ヒカリ×シンジの可能性を(以下略)

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1名無しが氏んでも代わりはいるもの
意外にお似合いのこの2人。

みんなでヒカリとシンジがどうやったらうまく結ばれるか、
前向きに考えてみましょう。

本編分岐、EOE、時代逆行などなど、
どこまで本編テイストを残したままできるでしょうか?

※真性LHT人お断り。いやなら見なきゃいいのです。
ttp://www.map1144.com/ss3/lhs01/lhs01_index.htm
ここでも読んどけばsage
LHS?
ttp://www.interq.or.jp/black/map1144/map1144b/sal_ss/ii04.htm
文章はteiレベルだけどね(w
ヒカリ×シンジの同人誌もでるみたいだね。
ttp://www.tiara.cc/~777fever/index.shtml
5ななし:2001/08/01(水) 00:26
(以下略)って表示を始めたのは俺なんだ。
他の人に使って貰えてとてもうれしひ。
ちなみに初の(略)は「ミサトとシンジの関係」
何?もう忘れた?
6名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/01(水) 00:34
シンジ×ヒカリって結構お似合いだと思うんだけど。
碇ヒカリって……語呂悪い。
それだけ。
8名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/01(水) 01:29
洞木シンジきぼん。
>>8

 ……その手があったか。迂闊。
 夫婦別姓と言う手もあるな。
>>6
「ヒカリの世紀」って、変換間違えると偉い事になるな。
ヒカリに怒られそうだ。
11名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/01(水) 02:38
18金LHS『ヒカリの性器』きぼん。
>>8
親父も女房の姓だったな、そーいえば
13名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/01(水) 15:20
「仮面少年」
ttp://www7.big.or.jp/~makoto_s/download/mask.pdf
イタものだけど、本編系じゃないのはイタくないと言う人もいるからいいか。
交配ロマネスク
ttp://www12.u-page.so-net.ne.jp/ka2/macchi69/nvl/mendel2.html
18禁。挿し絵あり。
17名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/04(土) 01:50
18名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/07(火) 23:23
age
19名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/19(日) 19:53
保全age
20名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/20(月) 14:03
トウジ、ヒカリ、シンジの三角関係なSSてないのかな?
かなりいい感じのシチュエーションだと思うんだけど…。
>>20
それもいいが、シンジ、ヒカリ、コダマ、ノゾミのほうが……
顔は知らんが設定的にはかなりよいかと。
22名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/20(月) 23:00
>>21
それだとシンジハーレム物になりそうな気がする(笑
>>21
18禁ばりばりの展開であれば是非読みたし(おい)

……そんなにほしけりゃ自分で書きましょう(……)
>>23
シンジ×ノゾミ18禁
ttp://naoto-m.virtualave.net/story/p1.htm
2521:2001/08/21(火) 00:02
>>22
1×3なら良いんじゃないか?(何がだよ

>>24
ありがてぇ
「ヒカリの日常生活」
ttp://homepage1.nifty.com/5th/novel/eva/top.htm
LHSでは、記憶にある限り一番古い。しかも、今もなお更新が続いている所が
偉い。
27名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/22(水) 05:20
28名無しが氏んでも代わりはいるもの:2001/08/22(水) 05:26
29しそじ:2001/08/23(木) 08:24
今日はひかりたんのおっぱいで抜きました。
ハァハァ・・・・・・・・・・・・
>>22
Green Gablesにあったでしょ。
   ∧__∧∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ( ´∀`)/< 先生!もっとLHSを読みたいです!
__ /    /  \___________
\⊂ノ ̄ ̄ ̄\
||ヽ|| ̄ ̄ ̄ ̄||
 ...|| ̄ ̄ ̄ ̄||
32名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/09/16 13:01
www.ne.jp/asahi/an/nao/eva/contribution/map_s/kiss_h01.html
33名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/09/25 07:51
LHSってあんまないんかな。
シンジと以外とのカプってある?オリキャラでも何でもいいです。
34名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/09/25 07:53
ヒカリが積極的なのは萎えなんで嫌がってヤツ、嫌がってるのにってのキボン
LHSなら、やっぱり中川 健(仮名)氏をイチオシだね。
『ヒカリの世紀』を早く更新して欲しいものだがナー。
www.ops.dti.ne.jp/~nomiyama/eva/!toukou/tegami/t_kawahara_tegami-hikari.html
www.ops.dti.ne.jp/~nomiyama/eva/!toukou/tegami/t_yosito_tegami-vertouji.html
37名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/09/26 20:31
www.geocities.co.jp/Technopolis/2970/toukou/sake/nikka.html
38名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/09/26 21:46
www.geocities.co.jp/Technopolis/2970/toukou/sake/yasuragi.html
39名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/10/07 15:40
ヒカリの世紀更新あげ
40名無しが氏んでも代わりはいるもの :01/10/07 22:59
某未来への手紙とか・・・(藁
41名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/10/16 18:33
42名無し :01/10/18 19:59
>41
なかなかだね。作者は実力あるよ。
43名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/10/22 15:33
最終的にはLHSになるそうです。期待しましょう。

ttp://shinjuku.cool.ne.jp/kazu1222/novel/lhs/
44名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/10/27 13:44
46名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/11/02 19:35
ヒカリ×シンジ、アスカ×トウジ
ttp://www2.osk.3web.ne.jp/~ninjro/toukou/OL/koiniotitahi.htm
六番目の屠殺場の『寂しい?』
www.coara.or.jp/~greenai/sftd/index.htm
48名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/11/03 08:27
>>46
(・∀・)イイ!!
50名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/11/24 22:49
51名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/11/28 18:44
52名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/01 20:48
LHSといえば中川 健(仮名)氏もいいが、
俺は川原つとむ氏も好き。

ttp://www2s.biglobe.ne.jp/~yoito/kisshika.htm
54名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/05 20:47
www.cypress.ne.jp/riechan/fujiwara/present/noa/noa13_stalker1.htm
55名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/07 05:52
一通り貼ってあるの読んでみたけど
アスカorトウジとの関係についての描写がないもんは面白くないわな
56名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/08 23:31
このカップルは考えにくいな。いや、好き嫌いの範疇でなくてね。
まあ、意外性のカップルということかな。
いっちゃなんだがヒカリにとってシンジはトウジとアスカが間にいなければ眼中
にないと思う。
ヒカリはトウジについて優しいとこが好きだとアスカに語った。ではシンジを好き
になるとしたらどう言う感じなのか。シンジも優しいと言われるかもしれないが
トウジのは頼りがいがあるのに対しシンジのは優柔不断の意味合いが大きい。
そういう優柔不断なとこも含めてすきになれないとね。彼女のおせっかい?姐御肌?
母性?なとこが刺激されるのが月並みかな。
シンジ自身の気持ちは?まあ「委員長じゃなきゃ駄目なんだ」とは言わないだろう
けど好意を持たれて悪い気はしないだろう。
57名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/09 14:36
SEGAのゲームでヒカリはシンジが好きでした。
58名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/09 15:38
トウジの遺影の前でまぐわうシンジとヒカリ・・・ハァハァ
59名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/11 19:57
www.cypress.ne.jp/riechan/fujiwara/present/noa/noa13_stalker2.htm
61名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/16 22:33
LHS読みてー
62親切な人:01/12/16 22:36

ヤフーオークションで、幻の人気商品、発見!!!

今は無き「コピーガードキャンセラー」↓
http://page2.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b18880293

ヤフーオークション内では、現在、このオークション
の話題で、持ちきりです。
64名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/22 15:36
保全age
>65
新連載っぽい。期待。
冬厨活動開始による落ち防止さげ
70名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/01/01 14:36
72名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/01/10 23:31
搾乳キモイage
73名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/01/13 17:26
>>73
うむ。やはり中川 健(仮名)氏の作品はいいね。
しかし短編もいいが、『ヒカリの世紀』を早く更新して欲しいものだ。
保全sage
FFSの裏に18禁LHS更新してた。
77名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/01/23 05:28
78名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/01/24 00:17
最近map1144の更新を見る限り、LHS化が進んでるような気がするなぁ、、、
なんかゲームであったよね、
80名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/01/30 14:55
age
 age
  age
84あぼーん:02/02/14 22:43
あぼーん
85名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/02/15 18:33
86名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/02/19 00:14
ヒカリたん誕生日記念age
盛り上がりそうで盛り上がらないカップリングなのか
88名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/03/02 23:50
貴賎どうなるの?age
89名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/03/12 14:56
盛り上がらないなー
中川 健(仮名)たんがまた定期更新し始めてくれたら、活気が出そうなんだけど
>>89
同意。 最近、中川健(仮名)氏はどうしちゃったのかね。
かつてのペースで頑張って欲しいものだな。
健待ちsage
sage
今月はFFSの『イチゴイチエ』の更新は無いのか。
健動き始めage
sage
sage
新世紀エヴァンゲリオンを1位にしよう!!
新世紀エヴァンゲリオン(OP)に、投票お願いします!
http://canal.press.ne.jp/mesganq/mesganq.cgi
ヒカりの世紀更新age
101名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/10 00:03 ID:N7qsSZHw
sageになってた(;´Д`)
age
光の生気がイイカンジのペースで上がって参りました
104ガイシュツだったらスマソ:02/05/25 01:15 ID:???
ガイシュツだったらスマソ
rgvr250r.hoops.ne.jp/kei/keitop.htm
www.geocities.co.jp/SiliconValley/5273/gotoma.html
保全あげ
ageとくか
保全あげ
保全あげするな。sageでも書き込みあれば問題ない。
ヒカリ「碇君、女の子を泣かせちゃ駄目じゃない、追いかけなさい!」
シンジ「何で?アスカが勝手に逃げ出したけだろう。そんなのにいちいち責任もて
ないよ」
ヒカリ「碇君、あなたそれでも男なの!?」
シンジ「女とでも?そうだよね、女の涙は最大の武器というからね、泣かれる
と男は太刀打ちできないよ」
ヒカリ「なに言ってるの!?」
シンジ「僕は家事を女だからとアスカやミサトさんまかせにしたことは一度もない
んだ。身の周りのことぐらい自分で出来ないといけないと思うしね。初めてエヴァに乗り込ん
で苦しんだ時ミサトさんに言われたんだ。『男の子なんだから我慢しなさい』って。
都合のいい時だけ男に責任を押し付ける女は信用できないよ」
トウジ「なあ、先生、もういいやんか。ああ見えても惣流とて女や、か弱いもんや。
屁理屈こねんと追いかけてやればすべて丸く収まるんや」

シンジ自身内心大人気ないかなとも思っていた。だが口をついて出たのは別のセリフだった。

シンジ「そんなにいうんなら、トウジがアスカを慰めてやったら?傷心のアスカは
結構効くかもよ。いっそのこと委員長からアスカに乗り換えるたら?」
トウジ「な、なんやと!」
シンジ「初めて会ったときのように殴るかな?もう借りは返したからそれでもいい
よ。もっとも黙って殴られるつもりはないけど。」
ヒカリ「…もういいよ、行こう鈴原。こんな人に何言っても無駄よ。」

シンジをにらめつけていたヒカリは一触即発の二人に割って入りトウジと一緒に
去っていった。正直ヒカリにはシンジの反応は予想外だった。リツコの彼への評
は知らないが「他人のいうことに黙って従い逆らわない、それがあの子の処世術」
とヒカリの今までのシンジの印象はそうかけはなれたものではなかったのだ。

一方シンジも何故自分がこんなに戦闘的な気分になったのかわからなかった。
レイ「いいの?碇君、あなたクラス中を敵に回すわよ?」
シンジ「委員長がそれをできるだけの人望と甲斐性があればそうするかもね。
アスカは人気あるからばらせば一発かな。そうなれば登校拒否するけど」
>>111続き
だがレイの予想は外れた。クラスはいつも通りでシンジが特に不利益を受けること
はなかった。シンジは少し拍子抜けした。

第9使徒対策のユニゾンの特訓でアスカが逃げ出したところから始まります。
>>112
これって何なの?
ここで、FFを連載?
「プライド」を読んだ。
これって、けっこうイタ物なんだけどさ、ようやくこれからかっていうとこで
中断されてるよ。なんかすごくくやしい気分。
作者は、最後まで責任もって書けよ。
>114
ごめんあげてしまった。
それでも、これはジャンプの10週打ち切りみたいに、さあこれから真の敵を
倒すぞ、みたいな感じで中断されてるぶんだけましか
保守
今さらだが、更新「イチゴイチエ/第23話 そして姉は、唇を噛む」
118名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/07/23 11:12 ID:vUe6nr7E
ヒカリの世紀そろそろ読みたいage
碇シンジ外道伝・第3話 〜委員長、撃沈!
ttp://art.momo-club.com/~morisato/eva/gedo/gedo03.html

・・・違う気もするが見つけたので
つーか明日でこのスレ1周年じゃん
オレ、LHSってけっこう好きなんだけど、LHSって普通の男女の恋愛
なんだよね。これって、別にエヴァでなくていい話なのさ。
ぶっちゃけ、LASもエヴァである必要もないし。唯一、LRSはエヴァで
ないと難しいかな。
まあ、結局はキャラ萌えに帰結するんだけどね
>>120
他作品でLRSっぽい話もないわけではない。このスレはLHSだから例は挙げないで
置くけどね。
FUJIWARA FUNFICTION STATION の新作LHS短編
「澄み渡った、空の下で」
ttp://www.cypress.ne.jp/riechan/fujiwara/project/p_index.htm

なんか、ここ、ますますLHS化が進んでいるような気がする
「イチゴイチエ」第24話 更新
hozen
ほぜ
さがりすぎ、あげとく
SSのエヴァ1は、LHSとしてはけっこう良くできていると思うよ
ネタ募集age
hosyu
ho
今、このスレの住人数を確認しませんか?

まず、  1
多分漏れは2人目だと思うから
3人目


終了
そんな悲しいこと言うなよ!

5
6
ttp://loving-eva.sytes.net/%7Eeva/cgi-bin/toukou/salvage/20011209153226.html

ところで、全メンバーが6人なのか?
138名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/04 23:41 ID:aSBnmWj/
たまには上げてみる

ネタないが(w
委員長でないヒカリに存在価値はあるのかな?
140名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/08 01:17 ID:IBad9F3d


127はどこで読めるんでしたっけ?
>>141
セガサターン
確かにまぎらわしいかもな>SS
ワラタ
The Thirty's Club
ttp://www7.big.or.jp/%7Emakoto_s/index.html

ここの管理人さんもヒカリ×シンジが好きみたい
ガイシュツの「仮面少年」もそうだが「ミサトさん」も2人は両想い
昨日「碇君には彼女がいない」を読んだ
面白かったよ
「仮面少年」、「碇君には彼女がいない」は駄作
MAP1144、更新してた。
いろいろ読むと、辞めたりはしないみたい。
保全
保全
全住人は8人ですか
最近きてなかった…ということで、9!
エヴァ板最萌でいいんちょ奮闘中!!
みんなはもう<<ヒカリ>>に一票いれますたか?
>>152
忘れてた。次回の日程教えて。
イチゴイチエ、あと数話で完結だ。
ヒカシン長編物で唯一の完結作になるのかな。
その時は、記念して、ここで厨房論評でも打とうかな。
ここでやっても、読んでくれる人が10人もいないんだった。
さびしいから、イタモノスレでしようかな。
157名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/28 14:23 ID:sgOag4Uz
ヒカリの世紀、更新記念age
中川さん、かなりモチベーションが下がってるみたい。
やめるときは最終回までのストーリーを公開して欲しいなあ。
159名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/29 09:11 ID:MIwLQEoJ
健応援age

>>156
イタモノじゃないらしいし、ここでやったら?
ヒカリの世紀は、アスカが来日する前までがおもしろかった。
アスカが来てから、なんか道を見失ってる感じがします。
でも、今後も連載をがんばって欲しいです
ガイナ最萌で<<ヒカリ>>に一票入れるように!!
以上いいんちょ普及委員会ですた。
GeneQ'の日記SS、前回ぐらいからLHS風味。
このままLHSにいくのか?
それはないか。
中川 健さんの11/2の不定期雑記を読んだら、泣けてきた。
おまけに「ヒカリの世紀」は完結まで更新停止になってるし。
中川さん、このスレを見てるのかな?
「ヒカリの世紀」以外が停止だった。
気長に待ってるので、がんばって
ネタが無いようなので、ここでFFを書いていいですか?
反対する理由は何もない。
存分にやりたまえ。
ありがとうございます。
では、思う存分やらせていただきます。
できあがるまで、しばらくお待ちください
>>167
応援sage
169167:02/11/14 21:05 ID:???
中川 健(仮名)さん、FUJIWARAさんは偉大でした。
ヒカシンでエピソードを作るのは難しいです。
接点がほとんど無い組み合わせですし。
ネタがかぶりそうです。
17001:02/11/15 06:03 ID:???

「あれは綾波?」

碇シンジは、父ゲンドウが乗ったVTOL機を見送っていた。
その機体の窓に、綾波レイの姿が見えた。


今日は、碇ユイの命日である。
それと同時に、シンジには父と会う日でもあった。
父と会って、何を話したらいいのかわからなかったので、レイに父のことを尋ねた。
その時のレイとの語らいでは、父のことはわからなかった。
だが、

「案外、綾波って主婦とかが似合っていたりして」
「何を言うのよ」

ほんの些細な会話だが、何かレイとは解り合えたように、シンジには思えた。
だが、父と一緒にいるレイの姿を見て、裏切られたような思いに囚われた。
シンジは、VTOL機が見えなくなるまで、空を見ていた。
やがて、見えなくなると、もう一度、母の墓標を黙って見つめた。
父と少し話せて嬉しかったのは本当だが、でもやはり解り合えなかったような気がすると
思い、軽くため息をついた。
母が生きていたら、自分と父とのことをどう思うのだろうと、考えたが答えは出なかった。

17102:02/11/15 06:04 ID:???
シンジは、ユイの墓標から目を離し、そこから立ち去ろうと視線を横に向けた。
すると、黄色のワンピースを着た女の子の姿が見えた。
女の子は、シンジに気がつき、軽く微笑みながらやって来た。
シンジはその女の子が誰かわかり、どうしようかと思案にくれた。
今の気持ちのままでは、人とうまく話せない。
だが、シンジの気持ちが定まる前に、その女の子が話しかけてきた。

「こんにちわ、碇君」
「洞木さん、こんにちわ」

ヒカリは、シンジが立っている前の墓標を見て、それから話しかけた。

「碇君もお墓参り?」
「う、うん。・・・・・今日は、母さんの命日なんだ」
「そう、・・・わたしも今日はお母さんのお墓参り。月に一度来て、お墓を掃除するの」
「そうなんだ」
「碇君は、今日は一人でお参りなの?」
「.....父さんも来たんだけど、...父さんはもう先に帰ったんだ」

さっと顔色を変えて呟くシンジに、ヒカリは尋ねたことを後悔した。
何か他に話題をと思い、足下を見ているシンジに向かって話しかけた。
17203:02/11/15 06:06 ID:???

「ねえ、わたしも碇君のお母さんにご挨拶していいかな?」
「えっ」
「碇君には、この街を守ってもらっているでしょ。だから、碇君のお母さんにも
お礼を言いたいの」
「そんな、僕はただエヴァに乗ってるだけだよ」
「でも、碇君達がいるから、わたし達はこうしていられるの。だから、ねっ?」
「...それじゃあ、お願いするよ」

ヒカリは、ユイの墓標の前に立ち、それからひざを折り曲げて腰を落とした。
そのまま手を合わせ、目を瞑っているヒカリを、シンジは黙って見ていた。
やがて、ヒカリは立ち上がり、シンジと向かい合った。

「ありがとう、洞木さん」
「ううん、わたしこそ、無理を言ってごめんなさい」
「そんなことないよ。たぶん、母さんも嬉しかったと思う」

シンジは、ヒカリに微笑みかけた。
その笑みを見て、ヒカリは安堵し、自分自身もまた気持ちが穏やかになっている
ことに気づいた。

「僕も、洞木さんのお母さんのお参りをしてもいいかな?」
「でも、悪いわ」
「洞木さんのお母さんにお礼を言いたいんだ。いつも、学校で迷惑かけているしね」
「わ、わたしはただ、委員長として当然のことをしているだけで...」
「そうだとしても、僕は洞木さんに感謝しているんだ」

ヒカリは、本当に委員長としての責任を果たしているだけだと思っていたが、シンジの
この言葉を聞いて、自分のしてきたことが無駄ではなかったと嬉しくなった。
17304:02/11/15 06:07 ID:???

そのまま、二人はヒカリの母の墓標へ行き、掃除をしてから、シンジは墓標の前で
手を合わせた。
その後、ヒカリが母と話し終わるまで、シンジは待っていた。

「碇君、先に帰っても良かったのに」
「気にすること無いよ。それに帰っても何もすることないしね」

ヒカリは、自分がアスカにデートを頼んだのを思い出した。
その責任感と寂しげに話すシンジを見て、ヒカリは咄嗟にシンジに話しかけた。

「ねえ、碇君。これから、家に来ない?」

シンジは、一瞬、ヒカリの言っていることの意味がわからなかった。
だが、ヒカリもまた自分の言葉に驚いていた。
ヒカリは、男女関係には潔癖すぎるほど厳しいことを自覚していた。
自分でもそういうところはもっと甘くてもいいと常日頃思っていたが、でもやはり
どうしようもないと半ば諦めてもいた。
その自分が、クラスメートとはいえ、男の子を家に誘ったのである。
ヒカリは、自分はどうかしていると思ったが、でも後悔の気持ちは無いことに気づいていた。

「でも、.....」
「心配しなくても大丈夫よ。お父さんも帰ってくるし、お姉ちゃんやノゾミもいるし。
みんな、碇君を歓迎するわ」
17405:02/11/15 06:08 ID:???
シンジは、それでも不安げにヒカリを見つめた。

「碇君にお墓の掃除を手伝ってもらったお礼に夕食をごちそうしたいの。
そんなにたいした物は作れないけど、ねっ」

ここまで言ってくれるヒカリに対し断ったら、逆に失礼と思い、ようやくシンジは
ヒカリの申し出を受ける決心をした。

「ありがとう、洞木さん。お言葉に甘えて、ごちそうになるよ」

シンジが優しく答えたのを見て、ヒカリは自分のしたことが間違っていないと思い、
気分が軽くなった。

「よかった。それじゃあ、行きましょう」


二人は、そのまま墓地を後にした。
シンジとヒカリは、黙って歩いていたが、シンジにはそれが苦に感じられなかった。

綾波と一緒にいる時は、いつも何かを話さなければいけないと思っていたのに。

シンジは、ヒカリと一緒に歩いていて、レイとは別の心地よさを感じていた。
ミサトやアスカと同居していても、女の子には苦手意識を持っているのだが、
今はそれがない。
シンジは、そっとヒカリの横顔を見た。
ヒカリは、口元をほころばせながら歩いていた。
そして、ヒカリが自分と一緒にいることを嫌がっていないとわかり、シンジは安心した。
17506:02/11/15 06:09 ID:???

墓地から出ると、公園になっている。
日射しは傾きかけていたが、まだ気温は高く、シンジは冷たい物を欲した。
公園の隅に、売店が開いているのを見つけた。

「洞木さん、ちょっと待ってて」

そう言うと、シンジはそのまま売店へ行った。
しばらくして、ソフトクリームを二つ持って戻ってきた。

「はい」
「え、もらっていいの?」
「うん。気にしなくていいよ。それに夕食を頂くから、そのお礼」
「ありがとう」
17607:02/11/15 06:11 ID:???

ヒカリは、笑顔でそれを受け取った。
二人は近くのベンチに座り、ソフトクリームを食べ始めた。
隣に座っているシンジは、まるで幼い子供のようにソフトクリームを食べている。
その姿を見て、ヒカリはこの少年がエヴァに乗り、使徒と呼ばれる怪獣と戦っているのが
信じられなくなった。
どう見ても、戦いに向きそうな感じではない。
アスカやレイなら、まだ納得はできる。
親友ながら、アスカには戦って勇ましい姿がよく似合うと思っている。
レイとはほとんど話したことはないが、あの近寄りがいた雰囲気に、自分たちとは
違う何かを感じていた。
だが、この隣に座る少年は、自分と何も変わらない感じがする。
顔もまだ子供っぽさを残し、体格もあまり良くない。
何より、いつも気弱な面を見せているこの少年が戦っている姿を想像できなかった。
さっきは、シンジに自分たちを守ってもらっていると言ったが、彼が自分たちを
守るために戦っているとはどうしても思えなかった。
そして、シンジがどうしてエヴァに乗るのかを無性に知りたくなった。

「ねえ、碇君」
「なに? 洞木さん」
「碇君は、どうしてエヴァに乗るの?」
17708:02/11/15 06:11 ID:???

シンジは、それを聞いて、空を見上げた。
もう、手にソフトクリームは無い。
次に、膝に置いている自分の手を見つめた。
かつてレイやアスカになぜ乗るのか尋ねたことがあった。
そして、アスカにそのことを逆に尋ねられたが答えることが出来なかった。
シンジは、レイが「他に何もないもの」と言ったことを思いだした。

「僕には、エヴァしかないんだ」

シンジは、何もない前を見ながら話した。

「エヴァに乗らないと、僕はここにいられないんだ。父さんも、ミサトさんも、
ネルフの人みんなが、エヴァに乗る僕を必要としてくれている」
「・・・・・」
「でも、僕がエヴァに乗らなかったら、誰も僕を必要としてくれない」

何も無いのは自分の方だと、シンジは思った。

「だから、僕はエヴァに乗るしかないんだよ」
17809:02/11/15 06:12 ID:???

ヒカリは、シンジの言っていることがよくわからなかった。
エヴァしかないとは、どういうことなのだろう。
必要としてくれないとは、どういうことなのだろう。
家族と普通に暮らしてきたヒカリには、理解の範囲外にあった。
この時代、孤児は少なくはないが、だが彼らも何かしらの絆を持っているだろう。
だが、シンジはエヴァしかないと言う。
それなら、自分は彼にとって何なのだろう?
いや、自分だけではない、アスカや鈴原、相田のことを彼はどのように思っているのだろう?
自分は、確かに彼をクラスメートの一人としてしか見ていなかった。
でも、シンジが本当にエヴァしかないと思っているのなら、彼にとって自分は友達とも
思われていないことになる。
そう思われることだけは嫌だった。

「エヴァの他にも、碇君にはみんながいるわ。」
「・・・・・」
「鈴原や相田君。それにアスカや葛城さんとは家族同然でしょ。」
「・・・・・」
「それに、...わたしは碇君と友達だと思っているわ。たとえ、碇君がエヴァに
乗らなくても、それは変わらないわ」
17910:02/11/15 06:15 ID:???

シンジは、虚空を見つめ、ぽつりと呟いた。

「でも、.......裏切られるのが怖いんだ」
「えっ!」
「裏切られるのがとても怖いんだ。僕は、今まで裏切られ続けてきたから。ここに
来た時も、父さんが僕と一緒に暮らしたいのかと少しは期待していたんだ」
「・・・・・」
「でも、エヴァを動かすのに必要だから呼んだだけだって。それにミサトさんや
綾波だって...」
「碇君..」
「だから、もう期待しないことにしたんだ。初めから期待しなければ裏切られる
こともないしね」

ヒカリは、シンジに何かを言わなければならないと思ったが、言葉にできなかった。
だからヒカリは、シンジの膝にある彼の手を一つに重ね、その上から自分の手で
包み込んだ。
シンジは、驚いたようにヒカリの目を見た。
その視線に対して、ヒカリは目をそらさなかった。
そのまま時間が流れていき、それからヒカリはシンジに話しかけた。

「そんな悲しいこと言わないで。お願いだから」
「・・・・・」
「わたしは碇君を裏切らないわ。本当だから、信じて」
18011:02/11/15 06:16 ID:???

シンジは、また空を見上げた。
ヒカリには、シンジが黙っている時間が永遠に続くかのように思えた。
そして、

「急には変えられないと思う。でも、僕は洞木さんを信じたいと思う」

そう呟いたシンジの表情は穏やかなものであった。

「ありがとう。碇君」

ヒカリは、満面の笑みでシンジに答えた。
自分のことを信じてもらえたという喜びに満ちていた。

シンジは、自分を信じてと言ったヒカリに対して、何かを感じていた。
だが、それはまだ形にはならなかった。
それでも、ヒカリに対して、クラスの委員長、またはアスカの親友という間柄以上の
ものを感じていた。
そして、とても落ち着いた気持ちになっていることに気づいた。

「なんだか、洞木さんといるとほっとするよ。お母さんみたいな感じがする」

ぽつっと漏らしたシンジの一言を聞いて、ヒカリは嬉しさと恥ずかしさでいっぱいに
なった。
18112:02/11/15 06:17 ID:???

「い、碇君。何、言ってるの?」
「あ、ごめん。お母さんはなかったね。でも、洞木さんの恋人になる人は、
きっと幸せだと思うよ」

ヒカリは、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
それを見て、シンジは自分がとても恥ずかしいことを言ってしまったことに気づき、
自分もまた顔を赤くして俯いてしまった。
それから、しばらく沈黙が続いた。
沈黙を先に破ったのは、ヒカリである。

「碇君。あの、そろそろ帰りましょ。晩ご飯の用意をしなくちゃいけないし」
「う、うん」

二人は立ち上がり、家路についた。
シンジは、ヒカリの顔を見るのが恥ずかしく、またなんて声をかけたらいいのか
悩んでいたが、その悩みは苦痛では無かった。
ヒカリも、シンジをまっすぐに見ることが出来なかったが、二人の間に流れる空気が
優しくなっているのを感じ、その心地よさに身を委ねていた。
ヒカリは、シンジを意識し始めていた。
そして、横に並んで歩く二人の距離は、以前より近くなっていた。
18213:02/11/15 06:18 ID:???

その後、シンジは洞木家で夕食を食べ、夜が更ける前に帰宅した。
ヒカリの家では、コダマやノゾミにからかわれたり、ヒカリの父の前ではなぜか
緊張していたが、それさえもシンジには楽しかった。
自分には無い家族というものを感じて、自分と父との関係を思い出し、気持ちが
沈むこともあったが、それもヒカリ達と一緒にいて、すぐに気持ちが暖かくなった。
この楽しい一時に、シンジは家に帰ってからのことをすっかり忘れていた。

「ご飯も作らないで、どこへ行ってたのよ?」

アスカが、いつもの両手を腰に当てるポーズでシンジを待ちかまえていた。

「アスカは、デートじゃなかったの?」
「退屈だから帰ってきたのよ。いーから、早く作りなさい」
「はー、」

シンジは、アスカのためにご飯を作り、風呂の用意をし、洗濯をしてと、くたくたに
なってベットに転がり込んだ。
アスカが、玄関でなにやら騒いでいたが、もうどうでもよくなっていたので、そのまま
眠りについた。
18314:02/11/15 06:19 ID:???

翌日、シンジは学校へいつもより早く行った。
途中、前方にヒカリの姿が見えた。
いつもなら、声をかけるのをためらって、そのままヒカリが自分に気がつくまで
どうしようか悩んでいるとこだが、今日は自分の方から挨拶することをすぐに決めた。

「洞木さん、おはよう」

ヒカリは声がする方を向き、シンジの方から挨拶をするのは珍しいと思ったが、
心が暖かくなるのを感じ、優しく微笑んで挨拶を返した

「おはよう、碇君」


end
184書いた人:02/11/15 06:21 ID:???
できれば、EoEまで続けたいのですがいいですか?
続きを読みたいので是非。
(・∀・)イイ!!
続編きぼん
かまわん。やれ。
>>185-187
ありがとう。がんばります。
がんばれー
プライドをあらためて読んだけど、やっぱりいい話だ。
EoEアフター物でも、一、二を争うような作品だよ。ため息が出る。
一つ誓いを立てています。
それは、「キャー、不潔よーー!」を入れないことです。
ですが、それがないとヒカリらしさを表すことが難しいです。
苦しくなってきました。いろいろな面で
1922-01:02/11/17 03:47 ID:???

ヒカリは、墓地での邂逅以来、シンジのことがちょっと気になっていた。
それでも、トウジの友達、アスカの同居人から、自分と親しい男の子の友達程度に
なったぐらいと考えていた。
だが、一方で別の感情も持っていた。
エヴァのパイロット。
その彼が、人を信じることに臆病で、そのために孤独の中にいることを知って、
胸を痛めていた。
そのシンジが自分のことを信じたいと言い、彼との見えない糸のような絆を感じていた。
他人と心が繋がるような感覚は初めてであった。
トウジに対しては、自分からの一方的な思いである。
シンジとはお互いに気持ちが通じているような気がほんの少しする。
そのため、前からのトウジのことを思っていた気持ちと、今のシンジを思う気持ちが
ぶつかっていた。
ヒカリは、シンジを無理矢理に友達の一人と思うようにした。
だが、一度、気になりだしたら止まらない年頃である。
1932-02:02/11/17 03:48 ID:???

「最近、シンジをよく見ているわね」
「えっ!」

学校のお昼休みにアスカとおしゃべりをしていた時に、唐突に言われて、ヒカリは
目を大きく開いてアスカを見た。

「そ、そんなことないわ」
「見てたわよ。今だって、アタシと喋っていたのにシンジの方を見ていた」
「そうかしら」
「そうよ」

実際、ヒカリはシンジをよく目で追うようになっていた。
席はシンジより前のため、授業中に見るようなことはなかったが、休み時間になると
知らず知らずのうちにシンジを見ていた。

「そういえば、碇君を見ていたような気がする」
「ヒカリは、自分で気がついていないの?」
「うん」
「ふーーーん」
1942-03:02/11/17 03:49 ID:???

アスカは、少し険しい目つきでヒカリを見た。

「な、なによ。アスカ」
「まあ、いいけどね」
「なんのこと?」
「いいのよ、別に。ただ、アタシの見立て違いだったのかなーって」
「だから、何のこと?」

そのまま、アスカは不機嫌そうに席を立って教室を出て行ってしまった。

「なんなのよ、もう」

後には、不満げな表情をしたヒカリが取り残された。
だが、次の瞬間には、もうシンジを見ていた。
1952-04:02/11/17 03:51 ID:???
シンジは、困っていた。
アスカの機嫌が悪いのである。
ミサトと加持がよりを戻したのが、アスカには気に入らなかった。
そのため、家でアスカとミサトが衝突することが多くなった。
恋愛関係には鈍いシンジにも、加持とミサトの関係が原因であることがわかっていた。
シンジ自身は、それはアスカとミサトで解決すべきことで、自分にはどうしようもないと
思っていたが、アスカの怒りの矛先が自分に向かってくるのだけは我慢できなかった。
だが、何事にも人との衝突を避けるシンジは、アスカにその不満を言うことができなかった。

「はあー」

トウジ、ケンスケと学校から帰る時、シンジはため息をついていた。
三人は、これからゲームセンターへ向かうところである。

「どうしたんや、シンジ。ため息なんかついて」
「あ、うん。別に何でもないよ」
「そんな顔しておるのに、何でも無いはないやろ」
「でも、何でもないんだ」
1962-05:02/11/17 03:52 ID:???

ここで、ケンスケが眼鏡を光らせて割って入った。

「ははーん、シンジ、惣流のことだな」
「ち、違うよ」
「隠すな、隠すな。顔に出てるぞ」
「えっ!」

シンジはすぐさま顔を手で押さえた。
その仕草はあまりにもツボにはまっていた。

「ぷっ」
「なに笑ってるんだよ」
「ごめん、ごめん。で、惣流がどうしたんだ?」
「なあ、シンジ。いい加減に白状したれや」

シンジは、ためらっていたが、やがて理由を話した。

「アスカの機嫌が悪いんだ」
「なんや、それ?」
「そのままの意味だよ。今、アスカとミサトさんの仲がちょっと悪くて、
そのとばっちりが全部、僕に来るんだ」
「惣流とミサトさんがケンカしとるのか?」
「うん」
「何が原因や?」
「それはちょっと」
「シーンジ、いいから話してみろよ」
「でも...」
1972-06:02/11/17 03:53 ID:???

「俺たちがアドバイスできるかもしれないだろ」
「うーん」
「心配するなって」
「わかったよ。ミサトさんと加持さんのよりが戻ったんだ。それで、」
「ちょ、ちょい待ち! よりが戻ったってどういうことや?」
「どういうことって、そのままだよ。加持さんは知ってるよね。この前の
パーティーに来てたから」
「あの無精髭の人か?」
「そうだよ」
「くかー、そんなミサトさんがー。もう、やってられん。わし、帰って寝るわ」

そう言って、トウジは走り去っていった。
その姿は、青春ドラマの主人公が夕日に向かって走るようであった。

「どうしたの?」
「シンジ、お前にはまだわからなことだよ」
「どういうことさ?」
「いいから、じゃあ、またな」

ケンスケもまた走り去っていった。

「僕の相談は?」

取り残されたシンジは、呆然と立ち尽くしていた。
1982-07:02/11/17 03:55 ID:???

数日後のシンクロテストで、とうとうシンジはアスカの記録を塗り替えた。
シンジは、自分にも人に誇れる物ができたと、それを素直に喜んだ。
だが、それも家に帰るまでであった。
アスカが何かと自分にくってかかるのである。
初めシンジは、ミサトとのことの八つ当たりだと思っていたが、アスカが自分を
「無敵のシンジ様」と言うので、シンクロテストの結果が原因だと判断した。
自分が原因とわかると、いつもの内罰モードにシンジは入った。
こんなことなら、一番になるのではなかったと。
そして、また、シンジは黙って耐えていた。


学校の放課後、シンジはぼんやりと席に座っていた。
アスカとのことがあって、家に帰りたくなかったのである。
窓の外からは、野球部やサッカー部が練習している声が聞こえてくるが、教室には
誰もいなく静寂が支配していた。
そのような時、レイが教室に入ってきて、帰る用意を始めた。
シンジは席を立ち、レイの元へ行った。
1992-08:02/11/17 03:56 ID:???

「綾波..」
「なに?」
「あ、あのさ。良かったらでいいんだけど、一緒に帰らない?」

レイは、その赤い瞳で無表情にシンジを見つめた。
シンジは、レイに見つめられ、たじろいてしまった。

「あ、嫌なら別にいいんだ」

シンジは、レイに声をかけたことを後悔した。
墓地でレイが父の乗るVTOL機にいるのを見て、やっぱりレイは自分より父に近い
存在なのだと思い知らされた。
また、父が自分よりレイを見ていることに再びショックを受けていた。
だが、レイには自分に似た何かを感じている。
そのため、レイが自分をどのように思っているかを知ることに対して、
とても臆病になっていた。

「かまわないわ」

シンジは、了解の返事を聞き、安堵した。
2002-09:02/11/17 03:57 ID:???

二人は、並んで歩いていたが、二人の間に見えない壁のようなものシンジは感じていた。
その壁をシンジ自身が作っていることに、シンジは気づいていない。
太陽は傾きかけ、空が茜色に染まりつつあった。
二人の横を自転車に乗った子供が通りすぎていった。
シンジは、なんとかレイと会話をしようと思い、当たり障りのないことを話しかけた。
だが、いつもの短い返事以外の言葉はレイの口からは出てくることはなかった。
あと、もう少しでレイと別れる交差点に差し掛かる。
シンジは、ヒカリと一緒に歩いていた時のことを思い出していた。

やっぱり、綾波と一緒にいると落ち着かない。
どうしてだろう?
そういえば、洞木さんと一緒の時は楽しかった。
面白い話をしていたわけでもなかったのに。

シンジが、ヒカリのことを考えている時、レイは瞳を暗く染めてシンジを見ていた。
その瞳を、シンジが見ることはなかった。
交差点に着いた時、シンジはそのまま通り過ぎようとしていた。
レイは立ち止まり、黙ってシンジの背中を見ている。
交差点を少し過ぎたところで、シンジはやっと気がつき、レイの所へ戻った。

「ごめん。ぼーっとしていて」

レイの表情に変化は無い。

「また」
「あ、うん。また明日」

レイは、自分のアパートへ帰っていった。
2012-10:02/11/17 03:58 ID:???

巨大な球体状の使徒が現れた。
迎撃に三機のエヴァが出動したが、敵の攻撃方法が判明しないため、うかつに動けなかった。
アスカがシンジを挑発した。
ここ最近におけるアスカのシンジへの態度に対して、シンジは我慢の限界を越えてしまい、
その挑発に乗ってしまった。
そして、シンジと初号機はディラックの海の中へ沈んでいった。


虚数空間に初号機が閉じこめられてから、12時間ほど過ぎていた。
エヴァの生命維持モードは16時間までしか保たない。
シンジの目の周りには、泣き明かした後がくっきりと赤く残っていた。

「寝ることがこんなにも苦痛だったなんて」

レーダーやソナーで周囲を探索したが反応は返ってこなかった。

「僕の命も、後4,5時間か」

シンジのお腹がグーっと鳴った。

「こんな時にもお腹が減るなんておかしいや」
「洞木さんの家で食べたご飯、美味しかったな。もう一度、食べたかった」
2022-11:02/11/17 04:00 ID:???

シンジは眠りに落ちた。
眠りの中で、シンジは自分自身と向かい合っていた。

自分自身が傷つくのを極端に恐れる自分。
そのために、何も考えずに人に謝ってしまう自分。
人に傷つけられるのが嫌だから、自分自身を傷つける自分。
そうやって自分を傷つけて、人に優しさを求める自分。
それなのに、裏切られた時に自分が傷つくのが嫌だから、人を信じなくなった自分。
自分を騙し続けて、嫌なことから逃げ続けてきた自分。

シンジは目を覚ました。
LCLが濁ってきている。

「もうダメなのかな。僕が死んでも悲しむ人なんていないんだろうな」

シンジは再び深い眠りについた。
2032-12:02/11/17 04:01 ID:???

また、僕か。
 『もういいのかい?』
いいよ。どうせ僕は要らない子なんだ。
 『本当にそう思っているのかい?』
そう思っているよ。
 『キミはそのように思いこもうとしているだけだ』
違う。
 『違わないよ。裏切られても自分が傷つかないようにしているだけだよ』
だって、僕は裏切られ続けてきたんだ。もう、自分が傷つくのが嫌なんだよ。
 『それはキミが人を信じようとしないからだよ』
信じられないよ。父さんなんか。ミサトさんだって、アスカだって、綾波だって、
みんな信じられないよ。
 『そうやって、また逃げるんだね』
逃げる?
 『キミは、いつも嫌なことから逃げてる』
それの何が悪いのさ!
 『キミが逃げるから、人が傷ついていくんだよ』
どうして?
 『アスカを傷つけたじゃないか』
それはアスカが勝手に、
 『キミは、アスカと向かい合うのが嫌なだけなんだろ』
でも、怖いんだよ。
2042-13:02/11/17 04:02 ID:???

 『キミは、もう知っているはずだよ』
なにを?
 『自分が人を信じれば、相手もそれに応えてくれることを』
でも、父さんは、
 『本当に信じたの?』
それは、
 『ミサトさんは、キミを家族と言ってくれたよ』
でも、それだって僕がエヴァに乗るから。
 『本当にそう思っているのかい?』
そ、それは、
 『それに、キミは忘れているよ』
なにを?
 『彼女のことだよ』
彼女?
 『キミが信じると言った人だよ』
洞木さん?


ここは?
なんだか、遠い昔に見たことがあるような気がする。
僕を頬を撫でている女の人は誰?
お母さん?
『もういいの? ・・・・・そう、よかったわね』
2052-14:02/11/17 04:03 ID:???

新第三東京市上空では、N2爆雷の投下が始まろうとしていた。
まさに、その時、使徒の本体といえる地上の黒い影に無数の亀裂が走った。
そして、空中に浮かんでいる白と黒の縞模様の巨大な球体から、初号機が咆吼を
あげて現れた。
球体は、初号機に引き裂かれ、血と内臓のような物を地上に撒き散らしていた。
朝日と使徒の血に赤く染まる初号機に、人々は人外の恐怖を感じていた


シンジは、病院で目を覚ました。
ベットの横にはレイが座っていた。
シンジが体を起こすと、レイは病室から出て行こうとした。

「今日は寝ていて。後は私たちで処理する」
「うん。でも、もう大丈夫だよ」
「そう、よかったわね」

その一言を聞いて、シンジは母を思い出した。

「やっぱり、綾波は母さんに似ている。夢の中で会った母さんみたいだ」

レイは、一瞬、体を微かに震わせた。
それをシンジは気がついていない。
そのまま、レイは病室を出て行った。
ドアの陰にアスカがばつが悪そうに隠れていたのを見て、シンジはクスッと笑った。
自分を笑ったシンジを見て、アスカは怒ったが、その顔は無邪気そのものだった。
2062-15:02/11/17 04:03 ID:???

翌日、シンジはいつも通りに学校へ行った。
授業は、先の使徒戦のことを考えていて、ほとんど聞いていなかった。
使徒の中にいた時のことはほとんど憶えていなかった。
特に、眠りの中でのことは憶えていなかった。
でも、忘れてはいけないことがあったような気がして、必死に思い出そうとしていた。
母のことは憶えている。
顔ははっきりとしないが、レイに似ていた感じがする。
しかし、母の他にも思い出さなければならないことがあったと思い、午前中は
ずっと考えていた。
2072-16:02/11/17 04:04 ID:???

ヒカリは、シンジのことが心配だった。
今までは、シンジ達が使徒と戦っている間は、あまり心配はしていなかった。
自分は避難していて、エヴァと使徒が戦っている姿を見ていなく、どこか自分とは
関係のない世界のことだと思っていた。
だが、一昨日の戦いの時は違った。
エヴァしかないと言った少年が戦っている姿を想像したのである。
今まで、なぜシンジやアスカ、レイのことを真剣に考えなかったのかと悔やんだ。
そして、シンジ達の欠席がとても多いことに今さらながらに驚いた。
特に、シンジは戦いの後の欠席が多かった。
自分がシンジ達に守られていることを実感したのである。
だから、昨日、シンジ達が学校を休んだことをとても気にしていた。
まして、その彼はほんの少しだが心が通い合ったと思った相手である。
今日は、シンジ達が学校に来るかどうか不安だったが、教室にシンジがいるのを
見て安心した。
アスカやレイのことを、心配していなかった訳ではない。
だが、それ以上にシンジのことを心配している自分に対して、ヒカリは驚いていた。
それまでになかった自分の気持ちに整理がつかず、シンジに声をかけることが
できないでいた。
2082-17:02/11/17 04:06 ID:???

昼休み、ヒカリはいつもようにアスカと昼食を共にした。
お弁当を食べ終わると、アスカはネルフへ行くと言って帰った。
一人になったヒカリは、シンジを見ながら悩んでいた。
シンジと話をしたかったが、まだ決心がつかないでいた
シンジは、昼食を食べ終え、目を瞑って音楽を聴いている。
ヒカリが長い逡巡の末にシンジの元へ行こうと決めた時、シンジがヒカリの方を向いて、
二人は目が合ってしまった。
シンジは、なにやら考え込むような仕草をしたあと、何かを思い出したような顔をした。
そして、シンジは微笑みながらヒカリのところへやって来た。
シンジが自分の方へ来るのを見て、ヒカリは胸をドキドキさせた。

「洞木さん」
「な、なに?」
「お礼を言いたいんだ」
「お礼? どうして?」
「理由を言わなくちゃいけないかな?」
「嫌ならいいけど、でも知りたいわ」
「うーん、ちょっと恥ずかしいんだけど、...ただ、会いたかったんだ、もう一度。」
「よくわからないわ」
「そうだね。でも、会いたいと思ったんだ。そして、今、また洞木さんに会えて
よかったなって」
2092-18:02/11/17 04:07 ID:???

ヒカリは、自分の名前が出てきたことにより、慌ててしまった。

「え、え、え、ちょっと待って、碇君」
「なに?」
「それって、どういうことなの?」
「どういうことって、僕は洞木さんに会えてよかったと思っているんだ。だから、
ありがとう」

シンジは、感謝の気持ちがすぐに見てわかる笑みでもってヒカリに礼を言った。
礼を言い終わると、シンジは自分の席へ戻り、また音楽を聴き始めた。
ヒカリは、ただ呆然とシンジを見ていた。

「本当にどういうことなの、碇君?」

その後、ヒカリはシンジのことを家に帰ってからも考えていた。
そのため、家事を失敗したりして、姉のノゾミはヒカリを心配したが、ヒカリの
表情を見ると、そのまま黙って何も言わなかった。
シンジのことを考えている時、自分が微笑みを浮かべていることにヒカリは
気づいていなかった。


the 2nd story end
210書いた人:02/11/17 04:47 ID:???
姉はコダマでした。はーあ
211210:02/11/18 09:21 ID:???
あのー、読んでる人はいるんですか? 続けていいんですか?
結構面白いので続ききぼう
213210:02/11/18 11:18 ID:???
>>212
了解しました。
反応が無かったので、続けていいかどうか不安でした。
あと、何か問題点があったら言ってください。対処するようにします。
見てるよ。
>>214-215
ありがとう。
2173-01:02/11/18 23:41 ID:???

ヒカリの朝は早い。
洞木家の家事全般をヒカリがほとんど一人でしているので、早く起きて朝食や
家族全員のお弁当を作らなければならない。
ヒカリは、そのことを苦に思ったことは、今まで一度もない。
家事をすることが好きなのである。
今日も、キッチンで朝食を作っている。
鼻歌を歌いながら、みそ汁をテーブルに並べている時に、コダマが起きてきて、
イスに座った。

「おはよう」
「おはよう、お姉ちゃん」

テーブルに料理を並べるヒカリを見て、コダマはにんまりとした。

「ヒカリ」
「なに? お姉ちゃん」
「最近、なんか楽しそうね」

ヒカリは、思い当たるふしがないのでなんのことかと考えた。
考え込むような仕草をしているヒカリを見て、コダマは少しからかいたい
気持ちになった。

「歌いながらご飯を作っていたじゃない」
「いつもと変わらないわ」
「そう?」

ヒカリは、そのままご飯をよそい始めた。

「ねえ、ヒカリ。碇君と言ったかしら、あの子をまた家に連れてきなさい」
「えっ!」
2183-02:02/11/18 23:41 ID:???

ヒカリは、手に持っていた茶碗を落としてしまい、テーブルの上にご飯を
撒き散らしてしまった。

「ヒカリ! なにしているのよ」
「ごめんなさい」
「まったく、もう」
「でも、お姉ちゃんが変なこと言うから」
「変なこと? 変なことって何?」
「碇君のことを言うから」
「ふーん、碇君は変なことなんだ」
「そうじゃなくて!」

ヒカリは、バシッとテーブルを叩いた。

「まあ、まあ、落ち着いて。謝るから」
「お姉ちゃん!」
「からかったのは悪かったけど、あの子をまた夕食に誘いなさいよ」
「でも、...」
「彼もきっと喜ぶわよ。それに、彼、かわいいしね」
「お、お姉ちゃん!」

ヒカリは何を考えたのか、顔を真っ赤にして姉に詰め寄った。

「お姉ちゃん、ダメよ、碇君は!」

ヒカリのそのような姿を見て、潔癖性気味の妹にも好きな人が出来たのかと思い、
コダマは嬉しいような、また寂しいような気持ちになっていた。
2193-03:02/11/18 23:43 ID:???

午前中の授業が終わるチャイムが鳴り、教室の中は生徒達の声であふれた。
鈴原トウジにとって、昼休みは待ちに待った時間である。

「さーて、飯や飯。なんちゅうても学校生活最大の楽しみやからな。
おい、シン...」

トウジは、シンジの席の方を振り返ると、そこではシンジとアスカが
言い争いの真っ最中であった。

「え〜!!お弁当持って来てないのぉ!? このアタシに、お昼なしで
過ごせっていうの、あんたは!」
「だって仕方ないだろ。昨日は宿題が一杯でお弁当作ってる暇なんて
なかったじゃないか!」

そのような光景をもう見飽きていたトウジは、二人に向かって冗談を言った。

「なんや、またいつもの夫婦喧嘩かいな」

その声が思いのほか大きく、クラス中に聞こえた。
そして、教室中に笑い声が拡がった。
シンジとアスカは、二人そろって顔を真っ赤にし、声をそろえて否定した。

「違うよ!「違うわよ!」」

この二人の反応に対して、再び笑い声が溢れかえった。
さらに顔を赤くする二人を、ヒカリは胸中複雑に見ていた。
2203-04:02/11/18 23:44 ID:???

