LAS小説投下総合スレ18

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しが氏んでも代わりはいるもの
2名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/28(日) 14:44:46 ID:???
乙です!
3名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/28(日) 14:51:01 ID:???
>>1
前スレもだけど、コレ↓スレ抜けてますぜ

LASを投下しましょう。甘LAS、シリアスLAS、イタモノLASなどジャンルは問いません。
また、LARSやハーレム物の中で描かれるLASなどもOKですが主軸はLASで。他カプが主軸なら該当スレへ。

エロ分が多ければエロパロ板へ投下で、当板は全年齢対象です 。
原作にどれだけ直球な表現があったからといってもエロ分が多いとスレ削除を食らいます。

あなたがLASと思えば、それはLASなのです。

あと、LASSS保管庫のリンクも張っとく

LASスレ投下SS保管庫
http://las.nobody.jp/

4名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/28(日) 16:57:45 ID:???
乙です
5名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/28(日) 17:15:08 ID:???
早速SS投下町
6名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/28(日) 20:56:52 ID:???
乙乙
7名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/28(日) 22:38:14 ID:???
即死回避
8名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/29(月) 14:14:16 ID:???
乙ですーノシ
9名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/29(月) 15:35:48 ID:???
なんかもう甘甘なLASが読みたいorz
10名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/29(月) 18:21:04 ID:???
そして最後は参号機に乗るんですね
わかります
11名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/29(月) 18:56:37 ID:???
>>9
俺で良ければ書くよ
12名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/29(月) 19:19:48 ID:???
wktkしとく
13名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/29(月) 20:12:05 ID:???
臥してお願いします
もう立ち直れなくて、
苦しい
148CG3/fgH3E改め ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:27:55 ID:???
>>11っす
即席で書いたヤツだけど、甘いかな?シリアスかもしれん
あんま期待しないで読んでちょーだい(´д`)


きっといい日々に

寒空の下を少しずつ歩きながら、赤い手袋に包まれた掌を擦り合わせる。
はぁー、と吹き掛けた白い息は少しの間だけあたしの手を暖めて、スゥッ、と儚
く空気中に消えた。
あいつが一緒なら、ギュッと手を繋いで暖め合うのになぁ。
一歩一歩踏み締める度に、降り積もった雪がぎゅっぎゅっ、と音を立てる。

公園で雪合戦を繰り広げる子供達の姿が目に留まる。しばらく立ち止まり、中々
に微笑ましい光景を眺めて、また歩き出す。
あいつに「子供が欲しい」なんて言ったら、なんて答えるかしら。真っ赤になっ
て「ま、まだ早いよ!」って言う? それとも困った顔をして「ちょっと……な
あ……」なんてあたしを傷付けるかしら。
多分、そんな一筋縄では行かないだろう。
そんな取り留めの無いことを思う。
昔は子供なんて欲しくなかったのに、今はなぜこんなにもあいつの子供が欲しい
と思えるのだろう。
暗澹とした気持ちで見上げた曇り空には、朧気な太陽の光があった。
家に向けて歩くごとに、食い込んでくるバッグの肩紐を直す。
15 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:30:36 ID:???

胸が震える。バイブ機能で震える携帯をジャンパーの胸ポケットから取り出した。
ディスプレイを開くと、一件のメール。二回ボタンを押し、メールを開く。
シンジからのメッセージだった。
「ごめん、コンビニでも良いから牛乳も買ってきてくれないかな? 代わりにお
菓子、ひとつだけ買ってきてもいいから」
笑いながら溜め息を吐き、携帯を閉じる。
ほんの三分前に通り過ぎたばかりのコンビニへ踵を返す。
まったく、メールでも謝るなんて、本当にバカシンジね。
暖房が入った暖かいコンビニで、冷気に冷やされた棚から低脂肪の合成牛乳を一
本、スナック菓子をひとつお菓子棚から取り、レジに持っていく。会計を終えて
商品を入れた袋を差し出す顔馴染みの店員が、あたしに軽く微笑みを向ける。袋
を受け取ったあたしも、それに微笑みで答えた。
店員が女の子じゃなくて男で、あいつが傍にいたらどうなるだろう。嫉妬に狂っ
てくれるのだろうか。
コンビニを出て再びマンションへ向かう。
「あら、アスカ」
暖房の効いた玄関に入り、手袋を外すと、隣人の姑(予定)と小姑(予定)がエ
レベーターから降りてきたところだった。
「どっか行くの?」
リツコにそう訊く。
「ええ、ちょっとネルフに」
16 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:31:58 ID:???

「そりゃまたどうして? ネルフは辞めた筈なのに」
うーん、それがね、とリツコはうんざりとしたように言う。
「マヤの後輩がまた問題起こしたそうなのよ。マギがエラーだけしか表示しない
らしくて」
「それで、なんでレイが?」
なぜだかシンジの義妹レイが一緒にいる。
「社会勉強。で、あなたは?」と答えたリツコが逆にあたしに訊き返す。
「使いっぱしり……?」
失礼なことをぼそりと呟いたレイに、あたしは目を座らせて睨む。
リツコも「呆れた」という風に横目で見ながら軽く溜め息を吐く。
そのリツコの隣に立つ小姑(これも予定)は、そんなあたしの目にも怯むことも
なく、静かに燃えるキャンドルの炎を思わせる赤い瞳を、あたしに向ける。
「……はぁ、あんたはいい加減学習しなさいよ」
あたしは不遜な気持ちを込めて腕を組む。
「なにを?」
「人間関係、コミュニケーションってヤツをよ」
「人間関係……それは美味しいもの?」
「とぼけるなバカレイ」
「……はぁ、仮にも妹になろうという女性にバカなんて言うのは好ましくないわ
ね。そんなようじゃレイにいびられるんじゃないかしら。小姑は鬼百匹に向かう
……とも言うのよ」
鬼云々はイマイチ解らない(恐らく小姑は怖いって事なんだろう)けれど、リツ
コの溜め息混じりの軽い叱責に、「へーい」と軽く返事をする。
17 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:32:52 ID:???

「レイは?」
最近すっかり母親が板についた(似合わないくらいにね)リツコにたしなめられ
たレイは、唇を尖らせて斜め下を向いた。
なによ、あんたすねてんの?
まったく、女の子っつー自覚が無いのかしらコイツは。
まあこれはこれで可愛い……のかな。
「どうしたの」
リツコがドスを聞かせた声でレイに訊き、ギロッと横目にレイを睨めつける。
きゃあ、こわ。
「……ごめんなさい、お母さん……むぎゅ」
意外と素直な事を言いつつも、いまだに下を向き続けるレイの顔を、両手で挟ん
で真正面に見据える。
「そんなすねた顔してちゃ、美人が台無しだっつの」
「ひゃひぉふふほぉ」
「何言ってんのかわかんないわよー」
おらおら。
「ふひゃひふひゃひ……いたい……」
ぐりぐりと柔らかいほっぺを存分にこね回してから解放してやる。
「……そう、もう駄目なのね、お嫁にいけない……」
「バカ言わないの」
真っ赤なホッペを押さえて、レイは少し恨めしそうな表情を浮かべてあたしを睨
む。
18 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:33:52 ID:???

「ま、まるっきり外れって訳じゃないけど」
「やっぱり使いっぱしりね」
「ちがうっつの。ただのお使いよ。お・つ・か・い」
「ものは言いようね」
「ぐ……なによそのいいぐさ。まるであたしが口八丁の言い訳してるみたいじゃ
……」
「レイ! 行くわよ」
気付くと、既にリツコはあたし達のどーしようもない言い合いを放って、マンシ
ョンのエントランスから体を半身乗り出していて、それに気付いたレイがハッと
した顔をしてリツコを追う。
あたしはその後ろ姿にベーッと舌を出して見送った。
はぁ、まったくもー、ホントの母娘よりも仲が良いんじゃないかしら。
それを羨ましく思っていることは、あいつも知らない心の奥底に、ママの出来事
と共に仕舞われているけれど。

「ただいまー」
三和土で靴の雪を落として、玄関に上がり、服掛けにジャンパーを掛ける。
「おかえりっ、寒かったでしょう? 紅茶飲む?」
「飲むっ!」
19 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:34:47 ID:???

はい、と鞄とコンビニ袋を渡し、シンジはその鞄から買い物を次々と取り出して
冷蔵庫に納めていく。
あたしはリビングのソファに腰を下ろし、飼い猫のミーを抱き寄せる。
中々暖かい。
飼い猫と言えば、飼いペンギンのペンペンは抱いたこともなかったなぁ。ペンペ
ンは今何しているだろう。たしかヒカリのところに居たらしいけど、ヒカリとは
あれから一度も会ってないし。もしかしたらペンペンはもう食べられてしまった
のかもしれない。直後にあったあの食糧難なら、それも決して有り得ない話では
ない気がした。
「あんたは食べないからね」
ちょこちょこと顎の下を擽ってやると、ミーは気持ち良さそうに目を細め、喉を
ゴロゴロと鳴らして寛ぐ。
「シンジは食べる予定だけど」
もちろん別の意味でね。
「呼んだー?」
紅茶を淹れていたシンジがダイニングキッチンから顔を出してあたしに呼び掛け
る。
「呼んでないわよー」
「ふーん……」
そう相槌を打ちながら歩いてきたシンジは、紅茶ポットと二対ティーカップと角
砂糖の器を載せたサーバーを、テーブルに置いた。
「ダンケ」
「あぁ……またミケを膝の上に……」
「なによ、悪い?」
ミー(ミケの事ね)とのスキンシップを邪魔するなんて不届きなヤツね。
「だってスカートや服に毛がくっ付くじゃないか。しかも外行きのヤツだし……」
20 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:35:48 ID:???

「文句あんのー?」
「洗濯が大変なんだよ? いつも言ってるのになぁ……」
溜め息を吐きながらシンジはティーカップに紅茶を注ぐ。
芳潤なお茶っ葉の薫りが立ち上る。
こんなわがままなあたしに、シンジは文句を言いながら、いつも優しくしてくれ
る。
ティーカップに、角砂糖をたっぷり入れる。
いつから甘いものが好きになったんだろう、とあたしはティースプーンで角砂糖
を溶かしながら考えた。
昔は大人になろうとしてコーヒーもブラックだったし、紅茶にも何も入れなかっ
た。
そうすれば早く大人になれるものだと信じていた。
それが幻想に過ぎないってことも、それが子供の証拠だって事にも、今になって
気付いたのだけれど。
シンジは紅茶の薫りと風味を味わいたいらしく、何も入れずに飲む。
角砂糖がようやく溶けた(それでも溶けきらなかった砂糖が底に沈んでいるのだ
けれど)紅茶を口に運ぶ。
甘い。とても甘い。あたしの味蕾を刺激する。
「こっち来なさいよ」
あたしはシンジに言った。
「え?」
「いいから」
あたしはシンジを引き寄せ、隣に座らせる。
「あ、アスカぁ……」
21 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:37:17 ID:???

情けない声を上げるけど、無視無視。
肩に頭を乗せて瞳を閉じる。
心地好い。
ミーの毛波を撫でながら、シンジの暖かさを堪能する。
「ねぇ、アスカ」
「なによ」
あたしは、この雰囲気に期待して、そして。
「晩御飯の用意が出来ないんだけど……」
殴ってやった。
あれから二年、いまだに同居を続けていて告白も済ませたっつーのに、キスすら
してくれないなんてなぁ。
「じゃあ」
シンジは立ち上がる。
「晩御飯用意するから先にお風呂入ってきてくれる?」
「ん、わかった」
あたしは、んーっ、と伸びをしながら部屋から着替を持って脱衣所へ向かった。
服を脱ぎ捨ててクリームカラーの眼帯を外し、産まれたままの姿になったあたし
はバスルームに入り、シャワーの蛇口を捻る。
シャワーのお湯を浴びて体を暖める。
鏡を見ると、そこには量産機の槍に貫かれた傷痕が、うっすらと残っていた。
あたしはこの体を抱き締める。
退色した左目が、あたし自身を掴み所のない眼差しで見つめる。
きっとシンジは、あたしの事を心の底から綺麗だとは言ってくれないだろう。
だけどあたしはそんなことを気にしない。
気にしないよう、自分に言い聞かせる。
22 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:38:23 ID:???

シンジの本心は解らない。
自信なんて持てる筈がない。
誰にも他人の心の中なんて解らない。
シンジがキスをしようとしないのは、あたしを醜いと思っているから?
自信なんて持てる筈がない。
だけどあたしはあいつを信じる。
逆にあたしは?
自問自答。
あたしからエヴァを奪った男。あたしをオカズにした男。あたしの首を絞めた男
を赦したの?
ええ、あたしはあいつを赦したの。
あたしはあいつが好きなの?
好きよ。
なぜ?
だって、一緒にいると落ち着くもの。
ヤツが他の女と喋っているのを見れば、嫉妬に狂うもの。
狂おしい。
……ああ、駄目よ駄目。
取り留めのない自問自答を中断したあたしは、スポンジを手にしてボディソープ
を染み込ませ、体を洗っていく。
一生懸命に洗う。
そうすれば全ての汚れが浄化されるように感じるから。
23 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:39:52 ID:???
シャワーで泡を洗い流し、自慢の長い髪を洗いに掛る。
昔はLCLのおかげで枝毛だらけの髪だったけど、そう髪を酷使する訳でもない
今は、枝毛のあまり無いさらさらの艶髪だ。
あの頃より美しくなったのは、この髪と胸だけかも知れない。
バスタブのお湯につかり、おもいっきり体を伸ばす。
といってもバスタブが狭いので、足首から先がバスタブからはみ出してしまうの
だけれど。
この瞬間が心地好い。
全てのしがらみから解放されるようで。
服ではなく、お湯に包まれているからだろうか。
十分に暖まったあたしは、バスタブから上がった。

「うー、さむさむ……」
お風呂から上がると陽は既に落ちていて、赤い月が空に輝いていた。
シンジはもう晩御飯を作り終えていて、美味しそうな料理がテーブルの上に並ん
でいた。
あたしは冷蔵庫から専用の牛乳を出して湯上がりの水分補給。
「ラッパ飲みなんて行儀悪いよ?」
「なによ、いつもの事じゃない」
牛乳を仕舞い、夕食の席につく。
「ミサトおっそーい」
愚痴る。
「……先に、食べちゃおうか?」
「へ? 待たないの?」
24 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:41:17 ID:???
予想外ではあった。
シンジならミサトを待つかと思ったんだけど。
今までもそうだったし。
「だってお腹空いたんだろ?」
ふーん、と相槌を打つ。
「な、なんだよ……」
「あんたもいつまでも飼いならされたオトコのままってわけじゃないのね」
「なにそれ」
「そのまんま。少しはあたしの恋人らしくなったんじゃない? ってこと」
「もう……恥ずかしいこと言わないでよ」
男が言うような言葉じゃないわね。
「恥ずかしいなんて失礼ね」
「もういいから、早く食べよう。お腹空いたでしょ」
そう言うとシンジはミーのご飯を用意して、ミサトの分の料理にラップをして、
ふたつのコップに水を注いで席に着いた。
あたしも席に着く。
「いただきます」
ふたりで合掌した。

食事が終わって、まだミサトは帰ってこない。
シンジはキッチンで使った食器を洗っている。
かちゃかちゃと控え目な音が聞こえてくる。
あたしは床に寝ているミーの背中を撫でながら、しどけなくソファに寝そべって、
テレビのバラエティ番組を見ていた。
テーブルにはさっきのお茶っ葉とは違う薫りの紅茶がある。
25 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:42:20 ID:???
さっきの紅茶は、ただ良い薫りしか感じなかったけれど、今あたしの嗅覚を擽る
薫りは、どちらかと言えば落ち着くような、懐かしいような薫りがする。
きゅっ、と蛇口を締める音がして、シンジが食器を洗い終わったのだと解る。
シンジはそのままベランダの方に行って、取り込んだ洗濯物を籠ごと持ってくる
と、あたしの反対側に座ってその洗濯物を丁寧に畳み始めた。
あたしはそれを眺める。
沸き上がる。
なにが?
あたしの欲望が。
願望が。
「ねえ」
あたしは声を掛ける。
多分あたしは、今のこの穏やかな生活を壊してもいい、と思うほど、シンジを求
めていたのかもしれない。
「なに?」
シンジは、あたしを見ずに応えた。
「子供、欲しい」
手が、止まる。
「は? 誰の?」
シンジはあたしを怪訝そうな顔で見た。
あたしは表情を一切動かさず、シンジを見つめた。
動かせば、泣いてしまいそうだから。
「 だ か ら 、 あ ん た と あ た し の 子 供 が 欲 し 
い の 」
沈黙。
26 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:43:16 ID:???
ただ暖房のゴォーという音だけが、部屋の空間を支配する。
「……ば、馬鹿言わないでよ!」
「なにが『馬鹿なこと』よ。あたしはしごく本気なんだけど」
「そんな……僕達まだ……」
「『17歳じゃないか』?」
シンジが、口を噤む。
あたしは溜め息を吐いて続けた。
「なにも今欲しいって訳じゃないの。いつか欲しいってこと。自立もしてないう
ちに子供なんて養えるわけないじゃない。約束……婚約して欲しいだけ」
「婚約……」
重い言葉。恋人とはまた違う、一時の約束ではなくて、将来を一生共にする為の
約束。
「それとも、傷だらけの女はイヤ?」
あたしは、眼帯を捲り、パジャマをたくし上げた。
晒される傷痕。
薄くて、目を凝らさなければそうそう見付けられないような、だけどはっきりと
した傷痕。
「これじゃ、立たない?」
自分の言葉に赤くなる。
「気にしなくていいのよ? イヤならイヤって言っていい。あたしを好きになっ
てくれる人ぐらい、人類12億人の中に一人くらいいるわよ。キャリアウーマン
にでもなって、ドイツの田舎で余生を過ごすことだって出来る。言っとくケド、
同情なんて真っ平ごめんよ。好きじゃなきゃ、意味ないもの」
あたしは服を直し、眼帯を下げた。
「同情なんかしたら殺してやる」
同情なんていらない。
偽りなんていらない。
好きなのは解ってる。
あたしが欲しいのは、その更に先。
27 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:44:14 ID:???
「好きだよ……僕は、アスカのこと」
「キスもしてくれないのに?」
あたしがあんなにねだったのに、してくれなかったくせに。
せいぜい手を触れ合ったり、繋いだりするだけのプラトニックな恋人関係。
「……僕は、しちゃいけないんだ……」
「……あたしが嫌いってことね」
「違うよ!」
シンジが声を荒げる。
驚いたミーが起きて、廊下に駆けていった。
「あーあ。ミーが行っちゃった」
あたしは間の抜けた声で言う。
「……どうして……」
「ん?」
「……どうしてアスカは僕と……エッチ……したいの?」
「はぁ?」
あたしは笑う。
「誰があんたとセックスしたいなんて言った?」
「だって……」
「あたしはね!」
あたしはシンジの言葉を遮る。
「あたしはあんたとしたいなんて言ってない……そりゃしたいケド……でもね、
それが目的じゃないの。あたしが欲しいのはあんたとの生活よ。結婚もしたい。
あんたの子供が、家族が欲しいのよ」
あたしに無かった、家族。
それが欲しい。
それも、偽りの家族なんかじゃない、本物の家族。
28 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:45:28 ID:???
シンジが欲しい。
シンジとしたい。
「あたしが好きならしよう。キスして、その先も。多分きもちいいだろうけど、
やっぱり子供が欲しい」
あたしはずっと思ってた。
シンジと結婚したいって。
何故だろう。子供も欲しくてたまらないの。
レイもリツコも、司令だって、根回しはとうに済んでるのよ?
あとはあんたの意思だけなの。
あたしは決心した。
今、唐突に、家事をするあんたを見て。
次はあんたの番。
きっかけなんて些細なもの。
ずっと思っていたんだから。
「あたしと結婚するか、それともあたしを追い出すか。ふたつにひとつ。あたし
に告白して優しくしたのは、償いか、それとも愛情なのか」
答えを求める。
いつの間にか、ミーは戻ってきていて、シンジの足に寄りかかって眠っていた。
「アスカは……」
シンジは口を開く。
「……後悔しない?」
「え?」
「僕と結婚して、後悔しない? 親の愛情も、なにも知らない僕と結婚して」
あたしは、笑った。
「愚問よ。知らないからどうだって言うの。あたしも知らない。だからなんだっ
て? そうして尻込みして、欲しいものを手にしようとしないのは、愚か者のす
ることよ」
29 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:48:13 ID:???
あたしは尻込みなんてしない。
明日を恐れない。
だって明日香だもの。
「好きだって、何度言ったと思ってんの」
あたしはシンジの傍へ躙り寄る。
「赦したのよ。あたしをおかずにしたことも、あたしの首を絞めたことも」
「うん……」
これは、二年前の再確認。
あたしは赦した。
コイツがあたしに告白した時に。
「好き? あたしのこと」
「……好き……だ」
「もっとはっきり。告白して」
シンジのズボンを、掴む。
意を決したように、または漸くしがらみから解放されたように、シンジはあたし
に告白する。
「……好き……僕は、アスカが好きだ……」
「告白」
シンジの手が、あたしの手に重なる。
「ずっと、思ってた。アスカと家族になれればどんなにいいかって……だから、僕と、結婚……してください」
あたしは、心を満たすその言葉に満足した。
あたしはそれの更に先を要求する。
「婚約のキスをして」
「……いいの?」
「早く」
あたしはちょっと苛立って。
30 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:49:49 ID:???
でもいつまでも待ってやるつもりで。
「……じゃあ……する、よ?」
そしてシンジは恥ずかしげに怖ず怖ずとあたしに顔を寄せ、キスをした。
ホッペに。
「ちょ……」
なんで唇にしないのよ!
ちょっと! と言おうとしたあたしの顔に、次のキスが降る。
おでこや顎、そして唇に幾つものキスが降る。
首筋、そして耳。
あたしの顔の、ありとあらゆる場所に沢山キスマークが刻まれた。
「あっ……」
シンジの手が眼帯を外す。
そして舌が瞼を撫でた。
あたしは恥ずかしさで真っ赤になってしまっていたけど、今までの分まで発散す
るようなシンジの熱いバードキスに、なされるがままになってしまう。
「ちょっと……あんた、もう……」
おでこをを最後に、シンジは唇を離してあたしを見つめた。
「ごめん……ね」
キスを漸く止めて、すっきりしたように笑うシンジに、あたしはなんだか毒気を
抜かれてしまって。
こんなのもいいかも知れない、と思った矢先だった。

「中々お熱いようだな」
その声にあたし達は同時に玄関の方を振り返る。
そこには、色眼鏡を止め、普通のスタイリッシュな眼鏡を掛けて、呆れたような
(あの頃の姿からは信じられないような表情だけど)顔をしたシンジのパパと、
ニヤニヤ顔のミサトがいて、あたしはシンジを跳ね退けて居住まいを正す。
31 ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:52:16 ID:???
シンジはただボゥとしてあたしに跳ね退けられた姿勢のまま。
あたしが蹴ってやると漸く居住まい(しかも正座だ)を正したくらいの体たらく。
もう、恥ずかしい!
「なんで父さんが!」
切ない声を上げるシンジの抗議も、「息子の家に来てはいかんのか? 俺がせっ
かく心を入れ替えて親父をしているというのにな」という寂しげな言葉に粉砕さ
れた。

そのあとはニヤニヤ顔を引き締めたミサトに貞操がなんの、恥じらいがなんのと
二人揃ってこってりと絞られた訳で。
ついでに、シンジのパパを追ってやって来たレイのきつい視線まで受けることに
なったのは予想外だったけどね。
これで同居していたのが、引き離されたらどうしよう! なんて心配もまったく
の杞憂だった。
「あたし達、このまま?」
シンジの頭を、本当に不器用な手付きでぐしゃぐしゃと撫でたお義父さん(こう
呼んでもいいわよね?)に聞いたあたしの心配も、「婚約者と住んで何が悪い」
という武骨な飯草に消えてしまう。

その夜、あたしとシンジは互いの毛布を交換して眠りに着いた。
最初は真っ赤で興奮して、だけどその安堵感に包まれて眠りについた。
明日からの、また違う幸せな日々に思いをはせて。
約束したあたし達。
幸せな未来を築けると、あたし達は信じる。
あしたからの日々は、どんなにいい日になるだろう。
32NL ◆4GEknWtgks :2009/06/29(月) 21:56:58 ID:???
終了
アレ?連投規制は?問題なし?10レス以上投下しちゃってるケド……
つか、ぬけたパートとかないかな('A`)
33名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/29(月) 22:18:18 ID:???
無限に投下できんのかこのスレはw
とりあえず乙です
あとで読みますね
34名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/29(月) 22:18:30 ID:???
GJ(*´Д`)
おいらもLASの肝は赦しだと思います
35名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/29(月) 22:35:46 ID:???
一気読みしましたGJ!!
36名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/06/30(火) 10:05:53 ID:???
癒されました!GJ!!!
37名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/02(木) 00:43:57 ID:???
投下待ちしてます
38名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/04(土) 00:24:05 ID:???
39プロテインX:2009/07/04(土) 12:56:55 ID:???

