【明城学院】シンジとアスカの学生生活【LAS】

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1名無しが氏んでも代わりはいるもの
アスカとシンジの学生生活を想像してどんどん書き込んでください
2名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 15:41:57.01 ID:???
シンジアスカおめでとう!
3名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 15:47:19.87 ID:???
この世界でなら潜在的に好きあってる仲だしもう大丈夫だろう。

シンジはアスカ覚えてるし
4名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 15:52:26.33 ID:???
>>1
5名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 15:54:43.77 ID:???
>>1以外もSS投下おkなんかね?このスレは

合格発表の人込みで、駅と同じように人込みに飲まれて
いたいいたいと言うアスカ。それを引っ張って助けたのはまたシンジ。

入学式の日にこれまたラッシュで同じシチュエーションで引っ張って助ける。

一度目は偶然、二度目は必然、三度続けばそれは運命とかそういうネタはどうだ?
6名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 15:56:12.43 ID:???
>>1スレ建ておつ
やっとシンジとアスカが笑ってる所が公式で見れた…18年長かったよ
7名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 15:57:31.44 ID:???
>>5
LASなら良いんじゃない?
むしろ俺は見たいから頼むw
8名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 15:58:07.02 ID:???
>>1
スレ立て代行ありがとうございます。

>>5
勿論です。SSでも単発ネタでも思うがままに書き込んでいきましょう
9名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:02:35.07 ID:???
シンジ「***番、***番……」

シンジ「あった!」パァッ


アスカ「………」


シンジ「あれ?あの娘…」ジー…


アスカ「ん?何見てんのよ?」

アスカ「って、あんたあの時の変態じゃない!」

シンジ「ちょっ!へ、変態じゃないよ!」

アスカ「冗談よ」プフッ

アスカ「あんたもここ受けてたのね?」

シンジ「うん…君もだったんだ?」

アスカ「まぁね〜、で、あんた受かったの?」

シンジ「受かったよ、君は?」

アスカ「あんたバカぁ?高校の入試なんて楽勝〜よ楽勝〜♪」

シンジ「そ、そうなんだ…はは…」
10名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:05:29.36 ID:???
いいぞ…!
11名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:05:53.32 ID:???
例の遺跡にデートに向かう二人

遺跡を見上げるとなぜか不安になってシンジの腕を掴むアスカさん
アスカのことを守らなくちゃという使命感がなぜか頭によぎるシンジくん
12名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:12:10.54 ID:???
んじゃ>>5のネタちょっと練ってくる
日曜夜にでも投下するわー

>>9
イイヨイイヨー
13名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:13:54.18 ID:???
このスレ最高じゃん!
やべぇ楽しみが増えた、書き手さんたち頑張ってください!!
14名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:21:19.29 ID:tM8fcUoM
>>9

アスカ「わたし、惣流・アスカ・ラングレー、あんたは?」

シンジ「僕は碇シンジ、よろしく」

アスカ「これも何かの縁ね!友達になりましょ!」スッ

シンジ「う、うん!」ギュッ

シンジ(ずいぶん積極的な娘だなぁ…それに…)


アスカ「わたしは日本人とドイツ人とのクォーターなの、あんたその辺聞きたかったんでしょ?」

シンジ「すごい、どうして分かったの?」
 
15名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:23:35.91 ID:tM8fcUoM
>>14

アスカ「大体パターンが決まってんのよね〜、初めて会った人って二言目にはハーフなの?だもん」

シンジ「なるほど…」

アスカ「さて、あんた合格記念にわたしにお茶でもご馳走しなさい!」ビシッ!

シンジ「ええっ!?」

アスカ「何よ?わたしと喫茶店入るのイヤだってーの?」ジロッ

シンジ「わ、わかったよ…」

アスカ「素直でよろしい!」ニコニコ

シンジ(まいったな…でもなんか懐かしいような気がする、こう言うの…)
16名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:27:16.09 ID:???
混ざらないようにアンカーあるのは有り難い。

それにしても癒されるw
17名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:34:53.00 ID:???
レタケ
18名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:36:22.12 ID:???
>>15

アスカ「わたしコーヒーで良いわ」

シンジ「じ、じゃあ僕も…」

アスカ「コーヒー二つね、あとチョコパフェ一つ」

店員「かしこまりました、少々お待ちくださいませ」
 
 
19名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:41:50.30 ID:???
ついに貞シンジ×貞アスカスレが立ったか
20名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:43:26.36 ID:???
コーヒーで良いと言ってるのにチョコパフェとか流石にアスカだw
21名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 16:45:17.69 ID:???
>>18

店員「お待たせしました…」コトッ コトッ…


アスカ「来たきた♪いただきま〜す♪」パクッ

アスカ「ん〜美味しい♪」


シンジ「ちょっと聞いて良いかな…」

アスカ「ん?な〜に」パクッ

シンジ「僕さ、なんだか君と初めて会った気がしないんだ、どこかで会ってないかな?」

アスカ「それは無いと思うわよ、わたし日本に来たばっかだし」

シンジ「え?そうなんだ…それにしては日本語上手いよね?」
 
22名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:15:45.25 ID:???
>>21

アスカ「ママが日本語ペラペラのハーフだからね、いつも日本語のレッスンしてるような物だったもん」パクッ

アスカ「仕事で行ったり来たりしてたけど、本格的に日本に腰を据える事になってね〜」

シンジ「へぇ、そうなんだ…」


アスカ「て言うかさ〜、実はわたしも思ってた事があるのよ」

シンジ「え?何を?」

アスカ「あんた、なぜか懐かしい感じがすんのよね…」

アスカ「思い出そうとしても出てこなくて、モヤモヤするのよ」

シンジ「はは、なんか不思議だね…」ガチャ!バシャ

シンジ「あっ!あちち!」
 
23名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:17:41.39 ID:???
スレ支援投下準備完了
割りこみたくないから終わったら教えてくれ
24名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:19:27.95 ID:???
可愛い
25名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:27:31.67 ID:???
長期に渡るSSは無しにしないか?
終わるまでの間、空気を読んで他の職人さんが投下しにくくなりそう
仕切り屋みたいでスマン
26名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:29:52.31 ID:???
>>22

アスカ「ちょっとバカシンジ!何やってんのよ!大丈夫!?」

シンジ「!?」

アスカ「!?」

シンジ「い、今のセリフ…」

アスカ「異様にシックリ来るわね…」

店員「お、お客様!大丈夫ですか!?」

シンジ「え?あ、はい…」

アスカ「ちょっとそれかして!」フキフキ

シンジ「あ、ありがと…///」

アスカ「ちょっとシミになっちゃうかもしんないけど…」

シンジ「大丈夫だよ、後でクリーニング出すから」

アスカ「そう、それじゃ大丈夫ね」
 
2725:2013/06/07(金) 17:31:18.81 ID:???
「長期」って1日に1〜2レス程度で一ヶ月くらいかかってようやく完結するようなSSってことな
1日や2日で完結するならいいけど
28名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:35:13.20 ID:???
>>26

アスカ「あっ!いっけな〜いもうこんな時間、ママに報告しに行かなきゃ!」

シンジ「電話すれば良いのに」

アスカ「直接会って報告する事にしてたの!じゃぁわたし行くから、ごちそうさま!またね♪」フリフリ

シンジ「うん…じゃあまた…」フリフリ
 

シンジ(アスカか…可愛かったな…)

シンジ(ここから何かが始まったりして…///)

シンジ(なんてね、そんなの有るわけ無いか…)

シンジ(僕も帰ろう…)カタン
 
 
終わり
29名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:35:20.08 ID:???
やがてシンジに包帯アスカが見える展開きぼん
「ふ…いい気なものね」
30名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:37:22.43 ID:???
長くなりそうならその日の分投下分終了時に宣言でいいんじゃないかなw
雑談交じりで小ネタだけ落としたい人だっているだろうし
色んな人が投下しやすい空気が大事だと思うんだw

>>28


>>29
それなんてRe=TAKE
31名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:39:47.61 ID:???
四コマ漫画的な超短編にしようかと思ったのに、
思いの外長くなってしもた…
拙いSSでスレ汚し失礼しますた(*_ _)ペコリ
32名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:40:34.09 ID:???
>>28
乙〜

俺も>>30の意見に賛成です
33名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:41:22.20 ID:???
>>21
貞の新しいアスカは元々日本暮らしじゃないの?
34sideA 1/2:2013/06/07(金) 17:43:54.30 ID:???
ヒカリ「そういえばアスカってどんな人が好みなの?」

アスカ「……笑わないでよ?」

ヒカリ「うん」

アスカ「王子様」

ヒカリ「え」

アスカ「紫の馬に乗った王子様。私がピンチになった時に紫の馬で駆けつけてくれそうな人がいい」

ヒカリ「白馬じゃないんだ?」
35名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:44:22.49 ID:tM8fcUoM
>>33
そうなの?こりゃうっかりしてたわ。
まあ小ネタとして生暖かく見守ってくださいまし。
36sideA 2/2:2013/06/07(金) 17:44:55.78 ID:???
アスカ「うん。紫」

ヒカリ「なんで紫なの?」

アスカ「……わかんない。でもなんかそういう夢を昔見た気がするの」

ヒカリ「でもアスカが王子様願望って意外ね」

アスカ「自分でもなんでかわかんないんだけどね……高校生にもなって王子様とか恥ずかしいからぜぇぇぇぇぇったい誰にも言わないでよ?」

ヒカリ「はいはい。見つかるといいよね。王子様」

アスカ「気のせい程度ならその夢で見たのと似てる気がするやついるんだけどね」

ヒカリ「わ、いるんだ!誰のこと?」

アスカ「それはさすがに内緒!見た気がする夢のさらに似てる気がする程度だしね」

アスカ(ナンパじゃなかったのがむかついたのはそのせいだったのかな……)
37sideS 1/2:2013/06/07(金) 17:46:35.81 ID:???
ケンスケ「碇ってどんな子が好みなんだ?」

シンジ「んー……好みって言うか理想像ならある……かな」

ケンスケ「へぇー、どんな?」

シンジ「言ったら笑われるから言わないよ」

ケンスケ「笑わないって。で、どんなのなんだ?聞かせろよ」

シンジ「赤い鎧を着たお姫様みたいな子」

ケンスケ「ぶっ…お姫様って、高校生にもなって結構夢見がちだな」
38sideS 2/2:2013/06/07(金) 17:47:29.42 ID:???
ケンスケ「お姫様願望はいいとしてもだ、碇。お姫様ならそこは普通ドレスじゃないのか?」

シンジ「鎧でないとダメなんだよね。ドレスって言うよりも鎧」

ケンスケ「………変わってんな、お前。ゲームかアニメの影響なのか?」

シンジ「そんなんじゃないんだ。ただ……そういう夢を昔見た気がするんだ」

ケンスケ「夢見がちどころか夢そのものかよ。でもそんな女の子いるものかな?」

シンジ「気のせい程度でなら夢で見た人に似た子はいるんだけどね」

ケンスケ「お、誰のことだよ、教えろよ!」

シンジ「言えるわけないだろ!恥ずかしい!それに見た気がする夢のさらに似てる気がするってだけだよ」

シンジ(どこかで会った気がしたのはそのせいなのかな……)
39名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:49:26.67 ID:???
>>33 >>35
ダンケシェ〜ンって言ってたからドイツに住んでたと思うよ
テレビ版学園エヴァだと名前が惣流明日香で日本人だけど。
新アスカは帰国子女なのかも?
40名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:51:35.44 ID:???
親がドイツ人だから日本育ちでもドイツ語が堪能なんでしょ
41名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:52:32.51 ID:???
アスカは秋田出身だな。美人だし(適当)
42A+S:2013/06/07(金) 17:54:00.43 ID:???
シンジ(言えないよね。その子がクラスにいるなんて)チラッ

アスカ(言えないわよね。そいつがクラスにいるなんて)チラッ

シンジ「ぶっ……!?(目が合っちゃった!?)」

アスカ「ぶっ……!?(なんでこっち見てんのよ!)」

二人の距離が縮まるのはまだ少しだけ先のお話。

〜終〜
43名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:55:23.56 ID:???
>>41
乙!イイヨイイヨー
44名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:55:54.14 ID:???
失礼安価ミス。
>>43>>42
45名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 17:58:49.04 ID:???
盛り上がるな〜♪
もっと燃料を!
46名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 18:03:03.35 ID:???
JRAのCMを思い出しながら書いた。
ヒカリも出しちまった。
でも反省はしない。

貞版最終回アスカの出身は明言されてないし職人次第でいいんじゃないのw
ドイツでも九州でも神戸でもw
47名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 18:32:57.40 ID:???
手違いで入寮できず途方にくれてるシンジ
一足先に入寮したアスカが「しょうがないわね」 と同居に
ちなみにアスカはシンジのことを「きもシンジ」と呼んでいます
48名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 18:54:04.45 ID:???
異性をホイホイ同居させるとかそれなんてエロゲ



いいと思います!
49名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 19:52:52.80 ID:???
>>48
元々貞アスカはミサトにシンジと一緒に住まわせろって押しかけてきてるからなw
あんまり違和感ないわw
50名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 20:02:28.32 ID:???
シンジは男だから寮一人ぐらしでいいとしてアスカは保護者がいると思う
実家が都内かも
51名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 20:14:50.29 ID:???
でも満員電車に乗り慣れて感じだったよ
心配する両親の反対を押し切って上京してきたのかもしれん
5251:2013/06/07(金) 20:15:21.59 ID:???
乗り慣れてない、だった訂正
53名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 20:37:04.86 ID:???
アスカは寮暮らしなのかそれともマンション一人暮らしか
寮だとしても男女別か男女混合か
妄想は広がるな
54名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 22:09:10.78 ID:???
職人さんたち必死こいて書き溜めてんのかな〜?
55名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 22:47:16.81 ID:???
教室の窓から真っ白な空を見上げているシンジ

アスカ「バカシンジ、またボーッと空眺めてんの?」
シンジ「あ、うん。なんか…雪が降り注いでいるのを見ると落ち着くんだ。この真っ白な空が僕を包んでくれてるような気がして」
アスカ「ふーん……あんた前にも似たようなこと言ってなかった?」
シンジ「あ、バッグについてるロザリオのことかな?これを握ってると…すごく安心するんだ。だから緊張した時とかはこれを…」
アスカ「バカシンジ!あんたはあたしだけ見てればいいの!」
シンジ「えっ?い、いま…アスカなんて?//」
アスカ「…二度は言ってあげない///」
シンジ「…///(聞き間違えじゃないよな//)」

ケンスケ「かーっ!!二人して頬赤らめてイヤ〜ンな感じ!!」
クラスメイト「ひゅ〜ひゅ〜熱いね〜!」
アスカ・シンジ「ち、ちがう(わ)よ///」
56名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/07(金) 23:07:56.29 ID:???
上手だな
57名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 00:04:18.28 ID:???
>>26
ここ凄く良い
58名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 01:03:49.48 ID:???
前世の記憶の片隅が少し残ってるやり取りがええな
59名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 03:49:28.01 ID:???
付き合ってしばらくしたある日

アスカ「ねぇ、キス……しよっか?」

シンジ「……ごめん」

アスカ「もう!アンタずっとそればっかり!女の子に何回恥かかすのよ!」

シンジ「ご、ごめん。でもキスが怖いんだ……」

アスカ「??」

シンジ「なんか、キスすると……アスカがいなくなってしまうような気がして……」

アスカ「はぁ?」

シンジ「う、上手く言えないんだけど!僕とキスした人はみんな……僕の前から消えてしまうような気がするんだ」

アスカ「アンタ……誰かとキスしたことあんの?」(私も無いのに!)

シンジ「い、いや無いよ!でもそんな気がするんだ……なぜか」
60名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 03:59:58.84 ID:???
シンジ「だからごめん……今は」

アスカ「ダメ」

シンジ「あの、アスカ?」

アスカ「動くな」

シンジ「あっ」

ちゅぅ

シンジ「!!!」

アスカ「ふんっ。なんかムカついた。……誰か知らないけど、アンタの唇奪われた気がした」

シンジ「なっ、あっ……!///」

アスカ「私に消えてほしくなかったら、私を全力で愛しなさい!守りなさい!だったら私は消えない!絶対にアンタのそばにいる!」

シンジ「……絶対に?」
アスカ「絶対に」

シンジ「たとえ……」

アスカ「たとえ生まれかわっても。絶対に、ね?」
61名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 04:11:40.32 ID:???
おまけ

シンジ「ありがとう……アスカ///」(ドキドキドキドキドキドキ)

アスカ「ふんっ///」(ドキドキドキドキイライライライラ)

アスカ「あれ……?」(イライライライライライライライラ)

シンジ「どうしたの?」

アスカ「……奪われた気がしてきた。アンタの舌も、唾液も、口内粘膜も」

シンジ「こ、コウナイネンマク……?」

アスカ「あ、あ!ムカつく。ムカつく!!全部私の物なのに!!私に出撃させてる間に、勝手にあの女ぁ!!」

がばっ!!ぐいっ!!ぎゅぅ!!

シンジ「あ、アスカ…!!///」

アスカ「奪い返す奪い返す奪い返す!!大人のキスするぅ!!」

シンジ「んむにゅぅぅぅぅぅぅ!!///…………くちゅっ」
62名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 05:54:37.54 ID:???
派手だなwww
63名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 11:19:55.69 ID:???
>>61
独占欲全開www
64名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 11:43:17.01 ID:???
体育でダンス
誰とやっても息が合わないアスカ

先生「惣流は少しは他人と合わせることができればいいんだがな」

アスカ「ちっ、なんであたしが低レベルに合わせないといけないのよ」

シンジ「今度は僕と組んでもらえないかな?多分合わせられる……そんな気がするんだ」

アスカ「あんたが?にっぶそうなのに……でもいいわ。ちゃんとついてきなさいよ!」

シンジ「わかってるよ」


62秒のその曲に完璧なユニゾンを見せる二人。


アスカ「やるじゃない。最後のとこ、今度はちゃんと決めたわね」

シンジ「うん。またおほめにあずかって光栄だよ」

アスカ「……今度は?」

シンジ「……また?」

シンジ・アスカ「「あれ?」」
65名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 14:17:53.43 ID:???
記憶が戻ることはないだろうけど、そこがいい
66名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 15:12:53.19 ID:???
貞シンジって実は男前だよな
TV・旧劇・新劇シンジにはなかったアスカの内面の弱さを指摘して受け止めるシーンがある
(これが恐らくアスカが押し掛け同居してくる決定打なのか?)
毎日アスカのお見舞いに行くとかもあるしな
他にも内心の言葉がちょっと荒かったりで面白いよね


アスカが入院して毎日見舞いに行くシンジ
起きないんじゃないかと寝ているアスカを見てデジャヴを感じつつも
目を覚ましたアスカを見て一安心

そんな高1の夏
67名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 17:02:49.16 ID:???
見た目も好みなんだろ、じゃないと同居はしない
68名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 20:32:41.61 ID:???
アスカ「いちご美味しい〜」パクパク

シンジ「うん」パクパク

アスカ「シンジほら見て?似合う?」

シンジ「…あっ。懐かしいね」

アスカ「懐かしい??」

シンジ「うん。なんか懐かしい……なんでだろ」

アスカ「ふぅん。ま、アンタが気に入ったなら、これからはこういうの付けてもいいかな」

シンジ「うん。似合うと思うよ」

アスカ「ふふっ///」パクパク

頭に乗せていた2つのイチゴを食べるアスカさん

アスカ(赤い髪飾りかぁ)
69名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 21:16:45.42 ID:???
記憶あるなしに関わらず
こちらでは普通の高校生でシンジ×アスカも幸せに結婚するんだろね
70名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/08(土) 21:21:13.97 ID:???
>>68
癒されました。乙
71名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 01:43:57.22 ID:???
4巻のアスカ見ると風呂でのエピソードはやっぱ気に入ってたんだなw
72名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 02:06:45.78 ID:???
マリ「ひめ〜!姫も同じ高校受かったんだね!ひゃほい!」

アスカ「げっ」

シンジ「誰……?」

アスカ「家が近いだけの眼鏡!!」

マリ「ヒドいにゃ〜。長い付き合いの、おさにゃにゃじみにぃ」

アスカ「うっさいストーカー!ほんとはもっと上の高校行けたくせに!」

マリ「姫と一緒にいたくてさぁ。で、こちらのワンコは?」

シンジ「ワンコ……」

アスカ「たまたま受験の日に世話になって知り合ったのよ」

マリ「ふぅ〜ん。やっと王・子・さ・ま、見つけたんだ」

アスカ「ーっ!!!!」

シンジ「おうじさま……?」
73名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 02:16:07.01 ID:???
シンジ「あ、あの。おうじさまって」

アスカ「聞かんでいい!!」

マリ「あのねぇ」

アスカ「言わんでいい!!」

マリ「にゅふふっ。幼少期に姫が、ウナギの化け物に襲われてるのを王子さまに助けてもらう夢見たらしいの」

シンジ「ウナギですか」

マリ「ウナギです。そのことをなぜか幼稚園で自慢気に語っててさぁ〜。なんかそれからずっと王子さまみたいな人を待ってたみたいなのよぅ」

アスカ「べ、別に待ってない!もういつまでもそんなこと、ほじくらないでよ!」

マリ「ま、それから私は姫を姫と呼ぶことにしたのよ!だって王子が助けるのは姫だもんね!」

シンジ「ふぅん」

アスカ「ああああ、もう!!変なエピソードをベラベラと言いふらさないでよ!!」
74名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 02:25:41.80 ID:???
マリ「じゃ、そろそろ帰ろっか姫」

アスカ「うっさい!私は先に帰る!付いてくんな眼鏡!」すたたた

マリ「あはは、行っちゃった。……じゃあワンコくん、姫と仲良くしてね。王子さまなんだからさ」

シンジ「な、仲良くするのはいいですけど……。でも僕は王子じゃないですよ」

マリ「いやいや、王子を読み替えたらワンコでしょ?そう思ったら、ワンコも王子様に大変身だよ」

シンジ「まず僕はワンコじゃありません!」

マリ「にゃはは。じゃあまた会おう!」すたたた

シンジ「はぁ……。」

シンジ(ウナギの化け物か……。あんなシュールな夢見る人が他にもいたなんて……)

シンジ「惣流さん……僕が王子さまだと嫌がるかなぁ」
75名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 11:33:28.22 ID:???
乙です
アスカの恋を応援するマリさん頼もしいw
アスカとカラオケやゲーセン行ったりするんだろうな〜
76名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 15:20:52.50 ID:???
良スレ
77名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 20:34:30.67 ID:???
なぜここにも猫が
78名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 22:43:53.58 ID:???
続き楽しみにしてます
79名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 23:35:14.16 ID:???
あの日 あの時 あの場所で君に会えてなかったら僕らはいつでも見知らぬ2人のまま

ラブストーリーは突然にを聴いて干渉に浸るシンアス
80名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/09(日) 23:59:46.25 ID:???
そのまんまの出会いだよね
815=12:2013/06/10(月) 02:16:01.99 ID:???
(あの子かわいかったな。明城前で降りたってことはあの子も受験だったのかな?)
 明城学院付属高校入学試験合格発表当日。学院への道のりを、ゆっくりとした足取りで歩く少年。
 碇シンジ。それが彼の名前だった。
(また会えるといいんだけど)
 シンジは受験当日満員電車から助け出した少女を思い出していていた。あの時感じた既視感はなんだったのだろうか。
 さっき電車から降りるときに同じ偶然を期待しなかったと言えば嘘になる。
(ま、そうそううまくはいかないよな。でも……)
 試験会場では生憎と見つけることは出来なかった。それでも同じ学校に通っていれば会うこともあるのかもしれない。
 もう一度会えれば既視感の正体もわかるかもしれない。だが、それも全て合格していればの話だ。
(大丈夫。きっと受かってるさ。僕もあの子もね)
 ついでにあの日声をかけてきたメガネのことも思い出した。気さくそうな奴だった。
もしかしたらいい友人になれるかもしれない。
 朝の雑踏の中、シンジの歩みは少しずつ早くなり、人ごみを抜けた頃には軽く駆け出していた。
825=12:2013/06/10(月) 02:17:12.62 ID:???
「うわ……こんなに受けた人いるのか……」
 張り出された合格者番号の前の人だかりは、シンジが想像していたよりもはるかに多かった。
 名門校であり、また寮が完備されている明城は全国から受験者が集まる。
だが受験当日はそれぞれ別の教室で一か所には集まっていなかったこともあり、シンジは受験者の人数を意識はしていなかったのだ。
「はは……ほんとに受かってるかな……」
 喜びの声を上げる者。肩を落とす者。友人と一緒に受けたのだろうか?笑顔で手を叩き合っている者もいる。
 シンジは人をかき分けるようにして前へ進んでいった。
「ああ、もう!前に進めないじゃない!」
 どこかで聞いたような声に振りかえる。
「通してって言ってるじゃない!」
 あの日聞いた少女の声。
「って……いたいいたいたい!」
 白い小さな手が人と人の間から顔を出している。
「大丈夫?つかまって」
 あの日のようにそう声をかけ、手を掴む。
 右手で彼女の手を握り、左手で彼女が進めるスペースを作っていく。
「え、ちょっとなに?」
 とまどいの声をあげながらも彼女はシンジの作った道を進んでいった。
835=12:2013/06/10(月) 02:18:23.85 ID:???
「ふう、やっと前に出れたよ」
 押され、かき分けと進んできたせいか、まだ肌寒い日ではあっても軽く汗をかいてしまった。
「あ、ありがと……ってまたあんたなの?ナンパ男」
「ナンパ男はひどいな。助けてあげたのにさ」
 抗議の声を上げつつも、目は彼女に引きつけられてしまう。
「……お礼は言っとくわ。ありがと。あんたもここ受けてたのね」
「うん」
(やっぱりどっかであった気はするんだよな……って今はそれよりも) 
 少女から目をそらし、臨時設置の掲示板の中の番号をチェック。自分の番号があるのか、ないのか。期待と不安が心の中で渦巻く。
 少女もまた同様に自分の番号を探し始めたようだ。
(よし、あった!)
 軽く息を吐き出すのと同時に体の緊張が解けていくのが解る。
(この子はどうだったのかな)
 ちらりと少女の方を盗み見る。
 まだ見つからないのだろうか。その青い瞳は不安げな色をたたえている。
 彼女からギュウッと音がするほどに手を握り締められ、初めてお互い手を握ったままであることをシンジは思い出した。
 柔らかい手だな、と感じると同時に少し震えてることにも気がつき、思わず握り返してしまう。
 振り払われるかな?シンジがそう思っていると、一瞬驚いた表情を浮かべ彼女は
「ありがと……」
 小さな声で呟いた。
845=12:2013/06/10(月) 02:19:20.59 ID:???
「あったああああああああ!ま、このあたしが落ちるわけないのはわかってたけど嬉しいものよね!」
 少し大袈裟なくらいに少女は喜びを露わにしている。白い頬は歓喜の色に染まり、青い瞳はきらきらと輝いていた。
 両手を振り上げたため、シンジの手も一緒に空へと突き出される。
「おめでとう、よかったね」
「あ、ありがとう。あんたは……ってその顔じゃ受かってそうね、おめでと」
 懐かしい笑顔だ。そう感じた。どこで会ったんだろう?でもこんなに目立つ子を忘れるとは思えない。
 彼女は容姿だけならアイドル顔負けの少女なのだ。目が合うとどうしても照れてしまう。
「あ、う、うん。ありがとう。で……いつまで握っててくれてるのかな?」
 シンジは照れ隠しにちょっと意地悪に受験当日の少女の言葉をそのまま返してみた。
 少女の白い肌が見るみるうちに赤く染まっていく。
855=12:2013/06/10(月) 02:20:14.41 ID:???
「バ、バカ!やっぱナンパ目的だったんじゃないの?」
「だ、だから違うってば!」
「どーだか!」
「なんだよ、その言い方!」
「なによ!ケンカ売ってんの!」
 なぜだろう。女の子とこんな風に口論なんてしたことないのに。
 なんだろう。この懐かしさは。
「ケンカ売ってるのはそっちだろ!」
 なぜだろう。男の子と口論するのは初めてではないけど。
 なんだろう。初めて喧嘩してる相手なのにこの懐かしさ。
「お二人さんさー、仲がいいのはわかったから、そろそろどいてくれないかな?」
 当たり前だが周囲の注目を一気に集めていたらしい。
 誰からかかけられた声で我に返る。
「誰が!」
「こんなのと!」
「「仲がいいわけないよ(わ)!」」
 ふんっ、と同時にそっぽを向くとそのまま別々の方向に歩いていく姿はどう見てもシンクロしているのだが。
「あいつらあの時の2人だよな。なんだか息ぴったりでいや〜んな感じ」
 一部始終を見ていたメガネの少年は、思わずそう呟いたのであった。
865=12:2013/06/10(月) 02:21:13.67 ID:???
明日か明後日にでも続き投下して完結
おやすみなさい
87名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/10(月) 02:58:04.33 ID:???
乙です。
88名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/10(月) 11:19:40.57 ID:???
続き死ぬほど楽しみにしてます
89名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/10(月) 16:41:48.39 ID:???
積極的な感じが貞っぽいね
続き待ってるよー
90名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/10(月) 22:07:06.75 ID:???
ええやんええやん
915=12:2013/06/11(火) 07:22:03.98 ID:???
 入学式の日、通学中の碇シンジはラッシュアワーの満員電車の中で嘆いていた。
 本来ならばこの日のラッシュは味合うはずがなかったのだ。
(寮の設備不良ってなんだよ……)
 入寮日前日に寮のガス、水道、電気が全て設備の故障で止まってしまったとの連絡があったのだ。
 入寮してからでないのが不幸中の幸いだったと言えるのかもしれない。
 ともあれシンジたち新入生の多くは必要な荷物だけ送り、今日まで入寮しないものが多かったのだ。
 シンジもその一人だ。入学式が終わったら初めて寮に入ることになる。
 学園前駅につくにはまだ時間がある。シンジはあの少女のことを考え始めた―――
(あの懐かしい感じ……なんなんだろうな)
 どこかで会ったことがある気がする。2度目に出会ったときからその感覚は強くなる一方だ。
 だが、会ったことはないはずだ。近くで顔を見てはっきりしたがもし出会っていたら忘れているはずがない。
 しかし、懐かしい何かを感じていることも事実だ。あの時カッとなってはいたがどこか安心感もあった。
 そう、安心感。まるで離れていた故郷に帰ったような、そんな感覚。
 欠けていたものが満たされるような錯覚さえあった。
(でももう会っても話してくれないかもしれないよな。ケンカしちゃったし……
って、そういえば合格発表の日に悪目立ちしちゃったのか……不安になってきたな)
 ガタンッ、カーブに差し掛かった時に電車が大きく揺れ、シンジの思考は現実に引き戻される。 
(考えててもしょうがないか。それより入学式終わったら荷解きしないといけないのか。面倒だなあ)
 明城学院前まであと少し。降り損なわないように気をつけないといけないとシンジは思った。
925=12:2013/06/11(火) 07:22:47.23 ID:???
「う〜、やっぱこのラッシュは厳しいや」
 明日からは寮からの通学になる。もうこれを味わう必要はない。
 名残惜しくもなんともなく、ただそれがありがたい。そんなことを考えながらシンジはホームに降りた。
(電車通学とかもうしたくないな……)
 そう思いながら、もう一度電車の方を無意識に振りかえる。
「あれ?」
 すし詰めの人の中に白い手が差し上げられている。ここからでは顔は見えない。
「だから降りるって言ってるでしょう!」
 いらだちを隠さないややヒステリックな声。でも不快感はない。
 シンジは無言でその手を取った。
 迷いなく握り返してきたその手を強く引き寄せる。
 勢い余って少し転びそうになって出てきた少女を見て
「やっぱり君だったのか」
 自然と何とも言えない笑みがこぼれてしまう。
「おはよう。いわゆる三度目の正直ってやつだね」
 むぅ、っと小さく唸ってから少女は言った。
「やっぱりあんただったのね」
 こちらは少し拗ねたような顔だ。
「やっぱり?」
「特に意味はないわよ。二度あることは三度あるって言うじゃない……」
 手を出せばあんたがいて引っ張るような気がしたのよ。よく聞こえなかったがそう言った気がした。
「ま、お礼は言っとくわ。ありがと、ナンパ男」
「だからナンパじゃないって言ってるだろ」
「あ、じゃあストーカーかしら。あたしの行く先々にいるなんてさ」
「それも違うって!いい加減に…」
 せっかく助けたあげたのに犯罪者扱いはさすがにひどい。断固抗議を、そう思ったのだが
「あんたバカァ?冗談よ」
 クスクスと彼女は笑っていた。
「駅のホームでこないだの続きをやる気もないしね」
 握っていた手を離し、シンジの背中をバシンっと叩き歩きだす。
「もたもたしてたら入学式遅れちゃうわよ!」
 振り返って笑う彼女の笑顔は、やはりシンジの心に懐かしさを満たしていくものだった。
935=12:2013/06/11(火) 07:23:39.32 ID:???
「そういえばお互いまだ名前も知らなかったね」
 学園への道のりを二人並んで歩きながら歩く。
「あたしは惣流・アスカ・ラングレー、あんたは?」
 気のせいだろうか。さっきからちらちらと顔を見られてる気がする。
「惣流さん……か。僕は碇シンジ」
 彼女の名前を口に出してみる。なにかしっくりこない。
「碇君、ね。ふーん……」
 今度は気のせいではない。じろじろと顔を……いや顔だけではない、上から下まで値踏みをするような目でシンジを見る。
「ん〜……碇、碇くん……」
 アスカもまたなにかが引っかかっているのだろうか?人差し指を口に当て何やら考えている様子だ。
「ど、どうかしたの?」
 何か悪いことをしてしまったのだろうかとうろたえるシンジ。
「わかんない……でも……う〜〜ん……」
 わからないのはシンジの方だ。このままでは間が持たない。何か話題を振らなければ。
「そ、そいえば惣流さんってさ、合格した時すごく嬉しそうだったけど?」
 シンジには少し喜怒哀楽が乏しい部分がある。冷めていると言い換えてもいい。
 自分のように感情の乏しい人間のそれとは違い、アスカの合格時の感情表現はシンジから見て眩しいものだった。
「う〜、恥ずかしいとこ見られてたんだったわね」
 アスカはばつが悪そうにそっぽを向きながら言葉を続ける。
「ほんとは言う必要もないんだけど……助けてもらってるし特別に教えてあげるわ」
 アスカいわく、国語と歴史に不安があったのだという。
「だって日本語って難しいんだもん。なんで漢字とかひらがなとかカタカナとか色々あんのよ!やっやこしい!」
 聞けばアスカはドイツ育ちだという。日本に来たのは2年前だそうだ。
 ドイツ育ちのアスカにとって日本語の読み書きはまだまだ慣れないらしい。
「でも日本語すごく上手だよ?お世辞じゃなくてさ」
 アスカの言葉は実に流暢な日本語である。
「あんたバカァ?話すのと読み書きはまた違うのよ」
 口癖なのだろうか?バカバカとここまでの道程でかなり言われた気がした。
 少し腹も立つのだが、なぜか悪い気はしない。彼女はこうでないといけない。
(ん、今僕何を思ったんだろう……)
 疑問が大きくなっていく。それなりに打ち解けた気はする。今ならもう一度だけ、確認してもいいのかもしれない。
945=12:2013/06/11(火) 07:24:24.52 ID:???
「ねえ、惣流さん」 
 んんー、っと口に出しながら少し眉を寄せるアスカ。
「やっぱり僕ら……どっかで会ったことない……かな?」
 アスカの眉がさらによっていく。
「あんたバカァ?前にあんたなんかこれっぽっちも知らないって言ったじゃん!
そもそもあたしドイツからきたって言ったでしょ?あんたドイツに住んでたわけ?」
 早口でまくし立ててくる。結構な剣幕だ。これは失敗した。シンジが自分の迂闊さを呪ったその時
「知らないけど……それは間違いないんだけど……なんか懐かしいって思う自分もいるのよね」
 そんなわけあるはずないのはわかってるんだけどね。とアスカは小さく舌を出す。
「惣流さん……」
 同じだ。やっぱりこの子も僕と同じことを感じていたんだ。
「ここまで話しちゃったからついでに言っちゃうわね。その惣流さんってのやめなさいよ。ナンパ男」
「そっちこそナンパ男はやめてよ。なんだよ、さっきまでは碇くんって呼んでくれてたのに」
 盛り上がりかけた気分が台無しだ。なんでそんなこと言うんだ。
「じゃあ、ストーカー、エロ碇……」
「だからそういうのやめてってば!」
 学校が近い。そろそろ生徒の数も増えているというのにストーカー呼ばわりはない。
 なのにアスカはさらに妙な呼び名をさらに口に出してくる。
「じゃあ、そっちこそ惣流さんはやめなさいよ。気持ち悪い」
 気持ち悪いとはまたひどい。文句を言ってやろうと口を開きかける。
955=12:2013/06/11(火) 07:25:40.33 ID:???
「特別にアスカでいいわよ」
「アス…カ……」
 開きかけた口にそのまま彼女に言われるがままに名前を呟かせる。
 彼女に対してのみならず女の子のファーストネームを呼ぶのは初めてのはずだった。
「アスカ」
 もう一度口に出す。さっきまでの違和感が消えていく。初めてのはずなのに。
「二回も言わなくていいわよ、バカシンジ……あ、これだわ!」
 顰めていた眉がパッと明るくなった。探し物が見つかったかのような、喉のつかえが取れたような顔。
「バカもひどいや……」
 でも嫌じゃない。バカって言われたのに。
「何よ、文句あるってぇの?」
 拗ねたように頬を膨らますアスカがかわいく見えて。
「いや、なんだかもうそれでいいや」 
 つい笑ってしまう。
「何笑ってんのよ。キモっ!キモシンジにした方が良かったかしら?」
 そういうアスカの顔はもう笑顔だ。
965=12:2013/06/11(火) 07:26:12.55 ID:???
「学校、もうすぐそこだよ」
 笑顔のままシンジが告げる。
(最初は偶然、二度目は必然、三度目は……なんて言ったっけ?)
 笑顔のままアスカは走り出した。
「待ってよ、アスカ!」
 シンジは慌ててアスカを追いかける。
 メガネをかけた少年を途中追い抜いていく。
「あいつらいつの間にあんなに仲良くなってんだ。入学早々いや〜んな感じ……」
 呆れたような、うらやましいものを見たような。そんな苦笑い。
「あの子たちも新入生かしら。朝から元気ね……」
 髪をおさげにしたそばかすの少女が呟く。 


 僕はこの世界で生きていく
 いつ死んでもいいとはもう思わない
 希望はいつもこの世界に満ちている
 太陽と月と地球がある限り

「早く来なさいよ、バッカシーンジ!」
 アスカが笑いながら振り返る。

 僕の―――僕たちの未来は無限に広がっているのだから。
97名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/11(火) 07:27:10.81 ID:???
ガチSSだと!?
ありがとうございます!
985=12:2013/06/11(火) 07:30:11.39 ID:???
これにて完結
昨日書いた後投下せずに寝ちまったので起床即投下
シンジが貞っぽいって言ってくれた人がいて嬉しかった

こんなのでよけりゃ、気の向いたときにこれの続きか別の設定かでまた何か投下するわー
99名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/11(火) 14:21:58.22 ID:???
>>98
素晴らしいです。読み入ってしまいました
また楽しみに待ってます、乙でした
10011:2013/06/11(火) 15:02:32.90 ID:???
>>11をSS化してみる。シンジの実家へ遊びに行くついでに、遺跡に寄り道する二人

アスカ「やっぱり不気味ねぇ…昔の人、趣味悪い!」
シンジ「新幹線の窓からよく見てたんだけど、こんなに大きかったなんて」
アスカ「ん……うっ…」フラッ
シンジ「あ、アスカ!?どうしたの、大丈夫!?」アスカを支えるシンジ
アスカ「だ、大丈夫よ…ちょっと眩暈がしただけ…」ヘナッ 
その場にしゃがむアスカ
シンジ「アスカ!!大変だ、救急車呼ばなきゃ…ちょっと待っててね、アスカ」
アスカ「ちょっ、なんともないったら!ほんっとあんたは心配性なんだから」
シンジ「でも…」
アスカ「その代わり……ちょっと手、握ってて…」
シンジ「う、うん……」ギュッ
アスカ「………(落ち着く……)」
シンジ「アスカ……」アスカの背中に腕を回して、肩に頭を乗せるシンジ
アスカ「っ!?バカシンジ!そこまでしろとは言ってないでしょうが!//」
シンジ「ごっ…ごめん…でも、なんか…絶対にアスカを守らなくちゃって気持ちになって…」
アスカ「な、なに言ってんの!?///いいわよもう、離してよ///」

「ふ、不潔よ!!あなたたち!!」

シンジ・アスカ「わっ!!!」慌てて離れて声がする方に振り向く二人

学者「コホン…すまなかったね、我々はこの遺跡の調査に来た研究員でな」
助手「こんなとこでなにしてんのあなたたち…」

アスカ「あっ…す、すいませんでしたっ!ほら、さっさと行くわよバカシンジ!///」
シンジ「あっ…えっと、すいませんでした!///」スタタタタ

学者「やれやれ、邪魔をしてしまったな…」
助手「教授はお人よしすぎます! チッ…これだから今時の若者は…!」   
                                 END
101名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/11(火) 19:54:19.51 ID:???
貞アスカはあんたバカとか言わない
102名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/11(火) 20:06:03.79 ID:???
>>101
それは言わないと少し悲しいぞw
103名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/11(火) 22:09:24.81 ID:???
貞本が嫌いなセリフなんだからしかたない
104名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/11(火) 23:14:46.28 ID:???
ボケナスとか言わせるよりはアスカらしく見えることは事実だしなあ

>>100

その二人は冬月とマヤかw
105名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/12(水) 01:40:15.01 ID:???
age
106名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/12(水) 13:27:27.29 ID:???
嫌いとかじゃないけど別に思い入れあるセリフじゃないな>あんバカ

そういや最終回シンジはやけに前向き思考になったけど アスカにもいい変化とかあるんだろうか
107名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/12(水) 13:32:04.54 ID:???
>>106
見て分かる範囲では、素直に「ありがとう」とお礼できるところかな
あと親の件でトラウマがないだろうから
随分と穏やかな性格なんじゃないかと思う
育成計画のアスカと似てるかもしれない
108名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/12(水) 13:44:45.40 ID:???
あんまりキャラ崩壊ってのも困るが基本的に職人が書きやすいように書けばそれでいいんじゃない?

シンジのモノローグを参照にしてみると以前はそう思ってたけど今は違うとある。
14歳当時時点では1巻シンジのメンタルだったんだろうからアスカもそんな感じじゃないかな
ベースは連載中の物ですこしだけ素直にって感じか?
109名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/13(木) 00:14:34.64 ID:???
一人暮らしの理由で「あの家から早く出たい」って言ってたけど、
「親がきらい」とかじゃなくて「親に苦労をかけたくない」って感じなんかな
110名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/13(木) 01:28:39.05 ID:???
>>110
叔父夫婦だから迷惑かけたくないって感じではないかな?
電話や結局学費高いと思われる学校に行かせてるとこを見ると関係は補完前と違って良好ぽいし
111名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/13(木) 01:57:50.28 ID:???
寮生活が気楽で、長期休みもあんまり叔母の家に帰らなさそうだな
で、アスカがしょっちゅうシンジの部屋に押し掛けてくると
112名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/13(木) 02:00:27.09 ID:???
アスカって通学なん?
113名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/13(木) 02:57:26.21 ID:???
満員電車乗り慣れてないし、寮かアパート暮らしじゃね?
114名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/13(木) 11:49:46.73 ID:4dzroNBQ
>>113
普段は自転車だけど、雪降ってるから電車って可能性も
115小島:2013/06/13(木) 11:51:16.02 ID:???
アスカ、在日。
116名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/13(木) 12:04:15.47 ID:???
いや在日外国人ですけどそりゃ
117名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/13(木) 13:07:55.03 ID:???
アメリカ国籍だな。
118名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/13(木) 21:58:13.67 ID:???
初めて来たけど素晴らしいスレだ

>>98
続き待ってますよ!!どんどんお願い
119名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/14(金) 14:02:07.83 ID:???
予告

「同じクラスになったシンジとアスカ」
「クラスメートの冷やかし」
「心にもない一言による気まずい思い」
「このまま二人の心は遠ざかってしまうのか」
「けれど暗闇の中、一つの思いが彼らの胸に光をともす」

「次回シンジとアスカの学園生活」
「この次もサービス、サービスゥ!」

という妄想が降りてきた。
こないだの続き予定。
多分日曜夜か月曜夜辺り投下
120名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/14(金) 17:34:16.20 ID:???
期待
121名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/15(土) 08:54:36.09 ID:???
良スレだな
122名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/15(土) 12:15:43.92 ID:???
結構ネタ考えるのが難しそうだな
123名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/15(土) 13:40:03.17 ID:???
大雪で帰りの電車がストップ
シンジの寮で一晩泊まらせてもらうことにしたアスカさん
しかし夜になり気づいた。布団が一つしかないことを…

こんな妄想してみた。
124名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/15(土) 14:06:13.92 ID:???
破のような感じの添い寝が浮かんだ。
そのあとは以下のうちのどれだろうか

case1
背中合わせの添い寝→アスカ振り向き背中によりそう→シンジ寝たふり→いくじなし

case2
背中合わせの添い寝→アスカ振り向き背中によりそう→シンジも振り返る→額をくっつけるようにして話してたらいつのまにか寝てしまう

case3
背中合わせの添い寝→アスカ振り向き背中によりそう→シンジ振り返る→キス
125名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/15(土) 14:18:00.57 ID:???
背中合わせの添い寝→シンジキスしようとする→自制、ちゃんとしたシチュでしようと独り言→アスカ聴いてる

個人的に美味しいシチュ
126名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/15(土) 15:27:57.22 ID:???
背中合わせ

アスカ振り向く

シンジ振り向く

キスしそう…

キスしそう…

ドンドンドン!

ケンスケ「シンジ〜!雪山サバイバルしようぜ〜!」

アスカ「だああああ!!また邪魔された!!」

シンジ「また?」

アスカ「……ん??」

シンジ「あれ……?」
127名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/15(土) 16:24:07.67 ID:???
安定のケンスケってオチは定着しそうだな
128名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/15(土) 22:42:58.60 ID:???
中島かよw
129名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/16(日) 21:27:20.43 ID:???
>>119
頑張ってください
楽しみにしてます

二次創作これからもっと増えたらいいな(^O^) 二ちゃん系以外でも

漫画のエヴァの続きみたいな二次創作ないかなぁ?
130名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/16(日) 21:49:06.84 ID:???
二次創作だけなら昔物凄くいっぱいあったけど
サイトも減っちゃったよなあ…
131名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/16(日) 23:13:57.08 ID:???
当時からの流れを保つのはさすがに不可能だし
あの時の勢いの源流だったアニメの結末がもやもやしてて2次創作で補完したいって欲求も
ゲームスピンオフ貞エヴァ等々と、それなりにssも充実しきったことと、解釈論がすでに反乱したこともあって下火だし

まあしょうがない
132名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/17(月) 23:13:40.59 ID:???
ごめん。予告したけど忙しくて投下は明日になりそうです。
133名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/17(月) 23:16:22.04 ID:???
頑張ってください
134名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/17(月) 23:28:40.21 ID:???
別に仕事じゃないんだからゆっくり書いてくれていいのよ
135名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/18(火) 21:54:39.95 ID:???
まだァ? 待ちくたびれた、チンチン (AA 略)
でも無理しないでね。
13696=119:2013/06/18(火) 23:07:43.13 ID:???
「偶然ってやっぱり続くんだね」
 1-A。それがシンジとアスカのクラスだ。
 シンジとアスカは並んで教室に向かっていた。
「なによ、あたしと一緒じゃいやだっての?」
 アスカの眉が一瞬跳ね上がる。だが眼差しは柔らかい。
「そういう意味じゃないよ、ちょっと驚いただけ。偶然って続くんだなあ、ってさ」
「あたしはもう驚かないわよ。さすがに寮の部屋まで一緒とかだと驚くけどね」
 このじゃれあいのような会話がシンジにはなぜか心地いい。
「な、一緒の部屋って……!?」
 顔を真っ赤にして絶句するシンジにアスカはさらに追い打ちをかけた。
「何想像してんのよ、エロシンジ〜」
 ちょっと意地悪に笑うアスカ。アスカもまたこのやり取りを楽しんでいるようだ。
「あ、いや……なんだかさ、変にはっきり想像しちゃったっていうか……」
「やっぱりエロイこと考えてるんじゃん!」
 アスカの大きな声が廊下に響き、他の生徒たちが何事かと振り返る。
「ち、違うってば!大体アスカがそんなこと言うからじゃないか!」
 むきになって言い返すシンジの顔は赤いままだ。
「あのねえ、あり得ないから驚くって話じゃん」
 そう、あり得るはずもない。だからもし起きたら驚いてしまうといったのだ。
 理由もなく浮かんできたイメージと同じ事が起きてしまったら誰だって驚く。
「あー、あんたが変なこと言うからこっちまで恥ずかしくなってきた!どうしてくれるのよバカシンジ!」
 うっすらとアスカの頬も赤い。
 周囲の注目にも気付かず二人は進んでいく。
 それにしてもこの場にいる一体誰が、仲良くケンカしながら教室に向かうこの二人のことを、
今日初めてお互いの名前を知ったばかりで顔を合わせたのは3回目だと言って信じる者がいただろうか?
13796=119:2013/06/18(火) 23:09:49.11 ID:???
 二人が教室に入ると、それまで騒がしかった教室が一瞬静まり返った。
 ほんの一瞬だったため、アスカはそれに気付かなかったがシンジは少しだけ気になった。
(なんだろう……今僕たちを見てた?気のせいかな?)
 気のせいではない。クラスの中では合格発表の時のことを見ていたものだっている。
 笑いあいながら走って登校してきたのを見たものもいる。
 アスカは目立つ。なにしろ日本人離れした手足の長さに、白い肌と青い目、そして長く柔らかそうな金髪。
 整った顔立ちはシンジにアイドルのようだと思わせたほどである。
 一方のシンジもアスカのように目立つという訳ではないが、中性的で整った顔立ちだ。
 優しく、繊細な空気が感じられ好感を持つ人も少なくはないだろう。
 そんな二人が今またはしゃぎながら教室にご登場だ。目を引いて当然だろう。
 そして同時に噂にもなる。ひそひそと教室のあちこちで聞こえる囁きにシンジは少し眉をひそめる。
「よ、お前らも同じクラスになったんだな」
 試験の日に駅でシンジに声をかけてきた眼鏡の少年だ。
 相田ケンスケと少年は名乗った。人懐っこそうな表情を浮かべている。
13896=119:2013/06/18(火) 23:12:02.32 ID:???
「誰よ、あんた。シンジの知り合いなの?」
 一方アスカは馴れ馴れしく話しかけられたのが気に入らないのか、
それともシンジとの会話の邪魔をされたのが腹立たしいのか不機嫌そうな顔だ。
 だがシンジは内心少しホッとしていた。教室の空気が変わったからだ。
 遠巻きに噂されるよりもずっといい。自分とアスカの名前をケンスケに告げてアスカに向き直る。
「知り合いってほどじゃないんだけどさ。アスカと初めて会ったあとちょっとね」
 結論から言うとシンジのこのなにげない一言がよくなかった。
「ん、惣流と初めて会った時ってやっぱり試験の時なのか?」
 掘り下げて聞いてくるケンスケの問いにシンジは特に考えることもなく答えた。
「うん、入学式の今日で3回目。実は名前もお互いさっき知ったところなんだ」
 教室に少しざわめきが広がる。
「そ、そうなのか。でも、それにしては仲がいいよな、お前たち。
てっきり中学が同じとか幼馴染とかそういうのかと思っちゃったよ」
 3回目?名前は今日?ケンスケは驚きを浮かべながらそう言った。
「「そんなことない(わ)よ」」
 同時に言ったあと顔を見合わせてしまう二人。
 クスクスと笑い声が聞こえた。ケンスケも苦笑いだ。
「息ぴったりだな、お前ら。まじで昨日今日の仲じゃないみたいだ」
 指摘にシンジとアスカの頬が染まる。
 あれで会ったばかりって。なんか付き合ってるみたい。むしろ夫婦?
 クラスのあちこちから声が聞こえてきた。
「「夫婦なんかじゃない(わ)よ!」」
 息もぴったりな否定の言葉が引き金となってどっと笑いが起きてしまった。
 こういうときはむきになればなるほど周りは面白がってしまうのだが、少し頭に血が上ったシンジにはそこまで頭が回らない。
「あのねえ…」
「名前も今日知ったばかりなんだし、夫婦でも付き合ってるわけでもないよ!」
 アスカが何かを言うよりも早く、シンジの怒鳴り声が教室に響いた。
「そんな風に冷やかされたら迷惑だよ」
 登校初日からこんなに注目されて困る。アスカもきっとそう思ってるに違いない。
 シンジはアスカのためにもと、そう言い切った。
13996=119:2013/06/18(火) 23:14:23.48 ID:???
遅くなった割に短くてごめん。続きは今週中に必ず。
ではおやすみなさい。
140名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/18(火) 23:23:54.20 ID:???
いいよいいよー

これからも楽しみにしてます
141名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/19(水) 15:44:38.49 ID:???
おっつ!
142名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/20(木) 00:03:40.58 ID:???
ほっこりと癒されました
ゆっくりでいいんで続きよろしく!!
143名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/21(金) 03:15:29.02 ID:???
学校帰りに寄り道するシンジとアスカ
ゲーセンでUFOキャッチャーして取れないから思わず蹴り飛ばして
デジャヴな2人
144名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/21(金) 18:26:06.51 ID:???
なぜかヤンキーが絡んで来そうな気がして仕方ないシンジくん
145名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/21(金) 19:08:16.34 ID:???
初めてプレイするダンスのゲームで高得点を叩きだしてしまうアスカさんとシンジくん
146名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 18:51:47.88 ID:???
あげ
147名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 19:35:05.94 ID:???
あがってないぞ、代わりにage
148名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 19:58:04.63 ID:???
シンジ「さて、帰るか…」

某団地

アスカ「あれぇ〜?シンジじゃん、なんでここに居るのよ?」

シンジ「ア、アスカ!?君こそなんでここに?」

アスカ「あっ!あんたあたしをつけて来たんでしょ!?あたしが可愛いからって!とんだストーカーね!」

シンジ「ち、違うよ!!僕の家はここの三階にあるんだよ!!」

アスカ「ええ〜!?ウソ!あたしも三階なんだけどぉ!」

チーン スタスタ…

アスカ「どこまでついてくんのよ…?」

シンジ「しようがないだろ、僕の家はここなんだから!」ガチャ

アスカ「え……?」ガチャ


シンジ「ええっ!?隣だったの!?」
アスカ「ええっ!?隣だったの!?」
 

なんて妄想をしてみた
149名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 20:17:26.78 ID:???
>>148
いいねいいね〜
150名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 21:12:32.17 ID:???
>>148
半年後くらいにはベランダ越しに移動するようになるのが見える
151名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 21:14:08.07 ID:???
真夏のある日、クーラーが故障してしまったアスカさん

「……チャーンス!」
152名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 21:43:32.42 ID:???
実は>>28これの続きなんです(´・ω・`)
あまりに他の職人さんが素晴らしいので、
おいは単発投下にするとですたい。
153名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 21:49:09.27 ID:???
>>152
あなたも素晴らしいよ!是非続きが見たいです。
154名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 22:01:53.91 ID:???
>>151
「シンジ!クーラー壊れたから、しばらく泊めなさい!」

「シンジ!うちのクーラー壊れたから、しばらく泊めなさい!」

「シンジ!うちのクーラー壊れちゃったから、しばらく泊めなさい!」

「……よし」

ピンポーン

シンジ「はい」

アスカ「シンジ!うちのクーラー壊れちゃったから、しばらく泊めなさい!」

シンジ「うん。玄関で練習してるの聞こえてた」

アスカ「…………///」
155名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/22(土) 22:12:31.17 ID:???
>>152
お隣いいじゃんいいじゃんw
またお願いします!

>>154
既に冷たいジュース持って出てきてるシンジを想像した
15696=119:2013/06/23(日) 02:15:29.09 ID:???
まだ出先。帰ったら投下予定

>>152
言い出しっぺさんよね?w
癒されるんで単発といわずガンガンお願いします。
15796=119:2013/06/23(日) 04:58:55.21 ID:???
 入学式、始業式と終わりさらに一週間がたった。
 シンジとアスカはあの時から口を聞いていない。
「なあ、このままでいいのか?碇」
 そのきっかけを作ってしまったケンスケが申し訳なさそうにシンジに問いかけた。
「なにがだよ?」
 帰宅の準備にかかっていたシンジは不機嫌そうに返事を返す。
 聞き返さなくてもわかっている。この数日何度も同じことを聞かれているからだ。
 アスカと仲直りしなくていのか?と。
(悪いのはアスカじゃないか……話も聞いてくれないで)
 アスカをちらりと見た後シンジはこの話はこれ以上しないとばかりにそっぽを向いてしまった。
 まいったな、と頭をかきながらケンスケはため息をつく。このできたばかりの友人は見かけによらず少し頑固なところがあるらしい。
 ケンスケは、シンジからアスカへと視線を移した。アスカはシンジを見ていた。少し寂しそうな目だった。
(なんとかしてやりたいんだけどな……)
 あの時、ケンスケは教室の空気を変えようと、二人に助け船を出したつもりだった。
 ケンスケに否はないとはいえ、後味は良くないのだろう。
 その後何かにつけ、シンジに仲直りを促してはいるのだがうまくいかない。
 ただシンジ個人とは話す機会が増えた事、寮の部屋が隣なこともあり仲良くなってはいた。
(それになんとか仲直りしてもらわないと……)
 アスカがケンスケの視線に気付いた。
(俺の心臓が持たない)
 アスカの寂しそうな瞳は、恨みと呪いを込めた鬼の眼に変わっていた。
15896=119:2013/06/23(日) 04:59:25.59 ID:???
(むかつく)
 アスカの胸の内に広がっていく苛立ち。
(むかつくむかつく)
 そもそも名前も知ったばかりの相手だったはずだ。
(むかつくむかつくむかつく!イライラする!)
 なのになぜこんなにイライラするのだろう。
 最初の一日は無自覚だった。
 二日目は気付かない振りをした。
 三日目は必死で打ち消した。
 四日目から先はもうダメだった。
 シンジと喧嘩してしまった。口もきいてない。それがイライラの原因だとはっきり自覚した。
 自覚はしたものの未だになぜシンジと話せないのが、そんなにいやなのかというのは自分でもわからない。
 とにかくいやなのだ。もやもやする。いらいらする。在るべきものがない喪失感すら感じる。
 名前すらこの間知ったところなのに?
 言葉を交わしたのは三度。会話と呼べたのはそのうちの一度のようなものなのに?
(なんでこんなに気になるのよ。あんた私のなんなのよ……)
 アスカはため息をつくと、シンジを見つめる。クラスメートと話しているようだ。
 確か相田とか言うやつだったか。
 あの日、あいつが話しかけてこなければこんなことには。
 いや、違う。今は少しわかる。あの時クラスの空気はよくなかった。
 彼なりに気を使ったのだろう。シンジの顔を知っていたからというのもあったのかもしれない。
(八つ当たりなのはわかってはいるんだけど)
 ケンスケがこちらの視線に気付いたようだ。アスカは精いっぱいの恨み辛みを込めて睨みつけた。
15996=119:2013/06/23(日) 05:00:10.44 ID:???
 友人が寿命をすり減らしている時、シンジはあの時のことを思い出していた。
(だってアスカも迷惑してると思ったんだ)
 冷やかしの声に思わず怒鳴ってしまったのは自分の気恥かしさも確かにあった。
 だが、けして自分のためだけではなかった。アスカだってそうだったと思う。だから怒鳴った。
『名前も今日知ったばかりなんだし、夫婦でも付き合ってるわけでもないよ!』
 そして周りの興味を断ち切るために言った。
『そんな風に冷やかされたら迷惑だよ』
 そのあとに言ってしまったこの言葉自体には嘘はない。
 まだ顔も知らぬ級友たちに心を見透かされたような気がしたのだ。
 居心地の良い距離感を。感じていたデジャヴを。
 だけど――――――
『あんた迷惑だったんだ?あっそ、悪かったわね』
 アスカの声は少し震えていたがシンジはそれに気付かなかった。
『違うよ、そう言う意味じゃないってば、これは――』
『もう話しかけないで』
 シンジが弁解するより早く、アスカはそう言った。
16096=119:2013/06/23(日) 05:01:58.26 ID:???
 振り返ってみると他愛のない事。落ち着いてから伝えることもできたはずだった。
 だがシンジは少し意固地になっていた。
 言い訳を聞いてくれないこと。話しかけるなと冷たく言い放たれたこと。
 反発した心が一言謝って説明する、という至極当たり前の行動をとれなくさせていた。
 そのままずるずると時間だけが過ぎてしまい、過ぎた時間がシンジの自己正当化を促していた。
(それにアスカが話しかけないでって言ったんだ。僕は悪くないよ……でも……)
 イライラする、ざわざわする。何か大事なものがなくなりそうな焦燥感。
 話した時間なんてわずかだったのに
(なんで僕、こんなにいらいらしてるんだろう)
 横目でアスカを見る。鬼の形相だった。
(こっちを睨んでる。まだ怒ってるんだ)
 アスカはケンスケを睨んでいただけなのだが、シンジは気付かない。
 アスカもまたシンジの視線に気付かず呪詛の視線をケンスケに送っている。
(ちぇっ、知るもんか)
 アスカの視線を自分への批難の視線と勘違いしたまま
「ごめん、ケンスケ。先に帰る」
 脂汗を流し固まっている友人に声をかけシンジは乱暴にバッグを担ぎあげた。
 カランと小さな乾いた音に、急ぎ足のシンジが気付くことはなかった。
16196=119:2013/06/23(日) 05:04:29.97 ID:???
次回完結
火曜までに投下予定
ヒカリ出すか迷う
162名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/23(日) 05:06:51.26 ID:???
おつです

出かける前にいいもん読めました
163名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/23(日) 08:30:47.60 ID:???
良いですな〜
164名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/23(日) 09:30:57.84 ID:???
>>148

アスカ「ママ〜!合格したわよ!」

キョウコ「よかったわね〜アスカちゃん、おめでと〜」ニコニコ

アスカ「えへへ♪」ニコニコ

キョウコ「お祝いしなくちゃね♪お寿司でも取ろうかしら〜」

アスカ「ホント!やった♪」

キョウコ「お隣の子も同じ学校受けてたはずだけど、どうだったのかしら…?」

アスカ「え?受かったみたいだけど…ママ知ってるの?」

キョウコ「シンジ君でしょ?知ってるわよ〜、ママ同士同じ職場だもの」

アスカ「へ〜そうなんだ」

キョウコ「て言うか〜シンジ君も受かった事だし、お隣も呼んでパーティーしちゃおっか?」

アスカ「え…いいと、思う…けど…」
165名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/23(日) 09:47:33.26 ID:???
>>164

ピンポ〜ン

キョウコ「は〜い」パタパタ  ガチャ

ユイ「こんばんわ〜キョウコさん」ニコッ

キョウコ「ユイさんいらっしゃ〜い」ニコッ


シンジ「あの…こ、こんばんわ…」ペコッ

キョウコ「シンジ君ね、いらっしゃいアスカちゃんが待ってたわ〜」ニコニコ

アスカ「べ、別に待ってないし!///」

キョウコ「テキトーに座ってて〜、今お茶入れるから〜」

ユイ「私も手伝います」パタパタ


シンジ「…ど、どうも…」

アスカ「…」プイ

シンジ「……」

アスカ「なに固くなってんのよ?」チラ

シンジ「あんまりこう言うの、慣れて無くて…」
 
166名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/23(日) 09:57:22.89 ID:???
>>165
 
アスカ「さっきはご馳走になったわね、ありがと…//」

シンジ「いや、その……うん…//」


アスカ「…」

シンジ「…」


シンジ「なんか緊張するなぁ…」

アスカ「ん?もう友達になったようなもんなんだから、緊張なんかしないでよね」

シンジ「ご、ごめん…」

アスカ「これで同じクラスになったら笑っちゃうわよね」

シンジ「あはは、まさかそんな偶然続くはず無いよ」

アスカ「分かんないわよ、もし同じクラスだったらまたパフェ奢りなさいよね」

シンジ「じゃぁ違ってたら逆に僕に奢ってよ?」

アスカ「いいわ、賭けましょ」
 
167名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/23(日) 10:07:31.12 ID:???
>>166

キョウコ「お茶が入ったわよ〜」

ユイ「あらあら、もう仲良しになったの?」

シンジ「そんな…///」

アスカ「…///」

ピンポ〜ン

キョウコ「お寿司が届いたみたいね♪」


アスカ「美味しそ〜♪」

シンジ「凄い豪華だよ♪」

キョウコ「どうせなら特上をって思ったの、ね〜ユイさん」ニコニコ

ユイ「ええ」ニコニコ

アスカ「ねぇもう食べましょうよ!お腹ペコペコよ!」

キョウコ「そうね〜、いただきましょ♪」

イタダキマース

一同「「「「美味しい〜♪」」」

いつかに続く
168名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/23(日) 15:14:05.30 ID:???
乙ほっこりした

個人的には家族間のつながりとか無しで二人がくっついてる方が好きだけど
こういうのもたまらんね
169名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/24(月) 04:54:04.01 ID:clQzT5IC
age
170名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/24(月) 10:46:40.57 ID:???
>>167

初登校日

ピンポ〜ン

ガチャ

キョウコ「は〜い」

シンジ「おはようございます」

キョウコ「おはよーシンジ君、ごめんなさいね〜アスカちゃん寝坊しちゃって」

キョウコ「アスカちゃん!ほらシンジ君迎えに来たわよ〜」

アスカ「ちょっと待って!もうすぐ支度出来るから!」バタバタ


アスカ「ごめん!お待たせ!」ダダッ



シンジ「………」

アスカ「ん?何ボーっとしてんのよ?」
 
171名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/24(月) 10:47:54.95 ID:???
 
