LAS小説総合投下スレ20【N3】

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1名無しが氏んでも代わりはいるもの
LASを投下しましょう。甘LAS、シリアスLAS、イタモノLASなどジャンルは問いません。
また、LARSやハーレム物の中で描かれるLASなどもOKですが主軸はLASで。他カプが主軸なら該当スレへ。

エロ分が多ければエロパロ板へ投下で、当板は全年齢対象です 。
原作にどれだけ直球な表現があったからといってもエロ分が多いとスレ削除を食らいます。

あなたがLASと思えば、それはLASなのです。

過去スレ1
01 http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1122558487/
02 http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1109570903/
03 http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1110008498/
04 http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1110645039/
05 http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1111194171/
06 http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1111941594/
07 http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1112530302/
08 http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1113068736/
09 http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1113238483/
10 http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1114138826/


evaFF転載板
ttp://yy10.kakiko.com/yy11307819/
LASスレ投下SS保管庫
ttp://las.nobody.jp/
2名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 20:59:57 ID:???
3名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 21:05:57 ID:???
N3さん専用スレみたいな物です。

さて投下町
4名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 21:06:56 ID:???
1乙です!
5名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/08/24(月) 21:07:58 ID:???
>>1 乙です
6名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 21:08:18 ID:???
>>1
わざわざありがとうごさいます。
では15分後投下スタートさしてもらいますので
読みたくない人は来ないとは思いますが、過度のイタモノのため不快に感じるかたは「爆弾」でNG登録願います。
7名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 21:10:48 ID:???
>>6
一応今のとこ専スレだから、苦手な人は来ないようにしないとねw
8名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 21:15:23 ID:???
wktk(・∀・)
9名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 21:20:38 ID:???
おまいらそろそろ釣られてることに気付け
10名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 21:23:23 ID:???
>>9
そんときゃ落とすかモスボール
11名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 21:26:10 ID:???
ザワザワ
12名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 21:52:05 ID:???
>>10
防虫剤?
13名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 22:17:00 ID:???
結局釣りかよ
14名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 22:39:41 ID:???
釣りかい!w
まあ次スレとして使えるからまだ良いか
15名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 23:24:20 ID:???
釣りかよ死ね

まあよく考えたら四年前の作品が今更帰ってきたっていう時点で釣りだと気付くべきだったかな
16名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/24(月) 23:28:35 ID:???
加古さんも帰ってきたし、もしかして!っていう期待が出ちゃったのかもねw
17名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/25(火) 01:13:05 ID:???
結局早まって立てたのかよ…
18名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/25(火) 22:51:59 ID:???
11投下まだぁ?
19名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/26(水) 22:01:41 ID:???
タイトルの11って由来なに?
新参に教えて
20名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 09:25:09 ID:???
新スレ始まりました
投下待ち〜
21名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 11:17:28 ID:???
イタ要素を引いたキンモクセイが『ふぅ。』みたいなイメージになってしまった
22名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 12:51:38 ID:???
人に流されすぎだな
見たまま感じたままを大切にしなきゃいかんよ
23名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 13:12:21 ID:???
イタ要素が単なるレトリックだから、最後はバカップルの戯れ事になった好?例w
24名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 14:35:46 ID:???
気にくわん作品に文句つけてる奴はなんなの?ガキなの?
気に食う作品が出るまで正座してるのが読者のあるべき姿だと思うんだがな。
まぁ奴らの夏休みもあと数日だし、それが終われば静かになると期待してる。
万が一、大人がやってるとしたら人間性疑うわw
25名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 16:46:54 ID:???
24も大人とは思えない言葉遣い
26名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 17:04:03 ID:???
論理も子供だから子供だろう。
あんまり触ってやるな。
27名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 18:35:30 ID:???
前スレの完結編読みました!キンモクセイさんGJ!
爽やかな雰囲気が良かったです
28if :2009/08/29(土) 18:45:14 ID:???
そろそろ、この空気を壊してもいいですか
29if :2009/08/29(土) 18:52:51 ID:???
窓を開けて、空気の入れ替えをしてください


投下
30if :2009/08/29(土) 18:53:45 ID:???
<アイス再び…>

あたしは居間でテレビを見ていた。だけど、面白くないので消す。
台所ではシンジが食器を洗っていた。
テーブルの上には、コーヒーが入ったカップが二つ置いてあった。
あたしはそれを横目で見ながら冷凍庫を開け、中を覗く。
「ねえ、シンジ。アイス…・・・」
「昨日、買ってきたから在るだろう」
シンジは、あたしが言う前に答えた。
「知っているわよ」
「なら、どうして」
「あたしの、好きなアイスが無いのよ。買ってきて」
「えぇ!」シンジは、あたしの顔を見て冷凍庫を覗いた。
「あたしの好きなアイスは、バニラカップよ。無いじゃない」
「うぅ、買ってなかった。ごめん、アスカ」
「じゃあ買ってきて、シンジ」
そう言うと、シンジはニヤっと笑った。
「じゃあ、また勝負しようか」
「バカシンジ、あたしがルールよ」
あたしもニヤッと笑った、
「いいよ」
「で、勝負はなに。また、じゃんけん」
「今度は、カキ氷の早食いだよ」
と、シンジはカップ入りのカキ氷を、あたしに見せた。
「じゃあ、どっちか選んでアスカ。イチゴか、みぞれか」
あたしは、黙ってみぞれを選んだ。
「じゃあ、アスカルールを言ってよ」
「あたしが勝ったら、あんたが買いに行くの。あんたが勝っても買いに行くの」
「どっちにしても、買いに行くの。アスカ……どこのジャイアニズム」
「その代わり、あんたの願いを、一つ聞いてあげる」

31if :2009/08/29(土) 18:54:35 ID:???
シンジはあたしの顔を見ている。そして不敵な笑みをこぼす。
「何よ、信じられないの。このあたしが、あんたの願いを聞いてあげるのよ」
あたしはシンジを睨んだ。
「わ、分かったよ。それでいいよ」
「じゃあ、いいわね。いくわよ」
「「勝負!」」
と、言った瞬間、シンジは物凄い速さで食べて、頭を抱えて転げまわった。
「痛い、痛い、頭が」
あたしはその光景を横目で見ながら一定のペースで食べ続けた。
「ふん、本当にバカね」
それでも、シンジはスピードを緩めなかった。あたしは少し不安になった。
願いを一つ聞いてあげると言ったけど、シンジはどんなことを言うのか少し怖くなった。
そう、考えていたとき、
「ご馳走様」
シンジが食べ終えた。
「そんな、まさか負けた」
「アスカ、約束どおり、願いを聞いてもらうよ」
シンジは頭を押さえながら笑った。
「分かった、約束は守る。シンジの願いは、なによ」
「アスカとキスをしたい」
あたしはその言葉を聞いて驚いた。まさか、…キス。
でも、約束を破ることはしたくない。
「いいわよ。キスをしても」
「じゃあ、いくよ」
「まって、鼻息が掛かるから」
あたしは、シンジの鼻を指でつまんだ。
でもシンジは、うまく出来ないからと、あたしの指を優しくはらう。
シンジの顔が徐々に近づいてくる。


32if :2009/08/29(土) 18:56:16 ID:???
「ん、ん、う……あっ、うぅ、ふぅ」
あたしにキスをする。
「ん、うっ、ん、んっ……んん!」
シンジは直に舌を入れてきた。
あたしの鼓動がドクンと波打った。
その予想はしていた。
あたしはそれに応えるように、舌を絡めた。
自分の鼓動が聞こえている感じがして、体が段々と熱くなっていく。
あたしは息が荒くなって、いつの間にかシンジの腰に手をやっていた。
シンジも息が荒くなり、あたしの腰に手をやって胸を触りだした。

あたしは驚いて、シンジを突き飛ばした。
「わ!!うぐぁ」
シンジは台所のテーブルで背中を打った。
その衝撃で、カップに入れていたコーヒーが床にこぼれた。
「ハァ、ハァ、あんた、バカ!ハァ、ハァ…キスだけよ
 その先を、…するなんて、何、調子に乗っているの!」
あたしは興奮して、何を言ったのか分からなかった。
「ハァ、ハァ、ごめん。ぐぅ、ハァ、アスカ」
シンジが床に倒れたまま謝った。
あたしは、その場にへたり込んでいた。
シンジはゆっくりと立ち上がり、あたしの前に来て、
「ちょっと、頭を冷やしてくる。アスカ……」
シンジはそれだけ言って、出て行った。
一人になったあたしは唇を触っていた。
「イチゴの味がする」

               終…



33if :2009/08/29(土) 18:57:42 ID:???
以上です
34名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 19:02:27 ID:???
乙です!すごく良くなってると思いますよ!
最後の呟きが可愛かったです
35名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 19:10:23 ID:zoFr6b0d
まさか…これがif…だと
ストーリはともかく
36名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 19:53:42 ID:???
|д゜)ソローリ…

は…初の続き物ですよ
内容はともかくシンジ視点です^^

全員「軒亜」をNGワードによろしくです

|彡サッ
37軒亜:2009/08/29(土) 19:55:34 ID:???
「ただいま」
いつも通りに放課後は真っ直ぐ帰宅する。
今日は1番乗りだと思っていた。
けれど玄関には靴があった。ミサトさん、今日は早いんだな。
なんだか今日は憂鬱な気分。部屋でゆっくりしよう。

退屈そうに欠伸をしながら碇シンジは部屋へ向かおうとする。
「あら、シンジ君早いじゃない」
ミサトさんがおかえり、と言いながら話しかけてくる。

「ミサトさんこそ…今日は早いんですね」
「ん〜今日は、チョッチね」

へぇ、と僕は納得したような素振りを見せて部屋へ入る。

カバンをベッドの上に放り投げて、自分の体もベットに沈めた。
携帯を開くと、メールはきていない。時間は4時前といったところか…

38軒亜:2009/08/29(土) 19:56:34 ID:???
それにしても暇だな…
使徒は嫌いだけどこうも暇だと少しはエヴァも良いかな、なんて思う。
でもそんな訳ないと心の中でまたすぐ否定する。
アスカはいつ帰って来るんだろう…
今日は―、そうだった。弐号機とパイロットの互換テスト実験があるんだっけ。
ならミサトさんはどうして言ってくれなかったんだろう。

外はしっとりと雨が降っていた。梅雨、僕は結構好きだ。静かな空間の中で少し憂鬱になるぐらいがちょうど良いくらいだと思う。

突然ピシャッとふすまが開いて、
「シンジ!行くわよ、早くして!」

アスカだった。

「へっ?あぁ、ごめん」
そう言いつつ僕は支度を急いだ。
「んもぅ〜遅いわね!信じらんないッ」
さっき来たばかりだというのにアスカはイライラしているようだった。
互換テスト、緊張してるんだろうか…
39軒亜:2009/08/29(土) 19:57:33 ID:???
アパートの前に車が1台。
「さ、乗ってちょうだい」
ミサトさんが車のドアを開ける。機械的な動作で僕とアスカは乗り込んだ。

車の中では誰1人として口を開かない。空気が重く感じる。
「…弐号機って誰も乗せたく無かったんじゃないの?」

重々しい空気に堪えきれずアスカに聞いてみた。
「命令だからするまでよ、アンタも災難ね。こんな日に」

「こんな日っていったって、状況はアスカと変わらないじゃないか」

「あんたばかぁ?……ま、別にいいけど」

「まぁまぁ2人とも。緊張するようなことじゃ無いわよ」
ミサトさんが口を挟んだ。

「もうちょっとで着くから〜」

そうミサトさんは言うがやはりいつもより表情は固かった。
40軒亜:2009/08/29(土) 19:58:45 ID:???
ネルフへ着くと、休む暇もなくリツコさんが着替えてきてちょうだい、と僕達に更衣室へいくよう言う。

弐号機に乗るのか…初めてだな、そんなのどうでもいいか、と僕は半ば上の空で。

最初はアスカが初号機に乗るよう命じられた。


「どう?初号機の中は」
リツコさんがアスカに質問する。

「別に、どうって事ないわ」
アスカは余裕の表情で、それを見て少し緊張が解けた。

ハーモニクス共に正常値よ、いけるわね、とリツコさんは満足そうに頷く。

「アスカ、あがっていいわよ。次、シンジ君の番ね」

そう命じられ、そのままの流れで僕は弐号機へと乗せられる。

41軒亜:2009/08/29(土) 20:00:31 ID:???
エヴァとシンクロするのに邪魔になってはいけないと思い、心を無心に保つようにする。

「どう、弐号機の居心地は?」

同じような事を質問される。

正直いって、違和感は差ほどない。でも、初号機の中とは違う。何が違うか分からないが、例えるなら匂いみたいなもの。
「…えーと、あ…普通です。そこまで違和感はありません」
アスカの匂いがする、なんて言ったらどんな顔されるか決まっている。思った事をすぐ口に出すのは控えないとな…


「では、シンクロスタート」

リツコさんが遠くでそう言うのが聞こえた。

42軒亜:2009/08/29(土) 20:03:14 ID:???
ウゥゥンと低く響く思考ノイズが頭に入ってくる。

―暗闇に誰か立っている。アスカ?いや、もっと幼ない少女に見える。その瞳がこっちを黙って見つめる。やっぱりアスカに似ている。幼少の頃といったところかな…しかしそんな事も束の間、場面が変わり、少女が扉を開く。
43軒亜:2009/08/29(土) 20:03:55 ID:???
そこには―、そんな……その光景に僕は絶句するしかなかった。
「ママ、ママ?……いやぁぁあぁっ!」
響く少女の断末魔。少女が見たものは、見なくていい現実だった。
そして。―ここは病院?
次の瞬間、脳内で次々とフラッシュのように知らない誰かが駆け巡る。

僕は叫んでいた。

激しい怒りと悲しみと切なさに感情を破壊され力の限り叫んで助けを求めた。

必死に、もがく。

押しては押し返されて、次々と自分の中に、アスカが入り込んでくる。

暗闇の中、僕は気を失っていた。

続く
44軒亜:2009/08/29(土) 20:07:43 ID:???
一応長くなるのでここまで

以上

投下逃げします
45名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 20:21:27 ID:???
>>44
GJ!
どうなるのか楽しみ
続き待ってます!
46ふぅ。:2009/08/29(土) 20:31:34 ID:???
シンジは…どうするんだろう。
午後の授業ではそのことを考えるだけで二時間終わってしまった。
チャイムの音、ホームルームが始まる。
「月曜日の授業は、一時間目の体育が数学になります。」
担任の一言で、教室は騒がしくなる。
あたしは明日が休みだということに少し安心した。
ホームルームが終わるとあたしはそそくさと教室を出た。

いつもの帰り道は一人のせいか長く感じる。
もう九月だというのに日差しはきつい。
小学校の近くを通ると幼馴染だろうか、男の子と女の子が一緒に帰っていた。
「いや!セミ!!」
「なんだよ〜、死んでるじゃないか。」
「取って、取って!!」
男の子はそれを車道のほうに放り投げた。
あたしもこんなに可愛い女の子だったら素直になれたのに。
あの子たちはこれからどうなるのかな?
大人になるにつれ離れてって、いつか会わなくなるような関係になるんだろうか。
それが、当たり前か。
47ふぅ。:2009/08/29(土) 20:32:17 ID:???
「ただいま」
誰もいない部屋にそう投げかけても、誰も返しては来ない。
あたしはベットに倒れこむ。
ママ、制服でベッドに寝転んじゃいけないって叱ってよ。

電話の音に枕元に置いてあった子機を手に取り、通話ボタンを押した。
「はい、もしもし」
「もしもし?僕だけど」
「えっ、シンジ?どうしたの?」
「あのーちょっと聞いてもらいたいことがあるんだけど。」
すごく嫌な予感がした。
「…なによ」
「あのね、今日放課後霧島さんに呼び出されて、何かなって思ったんだけど
実は好きだって言われたんだ」
「…」
「うん…。」
「で?」
「あのー…僕どうしたらいいのかな?
にしても僕を好きになる人なんて…」
「なんでそんなことでいちいち電話してくんの!?」
「アスカ…?」
「あたしに関係ないじゃない!あんたなんか大っきらい!!」
そう言って電話を切り、目から涙がこぼれおちないように上を向いて、もう一度言った。
「…あんたなんか、大っ嫌い」
いつもの天井が滲んだ。
48ふぅ。:2009/08/29(土) 20:36:03 ID:???
今日はもう少し投下しようと思っています。
毎回感想ありがとうございます!
49名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/08/29(土) 20:59:26 ID:???
支援&3人ともGJです!
「うー眠い」
アスカは寝ぼけ眼で歯磨きをしている。
シャカシャカシャカ。ガラガラ、ペッ!
ハブラシをハブラシ立てに戻そうとした時、その手が止まった。
(アタシのハブラシは赤。そこにあるのは赤。手に持ってるのは紫。
紫は・・・シンジのハブラシ!うぇえ、キモ! 間違えて使っちゃった!)
その時、アスカの脳裏には別の考えがよぎった。
(あれ、でもこれって間接キス?・・・キモチ悪くない。むしろ嬉しいかも。
シンジに気づかれずに毎日間接キス。シンジとの唾液交換!アタシのDNAがシンジの
知らない間にシンジに入りこみ侵食していくの!)
いけない妄想に浸るアスカは、手にしたハブラシを音を立ててしゃぶり、
ハブラシ立てに戻した。と同時にシンジが洗面所に入ってきた。
「ふわー、アスカー、歯磨き替わってよ」
「ぎゃああああ!エッチ!ヘンタイ!バカシンジィィー!」
パーン!アスカはシンジの頬はひっぱたいて表に飛び出していった。
「ボク、なにをしたの・・・?」シンジは呆然と立ち尽くした。
その日からシンジのハブラシで歯磨きがアスカの日課となった。

「うぃー、よっぱらちったー、さーて歯磨き歯磨き!」
ミサトはハブラシ立てからなんの迷いもなく紫色のハブラシを手に取った。
「ウフン、シンちゃんのハブラシ。今日もお姉さんがケガしてあげるんだから」
くちゅくちゅくちゅ。オエッ!ガー、オエェ、ペッペッ!

歯磨きしているシンジは、ハブラシ立ての赤とオレンジのハブラシを見て不思議に思った。
(アスカとミサトさんのハブラシ、あまり毛先が開いてないけど、ちゃんと歯磨き
してるのかなー?今度注意しないといけないや)

おしまい
51名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 22:12:22 ID:???
ミサト…
気持ち悪い…
52名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 22:23:12 ID:???
if氏いいねいいね!めちゃくちゃ好みの文章だわw
if氏、どうか18禁のエロエロ書いてくれませんか?!
53名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 22:53:08 ID:???
なんだ急にスレが活気づいてるYO
54名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 22:55:23 ID:???
なんかいっぱいキテタ!
>>33
シンちゃん大胆だなぁw年頃の男の子らしく暴走してますね。
>>44
シリアス作品かな。弐号機でシンジがどうなるのか楽しみです!
ちなみに新劇設定ですか?シンジが弐号機に乗るの初めてみたいなんで。
>>48
続き待ってました!ウブなシンジと嫉妬アスカが良いですね。
>>50
ミサトさん…ダメですw
55名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 23:14:29 ID:???
みなさんGJです!
56if :2009/08/29(土) 23:40:14 ID:???
アイス編、完結。
いろいろ付け足したり、書き直したりしています
休日を最悪にします。ちょっとエロ
栽培マン6匹が、一斉にヤムチャに抱きつき自爆する見たいな感じです。
私自身も、自爆に巻き込まれます。
今度はアスカが暴走します
それと、キンモクセイさん。大好きです。

全てを壊します
57名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 00:16:05 ID:???
エロは濃すぎないように〜
期待してます
58名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 00:18:26 ID:???
>>50
ttp://rinshan.hp.infoseek.co.jp/evaff/iipe41.html
↑を思い出したw
つーか、ほとんどそのまんまやねw
59名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 00:24:13 ID:???
明らかパクリだろ
有名なペコをパクるとは…
60名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 00:32:37 ID:???
>>58
なんてことない日常の一コマの作者です。

うわ、ほんとだ
10年以上の歴史のあるジャンルなので、
かぶるネタもあるんではないかと思ってました。
日常を題材にしてるのでこれからもあるかもしれませんが
大目にみてやってください。

けっしてパクリではないですよー
なんか投下しにくいけど、せっかく書いたのでご容赦ください。

「あら、この封筒なに?」
休日出勤でシンジ不在の今日、アスカはガサイレを慣行していた。
最近、帰りが遅いことや休日出勤が多い。あれで職場の女性に人気があるものだから、
いやでも悪い方向に想像が向いてしまう。
そんな事ありえないと思っていても、調べなければ気が済みそうもない。
そして封筒を見つけた。

封筒を開けると1万円札が8枚と紙が1枚出てきた。
紙は入金記録らしい月日と金額、メモが記してある。
「目標 10万円!がんばっている君へのご褒美に!」
がんばっている君=アスカ。当たり前のようにアスカの脳内でそう変換された。
一見、シンジへの不信感がこのようなことをさせているように見えるが、
基本アスカはシンジを全面的に信頼している。
この行為はその気持ちを揺るぎ無いものにするための儀式にすぎない。
不審物など出てこなくて当たり前なのだ。

「10万円貯まったら何をご褒美にくれるんだろう?」
アスカの想像はどんどん膨らんでいき我慢できないところまできていた。
「よし、アタシが2万円だしちゃう」
アスカはタンスの最下段の引き出しを引き抜き、
そこへ手を突っ込み小さいながら、大きく膨らんだポーチを取り出した。
ポーチには100枚を超える万札が詰まっている。
アスカは2枚取り出し封筒に入れて元の場所に戻した。
次の日の休日、遅く起きたアスカはテーブルの上のメモ見た。
「アスカ、ありがとう。よく寝ていたので一人で行ってきます。夕方には戻ります。
愛してるよ。 シンジより」
「今日の晩御飯はご馳走よシンジ」

「で、それなに?」アスカのコメカミがピクピクと引きつっている。
「これはね、鯨のひげなんだ」シンジはこれ以上にない笑顔で答えた。
「もう今では手に入らない貴重なものなんだよ。それをこのチェロに張り替えてもらった
んだ。ボクが元エヴァのパイロットだって言うと格安で譲ってくれたんだ」
「アタシへのプレゼントじゃなかったの?」
「へっ?いや、あれは自分自身へのご褒美で、アスカが気を利かして足りない分を
足してくれたんじゃなかったの?」
「アタシの勘違いだった訳ね・・・」はあーと深いため息をつくアスカ。
「ねえ、アスカ久しぶりにボクのチェロ聞いてくれないかな?」
「勝手にして」
「この日のために練習したんだ。じゃあ弾くよ」
曲はシンジの定番だったが、まるで別の曲に聞こえるほど、豊かで優しい音色を奏でる。
その弦の旋律はアスカの心の琴線に触れ、縺れた心の糸をあっけなく解いていく。
激しく、甘く、いつのまにかアスカの心はシンジに抱かれた時と同様の平穏と幸福に包まれていた。

「アスカにこの曲を捧げるよ」
「ありがとうシンジ、最高のご褒美よ」

おしまい
63名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 01:21:10 ID:???
いつの間にかかなり伸びてるなw
みんなGJ!
もっとやってくれ!
64名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 01:28:02 ID:???
>61-62
GJ.
65名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 01:45:58 ID:???
うわああああああ!みなさんGJですw
キンモクセイさんが終わって少し寂しかったんですが、まだまだ職人さん達はイキイキしてますな!
66if :2009/08/30(日) 05:54:41 ID:???
さてと、仕掛けますか。
この空気を壊します
みなさん、私の自爆に巻き込まれないように、逃げてください。

投下
67if :2009/08/30(日) 05:56:56 ID:???
             
あの出来事から1週間、シンジはアスカとあまり喋らなくなった。
むしろ、アスカを避けている感じだ。

            <私を見て>

「シンジ、話があるの」
アスカは、晩御飯の準備をしているシンジに言った。
「うん」シンジは呟くように言った。
準備を終えたシンジは居間に向かう。アスカはすでに、座って待っていた。
シンジはテーブルに、アスカと向かい合うように座った。
「シンジ、どうしてあたしと喋ってくれないの? 学校でも喋ってくれない。
私は、シンジが入れてくれたコーヒーを飲みながら、話しをするのが楽しいの。
どうしてあたしの顔を見ないの? この前まで、普通に話をしてくれたのに。どうして?」
アスカが最初に口を開く。シンジは質問に答えなかった。
顔を下に向けたまま、アスカの顔を見ようとしない。
「シンジ、あの事を、まだ気にしているの? あれはもう終ったのよ。
私は、気にしていないよ」
「アスカが気にしていなくても、僕が駄目だ」
「何が、駄目なの?」
「アスカに、あんな酷い事をした」
「酷いと言っても、胸を触ったぐらいじゃない」
「違う!」
「何が、違うの」
「アスカが、願いを聞いてやると、言ったときだよ。
あの時、僕の中では、どす黒い何かが渦巻いていた」
「シンジ、あの時何を考えていたの」
「僕は、僕は最低だ」
「シンジ、何が最低なの」


68if :2009/08/30(日) 05:58:38 ID:???
シンジは少し黙って、答えた
「いやらしいことを、考えていた。僕は異常だよ」
「シンジ…」
それから数分間、二人は黙ったままだった

その沈黙を破ったのはシンジ、
「夢に出てくるんだ。アスカや、ミサトさん。他の皆が、冷たい眼で見ているんだ。
駄目なんだよ!! 謝っても、みんな許してくれないんだ」
「シンジ! あたしの顔を見なさい!」
「見られないよ!」
「あたしは、何も傷ついていないわ。あれはもう終ったこと。まだ、思い詰めているの?」
「僕は、どうなっても良いんだよ。人が傷つくのは嫌なんだ。アスカが傷つくのも嫌だ」
しばらくの間、沈黙が続く。

アスカが席を立ち、台所に行き冷蔵庫を開けた。
「シンジ、何か飲む?」
アスカが聞いても返事をしなかった。シンジは下を向いていた。
冷蔵庫から牛乳を取り出し飲んでいる。
半分飲んだところで、シンジを横目で見る。
下を向いて両手で耳を塞いでいた。
「バカシンジ!」
アスカが怒鳴り、牛乳をシンジに投げつけた。
シンジの腕に当たり、床に落ちて牛乳が零れた。
シンジは驚いてアスカを見た。アスカが睨みながらシンジに向かっていった。
胸倉を掴んだ。
「いつまでも、ウジウジしないで、ちゃんとあたしの顔を見なさい! 
あんた見ていると、イライラするのよ」

69if :2009/08/30(日) 05:59:52 ID:???
「じゃあ、僕を殺してよ!」
「シンジ…」
「アスカの記憶から消してよ!」
「シンジ!」
「嫌だ! 嫌だ! もう、何もかも終らしてよ!」
「バカ!」
シンジの頬を叩く。
シンジの悲痛な叫び声と、アスカの怒声と、頬を叩いた音が部屋に響く。
心配そうに覗く、ペンペン。
「アスカの、気が済むまで殴ってよ」
「あんたは、何も悪くない。異常でもない。それは誰もが持っているものよ。
あたし…だって」
そう言いながらアスカは、シンジを押し倒す。
「この前の続きをするわよ!」
アスカはシンジの唇を舐めた。
「やめてよ! こんなのアスカじゃないよ!」
「いいえ、あたしは、惣流・アスカ・ラングレーよ。これがあたしよ。あたしを見なさい」
シンジは見ない。アスカは強引にシンジにキスをした。
「ん、んく、うぅ、あ、…ん」
アスカは舌を入れた。シンジはそれを拒絶する。
アスカは唇を離した。口から、透明な糸が後を引く。
「どうして嫌がるの、シンジ。…だったら」
今度は、シンジのズボンを弄りだす。




70if :2009/08/30(日) 06:01:05 ID:???
「やめてよ、アスカ」
「駄目よ! 今からあんたは、あたしの物になるの!」
「やめてよ! や・め・てよ、アスカ!!」
今度はシンジがアスカを押し倒す。そして首を絞めた。
「こんなのアスカじゃない。こんなの!」
徐々に力を入れていく、
「ぐぅ…これで…うぅ…一緒…よ…シ、ンジ」
シンジは、ビクっとして手を離す。
アスカはシンジの頬を撫でる。シンジは初めてアスカの顔を見た。
アスカは笑顔だった。
「これで私は、シンジと同じよ。何も悪くないの。もう気にしていないから、楽になって」
シンジは、泣き崩れた。
「ごべんよ、アズガ。僕は、僕は」
「シンジ」
「なに、アスカ」
「重い」  
                 終劇




71名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 06:03:50 ID:???
>>62
こう言うのは良いな。
72if :2009/08/30(日) 06:15:19 ID:???
以上です。
今までに普通に話をしていた、友達とか、
恋人とかが急に何も喋らなくなった事とか無いですか?
その人が自分に「最近、全然話をしてくれないけど、どうして?」
見たいな事、みんな経験あるはず。
どないだ。
とくに、キンモクセイさんとか経験あるはずですよ。
ちなみに私は、それを言われたほうです。
73名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 08:11:36 ID:???
ifさん

最後まで読んだところで吹き出しちまった。
あれは泣くところなのか?

ともあれGJ!
74if :2009/08/30(日) 08:19:22 ID:???
いろいろ考えて、こんな最後にしました。
違う、ラストシーンが必要なら作ろうか?
ちょっと時間掛かるけど、どない。
75名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 08:28:43 ID:???
いらん
76名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 09:03:52 ID:???
枯れ葉も山の賑わいですね。
77名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 09:21:47 ID:???
>>76
アスカ乙
78名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 09:34:49 ID:???
相変わらず聞いてもないことを
よー喋るなifは…
79名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 09:35:54 ID:???
ともあれGJ.
しかし、この方向だとやっぱりどうしても「気持ち悪い」にはなりにくいねぇ・・・。
いいアプローチだとは思うんだけど。
80名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 09:45:17 ID:???
いやまぁなんだ…シンジ基地外すぎるだろww
81名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 10:32:17 ID:???
そうだねぇ。(不)行動の動機の書き込みがちょっと不足かなぁ。
ムリ目なストーリーに肉を付けて説得力を与えるのは、
技というか腕力が試されるところなので、もうちょい頑張るといいかも。
82if :2009/08/30(日) 11:53:13 ID:???
どうもありがとうございます。
まだまだ勉強不足です。
最後に悪あがきします。
空気を壊す。

投下
83if:2009/08/30(日) 11:54:47 ID:???
うんこぶりぶり

以上です
84if :2009/08/30(日) 11:55:03 ID:???

           <エピローグ>
あの後、あたし達は、突然帰ってきたミサトに怒られた。
「なんじゃこりゃ」
と、ミサトは言っていた。まあ、部屋とシンジが牛乳まみれじゃ、仕方ないけどね。
「アスカが、牛乳を飲んでいたら、僕の後ろにゴキブリがいたので…」
と、シンジは、苦笑いしながら言っていた。
次の日から、あたしはシンジが入れてくれたコーヒーを飲みながら、
面白い話を聞いていた。
「それで、トウジは絶妙なタイミングで、委員長に突っ込みいれていたのだ。
僕は、そこで笑ってしまったよ。しかも委員長、怒っていた」
「…ヒカリ…あはは。お腹が痛い。うふふ」
ヒカリには悪いけど、その話を聞いて、笑ってしまった。笑いすぎて涙が出た。
                ***
て、その話を加持さんに話したら。
「アスカ。…凄いな、その話。昔の俺と、葛城の関係みたいだ」
「この話はミサトには内緒ね。加持さん」
「ああ、分かっているよ。でも、ばれたら、葛城が黙っちゃいないよ!
墓場まで持っていくんだ。アスカ」
そういって、あたしの頭を撫ぜた。
「じゃあ、用事があるから」
あたしはドアに向かう。
「シンジ君の話を聞きに行くのかい?」
「うん、コーヒーを飲みながら」

                 終



85if :2009/08/30(日) 11:56:12 ID:???
以上です
あんた、だれ
86名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 12:28:38 ID:???
もういいから市ねよ
87名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 13:02:15 ID:???
>>83
>>86
88名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 13:09:13 ID:???
>>87
>>86
89if:2009/08/30(日) 15:25:38 ID:???
>>87
もういいから氏ねよ
90if:2009/08/30(日) 15:35:45 ID:???
俺が本物です
91名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 17:05:52 ID:???
>>84GJ
92名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 17:59:14 ID:???
初めまして私がifです。
偽者が出てきましたので、この名前を捨てます。予想はしてました。
私は、GJ と出た時点で目標はクリアしました。
45冊の小説を読むためにちょっと休みます。でもこのスレは見てます。
書き溜めておきます。
空気を壊します。
偽者さんに伝えます。
                    あんたが全部背負え
投下
93名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 18:00:41 ID:???
          ある日曜日の昼頃
「ただいま、シンジ」
アスカが玄関のドアを開けた。
アスカはヒカリの家に、一泊していた。
ヒカリと何気ない、会話をしたりしていた。トウジやケンスケ、
シンジの悪口を言ったりして二人で騒いでいた。
アスカはヒカリに、シンジが寂しそうにしているから、と、言って帰ってきた。
アスカがただいまといっても返事が返ってこない。アスカは如何したのかと思い、
シンジの部屋に入る。シンジは居なかった。居間に行ってみた
「こら! バカシンジ! 返事ぐらいしなさいよ」
「あ、アスカ。お帰り、どうしたの? 夕方に帰ってくるって言ったから…
あ! 昼ごはん食べた?」
「いや、食べてない」
「じゃあ、作るよ」シンジは立ち上がり台所に向かう。
            <何気ない会話>
「シンジ、何で返事をしなかったの?」
「ん、映画を見ていたのだ」
アスカはテレビの画面を見た。一時停止ボタンを押してあった。
太っている人が、口に銃を突っ込んでいる場面で、止まっていた。
アスカはテーブルの上に置かれているDVDを手に取りタイトルを見た。
 [FULL METAL JACKET]
「フルメタルジャケット。何これ」
「なんか戦争映画なのだけど、訓練シーンから凄いよ」
「そう」
「あれ、素っ気ないね。アスカ」シンジは首を傾げた
「言っとくけど、私も軍人よ!」
「失礼しました。大尉殿」
「うむ、よろしい」              完


94名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 19:18:15 ID:???
乙。本当に何気ない会話だねw
じゃあ、ゆっくり小説読んで下さい。
95if:2009/08/30(日) 19:30:26 ID:PssULmsF
投下多くていいですね
96名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 19:32:53 ID:???
あんたが全部背負え

…?
97名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 23:31:08 ID:???
|д゜)ソローリ…

>>54 ちなみに新劇ではありません
1人で弐号機に乗るのは初めて、という意味です^^ 分かりづらい表現すみませんm(__)m

では、続きいきますNGワード「軒亜」
|彡サッ
98軒亜:2009/08/30(日) 23:32:03 ID:???
「…くん、シンジ君!」

ふと周りが明るくなって僕は目を覚ました。

目の前にはミサトさんが心配そうに見つめている。

まだここはエントリープラグの中か…

LCLは既に排出されハッチも開けられている。
まだ頭が呆然としている僕に対し、ミサトさんはしきりに呼びかけてくる。

「…ミサト…さん?」
やっと声が出た。

が、また視界が暗くなっていった。


99軒亜:2009/08/30(日) 23:36:09 ID:???
『お願いだから、ママをやめないで!』

―夢か。
嫌な夢だ。
あれから意識をまた取り戻して、一晩病院で休みなさいと言われたが僕はそれが怖くて。

結局ミサトさんの車に乗せられて家に帰る途中だった。

額にはびっしょり汗をかいていた。

言われなくてもわかった。実験では弐号機が暴走したんだ。僕のせいで。

「シンジ君、あの時あなたは一体何を見たの?」

運転席から声が聞こえた。

―何を見たの?―
アスカ。そうだった。
あれはアスカの過去であり、アスカの全て。

全て見てしまったのだ。

「……今は言いたくありません…」

幸いにもアスカは先に帰っていて、隣にはいなかった。
100軒亜:2009/08/30(日) 23:37:19 ID:???
どうしようか…
先に帰ったアスカは弐号機が暴走した事実を知っていたとしても僕が見たものは分かりはしない。

アスカ…アスカの過去…
弐号機の件で知った事を素直に受け止めていいのだろうか?

いや、今の僕は全て受け止めていた。
僕にどこか似ていて。
それが辛くて。

後悔する前にさっさと忘れてしまおう―、それが僕の出した結論だった。

誰にだって掘り返されたくない過去がある。それを僕はよくわかってる。

一時的に楽しい事で紛らわせても、いつかは思い出すんだ。トラウマの連鎖は自分自身を消しかけようとする。

101軒亜:2009/08/30(日) 23:38:31 ID:???
アスカに言いたい。
でも言いたくない。
そんな事を考えていると、家についたらしく車のエンジンが切れるのがわかった。

家に入ろうとすると、ドアの前でミサトさんに
「ごめんね…今日は、シンジ君にとって大切な日だったのに…」
そう言われた。

大切な日?あぁ誕生日の事か…
忘れていた。

今日は6月6日だ。
いや、もうすぐ7日になろうとしていた。

「…誕生日の事なんか気にしないで下さい」
「明日、みんなを呼んでもう一度祝いましょう」

そうミサトさんは言って家に入っていった。

僕は、リビングでアスカと目があった。

102軒亜:2009/08/30(日) 23:40:36 ID:???
続く...

とりあえずここまでです(゜∀゜)=3
103名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 23:41:15 ID:???
えぇ!
104名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/08/31(月) 00:02:01 ID:???
>>102
気になるところでwでもGJ!
105名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 00:06:39 ID:???
GJ!
続き待ってます!
106名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 00:56:07 ID:???
>>102シリアス展開に期待w
wktk
107名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 06:39:52 ID:???
ちょっと、待て幾らなんでも切り過ぎだ
108名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 12:28:53 ID:???
レイを取り込んだ初号機によって、サードインパクトが、まさしく起きようとしていたその時、月より飛来したエヴァ6号機から放たれた槍によって、未然に阻止された。
一旦は拘束されたネルフ本部関係者だったが、ゲンドウと冬月の巧な交渉術により、日本国政府を味方につけた。
ゼーレは人類補完計画を実行しようとしている、我々ネルフはそれを阻止しようとしていたのだと。
その結果、ゼーレは解体され、各国に居たキール議長以下ゼーレの主要メンバーは、ことごとく拘束された。
シンジとレイは初号機からサルベージされた。
ネルフ本部は日本国政府直轄の平和組織として、新たに組み込まれていた。

エヴァパイロットのチルドレン四人は、ネルフ本部の通路を歩いていた。

「一体エヴァのパイロットを司令室に集めて、何をする気なのかなアスカ?」

マリは少し後ろを歩いているアスカに問い掛けた。

「アタシが知ってる訳ないでしょ、このネコメガネ!アタシが居ない間に、勝手に2号機を起動させて大破させやがって!」
「それは……悪かったニャー♪」
「ア、アンタそれで謝ってるつもり!」

シンジはマリとアスカのやり取りを、少し後ろから半ば呆れて見ていた。
シンジは隣を歩くレイに話しかけた。

「綾波。父さんは僕達を呼んでどうするつもりなんだろ?」
「ごめんなさい碇君。私にもわからないわ…」
109名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 12:30:36 ID:???
チルドレン達が司令室に入ると、碇司令と冬月副司令の二人が居た。
ゲンドウは机に肘を立て、口元で腕を組んでいる。
サングラスを掛けている為、表情は読めない。
冬月はゲンドウの右側に立っており、表情は険しい。

「よく来てくれた、エヴァパイロットの諸君。詳しい説明は冬月が行う」

冬月は一瞬、ゲンドウを睨んだ。

(面倒な事は全て私に押し付けよる)

「君達に集まってもらったのは他でもない。エヴァの安定的な利用について、君達の協力がどうしても必要なのでね」

アスカは冬月に問い掛けた。

「命令ではなく、協力ですか?」

その問いにゲンドウが答えた。

「冬月、やはり私から説明する。アスカ大尉、その通りだ。命令ではない。実は日本国政府より君達に、直々に要望があるのだ。
君達も知っての通り、エヴァを起動させる為には、年齢的要素と遺伝子レベルでの強い結び付きが、なにより重要になっている。
安定的にエヴァを運用する為には、新たなパイロットを育成する他に、方法はない。君達女性パイロット三名は、初号機パイロットである碇シンジの妻となり、子供を産んでもらいたい。
日本国では一夫多妻制は認められていないが今回、超法規的処置としてシンジだけ認められたのだ」
110名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 12:32:16 ID:???
ゲンドウの説明が終わり、マリが口を開いた。

「つまり、私達がシンジ君の妻となり、子供を産めと?」

マリの問い掛けに、ゲンドウが応じた。

「ああ、その通りだ。ただし、日本国政府ならびにネルフも君達の人権を尊重する。断ったとしても、いままで通りエヴァパイロットとして、処遇する」

ゲンドウの言葉を聞いたマリは、姿勢を正し敬礼した。

「私は碇シンジ君の妻になり、任務を果たします」
(わんこ君はいい匂いがするし、カワイイから妻になりたいニャ♪)
「ちょっ、ちょっとマリ、アンタ何を言ってんのかわかってんの!?」

アスカがマリを問い質していると、レイが口を開いた。

「…碇司令、私も碇君の妻になり、任務を果たします」
(碇君の妻…。いつもポカポカできるのね)
「あ、綾波まで……」
「ちょっと、えこひ…レイまでなにを言ってんのよ!?」

111名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 12:33:31 ID:???
冬月はアスカに問い掛けた。

「アスカ君はどうするのかね?」

(マリとえこひいきだけに、シンジは渡さない!)
「私もシンジの妻になり、任務を全うします」
「ア、アスカまで……。みんな何を言ってるのか分かってるの?こんなのおかしいよ、父さん!」

シンジはゲンドウを睨みつけた。
ゲンドウはシンジを呼んだ。

「シンジ、私とこちらについて来い。冬月しばらく、彼女達を頼むぞ」
「ああ、任せておけ」
(父親自ら息子の説得に乗り出したか)

シンジとゲンドウは、司令室奥の応接部屋に入った。

「シンジ、彼女達は任務だけでお前の妻になる事を、志願したと思っているのか?
「思ってないけど……。で、でも……」
「お前は彼女達が嫌いなのか?」
「嫌いじゃないよ……。す、好きだよ。でも……」
「ならば何の問題もなかろう?」
「でも……」
「シンジ、お前の事を好いてくれている女三人を、妻に出来るのだぞ。こんなチャンスは二度とあるまい?」
「でも…」
「毎晩違う相手とヤレるのだぞ。もちろん同意が得られれば四人でも同時に出来るぞ」
「でも」
「何を迷う必要がある?シンジ、(いろんな意味で)大人になれ」
「……ヤリます!父さん、僕はヤリます!」
112名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 13:22:43 ID:???
エロパロのやつそのまんまじゃん
113名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 15:53:21 ID:???
本人に無断でコピペ?それとも自演か
114ふぅ。:2009/08/31(月) 17:17:47 ID:???
わかんないわかんない。
なんであたしがあんなこと言ったのか、なんで泣いたのか、わかんない。
シンジにとってのあたしって何?
なんであいつはあたしにあんなこと聞いてきたの?
それも、わかんない。
写真立ての中で、まだ幼い二人が笑っているのが見えた。
こんなに楽しそうに笑ってるけど何があったのかな?
きっと何もなかったわよね。
何もなかったけどただ楽しかったのよ。
戻れるなら、戻りたい。何も考えてなかった頃に。

気が付いたら眠っていて、時計は午後七時を知らせていた。。
留守番電話の伝言が残ってることを示す赤いランプがちかちかしているのが
気になったあたしは、おもむろにそのボタンを押した。
「一件です。
あのーアスカ?七時半ごろには帰れるから、それまで待っててね。
いつもごめんなさい、それじゃ。
九月、六日、午前、十八時、三分、です。」
なんだママか…。
そう思ってしまった自分にイライラした。
「いつもあたしばっかじゃん。
これじゃあママと変わらないじゃないの…」
父親にに捨てられ泣いていた母親を無意識に自分に重ねていた。
115ふぅ。:2009/08/31(月) 17:24:03 ID:???
―ピンポーン

「ただいま。」
「おかえりママ!!」
「遅くなってごめんね〜。」
「晩御飯、すぐ作るわね。なにがいい?アスカが好きなハンバーグにする?」
ハンバーグ…今日は食べたくない。
「ハンバーグはやだ…」

ご飯も食べて、お風呂に入って、ママにもらった化粧水をつけて、
ベッドにあがると、やっぱり考える。
「どうしたらいいなんて、何で迷うのよ。」
天井に向かってそう呟く。
どうしたらいいなんて言うのは迷ってるからでしょ?
あっさり振る気にはならなかったの?。
あたしが気持ちを伝えてたらあんたはマナに相談してたの?

あんたが誰かのもんになっちゃたら
あたしはこれから朝誰を迎えに行けばいいのよ。
誰を蹴り飛ばせばいいの。
誰のせいで傷つけばいいのよ。
…やだ、あたしまた泣いてる?
この天井見つめてると、そればっかじゃん。
「馬鹿みたい…」
あたしは、泣き疲れて眠った。
116ふぅ。:2009/08/31(月) 17:29:23 ID:???
a
117ふぅ。:2009/08/31(月) 17:30:55 ID:???
次の日の土曜日。
久しぶりに何もすることがない。ママはいつも通り仕事でいない。
「買い物でも行くか…。」
先月のお小遣いがまだ財布に残ってるのを確認し、あたしは一人で出かけた。
街に出るには少し地味な服装だったかもしれない。
でも今日はひとりでのんびり買い物したい気分だった。
街は当然ながら人であふれかえっていた。
おしゃれな服を着た高校生、ちょっとお金持ちなオーラの漂うおばさん、
いかにもうまくいってそうなカップルまで。
その時映画館からかわいらしい女の子が入っていくのが見えた。
「…マナ?」
一緒に入って行った男の子も、シンジに見えないこともない。
馬鹿なことはやめなきゃ。
そう言い聞かせながらも映画館の中にあの人影を探しに入った。
118ふぅ。:2009/08/31(月) 17:45:38 ID:???
五分後、あたしはしかめっ面で映画館から出た。
「なーによ、これじゃほんとに馬鹿みたいじゃないの」
結局違う人だった。よく見ると似ている人でもなかった。
とんだ恥をかいたけど、安心していた。
「もうやだぁ、碇くーん」
と同時に、あたしの嫌いな、甲高い声が響く。
振り向いた先には、かわいらしいワンピースを着た女と、
見慣れたTシャツ姿の男がまずそうな顔をしていた。。
「あっ!惣流さん!こんなところで一人で何してるの?」
「彼氏、待ってるの」
「惣流さん彼氏いたんだ!今日ね、」
胸がきつくなって、目からあふれ出しそうになった瞬間、
あたしはその場から走って逃げた。
途中男があたしを何度も呼んだ。
でもあたしは止まらず走り続けた。
119名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 17:57:44 ID:???
支援
120ふぅ。:2009/08/31(月) 18:22:11 ID:???
前ににやつきながらこの道を思いっきり走ったっけ。
それがこんな顔で今その道を引き返してるなんて…
追い風が吹いて、髪が顔にかかる。
泣き顔が見えなくなって、ちょうどいい。

家について、ベッドにもぐって、ひたすら泣いた。
あたしも、結局ママと同じだった。
パパがそうだったからか、あたしは男らしさ全開の人はあんまり好きじゃない。
だからあいつにそんな特別な感情を抱いちゃったのかもしれない。
けれど、結局同じだった。
男なんてみんな、同じだった。
ただの幼馴染なんだから、一発殴ってやることすらできない。
そうよ、ただの幼馴染だったのよ。
あたしだけがただ、バカだったの。
「ごめんね、明日はもう泣かないから、今日だけ許して。」
浮かれていたころの自分にそう謝った。
121ふぅ。:2009/08/31(月) 18:25:03 ID:???
今日はここまでです。
つまらんものをいつも見ていただいてありがとうございます!
122名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 18:26:49 ID:???

がんばれー!
123名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 18:43:45 ID:???
>>120

wktkして続き待ってます
124infinity ◆e1/swPUIeI :2009/08/31(月) 18:48:23 ID:???
「シンジ、おはよう」
アスカが、目を擦りながら起きてきた。
昨日は、夜中まで軍人時代の話を、シンジに話していた。
シンジが頼むから聞かしてくれ、と、言ったからだ。
アスカは時計を見た。
11:00:00
「シンジ、何見ているの」
「とぅーす。アスカ」
手を前に上げて挨拶したシンジ。
<何気ない会話2>
「はぁ」
アスカはバカにしたように、シンジを見た。
「あ、ごめん。おはようアスカ」
「シンジ、今度はどんな映画」
アスカはDVDのタイトルを見た。[ハード・ボイルド・新男たちの挽歌]
「アスカは、銃を撃ったことあるんだよね」
シンジは目をキラキラとさせてアスカを見た。
「そりゃあ、軍人だからね」
アスカは、指を鉄砲のように見せて、シンジのこめかみにあてた。
「バン」
「うわぁ、うぅ、うう、撃たれた。…なんじゃ、こりゃ」
シンジは撃たれた振りをして、頭を触り、手を見て叫んだ。
「あんた…」

               完
125名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/08/31(月) 18:52:44 ID:???
乙。オマイはいつもシュールだなw
126名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 18:53:06 ID:???
ifwwww
127名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 19:01:27 ID:???
つまんねぇ…w
128infinity ◆e1/swPUIeI :2009/08/31(月) 19:25:03 ID:???
すいません。
一人反省会をして、また戻ってきました。
小説を読みながら、書きますのでよろしくお願いします。
94さん、心配かけて申し訳ありません。
なぜなら、私は空気を壊す者だから。
そして、私は、もう一段階進化させます。無理やりに。


129名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 19:49:32 ID:???
ifさんのファンになりました!
ff界に長年居座り続けた僕ですがここまで才能あふれる
死ね
130名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 19:49:39 ID:???
確実にレベルアップしてるなw
131名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 20:03:42 ID:???
|д゜)ソローリ…


|д゜)駄目だ!


|彡サッ
132名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 20:04:55 ID:???
投下してぇなら投下しろよ…
133名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 23:03:17 ID:???
夏の残り火
134名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 23:21:01 ID:???
>>131
うぜー
135名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 23:21:05 ID:???
夏ももうすぐ終わりだな…
136名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 17:59:08 ID:???
if待ち
137若気の至り:2009/09/01(火) 20:26:34 ID:???
すべての始まりは、一本のDVDだった。
僕はあの日、ケンスケから借りたことを生涯悔やみ続けるだろう。


それはある夜中だった。

僕は初めて借りたDVDに期待に胸をときめかせ、アスカが寝静まるのを待っていた。
ミサトさんは、今日遅いと連絡があった。
アスカさえ寝てしまえば、リビングで観賞会だ。
僕の部屋にはテレビがない。
今まで本は何度も見たことがあったが、動く映像はまだ初体験だった。
僕はまだまだうぶな中学生だったのだ。

…そろそろいいかな。

様子を伺いながら、自分の部屋を抜け出し、
リビングでこっそりDVDを流し始めた。
音はもちろんイヤホンで。

うわあ…

目の前を流れるめくるめく光景。
何度も何度も生唾を飲み込む。

想像はしていたが、こんな風にからみあうのか…。

僕もいつかは、こんなイヤらしいことをするのだろうか。


気がつくと、自分の呼吸が荒いものに変化していた。
138若気の至り:2009/09/01(火) 20:27:48 ID:???
やはり、静止画と動画は違う。
声や動きがあると、こんなに興奮度が上がるものなのか。

僕の下半身は熱を帯び、今にも爆発寸前だ。

僕は、僕自身をたまらず解放しようとした、

その瞬間、

肩をつかまれる感触がした。


しまった、夢中で誰かが背後にいるのに気付かなかった!!
びくっと背筋が震える。
おそるおそる振り返ると、無表情なアスカがそこに立っていた。

「あんた、こんな夜中に何やってんの?」
「ア…アスカ…」
「何やってんのって聞いてるの」
「……ご、ごめん」
「何であたしに謝るのよ」

最近のアスカはシンクロ率が下がっているせいだろう、
すごくイライラして、あまり近寄りたくなかった。
なのに、こんなところを見られるなんて。
…最悪だ。
139若気の至り:2009/09/01(火) 20:29:46 ID:???
どうしよう…どう言い訳すればいいのか。

「ふーん。別にいいわよ、あたしに構わないで続けてよ。ほら、早く」
「なっ何言ってるんだよ、できるわけないだろ」
「うっとうしいわね、見ててあげるからしなさいよ」
「無理に決まってるだろ!」

叫んだ瞬間、アスカの目が怒りに染まったのを見た。
「イライラするわね!!」
そう叫ぶと、どんっと僕を突き倒し、僕を上から見下げ、僕の下半身を足の指でもてあそんだ。
僕は緊張でもう勃つわけがない。
むしろ縮こまってしまっている。

「は・や・く・見せなさいよ!」

そして僕のはいていたジャージを掴み脱がしにかかった。
「いやだよ!何するんだよ!」
「あんた、あたしに逆らう気?」

その言葉を投げ捨てるように言い、僕をおさえこみ、下着もとりさり、僕を無防備な格好にする。

それからは地獄のような時間だった。

140若気の至り:2009/09/01(火) 20:31:04 ID:???
その後、この行為はアスカをストレスの捌け口となったらしく、定期的に行われることとなった。
写真をいつのまにか撮ったらしく、ばらまいてやると脅されて、どうしようもなかったのだ。
まだまだ僕の方が背が低く、筋力も勝てず、ただいたずらをされることを耐えていた。

そんな死にたいような期間が2年近く続いた。




その間に、綾波は使徒との戦いで亡くなってしまった。
綾波のダミーはリツコさんが壊してしまったため、もう生き返ることはなかった。
そのおかげで、ミサトさんが補完計画が無理になったと教えてくれた。
僕は補完計画がどういうものなのか、よく理解できなかった。
起こった方がよかったのか、起こらなくてよかったのか。

ただ、父さんは綾波が死んだあと、失踪してしまった。
今でもどこにいるのかわからない。

ミサトさんは僕を追い出したりせず、今も同じ家においてくれている。
アスカも何故かドイツに帰らず、今でも一緒に暮らしている。


僕たちは高校生になっていた。

141若気の至り:2009/09/01(火) 20:32:08 ID:???
もうずっとアスカとまともに口をきいていない。
話すのは、夜中のアスカの一方的ないじめの時だけだ。


僕は何で今でもこの家にいるんだろう。
この家にいても、辛いことしかない。
この家をでて、一人暮らしをした方が精神的に楽かもしれない。
そんな事を考え始めた矢先だった。


ある夜、いつものように夜中ドアを蹴られた。
これはいつもの合図だ。
ミサトさんが寝たから(あるいは家にいないから)、早くリビングに来いと。

暗い気分でリビングに行くと、アスカが立って待っていた。
「遅い」
一言不機嫌そうにつぶやく。
「ごめん」と謝る僕。

謝った僕をまた罵倒し、いつものように、にやりと笑った。
142若気の至り:2009/09/01(火) 20:33:03 ID:???
「さっさといつもの見せてよ」

こんな一人よがりの行為を見て、アスカは何が楽しいのか。
最初のうちは抵抗していたが、殴られたり、蹴られたり、痛い思いしかしなかったので、だんだん抵抗もしなくなっていた。

「……」

なんだか、気乗りしない。
黙っている僕をみて、アスカが僕を蹴り始めた。

…あれ。
気がついたら僕の方が背が高い。
いつの間にか、アスカの身長を追い抜いていたのか。
並んで歩くこともないからわからなかった。

第二次性徴のせいだ。

蹴っている足と蹴られている足を比べても、僕の方が骨格も筋力もしっかりしていることに気づく。

「早くしなさいよ!」アスカがわめいた。
「…もうやめようよ、こんなこと」
投げやりな気分で、抵抗を久々に試みる。
思ったより、アスカの目線が低かったから。

143若気の至り:2009/09/01(火) 20:33:53 ID:???
「何いってんの?あんた何様なの?」
「もうストレス解消に付き合わされるのは、まっぴらなんだ」
「写真ばらまくわよ」
「好きにしたら?もう僕はこの家から出ていくよ」

「何言ってんのよ!!あんたあたしの道具なくせに!道具なら道具らしくおとなしく言う事を聞いてなさいよ!!」

その瞬間、僕の思考は停止した。
アスカは僕を道具だと思っていたわけか。

暗い闇が心を満たす。
わかっていたつもりだけど、実際言われると、わかっているつもりだけで理解はできていなかったんだ。
「僕は道具?」
「当たり前でしょ!何もできないくせに」

ぷつんと、何かが切れた気がした。

144若気の至り:2009/09/01(火) 20:34:35 ID:???
「僕が何もできないと思ってるの?」

テーブルをひっくり返す。

スタンドを投げ飛ばす。

テレビを蹴倒す。

破壊の音が鳴り響く。
僕とアスカの関係。


「いつまでも我慢してると思うなよ!!」



気がつくとアスカを押し倒していた。

「ねえ、知ってた?僕の方がもう背も高いし、筋肉もついたんだ。抵抗したって無理だよ」

おびえるアスカの目。

「男なめるのも、いい加減にしなよ」



僕にこんな気持ちが眠ってるなんてしらなかった。
怯える相手を征服させる。
こんな気持ちいいものだなんて。

145若気の至り:2009/09/01(火) 20:35:24 ID:???
いつもいつも僕一人でするのを眺めて、嫌がらせとしかとれない悪戯をするアスカ。
「たまにはアスカもシてみたら?一人はいや?じゃあ、シてあげるよ」


「…イヤあああっっ!!!!」

泣き叫んでももう遅い。
燃えあがる憎悪は消せない。
膨れ上がる性欲はもう限界だ。


アスカが泣き叫んでも、僕は構わず犯し続ける。

「いつもいつもいたぶってくれたよね?アスカは同じことをされたらどんな反応をするのかな?」


犯しても犯しても犯し足りない。


その夜、僕は初めて自分で抜くのではなく、他の誰かで抜くということを経験した。



それからは、虐げる者と、虐げられる物が逆になり、僕が合図をする番になった。

146若気の至り:2009/09/01(火) 20:36:27 ID:???
昔はアスカが好きだった時もあったんだ。
アスカだったから、征服されても文句言わなかったんだよ。
でも、もう遅い。
遠くまで来てしまったから。



僕らはどこかで何かを間違えたんだ。



今日も僕はアスカの部屋をノックする。


そしていつもの様に、リビングで彼女が来るのを待った。
147名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 20:46:50 ID:???
ゴクり
148名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 20:52:06 ID:???
嫌な予感…
イタモノかな?
149名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 21:10:48 ID:???
あれ、ごめん!
以上で終わりのつもり。
至らない文章ですまん
150名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 22:32:48 ID:???
若気の至りさんGJです!!!
キンモクセイが終わった後に、こんなイイ作品が読めるとは(^O^)
是非とも続きを投下して下さい!
お願いしますm(__)m
151ふぅ。:2009/09/01(火) 22:33:30 ID:???
誰もいない家。
電気もつけずにただベッドに横たわっていた。
ただいやな妄想が頭の中を駆け巡り、
胸がただ締め付けられるだけの時間が過ぎていく。
ふと、目に入ったものはよくママが使っていた剃刀だった。
「あんなやつ、好きじゃない。あんなやつ、好きなわけない!
大っきらい!!」
「…嘘ばっかり」
自分の中の誰かがそう叫んだ。
ぼさぼさになった髪が前を見えにくくしながらも、
あたしはそれを手に取り、手首に当てた。

―ピンポーン
不意に手を止め、ママの顔を思い出し、我に帰った。
きっとママだわ。
そう思って鍵を開けた。
152ふぅ。:2009/09/01(火) 22:34:22 ID:???
「レイ…?」
「心を開かないと、気持ちは伝わらないわ。」
「なによ!あんたに何がわかるのよ!」
「…。」
「なんか、言いなさいよ!
あんたも、好きだったんじゃないの!?」
「私は、わからない。」
「わからない?」
「そう、わからないの。それはきっと、碇くんも同じ。
まだ、わからないの。」
「何が言いたいの?なにが碇くんと同じなの?
あいつはもうあたしもあんたも興味ないのよ!
何とも思ってないのよ!」
「そうね。」

するとレイは帰って行った。
「なんなの?あの子…」
153ふぅ。:2009/09/01(火) 22:36:49 ID:???
だけどあたしはひとつ気づいたことがあった。
それは他人と関わっている時だけ、
辛くて泣いているかっこ悪い自分をどこかに隠すことができる。
あたしは受話器を握り、電話をかけた。

「もしもし、ヒカリ〜?」
「うん!…でもアスカどうしたの?
すごい鼻声だよ?」
「ちょっとクーラーのかけすぎでね…」
「もう、だめじゃん。もうすぐ秋で涼しくなるんだから。」
「そうね。」
「で、電話の用事、なんだったの?」
「あ、特に用はなかったんだけど…うそ!明日暇?」
「うん、空いてるけど…」
「じゃあ一緒に遊ばない?二人で!」
「わかった!」
「じゃあ明日また電話するね!」

電話が切れるのを確認して、受話器を置く。
「…ママ、今日は早く帰ってきて。」
154ふぅ。:2009/09/01(火) 22:38:23 ID:???
今日はここまでです・・・。
長くてすみません。
155名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:17:34 ID:???
若気の至り氏GJ!
キャラの科白や雰囲気がすっごく好みだ。
エロエロや甘々も是非読んでみたい!
出来ればサイト作ってくれ。
156名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:32:25 ID:???
>>146
これって、エロパロじゃないの?
ここでのエロって何処まで許されるんかな?
157名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/09/01(火) 23:32:52 ID:???
2人とも投下GJです!
158名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:33:22 ID:???
>>156
だけど、話は好きだから続けて欲しいんだけどね。
159名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:42:07 ID:???
>>158
どこかのコピペでも分からないくらい、散々やり尽くされてるネタだから、今更感は大きいけどなww
160infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/01(火) 23:43:16 ID:???
空気を壊します。


投下
161infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/01(火) 23:44:34 ID:???
          21:15:00
「ただいま」
あたしは玄関のドアを開け、小さな声で言った。
あたしは、シンジに晩御飯までに帰ってくるように言われていたけど、
遅くなってしまった。
でもシンジの事だから、ご飯を作って待っていてくれると思い、
「シンジごめんね。遅くなって」
居間は真っ暗だった。あたしはシンジの部屋の襖を、ゆっくりと開けて、シンジを見た。
シンジは寝息を立てていた。あたしは、「ごめんね」と、呟くように言った。
居間に行き電気を付けた。洗濯物が山盛りに置いてある。あたしは触ってみた。
乾いている。
「如何したのだろう。いつもだったら、畳んで置いてあるのに」
私は首を傾げた。
「ん、何これ?」
あたしは洗濯物の一番上にS−DATが置いてあった。
「聞けって事なの」あたしはイヤホンを耳に付け、再生ボタンを押した。
{私の名前はシンゾウ。お帰り、アスカ。
私の約束を破り、帰って来て晩御飯が無くて困っているだろう。
残念ながら、ご飯は無いよ。…}
あたしは、停止ボタンを押した。
今度は、何の映画なの、
「凝っているはね。シンジ」
あたしは、また再生ボタンを押した。
{でも、君にチャンスをやろう。そこに洗濯物の山があるだろう。
それを全部畳んでほしい。畳み終えたら、希望が待っているだろう。
時間は関係ない。綺麗に畳まなくても良い。 では、始めて}
あたしは停止ボタンを押して洗濯物の山を見た。
「えぇ! 全部! …仕方ないか」
あたしは、ため息を吐いた。


162infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/01(火) 23:46:00 ID:???