『おだやかな午後』

下校しようと思って机の中から教科書やノートを出そうとしたら、くしゃくしゃに丸めた紙が出てきた。広げてみるとその紙には、「シンジ、××駅に来なさい。アスカ」と書かれてあった。……今度はどんなわがままに付き合わされるんだろう。思わずため息が出た。
「おー、シンジ。かえるでー」
とトウジ。
「ごめん、なんか用事できちゃって」
とぼく。
駅に着くと、アスカはもう既に居た。
「遅いわよ、バカシンジ」
「ごめんアスカ。……で、今日は何?」
「この近くにケーキがおいしい喫茶店があってさ。いつもならヒカリと行くんだけど、ヒカリ、ダイエットするっていうから、あんたはその代わりってわけ」
「ここら辺にそんな喫茶店あったんだ」
「さ、行くわよ」
アスカの後に付いて歩くこと数分でその喫茶店の前に着いた。
アスカはすこし笑顔で、
「どう? いい感じのお店でしょ」
と言った。
「うん。なんだか昔ながらの喫茶店って感じがする」
アスカがドアを開けると、カラン、コロンと音がした。店内は冷房がきいていて、ぼくは座席に座り一息ついた。
メニューを見ながら、
「何がお勧め?」
と訊いたら、同じくメニューを見ているアスカが、
「うーん、何がお勧めっていうか、あたしが食べたいケーキをあんたと半分こするからあんたはブレンドコーヒーでも頼めばいいんじゃない? よし、決まったわ」
40プロテインX:2009/07/04(土) 14:35:49 ID:???
アスカは店員を呼ぶと、
「あたしはモンブランと、チョコレートケーキと、ブレンドコーヒー。あんたは?」
「じゃあぼくもブレンドで」
注文し終わり、すこしの沈黙の後、アスカは、
「最近、使徒来ないわね」
と言った。
「んー、そうだね」
「あんたはさ、もう使徒が来ないといいなって思ってんの?」
「うん。アスカは違うの?」
「あたしは違うわ。せっかくエヴァのパイロットやってるのに全然活躍できないじゃない。する事っていったらシンクロテストばっかだし。意味ないわよ、こんなの」
「ぼくはもう来ないほうがいいな。痛い思いするの嫌だし。……アスカはエヴァ乗るの好き?」
「あたしだって痛いのは嫌だけどエヴァに乗るのは好き。あんたは、あ、ケーキ来た」
店員がコーヒーと、ケーキをテーブルに並べながら、
「お待たせいたしました。ご注文の品は以上でおそろいでしょうか」
「ええ」
とアスカ。
アスカは器用にモンブランとチョコレートケーキを半分にして、
「はい」
と言って、お皿に乗せてぼくに渡してくれた。
「ありがと」
ぼくがコーヒーに砂糖とミルクを入れたらアスカが、
「あーあ。あんた今自分が何やったかわかってる?」
「え? コーヒーに砂糖とミルクを入れただけだけど――」
「違うわ。おいしいコーヒーの味を台無しにしたのよ。ほんとにあんたって馬鹿よね」
なにも怒らなくたっていいのにと思いつつ、
「わかったよ。今度ここのコーヒー飲む時はしないよ」
と言った。
41名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/04(土) 15:02:04 ID:???
マッタリ更新してるなw続き町
42プロテインX:2009/07/04(土) 18:14:45 ID:???
モンブランも、チョコレートケーキも、コーヒーも、アスカがおいしいと言うだけあってとてもおいしかった。
「これ、ほんとにおいしいね」
と言ったら、アスカは、
「コーヒーに余計な物混ぜなければもっとおいしかったのにね」
と意地悪な笑みを浮かべて言った。
ぼくはうんざりして何も言い返さなかった。
ふと疑問に思って、
「そういえばなんでケーキ半分こにしたの?」
と訊いてみたら、
「一個丸々食べて、何種類も食べたら太っちゃうじゃない。ま、あたしはネルフにあるジムでヨガやってるからそうそう太らないけど。……たぶんミサトはヤバいことになってるわよ」
なるほど、と思った。
アスカが、
「えーっと、さっきなんの話してたっけ」
「さっきって?」
「ほら、えーっと、そう、エヴァの話よ。あんたエヴァに乗るの嫌なの?」
「嫌、かな」
「あたしは思い通り動かせた時なんか楽しいけど。あんたは一度もそういう時ないの?」
「うーん……。あっ、アスカとユニゾンした時は楽しかったな。いや、楽しいっていうよりも無心っていうのかな。痛みとか恐怖とか忘れられてた気がする」
アスカは笑いながら、
「練習の時のあんた、本当に駄目だったわよね」
ぼくはすこしむっとして、
「いいんじゃないか、本番では使徒を倒せたんだから」
「ま、結果オーライよね」
またすこしの沈黙。レトロな感じの店内を音楽が静かに流れていた。ぼくはすっかりくつろいでいた。それはアスカも同じのようだった。
43プロテインX:2009/07/05(日) 15:55:59 ID:???
書き間違えた箇所。

「おー、シンジ。かえるで」×
「おー、シンジ。帰るで」〇

「いいんじゃないか、本番では使徒を倒せたんだから」×
「いいじゃないか、本番では使徒を倒せたんだから」〇
44プロテインX:2009/07/05(日) 16:40:06 ID:???
ぼくは、
「本当にいい喫茶店だね。音楽もうるさくないし」
「そういえばあんた、いつもカセットで何聞いてるの?」
「聞いてみる?」
と言って、ぼくはバッグの中からSDATを取り出した。
テープを巻き戻して、自分の左耳にイヤホンをはめて、
「はい」
と言って、もう片方のイヤホンをアスカに渡した。
アスカは、
「あんた、もうすこし近づきなさいよ。あたしがイヤホン付けられないじゃない」
「あ、うん」
と言って、ぼくはテーブルに身を乗り出した。アスカもテーブルに身を乗り出した。
ぼくは、アスカとの距離がすごく近くなったのにすこしどきどきしながら、アスカが髪をかき分けながらイヤホンをはめたのを見て、スタートボタンを押した。
45プロテインX:2009/07/05(日) 16:41:33 ID:???
音楽が流れ始めて、アスカが、
「あ、あたしこの曲知ってる! なんて曲だっけ」
「え、アスカ、この曲の名前知らないの? モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』だよ」
「曲名知らないとなんか問題あんの? あんた生意気!」
とアスカは怒った。ぼくは慌てて、
「ごめん、アスカはなんでもできるから知ってると思ったんだ」
アスカはまだ怒っている声で、
「あたしだって知らない事ぐらいあるわよ」
と言った。
こんなに近くで、こんな風にアスカの顔を見るのは初めてだなとぼくは思った。
「なによ、人の顔じろじろ見て」
とアスカ。
「いや、アスカの目の色ってきれいだなって思って」
「お、おだてたってなんにもしないんだからね! ここだって割り勘よ!」
「アスカ、声が大きいよ」
それっきりアスカは黙ってしまった。何かまずい事言ったのかなとぼくは思った。
アスカがイヤホンを外して、
「もういいわ。帰るわよ」
と言ったので、
「うん、帰ろうか」
とぼくも言った。
46名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/05(日) 21:35:29 ID:???
終わり…かな?
とりあえず乙!
47プロテインX:2009/07/05(日) 23:26:03 ID:???
コーヒーとケーキ代を割り勘で払って、外に出たらもう夕方だった。
ぼくがアスカに、
「スーパー寄ってってもいいかな」
と訊いたら、
「うん、いいわよ」
と言ったので、スーパーへ行き、買い物をして、二人で食料品の入った袋を持って外に出たら、トウジに出くわした。
「なんやシンジ、用事て夫婦一緒の買い物の事やったんかいな」
とトウジが言った。ぼくが反論する間もなくアスカが、
「あんたふざけたこと言ってるとハイキックをお見舞いするわよ!」
「うわ、こらあかん、退散しよ。またな、シンジ」
と言って、トウジは走って逃げていった。
ぼくはなんだかおかしくって声に出して笑っていた。
アスカがまっかな顔で、
「あんた何がそんなにおかしいわけ?」
「だってアスカ、すごく怒るんだもん」
「あんた達って三馬鹿よ。……シンジ、今日の晩ごはん何?」
「うーん、何にしようかなあ」
そうして、日が暮れていくなか、ぼくとアスカは買い物袋をぶら下げて、ミサトさんとぼく達の家に帰っていった。

終わり。


感想があったら書いてくれると嬉しいです。『もしシンジだけが甘えん坊だったら』というスレッドにも、以前に小説を投下したのでよろしかったら読んでみてください。
原稿用紙に書いてから、ケータイで投下しているのでなかなかしんどいっす。
48名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/05(日) 23:47:45 ID:???
乙であった
49名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/05(日) 23:51:54 ID:???
GJです。偉いね〜用紙に書いてからなんて
出来ればまとめて連投してほしいかな。若干読みにくい
ただ作品は良かったです
ちなみに甘えん坊スレの作品はLAS?
50プロテインX:2009/07/06(月) 03:56:12 ID:???
>>49
甘えん坊スレはLASではないです。
連投は正直無理です……。せめてキーボードで入力できたら……。ケータイだときついっす。
いいですよ、原稿用紙。文章上達目指し、日々精進!
51名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/06(月) 16:48:23 ID:???
>>50
連投なら、メールの本文に書いて保存するなりして1投下分ずつコピペするとか、どう?
まあ、そんな問題じゃないのかも知れんけど
52名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/08(水) 18:00:12 ID:???
『今日は久しぶりの休みのはずなのに・・・』

僕は独り言を呟きながらエントリープラグ内に居る 
学校帰りからの緊急呼び出し、体に緊張が走ったが、それは直ぐに冷めてしまった 

リツコさんからの緊急シンクロテスト、しかも僕だけって・・・ 

『シンジ君、ご免なさいね。休みのはずなのに・・・』

『いや、特に予定もなかったんで』

僕は上っ面の返事をした 
内心としては憂鬱 

『では、シンクロ開始』

グゥゥン 

プログラムを変えたのか、いつもとプラグ内が違う気がする 

まぁ〜そんな事はどうでも良いや 

早く終わる事だけを意識していれば良い 

あれ、眠いのかな・・・ 
目が霞んで、意識が遠くなる感覚が出始めた 

何か周りが騒がしい 

僕はそこで意識を失った・・・ 
53名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/08(水) 18:13:48 ID:???
大海原

僕は今、漂っている 

何故だろう、水中なのに息が出来るなんて・・・ 


魚や海草、それが存在しない海なんてあるのかな?



あぁ〜これは夢だ 

夢に違いない 

僕は夢を見てるんだ 


そう思うと、目の前が少しずつ明るくなり始めた 


お目覚めの時間か・・・ 


すると周りが反射する様に明るくなり、眼前を遮断した 



『ほ〜ら、やっぱり夢だ』そう呟くと僕は目を覚ました

54名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/08(水) 21:10:40 ID:???

『何処だ、ここ?』

そこは病室では無かった 
部屋が丸太や材木で出来ている、ペンションなどにあるバンガローやログハウスの様だ。 


着ている服もよく見れば着ていたプラグスーツではなく、ごく一般的な黒のスウェットに変わっていた 


どうやら病室では無い場所に自分が居る事が理解できたようである。 


ガチャ・・・
突然、部屋のドアが開く音がした 


思わずシンジは、その音のした方向に顔向けた。
55名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/08(水) 22:05:47 ID:???
続きまってます
56名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/08(水) 23:19:35 ID:???

そこには赤い髪を伸ばした美しい女性が立っていた 

シンジは思わず、見惚れてしまった 


『綺麗だ・・・』
彼は思わず、呟いた 


『あら、貴方って紳士ね。嬉しいわ』

女性はクスッと笑った 

その姿もとても美しく、いとおしく感じるほどだ 



『ねぇ〜貴方、大丈夫?』

『へっ?』

気が付くと彼女はシンジのベッドの傍まで来ていた 
彼女がこんなに近くに来るまでシンジは見惚れていたようである。 


『ぜぁざぁあ・・・だ、だ、大丈、大丈夫です!!』
思わずシンジは舌が回らず、噛み噛みで返事をした。 
57名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/08(水) 23:31:15 ID:???
『その様子なら大丈夫そうね』

『待ってて、今食事を持ってくるから』


彼女はそう言うと部屋から出て行った 


彼女が出て行った跡は、香水だろうかラベンダーの香りが広がっていた 


『美しい人だな〜スタイルも良いし』

そう呟く彼の顔はにやけていた 


程なくして、先ほどの女性が部屋へ戻って来た 

その手には暖かいスープが入った深皿を載せたトレイを持っていた 

58名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/08(水) 23:42:38 ID:???
『ゴメンなさいね、残り物だけど・・・』

そう言うと女性はシンジにスープの載ったトレイとスプーンを渡した 


中身はピューレ状にしたトマトとカボチャ、茄子、ジャガイモ、玉ねぎと言った野菜が入ったミネストローネであった 


程よい暖かさと食欲を掻き立てる匂い、お腹を空かしていたシンジには最高の攻撃だった 



『いただきます』


そう言うと銀色のスプーンをスープに潜らし、一杯すくい上げると自らの口へと運んだ 






『美味しい』
59名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/09(木) 00:41:58 ID:???

『本当に紳士ね、貴方。無理しなくて良いのよ』
  
女性は顔を赤くしながらも、クスッと笑っていた 

『いえいえ、本当に美味しいですよ』

シンジは女性の顔を見てドキッとしていた 


そんな女性を見ながら、シンジは心でふと感じていた 


女性は彼女に似ている 


そう、彼のパイロット仲間兼同居人の彼女である 


そして、彼が憧れる彼女の姿に女性の姿を重ねていた 


そんな事を考えていると、部屋のドアが開いた
60名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/09(木) 13:02:15 ID:???
コテハン付けてくれると、読みやすくて嬉しいんだが
61名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/09(木) 13:42:31 ID:???
そこには長身の男性が立っていた 

『目覚めたみたいだね、一安心だ』

男性はそう言うとシンジの居るベッドに近づいて来た 
『いやぁ〜ビックリしたよ、この近くの岸に裸で横たわっていたもんだからさ』
(裸?なんで・・・) 
(岸?ここは海に近いのかな・・・) 

『僕が普段着ている服だから大きいからもしれないけど我慢してくれ』

『はぁ・・・』

『そうだ、自己紹介がまだだったね。』
62LAS仮面:2009/07/09(木) 20:52:20 ID:???
質問なんですが
此処は、どっちかというとシリアス系オンリーですかね?
63名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/09(木) 20:56:23 ID:???
なんでもアリだから総合です
64名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/09(木) 20:58:08 ID:???
ごめん、強度のエロもなしね
65名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/09(木) 21:03:26 ID:???
>>62
イタモノ系もおkよ

>あなたがLASと思えば、それはLASなのです。
66LAS仮面:2009/07/09(木) 21:04:44 ID:???
サンクス。
明日あたり投下してみます。
67名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/09(木) 21:12:51 ID:???
>>61
マイペースすぎます…続き楽しみなのに…
68名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/09(木) 23:40:21 ID:???
>>61
『僕は神児、碇神児でこっちが僕の女房の明日香』 

『ヨロシク』

(えっ・・・シンジにアスカだって?)

『で、君は?』
シンジに神児は質問した 
『僕はシンジです、苗字は〜』

ここでシンジの思考が止まった。 

(あれ?僕はシンジだけど、苗字はなんだ?)
(そもそも僕は何故ここに居るんだ?)
(もしかして、記憶喪失ってヤツ?)

『すいません、あとは解りません・・・』
シンジは声のトーンを少し落として返事をした 

『あら記憶喪失ってヤツかしら、神児?』

それを聞いた明日香が神児に尋ねた 
69名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/09(木) 23:56:27 ID:???
『そうらしいね、まぁ〜記憶があろうがなかろうが、一命を取り留めただけでも良いとすれば良いんじゃない』

神児は愛想良く、明日香に返答した 

『それに・・・』

神児の声が急に低くなった 
『人は思い出さない事が幸せな記憶だってある、僕もそうなれたら良いのに・・・』

その言葉を話す神児の目はどこか寂しげであった。 

明日香は『ハッ』と何か感付いた様に神児の体を右肘でこずいた。  


『ともかくウチ二人は、君は大歓迎だからね』
 
70名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/10(金) 17:02:37 ID:???
『あっ、いやでも・・・』
シンジは戸惑った

『記憶喪失のままじゃ危ないし、久しぶりのお客様だから遠慮なんていらないさ』

神児はニコリと語りかける
何故だか、シンジは神児の笑顔に安心感を感じた




その日からシンジ、神児、明日香の共同生活が始まった






共同生活を始めて解った事だが、夫妻が住んでいる場所は草原のような場所にあり、少し先には森が広がっていた。
シンジが倒れていた湖と言うのは、その森を抜けた先にあると神児に聞かされた
71名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/10(金) 17:05:52 ID:???
>>70
修正

『あっ、いやでも・・・』
シンジは戸惑った

『記憶喪失のままじゃ危ないし、久しぶりのお客様だから遠慮なんていらないさ』

神児はニコリと語りかける
何故だか、シンジは神児の笑顔に安心感を感じた




その日からシンジ、神児、明日香の共同生活が始まった






共同生活を始めて解った事だが、夫妻が住んでいる場所は草原のような場所にあり、少し先には森が広がっていた。
シンジが倒れていた岸と言うのは湖で、その森を抜けた先にあると神児に聞かされた
72名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/10(金) 23:23:58 ID:???
>>33
(´д`)マダー
7372:2009/07/10(金) 23:31:59 ID:???
安価間違えた

>>66
(´д`)マダー
74名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/11(土) 10:17:16 ID:???
夫妻はとても仲が良かった。 

シンジは聞いてみた。
『二人はどうして出会ったのか?』


明日香は顔を赤くしながら『そんな事を聞くもんじゃないわ』
と笑われてしまった。 


対して神児に聞くと『僕と彼女は絆だからさ、自分の素直な気持ちに気付くのが遅すぎたんだ・・・』 
と意味深な事を言われた。 


そんな事がありながら、3人の共同生活は進んで行った。 






しかし、シンジの記憶は一向に蘇る事は無かった。
75名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/11(土) 21:35:41 ID:???
age
76 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/13(月) 20:07:52 ID:a2QSW9z2
LASスレがひとつしかないんだけど、長編LASをどっかに落としたいんだよね…
どうしよう
77名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/13(月) 20:13:07 ID:???
どういうこと?
ここに落とせないっていうこと?
78名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/13(月) 20:31:40 ID:a2QSW9z2
ここ連載中だし、他スレでLAS投稿できるとこないかなあ
79名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/13(月) 20:46:38 ID:???
コテつけりゃ問題ないかと…
一応別にLAS小説投下出来るスレあるけど、なんかそこも連載中ぽいし
一応ここね、好きな方にどうぞ。あとなるべくsageて

落ち着いてLAS小説を投下するスレ 15
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/eva/1215690262/
80名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/13(月) 21:36:50 ID:???
>>76
投下待ってます
81kou:2009/07/13(月) 22:05:36 ID:???
>78じゃないんだけど、俺もここで投下していいかな?
携帯な上に長くても3,4レスなんだけど。
82名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/13(月) 22:15:02 ID:???
お願いしまーす
83kou:2009/07/13(月) 22:47:40 ID:???
うす、投下させてもらいます

『夜明けのスキャット』

第三新東京の夜。意味の無いネオンが光り輝く時間に彼女はそこにいた。
昼はあんなに穏やかだった町並みも、大人のエゴと欲にまみれた世界に変貌する。
そんな街から逃げるように『セカンドインパクトの謎』と銘打たれた小汚い映画館に身を寄せた彼女は、待合室のロビーの椅子で転がっていた。

『そろそろ帰ってきなよ。ミサトさんも

パチン、と読みかけたメールを閉じる。
些細な、本当に些細なやり取りが原因で発展した喧嘩のせいで上げた拳を下ろせず、半ば自暴自棄に部屋を飛び出した。
誰にも会いたくなかったし、まして友達の家に転がり込むなど言語道断だった。
そして行き着いたのがここ。

『今日は帰らない。もう寝るから。探しになんか来ないでアンタも寝なさい。』

少ない電池残量の携帯からメールを送る。こうして強い口調で諌めればアイツは来ない、と彼女はたかを括った。いや、自信があった。
不機嫌に引っ張り上げた段ボールを肩まで乗せて身を埋めるように壁に背を向け、目を閉じた。

いつもこうだ…
と、いつものように後悔しながら。
84kou:2009/07/13(月) 23:19:15 ID:???
『夜明けのスキャット』2

夢を見た。
学校やネルフ、学校の登下校の道、マンション、果てはエヴァの中に至るまで場面は様々だが内容は一貫していた。
「ゴメンよアスカ…アスカぁ…」
泣きながら、自分に縋り付くシンジ。
人目を気にせずただひたすら自分に許しを乞う。意味が分からない。
謝りたいのは自分なのに。そうしなければならないのは自分なのに。こう対処されることを望んでいるのか、とまた自分が嫌になった。
シンジに縋り付かれた自分は何もしなかった。軽蔑することも許すこともしない。
夢の世界に鏡は無いので、どんな顔でその状況にいるのかも分からない。

ただ分かるのはそんな自分を俯瞰で見ていて、ひたすら腹がたった思いだけだった。

やがて場面は転換。遠くに彼ががいる。地に足がついていないような浮遊感があった。
「アスカ、ゴメン。ばいばい」
こちらを見てそういうと、振り向いてどこかへ歩きだした。
「待って!謝る、謝るからぁ!?」
手を伸ばせど距離は遠く、近付こうとも前へ進めない。
「シンジィ!?」
現実ならば足が縺れて転んでしまいそうな程、めちゃくちゃな動きで追い掛ける。
追いつけない。
転んだ。
痛い。
何が?
心が。

目が覚める直前の彼女は悟った。

依存している、と。
85名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/13(月) 23:31:54 ID:???
私怨
86kou:2009/07/14(火) 00:11:37 ID:???
『夜明けのスキャット』3

意識が完全に身体に戻るには時間がかかりそうだった。椅子の綿は寄っていて固いし、すぐ隣の店から臭う廃棄物の腐臭のせいでもう一度眠りたいとも思った。
だが、目を閉じればまたあの夢を見てしまいそうで、続きを見てしまいそうなのでやめておいた。
それでも体は起こせない。ギシギシと痛むのだ。
はぁ、と大きい溜息をついたあと、ポケットを探って携帯をさぐった。
大きなストラップが一個ついた携帯を探すのはさしたる苦労もなく、するりと顔面まで持ち上げられた。
着信の様子はない。メールの新着もない。
正直に言えばかなり悲しい気持ちになった。
が、今はまだ夜明け前。時計は4:36を示している。

悲しい?自分からけしかけたことなのに?
淋しい?探すなと言ったのは自分なのに?
叩きつけたくなった。携帯じゃなく、自分の頭を。

正確には分からないが10分ほど、そのままボーッとしていた。ささくれ立った心の表面をどうにか収めようと、天井の小さな染みを数えた。
「…ぅん…」

寝返りを打つと肺が押されて思いがけず変な声が出た。数時間ぶりに聞いた自分の声が堪らなく恥ずかしく、腹立たしかったので完全に目が覚める。

これは妥協じゃない。譲歩だ。
と自分に言い聞かせながら、携帯を開いた。

『残り電池残量が僅かです。』
87kou:2009/07/14(火) 00:56:45 ID:???
『夜明けのスキャット』4

「やばっ」
ガバッと起き上がって目を懲らす。電池残量がもう数ミリしかない。
焦ってしまうと直情的になってしまうのは悪い癖で電話すればいいものを、時間のかかるメール画面を起動してしまう。なんと送ればいいのか、起きぬけの頭では考えもまとまらず機械的に入力画面に入る。

『ごめん』 違う
『来て』 どこに?
『帰る』 勝手にどうぞ
『大嫌い』 でしょうね

電話!
素早くメール画面を抜け、電話帳から碇を選ぶ。この作業はとても早かった。

プルル… プルル… プ… プチッ ピーピー…
『電池残量が足りません』

「最悪…」
と呟きかけたその時、映画館の外から聞き慣れた着メロが聞こえた。一瞬だけ。
重なった段ボールを跳ね退け、飛び出すように外へ出る。空は深い紫色。

ドアの横のエセレンガ作りの壁にもたれ掛かっている、Tシャツ姿の男。いや、男というには小さな影。
すやすやと、無理な体勢で寝息を立てる彼は、すぐそばにいる彼女の存在に気付いていない。
そっと彼の携帯を懐から取り出し、自分の着信履歴を消した。そのかわりメール画面に入り、短い文章を書き残して閉じる。そして、朝日が上りきるまでもう少し寝ていようと、ロビーに戻る。

『悪かったわね、バカシンジ。ありがとう』

夜は流れず星も消えない
愛の歌 響くだけ


終わりです。お目汚しサーセンでした。
88名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/14(火) 01:00:39 ID:???
おお、切ない感じが良かったよGJ!
89kou:2009/07/14(火) 01:13:16 ID:???
コピペ能力の乏しい携帯で書いたのでたいした推敲も出来ず落としてしまい、申し訳ないです。
破であの曲が使われていたのを聞いて、懐メロ繋がりで思い付きました。
Qからアスカ、幸せになれるといいですね。
90名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/14(火) 04:16:08 ID:???
GJ!
まだこんな実力のあるLAS書きさんが残ってるとは思いもしなかった。
91 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 04:30:41 ID:???
完成…
やったら設定のややこいLASが出来てしまいました。
たぶん中〜長編になりそう。
朝になったら投稿します。
92名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/14(火) 12:11:22 ID:???
>>87
良かったっすGJ!
ところで、シンジはどうやってアスカの居場所を見付けたんだろう……?ミサトにでも教えてもらったのかな

>>91
待ってます!
93 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:07:23 ID:6VGsqVWh
この惑星のはるか上空をとりまくように吹き荒れている暴風圏のすぐ下まで高高度観測気球で昇っていって、大気の観測機器をとりつけたプローブを空域に投入するのが、その日のぼくのシゴトだった。
これは確かに他の人がやりたがらないような危険な任務ではあったけれど、少しでも空に近づくことができれば僕は満足だったから、中央気象局のリツコさんから依頼が来たときもいつもみたいに二つ返事で了承した。
ぼくが危険なシゴトを引き受けるのは今に始まったことでもないんだけれど、周りの人に余計な心配はかけたくなかったからこのことはシゴトが終わるまで黙っているつもりだった。
それでも、今朝になってミサトさんに気づかれてしまった。気象局で上空の気象データを念入りにチェックしている姿を目撃されたのは大失敗だったと思う。
ミサトさんはもう諦め顔だったけれど、アスカはやっぱり烈火のごとく怒った。
ぼくの顔面に強烈な張り手を食らわせて、アンタみたいな馬鹿はしらない、いつか死んじゃえばいいんだって叫んで家を飛び出してしまった。
本当にごめんよアスカ。でも、よもやしくじるとは思っていなかったんだ。
今度の任務も今までどおり難なくこなして、ぼくらは当分の間苦労しないだけのお金を手に入れる。そのつもりだった。
たぶん、油断していたんだろう。我ながら本当に馬鹿なことをしたものだ。
自分が好奇心のあまり身を滅ぼすタイプだろうということは前々から自覚していたつもりだったんだけど、まさか今日がその日だとは思わなかった。
94 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:09:05 ID:???
# >>93続き 「空を知らない少年」

時は数十分さかのぼる。

午前八時三十二分、高度11000メートル。
ここまで上昇すると、上空を覆う暴風圏の赤茶げた雲をとおして、わずかながら光が届くようになる。
といっても、周囲がわずかながらぼんやりと明るくなる程度だ。ちなみに、下界は濃い闇の中に溶け込んでいて何も見えない。
もっと上昇することができればさらに明るくなるだろうし、暴風圏の分厚い雷雲を通り抜けることができさえすれば、かつてはこの世界の隅々まで照らしていた「太陽」すら拝めることだろう。
もっとも、最後の仮定が今の人間にとって不可能なことくらい嫌というほどわかっていた。
暴風圏が生きた人間の進入を許してくれる世界でないことくらい、子供だって知っている。
十五年前にセカンドインパクトが起こって以来、この雲の上に広がっているという「空」とやらを見た人間はひとりとしていない…

