【緊急度】「中国の核実験」購買イベント【AAA】

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■ Newsletter China Vol.018 [ 2009年07月22日 ]  ■
ADB(アジア開発銀行)・新疆ウイグル自治区支援の犯罪性
http://aoki.trycomp.com/NL/


■終焉に向かうウイグルの反乱

新疆ウイグル自治区での反乱は当局の力による封じ込めが成功、ひとまず
収束に向かいつつある。だが、一時的に沈静化したとしても、G8から胡錦濤
総書記が急遽帰国したように、当局はウイグルの?一点の火?が全土に拡大
する事態を依然として恐れている。

最大の理由は今回の反乱の背後に急速な経済悪化と失業者の急増が存在
しているからだ。沿岸都市部の失業と景気のダウンは漢民族内部に階層矛盾
からくるフラストレーションを高めつつも、その不満は当局ばかりか、同じ弱者
である少数派の他民族に向かっている。

経済成長はその最大の既得権益集団である多数民族の漢族の民族的優越感
と「大漢民族排外主義」傾向に歯止めはかけるのではなく、逆に拍車をかけて
いる現実がある。何度でも指摘しておきたい。いまや中国全土に充満する社会
的気分は義和団前夜なのである。

当局の言う?民族の団結?スローガンにはすでになんの実効性もうかがえない。
1652/7:2009/07/23(木) 10:25:48 ID:9W6r0e4u
■ADB(アジア開発銀行)と中国

さて、その新疆ウイグル自治区に対してこれまで日本のODAや創価学会など
民間マネーが供与されてきたことは前々回にレポートしたばかりだが、日本の
ODAが円借款の中止により大きく削減された現在、地域への最大の援助は
日本が人事とカネで最大の影響力をもつアジア開発銀行から行われている。

ADBの対中融資は1986年に中国が同行に加盟してから、現在までに総額で
2兆円を越えている。これまで第二位の借り入れ国だったその中国も2005年
になると、ADBの副総裁ポストを獲得し、同時に資金面でもADBの内部にある
ADF(アジア開発基金)や貧困削減基金に始めて拠出をおこなっている。
いずれも発言権の拡大が目的である。

注・日本の対中ODA(政府開発援助)は3兆円で、円借款のみ本年度で中止。
だが無償援助と技術協力は継続中。またこれ以外に中国の資源開発を目的に、
1979年にODAの供与と同時に行われてきた?資源ローン?(その後「アンタイド
ローン」に名称変更)が3兆円弱あり、合計で6兆円となる。これが政府の関わる
公的支援の額である。

ADBの場合、融資の分野別の中味が問題なのである。なんと交通インフラなど
産業基盤の整備に約60%近くの援助が行われているのである。日本政府が?
もう必要ない」としてODAから「インフラ整備?支援を外したのと、反比例するか
のように、ADBのインフラ支援は活発になっている。
1663/7:2009/07/23(木) 10:26:31 ID:9W6r0e4u
■新疆支援・誰のための援助なのか

そして、このインフラ(交通・都市)の供与の突出した地域のひとつがほかならぬ
今回の動乱の舞台・新疆ウイグル自治区なのだ。

理由はADB,世銀などの中国向け融資は「中国政府の依頼をうけて」(ADB
報告書2008年)、彼らの最大の国策である「中西部開発」のための環境や
交通など社会的インフラ整備が中心になっているからである。とはいえ、内陸は
少数民族の集中する地域であり、漢民族との対立も激しい。

そのため開発が彼らの宗教的自由や生活権を脅かすものであってはならない
として、ADBも世銀も中国政府に対策と注文をつけているのだが、今回の
事件を見ても事実上要請は無視されたままだ。また過去、私の質問に対しても
アジア開発銀行日本駐在部は?民族間対立などそうした政治的な問題について
は言及できません。当方は貧困撲滅を目的とした援助団体である?との回答が
帰ってきただけだった。