シンジ「えっ!?ああ…あの…」


シンジ「せ、制服姿も、似合ってるな〜って…//」

アスカ「ば、バカね!何言ってんのよ!///」

アスカ「ほら遅れるから、早く行くわよ!ママ!行ってきまーす!」

キョウコ「いってらっしゃ〜い」フリフリ


アスカ「〜〜〜♪」タッ タッ タッ

シンジ「あっ、待ってよアスカ〜」タッ タッ タッ
 
172名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/24(月) 10:49:26.86 ID:???
電車内

ギッシリ…

アスカ「ああんも〜!なんで日本の電車はこんなに混むのよ!」

シンジ「仕方無いよ、人口が密集してるし…」


サワサワ…

アスカ「!?」ビクッ!

アスカ「シンジ…」

シンジ「どうしたの?」

アスカ「痴漢よ、誰かあたしのお尻触ってる…///」

シンジ「ええっ!!」キョロキョロ

アスカ「くっ…」ムカムカ

バッ!
 
173名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/24(月) 10:50:31.00 ID:???
 
アスカ「このエッチ!バカ変態!信じらんない!」ガバッ!

シンジ「うわあああっ!」グイイッ!

アスカ「あれ…?」

シンジ「ご、ごめん…それ、僕のカバン…当たってたみたい…」

アスカ「あ、あんたバカぁ!紛らわしい事しないでよね!」

ザワザワ…

シンジ「アスカ…みんな見てる…///」

アスカ「〜〜〜///」カァ〜
 
174名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/24(月) 10:51:55.33 ID:???
学校

アスカ「さ〜て、クラス別けはどうなってるかな〜♪」

シンジ「あ、1-Aみたいだよ」

アスカ「んっふ〜うふふ♪」

シンジ「なに変な笑いかたしてるんだよ?」

アスカ「賭けはあたしの勝ちね!じゃーん」ビシッ!

シンジ「あっ!同じクラスだ!」

アスカ「パフェまたゴチになりま〜す♪」

シンジ「………」

アスカ「ん?なによあんた、あたしと同じクラスになるのがイヤなわけ?」ジロッ

シンジ「そ、そんなわけ無いじゃないか!」ブンブン

シンジ「良かったと思ってるよ…///」

アスカ「そ、そうよね!超絶美少女たるあたしと同じクラスなんだし、光栄に思いなさいよね!///」

シンジ「ち、超絶って…」ジトッ

アスカ「あ、ごめん…調子に乗りすぎたわ…///」


続く
175名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/24(月) 11:02:38.76 ID:???
ほんわかしてていいなw
176名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/24(月) 18:14:03.17 ID:???
職人さん達乙です!
癒やされてますよ〜
177名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/24(月) 21:04:01.94 ID:???
ミサトはやっぱり出さない方が良いのかな〜?
好きなんだよな〜ミサトさん…
178名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 02:18:01.34 ID:???
全ては職人次第でいいじゃない
179名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 04:27:36.54 ID:???
そもそもこの世界にミサトは……
180名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 07:02:25.55 ID:???
いるかもしれないしいないかもしれないよな

言いきる材料は一つもないしww
181名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 07:32:30.43 ID:???
軽く分類

1.ミサトやリツコ、トウジはいないよ派
 補完前に死んだ人はいない。貞エヴァに出てない人もいない。

2.ミサトもリツコもトウジもいるよ派
 全ては元通りで再スタートしてる(TV版学園エヴァに近い?)

3.それどころかマリやレイ、カヲルとかマナ、マユミまでいるよ派
 もうなんかとにかく全部いる(貞エヴァラストがスタートになる育成計画みたいなもん)

4.時田とかマリとか出てなかった人は世界のどこかにいたはず派
 描写されてないだけで貞世界のエヴァにもきっといたからと言う解釈

結論
手を繋いで出会った高校生のシンジとアスカが幸せそうなら何でもいい
182名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 10:17:24.52 ID:???
合点承知!!
シンジとアスカのほんわかラブコメディ、
やっっってやるぜ!!
183名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 14:37:36.86 ID:???
>>174

アスカ「そうだ!もう一回賭けましょ!」

シンジ「ええ〜やだなぁ〜」

アスカ「いいじゃない!席が前後左右くっついてたらあたしの勝ちね!」

シンジ「なんだよそれ〜、まぁさすがに偶然は続かないと思うけど…」

アスカ「じゃあ良いわね?賭け成立よ!」

シンジ「わかったよ…しようがないな〜」シブシブ


=教室=

シンジ「真後ろか……」orz

アスカ「んふふ〜♪」
 
184名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 14:57:06.60 ID:???
>>183

=授業中=

シンジ(アスカの髪って、綺麗だな〜…全然痛んでないし、良い匂いもするよ…)ボー…

教師「碇!なにボーっとしてるんだ!そんなに惣流が気になるか!?」

シンジ「ええっ!?///」ガタン!

アスカ「あ、あんたバカぁ!?あたしに見とれてないで、ちゃんと授業に集中しなさいよね!!///」

シンジ「いや、その…ご、ごめん…」

クラスメイトA「なんや二人とも、もう付き合っとんちゃうかぁ〜?」

クラスメイトB「既に尻に敷かれてるみたいじゃないか、イヤーんな感じ〜」

クラスメイトA「夫婦みたいやな〜」ニヤニヤ

シンジ「ち、違うよ!!///」
アスカ「ち、違うわよ!!///」
ワハハハハハ!!


続く
185名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 15:19:25.11 ID:???
=昼休み=

アスカ「さて、お昼だし購買でパン買お〜っと」

シンジ「あ、待ってよアスカ」

アスカ「ん?なによ」

シンジ「弁当作ってきたんだよ」ゴソゴソ

アスカ「お弁当?……どうして?」

シンジ「アスカのお母さん、料理が下手でお弁当作れないからって、ウチの母さんが頼まれたみたいなんだ」

アスカ「ぶっ…ママったら…恥ずかしい…///」

シンジ「ところが、ウチの母さん朝弱くてさ、僕が作るしか無かったんだ」

アスカ「えっ?あんた料理出来るの?」

シンジ「うん、仕事で母さんが家に居ない時が多くてさ、自分で作ってるうちに得意になっちゃって…」

アスカ「そうなんだ…ウチと似たようなものね、ただあたしは出前とかほか弁ばっかだけど…」

シンジ「よかったら食べてよ」ニコッ

アスカ「う、うん…ありがと…///」ドキッ…
 
186名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 15:30:52.47 ID:???
>>185
アスカ「いただきま〜す」

パクッ モグモグ…

シンジ「どう?口に合うかな?」

アスカ「ん、まあまあね!」モグモグ

シンジ「そ、そうか…」ショボーン…

アスカ(このタコさんウインナー…絶妙な味付けね…)モグモグ…

アスカ(ハンバーグも好みの味だわ……シンジ…タダ者じゃないわね)モグモグ…

アスカ「ごちそうさま!美味しかったわよ///」

シンジ「アスカ…」パァー


アスカ「シンジあのさ…」

シンジ「え?」

アスカ「お弁当…また作ってくれる…?」

シンジ「うん!いいよ!」ニコニコ

アスカ「ありがと…///」
 

続く
187名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 15:43:27.17 ID:???
めちゃくちゃいいです
頑張ってください
18896=119:2013/06/25(火) 16:37:15.21 ID:???
(やっぱり仲直りした方がいいのかな)
 国語の宿題の手を止め、シンジはアスカのことを考えた。
(そういえば国語苦手だって言ってたっけ)
 やっぱり仲直りした方がいいのだろうか。いや、いいに決まっているのはわかっている。
 ケンスケにいちいち言われるまでもないのだ。本心ではわかってる。
 だが、アスカに拒絶されるのが怖いのだ。
(あんな冷たい言い方しなくてもいいじゃないか)
 浮かれてたのは自分だけだったような気がして怖くなった。
 この数日、夜はいつもこうだ。何かの折に付けアスカを思い出していた。
 そして腹が立ったり、悲しくなったり、焦ったり。
 最後はアスカも悪いと結論付けることで行動する事から逃げている。
(逃げちゃダメって解ってはいるんだけどな……)
 なんとなく宿題が手につかない。
 一旦放置してテレビをつけた。あまり面白くもないお笑い番組が流れてくる。
 テレビから聞こえてくるわざとらしい笑い声がシンジの癇に障った。
 チャンネルを変えてみたけども、どこも変わり映えがせずシンジの気分を変えてくれるようなものはなかった。
(はぁ……明日の準備だけしとこ……宿題はもう後でいいや)
 バッグを手元に引き寄せ明日の時間割を確認しながら教科書やノートを詰め込んでいる時
(あ、あれ?)
 鞄の異常に気付いた。正確には鞄につけていた『お守り』がない事に気付いたのだ。
(どこにいったんだろう……)
 机の上からベッドの下、部屋の隅々まで探してみるが見つからない。
 部屋を飛び出して寮の管理室へ向かった。
「夜中なんだから廊下走るなよ!」
 すれ違う寮生の声を聞き流しつつ階段を一気に駆け下りる。
「すいません、碇ですけど今日何か落し物とか届いてませんか?」
 息を切らしながら管理人に尋ねるが何も届いてはいないと言う。
「そう……ですか、ありがとうございます」
 今日はまっすぐ寮に戻っている。仮に落としたとしたら学校までの道、もしくは学校だ。
 門限まではまだぎりぎり時間がある。
 帰ってくる時には過ぎてるかもしれないが、出るのを咎められはしないだろう。
 シンジは夜の街に飛び出していった。
18996=119:2013/06/25(火) 16:38:24.20 ID:???
(ない、ない……)
 仮に道に落ちてしまっていた場合、誰かに拾われてしまったのかもしれない。
 そうなら今はどうしようもない。あとで交番にでも行ってみようか?
 でも今は先に学校までの道を確認しないといけない。
 夜なので正直見落としもあるかもしれない。
 部屋に戻って懐中電灯でも取ってこようか?そう考えたが今戻るとさすがに門限に引っかかってしまいそうだ。
(慌てて飛び出したのはまずかったかな)
 でも今は少しでも早く『お守り』を見つけたかった。
(くそっ……何でこんなことばっかり続くんだよ!)
 アスカと気まずくなってしまったばかりか、大事な『お守り』までなくしてしまった。
 学校はもうすぐそこだ。道中では結局見つからなかった。
 朝を待ってから学校の中を探すべきかどうか。シンジは閉じた校門を見ながらそう考えていた。
19096=119:2013/06/25(火) 16:39:00.82 ID:???
 そもそもこの大事な『お守り』というのはシンジにとって別に何か思い出があるわけではない。
 正確に言うと思い出がないというどころの話ですらない。
 なにしろいつから自分がそれを持っていたのかも実はよく覚えてはいないのだ。
 気づけばそこにあった。これがシンジの『お守り』だ。
 落ち込んだ時、泣きそうな時、立ち止まりそうな時。なぜかそれを眺めていると不思議な気分になった。
 見守られているような、背中を押してくれるような。そんな感覚。
 懐かしいような悲しいような。そして暖かいような。そんな感覚。
 反面、何かを見つけないといけない気持ちにもさせられるのだ。
 シンジが伯父夫婦の元を離れて遠くの明城学園にすることに決めたのも、実はそんな気持ちに後押しされたものだ。
 今いる場所では見つからない何か。それを遠くの町なら見つけることができるかもしれない。
 かつてシンジは夢も希望も持たない少年だった。
 だけど希望は見つけることができるのではないかと思った。希望を持てないのは探そうとしていなかったからではないかと。
 何かを見つけたいと言う気持ち。その何かが見つかれば希望も見つかるのだろうか?
 シンジにとって『お守り』は、ちょっとしたそういう気持ちの道標のような意味がある。
 なぜそう感じるのかはいくら考えてもわからなかったけれど、それでもシンジにとっては大事なものだった。
(ここまで来たら学校も探しちゃおうかな……明りはよく考えたら携帯のを使えばいいよね)
 あとで振り返るとなぜこの時そう思ってしまったのかシンジにもよくわからない。
 強いて言えば早く見つけたかった。アスカとの事で迷いがあるからだろう。
 いつものようにひと押しが欲しかった気持ちがそうさせたのかもしれない。
 朝になってから早めに学校に来るという選択肢はいつの間にかシンジの中から消えていた。
 とにかくシンジは今探しに行くことを選択していた。 
19196=119:2013/06/25(火) 16:40:18.76 ID:???
「夜の学校って思ったよりも怖いんだな……」
 声に出したのは黙っている緊張感に耐えられなかったからだ。
 昼間はあんなにたくさんいた人が誰もいない。
 誰の声もしない。妙に足音が響く。
「ま、まあ……声がしたら逆に怖いよね……」
 若干忍び込んだことを後悔し始めていたが、今さら戻るのも怖い。
 下駄箱周辺にはなかった。あとは教室とそこに行くまでの廊下くらいしか思い当たらない。
 携帯のライトで廊下を照らしながらシンジは慎重に教室に向け進んでいった。


 幸いにも見回りに見つかることもなく、教室に辿り着くことができた。
 いや、『お守り』は見つからなかったのだから幸いではなのかも知れない。
「ここになかったら帰りに交番も寄ってみよう……」
 そう呟いて教室の扉に手をかけようとして……シンジは鍵を持っていないことに気付いた。
「あちゃ……職員室まで行かないとダメか。職員室の扉開いてるといいんだけど……」
 職員室に戻ろうとした時、よく見ると少し扉が少し開いていることに気付く。
「閉め忘れてたのかな?」
 よかった、取りに行く手間が省けた。
 そっと扉を開け教室に入った瞬間――――頭に強い衝撃を受けシンジの意識は途切れた。
 軽い悲鳴のような声も聞こえた気がしたが、それが何なのかを確かめることはできなかった。
19296=119:2013/06/25(火) 16:42:28.85 ID:???
 後頭部に柔らかな感触を感じながらシンジは目を開けた。
(暗いな……教室の天井……かな?確か僕……)
 混濁した記憶を手繰り寄せていく。側頭部は痛いが後頭部は気持ちいい。
「気がついた?よかった……」
 頭上から声がした。少し涙声に聞こえるのは気のせいだろうか。
 髪をなでる細い指が痛みを和らげてくれる様で心地いい。
「えっと……アスカ……なの?」
 暗さのせいか、目がはっきりしないのか。顔がまだよく見えないので声で判断するしかない。
「うん。ごめん。泥棒か変質者かなんかだと思って……思いっきり蹴っちゃった。だってぼそぼそ声が聞こえたと思ったら扉開くし怖くなっちゃって……」
 ようやく状況が少し飲みこめた。ということはこの柔らかな感触は……
「そしたらシンジが倒れてて……一瞬死んだのかと思った。そしたらなんだかもっと怖くなってきて」
「それで膝枕してくれてたんだね」
 嬉しいけど照れくさい。ショートパンツでも履いてるのだろうか、直に素肌が当たってる気がする。
「…………床に転がしといたほうが良かった?」
 アスカの顔は茹で上げたように真っ赤だ。暗がりなのでシンジには見えていないことはアスカにとって幸運だった。
 そしてシンジにとっても。シンジの顔もまた茹で上げ完了だったのだ。
「あー……ありがとう。って、話しちゃってるけどいいのかな?」
「…………いいのよ、あたしが話しかけてんだから」
 互いの顔が見えないことが逆に素直にさせるのだろうか。
「そっか………」
「そうよ………ところで、なんであんたこんな時間にこんなとこにいたのよ」
「ちょっと探し物だったんだ。大事なものを落としちゃったみたいでさ。そうだ、探さないと……つっ……」
 立ち上がろうとしたがまだ頭が痛むらしい。
「もうちょっと動かない方がいいわよ。それに、こんなの特別大サービスなんだから二度とないわよ」
 シンジの頭をまたゆっくりと自分の膝に乗せた。
「でも元はと言えばアスカが僕を蹴ったからじゃないか」
「うっさいわね。床に頭振り落とすわよ」
 言葉とは裏腹に優しく髪を撫で、その後蹴ってしまった側頭部にできるだけ優しく触れる。
 シンジの身体が痛みのためか一瞬びくりと震えた。
 ごめんね、もう一度小さくアスカの謝罪の言葉が聞こえた。
19396=119:2013/06/25(火) 16:44:21.24 ID:???
「そういうアスカは何でここに?」
 痛みと引き換えにこうやってまた話せた。ついでに膝枕付きで。嬉しいやら恥ずかしいやらだ。
「ん、忘れ物がちょっと、ね」
「宿題のノートとか?」
「ん、まあそんなとこ……」
 アスカらしくもなくどうにも歯切れが悪い。
「そんなの明日誰かに見せてもらえばよかったのに」
「いやよ、そんなのかっこ悪い」
 プイと、アスカはそっぽを向いた。
「さて、だいぶ痛みも引いたし、僕は探し物をするよ」
 立ち上がったシンジは携帯のライトをつけ、教室の中を探し始めた。
「ないなあ…………」
 アスカは黙ってシンジを見つめている。先ほどまでシンジの髪を撫でていた手は今は上着のポケットの中だ。
「あ、もう遅いからさ、この後一応一緒に帰る?」
 教室の隅やゴミ箱まで探しながらシンジは尋ねた。
「ん、迷惑なんじゃなかったの?また噂になっちゃうわよ。っていうか言っとくけどさ、まだ許してないから」
 拗ねたような声の軽い拒絶。
(バカね、あたし……せっかく仲直りのチャンスなのに何でこんなこと言っちゃうかな)
 意地を張ったことを少し後悔していても、それでも言葉を撤回することができなかった。
 ポケットの中で握った手に力がこもる。
 それきり会話は途絶えてしまった。
(なし崩しで仲直りってわけにはやっぱりいかないか。でもなんかこのタイミングは謝りにくいや)
 考えながらも丁寧に教室を探すが、相変わらず『お守り』は見つからない。
 いつの間にか月が出ていた。教室の中は明るく照らされている。
 月明かりに浮かぶシンジの顔は焦燥感に満ちていた。
 沈黙の中時間だけが過ぎていく中、アスカが口を開いた。
19496=119:2013/06/25(火) 16:45:26.05 ID:???
「…………ねえ、バカシンジ」
 無言でシンジが振りかえる。
「そんなに大事なものなんだ?」
 こくり、と無言で頷くと、ぽつりぽつりと『お守り』について話し始めた。
「おかしいよね。いつどうして手に入れたかも覚えてないのに、そんなのに背中押されてる気になるって」
 話し終えるとシンジは少し困ったような微笑みを浮かべた。月明りの中のシンジの微笑みに当てられたかのようにアスカは話しはじめる。
「おかしくないわよ。あたしも……そう思ったから。だから多分大事にしてるだろうな、ってそう思ったから」
 シンジの顔が曇る。アスカは何を言ってるのだろう?
「だからこっそり返しに来たの……怖くて」
 軽く俯いてるアスカの声はシンジに話しているのか、ただ独白なのかわからないような響き。
「アスカが何を言ってるのかよくわからないよ……」
 シンジは困惑していた。
「これでしょ?あんたの大事な『お守り』」
 アスカの差し出した手にはシンプルなクロスペンダントが握られていた。それはシンジのカバンについていたものと同じだった。
 月の光を反射したクロスが美しく見えた。
 シンジは黙ってアスカとクロスを見つめている。
「あんたが帰る時に落としたのが見えたの。拾ったのはいいけどどうやって渡したらいいかわかんなくて」
 アスカの声は少し震えている。シンジは黙ったままだ。
「怖かったのよ。またケンカになったらって思ったら」
 アスカは一度言葉を区切る。
 シンジの目は今はアスカをまっすぐに見つめていた。
「でも不思議よね。なんかこれ見てたらさ、後悔するなって誰かに言われた気がしたの」
 アスカは俯いたままだ。
「でもこっそり返しにきちゃ何にもならないわよね。直接渡して、あんたに謝り――――」
「違うよ、アスカ」
 アスカの言葉をシンジは遮る。少し強い声にアスカも思わずシンジを見つめ返した。
19596=119:2013/06/25(火) 16:45:58.00 ID:???
「謝るのは………僕の方だから」
 ゆっくりとシンジは語り始めた。あの時なぜあんなことを言ってしまったのか、なぜすぐに謝れなかったのか。
 そして――――本当はまたアスカと話したかったという気持ちを。
「ごめんね、アスカ。それから、拾ってくれてありがとう」
 言ってしまってみれば簡単なことだった。なぜ今までできなかったのだろう。
「ううん。あたしこそごめん。あの言い方はなかったわよね」
 あの時のシンジの言葉で浮かれてたのは自分だけだと思ってしまった。だから腹が立った。でもその一言でシンジもそう思ってしまった。
 ただのすれ違い。あの時一言伝えることができていればとアスカも今は思う。
 再び沈黙が二人を包む。ただそれは気まずいものではなく。欠けていたものを取り戻せたような、そんな充足感からのものだ。
 アスカはそのままシンジに近づくとペンダントをシンジの首にかけた。
「カバンなんかにつけてるから落とした時に気付かないのよ。バーカ」
 アスカはそう言うといたずらっぽく笑った。
19696=119:2013/06/25(火) 16:47:07.38 ID:???
「ところで門限過ぎてるわよ。どうする気?」
 正面玄関から二人で帰るのはさすがにまずい。
「ああ、それならケンスケに頼んで裏から回って入るから大丈夫だよ」
 シンジの隣室の友人相田ケンスケは時々門限外に外出をしているようでその辺に詳しいのだ。
「あのメガネか……ま、いいわ」
 善意からとはいえ、そもそもの発端だった人間に頼るのは少々気に入らないが背に腹は代えられない。
 他愛もない話をしながら、時にじゃれるように言い合い、時に笑いあいながら二人は帰路を急ぐ。
「あ、そうだ」
「どうしたの、アスカ?」
 すっと手が差し出される。
「握手よ、握手。仲直りのね」
 頷くとシンジはアスカの手を握った。
 互いの体温が伝わり、自然と意識してしまう。トラブルやアクシデントの結果ではなく、お互いの意思で初めて繋がれた手。
「今度はいつまでも握らせないからね、エロシンジ!」
 赤くなった頬を見られないように、アスカは素早くシンジに背を向けた。
(仲直りできて本当に良かった)
 シンジは立ち止まるとそっと胸元のクロスに手を当てた。
 二人の背中を少しずつ押してくれた不思議で大事なペンダント。
(ありがとう……)
 心の中で、呟く。 
「シンジー?」
「うん、今行くよ」
 寮へと続く道を二人は少し急ぎ足で進んだ。笑いあいながら。


    ったく、二人とも相変わらず素直じゃないんだから。手間かけさせてくれちゃって。

 
「「え」」
 そう、聞こえた気がした。
 二人のほかには誰もいなかった。
 月はただシンジとアスカを優しく照らしていた。 
197名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 16:50:33.15 ID:???
レベルたけぇ…
19896=119:2013/06/25(火) 16:53:06.84 ID:???
これにて完結
またなんか妄想きたら書くw

>>186
乙です
二人ともかわいいw
199名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 17:23:59.88 ID:???
>>198
いや〜素晴らしい!
小説形式で書けるなんて凄いわ〜
自分のSSが稚拙過ぎて凹む…orz
でもやれるとこまで頑張る!
200名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 19:43:37.07 ID:???
おっつ!
良い職人さんがいてくれて嬉しい
201名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 19:55:22.68 ID:LwP0wd/v
乙です!癒される〜
202名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/25(火) 22:52:01.34 ID:???
小説形式だとエヴァ全盛期のの二次創作サイトを見てる気分になって懐かしいなww

長編にこだわらずほのぼの日常オナシャス!
203名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 05:45:45.46 ID:???
短編も長編も小ネタもネタ振りも台本形式も小説形式もどんと来い
色んな高校生LASが見たいんだよ、俺らは!

シンジの写真を男子生徒に売りさばき
アスカの写真を女子生徒に売りさばき
そして二人の日常ツーショットを俺らに売りさばくA田Kスケさんってのが浮かんだ
204名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 05:52:40.35 ID:???
うん。シンジの写真は女子生徒にアスカの写真は男子生徒だよね。
シンジのを男子が、アスカのを女子が買っていくのが普通ってどんな学校だよ!
生きていてごめんなさい。
205名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 11:15:13.10 ID:???
マリ「買うにゃ買うにゃ買うにゃ〜♪」

ケンスケ「はいまいど。シンジの写真はあと3枚だけど」

マリ「違う違う〜。この2人でニコニコ喋ってるやつとぉ、2人でゴミ捨て行ってるやつとぉ」

ケンスケ「は?変なの買うんだな。単独のやつ以外は売れないからタダなんだけど」

マリ「なーに言ってんの、この2人のニャンニャン写真が良いんじゃん!枚数少ないよ!?お金出すからいっぱい用意してよぉ!」

ケンスケ「わ、わかった…。じゃあアンタ用にこれからは何枚か撮っとくよ」

マリ「おぉ、ありがとう!あっ、あの2人休み時間は旧校舎3階南の階段踊り場でコッソリ一緒ご飯食べてて、たまに気分盛り上がった時にチューするから、その瞬間しっかり写真におさめて!」

ケンスケ(ナニコイツ怖ェ……)
206名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 11:37:04.59 ID:???
2人が直接出てなくてもちゃんとLASだな
これはいい変化球w
つかマリは俺らだったのか
207名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 12:54:29.90 ID:???
>>205
素晴らしい!
俺も、二人が手を繋ぎながら街を歩いてる写真とか欲しい…
208名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 12:56:41.04 ID:???
マリは人づきあいができる俺らかww
209名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 15:36:59.31 ID:???
予告

「いつもの朝のいつもの光景」
「朝っぱらからいちゃついている二人には」
「周りが見えていないのか」
「もはや誰もつっこまないその日常には」
「誰もが知るそれなりの理由があった」

「次回シンジとアスカの学生生活」
「この次もサービス、サービスゥ!」

ってのを思いついた。昨日のあれの後日のいつか設定。
日が変わるまでには投下予定。短め即完結。
俺は小説形式のが楽なんですまん。なんかLAS書くのも読むのもすげえ楽しい。
210名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 15:39:40.87 ID:???
俺も別所でLAS書いてるけど、2ch形式でSSかける人凄いよね

一回書いてみたけどキャラの動きが全然表現できなかったww
211名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 15:44:52.55 ID:???
>>186
=某喫茶店=

アスカ「〜♪」パクパク

シンジ「ホントに美味しそうに食べるね」

アスカ「うん♪」パクパク

シンジ「でもさ、こんな所クラスの連中に見られたら、またからかわれるよ…」

アスカ「別に良いじゃない、あたしは構わないわよ」パクパク

シンジ「あの…それって…///」

アスカ「あ、あたしはパフェにありつけたらなんでも良いの!勘違いしないでよね!///」

シンジ「なんだ、そうか……」  
212名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 15:46:36.61 ID:???
>>211
トウジ「ん?ありゃ碇と惣流やないか?」

ケンスケ「おおっ!決定的瞬間!」パシャッ!パシャッ!

トウジ「あいつらやっぱり、付き合っとったんやな〜」ニヤニヤ

ケンスケ「からかってやろうぜ」ニヤニヤ


カランカラン   

店員「いらっしゃいませ〜」


トウジ「よぉ碇!」

シンジ「ああっ!ト、トウジとケンスケ!?」

ケンスケ「碇〜、やっぱり惣流と付き合ってたんだな〜」ニヤニヤ

トウジ「く〜ニクいやないか〜、入学早々彼女こさえたんかいな〜、こうなったらセンセと呼ばしてもらわなあかんな〜」ニヤニヤ

シンジ「ほらアスカ〜、見つかっちゃったじゃないか〜」
213名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 15:48:02.40 ID:???
>>212

アスカ「………」ガタッ!

トウジ「!?」

ケンスケ「!?」

シンジ「アスカ…?」


アスカ「そうよ!あたしたち付き合ってんの!なんか文句ある!?」

シンジ「ぶーーーっ!!」


トウジ「い、言い切りよった…」

ケンスケ「いやーんな感じ…」


アスカ「シンジ!帰ろ!」グイッ!

シンジ「あっ!引っ張らないでよ!」ヨタヨタ

アスカ「シャキッと歩きなさいよ!」スタスタ

カランカラン…

店員「ありがとうございました〜」
214名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 15:49:58.65 ID:???
>>213

トウジ「なんやあれ…?」

ケンスケ「さあ…」


店員「あのお客様?ご注文は?」

トウジ「あ、えらいすんまへん…ワシら帰りますんで」

店員「ではこちらのお会計お願い致します」

ケンスケ「え?」

トウジ「や、やられた…」
215名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 15:51:28.68 ID:???
>>214

アスカ「んふふ〜♪」

シンジ「さっきの所お金払って無いけど…」

アスカ「今頃あいつらが払う事になってるわよ♪」

シンジ「アスカ…ちょっとひどくない…?」

アスカ「あたしたちをからかいに来た罰よ!」クスクス

シンジ「ははっ…大丈夫かなぁ…」
216名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 15:53:12.67 ID:???
>>215


アスカ「ねぇシンジ…」

シンジ「なに?」


アスカ「さっきあたしが言ったこと…《そうよ!あたしたち付き合ってんの!なんか文句ある?》ホントに良いかもって少し思った…///」ボソッ…


シンジ「え、なに?ちょっと聞こえなかった…」

アスカ「バーカ、何でも無いわよ!///」タタタッ

シンジ「あっ!待ってよ!」タタタッ


続く
217名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 16:03:32.29 ID:???
>>216

トウジもいるコースか。それも和むなw
218sage:2013/06/26(水) 16:10:41.05 ID:kDHE64XP
>>217
もうみんな出ちゃっても良いかなとw
輪廻転生、死んだって魂は巡りめぐってまた出逢うのだ!
219名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 19:13:14.76 ID:???
乙!
どうしても出演キャラが少ないからね〜
220名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/26(水) 20:03:25.87 ID:???
「あー!アンタ受験のときのナンパ男!」
221209:2013/06/26(水) 20:31:21.96 ID:???
「おはよう、アスカ」
「おはよ、おっそい!」
 明城の寮では平日には食事が出る。
 朝食をとる生徒たちで食堂は混み合っていた。
 席を二つ確保して待っていたアスカはご立腹だ。
「五分遅れただけだろ」
 アスカの隣りに腰かけながらシンジは抵抗した。
「早起きは三文の得って言うでしょ。明日からは五分早起きしなさいよね」
 アスカは攻撃の手を緩めない。
 食堂は男女共用スペースなので二人の朝は大抵ここから始まる。
「自分が遅れた時はレディは支度に時間がかかるって言うくせに」
「む、バカシンジのくせに生意気な口ね」
 アスカがシンジの頬を両手で引っ張る。
「ちょ、アスカ、食べてる時にそれはやめ――」
 明城学生寮のいつもの朝の光景がそこにはあった。


 集団生活には通常のルールのほかに暗黙のルールがつきものだ。もちろん寮生活にもそれはある。
 ここ明城学院の学生寮における暗黙のルールの一つ。
 朝の二人の邪魔はしてはいけない。
 事の経緯はこうだ。
 アスカがシンジを待っている時に上級生が声をかけてきた。
 女好きで知られる先輩だった。アスカには早々に目をつけていたのだろう。
「横座っていいかな?」
「嫌」
 即答。
「そう言わずにさ。もう学校には慣れた?」
 めげずに座って話しかける。
「聞こえなかった?あたし嫌って言ったんだけど」
 アスカは実は低血圧だ。なのにシンジより早く起きて待っていることが多い理由は推して知るべし。
 シンジは起きてこない。変な男はしつこい。朝のアスカの短い導火線は早くも限界を迎えていた。
222209:2013/06/26(水) 20:32:50.96 ID:???
「そんなつれないこといわないでさ……」
「しつっこいわね」
 食い下がろうとする上級生に向けアスカが平手を振り上げた時――――
「おはよ。待たせてごめんね、アスカ」
 アスカの振り上げた手を押さえながらシンジは微笑んだ。もう片方の手には朝食のトレイが乗せられていた。
「あっち空いてるから行こう」
 そのままアスカの手を引っ張る。慌ててアスカも空いてる方の手で自分のトレイを確保する。
 面白くないのは上級生だ。
「かっこいいな。王子様のご登場ってわけ?」
 シンジは男子高校生としては華奢な方だ。少し脅してからかっても大丈夫。そんなことを考えたのだろう。
 上級生はシンジを睨みつけるようにして立ち上がり、胸倉を掴んで見せた。
 食堂が少しざわめいた。女生徒の軽い悲鳴が聞こえる。誰か寮監を呼んでこいと言い始めてる者もいた。
223209:2013/06/26(水) 20:33:55.06 ID:???
 シンジは苦笑いを浮かべてめんどくさそうに答える。
「……僕が助けたのは先輩の方なんですよ」
 なんだと?その疑問を口に出すよりも早く上級生の頭にアスカの踵がめり込んでいた。
「なにシンジの胸倉つかんでんのよ。さ、行くわよ。シンジ」
 すたすたと、今度はアスカがシンジの手を引いて歩きだす。
「あーあ、やっちゃった」
「て言うかさっきの先輩を助けたって何よ!あたしは助けなくていいってわけ?」
「実際こうなってるよね」
 伸びてしまった上級生を横目で見る。
「うっさいわね!」
「…………こんなの殴ってアスカが停学になったらどうするんだよ」
 シンジの真意が伝わるや見る見るアスカは赤くなる。
「な、殴ってないわ。蹴っただけだし……………今度から気をつける」
「うん、そうしてくれると助かるよ」
 この日を境に「朝の二人の邪魔はするな」明城学生寮暗黙のルールができることとなった。

 なお、アスカは事の一部始終をビデオに収めていた相田ケンスケの提出した映像によりお咎めなしとなる。
「ところでさあ、碇、惣流。まだ付き合ってないって言い張るの?」
 呆れ顔のケンスケの問いに、
「「付き合ってない(わ)よ」」
 校内最速成立カップルと称されている二人は顔を真っ赤にしながら同時に答えた。
224209:2013/06/26(水) 20:36:49.10 ID:???
これにて完結
お昼編、放課後編があるかは不明
またなんか思いついたら投下します
225名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/27(木) 03:02:38.46 ID:???
おつす!
226名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/27(木) 20:25:48.76 ID:???
>>224
完結にはまだ早いyo!!貴方の力はそんなものではない事を信じてます
ゆーっくりでいいから思いついたら投下願います
いつも楽しませてもらってます。ありがとう
227名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/27(木) 20:40:04.43 ID:???
ここは…エデンの園だな
228名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/27(木) 21:10:15.88 ID:???
短編が完結って意味じゃないのww
229名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 14:23:50.86 ID:???
>>216

アスカ「雨止まないわね…」

シンジ「梅雨だし、しようがないよ」

アスカ「せっかくの日曜日なのに、どこにも行けないじゃなーい!」


シンジ「………」カリカリカリ…

アスカ「あんた、あたしが遊びに来てるのに何してんのよ?」

シンジ「宿題だけど…」

アスカ「はぁ〜?そんなの夜にやりなさいよねー!あたしが暇になるでしょ!」

シンジ「あと少しで終わるんだよ、ちょっと待っててよ!」

アスカ「あ〜もう、つまんないつまんないつまんない!」ジタバタジタバタ

シンジ「ゲームでもやっててよ…」カリカリカリ…

アスカ「わーったわよ…」ピコピコ…
230名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 14:30:23.58 ID:???
チュドーン!

アスカ「あ、死んだ…」

アスカ「これつまんないわ」ポイッ


アスカ「ねぇ〜まだ終わんないの〜?」

シンジ「まだ10分も経ってないじゃないか、まだだかかるよ!」

アスカ「ム〜…」プクッ


アスカ「それにしても蒸し蒸しするわね〜、エアコンつけないの?」

シンジ「そこにリモコンあるだろ」

アスカ「あった…」ピッ
231名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 14:37:45.15 ID:???
ヒャ〜〜〜

アスカ「あ゛〜涼しい〜〜〜」

シンジ「なにオッサンみたいな声出してんだよ」プフッ

アスカ「だ〜って〜ぎぼぢいいんだも〜ん…」




シンジ「…………」カリカリカリ…パンッ

シンジ「よし!終わったあ!」

シンジ「ほらアスカ!宿題終わったよ!」


アスカ「………」スー… スー…

シンジ「なんだ、寝ちゃったのか…」

アスカ「………」スー… スー…
232名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 14:54:29.19 ID:???
シンジ(可愛い顔して寝てるや…)

シンジ(…………)

シンジ(僕も昼寝するか…)フワァ〜

ゴロン



シンジ「zzz…」
233名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 15:04:55.64 ID:???
…ンジ…シンジ…

アスカ「ちょっとバカシンジ!起きてよ!」

シンジ「んぁ…ほあ…」

アスカ「寝惚けてないで起きろ!」バシッ!

シンジ「いてっ!なんだよアスカ〜」

アスカ「もう夕方よ!」

シンジ「あ、ホントだ…5時過ぎてる…」

アスカ「1日寝て過ごすなんて、最低よ〜」

アスカ「それに、さっきママから電話が来て、今夜仕事で帰れないって」

シンジ「そうか…じゃご飯どうしよう?」

シンジ「ウチで食べてく?」

アスカ「いいの…?」

シンジ「いいに決まってるよ」ニコッ

アスカ「……//」ドキッ…
234名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 15:11:39.80 ID:???
アスカ(こいつ、たまにカッコいいからドキッとするじゃん…///)

シンジ「なにかリクエストあるかな?」

アスカ「えっ?え〜と…ハンバーグ?」

シンジ「OK分かったよ、それじゃ買い物行かないとな…」

アスカ「雨は止んでるわよ」

シンジ「よし、じゃあ一緒に買い物行こうか?」

アスカ「うん♪」
235名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 15:25:02.61 ID:???
アスカ「フライドガーリック乗せて欲しいな〜」

シンジ「え〜、めんどくさいな〜」

アスカ「出来合いのヤツでも良いわよ?」

シンジ「わかったよ」

アスカ「やった♪」


シンジ「今日は奮発して、牛100%の挽き肉買おう」

アスカ「今から楽しみすぎてヨダレが…」ジュルッ

シンジ「はしたないな〜」ケラケラ

アスカ「いーじゃん別に〜」


シンジ「よし、材料は揃ったよ、帰ろうか」

アスカ「うん♪」
236名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 15:36:55.58 ID:???
アスカ「なんかさ〜、こうして買い物袋下げて歩いてると…」

シンジ「ん?」

アスカ「新婚の夫婦みたいよね?」ニコニコ

シンジ「ぶっ!なに言ってんだよ!///」

アスカ「あはは!冗談よ冗〜談!」

シンジ「〜〜〜///」

アスカ「顔真っ赤にして可愛いのー」ケタケタ

シンジ「からかうなよ!」
237名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 15:40:12.76 ID:???
アスカ「はぁ〜、でも…」

シンジ「?」

アスカ「シンジとだったら良いかなって、思ったりなんかしたりして…///」

シンジ「///」ボッ

シンジ「バ、バカなこと言ってないで、ほら帰るよ!」ギュッ

アスカ「あ…(手が…)///」

シンジ「〜〜///」スタスタ

アスカ「〜〜♪///」スタスタ


アスカ「ねぇ、あたしにも作り方教えてよ」

シンジ「いいよ、一緒に作ろう」ニコッ

アスカ「うん♪」ニコッ


終わり
238名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 15:59:56.83 ID:???
>>237
乙!
相変わらずこのシリーズの二人はかわいいなw
239名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 18:33:50.16 ID:???
>>238
ありがとん

しかしネタが枯渇してきて参った( ノД`)…
次弾の装填はいつになるやら…
240名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 19:36:06.59 ID:???
無理せずゆっくりかんがえてね!!!

それまではgdgd雑談で盛り上がってるからww
241名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/28(金) 20:08:23.04 ID:???
雑談から思いつくネタもあるだろうしなw
242名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/29(土) 01:16:31.65 ID:???
最近帰宅するとここに来てほっこりするのが日課になってるw
職人様GJです。ゆっくりネタ考えて下さい
243名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/29(土) 12:06:39.52 ID:???
予告
「アスカの下駄箱に入っているラブレター」
「名前も確認せずにゴミ箱に捨てるその行為は」
「シンジの心に複雑な感情をもたらす」
「そんなシンジの元に届いたラブレター」
「一通の手紙はシンジとアスカになにをもたらすのか」

「次回シンジとアスカの学生生活」
「この次もサービス、サービスゥ!」

仕事中だがこんなのが降りてきた。
>>223の少しあとくらいの話
火曜までには多分投下。

>>226
>>228の言う通りその短編が完結ってだけw

>>239
がんばれ。超がんばれ
楽しみにしてるし、刺激も受けてます
244名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/29(土) 16:25:13.20 ID:???
>>243
期待します!
245名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/29(土) 20:27:53.97 ID:???
宮村優子「アスカにとって理想の相手がいるとしたら、多分カヲル君」

え?
246名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/29(土) 20:41:20.57 ID:???
そんなこと宮村さん言ってませんから
247名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/29(土) 20:42:17.42 ID:???
>>246
荒らしだよ、アスカ関連スレ一斉にageてるっぽい
放置推奨
248名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/29(土) 23:39:51.32 ID:???
この二人は何か部活には入るんだろうか?
249名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 00:17:47.03 ID:???
帰宅部っぽい
高校生シンジ、アスカは寄り道デートが似合う
250名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 02:15:30.30 ID:???
試験会場到着、8:20。試験開始40分前。ここまでは予定通り。
雪は雨に変わろうとしていた。
1000人は入るんじゃないかという大きな講堂が僕の戦場、決戦の地。
単身敵地に乗り込む気分で勢い込んで鞄を開ける。
最後の駆け込みとばかりに参考書を出す。
最初は英語。僕にとっての大きな山場だ。

最初の小さな奇跡はその直後に起こった。
左手前方のドアから勢いよく飛びこんできた女の子が1人。
僕はその瞬間、その子に目が釘付けになる。
あの子だ。駅で僕が助けた女の子。やっぱりあの子も受験生だったんだ。
彼女は黒板の前で受験票と座席表を睨めっこした後、まっすぐこっちに向かってきた。
さっきよりも明らかに緊張した面持ちで、なんと通路を挟んで僕の斜め前に座る。
こんなのってあるんだろうか。運命?
これから大事な大事な試験前だというのに、妙にドキドキしてしまう。
焦りか緊張からか、バサバサと派手な音を立てて
筆記用具やら参考書やらを鞄から取り出す彼女。
その拍子に机の上に置いた受験票がふっ、と通路に舞う。
通路は雪や雨で湿っている。濡らしちゃ可哀想だな、とか思う前に
反射的に僕はその受験票をキャッチしていた。
受験番号2501、名前、惣流・アスカ・ラングレー。
瞬間的に目に焼き付いたその名前に、僕の心はなんとなく懐かしい響きを感じ取る。
なんでだろう?さっきも初めて会った気がしなかった。
251名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 02:16:39.66 ID:???
>>250
「あ、ありがとうござ…」彼女がこちらを振り向いて、そのまま表情が固まる。
「…なんであんたがそこにいるのよ?さては、あたしのことつけてきて…」
「違うよ、僕もここ受けるんだよ」僕は慌ててそう言う。
「ふーん…そうなんだ…で、いつまであたしの受験票握りしめてるわけ?」
「あ…、ごめん」反射的に出た言葉に彼女は反応する。
「謝ることないじゃない。またお礼を言わなきゃね。ありがとう」
受験票を手渡してそれでおしまい、と思った瞬間、彼女の手が僕の受験票に伸びてきて。
あっ、と思ったら彼女は僕の受験票を手にとっていた。
「へー、あんた、碇シンジっていうんだ…ま、せいぜい頑張んなさい」
この女、随分高飛車だよな…ちょっと可愛いからって、と少しむっとしたんだけれど、
「碇…シン…ジ…?どこかで聞いたことがある気がするわね…」
その独り言を僕は聞き逃さない。
やっぱり、僕と彼女はどこかで会っているのかもしれない。
あるいはそれが前世の邂逅であったとしても。そんな気がした。
試験開始、15分前。
252名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 02:19:01.62 ID:???
>>251
彼女はドイツ語受験だった。
そう言えばこの学校は、外国語は英語の他に、中国語、ドイツ語、
フランス語での受験が可能で、実際僕がいた席から通路を挟んで向こう側は、
英語以外の受験者の席だったようだ。
ざっと見たところ、中国語受験者が10人、ドイツ語が彼女を入れて3人、
フランス語が5人。人数的に、やる意味があるのかと思えるほど少ない。
まあ、これがいわゆる「グローバル化を目指す」っていうことなんだろう。
肝心の試験は…可もなく不可もなく、といったところ。
自信があるわけじゃないけれど、かといって絶望するような出来でもない。
つまり、合否はこれからの4科目で決まる。
次は数学だ。インターバルは30分。

最後の追い込みを、と参考書を開いてみたが、何か気になる。
何か、って具体的に言えば、彼女だ。斜め前に座る彼女の姿を目で追っている自分がいる。
くそっ、この大事な時に、と自分の弱さを叱咤しようとして、気がついた。
彼女も参考書を開いてはいるけれど、あれは…どうみても国語のものだ。
次は数学の筈で、国語は午後イチの筈なのに…。

彼女、惣流さんは、イライラした様子で何かブツブツ呟きながら、
参考書に書き込んでは消しゴムでそれを消し、また何か書いては消し、というのを繰り返していた。
そのうち消しゴムがこっちに飛んでくるんじゃないかと思ったその瞬間に、
本当に消しゴムが飛んできた。これも小さな奇跡かもしれない。
253名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 02:22:59.96 ID:???
>>252
「…また厄介になったわね、悪かったわ」明らかに焦りと緊張が入り交じった表情で、
彼女は僕から消しゴムを受け取った。
「あの…次は数学だよ。国語じゃない筈…なんだ…けど…」と僕。なんでびびってんだw
「はん?知ってるわよそんなこと!」「ご、ごめん」
「だからすぐに謝るなっちゅーの、イライラすんじゃない」「…ご、ごめん」
呆れた表情で僕を見下ろす彼女。何かを言おうとして、はーっと息を吐き、
「国語、苦手なのよ…」と呟く。
「…そうなの?」
「だってあたし、去年までドイツにいたのよ。そりゃ家の中では日本語も使っていたけど、
試験とはまた違うじゃない。特に古文!なんなのよこれ、こんなの生きていてこれから先に役に立つの?
これで飯が食えるの?なんとか物語とかかんとか物語とか、わけわかんないわよ!」
半ば八つ当たり気味に感情をぶつけられた僕だけど、不思議と嫌な感じはしなかった。
どうしてだろう?
「…確かにそうかもね。でも昔の人達の生活というか、
心の持ちようを知るっていうのも、大切なんじゃないかな…」と僕は言う。
若干、好きな分野にケチを付けられたのにムッとしたというのもあるけれど。
「何よそれ、あんたが何言ってるのかわけわかんないわよ」と惣流氏。
「例えばさ、伊勢物語っていうのがあって、これは在原業平って人の物語だって
言われてるんだけど…」「アリワラノナリヒラ?」「そう、在原業平」
僕は数学の参考書の空いたスペースに漢字で在原業平と書き付ける。
数学と何千年前の歌人のミスマッチ。
254名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 02:23:53.42 ID:???
>>253
「この在原業平とされる人が、ある日恋に落ちる。相手は身分の高い、
それこそ将来帝の妃となることを約束されたような、高貴な女性と。
2人は燃えるような恋に落ち、駆け落ちをするんだ」
「へー、ロミオとジュリエットみたいじゃん」
「2人は隠れ家を見つけて、そこで束の間の幸せを味わうのだけど、
それはみつかってしまう。ある日男が帰ってくると、女はいない。
連れ戻されてるわけ。それに嘆き悲しんでいるうちに一年が経ち、
男はその隠れ家から見える月を見て、こう歌を詠む。
月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ 我が身ひとつは 元の身にして
一年経って、月や春はもう昔の春じゃないけれど、僕はあの時から時間が止まったままだ、
っていう歌だと思うんだけど、そういう悲しい美しい物語が、
昔の日本にはたくさんあったんだよ…」
「1年も引きずってる男もどうかと思うけど…でもなかなかロマンチックじゃない、
そういうことが書いてあるんだ。」感心したように彼女は言う。
「え、ま、まあね…違ってるかも知れないけど…」と僕。
「教師って、そういうのをもっと分かりやすく教えなさいよね…、
何よあの助動詞だとかいうのとかさ、そんなものばかりクドクドクドクドやりやがって…」
「ちょっとすいません、静かにしてくれませんか?」
僕達のやり取りは前にいたお下げ髪の女の子の苦情によって断ち切られる。
「あ、すいません…」
僕と彼女のこの言葉が完全にハモっていたことを、僕は覚えていない。
だって、今日最大の奇跡は、この後に起こったんだから。
255名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 02:26:22.54 ID:???
ごめん、10年ぶりにちょっと思いついたので投下してみました。
…書いてみたら思ってたより長くなってしまった(´・ω・`)
明日続き上げて、おしまいです。お目汚し失礼しました。
256名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 02:36:20.28 ID:???
乙です。新たな神がまた舞い降りた。このスレすげえな。(・ω・)
257名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 02:46:02.09 ID:???
>>255
乙です。素晴らしいSSをどうもありがとうございます。
お下げ髪の女の子ってもしや?w
続き楽しみに待ってます!
258名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 03:19:10.10 ID:???
上手の一言
259名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 04:28:08.02 ID:???
すげぇ…プロ?
260名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 09:59:34.08 ID:???
おつー

まったり書いていってね
261名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 22:51:38.20 ID:???
>>254
その奇跡は、国語の試験の時に起きた。
現代文の大問を2つ終えてページをめくった時にそこにあったのは、
僕がさっき言っていた伊勢物語の1章。
それを見た瞬間、思わず「えっ」と声が漏れる。
少しの間を置いて、前後左右の席からも「えっ」とか「あら」とか「おっ」
とかいう声が漏れる。聞いてたのかな、このへんの人達w
惣流さんはどうだろう?と思って、試験官の隙を見て斜め前に目をやる。
まだそこまで行っていないのか、彼女の背中は動くことはない。
僕が半分くらいの時間で試験を終えて、見直しをしようかと言う頃、
唐突に「嘘っ!」という声が響く。彼女の声だ。周りが驚いて一斉に彼女を見る。
試験官もいぶかしげに彼女を窺う。その視線に気づいた彼女は「…すいません」と
そばに来ていた試験官に謝り、再び問題用紙に目を落とす。
その背中に動揺とか焦りとかは窺えない。僕が安心して自分の答案用紙に目を移そうと
した時に、彼女の左手の親指がぐっと上がっていることに気がついた。
GJ!とか言ってるんだろうか。思わず僕は微笑んでしまった。

国語の試験が終わり、答案用紙が回収された後、
僕は前後左右の人達からお礼を言われることになる。
前の席の女の子からは「ごめんなさい、さっきはあんな事言って…」と言われ、
後ろの席のジャージ姿の兄ちゃんからは「ほんま助かったわぁ、
これで受かってたらあんさんのこと、センセと呼ばせてもらうで!」とか言われ。

肝心の惣流さんは「ダンケ。別にこれがなくてもあたしの合格は動かないだろうけど…
でも礼だけは言っとくわ」と。さっきからこの感じ、妙に懐かしい。なんでだろう?
262名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 22:52:50.81 ID:???
>>261
社会と理科も滞りなく終わり、僕はとりあえず全力は尽くしたという充実感と
達成感を胸に、学校を後にした。
校門を出て、駅に向かって歩き出すと、後ろからトントン、と肩を叩かれる。
振り向くとそこには人差し指。頬に突き刺さる。
「まさか、こんなのに引っかかるなんて、あんた、バカ?」
そこにいたのは、惣流さん。
「な、なんだよ、いきなり人の肩叩いておいて」と言いながらも顔が赤くなっているのが分かる僕。
「嘘よ、さっきはありがとう。ちゃんとお礼言わなくちゃって思ってね…」と惣流さん。
「ははは、いいよ別にそんなの。でもあれは驚いたよね…」と僕。
「本当よ、あたし大声出しちゃったもの。あんたがあの時あんなこと話してなければ、
あたしは『在原業平』なんて漢字書けなかったし、歌の意味だって分かんなくて、
鉛筆ルーレットに賭ける羽目になってたわよ」2人で笑う。
この空気感がなんか心地よい。このままずっと続けばいいのに、とふと思う。
「えっと…惣流さん、だっけ」僕は言う。
「受かってるといいね…」「もちろんよ、当たり前じゃない。あたしにとって、ここはただの滑り止めよ」
即答されてしまい、僕の言葉の続きは喉から先に出ることなく、暗闇に還っていく。
263名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 22:53:51.20 ID:???
>>262

「でも…今は滑り止めって感じでも、ないかもね」ぼそっと呟く声。
「え…」僕は思わず立ち止まる。
「いや、なんでもないわ。ほら、行くわよシンジ」
いきなり名前を呼ばれて僕は更にびっくりする。
「あれ?あたし今なんて言った?」2歩ばかり先に進んで急停車する惣流さん。
「シンジ、って言ったよ」と僕。なんで顔真っ赤なんだ///
「あんた、なんで顔真っ赤にしてんのよ」という彼女の顔も真っ赤だ。

結局、無言のまま、歩行再開。時間は無情にも断固として歩みを止めない。
「…シンジ…妙にしっくり来るのよね…、
ひょっとして私たち、前世で出会っていたりしたのかもしれないわね」
駅に着く直前、彼女はそう言った。
「え?」僕が思っていたことと同じことを言われて、ドギマギする。
この受験という日に、僕はひょっとしたらもっともっと大きくて大切なものに出逢ったのかもしれない。

階段を上り、10分待ってようやく到着する急行に乗るその時に「…そうかもね」と呟く僕。
びっくりしたように僕を見る彼女。
その思いが伝わったのか、お互いに電車の中では一言も話せず仕舞いで終わってしまった。
264名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 23:01:25.72 ID:???
>>263

「あたしのこと、アスカで良いわよ」電車を降りて、別れ際の言葉に、僕は反応できない。
「受かってるといいね、一緒に」さっき言えなかった続きを、僕は言うのが精一杯。
「きっと受かってるわよ、あたしの予感は当たるんだから」そう言って手を振るアスカ。
「じゃあね、シンジ。また合格発表の日に会いましょ」
「そうだね、惣流さん」「惣流さんじゃない、アスカでいいって言ったじゃない!」「…ごめん」
「…まったく、もう、でもそれってシンジらしいわよ」

軽やかな笑い声と共に、別の路線に乗り換えていくアスカの後ろ姿に、僕は声を掛ける。
「ありがとう、アスカ」
聞こえないはずだと思ったのに、アスカは振り返った。
「一緒に通えたらいいわね、バカシンジ」
なんでバカ呼ばわりされなきゃいけないのか、良く分からなかったけど、
なんだか心が温まるような気がした。
265名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 23:04:42.59 ID:???
>>256-260
予想だにせぬご厚意に感謝します。
投下するのはいつも恥ずかしいものですが、読んで頂けるだけでもありがたく、今後のモチベーションにもなります。
やや長くなり、ご迷惑おかけしました。
万事順調なら、そのうち合格発表&入寮編でも投下します。
お目汚し失礼しました。
266名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/06/30(日) 23:48:21.44 ID:???
乙です。
続き楽しみw
267名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/01(月) 00:12:15.05 ID:???
職人さん乙です。
トウジもイインチョもいるのイイネ。
268名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/01(月) 00:56:54.83 ID:???
乙です。小説形式で質の高い作品ありがとう
SS創作が活発なスレはいいですね
269名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/01(月) 08:13:19.43 ID:???
乙です。合格+入寮編まじ期待w。

質の高いの見て感動する→比べて凹む→でもモチベーションはあがる
→妄想捗る→規制に巻き込まれる(今ここ)

これ携帯です。
PCからガラケに移して投下しんどいので火曜までに投下なかったらお察し。
270名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/01(月) 08:22:28.47 ID:???
あ、>>243=>>269ね。

高校生LASはいい。実にいい。
271名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/01(月) 13:28:27.51 ID:???
いかん、レベルが高すぎて投下する気にならんとですたい。
読み専になろ
272名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/01(月) 13:39:35.74 ID:???
>>271
そんなこと言わず投下を。
みんなもきっと待ってる。
てか少なくとも俺は待ってるw
273名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/01(月) 20:54:08.14 ID:???
最近質の高いエヴァSSが少ないからな〜〜
ホンマに助かるわぁ センセと呼ばせてもらいます
274名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 06:47:17.36 ID:???
投下はなかったか・・・
275名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 09:43:18.43 ID:???
職人さんだって常日頃SS考えてるわけでもないだろうしな
276名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 11:23:03.35 ID:???
昨日はeonet規制に巻き込まれのままで投下できず。
規制終わるか、なんとかできたら投下。

もうやだこのプロバイダ。
277名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 11:32:05.25 ID:???
>>276
携帯から投下すれば良いよ。
278名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 16:59:40.12 ID:???
アスカの家では、給湯器が故障してお風呂に入れないようです。


アスカ「スンズ!ぺっこお風呂貸してけらい!」

シンジ「え?なして?」

アスカ「アダシんちの給湯器ぼっこれでお風呂さ入られねおん…」

シンジ「んだってが?なんたらや…んでほれ、まんず上がらいや」


シンジは快くアスカを家に上げました。
279名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 17:01:04.98 ID:???
アスカ「はぁ〜、全ぐやんたぐなるじゃ〜、こっただ暑い日さ給湯器ぼっこれるなんて」

シンジ「タオルそごさ置いどぐがら、勝手に使ってけらい」

アスカ「ありがど、んだばお風呂借りっがらね」

シンジ「ゆっくり入ってけらいね」

アスカ「スンズ…覗いだら殺すがらな?」ジロッ…

シンジ「覗がねでば!///」
280名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 17:03:01.24 ID:???
シンジ「風呂上がりさアイスでも食わせっかな…」ガチャ

シンジ「お、あるある…スイカバーでも食わせればいがべ…」
281名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 17:04:16.17 ID:???
アスカ「ふ〜、さっぱどしたぁ〜」ガラッ

シンジ「ぶーーーーっ!///」

シンジ「なんつーかっこで出はって来んのや!///」

アスカ「は?別にいがべじゃ、裸で無ぇんだおん」

シンジ「んだども、バスタオル巻いだだげなんて、オラ刺激強すぎっちゃあ!///」

アスカ「あんだバガぁ?何こんぐれぇで狼狽えでんのよ…」

シンジ「しゃねべじゃ…オラこったの免疫無ぇおん…」

アスカ「なんじょっても良いけど、アダシ喉渇いだんだけんど?」

シンジ「ああ、アイス食うが?」

アスカ「食う食う♪」
282名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 17:05:27.51 ID:???
アスカ「〜♪」ペロペロ

シンジ「んめが?」

アスカ「んめ♪」

シンジ「いがったな」ニコッ

アスカ「うん♪」ハラリ…

シンジ「ぶーーーーっ!!///」

アスカ「ん?」

シンジ「ア、ア、アスガ…///」

アスカ「!?///」カァーッ

アスカ「この…エッチ!!スケベ!!バガ変態!!信じらんねぇ!!」ドカァッ!

