入門期の過ごし方
会計士試験において一発合格をするためには入門期の過ごし方が最も大切。
よく入門期は計算重視という言葉を聞くがそれは半分正解で半分間違い。
入門期において計算科目(簿記・管理会計)は最重要科目ではあるが、
計算重視という言葉を「計算だけやればよい」と捕らえるのは間違いである。
入門期の理論科目、特に財表・監査はそのまま本試験で出題されてもおかしくない
ことをやるのでおろそかにしてはいけない。さらに入門期に学習した項目を
間違える受験生が合格することはほぼないといっても過言ではない。
したがって、入門期は計算をメインに学習計画を立て、計算科目のテキストは
完璧にする(実力テストで100点を取る)ことを最低ラインとする。加えて理論科目は
講義に出席、復習、暗記すべき項目(定義など)は繰り返し暗記する。
理論暗記は細切れの時間でこなせるので電車の中や授業の合間などを利用して
コツコツ覚えていくこと。この習慣づけが上級・直前期で生きてくる。
上級期短答前までの過ごし方
入門期で消化し切れていない項目がある場合には、上級に入る前に
必ず消化しきっておくこと。これができない場合には上級のペースには
絶対についていけない。
この試験において合格の王道は先行逃げ切り型である。
「おれは追い込み型だから」などということをほざく輩がいるがそれは
言い訳に過ぎない。この試験の本質が分かっていない。
「計算は年内に仕上げる」という言葉をよく目にするが、それは入門上がりの
受験生にとっては当てはまらない。ヴェテ向けの煽り文句である。
特に秋上級の受講生にとっては不可能である。
上級はただひたすら講義についていくこと、復習を欠かさないこと、
アクセスは必ず出席して提出・間違えた項目のチェック、この3点を
肝に銘じて過ごす事。入門期にしっかり勉強していればこの程度のことは
こなすことができる。
一応慶応生単独の合格率は12パーくらいだから10時間やれば20パーくらいにはなる。と思いたい。
短答直前期の過ごし方
短答に特化すべき時期は第1回論文式全答練の後がベスト。それまでは
租税・選択も満遍なく勉強すること。(ただし経営の場合はテキストを読む
程度でもよい。)
短答だからといって何か特別な勉強方法があるわけではない。
短答特化=租税・選択を一時中断する
といった意味合いで捕らえて欲しい。
短答は五肢択一という問題形式なので短答ならではの解答方法が
あるように錯覚しがちだが、あくまで与えられた問題を解けば自然と正解に
たどり着く。テクニックなど不要。
あえて言えば、マークミスや問われているものを間違えないといった基本的な
ことであるが、この程度のレベルのことでミスを犯すのは受験生として失格である
と考えるべきである。
論文直前期の過ごし方
短答後合格発表までだらだらとすごすのは合格したくありませんと
言ってるようなものである。短答後翌日からとは言わないが
なるべく早い時期に勉強を再開しなければならない。
短答後まずやるべきことは第2回論文全答練までに全科目全項目に
一通り目を通すことである(いわゆる短答論点はテキストを一読する
程度でよい)。そして短答の頭から論文の頭に切り替えることである。
そして最も重要なことは計画を立てて穴のない無理のない勉強を
心がけることである。直前答練にあわせて勉強するというのはあまり
お勧めできない。
この論文直前期については自習室や図書館・自宅などにこもって
勉強に集中すべき時期であって、息抜きと称して酒を飲む、どこかに
遊びに出かけるなどはもってのほか。人生をかけて望むヴェテに
入門上がりが勝つためには2月半くらい勉強に集中できなければ
ならない。
とかくこの時期は精神的にきつい。受験仲間と休憩室ですごしてしまう
気持ちも分からなくはないが、このきつい時期を乗り越えてこそ合格
できるということを肝に銘じて欲しい。
簿記の攻略法
簿記は多くの受験生が最重要科目と位置づける科目である。
簿記は答えが数字なので点数がはっきりとし、差がつきやすい
科目である。従って簿記で安定して高得点を取れるようになることが
合格への近道である。
簿記はとにかく入門期である。入門期には実力テストがあるが
これはとにかく100点を目指せ。テキストに載ってる項目しか
出題されないのだから不可能ではない。実際100点を取る人間が
周りには少なからずいるはず。講師のいう平均点・目標点に
惑わされないこと。100点を取れなかった場合には猛省し
間違えた項目をテキストにもどり再度確認し解きなおしでは
必ず100点を取れるようにする。
入門期ではトレ簿を繰り返しとくことも忘れずに。講義の復習に
利用すべし。過年度アクセスには手を出すな(トレ簿は過年度の
アクセスの良問を編集したものであるからこれで十分)。
上級の簿記はテキストの例題をこなすだけでいいと思う。
繰り返し解いて知識を定着させること。
上級期ではアクセス、答練、問題集といった総合問題を
1日1問かならず解くこと。
管理会計の攻略法
管理会計は入門期においてはまず計算をマスターすること。
理論をかけるようになる必要はまったくない。
計算をマスターする際に知っておくべき最低限の知識として
理論的背景を抑える程度でよい。
管理会計においても簿記と同様入門期の実力テストでは