その後、アスカは購買でサンドイッチとカレーパンを買い、ヒカリと二人で昼食を
食べていた。

「ヒカリ。そのハンバーグ、美味しそうね」
「そう?」
「うん」
「アスカ。ハンバーグ食べる?」
「いいの?」
「ええ、いいわよ」
「ありがとう、ヒカリー」

アスカは、ヒカリからハンバーグを貰い、そして満足そうに口をもぐもぐさせた。
ハンバーグを食べ終わると、シンジへの愚痴を言い始めた。

「まったく、シンジのやつ、お弁当作るのををサボるなんて生意気よ」
「・・・・・」
「最近、料理の品数も減っているし」
「・・・・・」
「それに、アイツ、近頃、妙に反抗的なのよね」
「・・・・・」
「ヒカリ! 聞いてるの?」
「聞いてるわ、アスカ」
「どう思う? ねえ?」
「どう思うって言われても」
「だから、生意気なのよ。アイツ」
2213-05:02/11/18 23:44 ID:???

アスカは、サンドイッチの袋を開け、大口を開けて食べ始めた。
その食べっぷりの良さをぽかーんとヒカリは見ていたが、先ほどから浮かんでいた
疑問をアスカに尋ねた。

「ねえ、アスカ。今も碇君が料理を作っているの?」
「そうだけど」
「アスカは作らないの?」
「作らないわよ。それがどうかした?」
「だって、」

アスカが不思議そうな顔をして自分を見ているので、ヒカリは何も言う気力が
なくなった。

「もういいわ」
「なんなのよー、ヒカリー」
「いいわよ、もう」
「だって、気になるじゃない」
「だから、アスカも女の子なのに、どうしてお料理しないの?」
「そんなの、シンジがするからに決まってるじゃない」

胸を張って言うアスカを見て、ヒカリはため息をつくしかなかった。
2223-06:02/11/18 23:47 ID:???

放課後になり、生徒達は帰り始め、次々と教室を出て行く。
トウジも立ち上がり帰り支度を始めた時、ヒカリが声をかけてきた。

「鈴原! 今日から週番なんだから、ちゃんとやりなさいよ」
「何のことや?」

トウジは本当に何もわからなそうに聞き返した。

「プリント! 届けてくれって先生が言ったでしょ!」
「なんやイインチョ。相方がおるやろ」
「綾波さんは今日休み!」
「綾波とワシなんか、そりゃしゃーないな。でも女の家に一人じゃ行けへんしな...」

トウジは教室の中を見回し、シンジがまだ席でカバンを開けているのを見つけた。
2233-07:02/11/18 23:47 ID:???

「シンジー、帰りたのむわ」
「なんのこと?」
「綾波にプリントを届けなあかんのや。シンジなら、綾波の部屋を知っとるやろ」
「うん、知ってるよ」
「よっしゃ、ほな行くかー」

トウジとシンジは、カバンを持って教室を出て行こうとしていた。

「あなた達、ちょっと、待ちなさい!」

教室の出入り口の所にさしかかっていた二人は、同時に後ろを振り返った。

「女の子の部屋に、あなた達だけを行かせるわけにはいかないわ」
「イインチョ、ほな、どないすればいいんや?」
「わたしも行くわ」
「へっ!」
「わたしも綾波さんのとこへ行くから、ちょっと待ってて」

ヒカリは急いで帰り支度を始め、そして3人は学校を出て行った。
2243-08:02/11/18 23:48 ID:???

まだ、日は高く、アスファルトの地面からの照り返しが厳しい。
3人はレイの住んでいるアパートへ続く道を歩いている。
シンジとトウジは並んで歩き、その数歩後をヒカリがついて歩いていた。
ヒカリはこの状況に困惑し、ついてきたことを後悔していた。
それもそのはずである。
一人は以前から好きかもしれないと思っていた男の子であり、もう一人は最近、
急に意識し始めた男の子である。
その二人と自分が3人で一緒にいるのだから、困惑しない方がおかしい。
そして、前にいる二人を見ながら、ヒカリは思考の海に沈んだ。

自分は一体どうしてしまったのだろう?
こんな気が多い女ではないはずなのに。
でも、今は碇君のことが気になる。
たぶん、碇君が好きなんだと思う。
だけど、わたしは鈴原のことが好きだったはず。

ヒカリが思考のループを続けているとき、トウジはシンジに話しかけた。

「なあ、シンジー?」
「なに?」
「綾波の家にはよく行くんか?」
「よ、よくなんて行かないよ。二回ぐらいかな」
2253-09:02/11/18 23:49 ID:???

シンジは以前、裸のレイを押し倒してしまったことを思い出し、顔を真っ赤に
していたが、それに二人は気づかなかった。

「ふーん、そうか」
「なんだよ、トウジ?」
「いやなー、学校で綾波としゃべっとるのシンジくらいやろ。それで、
仲がいいのかと思ったんや」
「別に、仲が良いわけじゃないよ。悪くもないけど」
「そうかー」

トウジは興味を失い、この話題を続けなかった。
ヒカリは最後の方は聞いていて、そういえばシンジとレイが一緒にいるのを
何回か見たことを思い出し、二人がどういう関係かを考え始めた。
レイは学校ではほとんど誰とも話さない。
その近寄りがたい雰囲気もあって、誰もレイの側には寄らないのだが、
シンジだけは別だった。
だが、ヒカリから見ても、二人の仲が特別親しそうには見えなかった。
結局、二人がエヴァのパイロット同士だからと思うことにした。
2263-10:02/11/18 23:51 ID:???

3人は、レイの住むマンモス団地の前に着いた。
建築工事の音が、鳴り響いている。
今にも崩れ落ちそうな感じの建物に、初めて来たトウジとヒカリはただ驚いていた。

階段を上がり、レイの部屋の前に着いた。
シンジが何回かチャイムを押すが、音は鳴らなかった。
郵便受けを見ながら、シンジは呟いた。

「ここに入れても、綾波は見ないんだろうな」

シンジは無造作にドアノブに手をかけ、ドアを開こうとした。

「ちょっと待って! 碇君!」

シンジは、どうして止められたかわからないような顔で、ヒカリを振り返った。

「女の子の部屋に黙って入るのは良くないわ」
「そや、女の家に黙って入るんはようないと思うで」
「でも、ここに入れても綾波は見ないよ」

シンジは、郵便受けを指さした。

「そないなこと、どうしてわかるんや?」
「前に来た時、郵便受けが溢れかえっているのを見たんだ」
「でも、勝手に入ったら、綾波さんに失礼よ」
「そう言っても、そのプリントを綾波に渡さなきゃいけないんでしょ。仕方がないよ」

シンジは当たり前のことを何言っているんだろうと思いながら、二人を見た。
そのまま沈黙が続いたが、ヒカリが決心して告げた。
2273-11:02/11/18 23:52 ID:???

「わかったわ。それなら、わたしが入ってプリントを置いてくるから、
二人はそこで待ってて」
「わかったよ」
「おう、待っとるで」

ヒカリは、ドアを少しだけ開け、中の様子を窺った。

「綾波さん、入るわよ」

返事がないので、レイがいないと判断し、ヒカリは部屋の中に入った。
シンジ達がドアの前で待っていると、中からヒカリの呼び声が聞こえた。

「碇君!」
「なに、洞木さん?」
「ちょっと来て!」
「いいの、入っても?」
「いいから、早く来て!」

シンジは何事が起こったのかと思いながら、部屋の中に入り、トウジも後に
続いて入っていった。
部屋に入ると、ヒカリが驚いたような顔で、部屋の中を指さしていた。

「どうしたの?」
「これ」
「えっ、これがどうしたの?」
「これを見て。強盗が入ったのよ」
2283-12:02/11/18 23:53 ID:???

ヒカリが指さす先には、血まみれの包帯が床に散らかり、制服もベットの上に
無造作に置かれていた。
また、ゴミ箱からゴミがこぼれてもいた。
レイの部屋を初めて見たヒカリが、勘違いするのも無理からぬことだった。

「違うよ。強盗が入ったわけじゃないんだ。これが綾波にとっては普通なんだよ」

シンジは、苦笑を浮かべながらヒカリに言った。

「そうなの、碇君?」
「うん」

ヒカリは、落ち着くと部屋の中を見回した。
部屋の中の家具は、ベットに冷蔵庫、タンスのみ。
壁はむき出しのコンクリート、床は埃まみれで、所々に血の跡が残っていた。
とても、中学生の女の子が住む部屋ではない。
ヒカリは驚きのあまり声が出なかった。

「なんや、これが女の部屋かいな。無愛想やな」

トウジが感想を漏らしている間に、シンジはプリントをベットの上に置いた。
その後、床に散らかっているゴミや包帯を片づけ始めた。

「何や。勝手にいじってしかられるで」
「そうよ」
「片付けてるだけだよ」

掃除をしているシンジを見て、トウジはムスッとした態度をとった。
2293-13:02/11/18 23:54 ID:???

「わしは手伝わんで。男のする事やない!」
「うん。でも、ミサトさんに嫌われるよ、そういうの。」
「うっ。かまへん! わしの信念やからな」

そのようなトウジを見て、ヒカリは軽くため息をついた。

「わたしも手伝うわ」
「でも、悪いよ、洞木さん」
「碇君、一人に任せられないじゃない。それに女の子として黙って見ている
わけにはいかないでしょ」
「わかったよ。ありがとう、洞木さん」

シンジの素直な感謝の言葉に、ヒカリは頬を薄く染めた。
二人が掃除をしているのを、トウジはイスに座りながら見ていた。

「ほんま、変わったなぁ」
「何が」
「シンジや」

シンジは掃除をしていたのを止めて、トウジを見た。

「初めて逢うたときは正直いけすかんやっちゃと思うたけど。 人のために
何かやる奴とも思えんかったし」

ヒカリもほうきで床の埃を掃いていたのを止めて、トウジの言葉を聞いていた。

「まっ、要するに余裕なんやろな。そないなことは」
2303-14:02/11/18 23:55 ID:???

シンジはそれを聞き、何かを考え始め、そのシンジの姿をヒカリは黙って見ていた。
部屋の中で静寂が続いている時に、ドアが開閉する時になる金属音が鳴った。
その音に3人は玄関の方を振り返ると、少し驚いたようにしているレイが立っていた。
すぐにいつもの表情に戻り、レイは部屋の中に入ってきた。

「おじゃましとるで」
「綾波さん、勝手に入ってごめんなさい」
「・・・なに?」
「あれがたまってたプリントや」

トウジはベットの上のプリントを指さしながら、ぶっきらぼうに言った。
レイはベットの上を見て、次に何かに気づいたのか部屋の中を見回し、キョトンとした。

「ごめん。勝手に片付けたよ。ゴミ以外は触ってない」
「綾波さん、悪いと思ったけど、少し掃除をしたの」

レイはシンジの方を見ると、少し顔を赤く染めた。

「あ、ありがと」

レイが頬を染めて恥じらいながら感謝を言う姿に、トウジとヒカリはただ息を
のんでレイを見ていた。
2313-15:02/11/18 23:56 ID:???

3人はレイの部屋を出て、家路についていた。
既に、太陽は傾きかけ、西日が街を赤く染め始めている。
ヒカリは、レイの女の子のような姿を初めて見て、再びシンジとレイの関係を
考え始めた。
学校で見るレイは決して表情を変えず、話す言葉もほとんど無かった。
そのレイが、明らかに頬を染めてシンジにお礼を言ったのである。
やはり、シンジとレイの間には何かあるのではないかと疑い始めた。
家に着くまで、二人について考えていた。
ヒカリは、ほんの小さなことが大きな不安になるくらいシンジを好きに
なっていたが、それを自覚するのはまだであった。


3人が帰った後、レイはベットにうつ伏せになっていた。
窓は黒いカーテンで締め切られていたが、小さな隙間から部屋の中に夕日が
差し込んでいた。

「ありがとう...感謝の言葉...はじめての言葉」

レイはそっと呟き、チェストに置いてあるゲンドウの眼鏡を見た。

「あの人にも言ったことなかったのに」

レイは、そのまま深い眠りに落ちていった。
2323-16:02/11/18 23:58 ID:???
数日後、ネルフ本部にシンクロテストを受けに来ていたシンジは、加持に誘われて
ジオフロント内の森の片隅に来ていた。

「スイカ、ですか?」
「ああ、かわいいだろ。オレの趣味さ。みんなには内緒だけどな」

そこは小さな畑になっていて、一面にスイカの実が大きく育っていた。
シンジはスイカを見て、先日のスイカのお化けのような使徒を思い出し、あまり
いい気分ではなかったが、加持はそれには気づかずに、じょうろで水をまいている。

「何かを作る、何かを育てるのはいいぞ。色んなことが見えるし、わかってくる。
楽しいこととかな」
「・・・つらいこともでしょ」

シンジにしては珍しく皮肉混じりに言った。
スイカを見ると、どうしても使徒を思い出してしまい、目をスイカからそらしていた。

「つらいのは嫌いか?」
「・・・好きじゃないです」
「楽しいこと見つけたかい?」

シンジは答えられずに黙っていた。

「それもいいさ。けど、つらいことを知ってる人間のほうが 人にやさしくできる。
それは弱さと違うからな」
「でも、.....楽しいことを見つけたいです。つらいことばかりでは生きていくのが
嫌になるから」
「まあ、それもそうだな。...でも、シンジ君にも楽しいことがあっただろ。
よく考えてごらん」
2333-17:02/11/18 23:59 ID:???

シンジは夕日を見ながら長い間考え込み、そして呟いた。

「ここに来て、初めて友達ができたと思う。それにたぶん家族もできたんだと思う」

加持は優しげな目でシンジを黙って見ていた。
その後、加持の携帯電話にミサトから連絡が入り、シンジはシンクロテストを
受けに戻っていった。


シンクロテストでは、シンジのシンクロ率が落ちていた。
先の使徒戦以来、シンクロ率は落ち続け、今ではアスカの方がシンジより上であった。
リツコは、ミサトに先の使徒戦の時に何か精神的に影響を与えることがあったのでは
ないかと告げた。
ミサトはシンクロテストを受けているシンジを、腕を組みながらモニターに越しに
無言で見つめていた。


その翌日の昼休み、鈴原トウジは校長室に呼び出された。
トウジが校長室に入ると、そこには金髪の女性が立っていた。

「鈴原トウジ君ね?」

リツコは、トウジの名前を呼んだ。
2343-18:02/11/19 00:00 ID:???

放課後、シンジは当番のトウジを手伝っていた。
仕事が終わると、トウジは思い詰めたような顔で先に帰ると言い、すぐに教室を出て行った。
シンジは、そのようなトウジの顔を見て、どうしたのかと思いながら帰り支度を始めた。
ドアの近くに立っていたヒカリは、先ほどから教室に入ろうかどうか迷っていたが、
シンジが一人になったのを見て、やっと教室に入ってきた。

「碇君」

ヒカリの声を聞いて、シンジは顔を上げた。

「あ、洞木さん。まだ帰っていなかったんだ」
「え、ええ」

ヒカリは、シンジと自分の足のつま先に視線を交互させながら、何かを言いたそうに
していた。

「なに?」

シンジに促されて、ヒカリはやっと決心をつけた。

「あ、あのね、あたしに姉妹が二人いるのは知ってるわよね?」
「うん、この前、洞木さんの家に行った時に会った女の人だよね」
「その二人のお弁当をいつもあたしが作ってるんだけど...」
「大変だね」

シンジは自分も家事をしているので、その苦労を知っており、ヒカリに心から同情した
2353-19:02/11/19 00:02 ID:???

「だから、あたし、お弁当の材料、いつも余っちゃうの...」

シンジはヒカリの意図が全くわからず、ヒカリが言葉を繋げるのを黙って待っていた。

「それで、もし良かったらでいいんだけど、碇君とアスカのお弁当を作ってこようか?」

シンジはヒカリの申し出に心底驚いた。

「えっ!! そんな、悪いよ。だって、お弁当を作るのって大変じゃないか。
僕とアスカの分を作ってもらうなんて、洞木さんに迷惑かけられないよ」

シンジの意外に強い言葉にヒカリは驚いたが、もう引くことはできないと思い
言葉を続けた。

「そんなに大変なことではないの。わたしはもう昔からしているから、すっかり
慣れているの。だから、碇君も気にすることはないわ」
「でも、洞木さんに甘えるわけには...」
「碇君が家事を全部しているんでしょ?」
「うん」
「それだと、帰ってから勉強をする時間も無いはずよね」
「なんとか勉強時間を作ってるよ」
「この前、お弁当を作れなくて、アスカに責められていたじゃない」
「そ、それは、...」

ヒカリは優しく微笑んで、シンジに話した。

「本当に気にすることはないの。わたし、これでも料理は得意なんだから」
「うん、それは知ってるよ。前に食べた洞木さんのご飯、美味しかったから」
2363-20:02/11/19 00:04 ID:???

屈託もなく言うシンジに、ヒカリは照れてしまい、シンジの顔をまっすぐに
見ることができなくなった。

「だ、だから、碇君も遠慮することないの。それに、わたし、碇君とアスカに
お弁当を作りたいの。ねっ?」
「でも、...」

シンジの煮え切らない返事に対し、初めの恥じらう気持ちなどどこへ行ったかの
ように、ヒカリは業を煮やしてしまった。

「碇君! 人の好意は素直に受け取るものよ!」
「はい!」
「わかった?」
「わかりました。でも、一応、アスカにも了解を取ってもらえないかな?」
「アスカが良いと言えばいいのね?」
「うん。その時は、僕からもお願いするよ」

ヒカリは了解の返事を聞き、嬉しさで満面に笑みを浮かべた。
その笑みを見て、シンジはこれで良かったと思い、シンジ自身も微笑んでいた。


ヒカリとシンジが教室でそのようなやりとりをしていた頃、アメリカのネルフ
第一支部では、大雨の中、エヴァ三号機が吊り下げられた輸送機が離陸しようと
していた。
そして、アスカは加持の部屋で、フォースチルドレンが鈴原トウジであることを知った。


end

waiting for the light.  No.3
237書いた人:02/11/19 00:05 ID:???
すぐに次をカキコします
2383-21:02/11/19 00:32 ID:???

シンジは、昨日からトウジの様子がおかしい理由を考えていた。
昨日、ケンスケにエヴァ四号機の事故でネルフ第二支部が消滅したことを聞いた。
今朝、ミサトが松代へ出張に出かける際に、三号機の起動実験が行われることを
聞いたが、パイロットのことは聞けなかった。
昨夜から、アスカの機嫌が明らかに悪かった。
これらのことが、シンジには結びつかないでいた。
自分がトウジに何かしたのかと考えたが、思い当たるふしは何もなかった。


昼休みになり、シンジはトウジを探したが、教室にトウジの姿はなかった。
今日、シンジはお弁当を作れなかったので、トウジを誘って購買へパンを買いに
行こうとしたのである。
トウジの様子がおかしかったこともあり、シンジはトウジを探しに教室を出て行った。


シンジが学校の中を探し回っていた時、トウジは学校の屋上でフェンスに
もたれかかりながら、ぼうっと空を見ていた。
屋上には人影は無く、静まりかえっている。

「鈴原君」

その静寂をレイが破った。

「なんや、綾波か...シンジやったらここにはおらんで」

トウジはレイを見て、元気なく小さな声で答えた。
>>238
番号を間違えました。4-01です
2404-02:02/11/19 00:34 ID:???

「・・・知っとんのやろ。わしのこと。惣流も知っとるようやし」
「・・・うん」
「知らんのはシンジだけか...人の心配とは珍しいな」
「そう? よくわからない」

レイは何のことかわからないかのようであったが、トウジはレイの赤い瞳を
見ながら、レイに話した。

「おまえが心配しとんのはシンジや」
「そう?...そうかもしれない」

レイは自分の足元を見ながら小さく呟いた。

「そうや」

トウジは、再び空を見上げ始めた。
少しの沈黙が続き、そして屋上への扉が開く音が鳴り、シンジが息を切らして
入ってきた。

「トウジ、ここにいたんだ。あれ、綾波も。二人で何をしていたの?」
「なんでもあらへん。少し綾波と話ししとっただけや」
「そう。...それより、早く行かないとパンが売り切れちゃうよ」
「今日は、昼飯、食べへんわ」

トウジはそう言い残して、ドアの向こう側へ消えていった。
屋上には、シンジとレイが二人取り残された。
シンジは綾波に何かを言わなければと思い、話しかけた。
2414-03:02/11/19 00:35 ID:???

「もう、お昼は食べた?」

レイは黙って、首を横に振る。

「じゃあ、早くしないと。昼休みが終わっちゃうよ」

そう言うと、シンジはレイの手を取り、屋上から出て行こうとした。

「待って!」

レイにしては強い口調で言ったので、シンジは驚き、レイの手を離した。

「あなたに、話さなくてはいけないことがあるわ」
「なに?」
「フォースチルドレン」

レイの口からフォースチルドレンという言葉が出て、シンジは不意をつかれた。

「フォースがどうかしたの? 綾波はフォースが誰か知ってるの?」
「知ってるわ」
「誰?」
「鈴原君」
「トウジなの?」

レイは黙って首を縦に振った。
2424-04:02/11/19 00:35 ID:???

「そ、そんな。なんで、トウジなの? 教えてよ、綾波」
「私は、.....知らない」

レイの返事を聞くと、シンジはすぐにトウジを追いかけるために走り出そうとした

「待って! 碇君」
「なんだよ、綾波」

レイは少し考え込んでから、話し始めた。

「鈴原君は、あなたに知られたくないと思っているわ」
「どうして?」
「...わからない。でも、そのような気がする」
「・・・・・」
「だから、このことは黙っていて欲しい」

レイが真剣に話す様子に、シンジは落ち着きを取り戻した。

「綾波は、どうして僕に教えたの?」
「あなたは知るべきだと思う」

シンジは、拳を強く握り、唇をかんで床を見ていた。

そのような二人の様子を、ヒカリは教室から見ていた。
2434-05:02/11/19 00:36 ID:???

午後の授業、老教師のセカンドインパクト根府川の話が始まると生徒達の多くは
眠気に襲われた。
そんな中、シンジはトウジの空いた席を見ている。
また、ヒカリは後ろにいるレイをちらちらと振り返って見ていた。
トウジは学校の裏庭で、シンジを殴ったことを思い出し、空を見上げていた。


学校の帰り道、ヒカリとアスカは公園のベンチに座って話を始めようとしていた。
もう夕暮れになり、公園で遊ぶ子供はいない。
二人は、長いこと黙っていたが、先にアスカが話しかけた。

「シンジのことでしょ」
「ええ、...わかる?」
「見え見えよ。わかんないのはあの3バカトリオくらいね」

ヒカリは憂鬱そうに、次の言葉を吐いた。

「碇君の好きな子って、綾波さんかもしれない...」
「シンジが!? あの優等生を?」
「お昼、仲良さそうだったし」
「安心して、ヒカリ。それはないわ」
「でも、綾波さんは碇君のことが好きなのかも」

アスカは、そのヒカリの言葉に驚き、次にそれを思いっきり否定した。
2444-06:02/11/19 00:37 ID:???

「そんなことあるわけないじゃない。あの冷血女が人を好きになるなんて」
「アスカ、綾波さんをそのように言うのはよくないわ」
「ちょっと言いすぎたわね。でも、大丈夫よ。そんなことはありえないから」
「..そう?」
「そう!」

ヒカリは安堵の息をつき、緊張していた体が楽になるのを感じた。

「ひとつ聞いていい?」
「なに?」
「ヒカリは鈴原のことを好きだったはずよね?」

この質問に、ヒカリは慌ててしまった。

「え、え、どうして知ってるの?」
「ヒカリを見ていればわかるわよ。それが、今はシンジを好きなんて、どうしたのかなって」
「......自分でも良くわからないの。前は、鈴原のことが好きだったと思う。でも、
今は碇君のことが好きなんだと思う」
「・・・・・」
「すぐに違う人を好きになるなんて、自分でも嫌な女だと思うわ。でも、この気持ちは
どうしようもないの」
「そんなにシンジのことが好きなの?」
「うん」
「..シンジもさ、あれでいいとこあると...思うから、シンジのことを面倒見てやって」
「うん」
「しかし、シンジにヒカリはもったいないわねー」
「そんなことないわ!」
2454-07:02/11/19 00:38 ID:???

ヒカリが強く否定するので、アスカは少し驚いたが、すぐに笑顔になった。

「ふふっ」
「なによ、アスカ?」
「ホントに好きなんだなーって思ったの。なんか妬けるわね」

ヒカリは顔を真っ赤にして俯いてしまったが、しばらくして昨日のことを切り出した。

「ねえ、アスカ?」
「なに?」
「これから、アスカにお弁当を作ってきてもいいかな?」

アスカは、口もとをにんまりとさせた。

「わかったわ、ヒカリ。シンジにお弁当を作ってあげたいのね」
「ち、違うわ。ただ、最近、碇君が忙しそうでお弁当を作れないようだから、
代わりに作ろうと思っただけよ」
「ふふっ、それ、同じことを言ってるわよ」
「あっ!」
「まあ、でも、シンジのお弁当より、ヒカリの方が美味しいし、アタシもそのほうが
いいわ。それに、最近、パンが多いから、ヒカリにお弁当を作ってもらうと助かるのよ」
「ありがとう、アスカ」
「でも、ヒカリ、これ、貸しよ。今度、パフェをおごってね」
「もう、アスカったらー」

不満を言うヒカリであったが、顔は嬉しさに溢れていた。
2464-08:02/11/19 00:40 ID:???

その夜、ミサトが出張でいないため、加持が葛城家に泊まりに来ていた。
加持が風呂に入っている間、アスカはファッション雑誌を眺め、シンジは教科書を
開いていた。
誰も見ていないテレビは、今、流行のドラマを映している。
シンジはトウジのことをアスカに尋ねようと思っていたが、なかなか切り出せないでいた。
アスカに尋ねようと決めたその時、アスカがシンジに話しかけた。

「シンジ」
「なに?」
「アタシ達のお弁当をヒカリに作ってもらうんでしょ」
「洞木さんに聞いたんだ」
「まあね」
「それで、OKしたの?」
「当然じゃない。それに、アンタ、最近、お弁当を作るのサボるしね」
「だって、仕方ないじゃないか」
「わかったわよ。それより、アンタからも、ヒカリに良くお礼を言いなさいよ」
「わかってるよ」

シンジは、いかにも心外だという顔をした。
2474-09:02/11/19 00:40 ID:???

「ねえ、シンジ。アンタ、ヒカリのことをどう思っているの?」
「どうって?」
「うーむ、シンジにはもっとわかりやすく言わないとダメか。」
「なんのことさ?」
「アンタ、ヒカリのこと好き?」

突然、好きかと聞かれて、シンジはドギマギした。

「な、なんだよ。急に?」
「いいから、答えなさい。好きなの?」
「わ、わからないよ」
「わからないって、アンタねー」
「でも、洞木さんは、僕にとって大切な人だよ」
「シンジには、それで精一杯ってとこね」

それを聞いて満足したのか、アスカはまた雑誌に目を移した。
シンジは、このアスカとの会話で、トウジのことを聞くのをすっかり忘れてしまった。

その後、シンジはリビングで加持と布団を並べて寝た。
シンジは加持に父のこと、ミサトとのことを聞いたが、加持の語ることを理解
できなかった。
2484-10:02/11/19 00:41 ID:???

翌日、教室にトウジの姿はない。
シンジは、授業中、トウジのいない机を見ていた。
昼休みになり、ヒカリはシンジとアスカのお弁当を持って、シンジの所へ近づいた時、
シンジの携帯電話の呼び出し音が鳴った。
シンジの予想通り、非常招集だった。
席を立ち上がると、お弁当を持ったヒカリとシンジの目があった。

「洞木さん、お弁当、ごめん」
「使徒なの?」
「うん、だから...」
「いいわ、気にしないで。それより、気をつけて」
「わかった」

そう言い残して、シンジは、アスカ、レイと教室の外へ駆けだした。
ヒカリは、シンジの後ろ姿を不安げに見送った後、周りを見回し、ケンスケの元へ行った。

「相田君、良かったら、お弁当を食べてもらえないかな?」

ケンスケはヒカリのお弁当を二つ食べることになった。
2494-11:02/11/19 00:42 ID:???

エヴァ3機が出動し、バラバラに配置された。
ネルフの松代第二実験場で、三号機の起動試験中に事故が起き、現地にいたミサトと
リツコは爆発に巻き込まれていた。
そのため、指揮は司令のゲンドウが直接執っている。
発令所のモニターには、野辺山付近を進行している三号機が大きく映し出されていた。
三号機にエントリープラグの強制射出信号を送ったが変化はなく、その他の信号も
送受信不能の状態になり、エントリープラグ内の模様も全くわからなかった。

「エヴァンゲリオン三号機は現時刻をもって破棄。 目標を第13使徒と識別する」

ゲンドウの宣言が静かに告げられた。

シンジは松代で事故があったと聞いた時から、不安でいっぱいであった。
松代には、ミサトやリツコがいて、三号機にはトウジが乗っているのである。
エヴァの中で、シンジは手のひらを握って開くを繰り返していた。


「目標接近」
「全機、地上戦用意」

初号機の中に、青葉と日向の声が聞こえると、モニターに黒い巨大な人影が映った。

「え! まさか、.....使徒? これが使徒ですか?」
「そうだ。目標だ」
2504-12:02/11/19 00:42 ID:???

プラグ内にゲンドウの声が響いた。
だが、シンジの目にはエヴァとしか見えず、使徒と認めることはできなかった。

「目標ってこれは、...エヴァじゃないか?」

三号機の黒い機体は、夕日を浴びて異様な姿をさらしていた。

「そんな、三号機にはトウジが乗っているんでしょ? 父さん、どうなの? 返事してよ!」

だが、ゲンドウからは何も返ってこない。
アスカから、通信が入ってきた。

「アンタ、三号機に鈴原が乗っていることを知ってるの?」
「知ってるよ!」
「・・・・・」
「アスカ! どういうことなの、ねえ?」
「三号機は、使徒に乗っ取られたのよ」
「そ、そんな。それじゃ、それじゃあ、トウジはどうなったの? 教えてよ、アスカ!」

ここで、弐号機からの映像が乱れ、アスカの悲鳴が聞こえた。

「きゃあー!!」
「アスカ!?」

弐号機からの映像は完全に途絶え、アスカの悲鳴と破壊音だけが流れていた。
2514-13:02/11/19 00:43 ID:???

弐号機を撃破した三号機は再び侵攻を開始した。
零号機が迎撃にあたったが、三号機の異常な動きの前に為す術もなく組み敷かれた。
三号機から粘液のようなもの流れ落ち、零号機の左腕に付着し、同化していく。
零号機の神経接続が繋がったまま、左腕が切り離され、レイは悲鳴を上げた。
動かなくなった零号機を見ると、三号機はまた歩き始めた。


待機している初号機にゲンドウから通信が入った。

「目標は接近中だ。あと20で接触する。おまえが倒せ」
「でも、三号機にはトウジが乗っているんだよ。そんなこと、できるわけないじゃないか!」

三号機は初号機に近づいたが、シンジは何もせずにただ見ていた。
次の瞬間、三号機は初号機に跳び蹴りを食らわせ、倒れた初号機の首を絞め始めた。
シンジは、完全に戦意を喪失し、為すがままになっていた。
初号機の生命維持装置が支障を発生した。

「シンジ! なぜ戦わない」
「だって、トウジが乗ってるんだよ! 父さん!」
「かまわん! そいつは使徒だ! 我々の敵だ」
「そんなことできないよ! 助けなきゃ!」
「おまえが死ぬぞ」
「いいよ! トウジを殺すよりはいい」
「今、おまえが倒さなくても、いずれ使徒は倒さねばならん。自分で使徒を止めるか、
他に任せるか好きな方を選べ」
2524-14:02/11/19 00:44 ID:???

シンジが返事を迷っている間にも、損傷が拡大していった。
時間に余裕が無くなり、遂にゲンドウは命令を下した。

「パイロットと初号機のシンクロを全面カットだ」
「カットですか?」
「そうだ。回路をダミーシステムに切り替えろ」
「しかし、」
「今のパイロットよりは役に立つ。やれ」

エントリープラグの中が赤く染まり、ディスクの高回転音が鳴り響いた。

「何をしたんだ? 父さん!」

ダミーシステムが起動し、初号機の目が光った。
初号機は三号機の首を締め返し、ついにその首をへし折った。
動かなくなった三号機を地面に叩きつけ、初号機はその頭部を殴り続けた。
二体のエヴァの周りは、三号機から吹き出た血で染まっていた。

「やめてよ!」
「父さんこんなのやめてよ!」
「クソッ!止まれよ!」

シンジはプラグの中で絶叫をあげながら、必死にレバーを動かしていた。

「父さん、僕がやるからやめてよ!!」
2534-15:02/11/19 00:45 ID:???

だが、初号機はその攻撃を止めることはなかった。

「止まれ!止まれ!止まれ!止まれ!」
「やめてよ!! 母さん!!」

シンジが母の名を呼び、それにゲンドウが驚いて立ち上がった時、初号機は動きを止めた。
初号機のコントロールはシンジの手に戻った。
シンジが安堵して、体をぐったりさせた時、三号機が再び動き、初号機に攻撃を始めた

「くっ、僕がトウジを助けないと」

初号機は、三号機を後ろから羽交い締めにし、地面にそのまま叩きつけ、その背中から
エントリープラグを引きずり出そうとした。
プラグが半分ほど出た時、三号機が突如暴れ始めた。
突然のことに、シンジは対応できず、そのままプラグを引き抜いた。
初号機が右手に掴んでいるエントリープラグは、半分から折れ曲がっていた。

三号機は動きを止めた。
シンジはエヴァの中で身動き一つしないで、折れ曲がったプラグを見ていた。

「エ、エヴァ三号機、いえ、目標は完全に沈黙しました」

青葉の報告が、静まりかえった発令所の中に響き渡った。
ゲンドウは、モニターに映る初号機をサングラス越しに見ていたが、その表情に
微かな憂いが浮かんでいた。
2544-16:02/11/19 00:47 ID:???
初号機の中で、シンジは泣き続けていた。
ミサトからの通信が入った。

「シンジ君」
「ミサトさん。無事だったんですね」
「あたしはね」
「・・・・・」
「ごめんなさい。私、あなたに大事なこと伝えなきゃいけなかったのに、こんなことに」
「ミサトさん、僕が、僕がトウジを、..」
「シンジ君! あなた、知ってたの?」

突然、マヤからの回線が割って入ってきた。

「エントリープラグ回収班より連絡。パイロットの生存を確認」
「生きてた?」

初号機のプラグ内モニターに、三号機のプラグから救出されるトウジが映し出された。
担架に乗せられたトウジの右足が、付け根の少し先から無くなっていた。

「トウジ?」

シンジは、顔面が蒼白になり、目を大きく見開いたまま動かなくなった。

「シンジ君?」
「シンジ君?」

ミサトの呼びかけにシンジは何の反応も示さなかった。

end

waiting for the light.  No.4
255書いた人:02/11/19 00:47 ID:???
今回は、ここまでです
256255:02/11/19 01:09 ID:???
しかし、全然、LHSのLになってませんね。それに、ほとんど本編と同じですし。
nakayaさんの週間日記FFの方が、遙かに面白く、遙かにLHSになってます。
気持ちが沈んでしまいます。
>>256
問題ない。全てはこれからだ。
本編準拠だから本当っぽくて好き。
ここの住人の人は他に属性持ってます?
自分は特に無いけど、綾波が好きかなくらい
>>259
俺も。
261AA01:02/11/20 06:05 ID:???
HIKARI STRIKES!

今、僕は国連軍の空母に向かうヘリコプターに乗っている。
ミサトさんに誘われてセカンドチルドレンの女の子を迎えに行くことになった。
僕は初対面の人に会うのが苦手だから、本当は行きたくなかった。
たぶん、ミサトさんがそんな僕に気を遣ってトウジやケンスケを誘ってくれたんだと思う。
でも、僕はちょっと、いや、とても幸せな気分の中にいた。
だって、今は洞木さんとの初デートなんだから。

あっ、デートではなかった。
ミサトさんやトウジ達が一緒にいるしね。
それに、まだ僕たちつき合っていないんだ。
というか、まだ告白もしていない。
本当に、僕は意気地なしだ。

しまった、また落ち込んでしまった。
せっかく洞木さんと一緒にいるのに。


いつからかわからないけど、気がついたら洞木さんを好きになっていた。
なんか、ちょっとした仕草がかわいいんだよね。
洞木さんはそばかすを気にしているけど、僕にはそれもチャームポイントに見えてしまう。
少し妄想癖があるけど、それもかわいいんだ。
それに、僕の周りにいる女の人で唯一、普通の人だから。
262AA02:02/11/20 06:06 ID:???

ミサトさんは、外ではきれいに見せてるけど、家の中ではオヤジそのもの、家事は全くダメ。
それに対して、洞木さんは家庭的で、料理も得意なんだ。
調理実習の時に食べた洞木さんの肉じゃがは、家庭の味がして本当に美味しかった。
結婚したら、毎日、洞木さんの手料理を食べることができるなんて、想像しただけでも
幸せでいっぱいだ。
リツコさんは、ちょっと怖いし、なんか変な人なんだよね。
初めて会った時、水着の上に白衣を着て、しかも髪が金髪でびっくりしたよ。
それに実験とか言って、僕に酷いことばかりする。
ある時なんて、シンクロ率を高めるという理由で、変な注射を打たれてシンクロテストを
したら、気分が悪くなって、昼に食べたご飯を全部吐いてしまった。
LCLの中はゲロがいっぱい浮いてるし、それを見てさらに気分が悪くなるし散々だった。
これからは、エントリープラグに入る前には何も食べないようにしないと。
綾波は、本当に何を考えているかわからない。
こちらから話しかけても、ほとんど黙っているし、顔の表情も変化が全くないんだ。
零号機の起動試験の時なんて、綾波が不安だろうと思って声をかけたら、「お父さんの
ことが信じられないの?」と言って、妙に腰の入った平手打ちをもらってしまった。
僕を10年も捨てていた父さんをどうすれば信じることができるのか不思議だ。
それとも、あれは綾波を押し倒して、胸を揉んでしまったことを怒っていたのかもしれない。
それが原因なら仕方がない。
でも、あれは事故なんだ。
ちょっと、胸を揉んだのは好奇心だったけど。
胸といえば、洞木さんの水着姿はかわいかった。
それに、綾波よりも胸が大きい感じがする。
あっ、隣に洞木さんがいるのこんなことを考えるなんて、僕は最低だ。
263AA03:02/11/20 06:08 ID:???

どうやら、空母に着いたみたいだ。
空母の甲板に降りると、風がとても強かった。
ケンスケは相変わらず何かを叫びながら、ビデオを撮ってるよ。
ビデオを撮るのはいいんだけど、スパイ容疑で捕まっても、僕にはどうすることも
できないのに。
それにしても、デニムのパンツにセーラールックの洞木さんはとてもかわいく見えた。
制服姿の洞木さんしか見たことがないから、とても新鮮だ。
僕が洞木さんに見とれていたら、声が聞こえた。

「ヘロ〜、ミサト!」

その声の方を向いたら、黄色いワンピースの女の子が、トウジの帽子を踏みつけて
立っていた。
なんか、とてもきれいな女の子なんだけど、人の帽子を踏んだまま平然としている
なんて、きっと性格が悪いに違いない。
やっぱり、洞木さんが一番だ。
ちょっとでも見とれてしまった自分が恥ずかしい。
ごめんね、洞木さん。

「紹介するわ。エヴァンゲリオン弐号機の専属パイロット、セカンドチルドレン、
惣流・アスカ・ラングレーよ」

ミサトさんが、その女の子を僕に紹介した時、突風が吹いた。
そして、アスカのスカートが巻きあがった。
もう盛大に。
264AA04:02/11/20 06:10 ID:???

「白」

トウジがぼそっと呟いた。

ビシッ、バシッ、パチーン。

僕らは、アスカにビンタをもらってしまった。
でも、綾波のビンタの方が痛かったような気がする。
ケンスケは、カメラを落としてしまい、泣いていた。
トウジは怒り出していた。

「なにすんねん!」
「見物料よ? 安いもんでしょ」
「なんやてぇ! そんなもん、こっちも見せたるわい!」

トウジは何を思ったか、ズボンを下げたんだけど、勢い余ってパンツまで下げてしまった。

「キャー!!!」

突然、僕の隣にいた洞木さんの叫び声が聞こえた。
こちらからは、トウジのお尻しか見えなかったのは、せめてもの幸いだった。
洞木さんにトウジの前の方なんて見せられないよと、僕が考えていたら、突然、
洞木さんがトウジに向かって走り出した。
265AA05:02/11/20 06:10 ID:???

「不潔よーーー!!」

そして、洞木さんはトウジの背中を思いっきり叩いた。
その反動で、トウジは前に倒れたが、そこにいたのはアスカだ。
トウジはパンツを脱いだまま、アスカを押し倒していた。
アスカは突然のことに驚いて、声も出せず、動けないでいた。
それを見た、洞木さんは再び絶叫をあげた。

「キャーーー!! 不潔よーーー!!!」

そして、洞木さんが足を蹴り上げた先はトウジの顔だった。
トウジは鼻から大量の血を吹き出し、気絶した。
その鼻血がアスカの胸元に撒き散っていた。
洞木さんは血を見て、気を失いかけていた。
もう、そこは地獄図のようだった。

結局、ミサトさんが助けに入って、ことを納めた。
アスカはシャワ−を浴びに行ったが、かなりショックを受けているようだ。
トウジは担架に乗せられて行ってしまった。
僕はアスカやトウジより顔を青ざめている洞木さんが心配だった。
266AA06:02/11/20 06:11 ID:???

その後、いろいろあって、今はみんなで昼食を食べている。
アスカとトウジは復活し、トウジは凄い勢いでカレーを食べている。
洞木さんも落ち着いたようで、今は元気にしている。
僕の向かいの席には、無精髭で長髪の男の人が座っている。
どう見ても、遊び人にしか見えないが、ネルフの人で、ミサトさんの知り合いらしい。
僕には、苦手なタイプの人だ。
苦手でない人はいないんだけどね。

どうやらアスカは、その無精髭の人、加持さんが好きらしい。
何かにつけて、ベタベタと加持さんにくっついる。
でも、加持さんにその気はないようだ。
それもそうだろう。
14歳の女の子なんて、加持さんから見れば、子供としか見えないに違いない。
でも、父さんみたいな人もいるからわからないか。
父さんの綾波を見る目は、普段と違って柔らかだ。
というか、誰にも見せない優しい顔で綾波を見る。
前にネルフの人たちが碇司令ロリコン疑惑の噂をしているのを偶然聞いてしまった。
僕は、父さんの子として、本当に恥ずかしかった。
親子の縁をなんとかして切れないものかと悩んだよ。
また、落ち込んでしまった。

そうだ、せっかくのチャンスなんだから洞木さんとお話ししなければ。

「洞木さん、カレー美味しいね」
「そうね」

洞木さんは、僕ににっこりと微笑んだ。
会話はそれで終わったけど、僕は満足だった。
267AA07:02/11/20 06:12 ID:???

僕が幸せな気分にいる時、加持さんが話しかけてきた。

「きみは葛城と同居してるんだって?」
「え、は、はい。」
「彼女の寝相の悪さ...直ってる?」

「「「ええええーーーー!!!」」」

周りから、叫び声がしたが、どうしてなのか僕にはわからなかった。
加持さんの質問に何か問題があるのだろうか?
洞木さんを見たら、顔を真っ赤にして、何やらぶつぶつ言っている。
そのうちに、両手を顔に当てて、イヤイヤするように体を動かし始めた。
僕は、洞木さんがまた何かを思い浮かべていると思ったが、何を考えているのか
全く見当がつかなかった。
そうしていたら、洞木さんが突然、「イヤー、不潔よー!」と言って、隣のケンスケを
横から思いっきり押した。
ケンスケはそのまま横に倒れたが、その時、ソースを取ろうと手を伸ばしていたため、
テーブルの上の物をほとんど全部ひっくり返してしまった。
そのため、テーブルの上はカレーやスープで大変な状態になっていた。
もう食事どころではなかったが、洞木さんの服が汚れてなくて、僕はほっとした。
268AA08:02/11/20 06:13 ID:???

それから、なんやかんやとあったけど、今は甲板で洞木さんと二人で海を見ていた。
ケンスケは写真を撮りにどこかへ行き、トウジはまだご飯を食べている。
ミサトさん達は仕事に戻った。
そういうわけで、なんとなく僕たちは二人っきりになった。
空は青く、海はそれ以上に青かった。
海の上ではカモメが飛んでいる。

「海、きれいだね」
「ええ、とてもきれい」

僕はもっといろんなことを話たかったが、口べたなのでダメだった。
でも、隣にいる洞木さんを見ているだけで十分だった。
この時間が永遠に続けばいいと思った。

でも、すぐに終わりは来た。
アスカに、無理矢理に弐号機の所へ連れて行かれた。
着いたら、アスカは弐号機によじ登った。
パンツが丸見えで登り、なんかとてもマヌケな姿だった。
その後、アスカは弐号機の上でなにやら演説しているが、興味がなかったので、
僕は洞木さんのことを考えていた。
アスカの演説が終わりかけた時、突然、船体に衝撃が走った。
海を見たら、巨大な魚のような生物がいた。
どう見ても、使徒だろう。
僕は洞木さんが大丈夫かどうか心配だった。

「チャ〜ンス」

アスカはそう言って、僕の腕を掴んでどこかへ連れて行こうとした。
269AA09:02/11/20 06:14 ID:???

「ちょっと、どこへ行くの?」
「プラグスーツに着替えるのよ」
「どうして?」
「あんたバカ? 決まってるじゃない! 弐号機であれをやっつけんのよ」
「そうなんだ。がんばってね」

アスカがプラグスーツをバックから取るために僕の腕を放した隙に、そのまま
ダッシュでヘリコプターの所へ戻った。
パイロットの人がなにやら言っているが、英語なので全然わからなかった。
アスカの叫んでいるいる姿が見えたが、僕は洞木さんが心配でそれどころではなかった。
僕は知っている英単語で、唯一使えそうなGOを何度も繰り返して言った。
そうこうしてたら、通信が入り、ヘリコプターは飛び立った。



空母に着き、僕はそのままブリッジへ向かった。
ブリッジには、洞木さんとその他三人がいた。
すでに、アスカは弐号機に乗って出撃していた。
洞木さんが不安な顔で僕に話しかけた。

「惣流さん、大丈夫かな?」
「たぶん、大丈夫だよ。僕のような素人と違って、長い間、訓練してきたって
言っていたから」
「そうよね。きっと大丈夫よね」
270AA10:02/11/20 06:15 ID:???

しばらくして、弐号機が僕らの乗っている空母の甲板にたどり着いた。
すると、弐号機を追ってきた使徒が、弐号機に飛びかかってきた。
弐号機はそのまま海へ落ちた。
近くで使徒を見た洞木さんは、怖かったのか体を震わせていた。
なんとか洞木さんを安心させたかった。
僕は、今まで生きてきた中で一番の勇気を出した。
エヴァに初めて乗ることを決めた時よりも。
そして、洞木さんの手を優しく握った。
洞木さんは驚いて僕を見た。
僕は黙って、洞木さんに微笑んだ。
洞木さんは僕の顔をしばらく見た後、頬を赤く染めて、再び外の方を見た。
もう、洞木さんの震えは止まっていた。

その後、いろいろあったが使徒は撃退された。
僕と洞木さんは、それまでずっと手を繋いでいた。

弐号機から戻ってきたアスカに、なぜかグーで殴られ、鼻血が出た。
ちょっと頭にきたけど、洞木さんが僕を手当てしてしてくれたので嬉しかった。

いつか、いや、明日にでも洞木さんに好きだという気持ちを告白しようと、
僕は決心していた。


fin
271BB01:02/11/20 17:42 ID:???
Both of Hikari, Dance Like Hikari Want to Win!

実は、僕はまだ洞木さんに告白していなかった。
空母の上で、洞木さんと一緒にいた時に告白することを決心したのに。
本当に自分が情けなくて、涙が出そうだ。


洞木さんと海を見に行った日から3日後、アスカが僕のクラスに転校してきた。
もう最悪な気分だった。
だって、彼女はすぐに暴力をふるうから。
初対面の時は、ビンタをもらったし、その後、グーで殴られるし、ネルフの本部で
会った時は蹴りを入れられた。
顔はあんなにかわいいのに、どうしてあんなに攻撃的なんだろう?
はっ! そう言えば、ネルフの女の人は、攻撃的な人ばかりだ。
ミサトさんは、以前、僕がちょっと反抗的な態度を取ったら、すぐに僕の頬に
平手打ちを食らわした。
綾波も僕をビンタした。
リツコさんは、使徒戦で僕や綾波が酷い目にあっても、平気な顔をしている。
その点、洞木さんはとってもやさしい。
早く、洞木さんと恋人同士になりたい。
今朝、登校中に、アスカにドイツ語で挨拶された。
当然、僕はアスカが何を話しているのか、全然わからなく、しどろもどろしていたら、
バカにされた。
日本語が話せるんだから、意地悪しなくてもいいのに。
その後、アスカに綾波の居場所を尋ねられたので、トウジやケンスケ達と一緒に
アスカを綾波の所へ連れて行った。
綾波はいつものように一人でベンチに座って、本を読んでいた。
272BB02:02/11/20 17:43 ID:???

「ヘロ〜、あなたが綾波レイね。プロトタイプのパイロット」
「・・・・・」

綾波は、黙ってアスカを見ているだけだった。

「あたし、アスカ、惣流・アスカ・ラングレー。エヴァ弐号機のパイロット。
仲良くしましょ」
「命令があればそうするわ」
「・・・・・変わった子ね」

僕はアスカもかなり変わっていると思ったが、それを言ったら殴られると
思ったので黙っていた。
だが、トウジは何も考えずに喋っていた。

「ほんま、エヴァのパイロットって、変わり者が選ばれるんちゃうか?」

アスカはそれをしっかりと聞いていて、トウジに回し蹴りを食らわせた。
その時に、スカートが捲れて、またしてもパンツが丸見え状態だった。
今度は、水色だ。
案外、アスカはパンツを見せたいのではないかと、僕は考えていた。
273BB03:02/11/20 17:44 ID:???

使徒がやってきた。
零号機は修理中なので、僕とアスカが出撃した。
アスカが何やら騒いでいた。
どうやら、自分一人に出撃させろということらしい。
僕は戦闘が怖いから出撃したくなかったけど、命令だから仕方なく乗ってるのに。
結局、アスカが先に攻撃を仕掛けることになった。
アスカが倒してくれれば、僕は楽なので、黙って見ていることにした。
そして、アスカが使徒を斬ったら、使徒が二体に増えた。
しかも、大きさが分裂する前と同じだった。
なぜ、大きさが半分にならないのか不思議だったが、ぼんやりしていたらミサトさんに
怒られてしまった。
攻撃をしても、使徒は全くダメージを受けていなかった。
だんだんと疲れてきたら、ミサトさんから撤退命令が出た。
アスカはまだ攻撃を続けると言って、その場から動かなかった。
僕はここで命令を無視したら、またミサトさんにビンタをもらうと思って、
すぐに撤退した。
僕が撤退後、N2爆雷が投下され、その衝撃でアスカの弐号機は上半身が頭から
地面に埋まった。
本部に戻ってから、アスカが「一人で逃げるな!」と言って、僕を殴った。
理不尽な暴力だったけど、文句を言うと、また殴られそうだったので黙っていた。
274BB04:02/11/20 17:46 ID:???

