洞木ヒカリ総合 part1

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888名無しが氏んでも代わりはいるもの
シェルターの中。
ナツミは兄・トウジにしがみついてシクシク泣いていた。
「せっかく退院できたのに…」
ナツミは涙声で嘆いていた。
「せっかくまたみんなと遊べると…でもきっと学校も、うちも…」
「ああ、せやなあ、ぺっちゃんこやなあ」
トウジはナツミの背中をポンポンと軽くたたきながら、平静を装った声で応えた。
「でもな、命が助かっただけでも大儲けや」
「……」
「見とってみい、お兄ちゃんが一生懸命働いて、前より大きな家に住めるように…」
「……」
「…おいっ…、なんや、寝てもうたんか…」
緊急避難の騒動で疲れていたのだろう、ナツミは泣きながら寝てしまったのだ。

しばらくきょうだいの様子を傍らで見ていたヒカリは、そっとナツミの頬に触れた。
「ふふっ、ナツミちゃん寝ちゃったね」
トウジにそう言いながら、涙を拭うようにして頬をすべるヒカリの指。
その動きに艶めかしいものを感じて、トウジは慌てて顔をそむけた。
「ん、どうしたの?鈴原」
「い、いや、えっと…あ、そや、委員長のとこは皆無事やったんか?お姉ちゃんに、妹さんに…」
「うん、なんとかね」
「そうか…。は〜ぁ、それにしても…」
「……」
「ワイら、いったいどうなってまうんやろうなぁ」
「うん…」
889名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/10/22(土) 08:23:13.24 ID:???
「「でも」」
二人の声がハモった。顔を見合わせてクスクス笑う二人。
「きっとあの三人が…ね?」
「ああ、あいつらに任せておけば大丈夫や。なーんも心配することあらへん」
小さな女の子をはさんで座り込んでいる二人は、若い夫婦のように見えなくもない。

トウジも眠くなってきたのか、先ほどからウツラウツラと.船を漕いでいる。
ヒカリはそっと制服の胸ポケットのところに手をあてた。
そこには生徒手帳にはさまれている写真…
いつか海洋研究施設へ社会科見学へ行った際、そのグループと
「本部」の若い職員さんたちと一緒に撮った写真が入っているはずだった。
(みんな、頑張ってね…また学校で会おうね…)

メインタイトル
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」
890追伸:2011/10/22(土) 08:25:43.04 ID:???
せめて俺の妄想の中だけでも
あの社会科見学にはヒカリも参加していた、ということで…。