むんだよ。」
なるほど世の中にはいろんな手法があり、目標があるんだなと僕はあらためて感心した。
ヴェテのお気に入りにはスタペの代わりに2ちゃんねる会計板が登録してあった。
「こ、これを毎日眺めてるとさ、ひ、評判がわかってくるんだよ。」
ヴェテは2ちゃんでマスターベーションするんだぜと僕が友人に冗談を言ったことがあったのだが、それはあながち間違いではなかった。
僕は迷路にはいりこんでしまった。
勉強については多少なりとも自信があった。
何年もの間他のことを犠牲にしてまでやるなんて意味のないことだと思った。
絶対に1回で合格してみせる。いや、できる。
そう思えるほどあのときの僕はまるで獲物を狙うライオンのように会計士試験というご馳走に食らいつくことが出来ると信じていた。
どこでどう道を間違ったのか、確かに真っ直ぐな道の真ん中を歩いていたはずだった。
「また言っているの?」
「ああ、今年のボーダー上昇は間違いない」
「去年も言ってなかった?」
「ああ、去年は外れたが・・・」
「一昨年もその前の年も予想は外れたわよね?」
彼女はコーヒーを飲み干すと席を立った。
「風評に惑わされないでね」
背中を向けたままそう言い放つ彼女に僕は何も言えないでいた。
どれくらい時間がたっただろう。
テーブルの上にはコーヒーカップが二つ。
彼女の残り香がある狭い部屋で僕はPCに電源を入れた。
「今年こそは上がるはずなんだ。」
23 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/07/22(土) 19:22:24 ID:w71eNPU6
24 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/07/22(土) 19:58:36 ID:SNdY/0yW
おまいら面白すぎw
「去年の僕なら受かってたはずなんだ・・・」
のりこは例えようのないいぶかしげな視線で、相変わらず僕を見つめていた。
「去年がどうとか、なぜあなたはいつも過去にこだわるの?私たちは今を生きてるの。
今、この空気を吸って生きているの。そしてあなたはだめだった。その現実からは逃れられないわ。」
のりこの目がみるみるうちに充血してくるのがわかった。
「いや、別に過去を振り返ってそこに逃避してるわけじゃないんだ。ただ、去年の短答で合格していながら、なぜ合格者が大幅に増えた今年、こんな目にあわなければならないのか、自分でもよく分からないんだ・・・」
僕は正直に今の気持ちを伝えた。これ以外には適当な言葉が見つからなかった。
「あなた、私にいってたわよね?短答特化なんて入門上がりの奴らがやることだよ、論文に受からなきゃ意味ないから1週間前まで租税と経営もやるよ、って。」
のりこの声がいつからか僕の母親の声に変わっていた。
もうすぐ馬鹿のせいで削除されるがな
「租税と経営は戦略科目なんだ。短答合格だけに目がいき、みんな遅れる科目だからね。論文で鍵を握る科目なんだ。」
僕の戦略は正しい。短答に通っていれば間違いなく一括合格を果たしていたに違いなかった。
「戦略ですって?さすがに経営学が得意なだけあるわ。でもあなたは大事なことに気づいていないわ。いえ、気づいているけど、わざと蓋をしているんだわ。」
母親の声をしたのりこは容赦なくたたみかけてきた。
「大事なこと?」
僕はまるでわからないという顔でのりこの怒気を増した瞳をみた。
「そうよ。簿記よ。あれほど出来るようにやらなきゃダメって忠告しておいたのに、結局それが原因でだめだったんじゃない。」
「いや、今年から簿記の比重はさがるから、そんなにちか・・・」
「なにいってんのよ。26問もでてるじゃない。何問できたのよ?」
「あ、短答ね。えっと12問。」
「12問ですって?半分もないじゃない。」
のりこはさすがに怒りを通り越して呆れ顔でいった。
29 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/07/22(土) 23:13:17 ID:4RT1Cy/v
>>7はどうしてそんな古いスレの存在を記憶しているのか。
僕は一日中
>>7のことを考えた。
そうしないわけにはいかなかったのだ。
カフェは海の見える高台にあり、僕が椅子に座ると、
髪の長いウエイトレスが冷たいオレンジジュースと二個のドーナツをだしてくれた。
僕は膝に砂糖をこぼさぬように注意してドーナツを半分食べ、オレンジジュースを飲み干した。
「おいしかった?」
「とてもね」
彼女は下唇を軽く噛んだ。
「今年で終わりにするわ」
僕は煙草に火を点け、煙を3回吐き出す間、黙ってカウンターの羽目板の木目を眺めていた。
「嘘はつきたくないのよ。」
「わかってるよ。」
僕たちは黙り込み、リロードするたびにあらわれる短答落ちへの煽りレスをずっと眺めていた。
「あなたは本当に当てる気があるの?」
彼女は真剣な目で先生を見ていた。
「どうだろう、よく分からないな。正直なところ、僕にはさしあたって当てなければならない理由が無いんだ」
途端に彼女の表情が険しくなった。
「どうして?あなた講師でしょ?」
「講師だからいいのさ。いいかい、毎年予備校には多くの入門上がりが参入してくる。
僕が曲がりやと気づかれるまでは僕の仕事はなくなることはないんだよ。」
先生はまるで朝になれば ニワトリが鳴きますよ、とでも言いたげな当たり前の口調で答えた。
「すべての人に気づかれたらどうするの? 2chでは風評を出してるのはTACと言われてるのよ?」 と彼女は言った。
「いいかい、ドーナツの穴と同じことだ。
ボーダーの低下と捉えるか、あるいは非上昇として捉えるかはあくまで形而上学的な問題であって、
それで予備校としての価値が少しなりとも変わるわけではない。」
「いや、そういうことじゃなくて・・・」彼女は陰鬱なロシア文学のような顔をした。
みんなうまいね!すごいおもしろい!もっと書いて!
