JUMP CHARACTER BATTLE ROYALE 2nd -Part.7-

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814OPガンツ案 ◆5nmbe2wGP6
 板張りの大広間である。明るい電灯が並ぶ天井、汚れひとつない白壁、都会の夜景が見渡せる広いガラス窓、
その反対側にある両開きの扉。こういう体裁の、開放的で居心地よく仕上がっている広間の真中に黒い球がひとつあった。
つやがあり滑らかな質感をしている。
 球から二三の光線が飛び出し、左右に揺れると人の足が出た。足首の断面に筋肉や骨が見える。
光が往復しながら上っていくにつれて、脚から胴までが現れ、とうとう一人の人間が描き出された。
次々と光が放たれ、同じようにして人間が出てくる。それが皆金属製の首輪を付けている。
 着の身着のまま見知らぬ所へ来た彼らは驚き、混乱している様子だったが、
何人かはとりあえず部屋を出ようと考えて扉に近づいた。しかし手を伸ばしても触れることができない。
どんなに力を入れても手が扉に届くことはなかった。壁や窓も同様である。
首輪も金具で止められていて容易にはずすことができない。
 人が増えるにしたがって、顔見知り同士が集まって幾つかの集団ができた。
知り合いがいた嬉しさに声を掛け合ったり、抱き合ったりする。
同時に「ここはどこだ」とか「この首輪はなんだ」とかいう疑念が誰の心にも通い合って、不安げな空気が満ちた。
 光がやんだ。広間にはもう数十人が集められている。黒い球から音楽が流れた。
 

     新しい朝が来た 希望の朝だ
     喜びに胸を開け 大空あおげ
     ラジオの声に 健やかな胸を
     この香る風に 開けよ
     それ 一 二 三
815OPガンツ案 ◆5nmbe2wGP6 :2008/05/29(木) 23:20:20 ID:+3w4GRWW

 朗々とした調子で「ラジオ体操の歌」が歌い上げられ、音源に注目が集まる。球面にはいつの間にか文字が浮かんでいた。
「てめえ達には今から、殺し合いをやってもらいもす」といい加減な仮名遣いで書いてある。それが消えて、
「制限時間は七十二時間です
 十二時間ごとにちいてんをします
 ついてに禁止えりあを発表します」
 それらの文字が消える前に、誰かが冷静な声で質問した。
「制限時間を過ぎても決着がつかない場合は」
「てめえ達の命はなくなります」
 広間には冗談めいた雰囲気が広がっていた。あまりに荒唐無稽な話で、到底信じられないでいる。
それがざわめきに変わったのは球面に「それでは、行ってくだちい」と表示され、一人が消えたときである。
現れたときとまったく逆に頭から光の筋になって飛んでいく。次々と人が消え、混乱を極めたまま広間には誰一人いなくなった。
816OPガンツ案 ◆5nmbe2wGP6 :2008/05/29(木) 23:21:41 ID:+3w4GRWW

 人のいなくなった広間が大きなディスプレイに映し出されている。
快適な椅子に腰掛けてそれを見ていた男は、煙草を出して火をつけた。
オールバックにした長髪の下で、淀んだ目が静かに外界を覗いている。
表情に乏しい顔の右側にある、額から瞼を通り頬の中程まで達する傷跡と暗く沈んだ目とが、
彼の持つ危険な雰囲気を確固たるものにしていた。
 煙を吹き出しながら、彼は部屋を見回した。高価な調度品と大理石が惜しみなく使われ、
大広間とは比べ物にならない華美な内装である。部屋には彼のほかに三人の男がいた。
三人とも初老を迎えていて彼が一番若い。
 一番年配の男が口を開いた。
「久々に興奮してきたわい。見ましたか、彼らの狼狽する顔を。あれだけでもわしゃ、ぞくぞくする」
 皺の醜い顔に残虐な笑みが浮かび、すぐそれに不安の影がさした。
「聞くまでもないと思うが、わたしは絶対安全なんでしょうな」
 人に残虐な者ほどそれが自分に向けられるのを恐れるものである。主催者の彼は自分への質問だとわかっていたが、
答えずに煙草をふかした。そして心の内でこう呟いた。
「命を賭けるから、このゲームは面白いんですよ。わたしたちも例外なくね」


主催:ガンツ@gantz
黒幕:ブラック・ブック・クラブ@幽遊白書
支給品は転送時に支給されます。