★エヴァ小説を投下するスレ(ノンジャンル)★3.5

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1名無しが氏んでも代わりはいるもの
投下する作品のジャンルを問いません。
短編、長編、LRSにLAS、パロ、シリアスなんでもどうぞ。※エロは板的にNG
ただし、書き始めた以上は責任を持って完結を目指しましょう。
でないと、読み手の人がイーッてなります。

スレ違いと指摘する人がスレ違い。
趣味の違う作品は華麗にスルー。
このスレで叩く理由はあり得ません。

ただし、ここはエヴァ板なので他の作品とのコラボは非推奨。
乗せても良いけど、理解されずに誰もレスを付けないかも。

前スレ(dat落ち)
★エヴァ小説を投下するスレ(ノンジャンル)★3
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/eva/1224178567/
2名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 23:45:08 ID:???
糞スレ2get
3名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 00:05:52 ID:???
うpするろだってどこが良いんだ?
このまえうpしたけどあっという間に流れたわ
4名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 00:07:25 ID:???
>>3
何をうpしたいのさ?
5名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 00:09:57 ID:???
え?小説じゃないの?ここそのためのスレだろ?
ちなみに3MくらいのZipファイル
6名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 00:13:37 ID:???
ここは投下するスレで出来上がってるものをうpしてそのリンク貼るスレじゃないよ
7名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 00:15:33 ID:???
あーそうなのおk
8名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 05:56:19 ID:???
〜あれから〜





アスカ「…て、言うかさ。ムカつくんなら
殴り掛かって来るぐらいしなさいよ。いきなり首しめて来るなんて…アンタやっぱ頭おかしいんじゃない!?」

シンジ「……」

アスカ「はぁ〜?またダンマリ?何とか言いなさいよ!」

シンジ「……アスカは、目がさめた時怖くなかったの?」

アスカ「アンタばか!?いきなり涙流しながら
首しめて来るイカレた奴が目の前にいたのよ!びっくりしたに決まってんじゃない!このヒトゴロシ!」

シンジ「ごめん、でもそう言う事じゃなくてさ……」

アスカ「周りの事いってんの?」

シンジ「うん。」

アスカ「そりゃ…全然意味わかんないけど…。
生きてるのは確かでしょ?私達。」

シンジ「そうなのかな…?」

アスカ「ちょっと待ちなさいよ!私アンタと二人っきりであの世に来たなんて冗談じゃないから!」
9名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 06:31:04 ID:???

シンジ「……」

アスカ「……アンタがあんな事考えてたなんて、意外。」

シンジ「え?」

アスカ「い、言っとくけど同情なんてしてあげないわよ!?あんなの一人よがりもイイトコじゃない。根暗根暗!」

シンジ「……アスカだって、あんなに僕の事
邪険にしてたくせに…その…。」

アスカ「あれはアンタ…勢いよ勢い!!あそこはそう言う場所なんでしょ!多分!」

シンジ「アスカが何であんな必死にエヴァに乗って頑張ってたのかも……分かった気がする。」

アスカ「……」

シンジ「僕…本当馬鹿だね。何も知らなかったんだね…本当に。」

アスカ「ちょっと、何泣いてんのよ!もういいのよその話は!」

アスカ「もう…いいのよ。全部、壊れちゃったんだからさ…」

10名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 06:32:54 ID:???
アスカ「そんな事より…」

シンジ「?」

アスカ「ミサト、探すわよ!」

シンジ「え?」

アスカ「え?じゃないでしょ?このネックレス、完璧にミサトの奴じゃない!」

シンジ「それはそうかもしれないけど……」

アスカ「私、アンタとミサトがあぁんな事してるトコも見ちゃったぁ。」
ニヤ

アスカ「ほら、立って!」

シンジ「うわっ!」

アスカ「女にあそこまでさせといて、探さない何て言わないわよね!?続き…したいんでしょ…?」

シンジ「え…いやその…て言うか、何で若干ニヤけてるんだよ!」

11名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 06:51:05 ID:???
〜あれから〜






キール議長「…うぐ、馬鹿なぁ…計画は完璧に…か、体が…」

?「キール、ローレンツだな?」

キール議長「貴様は…っく!」







ダン

12名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 07:27:25 ID:???




?「計画通りに事が運んで何よりだ。」


?「我々にとっては大きな賭けでしたが。」


?「全ては最初から決まっていた事なのだよ。魂の回収など、できはしない。死海文書に書かれていた通りだ。」


?「どちらにしろ、遂に我らの悲願である“神“は無事誕生した。」

?「“遺産“への道は近い…」

?「だが、“天使達“が舞い降りるのはもはや時間の問題だ。」

?「早急にエヴァンゲリオンパイロットの保護を…」

?「全てはここから始まる…」

13名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 01:04:18 ID:???
中二病と腐女子の巣窟。
このクソスレがいつまで続くのやら、つーか新しいスレ建てんなよクソ>>1
14名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 22:41:58 ID:FukxNPen
ま〜たつまんねえSSを書きはじめては途中でなげだす馬鹿が一人
15名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 23:12:53 ID:???
>>13
それ言ったらエヴァ自体厨二じゃry
16名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 23:35:12 ID:???
シンジ「こちらスネーク、今第3新東京市内に到着した」
ペンペン「スネーク、どうやらポイントに到着したみたいだね。で、やっこさんは来たのかい?」
シンジ「まだ目標とは接触してない。そろそろ迎えに来てもいいころなんだがな、
    で今回の目的は何なんだ?」
ペンペン「これは日本政府筋からつかんだ情報なんだが、この第3新東京市にある
     特務機関ネルフの本部で新型メタルギアの開発が行われているそうなんだ」
シンジ「新型メタルギア?」
ペンペン「それも今までのメタルギアとは一線を画す性能だ。通常兵器が一切効かない
     それどころか、背中にコードを繋げて動力源を確保しているという変わり種だ」
シンジ「どこが新型なんだ。背中にコードなんてまるで子供のおもちゃだな」
ペンペン「ところが、第3新東京市には使徒と呼ばれる謎の飛行物体が不定期的にネルフ本部を襲うらしく
     通常兵器ではその使徒は倒せない。日本国の切り札N2兵器ですらやつらには傷一つすら与えられない。
     そこで新型メタルギアが使徒を殲滅するために活動する、というわけだ」
シンジ「わざわざご指名ということか。で、その新型メタルギアの写真をまたお前に送るのか?」
ペンペン「その新型メタルギアは今話したように、ネルフ本部の最深部で開発されている。ネルフの施設に入るために、
     君には葛城ミサトという人物と接触してほしい」
シンジ「まあ、わざわざつまらん写真を送りつけてくれたもんだ。まるで売春婦だな」
ペンペン「スネーク、特務機関ネルフは国連直属の組織だが、社会には公にされていない。彼女と接触しなければ、施設に入ることもたどり着くことも難しいだろう」
シンジ「オタコン、俺を誰だと思っている?」
ペンペン「中に入るまでは彼女の指示に従ったほうがいい。とりあえず、本部に着いたらまた連絡をくれないか?」
シンジ「わかった。でも、ここもあんまり安全じゃなさそうだ。その使徒とやらが軍隊と一戦を交えてる」
17名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 00:00:46 ID:???
30分後、シンジに変装したスネークは特務機関ネルフ戦術作戦局・葛城ミサトと合流し
ネルフ本部に到着。

シンジ「こちらスネーク、今ネルフ本部の内部に潜入した」
ペンペン「どうしたんだ。いつまでたっても連絡がこないから、心配してたんだ。
シンジ「それにしてもオタコン、お前は何をしてるんだ?すごく涼しそうじゃないか」
ペンペン「仕方がないな。僕はその葛城ミサトの自宅にいる温泉ペンギンに変装しているんだ」
シンジ「…正気か?よくもまあ、そんなかぶり物で堂々としていられるな」
ペンペン「天国だ、とでも言いたいのかな?しかし、実際に来てみると地獄絵図そのものだな。とても
     ネルフのおえら方とは思えない、半分ゴミ屋敷に近い状態だ」
シンジ「オタコン、お前のトサカにかかっているのはまさか…」
ペンペン「そうだよ。女性モノの下着、ブラジャーだよ。しかも何日も洗濯してない…」
シンジ「…すまない。で、ここから俺は何をすればいい」
ペンペン「あの後、いろいろとネルフや新型メタルギアに関して、いろいろと情報収集をしてたんだ。
     そしたら、どうやら君が接触した葛城というのは、新型メタルギアの開発者ではないことがわかったんだ」
シンジ「つまり、葛城はあくまで、潜入するための道具だと、やばい、やつが戻ってきた。話はあとだ」
18名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 00:03:23 ID:tNCuDKhT
わけもわからないまま、シンジに変装したスネークはいつのまにか新型メタルギアの前にいた。

シンジ「こちらスネーク。どうやら、これが新型メタルギアらしい」
ペンペン「写真は撮れたのかい?」
シンジ「今そっちに画像を送る。あの後、俺は碇ゲンドウというネルフの最高責任者と、
    新型メタルギアを開発したと思われる赤木リツコという厚化粧の女、それと綾波レイとかいう
    メタルギアのパイロットらしい少女と遭遇した。しかも、そのメタルギアは、
    汎用ヒト型決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオンとかいうややこしい名前に変えられてた」
ペンペン「ほう、今までのメタルギアとは全然違うアレだね」
シンジ「オタコン、これから俺はこのエヴァとかいう新型メタルギアに乗せられるハメになった。
    何とか理由をつけて逃れようとしたが無理だった。あの綾波レイとかいう、顔白で体調が悪そうなのを
    ちらつかせて、乗れ乗れとせかされたんだ」
ペンペン「スネーク、その碇ゲンドウという男が特務機関ネルフの最高司令官で『碇司令』と呼ばれている。
     それで新型メタルギアを開発したメンバーの一人が赤木リツコ、葛城ミサトは現場における作戦司令官だ」
シンジ「そんなことよりも、俺は今から新型メタルギアに乗るんだぞ。しかも今までのとは全然違うみたいだし、
    わざわざ回りくどい名前で産業スパイから逃れようと必死だ。使徒って産業スパイのことじゃないのか?」
ペンペン「スネーク、とりあえずその新型メタルギアに乗ってみてくれ。僕はもう少しネルフについていろいろと探ってみる」
シンジ「了解」

第1話 糸冬 つづく?

19名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/12(水) 23:47:36 ID:???
エヴァ板良スレ保守党
20名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/18(火) 18:21:21 ID:???
エヴァ板良スレ保守党
21名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/23(日) 22:37:42 ID:???
ヱヴァ板良スレ保守党
22名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/25(火) 22:17:39 ID:WWeLUW70
ここってオリキャラ出しても大丈夫ですか?
23名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/25(火) 23:23:37 ID:???
出してもいいけど反応は悪いか、ない場合が多い
オリキャラ出すとその作者のオナニー度が上がるからねえ
2422:2009/08/26(水) 00:38:26 ID:Mglm7wvQ
>>23さん
ありがとうございます。
うーん…頑張ります…。
もう少し推敲してからにします。
25名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/26(水) 00:55:54 ID:???
>>24
俺の個人的な意見だしここは自由に投下していいレスだから投下すれば?
どっちにしても二次創作なんてオナニーには変わらんもんだし
まあ、元々エヴァ自体が庵野のオナニー作品と言えなくもないしw
2622:2009/08/26(水) 10:06:48 ID:Mglm7wvQ
>>25さん
なんかごめんなさい!
ありがとうございます^^
誰がどう捉えるか分かりませんが、とりあえず一章投下してみます
2722:2009/08/26(水) 10:10:57 ID:Mglm7wvQ
「…ここの坂をずっと上がってけば、その家に着くよ。」

老婆が皺が畳まれた指で、よれよれで、油性ペンで地図が大雑把に描かれているメモを弱々しく指差す。
日差しが南中するさなか、少年は何度も頷いた。
左に分け目のある、少しばかり長い前髪がそれに合わせて揺れる。

「ありがとうございました。」
「はいよ、」

そして、礼を告げた後、坂へと黒い短髪をはね上げ、揺らし、かろやかにスキップするように駆ける。

「…ほんとに、行くのかね?」

ふとそよかぜが、しわがれた声をはこぶ。
他人を気遣う割には、優しすぎる声でもあった。
思わず止まると、枯れ果てた大樹の下で、きゅっ、と磨り減ったゴムが鳴き、スニーカーが軋んだ。

「どうして、ですか?」
「あそこにはね、」

そこで一息置いた老婆は、整備し直される余地もない、ひび割れたコンクリートの隅に追いやられて居る大樹に目をやる。
その間、汗のにじむ、普段は日にあたらないために決して健康的な色みではない、白い首筋を、唾をごくりの飲み込み、揺らす。

「魔女が棲んでるという噂だよ。」
2822:2009/08/26(水) 10:12:09 ID:Mglm7wvQ
長い坂を登って、息をぜえぜえと切らしながらも、古ぼけた廃墟に近い洋風の家に辿り着いた。
一帯はこの家の他には何もなく、まさに魔女が棲むと言われても仕方ないような辺鄙な土地であった。

まさかここが、15年前までは要塞都市だったとは想像もつかない。
当時は復興の兆しも見られないくらいの壊滅ぶりだったらしいが、現在はようやく農村にまで回復した。
そして、29年前のセカンドインパクトによって世界人口が半分になり、その後のサードインパクトは未然に防がれたのにも関わらず、世界人口は随分と減った。
それは今も変わらずに減り続けていて、いつ、人類が終息の時を迎えるか、などと酷な課題に躍起になって科学者たちが言い争って居る。

しかし、今を生きて居る。
それだけでも幸せなのだと幼き日に誰かが言っていた気がした。

思い出したいのに、思い出せない。
この少年の細いラインを、強調していると言わんばかりの肩には、そんな数多の思い出せない思い出が重くのしかかっていた。
制服の白い生地が、日光を吸収して暑かったのもあるが、それ以上にどんな『魔女』が棲んで居るかという不安からか、嫌な汗をじっとりとかいていて、拭っても拭っても暫くの間、じんわりと噴き出していた。
2922:2009/08/26(水) 10:13:17 ID:Mglm7wvQ
ようやく息を整えたところで、蜘蛛の巣がはびこっているインターホンに表情を曇らせながらボタンを押す。
が、ボタンが割れ、押し込まれている時点で鳴る筈もなく、仕方ないので扉を二回トントンとノックした。
暫くしてガチャ、と何ともつまらない音を立ててドアは容易く開いた。


出て来たのは、金の長髪、すらっとした四肢。左眼にざっくりとある、傷が特徴的であった。
あとは、どこか出掛ける予定だったのか、白いシャツに黒いロングスカートという、しゃんとした格好であった。
少年がしていた予想よりも、はるかに若かった、目の前の女性は、玄関のドアのノブを掴んだまま、蒼い透き通った眼をずっと見開いたまま硬直している。

無理もない。アポイントメントも無しに来訪してしまったからだ。
急な来訪なのは、彼女の存在を三日前に知ったばかりであったためである。
少年もまた、蒼い眼に貫かれ、身動ぎが出来ないさなか、水分を渇望する喉笛から、掠れた声を絞り出す。

「あの、式波さんの…お宅でしょうか?」

そう声をかけると、どうやら外国人らしい彼女は、はっ、として少年を見た。

「…あんたは、」
「――碇レイジ、です。」

そう名乗ると、彼女は息をひそやかに呑み込み、黙ってレイジを招き入れた。
3022:2009/08/26(水) 10:16:09 ID:Mglm7wvQ
「…はい。」
木目調のテーブルに無造作に紅茶が置かれた。
しかし動作の割には、水面は湯気を放ちながらテーブルと同じような、やさしい色の波をつくっていた。
「ありがとうございます、あの、式波…さん…?」
上がり口調に言うと、向かい側のイスに座った彼女は薄く笑った。
「私は式波・アスカ・ラングレー。…アスカで良いわよ。」
「…アスカさんは、エヴァンゲリオンのパイロットだったんですよね。」
「はは、単刀直入ね。…そうよ。」
巧みに日本語を駆使するアスカはよく笑う人らしく、表情はやわらかい。
それによってレイジは少しだけ安堵の息を細くもらした。
「僕の父や母も、ですよね?」
瞬間、一転して表情が硬くなる。
「…ええ、やっぱあんたって、」
レイジは黙って頷いた。
アスカの蒼い眼から離し、行き場をすっかり無くした視線は、カップの中の海におぼれてゆく。
そしてあまりにも、淡々と、

「はい、実験的につくられた子供です。」
そう静かに告げると、それは知らなかったようで初見のときのように眼を見開く。
「え、実験的って、」
乾いた喉を、砂糖も何も入っていないために少しばかり苦い紅茶で潤し、言葉を紡ぐ。
「…当時、パイロット同士の子供なら、より優秀なサンプルが誕生すると、考えられたようです。」
レイジは、アスカの返事を待たずに続ける。
「ですから、父と母は肉体的な交わりを持たずに、人工受精を行なったそうです。」
「…。」
アスカは説明をはじめてからは、口をかたく閉ざしている。
「父と母は、了承する以前に言ったそうです、」

『この先アスカが傷付けないようにしてくれるなら、引き受けます。』
『二番目の子にやらせるなら、私がやります。』

彼女の目の前にある白いカップに、一滴の涙が波を立てた。
31名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/26(水) 12:32:56 ID:???
>>27
メール欄にsageって入力した方がいいと思うよ。小説投下時は名前を入力して、それ以外の場合は名無しがいいみたい。
おれは最後まで作品を投下してくれればいいと思う。途中で投げ出されるのは嫌だ。というわけで投下待ち。
32名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/26(水) 13:38:15 ID:???
>>31さん
ご親切にありがとうございます!
様子を見てたのですが、とりあえず今日明日くらいで一章が投下出来たらいいなと思います
3322もといシイ:2009/08/26(水) 13:41:24 ID:???
嗚咽をもらすアスカにレイジは、淡々とした機械的な口調から、意識せずとも普段の口調に戻す。

「だから、教えて下さい。そんなに大切にされた、アスカさんでしか知らない、父…碇シンジのことを。」

それからは、しばし沈黙が続いた。
否、広いリビングに嗚咽だけが響いた。
やがて、若干の涙声が嗚咽の代わりにフローリングの上をすべってゆく。

「…何年ぶりかしら…いえ、サードインパクト以来、初めてかもね、」

こんな廃墟に近い場所では、人と会話することも希少な筈なのに、随分と口調はさらりとしている。
実際、サードインパクトは未然に防がれた訳だが、アスカにとってはもう既に起こったとされる物言いであった。

アスカは未だ生々しい傷のある、目元をぐいっと拭った。
その拍子に、雫が弾け飛ぶ中、レイジを見つめ微笑みながら、続ける。

「…シンジのことを話すのは。」

レイジにはアスカのその涙混じりの微笑みが、哀しいものにしか思えなくて仕方がなかった。
34シイ:2009/08/26(水) 13:42:09 ID:???
「…あんたレイジ、だっけ。ひどく酷似してるのよ、シンジに。」
「そうなんですか。」

アスカの所在地を教えてくれた、ある人にもそんなことを言われたのを思い出しつつ、レイジは曖昧な相槌を打つ。

「それにしても、母親のことは聞かないのね。」

母親、綾波レイ。
レイジは、目尻が紅く染まるアスカを見上げた。

「何か、知ってるんですか…。」

そう言うが早いか否か、アスカは急に立ち上がり、礼服を羽織り、漆黒の眼帯を着け始めた。

「んー、これ着けにくいなー。」

暫時の間に目まぐるしく状況が変化してゆく為に、レイジは呆然とするばかりだった。
そしてアスカが眼帯をようやく着け終わった頃、ようやくやんわりと口を開く。

「…どこに、行くんですか。」

ガラリ、と窓を空け、そとの風を受けて、さしずめ当たり前かのように、眼帯に礼服姿のアスカはさらりと言ってのける。

「彼女のところよ。」
35シイ:2009/08/26(水) 14:53:17 ID:???
未だにアスカの言う「彼女のところ」が理解出来ないまま、庭から摘んで来た、意外と彩りのある花束を持つ彼女のすぐ裏をついて、緑が生い茂る子道を数分歩く。

「なんでかしらね、赦されたいから、ここに居るのかもしれないわ。」

ひそやかに、独り言のように呟く言葉が脳裏に溶け込む。

確かに、廃墟を住みかとする理由はない。
実際レイジも、今現在の都市に移り住んで居る。
物心ついた時から田舎の施設で育って来た。辛くもなく、楽しくもない、ただ退屈な場所であった。
ほんのつい半年前のことだ、不思議な雰囲気を纏った女性に引き取られたのは。
伴侶も居ないのに、どうやってレイジを引き取れたのかは定かでないが、彼はただ、この退屈な日々から抜け出せることに、わすがながら淡い期待を抱いていた。
そのため、ここに逢着する迄に、かなりの時間を要したことを不意に思い立った。

「着いたわ。」

ざわっ、と一際夏の風に緑がさざめき合う。
その風に、少年は暫し揺らいだ。
そして彼女は、哀愁の念を孕み、透き通る蒼い眼をいとおしげに、遠くに投げ掛けるように細める。
レイジはそんなアスカを一瞥し、同じように眼を細める。

その先にあったものは、

「ここに、母さんが眠っているんですか。」

墓場だった。
レイジは、ようやくアスカの言葉の意味を悟った。
36シイ:2009/08/26(水) 14:56:58 ID:???
「…ええ、こっちよ。」

アスカは閑散とした墓場を、慣れたように動きまわる。
既にこれは習慣となっているのだと、その動きを見て、レイジは小さな背中を追った。

数多の墓標には、セカンドインパクトやサードインパクトによる死者の名がひとつひとつ、刻まれていた。
それは醜い生存競争の中で、人間が犯した罪を、掘り起こし、痛感するにしては十分すぎる数だった。
膨大な数の墓標を眺めながら、自分が生まれ落ちる以前の地球、壮大なる宇宙に、思い馳せた。

不意にアスカが立ち止まった。
レイジは思わずつんのめりそうになり、ふらつく。
声を掛けようとした。が、アスカの肩が震えていることに気付き、レイジはひどく狼狽した。
そういう時の対処法を持ち合わせて居なかったためでもある。
とにかく彼は、感情の起伏の多い人間とは、あまり接点が無さすぎたのだ。

静寂に満ちていた筈の墓場には、人影が二人の他にもあった。
その一つの人影は、彼らが目指していた筈の、ある墓標の前で目を瞑り、両の手のひらを合わせている。

その姿は、レイジと瓜二つといったところだった。
37名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/26(水) 15:17:29 ID:???
訂正です、しくじりました。
>>36の「半年前」は「半月前」です、すいません。
38名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/26(水) 15:19:36 ID:???
>>35でした、連投すいません。
39シイ:2009/08/26(水) 20:32:36 ID:???
「シン、ジ、」

ぱさり、とあまりに容易く地に落ちた、この場に相応しくない色彩を放つ花束に、簡易に巻かれた薄い透明なビニールが音を響かせた。
その音と声に反応して、呼ばれた青年が振り返る。

「――シンジ!」

彼女は二度目に名を呼んだ時には、金髪を翻し、スカートであることを忘れているかのように、花束を大きく跨いで彼に抱き付いて居た。

「アスカ、…アスカなの?」

シンジ、と呼ばれた青年はスーツに包まれた腕を彼女の肩に伸ばしかけて躊躇っていた。

「生きてたのね!連絡くらい、寄越しなさいよ!」

強気な口調とは相反して、嗚咽は止まらない。
その間、レイジは周りにちらほらと花びらが舞う、墓標に刻まれた「Rei AYANAMI」という文字とともに、彼らを呆然と眺めているだけだった。
まるでブラウン管越しに見つめているかのように、目の前の光景が他人事に思えた。
自分という存在が浮き上がり、虚空に霧散した気さえする。

「父さん…。」

そんな独り言は、花束に寄り添って虚しく横たわっただけだった。


第一章・終
40名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/26(水) 23:43:03 ID:???
やっと一章書けた…。
多分今後は宿題に追われるので投下速度はカメ級になりますがご了承下さい。
って言っても見てる人なんてきっと居ないけどw
41名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/27(木) 00:58:45 ID:???
>>40
とりあえず、おれは読んだよお。
42名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/27(木) 01:13:23 ID:???
続き期待
43名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/27(木) 02:18:30 ID:???
>>41さん>>42さん

読んで下さっている人がいるとは…!
ありがとうございます、書く原動力です。

第二章は若干、新劇場版:破のネタバレを含むのですが、大丈夫ですかね?
(大半マリの嗜好とか物言いとか)
44名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/28(金) 01:51:53 ID:???
とりあえずバレがないところまで投下しておきます(独り言)
45シイ:2009/08/28(金) 01:54:59 ID:???
暫くして、急にアスカが顔を赤らめ、シンジの胸から身体を離したのは言うまでもない。

「…アスカだって行方を眩ませたじゃないか。」
「う…。」

先程の問いに答える余裕がようやく出来たシンジは、改めて不自然な程に、自分に似た少年に振り返る。

「君は、」
「…はじめまして、父さん。」

実質、「はじめまして」ではないことくらい、彼は判って居た。
しかし、それは彼の記憶に無い程の過去だった。

アスカの肩をそっとすり抜け、ゆっくりと、シンジは歩を進める。
レイジの目の前に来て、すっ、と手を持ち上げた。
少年は身を固くし、ぐっと瞼を閉じた。
眼をおそるおそる開いた時には、頭上に暖かな温もりがあった。

「ありがとう、生まれてきてくれて。」

レイジは、生まれ落ちた時以来の涙を静かに流した。
これが、涙。
嬉しいときにも流れるものなのかと、レイジは不思議に思った。
ありがとう、なんて言われたことなんて、この頼りない両手の指で数え切れてしまうほどだ。
ましてや、自分が生まれて来たことに感謝されるなど、かつてなかった出来事であった。
この人が、父親で良かったと心から実感したのも同時であった。

黒髪の上にある手のひらの温もり、暫くの間は取り払われたくなかった。
46シイ:2009/08/28(金) 01:57:32 ID:???
「やっぱ、あんただったのね。」

この父子の在るべき姿をあたたかく見守って居たアスカは、もう一人、同じようにして見守る存在に気付き、ふっと呟いた。
取り払われる手のひらを名残惜しそうに見つめ、レイジは、今は墓標を優しげに撫でる手のひらの持ち主の声に耳を傾けた。

「綾波はね、君を産んですぐに亡くなったんだ。」

レイジは思わず表情を曇らす。
シンジは雰囲気を和らげるように微笑みをもらした。

「そんな顔しないで。元からサードインパクトの影響もあったんだ。」

墓標から手を離し、立ち上がる。
風が強くなり、ひとかけの花びらがレイジの黒髪に彩りを持たせた。

「君を産むことに懸念する声もあったけど、綾波は君が無事に生まれたことを喜んでたよ。」

それは、彼女は全く知らない話でもあり、アスカは薄く自嘲気味に鼻から息をふん、ともらした。
彼は再び手を伸ばし、レイジの髪に捕らわれている花びらを、憐れむように指で掬い取った。
その時アスカは気付いた、シンジの左手の薬指に、くすんだ色の灯りがあることを。
そのことに気付いた途端、ひどく彼女は動揺して居た。
うそよ、でも…。

声にならない呟きは、あたたかな日差しの中に吸い込まれていった。

「僕は父さんの代わりにネルフに常駐してて、久し振りに外に出たよ。丁度十五年振りかな。」

十五年、あまりに長い年月にアスカは目を見張った。

「だから、代わりに彼女に君を引き取りに行ってもらったんだ。」

そう言って、金髪の女性が居る位置とは真逆の方角に首を向けた。
47名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 17:26:35 ID:???
GJ!
48名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 22:25:24 ID:???
>>47さん
ありがとうございます!