「そうじゃないんだ」
そう言って僕は2本目の煙草に火をつけた。
「1番の問題はね僕が春樹の本を一冊も持っていないということなんだ。」
「貸借が一致するということと、僕と君がいま抱き合ってることは、とても関係のあることなんだ。わかるかい?」
僕はシャープの電卓のようにりりしい僕の性器を、なにげなく眺めている直子に言った。
「クリーンサープラス関係ってことね。」
そう直子は言うと、僕の性器をいじり始めた。
「そ、そういうことなんですっ!」
僕は、すべてがまどろんでいく中で、財務諸表項目のすべてが虚構にすぎないかのような感覚に堕ちていった。
「そ、そういうことなんですっ!」で全てが台無し
37 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/08/25(金) 09:15:16 ID:ZMbJ3k+4
やれやれ
38 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/08/25(金) 09:19:59 ID:KaTpz6Y5
ピース
そ、そ、そういうことなんですっ!
40 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/09/27(水) 19:54:23 ID:5t9uUrBC
直子のちぎれた両腕と両足から血が噴出した
42 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/09/27(水) 23:40:33 ID:luu3rf06
43 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/09/28(木) 10:10:49 ID:MDENs7Po
次第に腐食が進んでいく直子の右腕
44 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/09/28(木) 21:24:00 ID:BN0QDsfP
永沢「最後に短答落ちのヴェテに一言、いいか。」
ワタナベ「いいですよ。」
永沢「自分に同情するな。自分に同情する奴は下劣な人間がすることだ。」
ワタナベ「わかりました。覚えておきましょう。」
「どうして私に直接電話しないかしら?」
たしかに彼女の言うことの方が筋が通っていた。
「わかりません」と僕は正直に言った。
「私にだってわからないわ。もう短答式試験は終わっちゃったんでしょ? それともまだ終わってないの?」
僕は正直に答えるべきか迷った末、わからない、と答えた。僕は自宅のソファに横になって受話器を持ったまま、パソコンの画面を眺めていた。
問題用紙とにらめっこしながら、製造間接費に含まれる費用を拾い上げているような気分になった。いったいどこまでが直接費で、どこからが間接
費なのか見当もつかなかった。
「あの人が予備校に通い始めたのが五年前、私はその時二十二だったわ」とても穏やかな声だったけれど、まるで井戸の底から響いてくるように聞
こえた。「五年たてばたいていの人は合格するものなのよ。たいていの人はね」
「ええ」と僕は言った。
「何年か前に講師の方に教えていただいたんです」と突然運転手が言った。
「何を?」
「職業安定所の電話番号です」
僕は聞こえないくらいのため息をついた。僕が間違っているのだろうか。それとも彼らが間違って
いるのだろうか?
「あなただけにそっと教えてくれたの?」
「そうです。私にだけそっと教えて下さったんです。求人情報のたくさん集まっている立派な職安で
す。あなたも知りたいですか?」
「できれば」と僕は言った。
「じゃあ言います、東京03の…」
「ちょっと待って」と僕は言って手帳とボールペンをひっぱりだしてからその番号をメモした。
「しかし、僕なんかに教えちゃっていいの?」
「いいんです。誰にでも教えているわけではないですけれど、あなたはベテラン受験生のようだから」
「それはどうも」と僕は言った。「しかしいったいどんな仕事を探せばいいのかな? 僕には会計の知
識しかないし」
「それはたいした問題ではないと思います。短答すら受からない程度の知識はまったく評価されませ
んから。あなたは職安が提供する肉体労働の仕事を受け入れるだけでいいんです。それ以外にするべ
きことはありません」
48 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2006/10/30(月) 17:29:31 ID:jyvrJtQi
age
age
age
age
「どうして毎年、春になると金融庁に受験料を納め、秋になると専門学校に受講料を納めるのですか?」
門番の意識が戻ったところで僕はそう尋ねてみた。
門番はしばらく何の感情もこもっていない目で僕を見つめていた。
「そう決まっているからさ」と彼は入った。
「短答に落ちれば受講料を払わなきゃならんし、受講料を払った以上受験料を払わなきゃならん。そうするとまた短答に落ちる。そう決まっているのさ」
53 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2007/01/26(金) 22:04:35 ID:5p2FVl91
やれやれ。
そう言って僕は問題を見た。
案の定、経理担当者が不慣れなため、売掛金を買掛金としている。
「まあよくあることさ。そう、コーラを飲むとゲップが出るだろ?それと同じさ。」
「そうね。でも、それだけじゃないわ。」直子がオペラ座のシャンデリアのように目線を下に落とす。
よく見ると69,969円と96,696円を間違えている。
はぁ、とため息が宙を舞う。
極寒の地、白銀の針葉樹林の中で舞い降る雪のように。
「貸借も逆ね。」
と静かなレイコさんの声がする。
今更どうでもいい。逆だろうがなんだろうが大差はない。
うんこ味のカレーとカレー味のうんこみたいなものだ。
僕にはもうどうすることもできなかった。
30歳にして立つ!と春樹先生は豪語しております
kwsk
56 :
一般に公正妥当と認められた名無しさん:2007/01/28(日) 06:00:17 ID:ORtBhWST
>52
ハードボイルドワンダーランド?
そそ。
そーなの?
僕は二十一歳で、そのときTACの授業を受けていた。
十一月の冷ややかな雨が大地を暗く染め、雨衣を着た予備校生達や、
閑散とした構内の中に張ってある試験日程日や、
「国家公務員U種6ヶ月合格!!」やそんな何もかもを
フランドル派の陰うつな絵の背景のように見せていた。
やれやれ、また会計学か、と僕は思った。