今回の戦闘の責任追及会議が行われた。
どうやら、使徒の体の28%が燃えてしまったらしい。
そのため使徒は動けないないのだが、事故修復とやらで体が元通りになり、六日後には
再び動き出すらしい。
いったい、体を元に戻すための物質はどこから得ているのだろうかと疑問が浮かんだ。
もしかして、足から土を食べているのかもしれないと考えていたら、冬月副司令が
僕たちに何かを質問していたのを聞き逃してしまった。
そのため僕は黙っているしかなかったが、アスカの答えが悪かったのか、アスカは
冬月副司令に怒られていた。


会議が終わってから、僕は食料品を買いにスーパーへ寄ってから、マンションに
帰った。
日差しが強く、荷物が重かったので、ドアの前に着いた時には、もうくたくただった。
部屋には誰もいないと思っていたが、習慣になっていたので、ただいまを言って
ドアを開けた。
そこには、たくさんの段ボール箱が積まれていて、部屋の中ではアスカが段ボールから
自分の荷物を出していた。
275BB05:02/11/20 17:47 ID:???

「な、何で惣流がここにいるんだよ」
「あんたこそ、まだいたの」
「まだって?」
「あんた今日からお払い箱よ」
「え?」
「ミサトはあたしと暮らすの。まあ、どっちが優秀かを考えれば当然の選択よねえ?」
「・・・・・」
「ホントは加持さんと一緒の方がいいんだけど...」

文句の一つも言いたかったけど、やっぱり殴られるのは嫌だったから、黙っていた。
それに、もう疲れていたから、アスカとケンカをするのも面倒だった。
ミサトさんが帰ってくれば、なんとかなると思ったので、とりあえず僕は食料品を
冷蔵庫に入れ、それから何も言わないで家を出た。
僕の友達の中で、と言ってもトウジとケンスケしかいないのだが、家が近いケンスケの
所へ行った。
本当は洞木さんの家の方が近いのだが、まだ恋人同士でもないのでそれはできない。
とても残念だ。
276BB06:02/11/20 17:48 ID:???
ケンスケの家でくつろいでいたら、ミサトさんに連れ戻されてしまった。
家に戻ってから、ミサトさんが説明した。

「第七使徒の弱点は一つ! 分離中のコアに対する二点同時の荷重攻撃。これしかないわ」
「・・・・・」
「つまりエヴァ2体のタイミングを完璧に合わせた攻撃よ。そのためには2人の協調、
完璧なユニゾンが必要なの」
「・・・・・」
「そこで、あなたたちにこれから一緒に暮らしてもらうわ」
「イヤよっ!昔っから男女七歳にして同衾せずってね!」
「使徒は現在自己修復中。第2波は6日後、時間がないの」
「そんなムチャなあ」
「そこで、ムチャを可能にする方法!2人の完璧なユニゾンをマスターするため、
この曲に合わせた攻撃パターンを覚え込むのよ。六日以内に一秒でも早く」

これを聞いて、僕は絶望した。
運動神経が鈍い僕が、アスカと同じ動きができるわけがない。
ぜったいに無理。
それに、あのアスカと一緒に暮らすなんて、僕に死ねということなんですか?
これから六日間もアスカの暴力とわがままを我慢できっこないです。
それこそ無理。
あー、これが洞木さんとだったら、僕は喜んで一緒に暮らすのに。

だが、命令には逆らえない僕は、結局、そのまま流された。
で、当然、ユニゾンも共同生活もうまくいかなかった。
傍目から見ても、アスカは爆発寸前だった。
僕は、最初の一日目でアスカに逆らうのは諦めた。
どうも、それがアスカには気に入らなかったみたいで、ますます機嫌が悪くなった。
僕はどうしていいのかわからなかった。
277BB07:02/11/20 17:49 ID:???

三日目に、僕とアスカがユニゾンの練習をしている時に、洞木さんが来た。
この三日間で荒んでいた僕の心は、洞木さんの顔を見たとたんに癒された。
洞木さんがまるで天使に見えた。
その他に、トウジとケンスケも来たけど、僕には洞木さんしか目に入らなかった。
なんだか、洞木さんは「不潔よ」と言っていた。
運動していたから、汗の匂いでもしたのだろうか?

その後、ミサトさんが綾波を連れて帰ってきた。
洞木さんは僕を心配したようで、ミサトさんに僕のことを尋ねていた。

「で、ユニゾンはうまくいってるんですか?」
「それが見ての通りなのよ」

アスカがミサトさんに言い訳をした。

「あったりまえじゃない! このシンジに合わせてレベル下げるなんてうまく
行くわけないわ。どだい、無理な話なのよ」

僕が鈍いのを知っているんだから、僕に合わせてくれてもいいのに。

「じゃ、やめとく?」
「他に人、いないんでしょ」

それを聞いた、ミサトさんは顔をニヤッとさせて、綾波の方を見た。

「レイ」
「はい」
「やってみて」
「はい」
278BB08:02/11/20 17:50 ID:???

そういうわけで、綾波とユニゾンをすることになった。
結果は、まるっきりダメだった。

「レイでもだめかー」

ミサトさんはため息をついた。

「ファーストでもダメなんだから、シンジが原因なのよ!」

アスカは得意げになって、そう言った。
だが、僕だけが悪いわけではない。
最近、わかったのだが、綾波はけっこう頑固なのだ。
父さんのことを悪く言ったら怒るし、ネルフの食堂でラーメンしか食べないのを
見て、もう少し栄養が有るもの、例えば肉料理を食べた方がいいよと言ったら、
肉は嫌いと言って、口をきいてくれなくなった。
それに、制服しか見たことがないので、「私服は着ないの?」と尋ねたら、
「必要ないもの」と言って、またしても口をきいてくれなくなったこともあった。
そんな綾波とユニゾンが合うわけないのだ。
これが、洞木さんとならバッチリなはずだと思う。
そんな僕の考えを察してくれたのか、ミサトさんが告げた。

「そうねー。気分転換をするのもいいかもしれないわね。洞木さん、やってみない?」
「えっ! わたしですか?」
「簡単な踊りだから、もう覚えたわよね?」

洞木さんは急に声をかけられて驚いたようだったが、すぐに返事をした。

「上手くできるかどうかわからないけど」
279BB09:02/11/20 17:51 ID:???

その後、洞木さんはレオタードに着替えた。
恥ずかしいのか体をモジモジとさせていたが、それはとてもかわいらしく、
僕は見とれてしまった。
そして、ユニゾンが始まった。
もう完璧だった。
息も揃い、まさに心が重なっているようだった
周りのみんなは、驚いて声も出せないでいた。
ユニゾンが終わった後、僕たちは見つめ合った。

「洞木さん、僕に合わせてくれて、ありがとう」
「ううん、碇君こそ、わたしに合わせてくれたから、うまくいったのよ」

なんだか、世界は僕と洞木さんだけのようだった。
だが、ミサトさんの声でそれは破られた。

「洞木さんがチルドレンならうまくいったのに。残念だわ」

この言葉を聞いて、ついにアスカがキレた。

「もう、やってらんないわ!」

そう言うと、アスカは僕を殴って、外へ出て行った。
僕は尻餅をつき、洞木さんが僕を心配そうに見た。

「シンちゃん、アスカを探してくるから、待ってて」
280BB10:02/11/20 17:52 ID:???

ミサトさんも出て行ってしまった。
仕方がないので、僕たちはお茶の時間を取ることにし、みんなでケーキを食べていた。
くつろいでいたら、電話が鳴った。
リツコさんからだった。

「シンジ君?」
「はい」
「ミサトは?」
「今、ちょっといないんですが」
「そう。ならシンジ君だけでも、今から本部に来てくれない」


本部に着くと、リツコさんから説明があった。

「あなた達、ユニゾンがうまくいってないようね」
「はい、すみません」
「それで、作戦を変更することにしたわ。今、使徒は活動を著しく低下させ、
ATフィールドも弱くなっているの。そこで、N2爆雷をさらに五発投下します。
MAGIの試算では、これで使徒の構成物質の73%を焼却することができるわ」
「はあ」
「これにより、使徒の活動はほぼ停止状態になるわ。そこをエヴァによって、
使徒のコアを同時に攻撃すれば、多少の時間差など関係なくダメージを与える
ことが可能よ」

これだったら、初めからそうすればいいのにと思ったが、それを言うと、
また変な注射を打たれそうだったので黙っていた。
その後、ミサトさんに連れ戻されたアスカと出撃して、作戦通りに使徒を殲滅した。
281BB11:02/11/20 17:53 ID:???

作戦終了後、葛城家で僕とミサトさん、アスカで話し合いがもたれた。
内容は、アスカとの同居の件である。

「絶対、イヤよ」

アスカは僕に家を出て行けと、強行に主張していた。

「落ち着いて、アスカ。なにもそんなに嫌がらなくてもいいでしょ。それに、
シンちゃんにもいいところがあるのよ」
「イヤ、イヤ、イヤ、イヤ、イヤ、ぜーったいにイヤ」

さすがにここまで言われては、僕も一緒には住みたくない。
それにこの三日間の同居生活で、彼女とこれからも一緒に暮らすことは無理だとわかった。
もう事を荒立てたくなかったので、言葉を選んでミサトさんに言った。

「もういいですよ、ミサトさん。僕が出て行きます。さすがに中学生の男女が
一緒に暮らすのは問題有りますよ」
「でも、...」
「気にしないでください。それに、一人暮らしにも憧れていたんです」
「シンちゃん...」
282BB12:02/11/20 17:54 ID:???

結局、僕が出て行くことで丸く収まった。
部屋が決まるまで、ケンスケの家に泊めてもらうことにした。

「ミサトさん、今まで、ありがとうございました」
「シンちゃん、帰って来たくなったら、いつでも戻ってきなさい」

アスカがいる限り、それは絶対にないと思ったが、とりあえず「はい」と返事をした。

僕は嬉しかった。
これで、僕は自由に、洞木さんを自分の部屋に呼ぶことができる。
あっ、その前に、洞木さんと恋人同士にならないと。


fin.
283CC01:02/11/21 07:21 ID:???
MAGMADIVER in the prison


僕は、学校に近いアパートの一室に引っ越した。
初めは、ネルフ本部内の宿舎に住むように言われたが、なんとかそれを
変えてもらった。
だって、本部から学校は遠いからね。
今は、学校に行くのが楽しいんだ。
なんといっても、洞木さんに会えるから。
実験とかで学校を休む日は一日中、憂鬱になるよ。
おかげで、シンクロ率も一向に上がらなく、リツコさんに叱られてばかりだ。
叱られるのは嫌だけど、シンクロ率とかハーモニクス値とか、エヴァに関することは
どうでもよくなっている。
もともと、エヴァには乗りたくなかったし、戦闘も怖いから嫌いだ。
アスカが来たから、素人同然の僕なんていなくてもいいと思う。
だから、チルドレンを辞めたいんだけど、辞めると先生のいる第二新東京市に
戻らなくてはならないだろう。
でも、それは洞木さんに会えなくなるから、絶対に嫌。
仕方がないから、まだエヴァに乗っている。
284CC02:02/11/21 07:23 ID:???

一人暮らしは、気分が楽だ。
やっぱり、僕は他人が怖い。
でも、洞木さんなら大丈夫だと思う。
それはともかく、他人と一緒に長くいるのが苦痛になる時がある。
ミサトさんは僕を家族と言ってくれたけど、時々、僕に冷たい時があるんだ。
使徒戦で、僕に死んでこいと言わんばかりの作戦を命令して平気な顔をしている。
本当の家族なら、そのような命令は決してしないと思う。
それに、家事を全部、僕に押しつけるしね。
やっと、葛城家の家事から解放された。
これで、朝寝坊ができる。
本当は料理を作るのは、あまり好きじゃないんだ。
ミサトさんの料理があまりも酷いから、僕が作っていたけど、面倒くさいからしたくない。
そんなだから、当然、料理は上達しない。
でも、ミサトさんの料理よりは美味いけど。
洞木さんに手料理を作ってもらうのが、今の僕の夢だ。


もうすぐ、中学生最大のイベント、修学旅行がある。
今年は、2泊3日で沖縄だ。
他人と旅行なんて、いつもの僕なら仮病でサボるとこだが、今回は違う。
だって、洞木さんと一緒だからね。
トウジやケンスケもいるけど、こっちはどうでもいい。
夏、青空、青い海、白い砂浜、夕日を見る二人。
この修学旅行で、僕は洞木さんに告白する。
そして、一夏の思い出を作るんだ。
というわけで、僕は修学旅行がとても楽しみだ。
285CC03:02/11/21 07:25 ID:???

修学旅行の準備のために、デパートへ行くと、偶然に加持さんと会った。

「やあ、シンジ君」
「加持さん、こんにちわ」
「シンジ君も買い物かい?」
「ええ、」
「加持さんも買い物なんですよね?」
「ああ、そうだよ。」
「でも、ここは女性の水着売り場ですよ」

僕はたまたま通りがかっただけだが、ここは水着売り場なのである。
そこに、加持さんが一人でいるのである。
どう見ても、怪しい人だろう。
だが、加持さんは平然と答えた。

「アスカの買い物につき合わされてな」
「惣流さんがいるんですか?」

僕はすぐにこの場を去りたくなった。
はっきり言って、アスカに関わって良いことにあったことがない。
僕はちょっとしたアスカ恐怖症になっていた。
ここから早く逃げないと。

「僕、まだ買い物が残っているので」
「まあ、シンジ君。そう急ぐこともないだろう。それに、一緒にアスカの水着選びに
つき合ってくれないかな」
「でも、僕、.....」
286CC04:02/11/21 07:25 ID:???

加持さんに引き留められていたら、着替えブースから声が聞こえてきた。

「か〜じさん、どうかな?」

声の方を振り向くと、アスカが水着姿で立っていた。
深紅のカットが大胆なビキニで、それが成長の早いアスカにとても似合っていた。
でも、性格がアレなのを知っているので、少し距離を置いた気分になっている。

「う〜ん、少し大胆すぎないか。どう思う、シンジ君?」

よせばいいのに、加持さんが僕に振った。
アスカはいかにも邪魔だと言いたげな顔で、僕を見た。

「アンタ、どうしてここにいるの?」
「いや、僕も買い物で、たまたま加持さんに会って、それで、...」

アスカに睨まれた僕は、しどろもどろで答えた。

「まあ、まあ、いいじゃないか、アスカ。それで、シンジ君。どう思う?」
「え〜と、よく似合ってると思います」
「はん、当然よ。このアタシに、似合わない水着なんて無いわ」
「そうだな、俺もよく似合っていると思うよ。それに、アスカがいつもより大人に見えるな」
「加持さん、うれしいー!」

アスカは、そう叫ぶと水着姿のまま加持さんに抱きついた。
加持さんはなんだか鼻の下を長くしていた。
もしかして、父さんと同じく、加持さんもロリコンなのかもしれないと思ってしまった。
287CC05:02/11/21 07:26 ID:???

修学旅行の準備も終わり、僕は今すぐにでも沖縄へ行きたい気分になっていた。
それなのに、葛城さんは、...。

シンクロテスト後のミーティングで、僕たちチルドレン3人はミサトさんに告げられた。
ミサトさんと呼ぶのも嫌だから、葛城さんと呼ぶことにしよう。

「エエ〜ッ! 修学旅行に行っちゃダメ〜!」
「・・・そ」
「どうして!?」
「戦闘待機だもの」
「いつも、いつも、待機、待機、待機、待機! たまには敵の居場所をつきとめて
攻めにいったらどうなの?」
「それが出来ればやってるわよ」

このとき、僕は怒りのあまり声を出せないでいた。

「ちょっと、あんたも何か言いなさいよ!」

アスカが僕に振った。

「葛城さん」
「な、なによ、シンちゃん。葛城さんだなんて。いつも通りにミサトと呼んでよ」
「いえ、葛城さん。どうしても、修学旅行に行くのはダメなんですか?」

僕はかなり怒っていたようで、葛城さんはたじろいていた。

「そ、そうよ」
「どうしてもですか?」
「そう、どうしても」
288CC06:02/11/21 07:27 ID:???

僕は葛城さんが自分の意見を決して変えないのを知っているので、これ以上は無駄と
判断し黙った。

「アンタ、もう諦めたの?」
「うん」
「はん、情けないヤツ」
「・・・・・」

その後も、アスカは葛城さん、何か言いにくいのでミサトさんでいいや、に詰め寄った。
だが、戦闘待機は変わらなかった。


今週は、学校の当番が洞木さんと一緒である。
でもネルフの仕事で、ほとんど学校へ行けなかった。
だから、今日の放課後、当番の仕事で洞木さんと二人っきりになった時は嬉しさで
倒れそうになった。

「碇君」
「なに、洞木さん?」
「アスカに聞いたんだけど、修学旅行に行けないの?」
「う、うん」

洞木さんがとても悲しい目をしているように僕は見えた。

「そうなんだ」

それっきり、洞木さんは黙ってしまった。
この時、僕は決意した。
289CC07:02/11/21 07:29 ID:???

僕は葛城さんが自分の意見を決して変えないのを知っているので、これ以上は無駄と
判断し黙った。

「アンタ、もう諦めたの?」
「うん」
「はん、情けないヤツ」
「・・・・・」

その後も、アスカは葛城さん、何か言いにくいのでミサトさんでいいや、に詰め寄った。
だが、戦闘待機は変わらなかった。


今週は、学校の当番が洞木さんと一緒である。
でもネルフの仕事で、ほとんど学校へ行けなかった。
だから、今日の放課後、当番の仕事で洞木さんと二人っきりになった時は嬉しさで
倒れそうになった。

「碇君」
「なに、洞木さん?」
「アスカに聞いたんだけど、修学旅行に行けないの?」
「う、うん」

洞木さんがとても悲しい目をしているように僕は見えた。

「そうなんだ」

それっきり、洞木さんは黙ってしまった。
この時、僕は決意した。
>>289
二重カキコでした
291CC07:02/11/21 07:31 ID:???

そういうわけで、僕は勝手に修学旅行へ行くことにした。
早朝、僕は集合場所の空港へ行くために、駅へ向かった。
駅のプラットホームで電車を待っていたら、ネルフ保安部の人達に捕まり、
本部へ連れて行かれた。
僕は抵抗したが、所詮、敵うはずもなかった。
本部の一室で、ミサトさんと対面した。

「シンジ君。どうして、また逃げたの?」
「はあ。僕は逃げてませんよ」
「あなたは、ここから逃げて、どこかへ行こうとしていたでしょ!」
「それ、違います」
「違うって、どういうことよ?」
「修学旅行に行こうとしただけです」
「修学旅行?」
「そうです」

ミサトさんはぽかーんと口を開けて僕を見たが、しばらくして拳を握りしめ、
体を震わせた。

「ふざけるんじゃないわよ! あなた、エヴァを、人類を守る仕事を軽く
考えてるんじゃないわよ!」
「でも、その前に僕は中学生です。修学旅行に行くのは当然の権利で..」

と、言い終わる前に、ミサトさんは僕を殴った。
僕はイスから転げ落ちながら、前にもこのようなことがあったと思っていた。

「シンジ君、少しの間、一人で反省しなさい!」

そう言い残して、ミサトさんは部屋から出て行った。
292CC08:02/11/21 07:32 ID:???

結局、僕は三日間の独房入りになった。
何もすることが無かったので、寝ていた。
夢の中に洞木さんが現れたのがうれしかった。
エッチな夢ではなかったけど。

独房から出た日は、修学旅行が終わる日でもある。
僕は本気でネルフを辞めようかと考えていた。


その後、学校へ行ったら、トウジやケンスケが僕にお土産を持ってきてくれた。
そして、なんと、洞木さんも僕にお土産を持ってきてくれたのだ。
それは星の砂で、洞木さんらしいと思った。
これは僕の一生の宝物になるだろう。


ところで、僕が独房に入っている間に、アスカが使徒を倒したらしい。


fin
293292:02/11/21 07:36 ID:???
一話限りで気分転換のつもりでしたが、こっちの方が書くのが楽しくなりました。
このまま、これを続けていいでしょうか? 面白くないなら止めます。
問題ない。
>>-254は?
296293:02/11/21 14:39 ID:???
>>294
了解。

>>295
今、プロットを練り直し中です。
予想されているでしょうが、こちらは甘くはなりません。
イタモノに近い感じになると思います。
書きたいものを書くのが一番だよ。
298293:02/11/21 14:50 ID:???
waiting for the light は、本当はこれから先が書きたい部分になるのですが、
うまく考えを整理できなくて悩んでいます。
もっと文章表現力や構想力があればいいのですが。
気分転換にFFSのLHS中・短編を読む。
やっぱり、面白い。
特に、ヒカリとシンジとの子供の話と、ヒカリがピアニストの話が良かった。
3005-01:02/11/25 11:01 ID:???
waiting for the light.  No.5


教室に碇シンジと鈴原トウジの姿はない。
惣流・アスカ・ラングレーは授業を受けているが不機嫌そうな、それでいて心配そうな
表情をしている。
洞木ヒカリは戦いの後にシンジが学校にいないので、また怪我をして入院したのでは
ないかと不安だった。
トウジが学校にいないことを気になったが、トウジの妹が入院初期の頃に学校を休み
がちだったので、妹に関することではないかと考えていた。
一時限目の授業が終わり、ヒカリはアスカの元へ行くと、アスカの隣の席に腰をかけ、
問いかけた。

「アスカ、碇君が学校に来てないけど、どうしたの?...まさか、怪我したの?」

アスカはヒカリから目をそらし、シンジのことを言うのを嫌なそうな表情をした。

「シンジは大丈夫よ。アイツ、ちょっと部屋に閉じこもっているだけだから」
「碇君に何かあったの?」

シンジの弱い部分の一端をかいま見たことがあるヒカリは、またシンジに辛いことが
あったのかと思った。

「うん、ちょっとね。だけど、仕方がなかったのよ。それを、アイツはまた
ウジウジとして...」
「ねえ、アスカ。一体、何があったの?」

話すかどうか躊躇った後、アスカはヒカリに話し始めたが、その表情は暗く翳っている。
3015-02:02/11/25 11:03 ID:???

「いいわ。いつかはわかってしまうことだから」
「・・・・・」
「鈴原のヤツがフォースチルドレンに選ばれたのよ」
「鈴原が!!」
「ええ、そう」

ヒカリは驚いて、席を立ち上がった。
そして、すぐに二日前の戦いでトウジに何かあったのではないかと考えた。

「鈴原はどうしたの? アスカ、教えて!」

アスカは視線は机の上を向け、静かに、そして躊躇いがちに話した。

「詳しいことは言えないけど、鈴原は怪我をして、入院しているわ」
「入院?、...アスカ! 鈴原は無事なの?」
「ええ、無事よ。命に危険はないわ」

ヒカリは無事と聞いて安堵したが、何かを隠しているかのようなアスカの言葉に
不安を感じた。

「ねえ、アスカ。怪我って、どの程度のものなの?」

アスカはヒカリの不安そうにしている目を見つめ、彼女にショックを与えないよう、
気を配りながら話した。
3025-03:02/11/25 11:04 ID:???

「ヒカリ、落ち着いて聞いてね。...鈴原は右足を失ったわ」

この言葉を聞くと、ヒカリは両手を口に当て、目を大きく見開いた。
顔色は蒼白で、今にも倒れてしまいそうだった。

「ヒカリ! しっかりして!」

アスカは立ち上がり、ヒカリの肩を揺すった。
しばらくして、ヒカリはゆっくりとイスに座ったが、その目は虚ろである。
ヒカリは血の気が引いた白い顔をアスカに向け、ゆっくりと口を開いた。

「教えて、鈴原はどこにいるの? ねえ、アスカ、教えて!」

ヒカリは始めは小さな声で、しかし、終わりの方は詰問するかのようだった。
そのヒカリの様子に、アスカは一瞬、体を後ろに引いていた。

「ネルフの病院。でも、まだ面会謝絶で会えないわ」

ヒカリは席を立ち上がって教室を出て行こうとしたが、アスカがヒカリの右手を
掴み、それを止めた。

「離して!」
「ヒカリが行って、どうするの? まだ、誰も会えないのよ」
「でもっ!」
3035-04:02/11/25 11:05 ID:???

アスカはヒカリの肩を掴み、自分の方へ向けさせた。

「落ち着いて。鈴原に会えるようになったら、ヒカリに教えるから」

アスカがヒカリの目をじっと見つめると、ヒカリは体の力を緩め、イスに座った。
ヒカリの目が普通の色に戻るのを見て、アスカはほっとしたが、すぐに顔を微かに
歪めた。

「ヒカリにはもう一つ言わなくてはならないことがあるの」
「・・・・・」
「機密事項だから、本当は言ってはいけないんだけど、.....鈴原の怪我は、
シンジが関係しているのよ」

ヒカリは驚きのあまり声を出せない。

「どうしてそうなったかは言えない。でも、ヒカリ、これだけはわかって。シンジは
悪くないのよ。もしかすると、シンジが死んでいたかもしれないの。だから、シンジを
わかってあげて」
「・・・・・」

ヒカリは何も答えずに戻っていった。
3045-05:02/11/25 11:05 ID:???


午前中、ヒカリは何も考えることができないでいた。
昼休みも自分の席に座ったまま身動き一つしなかった。
午後になり、ようやく考えることができるようになった。
とにかく鈴原が無事で良かった。
右足を失ったと言われたが、その実感は浮かんでこい。
鈴原に会って、無事な様子を確認したい。
次に、鈴原とシンジの間に何があったのかを知りたかった。
なぜ、シンジが鈴原の脚を奪うようなことになってしまったのだろうか?
エヴァが関係していることは明らかだが、本当のことを知りたい。
アスカはきっと教えてくれないだろう。
だから、シンジ自身の口から理由を聞きたかった。
でも、シンジはこのことにショックを受け、心を閉じているかもしれない。
その時は、自分がシンジを励まし元気づけたい。
しかし、そのようなことが自分にできるのだろうか?
いったい、わたしには何ができるのだろう?
いや、わたしにできることなどあるのだろうか?

3055-06:02/11/25 11:07 ID:???


放課後、ヒカリはアスカと一緒に葛城家へシンジに会いに行った。
マンションへ続く道は遠く感じられ、それがヒカリの不安な胸の内をいっそう重くした。
二人がマンションのドアの前に着くと、アスカはヒカリに顔を向けた。

「ヒカリ。...シンジのヤツ、何も話さないかもしれないけど、気にしないで。
アイツ、今回のことでかなりまいっているから」

ヒカリはその言葉に黙って顔を縦に振った。
二人はマンションの中に入り、シンジの部屋へ向かった。
家の中は、ゴミが散らかり、テーブルの上にはコンビニ弁当の空き容器がそのまま
置かれている。
シンジが家事をしていないことは明らかだ。
二人がシンジの部屋の前に立つと、アスカが襖をノックした。

「シンジ、いるの?」

返事は返ってこない。
アスカは苦い表情を浮かべた。

「アンタ、まだ鬱ぎ込んでいるの? いい加減にしなさいよ!」
3065-07:02/11/25 11:08 ID:???

アスカが襖を乱暴に開けた。
照明が灯されていない部屋の中は暗く、リビングから人工の光だけが漏れ入っている。
アスカとヒカリは部屋の中に入り、ベットの上を見た。
そこには、シンジが両膝を抱え、蹲って座っていた。
シンジは一瞬、ヒカリ達の方を見たが、すぐに視線を元に戻し、何もない壁を見ている。
目に生気はなく、時々、体を震わせていた。
ヒカリはこのようなシンジを見て、かける言葉を失った。
近頃、陽気に元気になってきていた少年が、今はもういないように思えた。
まるで、シンジが転校してきた頃のようである。
アスカがシンジの前に立った。

「アンタがいつまでもウジウジしていると、こっちまで気が滅入るのよ。
 それに、あれはシンジが悪いわけじゃないでしょ。あのままだったら、アンタが
死んでいたわ。鈴原だって死んでいたかもしれないのよ」

シンジはアスカの方を振り向いて、小さな声で言葉を吐いた。

「僕が悪いんだ。僕が悪いんだよ。僕がこの手でトウジを傷つけたんだ」

自分の右手を、シンジは見ている。
ヒカリはシンジを見て、ただ立ち尽くすしかなかった。
シンジから話など聞けそうにもない。
シンジを励ますことなど、自分には無理なように思える。
だが、ここで黙ったままではいけないと感じ、シンジに声をかけた。

「碇君」

シンジはヒカリに視線を向けたが、焦点は定まっていない。

「わたしは詳しいことはわからないわ。でも、碇君は悪くないと思う。だから、...」
3075-08:02/11/25 11:10 ID:???

ヒカリが言葉を続けようとした時、シンジは急にヒカリの前に立ち上がった。

「委員長に、何がわかるんだよ! 何も知らないくせに、勝手なことを言わないでよ!
僕が、僕がトウジを傷つけたんだ。だから、僕が悪いんだ」

シンジの勢いに、ヒカリは半歩、後ずさり、シンジが自分を委員長と呼んだことに
対して、拒絶を感じた。
そこに、アスカが割って入った。

「シンジ! ヒカリに八つ当たりするんじゃないわよ」

アスカはシンジを睨みつけた。
しばらくして、シンジはまたベットの上に座り、小さな声で、だがはっきりと
言葉を吐いた。

「出てって。もう僕にはかまわないで。お願いだから」

それっきりシンジは動かなくなり、アスカはこれ以上は何を言っても無駄と判断し、
ヒカリを連れて部屋を出た。

「アイツ、もうダメかもしれないわね」

部屋を出る時、アスカが誰に言うともなく呟いているのを、ヒカリは聞いた。

次の日も、ヒカリはシンジに会いに行ったが、シンジは昨日と変わらず部屋に
閉じこもり、何も語らなかった。
3085-09:02/11/25 11:11 ID:???


その翌日、ヒカリはトウジの病室にいた。
アスカからトウジに会えるようになったことを聞き、学校が終わってからまっすぐ
ここに来た。
広く白い病室の中に、ベットが一つだけ置かれ、その上に鈴原トウジは腕に点滴を
打たれて寝ている。
ヒカリはベットの横に座り、トウジが目を覚ますのを待っていた。
トウジにかけられているシーツには、右足の部分に膨らみはない。
それは見て、ヒカリはトウジの身に起こったことを初めて実感した。
目から涙がこぼれ落ち、長い間、それは止まらなかった。
太陽が傾きかけた頃、トウジは目を開いた。
もう涙は止まっていた。

「なんや、イインチョやんか」
「鈴原、..大丈夫?」
「ああ、生きとるみたいやな」

トウジはまだ麻酔が効いているのか、眠たげな目をしている。

「イインチョは、どうしてここにおるねん?」

トウジが変に気を回すようなところがあるのを知っているので、ヒカリは出来るだけ
何でもないかのように振る舞った。

「あ、ここに来たのは委員長として、公務で来たのよ。それ以外の何でもないのよ」

だが、ヒカリは自分の声が震えていないかどうか自信がなかった。

「ああ、わかっとるわ」
3095-10:02/11/25 11:13 ID:???

トウジは顔を窓の方に向け、外の方を見る。
ヒカリはトウジにどのような言葉をかけていいのかわからず、両手を膝の上にのせ、
拳を握りしめながらトウジを見ているしかない。
病室の壁に掛けてある時計の針が静かに動いている。
再びトウジはヒカリの方を向いた。

「午前中な、シンジがミサトさんと一緒に来たんや」
「そう...」
「ミサトさんから、説明を聞いた。なにやら、ワシがヘマしたせいでシンジに
迷惑かけたみたいやな」
「・・・・・・・」
「シンジな、ワシに謝るねん。何度も、何度も。ワシが悪いのやから、シンジが
謝ることなんてないねん。それにな、シンジが止めてくれな、自分、死んでいた
かもしれへん。そやから、シンジに感謝しとるんや」
「鈴原...」
「でも、シンジやから、仕方がないやろな。...イインチョ、シンジに会うたら、
ワシのことは気にするなと言うといてや。ワシが言うてもダメやったけど、
イインチョなら何とかなるかもしれへんしな」

ヒカリは顔を小さく横に振った。

「わたしでは、駄目だと思う」

この二日間で、自分ではシンジを立ち直らせることはできないのではないと、半ば諦めかけていた。
ヒカリのうなだれている姿を見て、トウジはため息をついた。

「しょうがないやっちゃ、シンジのヤツは」

その後、トウジは白い天井を黙って見つめていたが、しばらくの後、ヒカリに
話しかけた。
3105-11:02/11/25 11:14 ID:???

「なあ、イインチョ。ワシ、今までシンジに悪いことばかりしてきたわ。初めて
会うた時なんて、訳も聞かずに殴りつけたしな。こんなん目に会うて、シンジ達が
命がけの戦いをしていたことにやっと気がついたわ。ホンマ、ワシはアホやな」

ヒカリは何も言えなかった。
自分もシンジを好きになるまで、シンジ達が生死をかける戦いをしていることを
考えもしなかったのである。
そして、トウジが片足を失ったのを見て、彼らが死と隣り合わせにいることを
初めて実感した。
そのような自分が、トウジに対して何も言えるはずがない。
二人は長いこと黙ったままだったが、先にトウジが口を開いた。

「イインチョー?」
「なに? 鈴原?」
「ワシ、こないな体になってもうたが、シンジ達に何か役立つことができたろうか?」
「.....できたと思うわ」
「そやな。..そう思いたいな」

ヒカリは再び涙を流した。
トウジの顔がぼやけて見える。
自分の泣いている姿を見せて、彼に心配をかけたくないので、トウジに背を向けた。
トウジはヒカリが泣いているのに気づいていたが、それに気づかぬふりをして声をかけた。

「ワイが退院したら、退院パーティを盛大に開いてな」
「わ、わかったわ」
「食いもん、ごっつう用意してな」
「も、もちろんよ」

トウジに答えるその声は、涙声になっていた。
3115-12:02/11/25 11:17 ID:???


シンジはミサトと一緒に司令室へと続く通路を歩いていた。

「シンジ君、本当にパイロットを辞める気なの?」
「はい」

トウジに会って、シンジはエヴァのパイロットを辞める決意を固めた。
自分がしたことの結果を、トウジの右足を失った姿を見ることにより、さらに
思い知らされた。
人を傷つけるくらいなら、自分が傷ついた方がいい。
このままここにいて、エヴァに乗り続ければ、再び誰かを傷つけるかもしれない。
だから、ここを、ネルフを去るしかない。
だが、シンジは自分のことだけで、自分の周りにいる人のことを全く考えていない。
それは自分の心を傷つけないように、誤魔化しているに過ぎなかった。



司令室の中は薄暗く、ゲンドウは窓の近くに置かれた大きな机に座っている。
机の横にはリツコが立っている。
シンジはゲンドウのいる机から、少し距離を置いて立ち、ミサトはシンジの
斜め後ろにいる。
ゲンドウの前に黙って立っているだけで、シンジは口を開かない。

「用があるなら早くしろ。私は忙しいのだ」

ゲンドウの感情が込められていない声に促され、シンジは話し始めた。

「僕はもうエヴァに乗りたくありません」
「わかった。ならば、もう用はない。出ていけ」
3125-13:02/11/25 11:18 ID:???

シンジの言葉に、ゲンドウは即答し、それがシンジを苛ただせた。

「父さん、それだけなの? トウジがあんなことになってもなんとも思わないの?
どうして、僕に戦わせたの? 僕は、もう嫌なんだ。あの時だって、僕が死んで
いた方がよかったんだ」
「使徒は殲滅すべき敵だ。それ以上でも、それ以下でもない」
「で、でも!!」
「シンジ、オマエがもし死んでいたならば、その後、どうなるかを考えたか?」

ゲンドウに問われて、初めてシンジはそのことに思い至った。
自分が死んでいたら、エヴァが守っていない本部がどうなるかは容易に想像できた。
街を破壊され、本部を攻撃され、その結果、多くの人が死ぬことになったであろう。
だが、それでもトウジの脚を奪った罪悪感が消えることはなかった。

「.....駄目なんだ。僕はもうエヴァに乗れない」

シンジはトウジが乗ったエントリープラグを潰した時の手の感触を思い出し、
その右手を見る。

「僕は先生のところへ帰ります」

ゲンドウはシンジをサングラス越しに一瞥すると静かに言い放った。

「また逃げ出すのか」
「・・・・・」

シンジは床を見ているだけで、何も答えようとしない。

「おまえには失望した。もう会うこともあるまい」
3135-14:02/11/25 11:19 ID:???

シンジはその言葉を聞き、ゲンドウの顔を悔しそうな、それでいて寂しそうな
表情で見たが、すぐに背を向け、司令室から出て行こうとした。
ゲンドウと司令室のドアとの中間地点に、シンジが差し掛かった時、ゲンドウが
声をかけた。

「待て、シンジ。一つ聞きたいことがある」

シンジはゆっくりとゲンドウへ振り返った。

「もう、僕には用がないんじゃなかったの?」

ゲンドウは、いつもの両肘を机につき両手を口に当てるポーズをしている。

「なぜ、ユイの名を呼んだ?」
「何のことだよ」
「先の使徒戦で、オマエはユイの名を呼んだ。なぜだ?」

シンジは使徒戦を振り返り、自分が母は呼んだことを思い出した。

「僕が母さんを呼んだこと?」
「そうだ」
「...初号機の中にいると、母さんがいるような感じがする。だから、母さんと
言ったんだ」
3145-15:02/11/25 11:20 ID:???

ゲンドウは黙したまま、シンジを見ている。
少しの時が流れた。

「行け」

ゲンドウがそう告げると、シンジは歩き出そうとしたが立ち止まり、再度ゲンドウへ
振り返った。

「父さん。綾波は、僕と親戚かなにかなの?」

ゲンドウは、一瞬、サングラスに隠された目を大きく見開いた。

「なぜだ?」
「記憶の中の母さんと、綾波が似ている。だから、母さんと関係があるのかと思った。
それに、父さんは綾波に優しいから」
「.......レイは、ユイとは何の関係もない」
「そう」

シンジはそのまま司令室を出て、ミサトがシンジの後を追った。
部屋の中には、ゲンドウとリツコだけが残っている。
リツコはゲンドウを見て、問いかけた。

「シンジ君、気がついているかもしれませんわね」

それに対するゲンドウの答えはなかった。
3155-16:02/11/25 11:22 ID:???


翌日、新箱根湯本駅の前にシンジとミサトは向かい合って立っていた。
シンジは制服姿にバックを一つと、第三新東京市に初めて来た時と同じ姿をしている。
二人の側にはネルフの公用車が止まっており、ミサトの帰りを待っていた。

「アスカは呆れて来ないでしょうね」
「ええ、『よろしく』とも言ってなかったわ」
「彼女らしいです。安心しました。...あと、洞木さんに、僕が謝っていた
と伝えてもらえませんか。僕を心配してくれたのに、彼女に酷いことを言って
しまったので」

シンジは第二新東京市へ戻ることを、誰にも話していなかった。
当然、ヒカリもシンジがこの街を離れることを知らないでいる。

「シンジ君。もう一度、考え直すつもりはないの?」
「ありません」

ミサトはシンジのいつものおどおどしているような目ではなく、決意を固めている
目を見ると、もうこれ以上の説得は無理だと判断した。

「鈴原君のことは悪かったと思っているわ。
 どんな言葉で取り繕っても、あなたの心の傷を癒せないでしょうけど。
 でも、シンジ君。これだけは覚えておいて。
 あたしは、あなたに自分の夢・願い・目的を重ねていたわ。
 いえ、あたしだけじゃない。
 それが、あなたの重荷になっているのがわかっていても、あたしたち、
ネルフのみんなは、あなたに未来を託すしかなかったのよ」
3165-17:02/11/25 11:23 ID:???

ミサトは、自分の思いをシンジに語った。
その思いが、自分の身勝手な言い分だとわかっていても、言わずにはいられなかった。

「でも、僕には重すぎます。僕は、みんなが未来を託すような人間ではありません。
僕には無理です」
「・・・・・」
「それに、僕はもうエヴァには乗れません。エヴァが怖いんです。トウジのエントリー
プラグを潰した感触が右手に残っているんです」

シンジは右手を胸の前に上げ、その手のひらを見ている。

「ごめんなさい。勝手な言い分だったわね。本部までのパスコードとあなたの部屋は
そのままにしておくから」
「帰ってくることはないと思います。...僕なんかに期待しないでください。
僕は臆病でダメな人間なんです」

そう言うと、シンジは改札口の方へ歩いていった。
改札を通る前に、ミサトへ振り返り、別れを告げた。

「さよなら、ミサトさん」

3175-18:02/11/25 11:24 ID:???


シンジが駅のプラットホームで電車を待っている頃、使徒が侵攻中であった。

第三新東京市全域に、使徒襲来の警報が鳴り響き、シンジも誘導に従って避難しようと
していたが、はぐれてジオフロント内部に入り込んでいた。
そこでは、エヴァ弐号機と使徒が交戦中であった。
その後、使徒の強大な攻撃力の前に、弐号機は為す術もなく両腕と首をはねられ、
動きを止めた。
その様子を見ても、シンジはもう自分には関係がないことだと思い込もうとした。
不意に、シンジは声をかけられた。

「シンジ君じゃないか?」
「加持さん! 何やってるんですか? こんなところで」

加持が手にじょうろを持って立っている。
シンジは知らず知らずのうちに、加持のスイカ畑の近くに来ていた。

「それはこちらの台詞だよ。何やってるんだ? シンジ君は」
「...僕は、僕はもうエヴァに乗らないから...そう決めたから...」

一呼吸を置いて、加持は軽い調子で話し始めた。
戦闘がすぐ側で行われているのに、まるで雑談をするかのようであった。

「...そうか。俺は、アルバイトが公になったんでね。戦闘配置にオレの居場所は
なくなった。以来、ここで水を撒いてる」
「こんな時にですか?」
「こんな時だからだよ。葛城の胸の中もいいが、やはり死ぬ時はここにいたいからね」
3185-19:02/11/25 11:26 ID:???

加持はそう言うと、スイカに水を撒き始めた。
死ぬという言葉と、じょうろを手に持ってスイカに水を与えている加持の姿に、
シンジは大きな違和感を感じた。
シンジに死の実感はなかった。

「死ぬ?」
「そうだ。使徒がここの地下に眠るアダムと接触すれば、人は全て滅びるといわれている。
サードインパクトでね。それを止められるのは使徒と同じ力を持つ、エヴァンゲリオンだけだ」
「そんな」
「シンジ君、オレはここで水を撒くことしかできない。だがキミにはキミにしかできない、
キミにならできる事があるはずだ」
「・・・・・」
「誰もキミに強要はしない。自分で考え、自分で決めろ。自分が今、何をすべきなのか。
...ま、後悔のないようにな」

加持は優しい目でシンジを見ている。
だが、

「後悔なら、今までたくさんしてきました。この前だって、僕はトウジを...」
「・・・・・」
「それに、加持さん、その言い方はずるいですよ。そのようなことを言われたら、
エヴァに乗るしかないじゃないですか」
3195-20:02/11/25 11:28 ID:???

加持は目を鋭く険しいものに変えた。

「そう言われると、俺もつらいな。だがな、シンジ君。俺はキミに期待しているんだよ。
俺には出来なかったことを、キミなら出来るのではないかと思っているんだ」

シンジは加持に向けていた視線をそらし、足下に向けた。

「加持さんも、僕に期待するんですね。..でも、僕に期待しないでください。今だって、
エヴァに乗るのが怖いから逃げているだけです。僕はダメな人間なんです」

加持はため息をつくと、再び水を撒き始めた。

「俺の期待はシンジ君には重荷なだけだったようだ。まあ、俺はここでスイカと共に、
この戦いの結末を最後まで見届けるさ」

シンジは、その場に立ち尽くし動かなかった。

「シンジ君は早くシェルターへ避難した方がいい。俺と一緒にここで死ぬことはない」

加持が言い終わったその時、ミサイルが流れてきて、近くで爆発した。
事態が切迫していることを感じ、加持はシンジの手を掴むと歩き出した。

「シェルターへ行くぞ。キミをこのまま死なせるわけにはいかないからな」

シンジは黙って、加持について行った。

3205-21:02/11/25 11:29 ID:???


シンジと加持がシェルターへ向かっていた頃、初号機の起動にレイが失敗していた。
その後、レイは片腕が無い状態の零号機に乗って出撃し、その片腕にはN2爆弾を抱えていた。



ヒカリは、ネルフ本部に近いシェルターの中にいた。
トウジの見舞いに行こうとしていた時、使徒が襲来し、シェルターに避難したのだった。
本部に近いこともあって、シェルターの中にはヒカリの他には誰もいない。
ときどき爆発音が聞こえる中、一人で戦闘が終わるのを待っていることに、恐怖を感じていた。
そのような時、シェルターの中に人が入ってくるのを見つけた。
それは、シンジと加持だった。
シンジを確認すると、ヒカリはシンジの元へ駆けだした。
まだ顔色はあまり良くないが、一昨日に会った時よりも生気が戻ったシンジの顔を
見ると、ヒカリは安心し、戦闘下にいるという不安が薄れていった。

「碇君」
「洞木さん、どうしてここにいるの?」
「鈴原のお見舞いへ行く途中だったの」
「そう」

シンジは顔色を暗く変え、俯いてしまった。
ヒカリは、自分が不用意なことを言ってしまったことを後悔した。
3215-22:02/11/25 11:31 ID:???

その後、3人は床に座り、ヒカリはシンジの隣に腰を下ろした。
落ち着きを取り戻したヒカリは、なぜシンジがここにいるのかを疑問に思った。
それを尋ねていいのかどうか迷ったが、意を決してシンジに問いかけた。

「碇君。どうしてここにいるの?」

シンジはヒカリの顔を見ると、苦しそうに言葉を吐いた。

「僕は、...エヴァのパイロットを辞めたんだ。だから、今日、第二の先生の所へ
帰るはずだった。...でも、使徒が来たから、今はここにいる」

シンジの言葉に、ヒカリは衝撃を受けた。
トウジのことについては、心の整理をつけている。
詳しいことは依然としてよくわからないが、シンジがトウジを救ったと理解した。
トウジの右足は失われたが、もしシンジがいなかったら、トウジは生きていなかった
かもしれない。
シンジが負い目を感じることはない。
だが、シンジが己を責め続けることをわからなくもなかった。
シンジが不必要に自分自身を責める傾向があることを、ヒカリは知っている。
人一倍、傷つくのを恐れ、そのために心を閉ざしかけている少年。
自分はシンジに同情しているのかもしれない。
でも、公園でシンジと確かに心が繋がったと感じた。
そして、今、シンジを好きだと思っていることは本当だと確信している。
そのシンジが自分から離れて行ってしまう。
そして、自分にはエヴァしかないと言っていたのに、そのエヴァのパイロットを辞める
決心をするシンジの心情を考えると、心の中が悲しみに溢れた。
シンジの力になりたい。
でも、何も出来ない自分に、ヒカリは悔しい思いをしていた。
だから、ヒカリはシンジの話を聞くしかなかった。
3225-23:02/11/25 11:32 ID:???

外から爆発音が聞こえ、シェルター全体が揺れ、ヒカリはキャッと声を上げた。
シンジはその声を聞き、ヒカリを見ると、苦しげな表情でヒカリに謝った。

「ごめん。洞木さん」
「どうして謝るの?」
「僕がエヴァに乗らないでここにいるから、洞木さんに怖い思いをさせている」

ヒカリは自分のことはどうでもよかった。
ただ、シンジのことだけを考えていた。

「わたしのことはいいわ。でも、碇君はエヴァに乗って戦いたいの?」

シンジは前を向いて、目に懺悔の色を浮かべながら、小さな声で語った。

「僕は、エヴァに乗って、アスカを、綾波を、みんなを助けるべきだと思う。
.....でも、ダメなんだ。エヴァが怖い。まだ、トウジを潰した感触が、
手に残っている。僕はエヴァに乗れないし、乗りたくないんだ」

ヒカリは、シンジを優しく見つめた。

「わたしは、碇君がエヴァに乗りたくないのなら、それでいいと思うわ」

シンジは驚いた顔をして、ヒカリの顔を見た。

「どうして?」

ヒカリは何か吹っ切れたような表情だった。
3235-24:02/11/25 11:34 ID:???

「碇君が戦いたくないのに、それをわたしが無理強いすることなんて出来ないわよ」
「でも、僕が戦わないと、みんなが死ぬかもしれないんだよ。それに、洞木さんだって
死ぬかもしれない」
「そうね。わたし達、死ぬかもしれないわね。でも、碇君は今までがんばって戦って
きたわ。その碇君が決めたことですもの、わたしはそれを受け入れるわ」
「・・・・・」

ヒカリは場違いな笑みを浮かべ、クスッと笑った。

「でも、お姉ちゃんやアスカに怒られるわね。どうして、碇君を励まさないんだって」

シンジはこの時になって初めて死を感じた。
自分が大切に思っていた少女が死んでもいいと言っているのである。
ヒカリがいなくなったことを考え、身を震わせた。
そして、なぜヒカリがこのようなことを平気な顔で言うのか不思議に思った。

「洞木さんは、どうして平気でいられるの? 死ぬかもしれないんだよ。人類が
滅びてしまうかもしれないんだよ。僕に戦えって、なぜ言わないの?」

「.....今まで、わたしは碇君に守られてきたわ。
 でも、碇君はそのために苦しいことや辛い目にたくさんあってきた。
 だから、碇君はもうこれ以上無理をすることはないわ。碇君の好きなように
することが一番だと、わたしは思うの。
 ...そのために私が死んでもかまわないわ。たとえ、世界が滅んでも、
わたしはかまわない」

ヒカリは心の中で、父や姉、妹に、アスカに、トウジにみんなに謝っていた。
だが、それでもシンジの決めたことに自分はついて行くだけだという決意に
揺るぎはなかった。
3245-25:02/11/25 11:37 ID:???

「碇君は私のことを気にしないで、思うとおりにすればいいわ」

シンジはヒカリの微笑んでいる顔をただ見ていた。

「洞木さんは、どうして僕に優しくしてくれるの?」

ヒカリは、シンジを優しく見つめ、ゆっくりと、そしてはっきりと言葉を口に出した。


「碇君が好きだから」


好きという言葉を聞いて、シンジは驚いたが、今まで好きと言われたことが無かったため、
それを素直に受け入れることが出来ないでいた。

「僕は、洞木さんに好きになってもらう資格なんて無い。僕は卑怯で狡い人間なんだ。
だから、こんな僕を好きになることなんて無いよ」

ヒカリはすぐに言葉を返した。

「違うわ、碇君。わたしが一方的に碇君を好きなだけなの。だから、碇君がそのような
ことを考える必要はないわ」
「でも、...」
「わたしは碇君の強いところも弱いところも、全てが好きなの。それに、前に碇君に
言ったわよね。わたしを信じてって。だから、わたしが碇君を好きということを信じて
もらえれば、わたしはそれでいいの」

それでも、まだシンジはヒカリが自分を好きだと言うことを信じ切れないでいた。
だが、初めて自分を好きといってくれた人、ヒカリに対して、これまで以上に好意を
抱き始めていた。
3255-26:02/11/25 11:40 ID:???

この時、今までにない大きな爆発音がして、床が大きく揺れた。
ヒカリはとっさにシンジに抱きついていた。
揺れが収まり、ヒカリは抱きついたままシンジの顔を見上げた。
シンジは外での戦闘を考えているのか、不安そうな顔をしている。
ヒカリはシンジから離れ、少しの時間が流れた後、透き通るような笑顔で、シンジに
向かって言葉を紡いだ。

「ねえ、碇君。手を繋いでいい?」
「えっ」
「もし世界が終わるのなら、その時を好きな人と手を繋いで迎えたいの」

ヒカリは死に恐怖を感じていないわけではなかった。
だが、シンジと共に最後を迎えるなら、それもいいのではないかと思った。
家族や友達の顔が心の中に浮かんだ。
みんなのことを考えるなら、シンジを戦いに行かせるべきだろう。
でも、自分はシンジの判断がどのようなものであっても、それを受け入れることを誓った。
みんなに恨まれることは覚悟している。
しかし、シンジが望むようにさせてあげたかった。

シンジはヒカリの言葉に驚き、次に、彼女にここまで決意させた自分を情けなく感じた。
そして、今、自分に何が出来るのかを考え、それをヒカリに語った。
3265-27:02/11/25 11:41 ID:???