あたしは洗濯物を畳むことにした。お腹が鳴った。
あたしは急いで畳むことにした。
時計を見ると、午後9時半を回っていた。
畳んでいると、シンジのパンツが出てきた。あたしはそれを見て、鼻で笑った。
ミサトの服や、あたしのお気に入りのワンピースが出てきた。
あたしや、ミサトの洗濯物は綺麗に畳み。シンジの洗濯物は雑に畳んだ。
そして、最後の一枚を畳み終えた。
「ん、何この封筒は」あたしは封筒を開けた。紙が一枚在った。
[ご苦労さん。ご飯は、炊飯器の中にあります。
冷蔵庫にはハンバーグと冷奴と煮物があります。暖めて召し上がれ]
あたしは遅めの晩御飯を食べる。
「いただきます」
ハンバーグから食べた。美味しかった。シンジの手料理は美味しい。
「あぁ…美味し…いよ。うぅ…」
あたしは、いつの間にか泣いていた。
「お帰りアスカ」
私は振り返る。
シンジが壁にもたれて立っていた。そして指鉄砲をあたしに向け、
<ゲームオーバー>
あたしはシンジに駆け寄り、涙を見せないように、胸に飛び込んだ。
「ごめんね。…シンジ」
シンジは優しく、背中を擦る
                     終

163名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:46:24 ID:???
いちいち空気壊すとか言わなくていいから

さっさと死ね
もう来るな
164infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/01(火) 23:46:43 ID:???
以上
破壊した
165名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:48:33 ID:???
ifは友達いないからネットで構ってもらいたいんだよ
でも毎回余計な自分語りで白けられてるのに気づいてない
166名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:50:02 ID:???
『た。』
おおすぎwww
今時中学生でもこんなヒドい文は書かないぞwww
167名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:52:09 ID:???
小説のレベルが低いのは仕方ないとして単純にifがウザいんだが

頼むからもう来ないでくれ
168名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:56:07 ID:???
なんつーか『空気クラッシャー』とか呼ばれてるからって自分が人気あるって勘違いしてんのかな?

どちらにせよつまらないから回線切って死ね
169名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 23:56:39 ID:???
> 冷蔵庫にはハンバーグと冷奴と煮物があります。暖めて召し上がれ

冷奴を暖めろとは、なんたる罰ゲーム。
ドイツ系クォーターに対する隠れたイジメかw
170名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 00:01:07 ID:???
おまえらifなんかスルーしろよ

つまらないしレベルが全く成長しないのはもはやお約束
171名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 00:05:18 ID:???

834 名前: if [sage] 投稿日: 2009/08/26(水) 20:17:23 ID:???
すいません。でも、言わせてください。
前にも書いたと思いますが、もう一回言います。
告白するには勇気がいります。
シンジは勇気を出して告白した。
アスカも本当はシンジが好きなんだと思う
二人とも恋愛するのが不器用なんですね。
本当に人を好きになるのは難しいですね
俺も興奮してしまいました。

そして+3冊です
次の投下は
8月29日か30日です。
<アイス再び…>


言うことだけはまるで何処ぞの恋愛コラムニストのような奴だ
172若気の至り:2009/09/02(水) 00:12:35 ID:???
終わってるんだか、わからない文章でごめん。
板違いかもしれないけど、責任もってここで続きを投下させてください。
ありきたりな話で、発想力なくて申し訳ない!
精進します
173若気の至り:2009/09/02(水) 00:13:27 ID:???
アスカがしばらく経ってから、リビングにやってきた。
暗闇のせいか、その瞳の色は青ではなく、濃紺に見える。
海の底の色。

昔の僕みたいだ。
今日は何をされるのか、怯え、慄いている。


「昔は遅いと、すぐ蹴ってくれたよね」
ぴくっと震える肩。
「安心してよ。僕は蹴ったりはしないから」

違うひどいことはするかもしれないけど。


「…もう助けて」
「アスカが始めたことだよ。今更逃げるの?」
「許して…」
「自分勝手にもほどがあるよね」

僕は、突っ立って動こうとしないアスカを相手に、勝手に始めることにした。
服の隙間から胸を弄り、首筋にキスをする。
唇をむさぼろうとして、アスカが泣いているのに気づいた。
174名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 00:14:27 ID:???
>>172
エロ入れるとスレ削除来るからエロ入れるならエロパロスレへ誘導してくれ
175若気の至り:2009/09/02(水) 00:15:31 ID:???
「何で泣くんだよ」
アスカが群青の濡れた瞳で僕をみる。
「…ごめん。どんだけ謝っても足りないけど、今更かもしれないけど、立場が代わってやっとあの時シンジがどんな気持ちだったかわかったのよ。
私のやったことは消えない。だから、何をされても受け入れるつもり。だから、もう許してよ…」

今更謝るなよ!!
僕を傷つけたのは、確かにアスカだ、
でもアスカは僕を犯しはしなかった、
ただいつも見ていただけだ、
なのに僕はアスカを犯してしまったんだ!
アスカは加害者だった、
でも今は被害者だ、
僕の罪の方が重いのに、
何で謝るんだよ!!


「じゃあ、何でシンジはいつもイク時最後に泣いてるの?」

泣いてないよ!

「あたしはいいのよ!自分がした罪だから。償えるわけじゃないけど、受け入れることしかしてあげれないから。
でも、あたしといると、いつまでもシンジの傷に塩を塗ってる気がする。
シンジを救ってあげられないじゃない!
シンジはあたしを見ると憎しみしか思い出さないじゃない!
ごめん、ごめんね。逃げるわけじゃないけど、この家を出ていくわ。
もう部屋も決めたの。
逃げるつもりじゃない証拠に、鍵を渡しておくわ。
まだ憎みたりないなら、いつでも来てあたしを好きにすればいいわ」
176若気の至り:2009/09/02(水) 00:17:07 ID:???
…アスカがここを出ていく?
もう同じ家にはいられない?
部屋にいても、遠くから聞こえる物音に耳を澄ませていた。
もうアスカの存在は感じられなくなる。
 

「ごめんね、シンジ。今更こんな事ををいって自分を正当化するつもりでもないし、どうかなるわけでもないけど、

あたし、シンジが好きだったのよ。
独り占めしたかったの。

だから、誰も知らないシンジを見たかっただけなのよ。
最初はそのつもりだったんだけど……。
途中で歪んだ愛に変わっちゃったけどね。

だから、襲われた事がショックだったわけじゃない、
シンジはあたしを好きじゃないこともわかってたし、無理矢理だったのがショックだった。
それでも一緒にいられるならと思って今までいたけど、
やっぱりあたしじゃ、シンジを救ってあげれないことに気づいたから。
でも、シンジを傷つけた2年と同じ期間は我慢しようと思ってたの。
…今日で2年たったから」


罪を負わせてごめんなさい、とアスカは濡れた睫毛を伏せて僕に言った。
177若気の至り:2009/09/02(水) 00:18:25 ID:???
どうして、どうして、僕たちは傷つけあってしまったのか。
想い合っていたのに!
子供じみた意地の張り合いが、お互いに罪をなすりつけあってしまった。
僕は自分の背が低かったし、頭も大学出なんかじゃかなわないし、アスカに不釣り合いだと決めつけて気持ちを封印していた。


「どうして、あの日アスカを襲ったのか。
本当いうと、アスカがあの日違う男に笑いかけていたからなんだ。
僕には決して見せてくれない笑顔がうらやましかった。
壊してやりたかったんだ!

僕だって、アスカを自分のものにしたかったんだよ!

ただ並んで歩きたかっただけなのに…!
どうして、こんな風になっちゃったんだよ…!」

僕に優しくしてよ。
僕に笑いかけてよ。
他の奴に笑いかけないでよ!

それができないなら、奪ってやるしかないじゃないか!
178若気の至り:2009/09/02(水) 00:19:44 ID:???
悔しくて、悔しくて、涙がとまらない。
アスカの顔を見ることができない。
僕が傷つけてしまったから。


パチッと音がして、明るくなった。
アスカが電気をつけたのだ。

「遠回りしたわね、あたしたち。ほんと大バカね…。
どうやって自分のものにするかしか考えれなかった。
好きになってもらうにはどうしたらいいかわからなかった。
でも、今からなら変われるかもしれない。

今でも、あたしはシンジが好きよ。

もう遅い?」

シンジの答えを聞かせて、とアスカは言った。

許されないことをしたとわかっていて、そんな資格があるのかわからないけど。

海の底もよかったけれど、できたら明るい昼間に並んで歩きたいんだ。

「好きだよ。ずっとずっと好きだったよ!
神様は許してくれないかもしれないけど、
一生をかけて償うから、
だから、そばにいさせてください」

アスカが空の色の瞳でほほ笑んだのが見えた。


                     終わり
179名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 00:20:59 ID:???
前振りもなく台詞で気持ちを唐突に述べるのは、稚拙なFFではありがちだなww
180名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 00:23:03 ID:???
EOEのゲンドウもそうだったなw
181名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 00:24:34 ID:???
お前ら態度でかいなー
182名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 00:27:29 ID:???
>>181
GJしてやれよw
183名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 00:43:39 ID:???
いやこれはさすがにどうかと。
184名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 00:52:24 ID:???
ふう。さん続き楽しみですね〜。応援したくなるアスカです。

若気の至りさん乙!
ちょっとエッチぃくてドキドキしましたが、これくらいなら多分大丈夫だと思います。
素直になれないまま一線超えてしまった2人ですが、これからは愛ある行為に溺れてほしいですw
黒シンジ×黒アスカというのも、なかなか珍しいですね。

ifさん乙です。ただ元ネタがわからないんで、自分にはわかりにくかったですw
かき氷の話みたいなのが、個人的には好きでした。
185名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 01:06:09 ID:???
ifの投下を自分なりに添削してみたら、殆んど書き直していることに気付いた

>若気の至り作者殿
GJでした
ただ、エロはエロパロのエヴァスレでお願いしやす
以前大量スレスト喰らったので(削除人の発言から察するに、軽度のエロや物語進行上のエロについてはOKかと)よろしく
186名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 01:06:46 ID:???
2人ともGJです!
若気は正直DVDのくだり見て、コメディだと思ったのでシリアス展開になってビックリしてしまったw
187名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 01:16:06 ID:???
てか、2015年にエロDVDをリビングで見るとは...
188名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 07:56:21 ID:???
若気の至りさん続きの投下、ありがとうございました。
出来ればこれをベースに、エロパロに投下して欲しいです。
189名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 08:35:50 ID:???
若気さん、乙です。次作待ってます。
190infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/02(水) 19:00:51 ID:???
>>163
もう言いません。すいませんでした
>>166
すいません。北大路大五郎みたいな文章を書けばいいですか?
>>168
ちょっと、勝手に使わせてもらいました。
>>169
確かに罰ゲームみたいでした。また、近いうちに、アスカに罰ゲームをさせます。
191infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/02(水) 19:10:14 ID:???
                朝の学校
「おーい! シンジ」
後ろから聞きなれた声がした。シンジは振り返る。
ケンスケが声をかけてきた。その後ろには、ジャージを着たトウジが遅れて歩いてきた。
「せんせ! 元気か、とぅーす」
「あ、トウジ。とぅーす。ケンスケも、とぅーす」
「「「とぅーす!」」」
シンジとトウジとケンスケが、お互いに挨拶をしている。
その後ろからアスカが冷たい視線を3人に送っていた。
校門前にヒカリが見えて、アスカは、3人を押しのけて、ヒカリに挨拶をする。
「ヒカリ! おはよう」
アスカに気が付いたヒカリは、
「アスカ! とぅーす」
「ヒカリ…」
              〔日常の会話〕
夕方      
「シンジ、今日の晩御飯、何」
「久しぶりに、外食しない?」
「何処に行くの?」
「近くに美味しいラーメン屋が在るけど、行く?」
「うん、いいわよ。でも、ミサトは?」
「ミサトさんは、仕事で遅くなるから要らないって」
「じゃあ、シンジ。案内して」
アスカはシンジの手を引っ張って玄関を出る
「ああ、アスカ! 僕は、まだ靴を…」
            完
192名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 19:55:00 ID:???
クズだな
もはや荒らし
193名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 20:11:17 ID:???
起承転結のきの字もない、脈絡の無い言動、ギャグのつもりか解らないがまったく笑えない意味不明な「とぅーす」、句読点が不適切、FFと言うのさえ憚られる短さ

どうせ構ってちゃんだろうし、もうスルーしよう
194ふぅ。:2009/09/02(水) 21:38:49 ID:???
思いのほかママは早く帰ってきてくれた。
やっぱり誰かといると辛いのを少しは誤魔化せる。
月曜日からはどうしようか。
もう、迎えには行けない。
静かすぎる夜が鮮明にお昼のことを思い出させる。
まだ、胸がズキズキする。
でももう泣かないの。

「ヒッカリ〜!おはよ。」
「アスカ!?電話してくるって言ってたからまだ何も準備できてないよ…」
「いいのよいいのよ!待っててあげるから〜」
「じゃあ、中入って!」
「おっじゃましまーす!」

小奇麗に片付いた部屋。
ぬいぐるみがたくさん置かれた部屋はまさに女の子の部屋だった。
「ねぇー、今日はどこも行かずにだらだらしない?」
「じゃあ、このままでいっか!」
その格好で眠っていたんだろうか、体操服の袖をつかんで言った。
「これ新作じゃん!一緒にやろやろ!!」

その日はそのままずっとそんな感じだった。
195ふぅ。:2009/09/02(水) 21:44:24 ID:???
そして月曜日。
あたしはいつもより一時間は早く起きて、さっさと用意を済ませ、
学校へと向かう。
人気のない教室でくだらない宿題を済ませていると、だんだんと人も増えてくる。
いつも登校する時間になると、もうほとんどの人が着いていた。
あいつはいつも通りの時間に来た。
何も言ってはこない。
姿を見てやっぱり何かを期待していた自分に嫌気がした。
でもね、もうこれで本当に終わり。

あたしは驚くほどあっさりしていた。
もう何も思ってない、そういうとウソになる。
でもきっと、すぐに消えていくの。
きっとすぐに大丈夫になるの。

さよなら、バカシンジ。
さよなら、泣いていた昨日までのあたし。
さよなら。
196名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 22:05:56 ID:???
支援
197名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 22:15:45 ID:???
ふぅ。キター
198名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 23:25:11 ID:???
ふう。さん乙!
199名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 00:52:24 ID:???
ハイハイ、乙
200名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 01:42:26 ID:???
なんか切ない感じになってますね…
なんとか盛り返してほしいです!GJ
201名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 07:58:08 ID:???
鬼女の中の人の新作まち
202名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 17:23:15 ID:???
先日の誤爆すみません。不快に思った方、ホント申し訳ないです…

責任を持って最後まで投下させてもらいます。
NGワード「軒亜」
203軒亜:2009/09/03(木) 17:25:48 ID:???

「ア…アスカ…ごめん」
とっさにそう言ってしまう。

「弐号機の事は別にいいわ。それよりもさ、誕生日おめでと」

てっきり罵倒されると思ったけど、アスカの言動は予想外だった。

僕の目の前にいるアスカは、何も知らない。
けど、僕はアスカの全部を知ってる。

そんな今の自分が嫌いだ。

何もしてあげられない、下手に言ってしまうとアスカが傷つくだけで。

僕はありがとう、と一言言って笑顔を作るとアスカもどこか嬉しそうだった。

204名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 17:26:42 ID:???
『だからわたしを見て!』

目が覚めると朝
夢、また夢。
僕は逃げることしかできなくて。

突然、電話が鳴り出し辺りの沈黙を沈黙を破った。
「…もしもし」

電話の相手は日本語ではなかった。
ミサトさんはもう居ないみたいだし…アスカかな。

「アスカ、起きて」
電話だよ、と寝起きのアスカに子機を渡す。

アスカは電話に出るとすぐ状況を理解したようで、異国の言葉を使って話し始めている。

僕はそんなアスカを少し遠く感じながら、事の成り行きを見守る。

少し話した後、会話が終わったようでアスカが電話を切った。でもその横顔は真剣で少し曇っていた。

「今の…お母さん?」
僕は気になって聞いてみた。

「義母よ、まぁいい人なんだけどね」

「お母さんは…亡くなっちゃたの?」

205軒亜:2009/09/03(木) 17:27:58 ID:???
「…そんなことあんたには関係ないじゃない」

「確かめたい事があるんだ、教えてよ」
「アンタに何が分かるっていうのよ!」
「分かるよ!見たんだよ、この目で…」

とうとう僕は弐号機の中で見たことを全て白状した。

「やめて…そんなこと、思い出させないで!」

「僕はアスカを傷つけたくはないんだ…」

「イヤ、来ないで!」
僕は泣きそうなアスカの目の前で立ち止まる。

「…アスカの辛さ、僕は分かるよ,どこか僕に似ているんだ…それに…、2人なら乗り越えられる気がするんだよ!だから僕はアスカが、すっ―」

どさっ、とアスカが僕にもたれ掛かかって、思いきり抱きしめてくる。僕はそれを全身で受け止め、ずっと一緒にいよう、と囁いた。
僕の腕の中で、アスカはただ頷きながら大泣きしていた…。
「あんた…本当にバカよ…好きなら白状しなさいよ、あんたの事も全部…」

206軒亜:2009/09/03(木) 17:31:12 ID:???
これで一応完結です
もしかしたら新作として続編書くかもです…m(__)m
207名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 17:47:18 ID:???
>>206
GJでした!!
続編読みたいです
208名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 18:17:06 ID:???
GJ!!
続き期待してます!
209ふぅ。:2009/09/03(木) 19:59:27 ID:???
あれから1年半が過ぎ、あたしは余裕の受験生を終えた。
高校は市内で4番手、といったところだろうか。
もっといい高校もあった。
でもそれは制服がダサいか、校則が厳しいか、その両方かのどれかだった。
それだけの理由。
願書を出しに行くだけだったし、受かっているのは確実。
今日はその合格発表だった。
同じところを筆記試験で受けたヒカリの結果を見に高校へ。

「本当に受かってますように。あー結果見るのやだ」
「そんなこといってたってきりないじゃん!
あたしが見てきてあげようかぁ?」
ヒカリは合格者の受験番号が書かれたボードを背に、
98番と書かれた受験番号の札を握りしめていた。
「いいわよ、自分で見るから。」
実はもうこのときあたしは少し先にきて結果を見ていた。
あめでとー!と言ってやりたいところだけど、やっぱり自分で結果見ないとね。
「…あったぁー!!」
「どこ?本当に?」
「ほら、左下!」
「あーっ!あったあった!!おめでとう〜!」
嬉しそうな顔を見て、こっちまで幸せになる。
ヒカリに不幸は似合わない。
あたしはなんか似合っててキャーキャー喜ぶヒカリに少し嫉妬した。
210ふぅ。:2009/09/03(木) 20:02:33 ID:???
「とりあえず、本当良かったね!
ちょっと早いけど、お昼にする?」
あたし達は適当なファミリーレストランへ足を運んだ。

「ねぇ、アスカ。あんまり言わないほうがいいのかもしれないけど。」
「なにー?実は受かってなかったとか?笑」
「そんなんじゃなくて…。
アスカは無試験だったから一緒に願書出しに行ってないけど、
私は普通の試験だから学校でみんなで行ったの。」
「うん…で?」
「その時までね、気付かなかったんだけど…
シンジくんも来てたの。」

シンジ。
あれから異常なまでにあいつを避けて、
そうこうしているうちに二年が終わって、
クラスは別々になって、朝迎えに行くこともなかったし、
最後にいつ顔を見たのかもわからない。
風のうわさで、二週間で別れたと聞いたけど、あたしは変わらなかった。
怖かった。またあんな風になるのが怖かった。
だからただ早く忘れることだけを考えた。
そして今、高校が同じ。
あいつ、いつの間にあんなに賢くなったんだろう。
あたしの知らない間に、あいつも変わってる。
でも、あたしには関係ない。
211ふぅ。:2009/09/03(木) 20:04:33 ID:???
「ふーん。どうでもいいじゃん。
あのバカじゃ受かったかどうかもわかんないじゃん!
それよりあたし入学したら絶対学年一かっこいい男と
付き合ってやるって決めてるのよ!」
「あぁ…そうなの…?」
呆れた。とでも言いたげなヒカリを横目にあたしは続ける。
「そんで思いっきり振りまわして振ってやるのよ!」
「そっか…。でも、あたし思うんだけど、
きっとシンジくん、アスカと同じ高校に行きたいから頑張ったんじゃないかな。」
「そんなわけないじゃん、バカねー。」

もしそうだったとしても、今更なによ。
212ふぅ。:2009/09/03(木) 20:23:27 ID:???
入学式。
さくらはきれいに咲いてくれた。
なんとも春らしい、春。風が気持ちいい。
でもこれから重い教科書を家に持って帰るのを考えると、
ちょっと憂鬱な気もする。

「おはよ、アスカ。」
「おはよー、あたし席向こうなの。」
「そっか…!じゃまたあとでー」
校長の話はどこに行っても長い。
いろんな生徒の頭を眺めていると、見慣れた後頭部があった。
「あいつ、受かったんだ。」
あたしは、まだ覚えてたんだ。
お昼前になると、ようやく式も終った。

「なっがいわねーほんと。」
「ちょっと、喋りすぎだったわね…。」
あたしたちは校門から出で行こうとしていた。

「よっ!携帯のアドレス教えてくんない?」
いかにもちゃらちゃらした男が話しかけてきた。
顔は普通より少し上で、喧嘩が強そうな感じ、と言ったところだろうか。
「あたしはあんたみたいなブサイク…」
その時、あの顔が目に入った。

「アスカ、受かったんだね。」
「あったりまえじゃなーい!見て!彼氏!もう半年付き合ってんんの!」
話しかけてきた男の腕の腕をつかみ、見せつけた。
「そうなんだ…、よかったね。じゃ、また。」
久しぶりに見た顔は、どこか大人っぽくなったような、少し悲しそうな、そんな気がした。
213ふぅ。:2009/09/03(木) 20:25:30 ID:???
誤字ありまくりで本当にすみません…。
と、今日はここまでです。
214名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 20:26:30 ID:???
何か凄まじい展開になってるぞw
まぁ乙!続き楽しみにしてるよ〜
215名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 20:44:44 ID:???
GJ!
アスカの気持ちはよくわかるぞ、うん。
216名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 20:51:22 ID:???
そしてキンモクセイへ…
217名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 21:07:07 ID:???
>>216
このアスカとシンジは処女童貞を貫くさ
貫いてくれ・・・
218名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 21:51:13 ID:???
>>216
ちょwwwwww
でもこのままだと有り得るwww
219名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 21:54:08 ID:???
アスカちょっとやり過ぎ
シンジ都合よく動き過ぎ
220名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 22:11:02 ID:???
>>218
まあそんな展開だったらただの二番煎じな訳だが
221ふぅ。:2009/09/03(木) 22:23:03 ID:???
感想ありがとうございます!

あんまり先のことを言うのはいけないかとおもうんですが…。
一応言っておきます。
絶対に童貞と処女のままです。
きれいなままの純粋なLASが好きな人間ですので、
性的要素は入れないでおこうと思っています。

にしても中学生→高校生への転換があまりにも下手で…
なのにこんな作品を読んでいただいてありがとうございます。
では。
222名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 22:30:39 ID:???
軒亜さんも、ふうさんもGJ!
223名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 22:39:37 ID:???
>>217
処女じゃなきゃ女はダメなの?
224名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 22:48:05 ID:???
なんで223は処女にだけ反応するの?
225名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 22:49:23 ID:???
>>223
>>217のレスを見て何でそんなレスをするのかが疑問なんだが
226名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 22:58:20 ID:???
初めて投稿しようかと考えているんだけど、エヴァは出てないし、学園モノでもなく、シンジが変な性格な小説はやはりアウト?
227名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:01:11 ID:???
>>226
ifみたいにボロカスに叩かれたければどうぞどうぞ
あいつの場合はLASですらなかったけどな
228名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:05:19 ID:???
>>225
いや、処女じゃなくなったらダメなのかなと思ってさ
229名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:06:46 ID:???
>>227
成る程、わかりました 
ちなみにその方の小説はどんな内容だったんですか?
230名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:10:29 ID:???
>>228
LASならおk。
出来によっては叩かれたり、非LAS扱いされるけどな。
231名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:11:41 ID:???
>>229

252 名前: if [sage] 投稿日: 2009/07/26(日) 13:50:09 ID:???
                 ダミープラグ始動
「何だ!!何故、勝手に動いてるんだ?何したんだ」
初号機は3号機の背中の手を折ってねじり、引き千切った
3号機の顔を掴み地面に叩きつけた。
「凄いシンジ、まだそんな力が」
「俺がやったんじゃない」
「だって・・・あんた」
「俺じゃねぇぇぇぇ!!!!!!!!」
初号機は3号機の首を絞め始めた
「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ」
シンジはレバーをガチャガチャと動かした
だが、どうやっても止まらない
バァキィぃぃィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ
3号機の首が折れた
「オォォォォォォヤァァァァァァァァァジィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!
やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
シンジが力の限り叫んだ
その叫び声がネルフ本部に響いた
マヤは震えていた


>>229の書く話がコレよりマシという自信があるなら、投下したまえ
232名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:14:53 ID:???
>>231
改めて読むと独特の味がある文章だな。

これで、オチのセンスがあれば....
233名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:23:08 ID:???
>>228
だからなぜ、童貞はスルーで処女にだけ反応するんだw
よっぽどこだわりがあるんだなw
234名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:27:43 ID:???
ヒロインが非処女って判明しただけで
コミックス全巻破いて、CD割って、原作者をノイローゼにして
漫画を休載に追い込む奴が居る世の中だしな…w
それくらい処女か非処女かは>>228にとって重要なことなんだろう
235名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/09/03(木) 23:31:49 ID:???
>>234
ちょっw初めて聞いた。世の中すごい奴もいるもんだなw
軒亜さん、ふぅ。さんGJ!
236名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:36:15 ID:???
>>233
別にスルーしてるわけじゃないよ
ここにいるの基本的に男だろうから
処女についてだけ聞いた(男は童貞か否かなんて興味ないだろうから)
別に俺は童貞とか処女なんてどうでもいいと思ってるし

ただそこまで言うなら聞くよ
童貞処女どうしのカップルじゃなきゃダメなの?
非童貞、非処女のカップルはきれいじゃないの?
237名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:41:48 ID:???
>>236
そんなことは無いよ。ただ本編のアスカとシンジは出会いの時点で童貞処女だから、
非童貞処女の状態で付き合うという作品は、誰かと関係を持った過去があるという設定を追加したことになる。
つまり多少イタい話になるわけだ。

イタいのは嫌〜っていう人もいるからね。
238名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:44:29 ID:???
>>236
つか、ここでそんな話題に必死になってる時点でこだわりすぎだっつの
239名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:46:27 ID:???
EOEで量産機にズタボロにされた時、シンクロし過ぎてて処女膜破れたなら
多少は抵抗が少ない






かな??????
240名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:47:32 ID:???
>>236
日記開いて、俺の処女論を好きなだけ書くといいと思うよ
241名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 23:50:21 ID:???
>>239
軍事訓練中に破れちゃった…っていう作品はあったな

ただ最初から気持ち良くシンジとシテたし、良かったんじゃないかなwと思ってる
242名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 00:06:50 ID:???
>>236
二人とも原作ではなんだかんだで性的なものに対して潔癖な面を持っていたから、
誰かとそういう関係になるには結構な気持ちや理由がないと無理な気がするんだよね。
だから、非処女、非童貞設定にするならちゃんとした理由がないと納得出来ないというかなんというか…

自分で書いててよくわからなくなったスマソ
243名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 00:07:04 ID:???
217が遠回しに童貞処女貫いてって作者に要望出してるように
感じられたから聞いただけ
別にこだわるつもりも論ずるつもりも無いから消えるよ
244名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 00:09:28 ID:???
>>243
>処女貫いて

ゴメンナサイ、ゴメンナサイ
245名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 00:23:53 ID:???
本当に拘らないやつはわざわざ聞きもしないけどな
246名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 00:24:56 ID:???
聞きたくないってのが正解w
247名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 06:45:41 ID:???
>>221
と言うか、エロが書きかければエロパロで書かないとね。
ただ、SEXをした位ならここでも良い様な気がするけどね。
それもダメなら、子供が出来る話もNGだからな
248名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 07:49:36 ID:???
>>247
エロゲ的展開はNG
それ未満はOKだったはず
249名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 09:09:02 ID:???
童貞、処女貫いて
流星、夜切り裂いて

似てるな。成る程。
250名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 10:41:07 ID:???
>>249
> 流星、夜切り裂いて

↑上のこれって、なんだっけ? 
聞いた事あるんだが・・・
251名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 12:01:32 ID:???
>>250
スパロボ辺りかな?
アイビス・ダグラス(第2次αのリアル系女主人公)のテーマ曲。
ちなみにここでいう流星とは頻繁に墜落することを例えた不名誉な異名。
252名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 14:02:32 ID:???
>>251
ちなみにアイビスのライバルであるスレイはマヤと同じ声優
253名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 15:11:25 ID:???
まじでふぅさんの作品キンモクセイのプロローグって感じだね。
こっからどうなるか楽しみですw
254名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 15:42:48 ID:???
円谷さんのサイトに新作きてたな
相変わらずGJすぎる
255名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 17:45:49 ID:???
もう投下はしないことにしたのかな
まあ作品が読めればいいか
256infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/04(金) 18:40:14 ID:???
〔もう一度〕
  日曜日
「アスカ、お昼何食べたい」
僕は、居間でテレビを見ているアスカに聞いた。
「ん、何でもいいよ」
と、僕の顔を見ないで、テレビを見ながら答えた。
「うん、分かった」
僕は台所に向かいフライパンを棚から出して、
「じゃあ、チャーハン作るけどいいよね」
「シンジに任せる」
そう言って、アスカは台所に来て椅子に腰掛けた。
僕が野菜を切っていると、
「ねぇ、シンジ」
「ん、何」
僕は野菜を切るのを止めて、アスカを見た。
「キス、しようか?」
「え、…どうして?」
「暇だから」
僕はその言葉を聞いて、唇を歪めた。
嫌な記憶が蘇る。あの時アスカは口を洗っていた。
暇だから、と言う理由でキスはしたくない。
でもアスカは言い出したら聞かないから、
「僕とキスしたいの?」
アスカは黙って頷き、僕の側に来た。
「キス…しよ」
アスカは僕の服を掴んで言った。
僕の鼓動が、少しずつ速くなっていく。
僕は、アスカの肩を両手で優しく掴んで顔を見る。
微笑んでいた。それを見て僕の鼓動が更に速くなった。


257infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/04(金) 18:40:57 ID:???
アスカの唇が近づいてくる。
いや、僕が近づけている。
「ん、…ん、ふぅ…んん」
アスカにキスをした。
アスカの唇って、柔らかい。
あの時は必死だったから何も感じなかった。
でも、今はもっとアスカに触れたい。アスカを感じたい。
そんなことを思っていた時。
「ん、あ、…んん…え!」
アスカが舌を入れてきた。
僕の体が徐々に熱くなる。僕も舌を絡ませる。
僕はいつの間にかアスカを抱きしめていた。
そして、ゆっくりと床に座る。
僕は唇を離す。
「はぁ、はぁ、これで…満足した」
アスカは首を横にゆっくりと振る。
僕に抱きついて、耳元に口を近づける。アスカの荒い息遣いが聞こえる。
「…だめ。あたしが満足するまで放さない」
アスカの顔を見ると、目が潤んでいた。
「もう一度…キスをして」
アスカは僕のことを如何思っているのだろう?
誰かの代わりなのか?
それとも只の気まぐれなのか?
僕はそんなことを考えながら、3度目のキスをした。

           終

258名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 18:53:41 ID:???
GJ!シュールなのより、甘いのの方が上手いですよねifさんは
259名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 19:01:56 ID:???
>「ん、…ん、ふぅ…んん」
>「ん、あ、…んん…え!」

これは要らない。でも大分上手くなったなif
>>231の頃と比べると大した成長だw
260名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 19:09:18 ID:???
誰かの盗作だろ
乙の価値なし
261名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 19:42:05 ID:???
やっぱりか・・・幻滅だな
盗作最低
262名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 20:26:27 ID:???
イフさんGJ〜
263名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 20:35:04 ID:???
醜い自○自○ですね
264名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 20:37:52 ID:???
>>184
184さん 映画SAWのパロディーです。
すいませんでした。分かりにくかったですね。
その映画を見る場合は注意してください
かなり痛いです。
皆さんは知っていると思いますが。
それと、アイスの話はリメイクします。

皆さんにお願いがあります。
私をその名前で呼ばないでください。
その名前は捨てました。それと同時に作品も捨てました。
最初からやり直しています。
私の名前を騙る人たちの何気ない一言で、
私の出来の悪い作品が更に糞以下になりました。
私の書いたものを批判するのは仕方ないことです。
私は何も言いません。認めます。
でも、私の名前を騙るのはやり過ぎです。
あんまり糞舐めたことをしないでくださいね。
汚い言葉を言ってすいませんでした。
一人反省会をしてきます


265名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 20:40:55 ID:???
俺は嫌いじゃないぞ
ガンガレ!
266名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 22:17:42 ID:???
ifwwww
267名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 22:39:31 ID:???
>映画SAWのパロディーです。
>その映画を見る場合は注意してください
>かなり痛いです。
>皆さんは知っていると思いますが。

『ソウ』(原題:SAW)は、2004年に公開されたアメリカ映画。
猟奇殺人鬼によって密室に閉じ込められた2人の男性を主軸に展開するスリラー映画。
ソウシリーズの1作目。日本ではR-15指定。


知るわけがない。みんながみんな、お前と同じ映画見てると思ったら大間違い


>あんまり糞舐めたことをしないでくださいね。

今まで自分が糞舐めたことをしてこなかったとでも言いたいのか?
ノンジャンルスレに投下しても反応もらえなかった奴が
LASスレに来てからはスレ住人が優しいのも手伝って
コメントもらえるようになったからって、都合好過ぎ&調子良すぎ
お前はLASが好きなんじゃなくて、自分の落書きを投下してスレ住人に「GJ」とか「乙」とか言ってほしいだけだろ?
「空気を壊します」とか「一人反省会をしてきます」と言えば
免罪符になって許してもらえると思ってるなら、とんだ勘違い野郎だな
それこそ糞舐めてる
268名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 23:14:35 ID:???
入れ替わりマダー?
269名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 23:41:54 ID:???
>>268
エロパロで駆け引きを投下してるから当面無理じゃない?
270名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 23:51:12 ID:???
>>268
出オチに近いネタだから、序盤書いたら飽きるんだなよw
271名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 23:53:11 ID:???
職人カモーンщ(゚Д゚щ)
272名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 00:07:43 ID:???
ネタがないので参考程度にリクエストをどうぞ(笑)
273名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 00:11:59 ID:???
シンジが猫になる話をよろしくw
274infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/05(土) 00:14:28 ID:???
>>267
私はあなたの言うとおりそんな人間です。
誰も許してほしいなんて思っていません。
ノンジャルスレに軽い気持ちで3作品投下しました。
なにも反応が無く、このスレを見つけて3号機事件を投下しました
軽い気持ちで投下しました。その結果、ぼろ糞でした、。
でもアドバイスを頂いてうれしかったです
これは本気で書かないといけないと思い、その次の作品を投下しました。
褒めてもらい、調子に乗っては書きそしてぼろ糞になったりしました
GJとか乙を貰うと気持が良いから書いてます。
私はこんな人間です
275名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 00:18:09 ID:???
>>274
正直なところは好感持てるな
さっきの作品も以前に比べればはるかに良くなってたし、この調子で頑張ってほしい
276名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 00:19:07 ID:???
ならもう来るなカス
277名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 00:20:14 ID:???
投下スレで馴れ合うなよ気持ち悪い
278名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 00:23:12 ID:???
面白くないからなー
反応あるのを勘違いしてる。
279名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 00:26:12 ID:???
>>272
じゃ〜俺はシンジとアスカの下校デートを希望w
280名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 00:27:19 ID:???
>>274
何なのこのマジレス厨?
もう来るなよ
281名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 00:39:29 ID:???
>この調子で頑張ってほしい



191 名前: infinity ◆e1/swPUIeI [sage] 投稿日: 2009/09/02(水) 19:10:14 ID:???
                朝の学校
「おーい! シンジ」
後ろから聞きなれた声がした。シンジは振り返る。
ケンスケが声をかけてきた。その後ろには、ジャージを着たトウジが遅れて歩いてきた。
「せんせ! 元気か、とぅーす」
「あ、トウジ。とぅーす。ケンスケも、とぅーす」
「「「とぅーす!」」」
シンジとトウジとケンスケが、お互いに挨拶をしている。
その後ろからアスカが冷たい視線を3人に送っていた。
校門前にヒカリが見えて、アスカは、3人を押しのけて、ヒカリに挨拶をする。
「ヒカリ! おはよう」
アスカに気が付いたヒカリは、
「アスカ! とぅーす」
「ヒカリ…」




頑張った結果が台本みたいなつまらんコントの件
282名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 01:07:12 ID:???
こういうふざけたのがしょっちゅうあるから荒らしと言われるんだ
調子に乗らずまじめにやれ
283名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 01:35:32 ID:???
>>282
真面目にやっても駄目なものは駄目だろう
これまでifがまともなFF書いたことあったか?
284名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 01:45:37 ID:???

841 名前: if [sage] 投稿日: 2009/08/26(水) 21:17:48 ID:???
すいません。
今、暴走しています。
あと、29日か30日に投下したら止めます。たぶん
そして次の投下は、10月以降です。
それまで我慢してください。
空気クラッシャーですので



次の投下は10月以降とか大嘘つくなよ…ほぼ毎日投下してんじゃねーかw
285名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 02:16:16 ID:???
もうifでどうこう言うの止めないか?
NGすりゃいい話だし、なにより他の職人が投下しにくいと思う
286名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 05:01:06 ID:???
>>285
皆無視しているけど、自作自演でやってるだけだろ
287名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 05:12:48 ID:???
ifはスルーしろってばっちゃんが言ってた
288名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 06:35:06 ID:???
>>269
エロパロの方がLASで賑わっているよね
289名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 11:28:42 ID:???
>>272
アスシンが青春してるやつ読みたい!
幼馴染みで告白したりされたり
アスカが不安になったり
290名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 12:11:09 ID:???
>>272
幼馴染青春ネタでこんなん読んでみたいな
シンジを出来の悪い弟扱いしながらも仲が良いアスカ
アスカを異性と認識し始めてギクシャクし始めるシンジ
親友状態の綾波から恋愛相談(レイ→シンジ)されて悶々と悩み始めるアスカ。
291名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 13:17:18 ID:???
レイが泣く展開は嫌だなぁ…。
292名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 15:38:22 ID:???
LAI

らぶらぶ あすか いふ
293infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/05(土) 15:53:35 ID:???
         〔優しいキスをして〕
              日曜日
今日はシンジと二人きり、誰にも邪魔されたくない。
「アスカ、お昼何食べたい」
あたしは居間でテレビを見ていると、後ろからシンジの声がする。
「ん、何でもいいよ」
あたしは、振り返らずに答えた。
「うん、分かった」
後ろでシンジが返事をした。
あたしはテレビのCMに釘付けだった。只なんてことない結婚式のキスシーンだった。
あたしの鼓動が少し速くなる。
あたしはキスがしたい。シンジとキスがしたい。
「じゃあ、チャーハン作るけどいいよね」
「シンジに任せる」
あたしは台所に行き椅子に座る。
シンジは野菜を切っていた。あたしは、その音を聞きながらシンジの背中を見ていた。
シンジの背中ってこんなに広かったかな? 初めて見た時は頼りない感じだったのに。
あたしは知らない間にシンジに惹かれていた。
いつ頃からか?
初めて会ったときか? ユニゾンの時か?
溶岩の中からあたしを助け上げた時なのか?
それとも、暇だからと言ってシンジにキスをした時か?
あたしはもう一度確かめるため、
「ねぇ、シンジ」
「ん、何」
野菜を切るのを止めてあたしの顔を見る。

294infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/05(土) 15:54:56 ID:???
「キス、しようか?」
「え、…どうして?」
「暇だから」
あたしはシンジの口が歪むのを見てしまった。
シンジ、もしかしてあの時の事をまだ怒っているの?
シンジごめんね。
「僕とキスしたいの?」
あたしは黙って頷き、シンジの側に行く。
「キス…しよ」
あたしはシンジに肩を両手で優しく掴まれた
シンジがあたしの顔をじっと見る。
あたしはシンジに微笑んだ。
そしてシンジの顔が近づいてくる。
そしてキスをした。
あたしはシンジの唇を感じていた。
柔らかくて、温かい。あの時は何も感じなかったのに如何して?
今はシンジを感じたい。触れたい、放したくない。
あたしはそう思いながら舌を入れた。
シンジはあたしの舌を受け入れた。
シンジはあたしの体を優しく抱きしめてくれた。
あたしの体から力が抜けていくような感じがする。
シンジに支えられながら、床に座る。
シンジの唇が離れた。
「はぁ、はぁ、これで…満足した」
シンジは荒い息遣いで聞いた。
あたしは首をゆっくりと振った。
シンジに抱きつき耳元で、
「…だめ。あたしが満足するまで放さない」
あたしは息が荒いままシンジに答えた。

295infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/05(土) 15:56:56 ID:???
シンジはあたしの顔を見た。
シンジ、あんたの目には何が映っているの?
あたしはどんな顔をしているの?
シンジ、あんたはあたしのこと如何思っているの?
友達なの?相棒なの?それとも只のうるさい同居人?
そんなことを思っていたら、あたしの視界がぼやけていく。
「もう一度…キスをして」
シンジはあたしの顔を見ながらキスをする。
シンジは覚えているだろうか?これは三度目のキス。
あたしは座ったままゆっくりとシンジを床に倒す。
唇を離し、
「シンジ、…あたしのこと好き?」
あたしはシンジ顔を見て聞いた。しばらくの間、シンジは黙っていた。
「…ごめん…アスカ分からない。好きかどうかなんて…」
シンジはあたしから目を離す。
「…でも、アスカが側にいると気持ちが落ち着くのだ。でも、いないとざわざわする。
アスカの笑っている顔が好き。怒った顔もちょっと好き。
でもアスカの悲しんでいる顔は見たくないし好きじゃない!
もちろん泣いている顔も…」
「シンジ」
「…でも、三度目のキスをしたとき…」
シンジは覚えていた。あたしは嬉しかった。
「アスカともっとキスがしたい。アスカを感じたい。抱きしめたいと思った。
ずっと側にいてほしいと思った」
「…シンジ…それって…」
あたしはそれ以上言うのを止めた。




296infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/05(土) 15:57:51 ID:???
「アスカは僕のことを如何思っているの」
シンジはあたしの目を見ていった。
「あんたバカ! ただの相棒で口うるさい同居人よ!」
あたしは震える声で言った。
「うん、分かっているよ。分かっているから…アスカ」
「…シ…ンジ」
シンジはあたしの頬を撫ぜる。
あたしは泣き崩れた。
シンジはあたしの頭を優しく撫ぜる
シンジはあたしが泣き止むのを待っていた。
「大丈夫? アスカ」
あたしはシンジの顔を見て、
「シンジ、もう一度優しいキスをして」
                      終劇
297名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 16:02:52 ID:???
       わ                   ー  i f さ          んが 来       た
                      乙でした
                  今 度    はア   スカ視 点で           書いたの で    すね
G   J で   し   た
298名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 16:03:48 ID:???
まぁでも普通に上手くはなっている
299名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 16:19:34 ID:???
これでうざい自分語りがなくなったら上出来なんだけどなww
300名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 16:23:27 ID:???
イイヨー!
301名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 16:40:54 ID:???
>>273
それ面白そうだな
偶然にもアスカに飼われてドキドキ生活
シンジが帰ってこなくなったアスカが猫シンジに心情吐露して
シンジがアスカの気持ちを知り〜みたいなベタベタ展開w
302名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 17:45:45 ID:???
甘ネタが似たようなのばっかりだし

ヒドい作品と少々マトモな作品の差が激しいしどーせなんかパクッてるんだろ>if
303名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 18:48:47 ID:???
>>273
確かに妄想を書き立てるネタだな。
304名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 20:05:32 ID:???
良くあるリツコのヘンチクリンな研究が絡んでくるとみたw
>>301みたいなの俺もみてみたいな
305猫シンジ:2009/09/05(土) 21:07:07 ID:???
「そういうわけでこの子をしばらく預かって欲しいのよ、ね、お願い」
「別にいいけどさ。私もあんまり世話できないわよ」
「そ、その辺は色々用意するから。今度おごるから」
 リツコさんがミサトさんに必死に頭を下げている声が聞こえた。
正直に『誤って僕を子猫にしてしまった』って言ってしまえばいいのに。
リツコさんは猫になってしまった僕に直ぐに戻すからって言って謝っていたけどいたけど
一体いつ戻れるのか少し心配だ。
「安い店じゃやーよ。で、この黒猫の名前はなんてーの?」
「名前? え、えーと、そう、シジ。この子はシジっていうの!」
 そんなわけで今日から僕の名前はシンジではなくシジになった。

「シジって変な名前ー。あたしならもっとカッコイイ名前付けるのに」
「昔の有名な映画にジジっていう黒猫がいてよ。そりゃもう凄い人気だったわ」
「それをもじってシジか。単純ねー」
 僕が無抵抗なのを良いことにアスカが僕をヒョイヒョイと持ち上げて遊んでいる。
引掻いてやろうかとも思ったけど、仕返しが恐くてやめた。
万一顔でも引掻いてしまったら僕の方が立ち直れないしね。
だから仕方なく無抵抗で遊ばれてあげている。うん、僕って大人。
「あ、こいつ雄だ。ほらミサト見て見てー」
 いやん。
306猫シンジ:2009/09/05(土) 21:07:52 ID:???
「シジ、ごはんよ」
 ソファーの上で休んでいるとアスカが食事を持ってきてくれた。
人間の時はせっつかれる立場だったし少し新鮮だ。
猫の食事と言えばキャットフードなんだけど、これを食べるのにはやはり抵抗がある。
でも食べなきゃ身体が持たないし、何よりアスカが近くで僕が食べるのをジッと待っている。
仕方ないよね、うん。モグモグ、薄味だけど結構美味しい。
「あ、食べた食べた。ちゃんと食べて大きくなるのよ。はい食後のミルク」
 目の前に湯気の立ち上る熱々のミルクをどうだと言わんばかりに置かれた。
アスカは猫舌って言葉を知らないのかな?
相変わらず飲むのを期待してジッと待っているけど無理だって無理。
「……(ジー)」
 仕方ない。ちょこッとだけ挑戦してみよう。猫が食わず嫌いしているかもしれないし。
ぺロッ―――
「みゃぁ――――!!!」
 熱い、マグマより熱い! 無理、絶対に無理!
転げまわる僕の周りでアスカがオロオロしていたけど、僕もそれどころではなかった。
不便すぎるよ猫の身体。
その後、アスカは僕が眠るまで涙目でずっと傍についていた。
なんとなく僕の方が罪悪感を覚えるのは何故だろう。

 予想はしていたけど猫はトイレに入れない。
カリカリと扉を引掻いても怒られて猫砂の上に連れて行かれた。
引掻いたのは謝ります。ごめんなさい。
もう猫のくせにトイレに行きたいとか思いません。
だからそこで見ているのだけはやめて。お願いだから。あぁーっ!
307名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 21:11:08 ID:???

「バカシンジのくせに連絡もよこさないなんて良い度胸ね。あたしの朝食どうすんつもりよ!」
 朝のキャットフードを用意しながらアスカが愚痴ってる。
僕の心配より朝食の方が大事なのかな? 目玉焼きくらい自分で作ればいいのに。
ん、今朝のミルクは温い人肌だ。これなら飲めるや。うん。
「……あんたは元気ねぇ。今日のミルクは美味しかった?」
 アスカにヒョイと持ち上げられた。夢中で食事してるあいだずっと観察されていたみたい。
猫の身体は慣れないな。結局アスカはずっと僕を膝の上に乗せていた。
ミルクを飲んだのがそんなに嬉しかったのだろうか?

「ちょっとシンジが行方不明って何よ! ただの外泊じゃなかったの?」
 丸一日たって僕が行方不明になったということがアスカの耳に入った。
リツコさんは適当に誤魔化すって独り言を言っててたけど全然誤魔化せてないじゃないか。
でも人に心配されるのって少し嬉しいかもしれない。
「それがジオフロントから出た形跡がないの。だからまだ何処かにいるか、連れ去られたか」
「連れ去られたかって、何であいつが!」
「エヴァのパイロットな上に碇司令の息子さんよ。理由なんてお釣りが来るわ」
 父さんは僕のこと、心配してくれるかな。
ううん。きっとエヴァとネルフを優先するさ。
でももしかしたら…心配してくれるかな。
「バカシンジのことだから迷子になってるに決まってるわよ! 探し出して取っちめてやる!」
 一緒にジオフロントを探すわよ、と僕のハンカチを持ってきて匂いを嗅がせてくる。
アスカ。僕、犬じゃなくて猫だよ。
308名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 21:12:14 ID:???
適当に浮かんだので簡単に書いてみた。
しかし限界。後は任せた。
309名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 21:34:10 ID:???
猫神様GJGJ!!可愛すぎるううう!!
そんなこと言わずに是非続きも書いて下さい!!
310名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 22:08:07 ID:???
ぬこシンジきゅん…///
311名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 22:52:01 ID:???
GJ!
仕事早いなぁw
312名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 23:02:07 ID:???
リクした者ですGJです!!
自分の予想以上にかわいいです…また続きをよろしくw
313名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 00:15:32 ID:???
if叩きいいかげんうぜえ。
314名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 02:21:25 ID:???
>>313
if乙
>>308
続き読みたいです。お願いします。
315infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/06(日) 05:21:19 ID:???
                  「苺」
             ある日曜日の夜
僕は漫画を見ていた。ふと窓から外を見る。そして僕はベランダに出て手を出した。
滴が手に落ちる。
「ん、…雨か?」
段々と滴が強くなって僕は部屋に戻った。窓から見えるくらいの大雨になる。
「ふう、お風呂は気持ちいいわね」
アスカがお風呂から出てきた。寝巻き姿で頭にバスタオルを巻いていた。
「シンジ如何したの? 窓を見ているけど何か見えるの?」
僕はその姿に見とれていた。僕は上の空、
「シンジ!」
アスカが呼ぶ声がした。「ああ、ごめん。雨を見ていたのだ」
「ふ〜ん、雨が降っているの」
そう言いながら台所に向かった。冷凍庫を開けて中を探っている。
「ねぇ、シンジ」「ん、なに?」
「アイスがないの。…あんたもしかして食べた?
あんたが食べたでしょう! いや絶対に食べた!」
アスカは僕を犯人扱いした。
「ちょっとアスカ! 僕を犯人扱いしないでくれる!」
まあ、僕がアイスを食べた犯人だけど。
アスカが僕の顔をじっと見る。僕は目を逸らした。
「やっぱり食べたのね!」
「ごめんアスカ」「あんたバカ!」
バスタオルを僕に投げつけた。
「うわ!…ふっ」顔に掛かる。僕は匂いを嗅いでしまった。



316infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/06(日) 05:22:53 ID:???
「風呂上りの楽しみを奪って、このバカシンジ」
「ごめんよ、明日買ってくるから」
アスカは僕の顔に掛かっているバスタオルを取り、
「だめよ。だめだめ。今すぐ買ってきてシンジ!」
「ええ、アスカ。外は大雨だよ! 濡れちゃうよ!」
「濡れればいいじゃない! アイスを食べた罰よ!」
「うう、許してくださいアスカ様」
僕は手を合わせてお願いした。アスカは少し黙りニヤリと笑った。
「じゃあ、あたしとキスをしてあたしを満足させてくれたら…」
僕の唇に人差し指をつけて、
「許してあげる」と言った。
「それで許してもらえるの? アスカ」
アスカは黙ってうなずいた。
「いくよ、アスカ」「きて、…シンジ」
僕はアスカの唇に近づいた。なんか、アスカって可愛いし良い匂いがする。
僕はキスをした。アスカの唇は柔らかい。僕は唇を離す。
「アスカ、…これで許してくれる?」
アスカは腕を組み考えている。
「…そうね。もう一回」
アスカは人差し指を出してそう言った。
「え! もう一回」「そうよ、さあ! 来なさいシンジ」
アスカは手を広げて僕を呼んだ。

317infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/06(日) 05:23:47 ID:???
僕は二度目のキスをした。
キスをしていたら舌が入ってきた。
あすかの舌が僕の口の中で踊る。僕はすぐに唇を離す。
僕はアスカの顔を見た。
「不合格よ」口調は優しかった。
満面の笑みで僕を見る。おまけに白い歯が見える。
僕はため息をつきながら玄関に向かう。
「イチゴ味のアイス2個ね。シンジ」
僕は後ろを振り返る。
アスカは人差し指を自分の唇につける。
「わかったよ。アスカ」
僕は傘を持って外に出た。雨は小降りになっていた。
終劇
318infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/06(日) 05:28:12 ID:???
184さん
どうでしょうか。正直な感想お願いします。
319infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/06(日) 08:29:52 ID:???
止めの一撃
320infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/06(日) 08:30:51 ID:???
  〔I want to think you about the moon again.〕
僕はベランダから月を眺めていた。僕は眠れなかった。
明日は綾波との食事会だから僕は眠れない、
「シンジ何しているの」
後ろから式波アスカの声がした。
「式波さん如何したのですか?」
「バカシンジ! アスカと呼びなさいと言ったはずよ」
あの夜僕は、式波さんから特別にアスカと呼んで良いと、許可された。
「ごめんアスカ」
僕は何も悪くはないけど謝ってしまった。
「すぐそうやって謝る。日本人の悪い癖ね」
「うう、すいませ…ぐぅ」
僕は慌てて口を押さえた。
僕はアスカに、何故こんな時間に起きているのか聞いた。
「私も少し眠れないのよ。明日は3号機の起動実験だから…」
そう言って少し黙った。
「バカシンジ、あんたは如何してなの?」
アスカが沈黙を破る。
「明日は食事会だから…」
「あ、そうか。それで眠れないのだ」
また少し黙った。なんか気まずい感じがした。
「なんか飲む? アスカ」
「冷たいジュースか、お茶か、どっちがいい?」
「ん、ジュースがいい。…ありがとう」



321infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/06(日) 08:31:56 ID:???
「はい、ジュース」
僕はアスカに渡した。アスカの小指が僕の指に触れた。
「ありがとう。バカシンジ」
僕はジュースを飲みながら、アスカを横目で見た。
アスカも僕を横目で僕を見ていた。
「何よ、バカシンジ! あたしのこと横目で見てなんか付いているの?」
「い、や、なんか、…月に照らされたアスカが可愛いと思ったのだ」
「バ、バカシンジ。何よ…行き成り、何も出ないわよ」
「いやいやいや。そうじゃなくてたまたまだよ」
僕は何を言っているのか分からなかった。
「はあ?」
アスカは首を傾げて僕を不思議そうに見ていた。
僕は話題を変えるために、
「見て! アスカ。月が綺麗だよ。君のように綺麗だよ」
「はあ?」
完全に失敗した。
まだ僕のことを不思議そうに見ている。しかも冷たい目で僕を見ている。
たぶんバカにしている。 誰か! 誰か助けてください。
また沈黙が流れた。僕のせいだ。考えろ! 何かあるはずだ。そうだ!
「明日の、起動実験成功するといいね」
「絶対に成功させる。成功させなければいけないのよ。
…あたしの居場所をそこしかないから。ヱヴァにしかないの」
アスカが言った言葉が聞き取れなかった。呟いていたから。
「ねえ、アスカ。起動実験が成功したらまた月を見ようよ」
「へぇ、あんたも言うわね。いいわよ」
「「〔もう一度あんた(アスカと)〔貴方と〕と月を見るわ(よ)〔みたい〕」」
               終
322infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/06(日) 08:35:17 ID:???
以上
お粗末でした。
323名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 08:53:35 ID:???
何で時たまキャラがバカボンのパパになるん?
つまんねぇよホントこれ
読んでてビックリした。本当に詰まらなかった。
もう駄目だと思った。もう本当に詰まらなかったわ…
324名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 09:00:27 ID:???
つか文章がキモすぐる
325名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 09:03:47 ID:???
今回のこれで>>293が盗作という説が濃厚になってしまったな
if、酷いよコレは。いくらなんでもレベル落ちすぎ
326名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 09:33:05 ID:???
俺だったらここまでスレの住人にけなされたら1週間は立ち直れない
でも1日経たずに「空気を壊します」と投下をするのがifクオリティ
これで自称社会人ってんだから可笑しな話だと思う
中学生の間違いでは?
327名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 09:52:35 ID:???
いまどきの中学生はもう少し書ける。
マンガをたくさん読んでるからね。
328infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/06(日) 10:06:41 ID:???
盗作?
そんな幼稚な真似は私はしないです!
何処と何処を見て盗作と言うのか教えて下さい?

>>327
漫画は面白いね
小説も面白いね。買いすぎだけど
329名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 11:26:47 ID:???
もうifにかまうのはやめろよ
他の人の投下待ってます
330名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 15:44:46 ID:???
エロパロのほうがLASだな・・・
331名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 17:48:33 ID:???
>>330
アスカってエロが似合うんだよね。でも、冷静に考えると中学生なんだよな
一寸ヤバい。アグネスに監視される
332ふぅ。:2009/09/06(日) 18:10:15 ID:???
去っていく背中を見届けて、腕を放した。
「ヒカリ、行きましょ。」
「う、うん…」
「おいちょっと待てよ!」
「なんなのよ!」
ふと頭にひらめいた。
「駅まで教科書持ってってくれたら連絡先教えてあげてもいいけど。」
「なんでそんなことしてま…」
「いやならいいわ!じゃあね!」

「ありがとー。三人分もお疲れさま。じゃ」
「ああ。」

「あっ…連絡先ぃぃぃ!」

電車に乗り込み、重い教科書を足元に置く。
「なにあのバカ!ほんと笑えるわ!」
「あんなことしてよかったのかしら…。」
「ヒカリ!あんたちょっとまじめ過ぎんのよ!
世の中賢く生きたもん勝ちなのよ。」
「そうかしら…。」
「にしてもあたしって結構もてんのね!」
スカートをひるがえして、ヒカリにぶりっこポーズを取って見せる。
「はいはい、でもアスカほんとにかわいいと思うよ。
目も大きいし、こう見えて結構かわいらしいとこあるしね。」
「こう見えてってどう見えんのよ!」
333ふぅ。:2009/09/06(日) 18:11:46 ID:???
そっか、あたしも自信もっていいのかもしれない。
ヒカリはいい友達だと思う。
そんなこと絶対に言ってあげないけどね。

「あしたから学校だねー!」
「かっこいい彼氏、かっこいい彼氏…」
「まだ言ってるの…?」

次の日はさっそく学校。長い春休みからだと気が重い。
「一年生は掲示されているクラス分けの紙を見てその教室へ行きなさい。」

「一組…やったー!アスカと一緒だよ!」
「一組かぁ。」

四階にある教室に行くと、中学時代の顔触れが結構揃っていた。
入学式のときに話しかけてきたやつは、同じクラスのそいつの友達によると、
二組で隣のクラスらしい。
どうしよう、あの様子じゃきっとまた絡まれる。
334ふぅ。:2009/09/06(日) 18:13:28 ID:???
そんなことを考えているとヤツは来た。
ニヤニヤとしながらあたしに話しかける。
「よっ。」
嫌い嫌い。このチャラチャラした感じ!
「この前教科書持ってやったんだから、連絡先…」
「もう!うっるさいわねー!それにしつこい!
男たるものもっとあっさりしなさいよ!
それに何でまだ名前も知らないあんたなんかに教えなきゃなんないのよ。
あたし携帯は持ってないの。わかった?もう話しかけないで!」
「俺のクラスにさぁ、碇って奴いるんだけど。そいつとなんかあったの?」
「えっ?」
シンジ…?
「入学式んときにお前がきょどってたやつだよ。」
「知らないわ!そんなやつ。」
「本当か?同じ中学だったらしいじゃん。何かあったんじゃないの?」
「何にも、ないわよ。じゃ、あたし次の授業移動だから。」
そうよ、何にもないわよ。ただあたしの頭がちょっとおかしくなっただけよ。
335ふぅ。:2009/09/06(日) 18:15:48 ID:???
「おまえー、階段そっちじゃねーぞー!」
「うるさい!わかってるわよ!」

「なんだあれ…わかりやすいやつ。」

「あと昼休みまで三時間もあるわ。」
「なーがーいー!!なんか高校生って思ってたより楽しくないわね。」
とその時、ロッカーの教科書を取り出しているシンジが見えた。
隣なんだ、クラス…。
「うそ、あれって…」
シンジと親しげに話している男は名前もまだ知らない入学式のときの男だった。
「あんなやつと仲良くなるなんて…」
「あれアスカ、まずいんじゃない?ウソついたこと、ばれちゃうよ。」
「だから今朝あいつの名前が出てきたのかしら…。」

憂鬱な授業も終わり、ヒカリを誘って帰ろうと思っていた。
「ヒカリ、今日ちょっとノート買い足しに行くから付き合ってくれない?」
「ごめんなさい、あたし、委員長立候補することにしたの。
でね、ちょっと先生に呼ばれていて…帰るの遅くなりそうなの。」
「あんたまたそんなの立候補したのー!?ほんとモノ好きもいるものよねぇ。」
「うん…ごめんなさい。明日は一緒に帰れると思う。」
「わかったわよ、じゃあね。」
「うんバイバイ、また明日ね。」
336ふぅ。:2009/09/06(日) 18:18:52 ID:???
ノートノートっ。
ついでにデパート寄っちゃおーっと。
靴箱の前で、新調したローファーがコンクリートの地面を蹴る音が響く。
「っとぉ。」
玄関の方を見て、ふと立ち止まった。

今日はやたらと会う。
「やぁ、アスカ。」
ちょっと声、低くなった?
「なによ。」
返事を返しつつも歩き始めると、ついてきた。
「池島君と帰らないんだね。」
「はぁ?誰よそいつ。」
「彼氏の名字も知らないんだ。」
「あー、そ、そうね。家の方向も違うし。」
池島っていうんだ、あいつ…。
「そうだっけ?駅ひと駅分しか変わらないって聞いたけどね。」
「…今日は、居残りだって。」
「そうなんだ。変わらないね、アスカは。」
ふと振り返ってみると、変わらない優しい顔が微笑んでいた。
「で、なんなの?なんか用事?」
「ん、用事?別にないよ。久しぶりに一緒に帰りたいって思っただけだよ。」
「どうしてよ。」
「別に理由はないよ。ただそう思っただけ。」
337ふぅ。:2009/09/06(日) 18:21:58 ID:???
駅まで来ると、あいつはきっぷを買うと言って売り場に行った。
「なんで?あんた定期は?」
「まだ、買ってないんだ。ちょっと忘れてて…えっと230円分と。」
千円札を入れるのを見たあたしは、270円と表示されたボタンを押した。
「それ違うよ、金額が…」
「ノート、買いに行くんだけど、ついてきてもいいわよ。」
「そういうことか、わかったよ。」
おつりを受け取って、ホームへ向かう。
反対車線の電車の窓に映る二人は、カップルのようにも見えて、少し恥ずかしかった。
なにやってるんだろう、あたし…。
赤くなった頬を見られまいと、差し込む夕陽でごまかすために陰から出て少し前へ乗り出した。
「危ないじゃないかぁ!そんな前出ちゃあ!」
そう言って手をひかれると、宙に浮いているような感覚がした。
「う、うん。」
触れた手は、温かかった。

ホームに電車がやってくる。
乗客はほとんどいないスカスカの車両に二人で乗り込んだ。
338名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 18:22:22 ID:???
支援
339ふぅ。:2009/09/06(日) 18:25:51 ID:???
と、ここまでです!
猫アスカ、おもしろかったです。
340名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 18:27:26 ID:???
>>339
GJ!続きも楽しみです
341名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 18:34:48 ID:???
GJです。また近づきつつありますねアスカとシンジの関係。池島君はどう動くのかも楽しみです。

ちなみに猫シンジですw
でも猫アスカっていうのも昔ありましねぇ
342名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 19:02:38 ID:???
>>339
GJ
続き気になるなぁw池島良いヤツだ〜
343名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 19:14:14 ID:???
普通につまんね
344名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 20:50:00 ID:???
どうしてもキンモクセイと被るな
345名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 21:38:13 ID:???
猫シンジ待つ
346名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 22:49:03 ID:???
>>339
GJ
待ってました!
347猫シンジ:2009/09/07(月) 00:00:12 ID:???
 バスに揺られて目指すはジオフロント。
最初は自分の足で歩いていたけどバス停までが想像以上に遠いこと遠いこと。
バスのタラップに飛び乗ろうとしたところでアスカに抱き上げられ膝の上に置かれた。
少し恥ずかしいけど他の乗客の迷惑になるから大人しくしておこうね。
アスカはぼんやりしながらずっと窓の外を見ていた。眠いのかな? 僕も眠い。

「申し訳ありませんが、許可無く動物をジオフロント内部に入れることは出来ません」
 まるで申し訳なくない顔の職員が僕を腕に抱いたアスカの入場を拒んだ。
当然の足止めなんだけど、僕って昨日はこの中から出てきたんだけどな。
烈火の如くアスカが怒っている。
機嫌が悪い時は誰にでも当たるのはやめた方がいいと思う。
なんだか寂しく見えるから。
僕に当たるのはいつもの事だし別にかまわないけどね。
「だったらミサトを呼んでよ。リツコでも良いから!」
「あ、赤木博士の猫殿でありましたか!? ど、どうぞお通りください」
 リツコさんの名前が出た途端、職員の態度があからさまに変わった。
やたらビクついていたけど一体なにがあったのかな。
ともかく僕とアスカは中に入ることが出来た。
ところで、広いジオフロントでここにいる僕をどうやって探す気なのだろう?
348猫シンジ:2009/09/07(月) 00:01:01 ID:???
 ジオフロント入口から歩いて三分、エレベーターで一分、更に歩いて五分。
研究棟は実験ルーム意外はあまり入ったことが無いけど、ここは別。
何せ昨日も来たから。そう、昨日こんなとこにさえ来なければ…
「入るわよー!」
「あ、アスカ!? きょきょ、今日は何の用かしら?」
 返事も待たずにドアを開けたアスカに明らかに動揺してるリツコさん。
必死でモニターを隠しているけど、僕を元に戻す研究をしてくれていたのかな?
ある意味一発で当たりを引いたのはアスカらしい。
「昨日のシンジの行動を見せて欲しいのよ。あるんでしょ、監視モニターとIDの使用記録」
僕らはぼぼ一日中、数人のSPに監視されている。
でもさすがにネルフ本部内ではフリーになるみたいで監視モニター頼みだ。
どこへ行くにもIDカードに記録が残るしね。
「ホッ…そんなものなら連絡をくれればデータを送ったのに。でも既に調査済みよ」
 改竄済み、の間違いではないだろうか?
データ画面によると僕はジオフロント内部の緑化地帯で消息を絶ったことになっている。
加持さんの農園がある場所だな。
「サンキュー、リツコ。さ、お前の出番よシジ! シンジの匂いをたどるのよ」
 だから犬じゃなくて猫なんだって。
349猫シンジ:2009/09/07(月) 00:01:55 ID:???
 自分探しをする僕。
言葉だけなら格好良いけど適当に時間を潰して帰るしかないよね。ホント。
固い床ばかり歩いていたから、ぬかるんだ土の感触が気持ちいい。
「シンジー! 隠れてないで出てきなさいよー!」
「にゃーん!」
「お前じゃないのよシジ。シンジ! いい加減にしないと怒るわよー!」
「にゃーん!」
 名前を呼ばれる度につい条件反射で返事をしてしまう。まあいいか。
「もう、いじけてないで出てきなさいよバカシンジ!」
 そんなに僕っていじけてるイメージがあるのかな。ちょっと悲しいけど否定できない。
でもこの辺りってもう捜索されてるんじゃないかな?