続き投下しても大丈夫ですかね?
49名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 22:37:01 ID:???
GJです。
気後れせずどんどん投下しましょう。
レスがなくても読んでいる人がいると信じて。
50名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 23:08:01 ID:???
続きを速く!!!もう気になって気になってしょうがないねん
51名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/29(土) 23:31:08 ID:???
>>49さん、>>50さん
ありがとうございます!

わああ、嬉しいです!頑張ります!(課題も)
52シイ:2009/08/29(土) 23:37:08 ID:???
「やっほー、ワンコくんたち。」

彼が気がつくと、もう目前にセミロングの茶色の髪に赤ぶち眼鏡の彼女が立って居た。
ちなみに、施設から彼女の部屋への引っ越しの際に、サードインパクトによって自慢の髪が肩の上まで焼切られてしまったために、なかなか伸びないと、軽々と小さな段ボールを担ぎながら、そんなことを言って居た。

「マリさん!」
「この度は、息子をどうも。」
ぶらぶらと陽気に手を振る様は、この場に最も似つかわしくないと感じたアスカだが、彼女も礼服を着こなして居て、皮肉の言葉を呑み込み、甘んじて眉をひそめるだけであった。
「ううーん、仕事ないしさー。」
とは言っても、膨大な金額の賠償金が各々のパイロットに支払われている筈だ、アスカは実際それで生計を立てて居る。
マリは口許に意味有りげな微笑みをたたえながら、シンジの襟を掴み、肩にその端正な顔を埋めた。

「え!」
「あ、あんた!」
アスカとシンジが驚嘆の声を響かせる中、レイジは心中のみで、溜め息を吐いた。ちなみに彼は初対面で、その異常なる行動をされて卒倒しそうになったものだった。
「相変わらず、L.C.L.の匂いがする。良い匂い。」
その間もアスカは、わなわなと肩を震わせていた。
「あんたねぇっ!いい加減に、…!」
つかつかと歩み寄ったアスカにもマリは同じ行動を取った。
「…もしかして花でも抱いてた?L.C.L.の匂いも混ざってるにゃー。」

結局、レイジはその光景に、深い深い溜め息をもらしてしまった。
しかしレイジは知らない。L.C.L.は血の匂いにあまりにも似ているということを。
53シイ:2009/08/30(日) 00:03:46 ID:???
「と、とりあえず、墓参りに来たんだから…ほら。」

シンジが花びらが幾分か散ってしまった、不格好な花束の先端をアスカにもたげた。
未だ不機嫌そうに、つんと横を向いたアスカの姿は、彼らの当時築かれていた人間関係が窺えて、レイジはシンジの後ろで思わず噴き出してしまった。

「あらら、まだ拗ねてるのー。」
「うっさいわね!」

マリを睨めつけるように横目で一瞥し、ちっ、と短く舌打ちすると、シンジから半ば奪い取るようにして受け取り、そのまま本来最初に向かい合う筈だった、彼女へと捧げた。

「…今年は賑やかでしょ、良かったわね。」

花束と共に、静かな黙祷も捧げた後に、アスカは口角を少し和らげて言った。
それは、ささやかながら、親愛なる者に向ける弔いだと、初めて墓参りと言うものを目の当たりにして少年は感じた。

「さてとー、帰ろっか。」
「え、」

レイジはマリの突然の言葉に驚きを隠せない。

「パイロット同士、お互いつもる話があるのよ。」
「でも、」

不満の声音が口をつく。が、

「大丈夫、また会えるから、ね?」

そうやって、彼の応答を待たずして鼻歌混じりにレイジの手を引く。
振り返った時には、アスカとシンジは寄り添って、花束が手向けられた彼女に、既に背を向けて居た。
54名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 00:16:20 ID:???
綾波が死んでるあたりでなんかもう泣きそうだわ…続きを速攻希望!
作者GJ!
55名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 01:55:34 ID:???
>>54さんだけでなく綾波派さん方、ゴメンなさいっ!
だいぶアスカを贔屓した展開なのでw
回想シーンとかありますので、暫くお待ちを…。
レスもらえると意欲湧きます、ありがとうございます!本当に課題やばいのに今日だけで三章まで書き溜めしてしまったのは何故…w
56シイ:2009/08/30(日) 03:59:46 ID:???
「なんで、父さんが生きてるって教えてくれなかったんですか。」

寂れた交差点での、ほぼ意味を成していない信号待ち、歩行者側のシグナルが点滅する中、マリが運転する停止した車内で、レイジは柄にもなく紅潮した頬を膨らませて居た。
小さな手は、ちょこんと、拳を膝の上で二つほど形づくっていた。

その行動が、あまりにも年相応に思え、普段のませた態度と無意識のうちに比較し、マリは噴き出すのをこらえるために頬を引きつらせ、口角だけを上げている不自然な笑いになった。

「だって、知るも知らないも君の自由でしょ?、教えることは教えたつもり、最低限はね。」

彼女のどこか食えない物言いに、ますますレイジは、眉を上げ気味に、はち切れんばかりにフグの如く膨れ上がった。

やれやれ…これは懐かれたってことかな?

マリは僅か半月で懐柔された子犬を尻目に、青信号になった道路へと満足気にアクセルを踏み鳴らした。
57名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 04:09:39 ID:kAQWraHu
リアルタイムGJ!
58名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 04:10:45 ID:???
sage忘れた…
許して
59シイ:2009/08/30(日) 09:06:40 ID:???
「十五年間、ネルフで何してたの。」

ベランダに、寄り添いながら腰掛ける男女が居た。
庭の樹々が囁きあうように揺れる様子を眺め、十五回目の秋の訪れを待たずして、一枚の紅葉が彼の膝に舞い散る。

「始末書とか、書いてたかな。あと、ちょっと研究。アスカは?」

「何にも、ただ彼女のところに毎日おしゃべりに行ってただけよ。」

そのために、此処に住んで居るようなものだから。

その一言は喉元にまで込み上げたが、再び心の隙間に棄て置いた。
勿論、彼女とは何も語らずに静かに立って居るだけの墓標のことだが。

「レイジや、あんたのことは、どうして黙ってたのよ。」

深呼吸をひとつ、ふたつ、繰り返し、彼は紡ぐ。

「綾波は僕の気持ちを知ってた、だから自ら残酷な道を選んだ。」

アスカは俯いた、返す言葉が模索しても見つからないと嫌という程、判っていたからだ。

「サードインパクトが起きて、…いや、起きかけてエヴァは全機消滅したね、」

ふと古い映像が脳裏に鮮明に甦る。
紅い雨が降り注ぐ中、遥か天上に近いところに在る、虹を見上げて、『さよなら、母さん。』、呟いた、傷だらけで微笑む少年を、彼女は追憶の対象とした。

しかし、彼女は知っている、彼は自身の手で母なるエヴァを、破壊したことを。
60名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 11:51:25 ID:???
朝4時投下とか作者がんばるねww良いよこういう展開。すごいおもろス
61名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 12:02:16 ID:???
面白い分、小出し投下がもどかしいw
けどGJ!アスカ好きなんで>>55で期待がより高まった
続き楽しみにしてます
62名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 12:40:21 ID:???
>>61さん
宿題を溜めていた者のさだめですw
学校では大人しい女の子を保つ為に頑張りますw(既に大人しくない)

>>62さん
一回一回最終チェックしながらなのでどうしても小出しになってしまうんですよね…。
奇遇ですね、私もアスカ好きですよ!
63名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 12:42:00 ID:???
>>62
レス番が一つずつずれてます(また)
申し訳ございません!
64シイ:2009/08/30(日) 13:07:56 ID:???
「エヴァに乗る義務がなくなった、ということは、レイジは要らない存在になってしまったんだ。」

少年の酷な運命に、彼女は唇を噛み締めた。感情的になったせいか、自ずと彼の独壇場に仕立てあげた筈なのに、横から口を出してしまった。

「だから、田舎に預けたのね。」
「うん。そこが一番命を狙われにくかったから。」

用の無くなった者は、抹消。
どの道、組織内で匿って育てるには不可能に近かった。

「でもね、一緒に暮らせる方法が見つかったんだ、」

しかし、声音とは逆に苦悶の表情を浮かべる彼。
その表情を見て、彼女は気付く。
否、聡い彼女は、気付かずには居られなかった。
以前、赤木リツコ博士が責任者を務めて居た、「E計画」を継ぐ形になったのだった。

「また、エヴァをつくるの、」
「いや、つくらせないよ、そのためにアスカの力が必要なんだ。」

彼の瞳には決意が強く滲み出ていた。
アスカは、その眼に射抜かれ、久々にぞくぞくするような、無邪気な少女時代に感じた、心が昂揚する浮き足だった気持ちに見舞われた。

「バカシンジに頼まれたなら、仕方ないわね。」
「…ありがとう。」

シンジが礼を告げ、微笑むのを見て、アスカは誇らしげに声なきまま笑った。
65シイ:2009/08/30(日) 13:09:12 ID:???
「それと、」

彼女は悪戯っぽい笑みを滲ませて、彼の左手の薬指をつついた。

「まだ付けてたんだ。」

最後の夏祭りの夜店、お揃いで買った、安っぽいシルバーリング。
それは過去、中学生だった頼りない彼ら二人が誓えない未来への慰め、即ち愛のかたちとしてお互いの左手の薬指に嵌めた指輪だった。
愛のかたち、小癪な響きに当時は苦笑したものだが、今は安らかに枷の如く、固くなった彼の指に嵌っているのだった。

十五年もの長い歳月の間もありながら、彼が外さずに付けていたことに先程は目を疑った。

「アスカは…、」

不安そうにシンジは、蒼い眼を見つめる。

「バカね、そんな顔しないでよ、…ほら。」

胸元から、ネックレスに仕立てられた指輪を取り出した。
シンジはそれを見て、曇って居た頬に、満面の笑みをたたえた。

「嵌んなくなっちゃったのよ。」

よっぽど悔しいのか、ぎりりと歯を鳴らす彼女に、まあまあと苦笑し諫める。
指輪を持って居るということ、それは即ち今でも気持ちは変わらないという、意思表示でもあった。

だからシンジは告げる、

「新しいの、欲しくないの?」
66名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 13:41:30 ID:???
ごめん情報がたくさんありすぎるけど一つだけ言わして
作者女だったのか…!
67名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:09:03 ID:???
すまんもう待てへん!続きをはやく…もう限界。なんかもうムズムズするww
68名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:11:39 ID:???
>>66
女の端くれですよw

>>67
わかりました、今日で第二章完結させますw
69シイ:2009/08/30(日) 14:14:44 ID:???
彼女は意味が理解出来ずに唖然とし、否、判っていたが、信じられない心情の中、ぼうっとしてシンジを見上げた。
風が疾走った、彼女の長い金髪がなびく。
目にかからないくらいの短さを保つ、前髪がふわりと浮いた。

「どういう…、」

言葉を紡ごうとした唇は、彼によって封じられた。

十五年振りに合わせた唇は、微かにほろ苦い、でもあたたかな紅茶の味がした。
かつて、レイジの産みの母の部屋で飲んだ味に似ていることが、彼の脳裏によぎり、この愛は尊い犠牲の上に成り立って居ることを改めて自覚した。

暫くして、唇を離した彼は、頬に添えた手のひらで彼女の黒い眼帯を外し、親指でそっと、眼下の生々しい傷跡を撫でた。

「…傷、残っちゃったね。」
「あんたが貰ってくれるなら苦にならないわ、そうでしょ?」

未だ一枚の紅葉が乗った、彼の膝には、白い薬指に新しい灯りがある、彼女の手のひらがあった。


第二章・終
70名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:33:40 ID:???
もう書かなくていい
つらいから
71名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:33:40 ID:???
うわ…
>>23>>25は俺なんだけど
女の子とは知らずにオナニーとか言っちまってるし…
許せ(;・∀・)
72名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:34:27 ID:???
>>70
読まなきゃいいやろ
投下してくれてる人に失礼
73名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:36:29 ID:???
二章で終わっとけ糟
74名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:38:37 ID:???
投下する作品のジャンルを問いません。
短編、長編、LRSにLAS、パロ、シリアスなんでもどうぞ。※エロは板的にNG
ただし、書き始めた以上は責任を持って完結を目指しましょう。
でないと、読み手の人がイーッてなります。

スレ違いと指摘する人がスレ違い。
趣味の違う作品は華麗にスルー。
このスレで叩く理由はあり得ません。

ただし、ここはエヴァ板なので他の作品とのコラボは非推奨。
乗せても良いけど、理解されずに誰もレスを付けないかも。

文句言う奴は出てけ( ゚Д゚)ヴォケ!!
75名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:41:15 ID:???
なんというか、繊細な感じがして良いな
76名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:50:52 ID:???
>>75
自画自賛乙
77名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:54:51 ID:???
なんでこういう目立ちたがりって自分は女の子ですっwアピールしたがりが多いんだろう
いらねーネカマ
78名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 15:02:30 ID:???
>>76
>>77
>>1読んでおとなしくしてろ

そもそも小説とか投下するのは他人に自分の作品を読んでもらいたいからだろ
自己顕示欲のない人間ならそもそも投下しないし
くだらない中傷レスしか出来ない作品投下する才能もない奴は黙ってろ
文句言うなら作品投下でもしてみろ
79名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 15:11:54 ID:???
スルーもできないクズは出てけよw
80名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 15:12:18 ID:???
78さんに同意 作者の人に失礼だよ 読みたくなければ来なければいいじゃない。
気にするな作者!第三章も期待してます!
81名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 15:16:19 ID:???
>>79
オマエモナー(=゚ω゚)つ)゚∀゚)グァ
82名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 18:06:16 ID:???
携帯電源切れてるうちに、なんだかすごいことに…。
作者のシイです。拙作を投下してしまい、申し訳ありません。しかし、直接に色んな意見を聞きたかったから、ここに投下しました。
厳しい意見をくださった方、もう見てないかもしれませんが、描写が駄目とか、もう少し詳しく教えてください!お願いします。
後、申し訳ありませんが、この拙作でLRSを求めている方はもう少しだけ目を瞑って下さると嬉しいです。

違う話でも盛り上がって居るようですが、今ネットの中では女って希少ではないですよね?充実している方には失礼ですが、少なくとも、私は生まれてこのかた、一度たりとも女に生まれてきて良かったなんて思ったことありません。正直、男に生まれたかった。

書き溜めがなくなってしまって投下速度は遅くなりますが、完結目指したいと思います。
どうしてもこのスレで書けないようになってしまったら、サイトとかブログとか立ち上げてでも書き終わりたいです。

エヴァ小説を書いたのは、初めてなので色々と至らないところもありますが、あと少しお付き合いしてもらえたら、と思います。

応援してくださった方、批判や中傷等々も含めて、感想を下さってありがとうございます。
83名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 19:07:15 ID:???
まあ色々言いたいことはあるんだけどまさか第2章で終わりなんてことは無いですよね!!??
もうひとつ、 あるとすればぜひ続きを希望!たのみます!
84名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 21:17:14 ID:???
これだけ叩かれてんだから無理じゃね?
85名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 21:22:21 ID:???
なんか続きが気になってしょうがないわ…つか叩くなよ!
86名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 21:27:15 ID:???
おい、シイさんよ。
軽い気持ちで書いてんですか?
叩かれたとか関係ないです。
作品は最後まで書いてください。
書いていくうちにうまくなるよ。
87名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 21:49:43 ID:???
このスレが賑わってんのも珍しいしなw
88名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 21:59:31 ID:???
86 口調が怖いよww
89名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 22:05:32 ID:???
>>86書いていくうちにうまくなるよ。
てことは今はへたk(ry
90名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 22:22:56 ID:???
>>87 確かに二章完結してから一気に住人増えたよなw
91名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 22:49:47 ID:???
このスレを覗いてる人間がこんなにいたことに驚いた
92名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/30(日) 23:23:56 ID:???
今までにない作風だから逆に賛否両論も生まれるのかね
93名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 00:06:07 ID:???
ところで自称女子学生の作者が消えたんだがww
94名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 00:12:09 ID:???
>>93
学生で宿題もあるって言ってたし
作品を投下してくれるのを待てばいい

ここは雑談スレではないし
まさか女だから雑談したいとかって色めき立ってるわけではなかろう?
95名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 00:38:18 ID:???
内容に全然関係ないが、この作者さんは会話文の最後に句点をつけてるけど、他の小説系スレ見ても結構いるんだよな
で調べてみたら学校では「」の最後は句点で終わるように指導してるとのこと
びっくりしたわ、俺の子供のときもそうだったかなぁ・・・忘れてしまった
96名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 00:58:17 ID:???
文法的には「。」が正しいんだよな
句点を付けないのは新聞小説での文字数調整で省いていたのが定着しただけであって
今ではどちらも文法的には間違いじゃないって事になってるけど
97名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 01:15:18 ID:???
>>94
いやいや作者本当に女なのかなって
98名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 01:20:39 ID:???
>>97
どっちでもいいやん
書いてるのが男だろうと女だろうと若かろうが年配だろうと
作品には関係ないと思うんやけど
99名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 01:59:28 ID:???
>>98
まあそうだよな。変なこと聞いてスマン
100シイ:2009/08/31(月) 17:21:55 ID:???
話は、半月前に遡る。

人形のように、どこか一点を見つめ、浮わついた視線の主を、施設内を説明する二人の職員の隙間から、赤ぶち眼鏡の奥にある鋭い眼光が捉えた。

マリが彼の目の前を通り過ぎようとする。
が、立ち止まり、職員たちに宣言するように、

「この子を引き取ります。」

「な…。」

意見しようとする職員へ、鼻の先ぎりぎりに書類を突き付ける。
「特務機関ネルフ」と文字がちらついたのが、今でも少年の脳裏を掠めるのだった。

それからは、目まぐるしい日々であった。
施設にあった僅かな私物を小さな段ボール一つに纏め、彼女が軽々と持ち上げ、車のトランクに積み込む。
彼女の部屋へたどり着くには、車で丸々三日を要した。
途中、何故か何回も匂いを嗅がれて、卒倒しかけた。
そんな状況でも、レイジがマリを拒絶しなかったのは新しい生活にかけた願い、即ち希望を彼女へ僅かな荷物と共に我が身も託したからでもあった。
101シイ:2009/08/31(月) 17:26:53 ID:???
半月後、アスカが住んでいる旧第三新東京市から、マリのマンションまでは、レイジが掛かった膨大なる時間よりも、遥かに微塵に近い時間で到着した。

「ふー、たっだいまー。」

車に於いては随分と長旅であったために彼女は、両手を丸めて天に突き上げるようにして、小さく呻きを上げ、大きく伸びをしてから、先に「真希波」と表札がある扉を開け、玄関へと、ずかずかと足を踏み入れた。

何かを思い立ったのかレイジは玄関の前で立ち止まった。
既に片足は玄関マットの上で、もう片方の靴を脱ぐのに苦戦しているマリが不思議そうに目だけ向けている中、レイジは照れたように微かに頬を染め、

「…ただいま。」

そう呟く彼に、マリは穏やかな顔つきで背を伸ばして返答をする。

「おかえりなさい。」

レイジが、そっと玄関に降り立ったと同時に、無機質な音を立てて扉が閉まった。

その行動を、十字架を胸にかかげた女性と、当時から彼に酷似していた少年とが、過去にかりそめの家族となる為に行なったなどとは、彼ら二人は知る由もなかった。
102名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/31(月) 19:00:52 ID:???
きたきたきた!がんばれ作者!
103名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/01(火) 07:07:42 ID:???
おかえりなさい。
宿題終わった?
あまり無理しないで気楽にね GJ
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 20:54:29 ID:???
楽しみにしてたぞ〜がんばれ作者〜。
105シイ:2009/09/02(水) 00:24:56 ID:???
それから、幾日かが矢のように過ぎ去った。彼女は久々に、坂を降りた。

坂道の途中で、顔中に皺が畳まれた老婆に出会う。遥か先方を見上げ、老婆は驚きを隠せずに、大きく眼を見開いた。
それもそのはず、老婆はつい最近まで坂の上に住んで居る物好きを、恐ろしい魔女だと信じ切って居たからだ。
それがスーツケースを引いた、蒼い眼をした異邦人だとは思いもよらなかったのだろう。

トラックが何台か走る坂道、いつもは人さえも通らない。
老婆が見る限り、どうやらその異邦人は引っ越しをするようだった。

やがて彼女が枯れ果て、今にも倒れてしまいそうな大樹の前で老婆の側を横切った。

老婆を彼女が掠めた刹那、彼女は意味有りげに口角を吊り上げ、歪んだ嘲笑を餞別代わりにした。
それは威圧感に充ち満ちており、老婆は思わず息を呑んだ。
老婆は圧倒され、よろめきながらも彼女の背中を見送り、ようやく悟る。

眼帯姿の金髪の彼女は、魔女よりも恐ろしい者であったということを。
106名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 01:07:18 ID:???
GJ!続き期待!
老婆ww
107名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 08:26:48 ID:???
GJ 続き楽しみにしてます
108名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 14:55:06 ID:???
作者の文章構成の仕方がすごい上手いことに拍手。
続きまってます。
109名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 17:45:30 ID:???
ようやく課題終わりましたっ!
心置きなく投下できます。
お返事出来なくてごめんなさい。
また特筆することがありましたらご連絡致します。
110シイ:2009/09/02(水) 17:48:14 ID:???
「ここは、」

旧第三新東京市、この地にもまた降り立った者が居た。
「そう、特務機関ネルフ。今は解体されたようなものだけどね。」
もう、殆ど廃墟に近いように思えたが、施設に入った瞬間、
「わぁ、すごいっ!」
無邪気に周りを眺め回している少年を尻目に、彼女はエレベーターを目指した。

「ここに、父さんが居るんですか。」
「そうだよ、会いたいでしょ?」
少年さながらの煌めきを瞳に閉じ込めたまま、レイジは俯いて、また頬を紅潮させ、ぼそぼそと声をひそめた。
「はい、まぁ…。」
どうやら視界が悪いのか、マリは眼鏡を外し、息を吹き掛ける。
「でもワンコくんのところまで行くのに、色々検査とかあるから、それが大変かもねー。」
言い終わると同時にチン、と簡素な音でエレベーターが到着を示す。
「検査って…わぶっ!?」
扉が開き、歩を進めようとしたレイジはマリを見やっていた為、前方を全く注意してなかった。
「ちゃんと前見て歩きなさいよ!」
「ごごめんなさいっ、…?」
明らかに人にぶつかり、動揺していたところに降って来たのは聞き覚えのある声で、思わず顔を勢い良く上げた。
「やっぱりね、何日振りだっけね?、レイジ。」
「あ、アスカさん!?」
111名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 19:40:04 ID:???
待ってましたのGJ!
で今日はこれでお終い?
112名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/02(水) 21:27:41 ID:???
なんでまとめて投下しないの……?
113シイ:2009/09/02(水) 22:14:10 ID:???
驚きのあまり素頓狂な声を上げるレイジの後ろで、眼鏡をカチャ、とかけ直す彼女が、投げ掛ける。

「思ったより、早かったねぇ。」
「ま、ね。荷造りが早く終わったから。昨日から住み込みよ。」

そう言うアスカに、マリは口許に手を当てて、にやつきながら、

「ワンコくんのところに泊まれば良いのにぃ。」

アスカは白衣に包まれた、ポケットへ無造作に突っ込んだままの腕を引き抜いた。

「えっ、父さんとアスカさんって、そういう関係、」

思わずレイジは口を挟むが、最後まで言い終わる前に、アスカはそのまま腰に手を当てがって、

「あんたバカァ?、シンジはずっと此所に住んでんのよ。…こっちよ。」

溜め息混じりに言うアスカと、未だに、にやにやと含み笑いを頬に残しているマリを、交互に見やって、レイジは頭が混乱したまま、彼女らに同行することになった。
彼は、何回も夏の暑さと冬の寒さという両極端を往復したような、一気にそれも幾分のうちに体験させられた心地になって、既にレイジの足取りは随分と危なっかしいものであった。
114シイ:2009/09/02(水) 22:16:05 ID:???
アスカにより、検査は難無く省かれ、そのまま研究室に通される形になった。

しかし少年の心地は穏やかでない。
たった今情報を詰め込まれ過ぎて、レイジの脳内は、はち切れんばかりだった。
研究室の扉の前でアスカのIDカードをスキャンして、開かれた。
しかし、奥に居る背中はぴくりとも身動ぎせずに、淡々とパソコンと睨めっこをしている。

「ったく、自分から呼んどいてその態度ぉ?」

アスカが毒づきながら、近付くとシンジが振り向く。

「やっと今ちょっと切りが着いたところなんだ。そうそう、レイジに見せたいものがあって、」

デスクに幾つか並べられて居る写真立ての一つを取って、レイジの手に渡らせた。

白い部屋の中で、ベッドの上、生まれたてと言わんばかりの生後間もない赤子と、その子をかき抱き、一心に見つめている女性、と言うよりも明らかに少女に近い姿の母親が写っていた。

「分かるかい。…君と綾波だよ。」

自分と、母。
貪るように見つめ続けるレイジの傍ら、遥か遠くに視線を飛ばす、シンジが居た。
115名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 05:30:05 ID:???
見てますよ。続きよろしく。
116シイ:2009/09/03(木) 08:07:02 ID:???
「…綾波、どんな名前にするか、決めた?」

白い無垢な病室の中、カーテンが風になびく。
ベッドの横に備えられて居た椅子に腰を据える、今よりも若き彼が何度も何度も重ねられた問いをする。
少女は大きくふくらんだお腹に手を置き、やわらかく笑みをつくる。

「男の子ならレイジ、女の子ならシイ、かしら。」
「良い、名前だね。僕らの名前から取ったの。」

何度目かの問いで初めてそれを訊いたシンジは、風になびく青い髪が彼女の顔に当たっているために、そっと梳きながら、レイの紅い瞳へと視線を持ってゆく。
レイは心なしか褒められたからか少し照れながら、ええ、と紡ぐ。

それから、申し訳なさそうにシンジは眉を下げた。
「ごめんね、」
幾度も謝罪を込めた言葉を並べる彼に、レイはシンジのせわしなく動く唇を、人差し指でそっと咎めた。
「あなたのせいじゃないわ、…わたしは嬉しいのよ。」
嬉しい、その言葉の真意を問いただす前に目頭が熱くなり、彼は一言二言告げて、病室を出た。
ドアを開けた瞬間、すぐ側には聞き耳を立てて居た少女の姿があった。
117名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/03(木) 20:29:16 ID:???
GJ 続き期待してます
118シイ:2009/09/03(木) 22:46:35 ID:???
すぐさま彼女は、古風に捕らわれた動作で、ぱちり、と片目を瞑り、彼が先刻まで居た病室へとまるでカーテンをなびかせる風の如く、自然に踏み入れた。
少々罪悪感もあったが、目頭の熱がおさまるまで、などと理由を付けて、彼女と立ち位置をそのまま入れ替わったように壁際に息をひそめる。

「やあ、」
まだ、切り揃えた筈の毛先が微かに黒ずんでいる。
「…あなたは、五番目の…。」
「どーも、…ごめんね?、聞かせて貰っちゃった。」
レイは暫し、訝しげに眉を顰めたが、
「別に、構わないわ。」
と意外な返事にマリは、ほぉー、と感嘆の音を上げた。