シンジ「ぐはっ!!」バタッ…


シンジ「なしてこうなんの…?」ピクピク



東北弁でやってみた
283名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 17:47:01.61 ID:???
乙です

もしやエヴァキャラで昔話SSを以前書いてた人?w
284名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 17:52:04.33 ID:???
>>283
そうです、お久しぶりです。
スレ汚し失礼しました(*_ _)ペコリ
285名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 19:13:31.98 ID:???
方言エヴァSSと言えば貴方しかいないわなww
286名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 21:58:16.72 ID:???
ああ、あのSSのシリーズはえがったな
287名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/03(水) 23:58:01.63 ID:???
よし、携帯に送ったから出先から帰ったら投下します。
288243:2013/07/04(木) 01:48:58.81 ID:???
 惣流・アスカ・ラングレーは率直に言ってよくもてる。
 下駄箱にラブレターが詰まってるのは珍しい光景ではない。
 アスカがそれらをゴミ箱に叩きこむのもいつものことだ。
 シンジは今朝もその光景を横目で見ている。

 ひどいな、と思う反面、正直なところホッとしている自分もいる。
 もしもアスカが誰かと付き合ったら?
 自分はもうアスカと一緒にはいられない?
 普段アスカといる自分を誰かに置き換えて想像してみると胸に痛みが走る。
 そんな日が来なければいい。なぜそう思うのか、今のシンジにはまだわからない。
(でもアスカに好きな人ができたらこの関係は終わってしまうんだろうな)
 シンジはぼんやりとそう思う。アスカに好意を伝えようとする人の存在は嫌でもシ
ンジにその事を想像させていた。
 喜怒哀楽が激しくって、口もいいとは言えなくて、でもよけいなおせっかいも焼い
たりしたり。
 カッとなったら手も足も出るし、あんまり素直じゃなかったり、でも本当は優しく
て笑うととてもかわいくて。
 そんなアスカのいる日常がこの短い期間で当たり前になっていた。夫婦だカップル
だとからかわれるのは恥ずかしいがけして嫌な訳ではない。
 もしも終わってしまうなら………そのことを想像すると胸がざわざわする。
(僕とアスカはなんなんだろう)
 シンジはこのところよくそのことを考えていた。まだ答えは出なかった。
289243:2013/07/04(木) 01:50:44.84 ID:???
 学院ではシンジとアスカを指して「校内最速成立カップル」と呼ぶ人も多い。
 もうこいつら付き合ってるだろう。入学式の時にはすでに付き合ってたらしい。い
や、合格発表の時からだろう。
 元から付き合ってたんじゃないか?いや、出会いは受験の日らしい。いやいや、実
は幼馴染。昔出会ってて実は運命の再開。実は既に高校生夫婦。
 まだ法的に無理だろ。じゃあ婚約者なんだろ。
 碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーの二人の関係の噂は様々な憶測と尾ひれをつ
いた状態で広がっている。
 最も有力な説とされているのが入学式と同時に付き合い始めた、である。そこでつ
いたあだ名が「最速成立カップル」だ。
 本人たちは頑なに否定しているのだが、説得力は皆無だ。なにしろ一緒にいる時間
が長すぎる。息が合いすぎている。
 学校の行き帰り、食事、休日の外出。さっと思いつくだけでも一緒にいないのが逆
に不自然なくらいほぼ常に一緒にいる。
 もしもこの噂がなかったら、アスカに対するアプローチはもっと多くなっていただ
ろう。
「告白とか正直うざったいからさ、噂は噂で役には立ってるわよね」
 噂を否定はするくせに、アスカはそう言って笑う。
290243:2013/07/04(木) 01:55:10.65 ID:???
「なにボケーっとしてんのよ、バカシンジ」
 今日の二人の昼食は学食だ。明城の学食は安く、メニューが豊富なことが売りであ
る。
「あ、ごめん。ちょっと考え事してたんだ」
「すぐ謝らないの。んー……ここのハンバーグも悪くないんだけど、やっぱこないだ
シンジが作ったやつのが上ね」
 今日のアスカはハンバーグ定食だ。シンジは無難に日替わりA定食。今日のおかず
は白身魚のフライとコロッケ。
「今度の日曜にでもまた作んなさいよ」
 寮では日祭祝日では食事は出ない。各自外食なり自炊なりをすることになってい
る。
 アスカの休日の食事はシンジの料理をつまみ食いしたことがきっかけでシンジが作
ることになっていた。
 一人分も二人分も手間は変わらないからと言うのはシンジの弁。
 ひいき目でなくてもシンジの料理の腕はいい。なによりもなんだか優しくて懐かし
い味がするとはアスカが友人に語った言葉だ。
 ちなみに本人には伝えていない。
「気に入ってくれてたんだ?」
 嬉しい。アスカが喜んでくれることが単純にそう思えた。嬉しそうに目を輝かせる
シンジの笑顔にアスカの心拍数が上がる。
「な、なににやついてんのよ、バカ」
 頬を膨らませてそっぽを向いたアスカの顔は赤い。
(なんつー顔して笑うのよ、バカ。なんかまともに見れないじゃない)
「じゃ、日曜はハンバーグだね。ソースはなにがいい?」
「んー……買い出し付き合うからその時に決める」
 動悸も赤面も収まらない。気取られないように横を向いたまま、アスカは答えた。
291243:2013/07/04(木) 01:58:38.78 ID:???
 さすがにシンジとアスカも男女別々の教科の時は行動を共にはしない。そういう時
のシンジはケンスケと一緒にいることが多かった。
 一方のアスカも一人と言う訳ではない。
「ねえ、アスカって碇君とはやっぱり付き合ってるのよね?」
 1-Aクラス委員長、洞木ヒカリ。うっすらと残るソバカスとお下げの髪が印象的な
アスカの友人だ。
 シンジと口を聞いていなかった期間のアスカに話しかけてきた唯一の人物である。
 なにしろ当時のアスカは、不機嫌が人の形をとってるとさえ表現できるほどのもの
だったので、進んで話しかける者がいなかったのだ。
 選ばれたばかりのクラス委員長としての責任感か、生来の性格かはわからない。ヒ
カリはアスカを放っておくことができなかった。
 あの時のシンジがケンスケに多少なりとも救われていたように、アスカにもまたそ
ういう友人がいたということだ。
「は、はあ?やめてよね、ヒカリまでそういうこと言うの。いつも言ってるでしょ。
なんとなーく一緒にいるってだけよ」
 二人一組になって柔軟体操をこなしつつの会話だ。位置の関係でヒカリからはアス
カの顔は見えない。
292243:2013/07/04(木) 02:01:23.27 ID:???
「それそれ。なんとなーくであんなにいつも一緒にいるものなの?息もぴったりじゃ
ない」
 ヒカリは追及を続けた。  
「うーん…………」
 答えようとしても具体的に何と言えばいいのか自分でもわからない。
 少し内気で内罰的なところがあるけども、いざという時はしっかりしてる。優しく
て繊細で料理が上手で。
 わがままを言ったら文句を言いながらも結局手伝ってくれるけど、たまに素直じゃ
なかったり。でも誰よりも笑った顔がまぶしくて。
『気に入ってくれてたんだ?』
 先ほどの食堂でのシンジの笑顔が鮮明に蘇る。
「だあああああああああああああああああああっっっ!!!!」
 思わず叫んでしまった。まさか自分の記憶に不意打ちをされるとは思わなかった。
「惣流。柔軟体操にそこまで気合入れんでいいぞ」
 体育教師の声と級友の笑い声にアスカは作り笑いを浮かべるしかなかった。
「ご、ごめんね、アスカ」
 申し訳なさそうなヒカリの声を聞きながら
(もぉぉぉぉっ!バカシンジのせいなんだからね!)
 罰として日曜のハンバーグの材料費はシンジの一人持ちにさせよう。アスカは理不
尽にもそう考えていた。
293243:2013/07/04(木) 02:03:35.78 ID:???
続きはまた日曜辺りでも。
おやすみなさい。
はよプロバ規制終わらないかな。携帯投下やりづらいw
294名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/04(木) 04:11:31.09 ID:???
>>293
乙です!
295名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/04(木) 15:29:07.20 ID:???
イイヨイイヨー!
296名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/05(金) 03:15:45.31 ID:???
かわええのー
297名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/05(金) 11:39:01.36 ID:???
いいもんだ
298名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/06(土) 00:26:15.56 ID:???
いいのー!!
是非職人様には貞本最終回1ページ目のキャッチコピー

『僕はきっと、君を忘れない』

ってとこまで書ききってもらいたい。
299名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/06(土) 00:37:21.65 ID:???
上手いですわ
300名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/07(日) 11:48:25.09 ID:???
キャワワ><
301名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/07(日) 14:51:20.08 ID:???
 授業が終わり着替えを済ませたアスカは、更衣室のいすに座り込んで考えていた。
 そもそもあの質問でなぜ「シンジのいいところ」が浮かんでくるのか。
(ヒカリはなんで一緒にいるかって聞いただけじゃないの)
 一緒のいる理由でそれってこれじゃまるで……これ以上考えるとまた叫んでしまいそうだ。
 アスカは思考からそのことを追いだそうと頭を左右に振る。
「アスカ、早く戻らないと次の授業始まっちゃうわよ」
 ヒカリの声にアスカは慌てて立ち上がった。
302243 上一個名前いれわすれ:2013/07/07(日) 14:53:21.46 ID:???
 帰りの下駄箱にもまたアスカへのラブレター。名前を確認する様子すらなくごみ箱へ。
 シンジは常々思っていた疑問を今日に限って口にしてしまった。
「ねえ、アスカ。何でいつもごみ箱直行なの?出した人ちょっとかわいそうじゃない?」
 答えはこうだ。
「上っ面だけ見て惚れただの腫れただの言われても嬉しくないわよ。こいつらにあたしの何がわかってるっての?」 
 苛立ちの混ざった声にシンジはそれ以上は何も聞くことができなかった。
(そういえば僕はアスカの何をわかっているんだろう?)
 そしてその疑問に答えを出すことも、またできなかった。
 わきあがった疑問はシンジの心の中に暗い影を投げかけてきている。
(僕とアスカはなんなんだろう……)
 この日何度目かの自身への問いかけ。シンジは己の問いに対する答えを探すための思考に没頭し始めていた。
303243:2013/07/07(日) 14:54:26.50 ID:???
(シンジのやつ、どういうつもりであんなこと聞いたんだろ)
 本当の自分を知りもしないくせに好きだなどと言ってくる相手のことなんかどうでもいいと思ってるのは本当だ。
 そんな相手のことなんか知りたくもないから手紙も読まないし、名前も知らないままでいい。 
 ではシンジはどうだろうか?自分のことを知っていてくれてるのだろうか。
 ちらりと、シンジを横目で見る。学校出てからというもの、シンジは何かをずっと考えている。
(あんなこと聞いて……あたしに誰かからのラブレター読めってことなの?)
 あり得ないことではあるが、それで自分が誰かと付き合うということになったらシンジはどんな顔をするのだろう。
(そうなったら当たり前だけどこんな風に一緒にはいられないのよね)
 胸の奥にチクリと痛みが走り、なんだか嫌な気持ちになってくる。
 ふと体育の授業中にヒカリと話したことを思い出した。
(なんとなーく一緒にいる、か。……あたしとシンジってなんなのかしら)
 この日の二人はその後寮に帰るまでの間一言も話さなかった。
304243:2013/07/07(日) 14:55:33.33 ID:???
 翌朝になってもシンジとアスカは挨拶程度しか交わしていない。
 昨夜も今朝もいつものように隣に座っているのに口をきいてない二人。険悪な訳でもないのでケンカしている様子もない。
 調味料を渡したり、相手の飲み物を取りにいったりなど、むしろ黙っていても通じ合ってるようにさえ見える。
 それだけにいつも騒がしく食事を取ってる二人が静かなのは違和感があった。注意深いものが見れば何かを探り合ってるように見えたかもしれない。
 二人とも時々相手の目を盗むように横顔をちらちらと見る。気付かれそうになると目を逸らし考え込んでるような表情。
 何度かそれを繰り返しながら、朝食を終えた二人は学校へ向かうため、いつものように連れ立って食堂を出て行った。
305243:2013/07/07(日) 14:57:25.72 ID:???
(なにやってんだ、あいつら)
 相田ケンスケの日課の一つはシンジとアスカの動向チェックだ。
 時に壁を殴りたい衝動に駆られつつも、そのようなことを日課にしているのには訳がある。
 彼の趣味は写真や動画などの映像を撮ることだ。将来そういう趣味を生かした仕事に就きたいと漠然と考えてもいる。
 そのためにはいい機材が欲しい。だが資金がない。そこでバイトだ。
 ケンスケは校内の人気ある生徒の隠し撮りをしていた。彼の「商品」の中でも主力商品となっているのがシンジとアスカだ。
 日独クォーター、青い瞳に金髪。日本人離れしたスタイルに勉強もスポーツも優秀とくれば人気が出ない方がおかしい。
 性格のきつさもほどよいエッセンスと捉えられているようだ。
 そしてシンジ。一見地味に見えるこの少年は二、三年生を中心に密かに人気が高まっている。
 繊細で優しげな中性的な少年。寮生からの情報で料理の腕も知れている。噂では音楽も得意らしい。
 柔らかな頬笑みは癒し系男子として評判だ。アスカほどではなくても充分にケンスケの収入源となっている。
 この二人は基本的に一緒に行動しており、観察することは2つの「商品」を同時に仕入れることができる機会を増やすようなものと言う訳だ。
 ついでに言うと最も売れ行きのいい表情は二人一緒の時の笑顔であるという理由もある。
 さてそんなケンスケの貴重な収入源の様子が昨日からおかしいのだ。
(ケンカじゃないみたいだなあ、でもなんにしてもよくないな。あんなしけた表情されてたら売り物にならない)
 これならケンカでもしてくれてた方が表情的にはおいしい。とばっちりは御免蒙りたいところではあるが。
(新しいレンズまでもう少しなんだよな) 
 早いとこいつもの二人に戻ってほしいと願いつつ、ケンスケは朝食をかき込んだ。
306243:2013/07/07(日) 14:58:32.20 ID:???
 翌朝も下駄箱のラブレターをアスカは、一読すらせずに玄関備え付けのゴミ箱に放り込む。
 いつもよりほんの少し苛立たしげに見えたのは気のせいなのだろうか。
 シンジはそんなアスカを複雑な気持ちで見ながら自分の下駄箱を開けた。
 一瞬目を見開いてから、下駄箱を閉じる。
 もう一度開ける。ため息をついてそれが見間違いではない事を確認した。
『碇シンジくんへ』
 かわいらしい文字で書かれた宛名とハートマーク型のシールで封印されたそれは、紛うことなくラブレターだった。
(どうしよう)
 シンジは困惑したまま動けなくなっていた。

「シンジー?」
 教室に向かおうとしたもののシンジが動かない事に気付いたアスカの声でシンジは我に返る。
「うん、今行くよ」
 咄嗟に制服のポケットにそれを押しこむと、シンジはアスカの元に駆け寄った。
 アスカの視線が少しシンジのポケットに移った。
「ねえ、バカシンジ……」
「え?」
「なんでもない」
 今何を隠したの?その一言をアスカは言葉にする事ができなかった。
307243:2013/07/07(日) 15:02:35.78 ID:???
今日の分終わり。
続き多分火曜か水曜。
次か次の次完結予定。

携帯まじやりづらい(;´д`)
308名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/07(日) 15:49:48.60 ID:???
>>307
見事乙!
規制はキツいですな…
309名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/07(日) 22:29:23.96 ID:???
乙ー

投稿間隔とか気にせずまったり書いていってね
310名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/08(月) 00:59:39.20 ID:???
かなりの2chではハイレベル作品が並ぶ良スレですね
投下間隔はゆっくりでも構わないので今後もお願いします
なんかまとめサイトが欲しくなりますね。
311名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/09(火) 03:55:13.43 ID:???
まとめサイトあるとうれしいなw

しかしやっぱり職人ごとに解釈違うのは面白いね。

基本的なとこだけでも転生派と記憶と事象改変派いるしw
312名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/09(火) 16:51:01.68 ID:???
どの解釈でも「いい」ってのがいいよな
これじゃなきゃだめだ!!みたいな縛りが無い
313243:2013/07/09(火) 22:46:29.96 ID:???
予告してましたけど、今出先なので深夜か明日朝投下いきます。
申し訳ない。
314名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/09(火) 23:26:52.88 ID:???
待ってました!
慌てないでね お気をつけてお帰りください。
315243:2013/07/10(水) 02:08:31.93 ID:???
 碇シンジはとにかく困っていた。そして焦っていた。
 アスカには知られたくない。反射的に隠してしまったばつの悪さもある。
 そのアスカはと言うと時々こちらを見ている。困惑と寂しさが混ざった表情だがシンジはそこまで気がつく余裕がない。
(アスカに気付かれないように早く読まないと)
 シンジは立ち上がるとケンスケに向かいトイレに行ってくるとだけ告げて教室を出て行った。
「もうすぐホームルームだぜ」
 ケンスケの声に軽く手をあげて答えるとシンジは軽く駈け出していた。
 それを見たアスカは一瞬何か言いたげに立ち上がろうとしたが、どうしても声をかけることができなかった。
 トイレにはいるとまっすぐ個室へ。ポケットの中の手紙を取り出す。
 内容はいたってシンプルだった。惣流さんとのことは知っています。でも、あなたが好きです。昼休みに校舎裏に来てほしい。とだけ書かれている。
 予想はしていたがやはりドキッとする。
(惣流さんのことは知ってます、か……)
 先ほどとは違い皺にならないように、上着の内ポケットに手紙を仕舞い込んでシンジはため息をついた。
(アスカのこと……僕達のこと……なんなのか知ってるなら僕が教えてほしいくらいだよ)
 チャイムの音が聞こえる。ホームルームがそろそろ始まるだろう。担任が来る前に戻らなければ。 
(遅れると伊吹先生めんどくさいからな)
 シンジは来た時と同じように駆け足で教室へと戻っていった。
316243:2013/07/10(水) 02:10:10.06 ID:???
 ホームルームには間に合ったが、その後午前中の授業をシンジは上の空のまま過ごしていた。
 どうしても頭から離れない一文。
『惣流さんのことは知っています』
 自分が手紙とはいえ異性に告白されたことよりも、その一文で頭がいっぱいになっていた。
 アスカとの関係。一言で言うと心地よくてそこにいるのが当たり前のように感じる関係。
 アスカをつい目で追ってしまった。アスカの席はシンジから見て2列左側の斜め後ろに当たる。
(あれ、アスカどうしたんだろ……?)
 目が合ってしまう。目が合うということはアスカもこちらを見ていたということだ。
 黒板を見ているなら目が合うはずはない。
(なんだか様子が変?)
 視線に少し違和感を覚えた。だがアスカもこちらの視線にも気がついたのだろう。
ベーッと舌を出してシンジをからかってくる。
 そんなふざけた様子に少し心が癒される。
(気のせいだったのかな。おっと、怒られる前に前を向こう)
 シンジは笑いをこらえながら前を向いた。同時にふっとアスカの表情が翳る。
 アスカはシンジの背中を寂しげに見つめていた。シンジがアスカの変化に気付くことはなかった。
317243:2013/07/10(水) 02:11:40.61 ID:???
(シンジ……何で何も言ってくれないんだろう)
 シンジが自分に隠しごとをしている。恐らくはラブレター。
(どうして隠すのよ。やましいことでもあるっての?)
 少し前のアスカならきっと笑い飛ばしていただろう。
『シンジにラブレター?ないない』
 あるいは
『バカシンジに告白?物好きがいるものね〜』
 別にシンジのことを本気で軽んじているわけではない。正直もててもおかしくないとは内心思っている。
 ただシンジと自分の関係が崩れることは恐らくないという確信にも似た思い込みがあっただけだ。
 そう、確信はあった。昨日までは。
 アスカは気付いてしまっていた。この関係はひどく曖昧で、曖昧がゆえにひどく脆いという可能性を秘めていることに。
 男女の友情というものは、この世界には確かにあるのかもしれない。
 だが自分たちの関係は友情なのか。違う気がする。うまく表現はできないが友情などでは断じてない。
 それになにより
(友達だといつまでも隣にはいられないじゃんね)
 ―――――――惣流・アスカ・ラングレーは、この日初めて自分が恋をしていることに気が付いた。
318243:2013/07/10(水) 02:13:39.60 ID:???
「アスカ、先に食堂行っててもらえるかな?もし待ち切れなかったら先に食べちゃっていいから」
 それだけを告げるとシンジは教室を出て行った。
 アスカの心臓がドクンと跳ね上がる。
 何の用事なのよ?そう言おうとしたが声が出ない。
 いや、聞かなくても解ってる。恐らく手紙の主のところだ。
 行かないで。声にならない。頭が真っ白になっていく。
(いや……いや……待ってよ、シンジ……あたしを一人にしないで)
 もうシンジの姿は見えなくなっていた。ふらっと立ち上がるとアスカはシンジを探すために力なく廊下に出て行った。
 普段のアスカなら必ずしもシンジの返事がOKだとは限らないことにも気付いただろう。
 どこのだれかもわからない相手に自分が負けるはずはないとも思っただろう。
 だが今のアスカは普段のアスカではない。生まれて初めて恋を自覚したばかりだ。
 自分に戸惑いさえ覚えてる状態なので冷静さなど一欠けらもない。
(どうしよう……どうしよう……)
 このままではシンジがいなくなってしまうかもしれない。シンジの隣りを誰ともわからない人間にとられてしまうかもしれない。
(探さないと……だけど探して見つかって……あたしどうすればいいの……)
 普段の強気なアスカの姿はそこにはなかった。今のアスカは初めて知る自分の心に戸惑うだけの少女だ。
 ふらふらと、教室を出ていくアスカの足取りには力はなかった。
319243:2013/07/10(水) 02:15:14.22 ID:???
 特に考えもなく、屋上へ向かったアスカだがそこいたのはシンジではなく、二年生だと思われるカップルだった。
 楽しそうに二人で弁当を食べている姿が昨日までの自分たちを連想させた。そして自分が顔も知らない女の子の姿に変換されていく。
 いたたまれなくなって屋上を飛び出してしまった。上から探せばよかったのかと気付くがもう遅い。
 あの場所に戻りたくない気持ちの方が強かった。
(でも高いところからなら見つかるかな……)
 早くしないとシンジがいなくなる。頭の中はそのことでいっぱいだった。
 アスカがもしも少しでも冷静だったなら、自分の想像に欠けている部分に気付いたかもしれない。
 居心地のいい居場所だったのが恋に変わっていたことに気付いた。その日のうちにその関係が揺らいでしまうかもしれない恐ろしさ。
 それがアスカから思考の柔軟さや冷静さを全て奪い取っていた。だがそもそも自覚のきっかけになったのが、関係を揺るがすかもしれない他者だったのだから難しいところだ。
(いた………シンジ!)
 三階の窓からたまたま校舎裏に消えていくシンジらしき姿を見つけることができた。
 叫べば届いたかもしれない。だが声はかけられなかった。
 アスカはシンジを求めて校舎裏へ駈け出して行く。階段を数段ずつ飛ばして駆け下り、廊下を駆け抜ける。
 何度か他の生徒にぶつかりそうになりながらの猛ダッシュ。
 校舎裏への角までたどり着いた時……アスカはなぜか隠れてしまった。
 何を言えばいいのか、どうすればいいのかが解らなかったからだ。
 そっと角から顔を出して様子を窺ってみた。
(うそっ……)
 アスカが見たものは、シンジより少し背の低いくらいだろうか?黒髪ショートカットの女生徒がシンジの胸に顔を埋めている場面だった。
 頭が真っ白になっていく。足元が崩れそうになるのを必死にこらえてよろよろとその場を立ち去る。
 気がつくと寮の自室にいた。どうやって戻ったのか覚えていない。
(シンジと知らない子が抱き合ってた……)
 その光景とシンジの笑顔が交互にフラッシュバックしてきた。アスカは枕に顔を埋めると声をあげて泣いた。
320243:2013/07/10(水) 02:20:04.27 ID:???
今回はここまで。
次回早ければ金曜、遅ければ月曜。
多分次回完結。

嫌なシーンで切ってごめん。
ではおやすみなさい。
321名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/10(水) 04:22:35.33 ID:???
乙です!
322名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/10(水) 10:00:01.43 ID:???
おっつー

作品が増えてうれしい限り
このまま、雑談とか交えながらまったりやっていきたいもんだの
323名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/10(水) 20:45:45.41 ID:???
これが新しいLASの形か…
324名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/11(木) 02:04:17.15 ID:???
新しくはないだろ。昔からある某スレでは認めない人いるけどね
小説形式台本形式面白ければいいです
応援してるので職人様続きまってますね!
325名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/11(木) 02:29:45.85 ID:???
職人の皆様、乙であります!

いや〜しかし最後に最高のステージを用意してくれたね貞本さんは
大学までエスカレーター式ってのがまた嬉しいじゃないの
326名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/11(木) 21:35:27.80 ID:???
そろそろシンジ、アスカは夏休みの計画を立ててる頃かな
327名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 18:09:28.92 ID:???
シンジ「ねぇアスカ、僕達付き合ってるみたいなもんだよね?」

アスカ「はぁ?あんたバカぁ?」

シンジ「ご、ごめん…冗談だよ…」

アスカ「ますますウルトラバカね、あたしはとっくにそのつもりだったっちゅーの」

シンジ「ええっ!?///」

アスカ「なに驚いてんのよ?ホントバカね///」

終わり
328名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 18:24:58.91 ID:???
乙!
こういうのもいいなw
329名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 19:06:54.60 ID:???
>>326
箱根の温泉とか

>>328
いつも「夫婦」喧嘩と冷やかされているので「恋人」じゃ物足りないアスカさん
330329:2013/07/12(金) 19:08:23.31 ID:???
>>328じゃなくて>>327宛てだった。メンゴ!
331名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 19:22:44.23 ID:???
>>327
アスカ「ちょっとシンジ!あたしたちいつも夫婦夫婦ってからかわれてるけど」

シンジ「た、確かに…」

アスカ「あたしはすんごく嬉しいんだからね!」

シンジ「ぶーーーーっ!!///」

アスカ「な〜に吹き出してんのよ、ホントバカなんだから」

シンジ「だ、だって…」

アスカ「だってもへったくれも無いわよ!あんた責任取ってあたしをお嫁に貰わなきゃ許さないんだからね!///」

シンジ「ええっ!?わ、わかったよ…嫁に貰うよ…///」

アスカ「よ〜し…///」ニヘラ

終わり
332243:2013/07/12(金) 20:21:56.61 ID:???
「委員長、アスカ知らない?」
 昼休みが終る頃になってもアスカは教室に戻ってこなかった。
「知らないわよ。一緒にご飯食べてたんじゃないの?」
「それがさ、食堂に来なかったんだよ。保健室も行ってみたんだけどいなかったんだ」
 アスカの席にはカバンはあるのでまだ学校にいるはずだ。シンジはそう判断した。
 だがアスカは結局午後の授業にも一度も顔を見せることはなかった。


「携帯も出ないや……」
「碇くん、ほんとに何も聞いてないの?」
「うん……」
「寮の方にもかけてみろよ。もしかしたら何か連絡があるかもしれないぜ?」
 ヒカリやケンスケも心配そうだ。
「うん。そうする。その間に委員長の方からもアスカにかけてみてくれないかな?」
「俺もう一回誰かが惣流を見てないか聞いてくるよ」
 ケンスケが走っていく。本当にいい友人だとシンジは思う。
「もしもし、碇ですけども……」
 友人に感謝しながらシンジは寮に連絡を取る。
 一方ヒカリは一向に携帯に出ないアスカに不安を募らせていた。
「だめ、出ないわ。アスカどうしちゃったんだろう。もしかして何か事件とか事故に巻き込まれたんじゃ」
「はい、はい、そうですか。わかりました。ありがとうございます」
 シンジの電話は終わったようだ。
「碇くん、寮の方はどうだったの?」
「それが……昼休み頃に戻ってきてそのままらしいんだ」
「そう……でも電話には出ないのよね。ってちょっと待ってね。メールだわ」
 携帯を覗き込んだヒカリの顔は少し困惑している。
333243:2013/07/12(金) 20:25:29.47 ID:???
「アスカから。うーん……、碇くん、アスカ明日学校休むって言ってる。あと、鞄を私に届けてほしいって」
「僕が持っていくからいいよ。アスカと話をしなきゃいけないし」
「だめ。あなたにだけは頼まないでほしいって言ってるの。ねえ。なにかあったの?」
 シンジはラブレターのことを一瞬だけ浮かべたが、慌てて打ち消した。
 まずアスカに知られてはいないはずだ。
 それに仮に知っていたとしてもアスカが嫉妬なんてしてくれるはずもない。シンジはそう思っていた。
「わかんないよ……」
 寂しそうに俯くシンジに、ヒカリはそれ以上追及する気にはなれなかった。
334243:2013/07/12(金) 20:27:08.20 ID:???
「じゃあ、私アスカにカバン届けてくるわね。話も聞けるようなら聞いてくる」
「うん、お願いするよ。それから……僕からもアスカに話があるからって、それだけ伝えといてもらえるかな?」
 真剣な眼差し。一瞬ヒカリでもドキッとするものがある。ケンスケがその場にいた
らいい商品になるといったことだろう。
「わかったわ」
「それじゃケンスケが戻るのを待ってから僕も寮に帰るよ。ごめんね、ありがとう」
 これも委員長として、またアスカの友達としての役目だからと笑って委員長は出て行った。
 夕暮れの教室にはシンジだけが残されていた。

「ありがと」
 カバンをアスカに届けに来たヒカリは言葉を失った。それほどまでにアスカの状態はひどかった。
 元気がなかったのは確かだが、昼間とはあまりに違いすぎた。
 ヒカリはアスカのこんな様子を今まで見た事がなかった。
 泣きはらしたのだろうか。目は腫れぼったく、充血している。
 髪はぐしゃぐしゃになっており、学校で会った時より少しやつれたようにさえ見える。
 声もいつもの元気は全くなく、声は少し枯れているように思えた。
「ごめん、明日休む。風邪ひいてるとでも言っといて」
 さぼり宣言を咎める気にはならなかった。と、いうか本当に調子が悪そうなのだ。
「ねえ、アスカ。よかったらなにがあったのか話して?碇くんもすごく心配してたし」
 碇くんの部分でびくっと肩が震える。
「碇くんのことでなにかあったのね?」
「ごめん、ヒカリ。今は話したくない。でもシンジは何も悪くないの。悪くないの……」
 今にも泣きそうな親友を見るとヒカリもそれ以上はなにも聞くことができなかった。
「何も力にはなれないかもしれない。でも私はアスカの味方だからね?」
 そう声をかけるしかなかった。アスカは力なくうなづくだけだった。
335243:2013/07/12(金) 20:31:03.60 ID:???
 ヒカリが帰り際に言った一言が怖い。
『あのね、伝えるかどうか迷ったんだけど……碇くんがアスカと話がしたいって言ってた。すごく真剣な顔してた。落ち着いたらでいいの、話を聞いてあげて』
 今のアスカには死刑の執行をシンジが告げに来る。そのようにしか聞こえなかった。
 アスカは強がってはいるものの内面は脆い部分がある。自分の心に向き合うのが実は苦手であり、他人に触れられるのも苦手だ。
 中学二年生までは特にそうだった。だが、ある時から少しだけそんな弱い自分を受け入れることができた気がした。
 そして今年。碇シンジという不思議な少年と仲良くなった。本当に不思議な少年だった。
 奇妙な懐かしさと安心感があった。
 自分の良いところも悪いところも全てを恐らく受け入れるだろう。いつの間にかアスカはそう感じていた。
 いや、感じていたというのは実は正確ではない。魂が告げたと言った方がいい。魂に刻まれた何かが浮かび上がってきて理解した。
 魂だなんていささか非科学的と思いつつも、それが一番しっくりくる表現だとアスカは思う。
 だから一緒にいるのが当たり前だった。当たり前すぎて自分の気持ちにも気付かなかった。
 気付いてしまったその日に全てが崩れ去ろうとしている。
 人は他者とかかわることで生きる。その範囲がその人にとっての世界と置き換えてもいい。
 今、アスカは世界の中心が崩壊するのと同義のショックを受けていた。
336243:2013/07/12(金) 20:32:28.31 ID:???
(アスカ……どうしちゃったんだろう)
 夕食時にも降りてこない。電話もメールも反応がない。
(どうしてもアスカには伝えておかないといけないのに……)
 ヒカリからアスカの状態は聞いていたのでなおさら不安も募る。
 いっそ女子棟の方に訊ねて行こうかとも思ったが時間が時間だ。さすがにまずい。
『お腹空いてない?話もしたいけどそれよりアスカが心配だよ。僕は部屋にいるから空メールでもいいから見たら返してほしいな』
 シンジはもう一度だけアスカにメールを入れておき、部屋に戻ることにした。
 しかし、翌朝になってもアスカからの返信はなかった。
『おはよう。なんか……ごめん。学校行ってくるよ。ちゃんとご飯食べてね」
 一人で朝食を済ませるとメールを送信。シンジは後ろ髪を引かれる気持ちのまま学校へ向かった。
 アスカからの返信はやはりなかった。
337243:2013/07/12(金) 20:34:55.96 ID:???
(……シンジが心配してくれてる)
 もう自分にそんな資格はないのに。
(でももうシンジは……)
 この優しさも、あの笑顔ももう自分の隣から消えてしまうのだ。
 また涙が出た。アスカはシンジを想って泣いた。
「ひどい顔ね……」
 ふと鏡を見たアスカは、そこに映る自分の姿に思わず声に出して呟いてしまった。
 着替える気力もなかったので昨日から制服も何もかもそのままだった。
 泣いたおかげで少しだけ落ち着くことができた。
「お腹空いたな……」
 時計を見ればもう昼だった。丸一日何も食べてないことに気付いた。
「食堂に何かあるかしら……」
 何もなければコンビニにでも行こう。のろのろと体を起こし、そのまま食堂へ向かう。
 時間的に他の生徒に会う心配はないというのがありがたい。
「ん……いい匂い……」
 食堂から何か作っているらしい匂いがする。誰かいるのだろうか?
(寮監さんの昼ご飯とか……賄いさんの仕込みか何かかしら?)
 できれば分けてもらおう。食堂についたアスカは声をかけた。
「すいません、何か作ってるなら食べさせてもらっていいですか?」
338243:2013/07/12(金) 20:42:36.62 ID:???
「うん。ちょっとだけ待ってね。もうできるから」
 そう言って厨房から顔を出したのは、本来そこにいるはずがないシンジだった。
 アスカの顔は凍りついた。よりによってこんな姿をシンジに見られてしまった。
 身を翻して逃げる……はずだった。
 足がうまく動かない。力が抜ける。丸一日何も食べてないのも効いていた。
 反転しようとしたところで、へたり込んでしまう。
(シンジにこんなかっこ見られた。シンジの話も聞かされちゃう。なんで動けないの
よ……)
「アスカ!」
 シンジが慌てて駆け寄ってきた。ぺたりと床に座り込んでしまっているアスカに手を貸そうとするのだが
「いやっ、何も聞きたくない!」
 差し出された手を振り払い耳を覆い、子供のように首をイヤイヤと横に振る。
 携帯を取り出したシンジはメール画面に文字を打ち、アスカに見せる。
『今は何も言わないから、ご飯だけ食べてよ』
 見上げたシンジの顔は、アスカを慈しむように優しく微笑んでいた。
 シンジの手を取って立ち上がり、席に着く。
「なんであんたがここにいんのよ……」
 精一杯の強がった振り。
「ほんとは作るだけ作って学校に戻るつもりだったんだ。もうちょっとだけ待ってて」
 シンジは一度厨房に戻ると今度は濡れたハンカチを持ってきた。
「あと……これで目を冷やすといいよ。ほんと……ごめん」
「何か謝るようなことあんの?」
 困ったような顔で笑うシンジにずきりと胸が痛む。やはりこの場から逃げたい。
「今は何も話さない。そういう約束したでしょ?じゃ僕ご飯の仕上げしてくるね。とは言っても本当に簡単なものなんだけど」
 シンジの優しさが心に痛い。
「ていうか、もうすぐ昼休み終わっちゃうわよ。いいの?」
「多分委員長とケンスケがうまいこと言っといてくれると思う」
(あたしのためにそこまでしてくれるんだ……)
 厨房から聞こえるシンジの声はいつもよりも優しく聞こえる。
 その優しささえ今は怖い。
339243:2013/07/12(金) 20:44:03.12 ID:???
サルっちゃいそだからいったんここで切ります。
なんか長く
340名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 20:50:40.58 ID:???
支援
341243:2013/07/12(金) 21:13:56.32 ID:???
「さ、できたよ。熱いから気をつけてね」
 卵の雑炊だ。昨日から何も食べていないだろうということで消化に良くて簡単にで
きるものをとの気使いが感じられる。
 出汁をしっかり取ってあるのが匂いでわかる。お茶は少し温い。これも胃に配慮したものだろう。
「じゃ、僕は学校に戻るから……」
「ここにいなさいよ……」

「え?」
「ここにいて。でも何も話さないで」
 多分これがシンジと一緒に食べる最後の食事だ。
 皺だらけになった制服、ぼさぼさの頭、泣き腫らした目。ひどい有様なのが悔やまれる。
 断られたらどうしようと思うと怖い、でもこのまま立ち去られるのも怖い。
(シンジは優しいから……多分断らないのはわかってるけど……優しさに付け込んでるのも解ってるんだけど……)
「うん」
 短く返事をすると、シンジはアスカの向かいに座った。
(隣じゃないんだ……)
 打ちのめされた気分だ。また泣きそうになる。
 シンジは真っすぐに、でも優しい瞳でアスカを見ている。
(そんな顔で見ないで)
「慌てないでゆっくり食べてね。ケンスケたちにはもうメールしといたから、学校は大丈夫」
(優しくしないで)
「ノートも見せてもらうことになったから、授業の方も平気だよ。って言ってもアスカは元から大丈夫かな」
(もういなくなるくせに)
342243:2013/07/12(金) 21:15:26.63 ID:???
 食べ終わる頃にはアスカは決意を固めていた。二人での最後の食事。最後の一口。
アスカはいつもより丁寧に咀嚼して飲み込む。
 食器を下げに厨房に向かうシンジにアスカは言葉を投げかける。
「ねえ、シンジ……ついでに一つだけわがまま言っていいかしら?」
 最後だから。シンジの優しさに甘えるのはこれで最後だから。自分にそう言い聞かせる。
「僕にできることなら何でも」
 これは儀式だ。
「髪」
「髪?」
「うん。ブラシかけて欲しい」
「僕、女の子の髪とか触ったことないよ」
「いいの」
「うん、わかった」
「シャワー浴びてくるから。出てきたらお願い」
 シンジの優しさに最後に甘えて、明日になったら元の自分に戻るための。
「明日はちゃんと学校に行くから。あんたの話とやらも聞いてあげるわ」
 大丈夫。きっと泣かずにちゃんと聞いてあげるから。シンジに聞こえないように呟くとアスカは食堂を出て行った。
343243:2013/07/12(金) 21:19:19.72 ID:???
「なにが最速成立よ……最速で失恋じゃないの……」
 シャワーの温かさが心地よかった。涙のあとも悲しい気持ちも流れてくれないかな、そんなことを考えながら丁寧に頭を洗う。
 恋に気がついたそのすぐ後に失恋。一番近くにいた相手だったのに。
『僕、彼女ができたんだ』
『この人と付き合うことになったんだ』
『アスカとは一緒にいられなくなった』
 頭の中で何度も何度もシミュレートする。なんと言われてもいいように。
「ひどいことだけは言われないのが救いかなあ」
 少なくとも嫌われた訳ではないと思える。もし罵られでもしたら今のアスカは立ち直れない。
 あまり長く時間をかけてもいられない。午後の授業が終わってしまう。
 アスカは大きく深呼吸すると、シャワーの栓を閉じた。

 食堂に戻るとご飯食べるところで髪をいじるのはあまり良くないとシンジが言い出した。
 サロンでならどうかというシンジの意見だ。
「それならもう一個だけわがまま追加していい?」
「うん?」
「シンジの部屋がいい」
 シンジは少しだけ驚いた顔をした後、少し照れくさそうに頷いた。
344243:2013/07/12(金) 21:21:24.93 ID:???
「思ってたよりも片付いてるわね」
 恐らくシンジの部屋に初めて入った女は自分。それが嬉しい。
 あの子へのちょっとした意地悪。 
「荷物が少ないからね。座るとこそこでいい?」
「うん」
「じゃ、はじめるね」
 シンジがドライヤーを当ててくれる。ブラシをかけて髪をすいてくれる。 
 姿見などはないのでどうなってるかはよく見えない。
 指先が髪に触れるたびに動悸が上がっていく。
「ドライヤー熱くない?」
「平気」
「髪、引っかけちゃったらごめんね?」
「初心者だもんね。許してあげる」
 いつまでもこの時間が続けばいい。シンジと二人だけの誰にも邪魔されない時間。
 やがてシンジはあの子とそういう時間が増えていくのだろう。
 でも今だけはシンジはアスカのものだ。この至福の時間が終わったら宣告を受け入れよう。
「アスカの髪、柔らかくてきれいだ……」
 シンジの呟きが耳に入る。耳が熱くなるのを感じる。
「髪型どうすればいいかな?」
「ん、簡単に上げてくれるだけでいいわよ。どうせいつものあたしがやってるようなのできないでしょ?」
「うん」
(あーあ、終わっちゃったか……)
 この時間が終われば、自分の恋も終わる。涙は必死にこらえた。
345243:2013/07/12(金) 21:23:41.91 ID:???
 髪をまとめるシンジの指がうなじに触れる。
 びくりと身体を震わすとシンジが心配そうに手を止めた。
「いいからさっさとやんなさい」
 嘘だ。ゆっくりでいい。ずっとこうしていたい。
「うん。ポニーテールみたいになっちゃうけどいい?」
「いいわよ。別に。あ、もしかしてあんたそう言うのが好きなのかなー?それともショートカットとかー?」
 虚勢を張ってからかってみせる。付け加えたのはほんの意地悪だ。あるいは自虐なのだろうか。
 シンジの手が止まる。驚いた気配が背中越しでも伝わってくる。
「もう、いいわよ。ありがと」
 深呼吸をして振り返る。
「鏡ある?」
「小さいのでよければあるよ」
 手渡された鏡を見ながら左右を確認。後ろは見れなかったがそれはあきらめておく。
「こういうのもたまにはいいわね」
「アスカは何でも似合うと思う」
 シンジが嬉しそうに笑った。
「バーカ、あったりまえじゃん」
 くるりと後ろを向いた。天井を一瞬だけ見上げて息をつく。
「いいわよ、話しなさいよ。大事な話、あるんでしょ?」
346243:2013/07/12(金) 21:25:33.58 ID:???
支援サンクス
いったんここまで。
残り深夜と明日で終われると思う。

長くなって申し訳ないです
347名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 21:50:31.38 ID:???
くっそwww敵わねぇなwwwwww
上手すぎるぜ乙!!
348名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 22:39:31.97 ID:???
レベル高すぎワロタ
349名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 22:42:01.30 ID:???
激乙!
本職か?
350名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 22:51:57.83 ID:???
すごいな。どこかでLAS書いてた有名な方なのかな?
初めてではない事はわかります
351名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/12(金) 23:14:07.16 ID:???
貴方が神か。素晴らしすぎw ぽかぽかするエンディングを待ってます。
さーて…自分も頑張らなきゃ…(´・ω・`)
352名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/13(土) 05:51:22.95 ID:???
ここで埋もれさせんの勿体無いな、
まとめ屋来ないかな?
353243:2013/07/13(土) 09:10:23.15 ID:???
 覚悟はできていた。でもやっぱりきっと泣いてしまう。シンジに泣き顔を見られるのは嫌だ。
「うん。ええっと、何から話そうかな……」
 恥ずかしそうに口ごもってるシンジ。アスカは黙ったまま彼の言葉を待つ。
「僕、昨日手紙をもらったんだ」
 意を決してシンジが話し出す。やはり恥ずかしいのか少し小さな声で。
(知ってるわよ)
「ラブレターだったんだ。正直びっくりした」
(あたしだって驚いたわよ)
「アスカにさ、読まずに捨てるのはかわいそうだよって言っちゃった手前もあって、ちゃんと返事しないとダメだって思ったんだ」
(捨ててしまえばよかったのに)
 ひどいことを考えている自分に少し嫌悪をする。
「それで?」
「昼休みに呼び出された。好きって言われた。アスカとのことは知ってるけどそれでも好きだって」
(なにを知ってたって言うのよ。あたしだって知ったばかりだってのに)
「で?あんたはなんて言ったの?」
 返事はない。ちらりと後ろを盗み見ると、シンジは恥ずかしそうに言葉を選んでるといった様子だった。
 見てたわよ、おめでとう。とでもいって驚かせてやろうか。
 一瞬浮かんだ考えを、そんなことを言えば自分が惨めになるだけだと打ち消してシンジの言葉を待つ。
「僕、人に好きだってあんな風にはっきり言われたの初めてだったんだ」
 質問には答えずシンジは続ける。声は先程に比べ少しずつ力がこもりはじめていた。
「だから嬉しいってよりもびっくりしちゃってさ。それに……」
 一拍を置いてシンジは続ける。
「それにね、なんだか見透かされたような気がしちゃって」
(見透かすってどういうこと……シンジもその子のことが元々好きだったってことなの?)

「アスカのこと」
 心臓が口から飛び出るという表現の意味をアスカは身を持って知った。
 全く予期していなかった自分の名前が出てきたからだ。
354243:2013/07/13(土) 09:12:57.43 ID:???
「アスカとのこと知ってますって言うんだ」
 シンジが大きく息を吐いた。聞いているアスカも緊張しているが、話すシンジも緊張してるのだろう、右手は胸元のクロスを握っている。
「最近ずっと僕とアスカってなんだろうって考えてたんだよ。それを見透かされたような気分だった」
 シンジは何を言ってるのだろう。あまりに予想と掛け離れているため頭が追いついていない。
「すごく失礼なことを僕は彼女にしてしまったと思う」
「…………どういうこと?」
「手紙もらってからもアスカとのことばっかり考えてた。この子は知ってますって言うけど僕とアスカの何を知ってるんだって。僕が教えてほしいくらいだって」
 まだシンジが何を言ってるのかわからない。
「それで……もしこの子の気持ちを僕が受け入れちゃったら……アスカと一緒にいられなくなっちゃうんだなって。そんなことばっかり浮かんでくるんだ」
 そこでシンジはもう一度息を吐き、静かに、でも力強くこう言った。
「だから……断ったんだ。アスカと一緒にいたくて」
355243:2013/07/13(土) 09:16:52.59 ID:???
「ふえ?」
 振り返りながら思わず出てしまった間抜けな声を合図に、急速に頭がはっきりしてきた。
『アスカと一緒にいたくて』
 何度も何度も頭の中にリピートされてくる。リピートのたびに動悸が上がり、顔が紅潮してくるのが自覚できる。
「ちょ、あんた何言って……ってあっち向け!こっち見んな!」
 振り返ったせいでまともにシンジの顔を見てしまった。真剣な顔。普段の優しい顔ではなく、強い決意がこもった顔。
 脳が融けそうになる。恥ずかしくて恥ずかしくて思わずシンジに怒鳴りながら前に向き直った。
「ご、ごめん!」
 別にシンジは何一つ悪くはないのだが、反射的に謝ってしまい背を向ける。二人はちょうど背中を向け合って話している形になっていた。
「あんた……今断ったって言った?」
「う、うん」
「じゃあ……じゃあ、なんで……なんで抱き合ってたの……?」
 アスカは喜びを必死で抑え、願いを込めて疑問を口をする。
「えええええええええええええええええええ!!!!!」
 アスカを振り返りながら叫んでしまった。アスカもその声に驚いて思わず振り返ってしまう。
「だ、だからこっち見んな!」
「アスカこそこっち見てるじゃないか!」
「いいからあっち向きなさいよ!」
 ぐるぐると思考が回る。なにが本当なのだろう。まさか二股でもする気なのか。
 いや、断ったと言ってくれてたではないか。アスカはシンジの言葉を待った。
「あれは一方的に抱きつかれただけだよ!断った時に思いつめちゃったみたいで……でもちゃんとわかってくれたから……っていうか見てたのならそう言ってよ!」
 そう言われてみれば抱き合ってはいなかった気もしてくる。アスカは冷静さを欠いていたあの時の自分を恥じた。
「い、言える訳ないでしょ!バカッ!」
 照れ隠しに怒鳴りつける。背中越しの軽い言い争いが心を癒していく。世界の終わりとばかりに大騒ぎしてしまっていた自分はなんだったのだろう。
 安心すると少し力が抜けてきた。二〜三歩後ろによろめいてしまい、シンジの背中にぶつかった。
 ちょうど背中合わせになっている。シンジの少し早い鼓動が背中越しに伝わってくる。恐らくアスカのもシンジに伝わっているだろう。
356名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/13(土) 09:17:50.46 ID:???
リアルタイム支援!
357243:2013/07/13(土) 09:18:55.11 ID:???
(あれ……じゃあシンジがあたしに話したかったことって……)
「アスカ」
 背中合わせのままのシンジの右手がアスカの左手を探り当て、強く握る。そしてもう片方の手も。
「は、はい!」
「それで気付いたんだ。アスカとずっと一緒にいたいんだって。きっと僕は……僕はアスカのことが……」
 さすがにアスカもここにきて自分の勘違いと――――シンジの真意に気付いた。
「ご、ごめん!シンジ!ちょっと待って!」
 再び脳が融けそうになり、思わず遮ってしまう。
「な、なんだよ、もう」
 こういうのはタイミングを外されると非常に恥ずかしい。シンジは抗議の声をあげた。
 落ち着いてる風を装ってはいたが、シンジの緊張は受験の時のそれなどとは比べ物にならないほどだったのだ。
「まだだめ。今聞きたくない」
「話を聞いてくれるって言ったじゃないか。それとも……やっぱり僕じゃダメなのかな……」
 シンジの声が悲しみに染まっていく。
「………ちゃんとしたデートしてからがいい」
「デート?」
「うん……二人で遊びに行ったりはしてたけど、ちゃんとしたデートしてないもん。その時に言ってくれないとイヤ」
 背中合わせで本当に良かったとアスカは思った。今自分がどんな顔をしているのかは想像すらできない。
358243:2013/07/13(土) 09:20:57.61 ID:???
「あ、う、うん。どこか行きたいとことかある?」
「エスコートするのはあんたなんだから、そんなの自分で考えなさい」
 アスカは少し体重ををシンジの背中に預けた。シンジもそれを受け止めた。
「うん。わかったよ」
 もう一度シンジがアスカの手を強く握る。アスカも握り返す。
「…………言っとくけどあたしわがままよ?」
「自分を強く出せるのはいいことだよ」
「あんまり素直じゃないわよ?」
「アスカは傷つきやすいからだよ。ほんとは優しいってわかってる」
「優しくないわよ。意地っ張りでプライドばーっか高いわよ?」
「負けず嫌いなんだよ。そういうとこは尊敬してる」
「すぐ殴ったり蹴ったりしちゃうし、怒りっぽいわよ?」
「理由もなくそんなことしてるのは見た事がないよ。それに普段から怒ってるばっかりじゃないよ。感情が豊かなんだと思う」
「う〜〜〜〜〜、バカ」
 嬉しくても泣きそうになるというのをアスカは今実感していた。
「バカシンジのくせに生意気よ……なんでそんな風に言えるのよ」
「んー……バカだからじゃないかな?」
 シンジは照れくさそうに笑った。
359243:2013/07/13(土) 09:22:20.05 ID:???
「あ、最後にもう一つだけ聞いていい?」
 小さな声でアスカが訊ねる。
「さっき……なんでいつもみたいに隣に座らなかったの?」
「さっきってご飯の時?」
「そう」
「あれは……」
 なんだかアスカの顔見ていたかったから。隣だとじっと見てると不自然じゃないか。
 小さい声だった。でもアスカには充分届いていた。
「あんたはあたしの隣りで笑ってればいいのよ、バカシンジ」
 夕日が差し込み始めた部屋の中、アスカの声はとても幸せそうに聞こえた。
360243:2013/07/13(土) 09:23:33.32 ID:???
「ほんっと人騒がせなんだから!」
「えへへ、ごめ〜ん」
 翌日何事もなかったかのような顔で……いや、何かいい事があったとしか思えない顔でシンジと登校してきたアスカにヒカリは呆れ顔だ。
「碇くんとはちゃんと話せたのね?」
「えへへ、内緒」
「聞くまでもないって感じね」
「でも、ごめんね。ありがと、ヒカリ」
「いいわよ、もう」
 幸せそうなにやけ顔を見るとそれ以上責める気にもなれない。
 カシャリとシャッター音がした。
「レア顔いただきってね」
 音のする方を振り向くとケンスケがカメラを持って笑っていた。
「ほんとならぶん殴るとこだけど今日は許してあげるわ」
 ふふん、と笑うアスカの寛大さに逆にケンスケが震えあがる。
「なあ、碇。昨日何があったんだ?機嫌良すぎて怖いんだけど」
「内緒だよ」
 シンジは笑った。
「お前まで内緒なのかよ。全く仲がおよろしいことで」
「ほんとね。いい加減認めちゃえばいいのに。付き合ってますって」


「「別に付き合ってない(わ)よ」」


 まだ、ね。友人たちに聞こえないように小さく付け加えると、シンジとアスカは顔を見合わせて幸せそうに笑った。
361243:2013/07/13(土) 09:35:41.34 ID:???
これにておしまい。
設定このままでまた書くかは妄想の降り方次第。


>>356
支援感謝なのです。
362名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/13(土) 09:35:44.95 ID:???
ブラボー!

あえてアゲます
363名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/13(土) 11:19:55.06 ID:???
>>361
乙です、巧すぎます。
364名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/13(土) 15:06:15.06 ID:???
>>361
最高でした…シンちゃんとアスカに目頭が熱くなりました

設定引き継ぎでのラブラブ編が見てみたい…
素晴らしい作品をありがとうございました!
365名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/13(土) 20:05:40.75 ID:???
すばらしい終わり方でした。
私も設定引き継ぎでそろそろ夏休みの予定を立ててるシンちゃん&アスカが
見たいです

>>327>>331
こういう短編も大好きなのでどんどん投下してください!
366名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/14(日) 15:25:57.36 ID:???
すばらしい
367名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/14(日) 17:17:56.24 ID:???
アスカ「うーみー!海行きたいいい!」

シンジ「急にどうしたのさ」

アスカ「だから海に行きたい」

シンジ「でも来週臨海学校だよ?」

アスカ「プールでもいい。今すぐ行きたい」

シンジ「だからどうして今なの?」

アスカ「昨日ヒカリ達と水着買いに行ったのは知ってるわよね?」

シンジ「臨海学校用の水着だよね?」

アスカ「うん。だから今プールか海に行きたい」

シンジ「だからなんで来週まで待てないの?」

アスカ「いい?バカシンジ。臨海学校用と言うことは他のみんなもあたしの水着を見るのよ?」

シンジ「まあそうなるよね」

アスカ「だから…………あんたに一番に見せたいって事じゃん。そのくらいわかりなさい。鈍感////////」

シンジ「あ////////」
368名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/14(日) 18:45:25.45 ID:???
>>367
乙です‼
369名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/14(日) 21:49:45.45 ID:???
乙。プール編もよろしく
370265:2013/07/15(月) 23:33:33.79 ID:???
合格発表当日。
10時開門だというのに、僕は9時過ぎにはそこにいて、
校門の横で寒さに震えながらその時を待っていた。
天気は、晴れ。3月なのに放射冷却が猛烈に効いていて、凄まじく寒い。
こんなこと言ったら北海道とか東北の人には怒られるのかもしれないけど、
でも寒いものは寒い。マフラーを耳まですっぽりと隠れるように巻き、
寒さ凌ぎにその場で足踏みをする。同じような仲間が既に十数人いて、
どこかの国のマスゲームよろしく、同じように足踏みをしている。

駅前の喫茶店で時間を潰しても良かったんだけど、
でもそうすると入れ違いになりそうな気がして、迷った末に僕はここに来ることを選んだ。
あれは、果たして約束と言えるものだったのだろうか。
「また合格発表の日に会いましょ」
その一言が、この2週間、ずっと頭の中を回っていた。
うん、そうだ。
僕はどうしようもなく、彼女に惹かれている。
一緒にいる時のあのほっとした心持ちは、今まで僕が味わったことがないものだった。
きっとどこかで会っている、その気持ちはあの時からますます強くなっている。
運命とかそういう言葉では言い表せない、特別な縁(えにし)がある気がして。
それを確かめたくて。
だから僕は、約束とも言えないあの言葉を頼りに、ここにいる。
合格発表と入学手続きは今日から3日間。つまり、今日ではないかもしれない。
でも、きっと彼女は、アスカは今日ここに来る。なんとなくだけど、そういう確信めいたものがあった。
そういう気持ちになったのも、初めて。
371265:2013/07/15(月) 23:34:34.75 ID:???
>>370
「おはよう、シンジ」
俯いていた僕に投げかけられた声。待ち望んでいたはずの声なのに、その声の主の方を見るのが、なんとなく気恥ずかしい。
「あ…お、おはよう惣r…じゃない、アスカ…さん」
「ダメ、『さん』も要らない、やり直し」ニカッと笑うアスカ。
「お、おはよう…アスカ…」顔が真っ赤なのが分かる。さっきまで物凄く寒かったのに、
今は猛烈に暑い。
「何赤くなってんのよ、バカシンジ。おはよう、寒いわね」
アスカは僕の方に一歩近づき、そして言う。
「ひょっとして、あたしのこと、待っててくれたの?」
「あ、いや…その…うん…」待ってたよ、2週間前、駅のホームで別れた時から、ずっと。
心の中の声が、アスカに聞こえることはない。はず。
「ちっ、先を越されたかぁ…」「え?」「いや、なんでもない、ほら、開門するわよ、行きましょ」
ちょっとした思索の海に潜っていると、その上を越えていく言葉を捕まえられない。
その時のアスカの呟きを確かめる間もなく、僕達は校内へ突き進む。
いつの間にか、すごい人並み。朝のラッシュ時のようだ。
玄関前の掲示板は、既にごった返している。両腕を突き上げる人、その場で立ち尽くす人、悲喜こもごもなシーンがそこに展開されていた。ほんとに、ドラマのワンシーンみたいだ…。
372265:2013/07/15(月) 23:36:25.20 ID:???
>>371

「…すいません」そう言いながら、僕達は人波の中を進む。
ようやく辿り着く掲示板。そしてその時になって初めて、僕はアスカの手を繋いでいたことを知る。
「…あ///」
何か言われるかと思ったけれど、アスカは意外にもそのことについては何も言わず、ただ、
「ほら、見つけなきゃ」と僕の背中を押した。
さっきまで繋いでいたその手で。
お互いに無言になって自分の番号を探す。
「…あった!」
僕もアスカも殆ど同時に自分の番号がそこにあるのを見つける。
「やった!」「あたしもよ!」
両手を高く突き上げ、その勢いでそのまま僕に抱きついてくるアスカ。
瞬間、シャンプーのいい匂いと、カシミヤのコート越しに僅かに感じられる胸の感触。
喜びも束の間、突然の出来事に僕の頭の中は真っ白になる。
ガッツポーズをする筈だった両手の間に飛びこんできた僕の想い人。
どうしたらいい?どうしよう?握りしめた拳をそのまま、おそるおそる彼女の背中に回す。
「…!」声にもならない声を上げて、アスカが飛び下がる。その拍子に後ろの男子にぶつかって睨まれる。「あ、す、すいません」そう言いながら彼女の目は鋭く僕を射貫く。
「ご、ごめん…」「あんた、ドサクサに紛れて今あたしを抱きしめようとしたでしょ、んなの100万年早いわよ!」「…ごめん」
いや、抱きついてきたのはアスカだろ…。僕の声はアスカの次の言葉によって喉元で止まってしまう。
「ははっ、まあいいわ、合格記念の特別大サービスってことにしといてあげるから」
彼女はウインクする。
ああ、ダメだ。どうしようもなく、彼女に引き込まれていく。
気づくと目の前に右手。「ほら、お互い合格したことだし、健闘を称え合いましょ」「…うん」
改めて、がっちりと握手。ようこそ、高校生活。ようこそ、新しい人生。

…そうか、彼女は僕にとって、新しい希望なのかもしれない。
僕が見つけた、と言うのは違うかもしれないけど、その時僕はそんなことを思った。
373265:2013/07/15(月) 23:37:24.49 ID:???
>>372
入学手続きの書類を取りに、事務所に向かう。
「…ところで、アスカはここを滑り止めって言ってたけど、本命はどうだったの?」
軽い気持ちで訊いてしまって、彼女の表情を見て後悔する。
「…あんたに答える義理はないわ」「…ごめん」なんでか分からないけど、反射的に謝ってしまう。
そのまま気まずい雰囲気が流れる。そのまま事務窓口に行き、書類を受け取る。
「まあいいわ、シンジ、合格祝いにお茶でもしていきましょ。
あんたのおかげで合格できたのかもしれないし、コーヒーくらいなら奢るわよ」
書類を受け取った後、アスカが言う。その瞬間、また心拍数が跳ね上がる。

「…ごめん、まだこの後予定があるんだ…」「へー、レディの誘いを断るほどの予定があるんだ…へー。」
ジロリ、と睨まれる。ヤバイ、また機嫌悪くなってきた;;;;
「い、いや、この後入寮希望者の説明会があるんだよ。僕、寮に入るつもりだからさ、ちょっと…聞いていきたいんだ…。」
ほんとはアスカの誘いは凄く嬉しかったし、出来ればそうしたかった。
でも、入寮希望者はこの説明会に出て、申込書やら何やらを貰わなくてはならない。

「ふーん…なんかそれ、面白そうね」「え?」「私も行くわ、それ」
「え?」「入寮希望者しか聞いちゃいけない、ってわけじゃないでしょ?」
「ま、まあ、多分…」「だったらいいじゃない、ほら、行くわよバカシンジ」

説明会は寮内の食堂でおこなわれる。事務室で地図をもらってそちらに向かう。
アスカは自宅から通うらしい。
「ママがうるさいのよ。ほんとは早く自立したいんだけどね…」そう語るアスカに
「家が近いのはいいよね…」と返しながらも、何か残念な気持ちを抑えられない僕。
「近くなんかないわよ、片道で1時間半もかかるのよ、おまけにあのラッシュじゃない、たまんないわよ…」
誰かさんみたいに助けてくれる人もいないし…、そう聞こえた気がしたけれど、気のせいかもしれない。
374265:2013/07/15(月) 23:41:40.90 ID:???
>>373
寮は学校から10分ほど歩いた場所にある。林の中にある瀟洒な3階建ての建物で、
有名な建築家がデザインしたとパンフレットに書いてあった。
寮は男子寮と女子寮に分かれていて、お互いの棟は食堂を通じて繋がっている。
明城学院はスポーツでも有名で、全国から生徒が集まることもあって、寮はかなり混雑しているものだと僕は思っていた。


「…あれ?これだけ?」男子が10数名、女子に至っては3、4人しかいない。
後で知ったことだけど、スポーツ推薦組は別に部ごとに寮があって、僕の入る普通科の入寮希望者は毎年こんなものらしい。
でもその時の僕にはかなり意外な少なさだった。
375265:2013/07/15(月) 23:42:21.70 ID:???
>>375
「お、センセやないか!ここに居るっちゅーことは、受かったってことやな!」
受験の日に後ろの席に座っていたジャージの彼だ。
「あれ…君は、受験の日のおのぼりさん?」駅で出会ったメガネの彼もいる。
新たな生活を踏み出すに当たって、少しでも知っている人がいる、というのは心強い。
彼らとは良い友達になれそうだ、そんな予感がする。
その2人が僕を見た後に、アスカを見る。
僕から数センチしか離れておらず、見た目密着しているかのような彼女を。
「…で、早速ですか、センセもやりおるなぁ」「…なんか、いや〜んな感じ」2人が後ずさる。
「ち、違っ」顔を真っ赤にして同時に口を動かす僕とアスカ。見事なシンクロ。
「なんや、お似合いやないか」苦笑しながらジャージの彼は続ける。
「ワイは鈴原トウジ。トウジでええで。」隣のメガネの彼「俺は相田ケンスケ。よろしくな」「僕は碇シンジ。よろしく。」
「…で、碇シンジ君、このお連れさんは?」鈴原君と相田君は、なぜかアイコンタクトをして、同時に聞いてきた。
「惣流・アスカ・ラングレーさん。受験日当日に知り合って…」「ちょっと、バカシンジ、なんであんたが紹介してんのよ!」
頭をはたかれる。物凄い衝撃とズバン!という音が響き渡る。あまりに大きい音で、叩いた本人がびっくりしている。
全員がこちらを向く。
「な、なんだよ!叩くこと無いじゃないか!」「う…うっさいわね、あんたが余計なことするからよ!」
「早速夫婦喧嘩かいな…」「違うわ(よ)!」こちらも見事なシンクロ。
それに気づいてお互いがまた顔を真っ赤にして俯く。
そんな時に扉が開いて、案内の人が入ってきた。
376265:2013/07/15(月) 23:43:21.75 ID:???
>>376
「寮長の冬月だ。ここの責任者だ。これからちょっとした説明をしてから、寮内の見学をしてもらう。
質問は随時受け付ける。よろしく。」
背筋をしゃんと伸ばして、その冬月と名乗った人が説明を始めた。

寮費は月20,000円。門限は22時、消灯は23時。
朝食と夕食は食堂で取ることができるが、盆と年末年始は食堂は休み。というか、寮自体も基本的には閉館。
食堂には生徒用の簡単なキッチンもあるので、自炊も可能。大浴場と洗濯機は男女各棟の1階。
当然のことながら、責任者に無断で異性の寮棟には入ることは出来ない。
個室や共用スペースは整理整頓を心がけるよう、等々。
入寮案内に載っている個室の写真や食事の写真などを眺める。いかにもバランスが取れた感じの朝食と、豪勢な夕食。
個室は6畳ほどのスペースで、ベッドと机だけが置いてあるシンプルなもの。
トイレとシャワールームも付いている。
ふと横を見ると、アスカが熱心にその案内パンフレットを見ている。まるで本当に入寮希望者のようだ。
僕の視線に気づくと、アスカは僕の耳元に口を寄せて囁く。
「このハンバーグ、美味しそう♪」そこかよw
「あとさ、このベッド小さくない?2人で寝るのはちょっとキツイわね…」と、アスカ。
「どーして2人で寝る必要があるのさ、個室なんだから1人で寝ればいいだけじゃないの?」と僕。
「…バカなだけじゃなくて、ガキか。」と、アスカは溜め息。意味の分からぬ僕。「ま、冗談よ、冗談」
「何か質問かね?」冬月と名乗った責任者の声が鋭く響く。僕達に向かって言っている。
「え、…いや、特にはないです…すいません」消え入りそうな声で答える僕。
「まあ、仲が良いのはいいことだが…申し訳ないが寮内での男女同衾は厳禁でね。
発覚した場合は即時退寮となることを予め伝えておこう。いいかね?」
にやりとした冬月寮長の表情。クスクスと笑う声があちらこちらから聞こえる。
耳まで赤くなった僕と、むっとした表情のアスカ。
377265:2013/07/15(月) 23:44:21.99 ID:???
>>376
一通りの説明を終えてから、男女に分かれて居室に案内される。
「えー、つまんない」とアスカは多少ふて腐れながら、女子寮へと案内されて行った。
あの子、自宅から通うって言ってたのに、そこまで見てどうするんだろう?