「僕は今でもエヴァが怖い。でも、それ以上に洞木さんを失うことが怖い。だから、
今からでは、遅いかもしれないけど、僕は戦いに行くよ」
「碇君...」

シンジの目に迷いはなかった。
シンジは立ち上がり、加持に体を向けた。

「加持さん、洞木さんをお願いします」
「ああ、わかった。安心して行くがいい」
「はい」

返事をすると、シンジは駆けだした。
ヒカリと加持はシンジの姿が見えなくなるまで見送っていた。
シンジがシェルターから出て行くと、ヒカリは表情に悲しい色を浮かべた。

「わたし、碇君にまた苦しむようなことをさせてしまったのでしょうか?」
「そんなことはないさ」
「でも、結果的に、わたしが碇君を追い込んで、戦いに向かわせたと思います。
もし、碇君が戦いで死んでしまったら、わたしはどうすれば...」
「シンジ君は必ず戻ってくる。俺たちに出来ることは、それを信じることだけだ」

ヒカリの瞳から悲しみの色が消えることはなかった。

3275-28:02/11/25 11:42 ID:???



初号機はダミープラグによる起動が試みられていたが、動くことはなかった。
そして、レイの零号機はN2爆弾を抱え、使徒に突撃したが、使徒は全くダメージを受けていなかった。
そのような中、シンジはネルフ本部の中を走っていた。
シンジが初号機のアンビリカル・ブリッジに来ると、ゲンドウが初号機を見下ろす位置に立っていた。
ゲンドウを見ると、シンジは大声で言った。

「父さん。僕を、...僕を初号機に乗せてください」

だが、ゲンドウは静かに冷たくシンジに言い放った。

「シンジ、何故ここにいる」

その言葉にシンジは苛立ちを隠すことが出来なかった。

「そんなこと、どうでもいいだろ! 早くしないと、みんなが死んでしまうんだよ! だから、僕を早くエヴァに乗せてよ! お願いだから!」

ゲンドウはシンジをそのまま見ていたが、しばらくの後、言葉を告げた。

「いいだろう。初号機に乗ることを許可する」

3285-29:02/11/25 11:42 ID:???


その後、出撃した初号機は、その圧倒的な力で使徒を殲滅した。
そして、初号機は使徒を喰らい、体を覆っている装甲を吹き飛ばし、咆哮を上げ続けた。
その光景をゲンドウと、シェルターから一人離れた加持は見ていた。
ヒカリはシェルターの中で、シンジの無事を祈っていた。



end

waiting for the light.  No.5

329328:02/11/25 11:44 ID:???
掲示板FFは、後から改訂できないところがつらいです。
あと、こんなのヒカリじゃないと思った方、ごめんなさい
(・∀・)イイ!!
331328:02/11/26 08:54 ID:???
>>330
ありがとう。反応が返ってくると、うれしいです
332328:02/11/26 22:51 ID:???
厭きて、放り出す前に書ききりたいです。いつまでテンションを保てるかわからないですし
3336-01:02/11/29 15:16 ID:???
waiting for the light.  No.6


[第1日 THE FIRST DAY]

エヴァンゲリオン初号機は、ネルフ本部内のケイジに拘束されている。
初号機はサードチルドレン・碇シンジとの400%以上のシンクロ率により、圧倒的な
力を得て、使徒を殲滅した。
そして、初号機は使徒のコアを自らの体内に取り込むことにより、S2機関を得た。
だが、その代償として、エントリープラグの中から、シンジの姿は消えていた。
プラグ内には、シンジが着ていた制服などの衣類がLCLの中に漂っているだけである。
状況の説明を求める葛城ミサトに、赤城リツコはシンクロ率が400%以上になると、
パイロットはエヴァに取り込まれてしまうと語った。

3346-02:02/11/29 15:18 ID:???

[第2日 THE SECOND DAY]

綾波レイは病室のベッドの上で、眠りから目覚めた。
目を開けると、白い天井が見え、照明の光が眩しいと感じた。
右手を目の前に上げて、その手の甲を見る。

「まだ生きてる」

自分が生きていることを確認すると、そう呟いた。
まるで、自分の生死に関心が無いかのようである。
レイは使徒にN2爆弾で攻撃した後、反撃を受けたところで記憶が消えているが、
それも彼女には些細なことであった。
上半身を起こし、病室の中を見回した。
レイの左目は包帯で覆われている。
その後、正面の壁をその右目で見続けた。
レイの瞳には、微かに感情の色が混じっていた。

3356-03:02/11/29 15:21 ID:???

コンフォート17マンション・11-A-2号室。
この部屋の主であるミサトは、使徒戦後、帰って来てはいない。
アスカは自室のベットの上にうつ伏せになって、枕を抱えている。
部屋の中は、割れたコップの欠片が散乱し、雑誌は破かれ、クッションは裂け、
滅茶苦茶な状態である。
アスカは先の使徒戦のことを思い出していた。

「何も、何もできなかったなんて...あのバカシンジに助けられたなんて...」

自分はエヴァのエースパイロットであるとの自負がある。
一時期、シンクロ率をシンジに抜かされていたが、すぐにシンジを追い越した。
だが、それは自分の力が伸びたわけではなく、シンジが下がっただけであることに
引け目を感じていた。
シンジがエヴァに乗ることに何ら優越感を持っていないことにも苛立っている。
自分の存在理由であるチルドレンであることが、シンジに否定されているように感じた。
シンジは戦いにも消極的で、仕方なくエヴァに乗っているように見える。
運動能力は自分より低く、頭も自分より悪く、何一つ、自分に勝っているところがない。
そのシンジに、また助けられた。
自分だけで使徒を倒したと言えることは一度もない。
シンジがいなければ、今まで使徒を倒せなかっただろう。
どうして、こんなヤツに自分が助けられなくてはならないのか。
自分はエースであるはずなのに。
トップに居続けて、みんなに認められなくてはならないのに。

「くやしい」

アスカは顔を枕に押しつけた。
3366-04:02/11/29 15:23 ID:???

[第3日 THE THIRD DAY]

リツコはシンジのサルベージ計画を、ミサトに説明している。

「シンジ君の生命というべきものは、まだ存在しているわ」

マヤがそれを補足する。

「シンジ君の肉体は、自我境界線を失って量子状態のままエントリープラグ内を
漂っていると推測されます」
「つまり、シンジ君は私たちの目では確認できない状態に変化していると?」
「そうです、プラグの中のLCL成分は化学変化を起し、現在は原始地球の海水に
酷似しています」
「生命のスープ、か、」
「シンジ君を構成していた物質は全てプラグ内に保存されているし、魂というべき
モノもそこに存在している」
「つまり彼の肉体を再構成して、精神を定着させる作業です」
3376-05:02/11/29 15:25 ID:???

しかし、この説明は全て憶測でしかなかった。
何一つ、科学的な根拠はない。
そして、ミサトは何事にも論理的に考えるリツコが魂という言葉を使ったことに
違和感を感じ、リツコに問いかけた。

「そんなことできるの?」
「正直、彼についてのデータが少なすぎるのだけれど...MAGIのサポートが
あれば不可能ではないわ」
「理論上は、でしょ」
「でも今はその理論にすがって、やってみるしかないわ」

そう言ってはみたが、リツコには成功させる自信が全く無い。

「それに、司令からパイロットの救出をなんとしても成功させるように言われているわ」

以前、初号機がディラックの海に落ちた時はパイロットの生死を問わず、今回は
救出にこだわる姿勢に、ミサトは疑問を感じていた。
3386-06:02/11/29 15:28 ID:???

[第5日 THE FIFTH DAY]

ヒカリは教室の中、三人のチルドレンの席を見ている。
いずれも、その席が空いている。
使徒戦の三日後から、学校は再開されている。
ヒカリはシンジの姿が見えないことに不安を感じた。
シンジ自らの意志ではなく、自分がシンジを戦いに行かせたと思っている。
そのため、よけいに胸を痛めていた。
シンジにも、アスカにも電話は繋がらなかった。
ミサトのマンションに行っても、誰も居ない。
もしかしたら、彼らは死んでしまったのではと考えたが、使徒が消え、日常が
戻ってきたので、それはないと自分自身に言い聞かせた。
病院にいるのかもと考え、ネルフの病院へ行ったが、立ち入り禁止で入れなかった。
学校が始まると、彼ら3人はネルフの関係で休みということになっている。
ヒカリはそれを信じて、シンジ達が生きていることを祈るしかなかった。
3396-07:02/11/29 15:30 ID:???

[第8日 THE EIGHTH DAY]

ヒカリが学校に来ると、アスカが席に座っている。
アスカが無事な姿を見て、胸の中の不安が少し和らいだ。

「アスカ、体の方は大丈夫?」
「もちろんよ」

アスカはそう言うが、顔がやつれ、あまり大丈夫なようには見えない。

「本当に大丈夫なの?」
「ええ、心配しなくてもいいわ」
「そう」

アスカの外見は、どこも怪我しているようには見えないので、言葉通りに
大丈夫だと思うことにした。

「碇君はどうしているの?」
「シンジ?」
「ねえ、碇君は大丈夫なの?」

アスカはヒカリから視線をそらし、苦々しげな顔に変えた。

「シンジなら、今、入院しているわ」
3406-08:02/11/29 15:31 ID:???

入院と聞いて、ヒカリは顔から血の気が引くのを感じた。

「アスカ! 入院って、どういうこと?」

アスカは黙ったままでいる。

「アスカ! 教えて?」
「・・・・・」
「アスカ?」
「...うっさいわね!!」

アスカが大声で乱暴な言葉を自分に吐いたのに驚き、ヒカリは動きを止めた。

「ごめん、ヒカリ。...でも、これ以上は、アタシにもわからないの」

アスカは席を立ち上がり、カバンを手に持った。

「帰る。.......シンジのことは、もうアタシに聞かないで」

そう言い残し、アスカは教室を出て行った。
3416-09:02/11/29 15:34 ID:???

[第12日 THE TWELFTH DAY]

初号機の前に、レイはいる。
長い時間、立ったまま、同じ姿勢で初号機を見ている。
その赤い瞳の内に、何を映しているのかはわからない。
リツコがケイジに来て、レイの横に立った。

「レイ、何をしているの?」

その声が聞こえるまで、レイは隣に誰もいないかのように初号機を見ていたが、
ようやくリツコへ振り向いた。

「赤城博士、碇君は初号機の中にいるのですか?」

抑揚のない声で、問いかけた。

「ええ、いるわ。彼の体はLCLに溶け込んでいるけど、その魂は初号機の中に
存在しているの。彼に還ってくる意志があれば、ここへ戻ってくるわ」
3426-10:02/11/29 15:35 ID:???

だが、シンジが還ることを望んでも、碇ユイが、母親が子供を簡単に手放すと、
リツコには思えない。
レイは黙って説明を聞いていたが、幾ばくかの後、その顔に心配そうな色を浮かべ、
口を開いた。

「碇君は還って来るのでしょうか?」

リツコは内心、驚いていた。
レイが他人を心配しているのである。
今まで、何にも関心を持たなかったレイが、他人に興味を抱いている。
報告では、第12使徒戦で初号機が取り込まれた時、アスカと口論したとあったが、
今ひとつ信じることが出来なかった。
しかし、レイが自我を持ち始めていることは間違いない。
ゲンドウの計画に、このことがどのように影響するかは、自分にはわからない。
だが、リツコはあえてゲンドウに報告しようとは思わなかった。

3436-11:02/11/29 15:38 ID:???

[第18日 THE EIGHTEENTH DAY]

アスカは、あれから一度も学校に来ていない。
レイも学校には来ない。
ヒカリはトウジの見舞いにネルフの病院へ行った時、シンジが入院しているかどうか
尋ねたがはっきりとした答えは得られなかった。
入院してはいるが、これ以上は機密事項で答えることは出来ないと言われた。
ヒカリがシンジの顔を最後に見てから、2週間以上が過ぎた。
シンジが生きているということだけを信じてきたが、もうそれも限界が近づいている。
もし、シンジに二度と会えなかったらということを考えると、胸が苦しくなり、
息が出来なくなる。
シンジとシェルターで会った時のことを夢に見るが、その中でもシンジが帰って
くることはなかった。
ヒカリは心が押し潰されそうだった。

夜、ヒカリはコンビニへの道を歩いている。
寝付かれず、冷たい物を口にしたくなった。
道路には人通りが無く、女の子が一人で歩いていい時間ではない。
ヒカリは少し怖く、足早に歩いていると、手に白い買い物袋を持った女の子らしき
人影が見えた。
距離が近づき、顔がわかるようになると、その人影はレイだとわかった。
使徒戦後、初めてレイを見たので、ヒカリはレイの元へ駆けだした。

「綾波さん、学校に来てなかったけど、体の方は大丈夫なの?」
3446-12:02/11/29 15:40 ID:???

レイはヒカリの顔を見つめるだけで、返事はない。
ヒカリは困ってしまったが、いつもの事だと思い、見た目はどこにも異常が
ないようなので安心した。
そして、今、最も知りたい事を尋ねた。

「ねえ、綾波さん。碇君はどうしているの?」
「.....彼は、今、いないわ」

ヒカリは、その言葉に驚き、混乱した。

「いないって、どういうことなの? 碇君はどこかへ行ったの?」
「言えない」
「どうして? お願いだから、教えて?」

レイは無言で頭を小さく横に振った。
ヒカリは、そのレイの様子にこれ以上は尋ねても、何も答えは返ってこないと思った。
だが、何でもいいからシンジに関する事を知りたい。

「碇君には、また会えるの?」

レイの表情が微かに動いた。

「彼が還りたいと思うなら、また会えるわ」
「帰りたいと思う?」
「そう」
3456-13:02/11/29 15:43 ID:???

ヒカリには、レイの言っていることの意味がわからない。

「どういう意味なの?」
「彼が還ることを願うなら、再び戻ってくる。でも、願わなければ、
もう戻ってくることはないわ」

やはり、ヒカリにはよくわからない。
でも、シンジがどこかへ行ったのなら、再びここに帰りたいと思うだろうか?
ここでは辛いことばかりあったと、シンジは言った。
おそらく、これからもそれが続くだろう。
同じエヴァのパイロットとして、シンジと時間を共に過ごしているレイは
どのように考えているか、ヒカリは知りたい。

「綾波さん、碇君はここに帰りたいと思う?」
「私にはわからない。私は彼ではないわ」
「・・・・・・・」
「あなたは、彼のことがわかるの?」
「わたしには、...よくわからない。でも、碇君を理解したいと思っているわ」
「...なら、あなたは碇君が戻ってくることを信じればいい」

レイが自分を励ますかのようなことを言ったことに、ヒカリは驚き、
少し暖かく感じた。

「そうね。わたしは碇君を信じて待っているわ」

ヒカリは出来るだけの笑みをレイに返した。
レイは小さく頭を縦に振ると、歩き出し、去っていった。
去り際に、レイが小さく微笑むのを、ヒカリは見たように感じた。
3466-14:02/11/29 15:46 ID:???

[A CERTAIN DAY]

僕は過去を振り返っている。
父さんに呼ばれ、ここに来る電車の中、僕は少し期待していた。
僕と一緒に暮らしたいから、父さんは僕を呼んだと思った。
でも、それは違った。
エヴァに乗るために、僕は呼ばれた。
それからは戦いの連続だった。
僕は本当は戦いたくなかった。
でも、エヴァに乗らないと、ここにはいられない。
それに、みんな、エヴァに乗ると褒めてくれるんだ。
ミサトさんも、リツコさんも、アスカも、トウジも、ケンスケも、父さんも...
褒めてくれるんだ。
こんな僕を。
みんなは、僕に乗って欲しいと思っている。
だから、僕はエヴァに乗る。
そして、父さんを...僕を捨てた父さんを見返してやるんだ。
僕はがんばってる...がんばってるんだ。
誰か、僕にやさしくしてよ。
こんなにまで戦ったんだ。
こんなに一生懸命戦ってるんだ。
だから、
僕のことを大事にしてよ。
僕にやさしくしてよっ!!

『やさしくしてるわよ』
『やさしくしてるじゃない』
『やさしくしてるわ』
3476-15:02/11/29 15:47 ID:???

ミサトさん、アスカ、綾波。

嘘だ!!
誰も、僕にやさしくなんかしてないじゃないか!
いつも、僕を辛い目にあわせてるじゃないか。
僕はもう嫌なんだ。
嫌なんだよ。

『あなたは、ひとにやさしくしたの?』

したさ!
やさしくしたさ!

『うそね』

アスカ、どこが嘘だって言うのさ?
僕は嘘なんかついていない。
僕はいつだって、みんなにやさしくしたよ。
エヴァに乗っているだろ。
みんなが僕に乗って欲しいと言うから、乗っているだろ。

『アンタは自分のことしか考えていないのよ』
3486-16:02/11/29 15:49 ID:???

いつ僕が自分のことしか考えてないと言うんだよ!
僕はいつだってみんなのことを..........
.................悪いのは僕か。
トウジのことだって、悪いのは僕だ。
いつも、僕は自分のことだけだ。
それに、僕は父さんから逃げ続けている
アスカからも、僕は逃げ続けている。

ここはどこ?
あれは、エヴァ?
このひとは、お母さん?

『あら、生きていこうと思えば、どこだって天国になるわよ。だって生きているんですもの、
幸せになるチャンスはどこにだってあるわ』

そうだ、僕はエヴァを知っている。
僕は母さんがエヴァの中に消えてゆくのを見ていた。
そして、この時も僕は逃げ出していた。

僕はいつも嫌なことから逃げている。
でも、逃げることが悪いの?

『悪くないわ』

洞木さん?

『だから、碇君は我慢しなくてもいいわ』

僕は我慢しなくてもいいの?
逃げ続けてもいいの?
3496-17:02/11/29 15:51 ID:???

『いいのよ』
『いいに決まってるじゃない』
『いいわ』

ミサトさん、アスカ、綾波、本当にいいの?

『いいのよ。ねえ、シンジ君、私と一つになりたい? 心も身体もひとつになりたい?
それはとてもとても気持ちのいいことなのよ。いいのよ、私はいつだっていいの』
『ほらぁ、バカシンジ、私と一つになりたくない? 心も身体も一つになりたくない?
それはとてもとても、気持ちのいいことなんだからさぁ、このわたしが言ってんのよ、
さっさと来なさいよ』
『碇くん、私と一つになりたい? 心も身体も一つになりたい? それはとてもとても
気持ちいいことなのよ』
『『『ほら、安心して心を解き放って、、、』』』


『シンジ、もういいのよ』

母さん?

『あなたは、がんばってきたわ。だから、ここにいればいいのよ』

ここにいてもいいの?

『ええ、いいわ』

そうか、僕はここにいてもいいんだ。


3506-18:02/11/29 15:53 ID:???



『本当に、それでいいの?』

えっ!
洞木さん、どういうこと?
僕に、我慢しなくてもいいって言ったじゃないか。

『碇君が願うことは、本当にそれなの?』

僕が願うこと?

『碇君が自分の意志で決め、そして願うなら、わたしは何も言わない』

僕の意志?

『そう。だから、もう一度、よく考えて』


僕は、自分の意志で決めたことがあっただろうか?
エヴァに乗ることを決めたのも、流されただけだ。
家出したこともあったけど、結局は戻るしかなかった。
アスカとの同居も、何も僕は言えなかった。
トウジの時も、僕は何も決めることが出来なかった。
でも、僕は、あの時、シェルターの中、自分の意志でエヴァに乗ることを決めたと思う。
エヴァに乗らない選択も出来たけど、僕はエヴァに乗った。
あの時、迷いはなかった。
これからも、僕は自分で決めることができるのだろうか?
3516-19:02/11/29 15:55 ID:???

[第31日 THE THIRTY FIRST DAY]

シンジのサルベージ計画は失敗した。
初号機のエントリープラグが強制排出され、赤い色をしたLCLがプラグから流れ出ている。

「人ひとり..人ひとり助けられなくて、何が科学よ! シンジ君を返して! 返してよっ!」

ミサトがプラグの中に残されたシンジの学生服を抱きしめて、泣いている。



僕は還ってもいいのだろうか?
違うな。
僕は還りたい。
しかし、自分で決断して行動することが出来るのだろうか?
自分のしたことに対する責任に耐えることが出来るのだろうか?
僕は他人に優しくすることが出来るのだろうか?

でも、僕はそうしなければならないと思う。
いつまでも、このままでいてはいけないと思う。
3526-20:02/11/29 15:56 ID:???

『シンジ、もういいのね』

うん。
ここにいることは、気持ちのいいことだけど、ここにいてはいけないと思う。
だから、母さん、僕はもう行くよ。
いつも、僕を見守ってくれて、ありがとう。

さよなら、母さん。



ミサトの耳に水が弾けるような音が聞こえた。
後ろを振り返ると、初号機のコアの前に、シンジが裸の姿で倒れている。

「シンジ君!!」

ミサトはすぐに駆け寄り、シンジを抱きしめた。
3536-21:02/11/29 15:58 ID:???

[第32日 THE THIRTY-SECOND DAY]

シンジがベットの上で目を覚ますと、いつものようにレイが横に座っているのに
気がついた。

「綾波、ここはどこ?」
「病室」
「僕はどうしたの?」

シンジに初号機の中に取り込まれていた時の記憶はない。

「あなたは初号機の中にいたわ」
「初号機の中?」
「そう。詳しいことは赤城博士に聞くといい」
「...わかった」

シンジが起きあがろうとすると、それをレイが止めた。

「まだ、寝ていた方がいい」

再びシンジがベットに横になると、レイが病室を立ち去ろうとした。
レイの後ろ姿に、シンジは声をかけた。

「綾波、ありがとう」
3546-22:02/11/29 16:00 ID:???

病室のドアのところで立ち止まり、レイはシンジへ振り向いた。

「わたしは何もしていないわ」
「目覚めた時に、横に誰かがいるとほっとするんだ。だから、いつも綾波がいて、
本当にうれしいんだ」

レイの頬が微かに赤く染まった。

「ねえ、どうして綾波は、いつも僕の横にいるの?」
「.....初めは、赤城博士の命令だった」

予想はしていたが、命令と言われて、シンジは気落ちした。

「.....でも、今は私が居たいと思うから、ここに居る」

レイは病室を出て行こうと、再び歩き出した。

「ありがとう」

シンジは、もう一度、レイに感謝の言葉を言った。
3556-23:02/11/29 16:01 ID:???

[第33日 THE THIRTY THIRD DAY]

シンジの病室に、ヒカリが来ていた。
アスカから連絡が来て、すぐさまここに来た。
シンジの無事な姿を見ると、ヒカリは涙が滲んできたが、それをこらえた。
笑顔でいる自分を、シンジに見せたい。
いつも通りの自分でシンジに接しようと決めた。

「碇君、いままでどこに行っていたの?」
「ごめん、洞木さん。心配かけて」

シンジはヒカリの声を聞いて、心が安まるのを感じた。

「もう、どこかへ黙って行ったりしないでね」
「うん」

ヒカリはベットの横に腰掛けた。
シンジは上半身を起こしている。

「僕は、今までエヴァの中にいたんだ」
「エヴァの中?」
「うん。僕も良くわからないんだけどね」
「そうなの」

ヒカリには全く理解できないことで、ただ話を聞くしかない。
しばらく、二人は見つめ合っていた。
だが、二人に恥ずかしさは無かった。
緩やかに時が流れた。
3566-24:02/11/29 16:05 ID:???

「洞木さん。あの時は、ありがとう」
「あの時って?」

シンジは視線をヒカリから逸らし、顔を赤く染めた。

「僕は、今まで誰かに好きって言われたことがなかったんだ。だから、その、...
洞木さんに好きって言われて、とてもうれしかった」

シンジの声は、最後の方はどうにか聞き取れるくらい小さかった。
ヒカリはシンジに好きと言った時のことを思い出し、顔を真っ赤にした。
恥ずかしさで、何も言うことが出来ない。
でも、シンジの気持ちを聞きたい。

「い、碇君。あの、わたしが碇君を好きでいることは迷惑?」
「そ、そんな、迷惑なんかじゃないよ。僕は本当にうれしいんだ。だから、洞木さん、
そのようなことは言わないでよ」

ヒカリはほっとして、力が抜けるのを感じた。
だが、もう一つ言わなければならないことがあった

「碇君、ごめんなさい。わたしが余計なことを言ったばかりに、碇君を戦いに
行かせてしまって」
「...僕は、洞木さんに感謝しているんだ。もし、僕が戦わなかったら、僕たちは
こうして会うことは出来なかったと思う。それに、戦うことは、僕が決めたことだから。
あの時、洞木さんがいなかったら、僕は逃げたままだった」
「・・・・・・・」
「洞木さん、ごめん。僕に意気地がないから、洞木さんに死ぬ覚悟をさせてしまった。
本当に、僕は駄目だね」
「ううん。いいの。わたしは、ただ碇君が自分で考えて決めて欲しかっただけ。
だから、気にしないで」
「ありがとう。」
3576-25:02/11/29 16:10 ID:???

シンジは礼を言うと、ヒカリに真剣な目を向けた。

「聞いて欲しいことがあるんだ」
「なに?」
「僕は、これからは自分の足で道を歩いていこうと思う。もし、僕が道を間違え
そうになったら、その時は、僕を叱って欲しい。...あと、僕を応援してくれると
うれしいんだけど」

ヒカリにはシンジがどこか大人になったように、眩しく見えた。
そして、自分もシンジと共に歩んでいきたいと思った。

「ええ、わかったわ。碇君が変な方へ行こうとしたら、叱ればいいのね」
「...えーと、あまり強く叱らないでね」
「ふふっ、わかってるわ。それに、わたしはいつでも碇君の味方だから。だから、
碇君は、自分の意志で行き先を決めてね。わたしは、それを応援するわ」

これから、僕は流されないで、自分で決断して生きていきたい。
それは今まで以上に苦しいかもしれない。
でも、僕を応援してくれる人がいる。
僕をわかってくれる人がいる。
それが、僕を心強くする。
だから、僕は感謝の言葉を言いたい。

「ありがとう、洞木さん」

その言葉に対して、ヒカリは微笑みを返した。
二人の間にある心の壁は限りなく薄い。
3586-26:02/11/29 16:13 ID:???

その後、二人は面会時間が終わるまで、一緒に時間を過ごした。
名残惜しかったが、ヒカリは病院を出て、家へ帰った。
その夜、寝る前に、シンジが自分のことを好きかどうか聞いていないことを
思い出し、呆然とした。



その頃、リツコはミサトの運転する車の助手席に座っていた。
シンジのサルベージ計画が終了し、やっと自宅に帰れるようになった。
二人は今回のサルベージに関して、話をしている。

「リツコ、シンジ君はエントリープラグの中にはいなかったわ。初号機のコアの
前に、突然、現れた。これは、どういうことなの?」
「私にもわからないわ。でも、検査の結果、100%、彼はシンジ君よ」
「でも、あの後、LCLの成分分析は、サルベージ前と成分は同じだったわよ。シンジ君の
体は、確かにLCLと共に流れ出たはず。それが、どうしてシンジ君がコアから出てくるのよ。
ねえ、リツコ、エヴァって、何なの?」
「エヴァには、わからないことが多いのよ」

この時、リツコは記録映像の中で、碇ユイのサルベージにより、レイが初号機の
コアから忽然と現れる様子を思い出していた。


end

waiting for the light.  No.6
359358:02/11/29 17:46 ID:???
本編は、これからは全然ヒカシンの接点がないので困ります。
使徒戦はともかく、ストーリはかなりオリジナルじゃないと厳しいよね。
でも信じているよー。漏れは無責任にしかいえないけど、続きを期待
しているよ。だから、がんがれー
ヒカシンだけどアスカや綾波も魅力的で(・∀・)イイ!!
やはり全員が良いと思えるキャラでないと読むのが辛くなる。
362359:02/11/30 01:29 ID:???
>>360-361
応援ありがとう。書いてもいいんだ、という気持ちになって、元気が出ます。

今はちょっと苦しいです。難しい。これが逆行なら、ある程度、自由に
動けるのですが、本編準拠だとそうもいかないです。選択を誤ったかな。
参考にしようと思い、本編準拠系を探したんですが、この辺を書いているのが
数作しか見つからなかったです。EoE分岐や逆行なら多いんですが。
先輩達が苦労してきた部分を、自分も出来るかどうか自信がないです。
363359:02/11/30 13:06 ID:???
作中で、本編と同じ部分は省いてますが大丈夫ですよね?
例えば、ゼーレとかゲンドウは作中で書かれていないところは本編と同じです
3647-01:02/12/02 16:25 ID:???
waiting for the light.  No.7


シンジが初号機からサルベージされて、4日ほど経った。
シンジに会えるようになってから、ヒカリは学校が終わると、まっすぐにこの病室へ来る。
レイは、あれからここには来ていない。
アスカも一度だけ見舞いに来ただけだ。
ミサトは仕事が終わると、毎日、見舞いに来るがすぐに帰ってしまう。
シンジは体の方は健康そのものなので、検査がない時間は暇を持て余していた。
だから、ヒカリが見舞いに来てくれることがうれしい。

二人が病室にいる時は、いつもヒカリが話しかけて、シンジがそれを聞く。
だが、二人が話をしている時間は、それほど多くない。
二人とも黙っている時間が多いが、気まずい雰囲気はない。
穏やかに時間が流れてゆくのが、二人には心地よい。


今日も、ヒカリはシンジの見舞いに来ている。
シンジの体に悪い所はないので、二人は病院の中庭へ散歩に出かけた。
優しい風が、気持ちいい。
二人はベンチに座り、中庭の真ん中にある噴水と、その周りの花壇に咲いている花を、
雑談をしながら見ている。
やがて、面会時間が終わるまで、後一時間足らずを残す頃、ヒカリは立ち上がった。
日は傾きかけて、空がオレンジ色に染まりかけている。
ヒカリはシンジの方を向くと微かに顔を曇らせ、躊躇いがちに口を開いた。

「これから、鈴原の様子を見に行くから、今日はこれで帰るわ」

視線をシンジから外し、シンジに聞こえないくらい小さな声で、「ごめんなさい」と
ヒカリは呟いた。
3657-02:02/12/02 16:28 ID:???

シンジは膝の上に置いている開いたままの右手を見つめた。
そして、右手をぎゅっと握りしめると、まっすぐに視線をヒカリに向けた。

「僕もトウジのところへ行くよ。...トウジには、いろいろと話したいことがあるから」

シンジは迷いのない顔をしている。
そして、シンジが謝るという言葉を使わなかったことに、ヒカリはシンジが変わったことを
改めて実感していた。


二人は誰もいない廊下を歩いている。
ネルフが管理している病院なので、研究が主な目的で患者はほとんどいない。
トウジの病室は、シンジのいる部屋から少し離れている。
歩いている間、シンジはトウジに何を話すか考えていたが、いろいろ言いたいことが
あって、上手くまとまらない。
だが、トウジに謝るのは、これを最後にしようと思っていた。

トウジの病室の前に着き、二人は立ち止まった。
ヒカリが病室に入ろうとした時、それをシンジが手で制した。
急に止められて、ヒカリはどうしたのかと思い、シンジの方を見た。
シンジはヒカリを見ると、軽く頷き、足を踏み出す。
病室の自動ドアの前に立ち、それが開くと、シンジはその中へ入っていった。

3667-03:02/12/02 16:33 ID:???


シンジは検査のため、一週間ほど入院することになっている。
今日は最後の検査日で、明日は退院するだけである。
検査を全て終え、シンジは病院内にあるリツコの部屋へ呼ばれた。
リツコは検査の結果、シンジの体に異常が無いことを伝え、また、エヴァに取り込まれた
ことについての説明をした。
リツコの話が一段落つくと、シンジは自分がサルベージされた時の映像を見たいと言った。
そして、サルベージの様子を見ると、シンジはその不思議さに驚き、そしてエヴァとは
何なのか疑問に思った。

「僕は、本当に初号機のコアから出てきたのか。.....リツコさん、僕の体は
LCLに溶けていたんですよね。それが、どうしてコアからなんですか?」
「正直な話、私にもそれはわからいわ。わかっていることは、エヴァがあなたの体を
再構成したことだけ。遺伝子情報やその他の検査結果も、全てあなたであることを
示しています。だから、シンジ君に何の問題も無いわ」
「再構成ですか、...僕の体はLCLと一緒に流れでたのに、僕はここにいる。なんだか、
不思議な感じがします。.......リツコさん、僕は、本当に僕なんですか?」

シンジは縋るような目で、リツコを見ている。

「シンジ君は、シンジ君よ。それは、あなた自身がわかっているはずだと思うけど、
違うかしら?」
「でも、...」
「それにね、シンジ君。仮に、体が違うものだとしても、あなたの魂と呼ぶべき物が
その体に宿っているなら、それはあなたということだと、私は思うわ」
「........魂ですか」
3677-04:02/12/02 16:36 ID:???

リツコは話をしながら、レイのことを考えている。
既に、魂が別の肉体へ移行した例がいるのである。
だが、リツコはレイを人間として認めることが出来ない。
偽りの肉体に宿る、仮初めの魂。
肉体が滅んでも、魂が新たな肉体に移るだけ。
そのようなものがヒトと言えるのだろうか?
人形がプログラムされたAIにより作動しているのと何が違うのだろうか?
だけど、.....自分はその人形にも勝てないでいる。
そして、今、目の前にいる、あの人の子供もまた肉体を移し替えた。
リツコは血を感じていた。
だが、その感情とは別に口が動いていく。

「あまり気にしない方がいいわ。シンジ君は、今、ここにこうしている。それで
十分ではないかしら」

一瞬、シンジはリツコの目を見たが、すぐに視線を床に落とし、考え込み始めた。
やがて顔を上げ、リツコを見るが、その顔色は冴えない。

「.........今日は、これで終わりですか?」
「後は、今後の予定を伝えて終わりです」
「はい」
「聞いていると思うけど、初号機は現在、凍結中で、別命があるまで使用できません。
でも、シンジ君には、今まで通りにテストと訓練を受けてもらいます」
「もし、使徒が来たら、僕はどうするんですか?」
「それは司令が判断することです」
「父さんが、」
3687-05:02/12/02 16:38 ID:???

リツコは心配しているような表情に変え、家族に接するかのような口調で話しかけた。

「ねえ、シンジ君。あなたは、エヴァに取り込まれるような目にあったのに、
それでもエヴァに乗るの?」
「僕がエヴァに乗らないと、いろいろな人が困るんですよね?」
「そうね。初号機はダミープラグを拒絶してるわ。今は、シンジ君だけが初号機を
起動することができるから、シンジ君がエヴァのパイロットを辞めると、大幅な
戦力ダウンになるわね」
「僕だけが、」
「ええ、あなただけよ。私は、自分の力不足を感じているわ。ダミーが軌道に乗れば、
あなた達を戦場へ送らなくてもいいようになったでしょうにね」
「...僕にしかできないのなら、僕はエヴァに乗ろうと思います。僕に出来ることは、
それくらいですから」

自信は無さそうだが、シンジが嫌とは言わなかったことにリツコは安心した。

3697-06:02/12/02 16:41 ID:???


周りに家は無く、山がすぐ近くに見える道路脇の電話ボックスに、加持はいる。
耳に当てている受話器から、ミサトの留守電メッセージが流れ終わると、何かを
話し始めた。
言い終えて、受話器を置く。

「最後の仕事か、」

手に持ったネルフの赤いマークがあるカードを見つめた。

「まるで血の色だな、」

そう呟くと、カードを上着のポケットに入れ、加持は歩き出した。



シンジは左手にバックを一つだけ持って、病院のフロントにいる。
退院の手続きが終わるのを、長椅子に座って待っていた。
平日の午前中、アスカやレイは学校で授業を受け、ミサトは本部で業務に追われている。
迎えに来る人がいないのはいつものことなので、シンジはそれほど気にしていない。
しばらくして、手続きが終わると、シンジは一人で病院の玄関を出た。

「やあ、シンジ君」

加持が右手を上げて、立っていた。

「あっ、加持さん。もしかして、迎えに来てくれたんですか?」
「ああ、そうだ」

病院からマンションまでは遠いので、これで楽になって良かったとシンジは思った。
3707-07:02/12/02 16:43 ID:???

二人が加持の車に乗り込み、シンジがシートベルトを締め終えた時、加持が話しかけた。

「シンジ君、この後、時間は有るかい?」
「ええ、暇ですけど、どこかへ寄っていく所があるんですか?」
「畑に行きたいんだが、いいかな?」
「畑って、あのスイカ畑ですよね。いいですよ」
「すまないな」

そして、車は動きだした。
加持にいつもの軽い調子がないことに、シンジは気付いていない。



スイカ畑に着くと、加持はスイカにじょうろで水を与え始めた。
ジオフロント内を照らしている調節された日差しが、シンジには少し暑く感じた。
加持が水を撒いている間、それをシンジは畑の横で立って見ている。
やがて、一通り水を撒き終えると、加持はシンジの横に来た。

「どうだい、シンジ君。いい大きさに育っているだろ。あともう少しで、収穫できる」

スイカはたわわに実り、その健康的な緑の表面が光を反射している。

「美味しそうに見えます」

シンジのその言葉を聞くと、加持は満足そうに無精髭の生えている顔をにこっとさせた。

「美味しそうか。今まで苦労して育ててきた甲斐があったというもんだ」
3717-08:02/12/02 16:46 ID:???

柔らかな表情のまま、加持はシンジを見つめ、そして話しかけた。

「実はな、ここに来た理由は、シンジ君に頼みたいことがあるんだ」
「僕にですか?」
「ああ。俺の代わりに、スイカ達の面倒を見てもらいたいのさ」
「僕が、スイカを、ですか?」

シンジは突然のことに驚いて、加持の顔を見た。

「そうだ。なに、スイカを育てるのは簡単だ。時々、ここに来て水を与えるだけ
だからな。それにもうすぐ収穫だから、そんなに長い間じゃない。あと、スイカを
収穫したら、みんなに分けてやってくれ。その時は、.....そうだな、日向君に
頼めば、上手くやってくれるだろう」
「どうして僕に?」
「なに、仕事でここを離れることになってね」
「加持さん、転勤するんですか?」
「まあ、そんなところだ。だから、ここのことをシンジ君に頼みたいのさ。これくらいの
期待をシンジ君にしてもいいだろ?」

シンジはバツの悪そうな顔をし、少し顔を俯かせた。

「あの時は生意気なことを言って、すみません」
「謝らなくてもいい。俺の言い方も悪かったしな」
「いえ、そんなことはないです」

加持は口元に軽く笑みを浮かべ、シンジに話しかけた。

「そうだな、シンジ君がスイカの世話をするということで、この前のことは無しにしよう」
「...わかりました。それに、そのくらいのことなら、僕にも出来そうですし」
3727-09:02/12/02 16:48 ID:???

気分がいくらか軽くなるのを、シンジは感じた。
加持はシンジの表情が元に戻るのを見て、一安心した。

「シンジ君、立ち話もなんだ、あそこのベンチに座ろう。一服もしたいしな」

上着の内ポケットから、加持はタバコの箱を取り出し、それをシンジに見せる。
それから、ベンチへ歩き出し、シンジはその後をついて行く。
加持はベンチに座ると、タバコにライターで火をつけ、吸い始めた。
美味しそうに、タバコを半分まで吸うと、火を消し、近くのバケツに吸い殻を捨てに
行った。
吸い殻の始末をつけ、戻ってくると、再びベンチに腰を下ろす。
その様子に、シンジは意外なものを見たような気がしている。

「見かけに寄らず、几帳面なんですね」

加持は苦笑いを浮かべた。

「まあな。...ところで、シンジ君。今も、ヒトに期待されるのは嫌かい?」
「今は、よくわかりません。でも、僕も誰かに期待したいことがあるから、それと
同じように、誰かが僕に期待するのもわかるような気がします」

シンジは軽く笑うと、言葉を付け加えた。

「でも、何かを期待されても、それに答えられる自信はありませんけど」
「今は、それで十分さ」

加持は、今の会話でシンジが少しずつ成長していることがわかり、まるで自分の弟が
大人になっていくのを見ているかのように嬉しく感じている。
3737-10:02/12/02 16:52 ID:???

その後、加持は畑の方をしばらく眺めてから、真剣な眼差しでシンジを見た。

「シンジ君に、もう少し期待をかけてもいいかな?」
「なんですか? あまり無理なことでなければ、いいですけど」
「なに、それほど難しい事じゃない。これからも、葛城とアスカの家族でいて欲しい。
それだけだ」
「どういうことです?」
「シンジ君も知っていると思うが、葛城とアスカは幼い頃から一人で生きてきた。
葛城は大学に入るまで、長く自分の中に閉じこもり、アスカも、ずっと一人で
ネルフの中で生きてきて、大学は出たが、自分と同じ年頃の友達は一人もいなかった。
二人とも家族に飢えている。だから、シンジ君に二人の家族になって欲しいんだ」

シンジは俯き、自分の膝を見つめた。

「僕よりも、加持さんの方がいいと思います。ミサトさんは加持さんのことを好きですし、
アスカも僕より、加持さんがそばにいた方が.....」

加持は薄い笑みを浮かべた。

「別に、俺でなくてもいいのさ。葛城も、アスカも、俺に父親を見ているだけだからな」
「そんなことはないと思います!」

シンジが思いの外、強い否定をしたことに加持は内心驚いた。

「シンジ君は、本当に二人を思ってくれているんだな。これなら、俺も安心できるよ」
「そんな、僕は、ただ、...」

加持は遠くにある人造湖を見た。
3747-11:02/12/02 16:57 ID:???

「それに、俺はもうここに帰って来ることはないからな」
「帰って来ないって、どういうことですか!?」
「まあ、大人の事情ってやつさ」

加持はタバコを一本取りだし、それを左手に持った。

「俺が今の仕事をしているのは、追い求めている夢のためだ。その夢を掴むためには、
いろいろなものを捨てなければならない。それが、たまたま葛城だったといわけだ」
「...加持さんは、勝手すぎます」
「ああ、そうだ。だが、俺にとっては譲ることが出来ないものなんだよ」
「僕には、加持さんの考えていることがわかりません」
「それは仕方がないさ。シンジ君は、俺ではないからな」

シンジには納得が出来ない。
どう考えても、加持の身勝手にしか思えない。

「その夢ってなんですか? それは、ミサトさんよりも大事なことなんですか?」
「俺の夢か、...まあ、一言で言うならば、真実を知るということかな。それは、
俺にとって何よりも大事なことなんだよ」
「真実ですか?」
「ああ」

加持がミサトを捨てることを、止めさせることはできないように、シンジには思える。
だからといって、これで良いはずはないと思った。
でも、何も出来ない自分が、シンジは歯痒い。
3757-12:02/12/02 17:00 ID:???

「シンジ君、そろそろ帰ろうか」

加持は手に持ったタバコを結局は吸わずに、そのまま箱に仕舞い、そして立ち上がった。
シンジは座ったまま、立ち上がろうとしない。
やがて、シンジは視線を上げ、加持の方を向いた。

「やっぱり、僕にはわかりません。加持さんがこれからしようとすることで、
その真実を知ることが出来るんですか? もし、そうでなければ、ミサトさんを
おいていくようなことはしないでください」

一呼吸をおいて、加持は答えた。

「できると、俺は思っているよ」



その後、二人は車に乗り、シンジ達のマンションへ向かった。
マンションに着き、シンジが車から降り立つと、加持はシンジに声をかけた。

「俺がここから去ることを、二人にはしばらく黙っていてくれないか?」
「ミサトさん達は知らないんですか?」
「ああ」
「どうして?」
「仕事上の都合ってことさ。特に葛城に知られると、俺の任務に問題が生じる
可能性があるし、あいつにも迷惑がかかるかもしれないからな」

シンジは加持を怒鳴りたい衝動に駆られたが、何とかそれを耐えた。
3767-13:02/12/02 17:03 ID:???

「...わかりました。でも、そんなに長い間、黙っていることは出来ませんよ」
「それで十分だ。数日ほど知られなければいい。それに、葛城も、すぐに俺のことを
知ることになると思うしな」

加持の目を睨むように、シンジは見た。

「加持さん、必ず戻ってきてください」
「約束は出来ないが、善処はするよ」

加持は苦笑をした。

「それでは、加持さん。お元気で」
「ああ、シンジ君も元気でな。それと、彼女にもよろしくな」
「彼女って、誰ですか?」
「シェルターの中で会った、シンジ君の恋人だよ」
「あっ、えっ、あの、洞木さんは、恋人とか、そういうのではなくて、なんていうか、...」

シンジがあたふたしている様子を、加持は楽しげに、笑みを浮かべながら見ている。

「シンジ君、もう少し、自分の気持ちを表に出した方がいい。そうしないと、彼女を
他の男に取られるぞ。彼女は、かわいいからな」
「なっ、加持さん! 」

加持は声を上げて、笑っていた。

「もう、笑わないでください」
「悪かったよ。まあ、ともかくだ。シンジ君、がんばれよ。」
「はい。...僕なんかが言うのも何ですが、加持さんも、がんばってください」

そう言うと、シンジは歩き出し、帰っていった。
3777-14:02/12/02 17:05 ID:???

シンジがマンションの中に入っていくのを見届けてた後も、加持はそのまま
マンションの入り口を見続けている。

あの場では、シンジに真実を知ることが出来ると言ったが、畑からここに来る
までの間、加持はそのことを考えていた。
ゼーレから受けた任務は、ネルフ副司令である冬月の拉致である。
ここ最近、加持はゼーレからの命令をほとんど無視していた。
この任務は、ゼーレから自分への最後通牒といっても良い。
だが、任務終了後、自分は消されるだろうと予想している。
自分はゼーレを知りすぎてしまった。
何より、自分がアダムをゲンドウへ渡したことを、既にゼーレに知られている
かもしれない。
だからといって、ネルフに寝返ることも無理である。
ゲンドウにとって、自分はもう用済みで、邪魔なだけである。
日本政府は、ゼーレから見れば手足同然の存在でしかない。
内務省調査部に戻れば、ゼーレに自分の居場所を教えるようなものだ。

「なんとも、冴えないことになったな」

このままでは真実を知ることなく死ぬことになるだろう。
それは、ただ悔いが残るだけである。
ここは、いったん退くしか道は残っていない。
加持は逃亡を決意した。
そして、もう二度とここへ来ることはないと思い、最後にミサトの部屋の方を
しばらく見てから、加持は車を走らせた。

3787-15:02/12/02 17:10 ID:???


シンジがマンションの中に入ると、思っていたより汚れてはいなかった。
シンジには一週間しかここを離れていない感じがするが、実際は一ヶ月以上経っている。
なんとも不思議な感じがして、部屋の中を見回した。
部屋の中は、ゴミが散らかっているという程ではないが、やはりホコリなど細かい
ところが目につく。
シンジは自分の部屋に行き、荷物を下ろし、部屋着に着替えると、掃除を始めた。

掃除を終えた頃、ミサトから電話が入った。

「今日は、シンジ君の退院祝いをするから」
「別に、いいですよ」
「シ〜ンちゃん。素直に喜びなさいよ。それに、シンジ君のお友達も呼ぶから」
「ケンスケですか?」
「そうよ、相田君も呼ぶわ。...」

ミサトの声が聞こえなくなり、シンジは嫌な予感がした。

「わたしからシンちゃんへ、スペシャ〜ルプレゼント」
「いいです。遠慮します」

シンジは間髪入れずに答えた。

「あらあら、シンちゃん。遠慮しなくてもいいのよ」
「いいえ、遠慮します」
「そう、残念だわ。洞木さんを呼ぼうと思ったのに。わかったわ、シンジ君。洞木さんには、
シンジ君が来て欲しくないって言っていたと伝えるから」
「なっ、僕はそんなこと一言も言っていないじゃないですか!」
3797-16:02/12/02 17:13 ID:???

毎日、ヒカリが見舞いに来ていたことをミサトに知られてから、シンジは何かに
つけてミサトにからかわれていたのである。

「じゃあ、来て欲しいのね」
「...............はい」
「ん〜、素直でよろしい。じゃあ、シンジ君は料理をお願いね」
「僕が、ですか?」
「そうよ」
「・・・・・・」
「それじゃあ、よろしくね」

ミサトは、そう言い残して電話を切った。

「これじゃ、誰の退院祝いかわからないよ」

シンジは耳に携帯を当てたまま呟いていた。

3807-17:02/12/02 17:15 ID:???


その後、ヒカリとケンスケは学校が終わると、すぐにやって来て準備を手伝った。
しばらくして、アスカがネルフから帰ってきた。
病院で何度かアスカには会ったが、その時、アスカがシンジに対して素っ気ない
態度を取っていたことを、シンジは気にしている。

「アスカ、おかえり」
「ただいま」

アスカはシンジの顔を見ないで返事をすると、そのまま自分の部屋へ入っていった。
やはり、どこか素っ気ない。
トウジのことで悩んでいた時、アスカに酷い態度を取っていたことは、もう謝ったのに。
シンジは、あの時のことが原因だと思っているが、それは違うのであった。

3817-18:02/12/02 17:19 ID:???

夕方になると、ミサトが帰ってきた。
リツコとマヤも一緒であるが、そこにもう一人、レイがいた。
ミサトが本部の中で、レイに会った時に誘った。
そのお誘いに、レイが行くと返事をした時、誘ったミサト自身が驚いてしまった。
誘っては見たものの、まさか来るとは思わなかったのである。
だが、お祭り好きなミサトは、レイが来ることを素直に喜んだのであった。

既に、準備が終わり、リビングルームのテーブル上には料理が所狭しと並んでいる。
これも、料理が得意なヒカリのおかげである。

「あら、凄いご馳走ね」

ミサトはそう言うと、唐揚げをつまんで口の中に入れた。

「駄目ですよ、ミサトさん。みんなが揃ってからでないと」
「ごみん、ごみん」

ミサトは謝ってはいるが、少しも悪そうな顔をしないで席に座った。
そこにアスカが現れた。

「ミサト、加持さんは?」
「アイツなんて知らないわよ。連絡も取れなかったし。どこをほっつき歩いているのやら」

シンジは加持のことを言いたくなったが、そこをぐっとこらえた。

「そう」

アスカはミサトと目を合わせないようにしている。
シンジは、ミサトとアスカの対立の原因になっているのに、どこかへ行ってしまった
加持を恨みたい気持ちで一杯になっていた。
3827-19:02/12/02 17:21 ID:???

その後は、にぎやかにパーティが開かれた。
一時間ほど時間が過ぎた頃、あまり人と話すことが上手くないシンジは、同じく
あまり人と接することのないレイと一緒に、ダイニングにあるテーブルの席に
向かい合って腰掛けていた。
テーブルにはレイのために、肉が使われていない料理を持ってきている。
レイは皿に取ったシーザーサラダを食べ、その様子をシンジは見ている。

「サラダ、美味しいかな?」

シンジがレイに尋ねると、レイは黙って頭を縦に振った。
レイの表情が、ほんの少し柔らかい。

「よかった。それ、僕が作ったんだ」

シンジが安心して笑顔になるのを見ると、レイはまたサラダを食べ始めた。
さっきよりも、さらに表情が柔らかい。

3837-20:02/12/02 17:23 ID:???

そのような二人の様子をリビングから見ていたヒカリは、何とも言えない不安を感じた。
そして、立ち上がると、ダイニングへ行き、シンジの隣に座った。

「あら、碇君、楽しそうね」

ヒカリはシンジが自分を置いて、レイと楽しそうにしているように見えたので、
少し棘を含むように言った。
だが、シンジは全くそれに気がつかない。

「うん、楽しいよ」
「そう」

ヒカリは胸がちくりと痛くなった。
シンジは、そのようなヒカリの胸の内などわからずに話し始めた。

「以前、ミサトさんの昇進祝いでパーティを開いた時があったよね」
「ええ」
「本当のことを言うと、あの時、僕はあまり楽しくなかったんだ。でも、今は、
素直に楽しく感じる。僕のために、みんなが集まってくれて、本当に嬉しいんだ。
僕にも、家族や友達がいるんだなって」

シンジのその言葉を聞き、ヒカリは嫉妬していた自分が恥ずかしくなった。

「僕は、この街に来て良かった」

シンジは、リビングで騒いでいるみんなを見ながら語った。
レイは食べるのを止めて、フォークを手にしたまま、二人を見ていた。

3847-21:02/12/02 17:26 ID:???