午後九時九分、高度13000メートル。
暴風が吹き荒れる危険空域まであとわずか1000メートルのところで「あらわし」を停船させた。
周囲の風速はすでに秒速30メートルをはるかに越えていて、「あらわし」は不安定な気流に煽られて常に上下左右へと大きく揺れている。
油断していると投げ出されそうなほどの揺れに、僕は操縦席に自分の身体を固定しているベルトをきつく締めた。
ただの高高度気球にすぎない「あらわし」がこの気流に吹き飛ばされないでいるのは、「あらわし」が第三新東京の気象観測所とたった数本の単分子ワイヤーで繋がれているからにすぎない。
このワイヤーは長さ1kmにつき数十グラムの重さしかないにも関わらず、恐るべき強度を誇る。
それだけではなく、ワイヤを通して地上と通信まで出来るのだ。まさにこの船の生命線だ。

「こちら『あらわし』、予定空域に到着しました。」
通信装置を通して地上に呼びかける。

〈ありがとうシンジ君、あなたに頼んでよかったわ。〉

地上管制が答えた。リツコさんの声だ。
赤城リツコさんはこの惑星の気象と分子生物学を専門に研究している、ちょっとミステリアスな感じのする白衣の研究者さんだ。
ミサトさんとは昔からの付き合いらしくて、冒険家の加持リョウジさんといっしょによくつるんでいたらしい。
95 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:09:58 ID:???
〈今日は大気が荒れ気味なのに、こんなに早く対流圏を突破できる気球乗りはなかなかいないわよ。シンジ君、あなた才能あるわね。〉

ぼくは、顔が勝手に赤くなるのを感じた。この気球が一人乗りで良かったと思う。

地上にいたころのぼくは、不器用で、人付き合いが苦手で、自分が人よりも優れているなんて夢にも思ったことはなかった。
そんな僕にもひとつだけ居場所が出来たんだ。大空を目指しているとき、たった独りであばれる気球と格闘しているとき、ぼくはぼくでいられる。
自分が生きていると心の底から実感できる。やりたいことをやっているだけなのに、人に認めてもらえる。
それだけに、リツコさんの言葉は嬉しかった。

「あ…ありがとうございました。でも…、でも、ぼくに気球の操り方を教えてくれた加持さんほどじゃないんです…」

ある日、風来坊のように第三新東京にふらりとやってきた加持さんと僕がいた時間は、今考えてみれば、ごくごく短い期間だった。
それでも、彼はぼくに空を飛ぶことを教えてくれた。
薄暗いジオフロントで生きることだけが人生じゃないことを教えてくれたのだ。
僕にとって彼の存在はあまりに大きかった。
そして、ある日突然、加持さんは空に消えた。まだ、教えてもらうことがたくさん残っていたのに。
この大空のどこかで、今でも元気に飛んでいると信じたい。
いつか彼が語っていたように、暴風圏のはるか上にあるという、青の世界を…

〈そうね…でも、いつか…あなたなら必ず彼を越えられるわ。〉

「…」

〈夢に真摯に生きる人は、その努力はかならず報われてしかるべきだもの。自信を持っていいわよ、シンジ君。〉

僕が、自分が、加持さんを超える日が来るとはとても信じられない。
それでも、彼に近づくことはできる。そう信じている。
96 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:11:33 ID:???
「はい… では、プローブを放出します。」

〈ええ、お願いね。2分間隔で9個ずつ放出して頂戴。6分程度で終わるわ。〉

「了解しました。」

「あらわし」の上部に四つある気嚢には缶ジュースの缶ほどの大きさの円筒形のプローブがそれぞれ九個つずつ設置されている。
このプローブは放出されるやいなや、上部から小さな気球を膨らませて暴風圏へと一直線に昇っていく。
そして、暴風圏内に突入すると風速や気温、気圧、正確な自身の位置などありとあらゆる気象データを収集して、地上に転送するというわけだ。
そう、前人未踏の地である暴風圏内部の気流の流れを正確に調べるのがリツコさんのホットな研究なのだ。
リツコさんの理論によれば、この惑星の上空を常に支配している暴風圏の内部は常に一定ではなく、その内部でも風が強かったり弱かったりする場所があるらしい。
一定条件下では安定した無風地帯すら発生するという。
その無風地帯を通れば…ひょっとしたら…暴風圏のその上へと、本当の大空へと、生きて抜けることができるかもしれない。
あくまで理論上は。
少なからぬ報酬が目当てというのもあるが、ぼくがリツコさんの研究を支援している理由のひとつがこれなのだ。
何年かかるかわからないが、これが僕の夢を叶える最短距離なのだ…恐らく。

「放出開始…」

「あらわし」の制御コンピューターにプローブを放出するコマンドを入力するとすぐに、窓の外を、風船の一群が赤茶げた雲に向かって上昇していく様子が見えた。
がんばれよ、と彼らにひっそりとエールを送る。
彼らが有益なデータを持ち帰ってくれればそれだけリツコさんの研究がはかどる。それだけ空が近くなる。

そう思いながら窓の外をぼうっと眺めていたそのとき、上空にあるはずものを見つけて、僕の目はそれに釘付けになった。
これまで来た時は、いつだって暴風圏の最下部には分厚くてのっぺりとした雲がかかっていて、それ以上の進入を強く阻んでいた。
それなのに、今では「あらわし」のすぐ上にある雲の一部に直径数百メートルほどの大穴が開いており、その大穴は雲を突き抜けてはるか上へと伸びているかのようだった。
それは信じられない光景だった。あんなにも人間を拒絶していた世界が、いま、ぼくの前で門を開こうとしている。
97 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:12:47 ID:???
瞬間、「あそこにいかなければ」という衝動と、「やめろ」と絶叫する理性がぼくの中でごちゃまぜになった。
だが、それはわずかしか続かなかった。

〈シンジ君、あれ…見ているかしら?〉
あんなにクールだったリツコさんの声が心なしか動揺している。

「はい。リツコさん、あそこに残りのプローブを放出してみます。」

〈そのためにはいくらか高度を上げなければいけないわ、危険です、とても許可できません。その場でプローブを全て放出してすぐに帰還しなさい。〉

「あと500メートルで構いません。必ず成功させてみせます。」
ぼくの手は既に操縦桿を握り締めていた。

〈シンジ君!危険です。やめなさい!〉
リツコさんの絶叫はもう僕にはとどいていなかった。

「あらわし」を翻弄する風は先ほどよりもはるかに強くなっていた。
雲にあいた穴のはるか奥底には強烈な稲光が四方八方へと飛び交っていて、まるでこの世の終わりを覗き込んでいるかのようだった。
たしかに…あの中に入ったら生きて帰ることなどできないだろう。
ぼくは暴れる機体を制御しつつ、レーダーや放出済みのプローブからの情報から周辺の気流を読み、目的地への最短距離を頭のなかではじき出した。

「いける…」
ぼくは自分に言い聞かせるようにつぶやいたが、その声は心なしか震えていたように思える。
機体と地上をつなぐワイヤに過度の負荷がかからないよう慎重にワイヤを伸展させ、「あらわし」を少しずつ雲穴に接近させる。
自身のカンと経験だけを頼りに、できるだけ風に逆らわないよう、それでいて吹き流されないように…
300メートルまでは順調に高度をあげることができた。

だが、あと200メートルまで接近したとき、巨人の腕で殴られたかのような衝撃が「あらわし」に襲いかかった。
後ろからの不意打ちに心の準備ができていなかったぼくは、座席から引き剥がされて、操縦席の前にあるモニタに頭をひどく叩きつけられた。
目の前に星が散った。
あやうく気を失いかけたがかろうじてのところで踏みとどまる。
98 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:16:09 ID:???
たぶん、落雷を受けたのだと思う。
キャビンの照明が激しく点滅し、ついには消えた。キャビンの中に電子回路が焼け焦げる匂いが充満し、一部の観測機器が派手に火花を上げるのが見えた。
衝撃にふらつきながらもプローブの放出コマンドを入力すると、小さな電子音とともに全てのプローブが失われたことがわかった。
プローブの群れは、放出されるやいなや周囲の強風にとらわれて、急にひゅっ、と加速するとものすごい勢いで穴の中に引きずりこまれて、消えた。
このままではお前もひきずりこまれるぞ、と本能が危険を告げた。
次の瞬間には緊急降下装置のボタンを拳で殴り付けている僕の姿があった。
「あらわし」を支える四つのヘリウム気嚢のうちふたつが切り離され、浮力を失った「あらわし」は急速に、はるか下の闇の中へと、第三
新東京へと降下していった。
プローブを飲み込んだ雲の大穴が、しだいに小さくなっていくのが見える。
「あらわし」は多少損傷したものの、生命維持システムには問題はないようだったし、地上でいくらか修理すればまた飛べることだろう。

とてつもなく危ない目にあったというのに、誰も見たことのないものを見た興奮のためか、恐怖は不思議なくらい感じなかった。

目標地点までは行けなかったものの、27個のプローブのうちいくつかはぼくの目論み通りに雲の穴に侵入し、その構成メカニズムを部分的
にでも解き明かしてくれることだろう。
これで、ぼくの任務は終わりだ。
さあ帰ろう。
早く帰って、きょう目撃したことをアスカやミサトさんに話そう。

「任務終了、帰還します」

<…シンジ君、あなたが命令を無視するような人だとは思わなかったわ。まるであの男そっくり>

<次、私の命令を無視したら損耗した気嚢の修理代をあなたに請求するわよ。わかってるの?>
…と、リツコさん。
声色こそ怒ってはいるが、実際には値千金のデータを手に入れることが出来て心の底から喜んでいるのが目に見えるようだ。
隠しているつもりでも、これだけはわかってしまう。
リツコさんもまた、僕と同じように、夢の中に生きる人なのだから。
99 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:17:23 ID:???
「ところで、プローブは…?」

<うち24個が雲穴に侵入、順調にデータを送信中よ。
本当に貴重なデータだわ。私のセカンドインパクト後の気象モデルはより完璧なものに近づくことでしょう。
あなたには…一応…お礼をいわなきゃいけないわね>

やっぱり。
ぼくは苦笑しながら、ほとんど無意識に、さっき打ち付けた額をさすった…

ぬるりとした嫌な感触があった。

あれ?

額に触れた手はどす黒い血に染まっていた。
あわてて下を見下ろす。
着ている操縦服は真っ赤で、少なからぬ血が滴り落ちているようだ。

そうか、ぼくは怪我をしたんだ。
おそらく、さっき頭をぶつけた時だ。
全然痛くもなんともないのに、血は滝のように流れ落ちている、へんな体験だ。

<シンジ君、どうしたの?>

すみませんリツコさん、ちょっと怪我してしまいました…

<シンジ君!?>

だから、すこし怪我しただけです…
だから心配しないで…

あれ、どうして声が出ないんだろう…あれ?
100 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:18:26 ID:???
いつのまにか、ぼくは冷たいキャビンの床に倒れていた。
なんとか操縦席に戻ろうともがいたが、ひざから崩れおれて駄目だった。
何か行動を起こすことすら億劫に感じる。
頭から流れおちた血が、床に小さな血だまりを作っていくのが横目に見えた。
ここで初めて、自分の怪我が「ちょっと」では無いことに気づいた。
どうも、額の皮膚を切っただけではないらしい。
「あらわし」と地上をつなぐワイヤを巻き戻すことで、この船は自動でも地表に帰りつくことができるが、たぶん間に合わないだろう。
恐怖はない。むしろ、死がこんなにあっけなく訪れることに驚く。

ぼくは、暴風圏をぬけることも、その上にある世界を見ることもなく死ぬ。
それだけが悔しくてならないけれど、やりたいことはやったのだから、これはその結果だ。
いや…とうの昔に父に捨てられ、母にも死なれたぼくには、自分の欲求に正直に生きることくらいしかできなかったのだ。
それくらいしか…

目の前が急速に暗くなって、意識がゆっくりと遠くなる。

その時、不意にひとりの女性の顔が浮かんだ。
どうしてだろう…ぼくはたった独りで生きてきたはずなのに。
このぼくが、死を目前にして誰かの顔を思い浮かべるとは思いもしなかった。
101 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:23:15 ID:???
アスカ…
人付き合いの苦手なぼくに、嫌な顔の一つくらいはしてたけど…いつでも付き合ってくれたのは君だけだった。
ぼくの、たった一人の友達と言える人だった。
わがままな君はいつもぼくを振り回していたけれど、不思議と悪い気分はしなかった。
それどころか、アスカと出会ってはじめて、空に上がらない日も悪くないなと思えるようになったんだ。
もう少し、あとほんの少し、君と一緒にいられたら僕は変われた…
…そんな予感がしていたのに。
わがままな僕でごめん。

最後の力を振り絞って、空を見上げる。
そして、ぼくは見た。確かに見た。
その空は、ぼくが知っているような、赤い毒々しい雲に覆われてなんていなくて…
その空を…青く、信じられないくらい澄み渡った空を…
鳥が…白い鳥が飛んでいる。

ぼくの意識は霧散した。
102 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/14(火) 15:30:56 ID:???
###
1話はこれで終わりです。
まだまだ続けたいですがまだ書いていません。
ごめんなさい、次の話では必ずアスカを出します。

スレ汚しスマソでした
103名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/14(火) 16:22:39 ID:???
なんぞこれww超楽しみなんだがww
GJ!次、待ってます!
104名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/14(火) 18:09:10 ID:???
GJ!
タフなシンジだなぁ
105名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/14(火) 20:11:27 ID:???
久々に胸が震えたわ!
106名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/15(水) 00:52:25 ID:???
この手のは、初期設定がどっかに行かないように纏めるのが難しいんだよなw
107名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/15(水) 00:56:27 ID:???
文章も達者でいらっしゃいますな
続きwktk
108円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/15(水) 03:18:42 ID:???
急に思いついたLAS投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry
109円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/15(水) 03:20:17 ID:???
【悪魔と天使の間に…】


「使徒と人間って、すごく近い存在なんだよね」
「はあ? 何よ、いきなり」

放課後。
アスカと連れ立ってミサトのマンションへの帰路を往くシンジ。
ふと。物憂げにシンジが、自身の抱える疑問を口に出したのは、そんな時だった。

「使徒って何なんだろ、って考えてて……」

朝の時点ではいつもと同じだったシンジが、今は随分とブルーになっていた。
先刻から相槌が不明瞭というか曖昧だったワケね……とアスカは理解する。
だから、あえて応えた。

「使徒は使徒。アタシ達の斃すべき敵! それ以上でもそれ以下でもないじゃない」

当たり前のコト聞かないでよ、と。
アスカは、さも当然の如く言ってのける。

「アタシ達はエヴァに乗って、使徒を斃してればそれでいいのよ。難しいコトは大人達に任せてれば」
「でも……いいのかなぁ、それで」

思考の迷宮にシンジは囚われる。
古人曰く「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」。
だがシンジは自分が戦っている敵の正体も、自分が乗っている兵器の正体も知らない。
ただ漠然と、父の手紙に導かれ、この街に来て、気がついたら戦いの渦中に居た。
110円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/15(水) 03:21:28 ID:???
「アスカってユーロ空軍のエースだったんでしょ。戦う時、敵に関する情報を事前に確認してなかったの?」
「うぐっ。痛いトコロを……」

意外な虚を突かれたらしく、アスカが微かな困惑の表情を浮かべる。

「……正直な話、アタシもよく知らないのよね。使徒については」
「なんだ、アスカも知らないんじゃないか」
「うっさいわね! アタシにだって、分からないコトくらい……ある、わよ」

末端のパイロットには公開されていない情報が、使徒にもエヴァにも多過ぎる。
ネルフという組織がどういうモノであるか。サードインパクトを引き起こす使徒とは何者なのか。
使徒を斃す為に作られたエヴァとは一体何か? 全ての使徒を殲滅した時、何が起こるのか。
シンジもアスカも、その実、全容を知り得ていなかった。

「第一、使徒って妙なカタチしたヤツ多いじゃない?
 アタシが日本に来る前にアンタと依怙贔屓が斃したっていう使徒とか……変形した、って話だし」
「うん。加粒子砲を撃つ時とか、ATフィールドを展開する時、変形してた」
「いくら99.89%、人間と構成パターンが同じだろうが、そんな芸当が出来る時点で“化け物”でしょ。
 共存の可能性0%ね。奴らを全て殲滅しない限り、どの道、人類に未来は無いわ」

サードインパクトが起きちゃ元も子もないでしょ! とアスカが鼻を鳴らす。
第六使徒との決戦前、ドグマの地下で見せてもらった白い巨人――――リリスと、使徒が接触するとサードインパクトが起こる。
シンジはミサトに、そう聞かされた。

「でも……そうね。アタシが使徒だったら、シンジはどうする?」
「アスカが、使徒?」
「例え話よ。本物のアタシはとっくに殺されてて、使徒がアタシに成り変わってるの。
 使徒だった頃の記憶も何もかも忘れて、自分が式波・アスカ・ラングレーだって、本気で思いこんでるとしたら……アンタ、どうする?」

黄昏刻。アスカの蒼い瞳が、シンジを射抜くように見開かれた。
111円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/15(水) 03:22:46 ID:???
「僕は……」
「アタシを殺す?」
「な、何言ってんだよ、アスカっ!?」

今までの落ち込み様が嘘のように、シンジは息巻く。
だが一向にアスカは気に留める様子もなく、言葉を続けた。

「碇司令が命令したら、どう?」

鞄を両手で持ったアスカが、一歩ずつ踏み出してシンジに迫る。
シンジの背後に待つのは、夕方になってやっと冷えてきた通学路の壁。

「……父さんが命令したって、殺さないよ。……殺せるワケないじゃないか」
「意気地なし。アタシが本当に使徒だったら、サードインパクトが起きて、みんな死ぬのに」
「そんなの……サードインパクトなんか、知らないよ! どんな理由があっても……僕に、アスカは殺せないよ……」

アスカの顔から僅かに視線を逸らして、シンジは苦虫を噛み潰したような顔で、自身の本心を吐露する。

「どうして? シンジはどうしてアタシを殺せないの?」
「それは……」
「何よ。それは、何?」

いよいよ、追い詰められた。
互いの唇の動きが手に取る様に分かる位置まで、2人の距離は縮まっていて。

「ア、アスカがっ!」
「アタシが?」
「僕にとって……アスカは、たっ、大切な人、なんだ……。アスカが使徒でも、僕には、そういうの無理なんだ……ごめん」

南無三とばかりに。シンジは所々痞えながらも、ハッキリと想いを口にする。
112円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/15(水) 03:23:58 ID:???
「ふぅん。アンタ、アタシのコト……そんな風に思ってたんだ」
「ダ、ダメかな」
「ダメね。全っ然ダメ!」

アンタ、馬鹿ぁ? と。途端に、アスカの態度は“いつもの彼女”に戻っていく。

「こっちは冗談のつもりだったのに。やめてよね、告白染みたコト……マジな顔して言うのは」
「う、嘘じゃないよ。アスカのコト……大切に思ってる……」
「会って、まだ少ししか経ってないのに?」
「いいじゃないか……。僕だって……誰かを好きになるし、大切にしたいって、思うよ……」

チラリとアスカが盗み見たシンジは。まるで捨てられた子犬のように不安の入り混じった顔をしていて。
ちょっとした心理テストの予定が、大幅に狂ってしまった事実をアスカに告げていた。
同時に、胸の甘い痛みも、別の事実を彼女に告げる。

「……ホントにおめでたい程のバカね。バカシンジ。バーカ、バーカ」
「う……」
「……でも」

キョロキョロと周囲を見回して、人目が無いことを確認すると。

「アンタがそこまで言うなら……“なってあげてもいい”わよ」
「え……何に?」
「い、言わせないでよっ! だ、だから……アンタの……シンジの、大切な人になってあげるのよ……このアタシがっ!」

“なってあげる”を強調しつつ、アスカはシンジの手を取った。指を絡め、束縛するように。鞄が地面に落ちても、気にする余裕すらない。

「その代わり……アンタも、アタシの大切な人に……してあげよっか……?」
113円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/15(水) 03:25:47 ID:???
***************

「誰かと手を繋ぐのって……なんか、いいよね」
「な、なんかって何よ? ヤラしいわね……」
「そういう意味じゃ……」

自分の手が、誰かを守る為の手であること。アスカを守る為の手であるという自信が、際限なく湧き出てくる。
ミサトのマンションまで残り数十メートルも無いが、ずっと繋いでいたい。そう思わせるに難くないアスカの手。

「……これ、朝はやらない方がいいわね」
「どうして? い、痛っ……」

シンジと絡めた指に少し力を込め、アスカは朱に染まった顔で暗にはにかみ、訴える。

「アンタ、馬鹿ぁ!? 恥ずかし過ぎるのよ、主にアタシがっ!」
「そ、そうなんだ……」
「放課後限定よ! あとミサトの前とか、リツコの前でもダメ! ……2人きりの時なら、いいけど」
「(諜報部の人も見てるだろうし、それって結局ミサトさんに報告されちゃうんじゃ……)」

せっかく互いの想いを分かち合えたというのに、障害は未だ多く。アスカとの恋愛が前途多難であることを思い知らせてくれる。

「……アスカとなら」
「アタシとなら?」
「……アスカが居てくれれば。僕は、ずっと……笑える気がするんだ」

アスカは僕が守るから。大切な人だから、僕が絶対に守らなきゃいけないんだ、と。シンジは強く、それでいて優しくアスカの手を握る。

「バカね、逆よ。……アタシが、アンタを守ってあげる」

アンタってば、アタシがついてないと全然ダメだもの、と。とびきりの笑顔で、アスカもシンジの手を強く握り返した。           【おわり】
114円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/15(水) 03:26:48 ID:???
タイトルは「帰ってきたウルトラマン」の31話から拝借
時系列的には「破」のエヴァ3号機起動実験のちょっと前くらいのパラレルってコトで
ばいちゃ
115名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/15(水) 03:52:38 ID:???
でかしたぞLAS書き人よ
また来いよー
116名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/15(水) 04:12:24 ID:???
よかった!乙
117名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/15(水) 07:51:10 ID:???
>>114
面白かったよ〜 

素ネタが解る俺からすれば使徒がちびっこに成り済ましてネルフに侵入して、シンジに『お前が私を殺す時がお前の最後だ』みたいな事を言って・・・ 
みたいな内容かと思ったよ
118名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/15(水) 07:59:33 ID:???
投下乙でした〜
119名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/15(水) 22:47:40 ID:???
ううっ
この後の3号機起動実験を考えるとせつない。
120名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/16(木) 04:26:52 ID:YFL8N4DM
age
121 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/16(木) 04:29:55 ID:???
>>93-101の日本語がおかしかった部分などを修正したものを再うpします。
ちょい読みやすくなったと思います。
続きの2話は今日か、明日のうちに出来る見込みです。

「空を知らない少年」@

この惑星のはるか上空をとりまくように吹き荒れている暴風圏のすぐ下まで観測気球で昇っていって、大気の観測機器をとりつけたプローブを空域に投入するのが、その日のぼくのシゴトだった。
これは確かに他の人がやりたがらないような任務ではあったけれど、少しでも空に近づくことができれば僕は満足だったから、中央気象局のリツコさんから依頼が来たときもいつもみたいに二つ返事で了承したんだ。
ぼくが危険なシゴトを引き受けるのは今に始まったことでもない。それでも、周りの人に余計な心配はかけたくなかったから、このことはシゴトが終わるまで黙っているつもりだった。
それでも、今朝になってミサトさんに気づかれてしまった。気象局で上空の気象データを念入りにチェックしている姿を目撃されたのは大失敗だったと思う。
ミサトさんはもう諦め顔だったけれど、アスカはやっぱり烈火のごとく怒った。
ぼくの顔面に強烈な張り手を食らわせて、アンタみたいな馬鹿はしらない、いつか死んじゃえばいいんだって叫んで家を飛び出してしまった。
本当にごめんよアスカ。でも、よもやしくじるとは思っていなかったんだ。
今度の任務も今までどおり難なくこなして、ぼくらは当分の間苦労しないだけのお金を手に入れる。そのつもりだった。
たぶん、油断していたんだろう。
自分が好奇心のあまり身を滅ぼすタイプだろうということは前々から自覚していたつもりだったんだけど、まさか今日がその日だとは思わなかった。
122名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/16(木) 04:32:21 ID:YFL8N4DM
時は数十分さかのぼる。

高度11000メートル。
ここまで上昇すると、上空を覆う暴風圏の赤茶げた雲をとおして、わずかながら光が届くようになる。
といっても、周囲が心なしかぼんやりと明るくなる程度だ。ちなみに、下界は濃い闇の中に溶け込んでいて何も見えない。
もっと上昇することができればさらに明るくなるだろうし、暴風圏の分厚い雷雲を通り抜けることができさえすれば、かつてはこの世界の隅々まで照らしていた「太陽」すら拝めることだろう。
もっとも、最後の仮定が今の時代の人間にとって不可能なことは嫌というほどわかっていた。
暴風圏が生きた人間の進入を許してくれる世界でないことくらい、子供だって知っていることだ。
十五年前にセカンドインパクトが起こって以来、この雲の上に広がっているという「空」とやらを見た人間はひとりとしていない…

高度13000メートル。
暴風が吹き荒れる危険空域まであとわずか1000メートルのところで「あらわし」を停船させた。
周囲の風速はすでに秒速30メートルをはるかに越えていて、「あらわし」は不安定な気流に煽られて常に上下左右へと大きく揺れている。

うかうかしていると投げ出されそうなほどの揺れに、僕は操縦席に自分の身体を固定しているベルトをきつく締めることで対抗する。
これも、大自然の猛威の前では気休めでしかないが…。

ただの高高度気球にすぎない「あらわし」がこの気流に吹き飛ばされないでいるのは、第三新東京の気象観測所とたった数本の単分子ワイヤーで繋がれているからにすぎない。
このワイヤーは長さ1kmにつき数十グラムの重さしかないにも関わらず、恐るべき強度を誇る。
それだけではなく、ワイヤを通して地上と通信まで出来るのだ。まさにこの船の生命線だ。

「こちら『あらわし』、予定空域に到着しました。」
通信装置を通して地上に呼びかける。

〈ありがとうシンジ君、あなたに頼んでよかったわ。〉

地上管制が答えた。リツコさんの声だ。
赤城リツコさんはこの惑星の気象と分子生物学を専門に研究している、ちょっとミステリアスな感じのする白衣の研究者さんだ。
ミサトさんとは学生時代からの付き合いらしくて、冒険家の加持リョウジさんと三人でよくつるんでいたらしい。
123名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/16(木) 04:33:58 ID:YFL8N4DM
〈今日は大気が荒れ気味なのに、こんなに早く対流圏を突破できる気球乗りはなかなかいないわよ。シンジ君、あなた才能あるわね。〉

ぼくは、顔が勝手に赤くなるのを感じた。この気球が一人乗りで良かったと思う。

地上にいたころのぼくは、不器用で、人付き合いが苦手で、自分が人よりも優れているなんて夢にも思ったことはなかった。
そんな僕にもひとつだけ居場所が出来たんだ。大空を目指しているとき、たった独りであばれる気球と格闘しているとき、ぼくはぼくでいられる。
自分が生きていると心の底から実感できる。やりたいことをやっているだけなのに、人に認めてもらえる。
それだけに、リツコさんの言葉は嬉しかった。

「あ…ありがとうございました。でも…、でも、ぼくに気球の操り方を教えてくれた加持さんほどじゃないんです…」

ある日、風来坊のように第三新東京にふらりとやってきた加持さんと僕がいた時間は、今考えてみれば、ごくごく短い期間だった。
それでも、彼はぼくに空を飛ぶことを教えてくれた。
薄暗いジオフロントで生きることだけが人生じゃないことを教えてくれたのだ。
僕にとって彼の存在はあまりに大きかった。
そして、ある日突然、加持さんは空に消えた。まだ、教えてもらうことがたくさん残っていたのに。
この大空のどこかで、今でも元気に飛んでいると信じたい。
いつか彼が語っていたように、暴風圏のはるか上にあるという、青の世界を…

〈そうね…でも、いつか…あなたなら必ず彼を越えられるわ。〉

「…」

〈夢に真摯に生きる人は、その努力はかならず報われてしかるべきだもの。自信を持っていいわよ、シンジ君。〉

僕が、自分が、あの加持さんを越える日が来るとはとても思えない。
それでも、少しでも彼に近づくことはできるんじゃないか。そう信じている。
124名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/16(木) 04:35:26 ID:YFL8N4DM
「はい… じゃあ、プローブを放出します。」

〈ええ、お願いね。2分間隔で9個ずつ放出して頂戴。6分程度で終わるわ。〉

「了解しました。」

「あらわし」の上部に四つある気嚢には缶ジュースの缶ほどの大きさの円筒形のプローブがそれぞれ九個つずつ設置されている。
このプローブは放出されるやいなや、上部から小さな気球を膨らませて暴風圏へと一直線に昇っていく。
そして、暴風圏内に突入すると風速や気温、気圧、正確な自身の位置などありとあらゆる気象データを収集して、地上に転送するというわ
けだ。
そう、前人未踏の地である暴風圏内部の気流の流れを正確に調べるのがリツコさんのホットな研究なのだ。
リツコさんの理論によれば、この惑星の上空を常に支配している暴風圏の内部は常に一定ではなく、その内部でも風が強かったり弱かったりする場所があるらしい。
一定条件下では安定した無風地帯すら発生するという。
その無風地帯を通れば…ひょっとしたら…暴風圏のその上へと、本当の大空へと、生きて抜けることができるかもしれない。
あくまで理論上は。
少なからぬ報酬が目当てというのもあるが、ぼくがリツコさんの研究を支援している理由のひとつがこれなのだ。
何年かかるかわからないが、これが僕の夢を叶える最短距離なのだ…恐らく。

「放出開始…」

「あらわし」の制御コンピューターにプローブを放出するコマンドを入力するとすぐに、窓の外を、風船の一群が赤茶げた雲に向かって上
昇していく様子が見えた。
がんばれよ、と彼らにひっそりとエールを送る。
彼らが有益なデータを持ち帰ってくれればそれだけリツコさんの研究がはかどる。それだけ空が近くなる。

そう思いながら窓の外をぼうっと眺めていたそのとき、僕の眼は上空に、あるはずのないものを見つけた。
これまで来た時は、いつだって暴風圏の最下部には分厚くてのっぺりとした雲がかかっていて、それ以上の人間の進入を強く阻んでいた。

それなのに、今では「あらわし」のすぐ上にある雲の一部に直径数百メートルほどの大穴が開いており、切れ切れになった雲のカケラがもの凄い勢いで穴の周辺を回転していた。
その大穴は下部境界面の雲を突き抜けて、暴風圏の奥深く、はるか上へと伸びているようだった。
125 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/16(木) 04:44:51 ID:???