一時間ほど探し回って当然だけど収穫なし。さすがに可哀相だ。
もう帰ろうとスカートを引っ張ってみる。
「なぁに、疲れたの? だらし、ないわね」
 そう言うアスカも息を切らせている。声が掠れていた。
加持さんのスイカ畑へ案内した。たしか水道があったはずだ。うん、あった。
「ぷはぁー、生き返るー」
 冷水で顔を洗い、喉を潤したアスカが両手に水を貯めて飲ましてくれた。
ところで人がいないからって水を浴びすぎだよ。その、なんだ、色々透けてる。
350猫シンジ:2009/09/07(月) 00:03:34 ID:???
「一休みしたらこの辺をもう少し探しましょうか」
 アスカは僕がこの辺にいると決め付けているらしい。単純というかなんと言うか。
情報を鵜呑みにしたら駄目だよ。大人は嘘吐きだから。
「間抜けに怪我して動けないか、隠れて泣いているかのどっちかよ。絶対」
 やっぱり僕の評価はそんなもんか。普通は猫にされてるとは思わないもんね。
ペンペンペケペケ♪ ペペペンペケケ♪
「ヘロー! 何だミサトか。そう…何にも進展ないの。あっそう。 あ、あたし? 
あたしは公園でシジの散歩中よ。シンジなんて放っといても帰ってくるわよ。じゃね」
 そういってミサトさんからの電話を切った。
「まったく。誘拐なんてあるわけないじゃん。大体ミサトは心配しすぎなのよ。ねーシジ」
 アスカはもう少し心配してくれてもバチは当たらないと思うけどね。
薄々感じていたけど少し悲しい。
でもバカにしつつも探してくれるってことはやっぱり心配してくれてるのかな?
薄々感じてたけどアスカって言ってる事とやってる事が全然違うんだよな。
するなって言われたからしなかったのに、怒ったりさ。
「ほんっと。誘拐なんて…あるわけないのに」
 うん。ないない。ここにいるし。
もう一時間ほど無意味な捜索をして僕たちは泥だらけで帰路に着いた。
疲れたのか帰りのバスの中、アスカは無言だった。
怒ってるのかな? 
ごめんね。こんなことになっちゃって。
351猫シンジ:2009/09/07(月) 00:04:30 ID:???
この辺で力尽きてみる。

他の続きを仕上げないと…
352名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/09/07(月) 00:12:45 ID:???
GJ!猫シンジもアスカも可愛い…そして続きがすごく気になるw
353名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 00:32:47 ID:???
猫ジジ〜
アスカにどう説明すんだぁ〜
354名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 00:50:25 ID:???
可愛いなぁ…
355名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 01:14:23 ID:???
GJ!いいね〜猫シンジ
続き待ってるよ〜
356名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 07:27:27 ID:???
GJ!
リツコ頑張れw
357名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 17:12:16 ID:???
GJ!ここまで素晴らしい作品になるとは思わなかったw

リクした人にもGJだ
358猫シンジ:2009/09/07(月) 18:50:30 ID:???
>>350の続き

 もう夕方。
世間は夏休みで遊びへ行く人も多いのに僕らは泥だらけ。
バス停からはアスカの腕に抱かれて帰った。
情けないけど子猫の身体は体力がない。
でも決して僕の体力がアスカに劣るわけじゃないと思う。
この身体が悪いんだ。うん、そういうことにしておこう。
ピンポーン! ピンポーン! ピンポンピンポン!!!
アスカが我が家の呼び鈴を乱暴に押してる。もしかして鍵、忘れたの?
今日の予定ではミサトさんはまだ帰っていないはずだ。
「…………」
 しばらくしたら鍵を取り出してドアを開けた。持ってるなら最初から開けなよ。
変なところで面倒くさがりなんだな。
「たっだまー!」
「にゃにゃーん!」
 お帰りーっと返事をしといたけど、また玄関で立ち尽くしてる。
「………………………ふんっ!」
 出迎えがないからって乱暴にドアを閉めたみたい。怒りっぽいなぁ。
僕もミサトさんもいなかったら誰もいないに決まっているじゃないか。
理不尽だよアスカ。
359猫シンジ:2009/09/07(月) 18:51:26 ID:???

「無駄に休みを浪費しちゃったわね、シジ。まあ良い暇潰しになったけど」
 アスカは座って靴を脱ぎながら少し自嘲気味に言うと
「…一人でどこでも好きに遊びに行ってればいいのよ!」
 いきなりドアに靴を投げつけた。危ないなぁ。物に当たるのはよそうよ。
でも少しアスカの愚痴も分かる。
僕らは使徒襲来の備えていたせいで修学旅行にもいけなかった。
きっとこの夏休みも作戦以外ではどこにも出かけられずに終えるのだろう。
僕は毎年のことだから気にしないけど、アスカは可哀相だ。
勝手に行方不明になったのは悪いと思うけどそれを隠すリツコさんの方が悪い。
猫になったなんて無茶苦茶だけどみんなに心配かけることないじゃないか。
そうだ。後でどうにか僕はここにいるとアピールしてみよう。
その辺のカゴの中に放り込まれてそう決心した。肉球でキーボード打てるかなぁ?
「あー、もう。汗と泥でベッタベター! 気持ち悪ーい!」
 僕も汗だらけで少し気持ち悪い。しばらくすれば乾くだろうけど。
スルスル、ストン、ポイ、ファサ…
 ん、何か布がたくさんカゴに放り込まれてきた。タオルで身体を拭けって言うのかな。
猫に対して無茶苦茶するな。ってなんだこれ? にゃにゃにゃにゃんだこれ!!
顔を上げるとタオル一枚になったアスカが棚から洗剤などを漁っている。
どうやら僕が放り込まれたのは脱衣カゴだったらしい。
てことはこの布は……これはさすがにヤバい!
僕はカゴから飛び出して脱衣所の折り畳みカーテン式の扉を開けようとカリカリ引っかいた。
罪悪感もあるけどもしも正体がバレたら半殺しじゃ済まない。
「ほーらほら。シジ、おいでー」
 逃げ回る僕に対してアスカが最終兵器を持ち出した。帰り道で取ってきた猫じゃらし。
悪いけど僕、本当は猫じゃないから。そんなものに興味はないんだよ。
「猫が風呂嫌いなのって本当なのねー。こらっ、泥だらけで暴れないの!」
 うう、あっさり捕まってしまった。猫の本能が悪いのであって、僕は悪くない。
でも捕まって一緒にお風呂に入ることを少し期待してたかもしれない。
360猫シンジ:2009/09/07(月) 18:52:45 ID:???

 熱い熱い熱いー! マグマの中に飛び込んだ時よりも熱いってば!
「じっとしてなさいよ。もうっ!」
 アスカが暴れる僕にお湯を掛けて乱暴に洗っている。
人間のお風呂と同じ温度はキツイ。ほんとにキツイ。お願い早く気づいてー!
「ちょ、ちょっとシジ。シッカリしなさいよシジ!」
 ようやくグッタリした僕を見て温度が高かったことを悟ってくれたらしい。
水に近いぬるま湯を入れた洗面器に浸かる僕。はー、極楽極楽ビバノンノン。
「ビックリした。ホントにあんたってひ弱なのね」
 身体を洗い終わったアスカが浴槽の中から僕の背中をつついた。
背中を向けているのは僕が紳士だから。やっぱし覗きは良くないよね。
「にゃーん」
 ごめんなさい。凄く見たいです。でもバレた時が恐くて振り向けない。
何か卑怯な気がするし、バレなくても元に戻った時に顔をまともに見れないかもしれないし。
記憶に焼きついて悶々としたら如何していいか分からないし。
幻想は幻想のままにしておこう。
そうさきっとそれがお互いにとって最良の道さ。
「あいつ誘拐したって何の価値もないのにねー。どうせすぐひょっこり帰ってくるわよねー」
 指でツンツンされる。うんうん。価値がないのは認めるけどね。
やっぱり少しは気にしてくれてるのかな。
「あたしってば、あいつがいないと御飯も何にも出来ないのよねー。不便よねー」
 そう繰り返すと湯船に浸かってブクブク沈んだり浮いたりしてる。
少しは家事が出来ない自覚があったんだな。言ってくれればいくらでも教えるのに。
「にゃっ」
 ところで僕は一つ大事なことを忘れていた。
それは僕がとっても意思の弱い人間だということ。
ふう。人間は何故、争いなどするんだろう。
361猫シンジ:2009/09/07(月) 18:54:57 ID:???
 夜。リビングの脇に積まれた余った座布団が僕の寝床。
だったんだけど何故か僕はアスカの部屋にいる。
アスカは夕食をレトルトで済ました後、僕を膝に乗せてずっとニュースを見ていたんだけど、
そのままの流れで部屋まで連れてこられたみたい。
小さな子がヌイグルミを手放さないような感じだ。
よっぽと良いオモチャなんだろうな僕。
ベッドの中でも僕を持ち上げたり、下ろしたり。
はい右手を挙げて、左手挙げて、ぐるっと回って良く出来ました。
ホントに僕、ヌイグルミみたい。
「あいつ直ぐに帰ってくるわよね?」
『もちろんだよ』
「あたしがついてないと駄目だもんね」
『そう。アスカが一緒じゃないと何も出来ないんだもん』
 もちろん僕が喋ったわけじゃなくてアスカが僕のセリフをアテレコしてる。
一人でペットと会話か。他のヌイグルミでもそうやって遊んでいるんだろうか。
結構女の子らしいところもあるんだね。
僕も昔やったことがあるけど、凄く寂しかったな。
「あいつ、あたしのこと嫌いなのかな?」
『大丈夫。きっとアスカのこと大好きだよ』
「当然よね。あたしは…別にどうでも良いけど」
 ちょっとだけ期待したんだけど。自意識過剰かな、僕。
『きっと今頃はアスカの顔が見れなくて泣いているよ』
「シンジ、どっかで泣いてるのかな…」
「にゃーお」
 鳴いてみた。肉球でプニプニしてみる。
「よしよし。慰めてくれるのね。お前はシンジと違って優しいわねー」
 それっきり何も言わないでアスカは眠りについた。
僕はいつだってアスカに優しくしてきたと思ってるんだけどな。
362猫シンジ:2009/09/07(月) 18:57:16 ID:???

 それから三日が過ぎた。まだ僕は猫のままだ。
アスカは喧嘩相手がいなくて退屈なのかボーとニュースを見たりして過ごしている。
時折りミサトさんと連絡を取っては溜息をついていた。
元気ないな。僕も一人ぼっちの休みは寂しく暇を持て余らせてたっけ。
猫の身ではアスカの周りをグルグル回ったり鳴たりじゃれつくことしか出来ない。
「あ、もうお昼だ。最近、早いな…」
 珍しくアスカが台所へ立った。
普段はレトルトが出前で済ませてるのに、とことん暇なんだろうか。
野菜炒めでも作る気か野菜を取り出し、包丁を構えた。
凄い嫌な予感がする。
以前、調理実習の予習がしたいというので包丁を教えたけど、ものの見事に指先を切った。
涙目の凄い形相で血の滲む指を突きつけ「責任取りなさいよ!」と無茶を言われたっけ。
それで大急ぎで消毒して絆創膏で手当てをしたけど何か不服そうに膨れていた。
今回は大丈夫だといいな…
「ったーい!!」
 大丈夫じゃなかった。料理開始から5分も立っていない。こうも予想通りだと泣けてくる。
アスカは切った指先を持ち上げるようにしてその場に座り込んでしまった。
ほら、早く消毒して手当てしないと。
「痛い…痛いよぉ……シンジぃ、早く手当てしてよぉ…」
 意外にも泣きだしてしまった。そんなに傷が深いんだろうか。
でも僕に手当てしろって言うのは無茶な話だよ。
363猫シンジ:2009/09/07(月) 18:58:24 ID:???

 とにかく大急ぎで戸棚の上の救急箱を取りに行く。
駄目だ、まったく背が届かない。不便だな、猫の身体。
一か八か、壁に掛っている洋服に爪を立ててよじ登り、救急箱へ飛び移る。
ガシャーン! 
 救急箱と一緒に転げ落ちながらも見事着地に成功。便利だな、猫の身体。
肉球では開けられないけれど落下の衝撃で箱はバラバラ、結果オーライ。
消毒液と絆創膏を咥えて、さあ急げ。
 台所ではアスカが大声で泣いていた。
普段は気を張っていて弱いところを見せないけど、やっぱり女の子なんだよな。
何もしてやれない猫の身が恨めしい。
「にぁーお」
 絆創膏を置いて傷口から流れる血を舐め取ってやった。
何だ、傷は浅くてちょっぴりじゃないか。こんなので大泣きするなんて大げさだな。
「シジ…うわぁぁぁん…」
 良く分からないけど泣き続けるアスカに抱きしめられた。
やっぱり寂しくて不安なんだろうな。
ミサトさん、もう少し家にいてあげれないのかな?

「もー、シジ何やってんのよ! 片付けが大変じゃない!」
 騒動が一段落した後、僕はバラバラにした救急箱を片付けるアスカに怒られた。
消毒液と絆創膏は食器棚の引き出しに放り込んで、残りは適当に戸棚の引き出しへ。
これを片付けるとは言わないと思う。
「まあ、頑張ってくれたんだからいっか。ありがと。あいつもあんたぐらい気が利けばねー」
 やってる事はまったく変わらないと思うんだけどな。
もしかしたら僕は自分で思っているほどアスカに優しく出来ていなかったのかもしれない。

 帰宅したミサトさんが破れた洋服を見て悲鳴を挙げたのはまた別の話。
364名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 19:00:17 ID:???
 思ったよりも数段書き易かった猫シンジ。
続きも早いうちに書けるといいな。
365名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 19:01:34 ID:???
>>364
GJ!アスカがめちゃめちゃかわいいw
366名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 19:04:03 ID:???
GJと言わざるを得ないな
アスカ可愛すぎシンジも可愛いけど、いつも通り鈍感だなぁw
続き待ってるよ〜
367名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 19:27:56 ID:???
GJ!
アスカの行動が凄い可愛い。
でも鈍感シンジは理不尽にしか見えてないのが少し切ない。
しかも紳士って言ったくせにしっかり賢者モード入ってやがるしw
368名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 12:25:16 ID:voM41zHg
>賢者モード
意味不明だった風呂の最後が理解できたw
369名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 17:57:22 ID:???
アスカが指先切った程度で泣くとは思えんw
370名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 17:57:25 ID:???
なんて可愛い作品なんだ…ヤバすぎw
もうアスカの行動一つ一つが切ないね
そして鈍感猫シンジがまたヤキモキさせてくれる
371名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 18:06:35 ID:???
>>369
一人暮らしで高熱出して風邪ひいてみ?
熱の苦しさよりも、虚しさとか寂しさとか怒りとか色んな感情が溢れてきて、泣きそうになるよ。
多分アスカも痛くて泣いたわけじゃない。
372名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 18:06:57 ID:???
>>369
アスカは強がっているだけに人が見て無い所では弱気になるんじゃないの?
373名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 18:08:10 ID:???
>369
もうちょいよく考えろ
374名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 18:21:08 ID:???
>369
前に手当てして貰ったという回想は何の為かと。
寂しいのを我慢してたのが噴き出したとかだと思われ
375名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 18:40:36 ID:???
これらを全部スルーしてるシンジの平常心凄ぇ。俺なら萌え死んでる。
自分の行方不明を大事と思っていないのが原因なんだろうけど。
376名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 21:20:41 ID:???
つまんねwww
377名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/09(水) 08:54:29 ID:???
猫飽きた
378if:2009/09/09(水) 17:51:58 ID:???

379猫シンジ:2009/09/09(水) 21:16:47 ID:???
>363の続き

「私の一張羅が―――ッ!!」
 帰宅したミサトさんが悲鳴を挙げた。
壁にかけてあった高そうな洋服が僕の爪でビリビリになってしまったのだ。
不可抗力なんです。本当にごめんなさい。
「ぬぁんてことしてくれるのよー!」
 僕を片手で摘みあげたミサトさんが涙目で訴えている。とりあえず鳴いて誤魔化そう。
「にゃにゃにゃーん」
「泣いてもダーメッ!」
 駄目っぽい。アスカやリツコさんなら一発で機嫌を直すネコボイスが通用しない。
ミサトさんは猫派ではなく犬派なのだろうか。リツコさんと良く口論してるし。
「ミサトこそシジに何すんのよ!」
 アスカが吊るされている僕をひったくった。こういう時は頼りになる。
「だーってぇー!」
「服なんてまた買えばいいじゃない! ところで捜索の方、なんか進展あった?」
「いやぁ…。それがねぇ。何といっていいか…」
 歯切れの悪いミサトさんが作り笑いを浮かべてアスカを見た。
大人って都合の悪いことはハッキリ言わないことが多い。
「分かってるわよ。今日も何の進展もないんでしょ。ネルフの情報網もたかが知れるわね」
 そうアスカはプイッとミサトさんに背を向けた。ここ最近、毎日のことだ。
これでも最初に比べると随分と大人しくなったよ。
「ちょっとぉ、アスカどこ行くのよ?」 
「シジと一緒にお風呂。夕飯はレトルトがあるから自分で温めて食べてよね」
「一緒にお風呂〜? 随分仲良くなったわねぇ〜」
 必死に逃れようとしている僕を無視しないで。
決して僕の意思で一緒にお風呂に入ってるんじゃないから。本当に本当だよ。信じて。
380猫シンジ:2009/09/09(水) 21:17:30 ID:???

 ふう。今日も良いお風呂だった。あ、湯加減のことね。
なんで普通の猫はお風呂が嫌いなのか不思議でしょうがないよ。
湯上りのぬるいミルクなんて最高だと思うんだけど。
「んー、やっぱカレーにはスーパー豚骨ラーメンが合うわよね〜。あ。これリツコから〜」
 上機嫌のミサトさんがネコ缶を差し出した。その派手な包装の缶詰には見え覚えがある。
たしか1缶で超高級ステーキ肉が買えてしまうような贅沢品だ。
こんなの誰が買うんだよと買物の度に思っていたけど、いる所にはいるんだね。
「へぇー気が利くじゃん。うっ……」
 ネコ缶を受け取ったアスカが顔をしかめた。場違いな高級品に驚いたのかな?
どんな味かと少し興味はあったけど実際に食べる日が来くるとはね。
人生って本当に何が起こるか分からないよ。
「……ミサト、お酒飲んでるの?」
 そりゃあ飲むさ。ミサトさんだもの。
ここ数日は朝が早いのか飲んでなかったみたいだけどね。
でもビールにカレー掛け豚骨ラーメンは見ているだけでも胸焼けしそう。
「リツコから高級ワインをせしめてね〜。アスカも少し飲む? 未成年だからちょっとだけよ」
「いらないわよ、バカッ!」
 凄い剣幕で怒鳴るとドスドス足音を鳴らせて自分の部屋に入ってしまった。
ミサトさんの酒癖の悪さなんて今に始まったことじゃないし、そんなに怒らなくても。
そうとうイライラしてるな。
「あっちゃ〜、怒らせちゃった〜。ほ〜らほらネコ缶はあちら〜。後は任せたわよ〜ん」
 とミサトさんが僕の背を押した。追いかけろってことですか。
猫に無茶な要求をするなぁ。これだから酔っ払いは困る。
「にゃおーん」
 とりあえず返事をしてアスカの部屋へ向かおう。
でも飲みすぎると明日に響きますよミサトさん。
「頑張ってね〜ん」
 ちぇっ、笑顔で手を振ってるし。完全に出来上がってるね、あれ。
381猫シンジ:2009/09/09(水) 21:18:40 ID:???

「にゃにゃにゃーん」
 アスカの部屋のドアをカリカリ引っかく。爪跡を残こす怒られるから慎重に慎重に。
程なくして僕はアスカに招き入れられた。
室内は短期間とはいえ僕が使っていた時の面影は残っていない。
よく見ると割りと女の子っぽい部屋だよな。
ここ以外は知らないけどこういう物なんだろう。多分。
少なくともミサトさんの部屋は例外だと思いたい。
「あぁ、シジのネコ缶持って来ちゃったてたんだ。お皿も缶切りも無いからまた明日ね」
 ちょっとガッカリかな。台所に取りに戻ればいいのに。
でも流石にミサトさんがいる内は気まずいか。
アスカもまだ怒っているみたいだし。
「何よ。お酒なんか飲んでさ。どうせ残業だって言っても遊びまわってるに決まってるわよ」
 そこまで言わなくても。あれくらい毎度の事じゃないか。
アスカってイライラしてると本当に人に当り散らすなぁ。
「もう少し真剣だと思ってたのに……大人なんか大ッ嫌い!」
 そう言ってアスカは壁を何度も殴りつけた。
もう僕には何に対して怒ってるのかすら分からないよ。
女の子は月に数日、無意味にイライラする日があるってリツコさんが教えてくれたけどそれかな?
とにかく怪我してしまう前に止めようと僕は必死で鳴いてスカートを引っ張った。
「ごめんね、恐がらせたりして。もう大丈夫だから」
 アスカは手を舐める僕にそう言って笑っていた。
ホントに大丈夫かな。早めに仲直りしてよね。
「もうミサトなんかに何の期待もしないから」
 駄目だ。早く何とかしないと。
382猫シンジ:2009/09/09(水) 21:19:41 ID:???

『今朝4時頃、市内北部のJAGIビルの屋上で男性の惨殺死体が発見されました。』
「……!?」
 朝のニュースを見ていたアスカが茶碗を引っ繰り返した。
『男性は現場に残されていた散弾銃で頭部を撃たれたものと見て、当局は捜査を……』
 殺人事件か。この近くみたいだ。段々物騒な世の中になってきたね。
でもアスカにはネルフのSPが護衛しているから安心だね。
僕がついてる、って猫じゃない時でも言えないのは悲しいけどさ。
だから震えないでも大丈夫。
一人の時は本当に普通の女の子っぽいんだね。大発見だよ。
『男性は身長190cmほど、胸には七つの傷があるそうです。続きまして今週の占いは……』
「…………ホッ」
 アスカは最近ニュースばかり見てるけど明るい話題は少ないなぁ。
メシア教とガイア教の紛争が悪化したり、CFGPXじゃ有力選手の事故が多発したり。
えーと今週の星座占いは……末吉か。いや信じないけどね。当たったことないし。
 何々『思わぬ残業が発生。隠し事はせず素直に謝りましょう』かフムフム。
うーん。謝ろうにも謝れない人、いや猫はどうしたら良いんだろう?
「星占いなんて非科学的よねー。良い歳した大人が信じるなんてバッカじゃないの」
 冷静に考えなくても人の運命を星座で12種類に分類するなんて無茶だよね。
どうせ娯楽だから良い時だけ信じようよ。当たったことないけど。
「中吉……『失せ物は身近な所に。無口なあの人が幸運の鍵かも』か…」
 結構気にしてるじゃないか。何だかんだ言っても女の子は占いって大好きだよね。
ピッポッパ。プルルルルル……
「あ、リツコ? あたしだけどさ、ファーストは…分かったネルフ本部ね。サンキュー」
 綾波が幸運の鍵って言われるとそんな気もするけど、また喧嘩しないか心配。
もっと仲良くしてくれるといいのに。何でいつも突っかかるんだろ?
でも塞ぎ込んでいるよりは絶対いいと思う。僕も久々に綾波の顔を見たいし。
「あんま会いたくないけど……あの子、碇司令から何か聞いているかも……」
 そんな理由で僕らは幸運の青い綾波探しに向かうのであった。
383猫シンジ:2009/09/09(水) 21:22:58 ID:???

 数日振りのネルフ本部。
ジオフロント入口の職員はアスカではなく僕に挨拶して通してくれた。
一体リツコさんからどんな命令を受けてるんだろう。
普段から猫の出入りが激しかったりするのかな。
そんなことを考えているうちに研究室へ。
「早かったわねアスカ…。あ、おいでおいで」
 中で待ち構えていたのは目に凄いクマを作ったリツコさん。
アスカから僕を抱き取ると思う存分もふもふ感を楽しんでいる。
ちょっと照れ臭い。ついでにタバコ臭い。見ると灰皿は凄い山盛り状態だ。
UCCコーヒーの空き缶も大量に積んである。ん、缶に父さんの似顔絵がプリントされてる。
ネルフの自販機だからって缶に自分の似顔絵を入れるとか、結構目立ちたがりだな父さん。
「凄い顔ね……この間からずっと本部に泊まってんの?」
「ええ。急ぎの仕事が詰まってるけど、シンジくんの件も無視できないし、さすがにキツイわ」
 ちゃんと僕を元に戻す研究してくれてるんだな。感心感心。
放置されてそうで少しだけ恐かったけど安心したよ。身体に気をつけて。
「…ミサトに聞いてないの?」
「聞いたわよ。何の進展もないんでしょ」
「…そうね。あまり進展はないわ。ところでレイに何か用事があったんじゃなくて?」
「別に用事があるわけじゃないけど、あの子がどんな顔してるか見とこうかなって」
「あらそう。ここ最近は朝からジオフロントを散歩してるわよ。今は…VF-1Sブロックかしら」
 そう言って素早く綾波の現在地を調べ上げた。
プライバシーも何もないなホント。
でも綾波の夏休みって想像もつかなかったけど、意外と健康的に過ごしてるっぽいな。
よく本部内のプールで泳いでるらしいし。今度僕もプールに行こうかな。
別に綾波の水着姿が気になったわけじゃないよ。うん。
この猫の身体能力なら泳げるような気がするんだ。
「緑化地帯のS1ね。サンキュ、リツコ。ほらシジ、いくわよ」
 アスカは僕を奪い返して研究室を後にした。
そういえばネコ缶の御礼を言うのを忘れてたな。まだ食べてないけど。
384猫シンジ:2009/09/09(水) 21:25:05 ID:???

 VFエリアに向かう途中でテクテク歩いている綾波を見掛けた。
「にゃー…んぐ!?」
 鳴いて呼ぼうとしたら口を塞がれた。
隠れて物陰から観察する気だね、アスカ。僕も少し興味はあるけど。
綾波は部屋を端から覗いたり、窓から外壁を見回したり、通路のゴミ箱の蓋を開けたりしてる。
何やってんだろ。まるで初めてこういう場所に来た子供みたい。
そういえば停電の時に、本部の構造は頭に入っているって言ってたっけ。
あれはこうした地道な努力から出た言葉だったんだね。
僕はあの時、地図を見ただけですぐ覚えられる人はいいな、とか思ってたよ。ごめん。
「あんた、何やってんの?」
「フロアの確認……それは?」
 綾波が僕に興味の目を向けた。凄い不思議なものを見るような目だ。
猫が珍しいのかな。それともアスカが猫を抱く姿が珍しいのかな。
「にゃおーん!」
 普段冷静な綾波がビクッと驚いた。前者だったらしい。
驚いた綾波も可愛いな。猫になってからみんなの色々な表情が見れてるよ。
「なに…これ?」
「何って、猫よ。リツコの飼い猫。名前はシジっていうの」
「これが…猫?」
「猫も知らないわけ? あっきれたぁ。んじゃ、これ持って」
 はい、と渡される最終兵器・猫じゃらし。
よく分からないという表情をした綾波の手でゆらゆら揺れている。
だから、そんな物で、この僕が、どうにか、なるとでも、わわわ落ちる!
「ほーらほら、暴れないの」
 アスカから腕から回転して降りた僕。どうしても猫の本能が強い部分があるみたい。
そのおかげで高いところから落っこちても無事で済んでいるんだけどね。
385猫シンジ:2009/09/09(水) 21:26:32 ID:???

 綾波が猫じゃらしを右に左にやる度に飛びついてしまう僕。
「にゃっにゃ! にゃにゃにゃ! にゃにゃにゃっにゃーん!」
「……………………♪」
 すっかり気に入ったのか綾波は一心不乱で猫じゃらしを揺らしている。
なんだか楽しそうだ。綾波にもこういう一面があったんだな。
その横でアスカは『どう凄いでしょ』と言わんばかりの得意満面な顔をしていた。
リツコさんの『猫は全人類を幸福に導く』という主張は正しいのかもしれない。
でもいい加減、体力的にキツくなってきたよ。
「ところでさぁ……」
「あ……」
 はい終了、という風にアスカが僕を後ろから抱きかかえた。
綾波がオモキャを取られたような顔をしている。ついでにその猫じゃらしも仕舞って欲しい。
「シンジのこと、碇司令から何か聞いてない?」
「……『お前が心配する必要はない』とだけ」
 やっぱり父さんは僕なんて心配していなかったんだ。予想はしていたけど少し悲しいよ。
せめて息子が誘拐されたら、自分に脅迫状が来るかもしれないくらい考えようよ。
「相変わらずドライな親ねぇ…。まあ、あの司令じゃ知ってても情報はくれなさそうだけど」
 僕にはどうでも良い扱いされてるとしか思えないよアスカ。
普通の親ならもう少し真面目に心配とか捜索とかをしてくれるよ。
「……赤木博士はジオフロント内から出た形跡はないと教えてくれたわ」
「へぇー、それで朝からお散歩ねぇ…」
 もしかして綾波も僕を心配してくれてたのかな。
もしそうなら薄情な父さんのことを聞いた後だけに嬉しいよ。
そんな綾波をアスカがジトーッとした目で見てる。
喧嘩はしないでね。今の僕じゃ止められないから。
「その子のお昼御飯、まだなの。食堂に連れて行くんだけど、あたし少し疲れたから」
「え…?」
「あんたが抱いてきなさいよ」
386猫シンジ:2009/09/09(水) 21:27:37 ID:???
 ほいっと僕は綾波に手渡された。綾波が慌てる様が良く分かった。
目を白黒させながら取り落としそうなった僕を必死で抱きしめてる。
く、苦しい……助けて……
「ちっがーう! あたしがしてたように持つの。痛くしないように、こう!」
「こ、こう?」
 女の子に抱きしめられて胸の中で死ぬとか、言葉だけは格好良い死に方をするところだった。
「……この子、温かい。ポカポカする」
「あったり前でしょ。生きてるんだから」
「生きてる……」
 綾波が優しく僕の頭を撫でた。それに答えてにゃーんと鳴くと何度も何度も撫でた。
ネルフで育てられたみたいだから動物に触れるのは初めてなのかな。
二人が仲良くなるきっかけになれて僕は嬉しいよ。
「ほら、ボーっとしてないで。さっさと行くわよ」
 そんなこんなで食堂の前。ミルク以外に食べれるメニューあったかな。
とにかく一緒に食事をすればまた一つ仲良くなれるさ。
ペンペンペケペケ♪ ペペペンペケケ♪
テーンテテンテテン♪ テテンテン♪
 二人の携帯が同時になった。この展開はまさか……
「ヘロー、ってミサトか。いったい何の用……使徒ですって!?」
「了解、直ちに出撃準備に入ります」
 やっぱり出撃か。使徒も夏休みの後に侵攻するとか少しは空気読んで欲しいよ。
「ちっ。急ぐわよ優等生!」
「ええ…この子は?」
「誰かヒマそうな人に預けといて!」
「分かったわ…」
 二人とも怪我しないでよ。もしも何かあったらリツコさんに化けて出るだけじゃ済まないぞ。

「碇…・。その猫は何だ?」
「問題ない……」
 あやにゃみぃぃぃぃぃぃ――――!!!
387猫シンジ:2009/09/09(水) 21:29:53 ID:???
今回はこの辺で。
出来れば次も早いうちに。
388名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/09(水) 21:31:23 ID:???
おっつ!
389名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/09(水) 21:33:55 ID:???
ジャギまさかのゲスト出演wwww
GJでした!続き待ってるよ〜
390名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/09(水) 21:41:26 ID:???
なんとなくオチが読めたんだけど、っていうか、
ここにいるヒトの大部分は読めてるんだと思うんだけど・・・、
いい意味で裏切ってくれることを期待しています。
391名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/09(水) 21:43:50 ID:???
早く人間に戻ってくれ。
392名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/09(水) 22:09:11 ID:???
乙乙
おもろいっス
雑音は気にせずに続き頑張って
393名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/09(水) 22:12:09 ID:???
GJ。こういう高橋留美子っぽい感じは大好き。アスカがレイに優しくしてるネタも大好き。
北斗とメガテンとサイバーフォーミュラ? 世紀末と新世紀だなw

>>391
鈍感すぎて全然進展してない展開だし、人間に戻った所で終了じゃないかな?
394名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/09(水) 22:14:03 ID:???
先の展開予想は職人のさまたげにしかならんぞ
395名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/09(水) 23:19:18 ID:???
面白い。
けど新鮮味がなくなってきたからかLAS的な可愛さが消えて
ネタ的な面白さに変わりつつあると思う。
どっちでも大歓迎だが。
396名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/10(木) 01:48:33 ID:???
めちゃくちゃツボです猫シンジ!マジで最高w
普段から振り回され役のシンジだけど、猫になることによってそれが良い意味で何倍もアップしてるんですよね。
素晴らしいです。
397名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/10(木) 08:19:38 ID:eaDcghar
最後でメチャワラタw
綾波から見てもヒマそうに見えるんだなマダオ
398名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/10(木) 15:26:12 ID:???
つまんね
399if:2009/09/10(木) 15:31:24 ID:???
そろそろ出番のようですね…
400名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/10(木) 18:47:04 ID:???
猫になったシンジがアスカの一人Hを見ちゃう
展開希望
401名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/11(金) 16:03:41 ID:???
シジ=シンジだということを知ったアスカのリアクションが楽しみ
402名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/11(金) 20:07:19 ID:???
十日町
403名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/11(金) 22:29:59 ID:???
ジャギの意味がよくわからん。ただのネタ?
404名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 04:29:11 ID:???
お初。お手柔らかに



いつも通りの朝。アスカと一緒に登校だ。 
それにしても今日の朝ご飯はひどかったなぁ。バナナ一本だなんて・・・。まぁアスカが当番だから仕方ないか。

「ほら、さっさと歩きなさいよ!」
「ご、ごめん」
「ほんっとどんくさいわねぇ あんたがバカ脱出する日なんて一生来ないとおもうわ〜」

僕が考えごとしてるといつも声をかけて、・・いや怒鳴りつけて来る。仕方ない、適当に相手しよ。
考えてみればミサトさんやアスカと暮らすようになってから半年くらいか・・・。にもかからわずアスカの僕に対する態度はほとんど変わらない。・・ったくいい加減うんざりだよ〜。毎日使われて、バカにされて、蹴られて。
でもアスカを本気で嫌わなかった僕がいたのはホントの事。
それどころか時折見せる可愛らしい笑顔を見る度に、幸せに近い感覚が僕の中に生まれた。
僕とアスカって何なんだろ?


学校に着き教室に入ると、綾波がすでに来ていて読書していた。
「綾波おはよう」
「碇君。・・・おはよう」
僕が挨拶すると綾波は本をしまう。
「ごめん、邪魔しちゃったね。続けて!」
405名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 05:03:32 ID:???
「いいの。それより碇君と話がしたい」
最近綾波と仲が良い。(僕が思ってるだけかもしれないけど)
前に比べてかなり話しやすくなった。
「そっか。それより指大丈夫?!」
指が絆創膏だらけだ。
「・・最近料理の練習を始めたの。そのときにできた傷。でも平気。」

まさか、綾波が自分から料理を・・・?

「そうなんだ・・・ うまくいってる?」
「・・・」
黙ってうつむいた事から察するにうまくはいってないらしい。
そんな綾波を見ていると素直に応援したい、という気持ちが沸き上がってきた。
「あのさ、僕が教えてあげるよ! その・・・料理は得意だからさ!」

気づいた時には言葉が口から飛び出していた。・・・はぁ、よけいなお世話だったかな?
「・・・じゃあ今日の放課後来て」
「えっ、きょ、今日?」
「ええ。だめ?」
「いや、そんなことないよ! わかった、今日行くね!」

まさかのOKにただただぼーぜんとしてしまった
授業が全く身に入らない。何作ればいいかな? 綾波の好物ってなんだろ?

そんなことをずっと考えてるうちにあっと言う間に放課後になった。
だが行く前に一つやるべき事があるのに気づいた。
アスカだ。

406名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 05:05:30 ID:???
すみません。いったん切らせていただきます。
407名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 05:07:34 ID:???
sageろ
話はそれからだ
408名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 05:38:14 ID:???
なぜさげない
409名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 05:54:35 ID:???
とりあえず次はタイトルかトリップをよろしく。
もし書きながら投下してるなら、書きためてから投下するようにしよう。
あとメール欄にsage。
410名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 06:20:03 ID:???
出オチ系だな
411名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 06:39:29 ID:???
>403
ヒント:ビルの屋上で死亡、ショットガン、長身、胸に七つの傷、ビルの名前。
412名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 11:02:40 ID:???
乙です!新劇のバル戦前くらいの時ですかね?
続き待ってます。
413名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 16:25:16 ID:???
414名無氏 ◆xfCLDS4d/. :2009/09/12(土) 16:54:01 ID:???
>>407~410 すいません。
ミスばっかでした。以後注意します。
415名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 18:10:18 ID:???
>414
最初から上手い奴はいないから頑張れ。
続きに期待してます。
416名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 18:43:23 ID:???
>>414
sageないのはルール違反とかじゃないから、そこまで気にしなくて大丈夫ですよ。一応暗黙の了解くらいでみんなやってる、ってくらいのレベルかと思う。

続き待ってます。
417infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/12(土) 20:01:00 ID:???
〔貴方と私の心〕
          ある土曜日の午後
「ただいま。え! 如何したの!」
僕は玄関のドアを開けて思わず大きな声を出してしまった。
アスカが脚立を使い必死に電球をまわして外そうとしていたからだ
「新しいのに取り替えているのよ」
足元がフラフラとしている。僕は急いで脚立を支えた。
「アスカ止めてよ! 僕がするから代わって危ないから」
アスカは僕を上から見下ろしながら、
「うるさいわね! これぐらいあたしにだって出来るわよ! バカシンジ!」
顔に唾が飛んでくる。僕は顔に掛かった唾を拭きながら、
「怒ることないだろ人が親切で言っているのに! 
怪我をしたらいけないから僕の言う事を聞いてよ!」
前にも同じような事があったから僕は思わず怒鳴る。
アスカの肩がビクッとなった。
「分かったわよ」
アスカは口を尖らせながら脚立から降りる。
「怒らないでよ…バカシぁ…あぁ」
文句を言いながら降りていたアスカは足を滑らした。
「アスカ危ない!」「シンジ!」
アスカが僕の名前を呼ぶ。でも僕は名前を呼ばれる前に動いていた。
僕は両手を出してアスカを受け止めるが、バランスを崩して背中から倒れた。
ドスンという衝撃が背中に伝わる
「うぐぅぁ」
背中が痛い。息が苦しい。でもアスカが無事でよかった。
「シンジ! 大丈夫? ごめんね」
「う、うん…だ、大丈夫…はぁ、はぁ…アスカこそ…大丈夫?け、怪我してない?」
僕は笑って答えたがアスカは心配そうに僕の顔を覗く。
 
418infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/12(土) 20:02:00 ID:???
シンジが受け止めてくれたおかげであたしは助かった。
「シンジ! 大丈夫? ごめんね」
「う、うん…大丈夫…はぁ、はぁ、…アスカこそ…大丈夫? け、怪我してない?」
シンジは笑って大丈夫と言っているが苦しそうにしている。
あたしの顔を擦りながら、
「アスカ大丈夫? 顔…怪我していない? 」
あたしはシンジの手を優しく握る。
「あたしのことよりシンジが…」
あたしはシンジの体から離れ、シンジを支えて居間に向かいシンジの背中を優しく擦る。あたしは台所に向かい冷蔵庫からジュースを出してシンジに渡した。
シンジはゆっくりと飲む。
「ありがとうアスカ」
あたしはシンジの顔を見ないようにした。どんな顔をしたら良いか分からないから、
「アスカ今度から僕に頼んでよ。あれくらい簡単だよ」
シンジはあたしに優しい口調で言った。何で怒らないの、あたしが悪いのに。
「あれぐらいあたしにだって出来るよ」
「アスカ僕を信用してもいいんじゃない。僕は君の相棒だよ。僕を頼ってもいいんだよ。
知らない人に頼むわけじゃないんだから」
「…シンジ」
「アスカ、君は一人じゃない僕が側にいるから一人じゃない。
困ったことがあれば僕が相談に乗るよ。解決できるかどうか分からないけど…」
あたしはシンジの言葉を聞いて、
「あんたはあたしの何を知っているの! 何を解決してくれるの? 優しくしないでよ! 
あんたなんか嫌い! 大嫌い!」
あたしはシンジの顔を見て怒鳴る。シンジは優しく微笑んでいた。
何であたしの心に入ってくるの。 何を笑っているの。なんであたしに構うの。
「僕はアスカのことを分かっている積もりだよ。だってアスカは凄く優しいから、
今も僕の背中を擦ってくれているじゃないか」



419infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/12(土) 20:03:07 ID:???
アスカは僕の背中を擦るのを止めた。
「シンジ、…あたしは優しくないよ」
そう言いながら僕の肩を掴む。
「アスカは優しくて強い子だよ。僕は助けられているばかりで…」
僕は少し黙った。
僕はアスカの手を優しく握る
「シンジ…如何したの?」
「僕はアスカの背中を守れるようになりたいんだ。
でも、何時も僕はアスカに背中を守られてばかりいる。それじゃ僕は駄目なんだ!」
アスカは僕の手を優しく握り返した。
「あんたバカ。 あたしの背中を守ろうなんて…10年早いのよ。
守ってもらわなくても結構よ…私があんたを守ってあげるから」
そう言って笑った。その言葉を聞いて僕はドキッとして振り返りアスカを見る、
「面白い冗談を…言うのね…シンジ可笑しいよ」
アスカはポロポロと涙を流して笑っていた。
「ごめんね。…アスカ」
女の子を泣かすなんて最低だ。僕は黙ってアスカの背中をやさしく擦る。
「ありがとうもう大丈夫よ」
アスカはそう言って僕の背中を優しく擦る。
「あたしは強くない弱いよ。…誰にも負けたくないと思っているだけだよ。
シンジの方が強いよ」
アスカの優しい手が止まる。
「僕は強くないよ。逃げてばかりだよ…父さんや現実からも…」
僕はそれ以上何も言えず時間だけが過ぎていった。




420infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/12(土) 20:03:56 ID:???
「ちょっと掃除してくる」
シンジはそう言って玄関に向かう。あたしも手伝うと言ったら、
「怪我をするから駄目だ。そうだ! お風呂を沸かしておいてよ。
掃除が終ったらご飯の用意をしておくから」
とあたしに言った。あたしはお風呂を沸かしながら考えていた。
普段あんな事を言う奴じゃないのに如何したんだろう。
あたしの事を如何思っているのか。 好きなのか嫌いなのか。
「アスカ! ご飯できたよ」
台所からシンジの声がした。
「うん、わかった」
明日は自分の気持ちを伝えてみよう後悔をしないように。
あたしの胸に秘めた思いをシンジは応えてくれるだろうか。
心がなんか苦しいよ。何でこんなに苦しいの。
そんな事を思いながらあたしは台所に向かう。
                            終

421名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 20:14:09 ID:???
いい加減「どう」を「如何」にするのヤメロ、読みづらい
まぁ前回より大分マシになったなw
諦めずに書き続ける事は良いことだ。乙
422名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 21:19:03 ID:???
オッツ!
423名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 23:54:20 ID:???
うざい
424名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 01:11:43 ID:???
GJ!最初脚立でフラつくアスカが出た時、コメディかと思いましたw
凄く優しい作品でした。最後のアスカの心境が良かったです。
425名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 01:30:54 ID:???
ifまだ生きてたんだw
426名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 03:44:34 ID:???
最初から比べて、全体的にレベルアップしたと思います
だけど、私なりに「あれ?」と思うところがありましたので、ちょっとアドバイスをば
(ここ数年の駆け出しなんで、同意出来なきゃスルーして)
>>417の五行目、アスカがどう必死なのかを書き込んだらどうでしょう
「アスカは不安定な脚立の上で必死にバランスを取りながら、電球を外そうとしていた」て感じで
次に九行目
下からは見下ろせないし、前文で脚立に乗っていて上にいるのは解っているので、わざわざ「上から」と説明するのは要らないと思います
>>417から>>418>>418から>>419にレスを跨いで視点が変わってますが、これにはちょっと戸惑いました
例えば◇とか※とかの記号で区切ったりすると解りやすいと思いますね
あと、>>418の五行目とかそうですけど、文のおわりの「、」と「」の後に続く文の繋がりが不自然だと思います
例えば
心配そうな声色で「アスカ大丈夫? 顔…怪我していない?」と言いながら、シンジは頬を撫でてくれた。そんなシンジに、なんだかあたしはいとおしさを感じてしまって、もう片方の手を優しく握った。
って感じにすると良いかも知れないし、「〜ってくれた。」でくぎってしまうのもアリだと思います
あとは、てにはをの使い方が気になっただとか、同じ単語が続いてくどい感じがした、ってのもありましたけど、
こういうのは文章に親しんでいれば、何度か読みなおすことで解ると思います
最後に……物語の基本は起承転結です。四コマ漫画です。内容を整理して組み立てれば良いと思います(意図して起承転結使ってないなら問題はないですが)

以上、参考になればと

長文スマン
427infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/13(日) 06:41:04 ID:???
>>426
わたしもつい最近デビューしました。
優しいキスをしての前日談を書いたつもりなんがけど…
視点はそうゆう仕掛けにしていたんですけど…
参考にします。
アドバイスありがとうございます。
428名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 10:22:53 ID:???
アドバイス受け取る気ないよね。
429名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 10:36:11 ID:???
もう来ないで
お願いだから
4301レスで書いてみた:2009/09/13(日) 11:17:46 ID:???
アスカが水分が涸渇し、横たわっている赤い扉を押し開いたのは、それから幾分か時間が経ってからだった。
「…昨日、えこひいきと、デートしてたじゃない。」
また嗚咽が再開し、掠れた声が震える。フランス人形のような端正な顔に、涙の筋が通り、かなしみに歪む。
「ち、違うよ、誤解だよ。」
焦燥感が目立つ言葉とは裏腹に、その隙間にぼそり、と決定的な言葉をそっと入れ込む。
「…アスカには、関係ないよ。」
語尾と重なりあうようにして、テーブルを拳が叩き付ける不協和音。
「じゃあいいわよ!」
さっと立ち上がり、踵を返すとスリッパが軋む。それを見て、シンジはまた焦った表情を浮かべた。
「待って、」
細く白い、そしてシンジが思ったよりも脆弱な腕を掴む。アスカは四肢をじたばたと動かした。
「離しなさいよ!」
その言葉への返事は沈黙が代わりを務め、掴んだ腕の側の手のひらを開かせ、彼は何かを握らせた。
「なに、これ、」
「綾波と選んだんだ、女の子の趣味って分からなくて。」
予想を反した行動にアスカは驚嘆じみた声音を上げる。それには薄く張られた苦い笑いを、口許に浮かべるシンジ。
「忘れてるでしょ、誕生日おめでとう。」
「ば、ばか!先に言いなさいよ、」
と頬を紅潮させて目尻を拭う。その頃にはもう、彼と向き合って、また固い椅子に座って居た。
「ねぇ、来年は、」
「ん?」
刹那、テーブルの上に重ねられた手のひら、アスカはそれを見て言葉を切った。「な、何にもない!」
触れ合いたい、と言う言葉は空気中に霧散したが、確実にシンジには伝わっていた。顔をまた赤くさせるアスカに、シンジは悪戯っぽく口許を弛緩させて、啄むようなくちづけをした。

.................

即席です、プレゼントは御想像にお任せします。
431名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 11:30:32 ID:???
GJだけどさノンジャンルの方の続き投下してよシイさん。
432名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 11:34:35 ID:???
ifが人の話に耳貸すはずがない
433名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 12:08:23 ID:???
>>430
イイヨー
434名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 12:24:07 ID:???
>>432
ifはもう放置で良いよ
435名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 12:29:21 ID:???
>>430
初々しくて可愛いLASだ
GJ!
436名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 13:01:03 ID:???
>>434
そうだね。
どんだけ教えてやっても一向に治らないし、かまおうがかまうまいが粘着はやめないだろうし。
放置が得策という気が俺もしてきた。
437名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 13:36:49 ID:???
>>431
私、分かりやすいですか?
最終章投下してきます。
438猫シンジ:2009/09/13(日) 13:58:39 ID:???

 デーンデーンデーンデンデン、デーンデーンデーンデンデン(司令部戦闘BGM)

「総員第一種戦闘態勢へ移行完了!」
「使徒は強羅絶対防衛線を突破、市街地へ向けて依然進行中」
「手出し不要よ。使徒を飛行形態のまま市街まで引き込んで」
「エヴァ各機は市街地近郊にてスタンバイ。武器兵装ビルはCR4/SL2装備に換装」

 初めて見る作戦中の司令部。特に司令席から見る眺めは壮観だ。
たくさんのモニターが目まぐるしく変わり、指示と情報が飛び交っている。
エヴァの中から想像していたよりも数段緊張感度が高い。
今まで僕らばっかり苦労してるのにって思ってて、ごめんなさい。
普段おっとりしてる伊吹さん、頼りない日向さんやロン毛の人までキリッとしてる。
特に指揮をしているミサトさんが見たことないくらいカッコイイよ。
だらしなく今朝まで酒盛りしていた人とは思えない。非常召集、酒酔い運転かな、やっぱり。
「…………」
 横をチラリと見ると父さんは喋りもせず、ただ腕を組んで司令席に座っている。
綾波が猫の僕を預けるためにヒマそうな人物を探した結果、父さんに行き着いたらしい。
本当にヒマなのか、それとも綾波の人間関係が狭いのかは知らないけど。
「…………」
 たぶん前者かな。本当にさっきからモニターを見ているだけで何もしてないよ、父さん。
今まで作戦時は不在だと思ってたけど、もしかして毎回司令部にいたのかな?
いや、戦闘中はもう少しカッコイイ所を見せてくれるに違いない。
「にゃぉん」
 ん、頭を撫でられた。余裕のつもりなんだろうか。
そういえば父さんに撫でられるのなんて初めてだな。少し嬉しい。
でも作戦中に猫なんて預かったら別の人に預けようよ。
これじゃまるで悪の組織の黒幕じゃないか父さん。
439猫シンジ:2009/09/13(日) 13:59:27 ID:???

 モニターの中では何処かで見たような虫っぽい使徒が悠々と飛んでいた。
トウジ達を乗せたまま戦ったあいつだ。第四使徒だかシャムシエルだかいう使徒。
ミサトさんたちは再生使徒って呼んでるけど、前に倒した使徒が再出現するのが最近多い。
何でも尺を稼ぎやすくて予算に優しいとか何とか。
僕には難しくて良く分からないや。
おっと、ミサトさんが今回の作戦を説明してるや。何々……
「アスカ、レイ、聞こえる? 今回の任務はシンジくんがいないから二人で協力して……」
「分かってるわよ偉そうに! こんなのお茶の子歳々ね。さっさと済ませましょ!」
「オーケー…」
「……任せたわよ。頑張って」
 あああああ。まだ昨晩のことを怒ってるよアスカ。喧嘩してる場合じゃないだろホント。
今日は綾波と仲良かったみたいだし何とかなると思いたい。嫌な予感がするけど。
ん、綾波。それじゃ近すぎるって。そいつの触手はかなり伸びるから……
「使徒を射程内に……!?」
 予感通り、鞭のようにうねる光の触手が伸びてライフルを構える前の零号機に襲い掛かった。
「ボーっと突っ立ってんじゃないわよ!」
 間一髪、怒鳴りながら突っ込んだ弐号機が零号機を突き飛ばして光の触手は空を切った。
ナイスだアスカ! うう、自分でエヴァに乗って文句を言われるより心臓に悪い。
「ったく。シンジなんか居なくッたって、あたし一人で十分よ!!」
 言い終わらないうちにアスカはパレットライフルを斉射。惚れ惚れするような正確な射撃だ。
でもまた猛烈に嫌な予感がする。デジャヴってやつ?
「馬鹿、それじゃ爆煙で敵が見えない!」
 ですよねー。爆煙の中から伸びた光の触手の一本が弐号機の足を捕らえ振り回す。
そして直ぐ近くの零号機に叩き付けた。二機は重なるようにビルを突き破って瓦礫に埋まる。
そう言えば僕も近くの山まで投げ飛ばされたような。
あの時は夢中だったけど、もしかして意外と強敵?
440猫シンジ:2009/09/13(日) 14:00:18 ID:???

「アンビリカルケーブル断線、エヴァ、活動限界まで……」
「弐号機、零号機、ともにシンクロ率低下!」
 だ、大丈夫……だよね!? アスカぁーっ! 綾波ぃー!
「にゃふにゃー! にゃにゃなにゃー!!」
「鳴くなら後にしろ。出なければ、帰れ」
 二人が心配で暴れる僕を父さんが抱えて押さえた。なに猫相手に格好つけてんだよ。
綾波たちが危ないんだぞ。サングラスを光らせてないで少しは心配してよ。
やっぱり父さんは最低だ! 
「くぅ、ライフルが効かない…」
「いたたたた。ミサト、他に武器はないの!」
「二人とも使徒から距離を取って。意識朦朧としたまま状態で焦っても勝ち目ないわ」
 ほっ。アスカたちは無事だったみたいだ。良かった。
まあエヴァの中なら核爆発にも耐えられるらしいし少し心配しすぎだったかな。
「……ふっ」
 チラッと父さんを見上げると『問題ない』と言いたげにニヤリと笑った。
エヴァの耐久性能を信頼していたってこと? だからってもう少し。
そんなことを考えている僕を抱えたまま父さんは立ち上がった。
「葛城三佐、少し席を外す」
「どちらへ?」
「この猫が、暴れるのでな」
「了解しました!」
 ミサトさん了解しないで! 一応は司令なんでしょ、居なくて良いの?
父さんも今さら司令部の外に放り出すくらいなら最初から締め出しといてよ!
暴れても父さんにガッチリ抱えられてビクともしない。
だいたい戦闘中だっていうのにどこまで行く気なんだよ。このヒマ人め。
そんなんだから司令のくせに猫の世話を押し付けられるんだよ。
441猫シンジ:2009/09/13(日) 14:01:27 ID:???

「ヒトは、一人では生きられない。生きていくには心の中に支えが必要だ」
 何だよ急に。もしかして父さんって独り言多いのかな。僕も人のことは言えないけど。
「それが何であるにせよ、ただ手を拱いて待っているだけでは失っていくだけだ」
 ポエムを読んでる暇があったらさっさと司令部に帰って座ってなよ、もう。
何の役に立たなくても、せめて戦ってる綾波を見守るくらい出来るでしょ父さん。
あれ、何ここ? 初号機のエントリープラグが目の前に……ポイッってちょっと!?
「乗るなら早くしろ。出なければ、帰れ」
 え? ええっ? えええぇぇぇぇぇぇぇ――――っ!!!

「アスカ、レイ。秘密兵器を投入するわ。その隙にパターン新ユニでよろしく!」
「秘密兵器って……初号機、まさか!? 何よ、何で通信が繋がらないのよ!」
「今は猫の手も借りたいってね。エヴァンゲリオン初号機ぃ、リフトオフ!」
 シーン。
「駄目です、動きません!」
 無理だよ父さん! 操縦レバーに前足も届かないのに、動かせるわけないよ!
「ありえないわ! 理論上は何の問題ないはず……」
 その言葉、猫になった時も聞いた気がするよリツコさん。
理論上ありえないことなんて散々ありえてきたじゃないか。人が猫になるとか。
大体、猫に人型決戦兵器を操縦させようって、大人の考えることじゃないよ。
猫が人型……。もしかしてもしかすると……
「動いた! ってぇ……!」
「何あれ、初号機が四つん這いに?」
「猫……?」 
 やっぱりそうか。今は人の動きじゃなくて、猫の動きじゃないと反応しないんだ。
武器は使えなさそうだけど、元々エヴァは猫背だし何とかなりそうだ。
「にゃお――ん!!」
 僕は肉食獣のような素早い動きでビルの谷間を間を駆け抜けて間合いを詰める。
よし。あんな使徒、一気に引っ掻き倒してやる。
442猫シンジ:2009/09/13(日) 14:02:45 ID:???

「な、何よあの動き、まるで猫みたい……ってまさか!?」
「そうよ。猫の身体能力は人間の数倍、すなわちエヴァの格闘能力を数倍に引き上げ……」
 自慢げに解説されているうちに使徒は目の前。いくぞ――って、あれれ?
 MISS!! MISS!! MISS!! MISS!! MISS!! MISS!! MISS!! MISS!!
「うにゃ!?」
「猫じゃらし……?」
 駄目だ当たらない。どうしても使徒本体じゃなくウネウネ動く光の触手に攻撃してしまう。
バカバカ、猫のバカ。これじゃ攻撃を受けないけど、こっちの攻撃も当たらないじゃないか。
「にゃにゃーん!!!!!!」
 当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ! ここで当たらなかったら、どうにもならないんだ!
だから、当たってよ―――っ!! 
 バイーンッ!!!
うう、必死の叫びも虚しく押し倒されてしまった。
助けるつもりが二本の光の触手を両手で掴んで身を守るのが精一杯だなんて、情けないよ。
「勝ったな…」
「ああ……」
 んん、急に暗くなったぞ。雲もないのに太陽が影って……弐号機と零号機が跳んでる!
凄い、必要性があるか分からないくるくるジャンプも息もピッタリ、完璧なユニゾンだ。
触手は僕が掴んでいるから、使徒は逃げることも攻撃することも出来ない。いける!
「うちのシジに何してんのよ! このバカ使徒――!!」
「この……!」
 二点同時加重攻撃、通称ユニゾンキックが大きなコアに突き刺さった。
そしてコアを蹴り砕いたと同時に二機が左右に跳んで退避する。あれ、僕は?
 ちゅどーん!!!!
案の定、使徒は目の前で大爆発。うう、酷いよ二人とも。
巻き込まれた衝撃で僕はエントリープラグの中をピンボールの球のように跳ね回った。
「ぃよっしゃぁ!!」
 ミサトさんの勝利宣言と同時に『完全決着』の文字が表示され赤いパトランプが回転した。
最近よくあるんだけど何の装置なんだろうね、これ。
443猫シンジ:2009/09/13(日) 14:03:47 ID:???

そういえば今朝の占いは『思わぬ残業が発生』だっけ。悪いことは当たるんだな。
ああ、悪いことといえばアスカの怒った顔が目に浮かぶよ。
何て言い訳したらいいんだろう。喋れないけど。

 よろよろとエヴァを降りた僕の前にアスカがドスドスと大股で歩いてきた。
怒ってるね。絶対。
そしていつもの様に優しく抱き上げるんじゃなくて、首根っこを掴まれて持ち上げられた。
バレてるね。絶対。
「あたしがどれだけ……どれだけ心配したと思ってんのよ! このバカ――ッ!!」
 猫耳に向かって怒鳴り散らすアスカ。怒りすぎたのか目に涙が溜まっている。
ごめんよ。本当にごめん。色々と、ほら一緒にお風呂とかあったから言い出せなくてさ。
「にゃにゃーん」
「今さら猫かぶったって駄目よ!! バカシンジ!」
 反省するからブンブン振り回さないで。まだピンボールして目が回ってるんだから。
そんな僕を綾波が奪い取った。そして出撃前のように優しく抱きかかえる。
うぅ、恐かったよ綾波。
「痛くしないように、こう」
「あんたね。それ、バカシンジなのよ。分かってんの?」
「それなら、なおさら乱暴にしたら駄目」
 怒るアスカに対して綾波が睨み返している。火花を散らしているのが見える。
うぅ、恐いよ綾波。
せっかく二人とも仲良くなりかけたと思ったのに。
「二人ともケンカしないで。その子はシンジくんであって、シンジくんではないのよ」
 リツコさんが嬉々として説明に現れた。何でもいいから仲裁してください。お願いします。
ってそもそもの原因はリツコさんだったような。
「どういうことよ!」
「シンジくんの魂がサルベージされた姿ではあるけど、彼の意識があるわけじゃないの」
 リツコさんの長い長い説明タイムが始まった。
444猫シンジ:2009/09/13(日) 14:04:58 ID:???