パーティが終わり、みんなが帰ると、ミサトは自分の部屋に缶ビールを持って戻った。
暗い部屋の中、留守電が入っていることを示す赤い点滅に、ミサトは初めて気がついた。
缶ビールを持っていない方の手で、再生のボタンを押す。

「葛城。俺だ。多分この話を聞いてる時は、君に多大な迷惑をかけた後だと思う。
済まない。りっちゃんにも済まないと謝っといてくれ。.....葛城、真実は君と
共にある。迷わず進んでくれ。もし、もう一度逢えることがあったら、8年前に
言えなかった言葉を言うよ。じゃっ」

ミサトの肩が震えている。

「あんの、バカ。逃げたわね」

この時、ミサトは加持がまた他に女を作って逃げたと考えていた。



3日後、冬月が特殊監査部の諜報員3名と共に姿を消した。
5日後、姿を消した諜報員3名の死体が発見され、また、加持が留守電を入れた日から
失踪していることを、保安諜報部からミサトは聞かされた。
一週間後、冬月は何食わぬ顔でネルフに戻っていた。



end

waiting for the light.  No.7
385384:02/12/02 17:28 ID:???
本当に、この話はLHSになるのだろうか? 再び、疑問を感じてきました
別にLHSでなくてもO.Kと思う俺はダメでしょうか?
387384:02/12/03 22:07 ID:???
LAS、LRSにならないと断言できます。これまでの流れから、LHSにはなります。
でも、これからは、ヒカリが登場することが加速度的に少なくなると思います。
ごめんなさい
多くしろ。でなければ帰れ。
389384:02/12/04 00:39 ID:???
わかりました。ストーリーを考え直します。
基本的に本編準拠なのですが、なんとかヒカリを絡ませるようにします。
>389
気にするな。己の信じる道をいくべし。

既にこのシンジがEOEのヘタレになるとは思えん。道はきっと開けるさ。
そうですね、書きたいように書くしかありませんね。でも、ヒカリを不自然に
ならないように、なんとか描きたいと思ってます。
あと、シンジが徐々に自然な感じで成長していく様子が描ければいいのですが。

本編22話相当分を、明日ぐらいにはカキコできると思います。
3928-01:02/12/06 22:45 ID:???
waiting for the light.  No.8


 シミュレーションプラグ試験場。
 今日はシンジがサルベージされてから、初めてのシンクロテストである。
 管制室で、リツコは苦い顔で3人のチルドレンをモニター越しに見ている。
 その斜め後ろに、ミサトが含みを持つような表情でリツコの後ろ姿を見ている。
 マヤは、ここ最近、急に雰囲気の悪くなった空気を感じ、居心地を悪くしていた。
 そのような空気をさらに悪くすると思いながら、マヤはテストの途中経過をリツコに
報告する。

「ファースト、シンクログラフ・マイナス0.4。セカンド、マイナス8.0、サードは
マイナス10.6です」
「酷い結果ね」

 リツコは、さらに表情をしかめ、いっそう不機嫌そうな顔に変えた。

「あなた達、シンクロ率が下がっているわよ。真剣にやりなさい」
「やってるわよ!」

 リツコの叱責に、アスカが過敏に反応する。

 テストが終わり、その結果から、リツコはアスカの弐号機より、零号機の修理を
優先させることに決めた。
3938-02:02/12/06 22:49 ID:???

 アスカはシンジにシンクロ率を一旦、抜かれて以来、低下傾向であったが、先の
第14使徒戦以降、急激にシンクロ率を低下させ、今では40%を切っている。
 シンジもシンクロ率を大きく低下させているが、初号機に取り込まれたことによる
心理的要因に寄るものと、リツコは判断した。
 そして、レイのシンクロ率低下に、リツコは頭を悩ませている。
 レイのシンクロ率は、あの巨大な球体状の第12使徒が襲来するまで順調に伸びていたが、
それ以後は平行線、もしくは微かに低下傾向にある。
 零号機のコアには、MAGIに使われている人格移植OSの応用技術と、ダミープラグの
ベースとなった技術により、仮想的なレイの魂がインストールされている。
 レイはその自我の希薄さにより、原理的に困難である仮想的な魂とシンクロが可能
であった。
 だが、シンクロ率が低下しているということは、自分を受け入れていないという
ことである。
 いや、レイが自分自身と、擬似的な自分の魂を同一視しなくなったということか。
 リツコは、レイが自分の手から離れるのを感じ、またゲンドウからも離れていくのを
予感した。

3948-03:02/12/06 22:53 ID:???


 シンクロテスト終了後、ミサトは初号機ケイジの前に立ち、凍結中の初号機を
見上げていた。
 ミサトは最近の出来事について、考えている。
 加持の失踪と冬月拉致事件の因果関係は不明である。
 実行犯3人は、死体となって帰ってきた。
 冬月はネルフに戻ってきた経緯について何も語らない。
 だが、タイミング的に加持が関与していないとは考えられない。
 そして、加持との情事の時に渡されたマイクロフィルムと、留守電に残された
加持のメッセージ。
 これらを考えると、加持はネルフに戻ってくることはないだろう。
 既に死んでいるか、それとも、いずれかの組織に追われ逃亡しているか。
 ミサトは加持がまだ生きていると信じることにした。
 だが、もう再び会えるとは思えない。
 加持は自分より夢を取るような男だとわかっているし、諦めてもいる。
 それでも、もう一度、加持に会いたい。
 加持がどこかで生きているのなら、いつか会えると一縷の望みを胸に抱いた。
3958-04:02/12/06 22:54 ID:???

 その時まで、自分は何をすべきか。
 加持は自分に何を伝えたかったのか。
 そして、加持の追い求めていた真実に、自分の知りたい何かがあるのではないか。
 一体、エヴァとは何なのか。
 司令達が執拗にこだわる初号機とは何なのか。
 そして、ネルフと、その上位組織であるゼーレの真の目的とは何か。
 今、この時、自分の父親の敵討ちよりも、大事なことを見つけたかもしれないと
思い、ミサトはそれを探る決意をした。

 そのために、ミサトは日向を利用した。
 日向が自分を慕っていることは知っている。
 知っていながら、日向を利用する自分は汚れていると思った。
 そして、そのことが自分に余裕を無くす要因の一つになり、シンジやアスカに
対して、ミサトは家族として接することが出来なくなりつつあった。

 ミサトが初号機を長らく見ていると、日向が来た。
 二人は本部を出て、ジオフロントの森の中を通る道路上に移動した。
 そこで、エヴァ量産機が13号機まで非公式に建造されていること、日向から
聞かされる。
 ミサトは量産機建造の裏に何かがあることを感じ取っていた。

3968-05:02/12/06 22:58 ID:???


 本部でのスケジュールが全て終わり、シンジは帰路についた。
 帰りの電車の中、レイと一緒になる。
 アスカは既に帰っていた。
 車内には、レイとシンジの他に誰もいない。
 シンジはレイの隣に座るのが、何となく恥ずかしいので、レイと向かい合うような形で
イスに座っている。
 それでも、レイと真っ正面は恥ずかしく、少しずれるように腰掛けた。
 レイは本を読み、シンジは音楽を聴きながらレイを見ている。
 二人の間に会話はないが、シンジに居心地の悪さは感じられない。

 今までは綾波と一緒にいると、どこか落ち着かなかったのに。

 ヒカリと一緒にいる時とは別の心地よさをレイに感じている。

 綾波は変わった。
 前のような、人を近づけないような雰囲気が薄らいでいる。
 それに、表情も微かだけど豊かになっている感じがする。

 シンジがそのようなことを考えていると、乗換駅に着いた。
 シンジとレイは電車を降り、地下通路を通って、向かい側のプラットホームに出た。
 周りには、会社員風の人と、高校生が数人いるだけである。
 レイは長椅子の前に行くと、そこに座った。
 自分だけが立っているのも変だと思い、シンジはレイの隣に腰を下ろす。
 次の電車が来るまで、少し時間があった。
 既に空は暗くなり、プラットホームに照明が灯っている。
 レイは線路の向こうにある街の明かりを見ているようだ。
 シンジはレイに話しかけたいが、何を話そうか悩んでいた。
 やがて、無難に今日のことを話そうと決めた。
3978-06:02/12/06 22:59 ID:???

「綾波、」
「なに?」

 レイはシンジに視線を向けた。
 その顔は無表情だが、シンジには冷たい感じがしない。

「今日のシンクロテスト、結果が悪かったんだ。どうしてかな? がんばった
つもりだったんだけど」

 シンジは言ってから、まずいことを話題にしたと思った。
 もっと楽しいことを話せばいいのにと。
 でも、レイはそのようなことを気にしていないようだ。

「わたしには、わからないわ」
「そ、そうだよね。どうして、こんなことを綾波に聞いたのかな。ははは」

 シンジは乾いた笑いで誤魔化した。
 しばらく沈黙が続いたが、おもむろにレイが口を開く。

「あなたは、変わったわ」

 静かに、話す。

「僕が?」

 コクリと、レイは頷く。

「そうかな?」

 シンジは自分のどこが変わったのかを考え始めた。
3988-07:02/12/06 23:03 ID:???

「碇君、」

 シンジは自分の世界に入っていたが、レイの呼びかけによって戻された。

「あなたは、どうして戻ってきたの?」
「えっ?」
「あなたはあの時、エヴァのパイロットを辞めたわ。それにエヴァの中に取り込まれた。
それなのになぜ?」

 シンジは少し考え込み、そして答えた。

「別に、深い理由はないんだ。あの時は、僕がエヴァに乗らないと、みんなが死ぬかも
しれないと思った。それが嫌だっただけだよ」

 ヒカリのことを言うのは恥ずかしいので、それは黙っている。

「それに、初号機は僕にしか動かせないから、まだ乗っているだけなんだ。僕が乗る
ことで、誰かの役に立つなら、それもいいかなって。......でも、乗らなくても
いいなら、その方がいいけど」

 そう言って、シンジは苦笑した。

「前は、自分にはエヴァに乗ることしかないと思っていたけど、今は、エヴァに乗らない
自分があってもいいと思っている。そのことをある人が教えてくれたんだ。それに、今は、
家族や友達がいて、エヴァの他に楽しいことを見つけたから」

 シンジの顔を見つめながら、レイは黙って聞いている。
 話が終わると、レイはまた街の方に視線を向けた。
 しばらくして、独り言のように話しかけた。
3998-08:02/12/06 23:06 ID:???

「あなたは見つけたのね」
「なにを?」
「絆。」

 シンジは絆と聞いて、ヤシマ作戦前に交わしたレイとの会話を思い出した。

「そうかもしれない。.......あ、綾波は絆を見つけた?」

 レイは首を小さく横に振る。
 それを見て、シンジは『しまった』と思い、そして、言いたくはなかったが父親の
ことを話した。

「でも、綾波には、.....父さんがいるよ」

 すると、レイは自分の膝の上を見ながら、小さく呟いた。

「今は、わからない」
「えっ!」

 レイの表情は変わらないが、赤い瞳には悲しい色が浮かんでいるようで、シンジには
レイがひどく寂しげに見える。

「司令はわたしを必要としているわ。...でも、わたし自身を見てはいないような気がする。
.......誰も、わたしを見ようとはしない」
「・・・・・・・」
「エヴァは絆にならなかった。...本当に何もなくなったのかもしれない」
4008-09:02/12/06 23:09 ID:???

 レイをこのような思いにさせる父に、シンジは怒りを感じた。
 今までレイに何もしてやれなかった自分も許せない。
 シンジは以前、ヒカリに励まされたことを思い出し、今は自分がレイに何かを
言わなければと思った。

「あのさ、僕は、その、綾波を友達だと思っているよ。だから、綾波が僕を友達と
思ってくれるなら、僕と綾波の間には絆があるんじゃないかな」
「友達?」

 レイは微かだが意外そうな顔をしている。

「そう。それに、綾波が僕を友達と思ってくれたら、僕もうれしいんだけど」

 シンジはぎこちない笑顔を浮かべた。

 レイは再び街の方に顔を向け、考え込むように黙っている。
 やがて、シンジの方に顔を向け、口を開いた。

「わかったわ」

 シンジには、レイの言葉が短すぎて、今ひとつ意味がわからない。
 だが、レイが嫌な表情をしていないので、自分の言ったことをわかってくれたと
思い、胸を撫で下ろした。

「それじゃあ、改めてよろしく」
4018-10:02/12/06 23:11 ID:???

 シンジは右手をレイに出して、握手を求めた。
 自分でも、恥ずかしいことをしていると思う。
 そして、他人と触れ合うことが苦手な自分が、どうしてこういうことをするのか
不思議に感じた。
 でも、今はこうするのが一番いいと思った。
 レイはシンジの右手を見て、少し戸惑うようなそぶりを見せたが、やがて、
おずおずと自らの右手を差し出し、シンジと握手した。

「よろしく」

 やっと聞き取れるくらい小さな声だった。
 恥ずかしいのか、レイは顔を少し赤らめて、俯いている。
 シンジは、小さく、柔らかいレイの手に、女の子を感じた。
 しばらくして、二人の手は離れた。
 レイは下に向けていた視線を、シンジに向ける。
 二人の視線が合い、シンジが笑顔を浮かべると、レイも微笑みを返した。
 シンジはヤシマ作戦の後に見たレイの笑顔と同じくらいきれいだと思った。


 やがて、電車が来て、二人はそれに乗った。
 電車が走り出した後、遠くのプラットホームにアスカは立っている。
 アスカは、シンジとレイの様子をずっと見ていたのであった。

4028-11:02/12/06 23:14 ID:???


 シンジがマンションの中に入ると、真っ暗で、誰も帰ってきてはいなかった。
 自分の部屋に荷物を置き、すぐに夕食の用意を始める。
 しばらくして、玄関のドアが開くのに気づき、シンジは一旦、手を止めて、
玄関の方に行った。
 すると、そこにはアスカがいる。

「おかえり」

 アスカからの返事は無い。
 そのままシンジの横を通り抜け、アスカは自分の部屋に入っていた。
 明らかに機嫌が悪い。
 シンジは何が原因かを考え、今日のシンクロテストの結果が悪かったことでは
ないかと思った。
 自分にはどうしたらいいかわからない。
 だから、今、出来ること、料理を再び作り始めた。

 夕食の準備が終わる頃、ミサトが帰ってきた。
 ミサトはいつも通りに見えるので、シンジはホッとした。
 シンジが料理をテーブルに並べていると、アスカが部屋から出てきた。
 ミサトも席に着き、3人+ペンペンが揃って夕食を囲んだ。
 シンジが退院してからは、ミサトやアスカは帰る時間が遅くなることが多かった。
 シンジにはみんなが揃う夕食は久しぶりだが、何となく空気が悪いように感じる。

「「いただきます」」
4038-12:02/12/06 23:17 ID:???

 重苦しい雰囲気の中、食事が進む。
 誰も喋ろうとしない。
 誰も見ていないテレビの音が鳴っている。
 シンジは元々、口べたなので話したくても話せない。
 ミサトはこの空気に耐えきれず、缶ビールを口にしている。
 いつもより、ペースが速い。
 アスカは黙々と食べている。
 ペンペンも居心地が悪いのか、自分のご飯を食べ終えると、冷蔵庫へそそくさと
帰っていってしまった。
 シンジは何とかして欲しく、ミサトを見たが、ミサトは駄目と目で合図を返した。
 アスカの食事が終わる頃、ようやくミサトが話しかけた。

「ねえ、アスカ?」

 すると、アスカは食器をテーブルの上に置いた。

「ごちそうさま」

 席を立ち上がり、アスカは自分の部屋へ帰ろうとしたその時、電話のベルが鳴った。
 アスカが電話の近くにいるので、ミサトが声をかける。

「アスカ、電話を取って」
「いやよ。どうせミサトでしょ。きっと加持さんからの電話よ」

 アスカがさらに機嫌を悪くして、言い返した。

「それはないわ」
4048-13:02/12/06 23:19 ID:???

 ミサトは暗い感じの声で答えた。
 加持が死んでいても、生きていても、自分に電話が来ることはない。
 もし、生きているとしても、この盗聴されている回線を使うことはないだろう。
 生きていればの話しだが。

「どういうことよ?」

 アスカは加持が失踪したことを知らないので、ミサトの言っている意味がわからない。
 ミサトは視線をアスカからそらし、黙っている。

 そのようなやりとりの間にも、電話のベルが鳴り続けているので、シンジは仕方なく
受話器を取った。
 電話の相手がドイツにいるアスカの母であることを言うと、アスカはシンジから
受話器を奪い取る。
 アスカはあまり嬉しく無さそうに見えるが、話し始めると、一転、明るい調子に
変わった。
 ドイツ語で話すアスカを見て、シンジはぽつりと呟いた。

「家族の会話か、...知らない言葉で喋っていると、アスカが知らない人みたいだ」

 シンジには自分の父親と比べて、楽しそうに母親と話すアスカが羨ましい。
 長い間、アスカは電話で話していたが、やがて受話器をミサトの方へ向ける。
 ミサトがアスカの母と話しているのを見ると、シンジはアスカに話しかけた。

「ずいぶん長く話していたね」

 アスカの顔に明るい感じはない。
4058-14:02/12/06 23:21 ID:???

「そんなんじゃないわ。ま、いつものコミュニケーションって、やつ」
「でも、羨ましいよ。話せる人がいて」
「まあね、...でも表層的な物よ。本当の母親じゃないし」
「あっ、ごめん」
「謝んなくてもいいわ。アンタだって、母親はいないんでしょ?」
「うん」

 アスカはため息をつく。

「それに、ママは嫌いじゃないけど、苦手なのよね」

 そう言うと、ハッと気づいたような顔をした。

「なんで、アンタにこんなことを言わなきゃならないのよ!」
「えっ、だって、アスカが勝手に言ったんじゃないか」
「アタシが勝手にですって!?」
「違うの?」

 アスカは顔を真っ赤にして怒った。
4068-15:02/12/06 23:23 ID:???

「うるさい、うるさい、うるさい!」
「僕が悪いっていうの?」
「そうよ。だいたい、アンタ、最近、生意気なのよ! 前みたいに、どうして、
すぐに謝らないのよ!?」
「なんだよ、それ。僕のすぐに謝るところが悪いって、言ったのはアスカだろ」
「うっさいわねー。そういうところが生意気だって言うのよ!」

 パシーンと、頬を叩く音がした。
 シンジは頬を手で押さえ、呆然としている。
 電話を終えたミサトは、その様子を缶ビール片手に見ている。
 そして、アスカは走って、自分の部屋に戻っていった。

「なんなんだよ、一体。僕が何をしたっていうんだよ」

 シンジはアスカの部屋の方を見ながら、呟いていた。

「シンジ君、男の子でしょ。ここは耐えるしかないわ」

 ミサトは慰めるように、声をかけた。

「ミサトさん、そんなところで、男の子って言わないでくださいよ」

 シンジは情けない声を出した。

 アスカはふてくされて、ベットの上で横になっていた。

4078-16:02/12/06 23:26 ID:???


 翌日のシンクロテスト。
 アスカはさらにシンクロ率を下げていた。
 マヤが結果を報告する。

「ファースト、シンクログラフ・マイナス2.7。セカンド、マイナス12.8、サードは
マイナス7.3です」
「これは、...酷いわね」

 リツコが不機嫌そうにし、マヤがアスカについて説明を付け加える。

「ええ、特にセカンドは起動指数を少し上回る程度ですね」

 ミサトがアスカを庇うように、口を挟む。

「アスカは体調が悪いのよ。今日は二日目だから」

 だが、即座にリツコは言い返す。

「表層的な体調の不調はシンクロ率に影響を及ぼさないわ。問題はもっと深層意識に
あるのよ。...弐号機のパイロットを変更する必要があるかもしれないわね」
「リツコ! それは、もう少し待って」

 ミサトはアスカのことを考えると、リツコにそれを思い留まらせたい。
 しかし、リツコはそれには何も答えずに、別のことを話し始めた。
4088-17:02/12/06 23:29 ID:???

「問題は、シンジ君ね」
「シンジ君? 確かにシンクロ率は下がっているけど、あんなことがあったばかりだから、
仕方がないんじゃない」
「昨日だけなら、そう言えたかもしれないけど、今日もとなると、別の要因があるわね」
「別の要因か、」
「ミサト、何か心当たりはない? シンジ君に変わったこととか」

 ミサトは腕を組み、目を瞑って、しばらく考え込んだ。

「う〜ん、思い当たることは無いわね〜」
「そう」
「でも、シンジ君は変わったわよ。サルベージされてから、格好良くなったわ。前みたいな、
なよなよっとしたところが無くなって、なんか大人っぽくなったわね」

 ミサトはまるで自分のことのように嬉しそうに話し、それをリツコは聞き流していた。
 シンジが大人に成り始めていることが、根本的な原因であることに、リツコは気づいて
いない。

「このままだと、シンジ君はいずれ初号機を起動することも出来なくなるわ」
「...リツコ、初号機をダミープラグで動かすことは出来ないの?」
「無理ね。ダミープラグどころか、レイでの起動も無理よ」
「困ったわね」

 その後、管制室は静寂に包まれた。

4098-18:02/12/06 23:32 ID:???


 今や、アスカのプライドは崩れ落ちていた。
 エースパイロットとしての自負が、自分をさらに惨めに感じさせている。
 自分の価値はエヴァの操縦にあるのに、このままではパイロットを降ろされるかも
しれない。
 悔しさと悲しさが心の中で吹き荒れていた。


 アスカはエレベーターのドアの前に立った。
 その表情に元気はない。
 ドアが開き、アスカは中に入ろうとしたが、一瞬、足が止まった。
 中にレイがいる。
 だが、すぐに足を踏み出し、エレベーターに乗り込んだ。
 表情を強ばらせながら。
 ドアが閉まり、エレベーターが上昇する。
 二人は顔を合わせようともせず、沈黙だけが続く。
 エレベーターの機械音だけが鳴っている中、レイがドアを見つめたまま、微かに
感情のこもった声で話しかけた。

「心を開かなければ、エヴァは動かないわ」

 アスカはそれを聞き、気持ちを高ぶらせて、レイの方を振り向く。

「心を閉ざしてるっていうの、この私が?」

 レイはアスカを見ようとせずに、静かに話し続ける。
4108-19:02/12/06 23:34 ID:???

「そう。エヴァには心がある」
「あの人形に?」
「わかってるはずよ」

 そのようなことを、アスカはわかりたくもない。
 そして、こんな女に自分は情けをかけられたくない。

「はん、アンタから話し掛けて来るなんて、明日は雪かしらね」
「・・・・・・」

 アスカの嫌みに対して、レイは表情を変えない。
 それも気に入らない。

「何よ! 私がエヴァに乗れないのがそんなに嬉しい? 心配しなくっても使徒が
攻めて来たら、無敵のシンジ様がやっつけてくれるわよ。私たちは何にもしなく
てもいいのよ! シンジだけがいればいいのよ!」
「・・・・・・」
「あ〜あ。シンジだけじゃなく、機械人形みたいなアンタにまで同情されるとは、
この私もヤキがまわったわね」

 人形という言葉に、レイは微かに肩を震わせた。

「わたしは人形じゃない」

 それを聞き、アスカはさらにヒステリックになる。

「うるさいっ! 人に言われたまま動くクセに! アンタ、碇司令が死ねといったら
死ぬんでしょ!」
「・・・・・・」
4118-20:02/12/06 23:36 ID:???

 レイは俯いて、床を見るだけで何も答えない。

「はん、やっぱり答えられないじゃない? どうせ、アンタは命令に従うだけの人形なのよ」
「.....違う」

 俯いたまま、レイは小さな声で言う。

「違わないわよ。アンタは人形よ!」
「わたしは、私よ。人形じゃない」

 レイはアスカへ顔を向け、はっきりと言葉にした。
 その顔には、明らかに感情の色が浮かんでいる。
 アスカはそのようなレイに、一瞬怯んだが、すぐに反発した。

「アンタなんか人形よ! それ以外の何ものでもないわ!」

 パーン。
 エレベーターの中に、レイがアスカの頬を右手で打つ音が響いた。
 アスカは何が起こったのかわからないかのように、呆然と立っている。
 そして、レイはアスカを叩いた自分の手をジッと見ている。
 そのままの状態がしばらく続いたが、やがてエレベーターは止まり、ドアが開く。
 レイはいつもの表情に戻し、エレベーターから出て行った。
 アスカは我に返り、レイの後ろ姿に罵声を浴びせる。

「アンタなんか嫌いよ! ほんと、昔から大嫌いなのよ! みんな、みんな、大嫌い!」

 アスカは目に涙を溜めて、叫んでいた。

4128-21:02/12/06 23:39 ID:???


 数時間後、ネルフ本部内に警報が鳴り響いた。
 発令所の大画面モニターに、鳥のような形をした光り輝く使徒が映っている。
 使徒は衛星軌道上に留まり、そこから移動する気配はない。

 ミサトは零号機を発進させ、弐号機をバックアップにすることに決めた。
 初号機は凍結中、弐号機はアスカのシンクロ率低下により実戦に不安があり、
零号機だけが順調に稼働するからである。
 だが、アスカは独断で弐号機を発進させ、ミサトはそれを黙認した。
 この戦闘がラストチャンスであるとアスカは考え、ミサト、リツコ、マヤも同じく
認識している。
 シンジは凍結中の初号機の中で、モニターに映る弐号機を不安そうに見ていた。

 そして、大粒の雨が降り注ぐ中、弐号機は使徒からの光線に包み込まれた。
 この虹色の光に熱エネルギー反応は無い。
 アスカの心理グラフが乱れ、精神汚染が始まる。

「使徒が心理攻撃を? まさか、使徒に人の心が理解できるの?」

 リツコは想像もしていなかった事態に、驚いている。

 ミサトはアスカに撤退命令を出すが、アスカはそれを拒否した。
 バックアップに回っていた零号機が、ポジトロンライフルで使徒に攻撃を仕掛けるが、
使徒のATフィールドに弾かれてしまう。
 その間にも、アスカは使徒の精神攻撃を受け続けている。

「嫌あ! 私の心を覗かないで、お願いだから、これ以上、私の心を犯さないで!』

 アスカはエントリープラグの中で頭を抱え、泣き叫んでいる。
4138-22:02/12/06 23:41 ID:???

「いいの、私は子供じゃない。
 はやく大人になるの、ぬいぐるみなんって私にはいらないわ。
 だから私を見て、ママ、お願いだからママをやめないで!
 ママ! お願いだから私を殺さないで、
 ...いや! 私はママの人形じゃない! 自分で考え、自分で生きるの。
 パパもママもいらない、私は一人で生きるの」

 アスカは自分で封印していた過去の記憶を思い出していた。
 閉じこめていたはずの記憶。
 決して開かれることのなかった記憶。
 それが、アスカの中で全て開いていく。

「もうやめて、汚されちゃったよ。私の心が、加持さん、...」


 身動き一つしなくなった弐号機を初号機の中で見ているシンジは、ゲンドウに
自分を出撃させるように訴えていた。

「お願いします。出撃させてください!」

 それに対し、冬月が答える。

「いかん。目標はパイロットの精神を浸食するタイプだ」

 続けて、ゲンドウが言葉を加える。

「今、初号機が浸食される事態は避けねばならん」
「でも、今、行かないと、アスカが危ないんだよ!」
「駄目だ」
「なっ! どうして!?」
4148-23:02/12/06 23:45 ID:???

 使徒の攻撃が精神を浸食する以上、初号機のコアにいる碇ユイに何らかの異常が
生じる可能性がある。
 ゲンドウ達にとって、それは絶対に避けねばならないことだ。
 この状況を打開すると共に、ある懸案を処理するため、ゲンドウは一つの決断を下した。

「レイ、ドグマを降りて槍を使え」

 ゲンドウの命令に、ミサトは反論する。

「アダムとエヴァの接触は、サードインパクトを引きおこす可能性があります。
やめてください、碇司令」

 しかし、ゲンドウはミサトを全く相手にしない。
 セカンドインパクトはアダムと使徒との接触が原因で、再びサードインパクトを
起こさないためにネルフはある。
 だが、ターミナルドグマで加持と共に見た白い巨人、アダム。
 使徒のコピーであるエヴァ。
 ゲンドウ達の反応を見ると、この両者の接触によりサードインパクトは起きない。
 ならば、セカンドインパクトは何が原因なのか?
 そして、このような局面に至っても、出撃させない初号機。
 ミサトは、ネルフ自身にいっそう疑惑を抱いた。


 零号機がロンギヌスの槍を手に持ち、地上に現れる。
 そして、MAGIの誘導に従い、槍を投擲した。
 深い雲を槍は突き抜け、使徒に向かって一直線に進む。
 槍が使徒に直撃する直前、使徒はATフィールドを展開する。
 だが、難なくATフィールドを突き破ると、槍は使徒を貫き、消滅させた。
 その後、槍は第一宇宙速度を突破し、月軌道に移行する。
 事実上、槍の回収は不可能になった。
4158-24:02/12/06 23:50 ID:???


 ビルの屋上で、アスカはプラグスーツを着たままの姿で、膝を抱えて座り、弐号機が
回収されていくのを見ている。
 既に、雨は止み、空は夕焼けに染まりつつある。
 シンジはアスカの後ろに立った。
 アスカとシンジの間には、立ち入り禁止のテープによって分けられている。
 そのテープが、アスカとシンジを断絶しているようであった
 シンジはアスカの後ろ姿を長い間、見ていたが、思い切って話しかけた。

「よかったね」
「全然よくない! よりにもよって、あの女に助けられるなんて、.....そんな事なら
死んだ方がマシだったわよっ! 嫌い! 嫌い! みんな嫌い! だいっきらい!」

 シンジにはアスカの背中が、自分を拒絶しているように見える。
 かつての自分のようだ。
 シンジは、アスカに声をかけるのが怖い。
 でも、それではいけないと思った。
 昔の自分は、みんなを拒絶していた。
 だけど、ミサトさん、トウジ、ケンスケ、洞木さんは、そのような自分に近づいて
きてくれた。
 だから、僕はみんなに心を開くことが出来たと思う。
 今は、僕がアスカに近づいていかなければならない。

「僕はアスカを嫌いじゃないよ。ミサトさんや洞木さんも、アスカのことが好きだと思う」
4168-25:02/12/06 23:54 ID:???

 アスカは座ったまま、顔をシンジの方に向けた。
 シンジはアスカが自分の話を聞いてくれていると思い、ホッとした。
 だが、

「綾波だって、アスカのことを心配しているよ」

 レイの名前が出ると、アスカは立ち上がって声を荒げた。

「あの女のことは言わないでよ! だいたい、アタシはアンタのことが嫌いなのよ!
アンタなんか帰ってよ! ここから出てって!」

 シンジはアスカに嫌いと言われて、ここから逃げ出したくなった。
 今までの自分を考えれば、アスカに嫌われても仕方がないと思った。
 しかし、レイのことは見過ごせない。

「アスカが僕のことを嫌っているのはわかるよ。でも、綾波を悪く言うのは止めて欲しい」

 その言葉を聞くと、アスカは数歩、シンジの方へ歩み寄り、小馬鹿にするような顔つきで言う。

「あ〜ら、無敵のシンジ様は、今度はファーストにお目をつけられましたか」
「なんだよ、それ。綾波は関係ないだろ」

 すると、アスカは表情を一変させた。

「アタシ、知ってるのよ! アンタとファーストが仲良くしているのを。昨日だって、
駅であの女と手を繋いでいたくせに!」
「あ、あれは違うよ」
「はん、どうだか。ヒカリもこんなヤツを好きになるなんて、どうかしてるわ」
4178-26:02/12/06 23:56 ID:???

 これにはシンジもカッときた。

「洞木さんのことを悪く言うな!!」

 だが、アスカは動じない。

「あら、アンタでも怒ることがあるの?」
「いい加減にしろよ!」

 シンジは立ち入り禁止のテープを乗り越えて、アスカの前に進む。

「一体、何が不満なんだよ。僕には全然わからないよ」

 アスカは、一瞬、足下に視線を向けるが、すぐにシンジを睨みつけた。

「アンタにアタシの何がわかるのよ! アンタなんか、アタシのことを何も
知らないくせに!!」
「そんなのわからないよ。だって、アスカは僕に何も言わないじゃないか。いつも、
僕に命令はするくせに、心の中のことは何も言わないだろ!」
「何よ! 私が悪いっていうの!?」
「違うのかよ」

 拳を握りしめ、アスカは唇を震わせる。

「アンタは、...わたしの気持ちを聞いたことなんてあったの?...わたしの
ことを見てくれたことがあったの? どうなのよ!?」
「・・・・・・・」
4188-27:02/12/06 23:58 ID:???

 シンジは何も言うことが出来ない。
 そこに追い打ちをかけるように、アスカは言葉を続ける。

「アンタは、いつも人の顔色ばかり窺うくせに、肝心なことは何も聞かないじゃない!
いつだってそうよ。アンタはわたしのことを見たことなんて、一度もないのよ!」
「僕は、...」
「悔しかったら、言い返しなさいよ」
「........今は、アスカの気持ちを知りたいと思う」

 シンジは下を向きながら、小さな声で絞り出すように呟いた。

「なによ、.....今さら、そんなことを言っても遅いのよ」

 アスカはか細い声でそう言い残すと、シンジの横を通り過ぎ、走り去っていった。
 シンジはアスカの目に涙が浮かんでいるのを見た。
 そのまま闇が訪れるまで、シンジは立ち尽くしていた。


 その夜、アスカはマンションに帰ってこなかった。
 ミサトも戦闘の残務処理で帰ってこない。
 シンジは誰もいない部屋の中で、一人で夜を過ごした。

4198-28:02/12/07 00:03 ID:???


 翌日、シンジがネルフから戻ってくる途中、ヒカリからの電話が来た。
 もう、学校が終わっている時間だ。
 ヒカリが電話ではなく、直に会って話しがしたいということで、ミサトのマンションの
近くにある公園で待ち合わせをした。
 シンジが公園に着くと、すでにヒカリがベンチに座って待っていた。
 薄い雲が覆う空の下、公園には、一組の若い親子だけが遊んでいる。
 そういえば、ここはユニゾンの練習の時にアスカと話し合った場所だな、とシンジは
思い出していた
 ヒカリの前にシンジが行くと、ヒカリは表情を微かに緩めて立ち上がった。

「ごめん、洞木さん。待った?」

 ヒカリは小さく首を横に振る。

「ううん。わたしもさっき、ここに来たばかりだから」

 二人はベンチに腰をかけた。

「碇君、久しぶりね」
「そうだね。僕の退院祝い、以来だね」
4208-29:02/12/07 00:05 ID:???

 シンジは退院してから、毎日、ネルフ本部でテストや訓練をしている。
 そのため、学校には三号機が使徒に乗っ取られた日から行っていない。
 また、アスカとレイも、ここ一週間ほど登校していない。
 ヒカリはシンジ達が元気なのは知っていたが、やはり姿を見ることが出来ないのを
寂しく感じている。
 そして、鈴原はまだ退院できず、戦闘が激しくなるにつれて、転校していく生徒が
増え始めていた。
 ヒカリ達のクラスに残っている生徒は、もう残り少なくい。
 だから、シンジの元気な顔を見ると、ヒカリは嬉しい気持ちになってくる。
 だが、シンジに暗い影のようなものがあることにも気づいていた。

「洞木さん、話って、何かな?」

 シンジはある予感を感じながら訊ねた。

「今、アスカはわたしの家にいるの」
「そう、...やっぱり」

 予想はしていたが、アスカがヒカリの所にいるとわかり、シンジは安堵した。

「ねえ、碇君。アスカに何があったの? 昨日から、アスカは何も話さないの。
今日も、わたしが学校に行っている間は、ずっと部屋に居たみたいなのよ。わたし、
どうしていいか、わからなくて」

 ヒカリはシンジの方に体を向け、訴えかけるようにシンジを見ている。
 だが、シンジはヒカリに視線を向けずに、前方にあるブランコを見ながら話す。
4218-30:02/12/07 00:07 ID:???

「昨日の戦いで、アスカは負けたと思っているんだ。その時に、綾波に助けられたのも、
悔しく思っているみたいで、...」
「・・・・・・」
「それに、......その後、僕はアスカを慰めようとしたんだけど、...逆に、
アスカを傷つけてしまって」

 ヒカリはシンジに何と言っていいのかわからない。

「洞木さん。もし、良かったら、アスカをこのまま洞木さんの家に居させて欲しいんだ」
「わたしはかまわないけど、碇君は、それでいいの?」

 シンジは視線を地面に向け、寂しげに呟く。

「僕はアスカのそばにいない方がいいから。アスカは僕を嫌っているから。だから、
こうするのが一番いいと思う」

 ヒカリはシンジの言うことは違うと思った。
 それに、このままでいいはずがない。

「本当に、それでいいの? 碇君とアスカは家族なんでしょ。だったら、アスカが
苦しんでいる時、碇君が助けないで、誰がアスカを助けるっていうの?」

 ヒカリの言葉も、シンジには届かない。

「家族か、...結局、僕とアスカは家族になれなかったのかな。いや、初めから
家族ではなかったのかもしれない。加持さんにも頼まれたのに。ホント、僕はいつまで
たっても、駄目なままだ」
4228-31:02/12/07 00:10 ID:???

 目の前にいるシンジが、少し前までの自信のない弱いシンジのように、ヒカリには見える。
 前向きに生きようとしていたシンジは消えてしまったように感じた。

「碇君、どうしたの? 碇君らしくないわよ」
「僕らしく?.....僕なんて、昔からこうだよ。少しは自分が変わったと思って
いたけど、結局、僕は何も変わってはいなかった。バカシンジのままだ。...だから、
洞木さんも僕を嫌っていいよ。アスカにも言われたしね」

 シンジは自嘲気味に言った。

 ヒカリは両手を口に当て、息を呑む。
 もうシンジの言っていることがわからない。
 ただ、ヒカリはシンジを見つめることしかできない。
 やがて、意を決し、シンジに話しかけた。

「碇君、それ、本気で言ってるの?」
「うん、本気だよ」

 シンジは相変わらず、視線をヒカリに向けないで答えた。
 ヒカリの頭の中は空白に包まれる。
 そのまま、時間が流れ、沈黙が続く。
 しかし、ヒカリは段々と自分を取り戻していく。
 そして、シンジに対して、怒りが沸々と浮かび上がるのを感じた。
 自分の気持ちをシンジに侮辱された。
 自分だけでない、アスカも侮辱している。
 なにより、シンジがシンジ自身を侮辱している。
 だから、シンジが許せない。

 ヒカリは立ち上がり、シンジの前に立った。
 シンジは驚いたように、ヒカリを見上げる。
4238-32:02/12/07 00:13 ID:???

「碇君! 見損なったわ」
「見損なった?」
「ええ、そうよ。あなたは、アスカを捨てたのよ。家族を捨てたのよ。自分が
嫌なことから、目を背けるために」
「・・・・・・」
「碇君。あなたは、わたしに言ったことを憶えてる? あなたは、自分の意志で
これからを生きていくと言ったのよ。それなのに、何も考えずに、嫌なことから
逃げて、また自分の殻の中に閉じ籠もろうとしているわ」
「・・・・・・」
「わたしは、碇君が考えた結果、決めたことならかまわないと言ったわ。でも、
今の碇君は、ただ逃げているだけよ」

 シンジはヒカリの顔が見られなくなり、俯いてしまった。

「でも、...」

 ヒカリの激情は止まらない。

「アスカのことは、わたしが責任を持つわ。もう、碇君は気にすることはないわよ!」

 そう言うと、ヒカリはシンジに背を向け、歩き始めた。
 シンジは何も言えず、ヒカリが去っていくのを見ている。
 ヒカリの姿が見えなくなるまで、そのままの姿勢でいた。
 しばらくして、シンジは立ち上がり、空を見上げた。

「僕は、どうすれば...」

 雲に覆われている空は、シンジの心を映すようであった。

end
waiting for the light.  No.8
424423:02/12/07 00:14 ID:???
どうでしょうか?
がんがれー
委員長との交流を通して大人になっていくシンジが最後はヒーローに
なる&エヴァにさよならになりそうですなぁ

無責任な読者としては、ヒカリたんが無事に最後までたどり着けます
ようにと、地蔵にお願いしています。
426423:02/12/07 00:46 ID:???
>>425
応援ありがとう。
なんとか、終局への予想される期待と、それに対する裏切りを両立させたいです。
あと、キャラの心理状態と行動が自然になるように書きたいです。
話は読んだ。よくやったな、>>426
>>427
僕は、父さんに褒めてもらったんだ。

ところで、イチゴイチエ、楽しみに待っているんですが、なかなか更新されませんね
イチゴイチエ、更新sage
4309-01:02/12/13 20:21 ID:???
waiting for the light.  No.9


夜、シンジはネルフ本部でいつもの実験を終えて、マンションに帰ってきた。
玄関を上がり、ダイニングに入ると、テーブルにはカップラーメンの空き容器が
散らかっている。
缶コーヒーの空き缶もいくつか転がっていた。
ミサトが食べた後かなと考え、手際よくゴミを片づける。
その後、暗くなっているリビングの照明を点け、シンジはミサトの部屋の前に立ち、
襖を見た。
襖には『仕事中 悪いけど声をかけないで』の貼り紙がある。
それを見て、シンジはため息をつくと、声をかけた。

「ただいま」

だが、返事は無い。
部屋の中から物音が聞こえているので、ミサトはいるとシンジは判断した。

「ミサトさんは、今日も籠もりっぱなしか、」

もう一つため息をついて、シンジは自分の部屋に入っていった。
バックを机の上に置くと、そのままシンジはベットに横になる。
夕食を作る気分にはならない。
食事を摂らなくてもかまわない気持ちになる。
どうせ作っても、誰も食べてくれる人がいないのだから。

シンジは目を瞑り、思考の海に沈んでいった。
4319-02:02/12/13 20:24 ID:???

先の第15使徒戦の後、ミサトはネルフへ出勤せずに、一日中、自室に籠もっていた。
シンジは、アスカのことをミサトに相談したいが、話しかけようとすると、『忙しい』、
『後にして』などと言われ、取り合ってもらえない。
シンジはミサトに不満を抱くと同時に、家族というものに不安を感じている。
アスカのことが心配ではないのかと。
ミサトとは家族だと思うが、それが脆く壊れやすい物ではないかと。
結局は他人なんだ。
自分が大変になると、僕らは忘れ去られてしまう。

「また捨てられるのかな、僕は、」

ふと口にしていた。
しかし、自分もアスカを捨てたと、ヒカリに言われたことを思い出した。
自己嫌悪に陥る。
僕が悪いのか。

ここで、シンジはヒカリの言葉を再び思い出す。
このままでは、昔の自分と同じままだ。
何とかしなくてはいけない。
でも、一歩踏み込む勇気がない。
アスカに、ヒカリに会うのが怖い。
もし会っても、自分はどうしていいのかわからない。

シンジは誰かに優しくして欲しいと願ったが、それを与えてくれる人はいなかった。

4329-03:02/12/13 20:27 ID:???


洞木家の2階にあるヒカリの部屋で、ベットの上に腰掛けて、ヒカリはアスカの
後ろ姿を見ている。
アスカはテレビの前に座り、ゲームをしている。
ヒカリはチャイナ服風のパジャマ、アスカはTシャツにデニムのホットパンツ姿である。

ここに来てから、アスカは学校にもネルフにも行かずにゲームをしていた。
今のアスカに、かつての自信に満ちあふれ、輝いていた頃の面影はない。
ヒカリはアスカに以前の輝きを取り戻して欲しい。
自分がアスカの力になれれば。
シンジに自分がアスカの面倒を見ると言ったこともあるが、何より親友を助けたかった。
だけど、どうすればいいかわからない。
アスカの背中を見ることしか出来ない自分が歯痒い。
ヒカリもシンジと同じように悩んでいた。

ヒカリは自分の中に入り込んでいたが、アスカの呼び声に戻された。

「ヒカリ、」
「ん、なに?」
「寝よっか?」
「うん。」

ヒカリのベットの中に、二人は一緒に入っている。
ヒカリは仰向けになり天井を眺め、アスカはヒカリに背を向けて丸まっている。
部屋の中は暗く、物音一つ聞こえない。
そのような中、アスカが元気のない声でヒカリに話しかけた。
4339-04:02/12/13 20:32 ID:???

「ごめんね、私、邪魔かな?」
「そんなことないわよ」
「私、勝てなかったんだ、エヴァで。もう私の価値なんてなくなったの。どこにも。
嫌い...大っ嫌い...みんな嫌いなの。でも一番嫌いなのは私。何かもう、どう
でも良くなっちゃったわ」

ヒカリは顔を横に向け、アスカの赤い髪を見る。
アスカは体を小刻みに震わせていた。
こんな時、何を言えばいいのか。

ヒカリから出てくる言葉はこれしかなかった。

「わたしは、アスカがどうしたっていいと思うし、何も言わないわ。アスカはよく
やったと思うもの」

ヒカリはかつてシンジに同じことを言ったのを思い出した。
でも、今は何かが違う。
これだけでは、言葉が足りない。
しかし、言葉も行動も何も出てこない。
4349-05:02/12/13 20:32 ID:???

やがて、アスカがすすり泣く声が聞こえてきた。

「アスカ、...」

ヒカリは声をかけたが、言葉を続けることが出来ない。
アスカの後ろ姿が全てを拒絶しているように見えるから。
しばらくアスカを見ていたが、また天井を眺め始めた。
ヒカリの目から、自然に涙がこぼれ落ちてくる。

わたしだけではアスカの力にはなれない。
碇君、お願い、早く来て。

心の中で、シンジに助けを求めていた。

4359-06:02/12/13 20:35 ID:???


翌日、シンジはいつも通りに本部へ行った。
昨夜はほとんど寝ていないため、まぶたが重い。
案の定、この日のテストの結果は散々なものだった。
シンジ自身、このままではエヴァを動かせなくなる時が来ることを予感している。
その時、自分はどうなるのだろうと思ったが、その考えはすぐに頭から消えた。
今は、アスカのことで、シンジは一杯一杯になっているからである。
ミサトは頼りにならない。
ヒカリとは、会う勇気がない。
誰に相談すればいいのかわからない。
シンジは誰かに助けを求めていたが、かつてのシンジなら誰にも言わずに一人で
抱え込むことに決めたであろう。

シンジが悩みながら本部内の食堂の前を通ると、ラーメンを食べているレイが目に入る。
家に帰って、一人で夕飯を食べるのも寂しいと思い、ここで食べていくことに決めた。

レイのいるテーブルに行き、シンジはレイの向かいの席に立った。
レイはシンジが来るのに気づき、食べるのを止めて、シンジの顔を見上げた。
シンジは一瞬ドキッとするのを感じ、息を呑む。
二人は黙ったまま見つめ合っていたが、レイは痺れを切らしたのか、先に口を開いた。

「なに?」
「あ、あの、僕もここで食べていいかな?」
「かまわないわ」
「よかった。それじゃあ、すぐに持ってくるよ」

シンジはレイの了解を得られたことにホッとし、急いで自分の食べ物を取りに行った。
4369-07:02/12/13 20:38 ID:???

日替わりセットを持って戻り、レイの向かいの席に、シンジは座った。
レイはネギラーメンを、レンゲと箸を上手に使って食べている。
以前、みんなで屋台のラーメンを食べに行った時、レイがニンニクラーメン・
チャーシュー抜きを食べていたことを思い出した。
あの頃は楽しいことが多かったな。
シンジは懐かしい気持ちになった。

「いただきます」

シンジは両手を合わせて言うと、夕食を食べ始めた。
クリームコロッケを頬張ると、口の中に美味しさが広がる。
いつもより食べるペースが速い。
こんなにお腹が空いていたのか。
このところ、あまり食欲が無かったと、シンジはふり返って思い出していた
レイとの会話はほとんど無く、黙々と食べているが、なんだか気分が弾んでいる。
こういう食事は久しぶりだな。
この時、シンジは嫌なことを思い出すことはなかった。

レイはラーメンを食べ終えると、鞄から文庫本を取り出し、読み始めた。
シンジはレイを待たせているのかなと思い、食べるのを急いだ。
やっと食べ終わり、水を飲んで一息ついた。

「もしかして、僕を待ってくれたの?」

レイはコクンと頷く。
シンジは待たせて悪いことをしたと思い、また同時に嬉しくもあった。
お詫びの印と思い、レイにお茶をご馳走しようと考えた。
4379-08:02/12/13 20:41 ID:???

「綾波、コーヒーか紅茶でも飲まない?」

レイはシンジを見るだけで、何も言わない。

「僕の奢りだから。なんか、綾波を待たせちゃったし。だから、気にしないで」

シンジがそう言うと、レイは少し考える素振りを見せる。

「紅茶がいい」
「わかった」

やがて、シンジはティーセットを二つ持って戻り、レイに紅茶の入ったカップを渡す。

「はい、」
「ありがとう」

レイは微かにはにかみながら礼を言い、カップを受け取ると、砂糖を入れ、スプーンで
軽くかき回した。
そして、レモンを一切れ入れ、紅茶を飲み始める。
シンジはしばらくその様子を見ていたが、レイがカップを口から離し、テーブルの上に
置くと、自分も紅茶を口にした。
シンジは気持ちが落ち着いているのを感じ、レイにアスカのことを相談しようと思った。
4389-09:02/12/13 20:45 ID:???

「綾波に聞いてもらいたいことがあるんだけど、」
「なに?」
「う、うん。実は、アスカが家を出て行って、今は洞木さんの所にいるんだ。あっ、
洞木さんはわかるよね。クラスの委員長をしている?」
「ええ、知ってるわ」

レイが頷くのを見て、シンジは話を続けた。

「原因は、アスカがこの前の戦闘で負けたことなんだけど、さらに僕がアスカを傷つけた
からなんだ。でも、僕はアスカの気持ちがわからないから、どのように接すればいいのか
わからない。それに、洞木さんを怒らせてしまったし、ミサトさんは話を聞いてもくれない。
.....僕はどうすればいいのかな?」

シンジは上手くレイに伝わったのか心配だった。
それでも、自分を助けてくれるのではないかと思い、レイを縋るような目で見る。
レイは両手をテーブルの下に置き、カップを見つめたまま答えた。

「わたしには、わからないわ」
「そうだよね、...ごめん」

落胆した気持ちが、シンジの顔にありありと浮かぶ。
レイはシンジを無表情に見つめていたが、やがてすっと目を細めた。

「...碇君。あなたは、誰もいないから、わたしに縋るの?」
「えっ!」
「わたしは、弐号機パイロットでも、葛城三佐でも、洞木さんでもないわ。あなたは、
わたしに彼女たちの代わりを求めているの?」
「ち、違うよ!」
4399-10:02/12/13 20:49 ID:???

シンジは立ち上がり叫んでいた。
その声に反応して周りの人がシンジの方を見ているのに気付くと、シンジは腰を
下ろし、イスに座った。

「僕は、綾波を誰かの代わりになんて思っていない」
「・・・・・・・」
「.....でも、綾波に優しくされたかったのかもしれない」

シンジは俯きながら呟いた。
レイはカップを両手に持ち、その暖かさを感じるように包み込んでいる。
そして、おもむろに話しかけた。

「あなたは弐号機パイロットに会うべきだと思う。人の心を知るには、人と触れ合う
しかない。何もせずに、人の気持ちがわからないと言うことは、傲慢でしかないわ」

レイの言葉を聞き、シンジは俯いて考え込んでいたが、レイの席の方から物音が聞こえ、
顔を上げた。
レイはカップに残った紅茶を飲み干し、食器を載せたトレイを持って立ち上がっている。
そして、食器を片づけに歩き始めた。

「綾波。あの、ありがとう」

シンジがレイの後ろ姿に声をかけると、レイは振り向いたが、また歩き出していった。

4409-11:02/12/13 20:52 ID:???