それは信じられない光景だった。あんなにも強く人間を拒絶していた世界の門が、いま、ぼくの前で開こうとしている。

瞬間、「あそこにいかなければ」という衝動と、「やめろ」と絶叫する理性がぼくの中でごちゃまぜになった。
だが、それはわずかしか続かなかった。

〈シンジ君、あれ…見ているかしら?〉
あんなにクールだったリツコさんの声が心なしか動揺している。

「はい。リツコさん、あそこに残りのプローブを放出してみます。」

〈そのためにはいくらか高度を上げなければいけないわ>

「僕ならできます。まかせてください」

<危険です、とても許可できません。その場でプローブを全て放出してすぐに帰還しなさい。〉

「あと500メートルで構いません。必ず成功させてみせます。」

ぼくの手は既に操縦桿を握り締めていた。

〈シンジ君!やめなさい!〉

リツコさんの絶叫はもう僕にはとどいていなかった。
「あらわし」を翻弄する風は先ほどよりもはるかに強くなっていた。
雲にあいた穴のはるか奥底には強烈な稲光が四方八方へと飛び交っていて、まるでこの世の終わりを覗き込んでいるかのようだった。
たしかに…あの中に入ったら生きて帰ることなどできないだろう。
ぼくは暴れる機体を制御しつつ、レーダーや放出済みのプローブからの情報から周辺の気流を読み、目的地への最短距離を頭のなかではじき出した。
126 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/16(木) 04:46:27 ID:???
「いける…」

ぼくは自分に言い聞かせるようにつぶやいたが、その声は震えていたように思える。
機体と地上をつなぐワイヤに過度の負荷がかからないよう慎重にワイヤを伸展させ、「あらわし」を少しずつ雲穴に接近させる。
自身のカンと経験だけを頼りに、できるだけ風に逆らわないよう、それでいて吹き流されないように…
300メートルまでは順調に高度をあげることができた。

だが、あと200メートルまで接近したとき、窓の外が強烈な白光に包まれたかと思うと、巨人の腕で殴られたかのようなすさまじい衝撃が「あらわし」に襲いかかった。
後ろからの不意打ちに心の準備ができていなかったぼくは、座席から引き剥がされて、操縦席の前面に設置されているレーダーモニタの角に頭をひどく叩きつけてしまった。
目の前に星が散った。
あやうく気を失いかけたがかろうじてのところで踏みとどまる。
ここで失神すれば、死ぬ。
127 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/16(木) 04:50:49 ID:???
たぶん、落雷をもろに受けたのだと思う。
境界面の雲は、ひどく帯電している場合があるから…
照明が激しく点滅し、ついには消えた。キャビンの中に電子回路が焼け焦げる匂いが充満し、一部の観測機器が派手に火花を上げるのが見えた。
衝撃にふらつきながらもプローブの放出コマンドを入力すると、小さな電子音とともに全てのプローブが失われたことがわかった。
プローブの群れは、放出されるやいなや周囲の強風にとらわれて、急にひゅっ、と加速するとものすごい勢いで穴の中に引きずりこまれて、消えた。
このままではお前もひきずりこまれるぞ、と本能が危険を告げ、次の瞬間には緊急降下装置のボタンを拳で殴り付けている僕の姿があった

「あらわし」を支える四つのヘリウム気嚢のうちふたつが切り離され、浮力を失った「あらわし」は急速に、はるか下の闇の中へと、人間の住むべき世界である第三新東京へと降下していった。
プローブを飲み込んだ雲の大穴がしだいに遠ざかって、小さくなっていくのが見える。
「あらわし」は落雷により電子機器の一部を損傷したものの、うまく防御回路が作動してくれたおかげで生命維持システムにも操縦系統にも問題はないようだった。
緊急時とはいえ気嚢を捨ててしまったのは痛かったが、地上で修理すればまた飛べることだろう。

とんでもなく危ない目にあったというのに、世界の秘密をほんの少しでも垣間見ることができた興奮のためか、恐怖は不思議なくらい感じなかった。
128 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/16(木) 04:51:33 ID:???
目標地点までは行けなかったけれど、27個のプローブのうちいくつかはぼくの目論み通りに雲の穴に侵入し、その構成メカニズムを部分的にでも解き明かしてくれることだろう。
これで、ぼくの役目は終わりだ。
さあ帰ろう。
早く帰って、きょう目撃したことをアスカやミサトさんに話そう。
ぼくが当分の間は空に昇らないと聞けば、きっと喜んでくれるはずさ。

「任務終了、帰還します」

しばらくの沈黙ののち…

<…シンジ君、あなたが命令を無視するような人だとは思わなかったわ。まるであの男そっくりね>

<次、私の命令を聞かなかったら損耗した気嚢の修理代をあなたに請求するわよ。わかってるの?>

…と、リツコさん。
声色こそ怒ってはいるが、実際には値千金のデータを手に入れることが出来て心の底から喜んでいるのが目に見えるようだ。
隠しているつもりでも、これだけはわかってしまう。
リツコさんもまた、僕と同じように、夢の中に生きる人だからだ。

「ところで、プローブは…?」

<うち24個が雲穴に侵入、順調にデータを送信中よ。
本当に貴重なデータだわ。私のセカンドインパクト後の気象モデルはより完璧なものに近づくことでしょう。
あなたには…一応…お礼をいわなきゃいけないわね>

やっぱり。
ぼくは苦笑しながら、ほとんど無意識に、さっき打ち付けた額をさすった…
129 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/16(木) 04:52:59 ID:???
ぬるりとした嫌な感触があった。

あれ?

額に触れた手はどす黒い血に染まっていた。
あわてて下を見下ろす。
着ている操縦服は真っ赤で、少なからぬ血が滴り落ちているようだ。

そうか、ぼくは怪我をしたんだ。
おそらく、さっき頭をぶつけた時だ。
全然痛くもなんともないのに、血は滝のように流れ落ちている、へんな体験だ。

<シンジ君、どうしたの?>

すみませんリツコさん、ちょっと怪我してしまいました…

<シンジ君!?>

だから、すこし怪我しただけです…
だから心配しないで…

あれ、どうして声が出ないんだろう…あれ?

いつのまにか、ぼくは冷たいキャビンの床に倒れていた。
なんとか操縦席に戻ろうともがいたが、ひざから崩れおれて駄目だった。
何か行動を起こすことすら億劫に感じる。
頭から流れおちた血が、床に小さな血だまりを作っていくのが横目に見えた。
どうも、額の皮膚を切っただけではないらしい…
ここで初めて、自分の怪我が「ちょっと」では無いことに気づいた。
「あらわし」と地上をつなぐワイヤを巻き戻すことで、この船は自動でも地表に帰りつくことができるが、たぶん間に合わないだろう。
恐怖はない。むしろ、死がこんなにあっけなく訪れることに驚く。
130 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/16(木) 05:00:59 ID:???
ぼくは、暴風圏をぬけることも、その上にある世界を見ることもなく死ぬんだ。
それだけが悔しくてならないけれど、やりたいことはやったのだから、これはその結果だ。
いや…とうの昔に父に捨てられ、母にも死なれたぼくには、自分の欲求に正直に生きることくらいしかできなかったのだ。
それくらいしか…

目の前が急速に暗くなって、意識がゆっくりと遠くなる。

その時、不意にひとりの少女の顔が浮かんだ。
どうしてだろう…ぼくはたった独りで生きてきたはずなのに。
このぼくが、死を目前にして誰かの顔を思い浮かべるとは思いもしなかった。

アスカ…
人付き合いの苦手なぼくに、嫌な顔の一つくらいはしてたけど…いつでも付き合ってくれたのは君だけだった。
ぼくの、たった一人の友達と言える人だった。
わがままな君はいつもぼくを振り回していたけれど、不思議と悪い気分はしなかった。
それどころか、アスカと出会ってはじめて、空に上がらない日も悪くないなと思えるようになったんだ。
もう少し、あとほんの少し、君と一緒にいられたら僕は変われた…
…そんな予感がしていたのに。
わがままな僕でごめん。

最後の力を振り絞って、上を仰ぎ見る。
そして、ぼくは見た。確かに見た。
空は、ぼくが知っているような、赤い毒々しい雲に覆われてなんていなくて…
まるで、果てしのない深淵を覗き込んでいるかのような深い青だった。
そんなはずはない、ぼくが見上げているのはキャビンの無機質な天井のはずなのだから。
でも、これがただの幻影だったとしても構わないと思った。これこそが僕が見たかった色だったのだから。
そして、その空を、一羽の鳥が飛んでいた。
鳥が空を舞う姿なんて生まれてから一度だって見たことはないのだけど、たしかにそれは鳥だと思った。
何に囚われることもなく、自由気ままに空を舞う白い鳥だ。

ぼくは、必死にその影に手を伸ばそうとして…
ぼくの意識は霧散した。
131名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/16(木) 11:46:46 ID:???
イイヨー続き町!
132名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/16(木) 18:44:24 ID:???
>>14の人まじパネェっす!!泣きました。キュン死っす。うぅ…今日の日はさようならがトラウマ確定だ。
133円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/17(金) 02:20:29 ID:???
また急に思いついたLAS投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry
134円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/17(金) 02:21:31 ID:???
【空の 贈り物】


ある晴れた昼下がりに。

「あーあ。暇ね……」

第三新東京市第一中学校の屋上にて、寛ぐ女子生徒が一人。
最近転入して来たばかりの少女、式波・アスカ・ラングレーだった。

「シンクロテストも無いし、あれっきり使徒も攻めて来ないし……」

雲間から零れる日差しにも慣れてしまったのか、暑さも気にせず彼女は携帯ゲームを続けていた。
無論、本来ならば学校にゲーム機器を持ち込んだ時点で没収対象となるのだが、彼女が街を守る決戦兵器の
パイロットであることを考慮してか、咎める教師など居るはずも無く。

「なんか……面白いコト、ないかな」

新天地で生活を開始して、早数週間。日本は使徒との激戦地と聞いてはいたが、ここのところは暇を持て余すばかり。
第8の使徒との会敵では苦戦を強いられたが、今度はそうはいかない。
次こそはとリベンジを誓ったアスカだったが、肝心の使徒が攻めて来ないのだから、どうしようもなかった。

「ん……?」

特に思い当たることもなかったのだが、何の気なしに空を見上げると、

「ちょっとぉ! どいて、どいて、どいて――――――――――――――――――っ!!!!」
「え……な、何っ!?」

青い空から少女が、降って来た。
135円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/17(金) 02:22:22 ID:???
「きゃああああっ!? ……いったぁぁぁいっ!!」

パラシュートで降下してきた少女が「どいてー!」とアスカに促した時には、もう手遅れで。
さすがに起き上って回避する暇などなく、降下する少女は、アスカに受け止められるような姿勢で“緊急着地”に成功する。
クッション代わりにされ、コンクリートの床に背中を叩きつけられたアスカは堪らない。

「もうっ! 何よ、何よ、何なのよぉっ!?」

受け止めた、と言うよりは、押し潰された、という表現が正しいだろうか。
チカチカする目を必死に抉じ開けて顔を上げると、空から降って来た少女の豊満な胸が、アスカの目に飛び込んでくる。
ちょうど谷間に該当する部分に、アスカの顔が“挟まれている”のだ。

「(ア……アタシよりも、おっきい……!?)」

などと考えたのは僅かな間。
即座に少女の谷間から顔を離して、アスカは空から体当たりを見舞ってくれた無礼な相手を見やった。
アスカと同年代の、それでいて異国の情緒を思わせる髪と瞳の色をした少女だった。

「いてて……アレ? メガネ、メガネ……」

しかし少女はアスカをさほど気にする様子も見せず、パラシュートを切り離すと同時に
アスカの身体から離れ、何事か呟きながら周囲の床に膝を突き、両手でペタペタと探しモノに興じ始めた。

「ちょっとアンタっ! 何なのよ、一体っ!? ……聞いてんの!?」

アスカの怒声など何処吹く風、と言わんばかりに。
少女は黒いニーソックスに包まれた両脚と、チェックのミニスカートで覆われた丸いヒップを惜し気も無く
見せつけながら、探しモノを続けるのだった。同性ながら、厭に扇情的な光景だと、アスカは密かに思う。

「(……変な女!)」
136円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/17(金) 02:23:40 ID:???
「あ。あったあった♪」

ようやく探しモノが見つかったらしく、少女はソレを拾い上げた。赤いフレームのメガネだった。
両耳にかけると、少女の視線がアスカに注がれた。
と、不意に電子音が屋上に鳴り響いた。アスカのゲーム機でも携帯でも無い。眼前の少女から、音は聞こえる。

「はい。こちらマリ。うん、風に流されちゃって」
「(……英語?)」

空から降って来た少女改め、メガネの少女の口から紡がれた日本語ではない異国の言語に
同じく異国育ちのアスカは敏感に反応する。訛りからして、自分と同じユーロ圏の出身だろうか。

「何処かの学校か何かみたい。えー? だって極秘入国しろって話だったじゃない。
 うん、うん。そっちはそっちで話つけて。ピックアップよろしく。うん、それじゃ」
「(極秘入国……? 何言ってんのかしら、この子)」

確かに、そう言った。他国のスパイだろうか。
ネルフやその上層組織であるゼーレ、エヴァの運用を快く思わない諸外国の秘密組織は多い。
アスカ自身のように年端のいかない少女がユーロ空軍に属している以上、子供が組織の尖兵たるスパイとして教育されるケースは多々ある。
……まあ、こんなドジをやらかすような少女が秘密組織のスパイとは到底思えないが。

「さて、と」

通信機を切り、いよいよメガネの少女がアスカの方を向く。
少女が何者かは現時点では不明だが、万が一本当に他国からのスパイだとしたら厄介だ。
アスカもユーロ空軍のエースの名に恥じぬ格闘技術の持ち主ではあるが、相手の実力は未知数。おまけにこちらは武器も所持していない。
メガネの少女がナイフもしくは銃などで武装していた場合、いかにアスカでも無傷で彼女を組み伏せるコトは難しいだろう。

「(保安部は何やってんのよ、もぉ〜〜〜〜っ!?)」

常夏の日差しとは別の、嫌な汗がアスカの頬を伝う。
137名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/17(金) 02:23:55 ID:???
wktk保守
138円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/17(金) 02:24:50 ID:???
「貴女……いい匂いがする。LCLの匂い?」
「――――――っ!?」

身構える余裕すら無かった。呆気に取られるがまま、アスカは拍子抜けした声を洩らす。
容易くメガネの少女はアスカの間合いに踏み込むと、まるで十年来の友人のように顔を近づけてくる。
この距離ならば、メガネの少女は容易くアスカの唇を奪える……それくらいの超至近距離。
加えて言及すれば、ナイフもしくは銃で攻撃された場合、致命傷は免れない距離でもあった。

「ふぅん。……貴女、面白いね」

メガネの少女の吐息と鼻からの呼吸音がアスカの首筋や制服にかかっていたのは、ほんの数秒のこと。
ひとしきりアスカの体臭をクンクンと嗅ぎ終わると、何事も無かったかのようにメガネの少女はアスカから離れた。
生きた心地がしないのはアスカである。油断していたとは言え、見ず知らずの他人(それも通信機で極秘入国を仄めかす様な得体の知れない相手)に
ここまでの接近を許したのは、生まれて初めてだったからだ。

「はい、これ」

そう言うと、メガネの少女はアスカにゲーム機―――――――ワンダースワンを手渡した。
少女との激突時、アスカが床に放り出してしまったせいか、起動中だった画面は真っ黒だ。

「壊れてたら、弁償したげる。いつかね」

無心のままゲーム機を受け取ったアスカの頭を、少女は数回優しく撫でると、

「じゃ、このコトは他言無用で! ネルフの子猫ちゃん」

パラシュートをズルズルと引き摺り、トントンと階段を下る音を響かせながら、屋上から姿を消した。

「……子猫ちゃん?」
139円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/17(金) 02:26:02 ID:???
*********


「ってコトがあったのよね、今日」
「アスカ……他言無用って言われたのに、僕に喋っちゃってるし……」

ミサトのマンションへの帰宅後。
アスカは今日出会った少女のコトを、一部始終シンジに話していた。
ちょうど夕食時なのだが、ミサトは帰りが遅いようで、食卓には着いていない。

「LCLのコトも知ってたんだ、その人。……ミサトさんに報告した方がいいんじゃないの?」
「かもね。でも、どーせ保安部が報告してるでしょ。アタシらの護衛と監視が仕事なんだし」
「あ、そっか」

それもそうだね、とシンジが頷く。

「全く! 変な女だったわ……空から降って来るなんて、ヒジョーシキもいい所よっ!!」

未だにメガネの少女に押し倒された背中が痛むのか、時折アスカは背中を擦っていた。
幸いゲーム機の方は無事だったものの、ソフトのデータはパーになったと、憤ったのはつい先刻のことだ。

「でもさ」

アスカを宥める様に、口に運んでいたカレーを飲み込んだシンジが呟く。

「アスカだって、空から降って来たじゃない」
「はぁっ?」

ほら、第7使徒が攻めてきた時にさ、とシンジは語る。
確かにシンジの言う通り、アスカは輸送中のエヴァ2号機と共に“空から降って来た”経験が、あった。
140円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/17(金) 02:27:19 ID:???
「アンタ馬鹿ぁ!? あのメガネ女みたく、アタシも変なヤツだってぇのっ!?」
「ち、違うよっ! そうじゃなくて……その……」

バンとテーブルに手を叩きつけて迫るアスカに、シンジは口籠る素振りを見せる。
しかし、彼女の機嫌を元に戻すことが最優先であると自覚し、言葉を続けた。

「何て言うかさ……すごく、綺麗だったんだ」
「綺麗……?」

今にもシンジに掴みかからんといった勢いだったアスカだが、寸前で落ち着きを取り戻した。
ゆっくりと姿勢を正すと、隣でスプーンを持ったまま硬直するシンジの声に、耳を傾ける。

「あの時の……空から降って来た2号機は、すごく綺麗だった……から」
「ま、まあ……そうよね。何たってアタシの2号機は、正式タイプの本物のエヴァンゲリオンだもん」
「うん……。使徒が攻めてる最中なのに、何でそんなコト思ったのか、僕にも分からないけど……」
「人は美しいものを見ると状況とか考えず、素直に感動しちゃうものなのよ。バカシンジのクセに、美的センスは備わってるようね!」
「ど、どうも……」

アスカの力説に、つい頷いてしまうシンジ。最早彼女が「黒」と言えば、「白」でさえ「黒」と答えてしまいそうだ。

「あ、あと……」
「?」
「2号機から、降りて来たアスカも……」
「アタシが……何よ?」
「……すごく、綺麗だった」
「! ……え?」

ドキン、とアスカの胸が高鳴る。
頭の中で何度もシンジの「綺麗だった」という言葉を反芻し、理解することに努めた。
次第に鼓動が速くなり、体温が上がって、息苦しくなってくる。
141円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/17(金) 02:28:29 ID:???
「な、何よ。今になって、そんな御世辞言われたって……」
「御世辞じゃないよ! ホ、ホントに……綺麗な子だな、って……思ったから」

真っ赤に染まった顔を見られまいとシンジから目を逸らすアスカ。
一方でシンジも、アスカから視線を外されないようにと食い下がる。

「アスカは……すごく綺麗だよ。か、可愛いし……強いし……」
「あ……う……」

アスカがシンジに迫られる番が、来た。
ゾクゾクと全身の産毛という産毛が総毛立ち、クーラーを効かせているはずなのに馬鹿に暑く感じる。
昼同様、あのメガネの少女に容易く接近を許したように、今度はシンジの接近を許してしまう。

「アスカと一緒なら……多分、これからも僕は……たっ、戦えると思うから!」
「シンジ……」

ギュッと手を握られ、アスカは返す言葉が思い浮かばぬ程に狼狽する。
いや、飽くまで態度では最小限に留め、心の中では縦横無尽にシンジへの想いが駆け巡っていた。
親の七光でエヴァのパイロットに選ばれただけと思いきや、ここぞと言う時には皆を守ろうと孤軍奮闘する少年。
何処か儚げで、自分の一定の領域には他人を入れたがらない、それでいて他者に理解してもらおうと必死に足掻く。
……シンジが自分にそっくりなコトにアスカが気づいたのは、いつ頃からだろうか。

「……ねぇ。アンタ―――――アタシのコト、好き?」
「えっ!? ……す、好きだよ」
「もっとハッキリ言って! じゃないと……アタシ、何も答えないわよ」
「ア、アスカが好きだっ! 父さんよりも……母さんよりも……ミサトさんよりも……綾波よりも……僕は、アスカが好きだから……」
「……そ。アタシもアンタのコト、好きよ……ちょっとだけ、ね」

照れ隠しに笑うと、アスカは腕を伸ばし、シンジを抱き寄せた。薄いシャツの布越しに、アスカの軟らかい双つの胸の感触が伝わってくる。
メガネの少女が言っていたというLCLの匂いはしなかったが、アスカの蕩けるような甘い匂いだけは、ハッキリとシンジの鼻腔を擽っていた。    【終劇】
142円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/17(金) 02:29:20 ID:???
タイトルは「ウルトラマン」の34話から拝借
時系列的には「破」の第8使徒戦〜4号機消滅の間くらいのパラレルで
ばいちゃ
143名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/17(金) 02:42:00 ID:???
>>142
俺お前の書く話好きだわ
144名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/17(金) 03:24:50 ID:???
>>142
GJ!
愛してるわ
145名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/17(金) 07:22:19 ID:???
GJです。文章も好み
146名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/17(金) 09:47:39 ID:???
>>142
GJ!
147名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/17(金) 12:18:31 ID:???
GJ!
うまいぞ
148名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/17(金) 21:32:43 ID:???
GJ
最初はマリと遭遇するのがアスカに代わったという
話と思いきや・・その後のLASへのつなぎが絶妙!
ご馳走様です。
149 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/18(土) 01:40:19 ID:???
>>121-130つづき
「空を知らない少年」A

バカシンジを張り倒したのは何時間も前のことなのに、私の右手は私自身の不器用さを責めるように、いまだにしくしくと痛んでいた。
シンジをひっぱたくのはこれがはじめてというわけでもないけれど、こういう時はいつでも、心まで痛む。
でも、今朝ほど強くあいつをひっぱたいたのは、たぶんはじめてだ。
その挙句、私があいつにぶつけた言葉…

「もう、アンタみたいな馬鹿は知らない。好きにすればいい。いつか死んじゃえばいいんだ。」

シンジは、怒ってもよかった。
許されないことを言ったあたしを逆にひっぱたいてもよかった。
むしろ、そうしてくれたら…

でも、シンジは引っぱたかれた頬に手をあてて、悲しそうな目をした…
ただ、それだけだった。
そうだ、忘れてた。シンジは私にどんなにひどい扱いを受けても、決して文句の一つも言わない。
そのかわり、あいつは自分を責める。
あいつは悪くも何ともないのに。ただ、自分の行きたい所に行こうとしただけなのに。
もう、あいつの悲しみに満ちた黒い目を見ていられなくて、私はアパートメントを飛び出した。
しばらく走ってから、立ち止まって振り返ったけれど、誰も追いかけてはこなかった。

