【LAS人】こんな惣流アスカは大好きだ!【専用】

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718名無しが氏んでも代わりはいるもの
「おめでとうアスカ、今日は誕生日ね」
ミサトはそう言って微笑んだ。
ああ、憶えていてくれたんだなと、少しはうれしくない事もない。
でも、その「おめでとう」という言葉に対して、アタシの口から出てくるのは憎まれ口ばかりで、
われながら可愛くないとしみじみ思う。
「ちょーっち今日は遅くなるけど、シンジくんによろしくね」
あっそ、おめでとうの気持ちは言葉だけなのね。
ミサトの薄情者!やっぱりアタシは要らない子なのよ!なーんて
……バカシンジには誕生日を教えていない。
それを教えるということは、祝って欲しいという意味であり、非常に、そう非常に照れくさい。

なんで照れくさかったのかな?

シンクロテストの最中に、ふと考えてしまう。
ドイツに居たころ、誕生日を人に教えることが照れくさいなどと思ったことはなかった。
もっとも医者か身分証の書き換えでもなければ、そんなことを聞く者はないし、こちらからも
日常会話の腰をおって、「アタシの誕生日は…」などと告げるような親しい友人も居なかっ
たし、それがとりたてて寂しいことだとも思わなかった。
≪聞こえる、アスカ?いつも通り、余計な事は考えずに…≫
「わかってるわよ!」
でも、日本に来てアタシは変わった。そして変えたのはアイツ。              1/2
719名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/04(金) 18:54:57 ID:sFSemF+i
「アスカ、上がっていいわよ」
「あれマヤだけ?リツコはもう帰ったの?」
「ええ、もう上がったわよ。わたしもすぐに帰るし」

今日はケーキだけでも買って帰るつもりだった。
食事のあとにシンジと二人でそのケーキを食べて、ささやかな幸せにひたるつもりだったのに。
もうケーキ屋なんて、どこもやってないじゃない。
仕方ないわね。コンビニのスイーツで我慢するか……。
「珍しいね、アスカが僕におごってくれるなんて」とかアイツが言ったら、デコピンしてやるの。
それが今のアタシのささやかな幸せ。

コンフォート17、ようやく葛城家に辿りついたアタシが「ただいま」を言う間もなく、大量の
クラッカーが打ち鳴らされた。
その響きにびっくりして、思わずかたまってしまった。
みんながこっちを見てニヤニヤしている。
チエシャ猫のように笑うミサト、加持さん、リツコ、ヒカリにジャージ、メガネ、そして……
「マヤさんや日向さんたちも、あとで来るんだってさ」
かぐわしい料理の香り、シャンパンの音。
「お帰りなさい。そして、お誕生日おめでとう。アスカ…」
にっこりと笑うバカシンジの顔。
そう、この顔を見ることが、今のアタシのささやかな幸せ。                     End