シンジは家に帰る間、アスカの所へ行こうかどうか、この期に及んでもまだ悩んでいた。
レイに言われて行く気になったものの、アスカに会うのが怖く、まして怒らせてしまった
ヒカリに会うのが怖い。
一体、どのような顔で二人に会えばいいのか。

シンジは日が暮れて暗くなった道をトボトボと歩く。
やがてマンションの入り口に近づくと、そこに女の子が立っているのに気付いた。
ヒカリを幼くした感じの娘で、小学校高学年ぐらいの年頃のようだ。
その女の子の顔を見て、シンジはヒカリの妹のノゾミだと思い出した。
シンジがノゾミの方へ駆け出すと、ノゾミもシンジの方へ走ってきた。
二人は近づくと立ち止まり、先にノゾミが口を開いた。

「碇さんですよね?」
「うん。碇シンジだけど、キミは洞木さんの妹のノゾミちゃんだよね?」
「はい」
「どうしたの?」
「・・・・・・・・」

ノゾミは視線をチラチラとさせ、躊躇っているような仕草を見せる。
シンジはおおよその見当が付いていて、自分の方から話さなくてはいけないと思った。

「アスカのことだよね」
「は、はい」

ノゾミはシンジが先に言ってくれたことにホッとし、地面の方を漂っていた視線を
シンジの方に向ける。

「アスカが何か迷惑をかけているのかな?」
「いえ、そんなことはありません」
4419-12:02/12/13 20:55 ID:???

首を勢いよく横に振って、ノゾミは否定する。

「じゃあ、なにかな?」

ノゾミは言い淀んだが、やがて意を決して話した。

「碇さん、私の家に来てもらえませんか?」
「僕が?」
「はい。...アスカさんも、お姉ちゃんも、とても苦しそうで、見ていられないんです。
碇さんに来てもらえれば、もしかしたら......」

 一瞬、シンジは迷ったが、すぐに決めた。

「わかった。行こう」

シンジはノゾミを置いて、すたすたとヒカリの家の方へ歩き出した。
ノゾミは、少しの間シンジの後ろ姿を見送っていたが、すぐさま走り出し、シンジの
横に並んだ。

「あのう、一度、家に戻らなくてもいいんですか?」
「いいよ。それより、急ごう」

シンジは歩く速度を少し速め、ノゾミは速歩きでシンジの後をついて行った。

4429-13:02/12/13 20:59 ID:???

ヒカリの家に着き、シンジは居間でソファアに座って、アスカが来るのを待たされている。
しばらくすると、ノゾミに連れられてヒカリが来た。
シンジはソファアから立ち上がると、ヒカリの方を向いたが、ヒカリの顔をまともに見る
ことが出来ない。
ヒカリはシンジを見ると、今まで重苦しかった胸の内が軽くなるのを感じ、顔が緩んだ。
しかし、今まで会いに来なかったシンジが腹立だしくもあり、つい口調がきつくなる。

「碇君、今頃、何をしに来たの?」
「お姉ちゃん、」
「ノゾミは黙ってて」

ヒカリがまだ怒っていると思い、シンジは胸が苦しくなる。
ここから逃げ出したくなり、右足を後ろに半歩動かしていた。
だが、それでは昔の自分のままだと思い、踏み止まる。

「洞木さん、」
「なに?」
「...この前のことは、僕が悪かった。洞木さんの言う通りだよ。僕はただ逃げて
いるだけだった。許してもらえないと思うけど、洞木さんに謝りたい。ごめん」

そのまま、シンジは頭を下げた。

「碇君、わたしは、」

ヒカリがシンジを許そうと言葉を言いかけた時、シンジは頭を上げ、ヒカリに話しかけた。

「洞木さん、アスカに会わせてもらえないかな?」
「アスカに?」
「うん。僕に何が出来るかわからないけど、とにかくアスカと話し合いたいんだ」
4439-14:02/12/13 21:02 ID:???

シンジがアスカと会って話をしたいと言ったことが、ヒカリには嬉しい。
あの前向きなシンジが帰ってきてくれたと。
でも、すぐに返事が出来ない。
今すぐにでもシンジにはアスカと会って欲しいが、仲直りの切っ掛けを失ってしまい、
ヒカリは素直になれなかった。
どうしようかと思い、ヒカリはノゾミの顔を見たが、ノゾミは何も言ってくれない。

「洞木さんが、僕をアスカに会わせたくない気持ちはわかるよ。でも、アスカと話し
合わなければいけないと思うんだ。お願いだから、アスカに会わせて欲しい」
「違う、違うの、碇君」

ヒカリは慌てた。
自分がまだ怒っていてシンジにアスカを会わせたくないと、シンジが思っていることに。

「何が違うの?」
「わたしは、.....」

だが、一度失った切っ掛けは取り戻せず、ヒカリは俯き、言い淀んでしまう。

「お姉ちゃん」

ノゾミが心配してヒカリに声をかけるが、ヒカリは床に顔を向けたまま黙っている。
その様子を見ているシンジは、自分がしてしまったことを改めて後悔し、泣きたく
なっていた。

「そうだよね。僕なんか、アスカにも洞木さんにも会う資格なんて無いよね。...
でも、一度だけでも、アスカと話し合いたいんだ」
4449-15:02/12/13 21:05 ID:???

ますますヒカリは追いつめられていく。
もう素直に仲直りの言葉を言うことが出来ない。
早く仲直りをしなかった自分に怒り、そのような自分の気持ちをわかってくれない
シンジに苛立ちを感じる。
ヒカリはこの場から逃げ出し、自分の部屋に戻りたくなった。
でも、それではいけないとわかっている。

「...碇君、来て」

ヒカリには、それが精一杯の言葉だった。

シンジはその言葉に胸を撫で下ろし、ヒカリの後を追って、階段を上がっていく。
部屋の前に来ると、ヒカリは立ち止まり、シンジの方を向いた。

「ここで待ってて。アスカに聞いてくるから」
「うん、わかった」

シンジの返事を聞くと、ヒカリはドアを開けて部屋の中に入って行く。
待っている間、シンジには一秒が何分にも長く感じられ、その閉じられたドアを
不安げに見ていた。
やがてドアの向こうからアスカの声が通り抜けてきた。

「帰って!」
「アスカ」
「帰って。アンタの顔なんて見たくないのよ!」
「ちょっと、アスカ。碇君に会った方がいいわ」
「嫌よ」

やっぱり僕は嫌われているのかと気持ちが沈んだが、シンジは逃げ出すことを考えなかった。
少ない勇気を振り絞って、アスカに話しかける。
4459-16:02/12/13 21:10 ID:???

「このままでいいから、少しだけ、僕の話を聞いてくれないかな?」
「...............何よ」

良かった。
聞いてもらえる。
シンジは安堵の胸を撫で下ろし、一息を吸い込んでから話を続けた。

「僕は、...アスカが何を考えているのかわからないんだ。...そうだよね、
アスカの言う通り、今まで一度もアスカのことを見たことがなかったんだから、
わかるはずもないよね。だから、アスカにはすまないと思っている。ごめん」
「・・・・・・・・」
「でも、今はアスカのことをわかりたいんだ。そして、僕に出来るのなら、アスカの
力になりたい。だから、アスカの気持ちを僕に教えて欲しい」
「........嫌よ。」

拒否の言葉が放たれた。

「アスカ、」
「アンタなんかに、私の気持ちはわからないわ」
「そうかもしれないけど、僕はわかりたいんだ」
「...言いたくないのよ」

アスカが涙声になっているのを聞き、シンジはどうすればいいのか戸惑ってしまった。

「帰って。お願いだから、帰って、」
4469-17:02/12/13 21:12 ID:???

アスカの啜り泣く声が、ドアから漏れてくる。
声をかけようにも、シンジはアスカを慰める言葉を持っていなかった。
ただ立っていることしかできない自分に腹が立ってくる。
シンジは唇を噛み締めて、ドアを見ていた。
やがて、アスカの泣き声が小さくなると、ドアが開き、ヒカリが出てきた。

「碇君、今日はもう帰った方が良いわ。アスカも落ち着けば、きっと碇君の話を聞くと
思うの。だから、」
「わかった。たぶん、洞木さんの言う通りだと思う」

シンジはドアの方を向き、少し大きな声で話しかけた。

「アスカ、今日は帰るよ。でも、また来るから」

アスカからの反応はない。
シンジは落胆し肩を落とすと、その場を離れ階段を下りていった。
一階に下りると、シンジはヒカリの方を向いたが、その顔に元気はない。

「今日は無理を言って、ごめん」
「ううん、そんなことない」
「...また明日も来るから」

4479-18:02/12/13 21:14 ID:???

シンジは玄関へ向かい、靴を履いて外に出る。
その後を追って、ヒカリも外へ行き、家の門の前でシンジを呼び止めた。

「碇君。明日、必ず来てね」
「うん。」
「それから、碇君にはもっと早く来て欲しかったわ」
「ごめん。」
「でも、碇君が来てくれてうれしかった」
「えっ」

ヒカリが微笑んでいるのを見て、シンジはヒカリと和解できたことを感じた。

「洞木さん。僕は、」
「もう謝らないで」
「・・・・・・・」
「碇君。あの時のような、悲しいことはもう言わないでね」
「うん」
「それじゃあ、仲直りしましょ」
「洞木さん、...ありがとう」

ヒカリと仲直りできたことに安堵し、シンジは自然と笑みが浮かんでいた。

「じゃあ、もう遅いから帰るよ」
「帰り道、気をつけてね」
「うん。...明日、絶対に来るから」

4489-19:02/12/13 21:17 ID:???

シンジが帰っていくのを見送ると、ヒカリは家の中に入った。
なかなか切っ掛けがつかめなかったが、最後にシンジとの仲が元に戻ったのがうれしい。
弾んだ気持ちで階段を上がり、自分の部屋に入ると、アスカが服をバックの中に仕舞う
姿が見えた。

「アスカ、何しているの?」
「出て行く」

自分の荷物を片づけながら、アスカはヒカリを見ずに言う。

「どうして?」

ヒカリの方を振り向くと、アスカは険しい顔をした。

「シンジが来るからよ」
「碇君が来るから?」
「そうよ。シンジが来るから、ここを出て行くの」
「でも、碇君はアスカが心配だから来るのよ」

アスカは手にしていた服を床に叩きつけると、立ち上がった。

「それが嫌なのよ! シンジに同情なんかされたくないのっ!」
「同情じゃないわ。碇君はアスカを家族だと思っているから、心からアスカのことが
心配なのよ」
「心配してもらわなくてけっこうよ。.....それに、...」
「それに、なに?」
4499-20:02/12/13 21:19 ID:???

ヒカリから顔を背け、アスカは苦しげに呟く。

「ここにいると、ヒカリに迷惑がかかる」
「そ、そんなことないわ。わたしはアスカのことを迷惑だなんて思ったことは一度も
ない。だから、アスカはここにいてもいいの。ううん、アスカにいて欲しいの」

ヒカリはアスカの手を両手で握り、訴えかけたが、アスカは顔を反らしたままヒカリを
見ない。
そのままアスカは黙っていたが、やがて口を開いた。

「わたしがここにいると、ヒカリとシンジの中がおかしくなるでしょ。だから、
ここには居られない」

ヒカリは驚きで声が出なかった。
すると、アスカはヒカリの手を解き、バックを持って駆けだした。

「待って! アスカ!」

ヒカリもすぐにアスカを追いかけ、玄関のところでアスカの手を捕まえた。
アスカはヒカリの手を振り解こうとはせず、俯いたまま立ち尽くしている。
アスカが出て行こうとしないことに、ヒカリは安堵し、なんとかアスカにわかって
もらおうと話しかけた。
4509-21:02/12/13 21:22 ID:???

「アスカ、聞いて。わたしも、碇君もアスカの力になりたいの。だから、アスカが
考えているような心配は何もないわ」
「・・・・・・・・」
「わたしは、ただアスカの力になりたいだけなの。だけど、わたしに出来ることは、
一緒に居ることだけかもしれない。でも、だからこそアスカと一緒に居たいの」
「・・・・・・・・」
「だけどね、アスカ。碇君もわたしと同じだと思うの。碇君もアスカと一緒に居たいと
思っているのよ。本当は、アスカは家に帰った方が良いと思う。だって、碇君とは家族
なんでしょ」

アスカは俯いたままだが話を聞いているようで、ヒカリはそのようなアスカの姿を
見て、少し落ち着いた。

「アスカが帰りたくないのなら、いつまでもここに居ていいけど、明日は碇君に会って
あげてね」

ヒカリは優しくアスカに手を包み込んでいる。
長い沈黙の後、アスカは顔を下の方に向けたままま、とても小さな声で呟いた。

「わかった」

ヒカリはほっとして胸を撫で下ろし、次にバックをアスカの手から取り、アスカに
声をかけた。

「今日は、もう寝よう?」

二人は手を取り合ったまま、部屋に戻っていった。

4519-22:02/12/13 21:25 ID:???


その頃、ネルフ本部、ターミナルドグマの奥深くにあるダミープラントの一角に
ゲンドウ達はいる。
LCLで満たされた容器の中にレイは入っていた。
ゲンドウはズボンのポケットに左手を入れて、その様子を無言で見つめ、リツコは
コンピューターの端末を操作している。
幾ばくかの時間が過ぎ、リツコが作業を終えると、容器からLCLが除去され、レイが
そこから出てきた。
やがて、レイはシャワーを浴び、いつもの制服を着て、ゲンドウの前に現れた。
その水色の髪は乾いてなく、濡れているのが一目でわかる。
ゲンドウはレイを一瞥すると、話しかけた。
だが、その口調に以前のような優しさはない。

「レイ」
「はい」
「体の調子はどうだ?」
「問題ありません」
「そうか」
「・・・・・・」

ゲンドウは右手の人差し指でサングラスを押し上げた。

「約束の時まであと少しだ。レイ、おまえの望みも、もうすぐ叶う」

レイは顔を俯かせ黙っている。
やがて、レイはその無表情な顔を上げたが、どこか泣いているようにリツコには見えた。

「司令」
「何だ?」
「わたしは、.......」
4529-23:02/12/13 21:28 ID:???

レイは言葉を続けることが出来ず、再び俯いた。
しばらくしてから、口を開く。

「いえ、何でもありません」

レイの表情は変わらない。
だが、今度は、はっきりとレイの声に悲しみの感情が混じっているのに、リツコは
気づいた。
ゲンドウは相変わらず、左手をポケットに入れ、そのサングラスをかけている顔に
変化は無い

「レイ、下がっていい」
「はい」

返事をすると、レイはゲンドウ達に背を向け、去っていった。


セントラルドグマへ上昇するエレベーターの中にレイはいる。
両腕を自然に下げ、軽く拳を握っている。
レイの視線はエレベーターの扉を見ているが、その赤い瞳には何も映っていない。
エレベーターの上昇音のみが聞こえる中、レイの声が小さく響いた。

「わたしは、無へ還りたくない」

その声は誰の耳にも悲しみを感じさせるものであった。



end

waiting for the light.  No.9
次、続きます
45410-01:02/12/13 21:32 ID:???
waiting for the light.  No.10


シンジがヒカリの家に来た日の翌日、学校が始まる時間になっても、ヒカリはアスカと
一緒に部屋の中にいた。
学校に行かなければと思わないこともなかったが、今はアスカの側に居たい気持ちの方が
勝っている。
アスカは朝からゲームをしているが、時々ヒカリに話しかける。
ヒカリは良い方に向かっていると少し安心していた。

「ねえ、アスカ。お昼は何にする?」
「なんでもいい」
「そんなことを言わないで、何でも言って。せっかく、わたしが居るんだから、
アスカの好きな物を作るわ」

ヒカリは腰掛けていたベットから立ち上がると、アスカの横に行き、そこに座った。
その気配に気づいたアスカは、コントローラーを手から放し、ヒカリの方へ俯き加減に
顔を向ける。

「ヒカリは学校に行かなくていいの?」
「うん。わたしも今日は行きたくない気分だから」
「.......私に気を遣わなくてもいいよ」

自分がしている行為がアスカに負担になっていると知り、ヒカリは自分の浅はかさに
後悔の念が浮かぶ。
45510-02:02/12/13 21:33 ID:???

「わたしは、.....」
「アタシは大丈夫だから、ヒカリは心配しないで」

アスカが無理をしているのが、一目でわかる。
ヒカリはアスカの手を握り、訴えかけるように話した。

「わたし達、親友だよね。だから、今日は一緒に居たいの」

ヒカリに握られた手を、アスカはじっと見ている。
やがて、

「オムライスがいい」

小さな声がアスカから漏れ、ヒカリはその言葉にホッとすると、明るい口調で
話しかけた。

「わかったわ。お昼はオムライスね」


だが、この日、アスカとヒカリが一緒にお昼を取ることはなかった。

45610-03:02/12/13 21:36 ID:???


車の中、ミサトは右手でハンドルを握り、左手には携帯電話を持って、日向と
話している。
通話中にもかかわらず、車は加速し続け、対向車とすれ違うことなく林の中の
道路を走っていた。

「後15分でそっちに着くわ。零号機を32番から地上に射出、弐号機はバックアップに
廻して」

「そう、初号機は碇司令の指示に。私の権限じゃ凍結解除はできないわよ」

日向に指示を伝え終えると、携帯電話を助手席のシートに放り投げ、ミサトは左手の
遠い上空に浮かんでいる白く輝くリング状の巨大物体を見る。
雲一つ無い青空に、光りながら回転している物体に現実感は無い。

「使徒を肉眼で確認...か、」

無意識に、ミサトは呟いていた。
それは、使徒出現時に自宅に居た自分を嘲るような感じであった。

その後、すぐに視線を正面に戻すと、アクセルをさらに踏み込み始めた。

45710-04:02/12/13 21:38 ID:???


発令所では、まだ本部に来ていないミサトに代わって、日向が指揮を執っている。

「弐号機は現在位置で待機を、」
「いや、発進準備だ」

ゲンドウから直接指示が下り、それに日向は驚き、ゲンドウへ振り返った

「しかし、司令。弐号機はシンクロ率が起動指数を上回る程度で、実戦に耐えられ
ません」
「かまわん、囮くらいには役に立つ」

いつもの両肘をついて両手を口に当てるポーズで、ゲンドウは静かに告げた。
今、アスカを出撃させることは、敵にやられに行くようなものだと日向にはわかって
いるが、司令命令に逆らうことは出来ない。

「はい」

身を切られるような思いで、日向は返事をした。

45810-05:02/12/13 21:40 ID:???


弐号機はリフトに固定され、射出を待っている。
エントリープラグの中、アスカはモニターに映る使徒をぼんやりと見ていた。
だが、アスカの頭の中に使徒は映っていない。

「またこれに乗ってる。...今さらなのに...」

『弐号機、第八ゲートへ。出現位置決定次第、発進せよ』
『目標接近、強羅絶対防衛線を通過』

次々と流れるオペレーターの声を、アスカは聞き流していた。

「どうでもいいわよ、もう...」

自分はもう戦闘では役に立たないのに。
アスカはシートに深く身を沈め、涙が出そうになるのを堪えていた。



地上では、林の中、零号機はライフルを片手に、使徒から十分な距離を取って
様子を見ている。
弐号機はリフトオフされ、零号機のさらに後方で待機していた。
初号機は依然として凍結中のため、リフトに固定され、その中でシンジは戦いを
見ている。

45910-06:02/12/13 21:42 ID:???


『目標は、大涌谷上空にて滞空。定点回転を続けています』
『目標のATフィールドは依然健在』

使徒は二重螺旋状のリングになり、その動きに変化は無い。

『パターン・青からオレンジへ、周期的に変化しています』

MAGIによる使徒の分析はデータ不足で回答不能であり、敵の攻撃について全く
予測がつかない。
遅れて発令所に入って来たミサトは、現状維持を選択した。

『レイ、しばらく様子を見るわ』

だが、レイは使徒が何かを仕掛けようとしていることに気づいた。

「いえ、来るわ」

レイがそう言うや否や、使徒は突然回転を停止させ、そのリングの一部が外れると、
鞭のようになって零号機に襲いかかってきた。
使徒の先端が、零号機のATフィールドを突き破ると、その腹部に突き刺さる。
零号機の体内に、使徒の体が潜り込み始めた。
零号機は両手で使徒を掴み、引きずり出そうとするが、使徒の浸食は徐々に進んでいく。

46010-07:02/12/13 21:45 ID:???

青葉の報告が飛ぶ。

「目標、零号機と物理的接触!」

リツコがモニターに映る光景に驚き、声に出していた。

「使徒が積極的に一次的接触を試みているの? 零号機と!」


使徒の同化に伴い、零号機の腹部から全身に血管が膨れ上がるように、筋のような
ものが浮かび上がり始める。
それと同時に零号機とシンクロしているレイのプラグスーツにも、同じ筋が這い
上がっていった。
恍惚なのか、それとも苦痛なのか、レイはその頬を赤く染め、喘ぎ声を出している。


『危険です! 零号機の生体部品が侵されています』


ミサトは弐号機に零号機の援護をするよう指示を出すが、既にアスカは零号機の
元へ向かっていた。
しかし、弐号機の動きは鈍い。
シンクロ率が低いため、アスカは体が重く感じている。
弐号機が零号機に近づくと、使徒のもう一端が鎌首を持ち上げるように動き、そして
弐号機に襲いかかった。
弐号機は使徒のATフィールドを中和できず、攻撃を避けるのが精一杯であった。


『目標、さらに侵蝕!』
『危険ね、すでに5%以上が生体融合されているわ』
46110-08:02/12/13 21:49 ID:???

突然、レイの全身から使徒の浸食による痛みが消えた。
痛みのため閉じていた目を開けると、そこはエントリープラグの中ではなかった。
静寂に包まれた、赤い空と一面に広がるオレンジ色の水。
レイは自分が水面の上に浮かんでいるのに気づいた。
そして、目の前に下半身を水面の下に沈ませている自分と同じ姿をした者がいる。
彼女に、レイは問いかけた。

「誰? わたし? エヴァの中のわたし? いえ、わたし以外の誰かを感じる。あなた、
誰? 使徒? わたし達が使徒と呼んでいるヒト?」

彼女は顔を俯かせたまま話しかける。

『私と一つにならない?』

レイにはわかる。
自分ではない誰かと一つになってはいけないことを。

「いいえ、わたしは私、あなたじゃないわ」
『そう。でもだめ、もう遅いわ』

彼女が顔を上げ、嫌な笑みを浮かべると、レイの全身に無数の筋が走り、苦痛が襲った。

『私の心をあなたにも分けてあげる。この気持ち、あなたにも分けてあげる。痛い
でしょう? ほら、心が痛いでしょう?』

わたしが感じている痛みは、彼女の心のものなの?
でも、この痛みを知っている。
わたしも同じ感情を持っているから。
今まで、それが何かわからなかった。
そして、今、ようやくわかった。
46210-09:02/12/13 21:51 ID:???

「痛い...いえ、違うわ...寂しい...そう、寂しいのね」
『寂しい? わからないわ』

わたしの周りには、たくさんの人がいる。
でも、みんな、わたしを見てはいない。
彼女もわたしと同じ?

「一人が嫌なんでしょ? わたしたちはたくさんいるのに、一人でいるのが
嫌なんでしょ? それを、寂しい、というの」
『それはあなたの心よ。悲しみに満ち満ちている。あなた自身の心よ』

そう、わたしは寂しい。


そして、水面に雫が滴り、波紋が広がる。



レイは現実に戻され、目を見開いた。
その赤い瞳からは涙がゆっくりと零れ落ち、腿の上で弾ける。

「これが…涙…?」

両手を胸の前に上げ、レイは落ちてくる涙を手の平に感じている。

「泣いているのは、私!?」

両手に溜まった涙の粒を見つめながら、呟いていた

46310-10:02/12/13 21:53 ID:???


「初号機の凍結を現時刻をもって解除、直ちに出撃させろ」

ゲンドウがミサトに指示を出し、それに従い初号機は地上に射出された。
初号機がATフィールドを展開すると、使徒はそれに気付いたかのように弐号機
から離れ、初号機に向かって伸びていく。
使徒の第一撃目を初号機は回避するが、すぐに使徒は反転し、初号機の頭部を
狙って来た。
だが、使徒が接触する寸前、初号機は両手で使徒を掴んだ。
ミサトの指示に従い、初号機がプログナイフを使徒に突き刺すと、使徒は悲鳴を
上げ、大量の赤い血を吹き出した。
そして、使徒の先端がまるでレイの顔のように形を変えた。

46410-11:02/12/13 21:56 ID:???


零号機のエントリープラグの中、レイは苦痛に耐える中、使徒が初号機を攻撃している様子を見ていた。
そして、使徒が自分の心と繋がっていることに気付く。

「これは、わたしの心...碇君と一緒になりたい」

次の瞬間、レイは叫ぶ。

「ダメッ!」

かつて、わたしは人と触れ合うことなどなかった。
その頃は何も感じることなく生きていた。

しかし、今は違う。
わたしの周りには、たくさんの人がいる。
碇君、弐号機パイロット、赤城博士、葛城三佐、鈴原君、洞木さん、......碇司令。
みんながわたしを見てはいないかもしれない。
でも、わたしを見てくれる人がいる。

たとえば、碇君。
彼は、わたしにいろいろなことを教える。
彼から人と触れ合うことを知った。
彼と一緒にいると、暖かい気持ちになる。
弐号機パイロットは、わたしを見ていない。
わたしに、碇君とは別の気持ちを教えた。
彼女は、わたしに似ている。
わたしは、彼女が嫌いではない。
46510-12:02/12/13 21:58 ID:???

いろいろな人、いろいろな気持ち。
わたしは、心を、感情を知ってしまった。

そして、寂しさを知ってしまった。
寂しさを、心の隙間を埋めたいから、誰かと一つになりたい。
わたしを見てくれた人、碇君と一つになりたい。

でも、それはダメ。
彼をわたしと一つにしてはダメ。
わたしには自由がないから。
わたしは無に還らなければならないから。
彼をそのような運命に巻き込んではダメ。



マヤが零号機から得られたデータを見て、叫んだ。

『ATフィールド反転、一気に侵蝕されます!』

リツコがレイの意図を読む。

『使徒を押え込むつもり!?』



零号機は仰向けになると、拘束具が外れ、コアが露呈した。
それに伴い、初号機を襲っていた使徒が、動きを止め、零号機の中へ引きずり
込まれ、機体と融合していく。

46610-13:02/12/13 22:01 ID:???

『フィールド限界、これ以上はコアが維持できません!』
『レイ、機体は捨てて、逃げて!』

ミサトがレイに叫ぶ。

だが、

「ダメ、わたしがいなくなったら、ATフィールドが消えてしまう。だから、ダメ」

レイはシートの後ろに回り込み、赤いレバーを引く。
自爆装置が作動を始めた。


『レイ、死ぬ気!?...シンジ君! アスカ! レイを救出して!!』

しかし、初号機は零号機から遠く離れ、間に合いそうになく、弐号機はATフィールドを
中和できず、近づくことさえ出来ない。

『止めろ、綾波! 僕が行くから、自爆なんて止めるんだ!』

懸命に走る初号機の中、シンジはレイに呼びかける。

『アタシには、出来ないのよ』

アスカは、涙を流しながら、必死にレバーを動かしている。

使徒が完全に零号機と融合し、零号機のコアが大きく膨れ上がる。
そして、次に、コアが急速にしぼんでいった。

『コアが潰れます、臨界突破!』
46710-14:02/12/13 22:03 ID:???

レイは振り向き、モニターに映る光景を、シンジの、アスカの、みんなの顔を目に焼き付けようと見た。
全身を苦痛に襲われているにもかかわらず、レイは穏やかな表情をしている。

碇君の顔が見える。
わたしに向かって、何かを叫んでいる。
碇君、心配させて、ごめんなさい。
弐号機パイロット。
あなたは、人形じゃないわ。
だから、心を縛ってはダメ。

絆。
わたしと碇君の間にあるもの。
これから、もっと増えていったかもしれないもの。
わたしにも絆が生まれてよかった。

わたしの望み。
ただ、普通の日常が欲しいだけ。
でも、わたしには自由がない。

だから、

「次のわたしは、自由に生きて」

願うように呟くと、レイの視界が白くなっていく。



レイは意識が消えゆく中、声が聞こえてくるのを感じていた。


『もう、遅いわ』
46810-15:02/12/13 22:06 ID:???

零号機を中心にして、光球が拡がっていく。
発令所のモニターも、初号機のモニターも光で何も見えなくなった。
やがて、光は消え、白い煙が世界を覆う。
発令所のスタッフは呆然とモニターを見つめている。
初号機は零号機の爆発によって出来たクレーターの中に立ち尽くし、シンジは声を
出すことができずに、ただ茫然としていた。

徐々に煙が収まってくる。
ミサトは拳を握りしめ、肩を震わせている。
だが、MAGIのパターン・ブルーの表示がまだ点灯していた。


『綾波?』

シンジの声が発令所のスピーカーから流れた。

零号機がいた地点に、直径約2mほどの赤い球体が浮かんでいる。
その球体の中に、何かがいる。
観測カメラを最大望遠にして確認する。
そして、発令所のモニターに、赤い球体の中に裸で立っているレイが映し出された。

「レイなの?」

ミサトの問いに、青葉が声を震わせて答えた。

「いえ、パターン・青、使徒です」


end

waiting for the light.  No.10
469468:02/12/13 22:07 ID:???
今日はここまでです。
とりあえず乙。
あとで読みまする。
ここからはかなりオリジナルな展開になるのでしょうか?
おもしろいっす。
がんばってください。
イチゴイチエ、完結おめでとうage
「The End of イチゴイチエ」きぼんぬ
「The End of イチゴイチエ」きぼんぬ
475468:02/12/14 22:59 ID:???
>>470-471
ありがとう。自分ではよくわからないので、そう言ってもらえて良かったです
本編準拠ですが、少しのことでストーリーが少しずつ変わっていければと構想してます。
476 :02/12/15 22:32 ID:???
もっとお気軽な展開の方がいいのかな?
47711-01:02/12/17 17:50 ID:???
waiting for the light.  No.11


 爆発による粉塵が未だ舞い上がり、熱によって地表から水蒸気が出ている。
 零号機がいた場所に機体はなく、遠くの方にその破片が吹き飛んでいた。

 そして、代わりにそれがいる。
 それは赤く輝く球体に包まれて存在していた。
 人の姿、綾波レイの姿をしている。
 地上から浮かび上がり、瞼を閉じ、両手をだらりと下げ、自然体で立っている。
 永遠にそのまま変化がないように見えたが、緩やかに下降を始めていた。




 発令所では、いつものポーズのまま座っているゲンドウが大画面のメインモニター
を見ていた。
 その顔に動揺は無いかのようであったが、白い手袋をしている手の平は湿り気を
帯びている。
 ゲンドウの耳元に冬月が顔を寄せ、耳打ちする。

「碇、まさかレイが覚醒したのでは? もし、そうならば隠蔽のしようがないぞ」
「落ち着け、冬月。あれがまだレイと決まったわけではない」
「だが、...」

 冬月は言いかけていた口を閉じた。
 事の成り行きを見守るしかないと腹を決め、冬月はモニターを見つめることにした。

47811-02:02/12/17 17:52 ID:???


 マヤの側にリツコが近寄り、腰を曲げ、顔の位置を同じ高さにした。
 そして、小声でマヤに話しかける。

「零号機からエントリープラグは射出された?」

 マヤは呆然としていたところを不意に声をかけられ、慌てて振り向くと、リツコの
顔がすぐ間近にあった。
 一瞬、ドキッとするものの、すぐにデータを確認する。

「いえ、射出は確認されていません」
「そう。」

 リツコは少しの間、眉を顰めるといっそう声を小さくした。

「レイからの生体信号は?」
「信号は発信されています。ただ、...」
「ただ、何?」

 口調が暗く沈み、ようやく聞き取れる程度の小声でマヤは報告する。

「全てのデータがファーストチルドレンの死亡を示しています。信号の発信位置から、
遺体はここにあるものと推測されます」

 端末のモニターに映る地図画像の一点を、マヤを指差した。
 それを確認すると、リツコは姿勢を元に戻し、メインモニターに映る少女を見つめ、
そして呟く。

「つまり、あそこにいるのはレイでは有り得ないということ。なら、やはり使徒?」

47911-03:02/12/17 17:55 ID:???


 地上では、赤い球体が地面に到着し、唐突に消えた。
 中にいた少女は、支えを失ったかのように前のめりに倒れ、砂利の上に
うつ伏せになる。
 爆発で溶けた地表はかなりの熱を未だに持っているはずだが、少女の体が
焼けることはなかった。
 よく見れば、その体に薄く赤い膜のようなもので覆われていることに気付く
であろう。

 シンジが乗る初号機はクレーターの中に下半身が埋まっていた。
 だが、少女の姿を見ると、そこから這い出て駆けだした。
 シンジには彼女が宙に浮いていたことを疑問に感じることはなかった。
 レイが生きていた。
 それだけが全てであった。
 そして、少女の近くに来ると、初号機は片膝をついて屈む。

「ミサトさん! 綾波を救出します」
『待って! シンジ君』

 ミサトの制止にも関わらず、すぐにエントリープラグを射出すると、シンジは
少女の元へ走り出した。
48011-04:02/12/17 17:56 ID:???

「綾波! 綾波!」

 シンジは少女を抱きかかえると、何度も何度もレイの名前を呼び続ける。
 地表から吹き上げる熱風も、気にならない。
 しかし、少女は全く反応を示さなかった。
 少女は穏やかに寝ているように見える。
 だが、シンジは不安で胸が潰れそうだった。
 少女が二度と目を覚まさないのではと。
 ただ、少女から感じる体温だけが、シンジの気力を保たせている。
 長い時間が過ぎたように、シンジには感じた。
 やがて、少女の瞼がゆっくりと開いていく。
 その様子をシンジは瞬き一つしないで見守った。
 完全に目が開くと、少女はシンジの顔をじっと見つめた。
 その顔は汚れの無い幼子のようである。
 少女が無事だとわかると、シンジの体から張りつめていた力が抜け落ちた。

 シンジは泣き声を上げることも出来ずに、目から止めどなく涙が流れた。

48111-05:02/12/17 17:58 ID:???


「あの娘は、本当にレイではないのね?」
「ええ、そうよ。ミサト」

 隣にいるリツコに、ミサトは説明を求めていた。
 すでに、地上へは作戦部の人間をシンジ達の保護に向かわせている。

「じゃあ、やっぱり、」
「あなたの考えている通り、使徒よ」
「シンジ君が危ないわ!」

 ミサトはアスカに通信を入れる。

「アスカ! 今すぐにシンジ君をその娘から引き離して!」
『わかったわ』
「アスカはその場で待機していなさい」
「なっ、リツコ!」
「落ち着きなさい、ミサト。相手が使徒である以上、その対抗手段はエヴァしかないわ。
今、アスカまでエヴァから離れてしまい、その時に使徒から攻撃を受けたら、私達は
為す術が無くなるのよ」
「でも!」
48211-06:02/12/17 18:00 ID:???

 リツコはミサトの肩に手を置き、ゆっくりと諭すように話す。

「今のところ、使徒がシンジ君に危害を与える様子は見られないわ。救護班が
到着するまで、シンジ君が無事であるように祈るしかないわね」
「くっ」

 両手の拳を握りしめ、ミサトはモニターに映る少女を睨むように見た。
 そして、吐き出すように指示を日向に告げる。

「救護班は、目標に到着次第、サードを保護。次に、可能ならば使徒を捕獲して」
「使徒は殲滅だ。セカンドに指示を出せ」

 頭上から聞こえるゲンドウの声に、ミサトは後ろを振り返って見上げた。

「しかし、使徒を捕獲する絶好のチャンスです」
「その必要はない」
「ですが!」
「葛城三佐、指示を出したまえ」
「...司令、せめてサードを保護するまで待ってください」
「よかろう」

 浅間山での作戦時とは違い、即刻殲滅を指示するゲンドウにミサトは疑惑を深めた。

48311-07:02/12/17 18:03 ID:???


「シンジ! そいつは使徒よ! すぐ、離れなさい!」

 二人の側まで来た弐号機の外部スピーカーから、アスカの声が流れる。
 だが、シンジには全く聞こえていない。
 アスカは無理矢理に二人を引き離すことが出来ず、見ているしかなかった。


「綾波、どこか痛いところはない?」

 少女の白い裸体には、傷一つ無い。
 裸であるにもかかわらず、シンジは動揺することはなかった。
 心の底から、少女を心配していた。
 ただ、それだけである。

 そして、これまでシンジの何度にも及ぶ呼びかけにもかかわらず、少女は
応えることはなかった。
 シンジに無垢な顔を向けるだけである。

「綾波、僕のことがわかる? シンジだよ」

 やはり、少女の口から言葉が出ることはない。
 その表情にも変化はない。
 記憶喪失。
 それが、シンジの脳裏に浮かぶ。
 でも、生きていてよかった。
 シンジは再び少女を強く抱きしめた。

48411-08:02/12/17 18:05 ID:???


「リツコ、一体、どういうこと?」
「おそらく、零号機と融合することにより、レイと接触。それにより、レイの体に
形態を変化させたというところかしら」
「そのようなことが可能なの?」
「可能も何も、今、あそこにいるものが使徒よ」

 そう言うと、リツコはモニターに映る二人を指差した。
 それにつられて、ミサトもモニターを見つめる。
 しばらくして、リツコに問いかけた。

「ねえ、リツコ。使徒って何なの?」
「アダムから生まれしもの。それ以外は何もわかわないわ」

 モニターには、二人に近づく人影が映っていた。

48511-09:02/12/17 18:07 ID:???


 シンジは少女から引き離され、後ろから羽交い締めにされた。
 少女の周りを、防護服を身に纏った男達が囲んでいる。
 少女はわけがわからないのか、シンジの方を見ていた。
 その顔に不安な色はない。

「離せ! 離してよ!」

 力の限りシンジは暴れるが、やはり敵わない。
 そうこうするうちに、シンジの前に男がやって来て、シンジの耳元に携帯電話を
当てた。

『シンジ君、その娘はレイではないわ』
「で、でもミサトさん!」
『いい、よく聞いて。零号機のエントリープラグが確認されたわ。レイがその中で
生きている可能性があるの。だから今、目の前にいる女の子はレイではないのよ』
「そ、そんな。じゃあ、誰なんですか!?」
『使徒よ』

 シンジにはその言葉を信じることが出来ない。
 目の前にいるのは、どう見てもレイだ。
 仮にレイでないとしても、自分と同じ子供でしかない。
 彼女が使徒だなんてあり得ない。

「ミサトさん、彼女をどうするんですか?」
『.....使徒を殲滅するわ』

 一瞬、目の前が真っ暗になるのを、シンジは感じた。
48611-10:02/12/17 18:10 ID:???

 またか。
 トウジの時と同じなのか。
 でも、彼女は使徒。
 だけど、僕には彼女が使徒には見えない。

「やめてよ、ミサトさん。彼女が何をしたって言うの? 何もしていないよ」
『レイを自爆させたわ』

 その言葉に、シンジは息を呑む。
 再び息をするまで時間を要した。
 ゆっくりと視線を少女に向けると、少女は相変わらずシンジを見つめ続けていた。
 頭ではわかっている。
 だが、あの光る鞭のような使徒と、このレイの姿をした少女が結びつかない。

「...でも、ミサトさん。僕は、...」
『シンジ君は何もすることはないわ。おとなしく指示に従っていて』

 そう言い残すと、ミサトからの通話が切れた。

 シンジはそのまま引きずられるようにしてVTOL機に連れ込まれた。
 機体に入る時、シンジには少女と目が合ったように感じた。
 その表情には寂しさが浮かんでいるようにも見えた。
 遠くにいる彼女の表情がわかるはずもない。
 しかし、シンジの目には少女の寂しげな顔が確かに焼き付けられた。

 数分後、VTOL機の中で、シンジは地上を見ていた。
 そして、弐号機から少女のいた場所へ光の線が伸びた。
 ポジトロンライフルが放たれたのである。
 窓に両手を張り付け、額を強く押しつけ、言葉にならない声をシンジは叫んでいた。
 シンジの心に傷がまた一つ増えた瞬間だった。
48711-11:02/12/17 18:12 ID:???


「目標、消失」

 ミサトは使徒が殲滅される様子を、無表情に見ていた。
 使徒は復讐すべき敵である。
 その使徒を殲滅したはずなのに、ミサトの胸の内は晴れない。
 なにか、もやもやとしたものが残っている。

「現時刻をもって作戦を終了します。第一種警戒態勢へ移行」

 感情とは別に、ミサトの口は動く

「了解。状況、イエローへ、速やかに移行」

 無意識に唇を噛み締めて、ミサトはモニターを見続けた。

 レイは生きていないかもしれない。
 アスカは駄目になりかけている。
 シンジは今回のことで深く心に傷を負っただろう。
 犠牲だけが増えていく。
 自分の復讐の結果がこれなのか。
 自分は何をしているのか、何が正義なのか、自分がしていることが正しいのか。
 ミサトにはわからなくなっていた。

48811-12:02/12/17 18:14 ID:???


 零号機の爆発によって出来たクレーターに、芦ノ湖から水が流れ込み始めていた。
 ゆっくりと第三新東京市だった場所が水面下に沈んでいく。

 森の中、零号機と使徒の構成物質の捜索が行われている。
 大きく破壊されている零号機のエントリープラグを防護服を着た隊員達が
取り囲んでいた。
 プラグのハッチ部分は吹き飛んでしまったのか、外から中が覗けるように
なっていた。

「赤木博士、」

 隊員に呼びかけられ、リツコはプラグの中を覗き込んだ。
 その目には何が映ったのか。
 顔に暗く翳りが差した。

「この事は極秘とします。プラグは回収、関係部品は処分して」
「了解。作業、急げ」

 指示を終えると、リツコはプラグから離れ、緑の木々をぼんやりと見続けていた。



end

waiting for the light.  No.11
489488:02/12/17 18:20 ID:???
これからも重く苦しい展開が続きますが、読みたい人はいるのでしょうか?
わたしが考えるなりのハッピーエンドにはなりますが、最近は重い話を読む人が
いないらしいので。
誰もいないのなら、止めようかなと考えています。
>489
>読みたい人はいるのでしょうか?

オレは読みたいけどね。つーか中途で終わる方が
キモチワルイ
>489
負けるな!漏れは続きが気になるぞ!
492488:02/12/19 11:32 ID:???
今回の11話は、拒否反応が出ると思ったので不安でした。
自分でも少し重すぎると感じたのですが、展開的にこのようにせざるを得ませんでした。
もし、不快に感じる人がいるようなら止めようと思いましたが、がんばって続けてみます。

これまで書いた話を少し直したいのですが、それが出来ないのがつらいです。
TV23話相当部分から少し形式が変わってきているのも気になります。
どこかに投稿した方が良かったのでしょうか?
でも、引受先も無さそうですし。

年内に完結は無理そうです。
EF5の人気投票、どうします?
組織票でも入れますか?
エヴァは元々ハードな展開がいいんだと思うよ。
そりゃ軽めもいいけど、思いのももちろん(・∀・)イイ!!
がんがれ。
FFではヒカリがトウジの足切断or死をシンジに逆恨みするパターンが多いよね。
でも、最近、本編を見たらそのような描写はなかった。
精神攻撃をする使徒の回での学校の会話や、次のアスカが居候する描写でも
シンジに含みを持っているような部分はない。
でも、脇役キャラまで庵野が考えることができなかっただけだと思うが
496488:02/12/27 21:08 ID:???
書けなくなってきました。書きたいことに筆力が追いつかないです。
多くのことを盛り込もうとして、無理がきました。
多くの連載FFもこうして中断するようになるのでしょうか。
なんとか、年内に「涙」パートは終えたいところです。
盛り込みたいネタの中から一つ選んでそれ一本で行くと吉
本当に書きたいネタを考える、他は思い切って捨てる
というわけで気長にがんがってくだちぃ
499488:02/12/27 21:35 ID:???
続けようという気力はあるので、見捨てずに見守っていてくれたらうれしいです。

ネタというか、登場人物達の心情や置かれた状況を考えると、いろいろと複雑に
絡み合って、整理がつかなくなってくるんです。
恋愛要素は、かなり薄味になると思います。

ミサトのキャラを間違えた感じがします。書き直したいところです。
500!
更新できなかったです。30%ほど。
363 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :03/01/03 22:23 ID:???
委員長&アスカ
ttp://moe.homelinux.net/src/200301/1041599761553.jpg

>>362
そんなことはどうでもよろしい!
この高画質バージョンで、ヌいて落ち着きなさい!!

あぁ、神様ありがとうーーー!!



これどうよ?
50312-00:03/01/04 02:01 ID:???
まだ下書き段階で、12話の半分にもなっていませんが書き込みします。
自分でもこの内容でいいのかどうかわかりません。
ですが、残りは少し先のことになると思うのでとりあえずupします。
申し訳ないです。
50412-01:03/01/04 02:04 ID:???
waiting for the light.  No.12


 ヒカリがドアを開くと、シンジの顔が見えた。
 目を大きく見開き、よく顔を確認しようとしたが、世界が滲んで見える。
 辺りは暗くなり始めているが、それが原因ではない。
 いつの間にか、ヒカリの瞳から涙が流れていたからだ。
 右手で涙を拭い、シンジをよく見ようとしたが、いつまでもぼやけたままだった。

「洞木さん」

 目の前で泣いている女の子に対して、シンジはどうすればいいのかわからない。
 ヒカリを抱きしめるなど頭に浮かぶわけもなく、ただ名前を呼ぶだけだった。

 アスカの様子を窺いに行くという昨日の約束を守るため、シンジはヒカリの家に
行った。
 ヒカリの家とミサトのマンションは第三新東京市の中心部から遠く離れた郊外に
あるため、奇跡的に無傷であった。
 すでに、街のほとんどは水の中に沈み、第三新東京市は湖となっている。
 あの大爆発である。
 多くの人が死んでいた。
 シェルターに避難していた人達も、爆発中心部に近い場所にいた人たちは
亡くなっていた。
 シンジはヒカリが無事なことはここに来る前に聞いていたが、実際に顔を
見るまでは不安だった。
 今日は辛いことが多すぎた。
 もしもヒカリにまで何かあったらと思うと、胸が押し潰されそうだった。
 だから、ヒカリの顔を見た時、シンジも涙が出そうになった。
50512-02:03/01/04 02:06 ID:???

「碇君、コーヒーでいい?」
「うん」

 リビングのソファに座っているシンジに、ヒカリはキッチンから声をかけた。
 そして、シンジの返事を聞くと、お茶菓子がないかと探し始めた。

 郊外はかろうじてライフラインが生きていた。
 使徒迎撃要塞都市としての分散処理されている機能が、また過去の停電事件に
おける反省からの対策が効果を生んでいる。

「はい、どうぞ」

 すっかり落ち着きを取り戻したヒカリは、微笑みながらシンジの前にティーカップを
置いた。
 その笑みにシンジは見とれたが、慌てて礼を言う。

「あ、ありがとう」

 ヒカリは少し照れたような表情を見せると、クッキーが盛られた皿をテーブルに
置き、シンジと向かい合うように腰を下ろした。
 カップに砂糖とミルクを入れ、ヒカリはゆっくりとスプーンでかき混ぜる。
 その間、視線をシンジとカップに行ったり来たりさせていた。
 シンジが今ここに無事な姿でいることが本当にうれしい。
50612-03:03/01/04 02:09 ID:???

 零号機が爆発した時、ヒカリは自宅近くのシェルターの中に避難していた。
 その時、大きな爆発音が聞こえ、シェルター全体が激しく揺れた。
 今まで、このような事が無かっただけに、ヒカリは何とも言えない不安に駆られた。
 父や姉、妹、そして、シンジやアスカ達は無事なのだろうかと。
 やがて、避難が解除され地上に出た時、ヒカリは我が目を疑った。
 街が消えて無くなっていたからである。
 ビルが見えていた所が、今はクレーターのようになっているのである。
 そして、ヒカリの目の前にかつて人だったものがあった。
 爆発でここまで飛ばされてきたのだろうか。
 全身が黒こげで体の一部分が所々なくなっている。
 一目ではそれとわかるはずないもの。
 だが、それはヒカリに人であったと訴えかけているようだった。
 口に両手を当てている。
 悲鳴をあげることさえ許されない。
 死が今、そこにあった。
 ヒカリは気が遠くなるのを必死で堪えた。
 隣の家のおばさんに声をかけられるまで、ヒカリは呆然と立ちつくしていた。
 ふらふらとした足どりで家に着くと、爆風で割れた窓ガラスの片付けを始めた。
 シンジは、アスカは大丈夫なのか。
 体を動かせば気が紛れると考えたが、家族やシンジ達のことが気がかりで一向に
はかどらなかった。
 しばらくして、コダマとノゾミが帰ってきた時は、ヒカリは喜びのあまり二人に
抱きついていた。
 今、その二人はいない。
 街の様子を調べに出て行ったのである。
 ヒカリは一人になって、再びシンジのことで胸が一杯になった。
 もし、シンジに何かあったらと考えると目の前が真っ暗になった。
 だから、今、こうしてシンジの元気な様子が見られてうれしかった。
 たとえ、シンジが落ち込んだ様子であっても。
50712-04:03/01/04 02:11 ID:???

「よかった。碇君が無事で、」

 ヒカリは心の中の想いを、ふと口に漏らした。
 その声にシンジは反応し、顔をヒカリに向ける。

「なに? 洞木さん」
「ん〜ん、何でもない」

 自分が知らないうちに声を出していたことが恥ずかしく、ヒカリは顔を赤らめてしまう。
 そのような自分に気づかれないようにするために、何か話しかけようと考えた。

「アスカはまだ帰ってきてないけど、大丈夫なのよね?」

 ヒカリのその問い掛けに、シンジは肩をピクッと震わせ、顔を俯かせた。
 明らかにおかしいシンジの様子に、ヒカリは不安を感じた。

「アスカに何かあったの?」
「アスカは大丈夫だよ」

 シンジは顔を俯かせながら、頭を横に振った。

「だけど、...」

 ヒカリは何か悪い予感を感じながら、シンジの言葉を待つ。

「綾波の零号機が爆発したんだ。綾波が生きているのかわからない。でも、たぶん、...」

 シンジはそこまで言うのが限界だった。
 もう言葉にならない。
 でも、誰かに聞いて欲しい気持ちがあった。
 機密条項のことも忘れていた。
50812-05:03/01/04 02:13 ID:???

 そして、ヒカリは両手を口に当てて、目を見開いていた。

「綾波さんが!?」

 ヒカリの声がシンジには届いていない。
 独り言を言うかのように、シンジは呟く。

「綾波は僕を助けるために自爆したんだ。生きている価値もない僕なんかのために、」

 シンジはさらに大きく肩を震わせている。
 涙を流さず、ただ黙っている。
 しかし、ヒカリにはシンジが泣いているのがわかった。
 慰めの言葉は言えない。
 全ての言葉が軽いように感じられるから。
 自分もレイの死を悲しむ心がある。
 でも、シンジが生きていて良かったと思う心がある。
 不潔。
 自分は嫌な人間だ。
 だけど、レイもシンジには生きて欲しいと思ったからの行動なのだろう。
 だから、シンジを悲しみのままにしておいてはいけない。
50912-06:03/01/04 02:15 ID:???

 ヒカリは立ち上がり、シンジの横に座る。
 膝の上に置かれたシンジの左手を、ヒカリは両手でそっと包み込んだ。
 シンジは驚いてヒカリの方を見る。。
 そこには全てを包み込むような、優しい顔をしたヒカリがいた。
 次の瞬間、シンジはヒカリの胸に顔を埋めていた。
 そして、涙を流し、声を上げて泣き始めた。
 ヒカリは左手をシンジの背中に回し、軽く抱いた。
 右手はシンジの頭を撫でている。
 ヒカリの体に触れている感触が、体温が、悲しみを和らげているのがシンジには
わかった。
 シンジは気が付いていない。
 他人と触れ合うことを極度に畏れていた自分が、ヒカリの体に心地よさを感じて
いることに。
 ヒカリも男の子と抱き合っているの、いやらしさを感じていない自分に軽い衝撃を
受けていた。
 でも、今はこうしていることが自然に思える。
 シンジが落ち着きを取り戻していることが体から感じられる。
 自分にもシンジの力になれることができる。
 そのことがヒカリにはうれしい。

 やがて、シンジは自分を取り戻すと、ヒカリに抱かれていることが恥ずかしくなった。
 急いでヒカリから体を離す。
 ヒカリは自分の体からシンジが去っていったのを名残惜しく感じた。
 そのような自分に驚き、顔を真っ赤にさせる。

 シンジは右手で涙を拭うと、語り始めた。
51012-07:03/01/04 02:20 ID:???