「虚しくないの、こんな形で。」
「なにが。」
快く了承した先程とは相反して、素っ気無い返事。
マリは続ける、
「こんな形で、ワンコくんと繋がるってこと。」
ワンコくん、とは概出のワードで、現在はその呼び名に憤慨する者は誰も居ない。
「ええ、…それが幸せなの。」
今度は、赤ぶち眼鏡の少女の方が、やや不満気に返した。
「へぇ、それが『嬉しい』?」
「…そうよ、碇くんと、」
青い髪の少女が言い終わる前に卑下したようにマリは眼だけを剥き一蹴し、冷たい床の上で踵を返して、彼女に背を向けた。
マリが扉を開ける際、シンジは思わず身をのけ反らしたが、彼女の「都合の良い奴。」と表情を見せずに呟いたのは、しっかりと、もらさずに聞いていたのだった。
119シイ:2009/09/04(金) 21:52:32 ID:???
「…ンジ、シンジ!」
左肩をおおきく揺さぶられ、ようやく現実に引き戻された。
「あんた、レイジに説明するんじゃなかったの。」
と呆れたように、アスカは薄く張られた氷のような、曇ったガラスの奥に飾りたてられた写真を爪先で、カツカツとつつく。
「あ、ごめん…とりあえず、今日は持って帰って?」
思慮深そうに顔を覗き込むシンジの様子を捉え、レイジは頷く。
良い子だね、シンジは呟き、息子に対する癖なのだろうか、分け目のある黒髪をそっと撫でると、早急に自分のデスクから立ち上がる。
レイジに今まで父親の存在が無かったように、シンジもまた、彼にどう接して良いか戸惑って居る指先が漆黒の頭から遠ざかる。
「ちょっと、シンジ!」
白衣を翻し、慌てて昏い色合いの赤いシャツで黒いスカートのアスカはその背を追ってゆく。

レイジは、そんな二人のやり取りを視線の合わない眼で一瞥し、また食い入るように写真を眺めて居た。
120シイ:2009/09/04(金) 21:54:08 ID:???
「…ンジ、シンジ!」
左肩をおおきく揺さぶられ、ようやく現実に引き戻された。
「あんた、レイジに説明するんじゃなかったの。」
と呆れたように、アスカは薄く張られた氷のような、曇ったガラスの奥に飾りたてられた写真を爪先で、カツカツとつつく。
「あ、ごめん…とりあえず、今日は持って帰って?」
思慮深そうに顔を覗き込むシンジの様子を捉え、レイジは頷く。
良い子だね、シンジは呟き、息子に対する癖なのだろうか、分け目のある黒髪をそっと撫でると、早急に自分のデスクから立ち上がる。
レイジに今まで父親の存在が無かったように、シンジもまた、彼にどう接して良いか戸惑って居る指先が漆黒の頭から遠ざかる。
「ちょっと、シンジ!」
白衣を翻し、慌てて昏い色合いの赤いシャツで黒いスカートのアスカはその背を追ってゆく。
レイジは、そんな二人のやり取りを視線の合わない眼で一瞥し、また食い入るように写真を眺めて居た。
121シイ:2009/09/04(金) 21:54:50 ID:???
「シンジっ!」

シンジが呼ばれて振り向くと、研究室から走ってきたアスカが肩で息をしていた。
「もう…、どうしたのよ。」
「アスカは昨日来たばっかりだったから、見せてないよね。」
答えにまるでなっていないシンジの言葉は、アスカの眉を訝しげにひそめさせた。
アスカは何も言わずに、先導する彼と共にエレベーターに乗った。
以前、これの扉を押さえながら、レイのシンジへ対する想いを訊いたことを、左手の薬指を見つめながら思い出した。

『碇くんにも、ぽかぽかしてほしい。』

あの頃は、感情的になって散々怒鳴り散らしたが、彼女の相手のことを想う、それは恋愛の礎にあり、しかし家族の原点でもあった。

えこひいき、あいつ私よりも全然大人だったかも。


大人になった、金髪の少女だったアスカは、あの日彼女をはたこうとした手のひらを、彼の華奢な背中の後ろでエレベーターの天井を陣取って居る、蛍光灯の光にそっと透かした。
122シイ:2009/09/04(金) 21:56:29 ID:???
当時知りえなかった最下層へと、エレベーターは続く。
「もうすぐだよ。」
シンジが呟いた、アスカも頷く。
「こんなところ、あったんだ。」
「うん、ミサトさんに、連れて来てもらったんだ。」
ミサト、その女性の名を聞いてアスカは、はっとして息を呑む。
先程、シンジのデスクの上にミサトのペンダントが置いてあったことを、記憶から排除しようとした矢先の発言だった。
思慮深い女性を目指したつもりはなかったが、それきりアスカは沈黙を守ることにした。
その間、おしゃべりだったのはエレベーターの駆動音だけで、二人の間には、どうにも埋まらない距離の代わりに静けさが横たわって居た。
「綾波の遺体、見たことある?」
唐突に彼が告げた言葉は、酷い、の丈をいとも容易く超越していた、凄惨な言葉だった。
「ないわよ、そんなの。」
「そっか、なら、」
彼がその先に紡ごうとした言葉は、エレベーターが目的地に着いたことを示す、ポーンという簡素な音にかき消された。

「着いたよ。」

その音を、警笛と感じなかった彼女は自分の愚かさを後々ひどく呪うこととなる。


第三章・終
123名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 21:58:13 ID:???
一つ重複してしまってすいません。
124名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/04(金) 23:02:47 ID:???
GJ!四章も期待してます!
125名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 03:37:38 ID:???
一気にきた!GJ
続き期待
126名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 14:18:03 ID:???
投下待ち
127名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 15:56:23 ID:???
GJ 最終章投下後にこの小説のまとめサイト作ってほしい。
128名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 17:37:35 ID:???
GJ!続きが楽しみです。

ひとつ気になったのが、新劇はトウジがパイロットの選に漏れ、
使徒かは未確定でもエヴァに搭乗してるのでカヲルが5番で
マリは4番目になるんだと勝手に思ってた。
もしメ欄設定だったのなら失礼。
129シイ:2009/09/05(土) 18:02:08 ID:???
ありがとうございます。

>>127さん
実は非公開でメモ帳代わりのものがありますw

>>128さん
あれは単純に新劇場版の破のパンフレットのプラグスーツの番号からなので、大した意味はないですよ。

今すぐ投下したいですが、まだ出来上がらないため、また夜か夜中に出現致します。それではまた。
130シイ:2009/09/05(土) 21:33:47 ID:???
IDカードを取り出して、アイスキャンを彼がせわしなく行う。
アスカはその様子を一瞥し、この奥に隠されているものの重要さを推し量った。

やがて重々しい扉が、縦とも横とも言えない、亀裂を走らせたような開き方をした。
口頭一発、彼女は、
「なによ、これ…!」
とりあえず自分の眼を疑った。思わず眼帯も外し、両の眼を見開く。
「ダミープラグの源、今は残骸だけど、」
そんなのでは説明がつかない。
オブラートに包んだような回りくどい言い方は止めろ、と彼女は喉元まで出掛けたが、

「同時に、一つの魂を護る為の器、だったもの。」

水槽に浮かんでいる、数多の「綾波レイ」という器だったもの、現在では全てが破壊されており、それを見つめるシンジは苦虫を噛み潰したような表情で下唇を噛み締めた。
呆然とするアスカは、その中心に隔離された、一体の「綾波レイ」を見つけた。

「あの、綾波だよ。」

これが、自分たちが接して居た、二人目の綾波レイ、ということをシンジは暗に指し示した。
その裸体の腹部には、妊娠線らしきものが、ほのかに浮かび上がっている。
「うそよ、だってこの子は、」
アスカは声音を震わせるが、
「死んでるよ?、でもこの一つだけ、器が完璧な状態なんだ。これなら、サルベージして魂を宿らせるのも可能。どうしてだと思う…?」
131名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/05(土) 22:23:51 ID:???
GJすぎる!綾波復活マジで希望
132名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 12:20:42 ID:???
GJ レイジの母との対面なるか?

ところでプラグスーツの数字はエヴァのナンバリングなので適格者の番号とは別ですよ。
四号機が消滅したのでシンジ以降の番号がズレている。
133シイ:2009/09/06(日) 14:18:20 ID:???
そうですよね…適当過ぎてごめんなさい。
綾波にはマリをどうしても名前で呼んでほしくなかったのでw
134シイ:2009/09/06(日) 14:20:09 ID:???
アスカは一息吐き平常心を装い、愚問ね、ともらす。

「そんなの、意図的に抜き取られたとしか、考えられないわよ。」
魂をね、と付け足すシンジは、少女のままの綾波レイが入れられている棒状の水槽に、指輪が嵌った手のひらを置き、アスカを見やる。
「そう、だから綾波を連れ戻す、迎えに行くんだ。」

――それが、僕の計画。

そう続けるシンジに頷き、アスカは自分の身体を抱き締めるように腕を組み、水中で浮遊しているレイを見上げる。
「そう、」
アスカは何か言いかけたが、その先はずっと何も語らなかった。もう薬指の指輪には一瞥もくれなかった。
彼女は、自分は利用されたのであったと、本当は愛されて居ないのだと、思うことによって、なんとか仏頂面を保って居た。
被害者意識を持たないと、やっていけないほどに、アスカは彼の言葉に激しく打ちのめされ、心にレイに対する醜い嫉妬がどろどろと渦巻いて居た。
力を抜いて、ぶらりと垂れ下がった左手から、先程真実を見つめる為に、ひっぺがした眼帯が滑り落ちてしまったことに気付かない程でもあった。
135シイ:2009/09/06(日) 14:21:19 ID:???
「ワンコくん達、戻って来ないねぇ。」
良い加減、痺れを切らしたのか、マリがレイジを横目で見て言うが、レイジはマリに一瞥もくれずに先程の写真立てをずっと飽きずに凝視していた。
やがて、少年は写真の左端に点在している、赤インクの存在に気付いた。
思わず手首を返し、後ろに向けた時、

「過去よりも大事なことは、ないの?」

思わず、声の主に振り返る。
彼女は珍しく、無愛想な天井と向かい合って居た。
眼鏡の奥の表情は未だ読み取れないままで彼は疑問符を並べ、首を傾げた。
「今、二人が何してるか気にならないんだ?」
皮肉とも取れる彼女の言葉に、口を噤んだレイジは、下唇の薄い皮を、ぎりり、と噛み切るような勢いで噛み締める。
深く眉根を寄せる彼は、おもむろに写真立ての中から写真を取り出す。
まだ幼い彼と、あおい彼女が写っている裏には、紅い文字がびっしりと陳列していた。予想以上の赤に、ごくり、と唾を呑み込んだ。
136シイ:2009/09/06(日) 14:22:49 ID:???
『レイジへ。きっとあなたがこれを読んでいる時には、私はここには居ないでしょう。』
マリが後ろから、ちらりと覗いて居るのが判ったが、そのまま気にせずに、シンジのデスクの前にある、パイプ椅子に腰掛けた。
『私はもうすぐ人為的に殺されます。成長していくあなたを見れないのが心残りです。』
きっと彼女は、生と死の概念への執着心は薄く、ただ純粋な思いだけがここに在る、そんな思いをレイジは垣間見た気がした。
『だから、あなたに託します。碇くんを、』
碇くんを、のところには、横線一本入っていて訂正されていた。
『あなたのお父さんを助けてあげて下さい。私は遠い地であなたを待って居ます。きっとあなたが見る私は抜け殻だと思いますけど。』
最後の文は彼女に似つかわしくない言葉だとレイジは感じた。
『レイジ。頑張って。――綾波レイ』
レイジが立ち上がると、マリは出口を顎でしゃくった。
「ここへの経路はあのエレベーターだけだから。追うも帰るも好きにしなよ。」
例の写真を持ったまま、少年は走り出した。
137シイ:2009/09/06(日) 14:23:38 ID:???
先程からレイジが乗っている、寂れたエレベーターが、がくん、と上下に激しく揺れた。
「着けるのかな、これ…。」
不安げな少年の呟きは、空気中に散らばり、足許に転がった。


一方、マリはひとり、ぽつりと研究室に佇んで居た。
「行っちゃったか…、でもワンコくんも無茶するもんだ、」
誰かに教え込むように、やさしく諭すように、コンクリートが剥き出しの床にマリの声音が染み渡った。
「あの子を甦らせるなんて。」
――アスカも、綾波も幸せにするんだ。
そう言い切った彼の面影をレイジの残像と瞼の裏で重ね合わせる。
何が彼女達にとって幸せなのか、彼にそれが実践出来るのか、疑問ばかりが浮き彫りになり、マリは何回もしきりに首を捻ったのだった。
「所詮、君は独善的なんだよ、甘いね。」
皮肉気味に嘲笑った、天井を見つめて居た瞳の灯りは、研究室の片隅に在る、丁度彼女から死角になる場所へ、監視カメラに向けられていた。
138名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 17:50:07 ID:???
マリがシンジをワンコ君って呼び続けるかなのが少し、不自然だな
139名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/06(日) 19:55:02 ID:???
つづきが気になって仕方ないわ〜
140シイ:2009/09/06(日) 21:19:13 ID:???
佳境に入って参りました。

>>138
まだマリを観てから日が浅いので、「ワンコくん」呼ばわり以外が想像できなくて…。

141シイ:2009/09/06(日) 21:20:42 ID:???
随分と下降したところで、エレベーターから降り立ったレイジは、入り口が縦横無尽に裂けた世界の中に居る二人を見つけた。
「父さん、アスカさん。」
思わず呼び掛けると、中の暗がりに居たアスカは、ぎょっとして振り向き、眼帯をしていた筈の蒼い眼で彼の姿を見つけた。
「レイジ!?来ちゃ駄目!」
しかしアスカの懸命な叫びも虚しく、レイジは水槽を捉えた眼を大きく見開いた。
「な、」
音もなく土に塗れたスニーカーの上に、写真が舞い降る。
膝から、がくん、と力が抜け、レイジは崩れた。
「どうして…、父さん。」
「僕は、父さんみたいにはならない。誰にも綾波を殺させない。」
誰の為に言っているのか、シンジはレイジの肩越しにはるか遠くに在る何かを見つめて言う。
アスカはより一層厳しく眼を細める。墓参りのときのような、哀愁じみた表情は見当たらない。
どちらにしても破壊されたレイの群像を見るのは彼はまだ、青過ぎるのであった。
142シイ:2009/09/06(日) 21:22:38 ID:???
エレベーターで上昇し、再び研究室に戻ってきた三人は暫く、通夜のような重苦しい空気の中、黙ったままであった。
意を決したのか、アスカが水分が涸渇して、ざらつく唇を一舐めし、彼に訊く。
「レイジ、今日は遅いし、ここに泊まる?」
レイジは、項垂れたまま首を振り、ゆっくりと踵を返す。
「いえ…、帰ります。」
掠れた返答を聞き、アスカは消え入りそうな彼の手のひらを掴んだ。
地下で先程落とした写真、それに彼女の眼帯を渡した。
それからアスカはレイジを抱き寄せ、赤子をあやすように、背中をぽんぽん、と軽く叩いて、肩越しに耳元でこう囁く。

「私は真実から逃げないから。レイジも逃げなかったら、また会えるわ。」

彼女から離れ、揺れ動く、今にも溢れんばかりの水分を孕んだ、彼女の蒼い両の眼を見てから、眼下に在る痛々しい傷を見て、また彼女の眼に視線を戻し、こくり、と頷いた。
去ってゆくレイジを黙って、母のように優しいまなざしで見送るアスカの後方で、シンジは沈黙を守って居た。
143名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/07(月) 20:44:52 ID:???
GJ レイジかわいすぎるw
144シイ:2009/09/07(月) 22:04:39 ID:???

夜遅い時間に帰ってきたレイジを、マリは咎めはしなかった。

ただリビングの机で俯く彼と向き合って座って居た。

机の上を見ると、写真が一枚と、眼帯が乗っかって居た。
それを不思議そうにマリが指先で拾いあげた。

「…アスカさんは、真実がら逃げないって、」

「そっか。」

眼帯を摘み上げたままマリの返事は、案外に素っ気無いものだった。
呼応するかのように、ようやく緊張が解けたのか、レイジの肩が震える。

「母さんが、生き返ったら、うれしいけど、…母さんは、」

しゃくり上げるレイジはたどたどしく、しかし言葉を紡ぐ。

「母さんは、それで幸せなのか、分からない…。」

「ワンコくんは幸せ、というのを履き違えてるかもね。」

ぴっ、と指先を瞬発的に離すと、黒い眼帯は、ぐにゃりと机の上に沈んだ。
レイジの手前側にある写真の上には、既に水滴が幾つか弾んでいた。


「君は、どうしたい。」
145シイ:2009/09/07(月) 22:06:33 ID:???
レイジは、思わず赤ぶち眼鏡の彼女を勢い良く顔を上げて見上げた。
深夜のリビングには、マリの真っ直ぐに凜と張った声音と、レイジの鼻をすする音、それに嗚咽しか響かない。

「君が嫌だって言っても、ワンコくんは彼女を甦らせるだろうね。」

きっぱりと、残酷という言葉に近い意見を彼女は告げた。
そしてまた、彼は俯いた。

幾分か時間が過ぎ、マリが眠気で意識が朦朧として来た頃、レイジは涙で光る頬を見せた。

「…なら僕は見たい、」

そう言うレイジは物心付いて、初めて人と会話した、施設に居た時を朧気に思い出した。

「母さんが生き返る瞬間を、…見届けたい、です。」

たどたどしくそう言うと、マリはにっこり、と口角を上げ、珍しく晴れやかな笑いを見せた。

「そう。じゃあ明日から送り迎えしないとなー。」

学習塾の送迎のような手軽さで、片道一時間の切符を軽々とレイジに手渡したようなマリの言いように、レイジは未だ濡れて居る頬の筋を、ふっ、と弛緩させた。


第四章・終
146シイ:2009/09/08(火) 15:57:44 ID:???
それから数ヶ月経ったある日、ネルフの化粧室の中で、苦戦している姿が在った。

「うぇ、こんなにきついんだ…はぁ。」

洗面台に手をつき、金髪がだらしなく下がり、鏡に映る額にはじんわりと汗が光って居た。

「駄目よ、アスカ。このくらい、なんてこと無いわ。」

そう鏡の奥の自分に言い聞かせるが、眉間の皺はまだ消える気配は皆無であった。

「辛そうだね。」

鏡の端に映る彼女が、壁にもたれ、腕を組んで居る。

「…もう暫くの、辛抱だから。研究に切りが着く迄よ。」

「それはいつ、かな?」

返答に窮して居るアスカに、まだマリは続ける。

「この数ヶ月、一緒に、子犬くんとネルフに通ってたけど、数時間しか寝てない状況じゃん?」

「黙ってなさいよ!」

アスカが、洗面台についた手を、拳にして鏡の中のマリを殴り付けると、入り口に居た、当の本人を押し退けるようにして、化粧室をあとにした。

「ワンコくんが気付いてるとは、思えないけどねー?」

当然、その言葉にアスカが化粧室の外で、立ち止まり、身を固くしたのは言うまでもなかった。
147シイ:2009/09/08(火) 16:02:18 ID:???
それは、ネルフ内の廊下を二人で歩いて居るときだった。

「…うん、もしかしたら甦った綾波は僕たちのことを知らないかも。」

他愛ない会話の途中、束ねた書類を抱えたシンジが言った。
ファイルとノートをぎゅっと、両手で肩を抱くようにして抱き締めるアスカが眼を丸くする。

「そうなの?」

「奇跡に近い、パーセントが出てるからね、」

シンジは靴先を覗き込むようにしてから、息を吐き、アスカを見やった。
彼女の顔色が悪いことにも、漸く気付いた。

「どうしたの?、調子悪そうだね。」

心配する指先がアスカの頬を掠めるが、彼女がそれを冷たく払い除け、大股でシンジより幾歩か前に抜きん出た。

「全然平気!」

そう強がったのも束の間、彼女の視界が歪み、足元はぐらつき、シンジが思っていたよりも、随分と華奢な身体が大きく右側に傾いだ。
そして、床に倒れ込む。

「…アスカ!」

シンジが書類を放り出して駆け寄ったのは、倒れた彼女を見て、暫く呆然とした後であった。
148名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 16:38:00 ID:???
GJ
うーん毎度続きが気になる
149シイ:2009/09/08(火) 20:43:21 ID:???
「アスカ!しっかりしてアスカ!」

シンジはアスカを胸に抱えて気が狂ったかのように名を連呼した。

「アスカさん!?」

声を聞き付けて、レイジがぎょっとした顔で駆け寄る。
その後方で、マリは少し困ったように苦笑していた。

「アスカを…助けて、」

掠れた声でシンジがマリに告げる。

マリは溜め息を一度だけ吐くと、狼狽しているレイジに携帯を半ば放り投げるように手渡す。

「救急車は後始末が面倒だから、タクシー呼んで。」

レイジは震える指先で、携帯の発信履歴のページを開いた。

「ば、場所は、」

漆黒の眼だけこちらに向け、いたたまれない気持ちでレイジは携帯を耳に当てがう。
それを見てマリは暫し首を傾げてから、倒れてままのアスカを抱き締め、焦躁感に駆られて居るシンジを横目で一瞥し、レイジに向き直る。

「旧第三新東京市総合病院、別棟の産婦人科。」
150シイ:2009/09/08(火) 20:44:20 ID:???
「産、婦人科…?」

シンジは焦躁感が未だ浮かんで居る顔に、またきょとんとした表情を塗り付けた。

「もうすぐで来るそうです、」

「了解、運ぶよ。」

アスカの運搬をしながら、シンジは浮わついた視線で周りを見渡して居た。
動揺している父を見て、余程アスカのことを心配して居るんだ、と産婦人科の意味も知らぬまま、レイジはシンジとは逆に、妙に安心していた。



「お父さん、こちらへ。」

アスカが運び込まれて暫く経った後、シンジが呼ばれる。

のそり、と立ち上がり、脱力感漂うシンジを、薄いソファに座っているレイジとマリは見つめて居た。

看護師の言葉に少々違和感を感じたレイジは、思ったことをそのまま、マリにぶつけてみることにした。

「お父さん、って…、」

マリを見上げると、口許に意味在りげに、含んだ笑いを浮かべて居た。
マリがそう言う笑い方をするときはきっと嫌なことを隠して居る。
経験上により、言葉を唐突に切り、口を噤んだ。
151名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/08(火) 21:14:32 ID:???
GJ! ついに来た!
152シイ:2009/09/12(土) 00:10:14 ID:???
こんばんは、まずは放置すいませんでした。
文化祭やら何やらでずっと書いてませんでした><
もう少しで完結です、
最後着いて来てくれる神々しい方は
少ないかもしれませんが
投下した以上完結させます。
ので、結末に於いてはまた様々な意見が生じるかもしれませんが
正直なご感想を下さると嬉しいです。
長々と失礼致しました、では。
153シイ:2009/09/12(土) 00:12:44 ID:???
「胎児に問題は見られません、よって流産の心配は無いでしょう。」

淡々と説明する医師のもと、シンジは冴えない表情をしていた。

よりによって、数ヶ月ネルフに籠り、異性なんて自分にしか顔さえ合わせないような相手。
確信と責任感、そして依然として正体不明の興奮によって、未だ目覚めぬアスカの傍ら、押し潰されてしまいそうなシンジが居た。

「ん…、」

横のベッドから小さく呻き声が聞こえた。

「アスカ!」

「なに…、ここは…。」

シンジが思わず声を荒げた為、驚いたアスカが起き上がろうとするが、看護師に制され、そのまま寝かされる。

「過労と、睡眠不足ですね。前回もそうでしたけど、式波さんはもう少し、妊婦としての自覚を持ちましょうね。」

「ひとりの身体じゃないんですよ?」

医師と看護師に苦笑混じりに諭されて、アスカは、はっとしてシンジを見上げた。

「良かった…、アスカが無事で。」

降って来た言葉が、予想外にあたたかな言葉ということに、自然とアスカは目頭を熱くさせ、薄い枕に頬を埋めた。
154シイ:2009/09/12(土) 00:16:05 ID:???
歩いて帰りたい、アスカがそう言うと、レイジとマリが黙って頷き、病院からタクシーで帰って行った。

「もう、クリスマスか。全然気付かなかった。」

大通りの中心に立っているツリーを見て、アスカが白い息を吐いた。
シンジはと言うと、地下に籠って居て今まで地上に上がることが無かった為、ネルフが出て行く際に、マリからコートを渡された時は流石に戸惑ったが、初めて感じる寒さに身を震わせ、静かに彼女に感謝した。

「あの、ちゃんと一人で育てるから、シンジは心配しないでね。」

急にもごもごとアスカが呟き、 シンジは少し驚いた顔をした。

「何言ってるの、僕たちの子供でしょ?、…二人で育てよう。」

「…ありがと。」

そうアスカが微笑むと、シンジも微笑った。

しかし、そんな優しい世界はやはり脆弱で、アスカの一言により、あまりにも簡単に崩れ落ちた。

「…シンジは、何も言ってくれないもの、」

華美な装飾でさんざんと煌めくツリーの前で、不意に立ち止まったアスカの言葉にシンジは思わず目を見張った。
155名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 10:10:21 ID:???
あげ
156名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 10:17:14 ID:???
最後まで応援するぜ
157名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 14:58:19 ID:???
夏しか来なかった第三新東京市にも冬が来るようになったか…
よかったよかった。
作者がんばって
158名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 16:54:21 ID:???
 公衆電話からテレホンカードがはきだされる。
「……なにっ」

 第三新東京市
中年はセカンドバックから手紙を取り出す。

『来て。 シンジ』


「父さん、久しぶり」
「……シンジ」
「よし、出撃」
「ま、待て……シンジ」
「乗らないなら、帰ってよ」




五分で書いたけど、小説って難しいね。続きは無いッス。
159名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 19:16:21 ID:???
ちょっとおもしろいwww
160名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/12(土) 23:09:27 ID:???
投稿者語り過ぎなんじゃね?
語るなとは言わないけど全レスしかねない勢いはどうなの?
161名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 00:44:22 ID:???
>>158ワロタwゲンドウ乙ww
162名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 01:01:35 ID:???
>>160 そんなに語ってるかな?
163シイ:2009/09/13(日) 13:37:48 ID:???
「アスカだって、何も言ってくれないじゃないか…。」


くしゃり、と顔を歪めたのは、あの日の少年さながらである。
シンジがそう言うと、アスカは涙混じりに声を荒げた。

「だってそうでしょ!好きとも言ってくれない、手も繋いでくれない、ただ身体を求めるだけじゃ、」

言い終わる前にシンジはアスカを抱き締めた。
路上、行き交う人々がちらちらと眺める中、アスカは火を噴くように、思わず顔を赤らめた。

「ちょっと…、」

シンジは彼女の華奢な身体が壊れてしまうという程に強く抱き締めて、息を大きく吸い込み、

「好きだ!好きだ!好きだ!好きだ!、どれだけ言ったらアスカに伝わるの!?」

肩越しの声は、どちらかともなく、心なしか震えている。

「シンジ…、」

「僕はどうせ偽善者だよ!、綾波を甦らせるのだって、罪の意識からだよ!、本当はレイジにアスカを出会わせたくなかったよ!」

シンジの中で何かが外れたかのように、思いの丈を腕の中のアスカに告げる。

アスカはただ、シンジの見たことも無い姿に呆然としつつ、初めて聞いた本音に素直に涙を流して居た。
164シイ:2009/09/13(日) 13:38:54 ID:???
「…分かったわ、シンジ。私も言ってなかったわね、」

