躁月鬱日
3年ぶりにシンジに逢える。いや、本当は逢いたくなかった。傷ついたシンジを見た
くなかった。傷つけたのは私だ。許される理由もないぐらい。司令であろうが私が組
織の上だろうが、シンジにとって、何も知らないシンジにとって私はただの親父だ。
今現在唯一の肉親。やはりすべて冬月先生に任せて私が迎えに行くべきだった。
シンジはエヴァをみて硬直していた。無理もない。シンジにとってあれはユイを殺
した犯人にしか見えていないはずだ。だがシンジは覚えていなかったようだ。
シンジは乗りたくない、はっきりこういってくれた。もともと乗せる気など毛頭な
い。これ以上シンジに無理をさせたくないから呼んだまで。だが、シンジはエヴァの
操縦を望んだ。私は、父親失格なのだろうか?いや、間違いなく失格だ。子供を守る
どころか殺し合いを強要している。やはり私は身勝手だ。ただユイとシンジに逢いた
い、それだけのために血を流させた。もはやこのシナリオも書き直すことは無理だ。
ならば、憎まれようともシナリオを進めよう。ユイの、そしてシンジのためにも。
私は鬼になる。