寮は意外と広くて、1フロアにテレビがある共用スペースと居室が20ばかり。
居室はパンフレットで見たよりも奥行きがあって、必要にして十分。
ここで新しい生活が始まるんだと思うとワクワクしてくる。これもひとつの希望の形。
でも、僕が思う希望のひとつがここにはいないことを僕は知っている。それが残念。
いや、残念という言葉では言い表せない、心の痛みが残る。
それを望むのは贅沢なのは分かりきっているけど。
でも、もし彼女がここにいてくれたら、僕の生活はもっともっと楽しくなったと思う。
そんな気がする。
そんなことを考えていたので、案内役の人が何を言っていたのか、よく覚えていない。
というか、その人の名前も忘れてしまった。青…なんとかさんだった…筈w

説明と案内は1時間ほどで終わり、僕達はまたそれぞれ帰途につく。
ケンスケやトウジは電車の時間があるから、とそそくさと帰っていき、また僕達は2人きりになる。
「…あの、お昼ご飯、一緒にどうかな?」思い切って、僕はアスカを誘ってみる。
「…ん、ごめん急用が出来ちゃった」アスカは僕の方を見もせずにそう言うと後は無言のまま。
駅から電車の中でも、無言のまま。何か考え事をしているみたいで、話しかけられない。
ターミナル駅に着き、また別れの時間がやってくる。
「ま、また会えるかな?」と僕は言う。それを言うのが精一杯。
「んー、そうね、そうかもね。」上の空、という感じだけど、アスカはようやく僕の方を向いてくれる。
「…出来れば、一緒に通いたいな…」僕の呟きに、彼女はピクっと反応する。
でも、言葉はない。
彼女の人生の選択に口を出す権利は僕にはないけれど、でも出来れば、明城学院に来て欲しい。
そう願って、僕とアスカは手を振って別れる。これが最後にはなりませんように。
僕が背を向けて階段を下りていくところを、アスカがじっと見送っていたことを、僕は知らずにいた。
378名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/15(月) 23:48:45.93 ID:???
乙!
みんなでプール編書こうぜ!
俺は妄想に回るけどな
379265:2013/07/15(月) 23:49:03.57 ID:???
すいません265です。合格発表&入寮編投下します。あんまり出来良くないですが…。
長すぎて試行錯誤している間に神が何人も舞い降りてて、正直気後れしておりましたが、
言っちまった手前、逃げるのもなんなのでw
後半は明日か明後日にでも。スレ汚し失礼しました。
380名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/16(火) 00:05:56.65 ID:???
乙ー!
やっぱうまいなw
凹みつつ刺激受けた
後編楽しみに待ってます


俺もまた妄想に励むわ
携帯しんどいから規制はよおわれ(;´д`)
381名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/16(火) 00:19:14.73 ID:???
なんかSSスレではレベルが高いよね。ここ
作者さまありがとです。いつも楽しませてもらっています
382265:2013/07/16(火) 23:23:00.69 ID:???
>>377

この気持ちは、なんだろう?何かイライラするような、嫌いなものを食べさせられたような不快な濁りが、口の中に広がっている。
「碇…シンジ、か…」
初めて会ったその時。確かあいつは「前にも会ったことない?」というようなことを言ってきた。
知らない。全然覚えていない。そもそも日本に来てからまだ間もない。
なのに「碇シンジ」という名前には既視感がある。どこかで聞いた覚えがある。
試験では、助けてもらった。ぶっちゃけ、明城学院はあたしには少々ランクが高すぎる。
中学の担任は、まだ1年と少ししか顔を合わせていないくせに、
あたしの何もかもを知っているかのような顔で、「おまえにはこの学校がいいだろう」とか言って、
地元の中堅ランクの高校を勧めてきた。ふざけんな。
あたしは家を出たいんだ。ママには感謝しているけど、あたしの居場所は最早あそこにはない。
親の敷いたレールに乗っていくだけの人生なんて、もうまっぴらだ。
少なくとも15年、あたしはそのレールに乗せられて、目も耳も塞がれて運ばれてきた。もう十分だ。
そういう思いでこの学校を選択した。寮に入るつもりだったけど、ママは反対した。
だけどあたしは、どうしてもこの学校に通いたかった。1人で生きていくためのステップとして、
この学校はあたしにはどうしても必要なんだと信じていた。
入ってしまえば、なんとかなる。そう思ってた。だからママと散々ケンカした。
最終的には、家から通うということで、お互いが妥協した。合格すれば、という条件は勿論つくけれど。
383265:2013/07/16(火) 23:24:01.95 ID:???
>>382
だから、今までの人生の中で、1番勉強した。睡眠時間はいつの間にか1日4時間を切った。
腱鞘炎になって、ペンも持てなくなるくらいに指が震えるようになった。
それでも勉強した。反発心とちっぽけなプライドが、あたしをここまで連れてきてくれた。
そのせいかどうか分からないけれど、受験当日、助けの手がいくつか伸びてきた。
ひとつめ、駅で降りられずに困っていたところを助けてもらった。
ふたつめ、受験票を落として水浸しにするところを、寸前のところで拾ってもらった。
みっつめ、超絶苦手な古文のポイントを教えてもらい、まさにそこが試験に出た。


全て、彼、碇シンジと呼ばれる子のおかげ。
ギリギリのところで、奇跡が起きて、多分彼がいたから合格できたんだと思う。
特にみっつめなんて、あたしが消しゴムを吹っ飛ばしたおかげ。
結果論だけど、腱鞘炎になるのも悪くない。
素直にお礼が言いたかったのに、いつものクセで、ついひねくれてしまう。
滑り止めとか余計なことを言って、すぐに墓穴を掘る。可愛くないあたし。
384265:2013/07/16(火) 23:28:08.84 ID:???
>>383
その日の夜は、眠れなかった。1日の色んなシーンが思い浮かんでは消え、また思い浮かんでは消え。
そのほぼ全てのシーンに、あいつはいた。助けてくれた手。字を書く時の指先。
怯えた子犬のような目で、あたしを見つめる表情。

すべて、どこかで覚えがある。肌触りとして、どこかに残っている。

そう思いながらも、いつしかあたしは眠っていたらしい。
夢を見た。
いつもの夢。顔のない、白い巨人たちに襲われる夢。
そこでは、腕を喰いちぎられ、全身を膾のように切られる痛みが、明確なものとしてあたしを襲う。
時々やってくる、苦痛の時間。待って、もうすぐ助けがやってくるから。王子様が助けに来てくれるから。
そこに助けに現れる男の子。彼が助けてくれるから、この悪夢も耐えられる。
彼は自分の背丈ほどもある剣を振り回し、その白い巨人たちを切り裂いていく。
倒しても倒しても復活する巨人。それでもあたしを守るために立ち向かう彼。まさにあたしの王子様。

「約束したんだ、アスカを、助けるって」
ふと、その子が振り返る。
あたしは、息を呑む。
そこにいたのは、碇シンジ。


目が覚める。汗びっしょりだ。
385265:2013/07/16(火) 23:29:34.29 ID:???
>>384
合格発表までの2週間、目を閉じれば、あいつの顔が浮かんで来た。眠れば、例の夢。起きていても、脳裏には憂いを湛えた目であたしを見つめるあの顔。この気持ちは一体、なんなんだろう?
合格かどうかは、自己採点してみて、だいたい分かった。国語の試験で過去最高点を取っていたのが決め手。
実際はまだ分からないけど、多分大丈夫。そう思った時、やっと自分の人生が始まる気がして、少しほっとした。
同時に、あいつは受かっているのかな?という気持ちが沸き上がってきた。
どうしてだか、あいつのことがとても気になる。


だから、その謎を解きたくて、あたしは合格発表の当日、朝イチで学校に向かった。
あいつがどこに住んでいるのか知らないけど、開門時間に行けばなんとかなるだろう、そう思った。
なんとなくだけど、その時間に行けば、あいつに会える、そんな気がしていた。
でもあいつ、シンジはあたしが着いた時にはもうそこに居て、何時間も並んでいたかのように凍えて震えていた。
先を越された、そんな気持ちもあったけど、その表情を見た瞬間に、あたしは気がついた。
稲妻に打たれたような、というと大袈裟かもしれないけど、でもその位に衝撃的に、圧倒的に、気がついた。
あたしは、シンジの隣にいると、安心する。ほっとする。リラックスできる。
それは今まで肩肘張って生きてきたあたしにとって、初めての「居場所」と思える場所だった。
あたしの居場所はどこにもない、そう思っていたからこそ、あたしは新しい世界を見つけるために、この学校を選んだ。
それが、思いもかけぬ形で、いきなり、あたしはその場所を見つけた。
碇シンジ。会うのはあの時が初めての筈だけど、でも多分、きっとどこかであたしとあいつは繋がっている。
そう思った。それが何を意味しているのか、まだよく分からなかったけど、でもこの濁ったようなイライラしたような不快感は、それでいて何か暖かいものを持っていた。
だからもうちょっとこいつのことを知りたくて、だから勇気を出してお茶に誘ってみた。
振られたけど。
386265:2013/07/16(火) 23:31:11.55 ID:???
>>385
寮の説明に一緒にくっついていって、更にその気持ちは強くなった。
元々寮に行きたかった、っていうのもあったけど、こいつの側にもっと居たい、その気持ちに気づいた瞬間に、
ママとの約束、自宅から通うという約束は、頭の中から消し飛んだ。
やはり、なんとしてもここに来よう。例え親から絶縁されようとも、ここに来よう。
シンジはお昼ご飯に誘ってくれたけれど、あたしはその時、ママをなんと言って説得するか、そればかりを考えていた。
長年研究者なんていう理屈を捏ね回している仕事をしている相手に、中学生のあたしが理屈で勝てる筈がない。
思い切って全部話してみよう。その上で、ダメならダメで荷物まとめるまでさ。

娘が一世一代の決意と覚悟を持って寮に住みたいと言ってきたことを、ママは割とすんなりと理解してくれた。
それはとても意外なことだった。ママは私を手元から離すのを物凄く嫌がっていた。
自分の思う通りに、あたしを研究者の道に進ませたがっていた。
だからあたしは一瞬拍子抜けしたくらい。
でも、ママはあたしの話を聞いた後、物凄い一言をあたしにぶつけてきた。
「あなたは、シンジ君に恋をしたのね」
え?今なんて言ったの?恋?このあたしが?
「そうよ、それは恋と呼ぶべきものよ」
誰にも頼らず1人で生きていこうと心に決めていたこのあたしが、恋?あんな奴に?
「自分でも気がついていたんじゃないの?」

出会い頭にクルマに衝突したかのような衝撃で、あたしは抱えていたこのわけの分からない気持ちが、恋だということを知った。
387265:2013/07/16(火) 23:32:17.55 ID:???
>>386
4月1日。今日から入学式までの1週間の間に、入寮希望者は寮に入らなければならない。
荷物は全てまとめた。大きいものは宅配業者に頼んだし、僕が今日持って行くべきものは、
今日明日分の着替え(荷物が届かなかった時のために)と、小さい頃からやっていたチェロ、このくらいのものだ。

寮に到着すると、荷物は既に来ていて、僕の部屋に運び込まれていた。衣類と本を段ボールから出しながら、僕はふと窓の外を眺める。
男性寮は北側、女性寮は南側にあって、つまり男性寮の居室の部屋の窓からは、女性寮の廊下の窓が見える。
僕の部屋は201で、つまりは2階の端。そこから見える景色は、女子寮の建物の他は、森と空しかない。
今は桜が満開で、澄み渡った青空に桜の薄いピンク色が風にそよいでキラキラと輝いている。
荷物の整理を小休止して、僕はベランダに出てみる。その風を浴びてみたくなったからだ。
風が心地よい。まだちょっとひんやりするけど、春の薫りを連れてきてくれる風を、
僕は目を閉じて全身で受け止める。味わう。
388265:2013/07/16(火) 23:34:00.10 ID:???
>>387
誰かが呼んでる気がする。「…シンジ…ちょっと、気づきなさいよ、バカシンジ!」
目を開くと、50mくらい離れた女子寮の2階廊下の窓を開けて、そこにアスカが腰掛けている。
「ア、アスカ???」
「バカシンジ!やっと気づいたか!」風を受けてアスカの髪が揺れる。
「あ、危ないよ!」僕は叫ぶ。「大丈夫、落ちても下は芝生だし、それにもし落ちたら責任取ってもらうから〜♪」
「そういう問題じゃないだろ!」怒ったような、でも僕は自分が笑っているのを止めることが出来ない。
なんでこんなに嬉しいんだろう?
「来てやったわよ〜。あんたが寂しがると可哀想だと思ってね!」
「なんだよ、家から通うんじゃなかったの?」
「ママに頼んだら、OKしてくれたのよ。それに、ここのハンバーグ、美味しそうだったしw」
「なんだよそれwww」僕の笑顔を見るヒマもなく、向こうの廊下から「何やってんの、降りなさい!」
という声が聞こえ、慌てたように窓縁から向こう側に飛び降りるアスカ。窓を閉めながら手を振るアスカ。
手を振って笑顔で応える僕。
ちょっと大袈裟だけど、偶然や必然を超えたところにある「運命」というものを、このとき僕は感じていた。
こんなに笑ったことなんて、なかったかもしれない。
389265:2013/07/16(火) 23:37:33.14 ID:???
どうもです。これで合格発表&入寮編終了でございます。
スレ汚し失礼しました。
>>380>>381
分不相応な評価をありがとうございます。
こちらこそ、毎度毎度貴方のSSの質の高さに凹まされておりますよ(´・ω・`)
機会があれば、そのうちまた何か投下できたら…とは思っております。
それがプール編になるかどうかは不明。マリを出そうか悩む。
390名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/17(水) 01:39:26.19 ID:???
>>389
乙ー!
影の努力がアスカって感じだw
391名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/17(水) 01:43:36.09 ID:???
乙です。次回も楽しみにしてます。
392名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/17(水) 15:24:00.87 ID:???
いいスレだぁ
393名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/18(木) 09:56:21.74 ID:???
良スレですねー。マリは貞では出てないけど面白ければなんでもいいです
次回作も期待してます
394名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/19(金) 18:09:10.97 ID:???
既にちょいちょいマリ出してる職人さんいるしなw
出しても何も問題ないw
395名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/19(金) 18:40:14.40 ID:???
>>394
むしろいた方がいい
396名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/21(日) 05:03:48.35 ID:???
小説タイプ圧勝で、台本タイプはすっかり鳴りを潜めてしまったな…
397名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/21(日) 06:26:01.69 ID:???
>>367の続き

プールサイド

シンジ「アスカ遅いなあ……プールでいいからって言うから来たのに」



更衣室

アスカ「どうシンジ?このあたしの完璧な水着姿は!」

アスカ「なんか違うわね。もっとかわいく言った方がいいかしら?

アスカ「どう、シンジィ?似合ってるかな……?」

アスカ「ダメね。これじゃ媚売ってるみたいじゃないの」

アスカ「っていうかちょっと派手だったかしら……」

アスカ「シンジを悩殺することしか考えてなかったけど……これ冷静に見たら結構露出大きいわよね………」

アスカ「パ、パーカー着ていこう……」
398名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/21(日) 06:27:41.12 ID:c0bS4Q9u
プールサイド

アスカ「お、おまたせ」

シンジ「……何でパーカー着てるの?」

アスカ「なんかあんたに見せんの恥ずかしくなったから」

シンジ「僕に見せるためにプールにいきたいって言ったんだよね?」

アスカ「そうね」

シンジ「どっちにしても臨海学校で見ちゃうよ?」

アスカ「そ、そうなんだけど」

シンジ「ちょっとだけ見せてもらっていい?」

アスカ「恥ずかしいってば……」

シンジ「ちょっとだけだから」

アスカ「わ、わかった……////」チラッ
399名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/21(日) 06:28:22.29 ID:???
シンジ「////////////////」

アスカ「も、もういいわよね!」ササッ

シンジ「なんでこんなの買っちゃったの?臨海学校だよ?////」

アスカ「えーっと……買った時あんたを悩殺することしか頭になかった……」ゴニョゴニョ

シンジ「う、うん。とりあえず目的は達成されたよね////」ハナヂタラリ

アスカ「悩殺されてくれた?////」

シンジ「されたっていうか……委員長たちこれ見て何も言わなかったの?/////」

アスカ「あんたに一番に見せる気だったからヒカリとかにも見せてない////」

シンジ「これ……誰にもに見せたくない。ていうかパーカー脱いじゃだめだからね!臨海学校にも持ってっちゃだめだよ!////」

アスカ「う、うん……じゃ、じゃあ帰りに新しい水着買いに行くから一緒に選んでくれる?////」

シンジ「うん……////」

おわり
400名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/21(日) 06:46:37.45 ID:???
何やってるんだ?



               (壁ドン
401名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/21(日) 07:25:23.21 ID:???
おつ
帰り道にデパートで水着を選ぶ編、期待してます♪
402名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/22(月) 14:03:40.31 ID:???

次にその水着使うタイミングって、もうヤラシイタイミングしか無いなw
403名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 19:57:30.28 ID:???
マリ「さて今日お集まりいただいたのは他でもないにゃ」

ケンスケ「諸君らには極秘任務がある」

トウジ「どういうことやねん」

ヒカリ「アスカと碇くんのことで大事な話があるって私は聞いたけど」

マリ「まずはこれを見ていただきたいにゃ。相田軍曹、例のものを」

ケンスケ「イエス、マム」ピッ


モニタ映像

アスカ『ほ、ほら、さっさと口開けなさいよ///』

シンジ『うん。あ、あーん///』

アスカ『ど、どう、おいしい?///』

シンジ『アスカが僕のために作ってくれたものがおいしくない訳ないじゃないか///』

アスカ『もう、シンジってばぁ!じゃ、今度はあたしにも……あーん///』

シンジ『はい、あーん///』
404名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 19:58:53.96 ID:???
トウジ「まあ、いつもの光景やな」

ヒカリ「私も鈴原とあんな風にしたい」ボソッ

トウジ「なんか言うたか、委員長?」

ヒカリ「なんでもない!」

マリ「そう、いつもの光景だにゃ。でもこれがいつものになったのはいつからだにゃ!答えろ、相田軍曹!」

ケンスケ「はっ!3ヵ月前の遺跡見学からであります!」

ヒカリ「そういえばあの遺跡見たアスカすごく怖がってたのよね」

ヒカリ「でも碇くんがしっかり手を握ってあげたらアスカすっかり安心しちゃってて」

トウジ「あの時のセンセの顔はびっくりするくらい男前やったなあ」

マリ「そう、それからだにゃ。あの二人がもう所構わず、人目も憚らずになったのは!」

トウジ「まあ、教室でいちゃいちゃはわしもどうかと思うけど幸せそうでええやないか。なんか問題でもあるんかいな」

マリ「問題があるか……だって?大ありだにゃ!相田軍曹、次の映像を出すにゃ!」

ケンスケ「イエス、マム!」
405名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 19:59:42.34 ID:???
モニタ映像

トウジ『お、また夫婦揃ってのご登校か』

アスカ『えっ、夫婦だなんて……あたしたちまだ高校生だし……もう少しシンジとは恋人の時間を楽しみたいかな、って』

シンジ『うん。そうだね。でもそういう風に見られてるってことは少し恥ずかしいけど嬉しいことだと思うよ』

シンジ『それだけお似合いだって言われてるってことだからね。ほんとならアスカは僕にはもったいないくらいの女の子だから///』

アスカ『なにいってんのよ、バカね。シンジがあたしにはもったいないくらいなの。でも……誰にも譲ってあげないんだから……///』

シンジ『うん、僕もアスカを誰にも譲る気はないよ///』

アスカ『うん。離しちゃいやだからね///』



トウジ「ああ、そういえば最近はからこうても、それをネタにいちゃつきよるようになっとるなあ」

ヒカリ「最近のアスカ穏やかで幸せそうで見てるとこっちまで嬉しくなる時あるのよね。それにちょっとうらやましい」

トウジ「なんや、委員長もしかしてシンジ狙いやったんか?」

ヒカリ「違うわよ!全く鈍感なんだから……」
406名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 20:01:07.46 ID:???
シンジ『………///」

アスカ『………///』

シンジ『ダメだよ、僕にはアスカの魅力を表現できないよ///』

アスカ『あたしだってシンジの優しさを絵にするなんて無理ぃ///』

シンジ『………///」

アスカ『………///』


トウジ「ああ、いつぞやの美術の時間の映像やな。お互いの顔をかきなさいっちゅーやつ」

ヒカリ「で、二人で見つめ合ってずーっとこんなこといってて時間になったんだっけ」

トウジ「このあと職員室に呼び出されたらしいんやけど、説教されてる時もずっと手をつないどったらしいで」

マリ「このように映像や証言などからも最近の二人にはもうなんか初々しさがないというのがわかるにゃ!というかただのバカップルだにゃ!」

トウジ「そないなこというても当人同士幸せそうなんやし別にかまへんのとちゃうか?」

ケンスケ「なにを言ってるんだ、鈴原二等兵!」

トウジ「ああ、わし二等兵なんか」

ケンスケ「こんなにはっきりとカップルアピールされてみろ!我軍の収入は激減である!」

マリ「姫をからかっても頬を染めながら喜ぶだけだにゃ、面白くもなんともないにゃ!」
407名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 20:02:10.19 ID:???
ケンスケ「他生徒にチャンスがまだあるのかもしれない。せめて遠くから見るくらいは許されるかもしれない。こう思わせてくれないとあいつらの写真売れないんだよ!」

マリ「あのからかったらムキになって否定してそれでも結局一緒にいるのがあの二人の萌えポイントにゃ!」

ヒカリ「ええと、なにがいいたいの?」

マリ「元の初々しくも微笑ましい二人に戻ってもらって、からかってニヤニヤしたいにゃ」

ケンスケ「写真が売れれば何でもいい」

トウジ「お前らほんま自分の欲望に正直やのう」

ヒカリ「引き離すなんてひどすぎるわ。あんなに幸せそうなのに」

マリ「引き離すなんて言ってないにゃ」

ケンスケ「我々としてもけして友人たちの幸せを踏みにじりたい訳ではない」

アスカ「……誰と誰を引き離すって?」

マリ「だから引き離すんじゃなくて姫とわんこくんを元のからかいがいのある距離感にしたい……って姫、いつからいたにゃ?」

アスカ「ただのバカップルで悪かったわね」

マリ「やばいにゃ、本気で怒ってる目だにゃ」
408名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 20:03:07.65 ID:???
アスカ「誰が首謀者なのかしら?」

ヒカリ「わ、私じゃないわよ」

トウジ「わしでもないで」

アスカ「ええ、ええ、わかってるわ。その辺は見てたから。正確にはこうね。どっちが首謀者なのかしら?」

ケンスケ「隊長、ここは撤退を進言します」

トウジ(さらっと自分は部下やってアピールしとるな)

アスカ「あんたが首謀者なわけね?コネメガネ」

マリ「あ、あははー、めんごめんごー。なんか二人とも最近かまってくれなくて寂しくってさーとかそういう理由じゃだめかにゃ?」

アスカ「だめね」

マリ「こ、こういう時どういう顔をすればいいのかににゃ?」

シンジ「笑えばいいと思うよ。笑えるものなら」ニコッ

マリ「わんこくんもいたのか。てかその笑顔怖いんだけど、目が笑ってないんだけど?」

トウジ(ああ、ケンスケいつの間にか逃げとるなあ。うまいこと逃げおったで)

マリ(まずい、これ死んだ。もう必死で謝るしかないにゃ)

マリ「ほんっっっっとすいませんでした―――――!!!!」ドゲザ
409名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 20:04:39.31 ID:???
シンジ「…………実害はなかったから今回だけは許そうよ。アスカ」

アスカ「うん、そうね。どうせあたしたちの仲って誰にも引き裂けないしね///」

シンジ「うん///」

トウジ「またこの展開なんか」

シンジ「あ、そういえば僕今週トイレ掃除当番だったんだ。アスカと一緒の時間が減っちゃうな……」チラッ

アスカ「あたしは来週音楽室の掃除……シンジとの時間が減らされちゃう……」チラッ

マリ「わ、わかったにゃ。トイレは軍曹に責任持ってやらせるにゃ。姫の方は私が。それで今回は手打ちってことで一つ」

シンジ「ありがと、真希波」ニコッ

マリ(その笑顔めちゃくちゃ怖いにゃ)

シンジ「でも二度目はないからね?」ニコッ

マリ「」

アスカ「じゃ、帰ろっかシンジィ///」

シンジ「うん、今日はアスカの好きなもの作るね」

アスカ「いつもあたしの好きなもの作ってくれてるの知ってるもん///」

シンジ「じゃ、みんなまた明日ね」
410名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 20:06:10.31 ID:???
トウジ「ふう、やれやれやな。わしらも帰るか」

ヒカリ「あ、う、うん。私買い物して帰らないと」

トウジ「いつも弁当作ってもらってるさかいなあ。わしが荷物持ちしたるわ」

ヒカル「あ、ありがと、鈴原///」

マリ「なんだか姫たちをからかうのも命がけになってきたにゃ」

ケンスケ「やめるという選択肢はないのでありますか?」

マリ「軍曹、おかえり。確かにやめれば安心安全だにゃ……でも……面白いから……いいっ!」

おわり

なぜかにゃーが主役みたいになった。許してほしい
411名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 21:18:00.95 ID:???
おつおつ
412名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/23(火) 21:18:49.25 ID:???
やっぱ、マリがいると変わるね
413名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/24(水) 00:43:19.14 ID:???
すんばらしい
414名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/24(水) 06:19:42.30 ID:???
すばらおつ
415名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/25(木) 09:51:28.50 ID:???
夏休みに水族館に行く二人

シンジ「ペンギンを見てるとなんだか懐かしくなるんだ」

アスカ「あたしも……あ、あの子こっち見てない?」

シンジ「うん、そんな気がする」

アスカ「またこようね……」

シンジ「うん……」

こんな感じのある夏の日
416名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/25(木) 14:08:16.57 ID:???
ペンペン…転生世界でも行きてるかなぁ
417名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/25(木) 20:25:24.61 ID:???
案外ヒカリが飼ってたりしてなw
418名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/26(金) 22:35:19.50 ID:???
ひそかに人気脇役動物だったからな
転生後だと出しどころが難しいかな??
419名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/26(金) 23:48:29.36 ID:???
やばい。書きかけのものあったのにペンペンで一個思い付いた…。
どうしようwww
420名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/27(土) 01:13:40.75 ID:???
どっちも書くんだ!
いや、書いて下さいお願いします。
421名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/28(日) 18:02:13.00 ID:???
ラブひなみたいな感じで先生(叔父夫婦)が経営していた温泉旅館の使わない部屋を借りに行ったら
女子寮に改築されていて、いなくなった夫婦の代わりに管理人をすることになったシンジくん
そこにはズボラなお姉さんのミサトと温泉ペンギンのペンペンが住んでいて、そこに入寮してくるアスカ
422名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/29(月) 07:34:24.99 ID:???
なるはそういえばアスカがモデルだったな
423名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/29(月) 23:48:43.81 ID:???
遊園地デートに行く二人
424名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/30(火) 03:35:39.33 ID:???
絶叫マシーンはしごの二人
自分はどんどん顔色悪くなってるけど嬉しそうなアスカを見て何も言えないシンジ
425名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/30(火) 20:29:27.90 ID:???
でも、お化け屋敷には近づきもしないアスカさん
426名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/30(火) 20:33:03.21 ID:???
真っ暗な空間を二人で歩くと、なぜかシンジにキスしたくなるアスカさん
427名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/30(火) 21:36:21.18 ID:???
単行本で制服姿だけでも見せてくれんかね…
428名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/30(火) 22:52:51.42 ID:???
14巻の表紙でどう書かれるか楽しみだね
429名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/30(火) 22:55:13.05 ID:???
表紙では厳しいかもしれないけど
扉絵に期待したい
430名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/30(火) 23:05:38.05 ID:???
おまけイラスト程度でもいいから笑って走ってるアスカをちょっと困った笑顔で追っかけてるシンジとかあったらもう死んでもいいわ
431名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/07/31(水) 04:46:39.60 ID:???
ここまでの流れを総合すると
暗闇でシンジとキスしたいアスカだが遊園地の暗闇=お化け屋敷
葛藤に悩む頭を抱えるアスカとそれを見て僕何かヘマやっちゃったかなって悩むシンジ
こう言う感じだな
432名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/01(木) 20:19:30.05 ID:???
予告

「デートの計画を練るシンジ」
「デートコースはアスカの想像とは大きく違ったものだった」
「奇妙な既視感と襲い来る不安」
「繋がれた手と心」
「二人の間で交わされる約束とはなんなのか」

「次回シンジとアスカの学生生活」
「この次もサービス、サービスゥ!」

あれの続きでこんなのが降りてきたから途中まで書いたんだけど時間なくてちょっと難航気味です。
近日投下できるようにがんばる。
それ終わったらもう一個降りてきかけてるのに着手なのです。
時間欲しい、まじ欲しい。せっかく規制解けたのに(;´Д`)
夏の間に夏休み編まで書けるといいな。

ではみなさんもよき妄想を。
433名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/01(木) 20:21:57.73 ID:???
お!ヨコクキタ!
ゆっくりでいいんでよろしくです。楽しみにしてます
434名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/01(木) 21:17:19.23 ID:???
>>432
規制解除されてよかったですね!
楽しみに待ってます♪
435名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/01(木) 21:58:39.78 ID:???
しかし真剣にまとめ屋ほしいな、、どこかのサイトでまとめてくれる人
いないかな??
436名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/02(金) 01:49:10.07 ID:???
全ては心の中だ 今はそれでいい
437名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/03(土) 00:13:14.50 ID:???
まあスレをPCに保存はするけどなw
438名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/04(日) 03:12:40.90 ID:???
予告の人キテタ。めっちゃ期待。
こちら>>265の人なんですが、プール編だいたい出来たんだけど、予告の人が来てたんで、
あたしゃお盆の頃に出直しますわノシ 
439おぼーん:2013/08/04(日) 06:18:11.04 ID:???
おぼーん
440名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/04(日) 07:13:08.77 ID:???
どっちも待ってる
441名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/05(月) 19:03:15.13 ID:???
>>422
加治さんやケンスケみたいなのも居るし主人公は情けないが女顔っぽい童顔フェイスでシンジに眼鏡装備した感じだし…懐かしいなw
442名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/06(火) 20:17:32.22 ID:???
>>438
楽しみに待ってます♪
443名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/07(水) 10:00:35.02 ID:???
職人さん達の他の作品も読んでみたいな、
良かったら教えて欲しい。
444名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/08(木) 01:19:28.65 ID:???
それは思いますね。他作品あるようでしたら差し障りなければタイトル
教えてください
445名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/09(金) 23:39:43.42 ID:???
職人さんが降臨するまでの間、小ネタで盛り上がろうではないか

>>431
「(お化けがでたら、怖がるフリをしてシンジに抱きつくチャンス!)シンジ、お化け屋敷行くわよ!」
ムフフな作戦を画策して、いざお化け屋敷に突入するアスカさん
しかし予想以上に怖く、演技する余裕さえなくて
お互いに必死に身を寄せ合いながら、おそるおそる進んでゆく
やっと出口が見えかけてホッとしたところで、今までお互いに体を密着させていたことに気づいて、意識してしまう
なんやかんやあってその場でキスする流れになるも、
唇が重なる寸前で、暗闇の影で気まずそうな表情を浮かべるゾンビがアスカさんの視界にはいり、未遂に終わってしまうのだった
446名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/10(土) 20:53:11.95 ID:???
>なんやかんやあってその場でキスする流れになるも、
唇が重なる寸前
今度は貞子コスに追っかけられる羽目に

なってたが
「あ、カツラが取れちったにゃ。メンゴメンゴー
…て二人とも楽しんでるかにゃ?」
ピキピキピキピキ…
447名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 00:42:51.29 ID:???
おばんです。>>265の人なんですけど…予告の人、まだ来てないっすね…。(´・ω・`)
プール編、時期的にアレなので、ちとお先に失礼しちゃいますね。
448名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 00:43:36.64 ID:???
世の中はお盆休みである。
ここ、明城学院普通科の寮も例に漏れず、お盆休み。
全員が帰省し、寮はひっそりと静まりかえっている。
いや、例外が1人。食堂に掃除機をかけている男がいる。1年A 組、碇シンジ。
本来ならば寮生は全員帰省になる筈なのだが、シンジの希望で彼は誰もいない寮に居残っている。
規則上はNGなのだが、そこは品行方正公明正大、誠実が服を着て歩いている碇シンジ君、
寮長を始めとして、先生一同から食堂のおばちゃんまで、みんなを味方につけ、
「彼なら大丈夫」と思わせた結果、彼はめでたく留守居役となった次第。
元々シンジに「実家」と呼べるような家はなく、1人で居ることに何の不都合もない彼は、
夏休みの宿題などとうに終わらせ、今は誰もいない寮内を掃除してまわっている。
お盆休みの初日であった昨日は、自分の部屋とフロアの共有スペースを奇麗にし、
今日は食堂と厨房を掃除している。
別に誰かに言われたからではない、自分から進んでやるところに、彼の性格が表れている。

「…と、これで掃除機は完了、と。あとは椅子とテーブルを拭いて終わりかな…」

掃除機を片付け、ダスターでテーブルを拭きながら、ふとシンジは手を止める。
そこは、いつもアスカが座っている場所。向かいは自分の指定席だ。

「…アスカも帰っちゃったな…」そう呟くシンジの眼差しは、心なしか寂しそうだ。
脳裏には、一昨日の夕方、駅で見送ったアスカの後ろ姿が焼き付いている。
一学期の間、ほとんど常にアスカと一緒にいたシンジは、何かぽっかりと自分の左隣に穴が空いた気がして、
その喪失感を埋めきれずにいた。
449名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 00:44:38.42 ID:???
>>448
「何ぼーっとしてんのよ、バカシンジ」
ふいに背中から声が掛けられる。2日間聞くことが出来なかった声は、その2日という時間が
ほとんど未来永劫のものと思えるほどに長いものだったと気づかせるに
十分過ぎるほどの響きを持って、シンジを包み込んだ。

「え?ア、アスカ?」
「何よ、鳩が豆鉄砲を食ったような顔しちゃって」人をバカにしたような表情でシンジを見るアスカ。
「い、いや、だって帰ったんじゃなかったの?」その表情がたまらなく懐かしいシンジ。
「ん、ママがさ、研究室に行ったっきり帰って来ないからさ、シンジが寂しくて泣いてるんじゃないかって、
様子見に来てやったのよ」
本当はアスカも寂しかったのだ。シンジはそれを感じ取る。アスカもシンジがそれを感じたのが分かる。
「べ、別に寂しくは…ちょっとは寂しかったかな…//」
「寂しさを紛らわせる為に掃除?偉いわねぇ…」
ははは、と苦笑するシンジ。
「というわけで、プール行くわよシンジ」ビシッ
「ちょ、そんな至近距離で指差すなよ…って、プール???」
「いいじゃないの、外は夏よ、クソ暑いのよ、青白い顔して掃除なんてしてる場合じゃないのよ、
男なら黙ってプールくらい誘いなさいよ!」
450名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 00:45:41.74 ID:???
>>449


ということで、どっちが誘ったのか訳が分からなくなりながらも、
シンジはアスカと近くの遊園地のプールに向かう。
アスカの母は、お盆は研究室に入り浸りなのだという。
「ほら、お盆ってみんな帰省しちゃうじゃない?そうすると普段使えない研究機材が使いたい放題なんだって。
だからうちのママ、お盆と正月は研究所に行ったっきり、ほとんど帰ってこないのよ…」
「そうなんだ…それじゃあアスカも1人っきりだったんだね…、寮に居れば良かったのに」
ほんの少し、シンジの本音が出る。
「まあ、規則だしね…でもあんたくらいなもんよ、好きこのんで居残るなんてさ」
本当は残りたかった。でもシンジとは違って、傲岸不遜唯我独尊、
我が儘が服を着て歩いている惣流・アスカ・ラングレーさんには、許可が出るはずもなく…
結果、泣く泣く帰省する羽目になったのだが…そんなことシンジには言えないアスカ。
「(この日のために)水着買ったし、使わなきゃ損じゃん」
()内はアスカの心の声。恥ずかしくて言えないアスカの乙女心。
「え、水着買ったの?…まさか、この日のために?」
素でアスカの心に直球をずどんと投げ込むシンジ。
「バ…バ、ババ、バカ、そ、そんなわけないでしょう、買ったからには使わないと、ってだけよ」
さすがにこの答えを聞いて、それを素直に信じるほどシンジはお人好しではない。
「…そっか…ありがとう」
「な、何がありがとうなのよ///」
451名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 00:46:44.38 ID:???
>>450
お盆休みの遊園地のプール。物凄い混雑を覚悟していたシンジだが、着いてみると混雑はしているものの、
立錐の余地無し、というほどのものではなく、一安心。
水着に着替え、アスカを待つ。

「お待たせ、シンジ」
現れたアスカは…

「…////」何も言えないシンジ君。
「…どう?似合ってる?」シンプルな白のビキニの上下と羽織っている赤い花柄のボレロが、
白い肌と金髪碧眼によく似合っている。
「か、可愛いよアスカ////」やっとのことで答えるシンジ。
「…ありがとう、シンジにそう言ってもらえると嬉しい…////」
水着売り場で4時間半悩んだ末に買ったものだとは言えないアスカ。でも、その苦労が報われた瞬間だ。
452名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 00:49:27.95 ID:???
>>451
「さて…まずはどこに…」シンジの言葉は今日も途中で消えていく。
「シンジ、あたし、あれやりたい!」アスカがシンジの言葉を先回り。
アスカが指を差した先にあるのは、ウォータースライダー。まあ、鉄板ですなw
「えっ、あれ…に?」絶叫系が苦手なシンジは若干尻込み。
「そうよ、行きましょ。今なら20分待ちくらいらしいわ」
それに気づかないのか気づいていない振りをしているのか、
アスカはシンジの手を取り猛然と乗り場に向かって突き進んだ。

「…いざ、自分の分が回ってくると…少し怖いわね…」アスカがぼそっと言う。
高い。そして目の前にはトンネルの如き青く暗い入口が。係員のお姉さんが「お次の方ドゾー」と呼んでいる。
「ほら、行くわよシンジ」気づけばさっきから手を繋ぎっぱなしな2人。
2人用のゴムボートのような乗り物に、前にアスカ、後ろにシンジ。
「ちょっと、変なところ触るんじゃないわよ」と後ろを振り返ったアスカだが、シンジの真っ青な顔を見て、噴き出す。
「アハハハハハ、何びびってんの?大丈夫よ、しっかりそのへん掴まってなさい」
本当はアスカも少し怖かった筈なのに、シンジの顔を見たら不思議とその怖さは消えてしまった。
スタートするとあとは一瞬で。
加速がどんどんついていき、カーブを曲がる度に身体が遠心力で弾き飛ばされそうになる。
「うわあああああああああああ」気づけば大声が出ていた。
次の瞬間、2人は水の中。ドドドドド、という滝のような音だけがシンジの頭の中に響いている。
「大丈夫?」よろよろしながら立ち上がろうとするシンジを覗き込むように上から見下ろすアスカ。
「…びっくりしたぁ…すごかったね…」
「楽しかったわね、次はあそこ行きましょ」
アスカが次に向かおうとしたところは、波のプール。
しかし、ここでちょっとした事件?が起きた。
453265:2013/08/13(火) 00:51:30.69 ID:???
相変わらずの駄文すいませんです(´・ω・`)
プールなんてろくに行ったことないもんでw
続きは明日にでも。
454名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 01:32:39.08 ID:???
おっつおつ
455名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 19:57:31.66 ID:???
いいよぉ〜
ウォータースライダー苦手だわ。あんなスピード出るのを生身で行くとか怖すぎる。
456名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 23:27:07.96 ID:???
>>452

波のプールに向かうまでにシンジは何か変な視線を感じた。
いや、アスカのような美少女と一緒に歩いていると、アスカに視線を向けられることはしょっちゅうで、
それは幾ばくかの優越感と、居心地の悪さを提供してくれる。
それには慣れてきたけれど…、今日、今感じている視線はそれともちょっと違う。
アスカは気づいていないみたいだけど、この違和感のようなものはなんだろう…?

波のプールに入って、シンジは気がついた。周りの、特に男達が、アスカに注ぐ視線。その視線の先を辿って、
そこに何があったのか。
457名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 23:28:23.72 ID:???
>>456
「アスカ!」
数メートル先のアスカの手を取り、シンジは言った。
「出よう、アスカ」
「え?え?何?どうして?」
アスカの驚いた表情と声に答えず、シンジはアスカの手を引いて、有無を言わさず歩き出す。
「ちょ、ちょっと、どうしたっていうのよ!今来たばかりじゃないの!」
怒り出すアスカ。それにも答えず真っ直ぐに更衣室に向かうシンジ。
「何よ、ちょっと待ちなさいよ!」「…」「待ちなさいよ!」「…」「手、離してよ」
「手ぇ離せ!」
更衣室の前まで来て、無理矢理手を引きはがすアスカ。立ち止まってアスカを向くシンジ。
「どういうつもりよ、折角楽しくなってきたっていうのに…」
アスカの怒声の中、シンジはバスタオルをアスカにそっとかける、というか巻く。腰に。
「…」「え?聞こえない」
シンジはアスカを抱きしめるように近づくと、耳元でそっと囁く。
「…透けてるよ」
一瞬、なんのことか分からず、きょとんとしたアスカだったが、次の瞬間、自分の水着を見て、
ヘソの下、足の付け根のあたり、そこに影が浮き出ているのを見つける。
風が舞う。少しの間があって、喧噪の中、ささやかながらも悲鳴が上がる。
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
458名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 23:29:13.66 ID:???
>>457
「…ごめん」「…」
帰りの電車の中。アスカは無言で俯いたまま、一言も喋らない。
「もっと早く僕が気づいていれば良かったんだよね…ごめん」
「でも大勢の人がいる前であんなこと言ったら、アスカ傷つくかな…とも思って…ごめん」
黙ってかぶりを振るアスカ。
結局駅に着くまで、アスカは一言も喋らず仕舞い。
駅に着くとアスカは黙ってトイレに向かう。見送ることしかできないシンジ。
「…はぁ…頑張って選んだのに…なんでこうなるの…」
ショックだった。白い水着というところでもっと用心しなくてはいけなかったのかもしれない。
いや、そうではない。正直、シンジになら見られても良かった。いずれはそうなるんだろうな、と思ってもいるし。
ただ、他の誰とも知らない奴等に見られたであろうことが、それがなによりもショックだった。
そして、このショックは誰にも癒すことは出来ない。泣き出したい気持ちを抑えるのに必死で、
シンジを困らせてしまったのもアスカにとっては辛いことだった。
出来れば1人になりたい、そう思ってトイレに入った。シンジのことだから、
1人で先に帰ることはあり得ない。何分でも何時間でも自分のことを待っている筈。
せめて、少しだけでも気持ちを落ち着けないと…。
459名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 23:30:05.05 ID:???
>>458
20分ほどして、トイレからようやく出てきたアスカを出迎えたシンジが、黙ってアスカに差し出したモノ。
黙ってシンジを見るアスカ。
「アイス。食べる?」シンジがはにかんだような表情で言う。
コンビニのビニール袋の中に入っていたのは、スイカバー。
「…なんでシンジがあたしの好きなアイス知ってるの?」
「え…いや、なんとなくだけど、アスカならこれかな?って…」
その瞬間、何かがふっと落ちていく気がした。
なんだ、目の前にいるこいつは、あたしが思っているより何倍も何十倍もあたしのこと、分かってるんだ、
アスカは、そう思えた。いや、確信した。だから、笑った。
「アハハハ、ありがとシンジ。なんか救われたわwww」
今度はシンジがきょとんとする。
「いや、終わり良ければ全て良し、ってことよ」
その笑顔に、よく分からないまま、シンジも笑顔になる。
「良かったぁ…。怒ってるのかと思ってすっごい不安だったんだ…」
「なんであたしが怒らなきゃいけないのよ。むしろお礼を言わなきゃじゃない?」
「いや…だってさ、気づくの遅れたし…その…み、見えちゃったし…」
瞬間、顔が真っ赤になる。それを誤魔化すために、思い切りシンジの背中をひっぱたく。
「痛っ!痛いよ…いきなり叩くなよ…」
「ごめんごめん、変なこと思い出させるんだもん」
「…うっ…ごめん」
「だからぁ、謝らなくていいんだってば。…あ、でもこのアイス、だいぶ溶けてるわよ」
460名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 23:31:19.75 ID:???
>>460



「ふぅ…だいぶ奇麗になったかな…」
デッキブラシで大浴場を掃除していたシンジは、ふと腕時計を見る。まだ午後3時だ。
「ほんとなら、まだプールで遊んでいたんだよな…」
アスカとは仲直り出来たけど、それがちょっと残念でもある。
予定よりかなり早く寮に戻ってきてしまったシンジは、
とりあえず明日やろうとしていた風呂場の掃除にとりかかっていた。

ガラッ「シンジ、手伝うわよ」

現れたアスカを見て、シンジは驚く。

「ア、アスカ、その格好…」
「ん?だってお風呂掃除でしょ。水着でもいいじゃない。」
「え、だってその水着、透けちゃ…」
「いいのよ、他に誰もいないし、ここはそんなに明るくないし、それに…シンジになら見られても…///」
なんて言っていいのか分からなくなっているシンジに、更にアスカが追い討ちをかける。
「シンジも水着に着替えてきなさいよ。掃除終わったら、そのまま水張れば、これ、
ちょっとしたプールよプール。」
461名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 23:33:39.98 ID:???
>>460
「…で、さっきの続きなわけだね」
「そう。我ながらナイスアイディアだと思うわ」
水を張った大浴場は、泳ぐことは出来ないまでも、
身体を伸ばしてのんびり浮かんでいるくらいには十分な広さがあった。
「さっきの混雑を考えたら、このくらいの広さでも十分よ」
足を伸ばして少しバタ足気味に水を叩くアスカ。
「…まあ、確かにそうかもね。でも、バレたら大変だよ。」
「大丈夫よ、だって寮は今週いっぱいは閉館中でしょ。誰が来るっていうのよ?」
「…うーん…昨日は食堂のおばちゃんが夕方様子を見にきたけど…」
「そんなの風呂入ってる振りすればいいじゃない。実際ここはお風呂なんだし。」
「アスカの声が聞こえたらマズイだろ」
「じゃあ黙ってる」
「…それも寂しいな」
462名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/13(火) 23:34:27.97 ID:???
>>461
ふいに、仰向けに浮かんでいるシンジの背後から、手を回して抱きつくアスカ。
「まだちゃんとお礼、言ってなかったわね…。ありがとう、シンジ。」耳元で囁く。
え、とシンジが振り返る。その拍子に、唇と唇がふっ、と触れ合う。
「!!!」
お互い驚きの表情を見せるが、でも2人は離れない。やがて、ゆっくりと2人は向き直り、
そのまま今度はゆっくりと、しっとりとキスをする。
それは2人にとって、お互いに初めてのキス。

「…大好きだよ、アスカ」
「…うん、知ってる////」

抱き合う2人。午後の日が傾いていく中、いつまでも抱き合う2人。

「ねぇ、あたしもこのまま寮にいていいかな?」
「そうしてくれると、僕も嬉しいよ。」
「ありがと。とりあえず…お腹が空いたわ。なんか作って。」
「…アスカ」
「何?」
「なんていうか…、それアスカらしいけどさ、雰囲気ぶち壊しだよw」
「ぷー」
463265:2013/08/13(火) 23:36:09.35 ID:???
すいません、1箇所アンカー間違えました(´・ω・`)
プール編、おしまいです。スレ汚し失礼いたしました。
そろそろROM専に戻ろうかと思っておりますが、また何か出てきたら投下するかも。
464名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/14(水) 01:54:39.87 ID:???
おっつおつよ
465名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/14(水) 03:13:21.02 ID:OyzfArFL
投下記念age
いいねえいいねえ
466名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/15(木) 15:22:28.50 ID:???
乙した〜
467名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/15(木) 16:20:13.15 ID:tTwUIWu7
ありがとう
468名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/20(火) 22:55:17.05 ID:???
プール編おつでした。
エヴァ板全体に過疎ってきたね
LAS成分補給できるスレも少なくなってきたけど
小ネタでも盛り上がらないかな
>>432
の作者さんもゆっくり書いてね。
469名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/21(水) 02:49:06.87 ID:???
ごくたまに小ネタを投下してた者ですが、この度、このスレの職人さん達の見よう見まねでSSにチャレンジしてみました。
読みづらくてすいません。

夏休みもあと残すところ10日。明城学院附属は県内有数の名門校だけあって夏休みの宿題はどっさり。
まだ何も手をつけていない呑気な学生も、そろそろ危機感を覚えてペンを持つ頃。
この二人はというと、割と早い時期からとりかかっていたのだが…。
 シンジ「まだこんなにあるんだ…本当にあと十日間で終わるかなぁ…」
 アスカ「なーに弱音吐いてんの。このくらい、お茶の子さいさいよ!」
最近はシンジを女子寮の自室に招いて勉強会(建前)を開くのがアスカの日課になっていた。
女子寮は男子禁制なのだが、夏休みで大半の学生が帰省していることもあり
近所迷惑になるほど騒いだり、何か事件を起こさない限りは基本的に黙認状態であった。
 アスカ「次は物理やるわよ。○○ページからね」
 シンジ「えっと…熱膨張率…?こんなの習った覚えないよ!酷いや、リツコ先生…」
 アスカ「熱膨張ねぇ…あたしの胸も、暖めれば大きくなるのかな?」
自分の胸に目をやったあと、上目遣いでチラッとシンジを見つめるアスカ。
 シンジ「知らないよ、そんなこと…」
テーブルに向いたまま溜め息交じりに言った。
 アスカ「な、なによそのやる気ない反応は!なんかムカつくわね〜」
シンジの態度も無理はない。最初の頃はこの調子でアスカがシンジをからかい、「なんちゃって!」をして
その度にシンジが耳まで真っ赤にしていたのだった。いつもならそれで集中力が切れ、
気が付けば二人でゲームやテレビに熱中しているのが常だった。宿題が進まないのも当然といえば当然といえる。
しかしシンジもさすがに学習したのか、今回は軽くあしらった。アスカにしてみればあまり面白くない。
しばらく互いに無言になり、カツカツと文字を書く音だけが部屋に響いた。
470名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/21(水) 02:59:44.49 ID:???
>>469 
 シンジ「ふぅ…少し休憩しない?なんだか喉が渇いちゃってさ」
 アスカ「…あっそ。勝手にすれば?」
きつい口調で吐き捨てるように言う。アスカの顔を見上げると、どこかムスッとしているように見える。
 シンジ「アスカ、なんか怒ってる…?」
 アスカ「…興味ないみたいに言われると、プライド傷つくのよね」
 シンジ「へ?なんのことだよ」
 アスカ「ねぇシンジ、あたしの胸…触ってみる?こう見えて結構大きいのよ」
 シンジ「なっ…ま、また僕をからかう気だろ!も、もうその手は通じないからなっ!」
 アスカ「ふーん、せっかくのチャンスを無駄にするのね?」
 ズイッとシンジに近寄るアスカ。胸元の開いたワンピースから谷間を覗かせている。
 シンジ「えっ…ちょっ、アスカ……う、嘘だろ?そっそんなこと…急に…その…///」
思わず谷間を凝視してしまうシンジ。胸の膨らみに吸い込まれそうになる。
どうせまた冗談に決まってる、と思いながら心のどこかで期待している自分がいる。
 アスカ「なに?怖いわけ?ただ服の上から触るだけなのに。やっぱりあんたって臆病なのね」
 シンジ「べっ…別に怖くなんかないよっ!!///」
 アスカ「ふーん、じゃあ触ってみなさいよ」
そう言うと、シンジの前にちょこんと座り、クルッと体ごと後ろを向く。
明らかに普段のからかいとは様子が違う。予想外の出来事にシンジはテンパってしまう。
 シンジ「ア、アスカ…ほ、本気…なの?///」
 アスカ「ほら…はやくぅ」
好きな女の子の背中を前にして葛藤する。短い時の中で、様々な思いが交錯する。
相手から誘われたとはいえ、仲良くなってまだ数ヶ月の女の子の体に、こんなノリで触れていいのだろうか。
しかもここは女子寮の一室だ。自分はまだ高校一年生だ。なんだかいけない事をしている気がする。
なんともえいない背徳感に包まれる。心臓の音が聞こえるんじゃないかと思うほど鼓動が高鳴る。
アスカの髪の毛からほのかに甘い香りが漂い、更に正常心を、理性を狂わせる。
ここまできてやっぱりやめようなんて言えない。逃げちゃだめだ!
もはや16歳の少年シンジに、内なる欲求を抑制する術はなかった。
471469:2013/08/21(水) 03:18:35.95 ID:???
今回はこれだけです、続きはまた後日投下します。失礼しました。

>>432
予告の職人さん、いつも楽しく拝見させてもらってます。続き楽しみにしてますね。
僕も続きはいつ投下できるか未定なんで、僕の事は気にせずに完成したら投下してくれたらと思います。
>>463
プール編おつかれさまでした。楽しく拝見させてもらいました。
またなにかいい案が思い浮かんだら是非お願いします。

お二方のSS、とても刺激を受けました。失礼ながら、形式など少し参考にさせて頂きました。
472名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/21(水) 18:34:56.78 ID:???
続き期待
シンジに興味無いような態度とられて不機嫌になるのが、貞アフターっぽいね
473名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/24(土) 22:54:47.98 ID:???
まだかな…
474名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/27(火) 22:43:35.10 ID:???
高校生LASだと性絡みのネタも多くなるのかな
好き嫌いはあるだろうけど色々職人様ありがとう
プロバイダ規制で感想書き込めない人多そうね
475名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/28(水) 00:05:54.83 ID:???
あのー、ここの職人さんに提案というかお願いとでもいうか・・・・・
思いっきりシンジに甘える、甘えん坊なアスカが見てみたいです

基本的にアスカがシンジにキツく当るのは
アスカのシンジに対する、自分を見て欲しい、かまってほしいなどの気持ちの裏返しで
シンジに甘えてる状態なんだよね
二人きりになってムード満点状態でデレたアスカなら我々が直視できないほど恥ずかしくなるような
甘え方するんじゃないかと・・・・・否!するはずだ!w
そんなアスカに期待してますですハイ
476名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/28(水) 01:21:58.72 ID:???
ぴとっ

シンジ「ん?」

アスカ「う゛……な、何よ!2人きりなんだからいいでしょ!///」

シンジ「べ、別に何も不満なんて言ってないじゃないか」

アスカ「ホント……?じゃあ、もっと『ぴとぴと』していい?」

ぴとっ

シンジ「うぁ。僕の答え聞く前に……」

アスカ「ふ、ふふふふふ///」

ぴとぴとぴとっ

アスカ「ね、次は『ふにふに』していい?」

シンジ「え。いいけど……その次は『くにゅくにゅ』?」

アスカ『うーん。我慢出来ないし、3個飛ばして『ちゅむちゅむ』する///』
477名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/28(水) 17:10:13.59 ID:???
>>475
デレッぱなしジャーマンか…
478名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/28(水) 22:07:20.31 ID:???
夏休みで誰もいない明城学院寮のシンジの部屋での甘えん坊アスカはよ
479名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/28(水) 22:42:57.49 ID:???
シンちゃんダンスはいかんぞ
世界が滅びる
480名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/28(水) 23:39:34.68 ID:???
ら〜ぶりピッ!ピッ!
481名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/29(木) 09:18:49.13 ID:???
「既に完成しているプロット」
「しかしとれない時間が作者に焦りを生む」
「書きたいのにまじで時間ない」
「膨らんだ妄想の吐き出し場所に困りつつある毎日は」
「心をデストルドーに導いていく」

予告風に言ってみてるけどまじ残業とか仕事の付き合いで公私ともに死にたいほど時間ないんです(;´Д`)ボスケテ
予告したものの投下できてなくて本当にごめんなさい。というか、自分でも書きたいのに書けなくてまじ泣きそう。
マr…もとい猫の手も借りたい状態ですが、日曜夜にはなんとか少しでも投下できるように頑張ります(´Д`;)ヾ


>>463
プール編キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
まじもう世界とか補完されろって思いつつある心が癒されました。ありがとう。

>>471
なんか刺激受けるとか言われると恥ずかしいのです。
でもやっぱり作品に癒されました。ありがとう。

小ネタの人たちもまじでありがとう。なんか気力が補充されました。
482名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/29(木) 23:15:16.07 ID:???
とりあえずプール編の次は甘えん坊アスカちゃん期待してるお
やっぱ男子寮のシンジの部屋でイチャイチャするの?
483名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/31(土) 02:36:22.69 ID:???
シンジと二人きりになったアスカはどんな甘え方するんだろう?
484名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/31(土) 17:28:51.17 ID:???
そりゃ勿論らーぶり(ry
485名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/31(土) 17:46:23.49 ID:???
完璧に付き合う事になったら、
物凄くベッタリになりそうだなw
486名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/08/31(土) 20:10:40.55 ID:???
単行本でその後を少しでも見たい
487名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/01(日) 01:41:39.93 ID:???
なんかシンジにおもいきり甘えてるアスカのイメージが
少しづつ頭の中で出来上がりつつあるんだが
オレには肝心の文章力が全く無いのがなぁ・・・・・・
それよりもまず考えてる途中でこっちが恥ずかしくなってきて
とても文章書ける状態じゃなくなってしまう
488名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/01(日) 22:13:16.53 ID:???
夏休みで誰もいない男子寮のロビーのソファーに座りながら談笑するシンジとアスカ
ふとアスカは持ってきたアーモンドチョコの箱から一個だけチョコを取り出すと
包んでいた包装紙を剥がして口に運んだ
アスカ「ねえシンジ」
シンジ「なんだいアスカ」
クスッと笑いながらアスカは手に持っていたアーモンドチョコを半分だけ口に咥え
シンジの顔の前まで突き出す
アスカ「ん・・・・・」
シンジ「ア、アスカ!?・・・・何だい?」
きょとんとした不思議そうな顔のシンジ
アスカ「何ってチョコあげてるだけでしょ・・・・早く食べなさいよね////」
シンジ「えっ、まさか口移しで?あ、いやその・・・・・」
耳や顔を真っ赤にしながらオロオロするシンジ
アスカ「んもうっ、ここには誰もいないから別にいいじゃない!」
シンジ「あ・・・いやそう問題じゃなくてさ・・・・突然アスカがそんな事するから・・・・」
更にオロオロするシンジを見て少し悪戯な笑顔で微笑むアスカ
アスカ「そう、アタシとじゃイヤなんだ・・・・」
少し拗ねた仕草をするアスカ
シンジ「そっ、そんなことないよ・・・・!」
アスカ「じゃあ大丈夫ね・・・・シンジ・・・・」
そう言うと突然アスカは抱き寄せるようにシンジの顔を引きつけた
アスカ「シンジ・・・・・ん・・・・・」
勢いよく引きつけられたシンジはアスカの口に半分咥えられてたチョコに口をつけた
それと同時に重なる二人の唇・・・・・その重なった二人の唇の間で
アスカとシンジは少しずつチョコを溶かしながら食べていく・・・・・・
489名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/01(日) 22:17:55.71 ID:???
やっぱ書くのやめとくわ
オレじゃダメだわw
書いてて恥ずかしくなってきた
そんな訳だから>>488は無しの方向でw
490432:2013/09/02(月) 05:38:50.64 ID:???
「ねえ、こういう所とかはどうかな?」
「意見は言うけど決めんのはあんただからね?ちゃーんとエスコートしなさいよ?」
「う、うん。わかってるよ。そう言う約束だしね」
 明城学院学生寮シンジの部屋。シンジとアスカの二人は床に広げた雑誌の数々を眺めていた。
 床にすわり、肩が触れ合うほどの距離。
「詳しいプランとかは聞かせなくていいからね?それも含めて楽しみにしてるんだから」
 きっかけは夕食時にシンジがアスカにそれとなく好みのデートコースを聞き出そうとしたことだった。
とはいってもこういったことには不器用なシンジなのでばればれであり、案の定アスカにはあっさりと指摘され、それならばいっそと一緒に考えている言う訳である。  
 最初は夕食後に寮のサロンでデートプランを練っていたのだが、その空気に耐えかねた他の寮生たちに自分たちの部屋でやれと追い立てられたのだ。
「こういうとこ結構ロマンチックよね」
「どこ?」
「だからここ」
 どこかのレストランの窓からの景色。そこから見えるきれいな夜景の写真をアスカは指差す。
「確かにきれいだけど……僕のお小遣いじゃちょっと厳しいよ……」
 苦笑いを浮かべるシンジだ。
「あんたの財布の中身くらいお見通しよ。だからここに行きたいとは言ってないわよ。あくまでこういう感じって意味。あ、こっちもいいわね」
 そう言って写真を覗き込むアスカと頬が触れ合いそうなくらいの距離になる。
(わっ、アスカの顔がこんなに近くに……)
 シンジはもう写真を見てはいなかった。アスカの横顔に釘付けになっている。
(アスカの横顔、きれいだな……肌も……目も……唇も……)
 シンジの反応がない。文句を言おうとシンジの方を向いた。
(ちょっと!なんでそんなに見つめてんのよ!あ……シンジって意外と睫毛長いんだ……男なのに肌もきれいだし……)
 見つめ合う格好になってしまう。視線に気付かれてしまったシンジは顔を赤らめる。アスカの顔も赤い。
 シンジはアスカから目を逸らさなかった。というよりも逸らせなかったという方が正しい。
 アスカもまたシンジから目を逸らすことができなかった。二人の胸の鼓動は相手に聞こえてしまうのではないかと言うくらいに上がっている。
491432:2013/09/02(月) 05:39:24.10 ID:???
(アスカ……)
 魅入られたように少しずつ少しずつ、どちらからともなくお互いの顔が近付いていく。
(シンジ……)
 売るんだ瞳のアスカの唇が少し開かれ、アスカの両手がシンジの胸に触れる。
 それに呼応するかのようにシンジの手がアスカの肩を引き寄せようと掴んだ時―――アスカは我に返った。
「ま……まだだめええええええええええ!!!!」
 思わずシンジを力いっぱい突き飛ばしてしまう。
「キ、キスとかちゃんと言ってくれてからでないとやだ」
 動悸が止まらない。顔が赤いのは自分でもわかる。危なかった。流されてしまうところだった。
「い、いたた……ご、ごめん……」
 突き飛ばされたときに頭を打ったのか、後頭部をさすりながら涙目でシンジは謝った。だが顔が赤いのは痛みからだけではない。
「そのためのデートなんだからね?」
 顔を真っ赤にしたままアスカは唇を尖らせてシンジに釘を刺す。
「う、うん」
 同じく赤い顔のままシンジは頷いた。
「先に言っとくわよ?あの言葉もその時までに言ったら怒るから」
「わ、わかった」
「まったく油断も隙もないんだから、このエロシンジ」
 そう言ってそっぽを向いたアスカの顔もはやはり真っ赤なままだった。
492432:2013/09/02(月) 05:41:22.93 ID:???
「う〜〜〜〜〜〜!!!!」
 枕に顔を埋め足をじたばた。
 部屋に戻ったアスカはただ今やり場のない熱の発散に苦闘中だ。
「シンジのやつシンジのやつシンジのやつううううう!!!」
 危なかった。普通にキスしそうになった。
 別にキス自体がいやな訳ではない。むしろ望むところだ。
 だがアスカには希望の展開があったのだ。
 告白はデートの時に。先日この約束をしたあと、部屋に戻って一人妄想したデート。
 景色のいい場所、夕日のきれいな時間。シンジの告白を受け止めて、唇で想いを交わす。これだ。
 なにしろ自分とシンジの初デートだ。そのままドラマになってもおかしくないものでなくてはいけない。
 もちろんそこに至るまでの経緯も誰もがうらやむロマンチックで完璧なものであるのが望ましい。
 アスカは固くそう思い込んでいる。思い込んでるというよりもそうなるに決まっている信じているといった方が正しいかもしれない。
「全く……危なく流されてしちゃいそうになっちゃったじゃん」
 その完璧なるデートより先に何かあってはいけないのだ。
 壁にかかったカレンダー、次の日曜日のところにつけられたハートマークの印。アスカはため息をつきながらそれを見つめていた。
493432:2013/09/02(月) 05:42:11.85 ID:???
「う〜〜〜〜〜〜!!!!」
 床に座って頭をかきむしる。
 シンジも絶賛苦悩中だ。
「だってしょうがないじゃないか!」
 勝算100%の告白。その相手があんなに無防備に隣にいた。
 流されそうになるのは、高校生男子としてはある意味健全な証拠と言えるかもしれない。
 一度好きだと自覚してしまうと気持ちはどんどん膨らむばかりだった。
「アスカだって途中までその気だったくせに」
 なのに今は好きとさえ言ってはいけない。ならばとかわいいとかきれいと言えば照れて叩かれる。
(それでも……あの顔には勝てねーよ……)
 真っ赤になってそっぽを向くアスカの顔を思い出していた。約束通り「その日」まで言葉もキスもお預けだ。
 伸びをするように両手をあげてそのまま床に倒れ込む。
 ふと、床に散らばった雑誌のページが目にとまる。シンジはそのページに写っている写真から目が離せなくなった。
「ここだ……ここにアスカと行きたい……ここがいい」
 シンジは飛び起きると一心不乱にデートプランを練り始めた。アスカとの最高の一日にするために。

 何度となく思い描いたデートシーン。寝る前のリピートを終えるとアスカは目を閉じる。
 ようやく思いついたプランを練り終わったシンジはカレンダーについた丸印を見つめる。
「「早くデートの日にならないかな」」
 離れた部屋にいるにも関わらず二人はぴったり同じタイミングでそう呟いた。
494432:2013/09/02(月) 05:54:14.09 ID:???
おはようございます。ずいぶん遅くなった割に短めですがいったん投下させてもらいました。
日曜夜とか言ってたのに月曜早朝って辺りも何とも。
続きは今週中にがんばります。

>>463
ROM専に戻るなどと言わずにまた何か思いついたら書いてくださいw
いつも楽しませてもらってます。

>>489
ここで終わりとか許されないよ!w
495名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/02(月) 06:02:20.08 ID:???
書いて下さる職人さん、皆さんに感謝!

予告の職人さん、ありがとう。
待ってました!
496名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/03(火) 23:05:09.45 ID:???
>>494
乙でした
デートを楽しみにする二人・・・・・こういうのって2828できて本当にいいなぁ


あー・・・LASも画像を含め小説読んでるだけなら問題ないしむしろもっと来いって感じだけど
実際に自分で書くとなると段々と恥ずかしくなってくるんだよなw
頭の中で二人のイチャイチャを妄想するのが限界ッス
これを文章にしろだなんてガチでもう無理でごあすw
497名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/03(火) 23:54:00.23 ID:???
イイヨイイヨー
498名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/04(水) 00:26:37.59 ID:???
おっと寝る前に覗いてみたら職人様何人も来てますね
>>488
の作者さんも恥ずかしがる事はないと思いますよ。
続きはずかしいんでしたらツン系で別作品書いてみては?