 プラーナがどうとかラプラスがラギアスで無意識下のファミリアがどうとか、正直さっぱり。
アスカも綾波も早々に理解するのを諦めたようだ。
「よく分からないけど、頭の中身まで猫になっちゃってるってこと?」
「分かりやすく言えばね。猫の頭で人間としての自我を保つなんて、ありえないわ」
 最初から分かりやすく言ってください。しかもありえているし。
肝心なところでいい加減だよなリツコさんって。
「―――ていうか本当にシジがシンジなの? 人間が猫になるなんて信じらんない!」
 今更だね。僕も信じられなかったけど現実に起こってるし。
リツコさんはぷりぷり怒っているアスカの肩を掴んで眼鏡を光らせた。
「そうねアスカ。あなたはシャム猫とアメリカンショートヘアー、どっちになりたいかしら?」
「……し、信じる。信じるから!」
 猫にされそうなアスカを綾波が羨ましそうな目で見てる。早まっちゃ駄目だ! 
毎回成功するとは限らないんだぞ! でも猫になったアスカや綾波って凄く可愛いんだろうな。
うーん、想像したら引っ掻かれてる僕もセットで付いて来たよ。
「そういうわけでアスカ、引き続きシジの世話を頼むわね」
「な、何であたしが!?」
「じゃあ、私が……」
 おずおずと綾波が手を上げた。綾波の部屋で二人暮し……うーん、想像がつかないや。
興味も期待もあるけど、何となくアスカ以上に危険な気配がする。
「……やっぱりあたしが世話する!」
 アスカが僕を引っ手繰った。僕を大切にしてくれているのか、張り合っただけなのか。
取られた綾波が凄く残念そうな目で僕を見ている。何だか凄い罪悪感。
「――ったく。ファースト、気になるなら今度遊びに来なさいよ」
「ありがとう……」
 そうして二人は優しく微笑みあった。
不思議だね。毎日見ているはずなのに、何だか凄く久々にアスカの笑顔を見た気がしたよ。

<つづく?>
445猫シンジ:2009/09/13(日) 14:05:55 ID:???

 黒幕っぽく猫を撫でるゲンドウをやりたかった。反省はしていない。
戦闘自体はあまりアスカと絡まないんでイマイチというか消化試合。
ご都合主義的に納得できない方は「ありえないわ!」と叫んでくださいw
次はアスカとべったり…だといいな
446名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 14:22:43 ID:???
「LASスレなのにLASがないなんて……ありえないわ!」
でも面白かったから次に期待
乙!!
447名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/09/13(日) 15:07:17 ID:???
>>445
GJ!楽しませてもらいました!
448名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 17:06:49 ID:???
とりあえず「LASスレなのに綾波の方が萌える展開だなんて、ありえないわ!」
「更にゲンドウ萌えだなんて、ありえないわ!」
次こそベタベタなLASで頼む。

どの使徒を出すかと思ったら三つの力かよw
復活時の初号機の連続バク転からロンギヌスが格好良くて好きだわあれ。
449名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 17:11:31 ID:???
作画は崩壊してるけどな…w
450名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 17:42:09 ID:???
乙。
「今回の最萌はリツコのような気がしてきたなんて、ありえないわ!」
サイバスターの猫コンビにハァハァしてたのって無印αだっけ?
451名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 18:49:30 ID:???
いや、今回の最萌はピンボールみたいにポンポン跳ねた猫シンジでしょw想像したらメチャ可愛い。
LASは無かったけど、俺が可愛いと感じる作品だし良し!

>>430
GJどす。1レスだけだけど、旨味がぎゅっと詰まってますね!
ちなみにそのノンジャンルスレの作品は…LASですかね?

IFさんもGJです!
今回はストレートなLASで良かったですw自分の気持ちに少し戸惑い気味なアスカっていいですよね。
452名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 19:04:12 ID:???
作者じゃないがノンジャンルのはLASだよw
この作品を超えるLASが今年一年で板内に出現するかは知らんがな(´・ω・)
453名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 19:32:34 ID:???
>>452
ありがとう!また今度見てきます!
LAS小説いっぱい見れるね最近。めちゃくちゃ嬉しい
454名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 19:44:49 ID:???
あと、エロパロもLASだらけだな
455名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 22:27:36 ID:???
こんばんは、この前『恋愛症候群』というLASを書いたものです。
前回感想下さった方々、ありがとうございました。
もしも、「あぁあったなあ」程度でも覚えていただけただけでも感謝に値します。
今回懲りずにAEOEものを書いてみました。まだまだ初心者なので感想や直した方がいい部分、アドバイスなど教えていただけたら幸いです。
ではNGワードは

まごころを、みんなに






456まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 22:29:53 ID:???
夜空の星々は自らの生命を誇示するかのように輝き、赤黒く染まった海は地球という星がどれだけ深い傷を負ったかを暗示するかのように広がっていた。
天空にその星々が煌めき、血のような赤い液体が打ち寄せる海岸に、襤褸の如き一組の男女が横たわっていた。二人の眼は上空の点々とした光も赤い筋を残した月も何も、写し出してはいなかった。
少年がゆっくりと上半身を持ち上げ、傍らの少女を眺め下す。何を想ったのか立ち上がり、少女の体に跨がると首を締め始めた。
少年は呻きながら少女の首を締め思った。
あの日から三日経つのに誰も帰って来ない、他人を望んで戻ったらアスカしかいない、僕と二人だけなんてアスカは嫌がる、アスカは僕を憎んでる、何も出来なかった僕を、しなかった僕を、だからアスカを殺してあげる、この、僕の手で
少女は角膜に光を宿さぬまま、首を締めさせ続けた。すると、右腕を持ち上げその掌で少年の頬を慈しむように撫でた。少年のこめかみ辺りからあごの下へすべり墜ちる手。
少年は首を締めるため力を入れていた手を緩め、首を包み込むように握ったかと思うと手を離し泣き始めた。そして少女が放つ

「きもちわるい」



457まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 22:32:35 ID:???
それから、LCLを飲みながら何とか生き延びた二人は赤い海から戻ってきたネルフの人々に助けられ、病院へと隔離された。その間二人は無言だった。
一か月後、赤い海からゼーレと碇ゲンドウを除く人々は皆帰って来た。ネルフは得意の情報操作とマギという復興には欠かせない重要なカードで国連と政府を騙し、欺き、国連直属の復興機関ネルフとして進みすぎた科学技術を使い活動していた。
シンジはというと、退院した後ネルフが第三新東京市に用意した仮設住宅には入らず、「先生」がいる福祉施設へ戻った。先生は「ネルフから話は聞いてるよ」とシンジを部屋に案内した。サードインパクトにより一階は荒れていた。
自分にあてがわれた三階の廊下の突き当たりにある比較的大きな部屋、シンジがエヴァに乗る前まで過ごしていた部屋であった。勉強机の左にある南向きの窓からはたくさんの光が差し込み、のどかな田園風景と山々が見渡せた。
いつもの短パンとTシャツに着替えるとベッドに横たわり、体を丸め、息を切らせながら、泣いた。
やっぱりアスカに拒絶された、アスカにひどいことしたんだから仕様がないじゃないか、でもアスカと一緒にいたかった、アスカを殺そうとしたのだって拒絶されるのが嫌だったからだ、やっぱり自分勝手な最低なやつだ、でも気付いてしまったんだ

僕はアスカが好きだってことに


458まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 22:38:57 ID:???
一方アスカはというと体は順調に回復し傷跡も手術によって完全に消え去り元の状態に戻りつつあったが、心の傷は全く癒える気配がなかった。ミサトが付きっきりで看病していたのだがその間、発した言葉はほとんどなかった。
ミサトが、今日シンジが退院し長野にある先生の所に戻ったことを告げても人形のように何の感情も示さなかった。「じゃあ、また明日来るから」と言ってミサトは部屋を出た。
アスカは、自分の右隣りのシンジが居たベッドを眺め、カバンから着古した感じのシャツを取り出した。それを抱き締めるように顔に埋め、体を震わせた。アスカの眼を覆っているシャツがじわり、じわりと濡れ始めた。
何であたし泣いてるの?こっそり盗ったシンジのシャツの匂いを嗅いで、あんなに酷いことされて傷ついたのに、助けてくれなかったのに、でも補完中に伝わってきたあいつの心、あたしも罵詈雑言で傷つけた、あたしも助けなかった、
エヴァに乗る苦痛、大事な友達のトウジを殺しかけた苦痛、極めつけは頼れる人がいない時に唯一優しくしてくれたカヲルって人を殺した感触、人を殺す感触がエヴァを通して伝わってくるのは耐え難いだろう、
どくっどくっと鼓動が手を伝い、人間の肉の柔らかさを感じ、首に力をこめると感じる早まる鼓動、プチっと弾け噴き出す血飛沫、指の間を滴る血液、その温もり、人を殺したという実感、それも大事なひとを殺したという実感、
それを感じたがゆえに、あたしはあいつを憎めない、その感触を知っているのに殺そうとしてくれた、それがどんな理由でも、どんなに自分勝手な理由であっても、あたしはそれを許してしまう、そんな自分がきもちわるい、
やめた後泣きじゃくるあいつもきもちわるい、途中でやめた意気地なし、でも気持ち悪くはない、それにはあたしとあいつの想いがあるから、時間が経った今ならそう思える
許せる理由を知った、イヤな事より楽しかったことばかりが思い出せるから、だからあたしはあいつとやり直したい、
なぜならあたしはあいつが好きだから、唯一の居場所はあいつのところしかないから、だからあいつがいない今、私は無性に悲しく悔しい


459まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 22:40:22 ID:???
シンジはそれから、朝8:00に起きて朝食、田畑の手伝い、昼食、健康診断、夕食、風呂、就寝、といった変わらぬ日常を過ごしていた。それゆえシンジは自分を責め続けていた。
僕は全世界を大混乱に陥れた、トウジを瀕死まで追いやった、アスカを助けられなかった、綾波を助けられなかった、カヲル君を殺した、寝たきりのアスカに酷いことをした、アスカを助けられなかった、全世界を滅亡寸前にした、全世界を不幸にした
これらの罪を、どうやって償えば良いんだろう?死ぬ?楽だ楽だ、死ねば考えなくていい、自殺すれば償ったことになるかもしれない、いや違う、逃げだ、それは逃げだ、それは償ったことにならない、じゃあどうすれば償えるの?こんな膨大な罪を、分からない、それは分からない


460まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 22:47:22 ID:???
ある日のこと、さつまいもの収穫を手伝っていると先生がシンジに話し掛けて来た。「シンジ君、ちょっと休憩しないか?」「えっ休憩ですか?良いですよ」休憩には早い時間だったので少し不思議そうにシンジは答えた。
「悪いなぁ、年寄りには足腰がキツくて敵わんよ」笑いながら言い、よっこらせと地べたに座り水筒と弁当を広げた。いつもなら野菜についての話や近くの山には何々があるといった取留めのない話をするのだが、今日は違った。
先生はシンジをじっくりと見つめ、言った。「シンジくん、君は今自分を責め続けているのだろう?」唐突だった。シンジは戸惑いながら「えっいやそんなことないですよ」と何とか笑いを貼り付け答えた。しかし、先生は頭を振って続けた。
「いやいや、ウソをつかんでもいい。年寄りが若者に勝てるのは経験の量くらいのものだが、この経験というのはたくさんのことを教えてくれる。きみは自分が犯した罪の大きさを感じ、一人で抱え、自分を責め続けている。そうだろう?」
シンジは迷った。どうしよう、話して心配をかけるじゃないか、でも嘘を吐く自信もない。シンジは少々黙り込み、そして、ゆっくりと答えた。始めは、もうどうしようもないといった感じの笑みを浮かべて
「はい。まず、この世界をこんなにしてしまったのは、実は、僕なんです。僕は、たくさんの友達や大切な人を傷付け、不幸にしてしまいました。でも…そんなに大きな罪を、どうやって償えば良いのか分からなくて、考えても答えが出なくて、もう、どうすればいいのか…」
最後の方は声が震え掠れていた。「もうよいもうよい、すまなかった辛いことを聞いて、などとは言わんぞ」シンジは驚いて顔を上げた。
「その責任は全て君にある、どんな環境でも最後に行動しようと決めたのは全て君だ。それは誰のせいでもなく全て君の行動の結果なんだよ。だからいくら償ってもそれが君から消えることは一生ない。」と、先生は断言した。シンジは苦痛に顔を歪めた。
461まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 22:48:28 ID:???
「ただな、それと向き合うことは出来る。全ての行動を自分の責任だと認めるなら同時に、君が幸せになることも人を幸せにすることも他人の事とは関係なく、自分で責任を負う義務を果たすなら出来るはずだ。君は何をするのも自由なんだからな」
シンジはポツリと言った。「僕が幸せになることもですか?」
「そうだよ。全ての結果は自分で責任を負わねばならん、しかし、その行動は全て君の自由なんだよ。だから君が、幸せになるのを止める権利は誰にもない。しかし他人に引け目を感じて幸せにならないのも自由だ。でもわしは、前者が賢明だと思うがな」と、先生は優しく告げた。
「それにきみは、確かにさつまいもを抜くように一気に全世界の人々を幸せにすることは出来ないかもしれないが、まず身近な人から、コツコツと幸せにする事は出来るんじゃないか?少なくともわしは、シンジ君と話していていつも楽しいし、きみの成長を見られて今、幸せだよ」
先生は包み込むような笑みを浮かべた。シンジも微笑む。心からの笑顔は久々だった。「ありがとうございます、先生」「なぁ〜に、年寄りの戯言だよ。戯言ついでにサルトルという哲学者の言葉なのだがな」先生は、シンジの両肩をがしりと掴み、両目を見据えた。
「『君は自由だ。選びたまえ。つまり創りたまえ。』また『夢をもたないで。自分に出来る事をする』前者の意味は分かるな?後者はな、夢をもつな、と単純に言ってるのではなく、何もしないよりまず、行動を起こせということだ。」
「君のやるべき事は分かるな?」シンジは頷いた。「はい」シンジの目には決意の光が満ちていた。

462まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 22:51:18 ID:???
シンジは、この施設を出る事に決めた。自分のした事と向き合い、新たな行動を起こすために。ミサトに連絡すると「すぐに行く」と言って、愛車のルノーをすっ飛ばしてやって来た。玄関先で待っていたシンジと先生の前に、相変わらず荒いハンドル操作で車を停めた。
ミサトは車から地面を踏み締めるようにゆっくりと降り立たった。シンジを見つめる顔は、泣き笑いの表情を浮かべていた。そして、シンジに歩み寄り、シンジの体をよせた。何も言えずにいるミサトに向かって、シンジは感慨をこめて告げた。
「ただいま」ミサトはシンジの両肩に手をおいた。表情は母親のような表情になっていた。
「おかえりなさい」しかし顔は涙で濡れていた。
そして先生にまた来ますと力強く約束して別れたあと、シンジはミサトのルノーに乗り第三新東京市に向かった。
走り出してすぐ、シンジはミサトに切り出した。
「先に言っておきますけど、ミサトさんが謝ることはありませんよ。ミサトさんだって加持さんのことで余裕がなかったんですから、仕方がないですよ。それにもう、僕はこの事を誰かのせいにして逃げないって、決めましたから」
ミサトはそれでも、ごめんなさい、本当にごめんなさいと泣きながら謝りつづけ、運転が危うくなってしまい、結局シンジに本気で怒られた。「それで、まず何処へ向かおうかしら?」シンジはすぐに答えた。
「アスカの所へ連れて行ってください」「わかったわ」


463まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 22:55:13 ID:???
アスカは相変わらず殆ど喋ろうとしなかった。リハビリや食事中以外、一単語以上喋ることはなかった。医師に依れば、脳の障害などはないので失語症ではなく、憔悴しきっているため喋る意思すらもみせないという事だった。
ここ二ヶ月間近く、アスカはこの状況を何とかしなければと気持ちを奮い立たせるために、希望を持とうとしたり、誰かを憎もうかと思ったが、補完によって、周りの人々も、自らの事で一杯一杯だった事を知ってしまった今、そういう気持ちにはなれなかった。
また首謀者は帰って来ていない。希望は、と言えばシンジだったが、シンジはここには居らず、赤い海から帰って来てすぐ「きもちわるい」と言い放って一度は拒絶した事を思うと、自分から会いに行こうとするのは憚られた。
「シンジに逢いたい」という思いが増幅すると同時に、「でも一度は拒絶した」という思いも同じように増幅し、アスカの希望を縛り付けた。
そんなある日、ミサトがやって来た。「アスカ、今日は嬉しい訪問客が来たわよ!」と、ミサトは言った。アスカは鬱陶しそうな顔をするだけだった。「アタシが外に出たら入って貰うから、良いわね?」アスカはめんどくさそうに頷いた。誰なんだろ?まぁ大した人じゃないわね
ドアが開く、そのドアの前には、アスカが熱望してやまなかった人物がいた。シンジだった。アスカは茫然としながらも涙が溢れた。そして、自らの希望に向かって、布団を剥いで素足で駆け寄る。床の冷たさは全く感じなかった。ドアへの衝撃。熱望した温もり。
「ばかばかばかばかシンジ!何で勝手に何も言わずに出て行っちゃうのよ!あたしの居場所はあんたのとこしかないんだからね!何でそれを分かってくれないのよ!あたしがどれだけ寂しかったか、ホント、ホントにアンタは・・・ばかぁ」顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
シンジは慌てていた。アスカに酷いことを言われると思って覚悟して来てみたら、この有様である。そして、アスカは続けた。「もぅどこにも行っちゃやだよ」消え入りそうな声だった。シンジはアスカの衰弱して細くなった、温かい身体を強く、抱き締めた。
464まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 23:00:06 ID:???
「ゴメンね、アスカ。また逃げて、アスカを傷つけたね。もう、僕は逃げないよ。自分の行動には自分が責任を負う。だからこれからは、僕のせいでこんなになってしまった世界のために、ネルフで働くよ。だからさ、アスカにずっと隣で支えて欲しいんだ」
アスカは嬉しくてどうしようもなかった、しかしそれを必死で押さえ、それでも煌めく笑顔で言った。
「しょうがないわねえ、幸せにしてくれるなら、一緒に居てやっても良いわよ!」アスカの声は震え、うわずっていたが、何とか彼女らしい返事をし、二人は長い、キスをした。こうして、二人の補完はなった。廊下のドアの横にいるミサトが、声をころしてひっそりと泣いていた。
465まごころを、みんなに:2009/09/13(日) 23:01:33 ID:???
六年後、二人は結婚式を挙げた。参列者はトウジ・ヒカリ夫婦、ケンスケ・ビデオペア、ミサト・マコト夫婦、先生、リツコとマヤ、冬月総司令、青菜、アスカの両親、他にネルフ関係者などといった面々で、
披露宴では特別席として加持、ゲンドウ、ユイ、キョウコの席が用意された。
そして、新郎新婦の隣には、三才になる二人の子供がいた。その子供の名前は、女の子がレイ、男の子がカヲルであった。そして、式場にいる人々は皆、幸せそうな表情をしていた。

終劇
466名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 23:16:59 ID:???
>>465
いくらなんでも青菜は酷いwww
467名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 23:27:13 ID:85YPehRQ
一応確信犯です!最後そこで笑って貰えたらオールオッケーかも知れませんwww
468名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 23:32:29 ID:???
>>452
一行が長過ぎ。
469名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 23:36:58 ID:???
>>467
おいwww

それはそうと、言い忘れてた。乙!
470名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 00:29:17 ID:???
GJです!
471名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 00:39:30 ID:???
またこりゃ読みにきーな…
472名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 00:44:17 ID:???
読みにくくてすいません…
投稿規制になるのがイヤだったんで詰めちゃいました。以後気をつけます。
473名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 01:00:01 ID:???
GJ!ただ既に意見出てますけど改行はこまめに欲しいですねw
先生が良い人ですねぇ。ラストのアスカも可愛かったです。
ただ感動シーンに青菜とケンスケビデオカップルはヒドいw

次作も期待してます!
474名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 01:09:22 ID:???
みんな青木に釣られすぎだろww
475名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 05:59:32 ID:???
青田さんを馬鹿にするな
476名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 09:25:36 ID:???
ギャグ仕込む前に一般的な文章の書き方覚えてよ
477名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 12:16:41 ID:???
ギャグも入れる場所を間違えると折角の良い雰囲気が台無しになっちゃうのが残念。
猫の方もネタに走りすぎでLASが全然なくなったし。
478名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 12:48:27 ID:???
感想下さった方ありがとうございます。
結婚式の前で完結しようとしたのでその後ギャグをいれてしまいました。余計だったかも知れませんね。
一般的な文章を書くためには何処をどうすれば良いのか出、来ましたら詳しく教えて下さると嬉しいです。
479名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 13:01:23 ID:???
>>478
改行以外は全く問題ないと思いますけどね…。
478くらいの改行でいれてもらえると、読みやすいです。あとセリフごとにも。

文章も丁寧だし、あとは巨大なGJです!応援してます。
480名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 17:45:52 ID:???
分かりました。ありがとうございます!
これからも精進しようと思います。
481マリン@marine:2009/09/16(水) 12:39:43 ID:???

久々に投下します。

・途中から最後までイタモノなので注意
・ちょっと長いかも
・NGワード 黄昏オレンジ

482黄昏オレンジ:2009/09/16(水) 12:41:48 ID:???


あいつはアタシを裏切った。あの時あいつは助けてくれなかった。そしてあいつはサードインパクトを起こした。…最低だ。
なのに…なのに…アタシはあいつを求めてしまう…
悔しいが、これが恋というものなのだろうか。

サードインパクト後、アタシとあいつはあの海岸にいた。
碧い空、白い雲、そして赤い海…アタシ達2人はそこで仰向けに倒れていた。
あいつはふと起きあがるとアタシの元によってきた。
そしてあいつはアタシの上に乗り、アタシの首絞めた。このまま殺されるのか…?でもその答えは…違った。

483黄昏オレンジ:2009/09/16(水) 12:43:33 ID:???

シンジはアタシの首から手を離すと、若干アタシと距離を取った所で、海の方向を向き体育座りで座った。

「ごめんね、アスカ」
「…?」

シンジの口から意外な言葉が発せられた。

「ごめん…アスカ…」

シンジの声は弱々しく感じられた。ふとアタシはシンジの顔をのぞき込むと、その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。

「こんなときに泣くんじゃないわよ…バカ」
「うん…ぐすっ…」

こいつがかつてこんな表情を見せたことがあっただろうか。少なくともアタシの記憶の中にはない。

484黄昏オレンジ:2009/09/16(水) 12:45:37 ID:???

「アスカ…僕を殺して…」

一瞬シンジが何を言ってるのか分からなかった。

「…アンタ何言ってるの?自分が何を言ってるか分かってるの?」
「うん…分かってる。僕は…トウジを痛い目にあわせてしまった。数え切れないほどの建物を破壊した。サードインパクトもとめられなかった。
そして…アスカを…助けてあげられなかった…アスカを殺そうとした。僕は…最低の人間だ…だから…」

アタシはシンジを許した訳ではないので、一瞬本気で殺してやろうと思ったが、やはりシンジが居なくてはアタシはこの先、生きていくことは出来ない。

生活の面でも、そしてアタシ自身の存在価値でもあるから…

「…アンタが居なくなったらアタシはどうすればいいのよ、バカシンジ!責任とりなさいよ!」
「責任って?」
「アンタバカぁ?アンタがアタシの世話をするのよ!そして人々が帰ってくるのを待つのよ!異論反論は認めないから!」
「はい…」

こうして強引ながらアタシ達2人での生活が始まった。

485黄昏オレンジ:2009/09/16(水) 12:46:29 ID:???

とりあえずずっとこの海岸にいるだけでは何も始まらないので、ジオフロントを目指してアタシ達は歩き始めた。


…何時間歩いたのだろうか。まわりには時計らしきものは何一つないので、どのくらい歩いたか、今何時かさえ分からない。
そして空が薄暗くなってきた頃、アタシ達はジオフロントについた。
主電源と副電源は落ちていて使えなかったが、予備電源はかろうじて生きていたため、最低限度の電気は使えた。水道も生きていた。

「奇跡ね…」
「そうだね」

アタシ達は呟いた。

486黄昏オレンジ:2009/09/16(水) 12:48:40 ID:???

…そういえば食料がない。さすがに食料がないとキツいので、2人で手分けして探そうと言い始めたとき、聞き覚えのある声を聞いた。

「2人とも生きていたのね」
「え…?」

そこにはマヤがいた。

「あと、冬月副指令と日向君ももいるよ」
「そ、そうなんだ…」

意外だった。
詳しく情報を聞くと、一旦は補完されてしまったが、すぐに自らの意思で戻ってきたのだという。副指令とかも同じらしい。まわりの様子を見る限り、その他の人達はまだ帰ってきていないようだ。

487黄昏オレンジ:2009/09/16(水) 12:49:30 ID:???

「何か食べたの?」
「いえ、何も…」
「そうなの。それならここから階段を上った第4非常用倉庫に非常食があるからそこから何かとってきなよ」
「はい分かりました」

シンジは答えた。

とりあえずこれで最低限度の生活は保証された。しばらくはここで寝泊まりすることになるだろう。

…そして、いつか…あいつを…必ず…

488名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/16(水) 12:51:26 ID:???

続きはまた後ほど。

489名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/16(水) 14:15:59 ID:???
マリンさん久しぶり!イタモノですか、ビクビクしながら待ってますw
490名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/16(水) 14:18:16 ID:???
乙です
どいった感じのイタモノでしょうか?異性系?
491マリン@marine:2009/09/16(水) 14:27:30 ID:???
覚えてくれていて嬉しいです!

えっと、一応異性系と死…のWのイタモノです。
492名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/16(水) 14:30:32 ID:???
ありがとう
流石にキツイなw
493黄昏オレンジ:2009/09/16(水) 17:33:50 ID:???

**********


それから何ヶ月たったのだろうか。補完された人々も徐々にこの世界に戻り始め、第三新東京市も復興が本格的に始まった。
だが、この間にネルフ関係で帰ってきたのは青葉シゲルだけだった。

シンジとアスカは、さすがに何もしないで毎日を過ごすわけにはいかないので、マヤらと一緒にジオフロント内の清掃や片付けに追われる日々を送っていた。

そしてある日、アスカは廊下の清掃をしていたところ、足を滑らせて転んで頭を強打してしまった。アスカはその場で意識を失った。

494黄昏オレンジ:2009/09/16(水) 17:34:53 ID:???

**********

気が付くと、アタシは病院のベッドの上にいた。ここは…どこ?天井をみる限りをジオフロント内の病室ではないようだ。

「アスカ…大丈夫?」

中学生らしき少年の声が聞こえた。アタシはその少年を見た…が…

「…イヤァァァァァ!!」

その少年の顔をみるなり、アタシは発狂してしまった。それが自分の意思なのかは自分でも全くわからなかった。

そしてすぐに看護師がきて何かをアタシに打った。おそらく鎮静剤かなにかだろう。
すぐにアタシは意識を失うように眠りに落ちた。

495黄昏オレンジ:2009/09/16(水) 17:36:11 ID:???

夢の中でアタシは自問自答してみる。
…アタシはアスカなのは間違いないのよね?でもさっきの少年は誰?
えっ…?名前が分からない。見たことあるのに…そばにいた気がするのに思い出せない…ここに居てはいけない気がする…


―アスカは転んだ時点で記憶の一部を喪失してしまっていたのだ。
シンジのこと、サードインパクト前後のこと、そしてエヴァのことさえも。
ただ、なぜか自分の名前だけは覚えていた―


しばらくして、アタシは夢から覚めた。窓から夕陽が射し込んでいる。とても眩しい。
そしてなぜかアタシはここにいられない、あの少年と会いたくない、と直感的に感じて、看護師らの隙をついてその病院から脱走した。

496マリン@marine:2009/09/16(水) 17:39:48 ID:???

今日はこの辺で。

次回からイタくなります。

ではまた。

497名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/16(水) 20:57:12 ID:???
>>496
GJ!
まさか記憶喪失とは…
続き待ってます。
498名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/16(水) 22:22:11 ID:???
またこれは、厨二臭のするLASだなww
499名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/16(水) 22:28:32 ID:???
イタモノなんて厨ニ臭しか基本しないだろ
500猫シンジ:2009/09/17(木) 00:15:10 ID:???
>444から続き

 ネルフから帰り道。
久しぶりにミサトさんのスポーツカーでドライブだ。
アスカが来日してからは全然乗せてくれなかったけど理由は簡単。
よく考えたらミサトさんのスポーツカーって二人乗りじゃん。
だから僕たちはバスでネルフに通っていたんだね。納得。
今日はアスカの膝の上という特等席で堂々と三人乗りさ。いや二人と一匹乗りだけど。
「ミサトはいつから知ってたのよ?」
「んーと昨日かなー。リツコがやっと白状してね」
「何ですぐに教えてくれなかったのよ全く!」
「一緒にお風呂入るーって言うから湯上りに教えようかなーっと思ったんだけど……」
「だから入る前に教えろっていってんのよ!」
 結局、湯上りに聞く耳も持たずケンカを始めちゃったんだっけ。
でもまあ何か仲直りしてるみたいだし良かった良かった。
「それに実験内容はともかく、何で猫の姿なのよ?」
「緊急サルベージ代用できる完璧な生体データが猫しかなかったらしいわ」
「リツコの病的な猫好きが役に立ったってわけね。ま、可愛いから良いけど。ねー」
「うにゃ!」
 アスカが僕に頬擦りをした。急なことに思わず声が漏れてしまう。
こういう事は何回もあったけどやっぱり慣れないよ。小さな心臓が爆発しそうだ。
でも猫で良かったよ。子犬ならともかく小魚とか小鳥だったらとっくに天国に行ってる。
「アスカ〜。それシンちゃんよ?」
「べーっだ。この子はシジだからいいのよ。ねー、シジ」
「ふにゃーん」
 そりゃそうだよな。僕に頬擦りをするアスカなんて想像できないよ。
いやアスカは想像はできたけど、されてる僕が想像できないや。
こうやって見てるとアスカって凄く可愛いのに何でいつも怒っちゃうんだろ。
501猫シンジ:2009/09/17(木) 00:16:35 ID:???

 久しぶりの我が家っと思ったけどまだ一日も経ってないな。猫だと一日が長く感じるよ。
そういえば昨夜の超高級ネコ缶を今日こそ食べれるはず。楽しみだなー。
―――って何か思考が猫になりかけてる気がする。反省。
「くんくん。シジ、あんたLCLに浸かってシャワー浴びてないでしょ。ほらお風呂よ」
 また一緒にお風呂ですかアスカさん(棒読み)。
僕が僕だって分かっても何の意識もされないのは嬉しいような寂しいような。
所詮は猫だけどさ、でも恥じらいとか色々と必要だと思うんだよ僕は。
それとも僕になら見られてもいいとか思ってたりして。ああ猫になって良かった。

「ああ、やっぱり毛の生え際に少し残ってるわね。念入りにシャンプーしないと」
 ヌイグルミでも洗うように洗面器に漬けられて丸洗いされてる僕。
当然アスカは服を着たまま、僕をブラシでゴシゴシ。当然だよね、何考えていたんだろ。
僕って自分で思っているよりムッツリスケベだったみたいだ。
いやいや健全な男子中学生として当然の妄想だよコレは。現実には手が出ないし。
「はーい終了。綺麗になったわねー」
 ん、丸洗いが終わったみたいだ。シャンプーを温いシャワーで洗い流してくれてる。
LCLなんて軽く流すだけで十分だと思うけど、やっぱり女の子は気になるのかな?
「風邪をひかない様によーく身体を拭きなさいよ」
 別に猫だしタオルは何ていらないよ。
こうしてブルブルっと身体を振れば脱水なんてあっという間さ。
うん、どんどん猫の身体に順応してるね僕。
「シ〜ジ〜! あんたね〜!」
 マズい。飛ばした水でアスカがびしょ濡れだ。怒ってる。あれは本気で怒ってる。
一ヶ月前に間違えてアスカのアイスを食べちゃった時と同じ怒った目だ。
「こら! 待ちなさいっ! シジ待て〜!」
 やだ、待たない。前に素直に待ったら平手打ちしたじゃないか。
「二人とも仲が良いわね〜。平和で結構、えびちゅが美味しいわ〜」
502猫シンジ:2009/09/17(木) 00:17:59 ID:???

 追いかけっこは「さっさと着替えないと風邪ひくわよ〜」の声で終了した。
助かったよミサトさん。捕まったらヒゲ引っ張りの刑では済まなかったよ。
さてアスカが着替えている間に僕がするべきことは、アレかな?
アレしかないよね。ここは健全な男子中学生的に考えて……止めよう。
何だかミサトさんの視線が痛い。止めてニュースでも見るのが正解だよ、きっと。
ああ、僕は意気地なしだ。
気を取り直してTVをつけよう。CFGPX決勝の結果も気になるし。
えいっえいっ。肉球でリモコン操作って難しいな。おっ、映った。
『さあ今こそおまえの出番だジェットアローン!』
『日本の、いや地球の運命が掛っているんだ!』
 おお、もう飯田橋危機一髪がTV放映されてる。映画館で見たかったなー。
ケンスケがレトロでチープな特撮と最新CGが融合した傑作って絶賛してたし。
「シジ、リモコンで遊んじゃ駄目よ。それと、今日はあのネコ缶なし。いいわね」
 アスカに大事なリモコンとネコ缶を奪われてしまった。。
あれ? アスカ、何その格好。
ハーフパンツと白のランニングはともかく胸元の『平常心』って柄は。
勝手に僕のタンスを開けたな。酷いや! 人権侵害、いや猫権侵害だ!
でもまあ開けたのは上の引き出しだけみたいだし許してあげよう。ふぅ、助かった〜。
「あら〜ん。それってシンちゃんのじゃな〜いの〜?」
「今は猫なんだし別にいーじゃん。シンジがいないから洗濯物が溜まっちゃってんのよ」
 洗濯くらい僕がいなくてもしようよ。勝手に人の服を着るとかだらしない。
僕がアスカの服を着たら半殺しじゃ済ませないくせに。ホント勝手だよな女の子って。
503猫シンジ:2009/09/17(木) 00:19:07 ID:???

「さーてドラマドラマっと。今日はフルメタGF2の日なのよね」
 とチャンネルを変えながら僕を抱きかかえてソファーに座る。ねえニュースは?
『――いやだ! こんな世界、望んでない!』
『僕と一緒にいればキミの望む世界をあげるよ――』
 アスカが毎週欠かさず見ている学園ラブストーリーだ。
クラスの女子と共通の話題を作るために『嫌々』見ているドラマ番組らしい。
毎週見ながらベタだの鈍感だの僕に文句ばかり言うんだ。
でもさすがに猫には愚痴らないみたいで安心したよ。
内容は良くある優柔不断な主人公と素直になれないヒロインの物語。
最近はロボットも出てるみたいだけど、途中からじゃ良く分からなくて退屈。
「ふにゃー……ふがっ!」
 うぐ、不用意に欠伸をしたら口を押さえられて力一杯抱きしめられた。
どこが嫌々だよ。凄い真剣に見てるじゃないか。いつもと態度が違うぞ全く。
大体――んむむむ!? こ、これは、何というか、その、う〜ん、柔らか〜い。
そういえばランニングシャツ一枚だったな。
何というボリューム感。そして洋服の上からでは決して味わえない柔らかさ。
思わず顔がにやけてしまう。ゴロゴロ。離してくれないんだから僕のせいじゃないよね。
『ううん、何でもない……一緒に帰ろ』
『同じマンションなんだから別にそんな事言われなくても……』
『言いたかったんだ……一緒に帰ろ』
『……うん』
 至福の感触に浸ってるうちにエンディングテーマが流れ始めて今週分は終了したらしい。
ふと見上げるとアスカが涙を拭っていた。
女の子はラブストーリー好きっていうけどアスカも例外じゃなかったみたい。
やっぱりヒロインに感情移入とかしながらみてるのかな。
もしも僕が主人公だったら……何かあっさりフラれるイメージしか湧かないや。
いいよな物語の主人公って。羨ましいよ。

<つづく?>
504名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/17(木) 00:21:36 ID:???

フルメタGF2て鋼鉄のことかww
LAS展開に戻ってきたようで何より。続き待ってるよ〜
505猫シンジ:2009/09/17(木) 00:23:25 ID:???
何か軽いのはアスカが安心しちゃってるせいですかね?

他のスレのヤツが無事終わったのでこちらに専念。
ちょこちょこ進めていけたらなと思ってます。
ではまた。
506名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/17(木) 01:39:07 ID:???
乙。飯田橋危機一髪って育成計画で上映されてた映画だなw 全然人が入ってない奴。
喋れないネコシンジがどうやってアスカに意思(好きとか心配してるとか)を伝えるかってので
盛り上がりそうだね
507DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/17(木) 03:38:07 ID:???
>>405 続きです 題付けました

アスカは女の子がらみの事には特にうるさい。「バカシンジのくせに生意気!」だそうだ。
何故か綾波が絡んでくるとなおさらだ。気が重い。
アスカに近づいてくと先に声を掛けられた。
「シンジぃ〜 早く帰りましょ!」
「アスカ、あのさ・・・」
「そーいや今日ミサト泊まりでいないらしいわね♪今日の晩ごh」
「アスカってば!」
「・・・だめ」
「は?」
「だめ、絶対行かせない」

まさか聞いてたの?あんだけ距離あったのに・・・
「でも約束しちゃったよ!」
「あたしよりファーストを取るわけ? あんな人形を?」
金切り声にクラス中の視線が集まる。
「アスカっ!言い過ぎだよ! だいたい取るもなにもないよ!」
「・・・・あんたは何もわかってない。・・・あたしをみようともしない・・・」
言い終える頃には泣いていた。
あのアスカが。
こんな事で泣くなんて。僕にはわからないよ・・・ 君が。
「・・・晩ご飯は昨日の残り暖めて。それで足りなかったらピザでも取って適当にして・・・」
数分の沈黙。
バシッ。ほおに走る鋭い痛み。
アスカがカバンを持ってもの凄い勢いで廊下へ飛び出す。
「アスカ!待って!」
508DlSTRESS ◆lhYZUJebKo :2009/09/17(木) 04:07:56 ID:???
振り向きざまに一言。
「バカ」
その時のアスカの顔は歪んでいた。恐ろしいくらい醜く。
悲しみと憎しみに歪められた顔のように僕には見えた。
教室に戻りみんなの視線が突き刺さるのを感じながら綾波に行こう、と声を掛けた。

なんで今こんなに普通に綾波の家に向かっているのだろう。あんな顔みた後なのに。
恐らく日頃の我慢の反動だろう、と僕は考えた。いや、そう思いたかった。
そうじゃなかったらどうしてだろう、と自分で自分を突き詰めていく事が怖かった。逃げたかった。
僕ってホントに情けないな。だからアスカに罵られるんじゃないか。
わかっててもやめられない。これが僕。弱い僕なんだ。
「碇君。着いたわ」
気づくと綾波んちの前だ。
階段を登り部屋へ向かう。
「どうぞ」
「おじゃまします」
相変わらず生活感のない部屋。以前に比べて変わったとこといえば調理器具が増えたこと位か。
花でも持ってくればよかったな、ってぜんぜん成長してないな僕。
「今の時点で何が作れるの?」
「サラダ、白いご飯、なんとか味噌汁も」
あれだけ傷作ってそれか・・・
「がんばったんだね。じゃあ綾波お肉嫌いだし野菜炒めでもつくる?」
「ええ、お願い」
509DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/17(木) 04:37:30 ID:???
そう答えた横顔は少し赤らんでいて、うれしそうに見えた。
「よぉーし、行くよ!!」
食材を切りながら考えた。綾波はさっきの事どう思ってるんだろう?
ほとんど感情を露わにしない顔から予測する事はできない。
「碇君。セカンドの事どう思う?」
「い、いきなりなんだよ! ・・・わからないよ」
「わからない?」
「そう、わからない。 でもきっとアスカは僕のことなんて嫌いだ・・・」
言いかけてやめた。じゃあ何で泣いた? 何で見てくれないなんて言った?
「セカンドが前に言ってた。『あいつはホントにバカよ!・・・だから、バカだからほっとけないのよ』って」
「その時のセカンドの顔は凄く優しそうだった。たぶんポカポカしてたんだと思う」
「ポカポカ?」
「そう、ポカポカ。私が碇君といるときにそう感じる」
綾波の顔を見ると、さっきよりも赤い。
はぁ、僕はまた逃げてたんだ。アスカから。そして何より自分から。
傷付く事ばかり恐れて、これじゃまるで幼稚園児みたいだ。

ーーー行かなきゃ。

「ありがとう、でもごめん綾波。アスカの所に戻るよ」
「え?」
「ホントにごめん。野菜切っておいたから。あとは・・・」
510DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/17(木) 05:04:29 ID:???
途端に強烈な眠気が襲ってきた。
走り出した足は絡まり、体が床へと投げ出される。
「・・・・」
無言で綾波に抱き止められた。何がどうなってるんだよ・・・
そこで僕は深い眠りに落ちた。



現在時刻AM12:30。まだあいつはあのクソ女の家から帰ってこない。学校であんなに止めたのに。
泣いたのに。
みんなにも見られて恥ずかしかったのに。なのに何故?なんであいつは帰ってこないの?
料理を教えるのにこんなに時間がかかるはずがない。
思い切って電話しても、メールしても全然応答がない。
私を見て。
一人にしないで。
いままでそう伝えようと何度もしてきた。でもダメだった。
あいつの前だと素直になれない。
だから代わりにいろんな事をした。
毎日夜中にシンジの部屋へ行き、寝顔をのぞき込んだ。
心の中で好きってなんども叫んだ。
あたしを見てほしいと思って寝てる横で真っ裸になった。全てを晒した。
あたしの[におい]をシンジの持ち物に付けた。あたしに気づいてくれるように。
服、カバン、ペンケース。においの付くものには全て付けた。
でも気づかない。
当たり前だ。寝てる横で何やっても無駄。
511DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/17(木) 05:23:08 ID:???
においが付いてても一緒に暮らしてるから、位にしか思わないだろうあのバカは。
気づかれなくてもしかたない、ってわかっててもめちゃくちゃムカつく。

殺したいくらい。

日に日にあいつが遠くなってくのがわかる。
そばにいるのに、そこにはいないような感覚。
あんな人形女より私の方が絶対愛してるのに。
こんなに好きなのに。
なんであいつなんかにこのあたしが翻弄されなきゃなんないの?
もしも今二人でいやらしいことしてるなら、あたしは絶対・・・・  
512名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/17(木) 05:25:23 ID:???
続きは後ほど・・・

たぶん。
513名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/17(木) 10:29:29 ID:???
支援。
514名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/17(木) 11:00:47 ID:???
>>508 トリップミスりました。
すいません。
515名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/17(木) 17:06:47 ID:???
いきなり凄い流れになったなw
まさかイタモノ…?
乙でした!続きまっとるよ〜
516名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/17(木) 22:35:20 ID:???
>>496
次回からですか…ドキドキして待ってます。
記憶を無くしたアスカがシンジにどういう感情を抱いていくのか楽しみです。

>>505
もうすっかり癒やされてしまいます!アスカが可愛くて、シンジが鈍感で…でも可愛くて…
猫シンジなら何話でも読める自信がありますね!
ちなみに他スレの作品っていうのは…LASですか?

>>512
サスペンスな感じで怖い展開ですね〜。
シンジが倒れた理由が気になるのと、アスカの病みっぷりを楽しみにしてますw
517名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 00:09:53 ID:???
皆さんGJ〜!続き楽しみだぁ
518505:2009/09/18(金) 00:53:50 ID:???
>>516
多分LASだと思いますが異世界逆行かつ微グロなイタモノです。
正確にはLSSなんでメインはアスカ*2です。
519名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 00:58:15 ID:???
ツヅキイラネ…
520名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 07:07:12 ID:???
強引にシンジ×初号機、初号機×サキエルくらいしか思いつかんw>LSS
アスカメインでLRSの間違い?
521名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 07:47:57 ID:???
惣流式波だろ?
同じ部屋に閉じこめたスレで投下されたやつ
普通に良かったよ
522名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 07:52:23 ID:???
あ〜猫シンジさんは全アスカスレの人か。通りで上手いと思った
ダブルアスカのLSSもの良かったよね
523名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 08:18:01 ID:???
>>521
惣流×式波かw
その発想はなかった。
両手にアスカとどんな天国だよ
524名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 14:38:36 ID:???
両アスカに左右から引っ張られて真っ二つになったシンジが容易に想像できたぜ
525名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 15:59:34 ID:???
スレチじゃね
526名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 17:20:36 ID:???
ラブラブ惣流式波シンジなら、LSSSになるわけだ
527infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/18(金) 20:50:46 ID:???
〔愛を知らない少女と愛を知りたい少年〕
     その日曜日
「シンジ、もう一度優しいキスをして」
僕はアスカを抱き寄せてキスをした。アスカは僕の目をじっと見て、唇を離し立ち上がる。
何かを決意したような顔だ。
「アスカ?」
名前を呼んだが返事をしなかった。そして玄関に向かう。
僕はアスカの行動を顔で追う。アスカは玄関の鍵を閉め電話に近づき、
留守電のボタンを押した。
「アスカ何をやっているの?」
アスカは答えないで僕の前に立ち自分の服を脱ぎ始めた。
「ちょっと…アスカ」
僕は立ち上がり後ずさりをしていた。アスカは服を脱ぎながら近づいてくる。
「なにしているの…冗談は止めてよ…」
僕は後ずさりができなくなっていた。壁に追い込まれていたからだ。
「あんたはあたしのものになるの! いえ、あたしはあんたのものになりたいの!
あたしはあんたが欲しいの! 逃げないであたしを見て!」
下着姿になったアスカは僕にそう言った。僕はその光景を見て動けずにいた。
壁に追い込まれたからじゃない。下着姿のアスカを見たからでもない。
アスカを突き飛ばして逃げてもよかった。
僕はアスカの次の行動を期待していたから止める気は無かった。徐々に鼓動が速くなる。
それと同時に僕の心がゆっくりと黒く染まる。
「アスカそんなこと止めてよ」
僕は心にもないことを言っていた。なんか胸が苦しくてチクチクしている。
アスカの優しい手が僕の頬を優しく撫ぜる。
僕はアスカの顔を優しく撫ぜて強引に押し倒した。胸が苦しい。嫌だ。
アスカの小さな悲鳴が聞こえた気がした。それは嬉しい悲鳴なのか。
「アスカこの部屋には僕たちの他には誰もいないよ。叫んでも無駄だよ。
逃げちゃ駄目だよ」
僕はアスカの耳元で優しく笑いながら囁いた。

528infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/18(金) 20:51:56 ID:???
アスカは僕の顔を睨みつけている。僕は鼻で笑った。嫌だ。
「僕のものになりたいと言ったね! 僕が欲しいとも言ったね!
 その願いは直ぐに叶うよ」
僕はアスカの頬を擦りながら言った。僕は嫌だ。
「だったら早くしなさいよ! シンジ!」
アスカは声を荒げて言った。
「そうするよ…僕の物に…」
僕はキスをしようと近づくとアスカは目を閉じた。
「ィ…ャ…」と呟く声が微かに聞こえた。
アスカの声が聞こえたような気がした。それとも僕の声なのか分からなかった。
僕は冷静になった。僕は何をしているんだ。
僕はアスカに何をしようとしたんだ。
僕は自分の顔を叩いた。その音が部屋に響く。
「アスカもう止めようこんなことは…辛いよ」
アスカは目を開けて僕を睨んだ。
「あたしは本気よ! 辛くないわ!」
「ごめんよ。…僕はこれ以上アスカを苦しめたくないよ」
僕はアスカを起こして向かい合わせに座る
「シンジ! あたしは苦しくなんてないわよ」
「じゃあ何で泣いているの? どうして震えているの? 怖いからだろ! 
苦しいからだろ!」
アスカは手で涙を拭い自分の肩を抑えている。
「何をそんなに急いでいるの? 何をしたかったの? 僕にどうしてほしかったの?」
「シンジあたしとしたいでしょ? あたしの体が欲しいのでしょ? 
あたしをものにしたいんでしょ? これが大人になるってことなの? これが愛なの?
これが愛なんでしょ! …シンジ…教え…てよ」
アスカは僕の肩を強く掴みながら悲鳴にも近い声で言った。



529infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/18(金) 20:52:59 ID:???
「愛なんて僕には分からない。でも、体を重ねればいいだけなら体だけの関係だよ。
そんなの心が通じ合っていないよ!」
僕はアスカを抱き寄せて話を続ける。
「そんなものが愛だとしたら僕は要らないよ。心が通じてこそ愛だと思う…たぶん。
…僕とアスカは大人の真似をしていただけだ」
アスカは顔を上げて僕の顔を見る
「僕たちはちょっと急ぎすぎたんだよ。僕たちは何も知らない子供なんだよ。
それが分かるまで…」
「シンジ…うぐっ…うぅ」
アスカの目からポロポロと涙が落ちる。僕はアスカの背中を擦る
「大人になるために僕と一緒に歩こうよ。
アスカが探していた答えが見つかるかもしれないよ。
僕の答えも一緒に見つかるかもしれない」
                            完
530名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 21:26:12 ID:???
おい、if様が降臨なされたぞ
とっとと感想を書かんか感想を
平伏せや愚民どもが
531名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 21:59:03 ID:???
『優しいキスをして』wwwwwwwwwwwwwwww

キャラ崩壊しすぎだろwwwww
532名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 22:01:55 ID:???
思わず草はやしちゃうねww
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
533名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 22:04:49 ID:???
>>530 レイ「あなた、誰?」
534名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/18(金) 23:57:15 ID:???
んまぁキャラ崩壊はFFSSにはありがちだからまだしも
ifのSSはなんかもう内容がマンネリ化してるし
正直何番煎じかわからないネタばかりだし
if自体うぜぇからイヤなんだよな
535名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 00:01:49 ID:???
ifに少しでも良心があるのならもうこのスレには来ないでくれ。
おまえが来ると荒れるから正直迷惑だ
536名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 00:04:07 ID:???
乙です〜。結局背伸びしても根が潔癖な2人なんですよね。

ではでは、大人になったVerはエロパロで待ってますw
537名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 00:11:49 ID:???
>>524
スレ違いw
538名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 00:48:02 ID:???
あ、スレ番ずれてたw
>>527-529
スレ違いw
539名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 02:46:09 ID:???
ifはエヴァが好きっつーか褒められるのが好きなだけ
今回は気のいい>>536が褒めてくれてよかったな
540名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 05:27:49 ID:???
エロパロにも成って無いが少なくともエロ小説の所に落とすべきだろ
541名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 08:34:44 ID:???
これはヒドすぎる
542マリン@marine:2009/09/19(土) 20:39:38 ID:???

>>495の続き投下します。

・イタモノ注意
・NGワード 黄昏オレンジ

543黄昏オレンジ:2009/09/19(土) 20:41:45 ID:???


アタシは、脱走したはいいものの、ここはどこなのか分からない。自分が今居る場所すらも分からないので、途方にくれていた。
当然今晩泊まる所もない。でもさっきの場所に戻るわけにはいかない。

気が付くと、アタシは夕陽に向かう坂道を歩いていた。その坂を一気に登りきろうとしたが、大分歩いていたので途中で疲れて座り込んでしまった。

ちょっとばかり休んで、歩くのを再開して坂の頂上付近に差し掛かろうとしたとき、アタシの約20m先に少年らしき誰かが居ることに気づいた。
アタシと同じぐらいの年だろうか。その少年はこちらを見ている。

544黄昏オレンジ:2009/09/19(土) 20:43:06 ID:???

その少年の外見は、髪は銀髪で瞳は赤く、細身で身長はアタシより少し大きいぐらいだった。
服はどこかの学校の制服を着ていた。多分中学生だと思う。
…こいつ、どこかで見たことがあるような気がする。でもなぜか思い出せない…

不思議に思ったアタシは、その少年に近づいていくと、その少年はアタシに話しかけてきた。

「どうしたんだい?こんなところで?」
「なんの用?…アンタには関係ないでしょ…」
「まぁまぁそう言わずにさ」
「別に…」

その時アタシのお腹がグーっと鳴った。

545黄昏オレンジ:2009/09/19(土) 20:44:28 ID:???

「あははっ。お腹空いてるんだね。良かったら家にきなよ。変なことはしないからさ」

少し考えこんだが、病院に連れ戻されるよりマシだと考えた。こいつの表情をみる限り、変人ではなさそうだ。

「…分かったわ」

野宿をするとなにがあるかわからないので、とりあえず彼の家に行くことにした。

「そういえば君、名前はなんていうの?」
「…アスカ…だけど…」
「へぇ。僕はカヲル、渚カヲル。カヲル、でいいよ」
「カヲル…ね」

そんななにげない会話をしているうちに彼の家についた。家は住宅街の一角にあるアパートの一室で、1人暮らしをしているようだ。

「お邪魔します」
「ちょっと散らかってるけど、ごめんね」
「アタシは別に大丈夫」
「そう。ならよかった。じゃあぱぱっと何か作るね」
「うん」

そういうと彼は台所に立った。

546黄昏オレンジ:2009/09/19(土) 20:47:46 ID:???

彼の部屋を見渡してみると、なんとも普通のアパートで、とくに変わったものはなかった。
ただ、テレビは壊れているようだった。
アタシはとりあえず情報が欲しかったので、彼にラジオをつけてもいいか聞いた。

「カヲル、ラジオつけてもいい?」
「いいよ」

アタシはラジオをつけた。
一通り電波を探したが、ニュース番組などは一切やっておらず、その代わりに音楽番組がやっていた。
受信状態はあまりよくはなかったが、その番組からはこんな音楽が流れていた。

547黄昏オレンジ:2009/09/19(土) 20:49:00 ID:???

…夕焼けに追いつけと 走った街のなか

坂を上ればオレンジ模様 もうすぐ夜が来る

疲れた君は 座り込んでしまった

この景色を出来るだけ 長く覚えておこう

黄昏 お別れ この街をゆらりるらり

彷徨い 浮かんだのは 悲しい色じゃなくて…


この歌、まるでさっきのアタシを指してるみたいね。不思議だわ…でも、悪い歌ではないわね。

しばらくしてカヲルがラーメンを作って持ってきてくれた。

「ごめんね、こんなものしかないけど」
「ううん。いいの」
「じゃあ麺が伸びないうちに食べようか」
「「いただきます」」

普通のインスタントラーメンだったが、懐かしい感じがした。それと同時になにか寂しさと物足りなさを感じた。

548黄昏オレンジ:2009/09/19(土) 20:51:07 ID:???

「「ごちそうさまでした」」

どうやら2人ともお腹が空いていたようだったので、あっという間に食べ終わった。
カヲルは後片付けを始めた。アタシも手伝おうとしたが、いいから座っててよ、と言われた。

…そういえばこれからどうしよう…行く宛もないし…かといって病院には戻りたくないし…
そんな事を考えていると、カヲルが後片付けを終えて戻ってきた。

「アスカはどこか泊まるとこはあるのかい?さっきの様子だと家出してきたように見えたけど…」

…こいつ人の心が読めるのかしら。不思議な奴ね。

549黄昏オレンジ:2009/09/19(土) 20:53:49 ID:???

「それは…ないけど…」
「じゃあ泊まっていきなよ」
「え、でも…」
「ははっ。大丈夫だよ。さっきも言ったけど変なことは絶対しないから。その様子だとしばらくは泊まるのかな。僕は全然構わないからさ」
「う…全てお見通しなのね。分かったわ。じゃあしばらくお願いね」
「了解。じゃあお風呂でも入ってきなよ。服は僕のやつ勝手に着て良いからさ」
「うん…ありがと」

忘れていた。アタシは掃除する時に着ていた簡単な作業服のまま意識を失ってしまい、そのまま病院に運ばれて脱走した。
恥ずかしい。年頃の女の子が作業服で街を彷徨くなんて。

まぁでもしょうがない。悪い奴ではなさそうだから、しばらくはカヲルに匿ってもらおうかな。
…でもなんで彼はアタシの心が分かったんだろうか…

550黄昏オレンジ:2009/09/19(土) 20:55:53 ID:???

そんなことは…まぁいいか。世の中にはこんなやつもいるだろうし。気にしない。

ほどなくしてアタシはお風呂から上がった。
そしてカヲルもお風呂にむかった。

その日の夜、アタシはとても疲れていたのですぐにうとうとし始めてしまった。
カヲルはアタシに布団と寝床を貸してくれた。
カヲルは1人リビングで寝るらしい。襲ってこないか心配だったけど、彼はそんなことはしなかった。
そしてアタシは深い眠りについた。


…あの少年がアスカのことを必死に街中探しまわっていることも知らずに…

翌日からアタシ達はあちこち散歩をしては買い物に行き、家でぐだぐだして過ごす日々が続いた。
彼の学校はまだ休みらしく、出かける場所もあまりないのだという。

そしてカヲルはずっとアタシのそばに居てくれた。
安物だったが、アタシの服も買ってくれた。
常にアタシに気をつかって優しく接してくれた。
そんな彼にアタシは段々惹かれていった…

551黄昏オレンジ:2009/09/19(土) 20:57:18 ID:???

**********

―その頃あの少年は―

「はぁはぁはぁ…アスカ…どこへ行っちゃったんだろう…」

彼女が失踪してから彼は毎日々々街を走りまわっていた。
そのおかげでここ一週間で2kgも体重が減っていた。
しかし彼女は一向に見つからない。
悲しいかな、彼女が散歩からカヲルの家に帰った数分後、そのアパートの前を少年が通り過ぎたこともあった。


残念ながらこの努力がいい意味で報われることはないことを…少年はまだ知らなかった。

**********

552名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 20:59:36 ID:???
しえん
553マリン@marine:2009/09/19(土) 21:00:36 ID:???

今日はこの辺で。

次回は最初がイタいです。

ではまた。

554名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 21:02:19 ID:???
乙です…
カヲルが絡むのかぁぁぁぁ…
555名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 21:07:32 ID:???
イタモノならイタモノでいいけど、
それがLAS小説としての魅力を増すためである事に期待する
イタモノのためのイタモノは糞
556名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 21:08:05 ID:???
カヲルが絡むほど原作レイプLASレイプは無い
と個人的には思うのでNGさせて頂きます^^
557名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 21:11:28 ID:???
>>555
>イタモノのためのイタモノは糞
その通りだわ
大抵のイタモノって、ただ痛くすればいい
みたいな無意味なもんだからな
558マリン@marine:2009/09/19(土) 21:22:48 ID:???

一応カヲルとアスカは行き過ぎた関係にはなりません。

次回は最初のみイタモノです。

559infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/19(土) 22:27:08 ID:???
「優しいキスをして」の続きです。
一応これで終わり。
荒らしてすいません。
以上です。
では投下します。
560infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/19(土) 22:28:48 ID:???
〔告白〕
 ある平日の夕方    
僕は居間でアスカと向かい合わせで座っている。
話をするでもなくただそこに座っているだけだった。僕はアスカのことを見ていた。
僕はアスカの事しか考えていなかった。考えないようにしても考えてしまう。
アスカを見るとドキドキとしてしまう。
でもアスカが側にいないと不安になりざわざわしてしまう。
教室でもアスカの事を見てしまう。この気持ちはなんだ、僕はどうしてしまったんだ。
胸が締め付けられるように苦しい感じだ。
「シンジどうしたの? あたしの顔を見ているけどなんか付いているの?」
僕はアスカから目を逸らした。でも僕は気になってまた見てしまう。
「何も付いていないよ。大丈夫だよ」
アスカは目を細めて首を傾げている。
「シンジ今日の晩御飯はなに?」
僕もあの時のアスカの気持ちを知りたいと思った。
「ねぇ、アスカ。僕のことどう思っているの?」
「え? 何? シンジどうしたの? 何言っているの?」
まあ、普通は驚くだろうね。晩御飯のことを聞いたのに、僕の事どう思うと聞いたら。
「だから! 僕の事をどう思っているの?」
「相棒で口うるさい同居人よ。それと…友達」
なんだか僕は胸がざわざわしてきた。
「熱は無いみたいね」
アスカが近付いてきて僕の額に触る。
「僕は病気じゃないよ」
「シンジどうしたの? あたしになんて言って欲しいの?」
僕は返答に困ってしまった。これを言えば後戻りは出来ない。
でも僕は覚悟を決めて言った。
「僕はもうアスカとキスをしたくない」

561infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/19(土) 22:30:00 ID:???
****************
あたしはその言葉を聞いて体が震えていた。シンジに嫌われた。
あたしはどうしたらいいんだろうか。この場から逃げたい。
「もう暇つぶしのキスはいらない。僕は本当のキスがしたい」
あたしはシンジの顔を見る。何を言っているのか分からなかった。
「僕はアスカが好きだ! だからこれからは本当のキスがしたい、遊びじゃないキスが」
あたしはシンジの告白に驚いていた。本当に突然だったから。
「シンジ…今…なんて言ったの?」
「だからアスカが好きだって言ったんだよ」
シンジの顔が赤くなっていく。シンジの体が震えているのが分かる。
あたしの鼓動が段々と速くなっていく。
「あたしも好きだよ」
あたしはシンジに近づいて頬にキスをする。
「え、あの…アスカ? えぇ!?」
シンジはその場にへたり込んだ。
「何であの時に言わなかったの! バカシンジ! 遅いよ!」
あたしは思わず怒鳴った。
「怒鳴ること無いだろ! …言いたかったけど…」
シンジはそのまま黙ってしまった。
「暇でキスしたのは初めだけよ。…でも本気だった!」
あたしはシンジの隣に座り自分の気持ちぶつけた。
「あんたのことが好きで堪らなかった。あたしに触れてほしかった。
あんたに抱きしめてもらいたかった。あんたとキスがしたかった。
あたしは本当にあんたのことが好きだからキスしたの!
あれは遊びでしたキスじゃない! あたしはシンジが好き! 好きなの!」
いつの間にかシンジの手を握っていた。
「僕は…告白するのが怖かった。出来れば言いたくなかった」
シンジはあたしの手を握り返す。
「どうしてそんなことを言うの?」


562infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/19(土) 22:31:38 ID:???
「好きだといえば全てが変わってしまう。普通に会話が出来ない。
普通に喧嘩ができない。普通に君を見ることができない。…君と一緒に戦えない。
好きだと言いたいけど言いたくなかった。その先に進むのが怖かった。
ずっと胸にしまって置けばよかったんだ。そうすれば普通の関係でいられたんだ。
相棒でいいんだ! 口うるさい同居人でいいんだ!友達でいいんだ!
クラスメートでいいんだ! …でもそれは無理だった。
アスカを好きという思いが段々と強くなっていく。
僕は…アスカが好きでどうしようもない!
…人を好きになるのは簡単だけど、それを相手に伝えるのは怖い。…僕は…怖かった」
シンジは叫ぶように言った。
初めてシンジの気持ちを聞いた。シンジが好きだ。シンジが好きでどうしようもない
あたしはシンジを抱きしめる。
「あんたはあたしと同じだよ。あんたのことをずっと見ていたんだよ。
あんたのことをずっと思っていたんだよ。知ってた? 」
あたしはそう言いながらシンジの頬にもう一度キスをする。
「アスカの気持ちに気づかなくて御免よ。好きだよ」
シンジはお返しとばかりにあたしの頬にキスをした。
「ねぇ、シンジ。…あたしの事いつから好きだったの?」
シンジは困った顔をして横を向いた。
「ユニゾンの時からだよ。…それとも君を溶岩から無我夢中で助けたときかな?
暇だからキスをしようかといったときかな?…わからない」
シンジの耳が赤くなっていくのが分かった。
「初めて私を見たときはどう思ったの?」
「いや…あの…かわいいと思ったよ」
あたしはシンジの手を掴み自分の胸に当てた。シンジは驚いた顔をしている。
「アスカ! な、何しているの?」
「あたしの心はあんたのものよ!」
「アスカ…聞こえるよ…ドキドキしている」シンジは顔を真っ赤にして答えた。



563infinity ◆e1/swPUIeI :2009/09/19(土) 22:33:02 ID:???
   @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
「シンジあたしにキスをして抱きしめてよ。…言っとくけど遊びじゃないよ!」
アスカは立ち上がり僕に微笑んで僕に手招きをした
「その前に…ちょっと…トイレに行きたい!」
「あんたバカ!」
微笑から鬼の形相になった。
「バカシンジ! せっかくのムードを壊さないでよ! もう!」
「うう…ごめんよ。我慢していたんだ。…本当にごめんよ」
覚悟はしていたけどこんなに怒られるとは思わなかった。でも、いつものアスカだ。
僕は突き刺さる視線を後ろに感じながらトイレに駆け込んだ。
トイレに入ると鍵を閉めた。
「ぐぅ…うう…あぅ…よ…がった…うぐぅ…ほん…とうに…」
僕は泣くのをずっと我慢していた。
初めて人を好きになって僕はその子に告白した。
もし僕が告白して、アスカが僕のことを好きじゃなかったらどうしよう。
そんなことを僕は考えていた。ずっとそんなことを考えていた。
でもアスカは僕を好きだと言ってくれた。ずっと僕を思っていてくれた。
不安だった。怖かった。悩んでいた。そして僕は安心した。本当に良かった。
「シンジ早く出てきてよ」
アスカはドアをノックしたが僕は返事ができなかった。
返事をしたら泣いているのが分かってしまう。僕としてはかっこ悪い。
「シンジ…泣き終わったらあたしを抱きしめてね。
それとも…あたしも一緒に泣いてもいい?」
僕はその言葉を聞いて思わず声を上げて泣いてしまった。
「…アズガ…だいずぎだよ…ずっと…ぼぐのぞばにいでよ」
「…あたしも…大好き…だよ…シンジ…ずっといるよ」
                             END
                  

564名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:03:36 ID:???
糞だな
565名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:10:05 ID:???
おっつ!
566名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:14:18 ID:???
スルー検定実施中
567名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:24:53 ID:???
記憶喪失とかカヲルでもう先が見えてきておなかいっぱい。

568名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:33:08 ID:???
if氏の作品は普通の恋愛小説としては良いと思う。
だがLAS小説としてはダメだな。
569名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:35:17 ID:???
>荒らしてすみません
自覚あるなら来るなカス
570名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:36:31 ID:???
>>568
既存SSの二番煎じネタばっかじゃねーか
571名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:39:52 ID:???
ifは内容やレベルじゃなくてif自体が嫌いだから読まない
572名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:43:35 ID:???
なんつーかいちいちキャラのセリフがキモすぎる

もはや厨二とか通り越して普通にキモいだけ
573名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 23:56:25 ID:???
つまらんSSばかり・・・
入れ替わり続きを早く投下してくれ!
574543:2009/09/20(日) 00:07:07 ID:???
 ご無沙汰しております。
 連休中の時間を遣い毎度毎度寸止めSSをば投下。
 前回のお月見の続きになってしまいましたです。
 書いているうちに長くなったので、数回に分けて投下することになると思います。


 冗長なのが苦手・弱気アスカが苦手な方のNGワードは

空を見上げて

で、お願いします。
575空を見上げて:2009/09/20(日) 00:08:22 ID:???