と、アスカはシンジの先程よりも、だいぶ緩まった腕をそっと振りほどき、少女のように悪戯っぽく、笑みをたたえる赤くなった目尻をもう一度拭いて、

「好きよ、シンジ。」

シンジはきょとん、としてから、頬を緩ませ、先に言われちゃったなぁ、なんて小さくぼやいてから、しっかりと頷いて、

「オレも、アスカのことが好きだよ。」

そう言った途端、ツリーの周りに居た人々の歓声が際立った。

「…はじめて、見たよ。」

「私も。」

思わず見上げた、昏い色合いの空から真っ白な雪が頭上から舞い降りる。初雪だった。

顔を見合わせ微笑む二人に、白い天使が次々と祝福を告げ、地面に染みをつくる。

「今日くらい、休もうか。」

「そうね。」

まるで学校をさぼるような軽い言い様に、二人は一度噴き出してから、冷たくなった指先を絡めて、帰るべき場所へと歩み出した。


第五章・終
165シイ:2009/09/13(日) 13:40:48 ID:???
「お兄ちゃんは、なんでママのこと、アスカさんって呼ぶの?」

数年後の紅い海が打ち返す砂浜に、ふたつの足跡があった。
手を繋ぐ兄妹の、市内の高校の制服である紺色のブレザーと、薄桃色の短い丈のワンピースが風になびく。

「シイちゃんは、レイさんのこと、レイさんって呼ぶよね?」

シイちゃんと呼ばれた、黒髪に蒼い眼の女の子はぷくっ、と頬を膨らませた。その表情は、よく兄に似ている。

「だから、お兄ちゃんもレイさんのこと、母さんって呼ぶんだよ。」
「…むー。りふじん!ぎぜんしゃ!」
「ママの真似しないの、」

苦笑混じりに頬をつつく彼の指をぎゅっと掴んだ。

「食べちゃうのー!」
「あぁっ、よだれよだれ!」

口を大きく開いた女の子と、指を捕食されそうになるレイジの少し遠くで、少女と同じ色の眼をした女性が呼んでいる。

「レイジ、シイカ!ごはんよ!」
「ママッ!」

その声に過敏に反応し、両手をぱっと離したシイカが駆けて行く。

その後ろ側を、やれやれと呆れた声を出し、後頭部を掻きながら、澄み切った青い空を見つめているレイジ。
彼が目線を戻し眼を凝らすと、砂浜の外側から手を振る夫婦と、そのすぐ側で車椅子に乗った彼の若過ぎる母が見えた。
彼らに微笑みながら、砂浜にまた新たな足跡を付け、歩み寄って行った。

166シイ:2009/09/13(日) 13:41:56 ID:???
あとがき

作者のシイです。
こんな拙作を最後まで読んで下さってありがとうございました。

思ったよりも長くなってしまいましたが、無事完結出来て良かったです。
また後日編を、近々投下しようと思っております。
GJを下さった方、批判を下さった方も、多数感想をお寄せいただき、とても為になりました。

またお会いしましょう。
最後にもう一度、ありがとうございました。
167名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 14:10:12 ID:???
LRS人なオレは最後の三行で泣いた。
GJ!後日編も期待してるよ。
168名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 14:53:37 ID:???
おい作者!!泣けてしまったじゃないか!また良い作品を作ってくださいね^^
169名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/13(日) 15:39:51 ID:???
>>158
>1
続けなさい
170名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/14(月) 03:23:24 ID:???
̧̛͇̦̭̯͍̱͖̼͔̣̲͙͇̼͈̃͋̓̾͋ͪͣͦ͑̍̃͊̃͟͟͠ͅエヴァ
171名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/15(火) 23:55:06 ID:???
>>166
GJ!すごく良かった!
皆が幸せになって完結して本当に良かった。
後日編期待してます。
172名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/17(木) 23:03:44 ID:???
とんでもないネーミングセンス
173+A(nother) 第1話:2009/09/18(金) 21:48:44 ID:???
「それでは、1stチルドレンとリリス融合の儀式を執り行う」
セントラルドグマ最深部リリスの間には、祭司と4人の黒衣の者、護衛の戦自攻撃部隊員20名が全裸の綾波レイを括りつけた十字架の周りを囲っている。
「はじめよ」
祭司の号令に黒衣の物たちはのっそりと囲いを狭め、十字架を担ぎ上げる。
「いや!やめて!イヤー!」
レイはあらん限りの力で縛めを解こうとしてモガクがまるで効果がない。
十字架の上で暴れるレイをものともせず、黒衣の者たちは赤く染まった水の中に歩を進める。
「イヤァァァァー!助けて!碇クーン!!」
レイは絶叫し泣き叫んだ。

「間に合った!」
秘匿エレベーターから3人の人影が飛び出す。
「葛城、いくぞ!マリ、援護を頼む!」
「ウニャ!」
マリはロケッランチャーを担ぐと迷うことなく戦自攻撃部隊に発射する。
騒ぎに気づいた隊員達の半数は3人を確認する間もなく爆散した。
残りの隊員めがけ加持と葛城は脱兎のごとく自動小銃を乱射しながらに突っ込んでいく。
マリは獲物を狙撃銃に持ち替え隊員を次々に撃ち抜いていく。
葛城は弾丸を撃ちつくした自動小銃をナイフを構えた隊員に投げつけ、両手のハンドガンで射撃、隊員の脳漿を撒き散らし蹴散らしていく。
奇襲に混乱した黒衣の者たちは十字架を投げ出し、思い思いに反撃の体勢を取るが、葛城と加持の正確無比な射撃の前に次々と撃ち倒されていく。
最後の司祭を加持が射殺するまで、わずか3分を経過しただけだった。
174+A(nother) 第2話:2009/09/18(金) 21:52:47 ID:???
「レイ!」
加持と葛城は浮いている十字架の元に駆け寄り、縛めを解いてレイを解放した。
「ミサトさん!」
レイはミサトにしがみつき感情を爆発させて泣いた。
「怖かった。もう碇くんに会えないと思うと、とても怖かった」
「レイ。もう大丈夫よ。シンジくんのところへ帰りましょう」
「帰る。碇くんのところへ帰るー!」
加持は着ていた上着をレイに羽織らせた。
「さあ、急がないと帰れるものも帰れなくなっちまうぞ」
3人はマリの待つ秘匿エレベーターに駆け出したその時、黒衣の物たちがむっくりと起き上がった。
「なに?!こいつら!」
黒衣の者たちの体が急激に拡大して黒衣が破れ落ちる。
3mを越す真っ白な巨体に異様な頭部。目鼻が無く、大きく真っ赤な唇だけの顔。
その唇がニィと笑い、大きな歯がむき出しになる。
「こいつが噂の人間と使徒とのハイブリットか!」
「なにそれ?!」
「ゼーレのやつら、EVAの量産実験に本物の人間を使用した。らしい。詳しい話は後だ。とにかく逃げるぞ」
3人が駆け出したと同時に使徒人間は翼を生やして空へ舞い上がる。
それをマリが狙撃するが全くダメージを与えられない。
「早くして!手持ちの武器じゃ、こいつら倒せない!」マリが叫ぶ。
使徒人間の1匹がマリに気がつき急降下で襲いかかるが、間一髪でそれを避ける。
マリを助け起こすミサト達の周りを4匹が囲んだ。
「ちょっち、まずいわね」
「いーえ、かーなーりまずいと思うにゃ」
「こりゃ、絶体絶命だな」
4匹はじりじりと間合いを詰め、今にも飛び掛ろうと力を貯めているように見えた。
175+A(nother) 第3話:2009/09/18(金) 21:59:40 ID:???
同時刻。
ネルフ松代支部地下格納庫で実験機EVA8号機にエントリープラグが挿入されようとしていた。
搭乗員は碇シンジ、式波アスカの2名。
シンジは意識の無いアスカを背中から抱えてシートに座っている。
「これより、アスカ奪還作戦を開始します。覚悟はいい?シンジくん」
「はい、リツコさん。これはボクが望んだことです」
リツコはフッと笑い、すぐさま口元を引き締めた。
「作戦開始!」
「「了解!」」
マヤ、マコト、シゲルが応える。
マヤの手がすばやくコンソールパネルを操作する。
「プラグ深度を最下層点に設定完了、プラグ沈降開始」
「深度200オーバー、パイロット肉体形状が崩壊します」
「深度最下層400到達。パイロットの精神パターン青に変わりました」
「精神パルス同期しました!」
「完全に融合です」
「シンジ君、がんばってね」
リツコはイスに深く腰かけ、タバコに火をつけ深く紫煙を吸い込んだ。

ボクは今アスカとひとつになった。
作戦前にミサトさんがボクに話してくれたアスカの生い立ち。
幼い頃EVAの実験で母親を失い、ヨーロッパ戦役の最中、父親を失い孤児となり、
ネルフユーロ支部でEVAパイロットとして訓練に明け暮れる日々。
孤独に耐え、人に甘えず、自分の力だけを拠りどころにした孤高の魂。
そのアスカの心を踏みにじり無理やり犯した使徒。
今なお精神汚染を続ける使徒の殲滅が今のボクの使命だ。
ヤツは絶対に許さない!
176+A(nother):2009/09/18(金) 22:06:59 ID:???
今日はここまです。

Qの展開が全く読めないので
多分全員集合する+?を妄想バキバキで書いてみました。

レイがミサトさんと呼ぶあたりはQでなんらかの進展があるかなーとの思いこみです。
時間かかりそうですが最後まで書きますのでツマンネーな方はNGワードおながいします。

177名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 00:02:04 ID:???
お疲れ様です早速NGです
読まないけどまあ頑張って下さい
178名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 00:07:15 ID:???
いや おもろかったw続き意外とみたいですw
179名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 00:14:52 ID:???
シイさん投下まだー?
180名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 05:30:00 ID:???
面白かった。でもレイが叫ぶのは無いんじゃないの?
181+A(nother) 第4話:2009/09/19(土) 16:48:28 ID:???
目の前に青く輝く光が見える。
シンジはその光に向かって潜っていく。
すると突然光がスパークして目がくらんだ。
視界が元に戻ると青空が広がっていた。

シンジはうつむきながら1段1段を確認しながら横断歩道橋の階段を上がっている。
夏の日差しは容赦なく照りつけシンジのシャツは汗で肌にべったりと張り付いている。
人の気配に気がつき頭を上げると制服のスカートとすらりと伸びた細い足が目に飛び込んできた。
「うわっ」シンジは接近しすぎたことに驚き、3段ほど下がった。
金髪、碧眼、ミルク色の肌をした美しい少女だった。
(あれ?どこかで会ったような)
シンジはそれを思い出したくて少女の顔を見つめた。
少女はシンジの視線に機嫌を悪くしたらしく、にらみつけてくる。
そして、シンジの脇を通り抜けざまに、はっきり聞こえるように一言洩らした。
「気持ち悪い・・・」

シンジの頭の中に一瞬、赤い海と包帯だらけの先ほどの少女の顔が浮かんだ。
シンジは耐えようの無い罪悪感と喪失感に襲われる。
途端、足元が崩れ去り奈落に落下していった。

「精神パルスに異常!」
「使徒からの精神攻撃と思われます」
「やっぱり来たわね。」タバコをもみ消し立ち上がるリツコ。
「まずいですよ。心理グラフが崩壊寸前です」マコトの声が動揺で震える。
「かなり厳しい攻撃だな」シゲルが数値の詳細を計算し始める。
クッと爪を噛みなにかを決心したように面を上げるリツコ。
「ちょっと早いけど奥の手を使うわよ、マヤ。」
「了解です。ロック解除」

魂の座から小さな布の袋が解き放たれゆっくりと降下していき消えた。
182+A(nother) 第5話:2009/09/19(土) 16:50:56 ID:???
「ボクは最低だ。アスカにひどい事をしたのはボクだ。ボクが1番の罪人だったんだ。」
シンジは血と精液にまみれた両手を見つめていた。
幾たび輪廻を繰り返しそのたびにアスカを傷つけ苦しめてきた。
抱きしめてあげるだけでよかったのに。
好きと一言伝えるだけでかったのに。
なぜ、ボクはそれができない。
弱虫だから、意気地なしだから、傷つくのがこわいから。
でもアスカは違う。
傷つき血を流し、心が張り裂けてもボクのそばに居ようとした。
ボクにアスカのような真似ができるだろうか。
・・・やっぱり・・・怖い。
もし、そんなことをしてアスカに嫌われてしまえばボクは一人ぼっちになってしまう。
いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。
それならば何もしないほうがいい。
そうすれば、また次の輪廻でアスカと一緒に居られる。

コンッ!
シンジの頭に何かがぶつかった。
それを拾い上げる。
小さな布袋の中には小さな弁当箱。
フタの面には三つ☆と「アスカ」と刻印してある。
「いい!アタシのお弁当は毎日三ツ星クラスのお弁当にするのよ!でなければ食べてあげないんだからね!」
そしてアスカは毎日残さずきれいに食べつくした空の弁当箱をシンジに見せ付けては、
今日は味付けが、嫌いな野菜がと文句をつける。
「でも、全部たべるんだね」
「当たり前でしょう!お腹が空いていればなんだっておいしいのよ!・・・ところで今日の晩ごはんなに?」
「・・・ひさしぶりにハンバーグにしようか」
「ヤッター!手伝うよシンジ!」
その晩のごはんはとてもおいしかった。
183+A(nother) 第6話:2009/09/19(土) 16:54:31 ID:???
助けるんだ。何を迷ってんだ。
アスカを取り戻すために来たのに何してるんだオレ!
シンジは立ち上がり空間の一角を両手で掴んだ。
「ウオオオオオー!」
シンジは渾身の力で空間を引き裂く。裂け目から眩い光があふれ出た。

「アンタ誰?」
その声にシンジは振り返った。
そこには黒い眼帯を付け、プラグスーツに身を包んだアスカが仁王立ちをしていた。

「アスカ!」
シンジはすぐさま立ち上がりアスカの肩に手を掛けようとしたその瞬間、
「馴れ馴れしい!」
一閃、シンジは足を蹴られて転倒した。
「アスカ、何をするんだよ!」
「アンタ、バカ!初対面のくせに人の名前呼び捨てにすんな!」
「ボクがわからないの?」
「アンタなんか知らない」
「ボクは碇シンジだ。思い出してよアスカ!」
「碇・・・シンジ・・・?」
アスカは頭を抱えて座り込んだ。
「あなたが碇シンジ・・・?」
「そうだよ、思い出してくれた?」
なお、アスカは頭を抱えて苦しそうにしている。そしてブツブツ呟きだした。
「碇シンジ。アタシを殺そうとしたリリン。」
「殺しにきた。アタシを殺しにきた。イヤダ、コロサレテタマルカ・・・」
「コロシテヤル。コロシテヤル。コロシテヤル。コロシテヤル。コロシテヤル・・・」
心配したシンジがアスカに触れようとしたそのとき、アスカの手がシンジの首をガッと絞めた。

184+A(nother) 第7話:2009/09/19(土) 16:57:53 ID:???
凄まじい力で首を絞められたシンジはたちまち窒息しそうになる。
「やめて・・・アスカ・・・」
なおも力を込めてシンジの首を絞めるアスカ。
ゴリュ!シンジの器官が音を立てる。
堪らずシンジの手が無意識にアスカの眼帯を剥ぎ取った。
眼帯の下には漆黒の闇が広がり、赤い光を放つ瞳が隠れていた。
「そ・こ・に・いた・のか・・・!」
消えかけていたシンジの瞳に光が戻り赤く燃え上がった!
「お前は絶対に許さない!」
シンジはアスカの手を掴み、ガッと引き剥がし自分の顔をアスカの顔に近づける。

バキィン!二人の顔の間にATフィールドが展開する。
ATフィールドはシンジの額を切り裂き、血しぶきが飛び散る。
それを構わずシンジはなおも顔を近づける。
使徒の赤い光点が一際大きく輝くと一条の触手がシンジの右目を貫いた。
「うがあああ!」
途端シンジの脳裏にシンジではない男に抱かれ歓喜するアスカがフラッシュバックする。
それは、加持であり、トウジであり、ケンスケであり、ゲンドウであった。
時に激しく愛し合い、陵辱され、複数の男と交じりあう。
「アンタ ナンカイラナイノヨ アンタノ カワリハ イクラデモ イルワ」
「ダカラ シンデ」

「だまれ」
低く重いシンジの声が空間を揺るがした。
「これ以上アスカを苦しめるな」
「アスカー!!」
シンジの叫び声にアスカの体がビクンと震える。
「アスカはこんな奴の自由になるほど弱くない!」
「オレは知っている。本当のアスカを!本物のアスカの強さを!」
「アスカ!帰ってこい!」
シンジはアスカの手を離し腕ごと抱きしめた。
185+A(nother) 第8話:2009/09/19(土) 16:59:31 ID:???
右目に食い込む触手をものともせずアスカの額に己の額を引っ付けた。
触手はシンジの後頭部を貫き、血しぶきが噴出す。
シンジの左目は光を失ったアスカの右目を見据える。
アスカの目から涙がこぼれ落ちた。
シンジの瞳が赤から青に変わったそのとき、アスカの体が液状に崩れ落ち使徒の本体が姿を現した。
その姿は人になりきっていない胎児に似ていた。

「うおおおおおおおー!」
シンジは渾身の力を込めて触手を引き抜き、使徒を振り上げ地面に叩きつけた。
グシャ。鈍い音を立てて頭部が爆ぜる。
貫かれた右目は一瞬で復元されマブタの下から碧い瞳が現れる。
シンジはピクピクと痙攣する瀕死の使徒を躊躇なく踏みにじった。
アオォォォォォォォォン・・・
使徒は断末魔の悲鳴を上げて雲散した。

「赤木博士、使徒のパターンが消滅しました!」
「成功です。使徒殲滅を再確認!」
「やったわね。シンジくん」
指揮ルームは一時作戦成功の歓喜につつまれた。
「喜ぶのはまだ早いわよ」
「これより、コア固定化計画を開始します」
「二人は・・・8号機の魂になるんですね」
マヤは悲しそうにつぶやいた。
「悲観しないでマヤ。これが成功すれば二人ともきっと帰ってこれるから」
リツコはマヤの頭をポンと叩いた。
「作戦開始!」
3人は再び作戦遂行のために作業に取り掛かる。
(ミサト、こちらは1段落よ。はやくレイを、8号機パイロットを連れてきて)
リツコはタバコが空になったことに気が付き、新しい箱の封を切った。
186+A(nother):2009/09/19(土) 17:09:16 ID:???
今日はここまで。

レイの描写は人間臭くしています。
新劇ベースなのでレイの幸せは人として当たり前の幸せと妄想してます。
なので泣き叫んだりさせています。
この先、感情を爆発させるシーンが所々出てきます。
了承ください。
187名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/19(土) 22:32:10 ID:???
ぐだぐだ言わんと作品だけ投下してくれればそれでいいんだけど
188名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 11:33:43 ID:???
乙。
とりあえず続きに期待してる。
レイに関してはコメントで解説するよりも本文中でフォローしてくれた方が嬉しいかな。
189名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 15:00:49 ID:???
乙です。
オレは全然良いと思うけど
みなさん評価厳しいねー。
190+A(nother) 第9話:2009/09/20(日) 19:50:55 ID:???
「無駄だとは思うが、無駄な抵抗でもしてみるか?」
「加持、冗談になってないわよ」
「クッソー!EVAさえあればこんな奴らちょちょいのちょいなのに」
加持、ミサト、マリはレイを中央に置き背中合わせに円陣を組んだ。
使徒人間は卑猥な口元からヨダレを垂れ流しながらジリジリと近づいてくる。
「こいつらお腹が空いてるのかにゃ」
「食べられるのはゴメンだな」
「ねえ加持」
「なんだ葛城?」
「こいつらに喰われるくらいなら、いっそアナタが撃ち殺して」
「おいおいえらく弱気だな。君らしくないぞ」
「本気で言ってるのよ!」
ミサトが加持の手をギュッと握り締める。
「そんなことはできないね」
「どこの世界に愛する女を殺せる男がいるんだ」
加持はミサトに振り向いた。
「君と同じ場所、同じ時間に死ねるなら悔いはないさ」
加持はミサトを引き寄せ、唇を合わせた。
「愛してるよ、ミサト」
「わ、わたしも愛してるわリョウジ!」
今まさに使徒人間が飛びかかろうとしたその時、

アーーーーーーー
独特の駆動音が頭上から降り注いでくる。
使徒人間は動きを止め頭上を見上げる。
ガシュン!ニードルが1匹に突き刺さり、体を真っ二つに切り裂いた。
残りの使徒人間はニードルを避けようと飛びのいた。
「EVA・・Mk−6?」ミサトは呆然と頭上を見上げていた。

「アダムとリリンの間に生まれし呪われた者たちよ。僕は君らの存在を許さないよ」
カヲルの表情は憤怒の色に染まっていた。
191+A(nother) 第10話:2009/09/20(日) 19:54:17 ID:???
ズン!Mk−6は着地するやいなや使徒人間を蹴散らし始めた。
「なんてタイミング!空気が読めるイカス奴じゃにゃいか」
「褒めるのは後だ、行くぞ!」
ミサトに手を引かれ走り出すレイ。
リリスに振り返り小さくつぶやいた。
「ごめんなさい。もう一人のワタシ」
(イッテラッシャイ)
リリスの目が微笑んだ。
4人はエレベーターに向かって駆け出した。

ズズン
地鳴りにも似た衝撃音が鳴り響き、地面が揺れた。
4人が振り向いた先に信じられないものを見た。
使徒人間が更に巨大化してMk−6とほぼ同じ大きさになっている。
「なんてこと!あれではEVAそのものじゃないの!」
「クソッ!量産型はすでに完成してたのか!」
エレベーターに乗り込み扉が閉まる瞬間、Mk−6が3体の量産型に押し倒されるのを見た。
高速で上昇していくエレベーターは地下格納庫で停止した。
「ミサト、2号機で出るわ」
「なんですって!」
「このままMk−6がやられてしまったら奴らに追いつかれるの必至だわ,少しでも時間稼ぎをしなくちゃならない」
マリはミサトの手を握りじっと見つめる。その目に決死の覚悟が見えた。
「わかったわ」
「でも約束しなさい必ず生きて帰ること。いざとなったらEVAを放棄してでも」
にっと笑うマリ。
「それは得意とするところだにゃ」
「行ってきます」
マリは3人に敬礼をして走り去っていった。
192+A(nother) 第11話:2009/09/20(日) 19:57:53 ID:???
「さーて2号機、もう1回だけがんばってね」
ゼルとの戦闘後応急処置を施され、放置されていた2号機。
片腕は欠損し、頭部・腹部はむき出しで包帯が巻かれ痛々しい。
自己治癒能力を作動させるためにアンビリカブルケーブルが装着されたままだ。

「内臓電源はMAX、ダメージは60%か。きびしいにゃー。ええい、ままよ!」
バン!アンビリカブルケーブルを外した2号機はセントラルドグマに降下を開始した。

内臓電源タイマーがめぐるましくカウントする。
眼下では激しい戦闘音が聞こえてくる。
「やられないでよMk−6。今いくからね」

「やはり僕ではこの子の真の力は引き出せないか」
外部拘束具が6割方引き剥がされ、体のあちこちから激しい出血をしている。

一方、受けたダメージをモノともせず不死者のごとく立ち上がる量産型。
ニードルは全て使い切り、手にしたプログレッシブナイフの刃は半分折れている。

「こんなに傷だらけにしたらシンジくん怒られてしまうかな」

ガー!1匹がむき出しの腹にかぶりついてくる。
避けようとしたところにもう1匹が体当たりをかましてくる。
ゴフゴフ。腹の肉の一部をかじり取られる。それを美味そうに咀嚼する量産型。
更に1匹が左肩に拘束具ごとかぶりつく。
右手のナイフで脳天を勝ち割るがナイフが砕け散る。
脳漿を撒き散らしながら、なお左肩を食いちぎろうとする。
もう1匹がMk−6の背後から頭にかぶりつき引き倒す。

「やれやれ、万事休すかな」
3匹目が腹に食いつこうとしたその時!
193+A(nother) 第12話:2009/09/20(日) 20:01:15 ID:???
赤いケダモノが量産機の首にかぶりつきその首をねじっ切った。
首を失った胴体からおびただしい量の血が噴出し、ビクンビクンと2度大きく痙攣して動かなくなった。

「あれは2号機。そうかこれが獣化形態だね」
カヲルは途切れそうな意識を奮い立たせる。
2号機は瞬く間に次の獲物の首をねじ切り、最後の1体と対峙する。

「残り、90秒!なせばなるぅー」
半ば獣と化したマリは喜びの笑みを浮かべてレバーをガンと押し込む。
それに呼応してザ・ビーストは量産型に牙を剥いて飛び掛る。
ガー!獣と使徒との殺し合いは凄惨を極めた。
その牙で爪で互いの肉を引き裂き喰らいあう。

「超!痛気持ちぃー!!」
マリの腕はあたかもそこに目標がいるかのように獲物を捕らえようと空を切る。
「ガウ!」
マリの口が大きく開かれ獲物に噛み付いた。
2号機の牙が量産型の咽元に食い込む。
歯が肉が食いちぎる感触を感じたマリは絶頂に達した。
のど笛を食いちぎり体を引き裂く2号機の姿は悪魔そのものだった。

カヲルは機外へ抜け出し2号機のパイロットが現れるのを待った。
プシュー。2号機のエントリープラグが排出されマリが姿を現す。
緑に輝いたままのマリの瞳は眼下のカヲルを見つめる。
「ガッ・ピィー・・マリ・・脱出成功・・・」
無線から途切れ途切れにミサトの声が聞こえてくる。
「良かった・・・」
クシュン。マリはひとつクシャミをした。
194+A(nother):2009/09/20(日) 20:03:43 ID:???
今日はここまでです。

では。

195+A(nother) 一部訂正のお知らせ:2009/09/20(日) 20:12:55 ID:???
以下脳内変換お願いします。

誤:ゼルとの戦闘後応急処置を施され、放置されていた2号機。

正:第10の使徒との戦闘後応急処置を施され、放置されていた2号機。

誤:Mk−6

正:Mark.06
196名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/20(日) 23:53:57 ID:???
マリがにゃーにゃー言う作品はツマンネの法則
ここに確立
197名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 01:13:28 ID:???
お前まさか…!
心配なので一応言えば分かるものを。







部室に置きっぱなしの数Aの課題早く返せよw
198名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 08:09:47 ID:???
>>197
小説とか見てませんよね?
わざわざ電話しなくても分かりますから。
言わなくてもテンションで分かりますから。
ちなみに数Aの課題はだいぶ前に返しましたよ。
199名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/21(月) 18:56:30 ID:???
私信ならブログでやれや腐れゆとりが
200+A(nother) 第13話:2009/09/21(月) 21:56:03 ID:???
「リリスによるサードインパクトは失敗した」
「量産型4機の損失、Mark.06の裏切り、我々に不都合なことばかり起こるな、碇ゲンドウ」
「キサマが手引きしているのではないのか?」
モノリスの前でゲンドウはうなだれている。
イスに手錠をかけられ拘束され、顔には尋問の際の生傷が見て取れる。
「監禁された私になにができる?」
不敵な笑みを浮かべるゲンドウ。
「ねずみが忍び込んでいるのは判っているぞ。まあいい」
「今日ここに来てもらったのは他でもない。初号機によるサードインパクトを再び行う」
「そこで君に協力願いたのだが。いやとは言わせんよ」
「3rdチルドレンがいないのにそれは不可能だ」
ふんと鼻をならすゲンドウ。
「代わりはいるよ。君だ、碇ゲンドウ」
なっ?!驚き面を上げるゲンドウ。
「量産機製造の過程で色々おもしろいデーターを得ることができた」
「そのひとつが擬似的に魂を製造する方法だ」
「ダミープラグ、君の提案だったな」
「近親者をプラグに乗せ、擬似的に適合者と同じ魂にすり替えEVAをだます」
「幸いにも君は碇シンジの父親だ」
「期待しているぞ碇ゲンドウ。次こそは我々の念願を果たそうではないか同志よ」

自室に戻ったゲンドウはベッドに座り、ふうと一息つき天井を見上げた。
「計画は順調だ。ユイ、もう少しで君に会える」
201+A(nother) 第14話:2009/09/21(月) 21:58:25 ID:???
「碇がプラグスーツを着る事になるとはな」
「冬月、笑いたければ笑え」
「笑いやせんよ」
見張りに聞こえないように近づく冬月。
「これが最後の機会だな」
「ああ、問題ない」
ゲンドウは冬月に向き直った。
「冬月先生、長いことお世話になりました」
ゲンドウは冬月に深くお辞儀をした。
「必ずユイを連れて帰ります」
「ああ、待っているぞ」
「それと、子供たちをよろしくお願いします」
「任せろ、碇」
「時間だ」
部屋を出る間際、不敵な笑みを漏らしたゲンドウを冬月は見送った。
(学生の頃初めて出会った時の顔にそっくりだな)

ゴポポ。グハッ!LCLにむせるゲンドウ。
(シンジも最初はこうだったな)
甲高い駆動音がプラグ内に響きわたり、ダミープラグアームがレバーに固定される。
「なにも見えないとは心細いものだな」
魂の座が降下を始めた。
「始まったか・・・」
深度が深くなるにつれて様々な記憶がフラッシュバックを始める。
前方の漆黒の闇の中に小さな光が見えてくる。
「ユイ」
徐々に意識が薄れていく中でゲンドウは信じられないものを見た。
「ち、違う!これはユイではない!キサマは・・・アダムか!」
202+A(nother) 第15話:2009/09/21(月) 22:01:36 ID:???
ウオオオオーン!初号機が咆哮する。
ゲージ内拘束装置をたやすく破壊すると天井に一閃、天井の全ての隔壁は蒸発した。
背中から光の翼が伸びると一気に高空まで上昇する。
眼下に見えるユーロネルフ支部。
後から9機の量産型が上がってくる。量産型は初号機の光の翼にかじりついた。
初号機は何重にもATフィールドを展開するとそれをユーロ基地に向けて放った。
「神の鉄槌」
激しい爆発と熱光に包まれユーロ基地は消滅した。
後には「浄化された地」が残った。
初号機と量産機の編隊は日本に向かって飛び始めた。
冬月を乗せたVTOLが離陸後1時間しての出来事だった。

「碇はさぞかし驚いていることでしょう」
「よもやコアが入れ替えられていたとは思ってもいまい」
「全てはこの四海文書外典の予言通りだ」
「前世での失敗は碇ユイの魂が初号機に残ったことが原因だ」
「碇ユイの取り込まれたコアをMark.06に移し替え、アダムを取り込んだコアを初号機に乗せる」
「ユイを失った碇ゲンドウが1週間失踪することも、赤木ナオコが協力することも全て予定通りに進んだ」
「碇と一体化したネブカドレザルの鍵、アダム、そしてリリス」
「全ての鍵は揃った。楽園への扉がじき開かれる」
「「全ては人類補完計画のために」」
203+A(nother):2009/09/21(月) 22:04:22 ID:???
今日はここまで。

おやすみなさい。
204シイ:2009/09/21(月) 23:46:41 ID:???


