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「エンジェル・アタック!」
(人物設定は
>>55-67 と同じ。簡単に言うとシンジ(小1)にはマナというガールフレンドがいるけど姉のアスカ(中2、エヴァパイロット)のことも大好き。)
そんなわけで、初めてのおよばれでシンジの家に向かうマナには、色々思うところがあるようで…。
日曜日。
「マナ、行くわよ!」
小さな声で気合いを入れた後、玄関のドアを開けて歩き出すマナ。手には小さな紙袋を持っている。
スカートのポケットを上からポンポンと叩く。
(これ全部覚えたんだもんね〜。お姉さんびっくりするだろうなー!)
シンジの家に到着。
マナ「こんにちは!」
アスカ「いらっしゃい!!」
マナ(うわびっくりした!改めて近くで会うと、声は大きいし、いかにも元気!っていうお姉さんね…)
シンジ「いらっしゃい…」シンジはアスカの後ろにくっついている。
マナ(うわー緊張してきちゃった…)「おじゃましますっ!(紙袋を差し出し)あの、こ、これはぁ、昨日お母さんが作りました。あたしも手伝いました。た、食べてください!」
アスカ「うわ〜ありがとう!…何が入ってるのかな?」
マナ「あ、あ、ごめんなさい、クッキーです!」
アスカ「そっかー、頑張って作ってくれたんだね。じゃ、みんなで食べようね!」
シンジ「(小さい声で)あ、ありがと…」
ダイニングキッチンのテーブルに着く。
マナの斜め向かい(アスカの隣)に座ろうとするシンジにアスカは「シンジ、こっちこっち!」とマナの隣に座るよう促す。
慌てて席を移るシンジ。
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クッキーとジュースがテーブルに置かれている。
いろいろとおしゃべりをした後、アスカはマナに感謝を述べた。
アスカ「いつもシンジを朝迎えに来てくれてありがとうね。ごめんねぇ、だらしない弟で」
マナ「そ、そんなことありません。シンジ君はクラスで一番のしっかり者で、先生はいっつもみんなに『シンジ君を見習いなさい』って言います!」
アスカ「へえ、そうなの!例えばどんなところ?」
マナ「(チャ〜〜ンス!)」
マナ、なぜか椅子から立ち上がり…「はいっ、あの、シンジ君のいいところはたくさんあってぇ、まず、えーと、えーと…(あれっ?どうしたんだろ?思い出せない…)」
アスカ「…マナちゃん?」
マナ「あの、ほんとにたくさん、たくさんあって、えーと…(あんなに一生懸命覚えたのに…)」
しばらく沈黙が続いたあと、泣き出す。
シンジ「マナちゃん、どうしたの?」
アスカ、マナの肩を抱き「シンジの良いところをたくさん言ってくれるところだったんだよね?」
マナ(泣きながら)「うん…」
アスカ「急にあたしが聞いたから、びっくりしてちょっと忘れちゃったんだよね?」
マナ「うん…」
アスカ「気持ちは充分いただいたわ。ありがとう。思い出したら教えてね」
マナ「はい…」
アスカ「シンジ、ほら、こうやって…」
アスカに言われるまま、シンジは両手で包むようにマナの手を握る。
アスカの携帯電話に着信。しばらく緊張した声で会話していたが…
アスカ「ごめん、ちょっと急用!二人で留守番しててくれるかな?お昼ごはんは冷蔵庫にあるから、レンジで温めてね!」
慌ただしく出て行く。
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MANA STRIKES!
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このあと二人はお昼を食べたり、シンジの部屋で図鑑を見たりして過ごす。
「ねえ、今度はテレビゲームしようよ!」
「あの…ちょっといい?」
「なあに?」
「あのね…さっきあたし泣いてる時に慰めてもらって、お姉さんのこと、大好きになっちゃった!」
「ほんと?わあ、嬉しいなあ!」
「…でもね、でも、嫌いになるかもしんない」
「えっ、なんで…」
「あのね、さっきまでのシンジ君、お姉さんにすっごく甘えてさ、なんか小さい子に戻ったみたいに見えたの」
「……」
「いろんなこと全部お姉さんに任せちゃってさ、あんまりあたしにしゃべってくれなかったし…」
「……」
「学校のシンジ君はしっかりしてて、か、かっこいいのに」
「そ、そんな…恥ずかしいよ…」
「でもほんとだよ。例えばさ、勉強も体育もすごく頑張るし、作文も上手だし、あいさつもきちんとできるし、忘れ物はしないし、給食を残さずに食べれるし…」
この後しばらくシンジの長所を並べたてて…。
「…あー、今頃言えた!さっきお姉さんにこれ言いたかったんだー!」
「そ、そうだったんだ…」
「あたしシンジ君のいいところ、ノートに書いて何度も読んで覚えたんだよ!(ポケットから紙を出し)ほら!」
「うわー…」
「こ、こんなかっこいいシンジ君が小さい子みたいになるのが、お姉さんのせいなら、あたし、お姉さんのこと嫌いになるかも!」
「そんな…僕、やだよ。マナちゃんがお姉ちゃんのこと嫌いになるのは。…あの、どうしたら…」
「じゃあ約束してくれる?うちにいるときもかっこよくて、しっかり者のシンジ君でいるって…」
「う、うん。頑張る!」
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「シンジ君、手をこうやって合わせてみて」
「こう?」
「うん…」マナ、シンジの手を包み込むように両手で握る。
「さっきシンジ君がこうやってくれた時、すごく嬉しかったよ」
「そ、そう…」
「ねえシンジ君、こないだお願いしたよね?なるべくあたしに隠し事しないでって」
「うん」
「シンジ君、お姉さんには全然隠し事しないよねぇ?」
「……」
「あたしとどんな話をしたか、どんなことしたか、ぜ〜んぶお姉さんに言っちゃうよね…」
「あ、あの、マナちゃん、僕ほんとに…」
マナ、シンジの手のひらに、指で文字をいくつか書く。
「……えっ…」
マナ、書き終えて、ぱっとシンジから離れる。
マナもシンジも顔が真っ赤だ。
マナ、シンジと目を合わさないままで…「これも言っちゃう?お姉さんに…」
「…い、言わないよ……」
「ほんとに?」
「うん…」
おしまい