sageて逝きましょう。エヴァSS投稿スレ

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264すたーれす
どこまでベタにできるか挑戦。
「こんなアスカは嫌だ/でも好きだ!」に載せようかと思ったが、長文なのでここにする。
265すたーれす:01/10/24 00:15
ミサト不在のなか、食事の時間。
ミサトの異常なまでのビール好きの話から発展して。

「そういえばさ、シンジ、お酒飲んだことある?」
「いや、ないけど…どうして?」
「そりゃあ男ならお酒が強い方がいいに決まってるからよ」
「ふ〜ん。そんなものかな」
「そんなものよ。…ね、シンジ、あんたちょっとビール飲んでみなさいよ」
「え、なんでそうなるのかな。まずいよ…。まだ中学生なのに」
「はっ! だっらしないのね〜。やぁっぱあんたってダメ男。男の風上にも置けないわね」
アスカはバカにした目つきでシンジを見る。
266すたーれす:01/10/24 00:16

「お酒はハタチになってからって? シンジ君はルールを守るおりこうさんでしゅね〜。えらいえらい」
「ばっ…ばかにするなよ。僕だってビールくらい飲める。それよりアスカはどうなんだよ」
「アタシは2,3本は軽いわよ? どこに住んでたと思ってんのよ。ドイツよ、ドイツ!本場じゃない! …そうだ、いいこと思いついた。お風呂掃除かけて勝負しない? 多く飲めた方が勝ち」
「勝負って…ほんとにやるの?」
「あったり前じゃない? あら、ひょっとして怖じ気づいたぁ? べっつにやめてもいいのよ、シ・ン・ジ・君♪」
くすくす笑ってシンジを挑発するアスカ。
267すたーれす:01/10/24 00:16

シンジ、むっとして、
「そこまで言うなら、やるよ! 後悔するなよな」
「そーこなくっちゃ! じゃ、一本目!」
自信たっぷりにシンジにビールを手渡すアスカ。
ペンペンが不思議そうに二人を見つめている。

プルタブを勢いよく引いて、同時に飲み始める二人。
実ははじめて口にするアスカ、鼻にしわをよせながら、
(うぇ…ビールってこんなに苦いのぉ…? やめときゃよかった…)
早くも後悔している様子。
268すたーれす:01/10/24 00:17

それに対し、シンジはわりと平気そうに一本目を飲み干してしまう。
「なんだ、思ってたほどじゃないな。あれ、アスカ、まだなの?」
アスカ、いったん飲むのを止めていたが、シンジの言葉を聞いて再び飲み出す。
全部飲んだことは飲んだが、唇の端をひくひく痙攣させ、いかにも気持ち悪そうだ。

「ら…楽勝だったわね!」
「うん。思ったより美味しいね。苦いけど。ミサトさんの気持ちもちょっとはわかるかな」
「あ…あら、そーお? バカシンジのくせにいっちょまえなコト言うじゃないのよ」
「それよりアスカ、大丈夫? なんか顔真っ赤だけど」
「あ、あ、あたしはクォーターだからすぐに赤くなるのよっ」
「…言ってることがよくわからないんだけど…」
「うっさいわねー、この!」
シンジを蹴ろうとしてバランスを崩すアスカ。明らかに酔っている。
269すたーれす:01/10/24 00:18

「わぁっ! あぶないよ、アスカ!」
アスカの腕をとっさにつかむシンジ。
「ぎゃぁーーーーっ! スケベ、ヘンタイ、痴漢! 離しなさいよっ!!」
反射的にシンジに張り手をかましてしまうアスカ。
「…」
ため息をつくシンジ。もはや何も言う気力がないようだ。
「いいよ、アスカ酔ったみたいだし、今日のお風呂掃除、僕がやっておくから」
「酔ってなんかないってばっ!」
「…そういうことにしておくよ。あ、横になっておいたほうがいいと思うよ」
「余計なお世話よっ!」
そばにあったティッシュの箱を投げかけたが、思い直してごろっと寝ころぶアスカ。
「ふん。…バカ」
270すたーれす:01/10/24 00:19

〜〜〜〜15分後〜〜〜〜
271すたーれす:01/10/24 00:20

「ふう、終わったよ。ね、アスカ」
「…なによ?」
アスカはぐったりと寝そべっている。いかにも気分が悪そうだ。
「ちょっと酔い覚ましに外に出ようか」
「あたし、今歩けないわよ。あんた一人でいきなさいよ」
「いいよ、僕がおんぶするから」
「え、えええ? バ、バ、バ、バカ、そんなこと…」
「え、いや? だったらいいけど。でも、大丈夫? ここにいて苦しくない?」
「…だっ…誰がいやだなんて言ったのよ。早く、連れていきなさいよ…」
アスカ、蚊の鳴くような声で呟く。
272すたーれす:01/10/24 00:22

「よいしょっと。意外と軽いね、アスカ」
「一言余計なのっ」
シンジの頭をげんこつで殴りつけるアスカ。
「な、なんだよっ…。褒めてるんじゃないか」
「ふん、意外ってのが余計なのよ。…それと変なところ意識しないでよ」
「? 変なところって?」
「聞くなっ!」
アスカ、再びシンジの頭をこづく。
「いたっ…アスカが言うから聞いただけなのに…」
「うるさい! バカ! この鈍感!」
「ど…鈍感? 何が?」
「…もうしゃべるな…」
そう言ってアスカは頬をシンジの背中に寄せる。
「え?…うん…」
273すたーれす:01/10/24 00:23

二人、しばらく無言。
近くにある公園に向かって歩いていく。夜風が気持ちいい。
しばらくして、アスカ、顔をシンジの背中に埋め、真っ赤になりながら「ありがと」と礼を言う。
聞こえないふりをするシンジ。

しばらくして公園に着く。
シンジ、アスカの方を見て、
「今日は満月だね、アスカ。見てごらんよ。きれいだから。…あれ? 寝ちゃったのかな?」
が、アスカはいつのまにか寝息をたてている。
苦笑して、シンジはマンションに足を向ける。

月あかりに照らされて、アスファルトの上に二人の影が薄く長く伸びている…。

      おわり。