「おかえりなさい。」

玄関に降り立ったレイジは、その声を聞いた。
靴を脱いだ足をそのままリビングに運ぶ。

「ただいま、母さん。」

車椅子に乗った十五歳のままのレイはやさしく頬を弛緩させた。


ほんの数ヶ月前、シンジと、育児休暇から戻って来たアスカの手により、またレイはこの世界に戻ってきた。

足の不自由は残ってしまったが、シンジ達のことを覚えていたレイを見て、一番最初に声を上げて泣いたのは、罪の意識を持って彼女の再生を実現させたシンジではなく、実の息子のレイジでもなく、アスカであった。
そしてふらつき倒れ込む、消え入ってしまいそうな白い裸体を抱き締めたのも、他の誰でもない彼女だった。


「レイジ、」

「なに?」

密やかに声を細く吐き出し、車椅子の車輪を撫ぜるレイに、レイジは耳を傾ける。
レイは顔だけレイジの方に向け、いつしか消えてしまった微笑みのない仏頂面で、

「碇くんのところに、連れてって。」


.
205シイ:2009/09/21(月) 23:48:37 ID:???


ネルフ内。
ファイリングされた書類に目を通して居る彼女の耳元で囁かれる。

「碇博士。来客です。」

アスカは身体の向きはそのままに、やんわりと相槌を打つ。

「ええ、分かったわ、…ってレイジじゃない。」

ようやく振り向くと、声主のブレザー姿の少年が、屈めて居た腰をゆっくりと伸ばし、口許で薄く微笑む。燃ゆる緋色のネクタイが、だらりと首から下がっている。
そして透き通った少年さながらの眼だけを、入って来た扉側に向ける。

アスカは自然と、同じ方向に振り向くと、車椅子の少女が大きな紙袋を持って居た。
紙袋を支える指先は、数多の絆創膏に包まれていて、アスカは思わず笑みを洩らした。

「レイ。」

彼女の名を呼び、アスカは椅子から立ち上がった。
手元の書類は、いつしかデスクの上に散乱していた。

「…お昼に、しませんか、」

ぽそりと、そう言った彼女は頬を微かに赤らめ、蛍光灯の下の淡い青の短髪を垂らし、俯いた。
206シイ:2009/09/21(月) 23:50:40 ID:???
まだ続きます。
投下まで時間がかかってしまいました。

こんばんは、シイです。
お久し振りです。
誰も覚えていないかもしれませんが…。

なんだか、スランプかもしれません。
次の投下までまた間が空くと思いますが、
続きを待って下さる方は、暫くお待ちを。

では今日はここまでで。
おやすみなさい。
207名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 01:26:04 ID:???
納得いくものが書き上がったら投下すりゃいいじゃん
言い訳なんかいらんし半端なもん見せられたって腹立つだけ
そもそもアナタが投下しなければならない理由なんて微塵もない
あと改行ウゼえ
208名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 03:07:47 ID:???
GJ 読む気ないならやめとけば?
209名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 03:25:14 ID:???
>>207
お前ゆとり新規住人かよ。
私怨か何か知らんが作品以外の批判なら>>1読んで出てけ。
210名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 07:44:22 ID:???
シイさんきてたー!
GJです
211+A(nother) 第16話:2009/09/22(火) 08:34:29 ID:???
「赤木先生!碇くんはどこ!」
「レイ、落ち着いて聞いてちょうだい」
本部から脱出して1時間後、松代支部作戦指揮ルームに3人が到着した。
「シンジくんはあそこにいるわ」
リツコはフロントガラス越しに見える8号機を指さした。
「シンクロテストですか?」
「いいえ、シンジくんはね、8号機のコアになったの」
「!」
レイの目が大きく見開き驚愕の表情に変わる。
目から大粒の涙がぼろぼろと溢れだし、顔をクシャクシャにして泣き始めた。
「碇くん・・・ズビッ・・ぞんなぁ・・・ヒグッ・・イヤア・・・ウワアアアア!!」
ミサトがレイを抱きしめる。
「レイ、シンジくんは自分から望んで志願したの」
「じきに初号機を使ったサードインパクト計画が始まるわ」
「それを阻止するためには戦力が必要よ。時間的に余裕がない状況ではこれがベストの選択なのよ」
リツコは取り出したハンカチでレイの涙を拭き、鼻水をチンッさせる。
「それにアスカを助けるためにもこれしか方法がなかった」
「2号機の子も一緒なんですか?!」
「そうよ」
レイの目つきが変わる。
「碇くん戻ってこれますよね。あたし達が戻ってこれたように」
「もちろん。全てが終わったあとにね」
「あたしをすぐに8号機、いいえ、碇くんに乗せてください」
レイの瞳には静かなる炎が燃え上がっていた。
212+A(nother) 第17話:2009/09/22(火) 08:35:39 ID:???
そのとき、緊急事態を告げる警報が響きわたる。
「葛城司令、ユーロ支部の消滅を確認!」日向が叫ぶ。
「なんですって!」
「さらに消滅地点から複数の飛行部隊を確認、ネルフ本部へ向かっています」青葉が続く。
「予測よりかなり早い行動ね・・・レイ、頼んだわよ」
「リツコ、8号機搭乗準備急いで!」
「まかしなさい。レイ行きましょう」二人は駆け足で指揮ルームを出て行く。
「さて、俺はなにをしたらいいかな司令?」
「あなたはここで私を支えてちょうだい」
「了解」
「EVA8号機改めコードネーム「シンカ」起動プログラム開始!」
「「了解」」3人のうちひとり日向は涙目で呼応した。

白を基調とした新型プラグスーツに身を包んだレイはリツコの説明もそこそこにプラグ内に飛び込んだ。
「碇くんの匂い、2号機の子の匂い・・・」
「レイ、用意はできた?これから起動させます」息も絶え絶えのリツコ。ゲージから指揮ルームまで走ったのだろう。
「はじめてください」プラグ内に極彩色の光が満ち溢れる。
「シンクロ率、すごい!いきなり200を突破しました。まだ上昇します」
リツコの女の感がひらめく。
「レイ!だめよ!あなたまで融合したら誰が操縦するの!」
「だめなの、止められないの。心が制御できない!碇くんと一つになりたい!」
レイの悲痛な叫びがスピーカーから響きわたる。
ミサトはマイクボリュームを最大まで上げて大声で叫んだ。
「アスカ!レイがあなた達を邪魔しにいくわよ!なんとかしなさい!」
ギン!シンカの目が青い光を放ち覚醒した。
「8いえシンカ起動!」
「シンクロ率300で停止!ええっ?200まで下降。・・・なんで?」マヤが小首をかしげる
「女の嫉妬は怖いもんだよ」加持がふーとため息を漏らす。
「いいトリオね、あなた達。その調子で地球を救ってちょうだい」
「シンカ!リフトオフ!」
最大加速でリニアレールから射出されたシンカはそのまま空高く飛び上がり、光の翼を広げネルフ本部へ飛翔を始めた。
213+A(nother) 第18話:2009/09/22(火) 08:36:50 ID:???
「どうやら最後の使者がお出ましのようだよ」
「もう、あとちょっとなのに空気の読めない奴ら!」
マリはカヲルの上から降りるとプラグスーツを着込んだ。
「どう、人間の女も捨てたもんじゃないでしょ」
「ああ、どうやら僕は君を気にいってしまったようだよ」
「続きはあいつら全部ぶっとばしてからね」
リフトに乗り引き上げられていくマリはカヲルに質問した。
「ところであんたはスーツ着ないの?」
「僕に元々スーツは必要ではないんだよ」
カヲルは裸のまま、プラグ内に飛び込んだ。
「あたしも次は裸で乗ってみようかな」

逢魔ヶ時。
ネルフ本部上空で初号機は停滞し再び「神の鉄槌」の準備を始める。
ATフィールドが展開し鉄槌が下されるそのとき、地上から2条の光が放たれた。
ピシュン!「イチイバルの矢」は幾層にも重なったATフィールドを軽々と突きぬける。
ガシュン!その間隙をぬって「グングニルの槍」が初号機のコアを打ち抜いた。
「グングニルの槍」は突き刺さったまま軌道を変え、初号機もろとも大地に落下して串刺しにした。
量産型がすぐさま落下地点に降下し始める。
それをMark.06が「イチイバルの矢」で次々と打ち抜く。
もんどりうって地面に落下する量産型を「グラムの剣」で斬りつけていく2号機。
量産型の装備する「ロンギヌスの槍」の死角に飛び込み、両腕を叩き切り返す刃で頭頂から股間まで両断する。
背後からの槍の突きを回し蹴りではじき、振り向きざまに首を切断する。
瞬く間に2機を仕留めた2号機が3機目を定めた瞬間、背後に強く引き倒された。
2機の量産型がケーブルを掴み引っ張り倒した。
「うかつ!」
ずるずる引きずられる2号機を上空から槍をかざした量産型が迫ってくる。
キシュン!キシュン!キシュン!3本の矢が放たれ、上空とケーブルを引っ張る量産型を打ち抜く。
「サンクス!カヲル!」
「どういたしまして。しかし、これで矢は尽きたよ」
Mark.06は先の戦闘でダメージが大きく近接戦闘が難しい状態になっている。
214+A(nother) 第19話:2009/09/22(火) 08:38:03 ID:???
2号機はMark.06の元に戻りすがら2機の量産型を切り刻んだ。残り5機。
「もう奇襲は通用しない」
「それにニセモノも復活したようだね」
量産型が初号機に突き刺さった槍を引き抜くと初号機は再起動した。

ズン!初号機の足音が大きく響く。
体の発光部が赤く輝き威容な姿が闇夜に浮き出ている。
その姿はさながら「魔神」のように見えた。
ガハァ!灼熱の息は真夏の大気をも水蒸気に変える。
「「来る!ATフィールド全開!!」」
ビカッ!初号機の目から発せられた閃光は二人のATフィールドをやすやすと切り裂いた。
「ギャアアアー!」
左肩から股間にかけて両断された2号機が凄まじい声で絶叫する。
「マリ!」
カヲルが呼びかけるが全く反応がない。
ガコッ!閃光によって切断された地面がジオフロント内に崩れ落ちる。
Mark.06と2号機は崩落に巻き込まれて落下していった。

大量の土砂で埋もれるジオフロント。
初号機は空中に浮上し「神の鉄槌」を下した。
一瞬で土砂とネルフ本部は蒸発し爆光の引いた後「浄化された地」現れる。
全てが消滅したかに見えたその中心部の漆黒からATフィールドの光が発せられた。
むき出しになったセントラルドグマに2機のEVAをかばうようにリリスが立ちはだかっている。
アダムとリリスの対峙。
ウオオオン!!一際高く咆哮した初号機は目から数発の閃光を放つ。
ドギィーン!全ての閃光がATフィールドで中和される。
ガアアアアー!初号機はリリスに向かって突進した。
幾層にも展開したATフィールドを次々と破壊してリリスに肉迫する初号機。
最後の1枚に手が届いた瞬間、初号機は光の槍に貫かれた。
215+A(nother) 第20話:2009/09/22(火) 08:39:02 ID:???
「どけえええ!!!」
高速で突入するシンカはレイの叫びに呼応しATフィールドの槍を次々に放つ。
量産型が一斉に「ロンギヌスの槍」をシンカめがけて投擲する。
「そんなもの無駄よぉー!!」
シンカは突入速度を緩めることなく両手を水平に振りかざす。
ATフィールドがくもの巣のごとく光の糸と化した。
光の糸は槍を絡めとり量産型を肉片に変えた。

「さすがアスカね、戦闘のセンスは抜群だわ」
衛星からの望遠映像で戦況を見届けているミサトは感嘆した。
「レイにあの発想はないわね」
「すごい。圧倒的ですね。でもコアになった人にそんなことできるんですか?」
「愚問ねマヤ。暴走状態になったEVAを何度も見ているでしょう。今あの子たちは一心同体。無敵のチルドレンってところかしら」
「問題は初号機戦よ。なんの援護もできないのが口惜しいところね」
ミサトは腕を組んでじっとモニターを見つめている。

量産機を一掃したシンカは初号機との距離を詰める。
槍を受けた初号機は一時ひるんだもののすぐに態勢を立て直し続けざまに閃光を放つ。
シンカは左手のATフィールド最小限に絞り込んだ盾で閃光をはじき飛ばす。
はじき飛ばされた閃光は着地地点で大爆発を起こし周囲を火の海に変える。
凄まじい閃光の発射に近づくことが容易でないシンカ。
すると、リリスが後ろから初号機の首を締め上げた。
「お母さん!」レイの口から思ってもいない言葉が無意識に漏れる。
閃光が止まる。その間隙にシンカは初号機に取り付いた。
「これで終わらせる!みんなが幸せになる世界を!そして碇くんを取り戻す!」
右手から光のランスを繰り出し初号機のATフィールドを中和させ、胸部装甲を剥ぎ取り、コアに狙いを定めたそのとき、コアにゲンドウの顔が浮かび上がった。
「碇司令!!」
ランスがコアの直前で止まる。
216+A(nother) 第21話:2009/09/22(火) 08:39:47 ID:???
「レイ!騙されてはダメよ!やりなさい!!」ミサトが叫ぶ。
「だ、ダメよ!できない!!」
コアのゲンドウがニッと笑う。
光の触手がシンカの両手・両足を切り払う。
「いぎいい!!」レイが絶叫する。
ズズン。四岐を切断されたシンカが地面に落下する。

ドクン!初号機の体が大きく脈動すると頭部拘束具が四散する。
瞬く間に巨大化した頭部がシンカを丸呑みにした。
ズズズ。体全体の拘束具を弾き飛ばした漆黒の本体がみるみる巨大化していく。

「な、なんてこと!」目を見張るリツコ。
「形象制御のリミッターが!サードインパクトの前兆です」マヤの悲鳴にも似た報告。
「あれは・・・アダム!」南極での記憶がフラッシュバックしてがっくりとヒザを落とすミサト。
「もう打つ手無しね」ドスンとイスに座り込んだリツコは振るえる手でタバコに火をつける。
「りっちゃん。俺にもいいかな」
リツコはスーと紫煙を深く吸い込むと、火のついたタバコを加持に渡した。
「悪いなりっちゃん」加持はそれを受け取るとこの世の名残を惜しむかのようにスーと吸い込んだ。
「・・・博士・・・形象制御が、反発する力が発生しています」
「「な?」」ミサトとリツコが日向のモニターを覗き込む。
「どういうこと?リツコ」
「わからない。もう未知の領域よ」
「司令、あれを見てください!」青葉が叫んだ。
モニターに純白の巨人が写し出されていた。
「リリス!」
ぐんぐんと巨大化していくリリスは成層圏を抜けアダムと同じ大きさになる。
アダムとリリスが対峙したとき双方の容姿が変化した。
「碇司令!ユイさん!」リツコが驚愕する。
リリスはアダムが巨大化すると同時にMark.06と2号機を取り込み、2機のコアを触媒に覚醒した。
二人は互いの両手を組み合わせ激突した。
ドオォーン!!!大気が激動し地球が震えた。
217+A(nother) 第22話:2009/09/22(火) 08:41:00 ID:???
「レイ、レイ・・・」
アダムに取り込まれて気を失っていたレイは自分を呼ぶ声で目を覚ました。
「碇指令・・・」
「レイ、すまないことをした」
「碇指令どうしてここにいるんですか?」
「・・・ユイを取り戻そうして間違いを犯した。今までユイと思っていたのはアダムだった。私はまんまと騙されたわけだ」
「碇指令、もうダメなのですか?地球は、全ての命は滅んでしまうのですか?」
「まだ、生き残る可能性はある」
「それは?!」
「私はネブカドレザルの鍵を持っている。この鍵は全ての魂を器から開放するものだ」
「今、全ての生命の父なるアダムと母なるリリスが諍いを始めた」
「この鍵の力を解放すればそれに触れているもの全ての器が連鎖的にLCLに還る」
「肉体を持つアダムとリリスの魂が開放されるが、それは全ての生命がいや地球そのものがLCLに還ることを意味する。それはEVAとて例外ではない」
「このままでは地球自体が崩壊しかねない。そうなれば全てが無に帰してしまう。魂とLCLが残れば生命の復活は可能だ」
「全てがひとつに・・・どうしたらいいですか碇指令」
「私の元まで来るのだ。私は今エントリープラグに囚われている。急げレイ時間がない」

「碇くん、起きて!」
再起動を試みるレイ。しかし反応がない。
「お願い、碇くん、2nd、目を覚まして!」
レバーをガチャガチャと動かす。
「起きて、起きて、起きて、起きて、起きて、起きて、起きて、起きて!」
「どうして起きてくれないのよ!・・・この!バカシンジ!バカアスカァー!!」
ユラ。闇の中に赤と青の炎が揺らめいた。
プラグ内にまばゆい光のシャワーが降り注ぎ、モニターが生き返る。
「シンジ!アスカ!」
レイはレバーをグッと握り締めキッと前方を睨み付ける。
「シンジ、アスカ行きましょう!碇指令の元へ!!」
ウオォォォン!光の翼がはためかせシンカは急上昇を始めた。
218+A(nother) 第23話:2009/09/22(火) 08:41:48 ID:???
ブゥオオオオオ!! キュアアアアア!!
アダムとリリスは咆哮しながらせめぎあいを続けている。
両者の咆哮は地球上全ての人々の耳に届いた。

「リョウジ、あなた何て聞こえる?」
ミサトがモニターを見ながら加持に質問する。
「あ、その、なんだ“女遊びが過ぎる”って聞こえるな」
加持をギロッと睨みつけるミサト。
「つまり、浮気でしょ」
「君こそどうなんだ?」
「あ、あたしは“家事をもっとまじめにやれ”かな。あなたのことじゃないわよ」
「炊事洗濯掃除もろもろでしょう。なにもできないものね」リツコがちゃちゃを入れる。
「うっさいわねー、リツコあなたはどうなのよ?」
「“タバコをやめろ”って言ってるわ」
「あら、やめられんの?」
「そんなこと言う男はこっちから願いさげね」
指揮ルームでは何と聞こえたか各自の報告が始まった。

「結論として“夫婦げんか”ね」
「「ハアー?!」」
「それしか考えられないもの」リツコは眉間に手を当てハーと息を吐いた。
「アダムとリリスの思念が聞いた者の一番やましい部分を表現化しているのよ。多分」
「私たちは今、宇宙規模の“夫婦げんか”と遭遇しているようね」
「なんて大迷惑!!」ミサトはコブシをグッと握りしめた。
219+A(nother) 第24話:2009/09/22(火) 08:42:58 ID:???
漆黒の空間を飛翔するシンカの目前に巨大なコアが出現する。
「エントリープラグはどこ!ギリギリまで近づきましょう」
高速でコア表面スレスレまで近づくと、魂を吸収された人々の顔が無数に浮かびあがっているのが見える。
「鈴原くん!洞木さん!相田くん!」
一瞬だったが確かに3人の顔が見えた。
グゥオオオーひときわ高く咆哮したシンカは更にスピードを上げる。
「どこ?どこなの?碇指令!教えてください!!」
「ここだ、レイ」
声に導かれるまま首を向ける。
一条の白い円柱が見えた。
「あれ!」
シンカは急旋回をして円柱めがけて突進する。
「でも、どうやって破壊するの?!」
ガキン!ガキン!歯を鳴らすシンカ。
「噛み砕く?わかったわ。やってみる」
ドズン!!勢いそのままにコアにめり込みながらエントリープラグをくわえ込もうとする。
クワッ!ハグッ!レイの口がプラグをくわえる。
バキィィン!!レイはプラグを噛み砕いた。
「それでいい。ありがとうレイ」
コアに飲み込まれていくゲンドウ。
その数秒後、飲み込まれた辺りから猛烈な勢いで形象崩壊が始まる。
それは瞬く間にシンカを包みこみコアを崩壊させた。
プラグ内の明かりが消える。
消え入りそうな恐怖の中でそのときが来るのをじっと耐えるレイ。
「もう少しでシンジとアスカに会える」
そう信じて。
220+A(nother) 第25話:2009/09/22(火) 08:46:00 ID:???
形象崩壊はアダムを通じてリリスに伝染する。
二体の巨人がLCLの塊となったとき地球の全生命はLCLと化した。
崩れ落ちる巨大な水柱は地表全てを飲み込み地球を赤い水玉に変えた。
自転が止まり、全てが静止した。
1日目 アダムとリリスは地軸と自転を戻し昼と夜が出来た。
2日目 アダムとリリスは大気と雲を再生した。
3日目 アダムとリリスは大地と海とを隔て、植物を再生した。
4日目 アダムとリリスは空を覆う雲を掃い分け太陽と月と星の光を大地に降り注がせた。
5日目 アダムとリリスは魚と鳥を再生した。
6日目 アダムとリリスは獣と家畜と、人の再生を約束した。
7日目 アダムとリリスは宇宙に去っていった。

ザザーン 赤い海辺の波打ち際に少年と少女がいた。
原初の大気はどこまでも澄み渡り宇宙の色が見えてくるようだ。
心地よい風が少年の髪をなでる。
少年は隣で寝ていた少女が目覚めるのを感じた。
「おはようレイ」
「・・・カヲル」
「すべては終わったよ。アダムとリリスは新しい星を求めて旅立っていった」
「二人が原初の地球に来たときはとても仲むつましかった。
そしてこの星でぼくらの兄弟達を生み落としていった。
変わったのは僕が生まれてからだ。アダムは僕を小さく弱い者としてたいそう嫌った。
でもリリスは兄弟の仲で1番僕をかわいがってくれた。
そうしてアダムとリリスは仲たがいをしてしまい、リリスは君らリリンを身ごもって出奔してしまった。
リリンは僕と良く似た兄弟だ。彼らは特別な力はなかったけど生きる力はどの兄弟にも負けていなかった。
あっというまに地球の支配者として君臨してしまったからね。
これにはアダムも驚いたが他の生命を犠牲する所業が許せなかった。
リリンを滅ぼそうとしたが結果はこの通り」

「去る間際にこう言い残したよ。地球で生まれた生命は地球に帰すべきだと。
君らが使徒と呼んでいた14人の兄弟もコアとして残していったよ。
別の神の脅威からリリンを守るようにとね。いつかそのときが来れば彼らは復活するよ」
221名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 09:10:16 ID:???
Another作者です
最終話で連投規制に
Ors
規制解除されたらUPします
222名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 09:22:46 ID:???
おっつ!
223名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 12:17:50 ID:???
>>207がどうしてもAnotherにしか見えなくてワロタw
224名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 16:39:08 ID:???
規制解除はやく〜続きが気になるよ〜
225+A(nother) 最終話:2009/09/22(火) 21:03:38 ID:???
「そして、ぼくらとリリンは新たな種として生まれ変わった」
カヲルは晩秋の高い空に手をかざす。
「どう変わったかはわからないけど、僕らは「補われた」とだけ教えてくれた」

「そして、特別に僕ら二人の望みをかなえてくれたよ」
「レイ、君の髪の色は赤みかかった金色で目の色はこの空と同じ青色だ。君が最も望んだ姿に変えてくれたんだ。ところで僕はどうかわったかな?」
「黒い髪、黒い瞳、シンジと同じ色」
「良かった。うれしいなぁ」カヲル心底うれしそうに笑った。

バシャン!海から少女が一人現れた。
「クシュン!おお、寒い!」
カヲルは急ぎ立ち上がると海に駆け込んでいき、少女を抱きしめた。
「マリ、会いたかった」
「へへ、ただいま。…カヲルあったかいニャ」
マリを皮切りに次々と人々が帰ってくる。
ミサト、加持、リツコ、マヤ、日向、青葉、冬月、手をつないだゲンドウとユイ。
ゲンドウの本物の笑顔を見てレイはとてもうれしくなった。
そして・・・
シンジとアスカが。
二人に手を引かれているのはアスカの母親だろう。
レイは思わず走りだした。
「シンジ!アスカ!」
「「レイ!」」シンジとアスカは満面の笑みで両手を広げた。
レイは二人の腕の中に飛び込んだ。
(この先がどうなるかなんてわからない。でも、なにがあってもこの暖かな気持ちを私は忘れない。ずっと)

海の色が次第に赤から青に変わっていくのをアダムとリリスは見つめていた。
「いつかまたこの宇宙でめぐり会える日まで。青い星の子供達の未来に祝福あれ。」
そう言い残すと二人は虹色の航跡を残して宇宙の深遠へと去っていった。