どうして私は、いつもこうなんだろう。自分の気持ちを伝える、ただそれだけのことができないんだろう。

行かないで。
私を独りにしないで。

私が言いたかったのはたったこれだけなのに。
あのとき、この言葉が言えていたら、あるいは…
150 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/18(土) 01:43:39 ID:???
いま、シンジは昏々と眠り続けている。
薄暗くて殺風景な病室に、医療機器の単調な電子音だけがむなしく響いている。
これまで彼の寝顔をこっそり覗き見するのは好きだったけれど、額を包帯でぐるぐる巻きにされたいまの彼の姿は痛々しくて見ていられない。
シンジがネルフ総合病院に運び込まれて、大きな手術を受けたのが昼前で、今はもう真夜中過ぎだ。
命の危険は過ぎ去ったが、この怪我で後遺症が残るかどうかは彼が目覚めて検査をしてみないとわからないと医者は言っていた。

これは、罰なんだ。
わがままで人を傷つけてばかりのあたしに神様が罰を与えたんだ。
でも、謝るから。あたしが悪かったならいくらでも謝るから。
生活がちょっとくらい苦しかったって文句は言わない。
あんたが空にのぼらなくったって済むように、あたしだって頑張って働いてみせるから。

「だから…はやく…起きてよ…バカ…シンジ…」
声を上げて泣きそうになるのを、必死でこらえる。

そのとき、病室のドアが開いて誰かが入ってきた。いっぱいにふくらんだ紙袋を両手に下げたミサトだ。
生活態度こそだらしないけれど、シンジが怪我した時にまっさきに駆けつけた私たちの同居人。

「ミサト…?」

私はミサトに背をむけたまま、そっと目尻をぬぐった。

「こんばんはーアスカ。ちょーっち持ってくるものがあってね。
シンちゃんの着替えとか、いろいろ。長期戦になりそうだしね。」

ミサトは持ってきた紙袋をシンジのベッドの脇にドンと置くと、その中からピンクの弁当箱を取り出した。
普段、私が学校で使っている弁当箱だ。

「それ、何?」
「あなた朝から何も食べて無いんでしょう?食べなさい」
151 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/18(土) 01:44:37 ID:???
そうだ。そういえばそうだった。でも、何かを食べようなんて気分じゃなかった。
いまの私は、食欲とか、人間の基本的な欲求のどれもとも縁がないような気がした。

「ごめんねミサト…でも、あたし、あんまりお腹減ってない」
「いーからいーから。あなたも、しっかり食べて、体力つけないと。」

ミサトにやさしく諭されて、しぶしぶ箱をあけると、中には不恰好なサンドイッチがぎっしり詰まっていた。
いくつか形象崩壊しているものまである。
どう見ても上手な人が作ったものじゃないけれど…でも、いい匂いがする。
これ、放っておけば三食レトルトで済ますような、あのミサトが作ってくれたんだ。

私がまじまじとミサトを見つめていると、ミサトは恥ずかしそうに頭をかきながら言った。

「ごめんねーアスカ。あたし、こーいうの苦手というか… ネルフから帰ってきて、急いで作ったっていうのもあるんだけど」

食べよう。ミサトのために。
いくつ食べれるかはわからないけれど。

それにしてもこのサンド、トマトとか卵とか炒めた合成肉とか、ありとあらゆる具を小さな食パンではさんでいるから、ものすごく分厚くい。
うっかりしてると壊れてしまいそうなくらい不安定なサンドだ。
ミサト…あんまり考えて作ってないわね…
ひとつ、それほど形の崩れていないのをつまんで、かぶりつく。
炒めた卵のかけらが少し膝の上にこぼれたけど、仕方ない。

味は薄い…でも…
ミサトの手作りサンドイッチは、何の抵抗もなくあたしのお腹の中におさまった。

「どう?どうだった?」
ミサトが私の顔を覗き込んでくる。

「おいしい…バカシンジのほどじゃないけど」
152 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/18(土) 01:45:23 ID:???
私がそういったとたん、ミサトはとても嬉しそうな顔をした。

「でしょう!わたし、正直、自分がここまでやれるなんて思ってもいなかったわ。
シンちゃんが復帰するまで、わたしが毎日アスカのお弁当を作ってあげようかしら?」
「別にいい。ミサトが作ったらどんなのが出来るかわかんないから」
「そんなこと言わないでよー」

ミサトはむくれた。

そっか。ミサトも辛いはずなのに、わたしを少しでも元気付けようと必死なんだ。
自分のことをここまで気にしてくれる人が、そばにいる。
ミサトが言う家族というコトバの意味が、すこし分かったような気がした。
ミサトが来なかったら、私、耐えられなかったな。
そう思いながら、一つ目をたいらげた私は二つ目に手を伸ばして…
とったサンドに涙が一粒、ぽとりと落ちた。

あれ、私、どうしてこんなことで泣いているんだろう。
いやだ、こんな情けないところミサトに見せられない。
でも、こぼれだした涙も、わきあがる感情も、もう私の意志ではどうにもならなくて。
私は、眠り続けるシンジのそばで、声を上げて泣いた。
153 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/18(土) 01:46:23 ID:???
しゃくりあげる私を、ミサトが後ろから包み込むように、やさしく抱きしめてくれた。
ミサトの体温があたたかい。

悪いのはあたしなの。あたしが素直じゃないから…

「いいえ、あなたはどこも悪くはないわ。
だって、シンちゃんに振り返ってもらいたかっただけなんでしょう?」

シンジ、助かるかな。もし目を覚まさなかったら…

「シンちゃんはね、ああみえてもとてもタフな男の子なの。
だから、必ず、戻ってきてくれるわ。」

本当に?

「ええ。その時こそ、あなたは自分の気持ちを伝えなさい。」

うん…

「それにしても、シンちゃんも罪づくりな男よね。振り返ってもらいたい女の気持ちもわからないで…
何かに憧れた男って、どうしようもないわよね」
ミサトは悲しげに笑った。
「だけど、だからこそ、あなたたちには幸せになってほしいの。それは、私に出来なかったことだから」

ミサトは、私が泣きつかれて眠るまで、ずっと私を見守ってくれたと思う。
私はシンジのベッドの横の長いすで、ミサトの膝を枕に眠った。

明日が、今日よりいい日になればいいな…
154 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/18(土) 01:47:56 ID:???
####
2話はこれで終わりです。3話はまだ書いてませんけど暇があったら書きたいです。
スレ汚しスマソでした。
初LASは難しいなあ…
155名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/18(土) 02:03:42 ID:???
ぐっしょぶです。健気なアスカですねミサトも優しくていいなぁ
156円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/18(土) 03:18:18 ID:???
>>143-148
ありがと
読んでる人の脳内で緒方女史やみやむーの声が再生されるよう、セリフに注意してみた
また思いついたら土日に何か書くヨ
他の人もガンバレ
157 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/18(土) 03:41:21 ID:???
>>155
どうもです。

円谷さんもがんばれー
楽しく読ませてもらってます。
158 ◆7bmU7xwlbc :2009/07/18(土) 18:06:20 ID:???
いま投稿している作品、元々SF板に落とすつもりだった小説ネタを色々いじってLASに転用しています。
ゆえに世界観から何もかも違いますし、原作関連の用語は登場しても意味が違うこともあるかもしれしれません。
また、基本的にはLASで通しますが他の女性キャラ(綾波とかマナとか。まだ決めてないけど)との絡みも描きたいと思ってます。
マイワールド全開でやっちゃっていいですか?
159名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/18(土) 18:11:58 ID:???
総合だしいいんじゃない?
LASなんでしょ?
160名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/18(土) 19:01:08 ID:???
LASならOK
161名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/18(土) 19:03:10 ID:???
>>158
いいんじゃない?
162名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/19(日) 00:57:00 ID:???
みなさん、こんばんわ

自分もROM専LASなんですが、破見てきて傷心しました。
なので、反動でSSを投下させて下さい。

題名   :元気にしてるなら・・・別に良いけど  
SS上の時期:破終了直後
長さ   :5レスくらい

言い訳:新劇場版が旧劇場版からの螺旋ループ(繰り返しながら、進む世界)
    だったらというIFが前提です。
    なのでループ説が嫌いな方は電波な内容になっております。

次レスから投下開始します。新参ものですがよろしくお願いします。
163元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:00:00 ID:???
元気にしてるなら・・・別に良いけど

「碇くん、私の事好き? 一つになりたくない? にゃーにゃーしない?」
真希波・マリ・イラストリアスは、碇シンジに覆いかぶさるようにして、
問いかけた。胸の谷間が眩しい。

「そんな事急に言われても、マリさんと僕は2度しか会った事ないし」
「恋に時間なんて関係ないよ。碇くんは一目惚れとか信じない人かにゃ?」
メガネの奥で悪戯ぽい光を煌かせ、マリは続ける。

「一目惚れ?初めて会った人なのになんか懐かしい感じがする人は居たけど」
「それは綾波さん?お母さんの匂いでもした?そうか、じゃ私の匂いかいでみる?」
そっと自分の顔をシンジの鼻元に近づけるマリ、ちょっとでも近寄ったら、
唇がぶっつかってしまいそうな近さで。

「そんな事急に言われても」
困惑の色を浮かべるシンジ、しかし、強い拒否も性格柄か出せずにいる。
保留の状態でフリーズ中。マリ次第ではエロパロ板に行かなければ
ならない展開になりかけたその時。

「ちょっと待ちなさいよ。新参者!」
赤いプラグスーツに身を包んだ、炎のような少女が仁王立ちで高らかに
戦線布告を告げた。
そこに立っていたのはもちろん、式波・アスカ・ラングレー、その人である。
164元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:00:59 ID:???
「あれ、アスカさん、式波だっけ、今回は」
アスカにプレッシャーを掛けるように、余裕をもって返答するマリ。
修羅場を楽しむような余裕すら伺える。

「よく知ってるわね。私はねって、あんた! ちょっと、なにシンジに
 馴れ馴れしい態度とってるのよ。この泥棒猫!」
こちらは勢いだけは良いが、底が見える必死さを見せてしまっている赤い人
ドサクサにまぎれて、また顔を近づけるマリをシンジから剥がす。

「だってあ・な・たは病院のベットの上。モルモットとしていつ刻まれ
 たって解からない体でしょ。
 私は、エヴァに取り込まれたシンジ君のサルベージって大事な仕事が
 あるんだから。急がないと次の使途が来るかもしれないし」
「今の式波・アスカは昏睡状態だから、ここに来たっていいのよ」
アスカ様は開き直った態度で胸をそらすように宣言!
「だってEVEって、そういうお話でしょ」

「大丈夫よ、男の子を振り回して元気にしてあげる立ち位置は私が
 やってあげるから、式波さんはベットの上で安心して休んでて」
「はぁ、あんたじゃ役不測よ。新顔の癖に」
二人の声のトーンは次第に落ち、長期戦も辞さない形、本格的な戦闘が
始まろうとしていた。
もちろん、われらがヒーロー、シンジ様は二人の顔色を伺いながら
アタフタあたふた。
165元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:01:59 ID:???
「だって、あなた今回しおらしいじゃない。そんなんじゃ、その役だれかが
 やらないといけないし。
 なにちょっと、身近に都合のいい男の子が居たからって依存しちゃって。
 ふふ、可愛いにゃ。構造が簡単でさ」
右手を猫が手招きするように動かしながら、不適に八重歯を見せるマリ。

「はぁ、なに言ってんの、私とシンジは歴史が違うのよ。10年たったて、
 シンジは私がいなきゃ駄目駄目だって言ってくれる人、
 たくさん居るんだから」
赤い人、服どころか顔まで紅くしてがんばる。かなり必死なご様子。

「なんで、式!波!ちゃんだって、シンジ君と出会ったばかりでしょ。
 私とだって数日の違いじゃない」
強く苗字を強調するマリ、さっきからずっーと笑顔のターン

「貴方にはわからないでしょうね、私とシンジは泥どろの昼ドラすら、
 真っ青な歴史があるんだから」
「そうなんだ、そんなにシンジくんの事が好きなの?」
一瞬止まる時間と空気と赤い人、シンジ君もアタフタするのを止め、
アスカに目をやる。アスカはシンジと目があうと、スイッチが入ったか
のように再起動を始めた。逆噴射で。

「べ、別にシンジが可愛そうだから私は構ってあげてるだけ。ボランティアよ、
 そうボランティア。・・・シンジはどうだかしらないけどね」
とシンジの顔を覗き見るアスカ。
166元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:03:01 ID:???
「じゃ、私は私の為にシンジくんを好きになる。これでアスカさんが
 ボランティアする意味はないよね」
マリもシンジに視線を移し、ニヤニヤと笑う。

「え、その、そんな訳っていうか、なんでとって付けた理由で好きとか
 言ってるのよ。この破廉恥女。
 ほら、馬鹿シンジ、あんたがはっきりしないからこうなるんでしょ」
アスカは覗き見る事をやめ、シンジを見据えた。睨み付けて。

「急に振らないでよ、アスカ」
 二人の視線をうけて逡巡したが、回答に困り、結局小声で呟く
 シンジ。もちろん伏せ目、涙目で。マリは楽しそう。アスカは怒りの
 頂点へ駆け上がっていく。

「なによ、昔から融通が利かないわね、この朴念仁。バカ、バカ、バカ、
 バカ、バカ、バカ、大馬鹿シンジ
 いいから、何とか言いなさいよ。いい事、この私が命令してるのよ。
 解かってるわよね。」
「解かったよ、なんで僕ばっかり。
 えーと、マリさん。ごめん、マリさんの事、あんまりよく知らないんだ。
 だからマリさんの好意に応じる事は出来ないよ。」
「えー、なんで、メガネっ子だよ。で、一見不思議系少女、その実態は
 自分の目的の為に健気に頑張る女の子。ギャプ萌えたっぷりじゃん。」
 ニコニコな顔継続中でマリはシンジに迫る。
167元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:03:48 ID:???
「そう言われても、マリさんとはあまり一緒に過ごしてないし」
「それを言ったら、式波ちゃんだって私より数日早く登場しただけじゃない。
 ちょっと女の子と同居したからって好きになっちゃうなんて、
 シンジくんいけないんだ」

「それを言われると・・・・、でも、なんかアスカは初めてあった気が
 しないんだ。なんとなくだけど」
気弱さがあふれ出しそうな声だが、少しだけ、さっきより語調が強い。
喋り終えた後、自分の思いを口に出した為か、ちょっとした
確信の色が顔つきからも伺えるようになった。

「へー、そう、じゃ、私より式波ちゃんを取るわけ。
 これからのメインパートナーを差し置いて、これじゃ今後の職場はキツイよ」

そんなこと言われても とシンジは
マリ(にやにや、いじめ子ぽい笑いに見える)と
アスカ(視線を外しているが、顔は紅いまま、まだ怒ってる?)を見比べて、
曖昧に答える事を選んだ。
「・・・・お手柔らかに」

「そう、まあいいや。その覚悟があるながんばれ男の子。
 私は別にシンジくんが元気になればそれでいいし、私の目的の為にね
 じゃあね。早くEVEから出てきてね。
 式波ちゃん、貴方も早く戻ってきなさいね。シンジくんを取られたく
 なかったら」
その言葉を捨て台詞にシンジくんの精神世界から退場するマリ、
戻ったらどう誤魔化すかを考えながら
168元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:04:45 ID:???
「ふん、大きなお世話よ。別にシンジなんてどうだっていいんだから」
 アッカンベーと日本の伝統顔芸で送り出す、律儀なアスカ。

「アスカ、ごめん」
「はぁ?いきなりネガティブ感一杯の台詞ね。あんたらしいけど」
「3号機を、アスカが乗ってるのにあんなにしちゃって、アスカだって」
シンジは、アスカの言葉に怯みながら、それでも彼女の方を見て告げた。

「はぁ、使途程度に不覚をとった私が抜けてただけよ、同情なんていらない」
アスカはさも煩わしいという感じで、髪を掻き揚げる。
それでもシンジは引かなかった。
マリが居た時と様子が変わった事を感じ、アスカは軽い嫉妬を覚えた。

「トウジの時、あんなに後悔したのに僕はまた同じ失敗を、
 今度はよりによってアスカを」
「別に....、3号機の事だって、私なら上手く出来るっていつも思ってた。
 それがいざお鉢が回ってきたらこの様、カッコ悪いったらありゃしないわ。
 まぁ鈴原の事で落ち込むあんたががうざかったから、今回それが
 なかっただけでもよかったんじゃないの
 これは全部私の責任、最初からあんた程度に何にも期待してないわよ」

「アスカ、左目みせてよ」
「いやよ、近寄らないで、触らないで、気持ち悪い」
 いつも弱気のシンジの予想外の動きに戸惑うアスカ、その間に
 シンジは右手をそっと伸ばし、目の下、ほほを軽く触った。
169元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:05:43 ID:???
「ごめん、またこんな、これも僕のせいだね、どうやって償えばいい」
「ふん、なによこれ位、アンタ、いつももっと酷い事するじゃない。
 首しめたり、オカズにしたり。これもおなじようなもの、もう慣れたわ」

「アスカ」
 それでも、引かないシンジに、時折見せるようになった強い意志に、
 アスカは驚きもあり、引くことにした。
 逆らわれる事への苛立ちより、自分の意見を隠さず告げてくれるシンジを
 喜ぶ気持ちもあったのかもしれない。

「わかったわよ。じゃ、じゃあさ、私の言うこと一つ聞くなら、
 許してあげない事もないわ」
「アスカが許してくれるなら、何でも」
覚悟を決め、返答するシンジ、だが、どんな理不尽な言葉が
叩きつけられるかを怯え体を硬くする。

「今度、となりで眠らせなさいよ」
視線を明後日の方向に向け、ぶっきらぼうに告げるアスカ。
へぇ?と予想だにしない要求に、間の抜けた声を発するシンジ

「眠るだけよ。あんた指一本ふれちゃだめよ。解かってる?」
顔を再び赤くし、シンジを睨むアスカ

「お願いも何も、アスカこの前だって勝手に部屋に入ってきて、
 そばで寝てたじゃないか?本当にそんな事でいいの、何でも聞くよ」
「いいのよ、本人がそう言ってるんだから、納得しなさいよ」
170元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:07:01 ID:???
「ありがとう、アスカ」
 笑みに変わるシンジに対し、その表情に目を奪われるアスカ、
 それを不満の表情で覆い隠すようにして、アスカは言葉を発した。が
「なに嬉しそうにしてるのよ。ほんと気持ち悪い男ね、昔から・・・・・
 あれ、もしかして思い出した?」

静かにシンジは頷くと言った。
「少しね。アスカとはいろいろあった気がする。
 あの時から始まって、鋼鉄の時とか、幼馴染のアスカ、小さい頃から
 一緒のアスカ、いろんな事があったのかな」
「へぇー、じゃ、我慢してた文句はいってもいいわね。
 もう毎回トラブルばっか、勘弁してもらいたいもんだわ。これ何度目よ」
「はは、毎回アスカとは揉めてるみたいだね」
「笑い事じゃないわ、あんたに殺されたことだってあるんだからね」
「その倍は僕は殺されてるでしょ」

思い当たる節が多すぎて、目を泳がすアスカ
「まぁ・・・、それはかわいさ余っててやつよ、だいたい、
 原因はいつもあんた、私を傷つける」

ごめん と素直に告げるシンジ、その直ぐに暗くなる姿に対し、つい、
励ましてしまいたくなるのがアスカだった。
「はん、しょうがないでしょ、それが碇シンジなんだから、何度
 繰り返したってアンタは変わらないわよ」
「でも、傷つけられるって解かってて、何でいつも、僕にちょっかいだすのさ?」
「開き直る気?あんたがそんな女々しい顔するからでしょ、いらいらするのよ
 だから、それはアスカ様からのエールよ」
171元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:08:18 ID:???
「そういえば、今回は初めて会った時から酷い言い様だったね。七光りだっけ。
 あれ?僕が初号機のパイロットって一目で解かったね、覚えてたの?」
ちょっと不思議そうに尋ねるシンジ
「あんたバカぁ?精神世界だからこんな話してるだけで、現実じゃ
 覚えてる訳ないじゃない。こんだけ何回も繰り返したら、
 潜在意識に刷り込まれたんじゃない」

「じゃ、加持さんも潜在意識で追いかけたりとかしないの?
 今回はアスカ、大人しいみたいだけど....」
「加持さんはどの世界だって、結局ミサト第一じゃない。
 勝てない戦はしない主義なの」
「それじゃ、僕は簡単に落とせるみたいじゃないか」
 すねるシンジに、予想にしたなかった程の怒声がぶつけられた。
 マリと口論していた時の怒声の非ではない。
「ふざけないでよ、なんど世界を繰り返してると思ってるのよ。
 あんた。本当解かってないわね。私の苦労を。このバカ、バカシンジ!」

シンジは怒られた子犬のように、下を向いてキュンキュンと鳴くように言った。
「だって、勝てない戦はしないって」
「うるさいわね、細かい男はもてないわよ。さっき言ったでしょ、
 私はボランティア、これは勝てる勝てないの問題じゃないの」

 そして、アスカも下を向き、小さな声で続ける。  
「でもさ、そろそろボランティアに報いてもいいんじゃないの」
 当然、相手には聞こえない。
172元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 01:09:23 ID:???
再び顔をあげ続ける。
「ねぇ、シンジ、目が覚めたらいつも通り、この逢瀬も覚えてないの」
自分も十二分に知っている事を尋ねていた。
その言葉になにも返せないシンジ、現実的な思考が楽観的な言葉を
安易に使う事を否定していた。

「はぁ?気の利いた言葉の一つも返せないって、本当駄目な男のままね
 本当、いつも通り、でも・・・、別にいいけど。
 まぁ、私も一緒か。もし目が覚めれたらとしても、あんたと
 長い付き合いの惣流の記憶は消え、あんたと会ったばかりの式波の
 記憶しか無くなるだから」
 シンジにつられたのかちょっとテンションの落ちた言葉を自嘲的に放つ
 アスカ、それに対してやっとシンジは言葉を返す事が出来た。
 嘘ではない言葉を  

「それでも、アスカはアスカだよ。アスカが僕を一目で見つけてくれた。
 だから僕も覚えてるはずだよ」
 そのシンジの嘘のない思いは確実に伝わっていた。その思いが
 祈りのように儚いものだとしても
173名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/19(日) 01:34:32 ID:???
独特な世界だな。楽しく読めたわGJ!
174名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/19(日) 01:35:07 ID:???
私怨いるだろ?
175名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/19(日) 01:35:20 ID:???
支援してみる
176名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/19(日) 01:44:10 ID:???
いいね、アスカの特徴を良く捉えてて、テンポも良くて素敵だ。
177元気にしてるなら・・・別に良いけど:2009/07/19(日) 02:56:40 ID:???
だから、アスカは応えてみたくなった。
達観した方がいいのではないかと思いかけ、まだ希望を捨てきれない自分にも

「それぐらいならヘタレシンジでも出来るか。解かったわ。
 それぐらいは期待してあげる。
 いい、端からあんたみたいな根性無しに少年漫画の主人公みたいな事、
 求めてないんだからね。あんたは身の程程度に頑張ればいいんだから」
言いたい事も言えなかった根性無しは自分の方だと思いつつ。

「ありがとう、アスカ。もし僕も何度も世界繰り返してるなら、
 少しは経験値が上がってるはずだから・・・・
 だから、もうちょっとだけ待っててよ」

「何をいまさら、私がどれだけ繰り返し付き合ってると思ってるのよ。
 もう何回か増えたって変わらないわ。あんたがあきらめない限り」

「でもそれじゃ駄目なんだ。アスカがまた傷つく」
「そう思ったら頑張りなさい。今回を。
 ほら一足先に戻っていて、私も直ぐに追いつくからさ」

そうして
覚悟を決めた少女は、決意を新たにした少年に笑みを返すのだった。 

  END

新劇場版で二人が幸せになりますように
178名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/19(日) 02:58:20 ID:???
以上で投下終了です。お粗末さまでした。
自分で書いたのに長さが読めてなかった・・・・orz
のこり1レスで連投規制とは、これだから新参は


支援頂いた方ありがとうございました。
その頃には規制食らってたんで、投下できなかったんですが
すげーうれしかったです。

また投下する事を目標に、ROMに戻ります。では
179名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/19(日) 11:38:09 ID:???
GJ!!!!
180名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/19(日) 16:31:12 ID:???
なりますように
181円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/20(月) 06:07:53 ID:???
また急に思いついたLAS投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry
182円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/20(月) 06:08:37 ID:???
【禁じられた 言葉】


「ねぇアスカ。あなた、太った?」
「は?」

シンジ、アスカ、ミサトの3人が夜の食卓を囲んでいた最中(さなか)。
ビールを喉に流し込んでいたミサトが、美味そうに夕食を頬張るアスカに、そんなコトを言った。

「し、失礼ね。太ってなんかないわよ」
「そーぉ? 何か、頬っぺたが最近ふっくらしてきたような……」

ギクリ。
気に止めることなく口内でモゴモゴと咀嚼を繰り返していたアスカのリズムが、急に狂う。

「き、気のせいじゃない? ……アンタも何か言いなさいよ、シンジ!」
「え……」

急に話を振られ、シンジも箸の動きを止める。
アスカ本人の口から確証が得られないのならと、ミサトもシンジに風向きを変えて、

「そうねぇ。シンちゃんから見て、どう? アスカ、ふっくらしちゃってない?」
「そ、そんなコト言われても……。アスカは、アスカだし……」

……などと適当に言ってはみたものの。

「(でも、確かに最近のアスカ、よく食べてるよな……)」

この年頃の少女の二次性徴のふっくら具合とは、どうも違う気がする。
朝食、昼の弁当、夕食と――――――――シンジの作った料理を、アスカが毎日よく食べているのも確かなワケで。
183円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/20(月) 06:09:32 ID:???
************


「(ミサトさんもアスカと同じ、女の人だから……気づいたのかな)」

深夜。
なかなか寝付けずにいたシンジは、昨夜の食卓での会話を思い出していた。

「(別に太ってはない、よな……。充分、標準体型だと思うけど……あれじゃ、ダメなのかな)」

シンジとてアスカを異性として意識している。
アスカが引っ越してきた初日に彼女の全裸まで見てしまっていれば尚のこと。
更に第8使徒を殲滅した夜には、直接顔を合わせてはいないが一緒に添い寝までしているのだ。
他人に無関心だった以前のシンジならいざ知らず、今のシンジでは気になって仕方が無い。

「(僕達の体調管理もミサトさんの仕事なんだろうけど……)」

出来るだけ美味い食事をアスカとミサトに提供したいとシンジは考えている。
「台所に立つ男はモテる」と言っていた加持に感化されたワケではないが、美味いモノを作るのは、台所を預かる自分の責務だと。
ミサトの弁当もアスカの弁当も、それぞれ両者の好物を毎日品を変えて配分しつつ、栄養バランスの取れた食材を繕ってきたつもりだった。
が、もし自分が作った料理が原因でアスカが太ったとしたら……

「(お、怒られないよな……?)」

育ち盛りなのが手伝って、過分に彼女に栄養を行き渡らせてしまったのか。
嫌われないか、不安になる。アスカが来日してしばらく経ち、ようやく打ち解けてきたのに―――――やっと、彼女を好きになれたと思ったのに。