「僕は、今まで何もわかっていなかった。自分が戦っているということがわかって
いなかった。綾波がいなくなって、初めてわかるなんて、僕は馬鹿だ。」
「………」
「今までだって、たくさんの人が死んでいたはずなんだ。でも、僕はそのことを
考えもしなかった。トウジのこともあったのに、僕は戦いを軽く考えていたんだ。
今日だって、もしかすると洞木さんが死んでいたかもしれない」
「碇君、」
「僕は戦いを、死をちっともわかっていなかった。だから、あの時、洞木さんと
一緒にシェルターの中にいた時、死んでもいいなんて馬鹿なことを考えていたんだ。
...僕は、本当にどうしようもない人間だ」

 シンジは拳を握りしめ、思い詰めた表情をしている。
 ヒカリはシンジのそのような姿を見て、胸が苦しくなるのを感じた。
 戦いがわかっていないのは自分も同じだ。
 今まで、生きているのが当然だと思っていた。
 最近、シンジのことを考えるようになり、ようやく戦いを考えるようになった。
 しかし、わかった気になっていただけだった。
 街が消え、多くの人が消え、レイが消え、その結果、自分が生きている。
 自分もシンジと同じく何もわかっていなかった。
 普通の中学生でありながら、戦いに赴いているシンジは自分より遙かにつらい
思いをしていたはず。
 さらにシンジが戦いたくないと思っていることを、自分は知っている。
 そんな自分がシンジを責めることなどできるはずもない。
51112-08:03/01/04 02:23 ID:???

「碇君、もう自分を責めないで。碇君は良くやっているわ」
「でも!」
「わたしも、わたしも同じなの」
「洞木さんも?」
「うん。今まで、わたしは碇君たちに守られているだけだったわ。それが、当然だと
思っていた。...そうよね、碇君たちが戦っている時、わたしは安全なところにいる
だけなんだから。でも、それは違うということが、わたしも今日、初めてわかったわ」
「………」
「あの時、死んでもいいと思ったのは、わたしも同じ。でも、それでは駄目だったのよ。
碇君を死なせないようにしなければならなかったの。碇君がエヴァに乗らないとしても、
なんとかして生きようとしなければならなかったのよ。それが命を懸けて戦っている
人たちに対して、わたしたちがしなくてはいけないことだったの」

 ヒカリはシンジの頭を両手で挟むと、自分の方へ向けさせた。

「綾波さんは、碇君を助けたかったの。碇君に生きて欲しかったのよ。だから、
自分に生きる価値がないとか、そういうことを言っては駄目。そんなことを言っ
たら、綾波さんが悲しむわ」

 この時、ヒカリは胸に針を刺されたような痛みを感じた。
 やはり、レイはシンジのことが好きだったのではないか。
 そして、シンジを守ることができたレイが羨ましく思える。
 自分は嫌らしい。
 しかし、そのような考えをすぐさま捨てる。

「わたしも碇君に価値がないなんて思わないわ。碇君の良いところはたくさんあるの。
わたしにはそれがわかる」
「...僕にはわからないよ」
51212-09:03/01/04 02:25 ID:???

 ヒカリの顔が目の前にあるにもかかわらず、シンジは視線をそらす。

「ねえ、碇君、これだけはわかって。碇君を必要としている人がいることを。碇君に
生きて欲しいと思っている人がいることを。...わたしもその一人よ。もし、わたしが
綾波さんの立場だったら、同じ事をしたと思うわ」
「駄目だよ! そんなこと絶対に駄目だよ!」

 シンジは立ち上がり、大声で叫んだ。

「僕が生き残っても、洞木さんがいないなんて、.....僕は耐えられない。
もう、僕は誰も失いたくない」

 ヒカリは見上げるようにシンジへ顔を向け、話しかける。
 どうしてもシンジにわかって欲しいから。

「わたしも碇君を失いたくないの。そのことをわかって」

 シンジを真っ直ぐに見つめるヒカリの瞳に、シンジは負の感情を吸い込まれる
ように感じた。
 体から無理な力が抜けていく。
 シンジはすとんと腰を下ろした。
51312-10:03/01/04 02:29 ID:???

「僕はどうればいいの?」

 シンジの問いに、ヒカリは微笑みと励ましを持って答える。

「がんばろう。一緒にがんばって生きていこう。これから、良いことなんて何も
無いかもしれない。幸せなんて来ないかもしれない。でも、それでも、がんばって
生きていこう。それが多くの人に守られてきた私たちのするべきことなのよ。わたしも
碇君と一緒にがんばるから。辛いことも、苦しいことも、二人で分かち合えば、
それだけ軽くなるわ。だから、わたしに何でも言って。碇君の力になるために、
精一杯がんばるから」

 シンジは涙でヒカリの顔がよく見えなかった。
 でも、ヒカリの真心が見えたように思えた。
 自分が必要とされている。
 自分を認めてくれている。
 一緒にがんばってくれる人がいる
 うれしさが心に染みわたってくる。
 今まで辛く苦しいことばかりだった。
 これからも、それは変わらないかもしれない。
 だけど、ヒカリと一緒なら、それでも生きていけるような気がする。

「碇君、一緒に生きていこう」

 ヒカリのその言葉に、シンジは頷くだけだった。
 ただ、それだけの行為がヒカリの心を満たす。
 心が一つになる。
 そのような感覚を二人は共有していた。

51412-11:03/01/04 02:32 ID:???

 シンジは自分の部屋に入り、制服姿のままベットに腰掛けた。
 オレンジ色の室内灯だけが灯る部屋の中は薄暗い。
 照明を点けるという考えは思い浮かばなかった。

 ヒカリの家でアスカが帰ってくるのを随分と待っていた。
 だが、ヒカリにアスカから今夜はネルフに泊まりがけになるという電話が入り、
シンジは自宅へ帰ることにした。
 帰り道、シンジは考えていた。
 そして、まだ結論は出ていない。
 そもそも、答えが出ることなのかもわからない。
 戦いとは何なのか?
 生きるため。
 それはわかる。
 ヒカリと一緒に生きていこうと決意したから。
 でも、...
 そこで、ある顔が思い浮かぶ。
 レイの姿をした使徒。
 彼女はどうなんだろう?

 シンジは両手をベットの上につき、天井を見上げた。

 レイ、もう一人のレイ。
 二度もレイが消える瞬間を見た。

 かつて握手をした時に見た、照れるような、それでいて綺麗なレイの笑顔
 今日、もう一人のレイが見せた、あの寂しげな顔。

 その顔が脳裏に浮かぶ。

 どれほどの時が過ぎたのであろうか。
 気が付くと、ミサトが隣に座っていた。
51512-12:03/01/04 02:33 ID:???

つづく...
>>502
貞本の絵っぽいが、どこにあったんだ?
>>516
スレ違い。他で聞け。
>>517
すまぬ。逝ってくる。
519山崎渉:03/01/11 04:41 ID:???
(^^)
>>502
見れなかったけど、委員長が金髪のヤツ?
>>520
紫だったような
続きがとても気になります。
523ここで駄文を書いていたヒト:03/01/17 10:18 ID:???
新年に入って何を考えたのか、サイト構築をしていました。
今後は、自サイトで「witing for the light」を掲載していきます。
加筆・修正をしながらNo.1から始めますので、このスレでの続きは当分、
先になると思います。続きを待っていた方、申し訳ありません。
なお、ストーリーが変わる可能性があるので、今一度、見てもらえればと
思っています。
今まで、ありがとうございました。

ttp://www.h2.dion.ne.jp/~solan/flow/
ぐっじょぶ! 今後もラバーメン!
よくやったな、>>523
これからも頑張れ!
526523:03/01/18 13:12 ID:???
>>524-525
がんばります。
コテHNとしては、もう来ることはありませんが、批判、要望、感想が
ありましたら、書き込んでもらえれば助かります。
ありがとう。
527山崎渉:03/01/23 04:49 ID:???
(^^)
hozen
LHSの同人誌って『貴賎』以外にはないの?
どなたか情報キボン。
『貴賎』は、序盤の方で脱落したなー。
あまりにもシンジが別人で、物語に入り込めなかった。
LHSの同人誌は『貴賎』以外にはないのでは
見込める読者数が少ないから
だけどもしもあったら俺も教えて欲しい
中川さんがLHSの同人誌出したら絶対に買うんだが

『貴賎』は俺も持ってる
確かにシンジの性格が違い過ぎるけど俺的には許容範囲内だった
表紙のシンジとヒカリがとても好きだがアスカはちょっと邪魔かなw
そう言えばLRASって結構あるけど
なんでLHAS(LAHS)ってないんでしょ?

LRASよりもあり得ると思うんだけど。
>>532
map1144に短編が少しだけあるよ。
貞本版のヒカリは、髪の色が紫なんだね。
今頃、コミックのカラーページを見て気がついたよ。
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          r'"ヽ, ゙、ヽ|;;/:.:.:.:: : : ‐'゙/;;lr./゙、. : : .       :::,/::,';;:::::::::::::::::::|
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     _,,,-';i、  |;;`,/゙l:.:.:.:.: : : :;;;;;;;;;;;;; ''      . . : .'" ゙'r;;:::/;:i::/ ,',/
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::::           ` 、 :   /ヽ;;;;;;;;:::::::|
>535
イイ(゚∀゚)!!
中川さん復活万歳sage
復活したの?サイトは消えたまんまだよね?
>>538
今まで消えたこと無いよ。
以前と変わらず、map1144.com です。
今月中に、ヒカリの世紀を更新するらしいです。
ヒカリの世紀は、アスカを二重人格にして本編系アスカに戻すんだろうなあ。
>>539 ありがとう 旧アドレスで見てたみたい
まだまだ消さないで(w、頑張ってください。更新楽しみにしてます。
ヒカリの世紀、更新sage

ところで、本来なら最終話まで読めば、わかることなんだろうが、
どういう目的でアスカの性格を改変したのだろうか?
知りたいところだ。
すぐに回答がもらえて、ちょっとうれしい感じ。
ちなみに、筆が進まない理由は、アスカを特徴付けている
小生意気で高飛車なセリフを使えないからだと思うな。
「アンタ、バカァ」とかさ。
16話Aでの、アスカ独り言が伏線になっていると思うんだけど、
貞本版のように外面がいいように表現しようとして、強調しすぎ
た感じだ。
なんだか、僕と彼との文通のようになってしまったなあ。
なんとなく、性格改変理由もわかるし、あーならないように頑張っていると思う。
まあ、これ以上、ここで書くと困ることになりそうだから、やめよう。

本当は、メールがいいんだろうけど、なんかなあ。
あっちの掲示板は書き込みしづらいし。

最後に、彼の描く綾波は、ちょっと違う感じ。
二次創作だから、作者の自由でいいんだけど。
イチゴの綾波も、なんか違う感じがするんだよなあ。
たぶん、序盤の早い段階でくっつけちゃったんで、悩む部分が増えちゃったんだよね。
新作キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!! → flow
えーと、せっかく紹介してもらったのですが、ごめんなさい。
LHSではないです。
3部同時進行になるんか?
アニメではシンジとヒカリが直接会話するのって、
「女の子泣かせたのよ、責任とんなさいよ!」
ていうシーンだけなんだね。ヒカリが一方的にまくし立てただけだけどさ。
ミサトの昇進パーティーでも、同じ部屋にはいるものの会話を交わしているシーンはないし。
この辺り、おいらの記憶違いだったらスマソ。
これじゃ、本編系のLHSは確かに難しい。
それだけ妄想のし甲斐があるっていうことなんだろうけどねw

ところで中川さん、最近LHSの更新が多くて嬉しい。
応援sage
貞本版ではシンジとヒカリの会話があって、けっこう重要ポイントになっているんだよね。
しかし、トウジが死んだ後のことは、きれいさっぱり無くなっているなあ。
あの後、ヒカリがどうなったか知りたいのに。
>>550
もはやヒカリの出演はないと思われ。

これだと身も蓋もないのでちょっと考えてみる。
恐らく、2−Aの生徒たちにはトウジが死んだことは伝わらない。
「疎開した」「転校した」といった適当な理由でその死は隠蔽される。
故にヒカリはトウジが死んだことを永遠に知ることはない。
トウジがいなくなって多少は悲しむだろうけど、立ち直りも早いだろう。

そんなヒカリを憐れんだシンジ。
ヒカリに積極的に接するようになり、いつの間にやら情が移って、
「僕じゃトウジの代わりにならないかな?」
「鈴原のこと忘れさせて、碇君・・・」
という展開、激しくきぼんw
カヲルが早めに出てきたから、学校生活が描かれるという予想もあるけど。
無いな。
ネタバレによると、今月は学校編でヒカリとケンスケが出るらしい。
このあたりは予想通りの展開みたい。
セガのエヴァゲーで、ヒカリエンドはいいなあ。
鋼鉄2でもヒカリエンドがあればいいのに。
きっとないだろうけど、あればいいね<ヒカリエンド

そもそもセガのゲーム自体が不思議って言ったら不思議なんだよね。
本放送も終わりヒカリの好きな相手はトウジという確たる設定がある中で、
ヒカリ×シンジをメインシナリオに盛り込む辺りやるなセガという感じだ。
その英断に拍手を贈りたい(w
ファーストインプレッションは漏れにとってバイブルです。
セガのマユミが出てくるセカンドインプレでも、ヒカリの出番が多い。
きっと、担当者がヒカリを大好きなんだよ。
質問なんですが、本編中でトウジ→ヒカリはあったのですか?
>>557
病室のシーンで弁当云々の話だけだったと思う。
考えてみれば、エヴァの人間関係はほとんど女から男への一方通行だね。
アスカ→シンジ、加持
レイ→シンジ
ヒカリ→トウジ
ミサト→加持
リツコ→ゲンドウ
ナオコ→ゲンドウ

ゲンドウ→ユイ
日向→ミサト
2月18日のヒカリの誕生日を忘れてた。
中川さんが誕生日SSを書くと思っていたけど、なかったなあ。
ttp://members9.tsukaeru.net/atu/
「red moon」にて

『ヒカリの日記』 第一話 「始まりの朝」、第二話 「回想」(LHS)
最下層で生きるスレ。
どこまで下がるか期待sage
solan殿、がんがっておられるのぅ
圧縮、山崎にも耐えて、ほとんど最下層まで下がったよ
山崎が書き込まない条件ってなんだろう
今までの山崎渉は、スクリプトで全スレsage書き込みだったんだけど、
今回はどうも違うみたい。なんだろうね?

ところで、FFSのHit記念LHSで新しい話。けっこう好き。
red moonのあれ3話目、アレはちょっとまずいだろ。
やっちゃったよ、って感じだ。
>>567
読んだけど、そんなにまずいかな?
最初の方はどこかで見た展開だなと思ったけどねw
漏れ的には許容範囲だよ。でも問題点がそこじゃなければスマソ。
最下層から3つ目か。あと少しだ。
>569
ついに最下層ですよ…
あげようかな〜♪
しばらく待って返事が無ければあげますのでご了承下さい。
damedame
一番下だからって、dat落ちするわけではないよね?
最下層記念カキコ
>>573
かといってアスカとヒカリ入れ替えたらもっとヤバクなりそうな・・・
あとカヲルをトウジと入れ替えてアスカを犯させ鬼畜ヒカリはシンジを奪うと
これもいいなあ・・
貞本版に、委員長のパンチラがあるのね。
それはともかく、読み返してみたら、庵野版ヒカリと貞本版ヒカリは
性格がかなり違うように思えた。
FUJIWARA氏の夜想曲はLHSになるのかな。ミサトにアスカはシンジを憎んでるが、
アスカがシンジ憎むのは前世で自分捨ててヒカリとくっついたからという設定かも
・・すると573のようになるのか・・やはりイタイぞLASでもLHSでも
>>577
アスカ逆行前の世界はともかく、あの世界でLHSにはならないと思うよ。
カプ無しの可能性が高いと思う。LRSの匂いが少しするけど。
いまさら言うのもなんだけど、イチゴイチエは貞本版分岐なはずなのに、
物語中盤くらいから登場人物が庵野版キャラになっていたのがなんとも。
シンジやレイなんて、もろ庵野版になっていた。
逃げちゃダメだ、とか言わないのに。
最近、某捜索掲示板を見ると、ヒカリに流行の兆しがある。
582山崎渉:03/04/17 12:09 ID:???
(^^)
保全
ageだ
585あぼーん:あぼーん
あぼーん
F氏のここ最近の作品を読んで。
もう、ついていけません。そろそろ勘弁してください。
587586:03/04/21 09:42 ID:???
俺が書き込んだ直後に公開停止とは。
もしかして、俺が原因なのか。
まさかね。
hozen
現役ではLHSの二大巨頭のFUJIWARA氏と中川健(仮名)氏は、最近、揃って元気ないよね。
根拠はないがFUJIWARA氏は、そろそろ復活してくれるような期待を持っているんだけど
一方の中川健(仮名)氏はもうだめなのかな?
FFの更新も無ければ、不定期雑記の頁も4月1日で止まったまんまだし、
掲示板も来訪者の書き込みに対してもレスをしてないしね。
中川健(仮名)氏には、ぜひ復活して貰いたいんだけどな・・・・。
>>589
漏れも中川氏の復活をキボンヌ!
それはともかく、中川氏が掲示板のレスを怠るのって、どうやら昔からみたいだな。
その昔は随分と書き込みが多くて流れの早い掲示板だと思ったけど、
今ではすっかり閑古鳥が鳴いてるみたいだねw
>今月は「ヒカリの世紀」を何回か更新したいですね。

と言っていたのに。
がっくし。
>>591
この際、月に何回もなどと欲は言わないから、
せめて月に1回は「ヒカリの世紀」を更新して欲しいな。
できれば他の短編などは書かずに「ヒカリの世紀」に集中して欲しい。

・・・・と言うのは、やっぱり読者の身勝手な考えなんだろうか?
ttp://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/8718/honto.htm

ここで描かれるヒカリは、あなた誰?、って感じだが、、、
595名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/14 21:08 ID:nMUe8yFp
>>579
あれはキャラは庵野版準拠では?
今回の、中川 健(仮名)の音信不通は長いね。
このままフェードアウトしてしまうことはないのだろうか。

>>595
日記に書いてあったの?
>596
氏が抜けていた。すまん。
>>596
最初の方でアスカがシンジを回想するシーンで
人の顔色を伺う奴という描写があったから。

エピは貞版キャラは庵版なんだと思ってた。
>>598
なるほど。
キャラが庵野版だとしっくりくる。
しかし、そうだとするとアスカがあんなにあっさりと一番に
こだわらなくなるのは、正直、なんだかなあ。
600
ttp://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/8718/yuutu1.htm

もはや何も言うまい。
でも、やっぱり一言だけ言いたい。
ケンスケはダメだろう。それをやっちゃいけねーよ。
>>602
それってLHSと言うより、LAS+Hって感じだよね。
でも、イーペーコー氏がヒカリ物を書くとは思わなかったよ。
>>603
とっくの昔に書いてるYO!
ttp://www.map1144.com/annex/sss/index.htm 内の
「夢オチLHS」と「謎」のシリーズ
606あぼーん:あぼーん
あぼーん
中川健(仮名)氏のMAP1144だけど、いよいよヤバイのかもしれんな。
久しぶりに掲示板を覗いてみたら、昔の常連達がなんとか盛り上げようと場を
繋いでいるんだが、相変わらず中川氏の書き込みは無い。
中川氏、完全に興味を失ったのかもしれんが、このパターンだと、ドメイン失効期日到来
と共に予告なしに突然のサイト閉鎖という路線になりそう。

残念だけど、突然のサイト閉鎖に備えて、各コンテンツのダウンロードをしておいた方が無難だろうな。
仕事などの私生活が忙しいだけと思いたいんだがなあ。
きっと戻ってきてくれるよ。
>>609
仕事云々じゃないと思うんだが。
どんなに忙しくても一言ぐらい書き込みはできるだろ。
俺は怪我や病気で入院でもしてるのかな……と思ってるんだがな。
中川 健(仮名)氏が引退すると、LHSというよりもエヴァ小説界全体が
寂しくなるよ。
>611
そうだね・・・・本当に彼が引退なら、俺達読者は、またひとり貴重なSS書きを
失ってしまう事になるな。

それにしても、ここ・・・・住人少ないね。
>>612
以前、出席をとった時、一週間ぐらいかけて10人に満たなかったような
じゃあ、今もう一回出席とりやったら何人いるんやろ?
てなわけで1。
2get
6162getした615:03/06/02 03:54 ID:???
ttp://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/8718/index.html

ここに投稿しているKazu氏が精力的にLHSを書いている。
暖かい目で見守りましょ。
とりあえず3
…朝から何やってんだろ、俺w
よん。

>>616
その心意気やヨシw
お、出席番号か。
しかし、漏れで5人目とはな・・・・日常から学級閉鎖だな、ここもw
>616
Kazu氏・・・・か、覚えておこう。
これからも頑張って欲しいものだね。
620615:03/06/02 23:18 ID:???
過去レスを調べたら、前回の出欠は9人だった。
今回はそれより減っているかも。
いつもはROMだけしている人も、出席だけはカキコして欲しいです。
6ばん。
いつもはROMばかりですまん。
じゃあ7番
多分八番目……
9番、ROMでゴメン。
前回とメンバーに代わりは無いのか?
626レイ一人目:03/06/04 18:18 ID:???
ほんと、洞木さんは碇君とお似合いね。
私も、碇君と一緒に居たかった.......... けれど、碇君達を見ているととても
暖かい気持ちになれる。

わたしが手にすることが出来なかった幸せ,,,,, 魂だけの存在になってみま
もることしか出来ないけれども、碇君のあの笑顔は洞木さんのものだけ。

10番目
11
12
13
中川 健(仮名)さん、FUJIWARAさん、そろそろ戻ってきてください。
632委員長:03/06/12 15:36 ID:???
クラスの人数は、全部で13人ね。
ところで「鋼鉄2」に彼女のCGって何枚くらいあったんでしょう?
ここの住人で買ったヒトいる?
>>633
ここ人少ないから、鋼鉄2スレで聞いた方がいいと思う。
MAP1144、いよいよドメイン失効?
またひとり、SS書きが消えたね。
>>635
サイトは普通に見れるけど、ドメイン失効とはどういう意味?
今、気が付いたのだが、map1144からTEST LOTへのリンクが外されている。
もしかして、中川さんは存命なのか。
638635:03/06/15 01:14 ID:???
>636
漏れのPCがトラブってたみたい。
今確認したら、また見れるようになってた。
勘違い、という事でスルーしてくれるとありがたい。
map1144のBBSに中川さんの近況報告有り。代理人のカキコですが。
ともかく、無事でなによりです。
>>639
中川健(仮名)氏ってイイペーコー氏と親しいんだね
それはそうと中川健(仮名)氏は入院してたのか・・・まあ退院したようだし良かった
少しお話ししたくなって来ました。
実は、最初にシェルターの中でのシーンを描きたくて、
そこから逆算して今の一話目から始まることになりました。
失礼しました。
hozen
LHSで今一番活動してるのはflowの作者さんかな
俺はやっぱりヒカリの世紀の続きを読みたいよ。
中川さん、早く復活して欲しいなぁ。
俺はFUJIWARA氏のLHS短編も読みたいよ。
毎日、巡回して待っているんだけど。
>>644
アスカが軍人色ものすごく強いね。
>>646
そのうちに、たぶん本編系アスカにもどるよ。
俺はユニゾンを効果的に演出するための、道具の一つだと思っている。
sage
復帰hozen
>>650
それは、俺も読んでたよ。
なんていうか、コメントに困るよね。

そのシリーズは、エロ自体はそんなでも無かったけど、
ちょっとしたギャグや仕掛けが面白かった。
特に、マユミ編は秀逸だったよ。
652あぼーん:あぼーん
あぼーん
fujiwara氏の過去作が読みたい。
中川さんのコメントが、日記とBBSに出たよ。
お元気そうで、よかったです。
ところで、某所とはどこだろう?
waiting for the light 今日初めて読んだ。萌え死ぬ。
第一話でLHSの虜に…疎開すんのかなぁ。
ってここで生まれたのね。>>388-389ワラタ。
プライドって何話までありますか?
一応19話まで掘り出したんだけど…
鯖移転問題でいっそうこのスレは過疎化が進んだような。

>>657
確か、20話で完結予定だったが、19話で止まったままだと思う。
>>656
ここのと、今、書いているの、けっこう違うでしょ?
660656:03/07/31 23:47 ID:???
>659
んー、今のほうがヒカリが前面に出てるねぇ。
イタモノスレにLHSってゆーか、ヒカリ→シンジのやつがいくつかあった。
このスレ見る限り、長編LHSってFujiwaraさんとこにあったのと
ヒカリの世紀とプライドとwaiting for…か。
Fujiwaraさんとこ読んどきゃヨカタ。
>>660
ここで少しは読めるよ。
ttp://ffs.s5.xrea.com/download.htm
倉庫行き防止sage
hozen
Fujiwaraさんが復活したな。イチゴイチエが読めるようになってる。
嬉しいよ。
山崎防止age
再び、age
667あぼーん:あぼーん
あぼーん
それでもダメか。
ひょっとして手動なんじゃないか?
最初に、全スレのナンバーを取得して、それを全部カキコするまで
繰り返すスクリプトなのかも。
話は変わるが、F氏が日記で書いていたLHS短編を
公開するのはいつなんだろう?
楽しみに待っているのですが、
てことは襲来の兆しが見えたらもうダメってことか
ヤなやつだな、やっぱり
672あぼーん:あぼーん
あぼーん
山崎、2周り目かよ。
あげ
675名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/08/18 23:25 ID:CJAO/jLi
しんじきゅんはワタサナイ(・3・)
誤爆?
ヒカリの世紀、このままフェードアウトということにはならないのかな。
ヒカリの世紀が更新されてたよ。
ヒカリの性器(・∀・)イイ!!
感想を書いてもいいかな?
>>680
かまわん。やれ。
>>681
やっぱり止めます。
でも、一言だけ書こうかな。
ヒカリの世紀は、エヴァHや2nd Ringに似たものがあるなと思いました。
特に、シンジのキャラは上記2つに近いです。
それが良いか悪いかは、好きずきによると思いますが。

ところで、今日も更新してますね。
けっこう書きためているのかな。
中川氏、ココ見てるようだね。
682のカキコ見て、掲示板で質問してるよ。
なら、シンジに関しては、二人の補完でのシンジに近いと思います。
例えば、加持がシンジにエヴァに乗る理由を訊ねる場面があります。
あの場面で、本編ならシンジはけしてあのような言葉は言わないでしょう。
これは物語を書く動機にも関係しているのですが、FFを本編補完として
みなすのか、それともエヴァキャラが好きでそれを使って少年漫画的
ストーリーを描きたいのかによるのでしょう。
で、中川氏の場合、終わらない物語などは補完的意味合いが強いのですが、
ヒカリの世紀に関してはオリジナル色が強いと思います。
これはキャラの造形によく現れていて、シンジやヒカリ、トウジにケンスケなどは
まさに昔のジャンプ的キャラでしょう。
ここの部分が読者によって受け取り方が異なる元で、かつての本編補完を求める
エヴァファンには違和感を与えるのではと思います。
と、こう感じたのは自分だけかもしれませんが。
貴賤の作者サイトが消滅していた。
うわーん。
>>686
thanks
第4使徒戦で初号機に乗り込んだ時から、ネルフと積極的に関わっていくのかと
思ってた。その後も、ネルフに関わりまくりだし。「アスカ来日」とか。
それに、フォースチルドレンになる予定なんですよね。
楽しみにしている人は多いと思います。
>>689
どうせなら中川氏本人にメールを送るなり、MAP1144の掲示板で応援した方がいいと思うよ。
でも、一行レスとかって、サイトBBSに書きづらくない?
それに、長文レスが多いところに書き込むのは、敷居が高いし。
>>691
なるほど、そうかもしれんね。
「寂しい?」のヒカリがいい感じだった。
今まで読まなかったのが不思議なくらい。
よかった。
>>693
(・∀・)イイ!!
いつのまにかFUJIWARAさんとこのtop絵が変わってる。
寸劇LHSシリーズ読みたいです。復活期待
ヒカリの姉妹は、ほとんどヒカリに似ていないことが多いですよね。
コダマなんて、ヒカリと性格が真反対のことがほとんど。
姉妹なんだから、コダマが「キャー、不潔よー」と言っても、おかしくないと思います。
というか、むしろその可能性が高いような。
ふと、そんなことを思ってしまいました。
FUJIWARAタンの日記に新作予告編が投下されてるのは既出?
いきなり書く気をそぐようだけど、病院補完は古いような。
でも、夜想曲のF氏だから、一癖も二癖もあると期待してます。
たぶん、アスカがドイツから戻ってきて、ぐちゃぐちゃするんだろうなあ。
>>697
これ好きだなぁ
>>697
(・∀・)イイ!!
>>698
FUJIWARA氏の新作はかなり気に成りますね
公開日は近いのでしょうか?
それとも未公開で終わってしまうのか・・・
期待し過ぎちゃうと後が辛いから忘れ様かどうか悩みます(笑)
ヒカリの世紀はユニゾンでアスカのキャラを変えるのかと
思っていたけど、そうなりそうにもない感じ。
マグマダイバーで、変えるのかな。
ヒカリの世紀のアスカは、もう、あのままでもいいような気がしてきた。
これから態度を本編のように変えるのも不自然だし。
例えば、貞本版のように、アスカがシンジ達の見えないところでは、
まるっきり態度が違うというような描写があれば戻すのも容易だと
思うけど、そういう描写がないから難しいのでは。
アスカが昏睡している1年の間にシンジとヒカリがくっついていて、
それを知ったアスカがマヤから薬を調達して、ヒカリとシンジ、
ノゾミに盛って・・・

っていう、LHS+イタモノな話を読んだ記憶があるんですが、
誰の作品だか忘れてしまいますた。
心当たりの方、情報キボンヌ
>>705
検索汁
>>705
エヴァンジェル書院
今、気がついた。
ミサト×シンジの可能性を(以下略)スレとスレ番号が隣同士だ。
「waiting for the light 9b」更新sage

ところで、だ。
「NTR」なんてものが流行っている昨今、
自分はアスカにもレイにも興味のないLHS厨なもんで、面白半分に眺めてたわけよ。
だけど、昨日「貴賤」の続編を読んだのね。

・・・もうダメぽ。 _| ̄|○
>>710
何が、駄目だったの?
貴賤の続編にアスカが絡んでいるけど、NTRなのかな?

自分はシンジが別人すぎて、貴賤は駄目だったけど。
LHS人口が少ないのは仕方がないよね。
多くの人は、シンジにレイやアスカが絡まない設定と知った時点で、見向きしなくなるから。
話自体が面白くても、カプ目的で読む人が大部分だからしょうがないよ。
>>712
そういうこと。
ヒカシンはマイナーなんだから読む人が少ないのは当たり前。
カウンタなんぞ気にせずにがんがってください>LHS書きの皆様。
オレモナー。

>>709
一時は雨後の筍の如く乱立したマイナーカプスレだけど、
落ち着くところに落ち着いたという感じですな。残ってるのは
ヒカシン、ミサシン、カヲシン、カヲレイ、俺シン(w くらいかな。
          ,..... 、_____    
      _∠ヽ\\>┴‐ヽiレィ 
     /二ミV/ ̄`ヽ \ \ ヾ  
    // //ミV/ハ |  ヽ \ \ヽ 
  // //|/    | || | ヽ   ヽ  ヽ 
  〃!/ L||_   _|_||ハ | ヽ  ヽ  !  
  ll |/ ハrTヘ   j∧トテ l  l   ヽ\〉
   |  | }_ヒ!       ヒj〉}l || h | V 
   l| { |:/    .: ̄ || l | b} / 
    !| ハヽヽ __       ||川 レ○ 
   ヽ|  ヽ``     j|///○く   
        ` ー┬'´ |ル! Vハ \ 
           | ∠--┴{ |  l   \  
         r‐ '´      V  | |l  ヽ 
       /,  -──┬=|  | | ! 从レ'
     _, イ         ヽ  ! | | | |/
     レ'′          ヽ レ{|ノ レ'



貞本版ヒカリ。

実は、右側にトウジがいたが、エヴァ板では本文多すぎになり泣く泣く削除。
なぁ、貞本版で一番かわいいのってヒカリだと思わないか?
>>715
同意です。
昇進パーティでの登場シーンが可愛らしい絵で、TV版とは違うと思いました。
その後は、もう一番のお気に入りです。
TV版のエキセントリックな部分が無くなって、本当にかわいい女の子ですよね。
   .'⌒⌒丶
_ ′从 从)__ 保守
| __ヽゝ-_-ν  |
|\⌒⌒⌒⌒⌒\
|  \        \
\  |⌒⌒⌒⌒⌒⌒|
  \|_________________|
>>717
委員長バージョンのAAにしてよ。
>>716
単行本何巻?
スレに新たな展開が欲しいところ
 逆行シンジでLHSは無いのー(゚∀゚)

 つーかWAIL、LHSにならんかな  なりませんかそーですか。


逆行物はあまり好きじゃない。
けど、逆行LHSのリレーでもする?
>>719
5巻22ページのことかな?
というより、やはりヒカリは出番が少ない…_| ̄|○
まぁ漏れは6巻39ページ右下アスカが一押しなんだが…

>>721 なりませんでしょーな
逆行というと、砂浜気持ち悪い→アスカも綾波も怖いんだ→誰か優しくしてよ→ヒカリ
…駄目だ、ちっと弱いか
アフターEOEなら数はあるけど、結局ヒカリ捨ててアスカへってのが多いからなぁ
ハーレムっぽいのだっら、メンソールと悲しみの果てにがあるけど
725名無しよ〜!!!:03/10/01 17:47 ID:???
>>724
「悲しみ―」のヒカリはシンジに惚れてるとは思えない。
よってLHSというには無理がある。
希望としてはLHSになって欲しいが、アスカに走るんだろうな。
痛いLASだというのをどこかで見たことあるし。
>>725
改訂前の4話では、ヒカリがシンジを好きになっちゃう展開だった。
本編のリツコのような感じで。
727あぼーん:あぼーん
あぼーん
 シンジ・ヒカリ・トウジで 「シラノ・ド・ベルジュラック」やってくれ。
>>728
粗筋しか知らないけど、トウジをシラノにするのなら
>>729
それだとLHSにはならん。せめてシラノをシンジにしてくれ。
けど、それでも行く末は悲劇しか待っていないという罠。
結局シラノ死ぬんだっけ?
絶望して死んだカッコイイ男の方がシンジっぽいと思う。
>>731
死にます

>>732
クリスチャン=シンジなら
シラノ=カヲルのほうが想像しやすいな
トウジは詩人ってイメージじゃないw

でも鼻がデカいのが悩みのカヲルって・・・ _| ̄|○
734あぼーん:あぼーん
あぼーん
735728:03/10/07 00:46 ID:???
いやさ、何も完全に踏襲する必要は無いさ。

 ヒカリがすべてを失ったような状況で (姉妹は初号機が使途に吹っ飛ばされたときにシェルターつぶして死亡、
父親は使徒の攻撃で被害を被ったとき死亡とか) トウジを手にかけてしまったシンジがヒカリを気遣い、嘘で嘘
を塗り固めていくような。
 そんで、トウジが知り得ないようなことをシンジが書いたりして違和感を感じていたヒカリは、シンジがエヴァに
取り込まれたとき、それまで続いていたトウジからの連絡が途絶えて、ついに気付くとか……

 ラストはハッピーで委員では。ヒカリも後追いってのでもいいが。


 ちなみに某有名工口ヶ゙にもシラノなシチュがあったな。

>733
>でも鼻がデカいのが悩みのカヲルって・・

 別なのが大きいならイイのかーーー

悲劇の方が好み。
たぶん、自分ならヒカリも死ぬようなラストにすると思う。
737728:03/10/07 01:38 ID:???
 実際の話は女(ロクサーヌだっけ?)も死ぬんでしたっけ?


 確か中学の道徳の教科書に載ってたんだよなぁ、>シラノ
>>735
こんな話を思いついた。

参号機の事故で危篤状態になるトウジ。
彼は臨終の間際、シンジに向かってある願いを口にする。

――委員長に伝えといてくれやんか。
ワイがおらんようになっても元気で暮らしてくれってな。

それだけを言い残して彼はこの世を去った。落ち込むシンジ。
それでもトウジの遺言を実行しようとするが、
罪の意識に苛まれるシンジに、ヒカリに会えるはずなどなかった。
だから彼は、差出人をトウジにして手紙を書くことを思いつく。
手紙を受け取ったヒカリは純粋に喜んで返事を書いてしまう。
ヒカリからの返信を受け取り、戸惑うシンジ。
一度だけのつもりだった。
しかしここで止めてしまうと、ヒカリに疑念を抱かせてしまう。
だから仕方なく、シンジは手紙を書き続ける。
いつか彼女からの手紙は途絶えるだろう、そう思いながら。
奇妙な文通はこうして始まった。
この先に待つ悲劇を、お互い知らないまま――。

ありがちな展開申し訳ない。
こんなストーリー、誰か読みたいですか?
>>738
書いてくれるの?
>>738
期待 sage
741728:03/10/08 16:15 ID:???
>>738
『 ヒカリ×シンジの可能性を(以下略) LHS 2』 
のテンプレに入れられるように期待。
 イイダシッペガ期待sage

 あとアスカがシンジの行為をどう見るかかなぁ。
よーし、>>738に期待age



こうして、どんどんプレッシャーが、、、
前原を返せ!!
744738:03/10/08 20:40 ID:???
>>739-742
頭に浮かんだことをそのまま書いただけなんだが、
本気でこんなストーリー読みたいですか?

それじゃプロット組んで資料集めしてから書いてみるよ。
期待しないで待っててね。
書けたらここで公開するのが筋なんだろうけど、
致命的な誤字脱字とか見つかったら洒落にならんしな。

けど、投稿するにしても誰が受け取ってくれるやら。
>>744
期待sage

受け取ってもらえるところは、たくさんあると思いますよ。
map1144は、4周年記念で何かするのかな
>>746
いや、たぶんせんだろ。
それよりも「ヒカリの世紀」更新して。
>>741
次スレのタイトルは
『 ヒカリ×シンジの可能性を(以下略) 第2時限目』
をきぼん
話題に出すにはちと早いがなw
当然4時限目のあとはお弁当な。
残飯処理…
2時限目になるのは、一年後くらいかな。
ヒカリ×シンジの残飯処理を
>>751
次スレまであと250
最低でも200は必要として、これまでだったら確かに1年くらいかかるね
でもこのところレスの伸びが良いみたいだ
次スレめざしてもっとヒカリ×シンジについて熱く語ろうではないか
マターリしたこの雰囲気も好きなんだけどねw
まぁ最大のネックはトウジなんだよなぁ
ってことで貞本版ならLHSが…成り立ちませんか、そーですか。
と思ったら>738さんが投下してくれるのね。
楽しみにしてますです
ヒカリはトウジが好きと言っても、中学生なんだから何かの切っ掛けで
好きな人が変わるということは普通のこと。
運命的とか、一生一人の人だけとかの方が物語的にきれいなんだけどね。
でも、今はそんな話は見ないよな。漫画でもドラマでも。
LASのアスシンは絶対不可侵みたいなのは、もうFFだけだよ。
756 :03/10/10 10:13 ID:???
>>755
幼なじみでそのまま結婚というのはたまにあると思うんだが
有名どころで言えばサッカー選手のオーウェンは幼なじみとのあいだに
子供出来たし
カーンも別れそうだけど奥さんは幼なじみだったようなきがする
>>756
現実の世界ではというのは、関係ないんじゃないかな。
運命的な出会いで二人は結ばれるとか、初恋を貫き通すとか、
そういうシチュエーションが物語的におもしろいかどうかだと思う。
それで、今のドラマやマンガなどでは、そういうのはウケないんだよね。
冒険活劇とかではそういう話もあるけど、人間関係を中心にした物語では
普通の人たちの出会いや別れを描くのが多い。
エヴァFFでのLASやLRSはそういう意味では特殊な世界で、昔懐かしい物語世界を
今でも頑なに守り続けているという点では、いかにも萌えを主体にした二次創作的
だと思う。

なんだか、何を書いているのかわからなくなっているけど、要するに
萌えを第一とする古典的な二次創作世界では、主人公にひとすじな
ヒロインというのは、不可欠であるということなのかな。
それで、普通の物語を描きたい場合は、そんなことに拘る必要は無いと。
>>746
4周年記念は無かったけど、惣流三姉妹の新作が更新されてるね。

>758
スレ違いだよ・・・・・・と言いたい所だが、惣流三姉妹なら外伝の洞木三姉妹物語で
ヒカリ×シンジのカップリングも成立しているし、辛うじてセーフという所かw
>>759
それは知らなかったよ、ありがd
さっそく読んでみる


                        ,..... 、_____    
>738君               _∠ヽ\\>┴‐ヽiレィ 
 お昼までに提出しな     /二ミV/ ̄`ヽ \ \ ヾ  
くちゃいけないから、     // //ミV/ハ |  ヽ \ \ヽ 
ちゃんと書いといてね   // //|/    | || | ヽ   ヽ  ヽ 
                〃!/ L||_   _|_||ハ | ヽ  ヽ  !  
                ll |/ ハrTヘ   j∧トテ l  l   ヽ\〉
                 |  | }_ヒ!       ヒj〉}l || h | V 
                 l| { |:/    .: ̄ || l | b} / 
                  !| ハヽヽ __       ||川 レ○ 
                 ヽ|  ヽ``     j|///○く   
                      ` ー┬'´ |ル! Vハ \ 
                         | ∠--┴{ |  l   \  
                       r‐ '´      V  | |l  ヽ 
                     /,  -──┬=|  | | ! 从レ'
                   _, イ         ヽ  ! | | | |/
                   レ'′          ヽ レ{|ノ レ'
お昼か……10年先くらいか?
日常生活、また更新しなかった
あまり期待してなかったが
シンジが初号機の中からサルベージされて一週間。
ネルフ付属病院から退院はしていたが、まだ学校へ行く許可は出ていなかった。
今日も検診のために病院へ行っていた。
夕方、陽は沈みかけ、世界は夜に主役が変わろうとしている。
シンジが気疲れした顔でコンフォート17マンションに戻ると、その一階エントランスに
壱中の制服を着た少女が佇んでいた。両手で鞄を持って俯くようにして立っている。
薄く茶色味がかった髪を束ねているおさげが肩から前に垂れ下がっていた。

「委員長」

と、シンジは声をかけた。
ヒカリは顔を上げ、彼を見る。不安がありありと浮かんでいる瞳だった。

「碇君」

と、彼女は呟き、ゆっくりと彼の方へ歩む。
シンジの脳裏に第13使徒戦前に彼女からお弁当をもらったことが浮かんだ。
あれは、トウジがもらうはずだったのである。そして、彼はもうこの世界にいない。

「教えて、碇君。鈴原は?」

と、ヒカリは訊く。彼女にはシンジがこの一ヶ月間どこにいたのかを不思議に思う
余裕すらないようだった。

「鈴原は、どこにいるの? アスカも綾波さんも教えてくれないの。ねえ、教えて。碇君」

シンジは口を開けたまま立ち尽くす他なかった。
自分の乗った初号機がトウジを手にかけたことは言えるはずもなかった。
しばし、シンジは何も言えずにいたが、やっとの思いで言葉を出した。

「トウジのお父さんは、何て言ってるの?」
「鈴原のお父さんは何も言えないって」
「そ、そうなんだ」

彼は再び口を結んでしまう。
この場をどうすればいいのか。何も浮かんでこなかった。

「碇君は知ってるんでしょ? 
 私、鈴原がエヴァのパイロットになったことは知ってるの。
 だから、碇君は知っているんでしょ? 鈴原がどこにいるのか」
「僕は、……」

と言って、彼は目を伏せてしまう。
だが、ヒカリはだんだんと常軌を逸してしまったかのように、声を荒げ始めた。

「碇君。何か言って。
 黙っていないで。
 碇君!」
「トウジは、……」

と、シンジは思わず口を開いてしまった。
そして、

「極秘訓練で、今、ドイツにいるんだ」

シンジはうそをついてしまった。
この嘘が後々に彼を激しく苦しめることを知らずに。
続ききびん
面白そうだ。続きを希望する。
768765:03/10/26 20:56 ID:???
ちょっと思いついたので書いてみました。
この題材で738さんが書くということなので、ここまでにしました。
申し訳ないです。
えーと、738さん、がんばってください。
別人かよっ。
 738さんはトリップ付けよう。ってここに挙げる気はないかもしらんが。

 それはそれで、765さんは続きいってみたら?
続きキボン
とある話で、トウジとヒカリのベットシーン後の描写があったんだけど、
かなり嫌な気分になった。
というか、トウジのベッドシーンが嫌なのかもしれない。
「これがわしの三本目の足や!」
LHS小説って数えるほどしか見たこと無いがあまり需要がないのだろうか
>>773
そりゃあね。
主人公のシンジ、レイ、アスカの組み合わせでカップリングを
作るのがどうしても多いよ。
他の脇役キャラ、ミサトやリツコ、マヤ、ヒカリはアニメの中では
どうしても目立たないからね。
「碇君。これ、鈴原に渡してもらえないかな」

 そう言って、ヒカリが差し出したのは、かわいらしい白い便箋だった。
 久しぶりに学校の教室へ来たシンジに一番最初に話したのが彼女だったのである。

「トウジに?」
「うん、」

 ヒカリは微かに頬を紅く染めて頷く。

「鈴原に電話とかできないでしょ。ドイツの住所も秘密だし。
 だから、碇君から渡してもらえないかなと思って」

 シンジは便箋を見る。
 これを受け取ってはならない。受け取れば、どうなるかは目に見えている。
 だが、彼は手を伸ばしてしまった。
 彼女の頼みを拒否できなかった。

「う、うん。ミサトさんに訊いてみるよ。
 だけど、あまり期待しないでね」
「ありがとう、碇君」

 と言って、ヒカリは花が咲いたように笑みを浮かべた。
 そして、シンジの胸に刺すような痛みが生まれる。
 彼が手にした便箋は鉄のように重かった。
>>775
乙。
 暗い部屋の中、明かりは机を照らすライトだけである。
 光の線が向かう先、それはヒカリから受け取った手紙だった。
 先刻から、シンジはその便箋を見つめている。
 いや、睨みつけていると言った方が適切かもしれない。
 ふっと、ため息を一つ彼は吐いた。
 何度と無く繰り返した溜め息は重く冷たい。

 長い時間、シンジは椅子に座り、身動き一つせずに手紙を見ていたが、
やがて手を机の上に出した。
 彼の右手はハサミを持ち、左手は便箋を掴む。
 つーっと、便箋の端が切れていった。
 中から現れたのは、ヒカリらしい清潔感が漂う白い紙。
 シンジは微かに手を振るわせながら、手紙を開いた。

『鈴原へ
 お元気ですか、………
 ………
 ………
 ドイツは食べ物も………
 水には気をつけて………
 ………
 ………
 鈴原は言ったよね。帰ってきたら、もっと仲良くしようって。
 だから、私はその時を楽しみに待っています。
 ………
 PS.また手紙を送ります』

 シンジが机の上に広げられた手紙を読み終えた時、いくつもの染みが
白い紙についていた。
 彼の手にも水滴は落ちていく。
 その染みはまだまだ増えていった。まるで止まることを知らないように。
残酷だな、ヒカリにとって。
 ネルフ本部の廊下で、シンジはばったりとアスカに出会った。
 彼女は先の使徒戦で敗北して以来、ほとんど学校にも行かず、連日、本部で
訓練している。家にも帰らず、本部に泊まることもしばしばであった。加持が消えた
ことも、彼女に多大な影響を与えていた。

「アスカ、」
「なによ、シンジ」

 必要以上にトゲを刺すような物言いでアスカは話す。

「たまには、家に帰って来なよ」
「うるさいわね。あんたなんかに関係ないでしょ」
「そんな言い方はないだろ。僕だって心配しているんだ」
「それが余計なのよ。あんたなんかに、心配されたかないわよ」

 シンジはぐっと息を呑み込み、拳を握りしめた。言い返したかったが、彼はそれを堪える。
 しばし、彼は黙っていたが、やがて沈んだ口調で話し始めた。

「...洞木さん、まだトウジのこと知らないんだ」
「そうなの?」

 と、驚いた声でアスカは訊き返す。

「うん、」
「でも、鈴原のことは教えていけないことになっているのよね。...シンジ、」
「なに?」
「アタシはまだとうぶん学校に行かないわ。
 だから、アンタ、ヒカリに訊かれても、本当のこと言うんじゃないわよ」
「わ、わかってるよ」

 と、彼は顔を俯かせながら答えた。 ヒカリに嘘をつき、トウジへの手紙を
受け取ったことを、アスカに告げられないシンジであった。
>>780
YS-11名義で貞元が、同人誌「N2 BOMB」に描いたヒカリとアスカのヌード絵。
嫌いな人は注意。

凹んだ気持ち、貴方達にも分けてあげる、ってとこか? >>780
その絵よく見るけど、やっぱり貞御本人の絵なんですか!
俺の場合凹むどころかハァハァ・・・・・もっと描いてくれないかな・・・
今まで見た絵で一番大きな画像だった780サンクス。
 ヒカリの手紙を受け取ってから一週間ぶりに入る教室。
 その間、シンジはこのまま学校へ行かないでいようかと何度も考えていた。
 だが、ミサトが登校するよう繰り返し言うので、もうズル休みすることもできなくなった。

 シンジは教室のドアに手を当てた。錆びて軋む音を響かせながらドアが開いていく。
 そして、シンジは教室の中へ足を踏み入れた。
 彼は目を動かし、中を見回した。すこし人が減ったような気がする。
 その時、彼の視界にヒカリが映った。咄嗟に、シンジは目を逸らす。
 だが、彼女はそんなことには目もくれずに走るようにして、彼の元にやってきた。

「おはよう、碇君」
「委員長、おはよう」

 ヒカリは伏し目がちに体をもじもじさせた。

「あの、碇君。鈴原には手紙届いたかな?」

 と言って、ヒカリは上目遣いにシンジを見る。
 彼女の瞳は期待に満ち溢れていた。

「手紙は、...」

 シンジは言葉に詰まる。

「駄目だったの?」

 目を潤ませながら、ヒカリは訊く。シンジはまたしても本当のことを言えなくなった。

「ううん。今頃は、トウジに届いていると思うよ」
「よかった」

 心から嬉しそうにしているヒカリを見ていられなくなり、シンジは俯いてしまった。
map1144、音沙汰無いね
ヒカリ VS アスカ に期待なんだがね>map1144
786あぼーん:あぼーん
あぼーん
solan氏の「Tell the truth」を読んだ。
ヒカリとシンジっぽくなかったけど、面白かった。
788あぼーん:あぼーん
あぼーん
789あぼーん:あぼーん
あぼーん
最近、動きがないね。いろいろと、
 昼下がり、陽が容赦なく地上を照らしている中、2-Aクラスの女子はプールで束の間の
清涼感を満喫していた。隣のグランドからランニングをしている男子の掛け声が聞こえている。
 ヒカリは水の中から上がり、濡れた体をタオルで拭きながら、校庭の隅に視線を向けた。
 体育教師が所用で校内に戻ったのか、日陰で休んでいる男子が多数いる。その内の
何人かは、自分たちへ嫌らしそうな目を向けていた。

 不潔

 そう心の中で、ヒカリは呟いていた。
 彼女がほのかに想いを寄せている短髪長身の少年もそんな顔をしているのが嫌だった。
 と、その時、ヒカリはふと視線を彼の隣に向けた。
 膝を手で抱えながら遠くの景色を見ている少年が、彼女の視界に入る。
 碇シンジ。
 一ヶ月前に転校してきた少年はそんな名前だった。ヒカリは彼と話をしたことは一・二度くらい
しかない。どこか影を感じさせる少年と気軽に話せるほど、彼女は男の子に慣れてはいなかった。
クラス委員だからということで、連絡事項を伝えるくらいである。
 しかし、ヒカリは彼のことを気になっていた。 彼がなかなかクラスの中へ溶け込めないことに、
同情しているのだろうか。 確かに、それが理由の大部分であると思うが、その他にも何かある
ような気がしていた。
 それが何なのか、ヒカリにはよくわからない。だけど、やっぱり気になってしまう。
 だから、今も彼女はシンジを見ていてしまった。
 そんな時、
 
 あっ、

 と声を上げそうになって、ヒカリは咄嗟に口を手で押さえた。不意に自分の方へ顔を向けたシンジと
目が合ってしまったのである。
 彼女は顔を逸らそうとした。が、それは出来なかった。視線を彼から外せない。
 何秒か、それとも何分か、時が過ぎた時、シンジの顔が赤くなり俯いてしまったのが見えた。
 どうしたのだろうと、彼女は訝しむ。
 そして、彼女は気が付いた。今、自分が水着姿であることに。
 ヒカリはあっという間に顔を赤く染め上げると、逃げるように水の中に飛び込んでいった。
>>791
新作キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
しかもIDがff(w こりゃ期待大ですぜ
794一応、貞本版準拠のつもり:03/11/15 22:20 ID:vHbalPWb
「碇君、早退するの?」
「うん、ネルフで訓練しなくちゃならないから」
「大変ね」

 と、ヒカリは同情を込めた声で言った。
 昼休みも半ばを過ぎ、二人が立っている廊下も人の行き来が激しい。
 そんな中、カバンを肩にかけて歩いているシンジを彼女が見かけたのだった。

「じゃあ、碇君。がんばってね」
「ありがと、委員長」

 口元に笑みを浮かべて言ったシンジに、ヒカリは暫し見とれる。
 だが、彼はそれに気付かずに足を進めようとした。一歩、二歩と彼女から離れていく。
 ヒカリはそんな彼の背中を見送っていたが、シンジは三歩目で足を止め振り返った。

「あっ、そうだ。委員長」
「えっ、なに、碇君?」

 不意に呼びかけられて、ヒカリは慌てたように訊き返した。

「綾波ってさ、委員長から見てどういう感じかな?」
「どういうこと?」
「いや、僕は綾波のこと、、何にも知らないから」
「碇君、綾波さんに興味あるんだ?」

 と言って、ヒカリは僅かに頬を膨らませた。

「興味って言うほどじゃないけど、」
「……わたし、何にも知らないわ」

 そう言って、ヒカリは勢いよく半回転すると、大股で歩き去っていった。
 シンジはそんな彼女の背中を呆然と、そして首を傾げながら見送っていた。
 空中に浮かぶ使徒が撃退されてから数日が過ぎていた。
 午後の授業も終わり、掃除当番の生徒以外は部活や帰宅のために教室を出て行こうとしている。
 しかし、ヒカリはあいにく当番になっており、廊下のゴミをホウキで掃いていた。
 そんな中、教室の後ろのドアから大きな話し声が聞こえてきた。彼女が声の方に振り向くと、この頃、
学校中でも話題になりかけている三人組、シンジ、トウジ、ケンスケの姿が見えた。
 自分も一緒に帰りたいなと、ヒカリは思う。
 できれば二人っきりで。その時、隣で歩いているの彼と手を繋いでみたい。
 案外、ヒカリは夢想家なところがあり、ホウキを手に持ちながら、その光景を思い描いていた。
 
 んっ!?