 日曜日だというのに、何もすることがない。
 ミサトは早々に結婚式に参加するとかで、香水の臭いを撒き散らしながら出て
いったし、シンジは家事に熱中して全く相手にしてくれない。
 ソファでテレビを見ているのにもいたたまれず、掃除を押し付けられる前に部屋
に逃げ込んだ。
 ゲーム機をいじりながら電源を入れるかどうかで迷う。
 電源をいれて世界に入り込んでしまえばそれで済む話なのに、真っ黒な画面を
眺め続けていた。
 自分で自分が何をしているのか解っていない。
 いつのまにドアの向こうの人の気配を無意識に追いかけていた。
 しばらく忙しそうに駆け回る。音が止み、溜息が一つ聞こえて隣室の襖の開く
音がした。
 少し猫背気味のうなじや、見慣れたエプロン姿を想像すると、不思議と心が落ち
着く。まだ、長時間あの顔を眺め続ける勇気はないのだけれど…。
『やっぱ手伝えばよかったかな……』
 ズボラで面倒くさがりな自分の性格が恨めしい。というより、一緒にいたいのに
いざとなると怖気づく自分が嫌なのかもしれない。
 お茶もシークァーサージュースも好き。でも、一緒に飲むのがもっと好き。
 けれどいつも一緒のときは、シンジから声をかけてくれた。喧嘩して不機嫌な
シンジから無視されると、必死になって出さない表情の下で、激しく動揺する自分の
脆さに戦慄することもある。
 一人でこんな事を考えていると、出口のない迷路で取り残されている気がして
辛かった。
 ゲーム機をベッドに投げ出し、枕に顔を埋めてくさくさした気分を誤魔化した。
『やばいなぁ……』
 こうやってノッドに沈んで行く時は、些細なことで平常心を失いやすい。この状態
でシンクロテストのときに、何度追い込まれたか知れないというのに…
576空を見上げて:2009/09/20(日) 00:09:23 ID:???
 周りの音に反応が鈍くなる嫌な感覚に覆われそうになった時、懐かしい曲が隣から
聞こえてきた。
 ベッドでなんとなく居住まいを正して壁の向こうに耳を傾ける。
 口で呟きながらメロディを追いかけ、やっぱりいい曲だと思った。
 シンジはどうしてこう私の琴線に触れる事をするのだろうか?
 一通りメロディを追いかけた後、シンジのチェロは迷いなく音を奏ではじめた。
 立ち上がって軽く目元を拭うと、部屋の襖を開ける。リビングから玄関に少し
湿った風が吹き抜けた。
 ああ、エアコンの効いた部屋で燻っていたから、こんな風のことも忘れていた。

 半開きになっていたシンジの部屋の襖を開けて、何が入っているかも忘れた
荷物のダンボールに腰掛ける。
 シンジは気配に気付いてこっちを少し見たけど、すぐに気持ちよさそうに演奏
を続けた。
『良かった。演奏止めなくて』
 どちらかというと演奏に浸っていたかったので、自分の世界に入り込んでくれて
いた方がありがたい。
 音が伸びるところはノリノリで弾くのが好きらしく、普段の大人しいシンジとは
ちょっとかけ離れた荒っぽい音を出す。
 弾き終わった後少し格好つけてシンジが弦を振りかざす。得意そうな仕草がガキっ
ぽさの顕れに見えた。でもそれは嫌いじゃない。
「これ、いい曲だね」
 弾いてて楽しかったのか、シンジは屈託がない。
『いい【歌】の間違いでしょ?バカシンジ』
「ミサトに難癖つけられたときにこの曲知ってると楽できたのに……役に立たない
わね」
「あはは、ごめん」
 断言できるけど、この態度は謝罪じゃない。
577空を見上げて:2009/09/20(日) 00:10:27 ID:???
 ゴンドラの唄は本来しんみりした曲のはずだけど……。シンジの演奏を聞いて
いると、あのベランダの乱痴気騒ぎを思い出させる。どうも人間というのは、
最初のイメージで結構固定されちゃうものらしい。
 その辺は私も似たようなものだったりする。教えてもらっていたのが大概夜の
屋外だったせいで、ゴンドラという舟がどうも月夜に漕ぐ物だと思っているの
だから……
『あ、なんかゴンドラ乗りたくなってきた』
 ゴンドラがどんな舟か良く解らないけど、まあボートみたいなもんだろうと思う。
 幸い日本に来る前に読んだ観光ガイドに、芦ノ湖で貸しボートをしてくれるのを
事前情報で掴んでいた。同じ舟なんだから、ボートもゴンドラも似たようなもの
だろう……。
「ねえ、シンジ」
「何?」
「舟、乗りに行こうよ」
「は、はぁ……」
 シンジがなんとも形容しがたい顔でこっちを凝視する。その顔に思わず吹き出し
そうになるのを必死で我慢した。
578空を見上げて:2009/09/20(日) 00:12:34 ID:???
 *

 気乗りしないシンジの言い訳を一つ一つ封殺して、やっと重い腰を上げさせる。
 毎度の事ながら、この消極的な性格は直してもらいたい所だ。
 二人でどこかに行くなんて、学校の往復や買い物以外は初めてじゃないだろうか?
 溜息ついてシンジが台所に立つと、私も部屋に篭もって姿身の前で色々ポーズ
をつけてとっかえひっかえ格好をチェックする。
「な、何着てこ、何着てこ……」
 いつの間にかベッドの上は、クロゼットの中身をほぼひっくり返した状況に
なった。
 今まで制服を着ている時間が圧倒的に長かったので、実のところあまり私服
には自信がない。日本に来るときも、知り合いの女性士官に頼み込んで付き合って
もらい、服を調達してきたくらいだ。
 日本に来て買い揃えた服も、ミサトや赤城博士は全く当てにならず、どこか
自信なげなヒカリの助言に従って買った物が多かった。
 結果選択した格好は、ローライズ気味のスリムジーンズにドイツ代表のレプリカ
Tシャツ、その上に薄手のサファリシャツを羽織って、『C』の文字が入った真っ赤な
サンバイザーという出で立ちだった。
『っうし!』
 気合を入れて襖を開けると、台所で部屋着のままシンジがまだ何か作っていた。
 珍しく食卓の上が食材の山で軽く戦争状態になっている。
『わ、サンドイッチだ!』
 一瞬相好を崩した私の顔に全く気付かないくらいシンジはキッチンとテーブルを
往復していた。
「ホラ、早くしなさいよバカシンジ…」
「ちょっと待ってよ。サンドイッチくらい作っていくから……」
 無駄のない動きで準備するシンジを惚れ惚れと眺めていると、少し気が立った
感じで応援要請を受けた。
「急ぐんなら、手伝ってよ!」
「着替える前に言ってよもう……」
 むっとして口ではそんな事を言いつつ、いそいそ部屋にとって返してエプロンを
つけ、一緒に台所に立つ。
579空を見上げて:2009/09/20(日) 00:14:38 ID:???
 やることと言えばパンにバターを塗るのとハムを挟む程度だけど、色々手順や
作るものの相性だとかを、シンジが喋るのを頭の中に刻み込んだ。
『ふんだ、いつか見返してやるんだからね』
 心の中でそう思いつつ、いつの間に作業に没頭してしまった。
 シンジはサンドイッチを切り分けると、私にランチボックスへの詰め込みをお願い
して自室へ消える。
 任されたのを意気に感じて、彩りを考えながら切り分けられたサンドイッチを詰め
込む。慌しく出てきたシンジはランチボックスを覗き込んで少し感心したような感じ
だった。
『どうだ!こんくらい私にもできるんだからね!』
 心の中でそう喝采を上げていたけど、極力そんなことは表に出さないよう心掛けた。
 頭撫でてくれるくらいしてもいいと思うのだけど……するわけないか。
 シンジはランチボックスに蓋をして手早く包んでデイバッグに放り込むと、私を
せかして玄関に向かった。
「バカシンジ、ちょっと待ちなさいよ」
「なんだよ」
「襟直したげるから」
「え?あ、ありがと」
 玄関で靴を履く最中のシンジのポロシャツの襟を直すと、シンジは照れ隠しに
微笑む。
580名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 00:16:36 ID:???
読みにくい
581空を見上げて:2009/09/20(日) 00:16:56 ID:???
 ポロシャツにストレートのジーンズ、そしていつもの休みの日用のスニーカー。
ポロシャツというか、もしかしたらラガーシャツなのだろうか?今まで見た事が
ない服。真っ黒で胸元にALL BLACKSというロゴが書いてあった。
 見慣れない黒い服が、元々華奢なシンジに不思議な妖しさを醸し出す。
「アスカ、どうしたの?」
 襟を掴んだままシャツをじっと見る私にシンジが不思議そうな目を向ける。
 慌ててシンジから離れると力任せに背中をひっぱたいた。
「な、なんでもないわよ!ほら、早く行きなさいよ!」
 ばちんという綺麗な音の後で、シンジが一瞬息を詰める。
「っったーーー!!アスカ手加減くらいしてよ!」
 バカ者め、心構えがなってないからそういう事になるんだ。

 ……と、いう事にしておく。照れ隠しだなんて誰が言うもんか。


つづく!
582名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 00:27:54 ID:???
とりあえず乙
ここんとこイタモノやifしか来てなかったからありがたい
583名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 00:30:48 ID:???
ちょっとサンドイッチ買ってくる
584名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 01:00:08 ID:???
うんこみたいなSSしかないなこのスレ
585名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 01:25:46 ID:???
>>553
カヲルがきましたかぁ…。苦手パターンですw
体持ってかれる系より、心持ってかれる系のがまた苦手なんで、自分にとっては相当激イタです。早くシンジと結ばれてくれええええ!!

>>563
ラスト、トイレで泣いちゃうのが可愛いですね。泣き方は濁点多くて可愛くなかったけどw
キスして仲直りより、会話で終わったのが良かっと思います。

>>581
相変わらず上手いですねぇ。癒されます!続き楽しみにしとります。
586名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 01:37:22 ID:???
>>584 なんか書けよ
587名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/09/20(日) 02:36:40 ID:???
>>581
GJです!いつも楽しませてもらってます!
588名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 09:15:30 ID:???
>>563
いやぁ笑ったw
流石ifさん、ギャグSS書きにでも転向したらどうです?

>>574
乙です。中途半端に終わってしまった感じだけど
イタモノラッシュだった分、癒されたw続きまってるよ〜

589猫シンジ:2009/09/20(日) 20:31:56 ID:???
>>503からの続き

 あの後、アスカに抱きしめられた僕は同じベッドで一夜を明かした。
――と言葉だけなら大人っぽい展開なんだけど、残念ながら僕はヌイグルミの役だ。
見上げれば天使のような寝顔で可愛い寝息を立てているアスカ。
そのたゆんとしてむにゅっとした胸に細くて柔らかい腕に僕は捕縛されていた。
かなり嬉しいけど暑くて苦しくて柔らかい。
逃げようと動くたびに寝言で「シジ……」とか「シンジ……」って呼び止めるのは反則だ。
おかげで僕は色々と神経が高ぶって一睡も出来ずに朝を迎えるはめになったよ。
ふぁー、眠い。

 翌日、猫にされてしまった僕はアスカと平穏な朝を過ごしていた。
「あれとこれと……ついでにこれも入るわね」
 溜まりに溜まった洗濯物をポイポイっと脱衣所の洗濯機に詰め込むアスカ。
昨夜みたいに僕の服を着るような状況じゃ駄目だと気が付いたらしい。
全自動洗濯機だからアスカでも大丈夫だね。ミサトさんにも使えてたんだし。
女の子は家事が出来なきゃ、とは思わないけど出来るなら間違いなく好印象。
家庭的って以外にも綺麗好きとかシッカリ者ってイメージがあるからね。
「えーと洗剤はこんなもんかな?」
 ドザーっと凄い大雑把に入れましたよアスカさん。お徳用パックの半分くらいを惜しみなく。
最初に説明書を読まないタイプだね、絶対。
あーあ。自信満々にスタートスイッチを入れた。僕しーらない。
「後は待つだけっと。洗濯なんて楽勝じゃん」
 とか言いながら台所で満足気に麦茶なんか飲んでるよ。腰に手を当ててグイッと。
働いた後の一杯は美味しい、ってやつかな。まだ汗も流れてないよアスカ。
「さーて洗濯機が止まるまで軽く掃除でもしちゃおっかなー」
 ねぇ、掃除でも色々しちゃうの?
590猫シンジ:2009/09/20(日) 20:33:02 ID:???

 掃除もまずは形から、ってことでエプロンと三角巾を付けてたアスカ。
また僕の物を勝手に使うなんて、何だか恥ずかしいじゃないか。
「んー、エプロンなんて似合わないと思ってたけど……」
 気に入ったのかさっそく鏡の前で色々とポーズを取り始めた。
ハタキを持ったり、長ホウキを持ったり、上目使いしてみたり。掃除しようよ。
そんな願いがアスカに届いたのか、得意気に長ボウキを振り回して掃除開始。
一掃き二掃き、くるくるっと長ホウキを回して三掃き四掃き、くるくるっと……
そういえばアスカってソニックグレイブやスマッシュホークといった長物が得意だっけ。
何だか華麗な武器の演舞を見ているような気がして来たよ。
掃除には何の関係もないと思うけど、問題もないし楽しそうだから良いか。
 ガシャーン!
「あ…やばっ!」
 前言撤回。明らかに問題がある。テーブルにあったコップが落ちて粉々だよ。
って割れたのは僕のコップじゃないか。どうしてそれがテーブルにあるのさ?
まさかさっきの麦茶もそれで飲んでたんじゃ?
だらしないって言うか、大雑把にも程があるよアスカ。大体それって間接キッ……
「シジ、ガラスは危ないからテーブルに乗ってなさいね」
 ヒョイッと僕はテーブルに摘み上げられた。
割れたガラスを片付けるアスカの方が危ない気がするよ。無理して怪我しないで。
「うにゃん?」
 ふとテーブルを見ると、僕の席には箸や伏せた茶碗が置かれている。
まるでこれから食事するみたいに。
もしかして僕が僕が猫になった晩から置きっぱなしなんだろうか。
ううん、他は薄っすらホコリを被っているのにここだけ妙に綺麗だ。ちゃんと拭かれてる。
僕が帰って来た時の為にずっと準備していてくれたのかな。
猫の視界は低くて今まで気が付かなかったよ。
何だか嬉しいな。待っててくれる人がいるって。

ちなみにアスカが麦茶を飲んだコップは別にあった。少しだけ残念。
591猫シンジ:2009/09/20(日) 20:34:49 ID:???

 洗濯機が停止した音を聞き、意気揚々と脱衣所のアコーディオンカーテンを開けたアスカ。
「キャー!!! 何よこれぇぇぇ!!!」
 案の定というか当然というか、脱衣所を埋め尽くしていた泡が一斉に襲い掛かったらしい。
凄いね。子供向け番組に出てくる泡の世界とかそういう感じで。ふわふわのもこもこ。
アスカも泡だらけ、僕も泡だらけ。
「あはっ、おっもしろーい!! ほーらほらシジー!」
 手に乗せた大量の泡に息を吹きかけると無数のシャボン玉になって部屋を舞う。
キラキラ光りながらふわふわ飛んで壊れて消える。外だったら虹が出そうだ。
子供みたいに無邪気だなぁ。うん、凄くいい笑顔だよ。
「ふにゅう……」
 唐突だけど僕はアスカが平常心ランニング一枚なことを思い出した。
今は僕もアスカも泡で遊んでびしょ濡れ。うん、凄くいい眺めだ。
「雪ってこんな感じなのかしらねー?」
 両手で泡を巻きちらすと確かに雪に見えなくもない。
僕も写真や映像でしか見たことしかないけどね。
「にゃーん! にゃんにゃん!」
 そして僕らは泡が消えるまでの30分程をたっぷり楽しんだ。
そして泡が消えてから3時間ほどかけて洗剤だらけになった室内を掃除した。
はしゃぎ過ぎだよアスカ。着替えたシャツがもう汗びっしょりじゃないか。
「もう駄目ー。今日の掃除は終了ー!」
 大の字に転がって終了宣言って、洗濯は失敗、掃除はコップを割っただけだよ。ねえってば。
諦めないで説明書を読んでからもう一回洗濯機を回そうよ。
「なゃごなゃーご、にゃんにゃん!」
「お腹減ったのシジ? そうね、お昼御飯にしよっか」
 違うってばー!!
592猫シンジ:2009/09/20(日) 20:37:31 ID:???
 インスタントのお昼を食べ終えたらクリーニング屋さんへ。
結局洗濯物はまとめてクリーニングに出すことに。多分ミサトさん以下だよアスカ。
「最初からこうすれば良かったのよねー。あ、支払いはネルフカードで」
 第三新東京市ではレジでの支払いの大半はネルフのIDカードで済ませられる。
現金を持ち歩かないで住む半面、使いすぎには注意。
特に僕らの場合はミサトさんの口座から引き落とされるから何に使ったかもバレちゃうからね。
「あれ? アスカがこんな所に来るなんて珍しいね」
「ヒカリ久しぶり。元気だった?」
 委員長の洞木さんだ。手にした紙袋に沢山の衣類を入れている。
そういえばネルフに勤める親御さんに着替えや差し入れを持って行ってるんだっけ?
僕も父さんに何か差し入れでもしてみようかな。

 小さな公園のベンチでアイスを齧りながら一休み。
「大変そうね。やっぱり家事は交代でやってるの?」
「そうなんだけど、ちょっとミサトが洗濯物を溜め込んじゃって…あはは」
 サラッと大嘘を吐いたね。大人は嘘吐きだって言うけど女の子も嘘吐きだよ。
素直なアスカもそれはそれで恐いけどね。
「それよりも鈴原とはどうなのよ。もうデートとか行った?」
 誤魔化すように振った話題で洞木さんが耳まで赤くなる。分かりやすい人なんだな。
でも洞木さんがトウジを好きだなんて全然気が付かなかったよ。
「じ、実はね。明日の夏祭り、一緒に行こうって誘われたの」
「日本のサマーフィスティヴァル? そんなのがあったんだ」
「そんなの、って聞いてないの? アスカは碇君が誘うからいいって鈴原が……」
 そういえば一週間くらい前にそんな話をトウジとしたような。
出撃したり猫になったりですっかり忘れてたよアハハハハ……ごめんなさい。
「あの……もしかして碇君と喧嘩しちゃったとか?」
「別に。アイツ、ちょっと実験でヘマしてさ。夏休みを棒に振りそうな状態なのよ」
593猫シンジ:2009/09/20(日) 20:38:22 ID:???

「まさか大怪我とかしちゃったんじゃ……」
「大丈夫。ちゃんと元気だから。実験が終わるまで会えなくて話せないだけ……」
 そう言って僕の頭を撫でた。少し悲しい顔をしたような気がする。
僕はここにいるんだよな。言っても信じてもらえないだろうけど。
「じゃあアスカも一緒に夏祭りに行こうよ! 綾波さんも誘ってみんなで」
「折角のデートを邪魔しちゃ悪いし、余計に寂しいからパス」
 デートだと思って行ったら友達一杯、僕ならかなりへこむかも知れない。
キミとはデートしたくない、考えてないって意思表示だもんね。
「ヒカリだって鈴原が友達を連れてきたら嫌じゃなくても、ガッカリするでしょ」 
「……うん」
「決まりね。ヒカリは鈴原と。あたしはミサトや優等生と一緒に行くから心配しないで」
 空元気か気使いかニッコリ笑う。女の子同士の友情ってやつかな?
夏祭りを楽しめると良いね。お幸せに。
「ところでヒカリ。その衣類を届けるんじゃなかったの?」
「あ! もうこんな時間、バスが来ちゃう。じゃ明日ね」
 元気に手を振って洞木さんが駆けていく。夏祭りでデートか。いいなあトウジ。
もしも僕がアスカを誘ったら、一緒に行けただろうか?
お祭に興味ないかもしれないし、二人で行くのは渋るかもしれない。
でもそうしたらきっと僕は「みんなも誘っていこうよ」とか言っちゃうんだろうな。
自分が言われてへこみそうな事を平気で言いそうだなんて、駄目だなぁ僕。
「そっか。シンジが誘ってくれるはずだったんだ……ちぇ、ハズレか。残念ね」
 何も書いていないアイスの棒を掲げて空を仰ぐ。顔は見えないけど悲しそうな声。
よーし決めた。僕は駆け出すと道端に張られた夏祭の告知ポスターにしがみ付いた。
「うにゃーん! にゃにゃにゃーんにゃん! みゃうん!」
「なーに、まさかあんたが夏祭りに誘ってくれるっての? ふふふ。ハイハイ、ありがとう」
 僕を抱き上げながら楽しそうに笑った。僕までなんだか嬉しくてポカポカしてくる。
うん、やっぱりアスカに悲しい顔は似合わない。僕は笑顔のアスカが好きだよ。

<つづく?>
594猫シンジ:2009/09/20(日) 20:39:26 ID:???
クリーニングっていうか本編にも出てきた大型ランドリーですね。
アスカはそれすら人任せでクリーニングを注文しましたw
夏祭りですが、この時期だと(海の底になってる)小田原城提灯祭か花火大会しかないんで、
捏造の第三新東京市祭りとかで勘弁してください。
595名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 20:58:08 ID:???
乙!
少しずつだけど話が動いてきたね
続き期待してますっ
596名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 21:18:45 ID:???
もう本当にGJです!
597名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 22:16:50 ID:???
ぬこシンジいいなあ。つか羨ましいわw

新劇アスカって旧より不器用な感じするよね
598名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 00:00:38 ID:???
短いネタで童話的なおはなしです。
NGワードは

毒針の使い方

です。
599名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 00:02:29 ID:???
あるお花畑に可愛らしい二匹の蜂が住んでいました。
名まえはシンジくんとアスカちゃんでした。
ある日のこと、アスカちゃんがお花畑の上をるんるん気分で飛んでいると、小さな男の子がやってきました。
彼はお花畑を走り回ります。アスカちゃんは突然現われた男の子にびっくりして男の子の腕に毒針をチクリ、と刺してしまいました。
男の子は当然、わんわんと泣き出してしまいました。
『また他人をキズつけちゃった…』
アスカちゃんは自らの防衛本能をうらみ、ぽろりぽろりと涙を流しながらゆらゆらと巣に帰っていきました。
シンジくんは、いつものように優しく、おかえりと出迎えてくれました。
ただいまと言ったアスカちゃんの元気のなさに気付くと、心配そうな顔をして言いました。
「どうしたの、アスカ?」
アスカちゃんは俯きながらボソリと言いました。
「また人を傷つけちゃった…」
シンジくんは、アスカちゃんの自分を責める思いと後悔する気持ちを感じて、悲しくなりました。
少し場が静かになった後、おずおずとアスカちゃんは言いました。
600毒針の使い方:2009/09/21(月) 00:04:01 ID:48TDmZtn
「いつもの…お願い、出来るかな?」
「うん…いいよ」
シンジくんはのどかな笑みを浮かべて言いました。
二匹は近付き、見つめあい、シンジくんが大丈夫だよ、といった笑顔を見せると、アスカちゃんの前に跪きました。
その日中ずっと、シンジくんはアスカちゃんの下腹部の針を舐め続けました。
次の日の朝、シンジくんとアスカちゃんが目覚めると、幸せそうな顔で見つめあいました。
そして二匹はこう思いました。

『シンジは、絶対傷つけない。』
『アスカは、絶対傷つけない。』
二匹はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。


おわり
601名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 00:05:05 ID:???
最初題名つけなくてすいません…
感想言って頂けたら嬉しいです。
602名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 00:13:29 ID:???
>>597
表層的な面はね。本質的には惣流の方がずっと不器用。そこがまた魅力だと思うけど
603名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 00:18:16 ID:???
式波は器用に生き方を変えられる子みたいだね。
彼女は隻眼になってもたぶんうまくやっていけるんだろうなぁ。
604名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 00:27:32 ID:???
不器用って言われると高倉健を連想するからやめて
605名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 00:52:31 ID:???
独特な話ですねw俺は割と好き

下腹部の針を舐めるシーンが妙にエロチックに感じてしまったw
606DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/21(月) 02:08:51 ID:???
>>511 続きです

「!!!」
意識が戻った。あれ、確か綾波の家を出ようとしたら・・・
今何時だ?あすか・・・ そうだアスカは?
帰らなきゃ。
「目が覚めた?」
「あやにゃみ・・・」
「ごめんなさい」
「えっ、何が?」
「碇君が眠ってしまったの、私のせいなの。赤木博士にいただいた液状睡眠薬・・・」
「それがどうしたの?」
「この部屋についた時に碇君に出したお水に入れたの」
お水? あぁ、あれか。
でも・・・ 動機がまったくわからない
「どうしてだよ。なんで?」
気付いたら声が震えていた。薬使って眠らせるなんて酷すぎる。
「たぶん、あなたが好きだから」
「へ?」
「私に心と呼べる物はないに等しかった。あったとしてもそこには司令しかいなかった。
でも気付いたらあなたがいた。碇君がいた。笑ってる碇君が」

状況が飲み込めない。いまの綾波の言葉・・・ 告白なのか?
だったらなんで今?
怒りは驚きと疑惑に変わった。
「・・・」
何も言えない。聞きたいのに聞けない。
「・・・昨日学校で碇君がセカンドと言い合いしてた時に私をかばってくれた。
うれしい。・・・よく人は言うけど私は感じたことなかった。
607DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/21(月) 02:34:52 ID:???
それを教えてくれた。
そんな碇君がセカンドと一緒にいるのが嫌だった。だから・・・」
うそだろ・・・ あの綾波が。・・・夢か?
しかも昨日って・・・
「・・・今何時?」
「午前四時三分」
どうしよう。アスカが・・・。
こんな状況でアスカの事ばかり考えて・・・ 僕は何なんだろう?
「綾波の気持ちはわかったよ。でも今はアスカの事が心配なんだ。だから帰らせてくれるかな?」
冷静だな僕。なんでだろ・・・
「・・・わかったわ。本当にごめんなさい」
「後で学校で。じゃあ」
バタン。

綾波レイは一人残された部屋で〔涙〕を流していた。

早く。急げ僕。
真っ暗な道を全速力で走る。
今なぜ僕がこんなに全力で走っているのか。
考えられる答えはただ一つ。
好きだから。
アスカが好きだから。
やっと気付けた。あまりにもバカすぎる。鈍感すぎる。ホントバカだな、僕。
アスカもバカにしたくなるわけだ。
アスカは怒っているんだろうか?着いて何すればいいんだろう?
わからない。でも急ぐ。


20分くらいかかってやっと着いた。階段をかけあがる。
部屋のドアノブに手をかける。心臓が破裂しそうだ。
608DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/21(月) 02:57:40 ID:???
いくら鈍感でバカな僕でも、部屋の前に着くと肌で〔何か〕を感じ取っていた。
何があっても逃げちゃだめだ。
覚悟を決めると部屋のドアノブを回した。鍵はかかっていない。
「た、ただいま」
「・・・」
もう寝てるのかな?
リビングに入るとアスカがいた。机にうつ伏せになっている。
「アスカ?」
「・・・」
「なんだ、寝てるのか」
僕をまってて寝ちゃったのかな? そう思うと胸が痛む。
「・・・起きてるわよ」
「あああ、アスカ!あのさ、実はいろいろあって・・・」
「ねぇ?」
「・・何?」
「愛って何だろ」
「え?」
「愛って何か聞いてんのよ! 耳付いてんの?」
「・・・そんな難しいこと、わからないよ」
「前ドラマでやってたんだけどさ。一人の少年がいて。その少年に想いを寄せる少女が二人いて。
少年は二人のうちからどっちも選べない優柔不断なやつだったの。
でもある日ついに決断を下して、片方の女と寝るの。
それを知ったもう片方が少年を殺して、死体と寝てから自殺するわけ。怖いわよねぇ〜
・・・で、これも愛なの?」
「そ、そんなこと・・・」
「答えろって言ってんのよ!!」
いきなりアスカが顔をあげた。
609DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/21(月) 03:19:19 ID:???
「いつもいつも、わからないっていってごまかして。
自分から、みんなから逃げて。
だからあたしにバカにされんのよ!このクソバカシンジ!」
右手には鋭く光るものが握られている。
まさか・・・
「アスカ落ち着いて!僕が悪かったよ!」
「またすぐ謝って! あんたって本当にバカね。
・・・そいつに惚れたあたしはもっとバカって事ね」
「アスカ、今なんて・・・」
「もういいわ。一緒に逝きましょ」
「アスカ!!!」
できる限りの大声で叫んだ。
何も言わずにアスカに駆け寄る。
思いっきり抱きしめる。
「アスカ、好きだ」
アスカが腕のなかでビクッと震えた。
「僕はバカだよ。ホントに。大好きなアスカになら殺されてもいい。
でもこれだけは言っておきたかったんだ。」
「うっ、うぅ・・・」
泣いている。
アスカが。
また泣かしちゃったよ。最低だ僕って。
「し、証拠は?」
「それは・・・」
「だいたいファーストと寝たんでしょ? 人形と寝て楽しかった?
・・・あたしの初めて、あげようと思ってたのに」
さっきよりもっと泣いてしまった。胸のあたりが涙でぐしゃぐしゃだ。
「誤解だよ。綾波と寝てなんかいないよ。・・・でも、告白された。」
610DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/21(月) 03:43:57 ID:???
「あの人形ぅ・・・」
右手に力がこもってる。気が気じゃないよ。
「アスカ! でも断るから。安心して!」
「できない。証拠も足りない」
「じゃあどうすれば・・・」
「あたしの部屋にきて」
「わかったけどなにを・・・」
「・・・」
黙って僕の腕をつかみ部屋へと連れていく。
「服脱いで」
「は?」
「いいから脱ぐのよ!」
言いつつ机にナイフを置いている。
「アスカ、でもまだ僕たち中学生・・・」
「はぁ? 何勝手に妄想してんのよ?」
なんなんだよ。でもとりあえず脱ぐしかない。
パンツ一枚で立ってると、
「それも脱ぐのよ!」
と言ってきた。意味がわからない。
「ベットに横になって」
もうやけくそだ。全裸の状態で横になった。
「いい、あたしがやることに耐えてよ。動かないでよ。
目つぶって」
そう言うとおでこの端をなめ始めた。
それからは苦痛の時間だった。アスカが全身をなめてきた。文字通り全身。
もの凄く怖かった。興奮するとかそれどころではない。
いちいち「シンジの○○」と、今なめている所を言いながら事を進めていた。
どこか病的だった。
マーキングでもしているつもりなんだろうか? とにかくおかしい。
611名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 04:17:16 ID:???
続きは後ほど。

たぶん。
612名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 04:22:52 ID:???
乙です!リアルタイムで読ませていただきました
613名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 05:32:08 ID:3Uw0AIpv
小津
614DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/21(月) 05:55:51 ID:???
なんか寝れないから続き投下


でも耐えた。嵐が過ぎれば元のアスカに戻ってくれると思ったから。
なにより好きだったから。
アスカの意志は全くわからない。でも、今は受け入れよう。もう逃げない。


アスカが左足の小指をなめ終わった。これでようやく終わりのようだ。
「耐えたわね」
「耐えたっていうか、べつに・・・」
「気持ち悪かった?」
「ううん。どっちかって言うと怖かった」
「そ。まぁこれで第一段階は終了ね」
満足そうな笑みを浮かべる。狂気じみた、見ていて恐ろしくなる笑み。
「体、気持ち悪いでしょ。シャワー浴びてきなさいよ」
「いや、でも・・・」
「いいから早くっ!」
パチンと背中をたたいて言った。

シャワーで全身の唾液を流す。
アスカは病気なんだろうか?その原因は?
間違いなく僕だ。絶対。
気づいてあげるのが遅すぎた。好きって言うのが遅すぎた。
風呂場の壁を殴る。思いの一つ一つを込めて。
綾波になんて言えばいい?アスカは僕のこと好きなんだよな?なんでこんなに僕はバカなんだ?
怒りがわいてくる。自分への怒り。
手が切れて血がでた。でも関係ない。
ささやかな自分への罰。喜んで受けよう。
615DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/21(月) 06:23:54 ID:???
僕がしっかりしなくちゃ。アスカの病気は僕が治してみせる。
絶対に。
そう決心すると殴るのをやめ、風呂場を出た。
「すっきりした?」
「う、うん」
また笑っている。さっきとは別の、優しい笑み。
「おなか空いたでしょ?朝ご飯にしましょ」
朝ご飯?あ、そうかもう七時前だ。
「僕が用意するからアスカはゆっくりしててよ」
「そーお?たまには気が利くじゃない♪」
手早く調理していく。トーストに目玉焼きに簡単なサラダを作った。
「アスカ、できたよ!」
「はぁーい」
消毒液と絆創膏を持っている。
「アスカっ、怪我したの!?」
「はぁ、それあんたでしょ!」
「・・・見てたの?」
「どんどんって音したから見に行っただけよ。べ、別にいっつも見てるわけじゃないわよ!」
どーだか。本当に怪しい。うかつに行動できないや。
「ほらっ、手ぇ出しなさいよ!」
「う、うん」
さっきまでの様子はどこへ行ったんだか。
「ファーストに告られたって話ホント?」
声のトーンが変わった。注意して答えなきゃ。
「う、うん」
「くっ、あいつ・・・ でもただ振るだけじゃつまんないわ
散々見せつけて無理だって思わせた上で振ってやんのよ」
616DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/21(月) 06:37:58 ID:???
「そんな・・・」
顔が一気に歪む。
「ははぁん。やっぱあいつの事すk」
「違うよ! ・・・でも僕がそんな事する権利ないと思うんだ。いろいろ助けてもらったし」
「あんたばかぁ? あたしがいいって言ったらいいのよ!」
いつもの感じにさらに強力な〔何か〕が上乗せされていて、下手な反応したらすぐ崩れそうだ。
それだけは防がなきゃ。
僕たちは朝食を済ますと学校へ向かった。
617名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 06:39:33 ID:???
ここで力尽きてみる
618名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 11:22:35 ID:???
乙カレー
619DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/21(月) 19:28:18 ID:???
なんか投下するだけしといてすいません。久々の休日なんで爆睡してました。

一応解説っぽいのをすると、今回は「ヤンデレ〜なアスカ」がテーマです。
あんまり重くなんないようにしたけど結構重くなってしまいました(汗)
初投下から無茶しすぎたかも・・・
こんなうんこ作品読みたくねーお、という人はNGして下さいませ。
あと少し続くんで応援してくれる方はよろしくお願いします。 
620名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 19:30:09 ID:???

ちょっと怖い上、アスカが加害行為に走るなんてありえねぇとも思うがw
続き楽しみに待ってるよ
621猫シンジ:2009/09/21(月) 21:35:51 ID:???

「明日の夏祭りに行きたい、って言われてもねぇ。アスカ、行く気なかったわけ?」
 食事後、帰宅したミサトさんから身も蓋もないお言葉を戴いた僕たち。
普通は近所でお祭りがあったら行きますよねハイ。
「だってさ、夏祭りなんて何をするものかも分からないし……」
「なら教えてあげるわ。祭り…それは戦い!」
「た、戦い!?」
 大袈裟だなミサトさん。確かに神輿を担ぐ人たちは戦争みたいに気合入ってるけど。
僕も子供の頃に行ったっきりだから凄い人出にビックリしたけどね。
「食料調達のため小麦粉とソースの誘惑の中、自分好みの物を選び抜き……」
 普通のものなのにお祭りで食べると凄く美味しく感じるんだよね。
なんだかお腹が減ってきた。アスカも喉を鳴らしてるよ。
「そして掘り出し物を得るために数々の罠を潜り抜け、時には運に身をゆだね、勝利を掴む!」
 大当たりの入っていない当たりクジや売れ残りのオモチャ、射的にヨーヨー、懐かしいな。
ドイツにはそういうのは無かったのかな? 
アスカのことだから『子供っぽい』とか言って参加しなかったのかもしれないけど。
「要は少ない小遣いを効率的に使って楽しむイベントってわけね。簡単じゃん」
「ふっ。祭りの奥深さは直接参加した者でないと分からないわ……」
 なんか感慨深く歴戦の勇者ぶってますねミサトさん。
浴衣を着たミサトさんより、捻り鉢巻に法被姿で酔っ払ってるミサトさんが想像できるよ。
そういえばアスカは浴衣を着るのかな? 可愛いに決まってるけどどんなかな?
「祭りの葛城と呼ばれた私が徹底的に奥義を伝授してあげるわ! と言いたい所なんだけど…」
 急に口を濁したミサトさんが僕を抱き上げた。かなり情けない顔してる。
「派手にやりすぎたせいで締め出し食っちゃって、今年は運営事務局側なのよ」
「何やったのよ? それに運営って、ネルフも参加してるの?」
「当たり前じゃない。うちの主催だもの」
 この街は大半がネルフ関係者で、その残りもネルフ関係者相手の仕事だ。
良くも悪くもネルフ尽くしの街なのだから当然なのかもしれない。 
でもネルフって非公開組織じゃなかったっけ?
622名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 21:36:09 ID:???
期待してるお
623猫シンジ:2009/09/21(月) 21:36:38 ID:???

「酷いわよね、見てるだけなんて拷問よ。今年はリツコたちも忙しくて参加できないから良いけど」
 リツコさんも一緒に参加してたのか。どんな祭りの楽しみ方をしていたんだろう?
金魚掬いとか盆踊りとか太鼓を叩くとか巨大花火を打ち上げるとか?
どちらにせよ加持さんが苦労していそうだ。
「リツコはさっさとシンジを元に戻す研究を進めて貰わなきゃ困るわよ!」
 プイッとアスカが口を尖らせて僕を奪い返した。
早く人間に戻りたいのは山々だけど、お祭りで息抜きするくらいは良いと思うんだ。
最近は猫の身体にも慣れてきたしね。
「それなんだけど、シジがエヴァに乗ったデータで一気に研究が進んだらしくてね」
「本当!? シジ、あんた天才!」
「順調に行けば来週あたりにはシンジくんを元に戻せるそうよ」
「ホント! やったねシンジ! あはははは!」
 アスカは僕を高々と持ち上げて満面の笑顔を見せてくれた。
僕は人間に戻ってもこの笑顔を見ることが出来るのだろうか。
元に戻れるのは嬉しいけど、それだけが少し心配だ。
「だからね。もう直ぐシジともお別れだから、お祭りで一杯思い出を作っときなさいよ」
「え……お別れって……どういうことよミサト」
「猫のシジは消えちゃうでしょ。正確にはシンジくん無意識の中に戻るだけだけど」
「シジが消えちゃう……」
 いやいや、元に戻るだけだからそんなに真剣に考えなくても。
シジは僕だし、僕はシジだし。
「ほ、ほら。そんなに深く考えないでさ! 明日はパーッと楽しんできなさいよ!」
「う、うん……そうよね」
624猫シンジ:2009/09/21(月) 21:37:40 ID:???

 部屋に向かうアスカの足取りは重かった。
さっきまでの笑顔が嘘のように消えてしまっている。一体どうしちゃったんだろう?
リビングに取り残されたミサトさんが『失敗した』って感じで顔に手を当てている。
「変に情が移っちゃったわね。欠けた情操教育に良いと持ったんだけど、不味ったかな…」
 そんな小声が僕の猫耳に聞こえた。

 アスカのベッドの横、座布団の上に敷いたタオルケットの上で寝転がる僕。
いつの頃か僕の寝床はリビングからアスカの部屋に移されていた。
もっとも毎日ベッドの方に連れ込まれて全然使ってないんだけどね。
「あんた、消えちゃうんだってさ。シンジの無意識の中に戻るなんて勝手な言い草よね」
 寝転んだアスカが僕を優しく撫でている。子守唄のように僕を撫でてくれている。
何だかとても懐かしくて、凄く安心する。お母さんみたいって言ったら怒るだろうか。
「シンジが戻ってくるのは嬉しいけど、シジともお別れか……ごめんね」
 仕方ないよ。元々実験失敗の緊急処置だったんだし。
消えるって言ってもシジは僕で、僕はシジだから元気出してよ。
「ぅみゃーん……」
「あ、起こしちゃった? ごめんね。明日は美味しいもの、一杯買って上げるから」
 少しだけアスカの声に元気が戻ったのが嬉しい。
まだ早いけど眠くて眠くて仕方ない。そういえば昨日は寝れなかったんだよな僕。
「たくさんたくさん楽しもうね……おやすみシジ」

 僕が猫になって知ったアスカは、僕の知らないアスカだった。
天才という肩書きのせいか、いつも張り詰めたように気が強くて意地っ張りなアスカ。
でも本当は優しくて、か弱くて、寂しがり屋で、温かかった。
僕はそれを知っていたはずなのに、それを全然理解しようとしていなかったらしい。
そう、僕が猫になって知ったのはアスカのことだけじゃなかった。

<つづく?>
625猫シンジ:2009/09/21(月) 21:40:19 ID:???
今回は早いですが昨日の後半みたいなものなんで両方短いです。

アスカにシジの境遇(必要がなくなったから消される)と自分の境遇(エヴァに乗れなくなったら
価値が無くなる)をダブらせて書いていましたが、そっちで悩み始めると収拾が付かなくなるので
残念ですが全部カット。
ミサトは浴衣より法被(はっぴ)にサラシの方が似合うと思います。
626名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 21:42:11 ID:???
乙!
アスカもシジも可愛いのう〜
もうじきクライマックスか。投下待ってるよ!
627名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 23:18:04 ID:???
太鼓を叩くのはリツコしか想像できないw
628543:2009/09/22(火) 00:20:11 ID:???
 皆様こんばんわ。
 ぬこシンジかわいいなあ、アスカもいじらしくて頭撫でたくなりますw
 毎度毎度寸止めばっかで申し訳ありませんが続き投下いたします。

今回ちょい長いです。
自転車と長髪男と観光地価格が嫌いな方のNGワード

空を見上げて

で御願いします。
629空を見上げて:2009/09/22(火) 00:22:13 ID:???
 *

 さて、問題はここからだ。
 駅まで自転車で行くことにしたのだけれど、当たり前のように後ろに座ろうと
すると、聞きにくそうにシンジが呟く。
「アスカ、その……」
「な、何よ?」
「色が好きだって買った自転車、まだ乗ったの見たことないんだけど?」
『来たな………』
 正確に言うと乗らないのではなく乗れないなのだ。あと、これほど密着できる
いい口実はそうそうない訳で。
「そ、そりゃそうよ。このへん結構坂道あるでしょ?上り坂なんて面倒なもの
私は嫌なの」
「ちぇ、それじゃあ何で買ったんだよ」
 買い物帰りの自転車屋で、シンジを無理矢理つき合わせてまじまじ眺めていた
その自転車は、まだぴかぴかなままで自転車置場に鎮座している。
 『イギリス製』『限定モデル』『人気商品の人気色』『クロスバイクの入門編』
……店員の様々な殺し文句で買ってしまったものだった。今できることと言えば、
シンジやミサトに感づかれないように眺め、乗った気になってイメージを膨らま
せることくらいだ。
「まあいいじゃない、早く行こうよ」
 私がシンジの腰に手を回して必要以上にギュッと捕まると、自転車は慎重に滑り
出した。
「あ、あんまり段差のある所走らないでよ!」
「わかってるってば」
 なだらかな下り坂で、アスファルトを吹き抜ける熱気のある風をまともに受ける。
 それでも街路樹や建物の影に入ると、空気の温度は途端に下がり、心地よい
刺激がシャツの布越しに伝わってくる。
 律儀なシンジは段差がありそうにな所は避けて、通らざるを得なくなるとゆっくり
減速して通過する。
630空を見上げて:2009/09/22(火) 00:24:38 ID:???
 私は思う様にシンジの背中に頭を預け、その感触を満喫した。
 街路樹を通り過ぎるたびに晴れた空の光線が瞬く。強すぎる光が視界を狭めて、
何を見るわけでもなく頭の中を空白にしてゆく。
 そんな油断しまくりの状況で、不意にシンジが話し掛けてきた。
「アスカ」
「何よ」
「前から思ってたんだけど」
「何をよ」
 信号停車で自転車が止まると、シンジが振り返って聞く。
「その、もしかして、…………自転車、乗れないの?」
 巧く隠したと思った矢先の唐突な質問に、私は固まって思わず頷いた。
 それから暫く二人で静止していた。
 サッカーのユニフォーム姿の子供達がこっちを怪訝そうに見ていた。
 横断歩道を渡り始めた子供達の囃し立てる黄色い声を聞きながら、シンジは
地雷を踏んだと悟ったらしい。
「青」
「へ?」
「信号、変わったわよ」
 シンジがもたつきながら自転車を発進させ、ぎこちなく自然さを装って更に
訊いてくる。
「あぁアスカは乗れないんなら、何で自転車買ったの?」
「あ、赤い自転車好きなのよ。……悪い?」
 二人して無意味に気を使って話すのは、どうなんだろう?心なしか二人とも気の
遣いどころのピントがあってない気もするけど。
「あははは、そうなんだ。知らなかったな」
 こういう時私は、物理的な何かで誤魔化すしか能がない。てなわけで、ごめんね
シンジ。えいっ!
631空を見上げて:2009/09/22(火) 00:27:22 ID:???
「ったーー!何するんだよアスカ!!」
「今、ば、馬鹿にしてたでしょ?」
「し、してないよぉ。何でそうなるんだよ」
「笑ってたじゃない!それが馬鹿にしてる証拠よ!」
「アスカ言ってることが無茶苦茶だよ」
「うるさい!」
 シンジの態度は嘲笑でなく寛容だったのは解っていた。
 八つ当たりの矛先を向けても、ある程度の事なら許してくれる……。
 そういった見込みと甘えが逆に私を苛立たせる。
『ぐだぐだ考えながら男の背中を満喫してれば世話ないわよね……』
 自嘲気味に考えながら、シンジの少し乱れた息遣いと汗ばんだ背中を感じる。
 あの角を右に曲がると駅に着く。ああ、もうこの特等席も帰り道までお預けかな
としんみりしていると、かつてない衝撃がお尻を襲った。
「はぅん!ふがっ!!………」
 突き抜ける痛みに言葉にならない。
「あ、ごめんアスカ!……大丈夫?」
『大丈夫なわけないでしょうが……』
 出会い頭に何かを避けて歩道から車道に降りてしまったらしいことは、後で
電車の中で聞いた。
 そのときは一瞬宙に浮くくらいの衝撃を食らい、シンジに抗議も出来ずその場に
蹲って動けなかった。
「アスカ……立てる?」
「ムリ。むり。ちょっと今ムリ」
632空を見上げて:2009/09/22(火) 00:29:22 ID:???
 まだ目の奥に火花が散っていた。
 車道と歩道の間あたりに二人してしゃがみこんでいたのだから、通行人には迷惑
この上なかったとは思う。
「これ、貸しだからね、か・し」
 涙目で睨みつけ、振り絞るようにそう言うと、シンジは心底済まなさそうな顔で
困惑していた。
 その代償と言うかなんというか、お陰さまで電車に乗るまでも、シンジにおんぶ
させたり背中に顔埋めて我慢したりと好き放題やらせてもらった。
 ま、怪我の功名と言うことにしておこう。

 ……クッションか何か、今度から荷台に縛りつけとこうかな……
633空を見上げて:2009/09/22(火) 00:31:13 ID:???
 *

 電車から降りて観光案内所でボート乗り場の場所を聞き、頼りなげにメモ帳を
見ながらシンジが先を進む。
 面白いなと思ったのは、駅を出たときはおっかなびっくりだったシンジの足取りが、
周囲の雰囲気を掴むに従ってしっかりしてきたことだった。
 何の訓練もなしにエヴァを乗りこなし、しかも生活環境が一挙に変わったのに
存外飄々と生きている。シンジはそういう高い適応能力を持っているように思う。
「あ、乗り場ってあそこじゃないかな?」
 軽い足取りで『貸しボートと水先案内人のアリア商会』と書かれた看板にシンジ
が歩を進める。
「アスカ……」
 浮かれて振り向いて手招きするシンジに、私は溜息一つついてつまらなさそうな
顔で応じて歩き出す。
 内心は、公園ではしゃいでる子犬みたいなのだけれど、バカなプライドが『子供
っぽい』だの『軽い』だのといった感情を巻き起こして本心を消し去る。
 ああ嫌だ。つまらない性格だな、私は……
「乗り気じゃなかったくせに随分浮かれてるわね?」
「え?そう?」
「自覚ないの?公園ではしゃいでる子犬みたいよ。ばっかみたい」
「ボートなんて乗ったことないもん。アスカはあるの?」
「別に。乗ったことないから来たんだし」
「あ、そっか、そうだよね」
 屈託のない反応を見せられるたびに、自分の反応に嫌気が募る。
 簡単なことでいいから、素直に反応できないだろうか?無様なくらい考えている
事が顔に出るシンジが、羨ましくなることがある―――
634空を見上げて:2009/09/22(火) 00:32:39 ID:???
「ばかシンジ、お腹すいた」
 ボート乗り場の受付で料金表を見て凍りついたシンジは、あまり長く眺めて
いたいものではなかった。
 どうも自分がボート代を払うものと思い込んでいるらしい。
 そうでなくても短い気力が尽きかけたとき、白い壁にかかっている時計の針は
十二時前を告げようとしていた。
「そうだね、お昼にしようか」
 そう答えるが早いか、多少救われた顔をしたシンジの袖を引っ張って、いったん
ボート乗り場を離れる。
 暫く湖畔を歩くが、休日の行楽日和とくれば、大概の御誂え向きな場所は占拠
されていた。
「あ、そうだ」
「なに?つまんないことだったら殴るわよ」
「何で殴るの?ていうか、その、飲み物作ってくるの忘れちゃってて……」
「……」
「……」
 とりあえずシンジのごまかし笑いが収まるまで放置した。そのあと多少反応に
困っているシンジの片腕を取って、体を沈み込めつつ腹部に掌底をお見舞いする。
「……吩っ!」
 我ながら綺麗に体重乗せて叩き込んだものだ。
「どーすんのよ!渇いた喉でもさもさサンドイッチ食べるの?そうなの?」
「ぐ……ぃやアスカ、のみも…の買えばいぃと、思う」
『ん?買う?』
「あ、そっか」
 どうも最近食べ物や飲み物が魔法みたいに自動供給される生活に慣れていて、
『食べ物を買う』感覚が薄くなっていた。ま、そうとなれば話は早いわけで、
早速売ってそうな店を探すだけだ。
635空を見上げて:2009/09/22(火) 00:35:06 ID:???
「じゃ、買いに行きましょ……って、なんで蹲ってんのよバカシンジ」
「人を殴って……それ?」
「何言ってんのよバカ。ただの掌底じゃない」
「ただじゃないよ……ごれ」
「確かにいい感じに入ったけど、アンタも受身とかいい加減覚えなさいよ。
パイロットの自覚が薄すぎるのよ」
 その言葉に悶絶しながらシンジの眼は抗議の色を浮かべる。私には抗議の真意が
理解できない。
『私なにか間違った事したっけ?いや、たぶんしてない筈だけど……』
「しょうがないわねえ。ホラ、かたっぽ抱えてあげるからちゃんと歩きなさいよ」
 よくわからない理由で謝る事は無いと思い、シンジの右腕をかき抱いて、自分の
体にわざとらしく密着させて立ち上がらせる。一応、サービスのつもりだ。
「いや、ぞの、休まぜで……」
 苦悩の顔を浮かべてシンジが懇願する。
 人が折角サービスしているのに何も気付かないとは何事だ……
『やっぱり、もう少し胸が大きくならないとサービスにならないのかな?』
 シンジが全然気付かないあたり、ミサトが言っていたのはあながち間違いない
のかもしれない……。
 多少落ち込みつつ、手近に見えた『Rest House』の看板に、シンジを抱えて
向かった。

 何故か人のいなかったシンジをベンチに座らせて、テーブルに荷物を置くと、
私は休憩所の売店に向かった。
 ノドジマンの番組をみている化石になったおじいちゃんに三回くらい声をかけて、
冷蔵庫の午後の紅茶を出してもらう。
 コンビニよりも値段が高い気がしたが、そういう事は考えないようにした。
 やっと復活したシンジが、少々ふくれっ面になりながらバスケットをテーブルに
広げてくれていた。
636空を見上げて:2009/09/22(火) 00:36:38 ID:???
 何の気なしに見上げた先に、木陰が揺れている。
 影はテーブルの上で濃淡を作り、不機嫌そうなシンジの動作をマイナス方向に
際立たせて私の視界を塞ぐ。
 不安と苛立ちはすぐに私の態度と行動に出てしまう……
「なによ?」
 物言いたげなシンジの眼に耐え切れなくなって、聞いてしまったのは私の方。
これが二人の喧嘩開始の合図みたいなものだ。
「飲み物忘れただけでなんであそこまでされなきゃなんないか、聞かせてくれ
ないと昼ご飯お預けだよ」
「ばっかじゃないの!?自分のミス棚に上げてなんであたしを責めるのよ?」
「用意できなかったのは悪かったけど、息が出来ないくらい殴られるミスじゃない
でしょ!」
「程度の問題じゃなくて心構えの問題だっての!」
「どう考えたってアスカ中心の考えじゃないか!何で僕が一々アスカの考えに
合わせなきゃいけないんだよ」
「この前ミサトが言ってたじゃない、『和を以って尊しナース!』って」
「それは一方的にアスカに合わせろって意味じゃないよ」
「あーもうっ!ああいえばこう言う!ケチ臭い男ねぇ!この紅茶あたしのオゴリ
って事でチャラにしなさいよ!」
 ここまできたら売り言葉に買い言葉だ。打算や駆け引きは遠い世界に吹き飛んで
いた。
「何逆ギレして誤魔化してんだよ!今日と言う今日はちゃんと謝るまで許さないよ!」
「誤魔化してるのはシンジじゃない!あたしはなんっにも間違ってなんかないわよ!」
「なんだよそれ!」
「あによ!」
 頭の片隅で犬や猫の縄張り争いはこんな感じなのかなと思っていたけど、
闘争本能がそんな詮索を彼方に葬り去る。
637空を見上げて:2009/09/22(火) 00:38:50 ID:???
 そんな睨み合いの最中に、全く空気を読めない闖入者が割って入ってきた。
「あー、その、取り込み中申し訳ないんだけど……」
「なんですか?」
「なんだってのよ?」
 二人同時で声をした方向に振り返ると、司令室でよくエアギターをしている
人がいた。
「自覚あるのか知らないけど、君達二人結構目立つんだよ。それに、中学生
と言っても、一応周囲の目線考えて行動しないと」
 欧米人ばりのボディランゲージをかまして、長髪のその人は友好的な態度を
アピールする。周囲の目線?知ったことではない。
 シンジが応対させられているのをいいことに、私はサンドイッチにぱくついた。
『アキバサン……だっけ?まあいいや、シンジが何とかしてくれるでしょ……
むぅ、このハムサンドおいしいな。バター二種類あったのはこういう訳か』
「あの、あ…何してるんですかここで?」
『あ、今名前思い出そうとして失敗したな……』
 一人そうほくそ笑んでいたけど、かくいう私もアキバサンでよかったかどうか
自信がない。
「あ、ああ?ボク?僕が何してるかって?いやぁまいったな、こんな所見られる
なんて……」
『わざとらし。他に誰がいるってーのよ。それにしてもベーコンレタスサンドは
絶品ね。私が削ったこの黒胡椒、いい味出してるじゃないのよ』
「オフの日にはね、芦ノ湖で仲間と集まってランチがてらにセッションしてるん
だよ。あ、ちなみにジャンルはフュージョンでね、観光客のリクエストがあったら
即興で演奏したりもしてるのさ。
 今日はこのテーブルに座った人に声かけるって、まあそう言うノリで演奏して
たって訳。
 知らない曲のプレイはスリルがあっていいんんだよ。オーディエンスの
イメージにフィットしたときは、その場の空気が、こう……ね?客と一体に
なって作る、ライヴ感覚ってやつかな。それで仲間が増える事もあるし、あ、
別にナンパ目的じゃないから誤解しないで欲しいな……」
638空を見上げて:2009/09/22(火) 01:04:46 ID:???
 人付き合いのいいシンジは「はぁ」とか「へぇ」とか「凄いですね」とかの
おべんちゃらを言っているけれど、全てに上の空と言うのは見ていてわかった。
 長髪の人と応対している隙にランチボックスからサンドイッチを尚もぱくつく。
『おお!たまごサンドもおいひっ!何でコンビニのとこんなに違うの?こりゃ
お茶も進みますなあ』
 セッション聞きに来いから、ライブチケットの押し売りを仕掛けてきた長髪が
鬱陶しくなってきたので、ちらちらこっちに救援の目線を送ってくるシンジを
助ける意味でも長髪を牽制することにした。
「あのぅ、私たち、デート中なんですけど……」
 できるだけ上目遣いを心掛けながら、気弱そうに話を遮った。
 饒舌な自己陶酔はそこでぶった切られて、寂しそうに私を見たその人は、
「あ、ごめん。お邪魔だった……よね?」
 と、下を向いて他にもあれこれ言い訳しながら去っていった。
「助かったよアスカ……」
「いいってことよ」
 シンジはほっとした顔をしていたが、随分中身の減ったランチボックスを見た
瞬間、信じられないといった感じで悲鳴を上げた。
「てか、もう半分食べてるじゃないか!」
「だってあの人話長いんだもん」
「ああぁぁ、カツサンド全部食べてる!」
「だって美味しいんだもん。てか、シンジまた腕上げた?」
「え?いやその、よくわかんない…けど」
 うん、たまには素直に感想を言ってみるものだ。
 シンジは照れてしまい、さっきまでの喧嘩もすっかり忘れてしまったみたいだ。
 実際に興味があったからだけど、食べた感想を交えてサンドイッチの話で盛り
上がる。
「はは、結構アスカの好み研究してるんだよ?」
 屈託なくそう言うシンジに思わず赤面した。嬉しいのは確かだけど、こういう
素直な好意に慣れていないので、どう反応していいか判らない。
639空を見上げて:2009/09/22(火) 01:06:33 ID:???
 思わずまた拳に訴えて誤魔化しそうになるのをすんでの所で堪える。
『ダメだそれじゃ進歩がない!』
「………た」
「え?なに?」
「だから!あぁああもう!美味しかったからまた作ってって言ったの!」
 息上げて詰め寄って血走った目ですごみながら私は何を言っているのだろう?
「う……うん、その、努力……するよ」
 シンジの顔が引きつっていた。違う、私が見たかったのはこんなシンジの顔
じゃない……。

 けっこう、へこんだ。


つづく!
640名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 01:14:23 ID:???
GJ!
641名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 02:23:09 ID:???
良作続きで嬉しい
GJです
642名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 06:36:33 ID:???
自転車乗れないアスカ。あり得んww
643名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 08:03:20 ID:???
GJ
アキバサンはコーネル・デュプリーとかラリー・カールトンとか好きそうだなw
644名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 09:05:28 ID:???
素晴らしいwwwアキバサンwww
GJでした!久しぶりにほんわかした作品だ〜
続き楽しみに待ってる!
645マリン@marine:2009/09/22(火) 17:28:26 ID:???

>>551の続き投下します。

・イタモノ注意
・NGワード 黄昏オレンジ


646黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 17:30:02 ID:???

**********

―なんだろう…この彼に惹かれる感じ…昔もこんな気持ちになったことがあるような…
アスカはそう感じた―


ある日、アスカはカヲルと家でのんびりくつろいでいたのだが、その時突如地震が発生した。
発生直後からガタガタと食器棚が音をたてている。

「ん、地震だね…大きいのがくるかも…」

彼の予想通り、最初は小さかった揺れが段々大きくなった。おそらく震度4ぐらいの地震だろうか。
アタシは地震というものをあまり体験したことがなかったので、その場で怯えてしまった。

「ひっ…」
「大丈夫だよアスカ」

カヲルはアタシを優しく抱きしめてくれた。
しばらくして地震がおさまった。

647黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 17:31:53 ID:???

男女で同じ部屋に住んでいるのに、アタシに全く手を出そうとしなかった彼。彼はアタシと同じぐらいの年に見えるのに、何も要求してこない。
これぐらいの年なら普通は少しいやらしいことぐらい求めてくるんだろう、と思っていたアタシは、なんだか微妙な感情を抱いた。
いや、求めてこないならそれに越したことはないのだが、逆にこの生活を通してアタシが彼を求めるようになってしまっていた。

そしてこの瞬間ついに、アタシはアタシ自身の欲求に耐えきれなくなった。

アタシはカヲルを求めた。カヲルが…カヲルの全てが…欲しい!

「カヲル!」
「なんだいアスカ」
「カヲルが…欲しいの!」
「いいのかい?僕なんかで」
「カヲルが…いいの!」

アタシはカヲルの赤い瞳に吸い寄せられるかのようにカヲルの顔に近づいた。2人の距離はもう10cmもないだろう。

648黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 17:34:35 ID:???