432氏も乙です。時間ない所ありがとうです
毎回楽しみに読ませていただいてます
499名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/04(水) 23:19:11.70 ID:???
もうLAS不足で倒れそう
職人様の方々、早くこの私に恵みのLASを!
500名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/06(金) 00:18:53.48 ID:???
甘えん坊アスカちゃんはよ
501名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/06(金) 20:10:27.50 ID:???
最終回だけで満足だ
502名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/07(土) 01:00:18.45 ID:???
むっさこのスレ職人様のレベル高いですね
503名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/08(日) 03:05:44.62 ID:???
まだかな…
504名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/08(日) 03:28:05.82 ID:???
>>488
口の中に広がる溶けたチョコを食べ尽くした二人
全身の力が全て抜けそうなほどの甘くとろけるようなキス・・・・・・
アスカの温かく柔らかい唇の感触が伝わってくる

突然のアスカの行動にシンジはドキドキしながら少し混乱していた・・・・・
夏休みに入る直前にアスカに告白し、そこでお互いに初めてのファーストキスをした
今では恋人同士となった二人は夏休みに入るといつも一緒であった
二人が同じ時間を過ごす機会が増えるとアスカもだんだんと甘えてくるようになってきた
アスカは本当に甘えん坊だ。
照れながらもそんな可愛いアスカに甘えられるのが嬉しかったシンジだったが
突然のアスカの大胆な奇襲攻撃には正直なところ驚いていた。

アスカ「クスッ・・・・シンジ・・・・」
少し頬を紅く染めた表情で微笑むアスカ
可愛い・・・・・なんて可愛いんだろう
あまりにも可愛すぎる上目遣いでシンジを見つめるアスカを
シンジは無意識のうちに抱き締めていた。
アスカ「ねえ、チョコおいしかった?」
シンジ「おいしかったよ・・・・・すごく」
優しい笑顔で彼女の目を見つめるシンジにアスカは可愛らしい笑顔で微笑み返す
アスカ「今度はシンジから・・・・ん・・・」
シンジ「えっと・・・・今お菓子は持ち合わせていないんだけど」
アスカ「違うの、アタシはお菓子よりもおいしい物が食べたいの」
シンジ「え?」
アスカ「シンジ、アンタの唇よ・・・・」
言葉の意味を理解したシンジは
瞳を潤ませたながら甘えたそうな表情のアスカにキスをした。
505名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/08(日) 03:30:29.92 ID:???
>>504
キスをした瞬間、アスカはシンジの体をギュッと強く抱き締めた。
アスカ「シンジ、アタシのこと好き?」
優しく微笑みながらアスカの髪をそっとなでてシンジは囁いた
シンジ「好きだ、大好きだ・・・・愛してるよアスカ」
アスカ「嬉しい・・・・アタシもシンジが好き、愛してる。とっても幸せ」
アスカはそう言いながらシンジの胸に顔をうずめて嬉しそうに甘えてきた
アスカ「ねえ、絶対にアタシのこと離さないでよ・・・」
シンジ「離さないよ絶対に・・・・・ずっと離さない」
シンジはアスカの細いな身体を包むように優しく抱き締めた
アスカ「シンジ・・・・・」
幸せいっぱいのアスカは全身の力が抜けて、シンジの体にもたれかかるように抱きついて
彼の胸の温もりを感じながら顔をうずめていた
シンジ「僕はキミとずっと一緒さ。
    大好きなアスカと一緒ならどんな事があっても大丈夫だよ・・・・アスカ」
アスカ「シンジ・・・・ありがとう」
大きな青い瞳から大粒の涙をポロポロとこぼしながらも嬉しそうに無垢な笑顔を見せるアスカ。
無邪気な子供のように甘える彼女を見つめながら、世界で一番愛してるアスカをこれからもずっと守っていくんだ・・・・・
そう思いながらシンジは更にアスカを強く抱き締めた
506名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/08(日) 03:38:45.05 ID:???
ひとまず今回の「チョコレートLOVE編」は終了
とりあえず恥ずかしいのに耐えながらも最低限の責任は果たしたぞ!w

でもやっぱ書いてるとだんだんと恥ずかしさが倍増して
脳味噌がオーバーヒートどころかエンジンブロー起こしてしまったw
もう全身が痒い痒い!
暫くは休養をもらうことにする
とにかく後は他の職人さんの小説読んで2828しながら楽しませてもらうわw
そんじゃまあ、おやすみー!
507名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/08(日) 03:42:45.46 ID:???
ありがとう!
此方ムズムズしながらも癒されました!
508名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/08(日) 03:43:45.52 ID:???
お疲れ!お休みzz
509名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/08(日) 13:42:44.61 ID:???
おつおつおつ!
510名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/08(日) 20:27:06.88 ID:???
ラヴラヴ小説はよ
511名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/09(月) 23:20:36.12 ID:???
シンジ君とアスカちゃんはいつでもイチャイチャ
ついでに新劇Qのアスカちゃんもシンジ君と手をつないで脳内では仲良くデート中


職人の方々、続き楽しみにしてます
てか早く読みたい
512名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/11(水) 00:27:20.19 ID:???
深刻なLAS不足です
なにか処方箋を!
513名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/12(木) 00:31:50.67 ID:VfAHnLcZ
催促age
514名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/13(金) 23:14:55.72 ID:???
まだかな・・・・・
515名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/15(日) 05:47:09.49 ID:MlIwEffB
wktk
516名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/15(日) 22:29:49.07 ID:???
雑談しながら投下待つかあ。
最近エヴァ関連情報あんまりないからなー過去のss
読み漁ってる
517名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:38:31.06 ID:???
>>505
朝――――
微睡みの中でアスカは昨日の男子寮ロビーでの出来事を思い出している
シンジとのチョコレートキス・・・・そしてシンジからの愛の告白
昨日の出来事を思い出すと枕をギュッと抱き締めながら嬉しさでベットの上をゴロゴロと転がった
『シンジったら、アタシのこと愛してるって・・・・・・』
シンジから告白された事実に顔を真っ赤にして更にゴロゴロと寝返りをうつ
「シンジ・・・・・」
彼の名前を呟くだけでアスカは自然と顔の表情が綻んでくる
「うーん・・・・でも夏休みだからって呑気に寝てられないわ!」
朝が苦手で休日などはいつも起きるのが遅いアスカだったが
シンジと付き合うようになってからは早くシンジに会いたい
早くシンジに会っていっぱい甘えたい一心からか
AM7:00にセットした目覚ましよりも早く起きるようになっていた
ベットから降りカーテンを開けると窓の向こう側に男子寮が見える
シンジの部屋はまだカーテンが閉まったままだ
「シンジの奴まだ寝てるのかなぁ・・・・・どんな寝顔してるのかな」
窓の外から見えるシンジの部屋を見て、ぼーっとした顔で色々と考えてしまう
「あぁーっ、もうっ!」
自ら妄想状態を振り切り正気を取り戻そうと顔をブンブンと振るが
表情は相変わらず緩んだままだった
「さ、さて!朝ご飯でも食べようっと」
改めて気を入れ直し背伸びをしながら朝食を取るためにテーブルへ向かった――――
518名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:40:49.34 ID:???
>>517
朝食後に服を着替えて顔を洗い、鏡に向かって軽く化粧をして髪を梳いたアスカは気合を入れる
「よし!今日も可愛く仕上がったわね!これでシンジをもっと虜ししてみせるわ!」
鏡を見ながら念入りにファッションチェック
「待ってなさいよシンジ、今日も頭がとろけるくらいメロメロにしてやるんだから」
今日はどんなふうにイチャイチャしようかと想像すると頬を赤く染め思わずニヤけてしまう
「アスカ!行くわよっ!」
支度も済み気合を入れ直し部屋を出ると、偶然自分の部屋から出ようとしたクラスメイトの洞木ヒカリがいた
アスカ「あ、ヒカリじゃない!どうしたの、夏休みは実家に帰ったんじゃなかった?」
突然声をかけられたヒカリは一瞬驚いた表情を見せたが、声の主がアスカと分かると笑顔の表情になった
ヒカリ「アスカ!あのね、寮に忘れ物があったから取りに来たの」
女子寮も方も例外なく夏休みの間はみんな実家に帰っていた
519名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:41:58.99 ID:???
>>518
ヒカリ「アスカこそこんな朝早く起きるなんて珍しいわね。
    それにしてもアスカの家ってここからは遠くなかったはずだけど
    夏休みなのに家に帰らないのは何故な・・・・・あ、そうか♪」
ヒカリは少しニヤリと笑いながらアスカの顔を見て
ヒカリ「やっぱり夏休みの間も碇君と少しでも一緒にいたいから寮に残ってるんでしょ?」
アスカがこの問いに一体どんな反応するのかヒカリは興味しんしんで顔を少し覗き込む
アスカ「な、何言ってんのよヒカリ!ち、違うわよ、ほ、ほらこの辺って色んな店やデパートが沢山あるじゃない!?
    遊びに行ったり買い物に行ったりするのに便利だし退屈しないからアタシは気に入ってる訳よ!
    だ、だからさシンジは関係な・・・・・い・・・・・(ゴニョゴニョ)」
思い切り図星を突かれたアスカは平静を装おうとしたが
昨晩シンジとの甘い出来事の影響がモロに表情に出てしまい誤魔化すことができずヒカリにはバレバレであった
ヒカリ「ふーん、遊びに買い物かぁー・・・・・そうよね、
    ここなら場所的に充実した楽しい時間をいっぱい過ごせるわよねー・・・・碇君と一緒にね♪」
ヒカリにしては少し意地悪な指摘ではあったが、アスカの慌てふためく可愛い姿が見たかったがためのことだった
アスカ「も、もうっ!そ、そんなんじゃないわよっ!だからさぁー・・・・・」
通路上で二人の恋愛談義は約10分くらい続いた――――
520名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:44:14.18 ID:???
>>519
アスカはふとヒカリの持ってる鞄から見える女性週刊誌に目をやった
アスカ「あ、これ最新号の【janjan】じゃない。」
ヒカリ「うん。寮に向かう途中電車の中で読んでたんだけどさ、ファッション特集で可愛い服が載ってたの」
ヒカリは鞄からjanjanを取り出して今度はアスカとファッション談義を始めた
週刊誌を数ページめくっている途中、アスカはあるページのタイトルに目がとまる
アスカ「ちょっ、ちょっといい?えーなになに・・・・・・」
彼女が目を皿のようにして見ているページには【アナタの彼氏は大丈夫?今、若者の精子が減少している!?】
のタイトルが太字でデカデカと書かれていた
ヒカリ「ア、アスカ?ねえ、なんでこんなページ読んで・・・・・もしかしてまた碇君の事?やだ、もう・・・・・
    で、でもまさかとは思うけど碇君とはそのページの内容が重要になるほど関係が進んでるの!?」
アスカ「え、ええ!?ち、ちょっとやめてよ、そんなことするわけないじゃない!」
否定はするがアスカとしてはそのページの内容が気になって仕方が無い様子だった。
521名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:45:36.56 ID:???
>>520
ヒカリ「そ、そうよね。私の考え過ぎだったかもしれない・・・・・ゴメンねアスカ。
    変な質問したりして・・・・え、えっと、それもう電車の中で全部読んだからよかったらアスカにあげるわ。
    なんか気になる情報があるみたいだし・・・・・」
アスカ「あ・・・・ゴ、ゴメンねヒカリ。そうだ!今度お礼に何か奢っちゃうから!」
ヒカリ「いいわよ別に気にしなくても。碇君の事が心配になってきたんでしょ♪」
全て見透かしたように優しく微笑みながらアスカを見つめるヒカリだった。
アスカ「も、もうヒカリったら・・・・あっ、アタシもう行かなくちゃ・・・・またねヒカリ!絶対にお礼はするからねー!」
顔と耳を真っ赤にしながらヒカリにそう告げるとアスカは慌てるように走っていった。
ヒカリ「ハァー・・・・・でも羨ましいな。私も素敵な彼氏ができたらあんなふうに仲良くしたいなぁ」
寮と出るアスカの後姿を見ながら溜息を吐くヒカリであったが、やはりアスカの慌てる理由が気になる。
ヒカリ「まあどこに行くのかは分かってるけどね・・・・ちょっとだけ様子を見に行こうかな」
ちょっとワクワクしながらアスカの後をつけて二人が仲良くしてるところを見てみようと企むヒカリであった――――
522名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:46:56.25 ID:???
>>521
女子寮の向い側にある男子寮の門をくぐり抜け建物の中に入ったアスカが
シンジの部屋へ行こうとロビー奥の階段へ向かおうとした時、聞きなれた声に呼び止められた。
ミサト「お、アスカ!おはよう!どーしちゃったのぉーこんな朝早くからさぁー?」
アスカ「ミ、ミサトじゃない!なんでこんな所にミサトがいるワケ!?」
ミサト「こぉ−らっ!何ですか呼び捨てにして!葛城先生でしょっ・・・・・
    って言いたいけどぉ、まっ今日は教師として来てるわけじゃないしねー。
    寮監さんが急用でさぁ、私が代打でこの男子寮の管理を暫くの間任されたってワケなのよ。
    まあ夏休みだし、そんな事情もあるからミサトでいいわよん♪」
寮監室から出てきたシンジとアスカのクラス担任である葛城ミサトは、プライベートでは二人と家族のよう仲が良く
また友人のような関係でもあった
アスカ「へぇー、寮監さんとは昨日会ったわ。本当は男子寮に入れなかったんだけど夏休みだから特別に入れてもらったんだ。」
ミサト「まあ夏休みは基本誰もいないからねー・・・・・ってアスカは何の用事で男子寮に来てるの?
    もしかしてお目当てはシンジ君かなぁ〜?」
ミサトはニヤニヤした顔でアスカを見て尋ねてきた。
アスカ「べ、別に大した用事じゃないわよ!シンジに貸してた本を取りにきただけなんだから・・・・」
必死で誤魔化そうとするがミサトは信じようとはせず、むしろ全てお見通しといった顔だった。
523名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:48:11.76 ID:???
>>522
ミサト「あらぁ〜?どおしたの必死になっちゃってさぁ〜・・・・耳まで真っ赤にしちゃってぇー、もう可愛いんだからっ♪
    まあとにかく早く会ってきなさい。我慢してると体に毒よぉ〜♪」
アスカ「な、何よ!それが生徒の手本となるべき教師のすることぉー!?」
ミサト「シンジ君の部屋で変なことしちゃダメよぉ〜!あ、それと子供はまだ早いからねぇ〜♪w」
アスカ「もーっ!バカァーッ!」
ミサトにからかわれて動揺しまくりのアスカは顔を真っ赤にして逃げるようにロビー奥の階段へと向かった。
お腹いっぱい楽しんだミサトが寮監室へ入ろうとした時、そこへアスカの後をつけてきたヒカリとバッタリ会った。
ミサト「あらヒカリちゃんじゃないの。どうしたの?」
ヒカリ「葛城先生おはようございます。あ、そうだアスカがここに来てると思うんですが見ませんでしたか?」
ミサト「アスカならちょうど今来たばかりよ。シンジ君の部屋にいるけどね・・・・・今頃はラブラブタイムかしらねぇ♪」
ヒカリ「やっぱり、ウフフ・・・・」
ミサト「ん?やっぱりって、その笑い方を見る限りは・・・・」
ヒカリ「ええ、実は私もミサトさんと同じような事を考えて・・・・」
思惑は一致した二人は顔を合わせてニヤニヤしながら何やら密談をしていた。
ミサト「そうと決まれば善は急げよ!一緒に覗きにいきましょ♪」
ヒカリ「で、でも大丈夫ですかね?アスカはこういうことに関しては警戒心が鋭いですからね」
ミサト「だぁーいじょうぶっだってぇ!こっそり行けば見つからないってぇ!早速行くわよんっ♪」
ミサトはニヤニヤしながらヒカリを連れてシンジに部屋へ覗きに向かった。
ヒカリ『ほ、本当にこの人教師?大丈夫なのかしら・・・・・』
違う心配をしながらもその後に続くヒカリであった――――
524名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:49:23.89 ID:???
>>523
ミサトの奇襲攻撃からなんとか抜け出せたアスカはシンジの部屋の前にいた。
とりあえず軽く2回ドアをノックして中の様子を確かめる。
アスカ「シンジー、起きてるー?」
部屋からは返事はなくドアの鍵もかかっていなかったのでそのまま入ることにした。
アスカ「まだ寝てるのかな?シンジ、入るわよ」
ドアを開けて中に入るとベットでシンジが気持ち良さそうに眠っていた。
アスカ「やっぱり寝てたか。ふふっ・・・・シンジってどんな寝顔してるのかな」
シンジの寝ているベッドの脇にしゃがみ、頬杖をついてそっと覗き込み幸せそうな表情でシンジの寝顔を見つめていた。
アスカ「無邪気に眠っちゃって・・・・・本当、可愛い寝顔ね。」
そう呟き小さく穏やかに微笑んだアスカは指先でシンジの頬をツンツン優しく突いたり少しくすぐってみたりした。
シンジ「ん・・・・・アスカァ・・・・もう一生・・・・離さ・・・・きだよ・・・・」
突然のシンジの寝言に少しドキッとしたがスヤスヤと健やかな寝息を立てていたシンジを
母が子を見つめるような優しい目で見ていた。
525名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:50:50.94 ID:???
>>524
アスカ「シンジ?今何て言ったの?・・・・アタシの夢を見てるの?こんな嬉しそうに・・・・・フフッ」
シンジの顔に掛かる前髪を指先でそっと払ってやると何だか安心しきっているような子供のような顔に見えてきた。
アスカ「この寝顔はアタシだけのものなんだから・・・・
    他の誰にも見せたくない・・・・・アタシが独り占めするんだから」
シンジの幸せそうな寝顔をじっと見つめ、アスカもちょっとだけ幸せな気分になってきた。
アスカ「シンジ、起きて・・・・・朝よ。」
眠っているシンジの耳元で優しく囁き耳たぶを少し甘噛みして、やっとシンジは目を覚ました。
シンジ「んん・・・・アスカ・・・・」
アスカ「おはよ、シンジ・・・・・んっ・・・・」
アスカは半分目が開いたシンジの唇に優しく目覚めのキスをした――――
526名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 03:52:16.47 ID:???
>>525
アスカ「お目覚め?どう、アタシのおはようのキスの味は?」
シンジは頬を赤色に染め瞳をちょっぴり潤ませ少し恥ずかしそうにしていたアスカを見て優しく笑った。
シンジ「おはようアスカ・・・・・口の中に甘い・・・アスカの味が広がっていったよ」
シンジはお返しとばかりにアスカのおでこに軽く唇で触れてきた。
アスカ「やだもうっ・・・・シンジったら」
顔を真っ赤にしながら照れ隠しに寝ているシンジの胸に顔を擦りつけながら体をギュッと抱き締めた。
アスカ『シンジの温もり、シンジの匂いだ・・・・』
シンジの匂いに包まれて幸せなアスカは匂いを体いっぱいに吸い込んだ。
アスカ「ねえ、どんな夢見てたの?」
すこしまだ眠そうなシンジの唇にそっと指を当て、なぞりながら聞いてきた。
シンジ「アスカが夢に出てきたんだ・・・・・でも目が覚めた瞬間に内容忘れちゃったよ」
アスカ「なによそれー!自分だけ甘いラブラブな夢楽しんでさー!」
527名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 04:09:07.81 ID:???
>>526
ぷーっ、と頬を膨らましながら胸に顔を擦りつけた状態から上目遣いでシンジの顔をジーっと見つめた。
シンジ「仕方ないじゃないか。夢の内容なんて普通の人は殆ど覚えてないって言うじゃないか」
自分の胸に抱きついているアスカの頭を優しく撫でながら、そっとその髪を手で梳いてやった。
アスカ「んんー、まあいいわ。夢の中じゃアタシも手の出しようがないもん。
    じゃあこの現実の世界で同じ事やればいいじゃない。」
アスカはそう言うと寝ているシンジの左腕を両手で抱き締めてベットから起こそうと引っぱった。
アスカ『覚悟しなさいよシンジ!今日もいっぱい甘えてやるんだから!』
抱きついたシンジの左腕から伝わる温もりをひしひしと感じ、
シンジと同じ時間を一緒に過ごせる嬉しさで自分の体を火照らせたアスカの表情は幸せいっぱいであった――――
528名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 04:19:32.96 ID:???
ちょっと調子が上向いてきたので>>505の続きを投稿


しかし相変わらず背中が痒い痒いw
書いてて恥ずかしくなるのを克服するにはまだ時間かかりそう
やっぱ他の職人さんの作品読んで2828してる方が気楽だ
そんな訳で、そろそろ寝るわ
おやすみー!
529名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 04:22:58.92 ID:???
ありがとう!たまらんたまらん(AAry
530名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 04:31:35.91 ID:???
おやすみー
531名無しが死んでもアスカがいるもの:2013/09/16(月) 21:59:07.86 ID:1s2tiPG1
シンジ「子供になってる!」アスカ「シンちゃん遊ぼ!」
シンジ「何で子供になってるんだ!?」
アスカ「何言ってるの?シンちゃん?」
シンジ「アスカぁ!!何で居るの!?(ていうか、アスカまで子供になってる!しかもシンちゃんって)」カァー
アスカ「だってお隣さんでしょ?居て当たり前でしょ!」
とか書いて見たんんだが、誰かあと書いてくれないか
532名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/16(月) 22:28:31.80 ID:???
>>531
子供と化したアスカの姿にシンジが混乱していた頃
隣国から無数の核ミサイルが世界中に発射された
シンジとアスカは核攻撃時の閃光で一瞬にして灰も残さず消え去り
世界は核の炎につつまれた!!
海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体が絶滅したかにみえた
だが…人類は死滅してはいなかった!!!!
核戦争により荒廃した世界で、人々は一部の無頼と化した暴力に脅えながら暮らしていた。
その世界に、胸に7つの傷を持つ男・伝説の暗殺拳「北斗神拳」の伝承者ケンシロウが現れた。
533名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/17(火) 10:41:18.54 ID:???
>>528
乙したー

とりあえず幼なじみからやり直す2人かな
534名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/17(火) 23:41:07.71 ID:4kfUC2jI
職人さんの人数が減ってる気がするのは私だけでしょうか
535名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/18(水) 01:27:10.89 ID:???
>>265の人だけど、駄文で良ければ次の連休くらいには何か投下できるかも
出来なかったらごめんね(´・ω・`)
536名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/18(水) 06:12:38.53 ID:???
ネタが出尽くしてなんも出ない
537名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/19(木) 00:08:30.13 ID:???
確かに最近は職人あんまり出てこないな
仕事とか忙しい時期なのかもしれない

>>535
オイラも精神力が回復次第、順次投下していくよ
今は我々だけで頑張るしかない
538名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/19(木) 09:51:24.57 ID:???
次は体育祭だな!
539名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/20(金) 23:38:54.29 ID:???
もうすぐ連休だな
わくわくしてきたぞ
540名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:18:42.63 ID:yNShcOrM
まだか・・・・・(前で手を組むゲンドウのポーズ)
541名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:38:44.53 ID:???
間もなく夏休みも終わろうとしていたある8月の夜。
脳が溶解しそうなほど暑い日々も過ぎ去ろうとしている。
シンジは読書をする手を休めて、ふと窓の外を見る。
カーテンが少しだけ開いているのは、窓の向こう、ほんの数十メートル先に居るはずの、
彼の想い人の様子が気になるから。
夜になっても時々、アスカは廊下の窓を開けて、シンジに何かしらのサインを送ってくる。
それは翌日の弁当のリクエストだったり、冷房が効かない苦情であったり、日々様々。
メールすれば済む話なのだが、そういうとアスカは決まってこう言って、シンジを睨み付けた。
「なによあんた、私の姿を見るよりもただの文章の方がいいってぇの?」
その割には、シンジの携帯メールのアスカフォルダは
毎日3ケタに届かんばかりのペースで件数が増えているのだけれど。
542名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:39:48.08 ID:???
>>541
「あ、雨だ」
窓ガラスにつく水滴を見て、シンジは呟く。
ポツ、ポツと降り始めた雨は、あっという間に迫力を増し、土砂降りとなった。
「うわー…スゴイ雨…。」
しばし呆然と窓を叩き壊さんばかりに打ち付ける雨を眺めるシンジ。
瞬間、建物のシルエットが浮かび上がる。雷だ。
ややあって、遠くからドロドロと響く雷鳴。鳴りやむのとほぼ同時に光る空。
先ほどよりは明らかに短い間隔でお腹に響くような音。
「うーん…パソコンを閉じておいた方がいいかな…」
部屋を振り返って、点けっぱなしにしていた自分のノートパソコンをシャットダウンし、プラグを抜く。
その間も雷鳴はどんどんと近づいてくる。窓ガラスが震えだす。光る。鳴る。世界が震える。
それの繰り返しだ。土砂降りは最早豪雨となって、世界を洗い流しにかかっている。でもクライマックスはまだ先。
「すごいや…こんなゲリラ豪雨は初めてかも…」シンジの目は窓の外に釘付けだ。
「あれ?」
その窓ガラスに反射する赤い光。見覚えのあるサイン。そこでシンジは気づいた。
「やばっ、アスカからだ」メール受信は22:44。2分前だ。
2分レスが遅れると例外なくアスカは不機嫌になる。雷に気を取られて気が付かなった。
シンジは慌ててメールを開く。
「雨、スゴイね…」
この一言で、シンジにはピンと来る。
「大丈夫?怖くない?」返信。
543名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:40:41.39 ID:???
>>542
シンジの想定しているレスは
「別に怖くなんかないけど、シンジが怖がってないか心配だったのよ」
であって、それに対するシンジの答えは
「僕は大丈夫だけど、アスカが心配だよ…ほんとに大丈夫?」
である。確度95%。まず外さない。
きっかり40秒後、一言一句違わぬレスがシンジに届く。
機嫌が悪くなる暇もないようで、明らかに怯えているのがシンジには分かる。
そばにいてあげたい、そう思う。が、ここは男女が隔絶された学生寮だ。
女子寮に続く廊下に立ちふさがるオートロックの扉は、まさにジェリコの壁。たとえそこを突破しても、
この時間に男女が同じ室内にいるのがバレたら、即時退寮とはいかないまでも、
相応の厳しい処分が待ち受けているのは確実。
でも、アスカが心配だ。彼女は間違いなく、自分の助けを必要としている。それがシンジには分かる。
しかしどうすることもできない。想定通り返信はしたものの、悩みだしたシンジ、その刹那、

バッと光が周辺を覆う。一瞬、白と黒、光と影が反転する。それとほぼ同時に
爆発音のような凄まじい地響きが鳴り渡る。電気が消える。暗闇が室内を覆い尽くす。

ズドーンともドカーンとも言えない凄まじい音に、「うわっ!」と思わず声が出る。
直撃?少なくとも相当近くに落ちたようだ。
余韻のような空気の振動が窓ガラスを震えさせている。
その中で、シンジは「きゃああああああああ」というアスカの悲鳴が聞こえたような気がした。
544名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:41:18.78 ID:???
>>543
「アスカ!」メールを打とうと携帯を手にした瞬間、携帯が「着信」と震えだす。
雷鳴が消え、次の一撃を待つ間の束の間の静寂の中、バイブレータのブーン、
という音が悲鳴のように室内に響いている。

「アスカっ!大丈夫?」
何も聞こえない。シンジを嘲笑うかのように空がまた光る。突き上げるような衝撃と音。身体が震える。
「アスカ!アスカ!」必死に叫ぶシンジ。
「…」電話機の向こう側で感じる気配。泣いている。あのアスカが泣いている。
「…怖いよぉ…シンジィ…怖いよぉ……来て…そばにきて…」
初めて聞くアスカの怯えきった声。その声を聴いた瞬間、シンジの中で何が弾け飛んだ。
「分かった。今から行くから、待ってて」
電話を切る。そして一瞬の躊躇いもなく、彼は部屋を後にする。
545名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:42:56.41 ID:???
>>544
食堂の向こう側にあるオートロックのガラス扉。曇りガラスで向こう側は見えない。
オートロックの暗証番号を聞くのを忘れてしまった、と瞬間思うシンジ。
だが、今は停電中。ということは、ロックは外れているはず…。
思い切って手で押し開いてみる。隙間に指を突っ込むのにやや手間がかかったが、
指が入ればあとは案外簡単に扉は開く。フェイルセーフよ、ありがとう。
床はシックな焦げ茶色のフローリングで、無機質なリノリウム板の男子寮との違いにやや不満を感じながら、
そっとシンジは進む。アスカの話では、2階の住人はアスカとクラス委員長であるヒカリの2人。
残りは3階だそうで、つまりヒカリの部屋の前が最大の難関だ。
ここまで、稲妻の瞬きで思ったほど暗くない。
音もひっきりなしに鳴っているが、だからと言って堂々と歩くわけにもいかない。
そっと室内靴を脱ぎ、裸足になる。階段をゆっくりと上り、2階に出る。
この雷雨のせいか、館内は静まり返っている。ダアーっと響く雨音、ランダムに輝く稲光、そして地響き。
「…早く行ってくれないかなぁ…」
呟きかけて慌てて口をつぐむ。
稲妻に照らされる館内で、1人抜き足差し足で歩くシンジも、まるでホラー映画のワンシーンのようで、
実は少し足が震えている。
「205…204…203…ここか、委員長の部屋って」
今にもドアが開きそうでドキドキする。
546名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:43:34.93 ID:???
>>545
「待って!」
その声に飛び上りそうになる。見つかった!全てが水泡に帰す。シンジの脳裏には翌朝職員室に呼ばれ、
担任の葛城先生から説教をされるところがはっきりと写っている。
しかし、おそるおそる後ろを振り向くと、誰もいない。
その声はドアの向こう側から聞こえてくる電話の会話であることにシンジは気づく。
「…ごめん、もうちょっとだけ…うん…ごめんね鈴原…でもやっぱり怖いよ…」
立ち聞きするつもりはなかったが、何か重大な秘密を知ってしまったような気がして、
少し後ろめたい気持ちになる。
それと同時に少しほっとしたような気持ちも。
「なんだ、トウジと委員長って、やっぱりそうだったんだ」
時々お弁当のレシピについてヒカリがシンジに相談をしてくることがあったが、
あれはそういうことだったんだ、なんだかこんな状況下なのに、納得している自分がいる。
それが少しおかしい。でも、おかげで怖くはなくなった。ゆっくりと足元を確かめながら、
一歩一歩、王子様は進む。自分を待つ姫君を助けるために。
547名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:44:25.05 ID:???
支援
548名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:44:31.64 ID:???
>>546
201号室。アスカの部屋だ。雷は少し遠ざかった気もするけど、
雨は相変わらずムキになって、世界を水没させようと無駄な戦いを続けている。
軽くノックをする。返事はない。もっと大きな音でないと気づかないかな?とも思うが、
それをやると周りに、ヒカリに気づかれる危険性がある。
シンジとしては、そのリスクは避けなければならない。
そっとドアノブで手をやる。鍵はかかっていない。音もなくノブは回り、ドアが開く。
初めて入る女の子の部屋。しかし今のシンジにはそんなことを考える余裕もなかった。
とにかくアスカの身が心配でならなかった。
「アスカ、入るよ…」そう室内に声をかけると、シンジはドアを閉めた。

暗闇で分かりづらいが、部屋のレイアウトとしては、男子寮とあまり変わらないようだ。
携帯のライトを頼りに少しずつ前に進む。足元に色々物が置いてあるみたいで、前に進みづらい。
何度かつまづきながら、やっとの思いでベッドの横に辿り着く。
携帯のライトに照らされた先に、毛布が小高い山のように盛り上がっている。
「アスカ、来たよ」シンジは優しく声をかける。返事はまだない。
「…アスカ?」毛布に手をかける。ゆっくりと毛布をめくる。
枕にしがみついて丸くなっているアスカがそこにいた。
「…大丈夫?」「…大丈夫に見える?」「…ごめん、遅くなって」
アスカは髪の毛もぼさぼさで、まるで茶髪の貞子のようになっていて、
おそらくまぶたは腫れ上がっているのだろう、赤と白のボーダーのタンクトップはヨレヨレで、
短パンから伸びているすらりとした足も、心なしか震えているように見えた。
「遅いわよ…バカシンジ…私が電話してから何分経ったと思ってんのよぉ…」
枕はまだ両腕の中で固くなっている。
「ごめん…急いできたんだけど、待たせちゃってごめん」
シンジがアスカの横に腰掛けようとした瞬間、また雷が近くに落ちる。ドシン、バリバリバリ。
549名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:45:55.11 ID:???
>>548
「きゃあっっっっ」
その光と音と共に、アスカの手が、というよりアスカの悲鳴が、シンジの手を掴む。
そして自分の元にシンジを引きずり込む。
「ア、アスカ?」
「黙って…しばらくこのままでいて…」
シンジは何も言わず、ただ黙って、ベッドの中でアスカを抱きしめる。
右手でアスカを抱き留め、左手で頭を撫で、背中を撫でる。
「…大丈夫?アスカ…」
「だめ…怖いよぉシンジ…」
抱き付く、というよりは、しがみついているアスカ。アスカの吐息がシンジの鎖骨のあたりにかかり、
胸の感触はタンクトップ一枚を隔てただけで、その弾力とか、先端の硬さとかが物凄くリアルに伝わってくる。
ほとんど全身をシンジに委ね、とにかくしがみつくアスカ。
その時、シンジは我が身の異変に気付く。
「(うわあああああああああああヤバイヤバイヤバイ)」
シンジも健康的な高校生男子。当然理性よりも本能が身体を突き動かし、
その結果、彼の身体の一部はそれ相応の反応をする。
そしてそれは、シンジの腰に絡みつくように密着するアスカの内股のあたりに当たることになる。
「(うわわわわわわわわわわ、マジヤバイヤバイヤバイ、静まれ俺静まれ俺静まれ俺!)」
こうなってくると雷どころではない。シンジも必死だ。しかしこの健康的なリビドーの波涛は、
そんじょそこらの高校生男子には止めようと言ったって止められるものではない。
「(ダメだ殺される…)」
一瞬、どうせ殺されるならいっそのことこのまま押し倒してしまおうか、などというヨコシマな
考えがシンジの脳裏を掠めるが、さすがにシンジの理性はそこまでの暴走を許さない。
「バカ!アホ!スケベ!エロオヤジ!人が怖がってるときに、信じらんない!」
ガチ切れしたアスカに折檻される姿が、シンジの眼前に克明に広がる。
そんな想像が頭の中を駆け巡っていても、全く収まる気配のないシンジの衝動。
しかし、アスカはシンジの異変?に気づかないのか、そのままシンジにぎゅっとしがみついたまま。
雨はまだ激しく降ってはいるが、雷雲は少しずつ遠くへ離れていっているようだ。
「アスカ、大丈夫だよ、もうすぐ終わるから」
シンジの声が聞こえたのかどうかも分からないが、シンジにはアスカが僅かに頷いたように見えた。
550名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:50:53.12 ID:???
>>265の人です。こんばんわ。
いつも通りの駄文で申し訳ないですが、もし良かったら秋の夜長の慰みでもしてくだされw
今回は、どこかで甘えるアスカが見たいとかあったので、甘えん坊アスカをテーマのひとつにしてみましたw
後半部分は明日にでも。
では失礼しますm(__)m
>>537
いやいやいやいや、そんな肩肘張らずにもっと気楽にいきましょうよw
そんな期待されても困りますわ(´・ω・`)
>>547
お心遣い、感謝致します。
551名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/22(日) 01:58:40.52 ID:???
おっつおつ!
552名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:27:22.27 ID:???
かわいい
553名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:41:14.51 ID:???
>>549
気が付くと、雨は止んでいた。どうやら抱き合ったまま2人とも眠ってしまっていたようだ。
リビドーの波動も今は止んでいる。
「…ん、2:15?寝ちゃったのかな…帰らないと」
シンジは起き上がろうとする。
「ん?」
ベッドから起き上がろうとするシンジは気づく。彼のシャツの裾を引っ張る手に。
「あ…、ごめんアスカ。起こしちゃった?」
返事はない。
「もう大丈夫みたいだから、僕はそろそろ部屋に戻るね」
「…」
「え?」
「やだ」
その声と同時にアスカがシンジに抱き付いてくる。思わず受け止めるシンジ。
「今夜は、このまま、そばにいて…」
耳元でそう囁くと、アスカはそのままシンジを押し倒すようにベッドに倒れこんだ。

「いや、いやなの…このままシンジがどこか遠くに行っちゃう気がして…だから、行かないで」
「大丈夫だよアスカ、僕がアスカを置いて遠くになんて行くわけないじゃないか」
「でも、不安なの…あたし、シンジがいなくなっちゃったら生きていけないもん」
「僕も、アスカがいなかったら生きていけないよ」
「ほんとに?」「ほんとだよ」「嬉しい////」
「ずっと、ずーっと一緒なんだからね…」
「うん」
「毎日一緒にお風呂に入って、ご飯も一緒に食べて、1つのベッドで抱き合って眠るの」
「うん」
「おじいちゃんおばあちゃんになっても、こうやって抱き合って、手をつないで歩けるような、
そんな2人でいるんだからね」
「うん。僕もそうありたいと思うよ」
シンジの胸の中で、いつもとは全く違う顔を見せるアスカ。そんなアスカを愛おしく思い、
髪を撫でながらシンジは誓う。アスカを一生守り続けると。アスカを一生かけて幸せにすると。
554名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:45:29.16 ID:???
>>553
「シンジ…大好きよシンジ」
「僕もだよアスカ」
唇を重ねる2人。最初は軽く、すぐに濃く、激しく。
シンジの手がアスカの胸に触れる。
「あっ、ダメ」
アスカの手がシンジの衝動を押しとどめる。その手は、そのままシンジの手を取り、
再び抱き合う姿勢に導いていく。
「こんな結ばれ方は…なんかドサクサまぎれみたいでイヤ」「うっ…」
しばしの沈黙。雨音だけが響く。2人の間だけ、時計が止まったように動かない。
数分間の沈黙のあと、アスカが口を開く。
「ねぇ、シンジ…あたしのこと、好き?」
抱き締める手に力を入れて、シンジは返す。
「もちろんだよ。僕はずーっとずーっと、アスカのことが好きだよ」
「我が儘で素直じゃないあたしでも、ずっと大事にしてくれる?」
「当たり前だよ。だってアスカは…」
「だって…何?」
「僕の…一番大切な人だから」
「…ありがとう。あたしもよ、シンジ。
…きっとあたし、シンジに巡り逢う為に生まれてきたんだわ…///」
その言葉にシンジの心は射抜かれる。何度生まれ変わっても、自分たちは出逢い、
愛し合うように運命づけられている、日頃からそう感じていたことをアスカも感じていたんだ、そう確信する。
555名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:46:05.88 ID:???
>>554
「アスカ…僕たちはきっと、何度生まれ変わっても、こうやって巡り逢って愛し合うようになるんだよ///」
「…そうね、きっとそう。何度生まれ変わっても、あたしはシンジのそばにいるもの///」
その一言に、シンジの理性は飛びかける。その気配を感じてシンジの手の甲をぺちん、と叩くアスカ。
「でも、今はまだ、ダメ。」「…」「大丈夫、あたしが捧げる相手はシンジしかいないから。
あたしは、シンジだけだから」
ドキッとするシンジ。
「…その時は、こんな部屋じゃなくて、海の見えるホテルの一室とかで、
ものすごーくロマンチーックな雰囲気の中で、あたしはシンジにあげたいの」
「う、うん」「だから、今はダメ。その代り、ずーっとこうしててあげるから」
「うん…わかった」シンジも、アスカの気持ちを受け止める。
「ありがとうシンジ」「愛してるよアスカ」「あたしも、愛してる///」
シンジと固く抱き合うアスカ。少しずつ弱くなる雨音の中で、やがてアスカの、
そしてシンジの寝息が聞こえだす…。
556名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:48:43.72 ID:???
>>555
シンジは目が覚める。薄明りが漏れている。時計の針は5:10。
痺れた右腕をゆっくりとアスカの頭の下から引き抜きながら、シンジは先ほどのひとときを思い返している。
「(あれは、ほんとうのことだったのかな…?夢じゃなかったのかな…)」
自分の願望が、そういう夢を見させたのかもしれない。そうシンジは考えている。
「…おはよう、シンジ」
腕を引き抜いたときに、アスカも目を覚ます。そして自分の想い人に声をかける。
「おはよう、アスカ」
アスカがにっこりと微笑んでシンジの腕の中から彼を見ている。
シンジも微笑み返す。愛し愛されている者同士でしか交わせない確認作業。
2人はごくごく自然な感じでキスをする。シンジの上に覆いかぶさるようにして、
アスカは少しの間、シンジの腕に抱かれて眠っていた一夜の余韻を楽しんでいるかのようだ。
「シンジ、ありがとう。助けに来てくれて」
「ううん、当たり前だよ。アスカを守るのが僕の務めだよ」
「もう…///」
シンジの胸に顔を押し当て、シンジの鼓動を感じるアスカ。
「…さっきあたしが言ったこと、覚えてる?」
瞬間、はっとするシンジ。あれは夢じゃなかったんだ。
「あたし、雷…死ぬほど苦手なのよ」
「うん、さっきのでよーく分かったよ」
「バカ…でもそのせいかな、物凄く素直になれたの。あれ全部、今のあたしの本当の気持ち。
恥ずかしかったけど、思い切って言っちゃった…///」
顔を真っ赤にしてシンジの顔もまともに見られなくなっているアスカ。その姿にますます心を鷲掴みにされる碇シンジ16歳。
557名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:49:27.23 ID:???
>>556
「ア、アスカ」
「なに?」
「僕はアスカを一生大事にするよ。ずーっとアスカを守っていきたいし、アスカを幸せにしたいって思っているよ」
「シンジ…嬉しい///」
伸びあがって、シンジにキスをするアスカ。
「でも、ちょっと間違ってるわ」
「え?どこが?」
「あたしだけが幸せになってもしょうがないのよ。2人で幸せにならなきゃ」
「…うん、そうだね///」
再びベッドの中で抱き合う2人。唇を重ねあう2人。
「あ…」「!」
シンジの身体的反応…でもこれはむしろ朝の男の生理現象…に気づくアスカ。
「あ、あわわわ、これはその、あの…」
気づかれて慌てるシンジ。
「…ふーん、あんたそういえば夜中にもこんなになってたわよね…」
「(やっぱり気づかれてた;;;)…あ、いやその…」
後ろを向いて必死に誤魔化そうとするシンジに対して、アスカが前方に回り込む。
「そんなに…あたしが欲しいの?」
「え?…いやそのそんなわけじゃ…………うん//」
「バカ」
「え?」
シンジの手を取りシンジを立たせたところに抱き付くアスカ。
「さっきシンジが言ったこと、嘘じゃないわよね?」
「も、もちろん嘘じゃないよ」
「本当に?ほんとのほんと?」
「本当だよ。僕はアスカのこと、世界で一番愛してるんだ!」
シンジの背中に回した両腕に力が入る。
「ありがと。分かった。大丈夫よ、いつかきっと、シンジにあげるから。」
「うん」
「でも、今はダメ。それに、もう朝だし、そろそろヒカリが起きてくるわ」
558名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:50:29.44 ID:???
>>557
ガチャ「おはようアスカ、起きてる?」
ドアが開く。
「おはようヒカリ。昨日はスゴイ雨だったよね…」
「ほんと、すごい雷と雨で。停電もしたの、知ってる?」
「知ってるわよ、あたしまだ起きてたもの」
「あ、そうよね、碇君とメールの時間だものね…」
「///うるさいわね…ほら、支度したら朝ご飯食べに行くから、その時またね」
「うん、じゃあね…あと、いい加減部屋の中片付けなさいよ、碇君が見たら何て言われるかわかんないわよw」
「あーはいはい、余計なお世話よ!」ビシッ
「痛っ、何も叩かなくてもいいじゃない」
「自業自得よ、ほら、行った行った」バタン
ドアが閉まる。


「シンジ、もういいわよ」
カーテンと窓の向こう、ベランダに隠れていたシンジが姿を現す。
「びっくりしたぁ…いきなりドア開くんだもの…委員長、廊下でくしゃみしてくれなかったら、
今頃どうなってたことか…ってドアに鍵かけてないの?」
「…テヘ。だって面倒臭いんだもん」
「…そして、確かに散らかってるね…僕が掃除しようか?」
脱ぎ散らかした洋服、制服の類に、あちこちに積まれた漫画やゲーム機。
昨日の夜につまづいたのはこういうことか…とシンジは複雑な気持ちになる。
「あわわわわわ、いけないバレちった///大丈夫、ちゃんとかたすわよ」
「ならいいけど」
559名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:52:02.82 ID:???
>>558
「でも、もうみんな起きだす時間だね…どうしよう、戻るに戻れない…」
「あーそうね、もう食堂にはおばちゃんいるだろうし…」
あ、と声を出してアスカがシンジを見る。
「この部屋の隣、非常階段があるわ。あんた、そっちから帰りなさい」
「えー非常階段って、外じゃんそれ…」
「何よ、文句あるの?」
「いや…ないけど…」
「ならいいじゃない」ニコッ
「アスカ、その笑顔、怖いよ…昨日の雷ほどじゃないけど」
560名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:52:37.41 ID:???
>>559
部屋を去り際に、シンジが呟くように言う。
「でもなんかこれって、平安貴族みたいだね」
平安時代、貴族の男は女の屋敷に忍んで通い、愛を交わした。ちょっと前に授業で習った。
「ぷっ、確かにそうかもね。あんたが在原業平で、あたしが藤原高子ってとこか」
シンジが驚いたような表情を見せる。そこまでは授業でやっていない。
「ん?何不思議そうな顔してんのよ。受験の時にシンジに聞いた話じゃない」
「まあそうだけど…でも僕、そこまで話したっけ?」
「あとで自分で調べたのよ。ああ、そうそう、シンジあの時>>254駆け落ちした、って言ってたけど、あれ違うじゃない。」
「え?僕そんなこと言ってたっけ…」
「言ってたわよ。そういう説があるのかもしれないけど、本来なら忍んで通っていたのがバレて、他に移された、急ぎ入内させられた、ってことなんじゃない?」
「…へーすごい、よく調べたね」
「当たり前よ、いつまでも借りを借りにしておかないのがアスカ様ってことよ」
「ははは、そうかもね」
チュッとキスをしてからアスカはニンマリと笑って続ける。
「そうだ、シンジ、あんたここに通ってきなさいよ」
「え?…ええええええ?」
「うるさい、声が大きい」「ごめん」
「男はそうやって誠意を見せて、女を口説いたんじゃない。
あたしは二条のお后様と違って、どこにも行かずにシンジを待っているから」
「う…わ、わかったよ。でも毎日は無理だよ…絶対バレる」
「まあそうね、さすがに毎日とは言わないわ。あたしが来てほしいと思った時に来なさい」
「それって教えてくれるの?」
「シンジなら、分かるでしょ」
「…頑張ります;;」
561名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:53:08.26 ID:???
>>560
「次は、いつおいでになるの?」
「え?」ビシッ「痛っ、痛いよアスカ…」
「不正解」「え?」「何?また叩かれたい?」「いや、すいません…」
「次は、いつおいでになりますの?」
「…また、すぐに来るよ」
「ありがとう。お待ちしてますわ、あ・な・た///」


非常階段に出ると、外は薄い霧がかかっていて、窓越しに見える廊下を照らす照明が、ぼんやりと浮かんでいるようだ。
室内靴でそのまま中庭の芝生を横切り、同じように非常階段を上って、男子寮の2階から、
屋内に入る。女子寮は非常階段も外からは開かない仕組みになっているのに、男子寮は鍵も
かかっていないことに、やはり多少の疑念を感じながらも、誰にも見とがめられることなく、
シンジは自室に帰還する。
はぁーっ、と深い息をつき、ベッドに腰掛け、室内を見渡す。昨夜離れた時そのままなのに、
何か景色が違って見えるような気がするのは気のせいか。
と、そこにメール。アスカからだ。
本文にはこれだけ。
「なるかみの 少しとよみて さし曇り 雨も降らんか 君を留めん」
シンジはふっと微笑んで、こう返す。
「なるかみの 少しとよみて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば」

「後朝の文のつもりかな…逆なんだけどな…でも、なんだかくすぐったいな…」
シンジは窓の外、アスカの部屋のあるあたりを見て、立ち上がる。
「シャワーでも浴びるか」
今日の2人のお弁当は、飛び切り美味しいハンバーグを作ろう。
そう思ったシンジだった。
562名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 00:59:38.48 ID:???
>>265です。嵐の夜編、おしまいです。スレ汚し失礼しました。
まあ、なんというか、新海の「言の葉の庭」に触発されたことは否定しないw
ついでに言うと、「いつおいでになるの」云々の部分は蜻蛉日記にそんな感じのやり取りがあった気がしたのでそこから。
なにぶん古典の知識はうろ覚えですので、ググってみたら違う、とかいうこともあると思うので、生温かい目で見守ってくだされ(´・ω・`)
機会がありましたらまたそのうちにノシ
563名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 02:19:23.42 ID:???
>>562
乙であります
やっぱ愛し合う二人がベットの上でイチャイチャするのはいいもんだなぁ
新劇でもこのくらいやってくれたらもっと人気出そうなのに・・・・・・

しかし古典ネタを織り交ぜ尚且つLASとして自然に仕上げるあたりはさすがです
オイラももっと本読んでたら、もうちょっとマシな文書けるようになってたかもしれんのに
子供の頃から漫画ばっかり読んでたからなぁ・・・・・
564名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 09:46:14.31 ID:???
乙でした、さすがのクオリティー!
565名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 20:38:54.04 ID:???
ttp://i.imgur.com/6cNrS7v.jpg
ttp://i.imgur.com/qGadBb3.jpg
シンジとアスカの将来はこうなるん?
566:2013/09/23(月) 23:15:00.50 ID:???
>>565
当たり前(≧∇≦)
567名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/23(月) 23:48:38.69 ID:???
>>565
いい絵だ(*^-^*)
568名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/24(火) 23:17:50.78 ID:FEvk9lln
>>565
上の絵でシンジが「もう一人作ろうか」といって「うんいいわよ」とかいいながらキスしてるんだな
下の絵がその3〜4年後ってことでいいの?
569名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:16:59.65 ID:???
アスカスレで拾ってきた
http://i.imgur.com/n0tCJ8n.jpg
570名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:27:24.37 ID:???
>>527
アスカに引っぱられベットから降りたシンジは窓の方へ向かうとカーテンを開けその場で大きく背伸びをした。
シンジ「でも珍しいね、学校のない日のアスカがこんな朝早く起きてるなんてさ。
    普段はギリギリまで寝て、いつも遅刻寸前に登校してくるのに」
アスカ「あーら、そんな事言える立場なの?」
シンジ「どういう意味?」
アスカ「アタシが早く寝ようとして目を閉じてもアンタの顔が浮かんできて眠れなかったのよ。
    寝る時だけじゃないわ、授業中も休み時間も昼食時も寮に帰ってからも・・・・・・
    ずーっとアンタのことが頭から離れなかったのよ。
    アンタが鈍感でアタシの気持ちになかなか気付いてくれなくて・・・・・・
    結局アタシにやっと告白してくれたのも夏休みに入る直前だったじゃない。
    まったく・・・・・そうやってアタシを不安に・・・淋しい思いさせるから・・・・・・
    だからアタシは朝起きるのにこんな辛い思いしてたんだから。
    全部アンタのせいよ!」
シンジ「ム、ムチャクチャだよ。まあ確かに告白する勇気がなくてアスカに不安な思いさせたことは認めるよ。
    でも何から何まで僕のせいにされるのは・・・・・・」
どうしていいか分かず困った表情のシンジにアスカは下から問い詰めるように顔を近づけてジーっと見つめていたが、
その表情はどこか楽しんでるようだった。
アスカ「男のくせにグダグダ言い訳しないの!でも、まあいいわ・・・・それだけシンジがアタシのことを
    想い続けていてくれたってわかったから。とても嬉しかった・・・・」
シンジ「そう言ってもらえると僕も嬉しいよ。ちょっと照れくさいけどね。」
少し頬を赤くしながら見つめてくるアスカにシンジはホッとしていた――――
571名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:28:26.91 ID:???
>>570
シンジ「ところでこんな朝早く何で来たの?」
アスカ「決まってるじゃない、アンタに早く会いたいから。少しでも長い時間一緒にいたいから・・・・・」
アスカは下を向いたまま顔を赤くしてシンジの胸に指先でグリグリと”の”の字を無意識に書いていた。
シンジ「ハハハ、告白してからのアスカってほんと凄く甘えん坊になったね。」
下を向いて照れているアスカの頭を自分の胸に抱き寄せるとアスカの頭に顎を乗せながら、
右手で優しく撫でてやった。
アスカ「へへへ・・・・」
大好きなシンジと触れ合えて嬉しさいっぱいのアスカはその胸にギュッと抱きついていた。
アスカ「あ、そうだ!」
突然、今朝ヒカリにもらった【janjan】のことを思い出し鞄の中からそれを取り出した。
アスカ「シンジ、ちょっとこれ読んでみて」
ヒカリに雑誌を譲ってもらうキッカケとなった例のページを開いて、それをシンジに見せた。
シンジ「えーと、アナタの彼氏は大丈夫?今、若者の精子が減少している・・・・・
    これがどうかしたの?」
いまいちアスカの意図が読めず困惑していたシンジにアスカは説明を始めた。
アスカ「だからね、今の若い世代の人って環境ホルモンとかストレス・食生活や生活習慣の乱れとか、
    いろんなことが原因でその・・・・精子の数が少なかったり運動量が少なかったりで
    いろいろと問題になってるわけよ!」
シンジ「あー、僕もテレビで見たことあるよ。これが不妊の原因になるとか結構深刻な社会問題らしいね」
アスカ「でしょ?そうなのよね!」
シンジ「うん、で・・・・・これが一体なんだっていうの?」
いまいち自分の考えてることがシンジに伝わらずアスカは苛立ちを覚え、どうしようか考えた――――
572名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:29:29.10 ID:???
>>571
アスカ「シンジ、将来アンタが結婚して子供が欲しくなって、その・・・・いざって時に
    その雑誌みたいなことになったら困るでしょ?」
シンジ「ええ!?うん、まあそりゃそうだけどさ、でもまだ先の事だし・・・・・
    第一なんでアスカがそんな心配するのさ?」
アスカ「心配じゃ済まない問題でしょ!そうなったらアタシが一番困るのよ!って、だからその・・・・・」
一度はハッキリと言ったアスカだが、言った瞬間急に恥ずかしくなり顔を赤くしてそのまま下を向いてしまった。
シンジ「アスカが?え、それどういう意味・・・・?」
アスカ「んもうっ!鈍感なんだから!」
恥ずかしいのをこらえて顔を上げるとシンジをジッと見て答えた。
アスカ「アンタさ、昨日ここのロビーでアタシに言ってくれたわよね?
    『好きだ、大好きだ』『愛してるよ』とか、そして『僕はキミとずっと一緒さ』って・・・・。
    『大好きなアスカと一緒ならどんな事があっても大丈夫だよ』ってアタシに言ってくれたわよね?。
    あれって嘘だったの?」
シンジ「嘘なもんか!僕は本気で言ったよ!あれは本当の僕の気持ちを伝えたんだ!
    嘘偽りは絶対にないよ!」
アスカの目を真っ直ぐ見つめて叫ぶシンジの目は真剣であった――――
573名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:30:33.12 ID:???
>>572
シンジの気持ちを改めて確認できて安心したアスカの表情は少しホッとして和らいでいた。
アスカ「ありがとうシンジ。でも疑ってゴメン・・・・・そうよねシンジがあんな嘘つくわけないよね。
    でもあの言葉ってさ、ずっとアタシと一緒にいてくれるってことだよね?
    アタシだけを見て、アタシをずっと愛し続けてくれるってことよね?」
シンジ「そうさ、その通りだよアスカ。僕がキミを好きだって気持ちは本当さ。
    僕はキミを離したくない。ずっと一緒にいたいって思ってるさ。」
シンジの言葉を聞いてアスカは嬉しそうな笑顔を見せると同時に少し恥ずかしそうに頬を赤くした。
アスカ「うん、そうよね・・・・・つまりはアタシとその・・・・・け、結婚し・・・してくれるって意味よね?」
言葉に詰まりながらも言い切ったアスカは顔を真っ赤にして下をうつむいた。
シンジ「もちろんアスカと結婚して一生キミを幸せにす・・・・・って、ええ!?いや、ちょっと!
    そんなのまだまだ先の話じゃないか!?それに話がいきなり飛びすぎだよ!」
アスカ「ええー!?ちょっとー!アタシにプロポーズしておきながら急に取り消すわけぇー?」
シンジ「プ、プロポーズって!?いやだからさ、僕たちまだ高校生だよ。
    それにこの先、何が起きるかもわかんないのに・・・・」
アスカ「ひっどーい!普通そこまで言ったのなら好きな女のこと一生守り続けるのが・・・・・」
雑誌の内容についての話題が、あらぬ方向へ行ってしまった二人の会話内容は混沌としていたが
何故かお互いに楽しそうではあったようだ――――
574名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:31:38.56 ID:???
>>573
アスカ「とにかく、今から対策練っておかないと将来困ることになるのよ」
シンジ「まあアスカの気持ちはわかるし対策は必要かもしれないけどさぁ・・・・・」
気の早いアスカの世話焼きにまいったシンジは渋々彼女の予防作戦に付き合うことになった。
アスカ「まずは最近よく電磁波の問題を指摘されてるスマホなどの携帯電話ね。
    アンタ携帯はいつもどこに入れて持ち歩いてるの?」
シンジ「いつもズボンのポケットに入れてるけど」
アスカ「ちょっとダメじゃない!雑誌にも書いてあるけど、携帯から発せられる電磁波が影響して
    精子の製造能力とか運動量を減らしてる可能性があるかもしれないんだって!。
    それにポケットなんて、こ・・・・睾丸に近いじゃない。だからポケットに携帯入れるの禁止ね。」
シンジ「ええー!?でもそれもまだ科学的にハッキリと立証されてる訳じゃないんだろ?大袈裟だよー!」
アスカ「ダーメッ!少しでも可能性があるんなら徹底的に防止するの。
    今度からは胸ポケットのある服を着て。ポケットがない服を着る場合は鞄なんかに入れて、
    それを持ち歩くようにするのよ。」
シンジ「もう無茶苦茶だよ・・・・・ハァ」
アスカ「男のくせにブツブツ言わないの。次、やっぱ食生活も大事よねー・・・・」
溜息をつくシンジにおかまいなしで次の予防策を提案するアスカであったが、
何かを感じとったのか急に表情が険しくなった。
シンジ「アスカ?急に黙り込んで一体どうしたんだい?」
アスカ「シッ!静かに・・・・・ちょっと待ってて」
部屋のドアに鋭い視線を送ると、音をたてないようドアに近づき掴んだドアノブを
素早く引っぱり一気に開いた――――
575名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:35:37.27 ID:???
>>574
ドアを開くとそこにはドア越しに聞き耳をたてながら固まっていたミサトとヒカリがいた。
ヒカリは今にも泣きそうな顔をしていたが、ミサトに至っては
顔の右側半分はニヤケた表情、左側半分は顔面蒼白で白目をむいていた。
開いたドアの前に仁王立ちのアスカは腰に手を当てて二人を睨みつけるように見下ろしていた。
アスカ「アンタ達・・・・・何やってんの?」
アスカの声を聞いて我に返った二人だったが、依然として戸惑いを隠せないようだった。
ヒカリ「アスカ、碇君・・・・・不潔よ!不潔ーっ!」
両手で顔を隠し叫ぶヒカリを横にミサトは唖然とした表情をしていた。
ミサト「ちょ、ちょっとアンタ達、まさか高校生の身分で家族計画なんか立ててるんじゃないでしょうね!?」
アスカ「ちょっとじゃないわよ!アタシ達の会話を盗み聞きしてさぁ!趣味悪いし失礼でしょ!」
ミサト「そーいう問題じゃないでしょ!婚約話までなら何とか目を瞑っていられるけど、
    高校生で子供作ったらただ事じゃ済まないでしょ!」
アスカ「え?な、何勘違いしてるのよ!アタシ達はただ・・・・」
二人の言い合いにシンジはシドロモドロになりながらも事態を収拾すべく割って入った。
シンジ「ちょ、ちょっと待ってよミサトさん。これはそんな変な内容の話じゃな・・・・」
二人の間に割って入り弁解したシンジだがミサトとヒカリの混乱は収まらなかった――――
576名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:37:49.80 ID:???
>>576
シンジ「ちょっと二人とも落ち着いてよ、僕達そんな話してないって!無茶苦茶だよ!」
声を荒げてミサトとヒカリの二人から問い詰められるシンジは説明に必死だったが、
その言葉は空しくも二人の耳には入っていなかった。
ヒカリ「碇君!アスカを妊娠させて碇君は責任取れるの!?」
ミサト「そうよシンジ君。もし仮にアスカをそんな体にしたらどうするつもり!?」
この事態を収拾させようとシンジは意を決して答えた。
シンジ「も、もしそうなったら、僕が責任を取ってアスカを・・・・お、お嫁さんに貰います!
    アスカを一生養っていきますよ。」
真剣な目で答えたシンジの言葉に二人は静かになった。
その横には顔を真っ赤にして下を向いたままのアスカが立っていた。
アスカ『シンジったら・・・・アタシのことお嫁さんにしてくれるって・・・・・』
本当なら嬉しさでシンジの胸に飛び込んでいきたいとこだったが、
ミサトとヒカリの目の前でそんなことをすれば間違いなくからかわれるので
アスカは必死でそれを我慢していた。
ヒカリ「碇君・・・・そこまでアスカのことを想ってたのね」
ミサト「そう、そこまでの覚悟があるのなら私は何も言わないわ。」
シンジの真面目な答えに少し安心したミサトとヒカリは落ち着きを取り戻していたが、
二人の表情はさっきとは打って変わって若干ニヤけていた。
シンジは今頃になって自分がとんでもない発言をしたこと、
その発言を聞いてニヤけ顔になった二人を見て青褪めていた。
ヒカリ「だからと言って二人とも、間違いだけは起こさないでね。
    私達まだ高校生なんだからね。でも・・・・・よかったわねアスカ。」
ミサト「一応教師として忠告しておくけど、在学中は一線を超えるなんて事は許されないから。
    くれぐれも自分に責任ある行動を心掛けてね!。あなた達はまだ高校生って身分なんだから。
    まあでも・・・・アスカは幸せ者ね。こんなに愛してくれる人がいるんだから。
    さっ、それじゃ邪魔者はサッサと消えましょうかねぇ〜♪」
ニヤニヤしながら部屋から去っていく二人を、魂を抜かれたような呆然とした表情でシンジは見ていた――――
577名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:41:13.93 ID:???
>>576
何とかミサトとヒカリ説得して危機を乗り切ったシンジはホッとした表情でアスカの方を向いた。
シンジ「ふぅー・・・・上手く追い返せたようだ・・・・・あれ、どうしたのアスカ?」
頬を赤く染めて恥ずかしそうなアスカの蒼い瞳はシンジをジッと見つめていた。
アスカ「ねえシンジ、あの言葉は本当?」
シンジ「あの言葉?」
アスカ「さっき言ったわよね、アタシをお嫁さんに貰います・・・・って」
勢いで思わず口にしてしまった自分のセリフを思い出したシンジの顔と耳は真っ赤になっていた。
シンジ「え!あ・・・・う、うん。言ったよ確かに」
アスカ「本当にアタシのこと貰ってくれるの?」
シンジ「う、うん。アスカを僕のお嫁さんにする。僕のお嫁さんになって欲しい・・・・」
シンジはそう言ってアスカの返事を待っていたが、その目は真剣であった。
アスカ「ねえ・・・・今度こそ本当のプロポーズよね?」
誠意を持って真剣に想いを伝えたシンジだったが、これが事実上一生に一度の登龍門といわれる
プロポーズということに気付いて急に恥ずかしくなり、頭の中が真っ白な状態となっていた。
だがここで曖昧な態度でアスカを傷つけてはいけないという思いから僅かに残っていた気力を振り絞り
再び答えを待つアスカを見つめ答えた。
シンジ「そうさ、これはプロポーズだよ。僕の人生のパートナーとして、僕の妻として・・・・・」
蒼い瞳を真っ直ぐ見つめるシンジの顔は熱せられた鉄の如く真っ赤であった。
アスカ「うん、ありがとう・・・・・嬉しい。シンジ、アタシとっても幸せ!。
    じゃあアタシはシンジの妻として一緒についていくわ」
プロポーズにOKの返事をしたアスカの頬は嬉しさと恥ずかしさで赤く染まっていた。
シンジ「アスカ・・・・愛してるよ」
アスカ「シンジ・・・・・」
シンジの言葉に呼応するように顔を上げたアスカが蒼い瞳を閉じた。
アスカの顎に触れ、少し持ち上げるとシンジは彼女の唇に自分の唇を重ねた――――

訂正
>>576のアンカ間違えた
>>575
×>>576
578名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/25(水) 23:48:18.19 ID:???
とりあえず>>527の続き書いた
>>565の画像がいい燃料になりそうw

それではオイラの調子が良くなった時にまた会おう
サラバじゃぁー!
579名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/26(木) 00:01:14.03 ID:???
おつでした
やっぱりLASはいい。ぽかぽかする(*´ω`*)
580名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/26(木) 01:18:58.45 ID:???
>>569
その画像アスカスレで出る前(数か月前)どっかで拾ったけど
元の作者どこのサイトなんだろうな。センスあるから他の絵もあるなら欲しいとこだな

>>562
>>578
乙です。毎回楽しみに読ませてもらっております
581名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/26(木) 23:45:17.77 ID:???
職人さん達乙です
続きはよ
582名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/27(金) 00:42:56.25 ID:???
この世界ってマリはいるの?
583名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/27(金) 12:31:53.73 ID:???
作者様が居ると思えば居る。居ないと思えば居ない
584名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/27(金) 23:43:25.31 ID:???
基本的には貞本エヴァがベースだから居ないのが正解だけど
別に拘る必要はないし登場させても問題ない
いや寧ろ出してくださいw

どこかのスレで誰か言ってたけど
カヲルとレイはアダムだから、ミサト・トウジ・加持は死んだから
転生できないらしい
だから転生後の世界ではシンジ・アスカ・ケンスケの三人しか登場してないってさ
まあこのスレ的にはどうでもいいことだけどねw
気にせずエヴァキャラ全部使って面白いSS書いてよ
585名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/29(日) 01:36:17.38 ID:1VDkuazC
ここはまだいいけど夫婦スレの過疎具合が悲惨だ
586名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/29(日) 01:53:52.26 ID:???
>>494の予告の人の続きを待っているのは自分だけか?いやそうではないはずだ!

