1 :
小市民 :
去年の秋ににおきたセカンドインパクト・・・。
今は配給の芋をもって帰る途中だ。
母さんはずっと病に苦しんでいる。
野原にはタンポポも咲いていない・・・・
今まで街のあったところに、今は海が広がっている。
いろんな思い出のある学校もだ。
同級生達は、ほとんど疎開してしまった。
無事だった公民館で、授業は続いている。
日に日に、教室から人が減っていく・・・
3 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの : 2001/03/23(金) 23:08 ID:ffS5/lDY
ズシーン! ズシーン!
4 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの : 2001/03/23(金) 23:08 ID:ffS5/lDY
おーまたせー!
なんとかがんばる
オランダは海の底。
あの飛行機嫌いはどーやって逃げ遂せたのか…
もう忘れちゃったな。
あれ以来、寝つけなくなった。
目をつぶると、あの時の情景を思い出してしまう。
突然襲ってきた津波、飲みこまれる街、人・・・・・・
後に残された残骸・・・
恐怖に、今も縛られている。
これからもそうだろう・・・
もう、過ぎた事なのに・・・
ノ ∧ /) ∧
彡 ノW \从/V W \ ミ
( ノ | ノ \)
∩V 、、 | >V7
(eLL/ ̄ ̄\/ L/ ̄ ̄\┘/3)
(┗( )⌒( )┛/
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爻 < | ; 爻 < フッ...
~爻 \_/ _, 爻~ \______
~爻__/⌒ ̄ ̄ ̄~~ヽ_ 爻~
/ ー ̄ ̄\_ ̄\
_一‘ < ̄ ̄\\\J
<\ ー ̄ ̄ヽ_ヽJ  ̄\_
\ _ニニニヽ ) ~\
\ _/⌒|\ ヽ_~~ ~⌒\_
__/~ V \_| ~\_
「朝だよ、起きなさい」
久しぶりに、母さんに起こされた。
いつもなら、僕の方が先に起きてしまうのに・・・
体の調子が悪いのが、声だけでわかってしまう。
無理をしないで・・・そう思うのに、言っちゃいけないとも思う。
言ったら、母さんも僕も、崩れてしまいそうだから・・・
また、一日が始まる。
辛さを隠すしかない、一日が・・・。
いつもと同じ、なんら変わりのない中で、人々は必死に生きている。
ただ、呆然と歩いていたその時・・・・
驚いた。そして、恐かった。
静かなところに行きたかったから海岸に寄った。
学校の帰りだった。
波の音しかきこえないのがやけに不気味だ。
海をみつめていた。以前きいたラジオでの放送では赤潮や青潮が多発したらしい。
その影響か、ところどころに魚が浮き上がっていて、潮風と呼ぶに相応しくない匂いもする。
腰掛けていた裏返ったボートからは妙に腐った匂いがした。
衝動にかられてボートをどけるとそれがあった。
若い母親と幼児・・・男の子か女の子かわからないくらい酷かった。
僕は走った、見慣れた風景がみえるまで走った。
いつの間にか涙が出ていた。
あの母子が何故あそこに居たのかは想像もつかなかった。
でも、あの日がこの時を作ったってことはわかった。
忘れていたけど、今日はよく晴れた日だった。
13 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの : 2001/03/25(日) 07:34 ID:eFZVj/lo
ageru
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
どれくらい時間が経ったんだろう。気がついたら、日は暮れていた。
かろうじて残っている家に、街路灯に、明かりが灯っている。
いつのまにか、涙は止まっていた。でも、見てしまったものが目に
焼きついて離れない・・・また、辛くなった。
急いで、家に帰る事にした。
早く帰って、いつもと変わらない時間を過ごす。それだけでも、心の
傷を、少しは癒せるかも知れないから・・・
「ただいま」
そう言って、玄関に入る。奥から、母さんの「お帰り」という声。
・・・やっぱり、疲れてるんだな・・・
日に日に、声に力が無くなって行く。僕も、母さんも。
お互い、顔をあわせて、苦笑してしまった。
いつになったら、楽になれるんだろう・・・
そう、四季という言葉がなくなったように、まるで時が止まってしまったか
のようだ。
絶望という言葉を閉じ込めたまま…。
うちに帰る。
真っ暗。
微かな呼吸音。
がさがさと弁当を出すと人の気配。
無言で。
首の後ろに風。
にゅっと伸びた手から逃れる為に食べ物を渡す。
刺すには包丁よりアイスピックの方が適しているとのこと。
これが、私の父親。
アイスピックはどちらに使うかまだ決めていない。
どちらに使うか・・・
アイスピックに手が伸びそうになる。なんとか思い留まったが。
今だけ、自分だけ楽になりたいなら、それでも良いのかも知れない。
ニゲテモ イインダヨ
心の中で、何かがささやく。
それを振り払うように頭を振って、僕は自分の部屋へ逃げこんだ。
僕は、部屋の隅にしゃがみこんで、頭を抱えた。
たまに、自分がわからなくなる。自分を押さえる事ができなくなる。
・・・・・・つらいよ・・・・・・なんでこうなったの・・・・・・
自問自答すればするほど辛くなる。分かっているのに、止められない
自分に、嫌悪感が大きくなる。
逃げるのは簡単かも知れない。いや、簡単だ。
もう、正面からは抱え込めない、それも日に日に見に染みる。
でも・・・安易に逃げることで、楽になって、それで良いのか・・・・・・
いくら考えても、答えは、見えてこなかった。
20 :
17 : 2001/03/28(水) 17:59 ID:???