自然と抱き合ってアタシは目を閉じ、口付けが交わされようとした…

「…ダメだよ、アスカ」

カヲルがそう嘆くと、次の瞬間、ふっとあたり一面が暗くなった。

見渡してみると、目の前にいたはずのカヲルだけでなく、誰一人周りにはいなかった。しかも何もない。私はどこからか当てられたサーチライトに照らされている。
ここは本当の暗闇の空間のようだった。

「ここは…どこ?」

649マリン@marine:2009/09/22(火) 17:37:49 ID:???

ここからちょっと長くなりそうなのでまた夜にでも投下します。

650名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 19:17:54 ID:???
支援
ハラハラしながら待ちます
651黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 22:04:57 ID:???

**********

「ここは…どこ?」
「…あなた、本当にそれでいいの?」

女の人の声が聞こえた。その声はかなり若かったと思う。

「誰!?だれなの?」
「私よ…」

そこには、同じくどこからか当てられているサーチライトに照らされた、蒼いショートヘアーに赤い瞳の少女がたっていた。身長はアタシと同じくらいだろうか。わりと細身だ。

「あなた…誰!?」
「…そう。あなたは記憶を無くしているんだったわね。記憶を戻してあげる」

少女はそう告げると、アタシの頭の中に様々な光景が蘇ってきた。

652黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 22:07:26 ID:???

「…!!はっ!思い出した!アンタ…ファーストじゃない…!」

アタシはほとんど全ての記憶を取り戻した。エヴァの事も、今まで起こった事も、そして…シンジの事も。
そしてそこにいたのは紛れもなく、あの零号機パイロット、そしてファーストチルドレン、綾波レイであった。
ただ、なぜかカヲルのことだけはうまく思い出せなかった。

「そうだ、あの時の…あいつ…シンジじゃない!」

そう。あの病院で横にいたのはシンジだ。
あいつはアタシを心配してくれて…あいつのことだろう。今ごろはアタシを必死で…
ダメ!ここにいちゃいけない!早くあいつの元へ…

653黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 22:09:58 ID:???

…いや、違う。あいつはあの時アタシを裏切ったのよ!アタシはカヲルが欲しいの!あんなやつなんか…

「セカンド…あなた…最低ね。悪いけど、あなたの考えていることは全てお見通しよ」
「えっ…」
「だから早く碇君の元に行きなさい!」

珍しくレイは怒っているようだった。そしてアタシの元に寄ってきた。

「いやよ!あんなやつなんか…」

その瞬間、バシンという大きな音が響いて、アタシの頬に痛みが走った。

654黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 22:11:45 ID:???

「…!なにすんのよ!」
「あなたは碇君の苦しみを何一つ分かってない。それに…碇君のこと…好きじゃなかったの?」
「それは…」
「碇君はあなたのわがままをなんでもかんでも聞いてくれて、あなたのために尽くそうとした。受け入れてもらおうとした。それを私は知っているわ。
だけど、あなたはいつも碇君を責めてばっかりだった。碇君から逃げていた。
それでも、彼はあなたを選んだ。あなたと一緒にいたい事を望んだ。
カヲルに惹かれる時に思い出したでしょう?昔同じ様にあなたが碇君に惹かれていったことを。
あなたはそれを覚えているわよね?まさか忘れたなんて言わせないわ。
今だって彼は必死で探しているのに、あなたは…
それでもあなたは自分に嘘をつくの?」

一瞬いつもの癖でなにか言い返してやろうと思ったが、
レイのいつになく真剣になっている瞳を見て、レイが言った言葉が、一つ一つアタシの胸に深く突き刺さっていく。
それを全て踏まえた上で考えると、アタシはレイに返す言葉がなかった。

655名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 22:13:02 ID:???
支援
656黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 22:13:42 ID:???

…うん。やっぱりあいつの元に戻ろう。

あいつはこんなバカなアタシを受け入れてくれたのに、アタシはあいつを受け入れて…ない。
今ごろだって…必死に…

シンジ、ごめんね…アンタの気持ち、そしてアタシの気持ち…やっと分かったの…

アタシはその場でうずくまり、大声で泣き出してしまった。

「早く碇君の元へ…でないと…あなたは後悔するわ…」
「うん…」

アタシは決めた。どんなことがあろうと、シンジを二度と手放すもんか!
シンジは悪くない!悪いのはアタシ自身よ…ごめんね…

そしてやっと…自分の気持ちに気付くことが出来た。
ありがとう…レイ。

657黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 22:15:23 ID:???

「わかったのならいいわ。でも…」
「でも…?」
「最後にこんなことは言いたくないけれど…」
「なによ?」

何だろう。嫌な予感がする。そして、その予感は的中してしまう。

「残念だけど、碇君には死相が出てるわ…」

その言葉を聞いてアタシは愕然とした。

「嘘よ…嘘でしょ!?嘘って言いなさいよ!ねえってば!」
「ごめんなさい…私にはどうすることも出来ないの…」
「そんな…」

あいつに会えなくなるなんて嫌!せめてあいつが死ぬ前にアタシの想いを…

「レイ!早くアタシを現実に戻して!」
「分かったわ。ごめんなさい…」

そういうとアタシは現実に戻ることが出来た。
カヲルとのキスは直前で阻止されたようだ。

658黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 22:17:45 ID:???

「カヲル…ごめん。やっぱりアタシ、待ってる人がいるから…」
「…そうかい。わかった。じゃあ気をつけてね」
「うん…」

名残惜しい…いや、違う。あいつが…あいつが待ってるから!アタシの本当の気持ちに気付くことが出来たから!

アタシが本当に求める人は…碇シンジ!アンタだけよ!

だから…今行くからね!シンジ!
アタシは玄関を勢いよく飛び出した。

659黄昏オレンジ:2009/09/22(火) 22:19:12 ID:???

**********

「ふぅ…アスカはやっと自分の気持ちに気付いたんだね。レイ、ありがとう。
でもね、アスカ…シンジ君は残念だけどもうすぐ…
幸せにね、アスカ…そしてシンジ君…」
「…カヲル…あなたの力でどうにか出来ないの?」
「君に無理なら僕にも無理さ…運命は非情だね…」
「そうね…これ以上悔しい事はないわ…」
「うん。だから、せめて絶対に次こそは…」
「ええ…」

アスカが見えなくなった後、カヲルはどこからか現れたレイと、こう呟いたという。

660名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 22:23:32 ID:???
投下支援
661マリン@marine:2009/09/22(火) 22:23:36 ID:???

今日はこの辺で。

次回で完結します。ただ…いや、今は言わないでおきますw

ではまた。

支援して下さってる方ありがとうございます。

662名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 22:27:20 ID:???
びみょうすぐる
663名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 22:57:13 ID:???
CYOUKAIを思い出した
あれもこんなんばっかだった
664名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 23:54:21 ID:???
しかしオリジナリティがないね
こんなのネットに腐るほどあるよ
665名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 23:59:01 ID:???
そこはまぁ、こんだけネットに溢れてれば被るのは仕方ないから言ってもしゃーない
666名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 00:07:22 ID:???
イタモノに厳しい評価がつくのは仕方ないし、十年も続いてるジャンルだしね。
読み手は自分好み以外の作品には徹底的に辛口だからあまり気にせず頑張って。
受けるネタもいいけど書きたいネタを書くのが一番だ。
667名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 00:45:45 ID:???
記憶喪失にした意味がカヲルに惚れさせるだけとかw
しかもあっさり治るし、カヲルでも治せたっぽいのに放置してるし・・
んで、「…ダメだよ、アスカ」 カヲルww
久々に笑えました。



668名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 01:20:34 ID:???
乙です!次、ブルーな展開が来そうですね…。
記憶が戻ってシンジへ一直線に向かうアスカもどうなることやら。

ただ他の意見にある通り、確かにカヲルの意図がよく分からなかったですね。
何故アスカとシンジが今まで踊らされてたのか…少し謎です。
669名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 01:24:40 ID:???
フォローするほうも大変だな
670名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 01:30:15 ID:???
オリジナリティがないのは仕方がないけど
作品の中でのキャラの動機と行動に筋が通っていない(リアリティがない)ところが多いのは、
そうすることで何かを伝えたいはずだろうと思うんだが、
それが結局何なのか、今のところはさっぱり分からない
最後まで読んだときに、「はあ。それで?」となってしまわないように、
次回は広げに広げた風呂敷がちゃんと畳まれることを希望しておこう
671猫シンジ:2009/09/23(水) 07:43:01 ID:???

 夏祭り当日。今日もいい天気だ。
「あんたバカぁーっ! 一体何考えてんの!」
 とまあ朝からハイテンションなのはアスカではなくミサトさん。
なにやら気合入れてお出かけ用の洋服を着たアスカが気に入らないご様子。
「祭りといえば法被か浴衣に決まってるでしょーがっ! あー、最近の若いもんは……」
「そんなの持ってるわけなーいじゃん。ねー、シジ」
「にゃーん!」
 独系米国人のアスカには無茶な注文ですよミサトさん。
そりゃあ僕だって浴衣姿とか法被姿は見たいけど、今から用意するんじゃ間に合わないよ。
「ま、どうせそんなこったろうと思ったけどね。ちょっと待ちなさいよ。もうすぐ……」
 ピンポーン! ピンポーン!
「ほーら来た来たー! いらっしゃーい! 待ってたわよーん!」
 何なのこのハイテンション。今朝はまだ飲んでないはずなのに。
祭りがこんなに人を変えるものだったなんて僕は知らなかったよ。

 出迎えられたのは綾波だった。何か大きな紙袋を持っている。
この展開で行くと中身はやっぱり……
「これ、赤木博士から」
「サンキュー! ちゃんと三人分ね、これで勝利は貰ったも同然よ!」
 何に勝つんですか何に。
案の定、紙袋からはカラフルな浴衣が出てきた。
白地に赤のネルフロゴ模様、それから青地に黄色のネルフロゴ模様の二着だ。
なんて自己主張の激しい非公開組織なんだろう。父さんの趣味だろうか?
672猫シンジ:2009/09/23(水) 07:43:45 ID:???

「あたし赤いの、もーらった!」
「じゃあレイは青い方ね」
「私は別に……」
「レイ、これは命令よ。浴衣を着て夏祭りを堪能しなさい!」
「……命令なら従います」
「何この茶番……ばっかみたい」
 お祭りくらいみんなで普通に楽しもうよ。
アスカだって一人で行くより綾波と一緒の方が楽しめる、よね?
「さーて、ちゃっちゃと着付けしたげるから脱いだ脱いだ」
 おおお! こ、これは思ってもいなかったサプライズ! 
アスカだけでなく綾波の着替えまで………って、あれれ?
「あんたはこっち。一応シンジなんだし」
 ヒョイッ……テクテク……ポイッ……ピシャッ!!
一応シンジ扱いされた僕は隣の部屋に放り込まれて襖を閉められてしまった。
くぅー、子猫の力じゃ襖は開けられないよ。
でも覗きはいけないことだから大人しく黄昏て待つさ。
うん、僕は清く正しい青少年だしね。別に着替えなんて……
「あら、レイって見た目よりおっぱい大きいのねー」
「ええー、あたしの方が大きいに決まってるじゃない……ってりゃ!」
「ひゃっ! あ、あの、その…」
「うーん、思ったよりもボリュームあるわね。肌もスベスベだし」
「どれどれ私にも……本当に凄いスベスベしてる。綺麗な肌ー!」
 開け開け開け開け、ここで開かなきゃもうこんなチャンスはないんだ。
だから、開いてよ―――!!!
「にゃおぉ―――ん!」
 ………現実は非情だ。
673猫シンジ:2009/09/23(水) 07:45:41 ID:???

 僕的に長い時を妄想で過ごした後、ジェリコの壁が開らかれた。
浴衣姿のアスカが僕の前でしなっとポーズを取る。
「どう? 似合うかしら」
 いい! 凄くいい! 日本人とかけ離れた二人の外見に浴衣が実にマッチしていてる。
特にアスカはお転婆さが微塵も感じられないほど清楚だ。
きっと和服美人がみんな大和撫子に見えるのと同じ原理なんだろうね。にゃんにゃん。
「はいはいありがとー。あんたも着替えましょうねー」
 リビングで僕を待っていたのは超小型、子猫サイズの法被だ。
前足を通してお腹で紐を結わえる。おまけに髪留め用ゴムで作った捻り鉢巻を付けて完成。
背中にはネルフのロゴが入っていた。ホント自己主張の激しい組織だね。
「きゃー、シジ可愛いー!」
「うわ、凄い破壊力。でもよくこんな物が用意できたわね」
「赤木博士が『こんなこともあろうかと前々から作って置いたのよ!』って……」
 どんな事態を想定していたんだよリツコさん。呆れてものが言えないよ。
「ほらほらファースト、見て見て可愛いー! 抱いてみる? 抱いてみる?」
「え……うん………可愛い///」
「でしょでしょー! もう最高ー! 今日ばっかりはリツコの趣味を見直したわ!」
リツコさん、僕も今日は素直に感謝しときます。
 女の子に引っ張りだこにされるなんて初めての経験だな。
凄く嬉しい半面、僕としてではなく猫としてばかりアスカや綾波に好かれるのが少し悔しい。
でもアスカがすっかり元気になったからいいか。
「はい二人とも、お小遣い。夜店じゃカードは使えないから計画的に」
 千円札は数枚、百円五百円を大量に。ミサトさん、そこまで本格的にしなくても。
「んじゃー、私は先に車で出るから、夜道は気をつけて来なさいよ!」
「はーい!」「了解……」「にゃーん!」
 準備万端! さあ、お祭りだ!

<つづく?>
674猫シンジ:2009/09/23(水) 07:47:08 ID:???

綾波を出そうか散々迷って結局投入。
小出しというか小ネタしか続かないというか。
最近LASっぽくなくなってる気がしますが多分気のせいではありませんw
675名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 10:15:10 ID:???
つまんね。飽きた
676名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 10:37:40 ID:???
乙です!!
677名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 11:47:32 ID:???
投下乙。
はっぴを着た猫というと学ランを着たナメ猫を思い出すw
でも劇中のネルフグッズって本当に誰が何のために作ってたのか謎だw


ほのぼの系は小出しでも安心感があっていいや。
シリアスで短く切られるとヤキモキするけど。
678名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 13:03:33 ID:???
GJです!

>>677
あるあるwシリアスの小出しはヤキモキするね
679名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 15:46:47 ID:???
はしゃいでるアスカが普通の女子中学生みたいでワロタw
680543:2009/09/24(木) 01:00:11 ID:???
 皆様ごきげんよう。
 レスくだすった皆さんありがとうございます。前回は10レス規制に泡食い
ましたw

 連休終わりましたが、多分このヘタレ気味のアスカのお話は今回含めて
あと3回に分けての投下となります。
 自転車乗れないアスカってあんまし想像できませんが、訓練や演習の
毎日で、しかも優先度高いメニューが目白押し……
 ってなると存外そういうこともあるかなあって思いでの設定な次第。
 今回はそれ以上に「えぇーー」な感じなので、


 エンジョイ・アンド・エキサイティングな作品好きな人、水際に立つと転落
しちゃう習性のあるある蝕の生き残りみたいな人向けのNGワード


空を見上げて


 で、御願いします。
681空を見上げて:2009/09/24(木) 01:01:26 ID:???
 *

 オールを漕ぐリズミカルな音がするたびに、体はわずかに後に引っ張られる。
 静かな水面に波が立ち、波紋はやがて曖昧になって水面に吸い込まれていった。
 飽きもせずその様を眺めて、舷側に頬杖ついて呆けているのが心地いい。
「アスカも漕いでみる?結構楽しいよ」
「いい、めんどい」
 そんな楽しそうに漕いでいるの、邪魔するなんて悪いじゃないの。
 それにこうやって外で二人だけの時間を満喫するのも、そうそうある機会では
ない。
「ふぅ、ちょっと休憩」
「そんなに漕ぐの楽しい?」
「うん、乗り場のおじさんに教えてもらった通りにしたら結構巧く漕げたよ。でも
掌にマメができるかも」
「マメ?」
「ほら、普段やらないことすると掌とか足とかに水ぶくれみたいなのできるやつ」
「あぁ、アレね……」
 実際何の話しか判ってなかったけど、どうでも良さそうな話だったので適当に
合わせた。
 シンジの鞄を枕にして船底に寝そべる。
 せり上がった舷側の向こうに広がる空を、二羽の雲雀が賑やかに横切っていった。
「結構いいもんね、ボートって」
「そうだね、湖の上から富士山見るの、凄く新鮮だな」
「日本人って、本当に富士山好きよね……」
 不思議に思う以上に呆れる位に、日本人は折に触れて富士山をふと眺める。
「ただの山に何があるってのよ」
「そう言われると困るけど……今日も富士山は富士山だなって、たぶん、そんな
感じかな」
「何それ?訳わかんないわよ。山が一日二日で変わったりするわけ無いじゃない」
「そうなんだろうけど、何て言うんだろ?変わらないでずっとそこにあるから、
安心しちゃうのかも。それに、日本人なら説明抜きで判っちゃうから……かな?」
682空を見上げて:2009/09/24(木) 01:04:03 ID:???
「そんなの、私にはわかんないわよ……」
 『日本人には』とか言う台詞は、私には聞きたくない類の話だ。
 どことなく一線を引かれて、内輪で話しているグループに無理矢理混ざる感覚。
 向こうもこっちも違和感を感じてよそよそしく気遣ったふりをする、興の乗らない
交流。
 その上ドライで個人主義的な価値観が染み付いた私にすれば、気遣いだとか情緒
だとかいった話し方や接し方をされると、対応に戸惑う。
「あ、そっか。んー、アスカ日本語巧いから、なんか当たり前に話しちゃって
るのかも。でも、これ日本人じゃないとわかんない感覚なのかな?」
「一から十まで日本人の感覚よ。」

 その知らない世界が不快で受け入れられないものだったら、どんなに良かったか……

 閉じていた世界をこじ開けたのは、目の前のシンジとミサトだった。
 広がった世界をえこひいきが掻き回し、ヒカリが私の手を引いている。
 なおかつオールの漕ぎ手は、四六時中私の価値観や考え方を揺さぶり続ける。
 一人でいることが当たり前だった私の世界は、一人の時間を持て余し、他人の
影を追いまわす時間が確実に増えている。
 一体私は、人に構ってもらってどんなものを求めているというのか……
『やめたやめた!らしくないわねアスカ、ここはやりたいように楽しめばそれで
いい。そうじゃない?』
 帽子の鍔を直しながら立ち上がり、いつもの式波アスカに戻るために一芝居
打つ事にした。
「シンジ、タイタニックごっこやろうよ」
「へ?」
 いきなりの展開にシンジはついてきていない。その頓狂な顔は私の嗜虐心を
煽り、行動に駆り立てる。
「ディカプリオみたいにいいとこ見せてよ!」
「や、やめなよアスカ危ないって」
683空を見上げて:2009/09/24(木) 01:06:54 ID:???
 いつもの消極的な制止と侮って、私は少し大げさにシンジを見据える。
「平気よこんなの。パイロットやってればこのくらいの平衡感覚自然に身に…」
「だからあぶな…」
 慌てたシンジも腰を浮かし、あまつ私は無警戒に狭いボートを闊歩していた。
 一方向に体重をかけたのがいけなかった。瞬時に小さなボートはそれでバランス
が崩れる。それをカバーしようとしてもう片方に体重移動したのも、シンジと
ほぼ同時だった。
 結果はさっきよりも倍の加速度でボートの舷側が水面に近付くことになる。
 姿勢が低かったせいもあり、辛うじて踏みとどまったシンジをスローモーション
で見ながら、私は水面に放り出された。

 世界がひっくり返り、LCLとはまるで違う冷たい水が体を包んだ。
 重力に従って沈む体を、必死にもがいて這い上がる。
 掴み所なく自由の利かない。空気がない恐怖と混乱が瞬時に体を襲った。
 息を吸い込もうとして思いきり水をのみこんで、私のパニックは更に悪化
する。
 後ろから抱きつかれた両腕が、暗い水底に引きずり込むように錯覚して、
必死にもがいた。
「………スカ、アスカ!アスカッ!」
「やだぁぁ!…すけて、たす…て」
「アスカ落ち着いて、大丈夫、大丈夫だから…あてっ!肘撃ちやめてっ!」
 何とか背中の悪魔は引き剥がしたと思ったら、今度は一人で浮いていられず
また沈みはじめた。
「…がぼっ」
 半分意識が吹き飛んだ状態で誰かに体を半回転させられて、更に水を飲んだ
ときに水の中からやっと解放された。
 咳き込む私の左耳に、落ち着いた大好きな声が響く。
「もう大丈夫だから!アスカ」
 その声はそれまでの混乱と恐怖を、砂浜に水が染み込むように落ち着かせた。
「シン…っけん…ジ?」
「もう大丈夫だよ。大丈夫」
684空を見上げて:2009/09/24(木) 01:09:35 ID:???
 この時になってやっと、悪魔はシンジだったことと、連れ去るのでなく助けて
くれていることを理解できた。
 安心感はさっきまでの恐怖を一気に涙腺まで駆け抜ける。私はシンジに必死で
しがみついて、むせながらしゃくり上げた。
「アスカは何も心配しなくていいからね」
「ぅん」
「ホラ、ちゃんと掴んでると大丈夫だろ?」
「うん、だいじょ…ぇほ…ぶ」
 そうやってシンジはずっと耳元で囁き続けながら、固く廻した私の腕を解いて
ボートの舷側を掴ませる。
「ここで待ってて」
 解いたもう片方の手を掴んでそう言うと、シンジは私の傍から離れようとする。
「やだ、やだ、ここにいて!」
 離そうとする手を必死に掴み返して、私は心の底から懇願した。
 根拠のない不安がなりふり構わず私を突き動かす。意味もなく何もかも失う
という狂騒が頭の中を覆っていた。
 困惑したシンジはどうしたものか逡巡していたけど、掴んだ私の手を優しく
握り返し、諭すように語りかけた。
「わかったよ……。じゃあアスカ、先にボートに上がってくれる?」
 泣いて震えてしゃくり上げながら、私は頷いた。
 シンジに支えられて両腕で舷側にしがみつき、不恰好に片足を掛け、やっと
の事でボートの中に転がり込む。
 私は無様に泣き続け、シンジを言われるがままに引き上げると、うろたえる
シンジに構わず抱きついた。
「アス……」
「うぁ、うぁぁぁぁん……」
 泣きやまない私の背中におっかなびっくりでシンジの腕が廻される。
 何も考えることもせず、不思議な安心感に包まれて体重をシンジに預けた。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ……」
 耳下で囁くシンジの声は、暗示のように私の心を次第に平静に導く……
685空を見上げて:2009/09/24(木) 01:12:08 ID:???

 差し出す手を優しく包む存在なんて、今まで無かった。
 その優しさに救われ、癒される。
 安堵と平静を取り返し、理性が回復するにしたがって、皮肉にも私は
私自身に追い詰められてしまう……

 泣き止んで膝を抱えて縮こまる私を、シンジは無碍にすることなく、
桟橋に引き返すためにオールを漕ぐ。
 桟橋に舟を正確に寄せて、シンジがボートから飛び移る。シンジに促さ
れて私も陸に上がり、やっと不安定な足元から解放された。
「アスカ、タオル貰う?」
「……」
 水上の不安定な感覚がまだ抜き去れなくて、体が時々傾いた。
『もう沢山。もう嫌。何もかも私に構わないで!』
 真っ黒な感情の塊が私を覆い尽くし、人の意見を受け入れる余裕を無く
してしまっていた。
「アス……」
「帰る」
「でも、濡れたまんまだと…」
「帰る!もう帰るの!こんなの嫌!もう沢山!帰るったら帰るの!」
 感情の爆発ってこう言うものなんだろうなと思う。無様だろうとカッコ
悪かろうとどうでも良かった。ただひたすらに今の自分から逃げたかった。
 後々、八つ当たりされるシンジには本当に悪いと思ったけど、この時は
全く自分をコントロールできなくなっていた。
 ここで叫んでいる自分は一体誰なのか、解らない不安にただ襲われて私は
怯えていた……
686空を見上げて:2009/09/24(木) 01:18:17 ID:???
 自分でもなんでここまで醜態をさらしてしまったのか理解できない。
 自転車に乗れない、我侭しか言わない、好き勝手しかしない、泳げない、
その上ヘマをして泣いて縋ってばかり。
 こんな情けないのは一体誰だろう?激しい自己嫌悪と無力感。けれども
こんなおバカに律儀に付き合ってくれるシンジ―――

 依存してしまいそうだ……

 その答えが私を戦慄させる。
 エヴァのパイロットになるまでの競争の日々は、他人への依存や期待を
否定する毎日だった。
 心を許してはいけない。好意を素直に受け取ってはいけない。出し抜か
れてはいけない。弱みを晒してはいけない。同情してはいけない。無意味に
敵を作ってはいけない。義務に従順でなくてはいけない。期待を裏切っては
いけない……
 それは大きな私の蹄鉄でもあり、私を支える力でもあった。
 使徒に見え、いろんな人に出会い、私の中身は大きく変わり続ける。望む、
望まないなんて事は関係もなく。

 変わってゆく私は、誰?
 一番最初に望まれた姿を失ってゆく私は許されるの?
 願望と猜疑、期待と恐慌が交錯する心の中を、何の打算も衒いもなく、
シンジがしっかり掴んでいる。

 今、このときも、自分ひとりで積み重ねたものと、静かな顔で私の我が侭
を見つめる目が私の心の支えだった。
 でも私は、二つの支えに折り合いがつけられない……

つづく!
687名無しが氏んでも代わりはいるもの :2009/09/24(木) 02:50:21 ID:???
>>686
GJです!こういう感じのアスカも好きだ
688マリン@marine:2009/09/24(木) 08:35:07 ID:???

>>659の続き投下します。

・完結するはず
・一部グロ描写あり
・イタモノ注意

NGワード 黄昏オレンジ


689黄昏オレンジ:2009/09/24(木) 08:37:10 ID:???

**********

…アタシは走った。必死に走った。記憶を辿って病院に戻ろうとした。

病院へ戻る途中、アタシは大きな交差点に差し掛かって、ふと先を見ると、夕陽を背にした横断歩道の向こうに…シンジはいた。

人は割と多かったが、そんなの関係なしとばかりにアタシは思い切りあいつの名前を叫んだ。

「シンジぃ!」
「…!アスカ!」

シンジ…やっと…アタシ…自分の気持ちに…

シンジは横断歩道を渡ってアタシに駆け寄ってきた。やっと…やっと…

しかし、会えた喜びもつかの間。次の瞬間アタシはどん底につき落とされることになる。

690黄昏オレンジ:2009/09/24(木) 08:38:01 ID:???

**********

アタシの目の前でドゴーンという大きな音を残して、シンジの姿は見えなくなった。

「え…シンジ…?シンジ!」

―アスカのその問い掛けに対して、シンジの返事が聞こえる事は…二度となかった―

シンジは赤信号を無視してきた4tトラックに跳ねられて30m以上飛ばされ、ドンと言う鈍い音を響かせながら…アスカがいる方の歩道に叩きつけられた。

アタシは急いでシンジに駆け寄った。…反応はない。

良く見ると、シンジの体にはすり傷が無数にあり、あちこちからどす黒い血が流れ出している。
さらに右腕は肘から先が逆に折れ曲がり、左膝の一部からは骨らしきものが見え、その左足はあからさまに折れていることが確認できた。

そんな状況の中、アタシは泣き叫びたい気持ちをなんとか抑え、平常心を保ちながら、すぐにシンジの脈拍を確認した。
脈は…かろうじてある!が、呼吸はかなり弱々しい。

691黄昏オレンジ:2009/09/24(木) 08:41:08 ID:???

偶然通りがかった通行人の1人が救急車を呼んでくれた。そして救急車がきて病院に運ばれ、シンジはすぐに集中治療室に移された。

その手術中、アタシは祈った。とにかく祈った。お願い…シンジ…死なないで…
アスカには、もうシンジを恨む気持ちなど微塵もなかった。
使徒戦の時のことも、そしてサードインパクトの時のことも、全て…忘れていた。

…それから何時間たっただろうか。何やら扉の向こうから騒がしい声が聞こえてきた。そして、ふっと手術中のランプが消えた。
その後、集中治療室からぞろぞろと数人の医師が出てきた。その顔は…皆、俯いて見えなかった。

まさか…

「あの…シンジは…」
「手は尽くしました…しかし残念ですが彼は…出血多量によりお亡くなりになりました…」
「そんな…シンジ…イヤァァァァ!」

その場でアタシは泣き崩れた。アタシは…シンジに想いを伝えることが出来なかった。

692黄昏オレンジ:2009/09/24(木) 08:42:37 ID:???

アタシがこんなバカだったばっかりに…

シンジが死んだのなら…アタシはここにいる意味はない。いっそのことアタシも…
シンジ…今すぐに想いを伝えに行くからね…どこまでも付きまとってやるんだから!

そう思ったアタシは顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、無我夢中で屋上へ走った。そしてフェンスを乗り越え、シンジのあとを追うようにして…屋上から飛び降りた。

「シンジ、今そっちに行くからね…」

飛び降りた数秒後、アスカは頭から地面に叩きつけられ、その場で即死した。


―数日後、ネルフ関係者の意向により葬式は密葬で行われ、2人の遺骨は同じお墓に納められた。
2人は最悪の形ではあったが…永遠に…共に過ごせることとなった―


693黄昏オレンジ:2009/09/24(木) 08:43:58 ID:???


**********

納骨の一週間後、2人のお墓の前には、夕陽を背にお線香をあげる銀髪で赤い瞳の少年と、蒼いショートヘアーに同じく赤い瞳の少女の姿があった。

そしてその少年はこう呟いたという。

「黄昏…お別れ…か。
ごめんね…2人とも…僕の力がないばかりに…守ることが出来なかった…
だからね…これだけは絶対に約束する。


今度こそ君達だけは…幸せにしてみせるよ…」と。

もうすぐ夜が来る…

THE END

694マリン@marine:2009/09/24(木) 08:47:37 ID:???

後書き

全体的に描写が足りませんでした。後々自分で読み直したら何だかよく分からない意味不なストーリーになってました。
カヲルを出したのは最後の場面と、レイとの絡みにもっていきやすいかな、と思ってオリキャラとかよりはカヲルの方がいいと思ってカヲルにしました。

最後のは一応、新劇のこれからの展開に何かしらの希望をもって書いたつもりです。…というかこれが一番書きたかった。

イタモノは思ったよりかなり難しいですね。
まだまだ自分の努力不足でした。ROMに戻ります。つまらない上にクソですみません。
広げた風呂敷も完全には畳めなかった…

読んで下さった方ありがとうございました。

695名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 09:50:16 ID:???
               /|:::::::::::::::::::::ヽ.:.:.:.:、:.:.:.:、:.:.:.、.:.、.:.:.:.:.:.::`゛>
           /{::|:\:::::::\.:.:.:\.:.:.ヽ::.::.ヽ:.:.ヽ::::::::::.:.`゛ー- ..,__
: 何 :    /:|::',:ト、::::::ヽ、:.\:.:.:.\:.:.ヽ:.:.:\.:.:.:.:.:::.:.:.:.:::.::::_;:-'´   : : :
: が :   //:/:::|::',|::'、:::::::::\:.:\.:.:.ヽ:.:.:\:.:..\::::::::::::\、::::\    : : :
: 何 :  /!::|::l::::/|:::l:ヽ:\::ヽ:.:\:.:\.:::ヽ:.:.:ヽ:.:.:.:\::::::::::::\ ̄   : : :
: だ :   |/l::|::|::|:ト、:::::::::、、:ヽ、:.:.:.:::::::::::::::ヽ::::.:ヽ:.:.:.:.\:.:.:.ヽ:::\.   : : :
: か :   |::|::/l::|::|r‐ヽ:::::ヽ(ヽー,―\::::::、::::::::::ヽ::.:.::::::.:::::::ヾ. ̄   : : :
:    :   }//l::|:::|{(:::)ヾ、:::ヽ \!(:::) ヽ,:::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ、   : : :
: わ :.  |/l::|::|:::|ヽ==''" \:ヽ、ヽ=='" |:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、::::\
  か     / ',|::|:::|   /   `゛       |!::::::::::::::::::::::::::::ト、::ト、_` ゛`
  ら      l::!::::ト、  '、 _         ||::::::::::::::::::::::::ト:ヽヾ| | ̄ ̄ ̄`ヽ、
  な     r'"´||',::::',                 |:::::/l:::::|\:::ト、ヾ | |     / / \
  い   /   ll ',::', 、 ーこニ=-       /!::/ ヽ:::|  ヾ、  ノ ノ  /  ,イ   ヽ、
       ,'    |  '、:, \ --       ,. '´ |;'  l ヾ、.   //     / |    l: l
      |   |!  ヽ;  ヽ       /.:    i!  /   ゛// |l      / |      | |
696名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 10:20:31 ID:???
>>686
乙!続き待ってる!
泳げないとは…まぁそんなアスカも有かなw
697名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 12:17:33 ID:???
マリンさん乙でした!
またお待ちしとります
698名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 12:35:49 ID:???
>>694
乙でした。うーん…イタいだけの内容でしたね。
切なさとかの描写が無いのが少し寂しかったかな。
アスカとシンジの絡みが少なかっですしね、次作では絡んでほしいです!

ところで前作でもシンジ君ハネられましたよね、思わず「また!?」って言ってしまいました。
699名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 12:41:46 ID:???
>>694
自己陶酔作者の書くシリアスのテンプレみたいで
作者の妄想にエヴァキャラのお面をかぶった登場人物
が出ているだけな内容。
正直、登場人物にキャラクターを感じないんだが。
700名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 12:52:13 ID:???
>>694 感情表現が足りない。カヲルが微妙すぐる
あと、オチがあんまり面白くなかった
次はがんばれ
701名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 13:17:02 ID:???
つーか、アスカがカヲルに惚れて、シンジとアスカが絡まずに両方死ぬだけの話に、
LASとしてどんな魅力があるのか誰か教えて欲しい
702名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 13:54:46 ID:???
アスカをカヲルに惚れさせたのはシンジへの思いを強調させるためだろ?
703名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 13:55:50 ID:???
なんの強調にもなってないけど
まぁカヲルに惚れるアスカはLASのお約束みたいなもの
704マリン@marine:2009/09/24(木) 14:24:54 ID:???

なんかもう言葉がないです。
下手すぎて申し訳ない。
1から出直してきます。

すみません…

705名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 14:29:30 ID:???
まぁそう変な風に落ち込むなw
この失敗を次に活かせばおkなのさ
新作できたらまた投下してくれな
706名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 15:02:34 ID:???
>>703 お約束でもないだろ 
っかカヲルとアスカが絡らむLASはつまんないと思うw
>>704 がんばれ。
707名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 15:46:15 ID:???
>>703
スペック的に勝ち目の無い・普通ならこっちを選ぶだろっていうイケメンとヒロインがいい雰囲気になって、
でも最終的には主人公の男を選ぶことで、ヒロインの想いを強調したり、
男側に感情移入する読者の自尊心を満たす

これは古くからラブコメのお約束
708名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 17:45:36 ID:???
けどシンジのスペックもかなり高いし、普通ならそこらにいないぐらいの男だしなあ
709名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:04:27 ID:???
708がそう思っても、大半の書き手はそう思わないってことじゃね
710名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:06:37 ID:???
>>706
カヲル以上にレイが絡むと大抵ろくなことにならない
下手に可哀想な扱いにするとレイ好きから怒られる
扱いをよくするとLARS寄りになって微妙な感じがしてくる
レイのキャラが崩壊してる場合が多いのもダメな点
レイを出してうまくいったLASなんてほとんどない気がする
711名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:22:20 ID:???
>>710 そうかなぁ
レイが二人の関係をひきたてる事もあると思うよ
書き手次第だと思う
712名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:23:53 ID:???
>>709
シンジは可愛い系だから受け身のイメージがあって、女の扱いが上手くなさそう…というのもあるんだろうね

まあカヲルが女の扱い上手いかは知らないけど、シンジを転がした前科があるしなw
713名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:24:02 ID:???
レイもカヲルも出演は別に良いんだが
矢印を勝手に変えると違和感バリバリで大抵は駄作になるな
714名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:25:09 ID:???
同時スタートだったら、シンジはまずカヲルには勝てないっしょ
715名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:27:58 ID:???
>>704
何はともあれ頑張れ〜
作風見てると、ほのぼのしたのの方が似合いそうですね
でも結局は自分の好きなものを書くのが一番ですねw
716名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:33:18 ID:???
>>714 それはわからんよ
シンジは何のアプローチもしなかったのにアスカあれだぞw
717名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:34:48 ID:???
>>712
その割には気になる子には積極的に話しかけるし一途なやつなんだよな
イメージに捕らわれすぎてる気がす

冷静にスペック並べたらシンジに勝てるやつなんてほとんどいないし
718名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:35:52 ID:???
>>714
シンジの上位互換みたいな存在だからな
最初からカヲルがいたら勝ち目は無い

そのカヲルじゃなくてシンジを選ぶことで、
それまでに築いておいた絆の強さが強調されるっていう仕組みが一つのパターン
719名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:38:38 ID:???
上のマリンさんのとか、米どころ氏の作品とかがそのタイプだな
720名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:39:33 ID:???
投下待ち
721名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:40:01 ID:???
コミュニケーションスキルのあるシンジって感じなのがカヲルだけど、ガチホモはガチでシンジが好きだしなぁ
しかも、シンジ以外には変なやつ扱いされてる
書き手にとっての便利屋なのは間違いないが…
722名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:42:41 ID:???
>ガチでシンジが好き
だからまぁ、もしシンジじゃなくてアスカに親切にしたら・・・ orz
という場合の妄想として生まれるんだろうな
723名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:44:42 ID:???
でも最初からカヲルがいたら持ってかれるって点に関しては、別にアスカじゃなくても同じだべ
レイとかだってあっちに行ってカヲルハーレムになるだけ
724名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:51:02 ID:???
それは無いだろw
シンジを過小評価しすぎ
725名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:55:35 ID:???
ていうかカヲルがチートすぎ
726名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:58:03 ID:???
シンジと似たアスカならカヲル効果は効くと思うが、レイは違うだろ
ミサトもうさんくさがってたし
727名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:59:52 ID:???
他の男が絡むのは肉体関係なければ許容範囲だけど、カヲルが絡むのは違和感ありすぎてな
シンジよりアスカを選ぶってのが想像つかないし
728名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:03:10 ID:???
そう言ったらカヲル効果はミサトにも効くでしょ
矛先がシンジだから胡散臭いヤツと感じる
アスカの場合も同じくだと思うがな
729名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:04:35 ID:???
>>726
女の子といってもレイは特殊だから参考にならないわな
730名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:07:15 ID:???
LASの間じゃカヲルってどういうキャラだと思われてんの?
個人的にはアニメキャラとしての人気は高くても実際にモテるとも思わないんだが
だって明らか変なひとだろ(アンチじゃない)
731名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:08:16 ID:???
>>730
少なくともシリアスなFF見る限り、一般的な魅力においてシンジが勝てる相手じゃない
とは思われてる
732名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:09:58 ID:???
それ別にLAS限定でもないだろ
LASだけに押し付けられても困る
733名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:11:26 ID:???
やっぱりシンジはアスカと釣り合わないって思ってる部分がLAS人の中であるんじゃないか
シンジアンチじゃないよ
734名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:12:20 ID:???
釣り合うとか…考えた事もないがw
735名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:14:17 ID:???
いや、正直に言えば、イメージとしてあるのは事実でしょ
少なくとも、LASを書いてる人達の間では浸透してると思う
おすLASスレで人気が高い作品や作家だってそうだし
736名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:15:51 ID:???
LMSではミサトに加持が
LRSではレイにゲンドウが
LASではアスカにカヲルが

適当な恋敵役として絡む
まあ冷静に考えれば何でカヲル???って不思議だけど
737名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:16:08 ID:???
それお前の中だけの話だろw
スペックとか関係ないし、ましてや中学生にw
738名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:16:52 ID:???
実はアスカがシンジに釣り合わないと言う
739名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:17:52 ID:???
上二つと違って本編の絡み無いのになw

アスカ>シンジってのがまずあって、じゃあアスカに釣り合う男が登場するという想像が広がって、
そこでカヲル≧アスカ>シンジってのもあるからカヲルが使われる

という感じじゃなかろうか
740名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:18:58 ID:???
>>737
「アスカ シンジ 釣り合い」とかで検索してみれば分かる
勝手に言ってるわけじゃなくて、事実そういうLASが多いよというだけ
741名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:19:35 ID:???
LAS好きって
この2人の掛け合いとかが好きなんじゃないの?
テレビ版中期の頃とかがさ
外見的な問題とかでも無いでしょ。
ましてやそういう意味で釣り合いとか俺も考えた事も無い
742名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:23:03 ID:???
>>736
シンジが転がされたみたいに、カヲルだとアスカが簡単に転がされそうってイメージがあるからでは
743名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:23:20 ID:???
と・・・投下待ちだぜ?
744名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:28:46 ID:???
>>695-743
黙って投下を待つのだ馬鹿者が!
745名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:31:05 ID:???
>>742
いや、冷静に考えるとカヲルがシンジから女を寝取る訳ねーじゃんって意味で
746名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:34:15 ID:???
そこは「カヲルがアスカに目を向けたら」のifってことじゃね
所詮二次創作だし、オリジナルな部分に文句言っても仕方ないし

だから投下待とうぜ
747名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 19:48:20 ID:???
カヲルがホモだから助かってるのはどのカプも同じ
748名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 20:05:21 ID:???
シンジさんならカヲルなんて小指ひとつで
749名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 20:08:45 ID:???
>>747
それこそやっぱシンジを過小評価してるとしか
シンジはカヲルにはかなわないっつう前提があるんだろな
750名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 20:10:58 ID:???
カヲルに優しくされても他の男選びそうなのって、
女王ユイさんしか思いつかぬ
751名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 20:11:20 ID:???
男にして包み込むような母性を感じるからな
シンジを過小評価とかではなく、あれは別物
752名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 20:12:33 ID:???
ここ小説投下スレだよね?
753名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 20:13:57 ID:???
です
754名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 20:32:06 ID:???
>>749
それは仕方ないつーか、LAS小説内ですら客観評価では敵わないのがデフォだしな
ギャグホモ化してるのを除けば、その逆なんて見たこともない
ま、どうせ本編ではガチホモだからアスカに手は出さんよ
755名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 21:18:53 ID:???
シンジがしょぼいなんてのは暗黙の了解だから
わざわざ言うことでもない
756名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 21:20:44 ID:???
冷静になれ
本人に自身が無いだけで、かなりのハイスペックだぞ>シンジ
757名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 21:33:41 ID:???
755のはただのアンチシンジだろjk・・・

しょぼいと解してるSS作家が多いことや、
ましてやカヲルと女奪い合ったら本来絶対勝てないと思われてるからこそ
かえって当て馬や寝取り役にカヲルが使われるのも、
それはそれで事実だろうけど
758名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 21:46:25 ID:???
どこがハイスペックなんだよ
それにシンジが一番気持ち悪いところは性格だからな
あんなネクラがもてるわけないだろ
759名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 21:47:18 ID:???
な?言ったとおりだったろ
760名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 21:52:44 ID:???
なんでトウケツがこんなところにまでw
761名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 22:15:00 ID:???
まあでもLASの主流を見てるとシンジがショボイと思われてるのは間違いない
762名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 22:22:53 ID:???
LASでショボイのはアスカじゃないの?
763名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 22:29:06 ID:???
LAS小説ってシンジがアスカにふられて
「僕が全面的に悪かったんだ!」みたいなのばっかじゃん
しょぼいと思ってなかったらこの扱いは無いわな
764名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 22:55:29 ID:???
今さっきこのスレで自分を追い込んで自殺しちゃうアスカの話を見たとこなんだけどね
そもそもフラれてたらLASじゃないしね
765三つの願い:2009/09/24(木) 23:10:36 ID:???
何となく思いついたので書いてみたんで、空気を読まずに投下するぜ。

カヲルとマリが登場するLASが嫌いな方は
NGワード:三つの願い
766三つの願い:2009/09/24(木) 23:11:25 ID:???

 よくよく考えれば、事の発端は帰り道で拾った妙な眼鏡だった。
「何でこんなの拾ってきちゃったんだろ?」
 値打ち物とも思えない古ぼけた赤縁地眼鏡。
何故か部屋まで持って帰ってきた上に磨いてしまったのが間違いだった。
キュッキュッキュッ……ボワワワーン!!
「呼ばれて飛び出てジャジャジャ――……ごふっ!」
 何だか変なのが出てきたので驚いて反射的にボディーブローを入れた。
チェックのスカートに夏服のようなシャツ、長髪に赤眼鏡で全長30cmほどのよく出来た人形。
またリツコが変な発明でもして捨てたのか? それとも新種の使徒か?
私は眉を潜めてベッドの上で悶絶しているソレに問いかけた。
「あんた何よ?」
「ま、迷える子羊の願いを叶える天使マリイラストリアスエルちゃんでーす!!」
 思わず窓から投げ捨てたくなるほど胡散臭い笑顔だ。
「眼鏡の封印を解いてくれたお礼に三つの願いを叶えてあげちゃうよー!」
「出、て、け!」
「うわ、即答? そこは空気読もうよ。つーかちゃんと三つ叶えないと私も困るんだってば」
「ノルマをこなさないと次の犠牲者の所へ行けないってヤツ?」
「そう、それ」
 そうかそうか犠牲者か。
「あっそう。勝手に困ってなさいよ」
 下も確認せずに窓から投げ捨てた。春先でもないけど常夏だとああいうのが増えて困る。
「そう言わないでさ。魔法の理論の力『マリ力(―ちから)』で恋の願いもバッチリよん」
「はっ、バカバカしい……」
 ここで少し窓から這い上がってきたコイツに興味を持ってしまったのが失敗だった。
767三つの願い:2009/09/24(木) 23:12:07 ID:???

「だったらバカシンジにす……『好きだ』とか『愛してる』とか言わせて見なさいよ」
 くだらないと思いつつ、絶対にアイツが言いそうにないことを指定してみた。
本当は心のどこかにそういう言葉を言わせたいという願望があったのかもしれない。
「お安い御用のパーペキじゃん。アカマキナミアオマキナミキマキナミ〜〜」
 マリイラストリアスエル(面倒なので以下マリ)がブツブツと妖しげな呪文を唱え始めた。
どこからか取り出したステッキを振りながら人形サイズで踊っている姿は中々可愛い。
「―――ガイナッタッチでバカシンジに『好きだ』とか『愛してる』とか言わせちゃえー!!」
「バカ、声が大きい!!」
「大丈夫大丈夫。私の姿は業界関係者か犠牲者にしか見えないから」
 そういう問題じゃない! 好きとか愛してるとか恥ずかしい事を声に出すなっての!
全くデリカシーの無い。こんな奴、やっぱ信用なんてできるわけ――
 コンコン……
『アスカ、ちょっといい?』
 にゃんですとー!? いや待て私。そろそろ夕飯だと呼びに来ただけに違いない。
こんなマリ力とか願い事なんて現実に起こる分けないでしょ。自然体、自然体。
大急ぎでメイクと服の乱れをチェック、良し! 深呼吸、スーハースーハー…… 
「な、何かしら」
「アスカ、好きだとか愛してる……」
「ななななに言ってんのよ急に!!!!!」
 ええと、これはつまり、あれね。あああああ愛の告白といやつなのではわわわわ。
静まれ私の心臓、落ち着け私。これは当然の結果であってむしろ遅すぎたくらいで――
「とかってドイツ語でなんて言うか教えて欲しいんだ。英語だとライクとラブだよね?」
「は……?」
 シンジの手にクロスワードパズルの本を目視で確認。
そんなこったろうと思ったけど。寿命が一年は縮まったわよ!! この胸のトキメキを返せ!! 
「自分で調べなさいよ!! このバカシンジッ!!」
 と怒鳴りながらも独和辞典を叩きつけてビンタ2発で許してあげた。私ってホント優しいわ。
768三つの願い:2009/09/24(木) 23:12:51 ID:???

「うふぷぷぷ。どう? 好きとだか愛してるとか言って貰えたでしょ?」
 ベッドの上でマリが腹を抱えて大爆笑している。
あんまりお腹が痛そうなので肘を鳩尾に落として笑いを止めてやった。
笑い過ぎでも死ぬことってあるのよ。
「と、とにかく私のマリ力が本物だって分かったでしょ? さあ次の願い事カモーン!」
「まあ、それは認めてやるけどさ」
 さて本当に願い事が叶うとして後二つ。急に言われても思いつかないわよね。
美貌? もう十分あるし。これ以上美人になったら逆に困っちゃう。
お金? あんまり使い道思いつかないな。それに将来、仕事とかやる気なくなりそう。
世界征服? あたしなら普通に出来るし。エヴァがあれば十分だし。
シンジ? ここでまた言うとコイツにガッついてるように思われるから嫌だな。
うーん。他に何があるかな。そうだ!
「弐号機をパワーアップさせてよ。初号機の暴走みたいにババーンと強くなる奴。出来る?」
「心配御無用お安い御用、アカマキナミアオマキナミキマキナミ〜〜!!!」
 ふふふ。これで名実ともに私がネルフのエース!
今まで対使徒戦績がよくないのは先行量産タイプ故の一点特化が無かったからよ。
ファーストどころかシンジよりも強くなっちゃいそう。
「――ビーストタッチで初号機の暴走みたいにババーンと強くなっちゃえー!! ほい完了!」
「本当に強くなったの?」
「なってるって。裏コード、ホニャララを入力するとねババーンとね……」
「ふむふむ……」
「代償として角が生えちゃったけどね。クワガタ(♀)みたいなチッコイ奴が」
「ええー、カッコ悪いー。せめて大クワガタ(♂)がいいー」
「じゃあ、それを三つ目の願いにする?」
「しない! チッコイ角でいい」
 どうせなら最後の願いはシッカリ考えないとね。
769三つの願い:2009/09/24(木) 23:13:46 ID:???

「――ってあれ? あんた大きくなってない?」
 最初は30cmサイズだったマリはいつの間にか1mサイズになっていた。
冷静に考えたらさっきエルボードロップした時も60cmくらいあったかもしれない。
「封印が解けて来てる証拠だね。次でキミより背が高くなるんじゃない?」
 人形サイズにされていたのか。どうせろくでもない事をしたんだろうな。
「さあ最後の願いは何? 張り切って叶えちゃうよ!」
 私が考え抜いた願い。それは――
「ママを生き返らせて! あたしは優しいママと一緒に暮らしたい!」
「お安い御用劇場用、アカマキナミアオマキナミキマキナミ〜〜!!!」
 本当に……ママが生き返るの? 私に優しくしてくれるの?
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
 一体なんの音よこれ?」
「世界が終わる音。滅亡まで後1パート13分って所かな、ハイ、ここでアイキャッチ!」

 NeonGenesisEvangelion:Wish has been fulfilled

「ど、どういうことよ!?」
「キミが選んだんだよ。この世界の終わりをね」
「嘘よ? だって私はただママを――」
「死んだ人間がさぁー。生き返るわけなーいじゃーん」
 あんたバカァとでも言いたげにマリは嫌みったらしく私の顔を覗き込んだ。
「そ、それなら三つ目の願い事は叶ってないじゃない!」
 そうよ、私は世界の終わりなんて願っていない!
「叶うさ。この世界は終局を迎えてリセット、別の世界でキミはママと幸せな暮らしをするさ」
 マリ、あんた何を言ってるの? 仮にも天使じゃなかったの?。
気がつけばマリには真っ黒なカラスのような羽、先の尖った黒い尻尾、鋭い角が生えていた。
「堕天使魔鬼波(マキナミ)とでも呼んでもらおうかニャ、夜露死苦!」
 何なんだこいつは――っ!
770三つの願い:2009/09/24(木) 23:15:37 ID:???

 天が裂けて血のような赤い空が広がり、地が波のように唸りをあげている。
まさか本当に世界の終わりが来るって言うの?
「世界滅亡まで後10分。死ぬ前に彼に告白でもしとく? 次の世界でもまた出会えるけどさ」
 ニヤニヤ笑いにムカついてハイキックを出したが軽く避けられてしまった。
大体こいつは何故こんなに落ち着いていられるのよ?
「滅亡したらあんただって死んじゃうでしょ!」
「んんー、私にとっては生も死も等価値って奴だから。お子様には難しいかニャー」
 よく分からないけどこいつは平気らしい。
「却下よ却下! 三つ目の願いは取り消し! 願い事で世界滅亡を無しにして!」
「それはダーメ。もう願い事は残ってなーいの。べろべろばぁー!」
 遠くでビルが倒壊して巻き込まれた人々の悲鳴が聞こえてきた。
次々と十字架型の光の柱が広がっていく。
「何とかしてよ! あんたなら出来るんでしょ!」
「そりゃ出来なくはないよー。でもここからはギブアンドテイクじゃなきゃねー?」
 そう言ってマリはいやらしい目で私を見回した。
「ギブアンドテイク…?」
「世界滅亡を止めるってんだから代償が必要さ。分かりやすく言うと悪魔に魂を売るってこと」
 しまった。最初からこれが目的だったんだコイツ。
私は騙されたんだ。こんな小悪魔にあっさりと。
「くんくん。いい匂い。思った通り極上の魂だね。うふふふふ」
 そのニヤニヤ笑いをやめろ! 
でも今も滅亡に向かって悲鳴は増え続いている。ここで私が何とかしないと本当に――
「す、好きにすればいいでしょ!」
 観念して私はドカッと座り込んだ。なんで私がこんな目にと思うと涙が溢れてくる。
もっと素直に生きればよかった。もっと言いたいこともやりたいことも一杯あったのに。
771三つの願い:2009/09/24(木) 23:16:20 ID:???

「じゃー。まずは新世界での出番を貰おうか。たーっぷりある出番を全部ね」
「よく分からないけど勝手に持って来なさいよ」
 マリは舌で唇を何度も舐めながら奇妙な本に何かを書き込んでいく。
新世界がなんだかよく分からないけど、そんなことで世界が救われるのなら安いものだ。
「あはは、これで新世界に惣流・アスカ・ラングレーは『存在しない』ね!」
「どういうこと?」
「みんなが生まれ変わる中、キミだけ仲間外れ。キミの場所に私が入るのさ」
「そんな……」
「そうそう、弐号機も貰っとこうかな。くれるんでしょー。世界の為に」
「くっ……好きに乗りなさいよ」
「サンキュー、気前の良い人って大好きだよ私。チュっ!」
 いちいち人を小馬鹿にした態度が癇に障る。我慢、我慢だ私。
「じゃあ最後に、キミのわんこ君を貰っちゃうかなー」
「わんこ君?」
「バカシンジって呼んでたっけ? 好きなんでしょ、彼。取引は大事なものじゃないとね」
 どこからか取り出したシンジの写真に投げキッスをしている。
ふざけるな! こいつは! こいつだけは! 世界が滅んでもこの場で殺してやる!
殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 
殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 
殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる!
772三つの願い:2009/09/24(木) 23:19:32 ID:???

 バタン――ッ!!!!
「ごめんアスカ、入るよ!?」
 突然ドアが勢いよく開いた。何事かと思うほど凄い勢い。
同時に聞こえた気の抜けるような声が発する安心感とともに私の殺気はゴミ箱に捨てられた。
制服の上からエプロンをしたシンジが部屋を覗いている。
まさか私を心配して様子を見に来てくれたんだろうか? 
いや待て、現在進行形で世界が滅亡しているのに美味しそうなカレーの匂いが――?
「真希波……だね。全く、相変わらずだな」
 シンジの後ろから銀髪の少年が顔を出した。シンジの友達だろうか。始めてみる顔だ。
二人が部屋に入り、そこからドアを閉めるとペラペラになったマリがハラリと倒れ落ちた。
それは風に乗り、窓の外へと飛んでいく。
「また会おう明智君! ふははははは!」
 ペラペラのまま妙な高笑いをするマリに、銀髪が赤い二又フォークのような物を投げつけた。
マリはそれにスパゲティのように巻き取られて、そのまま一緒に虚空へと消えてしまった。
ふと気が付いて周囲を見回すといつも通りの風景が広がっている。
「何なのよ一体? それに世界が滅亡するって……」
「幻覚だよ。ただしこの世界の未来で、実際に起こる滅亡時の風景だけどね」
 よく分からないけど、この騒ぎで怪我した人は誰もいないんだ。
そう思うと途端に足から力が抜けて、その場にへたり込んだ。
「後は人の欲望に付け込んで世界に干渉する程度でしかないさ。何か取引したものはある?」
 取引したものって言われても新世界での出番とやらはともかく、弐号機が!
私はカクカクシカジカで取引内容を説明した。
「そいつは不味いな。取引した『もの』は取り返すのは難しいんだ」
「じゃあ、弐号機は……」
「カヲル君、何とかならないの?」
「こっちの世界の分はシンジ君の願いで相殺されているはずなんだけど、新世界の方がね」
 シンジの願い? じゃあこの銀髪も天使だか堕天使だかなの?
773三つの願い:2009/09/24(木) 23:21:41 ID:???

「まあいいか。えーと惣流さんだっけ? 新世界では別の名前で生まれてくればいいさ」
「……カヲル君、僕はキミが何を言っているのかサッパリ分からないよ」
 私もサッパリ。でもまあ別の世界のことなんて知ったこっちゃないし。
「それよりも弐号機を何とかしてよ!」
「うーん。シンジ君の願いがあれだったからキミ、もう乗ることはないんじゃないかな?」
「だから意味が分からないわよ!」
「平和になるってことさ」
 全くノラリクラリと。こいつも優しそうな振りして私たちを騙そうとしてるんじゃないの?
「とにかくシンジ君。キミの最後の願い『アスカと仲直りしたい』は叶えたからね」
 はぁ? このバカシンジはそんなことの為に願い事を使ったわけ?
あまりのバカバカしさに呆れて物が言えないわよ。
まったく、この、ばか。
「か、カヲル君! アスカの前で言うなんて酷いよ!」
「あははは。仲良くしなよ。バイバイ」
 爽やかな笑顔を残してカヲルと呼ばれた銀髪は空へと消えていった。

 その頃。今でない時、ここでないどこか。
「エヴァシリーズ、完成していたのにゃー? って無理! 無理だから! 
 止めて長いヤリ止めて! 刺さる、奥まで刺さってATフィールド避けちゃうー! 
 二本とか入らないから! ろんぎぬす入らないから 全員でなんてもっとだめ! アーッ!
 らめぇ、食べちゃらめぇ! ぴんく色の中身みちゃらめぇ! ひっぱっちゃだめにゃ―――!!!!!!!!」
774三つの願い:2009/09/24(木) 23:22:43 ID:???

「なんか変な一日だったね」
 そう、思う出すだけでも本当に変な一日だった。
「まったくよ。そういえばシンジ。あんた他の願い事は何に使ったの? 教えなさいよ」
「えーと、アスカと綾波がエヴァに乗って怪我しませんようにって」
「それ、自分は含めてないの?」
「あ、忘れてた。あははは」
 こいつはどこまでマイペースなのよ。もう少し男らしい欲望はないわけ? 世界征服とか!
「もう一つの願いは? あんたも三つだったんでしょ!」
「そ、それは、実はさ……」
 おお、何か言い難そうな願い事を頼んだのかしら。
「買物でニンジン、買い忘れちゃってさ。出して貰った」
「あんたバカぁー!!! 貴重な願い事をなんだと思ってんのよー!!!」
「本物だとは思わなかったんだよ! そんなに言うならアスカの願いはどんなのさ!」
「あ、あたしは……//// どうだって良いでしょ!」
「ズルイよそんなの! どうせアスカだって詰まらないことに使ったくせに」
「つ、詰まらない事とは何よ! 大体あんたがそんなだからね――」

 今日も第三新東京市は平和だった。



「ヘルプ! ヘルプにゃーっ!!!!」
775三つの願い:2009/09/24(木) 23:25:42 ID:???
ネタの発端は帰り道で突如思いついた「アカマキナミアオマキナミキマキナミ〜」のフレーズ。
少しLASとしては強引な気もしますが箸休め程度に。

サブタイトルをドイツ語でやろうとしたら機種依存文字になったので断念。
グーグル独語辞書に「NeonGenesis」が「新世紀エヴァンゲリオン」と登録されてて吹いたw
776名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 23:47:18 ID:???
面白かったよ。早口言葉のもじりは吹いたw
777名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 05:30:20 ID:???
おもしろいな。所で、マリは人外なんだろうか?
778名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 06:58:39 ID:???
面白い!!GJ!!
779名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 07:55:35 ID:???
GJ!
電車内で笑ってしまったw
780名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 08:32:19 ID:???
無欲過ぎなシンジの願い事に和んだ。
それとマリの凄さを再認識した。
いじめっ子でも悪魔でもペラペラのペッチャンコになって高笑いしても違和感ないとか異常w
781名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 09:39:05 ID:???
面白いなあ。また投下してほしいです
782名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 13:13:39 ID:???
>>754
アスカがマナに勝てないようなもんか?
783名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 15:16:45 ID:???
それは素直さの問題だけだから違う
784名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 16:06:36 ID:???
>>783
まあ、そう言ってもいいけど、
「マナはアスカに勝てるキャラとして(素直であるという点も含めて)作られたキャラだから」
ということだよね。
我々が実際にマナとアスカのどちらに魅力を感じるか、ということはあんまり関係なくて。
シンジとカヲルの話もそれと同じでしょ、っていうことだと思うんだけど。
785名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 16:19:46 ID:???
マナは素直な好意を演技してるキャラなんだし、表面的な印象で勝てないのは仕方ない。
育成とかだと地の性格になってるけど。

第一印象だけなら内向的な子や攻撃的ツンデレより、爽やか君や明るい演技の方が有利なのは事実。
786名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 16:56:42 ID:???
シンジだってカヲルにスペック面で劣ってるわけじゃなくて、あくまで性格の話だもんな
787名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 17:14:50 ID:???
二次におけるシンジのそれはまた違うだろ
788名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 17:35:46 ID:???
なんとしてもシンジをおとしめようとしてるお前らって、
なんでLASやってるの?
789名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 17:36:40 ID:???
そーいうLASを書いてる人達に聞いてちょ
790名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 18:45:29 ID:???
持論だが簡単にまとめてみた

A:客観的評価:内向的だが高スペックかつ天然で家庭的なモテモテくん。
いつも人に好かれたいと思っているくせに実際に好かれていることには鈍感。

B:シンジの主観評価:気弱な低スペックのつまらない男。
いつも人に好かれたいと思っているけど上手くいかず嫌われてばかり。

C:アスカの主観評価:Aと知りながらもハッキリ自分になびかない間はBとして見下している。
欲しいけど、手に入らないのなら「Bだから欲しくない」と思い込みたい。

結論:必要以上にシンジを低く見る人達はそれだけキャラに感情移入しているとも解釈できる。
つまり世界は滅亡する!
791名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 18:49:54 ID:???
そうだね。ノストラダムスだね。
792名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 18:52:35 ID:???
二次のシンジ低スペック描写は時期的にEOEの演出あたりにだまされてるだけじゃねーの
793名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 18:53:26 ID:???
てかもういいよこの話題
794名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 19:05:50 ID:???
>>775
コメント見るまでただの早口言葉だと思っていたよ>赤真希波青真希波黄真希波なのねw
やはりカヲルは「君が何を言ってるのか〜」される立場が似合ってる。
こういうお馬鹿なノリは大好きだぜ。
795名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/25(金) 22:58:18 ID:???
アスカはマナもだがレイにも勝てない
映画でも証明されてしまった
796543:2009/09/26(土) 00:28:06 ID:???
 皆様こんばんわ。
 相変わらずの内容で続き投下いたします。
 セカンドランの上映劇場、数が半端ないですねえ。期間はどのくらいかわかり
ませんが、新劇のインパクトは素直に嬉しいですねw

 今回は短いです。そんで次で終了は予定通りと思います。



 それでは、いじけアスカや躾の出来てない子供が嫌いな人向けのNGワードは

空を見上げて

で、御願い致します。
797空を見上げて:2009/09/26(土) 00:30:19 ID:???
 *

 ホームに着いた頃になって、私は周りの目線が気になりだした。濡れ鼠の
二人を指差して、あからさまに失笑を浴びせるカップルもいる。
 無責任な視線が体中に突き刺さり、自分の全てを否定されている気がした。
 堪え切れずに、シンジの腕を強く抱きしめる。
「アスカ、大丈夫?」
「ん、だいじょぶ」
 心が折れて立て直せない。辛うじて踏みとどまっているのはシンジがいた
からだ。
 そのシンジもかなり神経質になって廻りを見回す。自分の恥ずかしさもある
のだろうけれど、横で小さくなっている私を気遣ってくれているみたいだった。

 御殿場行きの電車が静かにホームに滑り込み、電車に乗り込むとドアの脇
の席にシンジは無言で座った。
「イス…」
「なに?」
 言いかけた私を不機嫌そうにシンジが遮る。
 こんな状況じゃイスが濡れるんじゃないか……それを言葉に出来なかった。
 ドアの脇の一人分空いた所に私も腰掛ける。とてもじゃないけど廻りを見る
余裕なんてない。
 好奇心に駆られた子供がこっちに走って来て無遠慮に私とシンジを覗き込み、
母親の所に帰ると面白そうに報告している。
 ちらっと見たその母親は、連れの友人と子供に「やめなさい」とか言いつつ、
口元に失笑が浮かんでいた。
『さいあくだこんなの。もうやだ。もう消えちゃいたい……』
 今すぐ帰るとわがまま言った結果がこれだ。今更後悔しても遅かった。
 ぎゅっと握ったシンジの手の上に、涙が落ちる。シンジは無言だ。
 その母親が堪えきれずに声を出して笑った瞬間、シンジは突如立ち上がって、
私が今まで聞いたことのない激昂ぶりで叫んだ。
「笑うなぁぁ!」
 狂った獣みたいにいきり立つシンジの様に車内が凍りついた。
798空を見上げて:2009/09/26(土) 00:33:30 ID:???
 直視する勇気を持てなかった私は、必死にシンジの左腕を掴んで席に戻す。
 どすんと音を立ててシンジは席に座ったけれど、眼の中に宿る怒りは
ひとつも鎮まっていない。
「私は大丈夫だから……だから、……ね?」
 八つ当たりめいたシンジの眼光がこっちに注がれた。瞬間私は目をそらす。
 その私の態度にシンジがはっとして、引き戻した腕に絡む私の手を、自由な
方の掌でぐっと掴む。
「ごめん。大きな声だして……」
「いいよ、別に」
 凍りついた車内の空気が更に居心地を悪くしていた。
 そんな押し潰されそうな空気の中で、斜め向かいに座っていた人がこっちに
来る。
「あの、これどうぞ」
「……あ、どうも、ありがとぅ……」
「芦ノ湖で落ちたの?大変ね」
 高校生くらいの女の人が、タオルをシンジに渡してくれた。
 小柄で地味な感じの人だった。でも、眼は真っ直ぐで澄んでいて、一緒にいる
だけで、人の心を軽くする雰囲気を持っていた。
「タオルあげることないじゃないか……」
「でもケイちゃん、あの子達困ってそうだったから…」
「……そっか、タエちゃんは優しいな」
 席に戻ったさっきの女の人が、彼氏らしい男と仲良さそうに話しているのが
聞こえる。多少彼氏がべたべたしすぎな気がするけど、素直にうらやましいなと
思った。
『いいな、あんなふうになれたらいいな……』
 二人がこっちを向いたとき、シンジと頭を下げる。
 微笑み返す二人に、心の底から安堵をさせてもらった。
「いい人もいるんだね」
「うん…」
 全身ずぶぬれの二人にタオル一枚では何の解決にもならないのだけれど、
たったこれだけの親切でシンジの顔から険が消え、私の中に燻ぶる弱気の虫が
小さくなった。
799空を見上げて:2009/09/26(土) 00:35:33 ID:???