ガラッ

そんな時。シンジの思考を止める様に、ドアのスライドする音が廊下に響いた。
184円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/20(月) 06:10:29 ID:???
「……アスカ?」

時計の針はとっくに深夜3時を回っている。
ビールを飲んで爆睡しているミサトを除けば、こんな時間にシンジの部屋を訪ねて来るのは1人しか居ない。

「……あの、アスカ?」

顔はドアの方に向けず、背を見せたままシンジは呟く。
もし顔を向けて彼女を見ようものなら、たちまち鋭い蹴りが頭か腹に飛んでくる。それを回避する為の、シンジなりの“処世術”である。

「……一緒に寝ても、いいわよね」
「い、いいけど……」

表情を伺うまでもなく、声の調子で彼女が不機嫌な状態にあることが判る。
返事を聞くや、アスカはドサッとシンジの隣に、いつものように背を向けて寝転んだ。
何か言葉をかけた方がいいのだろうか。それとも彼女の言葉を待つべきだろうか。永い沈黙が、シンジの部屋で続いた。
と、

「……ミサトの言ってたコト、正しいわ。2キロ太った」
「そ、そうなんだ……」

アスカの方から、口を開いた。蚊の鳴くような、か細い声で。

「空軍に居た頃は体調管理、バッチリ出来てたのに。……日本に来てから、2キロも太ったのよ」
「え……。そ、それって……?」
「全部、アンタのせいだからね……バカシンジ」

背をむけたまま、アスカはすらりと伸びた脚で、シンジの足の裏を踵でつつく。

「アンタの作る御飯が美味しいせいよ……責任取ってよね」
185円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/20(月) 06:11:22 ID:???
「ぼ、僕のせい……?」

責任取ってよね――――――というアスカの呟きが、まるで死刑宣告のようにシンジには聞こえた。

「軍の食事って兵士の体調を考えて、それなりにカロリー計算して作られてるの」
「へ、へぇ」
「今まではそれで良かった。軍での私はエースだったし、些細なコトで成績を落とさないよう、体調管理には気を使ってた。
 ……ところが、ミサトんちで暮らすようになって、アンタの作る御飯を食べ始めたら……その先は、言わなくても分かるわよね?」
「う、うん……」

禁じられた言葉。
やはりシンジの作る食事が原因でアスカの体重が増えていたらしい。それも2キロ。
たかが2キロ、されど2キロ。
よくスーパーで牛肉や豚肉の味に加工された人造肉をグラム単位で購入しているだけに、シンジにも“その重み”がよく分かる。

「ご、ごめん……。僕、そんなつもりじゃなかったんだ……」

謝罪以外の言葉が見つからない。“顔向け”も出来ない。心苦しい。

「その……。アスカに、美味しいもの……食べてもらおうって思って……」

父親以外の誰かに褒められたい。エヴァに乗ること以外で、誰かに褒められたい。
無意識のうちにシンジはそう考えていたのかもしれない。あの日、加持に褒められたのも、強ち悪い気はしなかった。
……美味い食事を作ることで、純粋にミサトやアスカに褒めてもらうコトが出来れば、と。

「アスカの気を悪くしたのなら……味付けとか、量とか……もっと工夫するよ……。た、体重、増えないように……」
「……アンタ、やっぱり馬鹿ね」
「え……」

通算3回目の「え……」だった。
186円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/20(月) 06:12:41 ID:???
「アタシ、アンタに一度でも『食事の味付け変えて、量を減らす工夫しろ』とか言った? ……言ってないでしょ」
「でも……」

アスカは何が言いたいのか。シンジには窺い知れない。

「けなしてんじゃないのよ。……アンタの作る御飯が美味しいのは、事実だし」
「う、うん」

気のせいか、アスカの吐息が首筋辺りにまで届いている気がする。
同時に、背中に走る温かな感触――――――――アスカの手が、シンジの背中に伸びていた。

「ただ、どういう気持ちで御飯作ってるのか……それだけ教えなさいよ」

アスカの指先がシャツ越しにシンジの背中に添えられる。指の大きさからして、人差し指と親指の2本だろうか。

「……教えないと、つねるから」

多分、本気だ。ダンマリを決め込んだり、適当なコトを言ってその場を濁そうとすると―――――躊躇なく、彼女は指先に力を込めるはずだ。

「ぼ、僕は……。僕は……えっと……その……」
「……愚図な男は嫌い」

アスカの爪先に力がこもり、シンジの背中をつねり上げようとした刹那、

「だ、だから僕は……アスカに、美味しいもの、食べてもらいたいだけで……
 これからも、ずっとアスカに……僕の作った御飯、食べてもらえたらな、って……た、ただ、それだけだよ……ホ、ホントだよっ!」

切羽詰まりながらも、シンジは自分の正直な気持ちをアスカに吐露した。

「……」
187円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/20(月) 06:13:59 ID:???
アスカは答えない。が、シンジの背中をつねろうとしていた彼女の指は、離れていった。

「……それって、アタシの面倒をこれから先もずっと、アンタが見るってコト?」
「わ、分かんないよ……。使徒との戦いが終わったら、アスカがユーロに帰っちゃうかもしれないし……。そうしたら、もう作ってあげられないよ……」

シンジがアスカの為に、これから先もずっと食事を作る。
遠回しに2人の未来を暗示させかねないコトを口走っていたコトに、シンジは無論気づいていない。

「アタシの体重増やした責任……取れって言ったはずよ」
「そ、それもさっき言ったじゃないか。味付けとか量を変えれば……」
「はあ……もういいわ。アンタ、ホントにガキなのね」

アスカの言わんとしている意図を読み取れないシンジに、とうとう問答を仕掛けた彼女の方からギブアップを申し出た。

「先に寝るわ。……アンタは、お昼の弁当のメニューでも考えながら寝なさい」
「……ごめん」

何に対してごめんなのか、謝罪の言葉を述べたシンジ自身、よく分からなかった。

「……アタシ。アンタの作る御飯、好きよ。美味しいから」
「……(御飯だけ、か)」

作っている本人はどうでもいいのだろうか。先刻までの焦りも忘れ、シンジは「褒められたい」という欲求以上のものをアスカに希求する。

「……あと。ついでに、アンタも好きかもね。アタシの体重、これ以上増やさなきゃ……だけど」
「!」
「アタシが満足する食事、これからもずっと作りなさいよ。でなきゃ許さないんだから……バカシンジ。……分かった?」
「が……頑張る、よ」

アスカの期待に応えようと、シンジは後ろ向きのままそっと彼女の手を取り、アスカもそれに応じた。絡められた指先が、妙に熱い夜だった。        【終劇】
188円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/20(月) 06:15:30 ID:???
タイトルは「ウルトラマン」の33話から拝借
時系列的には「破」の第8使徒戦〜第9使徒戦が起こるまでの間に数ヶ月が経ってる感じのパラレルで
ばいちゃ
189名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/20(月) 07:17:43 ID:???
乙乙!やっぱすっげー好みの文だわ!
頼む!頼むから一つ甘〜いやつを書いてくれ!二人が既にくっついてるようなやつ…お願いします…
190プロテインX:2009/07/20(月) 15:06:34 ID:???
『もしエヴァでシンジだけが甘えん坊だったら』というスレにLAS的なところもある小説を投下しました。微妙で曖昧なアスカの思いが書けたかなと思っています。興味があったら読んでみてください。
191名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/20(月) 15:17:10 ID:???
>>188
イイよー!うまいわやっぱ
>>190
読んできます。
またこっちにも落としてね
192名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/20(月) 22:13:30 ID:???
ほのぼのの中に甘さあり…GJです!
つねるってのが何か可愛かったw
193名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/23(木) 00:46:20 ID:???
保守
194円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/23(木) 05:14:08 ID:???
レスくれた人ありがと
これまで投下したの3話ともシンジサイドの話なんで、次に投下するならアスカサイドの話……焼き餅系とか(多分)
ばいちゃ
195名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/23(木) 19:11:58 ID:???
wktkwktk!
196名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/23(木) 20:24:56 ID:Mso6bgzJ
期待せざるを得ない
197名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/23(木) 23:13:12 ID:???
las になる予定の小説投下してもいいですか?
198名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/23(木) 23:19:37 ID:???
>>197
どうぞどうぞ。楽しみにしてます
199名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:09:09 ID:???
綾波…。あの時の姿のままで。
あの時と同じに。
けれど夢じゃない。その自覚はある。
けどそれが真実と言う証明にはならない。
あの時と標識も同じ。
違うのはぼくだけ。
感覚はある。痛覚もある。
現実なのか。
あの時はわずかばかりの、なけなしの、期待を持ってこの町に来たけれど。
今ぼくにあるのは。
もし現実だとしたら。いや妄想だとしても。
ただ傑作だと言う思いだけ。
わらいをこらえきれなくて。
ぼくは。
爆風の中で哂い続けていた。
哂い声は轟音の中でも良く聞こえた。
舞い上がる砂塵の中で。あのモノの姿は良く見えた。
哂い終えると。綾波はもう消えて。
そこにはもう何も無かった。
ぼくと同じに。
ただあるのは舞い散る埃だけ。
200名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:11:27 ID:???
何が次に起こるかは知っていた。覚えてもいた。
使徒が国連軍を紙切れのようにばら撒いて。
命をばらばらに引きさいて。
それを見ても。何も思わず。ただ。
傑作だと。
歯が立たないだろう事をわかっていながら投入する。
あの時のぼくと同じように。
あの時のだれかと同じように。

だけどぼくの命なんて。紙切れのようなものだから。
けれど今撒き散らされてる命は、ぼくの命よりは価値があるかもしれない。
それでも板屑くらいの価値があるのかどうか。
だったら紙切れのようにばら撒かれてもいいんだろう。
いや別に価値があっても同じか。
今ばら撒かれてる事に変わりは無いし、ばら撒かせてる人間にとっては無価値だから。

そう思って哂っていると。
思ったとおりに迎えが来て。
「ごめん。おまたせ!」
懐かしい女性がぼくの前にいた。
どうでもよくて。
ぼくはえがおで。
「いいえ。全然。待ってませんよ。葛城さん。」
そう言って。急いでルノーに乗った。
201名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:13:45 ID:???
爆音の一つごとに、血税か命が磨り潰されていく。
その音に耳を傾けるわけではないが、隣の女性を見たくないので目を閉じたまま。

ネルフへ向かうため、暫く走っていると。
「ちょっと、まさか…N2地雷を使うワケ!」
叫び声が聞こえた。

ここも同じなのか。どこまで同じなんだろう。
妄想でも現実でも。どうでもいい。どうせもうぼくには何も無いんだから。
何も欲しくないし、誰も居て欲しくない。
ぼくはただおかしくて仕方が無い。
今のぼくにあるのは、傑作だと言う事。
この世界がどうなるのか知っているのはぼくだけ。
そしてあの時のぼくは知らなかった。
ぼくの本当の役割。
この世界の意味。
それを知って。
ここに居る。
どうでもよくて仕方が無い。気が狂いそうなほどに。
哂おうとすると爆風に吹き飛ばされ。
ミキサーでかき回されるような感覚の中でも。
どうでもよくて仕方が無かった。
もう一度やれるなら、僕がきちんとした人間だったなら。
みんな幸せになれるだろう。
だけどうまくやろうとも思わない。
ああせっかくだ。
面白くしたい。愉快でたまらない思いをしたい。
けれど出来たらこのまま死ねたらな。
それを想像するともっと愉快だった。
出来るだけ無残な死に方がいいな。
狂えるくらい、いたいほうがいい。
202名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:15:38 ID:???
協力したくはなかったけれども。二人がかりで横転した車を元に戻すと。
「ふ〜。ありがと。」
少しぼくを窺うような目で。
だけど口調はねぎらいをこめて。
「どういたしまして。葛城さん。」
こみ上げてくる愉快さを、必死にこらえて。
心の底を少しは見透かされているんだろうけれど。この人は決して鈍い人ではないのだから。
「これからよろしくね。碇シンジ君。」
ぼくは。精一杯の笑顔を作ったつもりだったけれど。
「ええ。葛城さん。」
そのとき、ボクはもう笑えないことに気づいた。
葛城さんの顔でわかった。いたたまれないものを見る目で。笑顔に対してその顔は向けないでしょう。
葛城さん?
だから。せっかくだから。
そのどうしようもない狂ってねじくれて歪で捻くれたエガオで。
「急がなくてもいいんですか?」
そう問いかけた。
どうでもよかったけど。

ルノーの中。
葛城さんは、ぼくに何も言わず。
ただ前を見て。ネルフに向かう。
確か、あの時かかってたはずの音楽も無かった。

冷たい時間が過ぎる。
ぼくには愉快だったけれども。葛城さんには耐えられなかったらしく。
モノレールトンネルに入ると。
「ここがあたしたちの秘密基地、ネルフ本部。世界再建の要となる所よ。」
僕は哂って。
「世界が滅びかかってるみたいな言い方ですね。」
返事は想像通りだった。
203名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:17:14 ID:???
本当にご丁寧なことに。
葛城さんはネルフ本部では、ちゃんと迷ってくれた。
赤木さんが迎えに来てくれるまで、僕も彼女も口を開く事は無かった。
迎えに来た赤木さんと葛城さんは。
「お父さんと、そっくりでしょ。」
「どうかしらね。」
愉快だった。同じすぎて。けれども二人の考えはあの時とは違うだろう。
その後は同じように。ホバークラフトにのって。
エヴァンゲリオン初号機の前に連れられて。
父親と。
対面した。

「ひさしぶりだな」
管制室のガラスの向こうから。
僕を見つめる眼。どうでもいいなあ。
「久しぶりだね。何の用なの?」
どうでもいいはずだけど。
哂い顔になるのが抑えられない。
「それに乗れ。説明は…」
ぼくはそれを遮って。愉快だな。
あの時もこうすれば楽しい事になったかもしれないな。
誰も僕のことなんて考えてなかったんだから。
ぼくも誰の事も考えなければ良かった。
したいようにすればよかった。
「いいよ。乗ればいいんでしょ?」
そう言ってみたけど。
驚かないんだ。ふうん。
「ちょっと!正気なの!?」
もういいところなのに。あなたは驚かなくていい。
「さあ?ぼくにはわからないですけれど、正気じゃないんでしょうね。
どうでもいいんですよ。そこの人が乗れって言うんですから。乗るだけですよ。」
204名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:18:21 ID:???
いつか見た顔で、だけどいつ見たかはわからない顔で、葛城さんは声をあげる。
「だけど!!」
乗りさえすればどうでもいいんだから。僕が乗る事に意味がある。
乗った後の闘いで。
せっかくだから体が砕けるくらいに。壊してくれたら楽しいのに。
せっかくだからそこまでぼくが壊してから暴走してくれないだろうかな。
ああ、鈴原君の妹さんも壊しておいたほうが楽しいかもしれないな。
どうでもいいけど。
葛城さんも大体、ぼくを止める立場じゃないだろうに。
「そろそろですね。」
そろそろだった。

「どういう意…」
強い衝撃。視界がぶれる。とんでもない揺れで立っていられないほどの。
全てが揺り動かされて。そのせいで、ライトが僕めがけて降ってくる。
ぼくに当たらないかな。一瞬で死ねる。
当たって死ねたらそれはそれで愉快なのに。
だけどやっぱり母さんが守ってくれて。
あの時、僕の友達を殺したように僕を守ってくれた。

哂いながらぼくは。
「どういう意味でしょうね。それより乗りたいんですけれど?早く乗せてくれませんか?」
と言って。父さんを見上げた。
父さんはあの時と違ってぼくから目を逸らした。
205名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:20:48 ID:???
「エントリープラグ注水」
慣れた雰囲気。
何もせずに眼を閉じてただ待つ。
何か言っているけれど気にも留めず。
ただ手を休めて眼を閉じる。
どうせシンクロするだろう。
そういう風に出来ている。僕とエヴァは。

眼を閉じて。自分の体をどういう風に痛めつけようかと。世界をどうしてやろうと。
そんな愉快な想像を、自分でもわかる、腐れて捻くれて狂った想像をしていると。
司令部からの大声で、妄想の海から引き上げられて。

嫌々ながら眼を開けると。
ぼくはサキエルに相対していた。
「ひさしぶりだね…」
ただ一言。

思い出す。
ああ。知ってる天井。眼を開けると。あのときのままの天井が。
その白さでぼくを押し潰し、擂り潰し、叩き潰す。
あまりにあまりな白さに感覚が狂って。気が遠くなりながら。
吐き気がするほどの不快感が、あまりに気持ちよくて、愉快でたまらない気分の中。
あの時の戦いを思い出した。
今までの全ての戦いを思いだした。
思い出したくないものまで思い出した。
206名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:21:29 ID:???
妄想にふける僕は。
リフトアップされてから。
一逡巡も動かず。身動ぎもせず。
目の前の異形のものを見ながらも。
ぼくには戦いの興奮なんて欠片も微塵も。それこそ分子の単位でなかった。
あるのはいかに愉快にここにいるか。
それだけ。
「……………!!」
何か誰かがぼくに言っているけど。
何一つ聞こえない。
聞く意味も無ければ価値も無く理由もヒトカケラもナイ。
ぼくが乗っている事しか意味がないのに。
僕がどうしようと関係ない。
乗ってさえいればいい。ただそれだけ。
死にさえしなければいいだけ。
ああ。違う。
ここにいる限り死ぬ事も出来ないのか。
そんな事を思ってると。
光線に右眼を焼かれ。左手を?ぎ取られた。
痛みが脳を駆け巡り。
あまりの痛さで。
笑いが止まらなかった。
もっともっともっと。たりないたりないたりない。もっと。
207名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:22:27 ID:???
あのときのようにじゃなく。
あのときのように。
あのいたみを。

ぼくに。

ください。

オネガイシマス。

一心に祈っていた。
とっくのとうに、神様に見捨てられているのに。
天使に抗っているのに。
ぼくは誰に祈っているのか。
一心に祈っていながら、そう問いかけるぼくは、本当に愚劣で愉快だ。
愉快すぎて、痛みが足りなすぎて。虚しくて。仕方がないから。
哂いながら。残りの手で。
相手の魂の座を。貫いた。
そして。紙切れのように引き裂き。
その半瞬後。
断末魔の咆哮が、ぼくの体を、極上の力で絞り上げ、ぼくの意識を消した。

消すだけでなく、根こそぎ刈り取ってくれ
208名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:23:20 ID:???
1話終わり
209名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 00:59:53 ID:???
とりあえず乙
まだ一話だからわからんけど、スパシン系?
210名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 01:17:47 ID:???
出オチ系
211円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 05:57:35 ID:???
またLAS投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry
212円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 05:58:27 ID:???
【明日 を 捜せ】


「シンジ、帰るわよ! どっか寄って行きましょ」
「ごめん……今日、掃除当番なんだ」

第八の使徒との会敵から1週間ばかり経った、ある日の放課後。

「はぁ? 掃除当番〜? そんなのサボればいいじゃないの!」
「そういうワケには行かないよ」

シンジと連れ立って放課後の繁華街に繰り出そうとしていたアスカだったが、いきなり出鼻を挫かれてしまう。
今日はシンジが教室の掃除当番の日らしく、一緒に下校することは叶わない、と。
そう言うのだ。

「それに、僕がサボっちゃうと……綾波1人で掃除することになっちゃうし」

チラッと、シンジは横目で彼方のレイを見やる。
どうやらシンジと共に居残り掃除をする、もう1人の当番はレイだったらしく
ホウキや雑巾、バケツと言った掃除用具を黙々と用具入れから取り出している最中であった。

「(……えこひいきが、シンジと掃除ぃ〜!?)」

アスカの胸中は穏やかではない。
今日の放課後はシンジと繁華街に買い物に行く、朝からそう決めていたのだ
(勿論、アスカが一方的に決めたことであって、シンジとの口約束の類は一切していないのだが)。
何だか先を越されたと言うか、先約をレイにされていたような気分になり、存外に面白くない。

「アスカ……先に帰ってていいよ」

遠慮しがちな声で、シンジはアスカに先に帰宅するよう促すが――――――――――――、
213円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 05:59:22 ID:???
「アンタ、その腕で掃除する気なんじゃないでしょうね」
「え……。だ、大丈夫だよ。もう治りかけてるって、リツコさんが……」

アスカは、視線をシンジの両腕に向けて泳がせる。
第八の使徒との戦闘時、敵の受け止め役を初号機で買って出たシンジ。
使徒は中央部位から本体と思われる人型で初号機を攻撃、シンジは両腕を負傷し、未だ包帯が取れずにいたのだ。

「碇君。掃除、始めましょ」
「綾波……」

バケツに水を汲み終わったレイが教室に戻り、囁くような声でシンジの傍らに立つ。
瞬間、レイの声を耳に入れたシンジの顔が僅かに綻んだのを、アスカは見逃さなかった。

「(……えこひいきと一緒に掃除するのが、そんなに楽しみなワケ?)」

自分には見せない顔をレイには見せるシンジ。
そんな彼を見ていると、アスカは妙にそわそわしてしまう。ざわざわする、と言ってもいい。

「2人でやれば……すぐに終わるわ」

一応、シンジのケガがまだ完治していないと言うことで、レイは「1人でやれる」と彼に進言していた。
が、シンジもレイには多くの借りがあるせいか、頑として「2人でやろう」と譲らず、結局こうなったようだ。

「机と椅子は私が運ぶ。碇君はホウキで床掃除……それが終わったら窓拭きを」
「分かった」
「ちょ、ちょっとっ! アタシを無視して話を進めないでよっ!!」

こんな2人のやり取りに異を唱えたのは、誰であろうアスカだった。
気に入らない。面白くない。ムカムカする。何より、自分よりレイを優先するシンジが許せない。
シンジとレイが2人で一緒に何かをやろうとしている……例え、それが単なる居残り掃除であっても、何故か腹立たしいのだ。
214円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 06:00:36 ID:???
「シンジは今日、アタシと買い物に行くのっ! そう決めてたんだから!!」
「……碇君。そうなの?」
「そ、そんな約束、僕してないよ、アスカ……」

シンジからすれば、寝耳に水の話である。
アスカと共同生活をするようになって以来、彼女がどんな人間か多少は理解した気になっていたシンジなのだが、
アスカの気まぐれ―――――――――こればっかりは、どうにも理解が出来なかった。
こういう風に、事前に約束をしていないにも関わらず「今日はアタシと○○に行くの!」と突然言われると、対処の仕様が無い。
先に先約がある場合だと、十中八九「アスカ、先に帰っててよ」と返さざるを得ないのだ。

「シンジっ!」
「碇君」
「うっ……」

2人の少女に睨まれ、シンジはたじろぐ。
アスカの蒼い瞳とレイの紅い瞳。左右から注がれる視線が、シンジの身体どころか心までも射抜く。
アスカは腰に手を当て、下から仰ぎ見るような挑発的な姿勢で

「アタシと一緒に帰るのよ! でなきゃタダじゃおかないわよ!!」

と言いたげな視線を送り、レイはレイでシンジに手渡そうとしていたホウキの柄を両手で握り占め、

「約束……したのに。碇君……2号機の人と帰るの? ……嘘吐き」

と思っているかどうかは定かではないが、これ以上見つめられると精神衛生上よろしくない視線を、レイが送っているコトは確かだった。

「(ど、どうしよう……。アスカを怒らせたくないし、でも綾波とも約束してるし……)」

もし掃除をせずにアスカと一緒に帰ったら、レイは無言のままで2人の後ろ姿を見送るだろう。次の日、気まず過ぎる。
かと言って、このままレイと一緒に掃除をし、アスカを先に帰宅させてしまったら……しばらく口を利いてもらえない気がする。
215円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 06:01:28 ID:???
「あ」

ふと、このダブルブッキングを解決に導く名案が、シンジの脳裏に浮かんだ。たった1つの、冴えたやり方。

「じゃ、じゃあさ。3人でやればいいんじゃないかな、掃除を」

2人でやるより、3人でやればもっと早いよ、と。
そうすればレイとの約束も反故にせずに済むし、アスカの期待にも応えるコトが出来るはず。
掃除が早く終わればアスカの言うように繁華街で買い物をする時間も、夕飯の支度前のギリギリではあるが、設けるコトが出来る、と。
が。

「嫌よ! 掃除なんて、えこひいき1人に任せておけばいーのよっ!!」
「私は碇君と2人で掃除をする。碇君も、それを承諾した。掃除当番は私達2人……貴女が先に帰宅すれば、全て上手くいく」
「ぬわんでぅってぇ〜っ!?」
「私は間違ったことを言ってない」

両者共に譲らず。アスカもレイも、どちらかに一歩譲ろうと言う気配すら見せない。
第八の使徒との戦いで見せた決死の連携も、今は昔だった。色んな意味で協調性に欠ける2人が揃っていれば、無理もないが。

「バカシンジっ! アンタ、そんなにえこひいきと一緒に掃除したいワケ!? 
 この私と一緒に買い物するより、雑巾絞ってるえこひいきを見てる方が、楽しいってぇのっ!?」
「そんなコト、誰も言ってないじゃないか……だいたい何だよ、雑巾絞ってる綾波って……」

頭に血が上っているのか、アスカの言っているコトは支離滅裂で要領を得ない。
こうしてる間にもどんどん日は傾き、教室は黄昏色に染まって行く。
このままじゃ、ダメだ。意を決し、シンジはもう一度だけアスカとレイの両方に向け、

「お願いだから……2人に仲良くしてほしいんだ」

見えない火花を散らす少女達に“お願い”した。教室に残った生徒はシンジら3人しか居ないだけに、よく声が響く。
216円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 06:02:51 ID:???
「この前の戦いの時みたいに……3人で協力しようよ」

アスカはともかく、レイまで食い下がるというのはシンジとしては誤算だっただろう。
それだけレイの中で碇シンジという存在が大きくなった、という意味を為しているのだが、それは別の機会で語るとして。

「アスカ」
「あ……うぅ〜っ」
「綾波も」
「碇君……」

シンジに“お願いだから”と言われ、今度は少女2人がたじろいだ。
彼の口から“お願いされるコト”があろうとは、思っていなかったから。
同時に、両者は少し反省する。
アスカは、事前に約束もせずに急に予定を告げてしまい、シンジを困らせたコト。
レイは、一緒に掃除をするという目的に頑なに囚われ、シンジを困らせたコト。
互いの胸中に思うコトは多々あったものの、やがて、どちらからともなく、

「ま、まあ……アンタが、そこまで言うなら……」
「……碇君に、従う」

アスカとレイ。
差異はあれど、頬を朱で染めた少女達は、ついに折れた。
特にプライドの高いアスカが自分の意志を曲げ、他人の意志(この場合は“お願い”だったが)に
倣って行動する、というのは実に珍しいコトでもあった。いわゆる“惚れた弱み”かもしれない。