終劇
226名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/22(火) 21:46:24 ID:???
はい号泣。
227+A(nother):2009/09/22(火) 23:28:54 ID:???
最後まで読んでくれた方ありがとです。

>>223 違うがなw 
     
>>206 シイさんのお話好きです。お待ちしてます。

>>226 早速きっついなー。でも読んでくれたのね。トン

これにてROMに戻ります。

ではでは。
228名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 08:47:23 ID:???
掲示板に投稿すると消したくなっても消せないからなー
229名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/23(水) 22:17:32 ID:???
>>228
板毎消滅させることは可能だろ
230+A(nother):2009/09/24(木) 16:06:55 ID:???
ROMに戻ると言ったものの、
これを書かないと自分の中で
物語が終わらないのでUPします。

まあ、蛇足とは思いますが勘弁。
231+A(nother) エピローグ@:2009/09/24(木) 16:08:41 ID:???
あれから9ヶ月、季節は巡り夏が来た。
「冬もいいけどやっぱり夏がいいわー」
汗をかいたグラスの中身をググッと飲み干すミサトはプハーと一息つき、
サマーベッドの上でゴロンと横たわる。

蒼い空、純白の雲、澄み切った青い海。
白い浜辺に咲くカラフルなビーチパラソルの花々。
波打ち際ではしゃぐ若い妊婦達。
「あんた、お腹の子に悪影響じゃなくて?」
隣のベッドでくつろいでいたリツコがつぶやく。
「一杯だけよ。久しぶりなんだもん。勘弁してよ先生」
「ほんと、仕方ないわね」
あきれ返りフウとため息をもらす。

「“まごころ”ってほんと便利よねー」
「相手に伝えたい気持ちをうそ偽りなく直接心に訴えかけるコミュニケーション手段。
不器用な私たち人類への神様からの贈り物。」
「これが補完なのかしらね」
「どうかしら。まだ色々と隠された能力があるとマギ2は予測しているわ」
「新しく生まれてくるこの子達にその能力の開花確立が高いのね」

あと1ヶ月もすると“まごころベビー”の出産ラッシュが始まる。
リツコの抱える担当妊婦だけでも、ミサト、アスカ、レイ、ヒカリと第3新東京市立第壱中学校の生徒、
ネルフ職員併せて20人を超える。
そのリツコをサポートするのはマヤと碇ユイ、式波キョウコ。
ほとんどの医学的資料が失われているいま、経産婦であるキョウコとユイの知識が
リツコ、マヤの参考書となっていた。
232+A(nother) エピローグA:2009/09/24(木) 16:12:03 ID:???
「ユイさん、キョウコさん、分娩時の会陰切開なんですけど、
ほんとに麻酔無しでハサミでジョキンなんですか?!」
隣のパラソルでユイ、キョウコに分娩のレクチャーをされていたマヤが驚きの声を上げた。

「いっ!?」
ミサトが飛び起きて隣のパラソルの話を聞きにいく。

「痛いですよね!そんなこと私できません!」
マヤの顔が真っ青になってペンを持つ手がブルブル震えている。
「大丈夫よ、マヤさん。妊婦さんは陣痛でそんなもの気にもならないから」
キョウコがコロコロと笑い飛ばす。
「シンジの時は難産だったわ。結局3日間陣痛で苦しんだもの。
あの子中々お腹から出たがらなかったのね。」
「「そうなんですか、お義母さん!」」
アスカとレイは双子のように同時に驚きの声を上げた。
いつまにか、ユイとキョウコの周りには若い妊婦達が集まっている。

「そ、それよりもハサミでジョキンって本当なんですか?」
ヒカリが身を乗り出してたずねてくる。第壱中学校の生徒達も口々に不安を漏らした。
「ふふ、そんなに怖がらなくても大丈夫よ。私達には子供を産める力があるの。
その力を信じて、自信を持ちなさい」ユイはヒカリの頭をなでる。

「ユイさん、キョウコさん。出産の話もっと詳しく教えてください」
ミサトが真顔で二人に詰め寄った。
「そうね。それじゃアスカが・・・」
若い妊婦達は驚きと感嘆の声が波の音に負けない位大きく響きわたる夏の日の一日だった。

233名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/24(木) 18:52:33 ID:???
誰だ彼女たちを妊娠させやがったのは!悔しいけど面白かったGJっ
234名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 18:51:57 ID:???
あげ
235名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/27(日) 21:03:22 ID:???
保守がてら。
近親相姦な上に、LASなのにレイとカヲルが絡むのが嫌な方は
NGワード 有心論 でお願いします。
236有心論:2009/09/27(日) 21:05:12 ID:???
僕達は生まれたときから、一緒だった。
僕とアスカは二卵性双生児としてこの世に生まれた。
母は、僕達を生んだ後にすぐ子宮の病気で死んでしまった。
一度に男の子も女の子も生めて嬉しいと、言っていたそうだ。

父親は母が死んだ後、子供をほったらかしにしながらも、何人も彼女を作っているらしかった。
今も彼女がいるみたいだが、僕は詳しくは知らない。
男の僕から見ても、最低な父親だと思う。


僕はそんな父親にそっくりで、アスカは母親にそっくりだ。
僕は髪も目も真っ黒だがアスカの髪は赤茶色で、目の色も日に透けるとたまに青っぽく見える時があった。
僕と同じ遺伝子が入っているようには見えなかった。


セカンドインパクト直後に生まれた僕達の世代は、もちろん子供の数も少なく学年に1クラスしかない。
普通は兄妹なら別々のクラスにされるところだが、どうしようもないので僕達は同じクラスに在籍している。
そんな訳で、僕とアスカは同じ家で眠り、同じごはんを食べ、一緒に登校し、同じクラスで授業を受け、一緒に下校していた。
ほぼ丸1日一緒だった。
アスカと一緒にいるのが当たり前だった。
僕達は生まれた時からいつもそばにいたので、アスカがいないとどこか落ち着かなかった。
父さんはろくに家にいなかったし、母も記憶に残るほど一緒にいなかったので、僕達は二人で寄りそうようにして生きてきたのだ。

僕の世界はほとんどアスカで構成されていた。
237有心論:2009/09/27(日) 21:07:34 ID:???
毎日変哲もない生活が続き、それは変わることがないと信じきっていた。
退屈な学校も終わり、家に帰り今日もリビングで昼寝をしていると、アスカが寄ってきた。
「寝てるの?」
そう言うと、僕の前髪をかきあげた。
「こんな昼間っから寝てると、夜寝れなくなるわよ」
自分でそう言ったくせに、僕の隣に寝転んだ音がした。
僕はようやく目を開ける。
「自分こそ」
言ってから、意外と顔が近くにあって少しびっくりした。
キスできるくらい近くに。
あわてて身体を起こす。

「じゃー今から寝て、夜起きてゲームでもしよっか」
アスカが提案する。
親が一緒にいない二人暮らしだと、いつも好きな時に寝て、好きな時に起きてやりたいことをするようになるのは目に見えている。僕たちも例外じゃなかった。
こんな風に今まで僕達は、二人だけのリズムで好きなようにやってきていた。


とりあえず昼寝をすることにして、僕達は眠った。
僕の肩にアスカの額がくっついている。
暗闇が怖いアスカと昔はいつも一緒に寝ていた。
いつから別々の部屋になったんだっけ。

眠るアスカ。
その姿をまだ誰も他の男は知らないだろう。
優越感。
誰にも渡したくない。
独占欲。

この感情は何だ?
この感情に名前をつけるとしたら。
238有心論:2009/09/27(日) 21:13:05 ID:???
…僕はアスカが好きなのか?
今更思いついて愕然とする。
兄妹なのに。
血がつながってるのに。

本当は自分でも知っていた。
夜の行為の妄想の相手は必ずアスカだった。
背徳的だとはわかっていたけど、やめられなかったんだ。

今更自分で認めて自覚して何になるんだ。
決して許されない恋。他の女の子じゃどうしてだめなんだろう。
アスカは決して僕なんかを好きになることはないのに。
239有心論:2009/09/27(日) 21:14:50 ID:???
そんな中、今日も退屈な授業の終了の鐘が鳴り響いた。

「アスカー、帰るよ」いつもの様に言い、
「鞄とってくるからちょっと待って!」いつものように返事がくる。
二人で帰ろうとしたその時、
「碇さん、今日日直だよ」
とクラスメイトのカヲルくんがやってきた。

「あっ忘れてた!ありがと、渚。ごめん、シンジ先帰ってて」
「でも、一人じゃ大変だろ?」
手伝うよ、と言おうと思った瞬間、
「手伝ってあげるよ」
とカヲルくんに先に言われてしまった。
「悪いからいいわよ、シンジに手伝ってもらうから」
「僕が手伝いたいんだ」
「何で?」
「いつも君は碇くんとべったりだろ?君とゆっくり話してみたかったんだ」
「臆面もなく、そんな恥ずかしいことよく言えるわね!」
真赤になるアスカ。
「そういうことだから、先に帰っていいよ。じゃあね、シンジくん」
と、追い出され、疎外感を感じる僕。
その後やいやい言い続ける二人をしばらく見ていたが、
トウジに声をかけられ帰ることにした。
240有心論:2009/09/27(日) 21:16:22 ID:???
「とうとう渚が声をかけとったなー」
「何が?」
「渚、前からお前の妹ねらっとったみたいやぞ」
「えええ!!!」
「シンジもそろそろ妹離れする頃ちゃうんか?」


変わらない日常。
今日は昨日のただの延長。
そうだったはずなのに。
この日から思いもよらない方向に変わっていってしまった。
いや、こうなるべき方向だったとでもいうのか。

あの後、家に帰り落ち着かない気分で待っていると、アスカが帰ってきた。
なんだか様子がおかしい。
頬が赤い。
何だ?カヲルくんと、何があった?
「シンジー、あたし、彼氏ができちゃった。渚に、好きって言われたの」
好きなんて言われたの初めてで、思わずOKしちゃったと続けた。

アスカは僕の瞳が揺れたのを見ただろうか。

君は僕の妹で、いつかこんな日がくるのは当然で、僕がショックを受けているのは、
妹が離れていく寂しさのせい。
そう思い込もうとする。

「…そっか、よかったね、おめでとう」
「ありがとう」
いつもとは違うはにかんだ顔でアスカがほほ笑んだ。
241有心論:2009/09/27(日) 21:18:06 ID:???
それからアスカは帰りはカヲルくんと帰るようになり、
僕達はバラバラに帰宅するようになった。

今日も僕は、茶色の髪と銀の髪が隣に並んで歩いていく後姿を見送る。
時々銀の髪がかがむと、茶色の髪と重なり、金色になる。
僕はそれを見ていることしかできない。
お互いに見つめ合うまなざしは優しい。
アスカがあんなにかわいいと感じたことは今までなかった。
カヲルくんはかっこいいから並んでも絵になるよね。
僕なんかよりお似合いだ、なんて思ってみて兄なのになんなんだと我にかえった。

こうやって違う世界をお互い作っていくんだろう。
僕とアスカはずっと一緒だと思ってた。
何て独りよがり。思いこみも甚だしい。

僕にもいつか、アスカより大事な人が?

気がつくと他の女の子とアスカを比較している自分に気づく。
僕は最低だ。


(本当に僕たちは兄妹なんだろうか?)
戸籍謄本で証明済みです。
どうして兄妹として生まれてきたんだろう。
242有心論:2009/09/27(日) 21:19:23 ID:???
今日も僕たちは別々に帰る。
もういつものことになっていた。


でも今日は、こんな時間なのに何で帰ってこないんだ!
何をしていても時計が気になる。
今までこんなに遅くなることはなかったのに。
カヲルくんといるの?
こんな時間まで何してるんだろう。

アスカは暗闇が怖いのに。
カヲルくんはちゃんと家まで送ってくれるんだろうか。
送ってくれるとは思う。思うけど。

心配なのか嫉妬なのかもう僕にはわからない。
ただ、いてもたってもいられないということだけ。

僕は家を飛び出した。
カヲルくんの家は電車で1駅向こうだと知っていた。
だからいつも電車で帰ってるとアスカが言っていた。
すれ違いになるかもしれない。
でも、駅まで迎えに行こう。
怖がってるかもしれないから。
243有心論:2009/09/27(日) 21:21:17 ID:???
ロータリーのガードレールに腰かけ、電車を眺めていた。
もう何本見送っただろう。
やっぱり今日は電車を使わずに帰ってくるのかもしれない。
すれ違ったのかもしれない。
まさか事故とか…。
そうだったらどうしよう。
アスカがいなくなったら、僕はどうしたらいいんだろう。
僕にはアスカしかいないのに。

後1本、と思いながらもうどれだけ時間がたったのか。
「次が終電か…」
これで最後、と思って改札を眺めていると、アスカが出てくるのが見えた。

「アスカ!!」
「…へ?何でここに?」
「こんな夜遅くに危ないじゃないか!心配したよ!」
「ごめん!ついカヲルんちで寝ちゃってて。ってなんでこの電車に乗ってるってわかったの?
双子のテレパシー?すごーい!」
アスカは楽しそうに笑った。
「本当に心配したんだよ!どっかで事故にあったんじゃないか、とか。
アスカがいなくなったらって考えたらすごくすごく怖かった…」
「ごめんね、シンジ。心配してくれてありがとう」


そう言うとアスカは僕の頭を抱き寄せた。
兄弟愛として。

僕にはアスカしかいない。
だから、僕はアスカしかいらない。
他の誰もいらない。
アスカさえいてくれればよかったのに。
244有心論:2009/09/27(日) 22:00:50 ID:???
二人で並んで歩く、花の香りが漂う夜道。
何て名前の花なんだろう。
街灯に照らされる横顔。
夜は人を酔わせる。

「今日は随分と遅かったね、カヲルくんちで何してたの?」
「別に何もー。映画見てたら寝ちゃったみたい」
「寝てたって、何かされてない?大丈夫?」
「何かって何よ?」
「そ、それは…いろいろだよ…カヲルくんも男だし」
「なっ何言ってんのよ!キスしかしてないわよ!」


…キスしたんだ。
カヲルくんと。

この言葉が、僕を絶望のどん底に落とした。
君はどんどん先に行ってしまう。
僕はこのまま置いていかれる。

僕は、ひとりぼっちだ。

僕の中に眠っていた暗い衝動がゆれ動く。
心は手に入れられなくても、身体だけなら僕のものにできるかもしれない。
いや、手に入れてやる。
エゴでもいい。
キスが手に入らなかったなら、それ以外の初めてを僕が奪ってやるよ。

…君が好きだから。
245有心論:2009/09/27(日) 22:34:58 ID:???
でも僕は本当にそんなことができるのか?
アスカに抵抗されるに決まってるのに。

…じゃあ意識がなかったら?
父親が、不眠症なのか、睡眠薬を飲んでいることを知っていた。
それを使えば。
起きてるアスカには無理かもしれないけど。
寝ているなら。

(卑怯者だな)

でも、君を手に入れるためには一つしかない方法。

「アスカ、お茶を煎れたよ」
246有心論:2009/09/27(日) 22:36:38 ID:???
そうして、僕は誰にもいえない秘密をもった。

僕の初体験を君に捧げます。
だから、嘘でもいいから君の全てをください。


僕は薬が足りなくなると、不眠症だと偽りいろいろな病院に通い、少しずつ睡眠薬をためていった。

そうやって取り返しのつかない秘密を重ねていった。
僕が欲しいのはこんな君じゃないのに。君の感じてる声を聴かせてよ。

しかしやはり、偽物の幸せは永遠には続かない。

「あんた、自分が何してるかわかってるの」

ある日の夜中、冷たい声が部屋に響いた。

僕の聴きたい声はこんな無機質な声じゃない。

こうして僕の秘密は終わりを告げた。
247有心論:2009/09/28(月) 18:44:58 ID:???
あの日から僕達の関係は変わってしまった。
まあ無理もない。
僕のやったことはとても許されることではないから。
アスカは口もきいてくれなくなり、僕のそばに寄ってくることはなかった。
僕達はそれぞれひとり暮らしのように暮らしていた。
たまに父さんが帰って(というか家に寄って)くることはあったが、
あの人は僕達の関係に気づくことすらなかっただろう。
たまにアスカは帰ってこない日もあった。
カヲルくんの家にでもいるのだろうか。

もう僕には心配する権利すらない。

そんな時僕にできるのは、どうか、どこかで怖がっていないように祈るだけ。

後悔なんていくらしても足りない。
でもやってしまったことは消えない。
償うことすらできない。
僕は君を想うだけで傷つけてしまう。

僕は自分で自分を地獄のような日々に陥れてしまったのだから。


ぎすぎすした家に帰りたくなくて、最近は教室で時間をつぶしてから帰るようにしていた。
すると気がつくことがあった。
今までは気づかなかった。
綾波もどうやら時間をつぶしているのか、毎日一人で本を読んで遅くまで残っていた。
毎日一緒に残っていると親近感がわいてくる。
話しかけると、少しずつ少しずつ、彼女の返事が増えるようになってきていた。
248有心論:2009/09/28(月) 18:46:07 ID:???
「碇くんは、まだ帰らないの?」と珍しく綾波が話しかけてきた。
「うん、あんまり帰りたくなくて。別に心配する親もいないしね」
「そう」
綾波は本から目をあげると僕をじっと見つめた。
「え、何?何かついてる?」
「いえ、別に。…あなたはお父さんに似ているわね」
「父さんを知ってるの?」
「ええ」
そう答えると綾波はまた本の世界に戻っていってしまった。
一体なんだったんだろう。

僕は彼女の考えていることが少しもわからなかった。
けれど、そばにいると何故か落ち着く気がして、一緒に並んで座って時間を過ごすのは嫌いじゃなかった。
そんな放課後をここのところ過ごしていた。


今日もだらだらと、放課後教室に残っていると、葛城先生が慌てて走ってきたのがみえた。
「どうしたんですか?そんな慌てて」
「シンジくん探したわ、家にもいないし、とにかく落ち着いて聞いて、
あなたのお父さんが爆発に巻き込まれたって今知らせがきたの、病院に運ばれたそうよ、
今から急いで行ってあげて!」

父さんの仕事はよくしらないが、生命工学の研究所で働いていた。
爆発?
事故?
巻き込まれた?
249有心論:2009/09/28(月) 18:48:48 ID:???
横を見ると綾波が目を見開いていた。
彼女の細い手は震えていた。
こんな感情を表す彼女を僕は初めて見た。

私も行く、と何故か言い張る綾波と一緒に病院に急いで向かうと、
もうアスカが先に着いて病室の前で待っていた。

「シンジ!!!!パパが…、パパが…どうしよう、うわああああああん!!」
泣きじゃくるアスカを抱きしめながら、病室に入っていくと、

父さんの顔には白い布がかかっていた。

だめ、だったのか。
間に合わなかった。
汗が顔からしたたり落ちる。
アスカの涙と入り混じる。
僕達を庇護してくれる存在は消えた。

ふと隣を見ると、綾波は涙を流さないかわりに、目をいつも以上に真赤にしていた。
涙はでないの。
代わりに眼が赤くなるの。
彼女そう呟いた。
250有心論:2009/09/28(月) 18:50:37 ID:???
僕達は幼すぎて、悲しむことしかできない無力なガキだった。
周りがお通夜や葬式の準備をしてくれ、僕達をかわいそうな遺児として世話をやいてくれた。
気がつくと彼を見送る行事はほとんど終わっていた。
僕は父親が焼かれる煙を眺めながら、父さんにさよならを告げた。


父も母もいなくなり、僕の家族はアスカしかいなくなった。
僕には妹しかいなくなった。
家族をもうこれ以上失うわけにはいかない。

僕はアスカへの想いを心の底に、封印した。



すべてが終わった後、アスカがそっと僕に見せてくれたものがあった。
アスカとは父親の死がきっかけで、また話せるようになっていた。
僕がぼーっとしている間に、アスカは父さんの遺影の写真を探してくれていたらしく、
父親のアルバムをあさったそうだ。
その中から、2枚、写真を見せてくれた。
1枚は古い写真だった。
若い父親と、茶色の短めの髪の若い女性だった。
僕達が生まれるよりずっと前の日付だった。
もう1枚は、最近の写真で、僕は思わず目を奪われた。
父さんと、綾波だ。
二人とも寄り添って微笑んでいる。
2枚の写真の構図は、そっくりだった。
「この人とレイ、そっくりだと思わない?」
確かに、似ている。そう思った。
「あの子のショックの受け方は尋常じゃなかったわ。
下衆な想像でしかないけど、もし本当だとしたらパパは本当に最悪な男だけど、
昔の彼女に似てて、とかそういう話があったのかもしれない」
251有心論:2009/09/28(月) 18:52:22 ID:???
そういえば、病院で見かけた後、綾波を見ていない。
葬式には来ていなかった。
僕は自分のことでいっぱいで、綾波に何もしてあげれなかった。
忌引き明けに僕達が登校するようになっても、綾波は休んだままだった。
今頃どうしているんだろう。

心配だったので、ある日学校の帰り道住所録に載っている住所を頼りにし、
僕は綾波の家に行ってみることにした。
どこからするのかわからないが、工事の音が響く薄暗いマンションの廊下を歩く。
部屋のドアの郵便受けには数日分の郵便物がたまっていた。
いないのかもしれない。
ブザーを鳴らしても反応がない。
ノックをして、ノブを握りドアを引っ張ってみると、鍵があいていた。
悪いと思いつつ、奥をのぞくと綾波がベッドに座っているのが見えた。

「綾波!大丈夫?調子でも悪いの?学校に来てないから心配したんだよ」
彼女は駆け寄る僕を見つめていた。
しかし、反応がない。
「綾波、大丈夫?」とゆさぶってみると、
「あ…碇くん?」やっと目に焦点があった。

「大丈夫?ちゃんとご飯食べてるの?顔色が悪いみたいだけど」
「…食べたくないから、いい」
「だめだよ!何か食べないと。倒れちゃうよ。
今からおかゆでも作るから。ちょっと待ってて」
僕の父さんのせい?
だとしたら息子の僕にも責任がある。
急いで買い物に行き、手早く料理を作った。
252有心論:2009/09/28(月) 18:53:41 ID:???
「はい、どうぞ」
「……ありがとう……」

迷惑だったかもしれないが、綾波は何口か食べてくれた。
僕はぼうっとその様子を眺めていた。

「あの人がいなくなって、もうどうでもいいって思えたの」
綾波が独り言のように言った。
「僕の、父さん?」
「ええ。あなたのお父さんが好きだったの。初めて大事だと思える人ができたの。
でも、もういないのね…」

綾波は辛そうにつぶやく。
この数日で華奢だった身体がさらに細くなってしまっていた。

「僕じゃ、だめかな?」

思わず、僕は綾波に言った。
綾波が僕を見る。
僕はその赤い目を見つめ返す。

「似てるって言ってたよね。代りにはならない?」

支えてあげたいと思ったのは事実だった。
253有心論:2009/09/28(月) 18:54:45 ID:???
綾波はかなり長い間僕を見つめていた。
しばらくして、彼女は僕にこう言った。

「最初は似ているかと思ってた。
でもやっぱり、あなたは、お父さんと似ていないわ。だから、代わりにはなれない。
私はあの人が好きだった。一緒にいれて嬉しかった。
でも、私も代わりだったの。初恋の人に似てると言われた。
その人に近付こうと頑張ってみたけど、やっぱり代わりにしかなれなかった。
本物になれないって辛いのよ。
私はこれ以上、そんな想いを誰かに味わってほしくない。
碇くんもこれ以上、誰かの代わりを求めるのはやめたら?
本当にあきらめてもいいの?」
「何、言って…」
「妹が好きなんでしょう?
碇くんのことは、あの人と似てるかずっと観察してたから。見てたらわかっちゃったの」

死んだら、もう二度と会えないのよ。
私は大丈夫だから。
心配してくれてありがとう。

そう言って僕の背中を押した。

そう言われても、僕は妹を失いたくないと決めたのに。
254有心論:2009/09/28(月) 18:55:56 ID:???
とぼとぼと帰り道を歩く。
ふと前を見ると、カヲルくんが道の傍らに僕を待っていたかのように、立っているのが見えた。
「ひどい顔をしているね。大丈夫かい?」
「うん…、カヲルくんこそ、どうしてここに?」
「君を待っていたんだ、話がしたくてね」
「え?」
「アスカと別れたんだ、だから君に謝りたくて」

アスカとカヲルくんが別れた?僕がずっと願っていたことだけど…。

「な、何で僕に謝るの?」
「君に、辛い想いをさせたから」
「…そんなにわかりやすいかな、僕。綾波にも言われたんだ」
「そうだね、君の心は繊細だからね。それを知ってたのに、傷つけてしまってごめん」
「どうして別れることになったの?」
「ふられたんだ。アスカも、自分の気持に正直にすることにしたらしいよ。
何やら君に許せないことをされたとずっと悩んでいたけれど、父親の死をきっかけに考え直したらしい。
今更だと思うけどね。
傍から見たら君達の想いほどわかりやすいものはなかったのにね」
「え?」

どういう事?
255有心論:2009/09/28(月) 18:57:22 ID:???
「僕も君の代わりだったんだよ。まあ、僕も同じようなものだったから、何も言えないかな。
傷のなめあいだったんだよ、お互いにね」
「…アスカは、アスカでしかない。だから代わりにはならないよ」
「そうだね。みんな儚い期待に裏切られて勝手なものだ、僕も含めて」
「アスカもカヲルくんも?」
「アスカはいつも君と僕を比べていたよ。
言葉、性格、髪の色、目、どれを比べても違うのに。
君が誰かにとられる前に、依存をやめたいともがいていたよ。
好きなら好きって言えばいいのにね。
そこに現れたのが僕だったというわけさ。
僕もアスカと君が少しは似てるかと思って期待してたけど、君達は双子なのに全然違うものだね」
そう言うと彼はここにいないアスカと僕を比較するかのように、目を細めた。

「カヲルくんの言ってる意味がよくわかんないよ…」
「要するに、君が幸せになってくれたら僕も嬉しいってことだよ。君達は僕の希望だからね」
「え?」
「僕はね、見てわかるようにアルビノなんだ」
「アルビノ?」
「遺伝子異常の一種だよ。まあ、兄妹から生まれた子供だからね。
そういう疾患も起こり得る可能性は十分あっただろう。
つまり、近親相姦の子供ってことさ。大きい声では言えないけれどね」

僕は近親相姦という単語を聴き、びくりとする。
誰かに言われることを最も恐れていた言葉。
256有心論:2009/09/28(月) 18:58:52 ID:???
「それでも僕は幸せだよ。両親はたくさんの愛情をくれたから。
もう死んでしまったけれどね。でもとても仲がよかった二人だったよ。
まあ、今はそう思えるけれど、最近までわからなかった。
だから邪魔してみようかと思った。君の代わりが手に入るなら、と。
でも今ならわかる気がする。
君達を見ていたら、僕も救われる気がしてね。
どうして僕が生まれたのか。
君達に証明してほしくなったんだ。存在理由を」

勝手な言い分だけれどね、と彼は続けた。

「でも、僕は…」
「僕の両親は反対されて駆け落ちしたけれど、君にはもう反対する親もいないし、
誰にも気兼ねがいらないじゃないか?」
「……」
「君のしたいようにすればいい。アスカならまだ学校にいるよ」

カヲルくんの言っている言葉が頭を駆け巡る。
アスカも僕を好きだって?
カヲルくんの両親も兄妹だって?
だからってそれが免罪符になるわけでもない。
257有心論:2009/09/28(月) 19:05:50 ID:???
でも。
父さんは死んでしまった。
死んだらもう会えないんだ。
僕は今死んで後悔はしないのか?