 人の優しさは、他の人に伝染するもの……

 男にのぼせ上げた女性士官が、よく自慢がてらに聞かせてくれたのをふと思い
出した。
 もらったタオルは、早速シンジが私の頭に被せる。自分ひとりで使う訳には
いかないという抗議の目線は、『これでいいんだよ』という物静かな目に撃退
された。
 そんな顔されたら、照れて直視できなくなってしまう……

 いつの間に、シンジと私の間の空気はピンク色になっている。
 タオルをくれたカップルの人たちは一駅前で降りた。通りすがりに女の人
と私は目線が絡む。タオルの向こうに、優しい目をしたその人の微笑みが
あった。自然に頬が緩み、控えめに目礼した。
 シンジは連れの男の人と同じように目で会話している。細い顎が男の人を
しぜんに追っていた。
「いい人たちね……」
「そうだね」
 あと一駅という気楽さと、電車のお客なんてどうせ二度と会う事無い人たち
だと思えるようになると、今の自分の格好なんてどうでも良くなってきた。
 肩に頭を預けると、シンジも繋いだ手に指を絡めて来てそれに答える。
 心の底から、蕩けてしまいそうな時間。

 実際都合がいいものだなと自分の事を嘲笑いながら、私は存分にそのひと時を
味わって過ごした。


つづく!
800名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/26(土) 04:49:19 ID:l9oXutl7
人のセックスを笑うなぁぁ
801名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/26(土) 12:35:14 ID:???
ぐううじょぶ!
802名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/26(土) 19:28:05 ID:???
イイですね〜続き待ってます!
803DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/27(日) 00:22:11 ID:???
>>616 続きです

朝日が眩しい。今日は快晴って天気予報でやってたっけ。
まったく神様は僕の気持ちなんておかまいなしだな。
そんな幼稚な事を考えてる間にもアスカはカバンをぷらぷらさせながら僕の二歩ぐらい先をどんどん歩いていく。
さっきの事。夢だと思いたい。
まさかアスカがあんな事すると思わなかった。人を殺そうとする事。
そして何より他人のために自分も死のうとしたこと。
本気だったんだろうか?
またいつもの様に逃げて聞かない手もある。でも、これを聞かない限り前には進めないと思う。
本気で好きになれない。
逃げちゃだめだ
「あ、アスカ」
「何よ?」
「昨日の夜、さ、あの・・・その・・・」
「何よ!はっきりしなさいよ!」
「・・・昨日の夜本当に僕の事こ、殺す気だったの?」
「・・・さぁ、わかんない」
わかんないって。本当に何考えてんだ?
「・・・でもね、あのナイフは偽物よ」
「え?」
「あれの刃の部分、ただの銀紙でまかれたチョコなのよ」
うそだろ・・・ 僕はあんな物に踊らされていたなんて。
「冗談で・・・あんな事するなんて酷いよ!一体何考えてんだよ?」
しまった。今のアスカにはきつい物だったかも。
804DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/27(日) 00:44:34 ID:???
どうしよう・・・
「・・・」
「あ、あすかごめ」
「ねぇ」
「・・・なに?」
「あんたあたしの事好きなのよね? そう言ったわよね?」
空の蒼の瞳には涙がたまっていた。真剣でどこかすがるような顔をしていた。
「う、うん」
「だめ!!ちゃんと言って!」
「・・・僕はアスカの事が好きです」
「・・・」
続く沈黙。この緊張感もうたくさんだ!
やっぱ聞かなきゃよかった。
と、いきなりアスカが手を繋いできた。笑顔だ。とっても優しくて嬉しそうな顔。
「アスカ・・・」
「だったらいいわ。今日からあたしたちは今までの関係は捨てるの。次のステップへ行くのよ!」
「は?・・・あ、うん」
次のステップって?と聞いてみようかと思ったけど、やめた。
嬉しそうで楽しそうだったから。とってもかわいい顔をしてたから。
ちょっと恥ずかしくて下をむいた。
「さ、いくわよ!」
「あの、アスカ・・・手」
「はぁ?あんた忘れたの?
ファーストに見せつけてやるんだって言ったでしょ?」
「うん。でも、恥ずかしいよ〜」
805DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/27(日) 01:07:08 ID:???
「あんたばかぁ? むしろ喜びなさい!
こーんな美女と朝から手を繋いで登校なんて、あの万年ジャージやオタクメガネには一生できない事よ?」
はぁ、我慢するしかないや。
その時はアスカが楽しそうだから良いや、なーんてバカなことを考えていた。


予想通り、教室に入っていくとみんなが僕らに注目。
当たり前だよね。昨日あんなだったのにアスカはこれ以上ない満足そうな顔で、僕は茹で蛸みたいな真っ赤な顔で手を繋いで入ってきたんだから。
席に着いた僕たちの周りにいつものメンバーが集まってきた。
「せんせ、朝からやってくれるのぉ〜」
「ホント、いゃ〜んな感じ!」
「アスカ、それじゃ碇君と仲直りしたのね! ホント心配したわよ〜」
まったく人の気持ちも知らないで。
夜の事話したら顔真っ青にして逃げてくだろうよ。
しかもアスカは満足そうな顔でうんうん頷いてるだけだし〜
「違うんだよ、これは〜」
「何が違うって〜?」
すぐさまアスカが笑顔で言ってきた。でも目が笑ってない。
「いや全く。何も違わないよ、ハハハ!」
情けないなぁ僕。
「なんだよ碇、のろけちゃって〜」
「ほんまやこいつぅ〜 うらやましいやっちゃでぇ〜」
「い、碇君///」
806DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/27(日) 01:40:03 ID:???
委員長、顔真っ赤だよぉ・・・
ふとアスカを見ると誰かを勝ち誇ったような顔で見下していた。
綾波だ。席に座って読書していたらしい。
顔を見ると・・・ よかった、いつも通り無表情だ。
なんだ、やっぱり昨日のは・・・
そう思い、視線を下に落としていくと、気付いてしまった。
拳が握られていた。綾波特有の白い肌が強く握りすぎて真っ赤になっている。
「アスカ、やめn」
キーンコーンカーンコーン。
朝のHR開始のチャイムだ。
アスカにやめろって言おうと思ったのに・・・
どうやら今の二人にはチャイムなんて聞こえないらしい。依然にらみ合っている(気のせいか綾波の口元がピクピクしているように見えた)。


綾波レイ。ファーストチルドレン。生い立ちはいっさい不明。
僕にとって最初は彼女その物が不明だった。でも放っておけなかった。不思議と惹かれる物があったから。
綾波が一番見ていた人は父さんだ。
でも、昨日の言葉本当だとしたら。今は違うの・・・かな?
それでも。そうだとしても
やらなくちゃ。


アスカなりのシナリオ通り?なのか午前中ずっと僕にべったりくっついてきた。
手を繋ぐどころでなく、腕を思いっきり組んだ状態でほとんどいた。
807名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 07:44:55 ID:???
中途半端すぎw
まあ乙
808DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/27(日) 07:44:55 ID:???
さすがに授業中は離れてたけど。
きれいな顔がいつもより近くにあるのと、胸が腕に当たる感触とでほんと、どうにかなりそうだった。
そして。
やっと昼休み。少し気分を落ち着かせなきゃ。
いつも通り屋上に向かう。昼食は必ず屋上でとっていた。
今日は時間がなかったので購買で買ったサンドウィッチだ。
相変わらず三人の興奮は収まらないらしい。
あれ?、綾波もいる・・・
「なぁセンセ?二人はどこまでいったんや?」
809DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/27(日) 07:47:30 ID:???
すいません。寝てしまったw

続きは後ほど
810名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 07:48:27 ID:qv3OpjnZ
GJ
続き待ってる
811名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 10:40:27 ID:???
>>803
> 「あれの刃の部分、ただの銀紙でまかれたチョコなのよ」

銀紙は分かるが、なんでチョコなんだww
812名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 12:40:13 ID:???
乙です!!
813名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 19:40:50 ID:???
DISTRESSさんGJです。
続きを楽しみに待ってます。
814DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/27(日) 20:07:14 ID:???
>>811 パンドラハーツっていうマンガがあるんですがそこから頂きました。
アスカがナイフ寸止めして銀紙むいて「食べる?」とかやろうとしたけど徹底的にシリアスにしました。

後、DISTRESSってのはコテハンじゃないです。一応題です。
全部読んで下されば、なんでこの題にしたのか多少は伝わると思います。
815名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 20:55:17 ID:???
つ・づ・き!つ・づ・き!
816名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 21:00:59 ID:???
アスカとシンジとレイの苦悩?
817DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/27(日) 22:35:39 ID:???
>>816 まぁ言ってしまえばそうです。ですが他にも意味は込めたつもりです。
ネタバレになりかねないんであんまり言わないでおきます。すいません。

後で続き投下できると思います。
818543:2009/09/27(日) 23:07:07 ID:???
 皆様こんばんわ。
 四の五の言わず最後投下いたします。

 淡々と日常追っかけてる系のお話苦手だったり、逆光で車とか運転
するの嫌いな人向けNGワードは

空を見上げて

で、御願いします。
819空を見上げて:2009/09/27(日) 23:09:36 ID:???
 *

「服、乾いた?」
「ん。だいぶ……」
 ホームに降りて並んでシンジと歩きながらそんな会話を交わす。
 行くときはシンジの背中ばかり見て歩いていた。
 今は話し掛けるとき、お互いに横を向いている。話すたびにはにかむ私を、
シンジはどう見ているのだろう?
 籠にカバンを放り込むと、すっかりいつもの顔に戻ったシンジがお気楽に
持ちかけてくる。
「そうだアスカ、帰って服着替えたら、自転車乗る練習しない?」
「落ち込んでる人間捕まえて更に追い込もうって事?」
「違うよ、苦手なら克服すればいいじゃないか」
 私も邪推しすぎだけど、シンジはやっぱり少し無神経だと思う。
「簡単に言ってくれるわね」
「大丈夫だよ。アスカ元々運動神経良いんだから。すぐに乗れるようになるって」
「乗った事無いんだからわかんないじゃない」
「泳ぐのもそうだけどさ、単にやった事無いだけなんじゃないかな?だから
きっと大丈夫だよ」
「う……」
 無邪気にそう言うシンジに気圧されて、返事に困りごまかすように無言で
荷台に座る。
 シンジはくすりと笑って自転車を発進させた。私、からかわれてる?
 無言の時間も、行きの道とは空気がちょっと違っていた。どちらも話す
のを急かすこともなく、無駄に構えることもない。存在を感じているだけで、
結構何を考えているのかわかってしまう。
 だから、何も喋らなくて良かった。
 小さな交差点で信号待ちをしているとき、少年野球の子供たちが通りすがりに
冷やかしながら囃し立てる。
 第三新東京市は、中学生カップルが小学生にからかわれるのが通過儀礼なのか
と思いつつ、二人でにこやかに手を振った。
820空を見上げて:2009/09/27(日) 23:11:19 ID:???
「小学生って集団になると強気なんだよなぁ」
 ぼやくシンジに呆れて諭した。
「あんたも似たようなもんじゃない。カメラとジャージで3人組になったら、
さっきの小学生と大差ないわよ」
「え?そうなの?」
「……自覚なかったのね。あ、青」
「おっとっと」
 慌てて走り出す自転車に、不思議と余裕があった。
 私は今頃になってサンバイザーを湖に落としてしまったのを気付きながら、
シンジの腰に回した腕をきゅっと締め付けた。
 シンジは私の行動にペダルのピッチを少し緩めて反応する。
 低くなりはじめた太陽の軌道が、二人の視界を度々奪う。
『面白いもんだなあ……』
 見知らぬ人がタオルをくれた。こうまで気の持ちようが変わった理由は本当に
ただそれだけだった。
 他愛もないひとかけらの善意で、人の心は簡単に変わってしまった。
 素直な言葉や気持ちというのは、結構人に伝わりやすいものなのだろう。
 要は受け取る側の問題なんだ。私はきっと素直でもなく、可愛げもない対応が
多いと思う。
 シンジはきっと、下心や打算とか抜きにして私に色々言ったり何かしたりして
くれてるのだと思う。
 それならば、私が素直に答えればそれで済んでしまう。たぶん、そういうこと
なんだろう。
「その、ぁああと、えと、自転車!乗れるようになるまで……ちゃんと教えてよ」
「もちろん」
「乗ってるときに手、離さないでよ」
「大丈夫だよ。絶対離さないから」
 思ったとおりの反応で、私は急に心が軽くなった気がした。
 坂道が急になり、シンジが腰を浮かす。
「お、降りよっか?」
「大……丈夫!」
821空を見上げて:2009/09/27(日) 23:15:34 ID:???
 急な道を登りきり、家並が途切れて真横に風が吹きぬけた。
 風に髪が揺れて、私の方も随分ずぶ濡れの状況から改善したみたいだ。

 筋雲があちこちに空を覆い、淡い青色と白色が空をまだらに染めている。
 曇りがちの空に反射光が弱まるのに相俟って、風が湿り気を帯びてきて
いた。広い空地を横切るときに、むせるような草の匂いがざわめきと共に
通り過ぎる。
『よし、同じ練習するにしても、目標がなきゃ張り合いがないわよね!』
 あの角をすぎたらだとか、次に赤い車が通り過ぎたらだとか理由付け
しながら、そんな事を思いついて数分がすぎる。
 もうすぐ家だという焦りばかり先行しながら、勇気を出して目標を言葉に
した。
「シンジ、自転車にっ!の、乗れるようになったら一緒にデートしてよ」
「いいけど、どこまで行くの?」
 こっちの勇気や余裕のなさに気付きもせず、シンジは平静に聞いてくる。
『鈍感!無粋!朴念仁!』
 頭の中で散々詰ったけれど、デートオッケーの言葉で私は完全に舞い
上がっていた。
「えぇとその、桃源台で、あ、そう、船!船に乗るの」
「またボート?アスカ怖くないの?」
「ぼ、ボートじゃなくって、あそこから観光船出てるの!」
「へぇー、て言うか、アスカなんでそんなに詳しいの?」
「え?いぃやぁあのその、に、日本に来たら行こうと思って、色々調べて
たのよ!」
「あ、そうなんだ」
「そーよ、私には日本は外国なんだし」
「んー、そういや僕も観光船とか乗ったことないし、丁度いいや」
『言えた!アスカえらい!よくやった!』
822空を見上げて:2009/09/27(日) 23:19:00 ID:???
 心の中でガッツポーズをしながら、シンジも楽しみにしてくれてるみたいな
態度が私を更に溶かしてしまった。
 私の顔が、直接シンジに見えなくて本当に良かった。
 色々素直になろうとは思うけど、てれてれしてる顔を見られるのはやっぱり
恥ずかしい。

 家まで帰り着いて、駐輪場まで二人乗りで乗りつける。
 私が自転車から降りてお礼を言うと、いつもの笑顔でどういたしましてと言い
ながら、シンジは自転車の鍵をかける。
 マンションの入り口まで歩きながら、貰ったタオルを返す方法がないか、二人で
色々考えてみた。当たり前だけどそんな方法はないのがちょっと切ない。
 シンジがメールボックスを覗きに行っている間に私はエレベーターを呼ぶ。
 エレベーターを待っている間、別にさっきまでと変わらないのに、二人きりと
言うのをやけに意識してしまう。饒舌だったシンジが無言になるということは、
多分シンジも何か意識しているのだろう。
823空を見上げて:2009/09/27(日) 23:19:55 ID:???
「そうそう、今日のお礼、しとかなきゃねえ……」
「お礼?何の?」
「何って、芦ノ湖で助けてくれたでしょ?」
「あぁ、そんなのいいよ」
 そう言うシンジの顔には、本当に屈託がない。
「アンタは良くても私の気が済まないの」
「それじゃあアスカの好きなときにしてくれればいいよ。さすがに今すぐじゃ
無理でしょ?」
 いや、多分いつでも返せる。シンジが喜ぶかどうかは別として。
「……ど」
「え?なに?」
「別に、今すぐでも出来ると思うけど」
 エレベーターが到着してドアが開いた。
「そうなの?へぇ、なんだろ」
 シンジは端からそんなことが出来る訳無いと思っているみたいだった。
 エレベーターに乗り込み、行き先階のボタンを押す。ドアが閉じて、かごは
ゆっくり動き始めた。
「じゃ、ちょっと目瞑ってて」
「うん」
「少ししゃがんで」
「うん」
 さすがに殴られたりとかはないだろうと思っているのか、シンジはとても
素直だ。その油断しまくりな横顔を眺めながら、気付かれないように深呼吸する。
 横目で階数表示の数字が大きくなるのを眺め、止まりそうな所でそっと
シンジの耳に囁いた。
824空を見上げて:2009/09/27(日) 23:23:56 ID:???
「ありがとう」
「うん、……へ?」
 シンジのほっぺたの感触を唇に刻み込む。
 名残惜しくはあったけど、身を翻して1階のボタンを押し、閉まり始めた
ドアをすり抜けて廊下に出た。
 何が起こったか解らずに、ほっぺを手で押さえているシンジを取り残し、
エレベーターのドアは閉じる。

 浮かれ気分で廊下を歩いていると、雲間から出てきた太陽が真横から光線を
浴びせてきた。
 少し眩んだ目を、腕をかざして遮る。
 腕の向こうの空は、そろそろ西の果てをオレンジと青に染める。 
 二色の空の間を、雲が影を引きながら散らばっていた。

「ちゃんとシンジの顔見れるのかな、私」
 玄関ドアが開くのを眺めながら、ふとそんな事を考えた。
 少し自信がなかったけど、ま、多分なるようになるだろう。
 シンジがいつも気を使ってくれるように、私が少しでもそうすればいいんだ。

『なんだ、それだけのことじゃないか……』 
 今までやったこともないくせに、そうやって強がる自分に苦笑しつつ、私は家の中に
入った。


おしまい
825543:2009/09/27(日) 23:25:42 ID:???
後記

 やっと終わりました。途中感想レス頂いた皆様、並びに最後までお付き合い
頂いた皆様ありがとうございました!
 自転車乗れないだとか泳げないだとかいう、ありえない設定をやったのは、
『訓練や演習メニューで外されちゃって、時間があればまあやろうか?』って
レベルの、優先度低そうな事項は先送りされているうちに日本に来ちゃったん
では?という思い付きからでした。
 思った以上に書いているうちにアスカがヘタレてしまい、やり過ぎ感も
否めず……。
 ちなみに芦ノ湖は行った事ないので、貸しボートとかあるかどうか全然知り
まへんw

 次に書くことあれば、今度はあれこれ切り口変えて見たいなあと思います。
 それでは皆様、チャオ!

おまけ:小ネタの小道具
アスカが衝動買いした自転車
ttp://www.raleigh.jp/Image/09_image/catalog/02_complete/complete_09/5303RFL-R420_s.jpg
アスカがなくしたサンバイザー
ttp://www.shop.carp.co.jp/img/2016-2.gif
826名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 23:51:48 ID:???
GJ〜!
Cの入った赤いサンバイザーって、鯉だったかー( ´∀`)
827名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/28(月) 00:04:02 ID:???
GJです!
828名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/28(月) 00:13:13 ID:???
つかシンジも泳げないよなw
829名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/28(月) 00:25:34 ID:???
シンジはそもそも水に浮かない。
830名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/28(月) 01:22:49 ID:???
泳げない人間がスキューバの練習するかよw
831名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/28(月) 01:26:09 ID:???
何かでシンジの台詞で人は浮くように出来てないってのが
あった気がしたんだが
二次創作が別のアニメキャラの台詞だったかな
832名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/28(月) 01:26:43 ID:???
電車シーンで言ってるよ<シンジ
833名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/28(月) 13:39:05 ID:???
まあ、破でついた、にわかファンはこんなもんだろう。
自分を表現することに夢中で、作品を研究することを全くしない。
だからキャラもズレるし、リアリティがなくなる。
何より、エヴァっぽくない。
834名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/28(月) 22:18:14 ID:???
厳しいな―
まあ、ちょっとキャラ変わりすぎとは思ったけどw
835DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/29(火) 00:50:35 ID:???
>>808 続きです


「まさか、碇、二人であんな事やこんな事を・・・」
「い、碇君!!だめよそんなの!その・・・まだ中学生だしぃ〜」
ちょっと・・・ まだ僕何も言ってないよぉ〜
でも昨日の夜のあれは・・・
そんな思いが頭の中をよぎった。
「べべべ、つに何もなよ!」
しまった・・・ しくじった。
顔が熱くなっていくのがわかる。
すかさずアスカが言う。
「ちょっと聞いてよ〜 シンジったら年頃のせいかあたしの事、見たり触ったりするのよぉ〜♪」
「えぇ〜!!!!」
見事に三人の声がかぶった。
アスカ。フォローするのかと思ったらそんな真っ赤な嘘をぬけぬけと・・・
あ、綾波は?
よかった・・・ 今度は大丈夫そうだ。こんなのお見通しなのかな?
あれ、弁当持ってる。しかも二つ・・・?
「碇君」
「は、はい」
「ちょっとこっちに来て」
アスカは怒濤の質問攻めに得意気に答えている。
だいぶ距離をおいて僕たちの様子を見ていた綾波に近寄っていった。
「なんかいろいろごめんね、綾波」
「食べて」
そう一言言って弁当を差し出してきた。少し顔が赤い。
ダメだ。今受け取ったらまたアスカが・・・
836DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/29(火) 01:13:18 ID:???
「あはは、もう今日のお昼買っちゃったんだ・・・よね」
そう言って顔の横にサンドウィッチをかかげてみる。
「食べて」
ルビーのような赤い瞳が僕をのぞきこむ。アスカのサファイアとはまるで逆。
こんな顔の綾波、見たこと無い。
瞳は少し潤んでいて、朝のアスカに負けず劣らず必死そうな顔をしている。
そんな・・・ こんな顔されて断るなんて、僕にはできないよ。
「・・・ありがと」
それだけ言って弁当を受け取る。
途端に綾波の表情が変わった。
あ、この顔・・・ あの時と同じだ。ヤシマ作戦・・・だっけ?
「いただきます」
なるべく無表情を保ちながら弁当の蓋を開ける。
感想は、一言で言えば大胆。
弁当の左上段は僕の教えた野菜炒め、左下段はサラダで埋まっていた。
右側にはご飯が盛られていて、真ん中にミニトマトがちょこんと置かれていた。
いかにも綾波っぽい・・・かな?
「なんて言うか・・・独創的なお弁当だね。全部綾波が作ったの?」
「えぇ。食べてみて」
「うん」
野菜炒めを口に運ぶ。
・・・うん、野菜の味がする。
「なんて言うか・・・ 素材の味を生かした味付けだね」
「そう?」
綾波の顔の赤みが増した。
837DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/29(火) 01:31:09 ID:???
間接的に味が薄いって伝えようとしたのに。誉められたと思ったのかな?
「それで・・・ おいしい、の?」
「う、うーん。そうだね。健康的な感じで」
ふと顔を上げるとアスカが仁王立ちしていた。
まずい・・・ どうしよう。
「なんかね、綾波がお弁当作ってきてくれたんだ。アスカも食べなよ?」
ダメだ。ぜんぜんフォローになってない。
と、いきなりアスカが耳を引っ張ってきた。
「来て」
「アスカ、痛いよ!!」
「・・・」
何も言わずに階段の方へ僕を引っ張っていく。
「あ、碇君!」
「綾波、放課後ここにいて!」
「えぇ、でも何故?」
アスカがますます力を強くした。
どこ連れてくんだろ?
「シンジもとうとう漢になったんやなぁ〜」
「実際うらやましいよ、いかりぃ〜」
「ちょっと二人とも!そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
838名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/29(火) 01:56:51 ID:???
毎回思うんだが書きながら投下してるのかな?
839DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/29(火) 02:04:09 ID:???
今はほとんど物置として使われている空き教室に着いた。
中に入るなりアスカは僕の事を思いっきり壁に突き飛ばしてきた。
「ちょ、アスカ、説明させてよ!!」
「嘘つき」
「アスカ、聞いてよ!!」
「偽善者」
やばい。目が死んでる。無表情なのが余計怖い。
「・・・綾波が、あの綾波が僕なんかのために弁当作ってきてくれたんだよ?
しかも泣きそうな顔していってくるんだ。・・・だから受け取るしかなかったんだよ!」
「だから偽善者って言ってるのよぉ!!」
いきなりアスカが大声をあげた。
「・・・何がだよ?」
「あいつを悲しませない為にとか言って・・・ 自分の気持ちを尊重させただけでしょ?
嬉しかったんでしょ? 自分に好意を持ってくれてることが」
サファイアの瞳からはボロボロと涙がこぼれ落ちていた。
アスカに言われて気づいてしまった。好意を持たれたことが確かに嬉しかった。
アスカだけを見るって決めたのに・・・
「・・・アスカ、今日の放課後、けじめつけてくるよ」
「・・・ホントに?」
「うん」
「次なんかあったら、どういうことになるかわからないわよ?」
「わかってるよ」
「それと」
「何?」
840DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/29(火) 02:07:35 ID:???
「次『僕なんか』とか言ったら、殺すから」
「・・・・うん。ごめん」
僕らはやりきれない気持ちで教室へ戻っていった。
841DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/09/29(火) 02:12:37 ID:???
今回はここまでです。

>>838 書きながらではないです。
結構忙しいもんで、投下する周期や時間帯がバラバラになってしまいます。
すいません。
842名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/29(火) 08:50:28 ID:???
>>841
そかそか。失礼した。そして乙乙
まぁリアルタイムで投下遭遇しても気長に待つよw
続き待ってるぜっ
にしてもアスカ狂気染みてるなw
843名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/29(火) 21:42:29 ID:???
今、読み直していて508のシンジの
あれだけ傷作ってそれか・・・っていう
心の声に吹いた
シンジ最低だwww
844名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/30(水) 10:52:51 ID:???
>>825
GJでした!弱気なアスカが可愛かったですね。
笑うなぁ!って叫んだ男らしさと、アスカの微妙なアピールに全く気付かない鈍感さ…シンジもめちゃ可愛いw
少し切ない雰囲気からポカポカな展開になって良かったです。
>>841
病んでますね〜。最も嫉妬が似合うキャラですよねアスカって。
レイが泣く展開がくるのかな…少し悲しい。
845名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/01(木) 00:17:50 ID:???
>>825
gj
846名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/01(木) 18:26:36 ID:???
投下来ないね
847名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/01(木) 20:12:49 ID:???
稲荷町
848名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/02(金) 17:13:26 ID:???
投下町sage
849GREEN DAYS:2009/10/02(金) 20:45:01 ID:???
いろいろ細かい点など目をつぶっていただけるとありがたいです。
衛生的に汚い点などがありますので、許せない方はスルーを。
850GREEN DAYS:2009/10/02(金) 20:46:04 ID:???
ふと我にかえった。
この状況はなんなんだ?
アスカの指を舐めている僕。
口の中に広がる鉄の味。

確かに、最近自分でもなんだか違和感があるなとは思ってたんだ。
教科書で指を切ったり、体育ですりむいたり、エヴァの戦いでケガをしても、傷の治りが早い気がしてた。
それに、なんだかいろいろなものが舐めたくてたまらなくて。
動物に戻ってるみたいで心配だったんだけど。
僕は一体どうしちゃったんだろう?

だから、アスカが(大変珍しく!)料理を手伝ってくれ、
包丁とにらみあいながら野菜と格闘している最中に、
「いたっ!」
って声が聞こえてきた瞬間、
何も考えず彼女の指を手にとり、口に運んでいた。

(しまった!)
と思っても後の祭り。

赤面するアスカ。
はっと我に返り、動揺する僕。

口の中にはアスカの体液。
851GREEN DAYS:2009/10/02(金) 20:47:27 ID:???
「なっ何するのよバカシンジ!!………あれ?」
手をひっこめたアスカがつぶやく。
「傷が消えた…。もう痛くないし。なんで?さっき切ったとこ自分でも見たし、血もでてたのに!」
アスカが僕に手のひらをかざす。
「ほら!」
どこにも傷痕はない。

「よかったね、手に傷痕が残らなくて」
「そういう問題じゃなくて!シンジ何かした?」
「何かって、その、舐めただけ、だけど」
そう言った後、二人で赤面する。

「確かに舐められた時、熱い感じがしたのよね…。なんでだろ。そういえば、最近シンジのケガ治り早くない?」
「僕も不思議だったんだよね。アスカも気づいてた?」
「あんた、自分のケガ、舐めた?」
「…覚えてないけど、多分」
「まさかね…。治りが早くなったのって、あんたがLCLに溶けてからよね」

アスカって記憶力いいなあ、と僕は聞きながら感心していた。
852GREEN DAYS:2009/10/02(金) 20:49:18 ID:???
もっかいリツコに検査してもらった方がいいわよ!
とアスカがすすめるので、僕はネルフに学校帰りに寄ることにする。

リツコさんの部屋を訪ね、理由を話すと、リツコさんは興味深そうに検査を始めた。

検査結果がでると、リツコさんはしばらく黙ってデータを見つめ、考えている様子だった。
「なるほどね…」
と、独り言のようにつぶやく。
僕はその様子をぼけっと見ていた。
「碇シンジくん」
「はい」
「初号機に溶けてた時の記憶は、ある?」
「あんまり…覚えていません」
「そう」
リツコさんは僕の目を覗き込む。

「LCLは生命のスープみたいものなのよ、簡単に言ってしまえば。
あなたは一時的に原子レベルまで分解され、LCLと混合し、また細胞に組み立てられた。
その時に私たち人間の理屈ではわからないことが起こり得たのかもしれないわ」
「はあ…」
なんだか難しくなってきたな。
853GREEN DAYS:2009/10/02(金) 20:50:30 ID:???
「傷の治りが早いって言ってたわね。特に唾液と触れた時に。
あなたの唾液の成分を調べました。
やはり、ある成分値の量が特化していたわ。
唾液の中には、傷を殺菌したり、傷を治したりする成分が入っているの。
リゾチームや、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリン、免疫グロブリン、上皮細胞成長因子などのことね。
あなたの唾液には、それらの成分が異常に多かったと検査結果で判明したわ」

その後、何故そうなったか考えられうる可能性などが説明されたが、
僕の中学校レベルの頭では追いついていけなかった。

どうやら、僕の唾液は傷を治すことができるらしい。
だからいろいろ舐めたくなるのは本能的なものなのかな…。


僕の検査結果は、僕本人が家に帰るより先に到着していた。
到着するやいなや、ミサトさんの
「シンちゃんすごいじゃなーい!今度ケガした時よろしくー!」
という声がお出迎え。
「ミサトなんか舐めちゃだめよ!色んなとこ舐めさせるに決まってるんだから!」
などとアスカと二人で盛り上がっていた。

そういうわけで、僕はRPGでいう回復系の役まで手に入れた。
こういうのって普通女の子の役が多いんじゃないのかなあ。
854GREEN DAYS:2009/10/02(金) 20:51:42 ID:???
僕はそんなこんなで学校でもネルフでも引っ張りだこだった。
同級生の女の子の脚を舐めるのが、僕にとって一番緊張するものだった。
ネルフでは治療要員として、しょっちゅう呼ばれるようになった。
さすがに、とても舐めれない場所などは基本的にお断りしたが。
みんな、舐められるのっていやじゃないの?


だんだん治すという感覚がわかっていく。
舌先に感じる熱さ。
瞬く間に小さくなっていく傷を感じる。


ただ、最近は誰かを癒やした日の夜に、ぐったり疲れを感じるようになっていた。
そういう夜は泥のように眠りについた。
僕は学生と、エヴァのパイロットと、回復系の3足のわらじを履く生活でへとへとだった。

でも、僕にしかできない、と言われるとやる気がでた。
誰かに必要とされる喜び。

しかし決して、アスカはケガをしても僕に治して欲しいと頼んでくることはなかった。
855GREEN DAYS:2009/10/02(金) 20:53:00 ID:???
ある日、家に帰ってダイニングテーブルで英語の宿題をしていると、お風呂上りのアスカがやってきた。
「宿題なんてやってんの?真面目ねー」

うあ。いい匂いがする。

「アスカは終わったの?」
「英語の訳なんて、その時見て訳せばいいから必要ないわ」
「しゃべれる人がうらやましいよ…」
「で?何訳してんの?へーThe Beatlesの歌詞か。こんなの教科書に載ってたんだ」
そういうとアスカはその曲を歌った。
その曲は愛の手紙の歌だった。
歌詞の最後の『I love you』を歌い終わると、アスカは思い出したように僕に言った。

「そういえば、夏目漱石は『I love you』を『あなたといると月がキレイに見えます』と訳したって、何かで読んだわ」
「夏目漱石って吾輩は猫であるを書いた人だよね?さすが作家だね」
「その方が気持ちが伝わるからって。なんか印象的よね」

その後、アスカは僕の真向かいに座り、宿題を手伝ってくれるわけでもなく、
僕が訳していくノートをただひたすら眺めながら髪を拭いていた。
インターフェイスをつけず、髪をおろしていると少し感じが変わる気がする。
いつもと違って色っぽく感じるには髪が濡れているせいだろうか?
ふと、アスカの頬に気づく。

擦り傷?血がにじんでいる。
戦ってる時にでもできたのかな。
856GREEN DAYS:2009/10/02(金) 20:54:02 ID:???
「アスカほっぺた、ケガしてる。治してあげるよ」
「いいわよ、別に。たいしたことないから」
「でも、女の子の顔なんだから痕が残るといけないし」
「シンジは余計な体力使わなくていいわよ」
「少しは頼ってよ。僕に治させてよ」

僕は立ち上がり、アスカのそばに近づく。

「いいってば!」
そう言って逃げるアスカを追いかけているうちに、壁際まで追いつめていた。
手首を抑え抵抗できないようにする。
細い手首。女の子ってこんなに細いんだ。
アスカの何も言わず蒼い眼で僕を見つめている。
どうして僕はここまでやってしまったのか。
…ここまできたなら。
キスをしてやろうかぎりぎりまで迷ってやめた。
代わりに舌先で傷を味わう。
「んっ」
アスカがぴくっと反応した。
熱い感触。

「…傷、治ったよ」
僕は汗ばんでいた掌を握りなおした。
アスカは傷があった場所を指先でそっと触れながら、長い睫を伏せてつぶやいた。
「…他の女を舐めた口であたしに触れないで」


アスカを舐めたのはこれが2度目だった。



続きます。
857名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/02(金) 20:55:52 ID:???
GJ!!!
ぺろぺろ
858名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/02(金) 21:18:47 ID:???
おおGJ!
もっと過激なペロペロになりそうなら、エロパロに投下して欲しい
859名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/02(金) 21:28:33 ID:4ybBBFQ5
非18禁マイナーなギャルゲーSS コンペスレ
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gal/1253782415/1-100

なぜ 下の作品の二次創作が少ないのか?
SS作家様たちに 下の作品 SSを書いてくれといって 頼みたいです。

1. 初恋ばれんたいん スペシャル
初恋ばれんたいん スペシャル PS版は あまりのテンポの悪さ,ロードは遅い(パラメーターが上がる度に、
いちいち読み込みに行くらしい・・・)のせいで、悪評が集中しました。ですが 初恋ばれんたいん スペシャル
PC版は テンポ,ロード問題が改善して 快適です。 (初恋ばれんたいん スペシャル PC版 プレイをお勧めします!)
初恋ばれんたいん スペシャルは ゲームシステム的にはどうしようもない欠陥品だけど。
初恋ばれんたいん スペシャル のキャラ設定とか、イベント、ストーリーに素晴らしいだけに
SSがないのが とても惜しいと思います。

2. エーベルージュ
科学と魔法が共存する異世界を舞台にしたトリフェルズ魔法学園の初等部に入学するところからスタートする。
前半は初等部で2年間、後半は高等部で3年間の学園生活を送り卒業するまでとなる。
(音声、イベントが追加された PS,SS版 プレイをおすすめします。) 同じワーランドシリーズなのに
ファンタスティックフォーチュンSSは多いのに 似ている 魔法学院物なのに ネギま、ゼロの使い魔 SSは多いのに
エーベルージュのSSがほとんどありませんでした。

3. センチメンタルグラフティ2
センチメンタルグラフティ1のSSは多いのにセンチメンタルグラフティ2のSSがほとんどありませんでした。
前作『センチメンタルグラフティ1』の主人公が交通事故で死亡したという設定で
センチメンタルグラフティ2の主人公と前作 センチメンタルグラフティ1の12人のヒロインたちとの感動的な話です
前作(センチメンタルグラフティ1)がなければ センチメンタルグラフティ2は『ONE~輝く季節へ~』の茜シナリオを
を軽くしのぐ名作なのではないかと思っております。 (システムはクソ、シナリオ回想モードプレイをおすすめします。)
860名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/02(金) 21:51:57 ID:???
DISTRESSさん、ヤンデレ式波の続きまだですか?
861名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/02(金) 22:21:32 ID:???
>>856
GJ!
>「…他の女を舐めた口であたしに触れないで」
これ超ぐっときた!続きワクテカ
862名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/02(金) 22:51:26 ID:???
prprwktk
863名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/02(金) 23:28:02 ID:???
舐めんなよ!
ペロペロ
864名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/02(金) 23:29:16 ID:???
>>856
乙 設定が面白い!
865名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/03(土) 19:24:30 ID:???
ぬぬぬ…
ぺろぺろ^^
866名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/03(土) 20:17:21 ID:???
ペロぺーロ
867名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/03(土) 20:21:03 ID:???
>>860 DISTRESSってコテハンじゃないって言ってたろww

と言いつつ続き期待(^^;)
868名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/03(土) 21:15:56 ID:???
苦悩さんだペロ
869名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/03(土) 23:08:00 ID:???
ペロペロとDISTRESSの続きはまだですか・・・
870maTsu:2009/10/03(土) 23:54:04 ID:???
投下します

みなさん、maTsuをNGワードに
871名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/03(土) 23:54:10 ID:???
ハァ〜
レロレーロ
872名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 00:27:14 ID:l5Relumt
ふぅや入れ替わりはどこへ消えたんだ
873maTsu:2009/10/04(日) 00:34:22 ID:???
自分が嫌いだった。
他人を傷つけてしまう自分、素直になれない自分、弱い自分が。
でも、それでいいと思ってた。
私の、精一杯の強がりだ。

「アスカ?」

聞き慣れた声がした。
ふと顔をあげると、帰り支度を終えたシンジがいた。

「帰ろうか。」
「・・そうね、帰りましょ。」




874maTsu:2009/10/04(日) 00:35:28 ID:???
いつもの道をいつものように二人で歩く。この時間は、嫌いじゃない。
むしろ、心待ちにしてる自分がいた。

「アスカはさぁ。」

話の途中でシンジが言った。

「アスカは、笑ってなきゃだめだよ。暗い顔、悲しい顔したらダメ。」
「何よ急に・・私はそんな」

シンジは私の顔をしばらく見つめた後、クスッと笑って

「なんてね。ただ言いたかっただけ。」
「・・バカ?」

シンジは、いつもこう。私が求めている言葉を、求めている時に言ってくれる。
まるで、私の事を全部分かってるみたいに。
好き。大好き。すごく好き。ホントはすごく言いたいのに、私にはそんな勇気もない。

「アスカ」
「?」
「・・手・・つないでいい?」
875名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 00:43:09 ID:???
書き溜めてないの?
876名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 00:49:11 ID:???
出オチ臭い


つーかみんな投下するなら構想とオチは考えて投下してほしい
一体いくつ放置されてんだよ
877名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 00:57:44 ID:???
続き待ち
878maTsu:2009/10/04(日) 01:02:08 ID:???
「・・・イヤ」

シンジはふふっと笑いながら半ば強引に私の右手を掴んだ。
まるで私がそう言うのを分かってたみたいに。

「エッチスケベバカシンジ。」
「そんなの言われ慣れてるよ。」
「・・誰かに見られたらどうすんのよ。」

シンジは少し考え込んだようなそぶりを見せながら、
「まあ、その時はその時」と言った。

私は、自分の顔がにやけそうなるのを堪えながら、
「相変わらず何も考えてないのね」と言った。

シンジと一緒にいるときだけは、私は自分を知ることができる。
今まで見えなかったもの、見ようとしなかったものを見ることができるのだ。
だから、思った。もう少し、こいつと一緒に歩いてみようと。

私はシンジの手を少し強く握った。   (END)


879名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 01:02:41 ID:???
長編にならないなら書き溜めてから投稿してほしい
880maTsu:2009/10/04(日) 01:06:26 ID:???
>>879
ごめんなさい。次から努力します。
881名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 01:13:31 ID:???
>>880
でも、書いてくれて嬉しいよ。
また次もお願いします。
882名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 01:18:31 ID:???
maTsuさん良かったです。
またがんばってください。

まぁ、兄さん落ち着いてくださいな。

883名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 01:24:57 ID:???
シンジとミサトさんが同じ職場で
働いてて、シンジにアスカから電話が
掛って来て その会話を職場全員と
ゲンドーまで盗聴してた話を 又読みたい
んですけど 作者さんの心当りが有る方
居ませんか?
確か アスカが子供を作ろうって言って
シンジにゲンドーが「◯◯がいい」って電話を掛けて来る話しだったと思うんですけど 宜しくお願いします
884名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 02:13:54 ID:???
|\_/ ̄ ̄\_/|
\_|  ▼ ▼ |_/ 
   \  皿 /   で、結局N3はこねーのかよ
    ( つ旦O   
    と_)_)
885名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 02:37:13 ID:???
>>883
ここできく質問ではないけど
落ちLAS投下の方にあるパッチンさんの作品だね
886猫シンジ:2009/10/04(日) 07:50:45 ID:???
>>673の続き

「使徒が攻めて来たばかりだってのに呑気なもんね」
 夏祭りの会場は第三新東京市第五緑地化広場、通称ラミエル公園。
ジオフロントの真上に出来たばかりの公園は夜店とお客で埋まっていた。
アスカも綾波も人出の多さに少し戸惑っているみたいだ。
人込みは苦手なのかな。僕も苦手だけど。
流石に大人が多いけど子供たちの姿もチラホラ。
揃いも揃ってネルフ浴衣を着ていて、こっそりアスカが胸を撫で下ろしていたのが感じられた。
ネルフで支給でもしてるのかな。この浴衣。
「さすがに人が多いわね。はぐれたらあのモニュメントで待ち合わせ、それでいい?」
「分かったわ。盾の前ね」
 この公園の中心には記念碑のように溶けかけた巨大な盾の破片が突き刺さっているんだ。
平和を守るという公園のシンボルらしい。
ところではぐれた時は携帯電話で連絡を取り合った方が良いんじゃないかな?
「シジ、あんたは分かったの? 返事は?」
 ああ、僕は携帯電話を持ってなかったね。納得。

 夜店はざっと見回しただけでも定番所が揃っている。
さすがネルフ主催。きっとミサトさんが仕切っているんだろう。
わたあめ、りんご飴、ヤキソバ、焼きとうもろこし、タコ焼き、イカ焼き、お好み焼き。
食べ物ばかり目に付くのは猫の嗅覚が敏感すぎるのがいけない。
他にも金魚すくい、お面、射的、ヨーヨー釣り、型抜き、当てクジなどなど。
うーん。どれから行こうか迷うな。
アスカと綾波も目移りしているのか、どうして良いのか分からないのかキョロキョロしている。
そういえば二人ともお祭りは初めてだったっけ。
こういう時に案内にしてあげられれば僕の株も少しは上がったんだけどな。
でも手探りで楽しさを見つけるのも新鮮でいいと思うよ。
887猫シンジ:2009/10/04(日) 07:51:36 ID:???

 まず手始めは夏祭りの定番カキ氷。
今は一年中暑いから地方独自のカキ氷が生まれていて、屋台には色々なカキ氷が揃っている。
折角だから珍しいのを食べたいところだね。
ちなみにミサトさんの好みは「黒蜜ビール金時」という名前だけで大惨事が予想できる代物だ。
「あたし赤福氷をイチゴ乗せで!」
「青ウメ乗せ白くま、練乳抜きで」
 二人とも伝統的な渋いヤツに奇抜なトッピングだな。見た目だけで選んだ気もするけど。
うん、スプーンに特盛りで食べていくと―――
「はうぅっ……これは、なに!?」
「かーっ、キーンと来るわー! 優等生、あんたのも少し頂戴。あたしのも分けたげるから」
「ええ、いいわよ。はい、碇君も」
「はいシジ、あーん」
 あーん。くーっ、頭にキーンと、でもこれがいいー。

「ん、これは!!」
 続いて金魚掬いの前でアスカがキラーンっと目を輝かせた。金魚なのに赤いからだね。
でも何で僕と金魚を交互に見て悩むのさ?
ああ、僕を野良猫と一緒にしないで欲しいな。
金魚に悪戯なんてしないから安心して掬うがいいさ。
「駄目……生きてるから」
「べ、別にシジのデザートに良いかなー、なーんて少ししか考えてないわよ!」
 少しってアスカ、中身が僕だって忘れてるんじゃないか。
こういうのって罪悪感なしの天然で出されるのが一番恐いよ。
生きてる金魚をそのまま食べるのは生理的に無理。
料理しろって言われたら、出来ちゃうんだろうけどね。偽善かな。
888猫シンジ:2009/10/04(日) 07:53:37 ID:???

「いよっ、お嬢さんたち、その浴衣似合ってるね。イカ焼き、食べてくかい?」
 適当に歩き回っていると夜店から軽そうな声が掛った。
法被を着たロン毛の兄ちゃんだ。客引き、いやそれにしては声に聞き覚えがある。
思い出したよ。ネルフ発令所オペレーターの一人だ。
確か名前は青……青使徒さんだ。『パターン青、使徒です』の人。
「あ、えーと、その……こんばんはー」
「……二尉、何故こんな所に?」
 二人とも名前が出てこなかったみたい。駄目だよ人の名前くらいちゃんと覚えなきゃ。
でも何でイカ焼きなんて売ってるんだろう。
「夜店の半分くらいは各部署から出してるんだよ。はい、熱いから気をつけて」
「いい匂い。だけどこれって何?」
「小田原港で取れたばかりの新鮮なイカを炭火とタレで焼いたのさ。酒の肴にもピッタリだよ」
 外国人のアスカはもちろん、綾波もイカなんて見たことなかったみたい。
おっかなビックリ食べてみると驚いた顔で『美味しい』と口にした。
それを見て青使徒さんは『だろうだろう』と満足顔で接客に戻っていった。
アツアツを外で食べるのがいいんだよな。ああ、いい匂い。美味しそう。
「こら、あんたは熱いの駄目でしょーが。フーフーしてあげるから少し待ちなさいよ」
 ありがとうアスカ。もぐもぐ、もぐもぐ……
「あは、食べた食べた。美味しい?」
 ごめん、メチャクチャ塩辛い。猫の味覚にはタレの塩味が強すぎるみたいだ。
凄く美味しそうな匂いなのに何か騙されたような気分。
でも出された分は残さず食べる。はぐはぐ……うぷ、ごちそうさま。
「私の分も、フーフーする?」
 ありがとう。だけどもうお腹一杯。
889猫シンジ:2009/10/04(日) 07:59:34 ID:???

 次はお面屋さんをしている日向さんを発見。
どうやら子供にはジェットアローンのお面が大人気みたい。続いて零号機の青い方。
他にも第三、第四、他使徒が勢ぞろいに「SEELE 01」の黒い板みたいなのまで並んでる。
相変わらずネルフのセンスは理解できない。
「ばぁっ!」
「ぎにゃっ!」
 目の前に第三使徒、のお面をつけた綾波が顔を出した。
嬉しそうに笑わないでよ、心臓が止まるかと思ったじゃないか。
綾波のセンスも理解できない。こういう時、やはり綾波はネルフで育ったんだなと実感する。
「何で弐号機が全然売れてなくて零号機が大人気なのよ!」
「小さい男の子は青い方が好きみたいで。弐号機ならサービスするから持ってくかい?」
 戦隊物以外だと赤は女の子の色ってイメージがあるらしいね。実は僕もそう思う。
ちなみに紫色の初号機は一番売れてないみたいだ。安全を考えて角も短くて格好悪いから仕方ないね。
お面なんかで喜ぶ歳でもないし別に良いけどさ。何で紫色なんだよ父さん。
「弐号機を在庫処分するなんて認めないわよ。普通に買うから」
「毎度あり。じゃー、これはオマケね。シンジ君にでも」
 初号機のお面がオマケについて来た。うう、在庫処分されてしまった。

 お次は焼きとうもろこし。アスカの味覚にあったみたいで大絶賛していた。
凄く気に入ったみたいだから今度おやつにでも作ってあげようかな。
ヤキソバとお好み焼きは肉が入っているので綾波に気を使ってパス。
タコ焼きはイカと同じく新鮮なタコをその場で調理していたのだけど、それが逆効果。
近くでタコを見たアスカは涙目になって逃げ出してしまったんだ。
「あ、あんなもの食べられるわけないでしょ。気持ち悪い!」
 そういえば外国の人ってタコ苦手な人多かったね。
恐いもの知らずかと思ってたけど、こういう所はやっぱり女の子なんだな。
大丈夫、もしタコが襲ってきたら僕が美味しく料理してあげるよ。
890猫シンジ:2009/10/04(日) 08:08:29 ID:???

 気分治しはわたあめ、りんご飴、落書きせんべい、カルメ焼き、チョコバナナ。
みんなお菓子ばっかりだ。甘いものは別腹ですか? あんまりパクパク食べちゃってると太るよ。
「シジもチョコバナナ食べる?」
 と食べかけのチョコバナナを差し出された。もちろんいただきます。
アスカって間接キッスとか意識してないのかな。僕は結構ドキドキなんだけどね。
猫になって良かった。あーん、と開けた口を綾波の手が塞ぐ。
「駄目。チョコレートは猫にとって猛毒だって、赤木博士が言ってた」
「そ、そうなの? ごめんなさい、助かったわ。ありがとう」
 アスカが素直にお礼を言うなんて珍しい。だけど今、死ぬところだったんだね僕。
危険はいつどこにあるか分からないというけれど本当だ。
「それから子猫には……」
 ついでにと綾波はリツコさんから教えてもらった猫の豆知識を披露してくれた。
リツコさんの話は重要そうで実はどうでもいい知識ばかりだけど、今回は助かったよ。
得意げに話す綾波も聞いてるアスカも楽しそうだ。リツコさんグッジョブ

「そこの猫好きなお嬢ちゃんたち、射的やってかない射的!! 景品にレアな猫グッズあるよー」
 熱く猫知識を語る綾波を射的屋のお姉さんが呼び止めた。眠たそーな目をしている。
ピンクの髪にゴーグル、白いマフラーに赤いジャケット、夏祭りには不似合いな格好。
射的用のライフルを抱えている様子はサバイバルゲーム参加者みたいだ。
景品棚には猫マーク入りの食器やヌイグルミも並んでいるけど、凄く安っぽそう。
懐かしの昭和製と書かれたポップが付いているからレアなことはレアなんだろう。
「安くしとくよ。弾100発で五万円でどーよ?」
「高すぎよ。ハイ、500円」
「私も…」
「毎度ありー」
 道場のような木製の看板には『一回:弾5発500円』と書かれていた。弾1発100円。
UFOキャッチャーみたいなものか。アスカは下手だったなアレ。
取れないからってドンドン熱くなって毎回お金使っちゃうんだよね。
891猫シンジ:2009/10/04(日) 08:11:17 ID:???

 スパーン!スパーン!とコルクが打ち出され小さな人形が次々と棚から落ちる。
さすがアスカ、射撃はバッチリだ。これなら一回で終わりそうだね。ホッとしたよ。
「オモチャのライフルなんて楽勝に決まってるじゃない。そーれ、ラストー!」
 ポコンッと最後の弾が五体目の人形を落とした。凄いやパーフェクトじゃないか。
「はい、500点で6等のペアグラスね」
「ええぇ6等って! 全部落としたじゃない!」
「看板の説明を読みなよ。人形に点数が書いてあるだろ、ね」
 説明書きには『落とした人形の得点合計に応じた豪華景品』と書かれていた。
なるほど落としやすい人形は得点が低いのか。何か騙されたような気もするけど仕方ないね。
「もう一回よ! 一番得点が高い人形はどれ!?」
「あの最上段のヤツが難攻不落の300万点だね」
 指差した先にはブラウン管テレビのような頭の人形が仁王立ちで待ち構えていた。
無理だって。重心が安定しすぎてる。あれなら座った父さんを動かす方が簡単だよ。
大体300万点って落とさせる気が全くない配点じゃないか。
諦めようよ。夜店の当たりクジに大当たりは入ってないってミサトさんも言ってたし。
「ふん、あの程度で難攻不落とは片腹痛いわ」
「落とせたら特賞リッケンバッカーだよ。頑張りなー!」
 景品棚の最上段には青いベースギターが飾られていた。
ケンスケの雑誌で見たけど、確か有名な凄い高級品、のはずだ。
でも僕が見た写真のギターとは左右が逆、あれじゃ弾けないよ。
偽物かな。夜店の景品に本物を求めるのが間違っている気もするけど。
「はい、198点」
「上手いねー。ほい、13等は昭和キーホルダー、魔女宅のジジ。今じゃレアもんだよ」
 綾波は細かい点数を調整して目当ての景品を見事ゲットしたようだ。
黒猫のキーホルダーを手に輝かんばかりの満面の笑みを僕へ向ける。
それが僕にそっくりな黒猫がジジか。まあ黒猫なんてみんなあんなもんだけどね。
でも最近よく笑うようになったね綾波。すっかり普通(?)の猫好き少女だ。
喜んで貰えている様で僕も嬉しいよ。
892猫シンジ:2009/10/04(日) 08:18:55 ID:???

 それに引き換え――
「はーい0点、残念賞の津軽リンゴね。お嬢ちゃん、もう止めといた方がいいんじゃなぁい?」
「キーっ! もう一回よ! もう一回!」
「毎度ありーっと!」
 意地にならないでアスカ、お小遣いなくなっちゃうよ。
この前もゲームセンターで僕から借りるほど注ぎ込んだでしょ。
「……ここをもう1セット!」
 むむ、左右の端にギリギリ当てることで少しずつ台の端へ追い込んでいたのか。
UFOキャッチャーのグラグラのアームで少しづつ景品をズラして取るような感じだね。
「これで、ラストォー!!!」
 パン!と撃ち出された最後の弾がTV人形を襲う。そして―――――ヒョイッ!
「は…!?」
 台の端に追い込まれていたTV人形は、アスカの最後一発を避けた。
避けたんだよ。こう、ヒョイッと華麗なスキップでさ。
「はーい残念。津軽リンゴ2個目ねー」
「ちょっ!!! なによ今の。動いたわよ! 反則でしょ!」
「動かないなんて一言も言ってないし。人形だって撃たれたら動くさ。当たったら痛いだろ?」
 動くさ、って無茶苦茶だな。たしかに動かないとは言ってなかったけど。
まあ冷静に考えたら『夜店の特賞なんて取れるわけない』よね。
「もう一回やるー? 難攻不落だけどぉ」
「ねえ。その子も退屈してる。次へ行きましょ」
「……分かったわよ。べぇっつにぃ青いギターなんて欲しくなかったしー」
 だろうね。この前の苦労して取った景品も早速部屋の隅に放りっぱなしだしさ。
取る事が楽しいんだろうけど、意地になると回りが見えなっちゃうんだよな。悪い癖だよ。
「お嬢ちゃんペアグラス忘れてるよ。はい、彼氏と使ったら? いたらだけどね」
「余計なお世話よっ!」
 1500円でコップ2個にリンゴ2個。微妙な戦果だけど、夜店じゃこんなもんだろう。
むしろその程度でよくぞ退いたと褒めてあげたいくらいだ。
893猫シンジ:2009/10/04(日) 08:29:14 ID:???

「あー、もう。絶対インチキしてたに決まってるわよあの射的!」
「欲しくもない物を無理に取ろうとするから」
「そりゃそーだけどさー」
 簡単に夜店を一回りした二人は公園の中心、あの盾の前へ。
そこは広場はベンチが多く簡易的な休憩所になっていて大勢のカップルが集まっていた。
周囲のカップルから聞こえた情報によるとこの盾には縁結びの御利益があるらしい。
そう言われると周りがカップルだらけに見えるから不思議だ。全く羨ましい。
伝説の盾の前で相手を守ると告白して笑顔で返されれば……って誰が考えたんだよ、こんなの。
あっちではカップルが写真撮影したりしてるし、ホントに羨ましい。
「おう! 惣流に綾波やないか」
「アスカ、綾波さんも!」
 トウジに委員長だったか。二人とも浴衣なんで気が付かなかったよ。
とするとカメラを構えているのは……やっぱりケンスケか。
一人だけ浴衣ではなくカメラやフィルムケースをぶら下げている。まるでカメラマンみたいだ。
「やあ二人とも久しぶり。碇の奴が来れないなんて残念だったなぁホント」
 残念と言いながらも爽やかに構えられるカメラ。綾波は一歩下がってアスカの後ろへと隠れた。
「そういうあんたは一人寂しくカメラ構えて何やってんのよ?」
「ふっふっふ。本日、不肖相田ケンスケはネルフ広報係の記録撮影班補佐に任命された次第であります!」
「親御さんに新型カメラを買って貰った交換条件のバイトらしいで」
「ま、そんなわけで碇たち三人が揃った写真を撮りたかったんだ。採用されるとボーナスも出るし」
「あっきれた……」
 本当にネルフって非公開組織なのだろうか。この突っ込みももう何度目か分からないよ。
でも確かに広報に載せるならチルドレンである僕たちの写真は採用されやすいかな。
「だったらこのあたしの写真があれば十分じゃない」
「――と言うてますが、カメラマンはん?」
「まあ綺麗どころのパイロットだし最適ではあるな。んじゃ綾波と一緒に」
 僕もアスカの腕に抱かれて二人と一匹でハイ、チーズ。
894猫シンジ:2009/10/04(日) 08:33:31 ID:???

「キャッ!!」
 ドーン!と威勢のいい爆発音が鳴り響き、夜空に美しい光の大輪を咲かせた。
やっぱり夏祭りの締めといったら打ち上げ花火だよね。
アスカと綾波は何が起きたのかと相当ビックリしたらしい。
僕らからすると爆発音ってろくなイメージないもんね。
でも華やかの夜空を見上げた驚き顔がみるみる笑顔に変わっていく。
「綺麗……」
「ええ……」
 うん、綺麗だね。次々と打ち上げられる花火が夜空を様々な色に染め上げる。
みんながみんな揃って瞳に天の輝きを映して空を見上げていた。
僕は花火よりもそんなアスカをずっと見ていたような気がする。
「来年は、ちゃんと碇君と一緒に花火を見れるかな?」
「さあね。次を三人で見れるとは限らないわよ」
 二人は空を見上げながら少しだけ笑顔を厳しい目に変えて目線を交わした。
そう。お祭りで浮かれていたけれど来年まで揃って無事でいられるとは限らないんだ。
僕らは、そしてネルフ職員の人達も常に死と隣り合わせな戦場にいる。
このお祭り騒ぎはそんな僕らを少しでも和ませようとしているに違いない。そうだよね父さん。
「そうね。ヤシマ作戦の時は碇君と私の二人だったものね」
 綾波が僕の頭を撫でてアスカを見つめた。それをアスカも花火そっちのけで見つめ返す。
その時はアスカがいなかったんだよな。来年までに仲間が増えて四人かもしれないよね。
「そー言えば、あの盾、あんたが使ったヤツよね。どんな逸話があるのかしら!」
「別に……任務で初号機を防衛しただけ。ただ、それだけ」
 そう言って綾波はにっこりと笑顔を向けた。あの時、初めて僕に笑ってくれたんだっけ。
僕にとっては忘れられない戦いだったけど、綾波にとっては作戦の一つに過ぎないのかな。
「そう、じゃあ次まで死なないように頑張んなさいよ!」
 うう、死なないように頑張るから。全力で二人を守るから、だから恐い顔しないでよ。
まだ花火も続いてるから。にゃーんにゃーん! ほらほら笑って笑って! 
895猫シンジ:2009/10/04(日) 08:37:31 ID:???