「いーい? このアスカ様が、特別に手伝ってあげるのよ! 感謝しなさいよねっ!!」
「ありがとう、アスカ」
「掃除……3人ですれば、もっとぽかぽか出来る……のね」
「ぽ、ぽかぽか……?」
217円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 06:03:56 ID:???
**************


「ミサトさん、今日も遅いね」
「どーせアレでしょ。第八使徒の血で倒壊したビルのオーナーとかからの、苦情処理に追われてるんじゃないのー」

帰宅後。2人きりでの夕食を済ませたシンジとアスカは居間に寝転がっていた。
やはりと言うか何と言うか、両手のケガが完治していないシンジが結果的に足を引っ張って(手のケガなのに足を引っ張る、と言うのも妙だが)
掃除の遅延を招き、アスカと繁華街に買い物に行く間も無く、帰宅することになった次第である。

「あの……アスカ、ごめん。買い物、一緒に行けなくて……」
「アンタ馬鹿ぁ? 今日がダメなら明日があるでしょ。明日を捜せばいいのよ」

学校で「今日じゃなきゃヤダっ! シンジは今日、アタシと一緒に買い物に行くのっ!!」と息巻いていた少女の言葉とは、到底思えない。
女の子って都合がいいんだな……シンジは密かにアスカという少女を通じ、異性の生態をまた1つ、理解したのだった。

「……僕、お風呂入ってくるよ」

いつもはアスカが一番風呂なのだが、雑誌を読むのに夢中なのか風呂場に向かおうとはしない。ペンペンもだ。
このまま沸かした風呂が冷えるのも勿体無いし自分が先に入ろうと、シンジは立ち上がるのだが、

「痛っ……!」
「シンジ!?」

3人での掃除に張り切り過ぎたのか、せっかく完治に向かっていた手を、また痛めてしまっていたらしく。
思わず、苦痛の声を漏らしてしまう。

「馬鹿……無理すんじゃないわよ」

雑誌を放り投げ、即座にシンジを支えたアスカの声は、いつもより優しい気がした。
218円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 06:04:57 ID:???
「リツコにもうすぐ治るって言われてたクセに。なのにカッコつけて掃除なんかするからよ、馬鹿」
「……ごめん」

シンジの両手のケガは、名誉の負傷でもある。
巨大な体積の第八使徒をATフィールドと両手で受け止め、尚且つ使徒からの妨害攻撃にも必死で耐えた手。
両腕に巻かれた包帯が痛々しさを助長している。この手でシンジは掃除をし、今晩の食事も作った。
なのに、アスカはケガ1つしていない。本来なら使徒を受け止める役は彼女の2号機。間に合わず、シンジの初号機が両腕の大破を被ったのだ。

「ホントに馬鹿なんだから……」
「アスカ……?」

シュルシュルと、シンジの腕の包帯を解いていくアスカ。
ひと巻き解ける度、腕に処方された傷薬の匂いが強くなっていく気がした。

「お風呂、入るんでしょ。……解いたげてんのよ」
「あ、ありがとう……」

アスカなりに責任は感じているし、多少はシンジを尊敬もしている。
碇シンジという少年は彼なりに命懸けで戦っているのだと、あの第八使徒との会敵で思い知らされた。
名声など求めず、誰かを守る為に必死で。……その“誰か”と言うのが“誰なのか”。まだ、アスカは聞く勇気を持てない。

「……ねぇ」
「なに?」
「お風呂……一緒に入る?」
「え……」

両腕の包帯を解き終わったアスカが、床に座り込んだ姿勢のまま、上目使いでそんなコトを言う。
ドキリと高鳴ったのはどちらの心臓だったか。この際どちらでも良かったのかもしれない。
互いの顔が近過ぎて、身体に染みついた汗の匂いまで嗅がれてしまいそうな距離。
沈黙が、やたら重い。
219円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 06:06:07 ID:???
「……馬鹿。冗談に決まってるでしょ」
「だ、だよね……」

内心ホッとしたような、残念なような。シンジの胸中は複雑の極みだった。
唯一の救いはアスカがすぐ否定してくれたおかげで“とある部位”の熱膨張を事前に防げたコトか。

「ほら。立ちなさいよ」
「うん……」

アスカに支えられ、シンジはようやく立ち上がる。
リツコに完治は近いと診断された両腕は、やはり、もう少しだけ治療に時間がかかるだろう。

「アスカ」
「……何よ」
「明日は……絶対、一緒に買い物に行くよ。約束する」

支えとなったアスカの柔らかな手を、痛む両手でシンジは包んだ。
怒られたりしないだろうか、払い除けられたりしないだろうか―――――――そんな怯えなど、一切浮かばなかった。

「……荷物持ちとかは、ちょっとダメだけど」
「アタシ、そこまで鬼じゃないわよ」

失礼しちゃうわねー、という微苦笑と共に。

「……今日はアンタの為に“アタシから折れてあげたんだから”。……明日は、ちゃんとアタシの為にアンタが折れなさいよね」
「もし、使徒が来たら?」
「速攻で殲滅して、意地でも行くのっ!! ……アンタの腕が治るまで、アタシがアンタの腕になるから」

だから。さっさと、よくなりなさいよ―――――と。
重ねられたシンジの手に、触れるか触れないかのキスを落として。アスカは、明日に希望を見出した。
220円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/24(金) 06:07:03 ID:???
タイトルは「ウルトラセブン」の23話から拝借
時系列的には「破」の第8使徒戦〜シンジの腕が完治するまでのパラレルで
ばいちゃ
221名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 10:06:57 ID:???
イイ!GJ
あの怪我はLAS展開に繋がると俺も思ってたし、書いてくれて嬉しい
222名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 10:21:47 ID:???
GJ!!
223名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 14:04:56 ID:???
GJ!
シンジの手が早く良くなって欲しいと思うけど、
ずっとこのままの二人もみていたいw
224名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 18:35:47 ID:???
GJすぎてニヤニヤが止まらない
225鬼女の独り語:2009/07/24(金) 19:13:58 ID:???
「はい、碇でございますが.........。あら、アナタどうされたんですか?」
アタシの名前は碇アスカ、専業主婦である。
ダンナは人類の救世主、世界一強い無敵の男、史上最強の英雄にして現NERV事務局長の碇シンジである。
ただし、NERVと言っても正式名称では無く、そう呼んで居るのはこの街だけである。正式には国連人類再生機関(UNHRO)だ。
NERVの設備と人員をそのまま使っているので、そう呼んで居るだけである。
「ええ、今は大丈夫ですよ。」
うちのダンナは、世間が言ってるほど凄い男かと言えば、そうでもない。特に、決断力には欠けている。
だから、本当は国際機関のトップを務められる男では無いんだけどね。
まだ、冬月元副指令が特別顧問として相談に乗ってくれていた頃は良かったが、よる年波に勝てず現役を
退いてからは悩む事が多くなった。
「取りあえず、おっしゃって下さい。」
決断に困ると、他に相談する人間も居ないので、アタシの所へ電話をしてくる。
今は、AとBの二つの案のどっちかを選びたいって話だが、内容的には大した違いは無い。
アタシは、話を聞きながらエプロンのポケットからさいころを取り出し振って見る。3、奇数だ
こう言うときはA案を勧める。
「A案で良いんじゃないかしら?」
アタシは思いつく限りのA案の利点とB案の欠点を言い続ける。それを必死にメモをとってる気配がする。
極限まで人口が減ってしまい種の危険すらある人類の再生を行う為のNERVことUNHROの方針をこんないい加減な
事で決めてると知ったら、世間の人は怒るだろうなぁ。これは、アタシだけの秘密である。
「いえ、お役にたてて良かったわ。あ、今日は大丈夫ですか?...。そうですか、皆さん喜びますよ。
では、...。はい、ワタシも愛してますよ。」
226鬼女の独り語:2009/07/24(金) 19:28:45 ID:???
ダンナが電話を切ったのを確認してから、アタシも電話を切る。
サンドイッチ作りの続きをしながら、某巨大掲示板にある既婚女性用の
コミュニティーサイトへの書き込みをする。「帰女の鬼女ですの」と言う
固定ハンドルはこのサイトでは少しは知られている。ダンナのネタを
時々書き込むが、世間一般の認識と実物のギャップが余りにかい離しているので
正体がばれた事は一度もない。

「ママぁ?」
サンドイッチ作りが終わり、ネットで楽しもうと思ったのを見透かしたように、娘のレイが目を覚ました。
誤解の無いように言うが、レイは正真正銘アタシをダンナの娘である。あの女とはなんら関係ない。
ただ、未だに名前を呼べないあの女と同じ名前を付けたのはアタシである。義父もダンナも驚いたが
反対はしなかった。なんで、付けてのか自分でもよく解らないが、まぁアイツへのせめてもの罪滅ぼし
のつもりかも知れない。
「はい、はい。今行きますよ。」
アタシはパソコンを閉じると娘の部屋へ行った。
227鬼女の独り語:2009/07/24(金) 20:03:19 ID:???
チャイムの音でインターホンを取ると、モニターに義父が映っていた。
「あら、義父様。今出ます。」
ダンナの父と言えばかのNERVの鬼の総司令として知られる碇ゲンドウだ。最も、
サードインパクトとそれ以降の事件の処理が終わると、現役を退いたこの男に最早その
面影はない。NERVとそれ以前に貯めた資金を元に昔からやりたかったアニメ会社を
設立して好き放題の作品を作っているらしい。らしいと言うのは、アタシは一度も見た事が
無いからだ。ただ、ダンナの友人のオタクから聞いた話だとその内の一つは、物凄い作品で
ヤマトやガンダムを次ぐ作品だと言っていた。そう言われても娘が見ているモノ以外のアニメを
見ないアタシにはどう凄いのかサッパリ解らないが

ワタシは、何時ものように消臭剤を手に玄関へ出る。NERVの時は、周りが気にして居たから
問題は無かったが、そこを辞めてからは元々のいい加減な性格が出て、風呂へは月に
一度しか入らないし、着替えも殆どしないという無茶苦茶な生活を送っていた。
碇家へ嫁いでまずやったのが、この男の生活改善である。最初は嫌がっていたが
娘が出来てからは、不衛生だとこの家に入れ無くした為に、今はかなりマシに成っている。
服も増えた。最も、この親子は揃ってセンスがないのでコーディネートはアタシの仕事だ。
ただ、ダンナも今や父親と同じ長身に成り、長い手足のお陰で仕立て直し無でイタリア製の
スーツも着れる二人の衣装選びは楽しいものが有る。
228鬼女の独り語:2009/07/24(金) 20:17:46 ID:???
アタシは義父のにおいを嗅ぐ。臭かったらファブるつもりだ。
「おい、またか。チャンと風呂に入ってきたぞ。」
「そうみたいですね。合格です。お入りください。」
「義理の父の臭いを嗅ぐ嫁が何処に居るんだ?」
「何とでも、仰って下さい。娘の為なら鬼にもなりますよ。」
もっとも、既に鬼女なんけどね。

「あ、折角来ていただいて申し訳ないんですけど。一時間ぐらいしたら出かける予定ですけど。」
アタシは、コーヒを入れながら、レイと戯れる義父に言う。
「かまわんよ。ワシも直ぐに行かなきゃならんからな。しかし、旦那が留守の間にお出かけとは
良い身分だな。」
「人聞きの悪い事仰らないで下さい。カレの友達の所です。カレも後から合流しますよ。」
「ああ、例のピクニックか。」
月一度位の割合で、ダンナの悪友、通称三馬鹿トリオと会うのが習慣になってしまった。
ピクニックと言っても郊外の公園で手作りの食べ物を持ち寄り、食事をするだけなんだけど。
229鬼女の独り語:2009/07/24(金) 21:16:56 ID:???
真っ赤なBMW7erの最新モデルを公園の駐車場に入れる。アタシはATが嫌いなので、
MT車をドイツから直輸入してもらった。これだけの車(しかもMT車)をダンナは運転できない
(日本だとATがほとんどだから仕方がない)んで、アタシの専用車に成っている。
こう言う我儘をチャンと聞いてるれるダンナは本当に優しいだよね。アタシは自分の車の車検を
2回も通す事はまれだ。それ位、買い替えが多いので買い替える時には今度こそAT車って
思うんだけど、試乗すると、つまらないので、ダンナにオネダリ目線を送る。優しいダンナは
何時も笑顔で良いよと言ってる。そのお陰で、ダンナはプリウスに10年以上乗っている。
あ、でも言い訳する訳じゃないけど、アタシの一ヶ月の走行距離はダンナの一年の分に
相当するんだからね。

大きなBMWの運転席から小柄な女が出て来たので視線が集中する。無理もないよね
アタシは中学の時から殆ど背が伸びなかったので150を僅かに超える位しかない。
こんな女が一発で車庫入れするのは驚くだろう。幸いにも、サングラスと幅広の帽子の
お陰でNERVトップの嫁とは気づかれずに済んだ。
レイをチャイルドシートから降ろすと、サンドイッチを入れたバックバックを背負い。日傘をさして、
もう一方の手で娘と手をつないで公園の待ち合わせ場所に向かう。
娘と一緒にアニメソングを歌いながら歩く姿は何処にでも居る幸せな母娘の姿だ。
230鬼女の独り語:2009/07/24(金) 22:12:42 ID:???
「あ、アスカここだよ。」
アタシを見つけたヒカリが声をかける。先に、二家族は付いているみたいだ
娘が駆けだしたので、アタシもそれに合わせて早足で歩く。

待ち合わせの木陰に付くとレイが
「こんにちわ。」
とお行儀よくお辞儀をする。本当に良い娘だ
「こんににちわ。」
と皆が娘に挨拶をしてくれた。
「しかし、誰かさんの子供時代と違い、ホンマお行儀のいい子だのぉ。やっぱり、父親に
似たんかいな。」
「わ、悪うございましいたね。生意気な女で。」
中学時代から殆ど性格の変わっていない野蛮人の鈴原トウジは、ダンナの職業柄
上品に振舞っているアタシが気に入らないみたいで、本性を晒そうと常に挑発を
して来る。アタシの小さな堪忍袋は直ぐにキレそうに成る。
「で、センセイは来んのかい?」
「あ、大丈夫です。遅れて来ますから。」
「遅れて来ると言う事は、もしかして、あれで来るの?」
「え、まぁ。多分。」
「ねぇねぇ、あれって何よ。」
「あレと言えば。」
相原ケンスケは奥さんのユリコに耳打ちをした。ロリータファッションに身を包んだ可愛らしい
娘だ。こんな男が10歳近く離れているお嫁さんを貰うのは犯罪に近いと思う。
「え、嘘。ワクワク。」
まぁ、性格が同じだから許されるのかな?でも、この男がアタシ達より先に結婚するとは意外だった。
231鬼女の独り語:2009/07/24(金) 22:46:29 ID:???
最も、アタシの結婚が遅れたのはアタシに原因が有る。
今のダンナである碇シンジは、かなり早い段階でアタシを守る決心をしてくれていた。
それは、アタシも解っていた。でも、シンジの心にはあの女が居るのも確かなのだ、
それがアタシには許せなかった。結局、それはアタシの単なる我儘でしか無かったのは
解っていたが、如何しても許せなかったのだ。

結局、アタシは大人になれなかったのだ、むしろ、大人に成る事を拒否していたのか?
それが、体の成長まで止めていたように思う。ずい分、シンジを傷付けたと思うけど、
シンジはアタシを待ち続けてくれた。やはり、カレはあの戦いの中で成長していたの
かも知れない。そででなければ、こんな傷ものの女を包むのは不可能だ。カレの優しさは
強さの裏返しかもしれない。

そう言えば、仕事の話を相談するのもアタシを気遣って居るからなの?考えてみたら
どちらも同じようなことや、比較的簡単に答えが出るようなことばかり聞かれている気がする。
それなのに、アタシは良い気になってサイコロ振ったりして居たんだ。カレの思いを無にしていた
最低の女だ。

「ママ。」
レイが突然アタシに声をかけて来た。
「ママ、へへへへへへ。」
必死に、笑顔を作っている。アタシの不安を感じたんだ。本当に敏感で良い娘だ。
「大丈夫、何でもないよ。」
アタシは娘に微笑み返す。
232名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 22:54:53 ID:???
支援
233鬼女の独り語:2009/07/24(金) 22:55:54 ID:???
「そうすると、あれか?今日の食事はセンセイやのうて。」
「ええ、アタクシが作りました。」
また、トウジがちょっかいを出してきた。
「そりゃ、残念や。」
そう、ダンナの料理の腕前はアタシなんか比べ物に成らない位に上手いのだ。しかし、
それをはっきり言うのは失礼だろ。仮にも、専業主婦が料理下手っていう欠点を
えぐる必要はない。

「そういえば、最近、子供連れてこないわね。」
アタシは話題を逸らしにかかった。しかし、相手は一枚上手だった。
「ああ、大きゅうなたしな。それに、美人のオバちゃんに会えるのは嬉しいけど、
あのオバちゃんは本性が怖いんで近寄りたくないんやて。」
「わ、悪かったわね。どうせ、アタシは凶暴ですよ。」
ついに、キャパの少ない堪忍袋が一杯になってしまった。
「だけどね。人の事あげつらって、アンタはどうなのよ。」
234鬼女の独り語:2009/07/24(金) 22:56:46 ID:???
続きは、明日
235名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 23:14:57 ID:???
GJ!なんか新しい感じで好きだなぁ
しかしゲンドウのキャラww
236名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/24(金) 23:46:26 ID:???
GJ!こういうの大好きだわ!
明日が楽しみになった!
237名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/25(土) 01:41:51 ID:???
何だか奇妙な魅力があるFFですね
238鬼女の独り語:2009/07/25(土) 06:22:16 ID:???
「うぁーん、こんなのママじゃない。えーん、えーん。」
しまった。家庭では本性を隠して貞淑な妻をやっているお陰で、レイはアタシの
怒り狂う姿を見た事がない。そこに持ってきてのブチ切れモードだ、娘には相当
ショックだったみたいだ。完全に怯えている。
「ごめんね。ごめんね。ママもう怒って無いから機嫌直してね。」
アタシは娘を抱き抱えると、必死にあやしにかかる。
「なんや。家では、ホンマ大人しゅうしとるんやな。もっと、暴れているのかと思っとたわ。」
「あんた、ばかぁ。この状態でよくそんな事、い....。」
「あーん、バカなんて言っちゃだめなんだよ。バカって言った方がバカなんだよ。」
「そ、そうね。ママったらほんとうに悪い子ね。もう、バカなんて言わないから。許してね。」
「そうや。その通りや、娘に言われるようでは、終わっとるな。」
トウジはこっちが手を出せないのを良い事に、攻撃を続けて来る。何て卑怯な男だ。
今度会ったら、絶対に殺す。

「もう、いい加減にしないさい。」
ヒカリがうしろから、トウジの頭を思いっきり殴ってくれた。ナイスホロー、アンタは本当の
親友だよ。
「なにさらす。亭主に手を上げるとはなんちゅう、妻や。」
相変わらず前時代的な男だ。そもそも、状況を読まないアンタが悪いんだろうが。
「はぁー、アスカが困ってるのに何時までも変なチョカい出す方が悪いんでしょ。」
夫婦喧嘩が始まった。それを見た、レイはこんどはそっちが怖く成ったみたいだ。
「ダメ、ダメ。けんははダメ。」
レイは泣きながら、止めに入る。
「おお、悪かった、もうケンカしないから堪忍な。」
「そうよ。ほら、仲直りするからね。」
流石に、自分が原因で泣かれていると、ケンカ所では無くなったので
一緒にナダメにかかってくれた。
239鬼女の独り語:2009/07/25(土) 08:16:16 ID:???
大泣きしていたレイが何かに気づいたのか、泣きなやんで空を見上げた。
「あれ、パパだ。」
そう言って、空の一点を指さす。
「お、来たか。」
「マジ、来たの?」
最初に反応したのは、ケンスケとユリコだ。慌ててカメラを用意する。
「何処?」
アタシは、娘の指さす方向に目をこらす。あ、居た。

「あれは、もしかして、新型じゃないのー」
「あ、そうみたい。MV30R、ロールスロイスのエンジンを積んだミツビシの新型VTOL機。
まぁ、使徒戦以来から使っているYAGR-3Bでこんな所に来られたら迷惑ですもの。」
「へー、アスカさん詳しいんですね。」
「当たり前だよ。アスカはエヴァパイロットの前はユーロ空軍のエースだたんだから。今でも
乗れるんだろ?」
「あ、でも今持ってるのは民間ライセンスだけだよ。流石に、戦闘機には乗れないわ。」
「飛行機の免許って金かかるんとちゃうんか、全く、センセイは嫁の道楽に幾らつかとんねん。」
「し、失礼ね。いざと言うときに飛行機の操縦が出来れば、碇の役に立つと思っているだけよ。」
何の良いわけにも成ってないよね。どんな時に、ダンナの為に航空機を操縦するチャンスが
在ると言うんだろうか。まぁ、トウジの言う通り趣味以外の何物でも無いわ。
「でも、カッコいいじゃないですか。美人パイロットって、しかもワタシとそんなに変わらない位
小さくて、華奢な女性ですよ。ドレスなんか着ながら操縦したら絵になりそう。」
そんなマンガみたいな事有るわけ無いでしょ。危うく、「あんた、ばかぁ」と言いそうに成る。
240鬼女の独り語:2009/07/25(土) 09:01:31 ID:???
「やめとき、この女本気にしよるで、こないだ車、買い換えたばっかりやし。」
「ギク、あれは、フェラーリだと後部座席が狭いので、チャイルドシートが
邪魔になるからよ。あくまでもレイの為よ。」
「そいで、真っ赤なベンベかいな。普通はミニバンやろ。」
その通り、最初はミニバンにする積りだった。所が、走りのトロさが気に入らず。いつの間にか
BMWを買う羽目に成ってしまった。ダンナは笑って許してくれたけど、本当は自分も
運転できる車の方が良いに決まってるのにね。
更に、自分の乗る車は赤く塗らないと気が済まない。結局、アタシはエヴァパイロットのから
全く抜けきって居ないのだ。あの碇司令まで別の道を歩んで居ると言うのに。

「ここまで、来てこれだけ静かなのは凄いわね。流石、自家用を目的に住宅地にも
降りれるように設計されてるだけ有るわ。」
自分の目の色が変わっているのが自覚できる。
「あ、どうです。あれなら、近所迷惑に成ら無いし。真っ赤に塗って。」
そう言う事言わない。本当に欲しくなるから。
「止めとき、アスカが買って言えば、センセイは何でもこうてまう。ちったぁ、自覚せいや。」
「あ、うん。」
全く、その通りだ。自分は古い車に乗っても、嫁専用に高級車を買い与えるダンナが他に
居るだろうか?そう言う優しさに甘えて、すき放題やってるアタシ。もっと、ダンナに感謝しないと。
241鬼女の独り語:2009/07/25(土) 09:35:30 ID:???
VTOLから、ダンナが降りて来た。アルマーニのスーツを張っと着こなしたダンナは
やっぱ、カッコいいわ。高級スーツが高級に見えるのが良い。
しかも、アタシの言う事は何でも聞いてくれる優しい男。世界の救世主にして、
再生者なんて地位の人間は他には居ないだろう。そんな男の嫁に成れたアタシは
世界で一番幸せなシンデレラだ。
そう、アタシの人生は決して幸福では無かったけど、今は世界で一番の幸せを手にれた。
シンデレラだって、王子様と結婚するまでは不幸だったんだ。だから、不幸が多いほど
幸せの素晴らしさは大きく成る。