死、という言葉と同時に、アスカの映像が頭に流れこんできた。
アスカ。
アスカで頭がいっぱいになる。

避けられている時も、父親が死んだ時も、どんな時でも僕の世界の中心にはアスカがいた。

アスカに伝えたい言葉。
僕は今のままではいつかきっと後悔するだろう。
彼女にひどいことをしてから逃げ続けていた。
きちんと逃げずに自分の行為を謝って、気持ちを伝えなきゃ。

僕にもアスカにも代わりはいないんだから。

「ありがとう、カヲルくん!」


カヲルくんとわかれ、僕は学校に向かう。
最初はゆっくりとした歩みで進んでいたが、だんだん気持ちが急いていき、
最後の方は地面を蹴り、駆けていた。
258有心論:2009/09/28(月) 19:06:59 ID:???
昇降口のげた箱にはまだ靴があった。校舎の中にいるはずだ。
僕は学校中を走りながらアスカの姿を探す。
教室。
階段。
廊下。
特別教室。
中庭。
渡り廊下。
校庭。
どこにもいない。
もう息も絶え絶えだ。
どこにいるんだろう。
少し考え、僕はふらふらの足で階段を駆け上がった。

屋上の扉を開ける。


そこには、夕日を背に受けたアスカがいた。
259有心論:2009/09/28(月) 19:07:41 ID:???
「アスカ」
僕は彼女の名前を呼ぶ。
アスカが振り返る。

僕は妹を失うことになるかもしれない。
それでも、いいんだ。
そのかわりに得られるかけがえのない存在があるから。

神様、僕はあなたの存在を信じることはありません。
あなたにご加護を願うこともありません。
僕はどうなってもかまわないから。
だからアスカに罰を与えることはしないでください。

「シンジ」
彼女が僕の名前を呼ぶ。
逆光の中でも彼女がほほ笑んでいるのがわかるのは、遺伝子がつながっているからかもしれない。
一歩一歩僕は近づいていく。

光を浴びて金色に光る長い髪に触れた後、アスカを強く強く抱き締めた。



終わり。
260名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/09/28(月) 20:17:48 ID:???
しんみりすた
良かったっす。
261名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/01(木) 20:05:03 ID:???
うん、良かった
262名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/10(土) 07:50:30 ID:???
過疎ってるなぁ
263名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/11(日) 00:17:28 ID:???
誰か作品書いてー
264名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/17(土) 16:10:28 ID:???
>>263が何か書いてくれるそうです
265名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/23(金) 18:50:24 ID:???
266名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/10/26(月) 01:09:23 ID:???
遅レスなんだけど>>207はなんでそんなに偉そうなの?
267名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/01(日) 22:40:22 ID:???
実際偉いんじゃね
知らんけど
268名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/01(日) 23:52:16 ID:???
ミサトアンチの書いたLMSを喜んで読んでいるLMSwww終わってるなw
269名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/02(月) 01:50:44 ID:???
「同姓期エヴァンゲリオン〜恋愛小説風〜」
第1話 首都、上京
第2話 見知らぬ、女性
第3話 止まない、電話 
第4話 夜、駆け出した後
第5話 レイ、故郷のむこうに 
第6話 結婚、第3新東京市
第7話 彼の造りしもの  
第8話 明日か、来客
第9話 瞬間、体、重ねて 
第10話 アクアセイバー
第11話 精子見た…闇の中で
第12話 奇跡の指輪 
第13話 ちと、入籍
第14話 ゼッタイ、俺の嫁
第15話 嘘と浮気
第16話 破局に至る報道、そして 
第17話 四人目の逮捕者
第18話 命の笠ね身を
第19話 夫婦の誓い
第20話 男のかたち 女のかたち
第21話 こども誕生
第22話 せめて、旦那らしく
第23話 並だ。
第24話 最後の恋
劇場公開版 第25話 Lover 
劇場公開版 第26話 恋ごころを君に
第27話 終わる人生
第28話 己の中心でアイを接げ組んだもの
270名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/02(月) 02:33:44 ID:???
ちと、入籍

雰囲気が加持さんっぽい
271名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/03(火) 14:18:25 ID:???
自演乙
272名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/17(火) 14:50:32 ID:???
初めて小説のようなものを書いた。
酷評は覚悟してるんだけど、打たれ弱いからまずほめるところを探してくれ

次で投下しますが、落ちてないし続きもない。
273名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/17(火) 14:55:41 ID:???
と、思ったんだけどエラーであきらめた。ごめんなさい。
274名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/21(土) 05:19:41 ID:???
おいコラ
275名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/26(木) 00:21:03 ID:R+r20kV2
シイの新作はまだか
例のビックリドッキリなネーミングセンスで笑わせてくれ
276名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/30(月) 21:12:03 ID:???
どうやら275はシイ氏がお嫌いだそうですよw
277名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/30(月) 21:16:32 ID:???
きっとツンデレなんだろ
278名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/04(金) 21:17:23 ID:ek+IoHxQ
レイジ(爆)
アゲインストザマシーンすか(再爆)
279名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/04(金) 23:35:56 ID:???
とんでもないもの見つけた。シイ氏のメモ帳らしきもの。
280名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/07(月) 01:22:49 ID:???
遺書じゃなかろうな
281名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/07(月) 20:40:46 ID:???
多分違うと思うけど…
282名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/07(月) 23:51:48 ID:???
遺言だよ
283名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/09(水) 16:58:39 ID:???
えwでもLAS投下スレに居たよ。
284名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/12(土) 03:35:42 ID:???
何処よ晒しなさいよ
285名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/12(土) 23:07:44 ID:???
シイ氏の人気ぶりに嫉妬
286名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/13(日) 17:59:40 ID:???
>>279が見つけたのは携帯のホームページじゃない??無料作成の
287名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/14(月) 12:18:59 ID:???
恐いなお前ら
なんでHPまで特定出来るんだよ
288名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/16(水) 00:17:25 ID:???
すこし前に、LAKスレ(カヲル×アスカ)に小説を投下しました。気が向いたら読んでください。
289名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/16(水) 19:35:40 ID:???
>>279晒せー
290名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/27(日) 18:34:03 ID:???
291シイ ◆VxEYsTkAC6 :2010/01/11(月) 16:12:31 ID:???
皆さんお久しぶりです。あけましておめでとうございます。
久々に来たらHP晒されてて驚きました。すごいですね。
放置してたので内心ドキドキですw

小説投下します。今回はLRSで無計画。しかも設定が厨ニ…。
なので、かなりスローペースになると思います。
前回の続きはどうしても進まなくなってしまったので、今回のが書けて余裕があったら少しずつ書いてみようと思います。

292シイ ◆VxEYsTkAC6 :2010/01/11(月) 16:15:01 ID:???
僕は元々、人の心に敏感な方だった。

最近は敏感などころか――



コ コ ロ の 唄


293シイ ◆VxEYsTkAC6 :2010/01/11(月) 16:16:38 ID:???
初めて『声』を聴いたのは、使徒に取り込まれた後の病院だった。
「目、醒めた?」
「あ、」
ぼんやりとした視界に覗き込んできたのは、蒼い眼差しだった。
「まぁったく、また無敵のシンジ様に助けられてしまいましたねぇ!」
悪態をつき、皮肉るアスカを、僕はぼうっと見上げた。
きっと間の抜けた表情をしていたんだと思う。
アスカは、なによ、と横目で僕を一瞥し、顔つきを歪めた。
「元気ないじゃないの。」
「わ、わ、」
初めて髪をくしゃくしゃと掻き混ぜるように撫で回されて、いつしかアスカは白いベットの端っこにちょこん、と座り込んで呟いた。
「あたしだってさ…ちょっとくらい、心配したのよ?」
そう言って僕の頬に触れた。刹那、目まぐるしい『声』が稲妻のように僕の身体を貫き、駆け巡る。

『あたしだって、シンジさえ居なければ…出来るってところを見せつけられるのに!』
『でも…シンジが居なかったら、誰にそれを見せつけるの。』
『結局、あたしにはシンジが必要ってわけ!?』
『くやしい…くやしい…くやしいくやしいくやしいくやしい!ちくしょう!』

「…っ、」
僕は苦痛な叫びに耐えることなく自然と呻いた。
アスカは不思議そうに首を傾げ、伸ばした白い腕をそっと彼女の膝の上に戻した。
僕の異変には気付かずに、アスカは照れくさそうに、そっとはにかんだ。そっと音もなく病室から立ち去る。
僕は何が起こったのかさっぱり理解が出来ずに、呆然とアスカの姿が消えてゆく廊下を眺めるしかなかった。
294シイ ◆VxEYsTkAC6 :2010/01/11(月) 16:17:24 ID:???
退院してすぐはその『声』は幻聴だと、僕は自分に思い込ませていた。
表面だけでも周りの人たちがやさしくしてくれているのを、その『声』によって壊されたくなかったから。
でも、本当は分かってるんだ。
それは他人の心の『声』だって。本当の気持ちなんだって。
それから、僕はアスカに関わるのが苦手になってしまった。
アスカはあまりにも心の中では正直過ぎて、人の心を覗いているということに対しての罪悪感に苛まれるのが嫌だから。

「…くん…碇くん…」

誰かが呼んでる気がする。

「碇くん。」
「え、あっ、」
綾波だ。また授業が終わったのにぼうっとしてしちゃった。
気付かれないようにしなければならないのに。人の『声』なんかが聴こえるなんて分かってしまったら、次はきっと誰にだって嫌われちゃう。

気付かれないように、気付かれないようにしなきゃ……。
295シイ ◆VxEYsTkAC6 :2010/01/11(月) 16:18:25 ID:???
綾波は一緒に居てとても心地よかった。
なぜか綾波からだけは『声』が聴こえなかったから。
「どうしたの。」
綾波が覗き込んでくる。僕の顔は咄嗟に熱を帯びる。
顔がち、近くて…。

「なっ、なんにもないよ!帰ろう!」
「?…ええ。」
綾波は不思議そうに首を傾げて、もし漫画なら頭の上に疑問符を浮かべていそうな表情をしたけど、すぐに歩き出す僕の隣に小走りで追いついた。

「最近、調子悪いの?」

帰り道、夕方に照らされたコンクリートの上を並んで歩いていたら、それまで僕の話に頷いていただけの綾波が口を開いた。
「へ?、…ああ、シンクロ率は上々だよ。」
間の抜けた声を投げた僕に、綾波はすっぱりと返した。

「ちがうの。」
…え?
296名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/11(月) 18:36:11 ID:???
シイ氏きたー!
てことで記念あげ
297名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/31(日) 14:58:18 ID:???
シイは文章ヘタなら自演もヘタだな
自分でページ晒しておいて驚いたはないだろ
下らん文章はてめえのページから外に出すな
内輪でヌルい馴れ合いやってろよ
298名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/31(日) 18:50:14 ID:???
言ってやるな。
299名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/01(月) 00:43:30 ID:???
自分で書きもしないくせに言うことだけは立派だなw
300名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/01(月) 02:15:13 ID:???
しかし投稿作には賞賛ばかりって気持ち悪くね?
ローカルルール知らんけどそういう決まり?
301名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/01(月) 02:18:22 ID:???
>>300
気に入らない作品はスルー

>>1
> 趣味の違う作品は華麗にスルー。
> このスレで叩く理由はあり得ません。
302名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/01(月) 02:23:22 ID:???
かなり前のことだが自分の作品が評価されなかったからって
他人の作品を貶しまくってファビョった基地外がいたからね
2年くらい前かな?序の公開後しばらくしてだったと思ったが
303名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/03(水) 12:16:32 ID:WtdT5XOP
1~23番の二次創作小説SS(Side Story)のコミケや通販予定はないでしょうか?

1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. ONE 〜輝く季節へ〜 茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司のSS
茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司を主人公にして、
中学生時代の里村茜、柚木詩子、南条先生を攻略する OR 城島司ルート、城島司 帰還END(茜以外の
他のヒロインEND後なら大丈夫なのに。) SS
5. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
6. ファーランド サーガ1、ファーランド サーガ2
7. MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜
8. Dies irae
9. Phantom of Inferno
END.11 終わりなき悪夢(帰国end)後 玲二×美緒 SS
10. 銀色-完全版-、朱
『銀色』『朱』に連なる 現代を 背景で 輪廻転生した久世がが通ってる学園に
ラッテが転校生,石切が先生である 石切×久世 SS
304名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/03(水) 12:19:05 ID:WtdT5XOP
11. TYPE-MOON
(1) 逆行最強化断罪スーパー慎二がペルセウスを召還する SS
(2) 凛がイスカンダルを召還するSS
(3) 逆行最強化慎二 OR 四季が 秋葉,琥珀 OR 凛を断罪する SS
(4) 憑依最強化慎二 OR 四季が 秋葉,琥珀 OR 凛を断罪する SS
12. ゼロの使い魔
(1) 原作知識有 助演 憑依転生最強化SS
(ウェールズ、ワルド、ジョゼフ、ビダーシャル)
(2) 原作知識有 オリキャラ 憑依転生最強化 SS
(タバサ OR イザベラの 双子のお兄さん)
13. とある魔術の禁書目録
(1) 垣根 帝督が活躍する OR 垣根帝督×麦野沈利 SS
(2) 原作知識有 垣根帝督 憑依転生最強化 SS
(3)一方通行が上条当麻に敗北後もし垣根帝督がレベル6実験を受け継いだら IF SS
14. GS美神
(1) 逆行最強化断罪 横島×ダーク小竜姫のSS(非ハーレム 単独カップリング ルシオラ も除外 )
305名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/03(水) 12:19:52 ID:WtdT5XOP
15. EVA
(1) 逆行断罪スーパーシンジ×2番レイ(貞本版+新劇場版)のSS
(2) 一人目のレイが死なないで生存そのまま成長した一人目のレイが登場する(二人目のレイは登場しない)
P.S
エヴァンゲリオンのLRSファンフィクションで、レイの性格は大体二つに分かれます。
1.白痴幼児タイプのレイ
LRSファンフィクションで大体のレイはこの性格のように思えます。
白痴美を取り越して白痴に近いレイであり、
他人に裸や下着姿を見せてはいけないという基本的な常識も知らず、
キスや性交等、性に関する知識も全然無いか、それともほとんどありません。
このタイプの場合、逆行物では、シンジがレイに常識や人間の感情等を一つ一つ教えていくという「レイ育成計画」になってしまいがちです。
このタイプは、アニメのレイに近いと言えるでしょう。
2.精神年齢が高く、大人っぽいレイ
1番の白痴幼児タイプとは違って、他人に裸や下着姿を見せてはいけないという
基本的な常識くらいはあり(見られたとしても恥ずかしく思ったりはしないが)、
キスや性交等、性に関する知識は理論的に知っており、自分の自我が確立している、
(命令には絶対服従だが)感情表現がより豊富です。
このタイプの場合、 コミックスのレイに近いと言えるでしょう。
306名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/03(水) 12:20:33 ID:WtdT5XOP
16. BlackCat
イヴ×リオンのSS
17. 鬼切丸
鬼切丸×鈴鹿のSS
18. MURDER PRINCESS
カイト×ファリスのSS
19. 式神の城
玖珂光太郎×結城小夜 OR 玖珂光太郎×城島月子のSS
20. 大竹たかし DELTACITY 全2巻
21. ヴァンパイア十字界
蓮火×花雪 OR 蓮火×ブリジット
22. 地獄少女
(1) 不合理な 地獄少女の被害者(e× 看護婦,1期の看護婦、2期の 拓真を助けに来てくれた若い刑事,秋恵) 家族・恋人が 地獄通信に 地獄少女と仲間たちの名前を書くSS
(2) 極楽浄土の天使 OR 退魔師が 地獄少女と仲間たちを断罪するSS
(3) 拓真の 地獄少年化SS
二籠の最終回で拓真が地獄少年になるのかと思ってたんですが・・
地獄少年 ジル : 所詮この世は弱肉強食。 強ければ生き弱ければ死ぬ。
拓真 : あの時誰も僕を守ってくれなかった。
守ってくれたのはジルさんが教えてくれた真実とただ一振りの超能力
・・・だから 正しいのはジルさんの方なんだ。
23. 真・女神転生CG戦記ダンテの門
ダンテ× ユーカのSS
307名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/05(金) 21:50:47 ID:???
ヱヴァ板良スレ保守党
308名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/05/09(日) 03:21:51 ID:???
下がりすぎだから上げ
309名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/05/23(日) 14:42:49 ID:???
シイ待ち
310名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/04(金) 20:48:41 ID:???
彼女は病院のベッドで目を覚ました。
窓に映るのは散り散りになった死体の山…。彼女は重傷を負いながら、数少ない
生存者となった。彼女はまた生存してしまった。

「生き、て…る…?」

彼女の名は葛城ミサト。戦自介入の際、左胸を撃たれ意識を失っていた。死亡したかと思われていたが奇跡的に一命を取り留めた。隣でだれか呼んでいる。

「ミサトさん!ミサトさん…!」

彼は彼女がよく知っている人物であった。

「シンジ…くん?」
「良かった…無事だったんですね…!」
「エヴァは…」
「大丈夫。もう大丈夫だから。」
「そう…。…私、何もしてあげられなかった…」
「そんなことないよ。ミサトさんは僕に…エヴァに乗る勇気を与えてくれたんだから…」
「そう…ありがとう。シンジ君…」

彼女はそう言い、再び目を閉じた。
311名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/04(金) 22:31:07 ID:???
つづき

それはつい数時間ほど前、ネルフ本部に戦略自衛隊が介入された。彼女はシンジを初号機に乗せるため共に移動中、左胸を撃たれた。彼女の胸から血がダラダラと流れた。
シンジ「ミサトさん!」
ミサト「大・・・丈夫・・・よ。時間がないわ・・・はやく・・・行きなさい。」
シンジ「でも・・・」
ミサト「はやく!」
エレベーターにシンジを乗せると
ミサト「約束よ・・・」
と言い、ドアが閉まろうとすると戦自がミサト目掛けて発砲してきた。すると一発がミサトの胸を貫通した。
ミサト「ぐはっ・・・!」
ミサト「・・・くるならきなさい。ここは一人も通さないわ・・・」
彼女はそう言うと拳銃を発砲しその場にいた戦自を全滅させた。彼女もその後エレベーターに乗り
そこで崩れる様に倒れた。すると彼女はこうつぶやいた。
ミサト「加持君・・・わたし・・・これでよかったのよね・・・」
その時、彼女には加持の声が聞こえた。
加持「まだだ。葛城。お前にはまだやることがある。」
ミサト「加持・・・君・・・?相変わらず・・・わがままね・・・」
エレベーターが止まると戦自から逃げてきた伊吹マヤが彼女を発見した。
マヤ「かつらぎ・・・さん?葛城さん!しっかりしてください!葛城さん!」
その後ミサトは病院に運ばれ命を取り留めた。そして現在に至る。彼女は今も疑問に思っていた。
ミサト「加持君・・・あなたは私に何をさせようというの?」
つづく


312名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/07(月) 10:10:02 ID:???
保守
313君のなまえ:2010/06/09(水) 02:35:47 ID:???
はっとして首を掴んでいた手をやんわりと開けば、力無く崩れ落ちたアスカ。朧げに浮かんだアスカの顔は無表情だった。首を押さえて、じわじわと上向けば何も捉えていなかった人形のような眼と視線がぶつかり合う。

「…あんた今、私のこと殺そうとしたでしょ。」

違う、違うよ。掠れて途切れ途切れの言葉に首を振れば眉間に感情の昂ぶりが波の如く押し寄せた。瞳はみるみるうちに生気と憎悪と、相反するものが混ざり合って灯る。

「嘘よ!力いっぱい込めたじゃない、」

私への嫌悪を。だから私も、

「やり返して良いでしょ、あんたに!」

逆に絞め上げられても僕の首筋で白く慄えるアスカの手のひらに指先を這わそうとも思えなくなった。もういっそ、殺されたい。
零れたコーヒーに塗れたシャツは既に冷たく重くなっていた。アスカの顔が歪んでいく。ああ、僕が最期に見る人間の表情くらい、幸せそうな表情が良かった。片目が消えて、片腕が消えて。こんな光景、何処かで垣間見たような気がする。

「覚えておきなさい。あんたを殺したのは、この紛れもない、」

惣流・アスカ・ラングレーよ。

314君のなまえ:2010/06/09(水) 02:39:22 ID:???

「…夢、」

見上げた先にはあの無機質な天井が拡がりを見せていた。そうだ僕、使徒に取り込まれた綾波を助けて、それから…。
意識が朦朧としたまま、へばり付いた蛍光灯が照らし出す世界を目線だけで辿れば、ベッドの脇に金色の糸のような髪が見えた。もぞもぞと動いたそれは、今まで見知っていた彼女とはある一点だけ変わっていた。
眼帯がずれているのも憚らずにこちらへと距離を詰めてくる彼女に狼狽えるしかない。
そう、この感情はあの夢で味わったものを酷似していた。滴る汗は、ただ暑いからという問題だけじゃなかった。

「気付いたのね、バカシンジ!私の名前、判る?」

「…惣流・アスカ・ラングレー。」

気がつけば、先程聞いた名前をそのまま告げれば彼女は首を傾げた。

「何言ってんのよ、私は」

式波・アスカ・ラングレーよ。

「まだ寝ぼけてるのね、」

けらけらと明朗に笑むアスカからは、コーヒーの匂いがしたように思えた。




315名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/09(水) 11:01:11 ID:???
GJです。
316名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/09(水) 12:58:30 ID:???
前よりはマシになったね
317名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/08/02(月) 03:32:33 ID:???
318名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/09/23(木) 05:12:56 ID:XlN/QmR4
あせ
319キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 05:21:50 ID:XlN/QmR4
キングオブモンスターズとは過去にSNKが段幕のようにゲームを出しまくる中、カルト的に一部で流行った怪獣横スクロールアクションゲームである。(正確には1はプロレス格ゲー2が横スク)
320キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 05:28:44 ID:???
本当は皆嫌いなんかじゃないの。

本当は皆に好きでいてもらいたいの。

愛してもらいたいの。

加持さん、シンジ、ミサト、ヒカリ…ファースト

皆が私を見てくれて皆が私をあやしてくれるの…

毎日

毎日毎日毎日

毎日毎日毎日毎日毎日毎日

321キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 05:37:15 ID:???
私は多分、もうだめなのかも知れない。

痛みも苦しみもずっと遠い昔のような気がする

外から見た私は一体どんな姿なのかな

白い怪物達が私の体をむさぼっている

頭の中にあるのは朦朧とした意識の中で振り返る過去。

ただ、皆に必要とされたくて何でも頑張った。勉強もエヴァの操縦も何もかも

最初に声をかけてくれたのは…ミサトだっけ?加持さんだっけ?

わからない…。もうわからない
322キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 05:52:35 ID:???
私が、死んだら世界は終わるのかな?

悪いやつらが全部のっとるの?

私の大切な人達は………

悔しいよ

悔しいのに力がわいてこないの

323キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 05:55:03 ID:???
ねぇ

………

加持さん

私に振り向いてくれなくていいからさ

助けてよ

私を

皆を助けて

空に手をかざした

青い空が私の視覚をすりぬける。

空はこんなに青かったの?

光がかすんでいく中

聞き覚えのあるような声が聞こえた

「おっはーーーー!!」
324キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 06:07:13 ID:???
一方その頃ネルフ職員用エレベータ前

ミサト「大人のキスよ」

シンジ「え………?」

ミサト「帰って来たら続きをしましょ?」


きっとつづきなんて来ないよね

死んでいく時でもこんな慰め方しかできないなんて本当私ってダメな女だ

これでシンジくんがやる気になってエヴァに乗ってくれるなんて私は本当に思っていたのか?

それでも

こうせずにはいられなかったのかな

私の精一杯の気持ちを、最後に彼に受けとめて欲しかった

生きることをやめて欲しくなかった

ごめんね、私がこんな女で
325キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 06:18:54 ID:???
ミサト「さぁ、もう行って。」

シンジ「待ってよ…待ってよミサトさん!」

ミサト「シンジ君………もう、時間がないのよ。お願いだから、私のために…コレに乗って頂戴」

シンジ「乗るよ!乗るから来てよ!ミサトさんも一緒に…

センジ「いたぞ!あそこだ!」

ミサト「こんな時に…ッ!」

戦自の兵隊達が私達を殺しにやってくる。この子だけは…シンジ君だけは私がまもらな




サブゼロ「ディエダダダダー!」

ミサト「え?」
326キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 06:24:29 ID:???
突然だった。全身水色の布を被った明らかにアメリカが日本を勘違いしたような忍者な男が私の目の前に現れた!

………死ぬ前にしちゃあ変な幻覚
327キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 06:55:29 ID:???
シンジ「…?」

全部が突然で全部が意味がわからない。綾波が死んで生きかえった事、カヲル君の事、ネルフが狙われてる事
ミサトさんが血を出してる事………
何もわからなくなってしまって気がふれたのかな
突然周りの空間からユーロビートのような音楽がなり始めると目の前に奇声を放ちながら兵隊達に向かって行くちゃちな青い忍者服を着たの男の人が見える。

センジ「ちょwww誰おまwwやめwww」

Σサブゼロ「ふん!ふんふんふん!はいぃ!」

Σセンジ「ぎゃ!」

Σセンジ「いだだだだ!!」

まるでカンフー映画でも見てるかのような立ち振る舞いのその男は十数人はいた兵隊達相手に素手で互角以上で戦っていき次次と兵隊達の間接と言う間接がヘシ折れて行く

Σセンジ「うわぁ;何だコイツ!し、し、し死ね死ね死ね死ねぇ!!」

ダダダダダダ!!

怯え出した兵隊が銃を乱射するが忍者は全くどうじない。それどころか相手の銃を取り上げ顔面パンチを食らわす忍者

Σサブゼロ「モ〜タルェ〜!!」

Σセンジ「ぎゃああああああああ!!」
328キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 07:12:45 ID:???
Σセンジ「顔!顔ぎゃ!」

サブゼロ「はぁぁぁぁ!」

デレレン…

何だか妙に恐ろしいテロップが鳴ったと同時にあたりが真っ暗になると忍者は謎の踊るモーションを開始し出し、片手を大きく振りかぶると自分の五本指を相手の横首に向けて突き刺した!

Σセンジ「アガッアガガガガガガガガガ!」

首を貫かれた兵隊はブルブル身もだえ出し泡を吹き出す

忍者は震える兵隊のタイミングを見張らかい
勢いよく突き刺した指を上に引き上げそして………

Σジュルルルルルルルルル!!

兵隊の頭を脊椎ごと引き抜いた
329キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 07:22:19 ID:???
「サブゼロォ………ウィン、フェチャリティ」

そんな声が聞こえたような気がした

Σミサト「え!?は?何?え?誰?」

死にかけでダレていた私も流石にこの状況では声をあげてしまう。

兵隊の生首を眺める青い忍者は気にいらないとばかりに首を地面にたたき付けるとそのまま勢いよく踏み潰した

サブゼロ「ふんぬぅ!」

グチョ!!

サブゼロ「危なかったなお嬢さん」

ミサト「( ゜ д ゜ )」
330キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 07:42:26 ID:???
サブゼロ「心配で来てみればやはりこんな状況か…。」

ミサト「こ、来ないで!アンタもコイツらの仲間!?」

ミサトさんがよろよろになりながら忍者に銃を向けている。

サブゼロ「すまないが話しているヒマはないんだ、時間がおしているんでね。しいて言えばこう言おう。世界を救え!」

ミサト「………は?」



Σサブゼロ「ゴゥデダルディ………ダアアアアアア!!」

Σミサト「ちょwww何すrwwやめwww」

青い忍者はいきなり妙なジュモンを唱え出すと手を波動拳のポーズで身構え出した。するとたちまち忍者の周りには炎のように動く氷が無数に現れ始め固まりのように集まるとそれを一気に

ミサトさんへ撃ち放った!