中国政府の少数民族政策は強硬であり、一貫して変化はない。
?少数民族人口は8%だが、民族自治地域の面積は64%もある。民族問題は
国家の命運に関わり、国際的な敵対勢力と国内分裂勢力が浸透、分裂、破壊、
転覆活動を強めている。彼らと戦うことが民族団結の生命線である?(中国共産
党中央宣伝部?少数民族政策に関する宣伝教育の基本方針要綱?)。これは
今年2月に中国のメディアを通じて伝えられたものだが、二年前のチベット反乱
の際となんの変化もないことがわかる。

だが、強硬策だけでは少数民族の不満は解消しない。だから要綱のなかで?
地域の経済発展?と?医療衛生の向上?が主張される。言うまでもなく、地域の
不満対策で、そのためにADBなど国際機関の支援が要請され、利用されると
いう構造がすでに出来上がっているのである。
1674/7:2009/07/23(木) 10:27:15 ID:9W6r0e4u
■ 支援の裏に見える漢民族幹部の腐敗

繰り返すが、新疆ウイグル自治区の開発支援の柱は二つある。?都市開発?と
「新シルクロード?構想だ。前者は首都ウルムチなど主な都市のインフラ整備と
環境対策のことで、現段階で技術援助を含めて2億円のローンがすでに供与
されている。問題はプロジェクトの関係者からウイグル族の経営する企業が
事実上排除されている点だ。

援助案件はこうして決定される。まず支援を必要とする当事者からの要請が
あり、これをADBの調査官が現地視察しヒヤリングする。その後、いくつかの
技術的財政的な提言が事務方から上がり、その上で、理事会に諮られ、承認
の有無が決まる。(金額に応じて、多少手続きは変わる)。

大まかな流れはこうなるのだが、そもそも援助要請は地方政府の承認なしに
行われない。また工事が始まっても受注企業をどこにするのかを決定するのも
政府機関である。つまりウイグル自治区の場合、少数民族のウイグル人たち
ではなく、漢族の政府が地域の国際開発援助のカギを握っているのである。
そのため当然のように、工事を請け負うのは地元漢族の有力者が経営する
建設業者ということにならざるを得ない。キックバックは当然である。その金額
も援助が増えれば増えれるほど、大きなものになっていく。役人の賄賂要求に
音をあげた業者の自衛策は工事の手抜きになる。こうしないとわずかな利益
すら確保できない。

このような共産党幹部と業者の癒着が昨年の四川地震で発覚した小学校の
手抜き工事(このなかには?希望工程?として日本企業がカンパした学校もある。
この会社幹部に対して中国当局から緘口令が要請されている)なのである。
中国において政権党の腐敗は日常的であり、昨今急増している住民の当局に
対する力ずくの抵抗は99%役人の経済的腐敗が原因である。
1685/7:2009/07/23(木) 10:28:00 ID:9W6r0e4u
■明らかにされない援助のなかみ

援助機関はそれだけに腐敗の恐れのあるプロジェクトの透明度を高めるべき
なのだが、中国政府の意向で、受注業者名を全てあきらかにしてはいない。
日本のODAと援助プロジェクト受注企業名もそのため、一部を除いて、外部
には公開していない。新疆ウイグルへの無償援助プロジェクトについて、工事に
関するデータを請求した際、外務省も、国際協力銀行(円借款担当)も、JICA
(無償援助・技術協力担当)も取材はすべてたらいまわしで、データは秘匿された
ままなのである。

これはADBも同じである新疆のような漢民族とウイグル人の民族対立が深刻な
地域では?安定?が重要視される。それを担保するのは?力」である。軍や警察
部隊の意向も都市開発に反映する。?援助資金のなかから、住民への監視カメラ
や治安部隊専用の駐車スペースが作られている?と援助関係のNPOの職員は
証言する。これが援助で行われる都市開発のもうひとつの実態なのだ。