100点を目指すこと。トレ原も忘れずに。
上級では計算は入門で扱っていない項目を取り扱うが
さほど難しいものではないのでしっかりマスターすること。
加えて理論だが、管理会計の理論はアクセスの理論を
解くことでマスターできる。テキストの読み込みよりも
アクセスの復習の方が有用と思われる。
管理会計は短答式の問題を解くことで論文の成績アップに
直結することも覚えておいて欲しい。だから、管理会計は
短答後は理論に注力できるよう短答式の計算問題をこなすべきである。
財務諸表論の攻略法
財表は入門期をおろそかにすると上級で苦手科目になることは必至。
入門期のうちから講義で取り扱った定義の暗記、企業会計原則、
会計基準の読み込みは欠かさないこと。これが必ず上級期で生きてくる。
財表の上級はテキストも厚く進度も速いのでまずは理解、そして
暗記はコツコツ地道に進めていくこと。答練ではヴェテが満点近くの
点数をたたき出し圧倒されるが気にする必要はまったくない。
さらにいちばんやってはいけないのがテキストの章末問題を暗記すること。
こんな無駄な労力を使って受かる試験ではない。絶対にやらないこと。
会計基準(前文含む)の読み込みは普段からすること。短答直前になって
さあ読もうかなどと悠長なことは言ってられない。そんなことをしている余裕などない。
普段から読むことを習慣付けておけば論文でも必ず成績は上がる。
監査論の攻略法
監査論はテキストも薄く、他の科目に比べ講義回数も少ないので
軽い科目と捉えがちだが、そういう考えでは後悔することになる。
監査論は入門期で学習したものを上級でも繰り返す余裕があるためか
入門期は受けなくてもよいなどと考える者もいるがそれは大きな誤り。
入門期でしっかりマスターすれば上級で楽できる、他の科目に時間を割ける
といった考え方をしなければならない。この試験は限られた時間をどのように
配分していくのかが合格の鍵である。
監査論は暗記すべき事項が多いためか暗記に終始してしまいがちだが
監査論で最も必要なことは理解して、問題点に対して理論的に解答を
導き出せるかどうかである。したがってテキストやレジュメをつかって
体系的な学習を心がけること。
企業法の攻略法
企業法を勉強する上でいちばんやってはいけないのは
財表と同様に与えられた解答例を丸暗記することである。
企業法は全科目の中で論文と短答で勉強方法が最も異なる
科目である。とはいえ、根底にあるのは会社法であるのだから
論文・短答問わず傍らに常に条文を置き何度も繰り返し条文を
読むことが企業法学習のスタートラインである。
企業法の短答は条文の読み込みと短答答練を繰り返しとくことで
容易に合格点を取ることができる。一方で論文は一朝一夕で
合格点を取ることは難しい。上級期の答練で目を覆いたくなる
点数を取ることもあるだろう。そこで解答例の丸暗記に走って
しまうのはだめである。答練を繰り返すことで自分にはいま
何が足りないのか、どうやって勉強して何を覚えればいいのか、
何は条文に載っているから覚えなくていいのか、といったことを
体験して身に着けていくのが成績向上の第一歩である。
租税法の攻略法
まず初めに租税法は今年から始まった科目であり
会計士受験生にとっては非常に取り掛かりにくい科目で
ある。しかし、租税法を得意にすることは合格の近道でも
ある事を知って欲しい。
まず、今年の試験を見て分かるように理論のウエイトが
非常に大きい。しかし理論とはいえ、計算の学習をするなかで
学ぶ制度や条文について問われているものなので
取り立てて理論の学習をしなければならないものではない。
では計算問題がただ単に解けるようになるような勉強方法で
いいかといえばそんなことはない。
私見では予備校の講師はただ単に計算パターンの暗記を
促す指導しかしていない。それでは理論は絶対に書けない。
企業法と同様に、なぜこの制度があるのかといった制度趣旨
からしっかり理解して、どういった場合にこの制度の適用が
あるのかも抑えてから計算パターンの勉強に進まなければならない。
こういった手順で勉強すれば計算パターンの暗記もスムーズに
行き、理論も書けるようになる。その後で総合問題を数多くこなせば
租税法で大きなアドバンテージを得ることが可能となる。
経営学の攻略法
経営学は最も分量の少ない科目でありそういった観点から
選択科目として経営学を選択する受験生が多いと思う。
その選択自体には問題はない。
しかし経営学は以前ほどではないにしろ試験委員の色が
出やすい科目でそういった意味でリスクの高い科目である
ことも知っておくべきである。
経営学についてはもちろん短答がないので短答前には
あまり細かいことにはこだわらず大まかな概要をまず
抑えること。その削った勉強時間を他の科目に当てるほうが
合格には近づく。
短答が終わると細かい項目も覚えていかなければならないが
定義の暗記が必要なものは数えるほどしかなく、さらに
条文や基準に明記されているものではないので一字一句
覚えなければならないものはないので、テキストの読み込みが
重要である。
さらに試験委員特有の項目は講義で取り扱ったもの以上の
ことには手を出さず、知らないものは知らないと割り切ることも
必要である。