で、こちら>>265の人なんですが、ちと変化球気味な駄文でよろしければ、
近日中に投下できるかもしれないです…出来なかったらごめん(´・ω・`)
587名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/29(日) 12:56:53.69 ID:???
あげ
588名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/29(日) 20:35:55.30 ID:???
>>586
オイラも>>494予告職人待ってる一人です
とりあえず続き楽しみにしてます
589名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/09/30(月) 22:56:18.08 ID:???
どっちの人でもいいから続きはよ
590名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/01(火) 23:28:56.33 ID:???
age
591名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:01:36.17 ID:???
ここ数日、気が付くと、目で追っている。
彼はどうして、あんなにも人に優しくできるんだろう?
今もアスカが言うところの「3バカトリオ」でふざけあってる。
放課後の掃除を押し付けられてもニコニコとしている彼。
…鈴原とは、全く違う。
「ねえ、ヒカリ」
話しかけられてドキッとする。今、このタイミングで一番話しかけられたくない相手だったかもしれない。
「な、なあにアスカ?」思わず裏返る声に自分でもびっくりする。
「ちょっと話があるんだけど…、いい?」
有無を言わせぬその迫力に、私は黙って頷くしかない。


放課後の体育館裏なんて、不良がたむろする悪の巣窟のようなイメージだったけど、
行ってみると案外そんなこともなく、木漏れ陽が風にそよいで気持ちがいい。
…目の前に不機嫌そうな面持ちで立つ、この親友がいなければ。
「あのさ、ヒカリ、悪いんだけど、」
アスカが単刀直入に切り出す。
「分かってると思うんだけど…、あたしのシンジに横目使っても無駄だから」
「へ?」思わず素っ頓狂な声が出てしまって赤面する。
「とぼけたって無駄よ、あんたがシンジのことを目で追っているの、あたし見てたんだからね!」
言葉に詰まる。完全に誤解なんだけど、でも私が碇君を目で追っていたのは事実。
でもそれを、どうやって説明しよう…。誤解だと理解してもらうためには、どうしても鈴原との
ことを話さなくてはならない。でもそれは明かしてはならない絶対の秘密。
592名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:02:06.20 ID:???
>>591
「何顔真っ赤にしてんのよ、親友だからって、人の恋人に手を出すのは許さないわよ」
「ううん、違うの、そんなんじゃないの…」首を振りながら、そこまで言うのが精一杯。
「ヒカリ、ダメよ、あんたには鈴原って男がいるじゃない、二股なんてガラじゃないでしょ?」
「え?ええええええええ?なな、な、なんで知ってるの?」
ほとんど悲鳴だった。後で聞いた話だと、その声は体育館裏に隣接する住宅地の
外れにある公園で、遊んでいる子供をあやしていたお母さん方にも聞こえたという…。
「っつ…ヒカリ、大声出しすぎ…」耳を押さえてアスカがうずくまっている。
「あ、ああああ、ごめんアスカ…大丈夫?」
そうは言ったものの、私の頭の中は???でいっぱいで、正直オーバーヒート寸前。
「大丈夫だけど…そんな今更そんなことで驚かなくてもいいじゃない…(´・ω・`)」
「え…だって…いつ知ったの?」少なくとも誤魔化せるものではないことが分かって、
多少の開き直りは出てきた私。アスカの前だから言えることでもあるけれど。
「知ったの?って…ぷっ…ヒカリ、あなたたちのことを知らない奴なんて、あのクラスには
いないわよ…。あんたらの仲が秘密だということは、クラス全員が知っている、ってやつね。
あ、うちの鈍感男はひょっとしたら気づいてないかもしれないけどw」
驚きで頭の中が真っ白になる。空っぽになった頭の中に思考能力が戻ってくるその瞬間に、
碇君のことを「うちの鈍感男」と呼んだアスカを、ちょっとだけ羨ましく思う。
私は、鈴原をまだそんなふうには呼べない。
「で…、シンジのことは何て言い訳するの?」
どうしよう、本当のことを話した方がいいのかな、でもアスカ怒らないかな…
「ほら、早く言いなさいよ。答えによっては本気で怒るわよ」
「ご、ごめんなさい。でもアスカが心配するようなことじゃないから、安心して」
「…それだけじゃ分からないわ。理由を説明して」
アスカの真剣な目つき、碇君は誰にも渡さない、という殆ど殺気に近い、強い強い意志の光を感じた私は、
誤解を解くためには本当のことを話さなければならないことを悟った。
593名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:02:41.78 ID:???
>>592
その次の土曜日。朝食の時間が過ぎた頃、私は寮の食堂で碇君とアスカに向かい合って座っていた。
「…ということで、お弁当のレシピを増やしたいんだって。」
アスカが隣に座る碇君に説明をしている。
うーん…ちょっと違うんだけどな、と思いながら私は黙って聞いている。
鈴原にお弁当を作って持っていくのが毎日の日課だったんだけど、毎日のように作っていると、
どうしてもレシピが不足してくる。料理本とか読んで作ってみても、何か一味足りない気がして仕方がない。
鈴原は毎日「うまかったで」とお弁当箱を返してくれるけど、時々ちょっと寂し気な目をする。
その目とその言葉に、私は彼の優しさと残酷さを感じてしまう。
「うまかったで」だけじゃ分からないことがたくさんある。
でも何度聞いても「いや、うまかったで。また頼むな」としか言ってくれない彼。
そんな時に同じように毎日アスカにお弁当を作っている碇君のことが頭に浮かんだ。
朝、同じような時間帯にキッチンを共有するような感じで、お互いお弁当を作っていたけど、
アスカに遠慮してなかなか話しかけられずにいた。碇君の作るお弁当は、横で見ている私が
落ち込むくらい美味しそうで、実際アスカにちょこっと食べさせてもらったら、
私が作るものより何倍も美味しくて、そのコツというかヒントみたいなものを、一度聞いてみたかった。
この前のハンバーグなんか、レストランで出してもおかしくないような出来栄えで、
なんかよく分からないけど、負けたような気分になった。
そんなようなことをあの日アスカに話したら、アスカの表情が急に明るくなった。
アスカは胸をポン、と叩き、ニコニコ顔で言った。
「なによヒカリ、そんなことで悩んでいたの。水臭いじゃない。あたしに任せて!」
そして、今日に至る。
594名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:03:43.80 ID:???
>>593
「なんだ委員長、そんなの料理している時に聞いてくれれば良かったのに…」
碇君の目は、いつも優しい。きっとこの目をアスカは好きになったんだな…と思う。
「え…(でも、あんまり色々話しかけたら、アスカに、悪いかなって…)」
心の中で呟く言葉は、きっと碇君には伝わらない。でも、それでいい。
この親友の独占欲にはちょっと困ることもあるけれど、でも、気持ちも分かる。
そう、碇君は誰にでも優しい。だから、実はクラスの女の子からかなり人気がある。
そもそも顔やスタイルもかなり良いし、勉強も出来る。スポーツだってなんでも人並み以上にはこなしている。
おまけに音楽も得意で、ピアノ、ギター、チェロまで弾けて、その腕は玄人はだし、と来ている。
ちょっと自分に自信がなさげで、頼りない気がすることもあるけれど、
そのマイナスを補って余りあるものが彼にはある。
これでモテなかったら嘘だ。まあ、私はもっと頼りがいがある人が好きで…で、鈴原を…うん////
とにかく、アスカはそれが自慢でもあり、同時に心配の種でもあるみたいで、この前の私のように、
放課後体育館裏や屋上に連れ出されて、シメられた子を私は何人か知っている。
だから、料理中に言葉を交わすことはあっても、話し込んだりすることはしなかったし、出来なかった。
595名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:04:19.06 ID:???
>>594
「じゃあ、とりあえず、作ってみようか」
碇君が立ち上がる。今日はあたしも一緒に作る、と言っていたアスカがそれについていく。
お揃いのエプロン姿の碇君とアスカは、なんだかまるで新婚の夫婦みたいだ。
横から見ていても、息がぴったり合っているのが分かる。
碇君が何も言わなくても、次に彼が何を必要としているのかがアスカには分かっているみたいで、
そう、新婚の夫婦でありながら、もう何十年も一緒に連れ添ってきたような、そんな雰囲気すらある。
「あ、ごめんアスカ」「あ、これでしょ、シンジ」
思わず溜め息が出る。なんで「あ、ごめんアスカ」でアスカは味醂を碇君に瞬時に手渡せるのか。
「…」「はい、アスカ」「ありがと」
碇君は更に強烈だ。アスカが何も言わなかったのに、そしてアスカの方を見てもいなかったのに、
一瞬の躊躇いもなく、スライサーをアスカに手渡している。もう殆どテレパシーの域に到達している。
「…すごい」私の独り言に
「え?何が?」2人同時に返答する。
何も言えずにただ笑うしかない私。困った、こんな領域には私と鈴原は到底届かない。
いや、全世界のカップルのうち、ここまで息が合ったカップルなんて何組いるんだろう。
「委員長、鍋、火が強いよ」
「え?あああ、大変」噴きこぼれそうになるお鍋の火を弱くして、細かい味付けをする。
里芋の煮えるいい匂いが立ち上がってくる。
「あぁ、いい匂い」隣でアスカが呟く。
「ヒカリ、全然気にすることなんかないんじゃない?あたしなんて絶対こんなの作れないわよ」
「…いいじゃないアスカには料理担当がいるんだから。
こっちは全然台所仕事とかしそうにない人だからね…」
その分私が頑張らないと。私は心の中でそう続けた。
596名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:07:21.20 ID:???
>>595
ずらっと並んだ料理の数々。寮生が何人か興味深そうに集まってきて、遠巻きに眺めている。
でもその中に、鈴原の姿はない。
アスカは待ちきれなさそうに、箸を持ってスタンバイしている。
このために朝ごはんを抜いたんだから当たり前かもしれないけど、
まるでお預けをくった飼い犬みたいで、見ていて可愛い。
「ん?何笑ってんのよバカシンジ」「え?いや、なんでもない」「ふーん…ならいいけど…。早く食べましょ」

作ってみた品々。ハンバーグ、だし巻き卵、豚肉の生姜焼き、ほうれん草のソテー、里芋の煮っ転がし、ナスのおひたし。
碇君はブリ大根と豚バラ煮込み、アスカはワカメと根菜と豆腐の入ったお味噌汁。そして舞茸の炊き込みご飯。
「ん…委員長、美味しいよ。別に悩んだりする必要ないんじゃない?」
碇君は微笑んでくれる。でも、碇君は優しいがゆえに、こういう時はあまり信用できない。
「で、でも、碇君が作るお弁当の方が、いつも何倍も美味しいと思うし…」
「それは隣の芝生は青く見える、ってやつだよ。委員長のだってとっても美味しいよ」
「そうよヒカリ、とっても美味しいわよ。これならご飯何杯でもいけちゃうわ」
実際にアスカは今にもご飯一膳を食べ終わろうかという勢いで、なんだか微笑ましい。
碇君が「アスカ、ほっぺに玉ねぎ付いてるよ」とか言って、アスカの頬についた玉ねぎの欠片をつまんでいる。
そしてそれを何気ない所作で自分の口へ運んでいる。
アスカはアスカで、碇君に「でもなんでシンジはブリ大根なのよ、こんなのお弁当にならないじゃない」
とか言ってる。その割にはブリ大根も豚バラ煮込みも半分以上アスカのお腹の中に納まってるみたいだけど。
碇君が何か言ってるけど、アスカは食べるのに夢中で聞いていない。
碇君がちょっと怒る。アスカがなだめる。何か言い返す碇君、今度はアスカが膨れ、
碇君がアスカのご機嫌を取っている。
そのやり取りを見ているだけでも、複雑な気持ちになる。
不思議と幸せな気分になって、この2人は、やっぱりお似合いだなぁ…なんて思うんだけど、
それと同時に、私たちなんてとてもかなわない、と少し憂鬱になる。
597名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:09:14.60 ID:???
>>596
「ありがとう…でも鈴原はね…なんだか物足りないみたいなんだ…」
夫婦漫才がしばし停止する。うーん…と碇君が箸を置いて何か言いたそうにしている。
「何、碇君、気づいたことがあったら教えてほしいの」
「ちょっと、なんか言いたいことがあったら言いなさいよバカシンジ」アスカが背中を叩く。
痛っと、言いながらも全然怒った様子も見せず、ちょっと申し訳なさそうな表情で、碇君は言う。
「美味しいんだけどさ、トウジってほら、関西出身じゃない?味付けを関西風にしてみたらどうかな?って…」あ、なるほど。
「あと…、委員長の料理って美味しいんだけどさ、なんていうか、レシピ通りの味付けで、
なんか…味付けとかはもっと適当にやってもいいかな、って思うんだけど…」
「関西風??それに適当ってどういうこと?」思わず身を乗り出す。
「いや、あの、そんなつもりで言ったわけじゃ…。なんか…偉そうなこと言ってごめん…」
なんでも、碇君はアスカの体調も考えながら味付けを決めているとのこと。前日体調が悪そうであれば、
消化の良いもので薄味に仕上げ、試験前なんかだと、脳に糖分を、ということで、
少し甘目に味をつけるとか。
料理本にある味付けの分量は、あくまでも目安でその時その時で適当に量を変えているとか。
確かに私は、大匙一杯、って書かれていたらしっかり大匙一杯、という感じで、失敗を恐れて
きちんきちんとしすぎて、もっと大切なことを見落としてしまっていたかもしれない…。
598名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:09:48.41 ID:???
>>597
「すごい…そんなところまで考えてるんだ…」
「いやいや、結局のところ、こうやって料理を作るのって、食べてくれる人が喜んでくれる、
その姿を見たいからじゃない?だからそのために僕は僕がやれるだけのことをするだけだよ」
そっか、とその時思った。今まで私は、鈴原の反応が怖かった。こんなものを食べさせて、
嫌われたりしないかな?とか、気に入ってくれなかったらどうしよう、とか、
マイナスなことばかり考えていた。
そうじゃなくて、単純に鈴原が喜んでもらえればそれでいいんだ。
「ありがとう、碇君。なんか目から鱗が落ちた気分だわ」
「ええ?…そう?…なんか気を悪くしたらごめん…」
「何よ、さっきまでの自信たっぷりな言い方はどこに行ったの?すごく助かったわ、ありがとう」

再びキッチンに立つ。今日は週末の土曜日。疲れも溜まっているはず。
関西風の優しい味付けを心掛けて、鈴原のために心を込めてお弁当を作る。
599名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:10:31.19 ID:???
>>598
「お、なんや朝っぱらから仰々しいやっちゃな」
11時も半分を過ぎた頃、彼が食堂に降りてくる。今の今まで寝ていたらしく、
いつものジャージ姿はヨレていて、頭は寝癖が目立つ。
「ほら、行きなさいよヒカリ」アスカが後ろからこそっと呟いて私の背中を押す。
「お、イインチョやないか、おはようさん。朝からエプロンなんかして…」
「あ、あの、鈴原…今日土曜日なんだけど、ちょっと作ってみたから…食べてみて」
緊張の一瞬。鈴原もほんの僅かな間だけど、目の動きが止まる。
ほんの1秒2秒のことなのに、何時間も経ったように感じてしまう。
「おっ、いつもわりぃな、ありがとさん」
いつも通りのセリフ。前はこんなところでは決して受け取らなかったのに、
最近ようやく公衆の面前でも、こうやってお弁当を受け取ってくれるようになった。
それは小さな一歩かもしれないけれど、すごく嬉しい。
「…ちょっといつもと味付けが違うかもしれないから…まずかったら、ごめんね」
「あぁ?イインチョが作るものに、まずいものなんてあらへんw」
そう言って彼は、食堂を出て行ってしまった。
「ヒカリ〜、追いかけなくていいの?一緒に食べたらいいじゃない?」
後ろからアスカが背中を肘で突っついてくる。
「いいの///全然いいの////」振り返った私の顔を見て、アスカはそれ以上何も言わなかった。
すっごく嬉しそうな顔をしていたみたい。恥ずかしい////
600名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 00:14:56.66 ID:???
お疲れ様です。>>265の人です。
今回はシンジとアスカの身近な人の目線からLASを書いてみたくて、ヒカリ視点でやってみました。
高校生だし、敢えて不潔は無しの方向で。
反省はしていますが、謝罪はしませんw
ただ、エセ関西弁はどうかご容赦ください。
続きは明日…になると思います。
スレ汚し失礼しました。
601名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 01:06:14.12 ID:???
おっつ!
602名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 03:25:56.31 ID:???
乙乙!
603名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:15:40.63 ID:???
>>599
夕食時、ちょっとした予感があって、早めに食堂に降りて行ってみたら、
他には誰もいない食堂の中に、やっぱり彼はいた。
「お、イインチョ、ちょうどええとこにおったな。これ、ありがとな。」
さも偶然を装ったかのようなセリフ。全然嘘。それくらい知ってる。でもそれが嬉しい。
ハンカチに包まれたお弁当箱。手に持つと、空になっているのが分かる。
鈴原は、私がどんなお弁当を作っても、いつも綺麗に全部食べてくれる。そういう彼が、好き。
「今日のは今までの中で一番うまかったで」
「え?」お弁当箱に気を取られて彼の表情を見ていなかった。
「なんつーか、死んだおかんが作ってくれた晩飯を思い出したわ…。あれと同じ味やった…」
一瞬ちょっと遠い目をする鈴原。きっと亡くなったお母さんのことを思い出しているんだ…
なんか悪いことしちゃったかな…。
「ああ、気にせんでええで。おかんはおかん、イインチョはイインチョや」
自分の考えていたことを見透かされたようでドキッとする。思わず鈴原の顔を見上げてしまう。
鈴原はにっこりと笑うと、私の頭を撫でてくれる。
「これからも、頼むわ。こんなうまい弁当なら、毎日でも食べたいわ」
背中を向けて自分の部屋に戻っていく彼の姿を見ながら、今のセリフはひょっとして…、と
思い立ち、顔が真っ赤になる。まさか、鈴原がそこまで考えて言うわけない。
でも…もしかしたら…いやいや考えすぎよ、午前中にアスカと碇君の姿に影響されすぎたんだわ。
私の考えすぎ。そうに決まってる。だけど心拍数はどんどん上がっていく。
流しに行って顔を洗う。冷たい水が、あっという間に蒸発していく。
ああ、ダメだ。私、こんなにも鈴原のことが、好きなんだ。
ツンツン「見たわよ」ニヤリ
604名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:16:15.79 ID:???
>>603
「ひゃぁっ!」
思わず声が上がる。背中をつついてきたのは、後ろを振り返らなくても分かる。アスカだ。
「ちょっとぉ、どこから見てたの…?」
息が苦しい。目の前が、暗くなる。
「ちょっ、ヒカリ、大丈夫???」
気が遠くなる中、暗くなっていく視界に最後に映ったのは、食堂の天井だった。
605名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:16:57.21 ID:???
>>604
目が覚める。見知らぬ天井…いや、ここは…アスカの部屋?
「あ、気が付いた?大丈夫?」
アスカの顔が目の前に見える。
「ここ…は?」
「あたしの部屋よ」
「アスカ…の?」
「そうよ。ヒカリったら、急に過呼吸起こして卒倒するんだもん。びっくりしちゃったわよ」
過呼吸…?そういえば息苦しくなって、倒れちゃったんだ…。
「え?でも誰がここまで…?」
「バカシンジが運んでくれたわ。こういう時、男って使えるわねw」
「え?まさか女子寮に碇君入れたの?」思わず上半身が起き上がる。
「ん?平気よ平気。この階はあたしとヒカリしかいないし。」「いや、そうじゃなくて」
「あー、規則上はまずいかもしれないけど、緊急時だもの。しょうがないわ。」
でも、もしこれが後々問題になったとしたら、それは私のせい。
「ごめんなさいアスカ…」
「なによ、謝ることなんてないわよ。こっちこそごめんなさい。私のせいでこんなことになっちゃって…」
涙目になるアスカ。
「ああ、違うの。アスカのせいじゃないの。ちょっとあの時は考え事をしすぎて…」
と、その時のことを思い出し、また顔が赤くなる。
「考え事?あのバカジャージのこと?」
「…うん」人の彼氏を捕まえて、バカジャージなんて失礼じゃないか、とふと思ったけど、ここは黙っておく。
「ったく、あいつにはヒカリなんて勿体ないわよ。だいたいあいつのどこが好きになったのよ、不思議なもんだわ」
「…アスカには、分からないかもね…」
思わず口に出てしまう言葉。
ちょっとびっくりしたような顔をして、私の顔を眺めるアスカ。
そうね、こんな風に言い返したのって、初めてかもしれない。
606名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:18:02.57 ID:???
>>605
「ねえ、ちょっと聞いてもいい?」「いいけど…何?」
「アスカって…碇君のどこを好きになったの?」
瞬間、アスカの顔が真っ赤になる。
「な////なななな何をいきなり…」
「ご、ごめんなさい。でもちょっと聞いてみたかったの…。なんだかさ、羨ましくて…」
「羨ましい?」
「うん。アスカってさ、いつも碇君と一緒にいて、2人で1つ、みたいな感じじゃない?
ものすごーく仲がいいし、息もぴったりだし。で、不思議とそれがみんなを幸せな雰囲気に
させるっていうか、でもそういうのって、私たちには無理だな…なんて思って。」
しばしの静寂。私とアスカがいる空間が、こんなに静かになるなんて、なんだか怖いくらい。
しばらくして、アスカが口を開く。
「どこを好きになった、っていうか…気が付いたのよ。私の居場所がそこにあった、って。」
「居場所?」
「そう。今までずーっと探していたものが見つかったような感じで。
で、そこに納まってみると、すごく安心できるし、あいつ、あたしのことすごくよく分かっててくれて、
こんなあたしでもとっても大事にしてくれるし…、それにね、これが一番重要なんだけど、
バカシンジにとっても、あたしの隣があいつの居場所なの。総てがすっ、とそこに納まるの。
だから、好きっていうか、あたしたちにとっては、あれが自然なの。」
予想外の答え。2人でいることが自然なこと…
607名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:20:10.05 ID:???
>>606
「それって、すごい素敵…」
「うん…//ありがと」
アスカは顔を赤らめて続ける。
「こんなこと、ヒカリにしか言えないんだけど、あたしね、あいつとずーっと昔に出逢っていた
ような気がするの。初めて会った時には分からなかったけど、きっとあいつとあたしは、
前世でも過去世でも、必ず巡り逢って恋人同士になっていたと思うの。
決して思い出せないけど、その記憶はあたしたちの中に確かにあって、何度生まれ変わっても
その記憶があたしたちを引き寄せてるって…こんなこと言うのもすっごく恥ずかしいんだけど、
多分あたしが思ったり感じたりしていることを、シンジも思い、感じてくれてて、
それを言葉に出せなくても理解し合える…あいつとあたしは、
だから一緒にいることを定められているのよ…いるんだと思う…そうだといいな…///」
すごい。すごい。ほんとにすごい。それしか思いつかない。
そして、そう言われても納得してしまうようなものが、碇君とアスカには確かにある。
「きっと、そうだよ…アスカと碇君、これ以上ないほどお似合いだもの…」
私たちはどうなんだろう…きっとこの2人には遠く及ばない…
608名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:20:50.96 ID:???
>>607
「ヒカリたちもきっとそうだよ」
え?今自分が考えていたことを見透かされたようで、びっくりする。
「ヒカリたちも、きっと昔からそう運命づけられているのよ、間違いないわ」
「えええ?まさか…」
「そう思いたくないの?」「いや、そんなことないけど…」
「大丈夫よ。あのジャージ、ヒカリにぞっこんじゃない。あんたたちもお似合いのカップルよ。
うまくヒカリの方で手なづけちゃえば、あいつ意外と尽くす男になるかもよw」
アスカがいたずらっ子のように笑う。
「えー、でもそんなの鈴原じゃないよぉ」笑いながら私も返す。なんかちょっとほっとする。
アスカに言われると、少し自信が出てくる…気がする。
「…その割には、人の彼氏捕まえてバカジャージ呼ばわりしてたわよね?」
「ん…そんなこと言ったかしら?…まあ、あれよ、あたしがシンジのこと、なんて呼んでるか、
ヒカリも知ってるでしょ?」
「…バカシンジ」「そう」「…なるほど」
2人で笑う。心の中にぐるぐると巻かれていた鎖が、少しほどけたような気がする。
「ねぇアスカ…」「何?」
「碇君とは…その…もう…キス、とかしたの?」
「バっ、バ、バ、ババババカ…何を突然…」顔に答えが書いてある。
「したんだ。」「…////」コクコク「いいなぁ…私は手をつなぐのがやっと…」
「だ、だ大丈夫よ。好き合っていれば、自然とそうなるわよ」
ちょっと上から目線な言い方だけど、私は黙って頷く。
「まさか、キスの先も?」「まっまさか。まだそこまではしてないわよ…」
これは本当らしい。「まだ」っていうのが気になるけど。
609名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:21:52.59 ID:???
>>608
翌日の夕方。私はノートを買いに近くのコンビニに行った帰り。
コンビニから外に出ると、ちょっと先の歩道をあの2人が歩いている。
もう夕暮れ時だというのに、あの2人の間だけは、なんだか青空が広がっているような感じで、
見ていてホレボレするくらいに、清々しく2人だけの空間と時間を満喫しているようだ。
あそこまで自然な感じにくっついたりできるのは、ちょっとした奇跡なんじゃないだろうか。
この地球上に何億人の人がいるか知らないけど、あの2人は、お互いにその何億人何十億人の中から
自分にとって最高の相手を見つけ出したんだと思う。
いや、アスカの言葉を借りれば、2人は一緒になるべく定められていた、というべきか。
はぁ…昨日あんなことを言われたけど、やっぱり間近に見ると、羨ましい。
こっそりと、あの2人を私たちに置き換えてみる。じゃれあって、密着する私と鈴原…
…やっぱり恥ずかしい///

「イインチョやないか」
「きゃっ!」驚きのあまり心臓が飛び出しそうになる。
「うわっ、何そんなに驚いてるん…ワイが逆にびっくりや…」
鈴原が、自転車にまたがってそこにいた。
今、この瞬間まで密かに妄想していた相手が目の前に現実に立っている。

「…鈴原…どうしたの?」
「ん?いや、サッカー観に行った帰りや」
「そうなんだ…」
ちょっと気まずい…;;;
「おっ、またやっとりますな、夫婦漫才w 休みの日でもやっとるんか、たいしたもんや」
前の方を歩いている碇君とアスカを見つけたらしい。
「…でも…なんだかちょっと羨ましい」
つい、口にしてしまった。言ってしまった瞬間に後悔するが、もう遅い。
610名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:23:30.60 ID:???
>>609
「ん?羨ましいんか?別にええやんけ。」
「そう?」ドキドキしながら、恐る恐る鈴原の顔を見る。
目が合う。心臓の鼓動が早まる。
「いや、あいつらはあいつら。わしらはわしらでええんとちゃうか?」
「え?」
「だって、あいつら見てみい、もしバカップル世界選手権なんてのがあったら、
あやつら間違いなくぶっちぎりの金メダルや。あんなん、真似しよったってできんわwww
あいつらはあいつらのペースでやらしとき。うちらはうちらでええねん。」
瞬間、何か目の前がぱぁっと明るくなった気がした。
鈴原、なんだかんだ言って、色々と考えてくれてるんだ、そう感じたし、その言葉そのものも、
とっても嬉しかった。「うちらはうちらで」確かにそうだ。
「そっか…それもそうよね。」
「お、スッキリしたな」
鈴原がニヤッと笑う。このいたずらっ子のような笑顔が、たまらなく好きだ。
「ほら、帰るで」「うん//」
「ねぇ、鈴原、」「なんや」
「明日のお弁当、何がいい?」
「なんでもええねん。イインチョが作る弁当やったら、なんでもうまいからな」
「…ありがと///」
611名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:24:34.43 ID:???
>>610
「チャリ、後ろ乗ってくか?」
「えー、それってダメなんだよ。警察来たら怒られるよ」
「いちいちうるさいやっちゃな、ならええわ」
先に行こうとして、ふと思いついたように自転車を降りて押し始める鈴原。
「まあええわ、チャリこいで、あの2人に追いついたらまたなんか言われんだろうし、今日は付き合うたるわ」
1日の終わりにこんな幸せが待ってるだなんて、今日はなんていい日なんだろう。
明日は、碇君直伝のハンバーグでも作ろうかしら。
そう思いながら、私は鈴原と寮へ向かった。ゆっくりと、ゆっくりと。
612名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:29:38.36 ID:???
>>600
乙であります
いつも読んで思うんですが、ラブコメ独特の表現法が非常に上手いですね
あと何でだろうか、話がテンポよくスムーズに進行してる気がする
やっぱり日頃から読書しないと文章力って身に付かないもんなんだな・・・・・・

オイラが今執筆中の作品も食事ネタですが
内容は少し不潔な方向に傾きかけてるかもw
613名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:43:26.01 ID:???
お疲れ様です。265の人です。
最後にサルっちまって、携帯から失礼します。
とりあえず、お弁当編終了です。LAS成分少なめで申し訳ない。
次は精進しますんでw 次があれば、だけど(´・ω・`)
スレ汚し失礼しました。
614名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:45:52.34 ID:???
あら?まだ投稿途中だったとか・・・・・

えーと・・・・・・とりあえず乙
615名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:48:11.19 ID:???
>>613
猿でしたかw
改めて乙であります
616名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:59:11.85 ID:???
〉〉612、614、615
こちらこそ乙であります。
すんませんお気遣いいただいて(´・ω・`)
そちらの次回作も期待してお待ちしてます。
617名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/02(水) 23:59:57.70 ID:???
あれ?アンカーうまく付かなかった。
ごめんなさい。
618名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/03(木) 01:02:15.33 ID:???
いゃ〜ポカポカするわ〜、乙乙!
619名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/03(木) 09:09:30.64 ID:???
おつ!
620名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/03(木) 23:24:06.68 ID:???
各作者様いつもありがとう
読むときはいつも脳内でアスカの姿を想像しながら読んでます
621名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/04(金) 18:58:42.76 ID:???
乙です
622名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/04(金) 20:59:55.32 ID:???
すげえ
623名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/05(土) 01:32:05.48 ID:???
もう一人の作者も続編はよ
624名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 03:26:59.13 ID:???
>>577
互いの唇を離しキスを終えると暫く二人は抱き合っていた。
アスカ「ねえシンジ、アタシのことずっと離さないでね」
シンジ「離すもんか・・・・アスカにずっと一緒にいて欲しいんだ」
アスカ「えへっ、ちゃんとアタシのこと大切にしなさいよ・・・・・ちゅっ♪」
笑顔のアスカはシンジの唇に軽くキスをした。

先ほどの乱入者のおかげで中断していた雑誌の話題を再開しようと二人はシンジのベットに腰掛けた。
二人の膝の上に雑誌を乗せ、シンジに体をあずけるような体勢で右腕に抱きつくアスカは楽しそうであった。
アスカ「とりあえず食生活から改善していく方法もあるわけよね。まずは”亜鉛”ね」
シンジ「やけに細かいとこまで調べるんだね」
アスカ「当たり前でしょ。今から徹底しておけば将来困ることはないでしょうからね。
    この”亜鉛”は精子の運動率を上げてくれるそうよ。
    具体的には、牡蠣、牛のもも肉、ホタテ、納豆、鰻などかぁ・・・・・。
    ねえシンジ、この中に嫌いなものってある?」
シンジ「いや、ないね。全部好きなものばかりだよ。って、これ殆ど御馳走じゃないか」
アスカ「むふ〜、よろしい。」
幾つか上げた食材はシンジも好きみたいだったのでアスカは満足げな表情でシンジの頭を優しく撫でた。
シンジ「なんか好き嫌いしないで褒められてる子供みたいな扱いだね・・・・・」
アスカ「これでいいの!男は女の前ではいくつになっても子供なんだから。
    さっ、次は”アルギニン”よ。これは精子の増殖を助けるものらしいわね。
    えーと、胡麻、筋子、鶏肉、大豆、胡桃って書いてあるわね。
    まあこれは学校の食堂で普段からよく出るから問題はないわね」
自分の体を気遣ってくれるアスカの気持ちは嬉しいシンジではあったが、
やはり何も今からやる必要があるのか・・・・少々複雑ではあったが楽しそうに雑誌を読むアスカの姿を見ると、
楽しい気分になっている自分がいることに気付いて、何故か不思議と幸せに感じるようになっていた――――
625名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 03:28:08.31 ID:???
>>624
アスカ「あとは”ビタミンB12”なんかも精子運動率や造精子機能を上げてくれるみたいだし、
    この”ビタミンE”は受精機能を上げてくれるって。これは大事よね!。
    シンジ、玄米がいいらしいからアンタこれから毎日玄米食べなさい!」
シンジ「ははは・・・・・毎日か。まあでもこれは体にもいいからね」
次々出てくる栄養素や食材に頭の中は混乱気味だったが、アスカと一緒だと全く苦にならない。
寧ろ少しづつ興味が湧いてくるシンジであった。
アスカ「シンジの方はこれヨシっと・・・・アタシの方も何か対策しないとね」
janjanをさらにめくっていくと【質の良い卵子の作り方】のタイトルが書かれたページが目についた。
アスカ「シンジ一人だけ良くってもダメよね。アタシもちゃんと健康なタマゴを用意できるようにしなきゃ」
シンジ『しかし年頃の女の子が精子、卵子って・・・・・あれ?なんか遥か昔に同じ事考えてたような・・・・・
    気のせいかな?
    でも不思議だな。こんな事が当たり前に思えてきた。これが夫婦なのかな・・・・・』
二人の会話内容が高校生の域を越えており、もはや新婚夫婦同様のものとなっていたが
シンジはアスカが真剣に雑誌の情報を調べる姿に違和感を感じなくなっていた。
アスカ「うーん・・・・基本的にはシンジと同じね。良質の卵子はビタミンEが効果的だって。
    あとビタミンAは子宮環境を整えるって書いてあるわ。鰻とほうれん草だって。
    これも鰻はシンジのと同じね。
    シンジとアタシの赤ちゃんが宿る大切なベットを整えるものだから、きちんと摂取しないと・・・・ね、シンジ」
シンジ「うん、そうだね・・・・・」
ちょっと早い新婚気分のアスカはシンジを見上げながら絡ませている左腕を更に強くギュッと抱き締めた。
少し照れて頬を赤く染めるアスカが可愛く見えたシンジはアスカの頭に自分の顎を乗せて、
左腕をアスカの細い右肩にまわし自分の方へ抱き寄せた――――
626名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 03:29:22.66 ID:???
>>625
一通り調べ上げた内容はリスト化されて、あとは実行するのみとなった。
シンジ「でもさ調べたのはいいけど、これどこで調理するの?」
アスカ「夏休み中は学校の食堂が使われてないわ。食堂の厨房を貸してもらえばいいじゃない。
    ちょうど今はミサトが寮監の代行でここにいるから、厨房の使用許可をもらってそこで調理するのよ」
シンジ「なるほどね。でも夏休みが終わったらどうするの?」
アスカ「食堂のおばさんに今調べた食材のリストを紙に書いて渡せばいいのよ。
    それで健康にいいからって理由でこの食材を中心にメニューを追加してってお願いするの。
    この食材内容なら変に怪しまれないでしょ」
シンジ「アスカって凄いね。そこまで考えてるんだ」
アスカ「別に大したことじゃないわよ。さて!早速今日から実行するわよ!まずは食材の調達ね。
    シンジ、今晩はアタシがゴハン作ってあげるわ。」
シンジ「え、晩御飯作ってくれるの?アスカの手料理が食べられるのかぁ・・・・ありがとう、嬉しいな。
    でもアスカって料理できたっけ?」
アスカ「し、失礼ねっ!アタシこう見えても料理は得意なんだから!
    こんな可愛くて美人な女の子の手料理が食べられるんだからアンタは心から感謝しなさいね」
シンジ「ハイハイ、じゃあ楽しみにしておくよ」
アスカ「じゃあまずは食材調達に買い物行くから一緒に来て」
シンジと二人でショッピングができるアスカはウキウキ気分であった――――
627名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 03:30:40.63 ID:???
>>626
PM5:00――――
日も落ちて若干暑さが和らいではきたが、それでも気温はまだ30度を超えていた
今日一日アスカの買い物兼デートに付き合ったシンジは両手に沢山の荷物を持って汗だくになっていた。
シンジ「ア、アスカァ・・・・・ちょっと休んでいかない?」
アスカ「あと少しで寮に着くでしょ。そこまで頑張んなさい!
    あー、でも今日は楽しかったぁー!シンジも楽しめたでしょ?アタシみたいな可愛い彼女連れてデートできたんだし」
シンジ「そりゃアスカは楽しかったかもしれないけどさ・・・・・買ったもの全部僕が持たされてもうヘトヘトだよ。
    だいたい食材を買いに来たのに何で洋服とか靴とか鞄とかアクセサリとか関係ない物まで買うんだよ。
    しかもみんな僕がお金払って・・・・・せっかく稼いだバイト代がなくなっちゃったよ。トホホ・・・・」
アスカ「アンタ、バカァ!?男ならこんな可愛い彼女のために洋服や鞄の一つや二つ買ってあげるのは当然でしょ!
    それに男なら荷物を全部持つのも常識でしょ。それともこんなか弱い女の子にそんな重い物持たせて
    アンタは平気なワケェ?。お金なんかまたアルバイト頑張って稼げばいいだけじゃない。
    アタシみたいな可愛い彼女のために使うんだから光栄に思いなさいよね」
シンジ「アスカ、無茶苦茶だよ・・・・・ハァ」
アスカ「男のくせに細かい事気にしないの。さ、もう少しで寮よ。
    帰ったらアタシの愛妻料理が食べられるんだから頑張りなさい!」
意気揚揚と歩くアスカの後を両手いっぱいの荷物を持ちながらトボトボとついていくシンジの後姿には哀愁が漂っていた。
夕暮れの中、まだセミの鳴く声が聞こえる道を約10分ほど歩くと寮の門が見えてきた。
同時に向こうから歩いてくるベビーカーを押す一人の女性が見えた――――
628名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 03:32:27.30 ID:???
>>627
「あら、アスカちゃんにシンジ君じゃない。」
アスカ「あ!リツコさんだ!」
シンジ「リツコさん、こんばんわ」
寮の近所に住む赤木リツコとは登校・下校時によく顔を合わせる顔馴染の関係であった。
リツコ「今日は二人仲良くデートしてたのね。どお、楽しかった?」
アスカ「うん、今日はシンジとショッピングに出かけてたんだけど、
    シンジにいっぱい洋服とか靴とか買ってもらったの」
リツコ「まあ!それはよかったわね!。シンジ君もかなり奮発したわね。
    やっぱりアスカちゃんみたいな可愛い女の子におねだりされると
    アルバイトも人一倍頑張れるみたいね」
シンジ「じょ、冗談じゃないですよ!。本当は夕食の食材を買いに行っただけなのに、
    アスカったらドサクサに紛れてあれ欲しいとかこれが欲しいとか・・・・・ゴフッ!」
アスカ「なによー!好きな女の子には贈物するのが男として当然ってさっき教えたでしょ!」
アスカの軽く放った肘鉄を鳩尾(みぞおち)に喰らいむせ返るシンジ、少しムスッとして膨れ顔のアスカ。
そんな二人の姿をとても微笑ましそうな表情でリツコは見ていた――――
アスカとシンジのやり取りをベビーカーの中から珍しそうに見つめていた赤ん坊は
その二人の姿が面白かったようで、キャッキャッと手を叩いて喜んでいた。
リツコ「あら、ウフフ。このお兄ちゃんとお姉ちゃん楽しそうねーマギ君♪」
アスカ「あー、赤ちゃんだー!キャー可愛い♪」
ベビーカー内のマギを見るなり頭を撫でたり頬っぺたをツンツンしてご満悦のアスカは、
赤ん坊のプニプニした肌に夢中で目が爛々としていた。
シンジ「あ、そういえばマギ君見るの今回が初めてでしたね」
リツコ「生まれてから三ヶ月経って首も座ってきたから、散歩に出かけるようになってきたのはごく最近ね」
リツコがベビーカー内で足をパタパタ動かしているマギを抱き上げると、マギはアスカの方に手を伸ばしてきた――――
629名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 03:33:48.17 ID:???
>>628
アスカ「あーんもうっ、アタシも赤ちゃん抱っこしたーい!」
リツコ「いいわよ。ほらマギ君、アスカお姉ちゃんが抱っこしてくれるってー。よかったねー♪」
念願の抱っこが叶ったアスカはマギのつぶらな瞳にメロメロで、思わず頬擦りしていた。
アスカ「あ、アタシを見て笑ってるー。ねえねえシンジ、ほら見てー可愛いでしょー♪」
シンジ「本当だ、可愛いなぁ。」
アスカの抱くマギを横から見ていたシンジもアスカに寄り添うようにして、
マギの頬っぺたのプニプニ感を楽しんでいた。
リツコ「ウフフ、二人ともそうやってると本当の新婚夫婦に見えるわね」
アスカとシンジのマギを取り囲むような姿を見ながらリツコは微笑んでいた。
アスカ「え、やだぁー・・・・・もう」
リツコに指摘され恥ずかしそうに少し頬を赤く染めながらシンジの顔を見上げ、
シンジも照れくさそうな表情でマギを抱くアスカの顔を見ながら互いに苦笑いしていた
アスカ「じゃあねー、マギくーん。バイバーイ♪」
リツコとの別れ際、アスカはマギに向かって手を振った。
アスカ「あー、でも赤ちゃん可愛かったなー。アタシも早く赤ちゃん欲しいなぁー・・・・」
赤ん坊を抱っこした時の心地いい感触が忘れられないアスカは
隣で一緒に歩くシンジの顔をチラっと見ながらそう言った。
シンジ「アスカはもう虜になってるね。でもそれはまだ先のことだし今は無理だよ」
アスカ「でもね好きな人の子供を産むのは女の幸せなのよ。それに結婚は早い方がいいってよく言うじゃない?。
    だいたいこの国の法律が悪いのよ!。愛し合ったら年齢関係なしで即結婚できるようにするべきだわ!」
シンジ「そんな無茶苦茶な法案なんて通るわけないだろ。
    そんなことより早く帰って夕食の支度しないといけないよ」
少し困惑したような苦笑いのシンジは早く帰るよう促すように早足で寮に向かった――――
630名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 03:34:58.94 ID:???
>>629
食堂の厨房に入ると早速晩御飯の支度を始めようとするシンジは、買ってきた食材を袋から取り出し
テーブルの上に並べていった。
アスカ「アンタは何もしなくていいわよ。今日はアタシが一人で全部やるんだからね」
シンジ「え、でもアスカ一人に任せるのは悪いよ」
アスカ「いいの。将来のことも考えて今から花嫁修業のつもりでやるんだから
    未来の旦那様は食堂の椅子に座ってテレビでも見てなさいって」
シンジ「気合い入ってるなぁアスカ。でもまだ本当の夫婦になったわけじゃないんだし、
    無理しなくてもいいんだよ?」
アスカ「アンタはアタシにプロポーズしたんでしょ?。アタシもシンジのお嫁さんになるって決めたんだからね。
    思いついたら即実行よ!」
シンジ「ハハハ、もう本当にお嫁さんになった気分なんだね」
アスカ「あら、アタシはもう本気でシンジのお嫁さんになったつもりよ。
    今からアタシの愛情がいっぱい入った愛妻料理作ってあげるから待っててね、ア・・・・アナタ♪」
『『ボンッ!!』』
アスカの放ったセリフに頭が破裂するような感覚になったシンジとアスカ。
言われたシンジは耳と顔が真っ赤になっていたが、
言ったアスカ本人も恥ずかしさのあまり同じように耳と顔を真っ赤にして下を向いていた。
二人の心臓は恥ずかしさと照れくささで破裂しそうなくらいバクバク鳴っていた――――
631名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 03:39:41.84 ID:???
とりあえず>>577の続きを書いた
今回はここまで

以前に比べるとだいぶ恥ずかしくなくなってきたみたい
でもやはり背中がムズ痒いw
そんなわけでみなさん、おやすみー!
632名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 08:48:34.97 ID:???
  ( ゚д゚ ) ガタッ <きわめてすばらしい
  .r   ヾ
__|_| / ̄ ̄ ̄/_
  \/    /
633名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/06(日) 23:26:43.66 ID:???
乙です
634名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/07(月) 23:12:06.36 ID:???
おつー
635名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/08(火) 21:04:52.98 ID:???
遅くなったけど乙です
636名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/08(火) 23:01:09.47 ID:???
また新作を期待してます
637名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/08(火) 23:41:21.79 ID:???
乙です
もっとニヤニヤしたいので続きはよ
638名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/09(水) 01:40:26.88 ID:???
ゆっくりでもいいから続きを待つ
639名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/09(水) 23:18:45.74 ID:???
胸触る触らないの下りは消滅?
640名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/09(水) 23:32:41.34 ID:???
週末あたりに期待してる
641名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/11(金) 00:03:20.27 ID:G6uCkNcC
おつです
642名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/11(金) 22:51:45.08 ID:???
まとめ屋さんこないかな!!!
643名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/12(土) 03:09:38.18 ID:???
>>642
まとめ屋さんて誰?
644名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/13(日) 02:20:45.85 ID:???
続きはよ
645名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/13(日) 22:28:17.17 ID:???
>>643
スレの作者別とか別サイトで作品まとめてくれる人。
このスレだけで終わらせるのは惜しい
646名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/14(月) 02:20:58.94 ID:???
まとめサイトを新たに立ち上げる必要があるんじゃね?
誰かWebサイトの作成経験者がいればいいんだが


やっぱり三連休ともなると職人たちも遊びに行ってるから投稿がないんだな
647名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/14(月) 02:33:35.04 ID:???
ごめん上手く話しが繋がらなくて苦戦中です(´・ω・`)
いくつかネタはあるんだけどね…
待っててくれる人がいるかどうかわからんけど、スレ汚しで構わなければもう少しお待ちくだされ
648名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/14(月) 21:29:37.56 ID:???
大丈夫だ少々話が繋がらんでも問題ないから続きはよ
649名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/14(月) 22:28:38.29 ID:???
ゆっくりでいいから待ってます
650名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/15(火) 23:00:12.29 ID:???
スレ立てた当初にたくさんいた職人たちはどこへ行った?
651名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/16(水) 19:44:21.67 ID:bSZzUXVU
ま-だ-か-な…
652名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/16(水) 19:49:18.51 ID:???
あまりにハイレベルな作品が眩しすぎて、
投下する気にならんwww
653名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/16(水) 23:13:11.49 ID:???
>>652
てことはお前も以前は投稿してたんだな?








作品の投稿はよ
654名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/16(水) 23:26:13.83 ID:bSZzUXVU
同じく
是非(´・ω・`)
655名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 01:42:55.95 ID:???
大丈夫だ、投下してくれるだけで、今なら神だ
だから、はよ
656名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 02:17:29.48 ID:/o0FDZR2
同じく
是非(´・ω・`)
657名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 10:12:53.64 ID:???
はよ
658名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 10:28:42.19 ID:???
>>237の人だが、ちょっちネタが湧いてきた。
書き溜めたら投下する。
拙くて申し訳ないと先に言っておくw
659名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:30:44.05 ID:???
>>237
=10月某日=

シンジ「台風か…酷い風と雨だな…、学校休みなのは良いけど…」

シンジ「掃除も洗濯も終わったし、少しのんびりするか…」ゴロッ

シンジ「母さん達も研究所に缶詰で帰ってこないし、となるとそろそろ…」

ピロリン♪

シンジ「ほらきた」

lineアスカ『暇』

シンジ「ぶっ、一言かよ」チョイチョイチョイ…
660名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:32:40.23 ID:???
>>659

ピロリン♪

アスカ「ん♪」

lineシンジ『なんだよ暇って』

アスカ「む〜…」チョイチョイチョイ…

ピロリン♪

シンジ「……」

lineアスカ『暇だから暇って言ってんの!』

シンジ「課題でもしろよなぁ…」チョイチョイチョイ…

ピロリン♪

アスカ「……」

lineシンジ『課題すれば良いだろ』

アスカ「むっ…」チョイチョイチョイ…
661名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:34:22.80 ID:???
>>660

ピロリン♪

シンジ「……」

lineアスカ『あんたバカぁ?とっくに終わってるてーの!』

シンジ「なんだ、終わったのか…」チョイチョイチョイ…

ピロリン♪

アスカ「……」

lineシンジ『ふーん、よかったね』

アスカ「な、なによあいつ…」チョイチョイチョイ…
662名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:37:04.90 ID:???
>>661

ピロリン♪

シンジ「……」

lineアスカ『あんたあたしの彼氏でしょ!かまってよバカ!』

シンジ「くすっ…」チョイチョイチョイ…

ピロリン♪

アスカ「……」

lineシンジ『冗談だよ、おいで』

アスカ「よし!//」グッ
663名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:38:23.22 ID:???
>>662

ガラッ! ビュウゥゥゥ! ピシャッ!

シンジ「うわああっ!」

アスカ「邪魔するわよ」スタスタ

シンジ「なんでベランダから入って来るんだよ!ほらタオル!」

アスカ「めんどくさかったんだもん…」フキフキ

シンジ「ったく…」


アスカ「ねーシンジ」

シンジ「なんだよ?」
664名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:39:56.61 ID:???
>>663

アスカ「あたし朝から何も食べてないのよ、だから何か作って」

シンジ「自分で作るって選択肢は無いのかよ」

アスカ「無いわ!」キッパリ

シンジ「はぁ…分かったよ、パスタで良いかな?」

アスカ「うん♪」
665名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:41:34.73 ID:???
>>664

シンジ「なにがいい?」

アスカ「カルボナーラがいいな〜♪」

シンジ「わかった、ちょっと待っててよ…」

スタスタ ガチャ…

シンジ「えーと……あ、生クリーム無いや…」

シンジ「アスカ〜ごめん、カルボナーラ無理だよ」

アスカ「ええ〜!ショック…」

シンジ「ペペロンチーノでいいかな?」

アスカ「うん…それでいいわ」
666名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:42:37.56 ID:???
>>665

=数十分後=

シンジ「ほら出来たよ」

アスカ「いただきまーす♪」

カチャ クルクル パクッ

アスカ「もぐもぐ…♪」

シンジ「美味い?」

アスカ「ん、まぁまぁね…」モグモグ

シンジ「相変わらずだなアスカは」ニコニコ

アスカ「…//」カチャ クルクル
667名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:46:33.19 ID:???
>>666

アスカ「塩加減が絶妙ね」モグモグ

シンジ「スパ麺を茹でるときに、塩を多目にして味を付けるのがコツなんだよ」

アスカ「ふ〜ん、美味しいわよ…」カチャ クルクル パクッ

シンジ「ありがとう」ニコニコ

アスカ「……///」モグモグ


アスカ「ごちそうさま、満足したわ」

シンジ「お粗末さまでした」ニコニコ
668名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:47:54.34 ID:???
>>667

アスカ「まだ台風抜けないわね…」

シンジ「うん、でももう少ししたら抜けると思う、足が速いからね」ジャー カチャカチャ…

アスカ「あ、お皿くらいあたしが洗ったのに」

シンジ「いいよ、アスカはコーヒーでも飲んでて」ニコッ

アスカ「うん…///」
669名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 14:52:52.39 ID:???
紫煙
670名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 15:02:43.45 ID:???
>>668

アスカ「ねーシンジ」

シンジ「なに?」

アスカ「大学卒業したらどうするの?」

シンジ「まだだいぶ先の話じゃないか」

アスカ「いいのよ、なんか目標が有るなら聞かせて」

シンジ「ん〜、多分母さんの研究所に入ると思う」

アスカ「そうなんだ」

シンジ「あの遺跡を研究したいんだ」
671名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 15:04:34.88 ID:???
>>670

アスカ「………あたしも、そうしようかな…」ボソッ

シンジ「え?」

アスカ「夫婦で研究なんて、割りとステキっぽくない?」

シンジ「ふ、夫婦!?///」

アスカ「なによ…イヤなの?」ジロッ

シンジ「えっ、いやその…///」

アスカ「どうなのよ!?」

シンジ「イヤじゃ…無いです…///」

アスカ「よし!/////」
672名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 15:06:30.68 ID:???
>>671

アスカ「あ、見てみてシンジ、雲に切れ目が出来てきたわよ」

シンジ「ホントだ凄い速さで流れてる…」

アスカ「雨も止んできたわね」

シンジ「うん」

フワッ…

シンジ(アスカの髪が…)
673名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 15:07:47.22 ID:???
>>672

シンジ「アスカ……」ソッ…

アスカ「えっ…//」ドキッ


シンジ「アスカ…好きだよ…//」


アスカ「…………うん////」

アスカ(顔が…近い…////)

チュッ


終わり
674名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 15:34:06.74 ID:???
もうダメポ…_(┐「ε:)_無理書けない
675名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 16:39:36.24 ID:/o0FDZR2
投下お疲れ様です!!
676名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 22:09:04.56 ID:???
おつです!
677名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 23:39:58.89 ID:???
>>674
押忍!先輩乙です!
以前の作品から読んでますがセリフだけでここまで表現できるってのが正直驚きです
読者に想像を委ねるのも一つの手法ってことがよくわかる作品だと思います
あとオイラも恥ずかしいの克服しながら作品書いてますので
ダメポなどと言わず続編お願いしますw
678名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/17(木) 23:49:21.58 ID:???
乙であります
679名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/18(金) 04:35:19.50 ID:???
皆様乙ありっす

>>677
逆に俺は地の文が全く書けないっす、
普段小説読まないからかな(汗)
ここで読むようになったけど、
やっぱり書けんです。
680名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/18(金) 23:16:17.57 ID:???
>>677
>>679
ふたりとも乙
書いて早々悪いけど続きはよ
681名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/18(金) 23:35:27.52 ID:???
>>679
おつです
682名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/19(土) 01:12:41.91 ID:???
>>674
乙です。楽しませていただきました。
当方>>265の人ですが、私も投下する時は今もこっ恥ずかしい気持ちと戦っておりますよ。
>>494の予告の人の作品とかシンジとアスカは結婚するの人の作品とか読んで、自分には出来ないものを見つけて凹んだりとか、
でもそれを少しでも取り込めたら、なんて思いながら日々ネタを探しております。
何が言いたいかというと、続きを待ってます、ってことで。
私自身は…ちと収拾がつかなくなっておりまして…。来週中にはなんとか。長文失礼。
683名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/19(土) 10:28:42.05 ID:???
頑張って下さい、楽しみにしてます
684名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/19(土) 16:01:11.81 ID:???
>>682
いやはや畏れ入ります。
あなたの作品も、俺なんかとは比べ物にならない位レベル高くてビビったですよ。
自分の学の無さが身に染みるです。
次弾の発射お待ちしとりますよ!
685名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:04:51.05 ID:???
>>630
食堂のテーブル席に座ったシンジは厨房のカウンター越しに見える
エプロン姿で料理するアスカに見とれていた。
トントントン・・・・テンポ良く聞こえてくる俎板(まないた)の音に耳を傾けながら
肩肘をついてアスカを見ているシンジ。
シンジ『楽しそうに料理してるアスカの顔って本当に綺麗だな。
    あんな可愛くて優しい目になるなんて・・・・あれが奥さんの顔なのかな。
    結婚したらこんなアスカが毎日見られるのかぁ・・・・』
エプロンを着けたアスカが愛おしいく思えてきたシンジは、
夫婦生活とはどのようなものなのか頭の中でいろいろと妄想を巡らせた。
手際よく調理を進めるアスカがふとカウンター越しのシンジに視線をうつした。
アスカ「んー?シンジー!ねえ、シンジ、シンジってばぁ・・・・もうっ、バカシンジっ!」
シンジ「・・・・・ハッ!あ、いやっ、なんだい?」
アスカ「なによボーッとしちゃってさ。」
アスカの声で妄想の世界から帰還したシンジは慌てて真顔に戻したつもりだったが、
ニヤけた表情は完全には戻らなかった。
アスカ「なにだらしない顔してるのよ。アタシとの新婚生活でも想像してたの?
    もしかして料理してるエプロン姿のアタシを後ろから抱き締めて、
    そのまま押し倒したりとか変なこと考えてたんでしょー!?」
シンジ「えー!?い、いやそんなこと考えてないよ!」
アスカ「むぅー!?」
アスカはカウンターに近づいてシンジの顔を覗き込むように見た――――
686名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:07:18.76 ID:???
>>685
シンジ「いやだからさ、こんな可愛い奥さんの料理する姿を将来見られるのかなって考えてたら
    なんだか頭がポーっとなっちゃってさ・・・・・ゴメン、実は後ろから抱き締めてたりなんかしてた。
    アスカのエプロン姿があんまり可愛かったから。あ、でも押し倒したりなんか決してしてないよ!」
アスカ「ほら、やーっぱりそんなこと考えてたんじゃない!バカ!エッチ!変態!スケベ!」
シンジ「だから押し倒したりまではしていないってばぁ!」
アスカ「もう分かったわよ。でもちょっと嬉しいかな・・・・・女としては。
    だけど今はダメよ!でも将来結婚したら・・・・その時まで待ってて」
シンジ「う、うん・・・・わかった」
申し訳なさそうな表情でオロオロするシンジを見て楽しんだアスカは
再びカウンター奥の厨房へと笑顔で向かった。
食堂で二人仲良くノロケて新婚さんモードに入っていた頃、ミサトは寮監室でスルメをつまみに缶ビールを飲んでいた。
ミサト「あの子達、本当に大丈夫なのかしら?。もう今頃は変な雰囲気になって・・・・・・
    いやいやいや!そんなことは許されないわ!もし発覚したら私の監督責任で首が飛んじゃう!」
かなりの本数を飲んで酔いがまわっていたミサトだが、やはり教師という立場上は食堂にいる二人の行動が気になるようで、
不測の事態に備えて飲む本数を抑えるか否か悩みつつも、本音では食堂の二人がイチャイチャする姿をつまみにして
ニヤニヤしながら【えびちゅ】を飲みたいとも思っていた。
缶ビールをグイッと飲み干すと同時に男子寮入口の扉が開いた――――
687名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:08:38.31 ID:???
>>686
ミサト「んー?誰、こんな時間に」
ヒカリ「ミサト先生、こんばんわー。また来ちゃいました」
ミサト「あらヒカリじゃない。って、あら?マリも一緒にどーしちゃったの?」
マリ「こんばんわー!なんか面白そうなことになってるみたいだから付いてきちゃったんだにゃっ♪」
アスカ、ヒカリ、シンジと同じクラスメイトの真希波・マリ・イラストリアスがヒカリの後ろからひょっこり顔を出した。
どうやらアスカとシンジが食堂で”将来”に備えた”計画”を実行中だとヒカリから聞いたようで、
日頃からシンジの事をネタにアスカをからかっていたマリは速攻で飛びついたらしい。
ミサト「まったくアンタ達は・・・・・私も混ぜてよ♪」
マリ「もちのローン!こんな美味しい話はみんなで楽しんだ方が楽しいに決まってるにゃ!」
ヒカリ『ミサト先生も好きだなぁー・・・・・本当にこの人教師なの?』
ミサト「今度こそアスカに感づかれないように慎重にやりましょう!」
ヒカリの心配をよそにミサトとマリは懲りずに覗き作戦を実行しようと早速食堂へ向かった。

食堂には入口から慎重に様子を伺うミサトとマリの姿があった。
ヒカリ「二人とも気をつけて。アスカって本当に感が鋭いんだから。
    今朝も碇君の部屋でとんでもないことになったんだから」
マリ「大丈夫よん、姫のことは知り尽くしてるつもりだから。でも接近戦は危険だから、
   遠方からジックリ攻めるしかないね」
ミサト「これ以上の失態は教師としての立場もあるからね、同じ失敗はゆるされないわよ」
ヒカリ『教師としての立場があるんならこんなことしないわよね普通・・・・・本当にこの人教師なの?』
二人の行動に加えてミサトの大人気ない思考に不安を感じずにいられないヒカリであった――――
688名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:12:16.08 ID:???
>>687
マリ「こんな事もあろうかとコレを持ってきたんだな。最新式で画質も最高にいいよん。
   これ結構高かったんだから。」
徐に隠し持っていた小型ムービーカメラをマリは自慢げに二人の前に取り出して見せた。
ミサト「ナイス、マリ!これで撮影しておけば好きな時に見ることができるわね。
    えびちゅのいいツマミになるわ!。いいわマリ!撮影の理由は揃っている!カメラの使用を許可!」
マリ「待ってました!虎の子よんっ♪」
カメラの電源を入れて狙いを定めるマリと作戦の指示を出すミサトを横目にヒカリは少々不安であった。
ヒカリ『あーぁ二人ともこんなことまでして・・・・バレたら大変なことになりそうだけど大丈夫かな』
ミサト「マリ、現在の戦況は?」
マリ「目標、未だに調理に集中してる模様!もう一体は姫の料理する姿に見とれて幸せそうな顔してる。
   いつも通りの二人で今現在変わった動きはなし!引き続き撮影を続行する!」
ヒカリ『えぇ!?ちょっと何この二人?息ピッタリだし・・・・お互いに知り合って半年も経ってないのに、
    こんなに連携がスムーズにいくもんなの!?もう知り合って何年も経ってるみたいじゃない』
二人の連携に驚きを隠せないようだったが、次第に興味はカメラレンズの先にあるアスカとシンジの方に向いていった。
ヒカリ「でもアスカの顔すごく楽しそう。普段あんな表情見せないのに、碇君と一緒になるとあんな顔になるんだ」
ミサト「その普段見せない表情でシンジ君とラブラブしてるところを撮影するんだから気合い入っちゃうわねぇ♪」
マリ「アタシが一番見たいのはまさにソレ!姫には素直になってもらいたいな。そうすれば関係も更に進展するしね。
   ワンコ君も積極的になれば更においしい場面が見れてお腹いっぱいになれるにゃっ♪」
ヒカリ「ワ、ワンコ君・・・・碇君のこと?」
マリ「そっ!姫の忠実なワンコ君」
ヒカリ「な、なるほどね・・・・・わかる気がする」
アスカとシンジの行動を監視する作業は長時間にも及ぶのは予想されていたが、
それを補って有り余るほど得られる楽しさに三人は疲労を忘れるほど夢中になっていた――――
689名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:13:34.41 ID:???
>>688
約一時間ほど経った頃、ようやく出来上がったアスカ特製の手料理がテーブルの上に並べられた。
シンジ「うわー!これ全部アスカが作ったんだよね。何ていうか意外というか・・・・・信じられない」
アスカ「うっさいわねバカシンジ!アタシが料理全くできないと思ってバカにしてんでしょ!」
シンジ「ゴ、ゴメン・・・・でも普段のアスカを見てると台所に立ってるイメージが全くないんだよ」
アスカ「アンタが普段からそんな目でアタシを見てるからじゃないの!?。
    アタシが本気出せばこんな料理くらい当たり前にできるんだからね!」
シンジ「ゴメン、アスカ!本当にゴメン!」
自らの失言で神龍の逆鱗に触れてしまったような感覚に陥ったシンジは、
テーブルに額を擦り付けるように頭を下げてひたすら謝った。
そんなシンジの姿が面白かったアスカは、腕組みをしながら少し意地の悪い笑みを浮かべていた。
アスカ「あーあ、せっかくシンジのために腕を振るって料理してあげたのになー・・・・・もう最悪っ!」
シンジ「失礼なこと言ったのは謝るよ。本当にゴメンよアスカ・・・・・」
わざと溜息を吐いて怒ってることをアピールしたアスカは、
申し訳なさそうな表情で謝るシンジを見るなり少し微笑みながら体を密着させてシンジの首に腕をまわした。
アスカ「許してほしい?」
シンジ「うん、もうこんなことは言わないしアスカの料理の腕も認めるよ」
アスカ「じゃあ許してあげるから・・・・ゴメンなさいのキスして。ねっ?」
シンジ「アスカ・・・・ゴメン」
アスカ「ん・・・・」
静かに目を閉じたアスカの唇に軽くキスをし、自分の胸に引き寄せ抱き締めながら
長い髪を梳いてやると先ほどとは一転してアスカは満面の笑みを浮かべていた。
アスカ「うん・・・・よろしい、今回は許してあげる」
シンジ「ありがとう。じゃあ早く食べようよアスカの作ってくれた料理」
アスカ「そうね、早くしないとせっかく作った料理が冷めちゃうわね」
何とかこの場を凌いだシンジは安堵の表情を浮かべ、
アスカは自分の作った料理の味にどんな感想が出るのかワクワクしながら二人並んでテーブル席に座った――――
690名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:14:53.03 ID:???
>>689
テーブルの上に並べられた料理からはいい匂い漂っていた。
シンジ「玄米御飯に筋子入り納豆かー。例の雑誌に載ってた材料だね」
アスカ「そうよ、受精機能と精子の運動率を同時にアップさせる組み合わせね」
シンジ「それにしてもこの香ばしく焼かれた鶏の胸肉なんか凄くおいしそうだね」
アスカ「白胡麻、ネギ、ニンニク、塩、胡椒、料理酒、ポン酢を使って焼いたの。
    ネギとニンニクが鶏肉とよく合うからガッツリいけるわよ」
シンジ「このカツオの竜田揚げもニンニクの香りがするね」
アスカ「味や香りもそうだけど、これって夏バテ防止にも効果があるわよ。
    あとはあっさり系の、ふきのとうの御浸しに豆乳白菜シチューも作ったの」
シンジ「シチューに豆乳を使うって珍しいね」
アスカ「豆乳の甘味で白菜が美味しくなるのよ。食べてみれば分かるわ」
シンジ「なんだか食欲が出るメニューだね。じゃあ食べようよアスカ。いっただきまーす!」
アスカ「あ、待ってシンジ。アタシが食べさせてあげる・・・・・」
シンジ「え、いやでも恥ずかしいよ・・・・」
アスカ「別に誰も見てないからいいじゃない、ね?」
微笑みながらアスカはカツオの竜田揚げを箸で一口分つまんでシンジの口元へ運んだ。
アスカ「はい、アーン♪」
シンジ「あーん・・・・・モグモグ・・・・」
アスカ「どぉ、おいしい?アナタ♪」
アスカは少し恥ずかしそうに頬を赤めながら上目遣いでシンジの表情を伺ったが、、
こんな新婚夫婦のような展開にシンジの顔は沸騰したヤカンのように真っ赤であった。
シンジ「んんっ!これ本当に美味しいよアスカ。食べた瞬間、口の中に味が広がって染みわたるような感覚だよ。
    凄いよ、アスカってこんなに料理が上手かったんだ」
アスカ「これでアタシが料理できるの認める?」
シンジ「もちろんだよ。これだけ料理が上手ならいいお嫁さんになるよきっと」
アスカ「もうやだシンジったらぁ・・・・・でも、やった!嬉しい!」
作った料理がシンジの口に合ってたのと料理の腕を認めてくれたことで、アスカの表情は嬉しさと幸せ感で綻んでいた――――
691名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:17:08.57 ID:???
猿対策
692名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:18:43.08 ID:???
>>690
一方、食堂入口で行動を監視していた三人はラブラブな二人を見て顔を赤くしながらもニヤニヤしていた。
ヒカリ「ええー!?アスカあんな大胆なこと・・・・・・いいなぁ」
マリ「クゥーッ!姫もやるじゃん!それにあのワンコ君の顔、もうデレーっとしちゃってさぁー!」
ミサト「あらぁーん、アスカ確かに言ってたわよねシンジ君のこと『アナタ』って!もう結婚した気分じゃないのぉー♪
    もうラブラブモード全開ね」
三人のオカズにされてるとも知らず、アスカとシンジの甘ーいディナータイムは続いていた。
アスカ「シンジ、ご飯粒がついてるわよ。もうっ、行儀が悪いんだから」
シンジの上唇に付着した米粒に目をやり取り除くように指摘した。
シンジ「ん・・・・これで取れた?」
アスカ「全然取れてないじゃない」
手で口周りを拭き取ったが上手く取れていなかったので再度試みるも依然として米粒は上唇に付着したままだった。
シンジ「うーん、鏡がないと位置が把握できないよ」
アスカ「んもうっ、まだついてるわよ。仕方ないわね・・・・アタシが取ってあげる♪」
シンジ「あ・・・・」