■西への経済覇権・新シルクロード開発

さて後者の新シルクロード構想とは首都ウルムチを基点にして、中央アジアを経由、
最後にはトルコまで、かってのシルクロードを再現しようとする新高速道路建設である。
中国、カザフ、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスタンなど「中央アジア地域経済
協力」加盟国とADBや世銀が中心になる巨大プロジェクトで、想定されているのは
全長2万4千キロの道路、6ルートの建設で、総事業費は2兆円。

だがこんなものではすまないと内部関係者は語る。シルクロード構想は中国が国境
を越えて、さらに西部に向かって、進出し、資源を確保するための最大のインフラに
なりうる。地域のマーケットと資源に中国はいま以上にアクセルできる。
1696/7:2009/07/23(木) 10:28:44 ID:9W6r0e4u
■中国を牽制する麻生構想

そうした警戒感が日本政府の中で真剣に考慮されてきたのも事実で、そも
そもこの新シルクロード支援構想はメコン開発(インドシナ開発プロジェクト)
とセットで推進されてきた経緯があるのだが、これまでの現実を見れば、
こうした地域開発構想があまりに『中国を利した』との反省から、麻生総理は
ADBの新シルクロード構想とは別に、日本のODAを使い、日本単独で、中央
アジアの直接関係国に二カ国間の経済協力の形で行おうとしていた。

これがいわゆる?ユーラシアクロスロード?構想で、中央アジア・カフカス地域
を軸にしてユーラシア大陸の南北と東西に交通路を整備するというもの。
首相の言う?自由と繁栄の弧?外交の延長にある。麻生外交はこれをADBの
支援とは別に日本単独のODAでやろうとしていたのである。中国、ロシアの
地域進出を牽制し、日本が地域に眠る膨大な石油や天然ガスなどの資源を
確保することが目的である。
(構想は6月30日、日本国際問題研究所のセミナーであきらかにされた)

彼はこれ以外にADBのメコン開発とは別に、日本主導でインドシナ開発を
延長し、インドにまで拡大しようとも考えていた。
麻生政権になって、ADBもこれまでとは違い、日本の国益を主張するように
なったというのが援助関係者の証言である。知られていないが、麻生首相の
外交下では、ADBと中国政府の関係は必ずしも良好ではなかった。ADBの
インド支援に関連して先日、中国外務省が正式に同行に抗議を行っている
ほどだ。中国はADBとODAの対インドシフトに警戒を強めている。
1707/7:2009/07/23(木) 10:29:30 ID:9W6r0e4u
■民主党政権誕生・『東アジア共同体』という名の支援

だが自民大敗と麻生退陣で、民主党政権が誕生すれば、今度は逆に財界の
応援も得て?東アジア共同体構想?が国策になる。経団連は来年、正式に
「東アジア共同体?構想について踏み込んだ提言を行うことを発表している
からだ。

世界一の外貨準備高を誇り、近々には日本を抜いてGDPで世界第二位に
浮上する中国。国内の貧困問題の解決は軍事費を削減し、その予算で行う
べきなのだが、「しかしまだわが国は貧しい」というロジックを使うことで、
中国はさらなる国際社会からの援助獲得に貪欲である。鳩山・小沢民主党は
この期待に応えるだろう。民主党幹部のなかで、対中援助の中止と腐敗構造
に言及したのは私が知る限り野田佳彦氏(衆議院千葉4区)だけである。

〜参考情報〜
2008年7月現在、中国に対する公的支援を行っているのは以下の国と
組織ある。以外に知られていないので、紹介しておきたい。
(ADB2008年度報告から引用)

オーストラリア/カナダ/米国/フランス/ドイツ/イタリア
オランダ/ノルウエー/スペイン/スイス/英国/韓国/日本

地域・国際援助機関:EU/世界銀行/フォード基金会
国連 UNDAF(国連発展援助) UNDP(国連開発計画)

ニューズレター・チャイナ
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発行者:青木直人 http://aoki.trycomp.com/NL/
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