 突如、彼女はハッとしたように目を見開いた。
 想像の中の彼は、彼女が想っていた人ではなかったのである。
 いったいどうしてと、ヒカリは胸の間に手をあてた。
 と、その時、透明な青い声が彼女の耳に入り込んだ。

「じゃあ、後で。碇君」

 ヒカリが声の方を振り向くと、綾波レイがシンジへ顔を向けていた。

「私、……、先に行くから、」
「あ、…、うん、…」

 と、シンジは驚いたような表情で返事をいた。
 彼の後ろにいるトウジたちもびっくりした目をしている。

「おい、碇っ。なんや、今のは?」
「え、…今のって?」
「綾波が用もないのに、自分から挨拶するなんて、一ぺんもなかったじゃん」

 ヒカリは三人が話している声を遠くに感じながら聞いていた。
 胸を締め付けられるような痛みが彼女の体をこわばらせていことに、彼女は気付いていなかった。
 きれいな人。
 初めて彼女に会った時に、ヒカリが感じたことはそれだった。

 惣流・アスカ・ラングレー

 朝、職員室で担任の教師からヒカリは彼女を紹介された。
 彼女はドイツから来たそうで、日本の学校に早く慣れるように世話して欲しいとのことである。
 むろん、ヒカリに異論はない。
 もともと世話好きなところがあり、2-Aクラスのお母さんとも言われているヒカリなのだ。
 それに、アスカとは何となく気が合いそうな感じがした。
 それは彼女と少し話しただけでもわかった。彼女も同じように感じたのだろう。

「アタシのこと、アスカって呼んで。アタシもヒカリって呼ぶから」
「わかったわ。アスカ」

 そうヒカリが答えた時、アスカはふわりと笑みを浮かべた。

 あっ、こんな可愛らしく笑うんだ。

 と、年相応の表情を見せる彼女にヒカリは親近感を覚えた。
 それから二人でおしゃべりしながら教室に向かった。
 教室のドアの前に来ると、中から喧噪が漏れていた。
 もうすぐHRなのにと、ヒカリは少しだけ心に角を生やす。
 しかし、アスカはそんな彼女にかまわずにドアを開けた。

 うわああぁ、

 一斉に歓声が上がる。
 その声の大きさに、ヒカリは胸に抱えていたノートPCを落としそうになった。
 だが、ヒカリの視界は明らかに訳ありな顔で驚いている3人組の姿を捕らえていた。
 アスカの方も知ってる顔を見つけたような表情をしている。
 これから何かが起こる。そんな予感を抱きながらヒカリは彼女を見ていた。
797これ、続けていいのかな?:03/11/19 23:08 ID:x9esJgHC
「鈴原、」
「なんや、委員長?」

 トウジは机の上に広げていた漫画から、ヒカリの方へを視線を上げた。
 彼女は両手にプリントを抱えていた。

「これ、先生から鈴原にって」
「ん、なんやろ」
「鈴原、昨日、休んだでしょ。宿題のプリントよ」
「うへっ、」

 あからさまに嫌な顔で、トウジはプリントを受け取った。
 もう用事は済んだ。ヒカリは自分の席に戻るはずである。だが、彼女はそのままの位置で
視線を泳がせながら、なにやら話し掛けることを躊躇っているようであった。

「あ、あの、鈴原。……、えーとね、……」
「どうしたんや? トイレか?」
「ち、違うわよ!」

 と、顔を真っ赤にしてヒカリは大声を上げた。一斉に教室中の注目を浴びてしまい、彼女は
さらに紅潮してしまった。暫しの後、恥ずかしそうに小声になって、トウジに訊ねる。

「碇君、もう四日も休んでいるけど、なにか聞いてる?」
「そういや、シンジの奴、ガッコに来てないなあ」
「鈴原も知らないんだ。アスカも来てないし、何かあったのかな」
「たぶん、ネルフやろ。鎌倉の方で非常事態宣言が出たそうやし」
「そうかもしれないわね」
「それとも、アレかいな。惣流と一緒に駆け落ちしてたりな」
「そんなこと絶対にないわよ!!」

 と、ヒカリは教室中に響き渡るほどの大声で否定した。おかげで再び注目を浴びてしまったが、
そんなことには全く目に入らないかのように、彼女はトウジを睨みつけていた。
反応が無いから気になるのも分かるけど、
話題も無いし、続けても良いんじゃない?
むしろ続ききぼん。

ただ、ヒカリがシンジのことを気にするきっかけが
もうちょっと書かれた方がよかったと思うけど。
 シンジとアスカが一週間ぶりに学校へやって来た。以前と同じように軽いケンカを二人はしているが、
互いの距離がずっと小さくなっている。と、ヒカリは見ていた。
 微妙な変化だが、彼女にはそれがとても気になってしまう。
 この頃、シンジの姿を追ってしまうことが多い。だから、ほんの少しのことでもわかってしまう。
 そういえば、いつからシンジを見るようになったのだろうと、ヒカリは過去を振り返った。

 たぶん、それはこの街に2番目の使徒が来る直前の出来事からだったと、ヒカリは思い出す。

 一番目の使徒戦後、初めてトウジを学校で見て、ヒカリは少し嬉しかった。
 でも、素直になれず、彼女は彼にちょっと厳しく当たってしまったのである。

『あー、鈴原君! あなた、一週間も無断で学校を欠席して…』
『じゃかあしい! 黙っとれ!』

 と怖い顔で怒鳴ったトウジに、ヒカリは何か嫌な予感を持った。そして、彼はシンジの席の前に行き、

『転校生! ちょっと、顔かせや』

 と言った。 あの時、トウジを止めていればと、ヒカリは今でも思う。
 その後、彼女は二人のことがどうしても気になって校舎の裏へ行った。
 すると案の定、トウジがシンジを殴りつけていて、

『なにやってんのよ! 鈴原!』

 と、ヒカリは思わず声を上げていた。それから、ハンカチをポケットから取り出して、シンジの元へ駆け寄った。

『大丈夫、碇君』
『………』

 だが、シンジは無言で顔を逸らした。その時の彼の瞳を、はっきりとヒカリは覚えている。
 全てに関心が無いような醒めた目。だけど、どこか何かを求めているような色を滲ませている。
 あの眼に心を吸い込まれてしまったのかもと、ヒカリは胸の中で呟いた。
いいんちょ、アスカも綾波も敵に回してシンジをかっさらってくらさい。
あんまり、ヒカリがアスカ綾波とやり合うのって読んだこと無いんで。

「引っ越しパーティ?」
 と、ヒカリはアスカに訊ね返した。
 昼休み、机を挟んで向かい側に座っているアスカはサンドイッチを頬張りながら答えた。
「そ。相田の奴が張り切っちゃってるのよ。アタシの保護者になっているミサトの昇進祝いもしたいんだって」
「じゃあ、アスカは、そのミサトさんと一緒に住むんだ」
「そうよ。まあ、シンジも一緒だけどね」
「ええっ!!」
 ヒカリは右手に持っていたハシを落としていた。
「碇君も一緒に住むの?」
「そうなるわね。ミサトとシンジは前から一緒に住んでいたのよ。で、ミサトがアタシにどうしても
一緒に住もうと言うから。ま、本当は一人の方が気軽なんだけど」
 と、少し照れるようにアスカは言った。
 だが、ヒカリはそんな彼女の変化に気付く余裕など無かった。
「ア、アスカはいいの? 碇君と同居で、」
「なんで?」
「だって、……、碇君は男の子だし、…」
「あー、そんな心配はいらないわよ。アイツ、そんな度胸は無いから」
「だけど、……」
 と言って、ヒカリは不安そうな眼でアスカを見る。
「そんなことより、ヒカリにもパーティに来て欲しいんだけど?」
「えっ、いいの?」
「もちろんよ。パーティに来るのが、相田や鈴原でダサイ男ばっかなのよね。だから、ヒカリにも
来て欲しいの。あっ、でも、加持さんは格好いいわよ」
「加持さん?」
「そ、すごーく格好いいんだから」
「アスカ、その加持さんが好きなんだ?」
「う、うん」
 と赤くなって答えたアスカを見て、ヒカリは安心したように小さな息を吐いた。
「そっかあ、…、アスカはそうなんだ。………、そう、」
「ちょっ、何度も言わないでよ。恥ずかしいじゃない」
「あっ、ごめんなさい。……、それで、アスカ。わたしもパーティに行かせてもらうわ。ふふっ、」
 頬が落ちそうなほどの笑みを湛えているヒカリを、アスカは不思議そうな顔で見ていた。
802日課になりつつあるような:03/11/22 01:14 ID:STmnfkYn
 ふと、ヒカリのまぶたが開く。
 ここはどこだろうと、周りを見た。アスカやシンジ、トウジにケンスケがカーペットの上で転がるように
 眠っていた。どうしてこんなことになったのだろうと、彼女は記憶の引き出しを整理してみた。
 
 あっ、お酒、飲んじゃたんだ

 と、心の中で大声を上げた。
 今日はお祝いだからということで、ミサトがシャンパンやワインを勧めたのである。未成年だからと、
 ヒカリは断ったのだが、ミサトの押しが強く、つい飲んでしまった。
 後悔の念がヒカリの中に湧き上がり、少しだけ顔が青くなった。
 しかし、いつまでも悔やんでいても仕方がない。
 みんなをどうしようかと、彼女は考え始めた。
 もう一度、落ち着いてアスカたちを見る。
 彼女たちも酔ってしまったのか、だらしない姿で寝転がっていた。アスカの足なんてシンジの
お腹の上に乗っかっている。

 碇君、苦しくないのかな

 と思い、ヒカリはシンジの寝息を聞こうと顔を寄せた。
 彼の息は規則正しく流れている。
 どうやら大丈夫なようではあるが、それでもアスカの足をどけた方が良いかなと思った。
 と、その時、自分の顔がシンジのくちびるに触れそうになっていることに、ヒカリは気付いた。
 あっという間に、彼女の胸を脈打つ鼓動が速くなった。
 顔中が熱くなってくる。
 急いで、彼から離れなければと思ったが、体が動かなかった。視線もシンジの唇に留まった
ままである。徐々に、徐々に、彼女の顔が彼に近づいていった。そして、

 シンジの体温をヒカリは感じた。

 次の刹那、彼女は彼からぱっと離れた。
 初めてのキス。
 だけど、それはとても苦く、切なさと罪悪感に染まったものだった。
|∀・) ミタヨー
 広い病室の真ん中に置かれたベッドで眠るトウジを、ヒカリは椅子に腰掛けて見守っていた。
 説明を聞いたところ、彼は全身打撲と左腕を骨折しているが、概ね無事であった。
 今はシンジが好きとはいえ、トウジはかつて好きだった人である。
 その彼の無事をヒカリは心から安堵していた。

「あっ、委員長か」
「鈴原、だいじょうぶ?」

 目を覚ましたトウジに、ヒカリは声を掛けた。

「ああ、生きとるみたいやな。委員長、ずっと居てくれたんか?」
「ううん、10分くらい前に来たばかりよ」
「さよか。すまんな」
「そんなことない。ここに来たのは委員長として、公務で来たのよ。だから、気にしないで」
「ありがとな。委員長、」

 と言って、トウジはヒカリと反対側に頭を向けた。
 彼は黙ったまま口を開かない。時折、肩を振るわせているのが見えた。泣いているのかもしれない。
 ヒカリはそんな彼をただ見守っていた。彼の身に何かが起きたことはわかるが、それが何なのかは
教えてもらっていない。トウジに訊きたかったが、この様子では躊躇われた。
 暫くして、彼はヒカリの方へ顔を向けた。涙を流していたのか、両目が赤く腫れている。

「ワシ、委員長に謝らなあかん」
「なにを?」
「ワイは、……、ワイは、…」

 彼の声は涙で溢れかえり、言葉にならなかった。ヒカリの中で嫌な予感が膨れ上がった。

「鈴原、どうしたの? いったい、何があったの?」
「ワシは、ワシは、シンジを殺してしまったんや」

 刹那、ヒカリから音と色が消えた。
(;゚∀゚)ドキドキ
Σ(゚д゚)
そうきたか
シンジ ナイ
 気が付いた時、ベッドで寝ているヒカリの横にミサトが座っていた。

「大丈夫、洞木さん?」
「わたし、どうしてここに?」
「あなた、気を失っていたのよ」
「あっ、碇君。碇君は!」

 ヒカリはベッドから跳ね起き、ミサトへ詰め寄る。
 ミサトは顔を曇らせ、苦しそうに言葉を吐いた。

「シンジ君は、もういないの」
______

 物音一つしない部屋の中、ヒカリとミサトは無言で立っていた。彼女たちの前にはベッドが置かれ
ている。その上には、動かない体が白いシーツを被せられて横たえられていた。
 ヒカリは血の気を失った顔でそれをただ見ていた。
 やがて、ふらつくような足取りで、彼女はベッドまで歩いていった。
 ヒカリはシンジの顔を見る。
 寝ているかのように目を瞑っている彼はきれいだった。
 その顔には傷一つ無い。
 顔色は蝋燭のように白いが、起きて自分におはようの挨拶をしても不思議ではなかった。
 暫し見つめていたが、彼女は彼の頬へ手を伸ばした。
 冷たい。
 体温が感じられなかった。
 次に、自分の頬を彼の頬に当ててみた。
 しかし、やはり冷たかった。
 かつて感じた彼の温もりはもう無かった。

「どうして、…」

 と、ヒカリは声を漏らす。 
 彼女の目から涙が流れ、それは二人の頬を濡らした。
 時は想いを薄くすることもあれば強めることもある。ヒカリは前者の方だった。
 彼女がシンジの死を受け止めてから一週間。初めは涙に濡れて眠れぬ夜をすごしていたが、
今では落ち着きを取り戻しつつあった。シンジへの想いが自分の中から消えつつあることに寂しさを
感じつつも、そのことに安心してもいた。いつか、彼のことを思い出すことは無くなるだろう。でも、
それまでは自分の胸の中で彼を想い続けようと、ヒカリは心に決めた。
 また、彼女は休んでいた学校にも通うようになった。
 寂しげな表情を見せることは多いが、徐々に彼女は笑みを取り戻していく。
 そんなある日のこと、ヒカリは校内放送で校長室へ呼ばれた。緊張した面持ちで室内にはいると、
白いスーツを着た金髪の女性がソファに座っていた。彼女をどこかで見たことがある。
 記憶を探り出し、ヒカリはシンジの家でのパーティを思い出した。目の前の女性は、その時に来ていた。
 ヒカリが黙って立ち尽くしていたのを見かねたのか、彼女が話し掛けてきた。

「洞木ヒカリさん、ね。ネルフ本部技術一課所属 赤木リツコです。以後、よろしく」

 と言って、彼女は赤い無花果の葉が描かれた名刺を差し出した。
 ヒカリはそれを受け取り、ジッと見つめる。それは血の色に思えた。

「立ってないで、座って」
「は、はい」

 体が硬くなるのを感じながら、ヒカリはソファに腰掛けた。

「単刀直入に言うわね。あなたはフォースチルドレンに選抜されたわ。エヴァンゲリオンのパイロットに」 
「えっ、!」
「シンジ君のこともあるから、あなたがエヴァにいい印象を持たないこともわかるわ。でも、私たちは
あなたの力が必要なの」

 ヒカリはリツコを見つめたまま絶句していたが、やがて搾り出すように声を出した。

「碇君に何が起きたのか、教えてください。どうしてあんなことになったのか、わたし、知りたいんです」
「部外者のあなたにそれを教えることはできないわ。だけど、ヒカリさん、あなたがチルドレンとなることを
承諾してくれるのなら、それも可能になるわ」
811810:03/11/26 19:41 ID:/Ng/j3Rf
>>810
訂正 : フォースチルドレン→フィフスチルドレン
 結局、ヒカリはエヴァのパイロットとなることを断った。シンジに何が起きたかを知りたかったが、
それ以上に使徒と呼ばれる怪獣と戦うことが怖かった。トウジは重傷を負い、シンジはもうこの
世界にいない。そんな戦いの場に自分が立てるとは思えない。無理だと思った。
 そして、ヒカリの思いとは関係なく日常は過ぎていく。
 彼女は学校へも通い続けた。
 アスカは依然として休んでいる。ヒカリは彼女の携帯電話へ掛けてみたが、繋がることはなかった。
 だが、それでよかったのかもしない。
 今、アスカに会えば、彼女を責める言葉しか出てこないだろうと、ヒカリは思った。
 おそらく彼女もシンジが逝ってしまった戦いの場にいたはずである。
 どうして彼を助けられなかったのと、口にしてしまうと感じていた。

 そんなある日の朝、ヒカリが教室に入ると、トウジが自分の席に座っているのが見えた。
 ギブスに包まれて首から釣りおろされている彼の左腕が痛々しい。
 しかし、彼女は睨むように彼へ視線を向けていた。そして、彼の元へ行く。

「鈴原、」
「委員長、…」
「訊きたいことがあるの」
_________________

 屋上を吹き抜ける朝の風が、ヒカリから体温を奪っていた。いや、元から彼女の体は冷たかった。
 彼女は無表情な顔で訊く。

「いったい、何があったの?」
「ワシは、……、」
「教えてよ! 鈴原」
「すまん。ワシ、何もわからんのや。エヴァに乗うたら、すぐ気を失ってしまった。そんで、気が
付いた時には、もうシンジは、……」
「そんな、」
「けど、ワシがヘマせなんだら、シンジが死ぬことはなかったんや。ワシのせいなんや」

 そう言って泣き続けるトウジを、ヒカリはもう責めることができなかった。
 それは突然だった。第3新東京市の街に十字型の火柱が次々と現れていた。
 避難に遅れたヒカリは恐怖で立ちすくみ、やがて地面に腰を落とし、そこから動けなくなった。
 市街地から離れた高台の公園。いずれここも危険になるだろう。
 しかし、体がどうしても動かなかった。
 と、その時、『洞木さん、乗って』と、ミサトの声が聞こえてきた。
 ヒカリの目の前には紫色の巨人 エヴァ初号機が片膝をついてエントリープラグを排出している。
 訳もわからぬまま、彼女がその中に乗り込むと、シートにレイが座っていた。

「しっかりつかまっていて」

 レイの声にヒカリは『はい』と答え、シートの後ろ側に回って体を固定した。
 そして、エヴァ初号機は再起動する。
 不思議な感覚がヒカリの体を包み込んだ。
 シンジの匂い。残り香のような微かなものだが、彼女は確かにシンジを感じていた。知らぬ間に、
涙が彼女の頬を流れ落ちていた。
 ヒカリは眼前のスクリーンに映る戦闘がなぜだか怖くはなかった。
 このロボットが自分を守ってくれる。そう思った。
 だが、戦況が悪化していることは、ヒカリの目にもわかった。
 レイの口からは苦痛の呻きも漏れている。
 遠くに見える赤いエヴァは両手と頭部が無かった。

「洞木さん。あなたを守れなくて、ごめんなさい」

 そうレイは言うと、初号機はプログナイフを右手に持って、使徒の前に駆けていった。
 赤い六角形の膜をナイフで切り裂き、初号機は使徒の顔面を左手で掴んだ。そして、赤い光球へ
ナイフを振り下ろす。しかし、寸前で光球を覆うように殻が現れ、ナイフは跳ね返されてしまった。
 その瞬間、折りたたまれていた使徒の腕が伸び、初号機を襲う。
 後は、使徒の攻撃にされるがままだった。
 エントリープラグの中は赤い非常灯に変わり、警告音が鳴り響いている。
 もう終わりなのかなと、ヒカリは思った。向こうの世界でシンジに会えればいいなと、思った。
 そして、モニターに映るの使徒の目が光る。瞬間、激しい衝撃が起こり、ヒカリは意識を失った。
 だが、その時、初号機の両目が赤い輝きを放った。
イイヨイイヨー(・∀・)!!
正直、もうちょい細かく描写してくれてもいいような気がする
でもぐっじょぶ!
816第一部 最終話。:03/11/27 22:50 ID:CK15ki+T
「洞木さん、……、洞木さん、………、洞木さん、…」
 自分の名を呼ぶ声に誘われて、ヒカリが瞼を開けると、そこは古びた電車の中だった。
 彼女の目の前には会いたかった少年 シンジが微笑みを湛えながら座っている。
「碇君、?」
「洞木さん、元気そうでよかった」
「夢なの?」
「そうかな。……、たぶん、そうだよ」
「そっかあ。せっかく碇君に会えたのに夢だなんて。永遠に目が覚めなければいいのに」
「そういうわけにはいかないさ。……ねえ、洞木さん。トウジは元気にしてる?」
「鈴原? 鈴原は元気よ。腕を怪我しているけど、いずれ治るわ。だから安心して」
「そう、無事だったんだ。よかった。前はトウジを助けられなくて、洞木さんに悲しい思いをさせたから」
「………?」
「洞木さんに頼みがあるんだ」
「なに? わたしにできることなら、言って」
「綾波とアスカの力になって欲しいんだ。もう僕には何もできないから」
「……、わたし、頑張ってみる」
「ありがとう。あと、もう一つ。カヲル君、渚カヲル君をできることなら救って欲しい」
「渚、君?」
「そう。たぶん、もうすぐ会うことになると思う。彼はただ寂しいだけなんだ。だから、お願い」
「よくわからないけど、できるだけのことはしてみるわ」
「お願いするよ。………、もう時間だ。お別れだね」
「もう会えないの?」
「うん。たぶん、そう。………、今度は、トウジと仲良くしてね」
「いや。わたしもここにいる。碇君と一緒にいさせて」
「駄目だよ。帰らなくちゃ」
「いや、だって、わたしは、わたしは碇君が好きなの」
 シンジは困ったような表情をしたが、やがて微かな笑みを浮かべた。
「ありがとう。でも、さよなら」
「碇君、碇君、……、碇君、」
 ヒカリは目覚めた。
 ベッドの上で自分は眠っていたようだった。あれは夢だったのだろうか。でも、しっかりと覚えている。
 彼女は自分の肩を抱き締め、シンジの言葉を繰り返し思い出した。
817816:03/11/27 22:53 ID:CK15ki+T
>>815
1レス最大32行という制約で一話を構成しようと試みているので、
描写はこれで限界です。申し訳ないです。

ところで、もうこれで終わっていいですか?
理由は別にないけど、ただなんとなく終わってもいいかなと思ったので。
よくやった
お名残惜しゅうございます
820816:03/11/28 00:48 ID:v7PU2njS
なんとなく勢いで書いていたので、ちょっと疲れたかなというのが実際のところです。
一話を30分くらいで書いていたけど、毎日となると、、、。
あと、おわかりでしょうが「見えない明日で」にかなり影響を受けています。
と言っても、よくあるネタでもありますし、まあ、いいかなと。
LHSで逆行物に挑戦したかったんですよね。でも、あまり、新鮮味は無かったような気がします。

また、気が向いたら続けようかなと。明日かもしれないし、一年後かもしれませんが。
案外、トウジとの三角関係物は無いよね。
ヒカリの日常生活がそうだよ
ttp://homepage1.nifty.com/5th/novel/eva/top.htm

明日更新されないに100めそ
貞本版ヒカリが逆行。
だけど、そこは庵野版のエヴァ世界でした。
トウジを失った怒りをシンジに向けようとするが、全く性格が違うシンジに戸惑ってしまう。
しかも、周りの人も微妙に違って、父親や姉妹たちにも馴染めなくなる。
で、孤独感を持ちながら、シンジと関わっていくうちに……。

みたいな話を思いついたのですが、どうでしょうか?
トウジはどんな感じに絡むんだろ
>>824
当然、トウジに気持ちは向かうのですが、必要以上にシンジを敵視するために
逆に意識してしまうことになり、

パッと、しませんね。
そもそも逆行物はシンジを逆行させないと意味がないのかも。
 先の使徒戦で破壊された街の復興も進み、ようやく再開された学校へヒカリは向かった。
 あの時、何が起こったかはミサトから聞いていた。
 ヒカリが気を失い、同様にレイも意識が消えた時、初号機が暴走したということである。あとは、
初号機がその原初の力によって使徒を撃滅したとのことであった。ヒカリは初号機から回収され
た後、一昼夜ほど眠り続けていたらしい。あの後、レイに訊ねてみたところ、彼女もシンジの夢を
見ていたようだった。
 初号機に漂うシンジの匂い。
 もう一度、ヒカリは初号機に乗ってみたかったが、初号機パイロットでもなく、ましてチルドレン
でもない彼女にそれが許されることはなかった。あの初号機と、いやシンジと繋がるような感覚は
心地よく、そのために今一度、チルドレンになることを考えてみたが、やはり戦闘は恐ろしく、断念
するほかなかった。

 朝早い静かな廊下を歩き教室の前につくと、ヒカリは勢いよくドアを開けた。一瞬で中を見回し、
それから窓際から2番目の後ろの席に、彼女は視線を向ける。そして、そこへ歩いていった。

「おはよう、鈴原」
「いいんちょう…」

 トウジはずっと机の上に落としていたつらそうな目線を上げ、彼女へ顔を向けた。少し驚いたのか、
目が僅かに見開かれている。ヒカリは口元に笑みを浮かべて応えた。

「夜更かしでもしたの? 授業中に寝ちゃダメよ」
「あ、ああ。そないなこと、わかっとる」
「そう? なら、いいけど」

 と言って、彼女は更に大きな笑みを浮かべると、身を翻して自分の席へ行く。
 そんなヒカリの背中へ、トウジは目に涙を浮かべながら『ありがとう』と心の中で言った。

 暫くしてチャイムが鳴りHRが始まる。すると、一人の少年が老教師の後について入ってきた。
 彼は教壇の前に立つと、微笑みを湛えながら口を開いた。

「僕は、カヲル。渚カヲル、」
 放課後、友達と途中で別れ、ヒカリはひとり帰路についていた。最近、アスカと一緒に帰って
いないなと、心中で呟く。それもそのはずである。アスカは三号機事件が起きた日を最後として
学校に通っていなかった。また、レイもここ数日は登校していない。
 疎開が進み、去っていく友人たち。疎遠になりつつあるアスカ。
 ヒカリは寂しさを感じないわけにはいかなかった。そして、こんな自分がアスカやレイの力に
なれるのだろうかと気落ちしてしまう。
 夢の中であったシンジとの約束。それが守れるのだろうかと。
 そもそもあれは夢だったのだろうか。
 渚カヲル。
 彼の名を自分は知っていた。本来、自分が知るはずもないことなのに。
 よくわからない。だけど、彼は夢のシンジが言ったとおりやって来たのだ。
 ヒカリは頭を小さく振った。
 考えても仕方がない。自分に出来ることなんて些細なことだけ。なりゆきに任せるしかない。

 ヒカリは角を曲がり、暫く歩くと、廃工場の跡に学生服を着た人影を見つけた。
 腰を落としている後ろ姿からは彼の銀色に輝く髪しか見えなかったが、一目で誰かが彼女には
わかった。今日、転校してきた彼。渚カヲルだ。彼女は僅かにためらった後、彼へ声を掛けた。

「渚君、」

 彼は上半身を小さくひねってヒカリへ顔を向ける。そのことによって、彼が子猫の頭を右手で
撫でているのが彼女にも見えた。

「キミはヒカリさんだね。キミとは一度ゆっくり話がしたかったんだよ」
「わたしと?」
「そう、キミと。フィフス・チルドレン、洞木ヒカリさん」
「どうしてそれを?」
「知ってるのかって?」

 ヒカリが頷くのを見て、カヲルは立ち上がった。

「知ってるさ。僕はシクス・チルドレン。キミと同じ、仕組まれた子供さ」
「話はしたかったけど、特にこれと言って話すこともないんだ」
 カヲルは胸に抱きかかえた子猫の喉元を撫でながら語った。
「ヒカリさん。キミはエヴァのパイロットになることを断ったんだってね。なぜだい?」
「わたしに無理だと思ったから。戦いなんて、わたしには出来ないもの」
「そんなことはわからないさ。現に、サード・チルドレン 碇シンジ君はできたじゃないか。彼は戦いに
向いていない性格だったと聞いているよ」
「……碇君は、強い人だったわ」
 ヒカリは顔を俯かせ、苦しそうに言葉を出す。
「わたしには、強さなんて全然無いもの…」
「キミはシンジ君が好きだったのかい?」
「えっ!」
 顔を真っ赤にして、ヒカリは頭を上げた。
「シンジ君のことをよく知っているような言い振りだったからね。そんな風に思ったのさ」
「わ、わたしは、……」
「ふふっ、一度、会ってみたかったな。碇シンジ君に、」
「………」
「ところで、ヒカリさん。パイロットにならないかい?」
「だから、わたしには無理です」
 カヲルは微笑みながら子猫へ視線を移した。
「この猫も大きくなれば、狩りをするようになる。キミも訓練すれば、戦えるようになるさ」
「そんなことわからないわ。それに、その子猫だって、狩りをするようになるとは限らないもの」
「狩りをしない猫は死ぬしかないよ」
「…そうかもしれないけど、……、だけど、……」
「だけど、なんだい?」
「わたしには戦いよりも、もっと違う何かがあると思う。今はまだ、よくわからないけど。でも、
きっとあると思う。だって、わたし達にはいくつもの可能性があるのだから」
 その言葉を最後にヒカリは口を閉じた。
 カヲルは子猫を下に降ろすと、足音を立てずに彼女の前に歩み寄る。そして、ヒカリの下あごに
右手をそえ、くちびるを重ね合わせた。
 一秒、二秒と時間が過ぎ、五秒目になろうかとした時、カヲルの左頬が打撃音を鳴り響かせた。
 ヒカリは両目に涙を浮かばせながら睨んでいたが、彼は何も無かったかのように笑みを浮かべている。
「キミは好意に値するね。好きってことさ」
ガイナのトップにこんな絵が、

http://www.gainax.co.jp/top_img/96_eva.jpg

( ´∀`)イイ!
 その日、数式を述べる教師の声も周りで交わされる内緒話も、ヒカリには届いていないようだった。
 彼女の小さな口から現れたのは憂いを含んだ溜め息。微かに女性の色も混ざっている。
 おそらく昨日の出来事を思い出しているのであろう。
 キス。
 既に、ヒカリはシンジのくちびるに触れている。だが、あれをキスと呼ぶにはためらいを感じていた。
 だから、不意をつかれて奪われてしまった唇が、ファーストキスと言えるのかもしれなかった。
 そして、残ったのは不快感。でも、僅かだが甘いものもあった。
 初めて男の子に『好き』と言われた。そのことは彼女の心を揺さぶっていた。だけど、胸の奥で
何かが違うと訴えている。今は、それが何なのかヒカリにはわからなかった。

 放課後になり、ヒカリは帰り支度を始めた。
 今日一日、カヲルは彼女に話し掛けてこなかった。なぜと、ヒカリは思う。あんなことをしといて
自分を無視するような態度を取るなんて信じられなかった。
 彼女は後ろを振り向いて、カヲルへきつい目線を送る。だが、彼は周りを囲んでいる女の子たちと
話をしていてヒカリの様子に気付くこともなかった。
 彼はきれいな笑みを湛えている。だが、ヒカリにはどこか軽薄そうな笑みに見えた。

「委員長?」

 突然、トウジの声がヒカリの耳に入った。
 彼女はハッとしたように横へ顔を向けると、彼が心配そうに覗き込んでいた。

「あっ、鈴原、」
「どないしたんや? 今日、ずっとぼんやりしてたやろ」 

 ヒカリの目は鈴原のくちびるに留まっていた。かつて、ほのかに憧れていた唇。顔が熱くなるのを
感じてしまい、それがますます胸の鼓動を高鳴らせる。

「す、鈴原。あ、あのね。鈴原は、………、ううん、なんでもない」
「……?」

 のどまで出かかっていた言葉は消え、ヒカリは頬を赤く染め俯いてしまった。
エヴァ2における立ち絵において、一番かわいくかけてると思う>ヒカリ
他のキャラは微妙に違和感。
834名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/12/08 20:59 ID:ScdZp5QO
age
シンジ×ヒカリってなんか背徳の匂いがする。
不倫というか・・・アスカに隠れて「こんなのダメなのに」っていうのがいい。
>833
同意。顔を赤くして照れるヒカリが(・∀・)イイ!!
けどヒカリの声は微妙に違和感
>>835
エロFFやNTRでのヒカリ×シンジに多い構図だね。
838渚カヲル:03/12/09 17:36 ID:xBb1eEk6
俺の委員長の呼び方

組長



(笑笑笑)
>>835
 オレとしては、堂々と正面からアスカと渡り合ってほしい。アスカとの友情は維持したままね (希望的すぎ?)
>>840
続きが読みたいなぁ、これ。
沈黙
LHSに限らずマイナーカプ物全般に言えるんだけど、物語の軸がシンジ→アスカ
から、どのようにして相手にシンジの気持ちが向かっていくかというのが多いような。
例えば、プライドは好きなんだけど、いつまでもシンジがアスカ、アスカと言っていて
鬱陶しかった。
もう少し、ストレートに話を作れないかな
    /⌒⌒丶
   ′W⌒WV∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ヽ c.: ゚ヮ゚ノ/ < 正直、碇君からアスカの悪口をよく聞くわ
  (ノ/| |∀| |    \___________
\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
 ||\         \
 ||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
 ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
    .||          ||
シンちゃんは悪口なんて言わない。
ちょこっと愚痴を漏らすだけさ。
F氏も中川氏も音沙汰無いね
他人がアスカの悪口を言ったら、弁護すると思う。>シンジきゅん

>>847
トウジ達が悪口言ってるとき弁護してないんですけど……。
 その辺は別。悪意の差っていうか。
ほしゅ
あけおめ!
ところで、シラノな話はどうなったんだろう。
map1144の未完結作品が突然に最終回を迎えても、
今のままより良いと思った自分は駄目ですか?
うーん、ヤパリあのアスカと委員長の鞘当てを読みたいと思うな。
昨日「新世紀エヴァンゲリオン2」を買った
>>833に納得した
↑ヽ(´∀`)イイ!
>>854
 そいつは重畳。
 でも、エヴァ2はときメモライクに作って欲しかったなぁ。
859名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/01/15 00:18 ID:0KU5N8Tq
ほしゅ
>>865
神!
大事に保存しときますた!
最近、全く動きがないよ。
>>865
神!
>>865
堪能しますタ
865:04/01/16 20:08 ID:l2Tj1Ify
あげ
>>864
神!
しかし絵のタッチがちがうのでマヤさんの体が衰えているように見えるw

>>865
おまえはだめなやつだ
867あぼーん:あぼーん
あぼーん
>>831
これの続き読みたい。暇があればまた書いてくだされ
>>831
これの続き読みたいなぁ。また暇があれば書いてくだされ
日常生活、次で終わりの予定らしいけど…こんなに長期連載するのは凄いなーと思う。
更新していたの知らなかった。
いよいよ最終話か。おつかれさまです。
まだだけど。
872名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/02/04 16:40 ID:Jxu/B/AW
age
873名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/02/04 16:41 ID:Jxu/B/AW
あげ
ヒカリ×シンジはべつにかまわないが、アスカとケンスケが結婚・・
というオチのやつには三日ほどうなされた。
F氏はいつになったら帰ってくるのかな
中川氏も早く帰って来て欲しい
ぶっちゃけ、長く休んでいると、もう意欲が無くなって
書くの止めようかなって思うよね。
ヒカリの世紀だけはなんとか完結させて欲しい。
いやほんとマジで。
「ヒカリの世紀」は、まだTV版9話が終わったところだよね。
貞本版のように、ある程度、使徒戦を削除しないと完結しそうにないよ。
中川氏、全盛期は毎日のようにヒカリの世紀を更新してたんだよね。
あの頃の勢いが戻れば、半年ぐらいで完結も可能だと思うけど・・・。
スレ内連載のヒカリがシンジの寝てる間に唇を奪うシーンは萌えたな。
>>880
いや、半年は無理っしょ。
だって、まだ1/3くらいしかストーリーが進んでいないんだから。
>882
毎日更新してくれれば(もちろん無理だろうが)、半年間で約180本分でしょ。
1話が3パートに分かれているから、60話分進む計算になるよ。
まあ、実際のところ毎日は無理でも、かつての中川氏のペースが復活すれば、
3日に1本のペースは十分に可能だと思うんだけどね。

ああ、ほんとに早く復活してくれないかなぁ。
持っていたり既出だったらスマン
http://moe2.homelinux.net/src/200402/20040210777283.jpg
中川(仮名)さん、生きていたらしい。
>>869
長い間、放置していたら、話をどう進めるのか忘れてしまいました。
それも、きれいさっぱりに。
どうしましょう。新たに考えた方がいいのかな。
明日は、ヒカリちゃんの誕生日。2月18日。
F氏、バースデイFFを書いてくれないかな。
>>886
がんばって思い出して完結させて、その後で新作きぼん
中川さんの所、掲示板が活発になってきた。
ヒカリの世紀の更新再開も近いかも。
誕生日のイベントは、エヴァ板のバナーがヒカリになったことくらいだったね。
ヒカリ×シンジの可能性をMAGIに計ったら何%だ?
条件付きで、30%くらいかな
トウジが存在しなかったり、死んでいたりしていたら90%にはねあがるかな
レイとアスカの存在が邪魔だから50パーセントくらいじゃない?
wating for the lightの10aがupされてないのはなんで?
 

よし、では14歳キャラはシンジとヒカリだけでいこう。

   ……接点ウスー
>>894
下書き状態なので、novelのページではなくlaboのページにリークが貼ってます
FUJIWARA氏は消息不明なの?
中川さんとこの掲示板、なんだか楽しそうだな・・・。
でも、全然エヴァ小説のサイトって感じがしないけど(w
>898
>でも、全然エヴァ小説のサイトって感じがしないけど(w
なんでバイファムやらバビル2世の話題で盛り上がっているんだろうねw
そんな事よりイイペーコー氏やT.H氏って最近新作を書いてないと思っていたら
こんな所でダベってたんだなw
900!!
ヒカリがトウジを好きなのはアニメ3話からなのかな。
それとも途中から?
印象的には、アニメ17話で唐突に明らかになったような感じがした。
このスレ、2001年の7月に立てられたんだね。
もうじき丸3年、よく落ちもせずここまで来たもんだなぁ。

…しかし、このペースだと次スレを心配するのは、まだ当分先の事かなw
けっこうマメに日記とか書いていた人がパタッと音信不通になると
ちょっと心配だよね。
ミサシンスレがとうとう次スレに突入!
マイナーカプスレ同士、ヒカシンもがんばろうぜ!

・・・とりあえず保守_| ̄|○
自分、向こうのスレの住人でもあるんだけど、誰かヒカシンFFのリストをまとめてくれないかな。
ついでに、age
とりあえず長編で思いつくのは、

『貴賤』(わとそん氏)
ttp://red.sakura.ne.jp/~kure/kisen_edit.html
『プライド』(川原つとむ氏)
ttp://web.archive.org/web/20010427111320/www.ceres.dti.ne.jp/~crow/restrant/pride00.htm
『ヒカリの日常生活?!』(ガトー氏)
ttp://homepage1.nifty.com/5th/novel/eva/top.htm
『ヒカリの世紀』(中川健氏)
ttp://www.map1144.com/ss/lhs01/lhs01_index.htm
『イチゴイチエ』(FUJIWARA氏)
ttp://ffs.cool.ne.jp/fuji/ichigo.lzh
『waiting for the light』(solan氏)
ttp://www.h2.dion.ne.jp/~solan/flow/light/light01.htm

他にあれば補完キボン。
短編のリスト希望
>>907
言うのは簡単。
まず自分から行動せよ。
910909:04/03/13 00:02 ID:???
ごめん、作者名書き忘れてますね。

上が(FUJIWARA氏)
下が(当雫 真氏)

でした
シンジ×ヒカリでヒカリチルドレンものって無いの?

ttp://www2u.biglobe.ne.jp/~OL17/aneimouto.html

これの後編って存在しないんですかね…
スペース空けまくりはイラつくけど、姉ちゃんいいのに…
>>911
LRSになる予定の話だけど、WAILでヒカリがチルドレンになっている。
短編なら、中川(仮名)さんがいくつか書いている。
>>914
化粧濃い…
ほしゅ
ネタが無いね
ヒカリ×アスカの可能性を考えてみないか
少女革命アスカ
>918
それならヒカリ×シンジ×アスカ。
両手に花状態のシンジきゅんの方がいい。
>>920
そんな作品は殆どないよね。
LARSなら見かけても、LHASとなると・・・とりあえず漏れの記憶には無い。
>>921
Another Story of "kisen"
あと、でらが書いた話もある。
>>920
アスカはともかくヒカリがシンジに向く理由がほしいね。
アスカがシンジを好き、と知った途端に身を引きそうな気がするし。
>921
922氏が紹介した作品の他にも中川氏やイイペーコー氏も書いてた筈。
作品名までは思いだせんが。
>>924
map1144の思い出回廊にある話だよね。

自分はアスカの絡みは好きじゃないなあ。
>>923
となると、やっぱりヒカリの世紀のシチュエーションしかないか。
先にヒカリ×シンジが成立してて、後から負けじとアスカがそこに参戦するパターンとか。


しかし、久しぶりに動いているね、このスレw
取りあえず調べてみた範囲ではこうなってる。

中川氏(ヒット記念)
「前虎後狼」
「荒夜の攻防」
「男嫌い…?」
「白昼の死角」

イイペーコー氏(掲示板掲載作品)
「夢オチLHS」(事実上LHAS)
次スレを立てても即dat落ちしそうな勢いだよね。
>926
このままだと、スレ立て3周年記念日を迎える前に1000まで行ってしまうか?

>927
さすがと言うか、中川氏はやっぱり書いてたかw
イイペコ氏の方は未読だった。
つーか、掲示板のSSじゃなぁ、気付く方が珍しいだろう。
今、書き込んでいたのは自分も含めて3人?
>930
こんなレスで消化していいのか? 1000まであと70しかないのに。
と言いつつ、俺もその1人。
でも、もう寝る。
いったい何が起こったの……?

LAHSってようはハーレムだからスレ違いっぽい気もする。
次スレ、いる?
>933
まだ早いだろ。
ペースを考えれば来月ぐらいかな。
>>934
いや、次スレを立てても話すことはあるのかなと思ったので
>935
無くしてしまうには惜しいよ。
その内、ヒカリの世紀も復活するだろうし。
FUJIWARA氏はもう引退かね?
某汁にいるLHS厨氏はLAS厨なの?
ほぼ全ての話でアスカが実質的に主人公状態なんだけど。
>938
とりあえず、このヒカリ×シンジのスレとしてはスレ違いなエロ作家だろう。
人を名前だけで判断しちゃいかんw
ヒカリの性器、更新。




あまり言いたくないけど、挿話はいらないからストーリーを進めて欲しい。
>>940
そんなこと言うなよ。
なかなか良い話じゃん、今回の更新分ってさ。
素直に嫉妬ヒカリに萌えなきゃ。
今やこのスレ的には最後の砦と言っても過言じゃないヒカリの世紀が久々に更新されても、
このマターリとした流れは変わらないのねw
買う
MAP1144のSS読んでたら、ヒカリとシンジは明るくて爽やかな付き合いよりも
みんなに内緒でひっそりと背徳的な付き合いが似合うなぁと思った。
アスカとトウジをだましてる罪悪感が刺激になって、さらに燃え上がる
っていう感じの。
>945
今晩更新された最新作の事だよね?
俺の記憶では19時頃の段階ではまだ更新されてなかったと
思うんだけど、随分とあなたは早く読む事ができたんだねw





更新される前に読む事ができる人って・・・うーむ、考えない方がいいかw
>945
中川氏の親しい読者じゃないの?
正式に更新される前にメールで配信して貰って読んだとかさ。

もしくは一度は更新したけど、150万ヒットに未達だったから
一旦は消してから、150万達成後に再度更新したとか。
948947:04/05/06 23:18 ID:???
ごめん。
>945 ではなく >946 だった。
>>946
いや、ここ読んで書いたんじゃないの?
最近前みたいに更新早いし。
>>949
そりゃ無茶苦茶早いな。
中川氏ならありえるとは思うが。
リクエストすれば書いてくれるかもしれないのか
さすがにあからさまなリクはまずいだろな。
氏はナーバスな人物みたいだし。
なんてここで書くと心証を害するかもしれないがw
とかカキコしつつ「ヒカリの世紀」もよろしくと書いておこう。
953945:04/05/07 14:20 ID:???
>>946
最新作の事じゃなくて、5/5までの短篇読んでて思ったんだけど、
なんか紛らわしい書き方してしまった。すまんかった
今回の「ヒカリの世紀」は洞木三姉妹編か。
少しノゾミの出番が多い気がするんだけど
例の「光の去りし彼方」への伏線かね?
なに、あれって繋がってんの?
>955
アレはヒカリの世紀のバッドエンド版だよ。
むむ、「光の去りし彼方」ってmap1144を探せば良いんだよな?
>957
そうだよ。
ちなみにタイトルは「ヒカリの去りし彼方」という意味だから
ヒカリ好きな読者は要注意だよ。
ヒカリの世紀に新キャラ登場だよ。
ずいぶんと冒険に出たものだ。
ふむ、オリキャラか。
出したはいいけどしばらく放置プレイになるに一票!
それはともかくそろそろ第8使徒戦始まるかな?
「三尉」、なのね、オリキャラ。
いつになったらアスカは本編系に戻るんだろう。
アスカのセリフを読むたびに、イメージの違和感が鬱陶しいんだけど。
かなり苦痛。
オリキャラは失敗だろう。
どの程度の必要性があったのか知らんが、個人的には駄作に転がり落ちそう。
つーか、必要以上に話を広げないで、早く話を進めて欲しいんだが
オリキャラなんぞの説明はいらんからさ


でも、サクラたんは期待してるよw
キャラ設定は貞本版を使っているようなので、使徒戦も省略してほしいな。
まあ確かにオリキャラはあんまり前面に出さない方が無難だと思うよ。
長居させずに帰って貰った方が漏れもいいと思うんだけどねー。
なんだかせっかくいい雰囲気だったのに水をさされた感じがするもんね。
中川氏の傾向としてオリキャラは出してもちょい役が多い。
奴に関して俺はあまり今後は全面に出てこないと思うがな。
加持ほどは出んだろ。特別意味なさそうだし。
赤毛ザルもそろそろ戻るんじゃなかろうか。
なんだかな・・・作者本人を登場させた俺キャラっぽくてヤダ。>ヒカリの〜

公開停止になっちゃった
なんかワロタ
このペースならそろそろいんじゃない?
次スレの話。
次スレタイトルは

ヒカリ×シンジの可能性を(以下略) 2時限目

か?
サイト自体が消えてしまった。
次スレでは、今回の経緯に対する分析と、今後の展望がテーマになるのかな。
ホンマや・・・
もうダメぽ_| ̄|○
そろそろDVD-PGも出るし。 話のネタは次スレでしてもいいですな。
では、何時たてます?
>>976
まかせた
978テンプレ案:04/05/15 18:07 ID:???
意外にお似合いのこの2人。

みんなでヒカリとシンジがどうやったらうまく結ばれるか、
前向きに考えてみましょう。

本編分岐、EOE、時代逆行などなど、
どこまで本編テイストを残したままできるでしょうか?

※真性LHT人お断り。いやなら見なきゃいいのです。

☆前スレ☆
ヒカリ×シンジの可能性を(以下略)
http://comic4.2ch.net/test/read.cgi/eva/996581942/l50



ほかに書くことは何だろ?
>>978
それでいいと思うよ。
これも必要か

『貴賤』(わとそん氏)
ttp://red.sakura.ne.jp/~kure/kisen_edit.html
『プライド』(川原つとむ氏)
ttp://web.archive.org/web/20010427111320/www.ceres.dti.ne.jp/~crow/restrant/pride00.htm
『ヒカリの日常生活?!』(ガトー氏)
ttp://homepage1.nifty.com/5th/novel/eva/top.htm
『ヒカリの世紀』(中川健氏)
ttp://www.map1144.com/ss/lhs01/lhs01_index.htm
『イチゴイチエ』(FUJIWARA氏)
ttp://ffs.cool.ne.jp/fuji/ichigo.lzh
『waiting for the light』(solan氏)
ttp://www.h2.dion.ne.jp/~solan/flow/light/light01.htm
>>980
それはいらないんじゃない。
982976:04/05/15 18:12 ID:???
次スレ立てました。

ヒカリ×シンジの可能性を(以下略) 2時限目
http://comic4.2ch.net/test/read.cgi/eva/1084612246/
983名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/05/16 13:29 ID:hNUFx4gl
age
妄想が怖い