――――ちゅっ♪

シンジに顔を近づけて上唇にある米粒を自分の唇で取り除いた。
突然のアスカの行動にシンジは照れくさそうに顔を真っ赤にしていた。
シンジ「あ、ありがとう・・・・」
アスカ「アハハ!顔赤くしちゃって可愛いー♪」
シンジ「からかうなよ・・・・僕達何度もキスしてるけど、やっぱりこういうのって照れくさいな。
    でも嬉しかったかな」
アスカ「新婚夫婦って毎日こんなことしてるんじゃないのかな。
    別にいいじゃない。これからもシンジの行儀が良くなるまで毎日こんなことしちゃうからねっ♪」
シンジ「ま、毎日するの?」
アスカ「当たり前でしょ。あんまり行儀が悪かったら外で食事に行った時でもやってあげるから。
    夏休みが終わって食堂でお昼食べる時もそうするわよ」
シンジ「それってみんなが見てる前でするってことじゃ・・・・・勘弁してよー!」
困り顔のシンジをからかって楽しそうなアスカはそれも手伝って箸がよく進んでいた――――
693名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:20:08.23 ID:???
>>692
ヒカリ「もうイヤン・・・・」
アスカとシンジの強烈なラブラブシーンを見せ付けられたヒカリは、
恥ずかしさで見ていられなくなり両手で顔を覆って赤くなっていた。
マリ「もう姫イケイケモードじゃん!あー!さすがのアタシも背中が痒くなってきた」
ミサト「ううーっ!なんだか私まであの二人が羨ましくなってきたわーっ!」
監視を続ける三人は次の展開が気になって内心ハラハラドキドキであった。
時間は過ぎて二人は食事を終え、シンジの入れたコーヒーを飲みながら談笑していた。
シンジ「あー、料理おいしかったよアスカ。なんだか毎日食べたくなってきちゃったよ」
アスカ「気に入ってくれてアタシも嬉しい。アンタが望むなら毎日でもご飯作ってあげるわよ」
シンジ「でもさすがにそれは無理だよ。気持ちは嬉しいけど、それじゃアスカに負担がかかっちゃうからね」
アスカ「シンジって優しいのね。ありがと」
シンジ「い、いやそんな・・・・照れくさいよ」
アスカ「ウフフ・・・・あ、そうだ!今日の朝にアタシ達の食材リストを食堂のおばさんに渡す話したじゃない?
    でもあれって毎日その通りの献立にするのは無理だし限界もあるでしょ。
    当然、食材メニュー以外の献立の日もあるわけじゃない。そんな日はお弁当作って屋上とかで食べるのもいいんじゃない?」
シンジ「いいねそれ、じゃあそうしよう。あ、これは僕も協力するよ。
    アスカばっかりにやらせちゃ申し訳ないし」
アスカ「本当シンジって優しいのね・・・・・いい旦那様見つけたわアタシ」
シンジ「お互いに協力し合うのが夫婦だろ」
アスカ「あー、シンジも本気になってきたー。じゃあ交代でお弁当作りましょうよ。
    これって本当に夫婦の共同作業ってやつじゃない?。キャー、なんか幸せだけど恥ずかしい」
シンジの言葉が嬉しかったアスカは、うっとりした表情で少し赤くなりながら
彼の肩に頭をあずけるように寄り添った――――
694名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:21:53.85 ID:???
>>693
コーヒーを飲み終えた二人が厨房の洗い場で後片付けをしていた頃、
監視していた三人は既に満腹状態であった。
マリ「はぁー・・・・・今日は姫のあんな姿見られて最高だったにゃ。
   カメラにもバッチリ収めたし、帰ってゆっくり見ることにするわ」
ミサト「ねっねっマリ、私にもその動画ファイルコピーして頂戴よ」
マリ「オッケー!じゃあ寮監室のパソコンで山分けしようよ。
   ヒカリも動画ファイル持って帰るでしょ?」
ヒカリ「わ、私はいいわ遠慮しとく・・・・・」
マリ「堅いなーヒカリは!。まっ、後で欲しくなったら遠慮なく言ってね」
ミサト「よしっ!今回の作戦は一応成功したわね!。とりあえず撤収するわよ!」
監視作戦を終えた三人は脱兎の如く寮監室へと退散していった。

後片付けも終わり食堂のテーブル席に腰掛けたアスカとシンジは暫しの休憩を取っていた。
アスカ「あー、後片付けも終わったし今日は充実した一日だったわね」
シンジ「うん、そうだね。食材の買出しでアスカに色々と余計な物も買わされたしね」
アスカ「むぅー!まだ言ってるー!そんなこと言ってたら今度のデートは婚約指輪を買わせるわよ!」
シンジ「わわわ!そ、それだけは勘弁して!そんなお金持ってないし、高校生で婚約指輪は早過ぎるよ」
アスカ「バーカ!冗談よw。でも将来シンジが働いて稼げるようになったら素敵な婚約指輪買ってね」
シンジ「うん、そんな年齢になる頃なら買ってあげられるね。でもアスカって凄い高そうな指輪欲しがりそう・・・・・」
アスカ「当たり前でしょ、アタシみたいな可愛くて美人で素敵な女性を妻にするんだから、
    そのアタシに相応しいくらいの指輪で誠意を示してもらわなくちゃね♪」
シンジ「ハハハハ・・・・・分かりました」
アスカの性格からすると、かなり高額な婚約指輪は覚悟しなければと今から戦々恐々とするシンジであった――――
695名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:24:42.31 ID:???
>>694
数十分の間、談笑していた二人はそろそろ各自の寮に戻ろうとテーブル席から立った時、アスカが質問してきた。
アスカ「ねえシンジ、アンタってさ兄弟とかいるの?」
シンジ「いや、兄弟はいない。僕だけだよ」
アスカ「ふーん、そっか・・・・・アンタも一人っ子か」
シンジ「アスカの家もそうなの?」
アスカ「うん、アタシも一人っ子なの」
シンジ「そうなんだ」
お互い一人っ子だと分かったアスカはシンジの顔を見ながら自分の考えてる事を話しだした。
アスカ「あのね、アタシってヒカリの家へ遊びに行くことがよくあるんだけどさ、
    ヒカリってお姉さんと妹さんが一人ずついるの。それでいつも思うんだけど、
    兄弟や姉妹がいるってとても楽しそうだな・・・・・羨ましいなって思った。
    こんなこと一人っ子じゃ絶対に味わえないって思ったの」
シンジ「分かるよその気持ち。僕も兄か弟がいたらきっと今の状況も変わってただろうな、って考えたことはあるよ」
アスカ「だからねシンジ、アタシ将来アンタと結婚したらさ・・・・シンジの子供たくさん産みたいの・・・・」
シンジ「え?う、うん・・・・・・」
アスカ「アンタもアタシも一人っ子として育ったでしょ?。
    だからヒカリの家みたいな賑やかで楽しい家族がどんなものか知らないで生きてきたの。
    生まれてくる子供達には淋しい思いはさせたくないし、やっぱり子供達に囲まれた楽しい家庭ししたいの」
いつになく真面目な表情で話すアスカの頭をシンジは自分の胸に引き寄せ抱き締めた――――
696名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:33:19.56 ID:???
シンジ「うん、アスカ・・・・そうしよう。笑い声の絶えない温かくて幸せな家庭にしようよ。
    だから、アスカ・・・・僕の子供いっぱい産んでよ」
シンジの言葉が嬉しかったアスカは彼の顔を見上げると少し潤んだ蒼い瞳を静かに閉じた。
瞳を閉じたアスカのためにシンジは愛情をたくさん込めたキスをして、僅かにこぼれた彼女の涙を指先で拭った。
アスカ「ありがとうシンジ。でもたくさん産むんだから将来に備えて体作っときなさいよ!。
    子供作る時には、その・・・・・濃い〜のたくさん出してもらわなきゃならないんだからねっ!」
シンジ「ははは、これから大変だな・・・・・」
アスカ「アタシも頑張るからシンジもしっかり頑張ってね、アナタ♪」
将来を誓い合った未来のパパとママの奮闘は始まったばかりのようだ。
ある夏休みの記念すべき一日として、二人の良い思い出がまた一つ出来上がった――――
697名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 03:42:17.59 ID:???
とりあえず>>630の続き書いた
あと>>696の文章の最初に>>695のアンカ入れて忘れたw

これで「ドタバタ夏休み編」は終了でヤンス
まだ背中が痒いので完全克服はしてないなw
そんなわけで、おやすみー!
698名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 04:06:22.20 ID:???
乙です!
ニヤニヤが止まらんw
699名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 16:55:00.32 ID:zLLZ2J/e
夏休みのある午後

アスカ「ちょっとシンジ! このいい天気で何やってんのよ!」
シンジ「なにって…勉強」
アスカ「何が勉強よ! 超絶美少女のこのあたしがデートのお誘いに来てるってのに」
シンジ「わ、わかったよ。で、どこか希望があるの?」
アスカ「校舎の裏に空き地があったでしょ 勉強の息抜きにちょうどいいんじゃないの?
シンジ「そうだね」
何気にアスカが僕の体調を気にかけてくれていることに喜びを感じながら学校の敷地内を歩く
シンジ「アスカはこのあたりを散歩することってよくあるの?」
アスカ「あんたバカぁ?このあたしがあんたなしで散歩なんかするわけ無いでしょ!」
アスカ「って言おうと思ったけど、たまにヒカリと散歩するわ。相談にのってることがほとんどだけど」
シンジ「僕は来るの初めてだな… うん?あそこで水やりしてる人がいるよ オーイ加持さぁん!
加持 「ああシンジ君…で、どうして僕の名前を?」
シンジ「あ、あなたこそどうして僕の名前を?」
加持 「?」
シンジ・アスカ「?」
加持 「ま、まあ入学して君も長いようだし校内どっかで会ったって事にするか」
加持 「コイツは俺の趣味だ。可愛いだろ。あ、ちゃんと学校の許可はとってるからな」
シンジ「そうなんですか…」
加持 「よかったら俺ん家でゆっくり話さないか?スイカも冷えてるぞ」
前に会った気がする誰かとの会話は続く
700名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 16:58:59.91 ID:zLLZ2J/e
暇なんで思いつきで落としてみました
オチがなくてスミマセン
続けるかは分かりません
701名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 21:27:01.61 ID:???
>>697
おつであります
702名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 22:18:39.28 ID:???
>>697

新しい続編はよ
703名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/20(日) 22:36:43.74 ID:???
>>697,>>700
お二方とも乙であります
704名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/21(月) 07:41:33.03 ID:t5koNkGr
確かに加持さんって素性はともかく目立たない所で植物育ててるイメージあるよな
705名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/21(月) 23:13:30.34 ID:???
予告の人はもうスレに来ないのか?
見てるなら新作はよ
706名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/21(月) 23:58:22.02 ID:???
こんばんわ。>>265の人です。
収拾つかなくなって色々と大変でしたが、明日か明後日あたりに
いつも通りの駄文で申し訳ないですが、投下できるかと思います。
今回ちと長いので、猿対策で何回かに分ける感じになると思います。
ご迷惑をおかけしますが、枯れ木も山の賑わいということで、ご容赦いただければ幸いです。

>>705
私も予告の人の続きを待ってるんですけどね…。忙しいのかな?
スレ見てるなら少しずつでも構わないんで、是非お願いします!逃げちゃダメだよw
707名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/22(火) 23:19:42.90 ID:???
なんで貞本版がベースなのにマリがいるの?おかしくね?
708名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/22(火) 23:31:54.92 ID:???
エヴァキャラなら何出そうが自由
709名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/22(火) 23:41:28.01 ID:???
いまこのスレにいる職人は
>>237さんと>>265さんとメール欄シンジとアスカは結婚するさんの3人だけ?
710名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/23(水) 23:47:20.56 ID:???
LAS成分不足で苦しいけど職人はいま三人しかいないのか
じゃあその三人に頑張ってもらうしかない







続編はよ
711名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:10:18.03 ID:???
天高く馬肥ゆる秋。
厳しい暑さの夏も終わり、空はまさに青く高く、澄んだ風が秋の香りを運んでくれる。
しかしその爽やかな秋空とは裏腹に、明城学院の普通科学生寮(の一部)は不穏な空気に包まれていた。
「…ねえアスカ、聞いた?」「何を?」
夕食後、ラウンジでシンジと共にくつろいでいたアスカは、背後からのヒカリの声で顔を上げた。
「出たらしいのよ、ここ」「何が?」
「何が、って、出たといったらアレに決まってるじゃない、幽霊よ」
「へ?」
「3階の真希波さんが見たんだって」
「は?あのコネメガネ、どーせまた話盛ってんじゃないの?」
3階に住む真希波マリ、アスカ達よりも1学年上で、身内に学院関係者がいるらしく、
そのせいでアスカからはコネメガネと呼ばれている。
いたずらが好きでトラブルに首を突っ込んでは話をもっと大きくさせることが多く、
言ってみれば寮内の問題児の1人でもあった。
「いやそれがね、今回は本当らしいのよ…週末になると夜更けに寮内の廊下を不気味な影が音もなくすーっと…」
アスカとシンジが思わず顔を見合わせる。一瞬の静寂。背後のテレビからニュースを読み上げる
アナウンサーの落ち着いた声だけが僅かに響く。
「そ、それは大変ね。でも本当なのかしら?」
「うん、だからね、今度有志を募って証拠探しをするらしいわよ」
「ほ、本当に?」とこれはシンジ。「うん」とヒカリ。
うーん…、と考え込むアスカ。それを見つめるシンジとヒカリ。
「ふん、どうせデマよデマ。よくある学園モノの安ドラマみたいなもんよ。くだらない。」
アスカはそう言い捨てると、立ち上がった。
「それはそうと、バカシンジ、あたし急にスイカバーが食べたくなったわ。」
「え?もうこんな時間なんだけど…」時計の針は20時を回っている。
「は?だからなんだっての。あたしは今食べたいんだから。ほら、コンビニ行くわよ。」
シンジを半ば強引に外に引っ張り出したアスカ。見送るヒカリはただ、
「(アスカのああいう気まぐれにいちいち付き合う碇君、えらいわ…)」
と自分が同じことを言ったら鈴原はどうするんだろう…なんていうことを考えていた。
712名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:11:30.62 ID:???
>>711
「まずい、まずいわよシンジ」
寮の門を出て、周りに人がいないことを確認すると、アスカは言った。
「…やっぱり、あの幽霊って、僕のことだよね…」とシンジ。
「週末の夜更け…時間帯的にはバッチリよね、バカシンジ、なんでもっと注意しないのよ!」
頭をゴツンと小突くアスカ。「痛っ」と呻いて思わずその場にしゃがみこむシンジ。
「ちゃ、ちゃんと注意してたよ…誰にも見られていないはずなのに…今だって、怪しまれないように
わざとトボけた返事して嫌々な感じで出てきたじゃないか…そのくらいの気はつかってるよ…」
あの嵐の夜以来、なんとなく週末の夜更けにアスカの部屋を訪れることが習慣となっていたシンジ。
オートロックの暗証番号も教えてもらい、消灯時間が過ぎてからの秘密の訪い…。
それはシンジとアスカにとって、かけがえのない時間になっていた。
キスをし、抱き合って夜明け前まで眠る。そして夜明け前の朝靄に紛れてこっそりと非常階段を使って部屋に戻る。
アスカがいいと言うまで、その先は無し。
それでもシンジは満足だったし、アスカと一緒に過ごす夜が彼の生活に潤いと癒やしを与えていたのは間違いない。
だが、今やその時間は奪い去られようとしている。
それに事が露見すれば大変な事態を招くことは火を見るより明らか。
「だいたい何よあの尻軽女、胸ばっかでかくて頭ん中空っぽなんじゃないの?」
イライラした調子でアスカが言う。
「ははは、なにもそこまで言わなくても」
「は?何あんた悠長なこと言ってんの、まさかあいつに籠絡されたりなんてしてないでしょうね…」ギロッ
「ま、まさか。僕はアスカだけだよ」「ほんとに?」「ほんとだよ」「ふふっならいいわ」
アスカの機嫌が若干よくなってシンジはホッとする。
713名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:12:45.62 ID:???
>>712
「とにかく、なんとかしないとマズイわね…」
「そうだね…、なんとかしないと…どうしよう?」
うーん…と2人して考え込むシンジとアスカ。コンビニなどとうに通り過ぎ、
気がつくと学校の近くまで歩いてきてしまっていた。
「あっ」「何よシンジ、どうしたの?」
「ねぇアスカ、」アスカの方に向き直り、シンジが思いついたように言う。
「その真希波さんの証拠探しってさ、早い話が幽霊を捕まえよう、ってことなのかな?」
「うーん…コネメガネの性格を考えるとその可能性が高いかもね…」
「だったらさ、僕たちもその探す側にいれば、見つかることはないんじゃないかな?」
「!」
「おまけに幽霊探しって夜なわけだから、おおっぴらに一緒にいられるかも…」
「!」
「…ってダメ?」
「ダメじゃないわ、全然いいわよそれ!採用!その線でいきましょ!」
アスカは目を輝かせてシンジの背中を叩く。
「ナイスアイディアよ、たまにはいいこと言うじゃないシンジ!」バチーン
「…だから、痛いよアスカ…」
714名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:13:26.60 ID:???
>>713
「さて、と。集まったのは…これだけかにゃ?」
2日後の夕刻、食堂に集まったのは、アスカとシンジ、ヒカリとトウジ、そしてケンスケとマリ。
「おほん、」わざとらしい咳払いをした後、マリが始める。
「今夜はお忙しい中わざわざお時間をいただきまして、ありがとうございますにゃ。
これから明城学院ゴーストバスターズの結成式をおこなうにゃ!」
「…コネメガネ、何よそのゴーストバスターズって」アスカは既にかなり不機嫌そうだ。
「あら、姫ぇ、ゴーストバスターズをご存じない?それは残念。くだらなくて面白いにゃ。
いつかDVD借りて見るにゃ。」
「あのさぁ、そういうバカみたいなこと言ってると、帰るわよ」
「んもう、冗談が通じない姫だねぇ、いけずぅだねぇ」
「その冗談で人の男を弄ぼうとしたのはどこのどいつよ」ギラリッ
その一瞬吹き出た殺気にむしろシンジが恐れおののく。
「え?だってさぁ、姫たちを見てると何て言うかさ、ちょっかい出したくなっちゃうんだよね…
こんだけ熱々なのに、まだ何にもしてないんでしょ?そりゃぁ男の子にとっちゃ、最早毒だよそりゃw
ね、だからワンコ君、もし君がよければお姉さんが君のドーテーもらってあげてもよく
って痛ったあああああああああ」orz
テーブルに置いてあった箸置きがマリの顔面ど真ん中に命中している。投げたのは…言わずもがなw
「あんた、それ以上言ったらマジで殺すわよ(怒)」
怒髪天を衝く、とはこのことか。シンジはアスカの髪の毛が逆立ち、目の奥が殺気を隠そうともせず
青々と光り輝くのを見た気がした。
この光景を見ていてヒカリはマリのバイタリティに半ば呆れながらも感心している。
「(何度アスカに締められようとも懲りずに碇君にちょっかい出してる真希波さんってスゴイわ…
ひょっとしたら本当に碇君のこと、好きなのかも…///)」
「で、なんやねん人のこと呼び出しといて。用があるなら早よ言うてくれや」
トウジの声にマリが向き直る。ちょっと曲がったメガネを修正し、レンズをシャツの袖で拭いてかけ直す。
715名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:14:33.91 ID:???
>>714
「そう、今日みんなに集まってもらったのは他でもない、この寮内に幽霊が存在するという噂がある!
そこで我々は一致団結してその幽霊の正体を突き止めるべく、ここに参集した次第にゃ。
今日はその作戦会議にゃ。」
ケンスケがプリントを配る。寮の平面図だ。女子寮の2階階段のところ、そして中庭に◎がついている。
「その◎のところが目撃ポイントにゃ。」
「誰が見たのよ?」とアスカ。足を組んで鋭い視線と口調で、まるでマリを威嚇するかのよう。
「私よ。深夜日付が変わる頃に私が部屋に戻ろうとしていた時、ふと気配を感じてそちらを見ると…」
「すーっと廊下の向こうに消えていく影がっ!」
マリのおどろおどろしい口調に、ヒカリがトウジにしがみつく。
「なんや、こんなん怖いんか」「…うん」「しゃーないなぁ」ナデナデ
その様子をシンジがぼんやりと見ている。それに気づいたアスカに足を踏まれて悶絶するシンジ。
それに構わずアスカが手を上げる。
「何かの見間違いじゃないの?メガネ外したら何にも見えない癖に」
「それはあり得ない。何故なら私にとってメガネこそがアイデンティティ。片時も離さず着用
しているにゃ!当然あの時もメガネをしていたし、私のセンサーが、ゴーストが、
そこに何かがいたと囁いてるにゃ!」
「テレビの見過ぎで頭腐れてんじゃないの?そもそも科学的根拠も何もないじゃない」
「うむ。確かに科学的根拠はないにゃ。だからこそ、ここで調査をしようと思ったわけでさぁ」
マリはケンスケの方に向き直ると
「ほら、そこのカメコ君!例のモノを用意するにゃ!」
と命令する。(いつの間にケンスケを手なずけたんだろう…?)という一同の疑問は置いておいて、
ケンスケがテーブルの下から監視カメラのようなものをいくつか取り出す。
「これを、当該箇所に設置し、記録を録ってみることを提案致します!」
「というのが、カメコ君の意見にゃ。みんなはどう思う?意見募集!」シャキーン
716名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:15:24.90 ID:???
>>715
「…そんなもの、勝手に設置しちゃっていいの?」とヒカリ。
「大丈夫にゃ。事前に寮長には相談し、了解済みにゃ。ね、冬月寮長!」
みんなが振り返ってマリの視線の先を見ると、いつの間にかそこには冬月寮長が座っていた。
「異議がないのなら別に構わんが、事故など起こさぬようにな」
「いつの間に…すごい…」思わずシンジが呟く。
「これぞまさに根回しw」なぜかドヤ顔のマリ。
「そんなちゃっちいカメラで写るんかいな?」とトウジ。
「超高感度、一昔前の軍事用並みの能力を持っております。性能は折り紙付きです!」
ケンスケが直立不動、敬礼をした状態で発言。
(軍オタは悪ノリし出すとタチが悪い…)と全員が思ったかどうかは定かではない。
「実際にカメコ君が事前にテスト撮影した映像がここにあるにゃ。見てみるかい?」
マリが持ってきたノートPCの前にみんなが集まる。そこには、深夜の男子寮の真っ暗な廊下で、
ケンスケがVサインをしているところが映っていた。
「おおお〜っ」思わず歓声が上がる。
「でも電源はどうするの?廊下にコンセントなんてないんじゃない?」再びヒカリ。
「心配ご無用にゃ。清掃用のコンセントがあって、そこからケーブルを引っ張るにゃ。」
「い、いつから始めるのかな…?」シンジがおずおずと聞く。
「ん、出来れば今夜からでも始めたいところにゃ。」
マリとケンスケはやる気満々、といった格好。
「…で、姫は何かご意見などないのかにゃ?さっきから静ーかになってるけど…」
伏せた顔を上げて、アスカが答える。
「あのさ、ノリノリでぶち上げるのは結構なんだけど、これって他の寮生の迷惑とか考えてんの?
廊下にコード這わせて盗撮まがいのことしちゃってさ、こんなのプライバシーの侵害以外の何物でもないわ!」
思わぬ反撃?に一瞬ギクリ、とするマリ。
「…確かに、これって監視カメラみたいなもんだよね…」とシンジが呟く。
監視カメラ、という一言にヒカリが反応する。
「そっか私たち、監視されるんだ…。そんなのってイヤだな…」
「だいたいさ、」アスカが続ける。
「幽霊を見た、って、その時間になんであんたがそこに居たのかが解せないわ」ジロッ
「うっ…」ドキッ
717名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:16:05.98 ID:???
>>716
マリが言葉に詰まる。明らかに雰囲気が変わる。
「まずはそのあたりから説明してもらわないと、あたしは納得できないわ」
5人の視線が、一斉にマリに注がれる。
「べ、別に何も怪しいことなどしてないにゃ。ましてや厨房の冷蔵庫に隠してあるモンブランプリンを…って、あ…」
しばしの沈黙。それを破ったのはシンジ。クスクスと笑い出し、次いで言う。
「はははは、それって真希波さんらしいや」
顔を赤らめてマリが慌てて言う。
「バっババババ、バカ、そもそも私が買ってきたものにゃ。それに今回の本題とは関係ないにゃ!」
「部屋に冷蔵庫、あるのに…」ヒカリがぼそっと呟く。
「はっ、大方そっちはそっちでプリンだのゼリーだのケーキだので容量オーバーしてんじゃないの?」
アスカが見透かしたような感じで言う。
マリの表情からすると、図星らしい。
「それがその無駄にでかい胸の秘訣なわけね。まあでもそんな感じじゃ膨らむのは胸だけじゃなさそうだけど」
「アスカ、ちょっと言い過ぎだよ…」シンジがたしなめる。
「寄せて上げてのBカップにそんなこと言われたくないなぁ、悔しかったらEまで頑張ってみなさいよ」
マリが開き直る。
「はぁ?なんですってぇ」アスカの戦闘スイッチがONになる。
「ア、アスカ、落ち着いて」「これが落ち着いていられますかっちゅーの!」
「ひょっとして地雷踏まれたんか」「うっさいわねバカジャージ!」収拾がつかなくなる。
「アスカも真希波さんもやめてよ!」シンジが立ち上がって叫ぶ。
「今日はなんのために集まったの?時間ばかり無駄にしちゃうよ…」
その声にアスカもマリも大人しくなる。
「それに…僕はアスカの全てが、ありのままが好きなんだよ。その胸だって例外じゃないよ。」
座ろうとした時に、シンジがアスカの耳元でそっと囁く。それでアスカは機嫌を直す。
「(やっぱり碇君ってすごいわ…)」ヒカリが1人、感心している。
718名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:17:05.82 ID:???
>>717
「じゃあ、そういうことで。決行は今週末にゃ!」
2時間の話し合いの後、ようやく会議?は終了、解散となった。ヒカリとトウジは2人で出て行き、
マリとケンスケは自室に戻っていった。
「はぁ…疲れたよ。」シンジは背もたれに寄りかかってぐったりしている。
「今日ばかりは、GJと褒めてあげるわ」アスカがシンジの頭を撫でる。
ここ、という議論のポイントポイントでのシンジの発言が功を奏し、この会議で決まったこととは…
・カメラは設置するが、録画はしない。別室で係がモニターをしていて、その上で異常があればその部分だけを手動で録画する。
・徹夜作業になるので、実施は授業に支障を来さないよう、週末の金曜日のみとする。
・係は各2名で途中で交代して仮眠をとる。
ということになり、モニターをする部屋は寮長の許可を得て、寮の空き部屋を使うこととなった。
そして組み合わせは当然のことながら、シンジとアスカ、トウジとヒカリ、マリとケンスケの3組に…。
「あのコネメガネの弱みを突いたところで一気に畳みかけることが出来たのがポイントだったわね」
「でも胸の話しとかされると…ちょっと恥ずかしかったな…」シンジが疲れた表情で言う。
「あ、でもあの話しは本当?」アスカが顔を赤らめてシンジに訊ねる。
「あの話しって?」「バカ、全てが好きって…///」
シンジはにっこりと笑ってアスカの頬を撫でる。
「もちろんだよ。別に僕はアスカの胸を好きになったわけじゃない、アスカのことが好きになったんだもの」
「…///ありがとうシンジ」シンジに抱きつくアスカ。
「あ、でも寄せて上げてのBカップ、っていうのは違うわよ。今はギリギリCはあるんだからね!」
思わず顔を赤らめるシンジ。抱き合って眠る時のあの胸の感触…。
「あ、想像したなエロシンジ!」ボカ「だから痛いって…すぐ殴るなよもう…」イテテテ
719名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:23:29.51 ID:???
こんばんわ。皆様お疲れ様です。>>265の人です。
相変わらずの駄文、しかも今回は収拾がつかなくなってえらく長くなってしまい、
ご迷惑をおかけするやもしれませぬ。(´・ω・`)
もっとコテコテの濃いの書きたいんだけどな…。腕が足りませぬ。申し訳ない。
本編?3回、エピローグ的なものが2回の計5回分くらいになると思われます。
しばしお付き合い頂けたら幸いです。よろしくお願いします。
720名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 00:43:50.06 ID:???
乙です
721名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 07:32:28.88 ID:???
なんでマリがいるんですかねぇ
722名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 10:16:54.57 ID:???
マリいても構わんよ、全然構わん。
723名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 21:44:10.36 ID:???
一切の縛りを無くしてLASなら何でもカマーン!!!!!!
724名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 21:45:49.88 ID:???
マナも出してさらなるヒートアップを
725名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 23:43:35.87 ID:???
>>719
乙です
LAS成分補給できたけどまだ足らん







続きはよ
726名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/24(木) 23:57:46.57 ID:???
>>719
押忍!乙であります!
シンジとアスカが密室で二人きりかぁー・・・・・
思いっきりニヤニヤできる展開を期待してます!
オイラも便乗して、続きはよw
727名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 00:13:42.23 ID:???
>>718
さてと。週末の金曜日。決戦の金曜日。
消灯時間前に食堂に集まる。シンジは紫に緑のラインが入ったハーフパンツにパーカー。
トウジは…いつもの黒基調のジャージだ。ケンスケは…アーミールック。
女性陣と言えば、アスカは赤のランニングウェア上下。マリはピンク。ヒカリはトウジとお揃い。
「は?あんた戦争にでもいくつもり?なんで迷彩服着てんのよ」アスカが呆れたように言う。
「これが本官の正装であります!っていうか、こんなにワクワクするイベントだもん、気合い入れるさ」
ライフル(もちろんモデルガンだが)を下げ、カメラを抱えたケンスケが一番テンションが高い。
アスカとシンジが思わず目を見合わせて笑う。
この2人にしか分からない、ちょっとした秘密がある、その事実がシンジとアスカをより親密な気持ちにさせる。
「じゃあ、最初は私とカメコ君にゃ。2時になったら黒ジャージ夫妻にゃ、」
ヒカリとトウジが顔を見合わせて頬を染める。「そんなんじゃないよ…///」というヒカリの声は
小さすぎて他の5人には届かない。
「そして明け方、4時から6時までが姫とワンコ君にゃ。当番時間以外は部屋の中で仮眠、
当番の時間は私語は当然、まばたきも厳禁にゃ!」
「…いや、私語はともかくまばたきは無理やろ」「せいぜい居眠り厳禁、ってくらいじゃないかな…」
男2人の言葉は、だがしかしマリのテンションを下げる材料にはならない。
「ふん、最近の男は軟弱にゃ。」マリは鼻で2人をあしらうと、女子寮へ続く自動ドアを開ける。
「部屋は205を特別に使えるようにしてもらったにゃ。カメラは夕方のうちにセットしたよな、カメコ君?」
「はっ、もちろんであります!動作確認もバッチリであります」
「よろしい、優秀な部下を持つことが戦場を生き残る第一条件にゃ。私は恵まれておる。
これで幽霊でもルパン三世でも、袋のネズミにゃ!」
728名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 00:14:18.05 ID:???
>>727
「狭いね…」シンジの一言を待つまでもなく、6畳ほどの1間に、男女6人。横になるスペースなどない。
「…まあ、これも良き青春の1ページってことでw」マリは気にもしない。
「あー、なんならそこのベッドに横になっていればいいにゃ。
時間になったら、お姉さんが優しく叩き起こして上げやう」ニヤリ
キラリと光るメガネと手に持つ金属バットに、眠気も吹っ飛ぶ男子2名。
「あれはヤバイ、ヤバイで…。起きるどころか永遠の眠りにつきかねん…」
「…どこからあんなもの持ってきたんだろう…」
「ほら、静かにするにゃ…」マリの言葉とほぼ同時に、廊下の照明が消える気配がする。
「いよいよスタートにゃ…」
729名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 00:14:54.41 ID:???
>>728
机に置かれたモニター代わりのノートPCに釘付けになっている2人をよそに、トウジとヒカリはベッドに腰掛け、
シンジとアスカは床に持ち込みのクッションをしいて、その上に座っていた。
「そういえばさ、もし幽霊が出たら、どうするの?」シンジがマリに聞く。
「当然、追跡にゃ。出来れば生きたまま確保するにゃ。」
「幽霊って死んでるから幽霊なんやで…」トウジが突っ込む。
「そこは気合いと根性にゃ」モニターから目を離さずにマリが無茶を言う。
シンジとトウジが目を合わせて、肩をすくめる。
「ねえねえシンジ…」アスカが耳元で囁く。
「なんだかおかしいわね、お化けなんて出てくるわけないのにね。」
シンジがすっと立ち上がる。「ちょっと寒いね…」なんて言いながら、
クローゼットから毛布を取り出して、アスカに毛布をかけ、その中に自分も入って肩を寄せ合う。
ヒカリが羨ましそうな顔をする。トウジがやれやれ、と呟きながら、シンジと同じようにする。ヒカリ、満足。
毛布にくるまった状態で、シンジはアスカの手のひらに文字を書いていく。これなら誰にも分からない。
「ぼくたちがはんにんだなんて、だれもしらないしね」
アスカが手のひらに○を書く。「うん」ということらしい。
「しんじ」「なに?」「ふたりでくっついていると、あったかい」「そうだね」
「しんじ」「なに?」「あしたは、ホワイトシチューがたべたい」「わかった」
「しんじ」「なに?」「だいすき」「ぼくも」「ずっとそばにいてね」「あすかもね」
「しんじ」「なに?」「しんじといっしょにいると、あんしんする」「ありがとう」
「しんじ」「なに?」「だいすき」「さっききいたよ」「なんどでも、いいたいの」
「しんじ、だいすき」「あすか、だいすき」「しんじ、だいすき」「あすか、だいすき」
肩どころか、頬まで寄せ合って、シンジとアスカは2人の空間を満喫する。
ケンスケがその気配に気づいてシンジたちの方を向くが、
すぐに見なかったことにしようとばかりにモニターに向き直る。
心なしか、肩が震えているけど。(´・ω・`)
730名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 00:16:10.17 ID:???
>>729
「おかしいにゃ…」マリが呟く。その声に、2組の夫婦は現実世界に引き戻される。
「どうしたの?真希波さん…」シンジが訊ねる。
「いや、もうとっくに現れてもいい時間のはずなんだけど…」モニターを睨みながら、
メガネの位置を直しながら、マリが言う。時計の針はまもなく1時。
「はん、厨房にプリンでも食べに行ったら?」アスカが冷ややかに言う。
「残念ながら、今日はもうここに用意してあるにゃ…」マリが指をパチンと鳴らす。ケンスケが
シンジとアスカを飛び越え、冷蔵庫からプリンを取り出してくる。
「あんた、太るわよ」アスカの声に「いいの、私の場合、糖分脂肪分炭水化物はみんな、胸と尻に行くから」
またスイッチが入りかかったアスカを、必死になだめるシンジ。

プリンが3つばかりマリのお腹に収まった頃、時計の針は2時を迎える。
「さあ、交代にゃ。」マリは背筋を伸ばし、思い切り伸びをしてから、トウジとヒカリに向き直る。
いつの間にか肩を寄せ合って眠っていたトウジとヒカリ。マリが2人の前まで行くと、肩を揺すって2人を起こす。
「お2人さん、交代の時間だよ。起きろ〜」
その声にヒカリが目を覚まし、ついでトウジが目を覚ます。
「ふぁ、朝かいな」「何寝惚けてんのよ黒ジャージ君」「ん?ああそうやった。交代やな」
トウジとヒカリが机の前に。マリはベッドに横になり、ケンスケは「俺はちょっとトイレ」、
と言ってなぜか部屋を出たっきり…戻ってこない。(´・ω・`)
「なんやこれ、見てるだけっちゅーのは、退屈やなぁ」「鈴原、静かにして」「はいはい」
2人の様子を見て、声を立てずにクスクス笑うシンジとアスカ。
マリはいつの間にか、いびきをかいている。
「ほんと、コネメガネって親父臭いわよねぇ…」アスカが呆れたように言う。
「まあ、いいんじゃないの。僕だって疲れていればいびきかいて寝てるだろうし」
731名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 00:17:22.57 ID:???
>>730
何事も起こらぬまま、時間はじりじりと過ぎていった。
4時5分前になると、トウジは我慢できずに立ち上がる。
「すまんセンセ、もう限界や。交代交代!」
「ちょっと、鈴原、まだ時間じゃないわよ」ヒカリが止めるが、その声も聞かずにトウジは
そのまま床に寝転がり、瞬時に眠りの世界へ。
「…もう、」ヒカリがアスカに謝る。「ごめんね、まだ時間じゃないのに…」
「別に全然構わないわよ、さあシンジ、真打ちの出番よ」アスカとシンジは立ち上がる。
机のノートPCへ。この部屋のドアの向こう、二階廊下と、中庭の様子が映っている。
全く変化のない、静止画と間違えそうな映像が続いている。
「…確かに、これはヒマだわ。」開始後5分、早くもアスカが面倒臭そうに呟く。
「まあまあ、夜明けまでの我慢だよ」シンジがアスカの頭を撫でる。
気づくと、マリの隣でヒカリが、床でトウジがそのまま眠っている。
ケンスケは…行方不明(´・ω・`)
「やだもう退屈〜」アスカが身をよじらせて駄々をこねる。
「まだ10分も経ってないじゃないか…」シンジも困り顔だ。と、その時、
732名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 00:18:01.44 ID:???
>>731
「…え?アスカ、これは…何?」
一瞬、廊下画面の横を何かが横切った。続いて中庭に何かがいる気配。
「え…まさか…」アスカ、顔面蒼白。
「まさか…」シンジもアスカと顔を見合わせる。
と同時に不鮮明だが影らしきものが現れる。
その影はスーッと女子寮の下から中庭を抜けて…建物の影で消えた。
「きゃあああああああああああああああああああ」
「何?何?何があったにゃ!」マリが飛び起きる。
「ででででで、出た…」アスカとシンジ、放心状態。
「ここ、中庭をすーっと影が横切ったんだよ…」シンジが冷静に説明をする。
トウジとヒカリも起き出す。状況を知り、トウジにしがみつくヒカリ。
「狙い通りにゃ。尻尾を掴んだぞ、いざ出陣にゃ!」
マリがドアを開け、非常階段に向かって駆け出す。シンジも後を追う。
アスカが「シンジ〜待ってぇえええ」と涙目でシンジを追いかける。
ヒカリは…腰が抜けている。トウジは介抱、ケンスケは…行方不明のまま。

「どこにゃ、どのへんにゃ」マリが中庭に出て、幽霊の痕跡を探している。
「えっと、多分このへんから、こう通って行ったと思うよ」とシンジが説明する。
「うーん…足跡は残っていないにゃ…。晴れた日の芝生じゃ、そう残らないか…」
「…幽霊なんだから足はないんじゃないの?」アスカの突っ込みも、マリは聞いていない。
「むむむ…どこへ行った…」それこそ這いつくばんばかりにして、周囲を嗅ぎ回っている。
「…まるで犬ね」アスカが半ば呆れた様子で見ている。
733名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 00:22:22.56 ID:???
どうもこんばんわ。>>265の人です。お騒がせしております。
今回はここまでです。次で本編部分は終了です。
相変わらずの駄文で申し訳ない。スレ汚し失礼しました。

あ、マリはですね…どうしても道化役というか旗振り役が欲しかったので、えいやっと出してみました。
貞エヴァにはいねぇじゃねぇか、という問題に対する辻褄合わせ?は多分この次の次くらいのネタでできるかと思います。
734名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 04:05:33.75 ID:???
乙ざます
735名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 11:21:32.92 ID:W5gROqe/
お疲れ様です(^^)
736名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 23:58:49.26 ID:???
>>732
カチャ
「きゃっ!今、なんか音したよね?」アスカがシンジにしがみつく。
「ドアの音だよ…」シンジが男子寮の非常階段に近づく。「あれ?なんだこれ?」
その声にマリとアスカが近づく。シンジが拾い上げたもの…
「羽?」「…うん。鳥の羽みたい」
カラスではなく、ハトでもなさそうだ。「なんだろうこれって…」
「うわっ」シンジが突然声を上げる。
「何?どうしたの?」
「…いや、ドアを開けようとしたら、ここが濡れていたんだ」
シンジが指さした先、ドアノブは、確かに濡れていた。
「晴れてるのに?」「うん。」「一体誰が…」アスカとマリが思わず顔を見合わせる。
「行ってみよう」シンジがドアを開ける。マリとアスカが続く。

男子寮女子寮とも、1階は大浴場と洗濯場、それと食堂へと続くラウンジがある。
シンジは順番に侵入者がいないか、確認をしていく。まだ暗い明け方の廊下に一斉にライトが点く。
「あ、あれ!」アスカが指差した先で、動くものがある。シンジが飛び出していく。
そこは食堂の入り口。
食堂はまだ無人で、朝食を作るおばちゃんも、まだ来ていない。
テーブルの下や生徒用のキッチンもくまなく探したが、誰かがいる、もしくは居た様子はなかった。
「…ねぇ、やっぱり…これって…」アスカの膝がガタガタ言っている。
「うーん、ワクワクするなぁ、クライマックスな匂いがするぞ〜」マリはウキウキ。
残るは厨房だ。
厨房への扉を開けようとするシンジ。「あ!」シンジがしゃがみこむ。
「何?どうしたワンコ君!」マリがシンジの背後からのぞき込む。
「ここにも」とシンジが拾い上げたものは、鳥の羽。
3人で顔を見合わせ、頷きあう。「せーの!」バァン
扉を開く。クェッ
「あっちだ!」シンジが冷蔵庫に向かって走り出す。後を追う女子2人組。
厨房の隅にある業務用冷蔵庫の前まで来て、シンジが立ちすくむ。
「何?何?」こわごわとシンジの後ろから前を窺うアスカとマリ。
そこにいたのは…
737名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/25(金) 23:59:45.28 ID:???
>>736
「なんでペンギンがここにいるのよ?!?!?」クェックク
目の前にいたのは、身長が60cmほどのペンギン。冷蔵庫を開けて、夢中で中の食べ物を漁っている。
「…器用だなぁ…」シンジが半ば感心したようにペンギンを見つめている。
そのペンギンの足下には、封の開いたレトルト食品や、空になったプリンの容器が転がっている。
「に゛ゃっ!」マリが素っ頓狂な声を上げる。「あれは、私のプリン!」
ペンギンはマリを一瞥すると、口を大きく開けて欠伸をする。そして、シンジに気づく。
クエッ!!!「え?」
ペンギンが突如、シンジに向かって突進してくる。後ろにアスカとマリがいるシンジは避けきれない。
ズドーンドンガラガッシャーン
「ちょっ!シンジ大丈夫?」「ワンコ君、無事かにゃ?」
「ぶ、無事だけど…なんだぁ、このペンギン?!」シンジが目を白黒させている。
それもそのはず、なぜかそのペンギンはシンジに抱きついて頬ずりをしている。
まるで何年も会えなかった自分のご主人様に出会えた犬のよう。
「…シンジの前世ってペンギンだったの?」「知らないよ!」「また妙に好かれてるにゃ〜」
「そもそもなんでこんなところにペンギンがいるんだよぉぉぉおおぉぉ」ペギー
「あ、そのペンギン…」ようやく追いついてきたヒカリがその様子を見るなり言う。
「この前ニュースでやっていたわ。閉鎖された動物園からペンギンが一匹逃げ出した、って。」
「いつの話しよ?」アスカがヒカリに訊ねる。
「この前…多分私がアスカに幽霊の話を初めてした時のこと、覚えてる?ラウンジで。」
アスカはその時のことを思い出す。シーンとなった背後から流れていたニュース…。
「あ…、確かにそんなこと言ってた気がするわ」
「きっと、近くに隠れていたんだね…」シンジが立ち上がる。ペンギンはシンジの足下にくっついている。
738名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/26(土) 00:00:48.07 ID:???
>>737
「人を怖がらないのね…」アスカの声に反応するペンギン。
「あら、可愛い」ナデナデ「アスカにも懐いてるわね…」「ヒカリも触ってみたら?」
「えー怖いよ…」ナデナデ「♪」「お、」「喜んでるよ」「ほんまや」「わ、私も触りたいにゃ」
しばし時を忘れてペンギンと戯れる5人。
「でも、どうする?これって知らせないとダメだよね?」
「ね…でもこういうのって、どこに知らせるの?」「そんなん知らんがな」「役所じゃね?」
「でも…知らせたとして、この子はどうなるの?」
ヒカリの一言に、全員が黙り込む。
「引取先が見つかればええが…最悪は…保健所行きやな」トウジが呟く。
「ひどい!それだけはダメよ」「ダメにゃ!」アスカとマリが同時に叫ぶ。
「でも…どうするんだよこれ…」足にしがみつくペンギンに、少々困り顔のシンジ。
「そうだ、シンジ、このペンギン、ここで飼いなさい!」ビシッ
「無茶言うなよアスカ、そもそもペンギンの飼い方なんて、僕知らないよ…」トホホ
「とりあえず、先生に相談した方が…」ヒカリがおずおずと言う。
「今日の宿直当番って誰や?」「…ミサトだわ」
「葛城先生か…学院一、話がわかる先生にゃ、相談してみるべし!」
マリがそう言った後、続けてこう言った。
「そういえば、カメコ君はどこへ行ったにゃ?」
ケンスケがあまりの居心地の悪さに、肩をふるわせて自室に戻って不貞寝していることを、この段階では誰も知らない。
739名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/26(土) 00:01:28.63 ID:???
>>738
「ちょっとぉ、何こんな朝早くからぁ…」寝惚け眼のミサト先生が食堂に現れたのは、それから10分後。
「ちょ…ミサト、酒臭いわよ…」アスカが顔をしかめる。
「っさいわねぇ、いいじゃない、明日休みなんだしちょっとくらい飲んだってさ…」ボリボリ
ミサトは頭をかきながら、シンジの前に立つ。
クェッ!!!
「で、何?何が見つかったってぇぇぇぇぇえええええええええええええええ」ドサッ
「え?」「ミサト!大丈夫?」「葛城先生大丈夫かにゃ?」「ちょっ、何が起きたん?」
それは、一瞬の出来事。さっきまでシンジの足下から離れなかったペンギンが、ミサトの姿を見るやいなや、
叫び声を上げて彼女に抱きついたのだ。その姿は、まるで三千里を旅した末に母に出会ったマルコのよう。
「ちょっと…」「え?」「嘘…」「ほんまかいな…」「このペンギン…」
「泣いてる…」(一同)
シンジたちが見たものは、ミサトに抱きつき、嗚咽するペンギンの姿。
「…ミサト、あんた前世でこのペンギンと夫婦かなんかだったんじゃない?」
ミサトは倒れ込んだまま、半分呆然としながらも、抱きついてきたペンギンの頭を、優しく撫でるのであった…。
「なんか、すっごく懐かしい気がするんだけど…気のせいかしら?」
740名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/26(土) 00:02:45.99 ID:???
>>739
「…まぁ、こうなるとしゃーないわよねぇ…。ここでこの子を保健所送りなんかにしたら、
女がすたるってもんだわさ、」
食堂と厨房を急いで片付けて、みんなの目に触れないように宿直室までやってきた6人+1匹。
「じゃあミサト、」アスカが目を輝かせる。
「うちにくるかい?ペンペン」ミサトがペンギンの頭を撫でながら、そう言う。
クエーッ
羽をパタパタさせて喜ぶペンギン。
「このペンギン、ペンペンって言うんですか?」シンジがミサトに尋ねる。
「ん?いや、思わず出てきた名前なんだけど…まあいっか、ペンペンで。可愛いしw」


「それにしても、幽霊がペンギンだったなんてねぇ…」ヒカリが信じられない、といった感じで首を振る。
時刻は午前10時。ミサトはペンペンをこっそりクルマに乗せて帰って行った。
今は、反省会と称して食堂でお茶をしている6人組。
「おまけに空き部屋の冷蔵庫を住処にしてたなんてね…」「器用すぎるやろあのペンギン」
「確かに、ドアや冷蔵庫開けたり、レトルトの封切ったりプリン食べたりしてたわよね…」
「テレビに出せば一儲けできるにゃw」「でもそれやると、保健所が飛んでくるんじゃない?」
「むー…そうかも」和気藹々と話し込む5人。
1人凹んでいるケンスケ「…我慢して残ってれば良かった」ショボン
「そのうちミサト先生の家に遊びに行けばええねん。落ち込むなやケンスケ」バシン
「落ち込んでるのはそのせいだけじゃないんだけどな…」ボソッ
「は?何か言うたか?」「いやいや何も」(´・ω・`)
741名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/26(土) 00:03:20.07 ID:???
>>740
「んー見事に解決したように見えるけど…何か腑に落ちないにゃ…」ズズズ・・・
「な、何が腑に落ちないのよ?」ドキッとした表情を必死に隠しながらアスカが言う。
「ぷはぁ、このアールグレイ、美味しいにゃぁ。さすがワンコ君、」
「真希波さん、アスカが」「ん?」「アスカが、質問に答えて、って顔してますよ」
「ん?あぁ、めんごめんご、いや、ね、私が初めて幽霊を見たのって、ペンペン君が
逃げ出す前だった気がするんだけどなぁ…」
「!」
「え、ま、真希波さん、多分それは動物園が閉園しちゃって、ペンペンが逃げ出したことに
気づくのが遅くなったせいなんじゃ…ない…かな…?」
「ん…そうかもしんないけど…私が見た影って、もっとおっきかったんだよな…、
そう、ちょうどワンコ君くらいの背格好でさ、」ブハッ
「うわっ、アスカどうしたの?」
「ごめ…ちょっとむせちゃって」ゴホゴホ
「ん〜なんかわざとらしいにゃ…、まさか、ひょっとして、あの影は本当にワンコ君?」
ガタッ「ま、まさかそんなことあるわけ」
「なんで姫がそんなに慌てるにゃ。なんか怪しいなぁ…」ニヤリ
「あ、あんた、バカぁ?そんなこと、あり得ないでしょ!」
「あり得るかあり得ないかは姫が決めることではないにゃりよ」ニヤニヤ
「だいたい何よ、あんたあんなアラレもない格好でふんぞり返って爆睡しててさ、男子の前で
恥ずかしくないの?」
「ん?ワンコ君の前なら…恥ずかしくないにゃ。むしろ本当の私を見てて欲しいくらいにゃ///」ブッ
「このエロ!何流し目でシンジのこと誘惑してんのよ!」「してないにゃ」「してたわよ」
「それはそう感じる姫の潜在意識の問題にゃ。姫も相当溜まってんじゃにゃいにょ?」
「畜生!頭にきた!ぶっ殺す!」ムキー「ヤバイ、生命の危機を感じるにゃ。逃げるにゃ!」スタコラ
742名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/26(土) 00:04:03.67 ID:???
>>741
「…ねぇ碇君、」「何?委員長」
「碇君ってすごいわよね…。あの2人の相手するの、疲れたりしないの?」
「え…特に疲れたりはしないかな。慣れてくるとなかなか楽しいもんだよ」
「…偉いわセンセ…わしゃそういう境地にはなれんw」
「うーん…ああ見えて、あの2人、すごく似てるんだよね」「似てる?」「うん、」
「どこがどう似てんねん?どっからどうみても水と油、猿と犬の仲みたいやで?」
「いや、そう見えるのはあの2人がお互いに素直じゃないからなんだと思うんだよね…。
ほら、同族嫌悪ってあるじゃない?あんな感じだと思うんだ」
「…」
「アスカの事はよく分かるけど、真希波さんもそれに近い感じがするんだよ。
いつもおちゃらけたキャラやってるけど、あれは演じているだけで、本当は心の中に
恐がりだけどプライドの高い、小さな女の子がいるような、そんな気がするんだ。」
「…」感心したように目を合わすヒカリとトウジ。
「ああ見えて、だからあの2人は結構仲良くやってるんだと思うよ」
「(碇君、やっぱりあなた、スゴイわ)」「(わしゃ真似できんし、真似したいとも思わん)」

「シンジ!腹立ったからヤケ食いよ!今からケーキバイキング行くわよ!」
「えー?そんなお金ないよ…」「うるさい!あんたあたしの彼氏でしょ、付き合いなさいよ!」「はいはい」ガタッ
「…いっちまいおったで」「…やっぱりスゴイわ」「ああ、惣流の言うこと黙って聞いとるようで、
実はうまくコントロールしとるよな…」
「…」「なんやその目は?」「なんでもない」クスッ
743名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/26(土) 00:04:45.83 ID:???
>>742
ガラッ「あれ?姫とワンコ君は?」「なんか、ケーキバイキングに行くって」「なぬ?!しまったぁぁあ」orz
「何もそこまで落ち込まんでもええやんけ…」
「うーん…似てる?」「ワイには分からん」2人がこそこそと話すのを聞きつけるマリ。
「ん?何かにゃ?」
「あ…えっとね、碇君がさっきね、真希波さんとアスカが良く似てるって言ってたのよ」
「え…?」「なんかね、お互いに素直になれないところとか、心の中に怖がりでプライドの
高い小さな女の子がいるところとか、良く似てるって。」
「ワンコ君がそんな事言ってたの…?そっかぁワンコ君は何でもお見通しだにゃ」
「あれ?どうしたの真希波さん、」「ん?眠くなったから、部屋帰って寝るにゃ、おやすみ〜」
てぺてぺと歩くマリの後ろ姿がドアの向こう側に消えていく。
「…私、何か変な事言っちゃったかな…?」「気にせんといてええんとちゃうか。それよか、腹減ったわ」
744名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/26(土) 00:07:59.70 ID:???
どうもです。>>265の人です。こんばんわ。
とりあえずこれでお化け編終了です。
土日にかけて、エピローグ的な2編を投下予定。長くてすいません(´・ω・`)
745名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/26(土) 01:24:34.52 ID:???
>>744
押忍!乙であります!
オチにペンペンをもってくるあたりロマンを感じます
土日とLASを満喫させてもらうので続きを期待しております!
746名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/26(土) 19:30:09.43 ID:???
乙っす
最高っす
続き楽しみにしてる!
747名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 00:58:21.17 ID:???
>>743
その日の夜。女子大浴場。
「はぁ…疲れたわ。今日は朝から大変だったもんねぇ…」
消灯時間間際の入浴。元々入寮生も少なく、女子大浴場は実質貸し切りのことが多いのだが、
この時間帯になると、さらにその傾向は強まる。というか、入寮してからこのかた、
この時間帯はアスカ以外の生徒がいたことがない、実質占有状態だ。
その分のんびりとお湯に浸かれるし、周りの子に気兼ねすることもなく身体を洗ったりも出来る。
「ん?」
アスカの視界にぼんやりとだが、人影が入る。珍しい、誰かがいる。それでも浴場の端と端。
アスカはあまり気にせずに、椅子に腰掛けて、頭からシャワーのお湯を浴びる。
適温。身体から疲れがお湯に溶けていくようだ。
シャンプー、コンディショナーときて、ボディソープに手を伸ばしたその時、アスカは気配を感じる。
カラリ、という音と共に誰かが隣に座る気配。さっきの子だ。
衝立があって、直接姿が見えるわけではないが、アスカはいぶかしげに、隣にいるであろう
自らのテリトリーへの侵入者に鋭い視線を浴びせる。
「ひーめ、」マリだ。
「なんだ、コネメガネか。何よ、何の用?」
「ん、今日はお疲れ様。しかし相変わらず冷たいね。姫を待っていたというのに。」
「あたしには何の用もないわ。今忙しいんだけど。」
「ああ、手を止めずにそのまま聞いてくれるだけでいいから。ちょっと…いいかな?」
猫語なしのマリの言葉に、ちょっとした不気味さを感じながら、アスカは構わず身体を洗い出す。
「ワンコ君のことなんだけどさぁ、」「ダメよ絶対ダメ」
「…まだ何も言ってないんだけど(^_^;;;」
「言わなくても分かるわよ。そもそもシンジのこと、犬呼ばわりしないでくれる?」
「ん、だって、彼、子犬みたいな目をしてるんだもの。それに、姫の飼い犬みたいだし。」
「は?こんなところに来てまで喧嘩売ってんの?」「いやいやいや、そうじゃなくて」
「じゃあなんなのよ」
「ん、…まあそんな、イライラしないで聞いてよ」
748名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 01:00:31.18 ID:???
>>747
いつもとは違うマリの口調に、シャワーコックを捻ろうとした手を一端止めて、アスカはマリの方を見る。
衝立の向こうにほんの僅かに頭が見える。
「まあ、結論から言えば、私は姫に謝らなくちゃいけない。ワンコ君にちょっかい出していたのは事実だもの。
そしてその理由は姫が思っている通りなんだもの。」
沈黙。そしてシャワーを出す音。
「…」「え?何?聞こえない」マリが衝立越しにアスカに言う。
「知ってたわ」
水音の中から、それだけの単語を、そしてその意味を汲み取るのにマリは少しばかり苦労をする。
アスカにしては、か細い声。
「私、姫とワンコ君と3人で仲良くなりたかった。ワンコ君のあの優しさは…
正直姫にはもったいないくらいだと思ったし、私にもその優しさがほんの少しだけでも…
一瞬でもいいから振り向いてくれたらな…、って」
「うん、だから?」アスカが続きを促す。
「…だから、」続きの言葉が出てこない。
「何よ、言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」
アスカの苛ついた言葉には返事をせず、マリは立ち上がると湯船にざぶんと飛び込む。
「ふぅぁああぁ〜、極楽極楽w」
「ちょっとあんた、ふざけてる場合じゃないでしょ!」アスカが振り向く。
マリは背を向けて、畳んだタオルを頭の上に乗せている。その姿を見て、思わずアスカが吹き出す。
「何よその親父臭い格好はwww」
沈黙。その重苦しい雰囲気に、アスカの笑い声も消える。
749名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 01:01:44.32 ID:???
>>748
「いいんだよ、笑ってよ。ほんと、お笑いぐさなんだからさ、」マリが言う。
「…あんた、泣いてるの?」「まさか」鼻をすすりながら、マリ。
「あんだけ、オトナのオンナ気取ってさ、でも本当は怖くってさ、バカみたいだよ。
影じゃビッチだの援交顔だの言われてるけどさ、まだこのカラダはキレイなまんまなんだよ、
信じられる?このひねくれた性格が災いしてさ、誰も寄りついて来やしないさ。
寄ってくるのはカラダ目当ての盛った犬ばっか。そんなのはこっちから蹴飛ばしてやる」
「…」アスカは思う。今まで気づかなかったけど、マリって、自分に似ている。
素直になれない自分とマリ、外に顕れるものは違っていても、内面は同じ色で出来ているのかもしれない。
「でもね、ワンコ君は違った。初めてワンコ君と話した時、彼は私のありのままを受け入れてくれた。
変人扱いもせず、下心も何もなくただ純粋に、微笑んでくれた。彼は私の王子様だと思った。
でも既にそこには姫がいて…、悔しいけど、王子様とお姫様の最高のカップルじゃん。
…私は…そこに入りたかった。家来でも友人枠でもなんでもいい、王子様に近づいてみたかった。
目を合わせて、笑いあってみたかった。だから、王子様をワンコ君と呼び、色々ちょっかい出してみた。
ガキだよね、保育園児レベルだよね…、でもそのくらいしか、出来なかった。」
「あんた…」アスカが何か言おうとする。でも、次の言葉が出てこない。
「これ、姫は知らないと思うんだけどさ、夏休み前くらいかな?ワンコ君捕まえてさ、
思い切って言ってみたんだよ、水臭いな、同じ寮生同士、真希波さんじゃなくて、マリでいいよ、って。」
「…知らなかった」アスカが呟く。
「もうさ、こっちはドッキドキだよ。でさ、そうしたら、ワンコ君は何て言ったと思う?」
「…」
アスカは答えない。答えられない。再びマリに背を向けて、頭からシャワーを浴びる。
750名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 01:03:18.86 ID:???
>>749
「ごめん、って。僕が名前で呼ぶのはアスカだけだから、って。
真希波さんのことも嫌いじゃないけど、アスカは特別なんだ、って。」
ふぅ…、と溜め息をついて、マリは続ける。
「ほんと、かなわないな…って思ったよ。姫とワンコ君の間にはスキマなんてありゃしない。
それこそヘリウム原子1個分ほどのスペースも開いていない…」
マリはメガネを外してお湯で洗い、続いて顔をざぶざぶと洗って、湯船から立ち上がった。
「よいしょっと…だから、これからは姫とワンコ君の仲を応援することにした。」
その言葉に、アスカが顔を上げる。
「諦めたわけじゃないけど、一番近くで、姫達の夫婦漫才を見させてもらうから」
「は?余計なお世話よ」
「いいじゃない、届かないことを認める代わりに、そのくらいはさせてよ。
ワンコ君、アスカのこと、ものっすごく考えてるよ。姫はそれに報いてあげられてるの?
愛って与えるものだよ。求めるものじゃないんだよ。」
痛いところを突かれる。
「ふ、ふん!何よ負け犬にぎゃーぎゃー言われたくないわ」
「姫、」マリがアスカの方に向き直る。そしてアスカの背中に向かって声をかける。
「素直になりなよ、姫。私、分かるよ、姫の気持ち。私とおんなじだから。」
「うるさい!」「姫、」「うるさいうるさいうるさい!」
「シンジは誰にも渡さない!シンジはあたしの全てなの、シンジがいなくなったら、あたし…生きていけないもん」
シャワーの音で泣いているのが少しは誤魔化せるかしら…アスカはほんの少し、そんなことも考えた。
そう、このイライラする気持ち、本当は気づいていた。マリにシンジを取られるんじゃないかという恐怖。
自分にはあんな誘い方は出来ない。人前で、あんなストレートに甘えたり出来ない。
「シンジとあたしは…ずーっと昔から、前世やもっと前から、ずっと一緒だったの。
証拠なんてないわよ。笑いたければ笑いなさいよ、…でも2人ともそう信じているのは事実よ。
…お互いに何を考えているのか、感じるし、隣にいれば安心する。あたしとシンジの出会いは
偶然なんかじゃない、必然や運命を超えたところにその理由があるの。そう思うの。だから…」
751名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 01:04:16.04 ID:???
>>750
「だから?」
「…だから…怖かったのよ…。コネメガネ、あんたが今のあたしを粉々に突き崩してしまいそうな気がして。
シンジを…奪っていっちゃいそうな気がして…。」
「…姫…」
「ダメ。ホントはこんな素直じゃないあたしを、あたしは好きになれない。
もっと自分が変わらなくちゃ、って思う。けど、出来ない。強がりでプライドばっか高くて…
でも、そんなあたしをシンジは好きだって言ってくれる。ずっと一緒だよ、って言ってくれる。
この幸せを、誰にも渡したくないし、渡さないわ」
「姫、」「なによ、なんか文句あるっての?」
「いいや、でもさ、姫、姫はもっとワンコ君のことを信じてあげた方がいいよ」
「どういうこと?」
「ワンコ君だって、今の幸せを誰にも渡すつもりなんてない、ってこと」
涙をちょっと拭いて、マリが続ける。
「振られた私が言うんだもの、間違いないわ」
「コネメガネ…」
マリは何も言わずに、風呂から上がり、またアスカの隣にやってくる。今度は立ったまま、
シャワーを浴びる。
「ふぅぅ…のぼせちまった。」そのままアスカの背後を通って脱衣所へ向かう。
「…まあ、よく分かったよ、姫の気持ち。それだけでも良かった」
扉に手をかける。「待って」
アスカの声にマリの動きが止まる。
「コネメガネ…ごめん」「え?」「もういい。一度しか言わないから」
ふふっ、と笑ってマリが言う。
「それはそうと、姫ってさ、本当にまだワンコ君と、してないの?」
「はぁ?なななななななななな何をまたいきなり…」顔が真っ赤になるのが自分でも分かる。
752名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 01:06:58.01 ID:???
>>751
「ははは、姫、可愛いよ。…でもそっか、その手があったか」ニヤリ
「な、何よ?」「いや、なんでもない」「あんたのそのなんでもない、はなんでもなくないでしょ!」
「ん…いやさ、男の子なんて所詮はみんなおっぱい星人、姫も早くしないと、私のこのおっぱいで
ワンコ君をメロメロにしちゃうわよ〜」
「バ、バカ!何を…そ…んな」思わず立ち上がったアスカだが、次の瞬間、言葉が途切れる。
「で…でかっ!…でも綺麗…」アスカの目が釘付けになる。アスカの目の前にあったのは、マリの胸。
「お尻もいい形してるでしょ?」マリが後ろを向く。こっちもデカいがツンと上を向いている。
ゴクリ…。思わずアスカが生唾を飲み込む。…シンジもこんなのが好きなのかしら…。
「あ、今考えたでしょ、シンジもおっきい方が喜んでくれるのかな?とかってw」
「お、思ってない!」カァァァ
「姫、いいこと教えて上げるよ。彼氏に揉んでもらうのが一番いいらしいよw試してみなよ」グヘヘ
アスカの動きが一瞬止まる。自分の胸を包み込むようにして触れるシンジの手…
「あ、今考えたでしょ?想像しちゃったでしょ?いいなぁ、青春だなぁw」
飛んでくる洗面器をひょいっと避けて、マリが出て行く。
「ワンコ君によろしくにゃ」ノシ
アスカ、しばらくその場から動けない。脱衣所からはマリが歌うのが聞こえてくる。
「〜あなたにぃ、つげよおぉ、まよわずにぃ、いくことおぉ〜♪
「…誰の歌よ」アスカの呟きに「美空ひばりにゃ」という声が返ってくる。
「…あんたいくつよ?絶対サバ読んでるでしょ?」「え?姫より1コ上なだけにゃぁ」
〜すべてぇわぁ、こころのぉ、きめぇたぁ、まぁぁま、にぃいぃぃ♪」
「…バカ」
その言葉と共に、アスカも風呂に飛び込む。頭まで湯に浸かって、
色々な思いを、憂いをを流してしまおう。
アスカはぼんやりとだけど、そんなふうに考えている。

弱みを見せお互いを認め合った2人が、親友になるにはもう少し時間がかかるけど、でもそれは、別の話。
753名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 01:11:46.40 ID:???
度々失礼しております。こんばんわ。>>265の人です。
お化け編エピローグその1、お風呂編は以上です。
明日でようやくおしまいです。ご迷惑をおかけしました。

>>745
そーなんすよ、ペンペン出したくて、そのせいで収拾つかなくなって、こんなザマw
無理はするもんじゃないっすw
それはそうと、次作お待ちしておりますです。
754名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 03:36:14.34 ID:???
>>753
押忍!二夜連続投稿乙であります!
今更聞くのもなんですが・・・・・>>265さんはもしかして女性ですか?
文章を読む限り女性の心理描写を表現する手法が過去に読んだLASとはまた一味違う気がするのです
単にこれが普段から本を読む人・読まない人の差、ってだけのことかもしれませんが
ここまでキャラ一人を深く掘り下げた内容の文章には感服いたしました
最終章も期待しております!

