今日読んだエヴァ小説を紹介しよう。その13

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884悪食 ◆noECIoXfOQ
 死んだ世界に一人残されて、一人だけで再生に挑まされる。そんな地獄のような設定をもつお話は、主役の能力によって色々な色合いをもつお話に変化するのかもしれない。

 Sounds of Singles Official Information. ttp://www2s.biglobe.ne.jp/~ken-kenz/sos/ そして誰も―― 作:けんけんZ

 前回紹介したのは「何もかも死んだ世界に二人が取り残される」という話だったが、今回紹介するのは「文明の抜け殻は残されるが、寿命のある状態で一人が取り残される」という、時間制限付きとなるある意味で前回の作品よりもキツイお話となっている。
 果たして人はたった一人で微生物や細菌などまで含めて何もかもが死に絶えた世界に再び命を蘇らせる事が出来るのか?
 そんなある種、画面が弾幕で真っ白に埋まるようなルナティック級の無理ゲーに挑むには、きわめて高い能力が必要になるのは必然だったのだろう。
 そうなると(当たり前のことだが)ただの中学生では勝負の舞台にすら登ることすら出来ないので、主役は必然として飛び級で大学課程まで終わらせている不屈の魂をもった人物にならざるえなかったのだろう。
 ただし、その戦いは余りにも絶望的で神の奇跡の再現に挑むには人の人生というのは余りにも短すぎたのかもしれない。
 あの手この手で命の再生に取り組む中で次第に狭まってくる選択肢。
 孤独な少女の戦いは、寂しく、辛く、絶望件に満ち満ちている。
 その辛い様子を淡々と描いていくことで、じわじわと真綿で首のあたりをゆっくりと締め上げられていく感覚にも似た圧迫感を感じさせることで少女の感じているだろう絶望感と疲れを読者にも感じさせるような、そんな内容の作品に仕上がっている。

 果たして世界最後の生命体にして、孤独な地球の女王は滅びを迎えてしまった世界に再び命を生み出す事が出来たのか……。その結末は、ぜひ自身の目で確かめてみて頂きたい。