洞木ヒカリ総合 part1

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534名無しが氏んでも代わりはいるもの
×月×日
少し前から碇君の周囲の様子が変わってきました。
それまではアスカか綾波さんしかいなかったのに、そこにマナちゃんが加わったのです。
そしてマナちゃんが加わったことにより、なぜか、アスカの碇君に対するしゃべり方や態度がとても穏やかになったんです。
(でもさすがのマナちゃんも、綾波さんの無口っぷりには早々と降参したようですが…)
つまり今、碇君、マナちゃん、アスカ、綾波さん(←保留)の集まりって、なんかいい感じっていうこと…。

正直言って、あたし、すっごくくやしかった。
あたしだって碇君とたくさんおしゃべりしたいのに、アスカや綾波さんとの関係は色々特別な事情があるって知ってるから、遠慮してたのに…。
なのに後からきたマナちゃんが、なんであんなに仲良しになっていいの?

だからあたし今日、マナちゃんに言っちゃったんです。
「碇君のことはあきらめた方がいいと思う。今後少しづつ説明していくけど碇君とあの二人は特別な事情があって、深い絆で結ばれてるの。
つまり碇君はあの二人のもので、だから他の女の子が碇君を好きになっても絶対に恋は実らなくって…。」

するとマナちゃんは、とても真剣な表情であたしにこう言ったんです。
「ヒカリちゃん、特別な事情のことならアスカから聞いたわ。
でもね、シンジ君が誰のものとか、そういう考え方ってシンジ君に失礼だと思うよ。
だってシンジ君は「物」じゃなくて人間なんだもん。
特別な事情のこと、正直言ってよくわかんない所が多かったけど、少なくともあたしたちはまだ中学生で、婚約とか、結婚とか、してるわけじゃないんだし、ね?」

……。
あたし、マナちゃんの言葉を聞いてすごく恥ずかしくなりました。
あたしはきっと自分の勇気の無さを正当化しようとして、碇君はアスカと綾波さんのものって、思い込もうとしてただけなんだ…。
あたしはこの時すごくホッとしたのと、あと、えーと、なんだかどう表現したらいいかわからない気持ちがブワーってこみ上げてきて、
涙が出てきちゃったんです。
マナちゃんは自分が叱ったからあたしが泣いたと勘違いしたみたいで、すごく慌ててました。
その慌てっぷりがかわいかったので、あたしは泣きながら笑っちゃいました。