えーと、こちらは暫く休憩ってことで・・・・続きはもうちょっちだけ待っててねw
755名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 22:20:16.26 ID:???
>>753
乙です
最後の話を楽しみにしてるから







続きはよ
756名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 23:14:55.14 ID:???
お化け騒動が一応の解決をみてから、初めての週末。
夜が明ける前、いつも通りシンジは中庭を抜けて、男子寮の非常階段をそぉーっと上る。
アスカ宛にメールを打ちながら、2階のドアを静かに開け、廊下に入る。誰も起きては居ない、
早朝独特の静けさの中、無音で自室のドアを開けて、今日も無事に帰還…
「おはよう、碇シンジ君。今日も早くからご苦労様だね」
全身が硬直し、眠気が吹き飛ぶ。
シンジの部屋のドアの向こう側、シンジの室内、そこに立っていたのは、冬月寮長。
早朝にも関わらず、茶色のスーツにしっかりアイロンのかかった薄いブルーのシャツ。
そして品の良いネクタイ。姿勢の良さも手伝って、凜とした雰囲気がある。
「まあとにかく、ここで話すのもなんだし、ちょっとご足労願おうか」
アスカからの返信を告げる灯りが、空しく輝いている。
757名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 23:15:41.35 ID:???
>>756
寮長室。入るとそこには応接セットと事務机。奥の扉の向こうには仮眠室があるらしい。
「ここに来るのは初めてかね?」「…はい」「まあ、座りたまえ」
ソファに腰掛ける。寮長は奥の扉の向こうに消えたかと思うと、お茶を淹れて戻ってくる。
「すまんな、番茶くらいしかなくてな」「…」
シンジの反対側に腰掛け、番茶を一口すする冬月寮長。
「あの…」シンジが言いかけるのを手で制して寮長が言う。
「最初に言っておくが、言い訳は不要だ。ここはそういう場ではない」
ダメだ、寮長は全てを分かった上で、このような行動に出ている。シンジは確信する。
逃げても無駄だ。
「あの…なぜ、分かったんですか?」
寮長は茶をゆっくりと飲みながら、シンジにチラリと視線をやり、湯呑みを置いてから言う。
「足跡だよ」「足跡?」「そうだ」
「実は、過去にもこういうことがあってね。私はもう30年近くこの仕事をしているから、
寮のことは大抵わかる。
「ある日の朝、あれは前の夜に雷が落ちて停電した時だったかな、私は中庭の芝生に足跡を見つけた。
サイズは25センチ。男性のものだ。おそらくスニーカーか室内サンダルの類。
歩幅からおおよその身長も分かる。足跡の深さから体重も見当がつく…」
寮長が一瞬、シンジの目をまっすぐに見つめる。弓矢で射られたような鋭い視線。
シンジは何も言えず、ただ黙って頷くことしかできない。
「これは侵入者かとも思ったが、門と玄関に設置されている監視カメラには何も映っては居ない。
前夜は雨だったということは、この足跡は雨が止んだ後、すなわち明け方につけられたものだ。
今も言ったとおり、門と玄関の監視カメラには誰も映っては居なかった。
門以外からの侵入も考えられなくはないが、ここだけの話、センサーがあってね、それも無反応だった。
つまり、侵入者でも門限破りでもなく、内部の人間がどこからか出て、どこかに向かった、ということだ。
ここは寮だ。一般的に考えて、誰かの部屋から誰かの部屋へ、という考えが一番合理的だ。
そしてここは男女の寮棟が別れている。経験則から言っても、女子寮から男子寮への移動、
ということが、足跡の向きから見ても、一番合理的だ。違うかね?」
758名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 23:17:23.46 ID:???
>>757
ほんの少しだけ、寮長が笑う。シンジを追い詰めるサディスティックな笑いではなく、
自分の推理が正しいことを確信している、そういう類の微笑だ。
「それから、注意して見ていた。女子寮2階の非常階段のドアノブの汚れが幾分綺麗に
なっていることに気がついたのはそれから2週間ほど後の頃だ。
女子寮の非常階段の扉は外からは開かない。これは、誰かが内から外に出たということを意味しているし、
つまり、犯人、まあここでは犯人と呼ぶが、2階の部屋に用件があったと推測できる。2階の住人は2名。
洞木ヒカリと惣流アスカだ。この2人にはそれぞれ恋人がいる。鈴原トウジと碇シンジ。
身長体重靴のサイズは全て、あそこを出たのが君だということを示している。
そんな中での幽霊騒ぎだ。真希波マリの声がけに君たちが出ているのを見て、推測は確信に変わった。
あれはうまくカムフラージュしたつもりだったのだろうが、私の目は誤魔化せん。
結果は予想外のものだったが、かえってこれで、再開の日は早かろうと睨んだ。
そして、あれから初めての週末。結果はご覧の通りだ。」
寮長はゆっくりと背もたれに寄りかかり、続ける。
「何か相違点はあるかな?」
黙ってシンジは首を横に振る。逃げられない。まるでシャーロック・ホームズみたいだ。
「僕たちは…どうなるんですか?せめてアスカだけは…」
「だから言っただろう、ここはそういう場ではないと。正式にそういう場を設けようか?
君にとって、かなり良くない結果になるだろうがね。」
シンジは混乱する。じゃあ何故寮長は自分を待ち伏せして、ここに連れてきたのか。
寮長の真意が分からない。それを見透かしたかのように、冬月寮長が続ける。
「私が聞きたいのは2点だ。惣流アスカと性的関係はあるのかどうかと、彼女をどう思い、
これからどうしようと考えているのか、ということだ。
「以前言ったと思うが、寮内での男女同衾は即時退寮が規則だ。
これは、学院の風紀衛生委員会によって決定される。いいかね、私はそこの委員をしている立場ではあるが…
出来れば、君たちを助けたい。」
759名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 23:19:37.51 ID:???
>>758
「え?」シンジが顔を上げる。
「意外かね?」「…はい」「個人的な理由でね、あまり言いたくはないのだが…」
「僕たち、」シンジが寮長の言葉が続かないことを確認してから、一呼吸置いてから話し出す。
「2人で同じことを考えていたんです。僕たちは、何かの生まれ変わりで、生まれ変わる前も、その前も、
さらにその前でも、ずっと一緒だったんじゃないか、って。なんていうか、運命とかそういう
言葉を超えたところで、僕たちは繋がっていて、例えば戦友であったり恋人であったり、
夫婦であったり親子であったり、そういう縁でずっと繋がっていたんじゃないか、って」
「ふむ…微笑ましいな。しかしそれには科学的根拠は一切ない」
「科学的根拠は一切ない」シンジは冬月の言葉を繰り返す。ここ数日で何度この言葉を聞いただろう。
「確かにそうです。ですが、逆に言えば、僕たちが前世もその前も、ずっと一緒だったことを
否定する科学的根拠も一切ない」
「…ふむ、まあそうかもしれんな」
「大事なのは、僕たちがそれを確信していることです。本能的にそれを理解しているということです。
事実であるかどうかは証明ができませんが、それが僕たちの真実だと信じています。」
まっすぐに冬月寮長の目を見つめてシンジは言う。
「ですから、僕とアスカの間には、そういう意味ではまだ何もありません」
「でも、いつかはそうなる?」言われて顔が真っ赤になる。嘘はつけない。
「…でも寮内では誓ってそんなことには…」
ふっ、と笑うと冬月寮長は腰掛け直す。
「すまん、ちょっと苛めがすぎたかな。しかし、君の気持ちはよく分かった。
なかなか俄には信じがたいことではあるが…しかし君は嘘をつける人間ではない。信じてもいい」
シンジの顔がぱぁっ、と明るくなる。が、すぐにまた元の陰鬱とした表情に戻る。
「それで…処分は?」
「されたいのかね?」寮長が即座に答える。
驚くシンジ。「い、いや」
冬月寮長は再び深く腰掛けると、両手を顔の前で組み、話を始める。
760名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 23:22:40.12 ID:???
>>759
「内緒の話だがね、実は、君は3番目なのだ、」「3番目?」シンジにはよく分からない。
「そう、こうやって夜間、恋人の住む部屋へ決死の覚悟で通い続けた寮生が、君以外に2人いたのだ。」
え?と驚くシンジ。初耳だ。
「君の前にそれをやっていたのは…」少し間を持たせて寮長が言う。
「今は学院で社会科の教師をしておるよ。不思議な事に、相手も学院内で教師をしとるな」
シンジの脳裏に2人の顔が浮かぶ。
「ひょっとして、それって…加持先生と葛城先生ですか?」
「否定も肯定もせんよ」そして懐かしそうな表情を浮かべながら、冬月は続ける。
「そして栄えある第一号は…実は君の父親でね。」
「え!」シンジは驚く。その反応を見ながら、冬月の話は続く。
「相手は君の母親だった。両人とも私の教え子でね。あんな硬派を絵に描いたような男が、
夜な夜なこんなことをしているとは、と驚いた記憶がある。
そのときは男の方が退寮になった。私はまだ学院の教員で、こちらの方には明るくなかったからな。
で、結果として、男は、君の父親は、どうやったか知らないが市内に部屋を借り、
やがて君の母親と一緒に住むようになった。風紀を守るはずが、守られたのは学院のくだらない規則だけでな…
もう30年近く前の話だ」
シンジは、物心ついた時には叔母さんに預けられていた。それが両親が亡くなったからだと
知ったのは小学校5年生の時で、だからつまり、シンジに両親の記憶はない。
761名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 23:26:30.67 ID:???
>>760
「父は、母は、どんな人だったんですか?…僕、両親の記憶とかがないんです…
だから、覚えている範囲で教えてくれませんか?」
シンジは身を乗り出す。冬月は組んだ両手の向こう側から遠くの方を懐かしげに眺めた後、
ひとつだけ、シンジに伝える。
「君は、よく似ておるよ、父親に。碇、ゲンドウ君にな」
「僕が…父さんに?」「うむ。彼の高校時代にそっくりだ」そのまま冬月は言う。
「ご両親は事故で亡くらなれたそうだな。惜しいことをした。2人とも有能な科学者になれただろうに…」
そして話は終わりだ、とばかりに立ち上がる。つられて、シンジも。
「今回の件は、不問に処してもいい。今後についても、君なら分かるだろうが、
ある程度であれば目を瞑ってもいい。」
シンジは頷く。よろしい、というように冬月も頷く。
「なに、こちらとしては丁度いいボケ防止の頭の運動だったよ」
ふふふ、と笑う冬月と、ははは、と乾いた笑い声をあげるシンジ。
この人にはかなわない、逆らっちゃ絶対ダメだ。そうシンジは感じる。確信する。
「だがね、ひとつだけ、条件があるんだが…」
ふいに、シリアスな表情で、寮長が囁く。この場合、シンジに選択の余地はない。
シンジはその条件が、せめてアスカには害が及ばないものであることを願った。
762名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 23:28:39.53 ID:???
>>761
「…ほんとにバレてたの…?」真っ青なアスカ。「うん、」とシンジ。
「でも、よく許してくれたわよね…」
食堂で朝食を摂りながら、ひそひそと話すアスカとシンジ。
「うん…でもひとつだけ条件があってね、」「何?」ドキドキ
ポン「第3の少年、時間が空いたら寮長室まで来るように」「は、はい」ビクッ
突然肩を叩かれて驚くシンジとアスカ。
去り際に寮長の口角にほんの少し皺が寄ったように見えたのは、微笑んだのか。
「将棋、週一回」「え?」「その条件」「えええ?なによそれ」「まあ、そのくらいなら、ね」
「確かにね…でも今、あの寮長、シンジのこと、『第3の少年』って言ったわよね?どうして?」
「ん?さあ…僕にもよく分かんないよ(^_^;;;」
763名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 23:42:06.48 ID:???
こんばんわ。>>265の人です。
これにてお化け編エピローグ?第3の少年編、終了です。
長々とすいませんでした。ご不快な方がいらしたらお詫びします。
一応、次の次の次くらいまでは用意がないこともないんですが、
長々とやらかしてご迷惑かけたんで、しばらく自重します。
需要があって呼んでいただければ、そのうちまた現れます。
ではまたノシ

>>754
否定も肯定もせんよ、と言っときますw
764名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/27(日) 23:48:39.15 ID:YJ4cfLvr
お疲れ様です(^^)
765名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/28(月) 00:29:18.78 ID:???
>>763
押忍!三夜連続投稿乙かれでした!
さすが冬月先生w原作や新劇の威厳がそのまま移植されたような感じで
イメージしやすかったです
もしかして夜這いは将来結ばれるジンクスとかフラグとかあるのでは・・・・
と、いらん期待してみるw
とにかくシリーズ完走おめでとさんです!


誤解のないように一応言っておくと
オイラが>>265さんの性別聞いたのは男性と女性では恋愛に対する観点とか解釈に
当然違いがあるから、それによって作品の出来や読み手の感じ方に差が出るのかが
気になったからというのが理由です
今までに読んだLAS作者はみんな男なので、それと比べるとやはり一味違うと感じました
間違っても女性だったら口説こうとか変な意味はないですw
当然、男ならアッー!なことなんぞ絶対無いし、したくねえw
766名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/28(月) 07:09:24.45 ID:???
>>763
乙乙乙最高でした!!!
需要ありまくりなんでまたお願いします!!
767名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/28(月) 23:39:01.68 ID:???
>>763
GJ
768名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/29(火) 00:19:44.91 ID:???
>>763
乙でしたー
でも続編が早く読みたいし自重する必要は全くないし理由もないと思いますし
誰もそんなこと望んでないし皆早く続きが読みたいと思ってることでしょう
だから・・・・・








続編はよ
769名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/30(水) 00:26:39.30 ID:WnZ/8Us+
誰か投稿をお願いします
頭の中がLASのことでいっぱいです
LAS読まないと夜も眠れません
770名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/30(水) 23:12:50.93 ID:???
催促age
771名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/10/31(木) 23:57:57.07 ID:xAY7nFL4
何かSS書いてよー
772名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/01(金) 01:05:23.36 ID:???
>>764-768
皆様どうもありがとうございます。
なんか、スレ占有しているような気がしたので…ちょっと自重しようかな…と思ったのですが…(´・ω・`)
需要があるようですので、ありがたく承ります。
週末くらいにはまた駄文ですが、投下できる…といいな…
773名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/01(金) 15:50:44.45 ID:???
占有も何も、ネタが枯れ果てるまで投下して欲しいです。
774名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/02(土) 00:20:18.96 ID:???
>>763
おつかれです
775名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/02(土) 01:06:15.40 ID:???
>>772
ゆっくりでもいいんでお願いします
776名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/02(土) 02:39:17.78 ID:???
>>772
とにかく楽しみにしてるんで作者さんのペースで
納得いくものにしてくださいませ
でも一応このセリフだけ言わせて






続編はよ
777名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/02(土) 13:03:44.87 ID:i1x4KtoG
モードチェンジ!コード777!
778名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 00:48:02.98 ID:???
秋晴れの日曜の午後。
半分以上の生徒が実家に戻る3連休、寮内は閑散としている。
シンジがラウンジでチェロを弾いている。バッハの無伴奏チェロ組曲第一番プレリュード。
比較的ゆったりしたテンポで、一音一音を慈しむかのように弾いている。
目の前で聴いているアスカ。2人の時間に時々こうやってシンジが楽器を弾いてくれるのを楽しみにしている。
この前は放課後に音楽室のピアノで、バッハのゴルトベルク変奏曲を全曲!弾いてくれた。
最後まで聴いていると、長旅を終えて住処に帰ってきたような気持ちになった。少し、泣いた。
先週は学校の文化祭のリハーサルも兼ねて、こっそりとギターでThe Beatles とoasisの曲を何曲か
弾き語ってくれた。正直、キュンキュンとやられまくって、後で下着が大変なことになった。
そして今、チェロの暖かみのある音色に目を閉じて全身を委ね、この時間を楽しんでいる。
この時間を2人だけで過ごせるというのは、アスカにとっても幸せいっぱいだったし、
なにより楽器を弾いているシンジは、何度惚れ直しても足りないくらいにかっこいい。
伏し目がちに楽器を弾くシンジの、その長い睫毛を見つめているとゾクゾクするくらいの色気があって、
それはきっとアスカ以外誰も知らないシンジの隠れた一面なのだ。
シンジが音楽に堪能だということは入学当初から一部の人には有名で、その噂を聞きつけた先生に頼まれ、
最初の音楽の授業の後、音楽室に居残ってピアノ、チェロ、ギターと、何曲か弾いたこともある。
その翌週から、なぜか音楽の教師が一ヶ月間病欠したのだが、それが曲解され、
音楽の教師が自分よりも遙かに上手いことにショックを受けて鬱病になったとか、
そんな都市伝説?まで流布されている。(実は事実なのだが、それは校長と理事長と教師本人しか知らない)
そのせいもあってか、シンジは人前では滅多に楽器を弾かない。だからこれはもうアスカの特権とも言える。
779名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 00:49:26.25 ID:???
>>778
曲を弾き終えたシンジがゆっくりと立ち上がる。アスカの拍手を微笑んで受け止めて、一礼する。
「最近あんまり弾いてないから、上手く弾けなかったかも…ごめん」
「何言ってんの、ものっすごく上手いわよ。シンジってばこれで飯食っていけるわよ」
アスカはそう言いながら、自分が世界的演奏家碇シンジを支える貞淑な妻、
碇アスカになっているところを想像して、顔を赤らめる。
「いやいや、そんなの無理だし、頑張ってる人に失礼だよ…。」
本気で照れているシンジを見て、アスカはまた顔を赤らめる。
「いやでも、世界中を演奏旅行とかで2人で巡るっていうのもいいかな…って///」
それを聞いてシンジもその未来を想像してみる。悪くない、自分にもっと才能があれば。
「そうできたらいいけど、残念ながら僕の腕じゃ無理だよ…」
「何よつまんないわね」
「しょうがないだろ、どんなに努力しても越えられない壁っていうのはあるんだよ…」
それに、とシンジが続ける。
「世界中を回らなくたって、僕たちは2人でいられれば、それでいいんじゃないかな?」
「…それもそうね///」
一見平凡に見える生活であっても、2人が一緒にいるならば、それだけでも十分満たされる。
シンジもアスカも、それ以上は言わなくても、そのことを理解しあっていた。
「そういえば、来週音楽鑑賞教室があるよね、」シンジが思い出したように言う。
「そんなのあったっけ?」「あったよ。確か木曜日あたりだったはず…」
「そうだっけ?まあいいわ、木曜なら嫌いな科目ばっかりだから、願ったり叶ったりよ」
「でもアスカって、クラシック音楽なんてあんまり聴かないんじゃない?」
「…うーん、そうね、クラシックなんて、シンジが弾いてるのを聴いたのが初めてかも…」
「へー…そうなんだ。僕は叔母さんがクラシック好きで、小学生までは、バッハとかモーツァルトとか
ベートーベン、時々マーラーとストラヴィンスキー、そんな感じだったんだ。
中学に入ってから初めてビートルズを聴いて、それからかな、音楽が好きになったのって。」
「ふーん…なんかあたしと全然違うわね…。」とアスカが感心したように言う。
「あたしなんか毎週歌番組欠かさず見ていたけど…でも何も覚えてないわw」
780名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 00:50:25.13 ID:???
>>779
ははは、と2人で笑う。こんな時間が2人にとってはとても重要で、何物にも代えがたい、大切なひととき。
「確か音楽鑑賞教室、バッハを中心としたバロック音楽なんだよな、楽しみだなぁ…」
シンジが心底楽しそうに微笑む。その笑顔を見るだけで、アスカもなんだか幸せな気分になる。
「バッハは知ってるけどね…。我がドイツの誇る音楽の父でしょ」「うん、そうそう」
「…でも、多分聴いたことないわw」ソファにひっくり返ってアスカは足を組む。
「え?そうかな?バッハくらいだと、意外と聴いていないようで、あちこちで聴いているもんだよ、」シンジが言う。
「そう?」
「そうだよ。そもそも僕が今弾いていたのだって、バッハだし、この前ピアノで弾いた曲だって、バッハだよ」
「え?そうなの?知らなかった…意外と心に残るメロディよね」
「うん。今度の木曜日、少しは楽しみになってきたでしょ?」
「…あたしはシンジと一緒なら、どこに行っても何をしてても楽しいもん///」
「///…ありがとう」「…ん」チュッ

その木曜日。シンジ達1年生は授業を午前中で終え、市民ホールに向かう。
バスに乗りながら、早くも演奏される曲をハミングしているシンジ。
「(シンジったら、本当に楽しみなのね…あたしも今度色々と研究してみようかしら…)」
隣の席に座っているシンジの横顔を見ながら、そんなことをぼんやりと考えるアスカ。
「(そういえば、シンジと知り合ってから、あたしの世界って随分広がったような気がするわ…)」
2人でいることで、お互いの趣味や嗜好を共有するようになり、確かにアスカもシンジも今までにない
経験をたくさん積んできた。
「(そしてこれからも…シンジとずっとずっと一緒に…///)」
シンジの腕に頬を寄せる。黙ってその頬を撫でてくれるシンジに、例えようもない幸せを感じるアスカだった。
781名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 00:51:30.08 ID:???
>>780
市民ホールは他の高校からも生徒が来ているらしく、様々な制服姿で混雑していた。
「ちょっと…こんなにいるの?すごいわね…少子化なんてどこの国の話よ?」
アスカは溜め息をつく。まるであの受験の日の電車の中にいるようだ。
なにせ1,000人近い高校生がいるのだ。館内は雑然騒然としている。
アスカも落ち着かずに、座席についてからも周囲をきょろきょろと見回しては、
他クラスの知り合いの子を見つけると手を振ったりしている。
「シンジ、何してるの?」「ん、プログラムを見てるんだよ」
そこには「第35回○○市音楽鑑賞教室」とあり、デカデカとバロック音楽に親しんでみよう、と書いてあった。
シンジの手元をのぞき込むアスカ。「さっき教室で配ってたよ」と言いながらも、イヤな顔はしないシンジ。
それが分かってるからやってるのよ、という顔でシンジの顔をちょっと見つめた後、ウインクをするアスカ。
プログラムにはこう書かれていた。

〜チェロの音色を楽しもう〜
バッハ「無伴奏チェロ組曲第一番プレリュード」
〜チェンバロを知る〜
バッハ「ブランデンブルク協奏曲第五番第一楽章」
ヘンデル「調子の良い鍛冶屋」
〜きっと聴いたことがある名曲たち〜
バッハ「管弦楽組曲第三番よりアリア」
パッヘルベルのカノン
バッハ カンタータ147番より「主よ、人の望みの喜びよ」

「ほら、この一番最初のは、この前僕が弾いたやつだよ」シンジが一番最初の曲目を指で差す。
「へー、あれってこんな長い名前がついてたのね」アスカはシンジの演奏を思い出して、ちょっと顔を赤らめる。
と、ブザーが鳴る。開演だ。
782名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 00:53:00.38 ID:???
>>781
「始まるよ、聴こう」
シンジの囁き声を合図に、アスカは右腕をシンジの左腕にからめ、頬をシンジの左肩に寄せて、目を閉じる。
2分半ばかりの演奏の後、拍手がパラパラと起こる。シンジは熱心に拍手をしている。
「ふん、まあまあね…。やっぱりシンジの方が上手かったわ…」
「まさか、そんなことはないよ」シンジが慌てた様子で言う。
「そんなことないわよ、少なくともあたしにとってはシンジの方が上手かったわ」
アスカは本気だ。シンジはにっこりと笑って「なんだか照れくさいけど、でもありがとう」と言う。
アスカも微笑み返す。そんなことをしている間に2曲目が始まろうとしている。
楽団の人がチェンバロの説明をしている。
「ねぇ、チェンバロって何?」アスカが聞く。
「今説明してたよ、ほら、あの真ん中にあるピアノみたいなのがそうだよ」
「へー、黒いところと白いところが逆になってるわ…」「アスカ、よく見えるね」
「へへ〜両目1.5よ、コンタクトだけど」「なんだw」
「ほら、静かにしなさい」ミサトが後ろから2人の頭を押さえつける。
「あ…すいません」2人とも同時に首をすくめ、椅子に深く沈み込む。
「仲がいいのは結構だけど、今は授業中なのよ、ちゃんと話を聞きなさい」「は〜い」
演奏が始まる。
シンジは目を閉じて、曲の流れに身を任せている。その隣でシンジと腕を組んでいるアスカも
目を閉じて、曲の流れ…というよりはシンジと一緒になっている。
チェンバロのカデンツァが終わり、フィナーレを迎える。拍手をしながらシンジが目を開き、
アスカを見て微笑む。
アスカもシンジが目を開くのを感じて、シンジに微笑み返す。
その光景を見て、後ろでミサトが身悶えしているのも知らずに、2人は頬を寄せ合って幸せそうだ。
783名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 00:53:39.38 ID:???
>>782
「シンジ…」「…アスカ」「ん…」
「…こら、そっから先はいかに私と言えども許さないわよ…」ムンズ
危うく?キスしそうになるところを、後ろから再びミサトに押さえつけられるご両人w
「2人だけの世界に浸るのも結構ですけどね、ここは公共の場よ、授業中よ、あんたたちいい加減にしときなさい」
やっかみもいくらか混じりながら、ミサトが諭す。「ちぇっ、つまんないの」という顔をして
そっぽを向くアスカと、顔を赤らめて下を向くシンジ。
バッハとは違う軽快なメロディが会場内に慎ましく響いている。

休憩時間。生徒達はトイレに行ったり、その場で伸びをしたり、あるいは爆睡中だったり。
「ん〜思ってたよりもいい感じじゃない」
アスカがその場で伸びをしながらシンジに向かって言う。
「良かった、アスカもきっと気に入ってくれると思ってたんだ」シンジがほっとしたように言う。
「こういう曲を聴きながら、午後のお茶するのも悪くないわよね…」アスカはまたもや妄想の世界に入り込む。
頭の中では、シンジと2人でイギリス調庭園で紅茶を楽しんでいる。いや、シンジと2人きりではない。
庭の向こう側で遊んでいるのは…娘と息子だ。もちろん、シンジとの子供。
足下には子犬がいて、のんびりと昼寝をしている。お茶を飲みながら微笑みあい、キスをする2人。
「ん…ダメよシンジ…子供たちが見ているわ…」ウットリ
「何言ってるのアスカ?寝てるの?」ユサユサ「!」ビクッ
顔が真っ赤になるのが自分でも分かる。「な、なんでもない///」
シンジの方を見ながら、ふとアスカは思う。
「(そういえば、最近あの悪夢を見なくなったな…)」
現実に王子様が目の前にいるからかしら?そう思ってまたアスカの顔は赤くなる。
「どうしたのアスカ?具合でも悪いの?」シンジがよく分からず心配している。
「なんでもないわよ、ほら、第二部始まるわよ、」
そう言いながら、アスカは最後に小さい声で付け加えてみる。
「…あなた」と。
784名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 00:54:24.00 ID:???
>>783
しかし、異変はその直後に起こった。第二部、バッハの管弦楽組曲第三番からアリア。
美しいはずのメロディだが、アスカは何故か身体が震えて止まらない。
そしてこの絶え間ない恐怖心。思わずシンジの手を握りしめる。力一杯。
その様子にシンジも驚く。「どうしたのアスカ?」小声でアスカに訊ねる。
「…ん、大丈夫…でもちょっと寒気が…」「…アスカ、顔が真っ青だよ」
シンジがアスカに手を握り返す。アスカのおでこに触れるシンジの手のひら。
その僅かな温もりに、少し安心するアスカ。
「…シンジ、」「何?アスカ、」「…ダメ、怖い…怖い…」
アスカが震えている。「大丈夫?アスカ、外で横になる?」シンジがそっと立ち上がろうとする。
「…ダメ、離さないで…」シンジの手を握りしめ、しがみつくようにもたれかかるアスカ。
シンジは気が気ではない。アリアが終わり、ミサトを呼ぼうかと後ろを振り返ろうとしたその時、











ドスン
785名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 00:59:07.31 ID:???
参考映像
Glenn Gould: Bach Goldberg Variations 1981 Studio Video
ttp://www.youtube.com/watch?v=N2YMSt3yfko
The Beatles - Blackbird
ttp://www.youtube.com/watch?v=7epRPz0LGPE
Noel Gallagher - Don't Look Back In Anger
ttp://www.youtube.com/watch?v=RmwAZu4mj8E
786名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 00:59:43.85 ID:???
こんばんわ。>>265の人です。お疲れ様です。
今回もなんだかちと微妙なんで申し訳ないですが、需要があるそうなので、投下させていただきます。
ちなみにシンジ君が弾いたと記述している曲の数々は完全に私個人の趣味ですw イメージとしては上のレスをご参考にどうぞ。
>>773-776
色々とお気遣い、感謝致します。
787名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 01:03:07.15 ID:???
あ、ごめん。書き忘れた。続きは明日で、それでおしまいです。
スレ汚し失礼しました。
788名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/03(日) 02:08:10.24 ID:???
>>787
押忍!乙でした!
いいなぁー、コンサートホールでベッタリくっつきながら音楽を聞く二人
妄想の世界が広がりますw
しかしここでアスカファンにはトラウマであるG線上のアリアを持ってくるセンス、
及び完全に貞本版と旧劇版をシンクロさせる手法はさすがです
ここは愛する王子様の頑張りと、その後のラブラブな展開に期待せざるを得ない!

明日の続き楽しみにしてます!
789名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 00:57:52.54 ID:???
>>784
背中に何かが突き刺さったような衝撃があって、僕の目の前は真っ赤になった。
不思議と痛みは感じなかったけど、僕はその場で倒れてしまったらしい。
気がつくと、僕は浮かんでいた。狭く暗い部屋の中で、浮かんでいた。
そして血のような、海辺にいるような、不思議な匂い。液体の中に浮かんでいるのに、
息が出来ないのに、苦しくもない。とすると、これは夢か。夢ならまだ安心できる。
少なくとも僕は死んではいないわけだ。
ここはどこ?どう控えめに考えても、コンサートホールではない。なんだこれ?僕はどこにいるんだ?
「…」何かが聞こえる。
僕はその音が聞こえる方向に身体の向きを変え、音の発生源を探ろうとする。
操縦席のようなものが下に見える。そちらの方向に泳ぎ出す。
微かに、微かにだけど、カノンが聞こえる。パッヘルベルのカノン。
そういえば、音楽鑑賞教室で今流れているのはこのカノンのはずだ。
何かが動く。誰かがいる。操縦席の後ろから、僕はその影をのぞき込む。


「あれは…僕?」そして、僕と向かい合っている青い髪の女の子。見た事がある気がするけど…
「綾…波?」
その瞬間、僕の手を引っ張るものに気づく。僕の左手に繋がれていたもの、それは…
「アスカ!」
僕は、目が覚める。目覚める瞬間に、全て思い出す。そうだ、僕たちは仕組まれた子供だったんだ…。
そして同時に気がつく。僕が目覚めた時、今思い出したことは全て、忘れてしまっていることを。
そうだ、ひょっとしたら毎夜毎夜、僕はこんな夢を見ているのかもしれない。前世の夢を。
そして毎朝毎朝、それらを忘れて目覚める。
どうしようもなく、無力感に打ちひしがれる。
けれども、僕にはやらなければいけないことがある。アスカを、守らなきゃ。
それだけは忘れてはならない。というか、僕はそのために何度でも生まれてきたんだ。
僕の生まれてきた理由は、そこにあるんだ。
僕は、アスカを助けに行く。そして、立ち上がる。
「アスカ!」
790名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 01:13:23.60 ID:???
>>789
ここはどこ?あたしは、沈んでいる。これは…あの夢だ。顔がない白い巨人に襲われる夢。
シンジが王子様となって、助けてきてくれる夢。
そうと分かりながらも、いつもと違うことに、あたしは気がつく。匂いだ。
いつもの夢は、総天然色音声付きではあったけれど、匂いはなかった。
この匂い…血の匂いに近い。でも何故か、懐かしい感じがする。
あたしは、起き上がる。そう、この赤い巨人に乗って、敵を倒すんだわ。
一度はボロボロにやられてしまうけれど、シンジが助けに来てくれる。分かっているから、気が楽だ。
でもどうしちゃったんだろう、あたしってば音楽鑑賞教室で、バッハを聴いていたはず。
音楽を聴きながら眠ってしまったのかしら…?
イヤ、違う。あたしは突如として思い出す。この白い巨人と戦い、奴らに陵辱されている時に、
流れていたのがこの曲だ。聴いた事ない、なんて嘘だ。あたしの潜在意識の中に、焼き付いているのがこの曲だ。
いつもとは違う、そんな違和感を覚えながら、あたしは戦う。腕を食いちぎられる痛み。
背中を刺される痛み。でも、これを乗り越えれば、シンジが助けに来てくれる。
あたしは、待つ。電源が切れて為す術もなくなったエヴァ弐号機に乗って、待つ。

エヴァ弐号機?何よそれ?

ふと浮かんだ単語に意識を奪われたせいなのか、シンジが現れずに場面が進み出す。え、ちょっと待って、
あたしの声は届かない。槍が左目に突き刺さる。激痛。思わず叫ぶ。シンジ、シンジ、どこにいるの?助けてよシンジ…。
右手を空に向かって…そこであたしは気がつく。
この手!そうだ、あたし、シンジと手を繋いでいたんだ!
シンジ!あたしは思いっきり、繋いでいた手を引き寄せる。そしてそこに飛び込む。
そうやって、あたしは目覚める。
目覚める瞬間に、全て思い出す。そうだ、あたしたち、仕組まれた子供だったんだわ。
そして同時に悟る。目覚めた時に、この秘密はあたしたちの記憶からすっぽりと抜け落ちている事を。
鍵のかかった部屋に、仕舞われていくあたしたちの過去世。
でも、それと引き替えにシンジを手に入れることができるのであれば、あたしは迷わない。
「シンジ!」
791名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 01:14:29.23 ID:???
>>790




「気がついた?良かったぁぁぁぁ」
シンジとアスカが同時に目を開ける。そこにはミサトがいる。涙ぐんでる。
「…」声が出ない。声にならない。
「ア、アスカは?」ようやく出たシンジの声は、やはりアスカを呼ぶ。
ミサトはほっとしたように息を吐くと、シンジの隣を見やる。
「あなたの奥様はすぐ隣でお目覚めよ。」
シンジがやっとの思いで頭を動かすと、左隣にアスカがいた。アスカもシンジの方を向いている。
「アスカ…」「シンジ…」
「アスカ…どうしたの?左目が真っ赤だよ」
「わからない…でも大丈夫よ。シンジは大丈夫なの?」アスカが
「何か、夢を見ていた気がするんだ。とっても大事な夢だったと思うんだけど、でも思い出せない」
「あたしも夢をみていたわ…。いつも見る夢だったんだけど、いつもとちょっと違ってた。
いつもはシンジが助けに来てくれるんだけど、今見た夢は、あたしがシンジを見つけ出すの」
その会話を聞きながら、ミサトが呆れたように言う。
「ほんっと、夢の中でも仲がよろしいこと。あんたたち、気を失っていても手だけは離さないんだもの、
おまけにどうやっても引き離せないし…医務室に運ぶの大変だったのよ」
後で聞いたところによると、鑑賞教室終了後に眠っているかのように折り重なる2人をミサトが見つけ、
大騒動になったらしい。救急車を呼ぼうかということにもなったみたいなのだが、
呼吸も血圧も安定していたので、ひとまず医務室で様子を見ようということになったのだとか。
だがしかし、シンジとアスカが繋いだ手は、まるで一体化したかのように固く固く結ばれ、
男性教師が3人がかりになっても引き離すことが出来ず、最後は半ば自棄気味に、ミサトの命によって
まとめてストレッチャーで運ばれたらしい。ストレッチャーに乗せてる時も、シンジがまるで
アスカを守るように自然と右腕でアスカを抱き留めるような姿勢になったとか。
これはこれで後に学院の伝説となるのだが、今回は詳述しない。
792名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 01:16:36.78 ID:???
>>792
「どうする?一応病院行って検査受けてくる?」
ミサトが心配しながら言う。
「特にシンジ君、あなたの手のひらに出来ているアザ、どこかにぶつけたの?
それにしては変な場所に出来ているけど…」
言われてシンジは初めて気がつく。左の手のひらの中央部分に黒い痣が出来ている。
どうしてなんだろう?よくわからない。ほんの一瞬迷ったが、心に決める。そして力強く答える。
「いえ、多分大丈夫です。別にどこもおかしくないから」アスカも頷く。
「そう?ならいいけど…。でも数日は様子を見るのよ、吐き気とか痺れとかがあったら、すぐに言いなさい」
ミサトの言う事に、素直に頷く2人。
「じゃあ、帰るわよ。学校まで送っていくわ。」「あれ?みんなは?」
「は?とっくに帰ってるわよ。今何時だと思ってんの?」時計を見る。17時。
アスカとシンジは顔を見合わせる。2人して苦笑いをする。
ミサトはやれやれ、と言った顔をして立ち上がる。
「ほら、いつまで手ぇ握ってんの?それとも本当に同化しちゃったの?」
793名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 01:17:15.24 ID:???
>>792
「あんたたち、スゴイうなされていたのよ…」
帰りのクルマの中で、ミサトが後部座席に座った教え子達に言う。
詳しくは語らないけど、その言葉の裏で、ミサトがどれだけ2人のことを心配していたのかが伝わってくる。
「本当にすいませんでした…」「ごめんなさい」2人が口々に謝る。
「別に謝るようなことじゃないからいいのよ、それよりあんたがたが心配だわさ」
左折の巻き込み確認をしながら、ちら、とミサトが後部座席を見る。
「大丈夫だと思います…。そのときのことは覚えてないけど…」シンジがゆっくりと言う。
シンジは気づいている。左手のひらの痣、アスカと繋いでいた右手のひらにも同じような痣が出来ていたことを。
そしてうっすらと血のような匂いがしたことを。ただ、それが何を意味するのかは、思い出せない。
クルマは静かに校内に滑り込む。
「あんたたち、どうする?荷物取ったら寮まで送ろうか?」クルマを降りる時にミサトが言う。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」シンジが返す。
「ありがとうミサト、今度ラーメンくらいなら奢るわよ」アスカが手を振る。
「…まあ、それだけ元気なら大丈夫か。じゃああたしはちょっと仕事してから帰るから」
ミサトは職員室に消えていく。アスカとシンジは教室に鞄を取りに戻る。
794名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 01:19:06.03 ID:???
>>793
「シンジ…」アスカがシンジに寄り添うように歩きながら訊ねる。
「あたしたち、同じ夢を見ていたのかな…?」
「どうだろう…よく分かんないよ」シンジは頭を押さえながら廊下を歩く。ちょっとよろける。
「シンジ大丈夫?」アスカがシンジの腕を取って支える格好になる。「頭、痛いの?」
「…ん…人類…補…完計…画…」「え?なにそれ?」
「よく分かんないけど、突然頭に浮かんだんだ。」いててて、と頭を押さえながらシンジが答える。
「シンジ、大丈夫?保健室寄って、頭痛薬もらってくる?」アスカが心配そうだ。
「ん…大丈夫だよ。このくらいの頭痛なら時々あるんだ」とは言うものの、シンジの顔色は良くない。
玄関を出てから、またふらつくシンジ。
「少し、休んでいきましょ、」アスカが体育館横にあるベンチを指差す。2人で腰を下ろす。
「ほら、見て見てシンジ、いちばん星が綺麗」アスカに言われるまでもなく、
夕焼け空から星空に変わりつつある空に見とれているシンジ。
「…いつになっても、こんな空を眺めている2人でいたいよね…」シンジが呟く。
「当たり前じゃない、いたいよね、じゃないわ、いるのよ」シンジの肩に頬を寄せるアスカ。
少しずつ暗くなる中で、一瞬、2人のシルエットが重なる。
「あれ?」シンジが顔を上げる。「どうしたの?」
「ピアノの音が聞こえたような気がしたんだけど…」シンジがいぶかしげに体育館の方を見る。
「こんな時間に?あたしには聞こえなかったわ」アスカが不安そうにシンジを見つめる。
「ちょっと見てみる」シンジは立ち上がると、体育館の中を覗きこむ。
音楽鑑賞教室があったために部活動はお休みで、体育館の中は薄暗く、誰も居ない。
「あ、」シンジが声を上げるとそのまま体育館の中に入っていく。「え、どうしたの?」アスカが慌てて後を追う。
「ピアノが…」シンジが舞台の一点を凝視している。
795名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 01:19:43.20 ID:???
>>795
普段は舞台袖の倉庫に収納されているピアノが、なぜか舞台上に居る。蓋も開いている。
「なんでだろう…?誰か片付け忘れたのかしら?」アスカが呟く。
シンジは黙って真っ直ぐにそのピアノに向かっていく。「ちょ、ちょっとシンジ、」
アスカがシンジの後を追いかける。
「勝手に触ったら怒られるわよ」
だがシンジは無言のまま、舞台に上がるとピアノの前に立つ。
「どうしたのシンジ?」今日の出来事があるから、アスカは不安でたまらない。
「…なんか、このピアノが僕を呼んでる気がしたんだ」シンジがピアノに優しく触れる。
とても古いピアノで、調律も出来ているのか分からない。普段は舞台袖の奥の倉庫の中で埃をかぶっていて、
年に数回も弾かれる機会がない、そんな半ば骨董品と化したピアノ。
シンジは椅子に腰掛ける。そして、曲を弾き出す。
穏やかで、静かで、美しいメロディ。
「この曲…何?」「バッハのカンタータ147番のコラールだよ、主よ、人の望みの喜びよ、って言われてる曲」
「それって…」「そう、音楽鑑賞教室の最後にやったはずの曲だよ。僕たち、聞けなかったからね…」
アスカがビクッとする。「多分、大丈夫だと思うよ」シンジは、そんなアスカの気持ちを理解して、言う。
「でも具合悪くなるようなら言って。すぐに止めるから」
「…どうして大丈夫だと思うの?」アスカが訊ねる。
「どうしてかわかんないけど…このピアノがこの曲を弾いてくれ、って言ってるような気がしたんだ」
シンジはコラール部分を口ずさみながら、ゆっくりとしたテンポで弾いていく。
Jesus bleibet meine Freude , Meines Herzens Trost und Saft
Jesus wehret allem Leide , Er ist meines Lebens Kraft
Meiner Augen Lust und Sonne , Meiner Seele Schatz und Wonne
Darum lass ich Jesum nicht , Aus dem Herzen und Gesicht.
アスカは歌詞の意味を噛みしめながら、シンジの隣に立って、曲を聴いている。
時間にして僅かに4分ほどではあったが、曲が終わった時、アスカは自分が泣いていたことを知る。
シンジはじっと自分の両手を見ている。両手のひらにあった黒い痣が、消えている。
シンジは感じる。自分はおそらく正しい道を来たんだ、と。何かに導かれたにせよ、間違えはしなかったんだ、と。
796名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 01:20:46.30 ID:???
>>795
「ひょっとしてひょっとすると、あたしたち本当に前世も一緒にいたんじゃないかしら…」
体育館を出て、寮への道を歩きながら、アスカが呟く。
「うん…僕も同じことを考えていたよ」シンジが答える。
「きっと、アスカの見ていた夢がキーなんだ、」「うん」
しばらく無言のまま、2人は歩いている。
「…すごく、怖かったわ…」寮が見えてくるころ、アスカがぽつりと言う。
「…でも、シンジが助けに来てくれた。夢の中でも、現実でも、シンジはあたしを助けてくれる。」
「…もちろんだよ、夢の中でも現実でも…、例え前世でも来世でも、僕はアスカを全力で守るから」
「うん…ありがとうシンジ。あたしも、シンジのこと、全力で守るから//」
「うん」門の前まで来て、シンジもアスカもまるで示し合わせたように立ち止まる。
「アスカ、」シンジがアスカの目を見て言う。
「僕たちは、そばにいることで、一緒にいることで、離れないことで、お互いを守っていこう。
支え合って、手を取り合って、僕たちの道を一歩一歩、歩んでいこうよ」
「うん、」アスカがシンジに抱きつく。「きっとあたしたちは、昔からそう決まっていたのよ」
2人の抱擁とキスは、静かに、監視カメラのメモリーに記録されていく…。
その後数日間、2人は冬月寮長から生暖かい視線を送られるのだが、2人ともその理由は分からないまま。
797名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 01:24:51.99 ID:???
すいません、アンカー2カ所打ち間違えました(´・ω・`)
>>265の人です。これで音楽鑑賞教室編、おしまいです。
相変わらずのグダグダで申し訳ないです。
実は次編に続いていたりするのですが、その次編はいつになることやらw
多分、早ければ2週間後、遅くとも今月中には。

スレ汚し失礼しました。おやすみなさい。
798名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 02:18:21.05 ID:???
>>797
押忍!乙かれさまでした!
EOEでの量産型に食われる弐号機と苦しむアスカを思い出してしまいました
まあでもこうやって夢を共有することでアスカのシンジの距離が更に近くなるのは
読んでて非常に心地いい感じです
そして二人の愛を確認するが如く、事あるごとにラブラブなチュッチュがたまらんっ!w

次編を楽しみに待っておりますんで、じっくりと執筆作業に専念してください
799名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 13:02:41.40 ID:???
>>797
超乙!相変わらずのレベルの高さ!そして二人のバカップルぶり!
はやく続き見たいっす!アスカさんの下着が更に大変になるようなイチャイチャ期待!
800名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/04(月) 21:21:12.44 ID:???
>>797
乙でしたー
ついに学園の伝説となるイチャイチャをみんなの前で披露しましたか
今度はどんなアツアツぶりが見られるのか楽しみです
よい続編期待してますが、これだけは言わせて







続編はよ
801名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/05(火) 07:07:46.33 ID:???
>>797
もしかしてエヴァに関わるアシスタントしてる?
802名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/05(火) 23:12:41.62 ID:1Br9G88Y
二週間もLAS成分摂取できないのか・・・・・
マジでだれか助けて
803名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/06(水) 11:23:58.83 ID:???
なんだかんだともう800越えたのか…
胸熱だな…
804名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/06(水) 23:07:04.57 ID:???
いままでたくさんいた職人さんたち帰ってきてくれないかな・・・・・・
805名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/06(水) 23:19:04.82 ID:???
職人も都合あるだろ
806名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/07(木) 23:39:18.65 ID:???
そうだよな職人にも生活があるんだよな
でもこれだけは言わせてほしい






投稿はよ
807名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/08(金) 11:09:41.44 ID:???
アカン、何も湧いてこない。
小説形式の作品がスゴすぎ…
台本屋沈没なう
808名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/08(金) 22:49:34.31 ID:???
>>807
ほうほう台本屋で一度はLAS小説投稿の経験があるようだなぁ〜







投稿はよ
809名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/08(金) 22:55:13.29 ID:???
>>807
ぜひSSお願い致します。
最近、飢えてるんです。
ラブラブなのを一発お願い致します。
810名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/08(金) 23:39:39.12 ID:???
>>807
もしかして過去にいた職人が帰ってきてくれたのか!?
嗚呼どうか我々に恵みの作品を!
激しく期待してます!
811名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/09(土) 00:30:21.06 ID:???
>>807>>810も、投稿はよ
812名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/09(土) 12:08:33.50 ID:???
>>808
>>673のシリーズ作者っす…
実は東北弁も俺っす。
813名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/09(土) 12:16:18.03 ID:???
>>809
もうちょいで何か湧きそうな希ガス…
814名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/09(土) 12:18:16.62 ID:???
>>810
いやいや、センセには到底及ばないっす…
センセこそ次彈発射おなしゃす。
815名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/09(土) 22:30:28.40 ID:???
次スレ前にまとめてくれるいい人はいないかな
816名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/10(日) 02:29:42.40 ID:???
>>814
もうちょっちだけ休養させて
只今充電中w
そんな訳だから便乗して・・・・・


投稿はよw
817名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/10(日) 21:46:18.11 ID:???
LAS欠乏症で苦しい
818名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/10(日) 22:10:32.55 ID:UbXfykhR
まーだかな(´・ω・`)
819名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/10(日) 23:02:01.13 ID:ey4h8zFy
>>807の投稿に期待が集中
820名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/11(月) 23:47:59.44 ID:???
燃料投下
アスカの日記ってSS書いてるサイトのTOP画像
ttp://mitada.sakura.ne.jp/image/evakodomo.jpg
これで何かラブラブなSS書いてよ
821名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/12(火) 01:44:03.82 ID:???
おばんです。>>265の人ですけど…
この流れは>>807の人の投下待ちですなw
じゃああたしゃその後にしますw
>>801
あたしゃそっちの業界とは全然無縁な世界に住んでおりますよ(´・ω・`)
強いて言えば、昔、宮崎駿さんちの近くに住んでたことがあるくらいかw
822名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/12(火) 05:03:38.50 ID:???
アカン!!パス!!
なんも書けん!!
823名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/12(火) 21:22:22.29 ID:???
ボチボチで良いので応援してます
824名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/12(火) 23:18:52.68 ID:???
>>822
慌てなくてもいいからパスなんて言わずに書いてくれ
そしてこれだけは言わせry







投稿はよ
825名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/13(水) 23:18:24.70 ID:???
オイラもそろそろLAS不足気味になってきた
嗚呼!>>265さんと>>822さん、早くLAS栄養分を我に与え賜え!
ラブラブでアツアツなアスカとシンジをお願いします!
826名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/14(木) 20:11:04.37 ID:???
初えっち編おなしゃす
827名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/14(木) 23:40:15.74 ID:???
碇、シンジ君、
やっと君は自分の望む幸せを手に入れることができたんだね
僕も、嬉しいよ
目に宿る赤い光。
君は誰?シンジが手を伸ばす。
…忘れてしまったのかい?僕は、…
はっと目が覚める。
828名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/14(木) 23:40:49.82 ID:???
>>827
あれは、一体なんだったんだろう?
音楽鑑賞教室が終わってから2週間、時々シンジはぼんやりと考える。
あの日、バッハのアリアが終わったあたりから、シンジには記憶がない。
気がついたら医務室で横になっていた。
アスカも同様だ。アスカはアリアが始まってからの記憶がない。
そしてシンジと同じように、気がついたら医務室のベッドの上。
シンジの手のひらの痣とアスカの真っ赤な左目。
両方ともすぐに消え、ミサトや他の人の不安を煽るようなことはなかったけれど、
シンジはあの痣とあのアスカの目を忘れる事が出来ない。
そして体育館のピアノも。
翌日学校に行き、すぐにシンジは体育館に出向いた。ピアノが気になったからだ。
ある意味予想していた事だが、舞台の上にピアノはなく、奥の倉庫のこれまた一番奥で、
黄色いシミと埃だらけの布に覆われて、ピアノは佇んでいた。動かされた形跡すらない。
アスカ以外、誰もこのことを知らない。ミサトや、ましてやクラスメイト達も。
クラスでもしばらくの間は彼らを心配する声や、その原因や謎についての話題でざわついていたが、
それから何の変化もない、またいつもの日常が戻ってくると、
そんな話題すぐに忘れ去られたかのように大人しくなった。
シンジとアスカも2人きりの時に少し話題にしてみたりもしたが、謎は謎のまま、ただ日々が過ぎていった。
そんな時に突破口というものは現れる。
829名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/14(木) 23:41:45.67 ID:???
>>828
金曜の夕食後、シンジとアスカは翌日見に行こうとしている映画の時間をネットで検索していた。
ランチの前にするか後にするかで一通り揉めた後、いつも通りシンジが折れ、ランチの後で近場の映画館を探す。
「うーん…WALD9が一番時間的にはいいのかな…」「えー新宿遠い〜」
「電車で1本だし、そんなに遠くはないと思うけどな…ってなんだこれ?」
シンジがマウスを動かす手を止めて、画面を凝視する。
検索結果の表示画面で、何故か一番上に来ていたのが「夢占いの館 ドル・グルドゥア」というもの。
「…トールキンだ」「なにそれ?」「指輪物語、ミドルアースだよ、知らない?」「知らない」
「えーと…まあいいや話が長くなるから」脱線しかかるのをシンジが止めて、話を元に戻す。
「何よこれ?夢占い…ふむふむ…あなたの見ていた夢は、あなたの過去を、未来を見せてくれます…
って、これ…」
既にシンジの話を聞かずにホームページを熱心に読んでいるアスカ。
「この前の?占ってもらうの?」シンジがアスカに言う。
「なんか面白そうじゃない?ひょっとしたらヒントくらいは見つかるかもしれないわ」
アスカの目の輝きを見て、週末の予定は変更だな…、とシンジは悟った。
「で、そのネクロマンサーの住処はどこにあるの?」
830名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/14(木) 23:42:44.56 ID:???
>>829
翌日、電車で1時間半かけて、シンジとアスカは知らない街に辿り着いた。
とは言っても駅前はかなり栄えていて、デパートなんかもある。
「ねえねえ、可愛いお店がいっぱいあるわよ、帰りに寄っていきましょうよ」
シンジの腕を引っ張りながらアスカが楽しそうに言う。
「そうだね、」そう言いながらシンジは地図とにらめっこだ。
「えーと…このアーケードを抜けて右…二つ目の信号を左に行って、3つ目のビルの地下のはず…」
商店街を抜け、閑散としてきた通りを進んでみると古い尖塔のようなビルがあり、
その階段入り口に確かに「夢占いの館 Dol Guldur」という小さい看板が掲げられている。
「ここだ」「そうね」「…なんだか怪しい雰囲気満点だよ」シンジが怖じ気づく。
「なによ、占いなんてみんなこんなもんよ。胡散臭いとか怪しい雰囲気とか、そんなの占いの枕詞みたいなもんよ」
アスカは意に介さず、木製のドアを開けた。
831名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/14(木) 23:44:56.14 ID:???
>>830
ギギギギギ…と派手に軋みながらもドアが閉じる。
ドアが閉まる瞬間、バタァン、と不思議なほど響いた音がする。
薄暗い。いや、殆ど真っ暗で何も見えない。
「…やってないんじゃない?」シンジが不安そうにアスカに言う。
「うーん…ネット見た限りではやってるはずなんだけど…」アスカはさすがに不安そうだ。
「…ようこそ、君たちが来るのを待っていたよ」ビクゥゥゥッ
突然の声。小さな声だったのにも関わらず、思わずシンジに抱きつくアスカ。
「…あの、すいません、暗くて何も見えないんですけど…」シンジが暗闇に向かって恐る恐る声をかける。
「目が慣れれば大丈夫、ゆっくりこちらへどうぞ」
最初は目を閉じていても開いていても違いが分からないくらいの暗闇だったのが、
しばらくするとぼんやりとだが室内の様子が分かるようになってくる。
右手には木製のボードだろうか、壁のようなものがあり、声はその壁が途切れるあたりの空間から聞こえてくる。
「アスカ、行こう」「うん」
2人はゆっくりと進み出す。
2,3歩前に進むと、ぼんやりとだがものの形が見えてくる。
その壁の途切れる向こう側、誰かがテーブルの向こうに座っている。
手元にぼうっと光るランプのようなものが置いてある。心なしか、彼自身が纏っているマントも
輪郭が薄く光っているかのように感じる。
「ようこそ、夢占いの館、Dol Guldurへ。私がこの世界の案内人にして管理者、仮の名をタブリスといいます、」
落ち着いた男の声。しかし若くもあり年老いてもいるような、不思議なトーンの声。
彼は続ける。
「今日君たちに会ったのは、きっと運命のお導きです、何か心配事や相談事があるようだね、
どうか気楽に僕に話してご覧」
シンジが何か訊こうと言いかけるのを彼は左手を立てて押しとどめる。
「僕は冥王の使いでも死人占い師でもないよ、安心して、」
その左手中指には指輪が輝いている。しかしその奥にある表情は、深く深く被ったフードのせいで見えない。
832名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/14(木) 23:46:22.15 ID:???
>>831
シンジとタブリスの会話を聞いていたアスカがふふん、と鼻を鳴らして彼に話しかける。
「そうね、ここは占いの館なんでしょ?」「そうですよ、」「じゃあまず、あたしたちの相性を占って欲しいわ。
あたしたちがずっと仲良く一緒にやっていけるかどうか、教えてくれない?」
アスカの要望に対して、何をするでもなく、占い師は即答する。
「喧嘩は多い。でもそれはお互いをより深く理解するため。君たち以上に強く濃く結びついている
2人はいない。君たちは離ればなれにならない限り、運命づけられたかのような数奇な、
それでいて穏やかな人生を送れるはず…」
暗闇で表情までは分からないが、アスカが嬉しそうにしているのが分かる。手を握る力が
ぎゅっと強くなる。
「それより、君たちがほんとうに占って欲しいことは、他にあるんだろう?」
アスカがその言葉にピクッと反応する。その緊張した気配が占い師に伝わる。
「僕は、本当に聞きたい事がある人の前にしか、現れない。さあ、お嬢さん、」
すっと、右手を出して、アスカに話を促す。
「実は…夢を、毎日のように同じ夢を見ていたの…」アスカが話し出す。アスカが良く見る夢のことを。
先日の音楽鑑賞教室のことを。そこで起きたこと、自分たちが経験したこと、ひとつひとつ、
ゆっくりと話す。
占い師は、黙って聞いている。時々本当に聞いているのか不安になるアスカとシンジだが、
そのたびに彼は手のひらを差し出して、話を続けるようにと促す。
「…覚えているのはそこまでなのかな?」
短くはない話が終わると、タブリスはそう言う。「え…、ええ」アスカが言う。
「…そうか…」そう言うとまた黙って考え込む占い師。
手相とかタロットとか、そういうものを想像していたアスカは、別の意味でも不安になってくる。
「シンジ、」シンジに話しかけようとした瞬間に、占い師が話し出す。
「非常に興味深いね…。非常に興味深いし、それでいて厳しい夢でもある、」
シンジとアスカが居住まいを正す。背筋が自然と伸びる。
「お嬢さん、そしておそらく僕の推測が正しければ、少年よ、君も見ているはずなんだけど…、
この夢の正体を、知りたいかい?」
833名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/14(木) 23:46:52.79 ID:???
>>832
最後の「知りたいかい?」の言葉が、まるで部屋の中に浮かんでいるような、そんな残響感がある中、
シンジとアスカは同時に答える。
「知りたいです(わ)」
「それは、ひょっとすると、君たちにとって、かなりつらく苦しいものになるかもしれないけれど、
それでも知りたいかい?」
穏やかでいて、凄味のある言葉が、シンジのアスカの両肩にのしかかる。それでも2人は答える。
「知りたいです(わ)」
「そう…、よく分かったよ、」
シンジには、占い師が頷いて微笑んだように感じた。
タブリスが立ち上がる。すらっとしたスタイルのようだが、マントが全身を覆い尽くしていて、よく分からない。
「特別に、君たちに教えて上げよう。おいで、」
そういうと彼は2人を部屋の裏に案内する。
観葉植物で出来たアーチのようなものをくぐり、案内された部屋。さきほどの部屋よりは幾分明るい気がする。
「シンジ、見て、」アスカがシンジの手を引っ張る。
「うわっ、星空だ…」
天井が何故か満天の星空となって、その灯りがうっすらと降り注いでいる。
そしてその部屋の中央には石碑があり、その石碑の上にはお盆のようなものが乗っている。
タブリスが水差しから水をそのお盆に注ぐ。銀で出来たお盆に水が溜まると、その水面が落ち着くまで彼は待つ。
「さあ、」数分後、占い師は、指輪が光る方の手を差し出して、2人をその石碑のところに導く。
「これを覗いてご覧。これはね、君たちの過去、現在、未来を映し出す鏡だ。
どれが過去でどれが未来なのか、それは君たちにしか分からない。でも、君たちには分かるはずだ。
ここで見たものを僕に報告はしなくていいよ。なぜなら僕は知っているからね…」
(知っている?何を?何故?) シンジの脳裏に疑問が去来するが、今はその時間ではない。
シンジとアスカは手を繋いだまま、石碑のすぐ横に立ち、その鏡を覗き込んだ。
834名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/14(木) 23:52:31.76 ID:???
こんばんわ。>>265の人です。寒い中お疲れ様です。
今回も駄文ですいません。内容的にもかなり偏ってますが、
まあ寒い夜のお伴に付き合っていただけたら幸いです。
今回は全部で3回の予定です。

>>825
君は、与えたまえって言ってる場合じゃないでしょw
835名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/16(土) 00:24:36.77 ID:???
>>834
押忍!乙であります!
本来は転生する筈がないと噂されるアダムスの生き残り・タブリスをここで投入するとは!
占い師がすごいピッタリなキャラで雰囲気もバッチリで、その演出法とセンスはさすがでごあす!
あの辛い悲惨な過去(前世)を二人はどう受け止めるのか・・・・・続きを激しく期待してます

オイラの方はまだ暫く充電期間ってことで・・・・・とにかくどんどん投稿して楽しませてください
勿論、>>826さんのラブラブ台本LASも手薬煉引いて待ってますw
836名無しが氏んでも代わりはいるもの:2013/11/16(土) 01:06:53.72 ID:???
>>833
最初は何も映らなかった。アスカとシンジが目を見合わす。
「これ、何も映らないじゃない」アスカがそう言った瞬間、シンジが「あっ!」と叫ぶ。
「え、どうしたのシンジ…ってあっ…」アスカもその鏡に視線を落とし、そのまま動かなくなる。
いや、動けなくなる。
その鏡に映っていたのは、赤い服を着たアスカと白と青の服を着たシンジ。
アスカの夢に酷似している。2人とも巨大なロボットのようなものに乗っている。
そして敵を倒す。ある時は単独で、ある時はコンビを組んで。
その戦いを通して2人の間に、嫌悪、信頼、愛憎、そんな言葉がちらつく。
鏡の向こうにいるアスカは、シンジを憎み嫌い軽蔑し、それでもシンジへの想いを断ち切れない。
そのジレンマと壊れていく自分を、半ば呆然としながら見つめるアスカ。
でも、膝が震えている。失禁しそうなくらいに震えている。全身の血液が凍り付いたかのようで、
ただ、握りしめているシンジの手が温かい。それがあるから生きているんだって思える。
ふと、場面が変わる。そこに現れたのは学院の面々。
「ミサトがいる…!」「赤木先生も…委員長やトウジも!」
シンジとアスカが口々に叫ぶ。
「加持先生も…」アスカが口ごもる。これは…何?鏡の中の自分は加持先生に恋をしている。
執拗に迫り、彼を困らせる。でもここから見ると分かる。
それは憧れとプライドが作り出した幻想に似たものであることを。
しかし、やがて加持の姿は消え、そこにシンジがスライドしてくるかのように現れてくる。
倒れるアスカ。心配するシンジ。なんであんたは気がついてくれないの?
あたしが、こんなにもあんたのことを求めているのに!鏡の向こう側でアスカが叫んでいる。
声にならない声、でもそれは、こちら側のアスカにははっきりと聞こえる。
そこにまた現れる敵。敵敵敵。
また胸が苦しくなる。息が苦しくなる。右手でシンジの手をぎゅっと握りしめて、
左手で自分の胸元をぎゅっと握りしめて、アスカは鏡を見る。
そして、とうとうそれは現れる。
白い巨人。顔のない巨人。
「エヴァシリーズ…完成していたの?」
思わず声に出る。「え?今の言葉は私が言ったの?」
ゾクゾクっとした悪寒が背筋を走る。
837名無しが氏んでも代わりはいるもの
>>836
やがて、アスカはズタズタにされる。ボロボロに切り苛まれる。引きちぎられ、喰われ、そして死ぬ。
その痛みが、ここにいるアスカにも伝わってくる。思わずよろめく。が、倒れない。足を踏ん張って、耐える。
倒れてなるものか。シンジと一緒に戦うんだ。あたしが生まれてからずっと抱えてきた謎を、
真実を見つけ出すまでは、目を背けたりするものか。
鏡の向こう側のアスカに伝えたい。大丈夫だから、シンジはあんたをきっと助けにくるから、と。
と、突然水面が揺らぐ。つられてこちらも目眩がして足下がふらつく。シンジも同じようによろけ、
お互いに肩を抱くようにして支え合う。2人とも肩で息をしている。
シンジも、戦っているんだ。アスカはそう感じる。
揺らいでいた水面が元に戻る。画面は、ちょっと前に巻き戻っている。
「あれ?」
そこにいたのはシンジ。紫色のロボットに乗って、初号機に乗って、アスカを助けに来たシンジ。
「ごめんアスカ、遅くなって」懐かしい声。愛おしい声。
シンジが、戦う。アスカを守るために。
「ああ、あたしの王子様」心の中で思っていただけのはずなのに、言葉にしていることに、アスカは気づかない。
だが、倒しても倒しても立ち上がってくる敵に、シンジも疲れる。絶望感が彼を支配する。
「姫を助けろ、男だろッ!」
「え…コネメガネ?」「真希波さん?」
一瞬、何かが混線したかのように、真希波マリの声が混じる。
ピンク色の機体が見えたような気がしたが、次にシンジとアスカが見たものは、
白い巨人に上空まで引き揚げられていくシンジの機体の姿だった。
やがて、サードインパクトが始まる。