「ゴホン。堪能したなら花火を背景に写真を撮らない? 碇に見せるときっと喜ぶよ」
「……そうね。あたしはいいけど。優等生は?」
「……問題ないわ」
 ナイスだケンスケ。さっきは花火のせいで上手く撮れなかったもんね。
そういえばアスカや綾波と写真を撮るなんて初めてだな。
もしも僕が人間だったら三人一緒に仲良く撮れたんだろうか。
きっと猫だから上手く言ったんだろうな。リツコさんに感謝。
「ねぇ、あたし一人の写真も撮ってよ」
「了解了解。全く碇が羨ましいよ」
「べ、別にシンジに見せるために撮るんじゃないわよ! ただの記念写真に決まってるでしょ!」
 見せてくれないのか。少し残念だ。
でももうアスカの浴衣は生で十分目に焼き付けたから、写真なんて見れなくても悔しくないよ。
「ほらシジ。あたしとあんたの記念写真よ。笑った笑った!」
 そうか、猫の僕とはそろそろお別れだもんね。
女の子とツーショット写真なんて生まれて初めてだから緊張するよ。
パシャッと花火を背にして撮っって、ポーズを変えてもう一枚パシャッと。
ああ、猫になって良かった。リツコさんありがとう。
「あの…………ごめんなさい。何でもないわ」
「……ったく、シジとの記念写真が欲しいならハッキリ言いなさいよ」
「オーケー、オーケー! 猫を抱く浴衣美人は被写体としてバッチリだね」
「あ、ありがとう」
 次は綾波と一緒にパシャッと。モテモテでとっても良い気分。猫最高。

 最後はタイマーでケンスケ、トウジ、委員長も揃って全員写真をパシャッと。
来年もみんなが、この街の人たちが笑顔で花火を見れますように。
僕はエヴァに乗る理由をまた一つ、見つけたような気がする。
896猫シンジ:2009/10/04(日) 08:43:01 ID:???
 帰り道。普段は暗くて人通りの少ない夜道でも今日だけは特別安全。
お祭り帰りの人たちが大勢いるし、ネルフから警備員も出されているみたい。
あ、警備の人が僕に敬礼してる。ジオフロント入口にいた人だな。夜遅くまでご苦労様です。
「……可愛い♪」
「何よ、あたしの方が可愛いに決まってるでしょ!」
 二人が歩きながら今さっき撮ったばかりの写真を見せ合っている。
こうして見ると本当に普通の女子中学生だよな。
ケンスケが写真のデータを携帯電話に転送してくれたんだ。
後は好きな時にプリントすればいいってわけ。
「ほらシジ、あたしの方が可愛いわよね!」
「私は、これ……」
 小さな画面にアスカと僕、綾波と僕が映っている。
どっちって言われても、目の前に本物がいるんだしどっちでも良いよ。引き分けー!
「にゃにゃにゃーん!!」
「ほーら、あたしだってさ。やっぱシジ可愛いー!」
「分かるの?」
「とーぜん。『にゃにゃにゃ』が『アスカ』で、『ーん!!』は『様』に決まってるわ」
 なんて強引な。綾波が呆れ果てて苦笑してるよアスカ。僕も少し呆れた。
「あははは、ずーっと猫のままで良いわよシジ」
「猫のまま? あなたはシンジ君よりその子の方が良いの?」
「あ、当ったり前じゃないの! シジの方がシンジより何倍も可愛いわよ!」
「シンジ君に会いたくないの?」
「あんたは会いたいんでしょうけど、あたしは違うの。バカシンジの顔なんて見たくもない!」
「そう……ここでいいわ。送ってくれてありがとう。さよなら」
 急に綾波は早足に立ち去ってしまった。服はミサトさんのマンションに置きっぱなしなのに。
まあ今度ネルフ本部で渡せばいいか。
 猫のまま――か。この一週間、何度も考えたよ。僕は、猫の方が幸せなんじゃないかって。
897猫シンジ:2009/10/04(日) 08:44:40 ID:???

「たっだいまー!」
 元気の良いアスカの声に答えるものはいない。
きっとミサトさんは後片付けした後に飲んで来るだろうし、僕ははここにいる。
「ちぇ、後の祭りか」
 それをいうなら祭りの後だよアスカ。賑やかだった分、落差が激しいって意味。
一人の寂しさがより一層浮き彫りにされてしまう。
「大体、何よあいつ。あんな事で怒って。当然のことじゃないの。ねー」
 やっぱりアスカの目には猫の僕の方が大きく写っているんだろうか?
アスカは僕の前では笑わなかったのに、猫の僕の前ではよく笑うようになった。
これは綾波も同じような気がする。
「それに何が『ただ、それだけ』よ! それだけで済んだはずないじゃない!」
 怒声をあげながら射的で貰ったリンゴを包丁で叩き切った。今度は怪我しないでよね。
乱暴に四つ切にして種の付近だけを取り除く。皮は付いたままだけど問題ないね。
うん、硬めだけど美味しい。年中温かいから収穫量が減ってるんだよなリンゴ。
「んー、可愛い可愛い。バカシンジが居なくてもお前がいれば十分だからねー」
 やっぱりヒトの僕はアスカを怒らせてばっかりみたいだ。
そもそもヒトの時にアスカに優しくされたこと、ほとんどないけどね。
「本当、あいつの顔なんて、別に見たくなんてないんだから」
 そんなに繰り返さなくても分かってるよ。僕自身はあまりアスカに好かれていないなんて。
少しだけ希望を持ったりしたんだけど、やっぱり自惚れすぎだったみたいだ。
でもねアスカ。僕は一つだけ確かなことが分かったんだよ。
どう思われていても、僕はアスカが好きなんだって。
898猫シンジ:2009/10/04(日) 08:56:22 ID:???

 お祭りから二日後、僕を元に戻すサルベージ作業が行われた。
僕は奇妙な実験用プラグの中でゆっくりと人間に戻っていくのだろう。

 思えば僕は今まで人に優しくされたいとばかり考えていた。
僕を受け入れて欲しいと思っていた。
だから猫の生活は不便なところもあったけれど、みんなに優しくされて快適だった。
父さんだってそうだ。あの戦闘の時、僕だって知っていたはずだ。
なのに一緒の席に置いてくれたし、頭も撫でてくれたんだ。話しかけてもくれた。
エヴァだって動かせたんだ。この前は失敗もしたけどきっと上手くなるさ。
そしてアスカは沢山の笑顔で迎えてくれた。僕に見せた事のないような優しさで接してくれた。
暖かくて柔らかくて心地良かった。好きだった。
そう、僕はアスカの笑顔が好きだったんだ。
やっと分かったんだ。僕はアスカに笑顔でいて欲しいんだって。
僕が猫でいることでアスカが笑顔でいられるのなら、それは良いことじゃないか。
そうさ。僕は――碇シンジはいらないんだ。

『どういうことなのリツコ!!』
『ありえないわ。シンジ君自身が人間に戻ることを拒否しているとしか思えない!』
『猫のまま……ね』
『あたしのせいだ。あたしがあんなこと言ったから……』

 怒ってなんかいないよ。
僕が人間に戻るより、この方がアスカは笑顔でいてくれると思った。
喜んでくれると思った。ただそれだけなんだ。
なのに、何でそんなに悲しい顔するの? 何でそんなに辛い顔をするの?
僕はキミの好きなシジでいるから。だから笑顔でいてよ。

<<つづく?>>
899猫シンジ:2009/10/04(日) 09:02:13 ID:???

だらだらと予想外に続いた猫シンジも大詰め。
途中で正体をバラさずにそのまま進めればよかったと少し後悔してたりします。
その場の思いつきでネタを詰め込んでプロット変更したら苦労して当然ですよね。進歩してないです。

なわけでチョコバナナで死に掛けるとか、盆踊りでダンスとか、太鼓を叩くリツコとか、
迷子センターのマヤとか、日本文化を勘違してるゼーレ一行とか、アホな思いつきネタは全カット。
魔法の赤眼鏡を拾うネタも強引に詰め込まず別にして正解だったw
900名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 09:41:10 ID:???
猫シンジのままで終るんですか? それはそれでいいけどさ。
元に戻ったシンジの話もあるんですか?
どっちにして幸せなのかわからん
901GREEN DAYS:2009/10/04(日) 11:57:05 ID:???
>>856の続きです。

しかし、そんな生活が続いていくうちにその無理がたたったのか、
ある使徒との戦闘中疲れがでてしまい集中力を乱してしまった。

「シンジくん!何してるの?早く指示した位置に移動して!」
意識がとんでいたことに気づく。
「あっ!すみません!」
急いで指定された場所まで行くと、アスカがもう攻撃を開始していた。
「何やってんのよ!バカシンジ!」
「ごめん!」

何だろう。目がかすむ。視界が揺れる。
くそ…。

はっと気づくと使徒が僕の目の前だった。

(やばい、間に合わない!)

その瞬間、弐号機が僕の視界を遮り赤い残像を残し、僕を助けてくれた。

そうしてなんとかかろうじて僕達は勝つことができた。
902GREEN DAYS:2009/10/04(日) 11:57:54 ID:???
「シンジくん、今日の戦い方は何!?一体どうしたってのよ!」
戻った瞬間怒声を浴びる。
確かに今日僕は役に立たないどころか足手まといだった。

「ちょっと待ってよ!確かにシンジはひどかったけど、こうなった原因はあんたたちにもあるんじゃないの!?」

黙って叱責を受けていた僕の隣で、アスカが言い返してくれた。
驚いて隣を見つめる。
てっきりアスカからも怒られると思っていたので、まさかかばってくれるとは思わなかった。

「最近働かせすぎよ!パイロットとしてじゃなく、治療までさせて!
シンジがいつもその行動のせいでどんだけぐったりしてると思ってんの?
エヴァの操縦に集中させたいなら、治療行為をやめさせるべきだわ!」

そのアスカの言葉にリツコさんやミサトさんたちが何やら話し合いを始める。

「あの、ありがとう、アスカ」
「別に。足手まといが邪魔なだけよ!」

アスカは決して僕の方を見ようとはしなかった。
903GREEN DAYS:2009/10/04(日) 11:58:55 ID:???
しばらく大人達の話し合い続いた後、リツコさんがようやく僕達に言った。
「わかったわ。シンジくんにはエヴァの操縦を優先してもらうために、治療行為は当分禁止することを命じます」

その言葉を聞いて、アスカはようやく僕の方を振り向いて安心したように笑った。

その笑顔を見て、僕の鼓動は揺れた。
かばってくれたせいじゃなく、
僕のためにみんなに立ち向かってくれたせいでもなく、
僕はアスカの笑顔がただ純粋にかわいいと思った。
この笑顔を守りたいと思った。


次の日、僕は助けてくれたお礼にアスカの好物を作ろうと思い、何がいいかリクエストを聞いてみた。
僕にしてあげれるのはそのぐらいだから。
すると、やはり想像通りハンバーグとの答えだった。
ミサトさんは今日も遅いので、先に二人分だけ作ることにする。
肉汁たっぷりになるようしっかりこね、片栗粉をまぶして焼いた。
手作りソースをかけ、つけあわせも盛り、出来上がりだ。
「んーいい匂い!」
アスカが匂いにつられてやってきた。

「いただきます」
「いただきます!」
手を合わせて食べ始める。
904GREEN DAYS:2009/10/04(日) 12:00:00 ID:???
ハンバーグを切った瞬間肉汁があふれでてきた。
熱そうだな、アスカは大丈夫かなと思って顔をあげると、

「あつっ!」
と言ってアスカが口をおさえるところだった。

「火傷?ちゃんと冷まして食べないと」
「だって、早く食べたかったんだもん」
「大丈夫?」
「……舐めて」
アスカが挑むように僕を見据える。

「え?」
「だから、舐めてっていってんの」
「どこを?」
「あんたバカァ?舌に決まってるじゃん!」
「え!!」
舌って口の中にあるじゃないか!

「早く治してくれなきゃ、ご飯食べる時しみるでしょ」
「…僕に舐められるの、嫌だったんじゃないの?」
「過去のことは消えないけど、禁止されたし、もう二度と他の女を舐めることはないんでしょ?」
「…うん」
「禁止されてるから無理?」
僕は覚悟を決めた。初めてアスカが自分から治してと頼ってきてくれた。
905GREEN DAYS:2009/10/04(日) 12:00:47 ID:???
「アスカなら、いいよ」
テーブルごしに立ち上がってアスカの顔を両手ではさみ、目を合わせる。
自分から言い出したくせに、アスカはしばらく迷っているように黙った後、
小さく開く口から震える舌をのぞかせた。
先の方が白くなっている。痛そうだ。

「それしか出してくれないなら、キスするしかなくなっちゃうよ。もっと出せる?」
僕はそれでも構わないけど、という言葉は口に出すのをやめた。
アスカは僕をにらみ、下まぶたに指をあて、あっかんべーをしてみせた。
僕はその顔を見て笑ってしまう。
「何よ!もっと出せっていうから」
「ごめんごめん、もう一回」
「もういいわよ!」
「じゃあいいよ、キスするから」
「…バカシンジのくせに!」
そう言って顔を真赤にしながらまたやってくれた。
僕は唇に触れないよう注意しながら、そうっとアスカの舌の先を軽く咥える。

唇で感じるアスカの舌は熱い。
粘膜は人体の中での高温部だからだ。
軽く咥えた隙間から火傷の部分に軽く舌で触れる。
さらに熱が上昇した後僕は離れた。
部屋の熱気で、触れ合っていた部分だけでなくお互いの身体の体温まで上がっていたことを知った。


「続き、食べよっか」
僕は照れ隠しのように言った。
アスカは目を合わせようとせず、何気なく唇を触れている。
さっきの熱さを思い出しているのだろうか。
僕も舌先でさっき感じた温度を思い出し、唇を舐めた。
食事を続け始めた彼女の唇を眺めながら、やっぱりキスしてやればよかったと後悔した。
906GREEN DAYS:2009/10/04(日) 12:03:20 ID:???
あの後きちんとリツコさん達が根回しをしてくれたらしく、学校にもネルフにも僕の治療禁止令は広まっていた。
おかげで僕は、元の生活に戻ることができた。

学校とネルフと家を往復する毎日。
そんな中、リツコさんから呼び出しがかかった。

「あなたの唾液を研究させてほしいのよ。医療の進化のために」

みんなを守ることができるのよ、と説得され僕はいろいろな検査を受けることになった。
僕は体の隅々までチェックされ、丸裸にされた気分だ。
最後に今後の研究のために、と結構な量の採血をされ、一応大事をとって輸液をしてもらうことになった。

やっぱり体内から血液が出ていくとふらふらするな。
大量の血を見ちゃったからだろうか。
男は血に弱いっていうし。
907GREEN DAYS:2009/10/04(日) 12:04:28 ID:???
点滴中の僕の横で足を組んで座り、結果をチェックしているリツコさんに前から疑問だったことを訪ねてみることにした。
「治してる時に熱さを感じるの?エントロピーが増大してるのね。つまり、熱エネルギーが必要ということね」
「…すみません、エントロピーって何ですか?」
「つまり、熱をだすにはエネルギーがいるのよ。そのエネルギー生成にシンジくんの体力が必要なのもしれないわね」
「はあ」
「それとも、唾液の中の成分を分泌するため体内が活性化してるのかもしれないわ」
ただでさえふらふらだった僕は、リツコさんの話を聞きながら徐々に眠気に襲われて意識を失いつつあった。


その時、サイレンが鳴り響いた。

「使徒!?」

リツコさんが小さく叫ぶ。
僕とつながっている輸液パックが振動でゆらゆら揺れていた。


続きます。このスレで終わらせたい。
908名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 12:40:53 ID:???
ぺろぺろ
シンジはどうなるの?
やばそうだな。
909名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 16:46:53 ID:???
猫もペロペロも乙ー!
ニマニマしながら見てしまった
910名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 17:21:53 ID:???
投下GJ

ぺろぺろ>
アスカもシンジも可愛いなあ。
シンジは理由が出来るとか大胆なことでも結構しちゃうね。
無理しそうなシンジが心配だ。

猫>
青使徒さん吹いたw お前が一番失礼だシンジw
射的屋さん、誰かと思ったらは黄色いベスパの人かw あれ相手じゃ勝てないw
楽しんだ末に気持ちのすれ違いというかアスカの表面しか見れてないシンジが切ない。
911名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/04(日) 20:01:08 ID:???
投下乙!
来る時はまとめてくるのね

>>880
こういう何気ない一コマって凄く癒されるわ。
次も期待してます。

>>899
ここまで鈍感だなんてありえないわ!とリツコ風に叫びたい。
でも猫の状況はシンジの願望欲求を満たしちゃってるんだよね。
悲しむアスカを見てどう考えを改めるかに期待。
ところで魔法の眼鏡って三つの願い? あれをどこに組み込むつもりだったんだw

>>907
デレ期キター!
舌だけ触れてキスしないとか逆にエロいっす。
定番の体力消耗にアスカが先に気がついて意識してたのもイイ!
次の展開にもwktkしてます。
912GREEN DAYS:2009/10/04(日) 23:52:36 ID:???
>>907の続きです。

朦朧とする意識を叱咤しながら、ふらつく体をリツコさんに支えてもらいエヴァに乗ると、
ミサトさんがアスカが先に出たと教えてくれた。
「行ける?シンジくん。きついかもしれないけど、がんばって!」

ばしゅん!と地上に出る。
爆煙の間から弐号機が戦っているのが見えた。

優勢かの様に見えたその時、僕の視界から弐号機がいきなり姿を消した。
目をこらすと、地面にかがみこんでいるように見える。

「足がはまってる!抜けないのよ!!」
爆撃のせいでできた穴にはまってしまったらしい。
その隙に弐号機ににじりよる使徒。
焦るアスカは闇雲に自分の足元に煙をたてる。
「アスカ、落ち着いて!」
「ああもう何で抜けないのよー!!」
僕は急いで向かおうとするが、使徒はもうアスカに迫っていた。

「アスカ早く!足を切断して!」
「なっ無茶ですよ、ミサトさん!せめて神経接続を切断しないと!」
ミサトさんの無謀な指示に目を見開く。
「足切ってすぐ後退しなきゃいけないんだから、そんな時間ないのよ!
足の一本や二本より命のが大事でしょうが!」
913GREEN DAYS:2009/10/04(日) 23:53:52 ID:???
アスカが一瞬の逡巡の後、唇をかみしめたのが見えた気がした。
煙の向こうで弐号機がプログナイフを握りしめ、振り下ろす。
「うぁあああああ!!」
アスカの悲鳴が耳をさいた。
しかし時は遅く、使徒の影が弐号機にかかっていた。

そこで僕の意識は暗転する。
どうやって戦ったのかあまり思い出せない。
無我夢中で、気がついたらエントリープラグのハッチをこじあけていた。
近くで、使徒だった塊が転がっているのが視界の隅に入った。

ハッチを開けるとLCLが流れでてくる。
かき分けて中に入るとアスカが操縦席でぐったりとしていた。
足を恐る恐る見る。
ぱっくり裂けたプラグスーツの中からどす黒い肉と、
それとは対照的な白い骨が見えた。
赤いプラグスーツがさらに紅くなっているように感じる。
アスカはいつの間にかシンクロ率が上がっていたようだった。
その高さが仇となった。
914GREEN DAYS:2009/10/04(日) 23:54:49 ID:???
ふと、何かの時に会話した内容を思い出した。
「シンジはなんか頼りないのよね!だからあたしが守ってあげるわ!」
「それ、立場が逆じゃない?」
「だって、ケガしたら治してくれるんでしょ?」
「いやだよ。アスカに守られるなんて」
「前時代的ー!」

その後、僕はアスカを守ると約束したのだろうか?思い出せない。
ただわかっているのは、僕は君を守ってあげられなかったこと。

なんとか傷の深さは骨で止まっていて、切断まではいっていなかったが、
自分で自分の足を切断するという壮絶な苦しみを味わわせてしまった。

「ごめん、アスカ…!」

僕が今してあげられることは、何だ?

傷を丹念に指でなぞる。
べろりと指に付いた血を舐めた。
あの時と同じ鉄の味。

僕はそっとアスカを抱え、丁寧に傷を舐め始めた。
柔らかい肉をすする。
血が染み出してくる。
血液の温かさと、僕の唾液の熱と、炎症反応の熱で足はたちまち熱くなる。
止まらない血液に、出血多量という言葉を思い出す。
915GREEN DAYS:2009/10/04(日) 23:56:00 ID:???
僕はアスカを死なせるわけにはいかないんだ。
君がいなかったら、僕の世界は変わってしまう。
君がいてくれたから、僕は生きようと思えたのに。

アスカの血が僕の中に吸収されていく。
血液はやがて唾液に変化する。

ミサトさんやリツコさんが駆け寄ってくる気配がする。
僕は構わずひたすら舐め続ける。
ほんの少しずつ傷がふさがっていくように見えるのは、僕の錯覚だろうか。
周りが騒々しくなったせいか、アスカがうっすらと眼を開けた。

「…シンジ?」
生きていてくれた。
死なないでくれた。

ふと、脳裏に誰かの笑顔が思い浮かぶ。
…そうか。
僕のこの力は、好きな人を守るために授けてくれたのかもしれない。
ありがとう、母さん。
顔も覚えていない母に感謝した。
アスカを強く抱き締める。

「…また疲れてもしらないから」
そう言うと、彼女の唇に落ちた僕の涙をちろりと舐めた。
916GREEN DAYS:2009/10/04(日) 23:56:59 ID:???
あんなに深い傷を治したのは初めてだったせいか、どれだけ休んでも疲れがとれなかった僕は、
ほぼ毎日授業中にも居眠りをしてしまっていた。
ふと目を覚ますと、教室の窓からは真っ暗な夜空が広がっていた。
辺りを夜の匂いが包んでいる。
「やっと起きた?言っとくけど、もう授業はとっくの昔に終わってるわよ」
前の席に座って頬杖をついていたアスカが言った。

「うわっアスカ!?退院したの?どうしてここに?何で起こさなかったの?」
「シンジが気持ちよさそうだったから。あたし一人帰ってもご飯がないんじゃ意味ないし」

僕が寝てたから、疲れてると思って起こさずにいてくれたんだ。
いろいろな人が起こそうとしただろうに、僕の眠りを守ってくれた。
そして、そばで待っててくれた。
目が覚めた時に一人じゃなくてどれだけ救われたか、君はわかるだろうか。

「ごめん、おなかすいたよね。帰って急いで作るよ」
そういってアスカの荷物もとり、立ち上がる。
「足はもう大丈夫なの?」僕はアスカの足元にかがみこんだ。
「全然余裕!」彼女は僕の顔を上履きで踏みつけた。
917GREEN DAYS:2009/10/04(日) 23:58:00 ID:???
廊下を歩きながら、アスカは片手を団扇がわりに扇ぐ。
「にしても、本当暑いわね…。死にそう。今夜も熱帯夜だわ」
あんなケガをしたというのに、車椅子どころか、松葉杖もなしで歩いている。
「僕、寝ながら汗かいてたみたいだし」
それを聞いた彼女は僕の寝癖のついた前髪に触れて、笑った。

「いいこと思いついた!」
とアスカがにやりと笑う。
「もうこの時間なら先生誰もいないわよ。プールに忍び込もうよ!」
そう言ったと同時にスカートの裾を翻し、一人で先に向かってしまう。
「ちょっと待ってよ!こんな時間に!?水着持ってきてないよ!」
僕は一足遅れて、リノリウムの廊下を走った。

アスカはプールの入り口に鍵がかかってるのを見ると、フェンスを軽々と登って中に侵入してしまう。
どうやら本当に足のケガは大丈夫そうな様子に、僕は一安心し胸を撫で下ろす。
「シンジも早くー!」
僕は二人分の荷物を投げ入れたあと、やれやれとフェンスをよじ登った。

月明かりのプールサイド。
アスカは早速靴も靴下も脱ぎ捨て、座って足を水に浸している。
スカートはきわどいところまでめくれているが、白い足のどこにも傷痕はない。
女の子の足に痕が残らなくてよかった、とため息をつく。
ほっとした僕が近寄っていくと、不敵な笑みを浮かべたアスカに水をかけられた。
918GREEN DAYS:2009/10/04(日) 23:58:47 ID:???
「うわっ何するんだよ!」
上半身がびしょぬれだ。
アスカは楽しそうに笑う。
「涼しくなったでしょ?」

アスカが僕の手をひっぱったせいでバランスを崩し、二人一緒にプールに落ちる。

激しい水音が校舎に反射し、撥ね返った。

泳げない僕は一瞬焦ったが、学校のプールは浅いので足がつくため心の中で安堵した。
「どうするんだよ、明日制服着れなくなっちゃったじゃないか」
「じゃあ、一緒に休めばいいじゃん」
 
水面の反射に照らされた横顔。
制服が透けているのを見て、僕は思わず息を飲み込んだ。
      
アスカの金に近い茶色の髪から滴る雫が、水面に波紋を作る。
水に映った月がゆがむ。
そうか、明るいと思ったら今日は満月だった。
僕は煌々と輝く月を見上げる。

『あなたといると月がキレイに見えます』
本当だ。
アスカといると、月がすごくキレイに見えるよ。
アスカの眼にはどう映っているんだろう。
919GREEN DAYS:2009/10/05(月) 00:00:07 ID:???
僕は彼女を見つめる。
二つの蒼い瞳が光って見えた。
僕は思わず彼女を抱きしめる。

「守ってあげれなくて、ごめん。痛かったよね?」
「自分でやったんだから別にいいわよ。それより約束を守ってくれて、ありがとう。
傷痕すら残ってないんだから、シンジが罪悪感を感じることはないんだからね」
そう言って僕の気持ちを軽くしてくれる。
きっと、気にすると思ってしっかり治るまでは僕の前に姿を現わさなかったんだろう。

濡れた制服ごしに感じる体温。
生きている温かさ。
死なないでいてくれてありがとう。
僕はずっと前からこうしたかったんだ。
920GREEN DAYS:2009/10/05(月) 00:01:18 ID:???
「僕はいつ死んでもいいと思ってた。
でもアスカと出会って、明日も生きたいと思えるようなったんだ。
僕に希望と喜びを与えてくれた。
頼りない僕だけど、アスカとずっと一緒に生きていきたい。
これが僕の『Ich liebe dich』の訳です」


僕の言葉を聞いたアスカが、僕の目を覗き込むと、唇を近付けてくる。
触れた唇はとても熱い。
ケガなんてしていないのに。
僕の唇もアスカは熱いと感じるのだろうか。

やっとアスカとキスができた。

これがあたしの答えよ、と彼女が耳元で囁くのを聴いた。

月明かりを受けて光る水面が僕たちの周りで揺れていた。


終わり。
無事このスレで終われてよかった。
921名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 00:03:52 ID:???
乙!
922名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 00:19:19 ID:???
雰囲気いーねえ、GJ!
923名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 00:36:43 ID:???
完結乙
夜のプールに月明かりとはなんてそそる情景
924名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 00:42:27 ID:???
乙!
925名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 01:06:30 ID:???
GJ! 良かったよ!
926名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 01:19:28 ID:???
素晴らしい!GJです。
また投稿して下さい。
927DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/05(月) 02:06:35 ID:???
>>840 遅くなってすいません。続きです。


午後の授業が全く頭にはいらなかった事は言うまでもない。綾波になんて言おう。
失敗してアスカが傷ついたらどうしよう。そんなことばかり考えていた。
結局考えがまとまらないままで放課後がやってきた。
アスカが意味ありげな視線を僕に向けて、口パクで(行け)なんて言ってくる。まるで犯罪者とそのボスみたいだ。
綾波は帰りの会が終わってすぐ教室を出てったからもう着いてるだろう。
僕たちのやりとりを見ていた三人組が寄ってきた。
「碇君、あの後どうなったの?」
いつになく真剣だな、委員長。ここはうまくやんないと。
「だいじょぶだよ。その・・・仲直りしたからさ」
「ホントに?」
「う、うん」
「委員長、わいらが余計な首つっこむのやめようや」
トウジ・・・めずらしくナイス!!
「そうだよ。こういうのは二人で解決させるのがベストだよ」
「・・・そうね、ごめんなさい碇君」
「べ、別に気にしてないよ!」
「さ、わいらは先帰ろーや」
「そうだね。早く新作ゲームやりに行こう!体がうずうずするよぉ!」
「・・・碇君、じゃあね」
「うん。また明日」
と、トウジが首に腕をまわしてきて耳元で囁く。
928DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/05(月) 02:27:11 ID:???
「惣流の事、がんばりやぁ!見た目はごっつええけど中身はあれやからなぁ!」
「うん。ありがとトウジ!」
神様が味方してくれたのかな?
そんな事を思いながら三人の背中を見送った。
よし。行こう。
余計な事を考えないようにと屋上まで走っていく。
階段を駆け上がり、ドアを開ける。
いた。綾波だ。
呼吸を整えつつ綾波の隣まで歩いていく。
「碇君。なんで呼び出したの?」
「遅れてごめん。・・・実は話があるんだ」
「何?」
聞いてくるけど予想はついてるのかな?横顔がどこか寂しげだ。
「・・・綾波の気持ちに答えられそうにないんだ」
「どうして?」
「・・・僕は、アスカが好きだから・・・」
「・・・そう」
俯いてしまって表情は伺えない。・・・大丈夫かな
「碇君はセカンドといると、ぽかぽかするの?」
「・・・うん、する。・・・なんか優しい気持ちになれるんだ。
アスカが笑うと僕もうれしいんだ。一緒にいたいと思う。
・・・それが好きって事なんじゃないかな?」
「・・・」
なんか無駄に語りすぎたかな・・・
ふと綾波が顔をあげた。・・・笑ってる?
「碇君にぽかぽかしてほしいと思った。最初はなぜだかわからなかった。
929DISTSRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/05(月) 02:49:26 ID:???
こんな風に思ったのはあなたが初めてだったから。
・・・でもこの気持ちが好きって事なんだろう、って気づいた」
「・・・」
寡黙な少女。綾波レイ。ファーストチルドレン。
あの綾波がこんなに自分の気持ちを吐露するなんて・・・
「碇君がぽかぽかしてくれるなら、私は構わない。・・・例えぽかぽかさせてるのが私じゃなくても」
「綾波・・・」
「セカンドは難しい性格だから・・・ 気をつけて。もしも嫌になったら私に言って」
「・・・わかったよ。でもそれはない・・・と思うよ」
悲しそうな、でも嬉しそうな複雑な笑顔。
・・・綾波もこんな笑い方するんだ。
「・・・そう。 セカンド、待ってるんじゃない?」
「う、うん。 ・・・本当にごめん、綾波」
「謝る必要なんて、ないわ」
「うん、ごめん・・・ってまた謝っちゃったね、ハハハっ!」
綾波もクスクスっと笑った。
もう行かないと行きにくくなる。
「それじゃ綾波、また明日!」
「えぇ・・・ さよなら」
「じゃあね!」
そう言って思いっきり走り出す。綾波が今どんな顔してるかなんて見たくない。
・・・いや、見れないよ。
階段を駆け降りる。昇降口へ向かう。
これで・・・
これでいいんだ。
930DISTSESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/05(月) 03:11:04 ID:???
昇降口ではアスカが足をトントントントン言わせながら待っていた。
「おっそぉ〜い!!」
「ご、ごめん」
「なんで女の一人振るぐらいでこんなに時間がかかんのよぉ〜!」
「そんな事いったって仕方ないじゃないか!! そこらへんのプレイボーイじゃないんだよ?」
「プレイボーイって・・・ なんかだっさい言い回しね〜!」
「だ、ダサくて悪かったよ」
アスカがクスクスっと笑う。
「で、しっかり振ってきたんでしょうね?」
「そりゃあ・・・うん。当たり前だろ!」
「そ。じゃあ帰るわよっ♪」
そう言って腕にしがみついてくる。
ちょ、お、おっぱいが・・・
「あああアスカっ! もう学校終わったでしょ!」
「だから? 別にいいじゃん!」
「よ、よくないよ!」
「いやなの?」
アスカがちょっとすねた顔をした。
・・・か、かわいいって何考えてんだ僕っ!
「い、いやじゃないよ! じ、じゃ行こっか!」
「うん!」
やっぱりアスカはかわいい。
とても魅力的だ。
そもそもなんで僕なんかを好きになってくれたんだろう?
・・・帰ったら聞いてみようかな。


帰ってる途中スーパーへ寄った。
今日はアスカの好きなハンバーグだ。
931DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/05(月) 03:20:25 ID:???
アスカによれば、交際スタート記念なんだからハンバーグに決まってんでしょ! らしい。
交際スタート記念って・・・
アスカもなかなかの言い回しだよと言ってる途中で殴られた。
今日もミサトさんはいないらしい。出張先でトラブルがあって一日延長だって。

932DIS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/05(月) 03:23:43 ID:???
ややこしいので名前はDISでお願いします。
改めて遅くなってすいませんでした。

続きは後ほど・・・
933名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 14:18:00 ID:???
乙です。相変わらず素晴らしいですね!
934名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 19:01:43 ID:???

どうなるんだ! 何かありそうだ。
935名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 22:37:18 ID:???
アスカがハンバーグ好きだって、どこの二次創作が広めたんだろうなww
936名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 22:48:25 ID:???
>>935
アスカがハンバーグ好きってのは公式だろ
937名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 22:52:09 ID:???
>>935
それは俺も気になってた
938名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 23:03:30 ID:???
半公式>ハンバーグ好き
昔の派生作のエヴァンゲリオンRPGネルフ白書(角川ドラゴンブック)にでてきた設定が元。
939名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 23:08:01 ID:???
ごめん。角川じゃなくて富士見ドラゴンブックだわ
940名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 23:20:19 ID:???
アニメイトカセットではトンコツラーメンだよね
その設定の話も見てみたいな
941名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/05(月) 23:36:09 ID:???
豚骨ラーメンか・・・
よし話が膨らむ。
942名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 07:29:13 ID:???
猫シンジのレイに今までちょっとだけ違和感を感じてたが
今回は酷い
レイはシンジ君なんて呼び方しないだろ…
943名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 09:16:48 ID:???
そう言えばそうだね。
つまらないから流し読みしてたんで気がつかなかった。
二次創作で一人称二人称を間違えるなんて致命的だよな
944名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 09:30:50 ID:???
セガサターンのゲームでもシンジ君って呼んでたような
945名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 10:02:56 ID:???
>>944
あれは制作側の設定間違いだしw

前の話では碇君て呼んでるから単なる書き間違いと推敲不足だろ。
酷いのは同意。
946名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 10:06:20 ID:???
サターンは設定固まってない超初期に発売されたからノーカウントだろ
色々ひどかった
947名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 13:42:51 ID:???
鋼鉄1のアスカは「トウジ、ケンスケ」って呼ぶし、トウジとケンスケも「アスカ」って呼ぶし
貞漫画のゲンドウも「アスカ」って呼ぶ

公式でも色々間違えてるよね
948名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 15:46:44 ID:???
ふぅと入れ替わりの人続きマダ-?
949名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 18:16:30 ID:???
ゲンドウってアニメでアスカのこと
呼んだことあったっけ?
950名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 19:04:09 ID:???
>>949
貞漫画で「アスカ」って呼んでたのよ
アニメでは弐号機パイロットとしか呼んでなかったはず
951名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 19:44:32 ID:???
詳しく覚えてないがあれはアスカ個人に対してじゃ無くて
ミサト等に命令するときの呼び方だったような…
シンジのことをミサトとの会話では初号機パイロットって呼んでるときもあるし
952名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 20:04:10 ID:???
アニメ版だと一度もレイと会話シーンの無い加地さんでさえ
「レイ」って呼んでたからな>貞漫版
レイからすれば「何? この人…」だっただろう
953DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/06(火) 20:35:55 ID:???
空気読まず続き投下 このスレで終わるかな?


マンションにつくと早速調理を始める。
アスカと腕を組んでたもんだから、
デート気分でついついだらだらとしてしまった。もう七時半だ。
肉を一生懸命こねてる途中で、テレビの前でゴロゴロしてたアスカが来た。
「バカシンジ、それあたしもやる!」
「えぇー! いいよ、アスカはゆっくりしてなよ!」
「遠慮しなくたっていいわよ! この天才アスカ様にまっかせなさぁ〜い!」
トホホ・・・ 気持ちは嬉しいけど更に遅くなりそうな気がしてたまらないよ・・・
「えっと・・・ じゃあお肉はこねたから、形をつくってくれる?」
「おっけ〜 そんなの超余裕じゃない!」
横顔がとっても楽しそう・・・
よかったな・・・ あの殺伐とした雰囲気はどこへ行ったやら・・・って!!
「アスカぁ〜! 指の間から肉がボロボロ落ちてるよ!」
「うっさいわねぇ〜 仕方ないでしょ初めてなんだから!」
「ほら、こうやってぺたぺたって空気抜いて・・・」
そう言ってアスカの手を取りぺたぺたと肉の形を整えていく。
「ほら、アスカわかった? ・・・アスカ?」
返事がないから顔をのぞき込んで見る。
954DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/06(火) 20:51:35 ID:???
やばい。
昨日の夜見せたあの顔。
でもどうして・・・
「アスカ、どうしたの?」
「・・・別に。あの女にもこうやって手取り足取り教えたのかなぁ?って思っただけ」
「そんな・・・ もう忘れようよ。もう綾波はその・・・振ったんだよ?」
「どーせあんたのことだから曖昧な感じにしたんじゃないの?」
「違うよ!」
気づけば自分でもびっくりするくらいの大声を出していた。
「僕だって・・・ アスカのために頑張ってるんだよ?
それなのに、何でわかってくれないんだよ!!」
自分の太股に怒りをぶつける。
あんなにほんわかしていた気持ちが一気に崩れさった。
「・・・」
俯いて唇を噛みしめていると、アスカが抱きしめてきた。
暖かい。包み込むような柔らかい感触。
「シンジ・・・ ごめん」
この一言で僕は我に帰った。
「僕の方こそごめん。せっかくハンバーグなのに・・・台無しだね」
「なぁにいってんのよバカシンジ! 早く作っちゃって食べましょうよ!
きっとおいしいわよぉ〜 なんせこのあたしが作ってるんだから!」
フフッ。アスカらしいや。
「そうだね! じゃあ作ろっか!」
「やっぱり・・・ やり方わかんないからちゃんと教えてよね!」
955DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/06(火) 21:10:19 ID:???
そういい終えた後の顔は真っ赤だ。
「うん! じゃあ始めよう!」
アスカの手を取り、やり方をもう一度教える。
アスカがとてもいとおしい。
そんな気持ちを込めながら、おいしくなるように作っていった。
そして・・・
「できた!」
「うん! それじゃあ食べよう!」
「いただきます!」
二人で同時に言うと、真っ先に口へハンバーグを運ぶ。
・・・おいしい!
「アスカ、どう?」
「おいしい! 今までのハンバーグの中で一番の出来ね!」
満面の笑みのアスカ。とってもかわいい。
よかった・・・
と、いきなり電子音が鳴り響いた。
「シンジ、電話!」
「うん」
席をたって受話器を取る。
「はい、もしもし」
「シンジ君? 今から言う話を落ち着いて聞いてちょうだい」
「リツコさん。話ってなんですか?」
電話の対応してる間にもアスカはおいしそうにハンバーグを食べている。
「・・・葛城三佐が。・・・ミサトが亡くなったわ。」
へ?
「えっと、嘘ですよね?」
笑いながら尋ねる。心臓がバクバクする。
「本当よ。
上はエヴァのパイロットに精神的なダメージを与えてはいけないと判断したらしく、伏せておくように言われたわ」
「えっと、今日は四月一日」
956DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/06(火) 21:29:11 ID:???
「落ち着きなさい! 現実から逃げようとしても何も始まらないわ!
現実を受け止め、冷静に対処しなさい」
「うそだうそだうそだうそだ」
「・・・中学生には無理な要求だったわね。
明日カウンセラーを付けて詳しい話をするから、アスカと一緒に来てちょうだい。
私だって悲しいわ。でも受け入れるしかないのよ。
・・・こんな仕事柄だものね」
「・・・」
黙って受話器を置く。
「シンジ、どうしたの?」
「・・・」
黙って自分の部屋へ駆け込む。
「シンジ! 待ちなさいよ!」

嘘だ。信じたくない。逃げ出したい。
嫌だ。ミサトさんがいなくなるなんて。
優しい態度で、時には厳しく僕に接してくれた。
でももういない。
涙が止まることなく流れ続ける。どうすれば僕は救われるのか。
誰が戦場で支えてくれるのか。
胸が痛い。涙が止まらない。
「ミサトさん・・・
ミサトさんミサトさん、ミサトさぁーーん!!」
クソ。なんでだよ。
さっきは死因なんて聞けなかった。逃げた。嫌だから。
逃げちゃだめ?
そんなの知るか。逃げたっていいんだ。逃げて何が悪い。
「嫌なことから逃げて何が悪いんだよぉーーー」
思いは気づくと声になっていた。
957DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/06(火) 21:47:58 ID:???
いつだってそうだ。
大切な人は僕の周りから消えていく。
母さん、父さん、それにミサトさん・・・
アスカだって今は優しいけど、どーせ消えてしまうんだ。
だいたいアスカが僕なんかを好きになるわけがない。
いやだ。
全部嫌だ。何もかも。
誰にも優しくされないんだったら生きている意味はない。
死にたい。でもできない。臆病だから。
もうどうでもいい。どうとでもなれ。


トントン。
「シンジ、入るわよ」
もう嫌だ。誰とも話したくない。
「・・・」
ベットの隅っこに腰をかけた。
「聞いたわ。リツコに電話したの。ホント信じられない」
声が震えてる。アスカも泣いた後なのだろう。
「ミサトって・・・ あんな酒飲みでだらしない女だったけど」
「・・・」
「いい奴だったわ。あいつが死んじゃったなんて信じたくない」
そんなのわかってる。
言って何になる。
僕に優しくしようとするのは止めてよ!
「あっちいってくれ」
「シンジ・・・ 気持ちはわかるわ、でも・・・」
「あっち行けっていってるだろ!!」
アスカを睨み付ける。出てけ。
「出てけ出てけ出てけ出てけ」
壁を何発も殴る。今朝の傷にできていた瘡蓋が剥がれる。
958DISTRESS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/06(火) 22:07:52 ID:???
意味がない。わかってて殴る。
「僕に優しくしないで!
また捨てられるんだ。アスカにも。
もうこれ以上こんな苦しみたくさんだ!くそぉ・・・」
「シンジ・・・」
アスカが抱きついてきた。
やめてくれ。触らないで。
「放せ、放せよーー」
「嫌! 絶対放さない!」
「そんなに僕を苦しめたいの?
だったら僕を殺してよ!殺せよ!」
「このクソバカシンジぃぃ!!」
アスカが全力で僕の事をベットに押し倒してきた。
僕の上に馬乗りになって襟首を掴んでくる。
「なんでわかんないのよ!」
「何が?」
アスカの瞳から涙があふれ出す。
「あんたの事、あたしがどれだけ想ってるかわかってんの?」
「・・・やめてよ、そんな嘘つくの」
「嘘じゃない!
私をみて! 私に触って!
私を一人にしないで!」
あんな強気なアスカが・・・
こんな事言うなんて。
嘘で言うとは思えなかった。
「あたしがなんであんたを好きになったかわかる?」
「・・・わからない」
「・・・あんた、あたしに似てんのよ。
他人なんて所詮他人。本気で自分の事を想ってくれてる人なんていない。だから誰もいらない。
でもほんとは人一倍愛されたい。人一倍寂しがり屋。
・・・そうでしょ?」
959DIS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/06(火) 22:11:09 ID:???
用事入ったので今日はここまで。

痛すぎって思った人はNGしてくださいませ。
でも、最終的には救われます。
960名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 22:12:46 ID:???

痛いとは全く思わなかったけど、シンジの反応が唐突で極端すぎて?だった
961名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 22:15:44 ID:???

まぁ確かにシンジが唐突すぎて違和感感じる
962名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 22:34:22 ID:???
GJ
続き待ってる
963名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 23:21:38 ID:???
GJです
ただミサトを殺す必要はなかったのでは?
964名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/06(火) 23:43:38 ID:???
GJ!!
だが>>963と同感かなぁ
965名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 00:34:18 ID:???
ミサトも大好きな俺にこれはキツかった
つーかエヴァキャラはみんな好きだからこーいうの苦手だわ

でもとりあえず頑張って
どうせなら最後まで読みたいし
期待してます
966名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 00:39:27 ID:???
チッ
良い所で続くか!
967名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 00:45:59 ID:???
話に詰まったら転校生と人を殺す、のは止めましょう。





と、あだち充が言ってたようなww
968DIS ◆xfCLDS4d/. :2009/10/07(水) 00:53:09 ID:???
やっぱミサトについてはこんな感じになりますよね、すいません。

ただ、自分もエヴァキャラは全員好きなのでキャラを虐殺することはありません。
969名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 01:10:03 ID:???
猫シンジもペロペロもDISさんもGJ!
良いスレになってきたね〜
970名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 01:19:50 ID:???
>>967
「お前が言うか!」って感じだな
971猫シンジ:2009/10/07(水) 02:04:13 ID:???
>>898の続き

 結局その日のサルベージ作業は失敗に終わった。
僕は人間に戻れず、アスカも綾波は悲しい顔で塞ぎ込んだままだった。
みんなが幸せになれると思ったのに、一体どうしてこんな事になってしまったんだろう。
患畜用の小さなベッドの上で僕は自分の浅はかさを呪った。

 リツコさんとミサトさんの会話によると明後日の再サルベージがラストチャンスらしい。
次に失敗すれば僕はネルフの備品として初号機のダミープラグにされるそうだ。
ミサトさんが凄い剣幕で抗議している。だけど父さんよりも偉い所からの命令らしい。
これ以上パイロット一人に予算と時間は割けないんだってさ。
ダミーって偽者とか身代わりという意味だよね。
猫のまま代理パイロットをするって意味かな?
口論の末、『次で成功させれば問題ないわ』というリツコさんを信じることになった。
今夜から泊まりでミサトさんも全データの洗い直しを手伝うそうだ。
僕のせいで色々とごめんなさい。

 帰りのバスの中、アスカは一言も喋らずにぼんやりと外を見ながら僕の頭を撫でていた。
なんだろう。つい最近も同じアスカを見たような気がする。
ああ、思い出した。確かジオフロントに『行方不明の僕』を探しにいった帰りだ。
あの時と同じ顔をしているんだ。
「にゃーん……」
「……」
 僕は同じ事を繰り返してしまった。
ちゃんと僕を心配してくれていたのに、それを知っていたはずなのに。
アスカの表面だけを見て、勝手に嫌われてるって思い込んで。嫌われないようにって。
どうして僕はいつもこうなんだろう。
『そうやって人の顔色ばかり伺ってるからよ』
 不意にミサトさんの言葉を思い出した。
972猫シンジ:2009/10/07(水) 02:05:08 ID:???

 帰宅後、アスカは僕の食事を用意するとベッドに突っ伏したまま動かなくなった。
気分転換になればと何度も鳴いて興味を引こうとしたけれど逆効果。
「うるさい……」
 と小声で一言だけ残し、アスカは枕を頭に被って耳を塞いでしまった。
いっそ怒鳴られた方がどれだけ気が楽か。って馬鹿か僕は。それじゃ駄目なんだ。
僕じゃなくてアスカの気が晴れないと意味がないんだ。

ペンペンペケペケ♪ ペペペンペケケ♪

 重苦しい空気に軽快な着信音がリビングから流れ込んできた。
面倒なのか、気が付いていないのかアスカに動く気配はない。
使徒だったり、緊急連絡だったら大変だ。
ここぞとばかりに僕は部屋を飛び出し、ソファーに置き忘れられた携帯電話に向かった。
着信表示は『ヒカリ』。なんだ洞木さんか。
でも彼女ならアスカの沈んだ気分を変えられるかもしれない。
きっとトウジ絡みの明るいニュースだろう。そうに決まってる。
そう信じた僕は携帯電話を咥え、着信が切れないうちにと急いでアスカの元へと戻った。
最近は軽量化されていて助かるよ。

ペンペンペケペケ♪ ペペペンペケケ♪

「にゃーん! にゃにゃーん! にゃにゃにゃにゃーん!」
「……」
 僕と携帯電話に気が付いたアスカは顔を上げ、視線を着信表示に向けた。
「にゃーん」
 そして得意気に鳴く僕に視線を合わそうとせず、着信を無視してまた枕を被った。
973猫シンジ:2009/10/07(水) 02:06:33 ID:???

 洞木さんからの着信はそれから3コールほどで切れ、またも部屋は重い雰囲気に包まれた。
いるだけで息が詰まってしまいそうだ。アスカ本人はどれ程なのだろうか。
そんなに悲しむほど僕に価値はないよ。喋れるのなら、そう言ってあげたい。
きっと殴られるだろうけど、それでアスカに元気が戻るなら安いものだ。
居辛さに耐え切れず部屋を出ようとすると猫耳にアスカの呟きが聞こえた。
「返して」
 振り向くとアスカが僕を見つめていた。
「シンジを返して、お願いだから」
 泣いていたのだろうか。涙は見えないけど、目がウサギのように真っ赤だった。
「あいつは気弱で軟弱で鈍感で意気地なしだけど、あいつなりに精一杯やってたの」
 いつも僕は一杯一杯だったとは思う。でも本当に精一杯のことをしていたのだろうか。
「自分のことも満足に出来ないくせに人のことばっかり心配してる奴なの」
 違うよ。僕は他人ことを考えている気になってただけで、本当は何も見ていなかったんだ。 
「だからシジ。シンジを連れて行かないで。あたしにシンジを返して」
 僕はアスカの言葉に最後まで聞くことが出来ずその場から逃げ出した。

 猫になって知ったことは自分が見ていた世界の狭さ。
そして猫でい続けて知ったことは、傷付く恐怖と無縁で手に入る幸せなんてないってことだ。
 サルベージの時、僕が猫でいることがアスカにとって良い事だと思ったんだ。
猫でいたいと思った。人間の僕は必要ないと思った。だからきっと人に戻れなかった。
でも本当にそう思ったんだろうか?
ただ自分が優しくされたかっただけ、嫌われたくなかっただけじゃないのか。
猫でいればアスカに好かれていられる。人間に戻ったら嫌われる。そう思ったんだ。
ただ自分が傷付きたくなかっただけ。それだけだ。
みんなが幸せになれるとか、アスカを喜ばせたかったなんて、そんなの薄っぺらい言い訳だ。
自分では何もせず赤ん坊のように優しく接して貰える、そんな境遇を手放したくなかっただけじゃないか。
最低だ。このままじゃ本当に最低だ。だからせめて最低だった、にしよう。
974猫シンジ:2009/10/07(水) 02:08:41 ID:???

 あれからアスカは僕とまともに顔を会わせなかった。僕も会わせられなかった。
だけどゆっくりと考えることは出来た。僕に出来ること、僕の本当にしたいこと。
 そして明後日。再サルベージ作業は何事もなく終了した。
僕は猫にされた時と同じように本当にあっさりと人間の姿へと戻っていたんだ。
ミサトさんは泣いて喜んでくれたけれど、そこにアスカの姿はなかった。
何を思ったか自宅待機しているらしい。
やっぱり元に戻っただけで喜んで貰えるって考えは甘いようだ。

 マンションへ戻るまでに五回くらい転びかけ、その内の一回は思い切り引っ繰り返った。
体が妙にフラフラする。どうも身軽な四足歩行に慣れすぎてしまったらしい。
それに視界も全然違うからバランス感覚も狂っているみたいだ。
猫になった時は気にならなかったんだけどな。
玄関の前で深呼吸を一回二回。駄目だ全然落ち着かない。
アスカに会ったらまず最初に――
ここ何日かかけて考えた言葉を思い出していると、急に玄関が開いた。
「さっきから何をボーっと突っ立てるわけ?」
「え…あ…う…」
 心の準備がまだ出来ていないんだよアスカ。
僕は酸素の足りない金魚のように無様に口をパクパクとさせた。
頭の中まで真っ白。色々と準備してきたのに全部吹き飛んでしまった。
なのにアスカは睨むような目で僕の言葉を待っている。
「た……ただいま」
 必死に頭を回転させて出たのがそれだった。
もっと気の利いた言葉があるだろ。こういう時やっぱり駄目なんだ僕は。
「おかえり。早く入んなさいよ」
 半分パニックを起こしたような僕を見て、アスカは呆れたような微笑を浮かべた。
予定とは大分違っているけど結果オーライ、かな。
975猫シンジ:2009/10/07(水) 02:10:07 ID:???

 せっかく人間に戻ったというのに僕はリビングで借りてきた猫状態だ。
どうしよう。アスカに話したいことは一杯あるのに上手い切り出し口が見つからない。
取り合えず何か会話をしないことには始まらないけど意識すると話題も思いつかない。
猫の時の記憶は覚えてないってことになっているから迂闊な事は言えないし。
「シンジ、コーヒー飲む?」
「淹れてくれるの? ありがとう」
 あああ、せっかくチャンスだったのに何で即会話を終わらすんだ。僕のバカー! 
しかもアスカ台所へ行っちゃったじゃないか。
夕飯の材料かとうもろこしでも買って来れば良かった。
なんか他に話題ないかな話題。その辺に落ちてない?
落ち着きのない僕の目が拾ったのは、ソファーの端に置いてある紫色のお面だった。
何故こんな所にあるのかは気にしない。溺れる猫はお面も掴む。
「何このお面?」
「夏祭りの夜店で買ったのよ。それはシンジにあげるわ」
「いいの?」
「私は人気No1の弐号機を持ってるしねー。初号機は在庫処分だってさ」
 そう。これは角は短いし眼つきも悪くて不恰好だけど初号機だ。
よし。これでお祭り関連の話題が出来た。
ありがとう父さん。今日この時の為に初号機は紫色だったんだね。在庫処分万歳。
「そっか。お祭り、もう終わっちゃったんだね。ちぇ、僕も行きたかったな」
「はい、珈琲お待ちどうさま。花火の写真ならあるけど見る?」
 僕の答えを聞く前にアスカは写真を取りに部屋へと向かっていた。
明らかに分量を間違えているインスタント珈琲も何故か美味しく感じる。
あれ? このコップは誰のだっけ? 見たこともない青い宝石模様のコップだ。Blue water?
「あたしのをそれの赤にしたのよ。その余り。あたしとペアグラスだなんて光栄に思いなさいよ」
 夜店のお姉さん、恋人と使えって行ってたっけ。まさかね。
アスカが上機嫌なんで前のコップがどうなったかは聞かないことにした。
976猫シンジ:2009/10/07(水) 02:12:05 ID:???

「こっちがみんなで取った写真。で、こっちがあたしとシジ。可愛いでしょ」
 お祭りの写真だ。猫の僕もしっかり映ってる。今更だけど夢じゃなかったんだな。
「この黒猫が僕だったの?」
「そーよ。はっきり言ってあんたの数百倍は可愛かったわね」
 アスカが説明する夏祭り解説は少し誇張も入っていて大げさだったけど凄く楽しそうだ。
僕も実際に行っていたのに、今の方が楽しいと思えるのは何でだろう?
「来年は僕も一緒に行けるかな?」
「勝手に行けばいいじゃない。あたしは絶対あんたを誘わないけど」
「そんなぁ……じゃあ僕がアスカを誘ったら?」
「どうしてもっていうのなら、一人ぼっちじゃあまりにも可哀相だから誘われてあげるわ」
 ありがとう。今年は誘えなくてごめんね。そう心の中で呟いた。
やっぱりアスカと話せるのは凄く嬉しい。猫の時は味わえなかった喜びだ。
多分すぐにまた怒らせたり喧嘩したりするのだろうけど、それもきっと幸せの一つなんだろう。
「ところでシンジ。あんたなーんか言い忘れてない?」
 言い忘れてる事って何だろう。ええと、珈琲美味しかったよ? コップありがとう?
どれも違うみたいで、アスカは空いたグラスを片付けに行ってしまった。
「ご、ごめん。その……」
「別に無理しなくても良いわよ。リンゴ切るけど食べる?」
 少し落胆したような声が胸にズキリと来る。
何だろう? 夏祭りの写真と話を聞いて僕が言うことって。
僕は夏祭りの記憶はないことになってるのに―――あ、そうか。
記憶があるから気が付かなかったんだ。本物を見てしまっていたから。
「アスカ。あの浴衣、凄く似合っていて……」
「今更取ってつけたように言わなくても良いわよ!! この―――痛っ!」
 また指を切ったらしい。何やってんだよ。包丁を持ったままよそ見するなんて。
いや話しかけた僕も悪いけど。とにかく――
977猫シンジ:2009/10/07(水) 02:12:51 ID:???

 咄嗟にアスカの指先を口に含むと血を舐め取りながら舌先で傷を軽く確かめた。
猫の時にもやって感じたけど、こうすると傷口の様子が良く分かるんだ。
じんわりと広がる血の味は自分の血とは違い、何だか鉄のようなのに甘く感じた。
「ば、ばか! 何やってんのよ……」
 涙を堪えているのかアスカの目が潤んでいるような気もする。
少し頬も染まっているし、もしかして照れてるのかな。
ちょっと大胆すぎて殴られても仕方ないかなと思ったけど、結構いい感じかも。
いや何だか凄くいい。アスカの指の感触が急に鮮明に感じられてきた。
名残惜しいけど消毒液と絆創膏を食器棚の引き出しから取り出して手当て。よし完璧だ。
「うん、広いけど深くない。大丈夫、これなら傷は残らないよ」
「そういう問題じゃないわよ……ばか」
 アスカは頬を染めたまま俯いて指先を潤んだ瞳で見つめている。
そうだ。今なら言える。僕の気持ちをアスカに告白しよう。
もしかしたら嫌われてしまうかも知れないけど、それでも伝えたいんだ。
「アスカ、僕は……!」
「……シンジ!」
 僕の言葉を遮って俯いていたアスカが顔を上げて僕を見つめた。
頬を染めていた顔が全体的に赤くなっている。
こ、これはもしやアスカから告白が? まさかそんな。
ここでその些細な確率に掛ける、そんな言い訳で逃げちゃ駄目だ。
このタイミングを逃しちゃ駄目なんだ。
男として、いや降って湧いた幸運に依存しない為にも僕から言わなければいけない。
そう、逃げちゃ駄目だ。
978猫シンジ:2009/10/07(水) 02:14:11 ID:???

「アスカ! 僕は――むぐっ!」
 意を決して開いた僕の口をアスカの無事な方の手が塞いだ。
塞いだというよりも顔を掴んだという感じだ。
アスカは僕に告白すらさせてくれないのだろうか。
僕を見つめるアスカの顔が真っ赤に紅潮している。まさか本当にアスカから?
でもそれにしては潤んでいた瞳で見つめるというより、睨まれている様な気が。
「シンジ……。あんた何で食器棚に絆創膏が入ってるって知ってたの? 普段は救急箱よね?」
 それは――猫の僕が救急箱を破壊したからです、はい。
不味い。猫の記憶があるってバレたみたい。
照れてるんじゃなくて、顔を真っ赤にするほど怒ってるんだ。
「シジだった時のこと、どのくらい覚えてるのよ? 正直に言いなさいよ。怒らないから」
「ほ、ほぼ全部……かな。いや隠そうとしたわけじゃないんだ。言い出すタイミングが……」
 アスカの手が不意に外された。逃げ出したい。やっぱり僕は意気地なしだ。
「記憶を失え――!!!!!!」
 アスカの拳が逃げようとした僕の顔面を綺麗に捉えた。

 痛い。痛いから。それに怪我した手で殴っちゃ駄目だってば。
ごめんなさい少し手加減して。泣きながら怒らなくてもいいじゃないか。
「忘れなさいよシンジ! 全部、全部忘れなさいよ!」
 アスカが倒れた僕の上に馬乗りになり、胸倉を掴んで無茶な要求をしている。
三分くらい前まで結構いい雰囲気だったのに何でこんなことになっちゃったんだろ。
内緒にした僕の自業自得といわれればそれまでだけどさ。
そうか、また振り出しに戻っちゃうのか。でもそれは嫌だ。嫌なんだ。
「ほら返事は!? 絶対に思い出すんじゃないわよ!」
「嫌だよ。僕は…何も忘れない!」
 僕はアスカの手を解くと強引に抱き寄せた。
大胆? 構うもんか。これ以上嫌われる要素なんかないさ。
979猫シンジ:2009/10/07(水) 02:15:00 ID:???

 ああ、アスカの匂いがする。猫だった時は遠くからでも分かった。
でも今はこんなに近くないと分からないんだね。
「猫になって沢山のアスカを知ったよ。優しいアスカ、強いアスカ、そして弱いアスカ。
 全部僕の大事な記憶だ。大事な思い出なんだ。だから…何一つ忘れやしない。
 泣いてたアスカも、笑ってたアスカも、今怒ってるアスカも全部……好きだから」
 何を言っているのか自分でも良く分からない。思ったことを羅列しているだけだ。
でもアスカを好きだということだけは間違いない。後は――どうでもいいや。
「アスカのことが好きだから! だから何も忘れたくない!」
「あんたバカァ? あたしの気持ちなんて無視して言いたいことばっかり!」
 そう言うだけ言ってからゴツンとアスカの頭突きが僕の額に入った。
不意打ちだったのもあって頭がくらくらするほどの強烈なやつだ。
「ごめん、酷いことばかりして。嫌われても構わない。だけどいつか必ず振り向かせるから」
 もう一回アスカが身を剃らした。頭突きに備えて僕は思わず目を瞑る。
「本当にバカね。最初っからあんたを見ている女をどうやって振り向かせるのよ」
 今度は僕の唇を柔らかい感触が襲った。とろけるように柔らかいアスカの唇。
前にした時のキスとは全くの別物だ。キスがこんなに素敵なものだったなんて知らなかったよ。
全く予想していなかった感触と幸せに僕は時間が止まればいいとさえ思った。
けれど直ぐに思い直す。現状に甘えて未来に恐怖することの愚かさは十分に思い知ったから。
どんなに恐くても自分から歩き出さなければ、本当の幸せには辿り着けないんだ。
「シンジはこれからもずーっとシジのままね。あたしのペットにしてあげるから」
「嫌だよ。猫のままじゃアスカを抱きしめられないし……アスカに好きだって言えない」
「うふふ……そうよね。やっぱりあたしもシジよりシンジの方が好き」
 その言葉を確かめるように僕はもう一度アスカと唇を重ねた。

 こうして今日、僕の名前はシジから碇シンジへと戻った。

<<おわり>>
980猫シンジ:2009/10/07(水) 02:16:11 ID:???

ギリギリこのスレで終了を迎えられました。
ネタを抵抗してくれた方、感想をくれた方、支援してくれた方、本当にありがとうございました。
人間に戻ってからの展開に期待してくださった方、ごめんなさい。


>>942、943、945
単純な表記ミスと見直し不足です。ごめんなさい。
981名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 04:54:38 ID:???
>>980
GJ!楽しませてもらいました。ありがとう。
982名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 08:47:41 ID:???
GJ! 乙!
ひぃっぃぃ。
ええ話や猫シンジ大好きだ!

983名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 11:50:22 ID:???
誰か次スレよろ
984名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 12:11:47 ID:???
勝手にだが立てさせてもらった

LAS小説投下総合スレ21
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/eva/1254884993/
985名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 13:44:12 ID:???
>>980
お疲れ様でした。GJ!
可愛がられていたシジだけど、最後は自分の手でアスカを抱きしめられてよかったよ〜
986名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 13:56:01 ID:???
>>980
ども。ネタ抵抗した者ですw
シンジが猫になる…とかいう曖昧なリクエストを最高の作品にしていただき、ありがとうございました!
ラスト人間に戻っても、やっぱり可愛い2人がたまりません。
うわ〜最近全然書いてないから、自分も頑張って何か書かないとw
987名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 13:57:04 ID:???
>>984
あとスレ立て乙です!
988名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 22:45:44 ID:???
埋めるか
989名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 22:47:20 ID:???
990名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:10:05 ID:???
991名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:28:12 ID:???
992名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:31:49 ID:???
993名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:34:04 ID:???
994名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:34:18 ID:???
995名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:36:50 ID:???
996名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:38:52 ID:???
997名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:39:57 ID:???
998名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:40:30 ID:???
999名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:41:55 ID:???
>>989-998
素晴らしい
1000名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/07(水) 23:43:06 ID:???
1000ならアスカと結婚
10011001
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