Σミサト「き、きやああああああああ!!」

Σシンジ「み、ミサトさああん!!」
331キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 08:06:19 ID:???
たちまちミサトさんは謎の光線を喰らいカチコチの氷のように固まってしまった!

Σシンジ「ミサトさん!ミサトさんしっかり!お、お前;ミサトさんに何をしたんだ!?」

サブゼロ「安ずるな。この女は死にかけていた。だから私の力で氷漬けにし、この女を冷凍保存したんだ。死なせんためにな。」

シンジ「え?氷漬けえ?何言って;」

訳もわからずしゃべる僕に忍者は肩をぽんと叩いた

サブゼロ「少年よ。残念だがこの先君は今よりもっとひどい状況を味わう事になるだろう。それも今すぐにだ。次期に“ヤツら“が来る!その為にこれだけは言っておく。少年よ世界を救え。」

シンジ「………救えったって…僕に何ができるんだよ!?」

サブゼロ「次期にわかる。それまで待て。その氷漬けの女は君でないと守れんのだよ。」

シンジ「あ、あなたは一体;」

サブゼロ「私はここに呼び出された格ゲーの魂サブゼロ。」

シンジ「魂って…」

サブゼロ「わすれるな少年、世界を救え。」
332キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/23(木) 08:15:38 ID:???
その頃ネルフ本部付近の山中、戦略自衛隊のキャンプ周辺では

センジ「エヴァンゲリオん二号機完全に沈黙しました!」

センジタイチョ「よし、良くやった!後は中の連中を始末するだけだな…全く、今夜はいい酒が飲め

センジ「た、隊長!」

センジタイチョ「何だ!?」

センジ「や、山の地下周辺から高エネルギー反応が!」

センジタイチョ「何ぃ!?」

333名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/09/24(金) 01:16:11 ID:???
乙です
なんか妙なノリがいいですね
どうなるの?
334名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/09/24(金) 06:23:04 ID:???
ゴミだろ。
335キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/25(土) 03:13:11 ID:???
所変わってゼーレ軍団の本拠地では。

ギチョ「これまで………いくつかの手違いはあったが、これでようやく補完計画を遂行する事ができる。」

サヨ「後は初号機をあぶり出し儀式を行うのみ、か。もはや救済は時間の問題だな。」

ギチョ「諸君のこれまでの尽力、私からも礼を言わ






?「おっとちゃばんはそこまででゲス!」
336キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/25(土) 03:21:50 ID:???
サヨ「なっ!?え!?き、貴様誰だ!?」

ギチョ「ば、馬鹿な!このモニターは我々しか使えないはず!
どうやって侵入を!」

?『よく聞くでゲス愚かでノロマで卑猥でクサい地球生物ども!』

?『我々は貴様らの神、いや、貴様らの言葉で言えば第一始祖民族なんでゲス!』
337キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/25(土) 03:37:02 ID:???
ギチョ「え;?」

Σサヨ「エエエエエッ!!!?」

Σ?『帰りのガソリンが切れかかってるとか仲間が文句たれるから重い「生物ツクール」置いて帰ってみたらやっぱりこの有様でゲスか!!説明書まで残してたのは誤算でゲした!!』

Σギチョ「せ、生物ツクール!?」

?『園芸用にわざわざもって来たのにとんだ調子こきでゲスカス人類!!あの旧式機で生物リセットなんかしたらCO2ですぎて温暖化が大変な事になって地球がボロボロでゲス!!
エコじゃないヤツらは我々が許さないでゲス!!これより我々は人類にたいして「全員ぶっ殺し計画」を開始するのでゲス!しっかり反省するでゲス』

ギチョ「ちょ!ちょっと待て!我々はこの計画に長い年月………

ブチッ!!
338キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/25(土) 03:48:18 ID:???
また大破二号機前


突然空がカラフルなレインボー色に輝いた。

結局あの声はなんだったのかな?加持さんの声に聞こえたけど妙に明るかったな

私にもお迎えが来たらしい。

空から何かが舞い降りて来る

何だ、結局死後の世界って本当にあるんだ。

天から下りてきたのは白い翼をまとった美少ね………







Σ目、目玉
339キンモン3で計画ブチ壊し:2010/09/25(土) 04:19:52 ID:Dtw0S6Qd
き!キんモ!!何アレ!?ブヨブヨの体に全身が一つ目玉の白い羽をもった玉みたいな生き物が空から落ちてくる

最低…。天使ってこんな姿だったの!?




天使?『全人類につぐでゲス!貴様ら下等生物の分際で我々の星コレクションを廃棄物で汚すとは遺憾!超遺憾でゲス!さっさと全員氏ねでゲス!行け!
グニエル!』

エコーがかった声で目玉が何かいってる………

空から信じられないみたこともない巨大な円盤が現れ、中から何かが投下された。

あ、ダメだ私。痛みで頭狂ったんだわ



Σグニエル「キエエエエエエエエエ!!!!!!」
340名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/09/25(土) 21:35:49 ID:???
適当に浮かんだことを初投稿してみます

【何も無い日の午後】

「ふ〜んずいぶんとレトロな雰囲気の建物ねぇ」

「おっ蜘蛛の巣発見!」

「半壊してる上にエレベーター無しとはエコ住宅の極限って感じがするねワンコくん」

「いや多分違うと思うけ…」
「おっここかぁ」

カチッカチッ

「あれっ?」

「あぁやっぱりまだ壊れたまんまなんだ…」

コンッコンッ

「綾波?…入るよ?」

ガチャ

「……」
341名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/09/25(土) 21:37:50 ID:???
「えっと…あっ!ちょっと靴は…」

「ふ〜ん。何にも無いにゃ…」

「……」

「えっと綾波この人は…」

「一応初めましてになるかしら?二番目の子の代わりに修復された弐号機に乗ることになりました真希波・マリ・イラストリアスです。よろしくね。」
「あの時は爆発から逃がしてくれて助かったにゃ。」
「で大丈夫なの?貧血って聞いたけど?」


「…ええ…もう平気…」


「そうだこれ…」

「おっワンコくん優しいんだね」

「ところで二人で一ヶ月も初号機の中で何してたのw?」
342名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/09/25(土) 21:40:21 ID:???
「えっ?そんなの覚えてないよ…」
「自分の感覚が戻ったと思ったらまた天井が目に入って来て…」

「そう私はこの一番目の子が出て来れなくなっちゃうんじゃないかって勝手に心配してたんだけどねぇ」

「綾波レイか…」

……

「私は私…」

「えっ綾波?」

「そうあなたが綾波レイ
一度ちゃんと顔を見ておきたかったんだ
まぁ月から来た子も含めて近いうちに私達は召集されるはずだし、二番目?の子も多分間に合うんじゃない?」
「えっ?召集って…」

「……」

「じゃ私は行くわ。案内ありがとうワンコくん。迎えの車が待ってるから悪いけど一人で帰ってね。 じゃ。」

「あっちょっと…」

「……」

「綾波ゴメン…」

「いいの私も会えて嬉しかった…」
343名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/09/25(土) 21:44:18 ID:???
「………」

「久しぶりね。挨拶は無いの?ゼーレのワンコくん」

「あぁ久しぶりだね。うらやましいよ碇シンジ君と直接会っているなんて」


「ふ〜ん。女の子よりも男の子に興味があるのかにゃ?」

「ふふ…それも悪くないね」

「駒は揃った…我らの究極の目的まで後少しだ…」

「待って。僕のお母さんは?逢わせてくれる約束だよ」

「そうそう私もお母さんに会いたいにゃ」


「ああその願いもいやいにしえの生物全ての願いがもうすぐ叶う」

「ふ〜んならいいけど今度は僕の願いは叶えさせてもらうよ」

「碇ゲンドウ…あの男の手の中にネブカトレザルの鍵
そして我らにはもう一つの鍵がある
二本の鍵が揃って始めて希望への扉が開かれる」

「人を勝手に鍵にしないで欲しいなおじさん」
344名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/09/25(土) 21:50:00 ID:???
「老人達は苛立っているな
ネルフの直接占拠も辞さない構えを取ってきている」

「碇…時間が無いどうするつもりだ?」


「Mark06、リリス、ネブカトレザルの鍵
どちらにしろパイロット達が揃わないと扉は開かない」


「約束の時だ」

「………」


「冬月先生…後はよろしくお願いします」


「あぁユイ君
そして惣流・アスカ・ラングレーによろしくな」



ありがとうございました
345名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/12/22(水) 04:29:27 ID:???
うーむ地味だ
346346:2011/01/02(日) 20:41:10 ID:???

結局誰もいなくなってしまった。
皆、海に溶けてしまった。

一体、僕は何をしていたんだ。

今までの行為はなんにもならなかったんじゃないか。

これまで僕は「僕には何も出来ない」と言う事で自分の殻に閉じ篭って保身していた。
けどそれは嘘だ。
現に今こうやって、自分のしてきた事がなんだったのか考え、なにか意味のあるものであって欲しい、と望んでいるじゃないか。
僕や周りの人にとって、本当になんにもならなかったとしたら、僕は…。

アスカにひどい事したんだ。
カヲル君も殺してしまったんだ。
ミサトさんも触れる事すらできなかったんだ。
綾波は目を見る事すらできなくなってしまった。

僕は前に進む事が出来たのか。
これからどうするつもりなんだ、僕は。
僕は再び、何をしようとしているんだろう。


結果として、今までのことは結局なんにもならなかった。
でも、それらが経験として、今の僕を形作っているのも確かだ。

結果として意味をなさないからといって、そのものに価値がないわけではない。
そう、学んだんだはずだ。

そうだ、僕自身のことなんだ。
ごまかさずに、自分にできることを考え、償いは自分でやらなければいけないんだ。
347名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/01/04(火) 16:22:06 ID:???
ここからどうなるの?
348346:2011/01/04(火) 19:28:38 ID:???
>>347
これでおしまい
349名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/01/26(水) 21:37:06 ID:qOPtWraH
まとめサイトとログ保管庫作ったので、
まとめ参加できる人いたら宜しく

エヴァ板小説投下スレ @WIKI
http://www44.atwiki.jp/eva-ss/
エヴァ板小説投下スレログ保管庫
http://www17.atpages.jp/evass/

こちらのスレは現行スレはまとめ済みです。
宜しければ編集にご協力お願いいたします。
コピペをするだけの簡単作業です。
350名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/01/26(水) 21:48:09 ID:???
乙!
351名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/03/27(日) 19:06:43.84 ID:???
保守
352名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/03/29(火) 13:20:36.15 ID:???
テ ン パ る
353名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/13(水) 05:53:50.77 ID:???
354名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/14(木) 03:44:53.91 ID:BQLFA+s8
久しぶりに目にする第三新東京市は廃墟復興した建物とが入り交じりとても閑散としていた。建設中のビルの金属音がそこら中から鳴り響き、人の波が二人の進行を妨げる。

加持「どうだアスカ?久しぶりのこの街は?」

アスカ「特になぁんにも…。戻ってくる何て思ってなかったから感動もないかな。」

加持「いつのまにそんな薄情になったんだ?まぁ無理もないか…そうだ、ミサトに会う前に何か食いに行かないか?いい店があるんだ。」

アスカはカチっとタバコに火をともすと面倒臭そうに話を返した
アスカ「えぇ?ごめんアタシ高い店しか無理なんだけど」

ここは2018年、サードインパクトが終わった後の世界
355名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/14(木) 03:54:29.97 ID:BQLFA+s8
加持「おいこら!だからタバコは吸うなって言っただろ?」

アスカ「はぁ?馬鹿言わないでよ、何年吸ってるって思ってんの。今頃加持さんが言ったってアタシの肺は真っ黒けっけなんだから。」

加持「全く、いつのまにこんな不良少女になっちまったんだか、ミサトが見たら悲しむぞ?」

アスカ「ん、それは困るわ。せっかくの“感動の再開“が台なしになっちゃう。」

そう言うとアスカはふぅ…とわざとらしく吸い殻を捨てる。

加持「まったく(笑)可愛くないな…アスカは。」

356名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/14(木) 04:29:54.28 ID:BQLFA+s8
加持「この時計台の前あたりなんだが…。ん?おう、いたいた。お〜い!葛城〜!」

アスカ「あら、相変わらず…んー…悪くないわね…。」

加持「何か言ったか?」

アスカ「なぁんにも?」

ミサト「あ!加持君こっちこっちー!何よ見せたいものってー?」

加持「おう葛城。何って…彼女だよ。彼女。」

ミサト「はぁ?彼女って横の子?ちょっと、この糞忙しい時に恋人の自慢?勘弁してよ!」

加持「いやその…ハハハ、恋人じゃないんだが。」

アスカ「ちょっとヒドいじゃないミサト〜。アタシの顔、忘れたの!?」

ミサト「え…?」

アスカ「アタシよあ、た、し。」

アスカの顔を見た瞬間、先程まで陽気だったミサトが顔色を変えた

ミサト「え、アス…カ?」

357名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/14(木) 04:40:59.16 ID:???
アスカ「そうよ?「アスカ?」って、このアスカ様以外だぁれがいるのよ!?アンタばかぁ?」

ミサト「ほ、本当にアスカなの?」

アスカ「だから何回も言ってるでしょ?アタシはアタシよ」

ミサト「そんな…なんて事!!」

Σミサト「アスカ!アスカぁ!!」

すると突然ミサトは目の色を変えてアスカをぎゅうっと抱きしめた。

358名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/14(木) 04:42:29.72 ID:???
アスカ「ち、ちょっとミサト?」

ミサト「会いたかった…。ずっとずっとあの後ずっと探してたのよ!本当にまた会えるなんて…」

アスカ「てっきり死んだとでも?」

ミサト「いや、そう言う事じゃなくて…」

アスカ「はん、このアスカ様があんな事で簡単にくたばるわけないでしょ?ピンピンしてたわよ!」

ミサト「そうよね、貴女は強い子だものね…アハハ、大きくなったわね、アスカ」

ミサトは涙目になりながらアスカの頭を撫でる

アスカ「ちょっとやめてよ、恥ずかしい」

ミサト「加持君が見せたかったものってこの事だったのね」

ミサト「ありがとう…本当にありがとう」

加持「………。」

加持はあながちまんざらでもなさそうに微笑んだ。
359名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/14(木) 05:01:50.03 ID:???
ミサト「アスカ…今までどこにいたの?」

アスカ「この3年、第二東京でずっと働いてたんだけど…。」

ミサト「そんな近くにいたなんて…しかもさ、三年も!?」

アスカ「ええ。そう。いろいろあったのよ、アタシにも」

ミサト「…そうみたいね。な、なんかアスカ、前より格段にケバくなってない?髪も巻き髪だし」

アスカ「いろいろあったのよいろいろ。」

ミサト「そ、そう…」

アスカ「それよりミサトは変わってないわねぇ…相変わらずいいラインして、ねぇミサト…アタシ、ミサトが知らない間に随分と人の好みが変わったのよ?例えば…」

加持「サプライズはこれだけじゃないんだよ。なぁアスカ?」

アスカ「ちょっと!勝手に話の腰折らないでよ!キィ!」

ミサト「どう言う事?」



加持「アスカがネルフに帰って来る。皆の加勢として」
360名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/14(木) 19:22:28.97 ID:???
いいよいいよー
361名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/14(木) 19:31:42.36 ID:???
おーおー
期待
362名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/16(土) 05:18:41.35 ID:ctdqL1KK
ミサト「加勢って…ちょっと加持くん、アスカにちゃんと話したの?今のネルフの事」

加持「あー…それはまぁ、したようなしてないような?」

ミサト「何よそれ…全く、いい?アスカ?」

アスカ「なぁに?」

ミサト「加勢に来てくれたのは嬉しいんだけど…ネルフはもう昔のネルフとは違うのよ。」

アスカ「どう言う事?昔のって」

ミサト「サードインパクトの後、私達は使徒を使って人類を滅ぼそうとしたテロリスト集団として世界中から指名手配されたの。勿論、裏で情報操作されてそうなったのは確かよ。
それでネルフは事実上解体。」

ミサト「生き残った私達は政府の目を逃れながらこの街にいまだに潜伏してる…そして、影ながら使徒に関する事件と人類補完計画のその後の動行を調査し、暗躍しているの。」

アスカ「…つまり、怪しい秘密結社にでも転身したってわけ?」
363名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/04/16(土) 05:36:54.35 ID:ctdqL1KK
ミサト「秘密結社…ハハ、まぁ、いろいろ呼び名はあると思うんだろうけどそんなトコ…かしらん?」

ミサト「アスカ、あの時は仕方がなかったけど、貴女達には昔から辛い思いばかりさせて来たわ…こっちまで来てくれて今さら言うのもなんだけど、
こんな場末のそれも危険な組織に貴女を誘えない…アスカ、もう貴女は、エヴァから開放されるべきよ。ごめんなさい。もっと気の聞いた事を言えればいいんだけど。」

加持「おいおい葛城………」

アスカ「は、ミサトのお人よしっぷりも相変わらずだわ。」

アスカ「いい…ミサト」

そう言うとアスカは人差し指でミサトの顎をすっと持ち上げると

アスカ「一生懸命私の事考えてくれるのは嬉しいけど、アンタ見当外れもいいとこよ。」



アスカ「アタシは、アンタと…それからシンジと、決着つけにここに来たんだから
364名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/06/07(火) 23:30:38.26 ID:???
学校
レイ>レイのココ空いてますよ! クイッ
シンジ>え?…あっ綾波いきなりどうしたんだよ?
レイ>…碇くん……おもしろい?…
シンジ>うん、そうだね面白いと思うよ ニコッ
アスカ>ジー……(あっ…シンジが笑ってる)
シンジ>でもそれ4年ぐらい前に消えた芸人のギャグだよね?
レイ>…そう……
アスカの部屋
アスカ>アスカのここっ……
嫌っやっぱ出来ない!
でも、バカシンジが笑ってた……よし!
365名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/06/07(火) 23:34:34.99 ID:???
次の日、学校
ガラガラ…
アスカ>……
シンジ>あれ?アスカ、一緒に家出たのに遅かったね?
アスカ>うっさいわねー別にいいじゃない!
で?優等生は?
シンジ>今日は休みじゃないかな
アスカ>あっそ…(チャーンス!)
バカシンジ!ちょっと見てなさい!
シンジ>ん?どうしたの?
366名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/06/07(火) 23:37:20.86 ID:???
アスカ>あっ…アスカのココ空いてますよ!!!
(カーッ///やっちゃったー)
シンジ>………
アスカ>なっ何とか言いなさいよ!!!
シンジ>ぷっ!何やってんだよアスカまで
昨日のレイもアスカもなんか変だよ?
ガラガラ!
トウジ>お早うさん!…ん?何笑っとんのや?
シンジ>あっトウジ、実は…
アスカ>あーっ!バカシンジ!!それ以上言ったら殺すわよ?
(シンジが笑ってくれた…これでちょっとは私を見てくれるよね……)
その頃
レイ>次はなんの真似しよう…
碇くんにたくさん笑って欲しいから……
〜終わり
なんかグダグダだ(;o;)
367さよならは言わない:2011/06/19(日) 16:05:58.21 ID:???
 赤い海を前にして横たわる少女に影を落とす。食べ物やあらゆるものを受け付けない身体になってしまった、彼女の命はすでに風前の灯だった。
 首を絞めてから、何も話してくれない。「気持ちわるい」と言ったきり、物を言わぬ空蝉と相成ってしまったアスカに、掠れた声音で投げる。
「アスカ、一度だけ答えて」
 世界を守るとか、人類の存続を守るとか、あまりにも壮大すぎて僕には正直どうでも良いに等しいことだった。後悔してうらみつらみを垂れ流すような大人にはなりたくないとも思ってなかった。
 ただただ与えられたものが一瞬で失せてしまうのが惜しいと思うほど、幸せだった。アスカはどうだったんだろう、それだけ聞きたかった。
「今まで幸せだった?」
「…愚問ね」
 小さな音を喉から絞り出して、慌てて駆け寄った僕のかさかさな手のひらを握ろうと微かに動く指先を見てまろい頬に涙が伝う。指先は次第に軋みはじめ、伴う鈍い痛みにアスカは眉を寄せた。
「黙って、見送りなさいよ」
「そんなの無理だよ」
 暗い暗い海の底に引き込まれていくような気がして、かたくなっていくアスカの身体に縋った。瞬きをする回数が減っていく。
「アスカのこと、だいすきだったよ」
「だから黙ってなさいって」
 未練を残さぬよう、行きたかったのかもしれない。だけどそんなの僕は許さない。これから残される僕は、ゆらゆらと水面におどるアスカの未練と生きる。そう決めたんだ。
「次の世界で会いたいもの、気持ちは持っていかない」
「じゃあ、どうしたら」
「私も、だいすきよ」
 かすかに唇は歪にほころび、にごる瞳はもう僕を映すことはなかった。そうやって気持ちだけ残して次の世界に行ってしまったアスカを抱きしめて、空を仰いだ。アスカの瞳に似ていた。アスカがまだ見ていてくれているような気がして、うれしかった。
 次はなんて言って出会おうか、なんてひとりごちて破顔する。
「またね」
368名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/06/19(日) 16:22:32.17 ID:???
久々すぎて何を書きたかったのかよく分からなかった…。多分誰か分からないだろうけど久しぶり、こんにちは。お元気ですか。
携帯変えてから書き込めなくなって未練たらたらだったけど、如何せん続きが書けなくなってしまったので、ちょうどよかったのかもしれないね。とにかくQが楽しみです。
369名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/07/10(日) 03:03:15.10 ID:dfHwxxWP
>>363

チベットの砂漠地帯…碇シンジはまるで仏教の僧侶のような格好をして砂の上で座禅を組んでいた。

シンジ「ハッ…」

僧侶「どうかなさいましたか…?碇さん?」

シンジ「いえ…何だか胸騒ぎがするのです。遠い昔に感じた事のあるような何かが…。」

僧侶「胸騒ぎ…ですか。」
370名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/07/10(日) 03:37:02.23 ID:???
ネルフ前衛基地地下施設の中

ミサト「本当に…いいのね?この扉を開ければアスカはまたネルフの一員になっちゃうのよ?」

アスカ「…別に構わないって言ってるでしょ?結局アタシが戻る場所はここしかないんだから。」

ミサト「アスカ…」

ガチャン…

重い扉をあけると、いつか見たような見知った面々がアスカと顔を揃えてくる。

リツコ「お帰り、アスカ…」

日向「やぁアスカ!久しぶり!」

マヤ「お帰りなさい!戻って来てくれたのね、アスカ!」

青葉「あぁっと、ハハ、久しぶり!」

アスカ「わお…昔懐かしい面子が…ん〜ん〜…てか、あらためてよく見たらあの二人って悪くないわよね。」

ミサト「え?」

アスカ「いやいや、こっちの話〜。気にしないで〜。」

アスカ「えぇと…またお世話になる事になりました、惣流アスカラングレーです。とりあえず…よろしくお願いしますっ!」

371名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/07/10(日) 03:38:03.52 ID:???
日向「おいおい、マヤちゃん!アスカが礼儀正しくなってるよ!」

マヤ「ほんとね…何だか雰囲気が変わったような」

リツコ「何だか随分今風の子になったわね…アスカって」

アスカ「Σちょっと!何小声でヒソヒソ話してんですか!?」

リツコ「アハハ、何でもないわよ。ただ皆久しぶりにアスカと会ったからその…感慨ぶると言うか、ね?貴女が戻って来てくれて皆嬉しいのよ。お帰りなさい、アスカ。」

ぎゅっとリツコに抱きしめられるアスカ

アスカ「そ、そう…。」
372名無しが氏んでも代わりはいるもの:2011/07/10(日) 03:58:52.96 ID:???
アスカ「でも碇指令と冬月さんがいないみたいなんですけど?」

リツコ「彼らは…捕まったわ。この街が復興した、早い段階でね。私達は局員だから、そこまで危なくはなかったんだけどね。」

アスカ「そうなんですか…。それじゃあ今の指令はリツコさん?」

リツコ「いいえ、そこにいるミサトよ」

アスカ「うっそ。ミサトが指令!?…大丈夫なの?」

ミサト「な、何よその言い草は〜?アタシだってねぇ、この数年間ちゃ〜んと皆を指揮してここまでやって来たんだから〜」

リツコ「はいはい、でも実際はエヴァが破壊された今、ここは諜報機関のようなものでしかないんだけどね。ミサトはまぁ、形だけの指令と言うか、フフ」

ミサト「か、形ってちょっと〜!?リ〜ツ〜コ〜!?」

リツコ「あらあら顔が真っ赤ね」

アスカ「は…はぁ。ちょっと本格的に心配になって来たんだけど、それじゃあアタシのやる事なくない?アタシ、スパイみたいな事できないんだけど?」

リツコ「それならいいものがあるわ?ミサト…アスカを案内して?」

ミサト「おっけ〜。アスカ、ついて来て。」

アスカ「いいもの?」
373311:2011/07/18(月) 13:50:42.83 ID:???
つづくと言っておきながら大分間が空きました。>>311です。それでは続きを書いていきたいと思います。

ミサトの怪我といったら痛々しいことこの上なかった。胸には弾痕、爆発に巻き込まれたため左腕上部を打撲。そして額からの
出血も確認された。なので左上では三角巾で固定され、額と腹部には包帯が巻かれていた。よくこれ程の怪我で済んだといえる。
医者によれば、あそこで伊吹二尉が見つけていなければ遅かったかもしれないという。ミサトが助かったのは奇跡だった。そして
今、無地の病衣を纏い、ネルフの病院に入院している。
ミサト「退院まで三か月か…こんなめに遭っちゃうなんて情けないわね。……でも、生きてるからいいか…」
体を動かすと激痛が走るのを彼女は感じた。
ミサト「これからどうしよう。サードインパクトは起こっちゃったし、使徒は全部倒したし…。ネルフを辞めて平和に暮らすのも悪くないわね。」
???「いいえ、ミサトさん!まだ、やるべきことが残っています!」
ミサト「?」
???「そうです!悪の根源ゼーレの謎を解き明かすのです!」
ミサト「!? あ、あなた達は…」
ミサトが驚愕するのも無理はなかった。死んでいたと思っていた2人が目の前にいるのだから。どっちも眼鏡をかけていて、
どっちもミサト命の男達である。1人は学生、1人は後輩だ。
日向「この日向マコト、葛城さんが入院しているとあらば黙っているわけがありません!!あなたを傷つけた人間を一人残らず討ち滅ぼします!
   そうだろ、相田君!?」
相田「はい!この相田ケンスケ。ミサトさんのためならばどこにでもついて参ります!日向師匠と誓い合いました!絶対に守り抜きます!!!」
看護師「しーっ!!!うるさいですよ!」
2人の目にはこれまでにないオーラが満ち満ちていた。ミサトは大粒の涙をこぼした。こんな自分を未だに守ってくれる人たちがいるんだと思い。
彼女は2人に抱きついた。そして大声で泣いた。

ミサト「うう…ありがとう…ありがとう…!!」 つづく

1年間お待たせしすいませんでした。一応このストーリーはミサト中心でAEOEの方針で行きます。また不定期更新になりますが、完結はさせるつもりです。
これからもよろしくお願いいたします。
374web漫画
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4. ONE 〜輝く季節へ〜 茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司のSS
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6. ファーランド サーガ1、ファーランド サーガ2
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7. MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜
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10. Dies irae

SS予定は無いのでしょうか?