思わず吹き出しそうになった。
必死でドアを開けようとしている、私。
タイヤで塞ごうとする男を馬鹿じゃないのって思いながら。
向かいのビルの屋上から飛び降りて死ぬ?
その前に国道で車に轢かれなさいよ。
屋上なんて施錠されてるに決まってる。
やっとタイヤをどけると、既に父親はいなかった。
当然、追いかければ間に合う。
どうしてこんなに胸が締め付けられるんだろう。
きっと私は止めに行くのだ。
馬鹿みたい。
いま大声で笑ったら、とても気持ちがいいに違いないのに。
21 :
17 : 2001/03/29(木) 09:03 ID:???
コーラの泡。
顔に粘りつく、液。
どうしてこんな風に起こされなくてはならないのか。
掃除?こっちだってこんなに疲れてるのに。
……あの、男。
嫌い。大っ嫌い。
ひとりで勝手に消えればいい。
道連れになんてしないで。
自分が淋しいだけのくせして。
私だって傷ついてるって、そんなことどうでもいいの?
セカンドインパクトは神様がくれた最期の歓びだった。
その、脱落者。
はやく。
おねがい。かみさま。
22 :
17 : 2001/03/29(木) 09:08 ID:???
赦して。
23 :
15歳 : 2001/03/29(木) 09:48 ID:???
セカンドインパクトから一年が経った。
当時僕は14歳、父は単身赴任で長崎へ、母は妊っていた。
そしてそれは起こった…
お腹の子は産まれず、そして父が帰ってくることはなかった。
母は現実から逃げ出し、僕の前から姿を消した。
僕は独りになった。
24 :
15歳 : 2001/03/29(木) 23:24 ID:???
母が失踪したというのに、僕はあまり悲しみを感じなかった。
いや、感じていたのかもしれないが、いつかこうなるだろうと薄々感じて
いたというのもあり、心の準備は出来ていたのかもしれない。
父が死に(死んだと考えていいだろう)、お腹の子を流産した辺りから、母は
おかしくなっていた。認めたくはなかったが、狂ってしまったのだろう。
だから、いずれ母が僕の前から姿を消すだろうということはずっと考えていた。
僕にはどうしようもなかった。どうすることも出来なかった。諦めるしか、なかったのだ。
25 :
15歳 : 2001/03/30(金) 00:12 ID:???
家に残っていた食料も底を尽いた。
何か食べ物を探さなければ、このままでは飢え死にしてしまうかもしれない。
僕にはまだ生きる意志が残っていた。
家の近所にあるスーパーに行ってみることにした。
ポケットに財布を押し込んだ所で、ふと思った。
「お金を持って行ったって、誰もいるわけないじゃないか…」
今やお金なんかに何の価値も存在しない。ただの屑鉄と紙切れだ。
スーパーに行く。中は酷く荒らされているようだ。どうやら既に略奪された後らしい。
もう何も残ってはいないだろうと思いつつ、店内をうろつく。すると、商品棚に1つだけ
残ったお菓子を見つけた。僕が小さいころ、母がよく買って来てくれていたお菓子だ。
僕の大好物だった、あのお菓子だ。僕はそのお菓子を手に取り袋を開けた。
賞味期限はとっくに切れていたけど、気にせず口に頬張った。
「…おいしい」
何故だか涙が溢れてきた。
家に帰ると、玄関に軍服を着た、若い男の人が立っていた。
戦自の人だ。その人は僕に言った。
「ここは避難命令が出ているはずだが、子供が一人で住んでいると聞いて、来てみた。君か?」
僕は黙っていた。
「お父さんは?お母さんは?」
僕はうつむいていた。
「・・・・・・さあ、行こう。今夜はもう遅い。荷物は後で取りに来ればいい。」
戦自の人は僕の腕を取ると、夜景が明るい、輝く街のほうへと歩き出した。
僕は戦自の施設に保護された。新しい始まり、なのかな
戦略自衛隊中等少年士官学校
それが僕の入った、新しい学校の名前。全寮制で、仲間もいる。
突然僕は、普通の生活に戻ってしまった。
母さんは戦自の情報部の人が探してくれているらしい。
戦自の人って優しいな。ふふっ
僕は久しぶりに、笑った気がする。