「やぁ、遅くなってごめんね。」
娘と一緒に手を振りながら、この幸せが永久に続く事を願っていた。


LASと言うより、タイトル通り単なるアスカの一人ごとに成ってしまいました。
キャラを出し過ぎ感も在りますね。
楽しんで頂けましたら幸いです
242名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/25(土) 09:59:56 ID:???
GJ!
なんかシンジとの絡みが無いから寸止めされた気分だわw
でも良かったよ〜
243名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/25(土) 10:09:04 ID:???
GJ!!
レイちゃん可愛いw家族の前でキャラ作ってるアスカは、ユニークでもあり悲しくもあるなぁ
244名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/25(土) 11:06:45 ID:???
ゴッドジョブ!!
次は甘LASとか書いてほしい
245名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/25(土) 12:02:19 ID:???
鬼女なんて題だから
おっかなびっくり読みましたがGJ
また書いて欲しいです
246名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/25(土) 12:51:32 ID:???
>>245
既婚女性→既女→鬼女
因みに
独身男→独男→毒男
247名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/25(土) 14:21:53 ID:MH3Uml9J
ゴッドジョブ
248if :2009/07/26(日) 13:42:03 ID:???
どうも、はじめまして
シンジ君の性格と3号機事件を僕なりに350度大きく変えました。
たぶん反感を買うと思いますが
楽しんでください
249名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 13:45:53 ID:???
>>248
つまり大して変えてないのねw
楽しみにしてます
250if :2009/07/26(日) 13:47:12 ID:???
「あれが使途、あれはもしかして3号機か?この機体と同じエヴァじゃないか!!」
「いや、エヴァではない、3号機でもない、あれは使途だ。」
「ちょっとまて、もしかして、パイロットは鈴原トウジなのか」
「・・・・・・」
「答えろー!!!!!父さん!!!」
「そうだ」
「だがもう3号機ではない、使途だ。シンジあれを倒せ」
「フン、俺に命令すんじゃねー」
3号機だったものが向かってきた
「とりあえず、トウジを助け出さないとな!!」
初号機は3号機を腕を掴み地面に投げ飛ばし、3号機の背中に足を乗せた。
「トウジ、悪いけど我慢してくれ」3号機の両腕を掴み
バキバキ、ベリ、バキベリ、バキャヅッヤ
初号機は3号機の両腕を引き千切った
3号機の両腕からは赤い液体が噴出した。
マヤが画面を見て「うぅ」と口をふさいだ
ゲンドウは黙って見ていた
「これでよし、あとは、エントリープラグを取り出し、トウジを助けるだけだ」
エントリープラグに手をつけた、その時
3号機の背中から手が出てきた、そして初号機の首を絞めた。
「うぅぐがああああ、あああ・・・な・・ん・・だ・と」
初号機はその腕を掴み「くそぉぉぉ・・・うぅかぁ・・うっぐぐぎ・・・っこうなったら!!」
身動きが取れない
シンジは通信回線で2号機に呼びかけた
「アスカァァァァァァァァー!!!!!!!!!、聞けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇー」
その声に驚いたアスカは「なに!!シンジ!!」
「今から、・・・ぐはっ・・・こいつを押さえておくから、はぁっはぁっ・・
こいつのプラグを、ぐっ、・・かはぁっ、こいつの・・・・
こいつのー!!!!!エントリープラグを引き抜けえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
アスカに指示した
251if :2009/07/26(日) 13:48:33 ID:???
「分かったわ!!それまで持ち応えていてよ!!!。シンジ」
「おおよ」
2号機は初号機の状態を見つつ、3号機に近づいた
「見えたわ!、あれね」アスカが叫んだ
「そう・・っ・・だ。抜けェェェェェェ」
2号機が近づきプラグに手をかけた瞬間、3号機の両腕が再生して2号機の首を締め出した。
「なにぃぃl!!!!」
シンジは驚愕した
「大変です、初号機、2号機の生命維持に支障発生しています。両パイロット危険です!!」
「初号機の活動限界まであと3分を切りました。続いて2号機は2分30秒です」
「行かんこれは、どうする、碇」
「時間が無いか」
「おおおお、手をはなしやがれぇぇぇ」
2号機の首を掴んでいる3号機の手を初号機が掴み引き剥がそうとしていた。
「ぐくふぉぉ・・・アスカ、・・・の・・・首から・・手をどけやがれぇぇぇぇ」
「ぐぅぅ、はぁ、はぁ、シ・・シン・・シンジ・・私・・死んで・・・シンジ、助けて」
「アスカ、だめだ、諦めるな、今助ける、あぁぁぁぁぁぁぐぁああ」
初号機は、プログナイフを取り出し2号機の首を絞めている、手を切り落とした。
「シンジ!!はぁ、はぁ、助けてくれて、・・・ありがとう。死ぬかと思ったわ」
「俺・・は・・・死に・・そうだ!!」
「しかたない、初号機とシンジ・・・いや、パイロットのシンクロを全面カットしろ!!」
「カットですか?」
マヤは聞き返した。
「そうだ全面カットだ早くしろ!!そして回路をダミープラグにしろ」
「・・・・・はい」
「奥の手を・・・使うのか」冬月は聞いた
「ここでシンジに死なれては困る。それに、ダミーの性能も確認しておきたいだけだ」
ゲンドウはモニター映像を見ていった
突然苦しみから解放されコクピット内が赤くなった。「何だ、どうしたんだ」シンジは驚き尋ねた。
「父さんどうなってるんだ!!何をしたんだ」
「シンジ、お前はこんな所で死んではいけない、今は・・・少し休んでろ」
252if :2009/07/26(日) 13:50:09 ID:???
                  ダミープラグ始動
「何だ!!何故、勝手に動いてるんだ?何したんだ」
初号機は3号機の背中の手を折ってねじり、引き千切った
3号機の顔を掴み地面に叩きつけた。
「凄いシンジ、まだそんな力が」
「俺がやったんじゃない」
「だって・・・あんた」
「俺じゃねぇぇぇぇ!!!!!!!!」
初号機は3号機の首を絞め始めた
「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ」
シンジはレバーをガチャガチャと動かした
だが、どうやっても止まらない
バァキィぃぃィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ
3号機の首が折れた
「オォォォォォォヤァァァァァァァァァジィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!
やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
シンジが力の限り叫んだ
その叫び声がネルフ本部に響いた
マヤは震えていた
253if :2009/07/26(日) 13:50:51 ID:???
通信回線でアスカを再び呼んだ
「アスカー、聞こえるかぁぁぁぁぁぁ」
「今度は何!!」アスカは叫んだ
「2号機を初号機の後部まで寄せてくれ。
今、初号機とまともにやり合ったら
2号機まで巻き添えで潰されるかもしれない、ちょっとの間、時間稼ぎをしてくれ。
俺がその2号機に飛び移る。」
「無茶よ」
「無茶は承知だ、時間が無い早く」
2号機は初号機の背後に回り背中を掴み、2号機のエントリープラグを開けた。
「シンジ今よ!!!!、急いでぇぇぇぇぇ」
「いいのか、碇」
「かまわん、好きにさせろ」
シンジはエントリープラグ緊急開閉装置を開けた
シンジは2号機の腕をつたってエントリープラグ内に入った
「よ、シンちゃん、生きてる」
「アスカ、今は、笑えない」
「シンジ君、ご・ごめん」アスカは謝った」
アスカは、怒った顔のシンジは何回も見ている。でも本気で怒ったシンジの顔はアスカは始めてみた。
「怖い、・・・いつものシンジじゃない」アスカは呟いた
「アスカ悪い、ちょっと、操縦変わってくれ。」
初号機は2号機を弾き飛ばした
「えぇぇ?ちょっとシンジ、うわぁ!!」
「うわぁぁぁぁぁ」ドォオオオオンンンンン
山に激突した
254if :2009/07/26(日) 13:52:14 ID:???
「いたたたたたた、アスカ無事か?」
「うぅぅ、何とか」
シンジは操縦席に座り、2号機を動かした
「行くぞ!!アスカ」
「はい、シンジ」
初号機に向かって行く2号機
「シンジが2号機に乗るのもこれが二回目ね」
「へへ、そうだったかな」
「うそー、覚えてないのー?」
「覚えてるぜ!!そんなの、あたりまえだろぉぉぉぉぉぉ、相棒!!!」
「2号機のシンクロ率上昇中、行けるかもしれません」
マヤは叫んだ
初号機は3号機をグチャグチャに潰していた
「くそー止まれー」2号機は初号機を抱え込んだ
初号機は止まらない
シンジは「あれは」
エントリープラグを見つけた
2号機はプラグを掴みそのまま引き抜いた
「よしぃぃ」
シンジは喜んだ
255if :2009/07/26(日) 13:53:19 ID:???
だが、初号機によって弾かれた
「くそぉぉ」
2号機はエントリープラグを拾い上げようとしたとき
「エヴァ2号機活動停止」
2号機はその場に倒れた。
「止まるなァァァァァ、もう少しなんだよぉォォ」
シンジ、操縦レバーをガチャガチャ動かした
「シンジ、もう、だめだよ 動かないよ」
初号機はプラグを手に取り
シンジは画面を見ながら初号機の手を掴もうとした
「止めろ止めろ止めろ止めろ止めてくれ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ」
シンジは泣き喚いた
「シンジ」アスカは、シンジの肩に手をやった
止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ頼む
止めろ止めろ止めろ止めろ止めろやめてよー止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ」
初号機は手を握り締めた     (グシャャャャ)
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ」



256if :2009/07/26(日) 13:54:31 ID:???
「エヴァ3号機・・・いえ目標は完全に沈黙」
「3号機のパイロット確認」
「頭部裂傷、右足切断、左手切断、内臓破裂、全身打撲、頸部圧迫により死亡」


            2号機 エントリープラグ内
        
「いやだぁぁぁぁぁぁ、何でだ、うそだぁぁ!!トウジィィィ」
「シンジ・・・落ち着いて・・」
「トウジは・・トウジは、明日、・・・委員長と会う約束してたんだ。
・・・俺に、そう言ったんだ、俺はがんばって告白してこいって言ったんだ」
アスカは黙ってシンジの話を聞いていた
「トウジ、俺に何回も聞いたんだよ。[痛いのか、苦しいのか、怖いかって]
俺は[怖くないよ、大丈夫。トウジに何かあったら、俺が助けに行くから、
安心しなよ、]て、[でも起動実験だろ、大丈夫。実験だから、大丈夫だ、成功したら
トウジと一緒に戦えるんだ、安心して行ってきなよ。起動実験が終わったら、
いろいろ用意があるしね]といったんだ。
俺、おれ、アイツに、・・・・トウジに、俺が助ける大丈夫だと言ったんだ」
アスカはシンジの背中をさすっていた
「うぅぅうぅぐうううう、トウジィィ、助けるって言ったのにぃぃぃ
俺が・・・」
「もうそれ以上言わないで!!、自分を責めないでシンジ!」
「ぐうぅぅくぅぅぅぅ、俺が・・・殺した」
「もう・・・もう・・・泣くの・・やめて・・よ・・・」
「何でだよ・・・ぐうううぃうく、何で、・・・・なんで・・アスカまで・・どうして
泣いてるんだよぉぉぉ」
「私だって・・うぅ、・・ヒカリの話を・・一緒に帰る時に、
嬉しそうな話を・・・お弁当鈴原君に食べてもらうって話、聞いてたんだから・・・」
シンジは、アスカの胸で泣いていた。アスカはシンジの背中で泣いていた
257if :2009/07/26(日) 14:08:36 ID:???
以上です
258if :2009/07/26(日) 14:42:46 ID:???
まあ、うまく書けたかな、これは3号機事件のプロトタイプです
他の人たちはエヴァの話をどう料理してくれるんだろうか
では、さようなら
259名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 14:43:43 ID:???
×使途
○使徒
260名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 15:00:49 ID:???
・・・('A`)
261名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 16:10:47 ID:???
つまんねwww
262名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 16:16:29 ID:???
シンジ君が俺って言うのは...。
どうせ、FFやるなら、助かる方が良いかな?
263名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 16:32:50 ID:???
まあまだ若いんだろうからこれからに期待って事で、な。
だって多分小学生か中学生だろ?書いてるの。
264名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 16:59:47 ID:???
こんなの掲示板に晒して「まあ、うまく書けたかな」なんてよく恥ずかしげもなく言えるな……
265名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 17:32:49 ID:???
「シンジ君の性格と3号機事件を僕なりに350度大きく変えました。」
ほとんど変えてないってことね。

内容は掲示板とはいえ投下前にもう少し推敲しましょう。
266名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 18:07:24 ID:???
こんなに文末が「た」で終わる文章久しぶりに見た
267名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 18:11:32 ID:???
おまいら、厳しいな。
268名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 18:18:18 ID:???
ちょっと感想書きますね^^



「てにはを」ちゃんと使え
「始めて」→「初めて」な
「。」ついたりつかなかったり
「〜た」とかテンポ悪い
神視点なら「でも」とか口語体使わない方がいいべ
「グシャャャャ」とか安易な擬音はあんまり使わない方がいい。安っぽく見える
小説よか報告文みたいで淡白だからつまらん
シンジ叫びすぎ、うざい
アスカ優しすぎ&シンジDQNで厨二の妄想くせえ

推敲しろ、本読め、文書いて練習せえ、好きな作家の文体真似して書いてみてから自分の文体見付けろ、しっかりプロット組め

まだあるかも知れんが、まあこんな感じか
gdgd長文スマソ
269名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 18:29:47 ID:???
作者さんへ

内容が賞賛か、指摘かは置いといて
こんだけレスがあると言うのはすごい事だと思いますよ
なかなかレスが付かない自分としては特に

みんな読んでるって事だし、それに、レスの数倍、数十倍は読んでる人いるからね

なんで、へこたれないで頑張ってくださいな
書かないとうまくなれないからね
270if :2009/07/26(日) 19:22:12 ID:???
俺もはじめから読み返したら、確かに「た」ばかりだ
何も考えずに思ったことを書いたから
これで俺の気がすみました
ご指導ありがとうございます
271名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 21:09:57 ID:xRskhkWv
とりあえず思ったことを書きなぐる。

それを一晩寝かす。

翌日、冷静になった頭で内容を再チェック。

気にくわない部分を徹底的に書き直して、納得できたら投稿。

おいらLARS書き歴3年だけど、作品は公衆の面前に晒すものだからこれくらいはやってるYO。
モノを書くのに慣れないうちは下手くそなのは仕方がないし、それは開き直ってもいいと思う。
ただ文章の上手さは、これまで書いてきた文章の量に比例する。
君も、もう50kb-100kbほど書けば普通に読める文章になると思う。
これに懲りずに書き続けたらいいよ。次回作に期待。
272名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 22:06:32 ID:???
>>271
凄い真面目だね。俺、下書き
無で書いてるわ。見習わないとね
273名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 22:23:09 ID:???
>>272
271じゃないけど、ベーシックな書き方じゃね
一気に書くと、乗ってるときはスラスラ掛けるけど、痛い内容になってる事多いし
推敲する事で、自分の不甲斐ない所確認出来るから、次に生かせるし
ってスレ違いのレスごめん
274名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 22:46:54 ID:???
このスレの住人をここまで歓喜させるとは>>248の才能には頭が下がる
275パッチン:2009/07/26(日) 22:50:32 ID:???
久しぶりの外の世界…
空はあの日浜辺で見上げた時とは別世界のように青かった。

アスカの結婚式当日、僕はネルフから出ていき3年ぶりに外の光を浴びる。
ちなみにネルフを抜け出す時、施設内は何故か無人で僕は誰にも会わずに出口に辿り着けた。
「みんなアスカの結婚式に行ったのかな…?」
派手なこと好きなアスカなら、日本中の人を出席させてもおかしくないな…などと考えながら僕はATフィールドに身を包み、フワリと空を飛ぶ。
なるべく人に見つからないよう高く高く上昇する。

風が気持ちいい…。

かなり復興している街を上から見渡せば、歩く人の姿もかなり多いことがわかる。
「よかった…」
気がかりだった帰還者の数もあの様子なら大丈夫かもしれない。

少し街を見渡した僕は教会にむかうため、方向転換して風を切る。
暖かい光をいっぱいに浴びて、僕はスッと目を閉じる。
こんなに外の世界は良いものだったのかな?
流れる風に体を撫でられ、閉じこもっていた自分の中の何かが軽くなっていくように感じる。
空中散歩をする僕はふんわりとした気持ちに酔っていた。

そして目を閉じて空に流れていた僕は



目の前に突如現れた弐号機に全く気付けずにいた。
276パッチン:2009/07/26(日) 22:51:32 ID:???
「うわっ!」
自分のおかれた状況を理解出来たのは、巨大な指に着古したジャージの首を摘まれた時。

・・・つまり逃げられなかったということ。

「な、な、な、な…」
久しぶりに陥るパニックという心理状態。
僕は両手両足をばたつかせて空中を必死でもがく。
その時・・・

「シンジや!!」

グルグルと回る僕の胸を制止させる聞き覚えのある大声。
バッと見下げれば、教会の前に集まった何人もの人々。
叫んだのは・・・トウジだ。

「あ、あ…」
おそらく顔色はかなりおかしくなっているであろう。
血の気が引いていく僕はゆっくりと地面に下ろされていく。
そしてトウジの声に反応した周りの人達が続々と僕を見る。

「シンジ君!?」「碇君…」「シンジ!」

次々とあがる僕を呼ぶ懐かしい声。
そしてそんな声をかき分けるように響く・・・あの声。

「ほ…ほら!ほらほらほら!!バカシンジが来たわ!!
バカシンジ!!世界一のバカシンジ!!ヤキモチやきのバカシンジよ!!」

大声をあげたアスカは間もなく地面に下ろされる僕にむかって走ってくる。

真っ白なウェディングドレス姿に身を包んだアスカは、その顔をクシャクシャにして…泣いていた。
277パッチン:2009/07/26(日) 22:52:34 ID:???
教会の広い広い庭に集まった人々をかきわけ、走りにくそうなドレスを引きずり、でもとんでもないスピードでとんできたアスカは・・・
「シンジっ!!」
まだ地面に降りきっていない僕の膝元に抱きついて…絡みついた。

「あ、あああ、アスカやめてよ!」
「黙れ!!」
「ひゃい…」

一喝され、情けない返事をあげた僕の足を抱きしめていたアスカは、僕の体が地面に近づくたびにズルズルよじ登るように抱きつくポイントを上げていく。
「アス…カ…」
「ふふっ♪」
そして僕が完全に地面に降り立ったことを確認すると、ここが定位置と言うように頬と頬をすり合わせる。

「・・・アスカお願いだからやめてよ…。僕の体のこと知ってるだろ…?」
「だから何よ。今現在アンタの体に危険な部分なんて1つもないわ」
「で、でも…!」
「仮にATフィールドが発生しても、弐号機が中和してくれるわよ
・・・それに」

少し顔を離し、間近で僕を見つめるアスカ。
その顔はドキリとするほど綺麗で、僕は少し顔を背ける。

「それに・・・なに?」
「ふふん、アンタ全然嫌そうじゃないんだもん。アタシに抱きつかれて」
「…っ!」
「逃げてもいいのよ?その両手離して」
278パッチン:2009/07/26(日) 22:53:35 ID:???
そう言われた僕は、初めて自分がアスカの背中に『その両手』をまわしていることに気付いた。
「ほら、離してみなさいよ♪」
「うぅ…っ」

・・・もっと、と言わんばかりに更に引き寄せる僕の両手。

「ふふ、アタシを抱きしめられて嬉しいんだ?」
「ふにゅ…っ」
「変な声出さないの!」
片手で僕の頭をワシャワシャと撫でるアスカ。
乱暴に揺らされる僕の頭は、僕の目に溜まった涙を勝手にボロボロとこぼさせる。
「あはっ、泣いてやんの♪」
言ったアスカもボロボロと泣いていた。

触れる他人が温かいって、僕は触れるまで気付けなかった。
ううん、本当は知ってたのかもしれない。
冷たい場所にずっといて、エヴァに乗り始めて、他人の温もりに触れて、そして他人に裏切られて…
そしてまた冷たい場所に入り込んだんだ。

「アスカぁ、僕…ごめんよ…」
「バカね。謝る意味がわかんないわよ」
「僕…1人でいいんだと思ってたんだ。みんな…僕が嫌いだから、って…」
「バカね。アンタが勝手にそう思ってるだけじゃない」
「でも…」
「嫌われてるヤツの晴れ舞台に、こんなに人が集まる?」
279パッチン:2009/07/26(日) 22:54:42 ID:???
そう言ったアスカは、教会前に集まったみんなの方を見るよう僕に合図する。
抱きしめていた手をほどき、そちらを見る。
「お、もう再会のラブい抱擁合戦は終わりかいな」
「トウジ…」
懐かしい笑顔で、手を振りながらこちらにむかってくるトウジ。
気まずくて僕は一歩後退する。が、後ろのアスカに押されて二歩前進させられる。

「久しぶりやなシンジ。晴れ舞台にジャージで登場するとは、センスあるで」
「トウジ…あの…」
「足か?義足やけど、いっちょ前に動くで」
トウジはニカッと笑いながら僕の頭をポンポン撫でる。
「あの、あの…あの時は・・・ごめん」
「なに謝ってるねん、謝る理由なんかないで?初めて会った時以外でシンジを恨んだことなんか一回もない」
そう言われた僕の、溜まっていた涙がまたボロボロと溢れる。
僕の頭にあった右手を下げたトウジは、パーを作って僕にさしだす。
「おかえり、シンジ」
「ありがとう…トウジ」
ギュッと握手すると、トウジはすぐに手をほどき、サッと後ろをむいてしまった。

「シンジ!!」
「碇君おかえり!ほら鈴原ハンカチあげるから泣かないの!」
ケンスケと洞木さん…。
280パッチン:2009/07/26(日) 22:55:58 ID:???
「シンジごめんな、あの時俺…お前の気持ちも知らないで…」
「ケンスケ…謝らないでよ」
「なに鼻までたらしてるのよ鈴原!」
「あ、アホ!男が泣いてる所見るんやない!」
「あはは、泣いてやんの!」
僕の前で頭を下げるケンスケと、困る僕と、泣いてるトウジと、世話役委員長と、爆笑アスカ。

一時間前までいた暗闇とは比べものにならない賑やかな空間。
本当に同じ世界なのかと疑いたくなるようなこの空間は、僕の心をアッサリと温めていく。

こんなにも単純なのかと疑問に思うほど…本当にアッサリと温めてくれる。

「碇君…」
「え…?」
ハッと振り向けば綾波がいた。
「おかえり碇君。ずっと待ってたのよ」
ヤシマ作戦の日を思い出させる、微笑みを少し浮かべた綾波は、両手を広げて僕を誘いこむ。
「あ、あやなみ・・・イタっ!」
そのまま再会の喜びに任せて、フラリとむかおうとした僕の体を止めたのは右耳をつままれる痛み。
「アンタなに花嫁ほっといて、他の女抱きしめようとかしてんのよ!」
「い、痛いよ引っ張らないでよぉ!」
「…セカンドのケチ」
むすっとした表情を浮かべながらこちらに自ら足を運ぶ綾波。
281パッチン:2009/07/26(日) 22:57:21 ID:???
「ファースト!言っとくけどコイツはアタシの結婚にヤキモチやいて、来たんだからね!
だからコイツはアタシしか見てないの!」
「わかってるわ。碇君も趣味が悪いけど…仕方ないもの」
えらく毒を吐く綾波に少しキョトンとしていた僕だけど、今のアスカのセリフでハッと思い出した。
「そ、そうだよ!そういえばアスカの結婚相手は…!」

「シンちゃあああん!!」

「むがっ!」
言いかけた僕に、突進してきて言葉を遮った1つの影。

「あああああ!ミサト!」
「シンちゃん久しぶりね!お姉さんに会えなくて寂しくなかった?」
「み、ミサトさん…」
「シンちゃん…大きくなったわね。前はあたしの胸くらいだったのに…」
耳元でそう呟かれ、初めて僕は自分の背が伸びたことに気付いた。

こんなことにも気付けない生活を送っていたのか僕は…。

「シンちゃんごめんね…。寂しかったでしょ…ツラかったでしょ」
「ミサトさん…」

「ひ、ヒカリにファースト離してよ!」
「ダメ、感動の再会中よ」
「ここは流石に我慢しなさいアスカ!」

後ろから聞こえる会話に少し苦笑いした僕は、僕を抱きしめてくれているミサトさんの背中にゆっくりと腕をまわし、抱き返した。
282パッチン:2009/07/26(日) 22:58:23 ID:???
「ふふ、今抱き合ったら変な感じね。恋人同士みたい」
「からかわないで下さいよミサトさん…」
「・・・ごめんねシンちゃん…。1人ぼっちにさせて…」
「ミサトさん?」

両手を更にしめ、僕を強く抱きしめながらミサトさんは謝る。

「なんで…ミサトさんが謝るんですか?」
「あたしが還ってきたのは2年前で…その時にはシンちゃんはもう1人になることを選んでたのよね?」
「…はい」
「そのことをきいたのは、ネルフに戻ってきてすぐだったわ。・・・でね、その時あたしビックリしなかったの」
「・・・・・」
「ああ多分こうなるだろうな、って心のどこかで思ってたのかもしれない…。
それでね、あたし多分そのまま諦めてたんだと思うの…シンちゃんは二度と出てこないんだろう、って。
シンちゃんが味わったこと、平和になってから考えたら…異常としか言いようがない、ツラいことばかりだもん」

ミサトさんは僕を抱きしめる手をほどき、僕の肩に手を添えて真っ直ぐに僕を見やる。

「でもね、あたし間違えてたわ。今実際にシンちゃんはここにいる。
奇跡は起こしてこそ価値があるもの。
今回はシンちゃんを想うアスカの奇跡に完敗ってわけ」
283パッチン:2009/07/26(日) 22:59:42 ID:???
「アスカが僕を…?」
「そうよ。あの子ずっと右手と左目が悪くて、長期入院してたの。完璧に治すためにね」
「み、ミサト!アンタ余計なこと言わないで…もがもが」

綾波の手がアスカの口を封印する。

「でね、自分が入院してる間、絶対に誰もシンちゃんの所に面会に行かすなって関係者全員に命令したのよ
自分が昔と同じ姿に戻って、初めてシンジに会いに行く!って言ってね」
「な、なんで…?」
「シンちゃんが大好きだからよ♪」

もがーっ!という叫び声が聞こえた。

「アスカが…僕を?」
「そうよ。今日のシンちゃんとの結婚式に挑むにあたって、完璧な演出施したのよあの娘も」
「ぼ、僕との結婚式!?」
「あ…そういえばまだネタバラシしてないじゃない…アスカ!」

先ほどまでモガモガ言っていたアスカは抑えられていた手をほどくと、小さく咳払いしてこちらに来た。
顔は真っ赤だ。

「アスカ…」
「まーその、あれよ。アタシのフィアンセを紹介するわ」
そう言うとアスカは小さく手招きをする。
するとトコトコとやって来た『彼』は、ヒョイとアスカに抱きかかえられた。
「コイツが寂しがりでさぁ〜。アタシが家から出る時、いつもすねるのよ♪」

「ペンペン…」

呟いた僕に『彼』は、サッとドッキリ大成功の小さな看板を差し出した。
284パッチン:2009/07/26(日) 23:01:05 ID:???
「この演出をさんざん練習させられてなぁ。
で、本番になったら『しんじぃ〜』言うて演出無視して飛び出すねんで?」
「よ、余計なこと言わないでよジャージ!」
「よっぽど嬉しかったのねアスカ♪」
「ひかりぃ〜」
トウジと洞木さんに遊ばれているアスカを眺めながら、しばらく僕は呆然としていた。

僕とアスカが…結婚。アスカが僕のことを好き…?
じゃあ・・・じゃあ僕は・・・

「おかえりシンジくん♪」
「ひゃいぁ!!」
考えこんでいた僕を背後から抱きしめる、ビシャビシャの腕。
「ふふ、誰だかわかるかい?」
「フィフス!今いいとこなんだから勝手に出てくんじゃないわよ!…ていうかアタシのシンジに触るな!!」
「・・・いぢわるだなぁ惣流さんは」
「か、カヲル君…なの?」
解放された体を振り向かせると、そこには黒いプラグスーツに身を包んだカヲル君が…確かに存在した。
「ああ、この格好は弐号機を操作してたからだよ。酷いと思わないかい?すごく損な役回りだと…」
「カヲル君!」
「おっと…」

言い終わる前に、今度は自分からカヲル君を抱きしめにいっていた。

「ちょ、ちょっとシンジ!」
「まぁまぁ〜男同士の抱擁くらい大目に見いや」
「ば、バカじゃないの!?あのホモが一番の危険人物なのよ!」
285パッチン:2009/07/26(日) 23:03:56 ID:???
アスカの怒声が耳に届き、慌ててまわした両手を離す。
「なんだ、もっと抱きしめてくれていいのに。僕は何日だって平気だよ?」
「はは…」

爽やかに怖いことを言ったカヲル君は、顔を真面目にするとスッと右手で僕の頬を撫でる。

「ツラかったかい?」
「・・・うん」
「でも、もう大丈夫だよ。みんながいる」
「カヲル君、僕のこの力は何なの?なんで…こんな…」
「シンジ君」
「今、みんながいるのが凄く嬉しいんだ…でもまだ怖いんだ!
きっと僕はまた他人を嫌いになってしまう!他人に触れることで僕はまた…」

ィンッッ!

そう言った瞬間、再び僕とカヲル君の間に、心の壁が発生する。
「あ…」
「シンジ君。君は何か勘違いをしているよ」
「勘違い…?」
「君のATフィールドは…君が他人を嫌ったり、他人を殺そうとして生まれるものじゃあない」
「どういうこと…?」

「この心の壁が守ろうとしているのは『他者から向けられる刃』ではなく、
『君が自らに向ける刃』から君を守ろうとしてるんだ」

「僕が…僕に向ける刃…」
「自分を好きになっておくれシンジ君・・・きみなら出来るよ
愛する人と一緒にね」
そう言って微笑んだカヲル君。
その笑顔と僕の間にあった心の壁は、ゆっくりと霧散していった。
286パッチン:2009/07/26(日) 23:05:32 ID:???
「ようはアンタのその内罰的な性格を直せってことよ!」
「い、痛っ!」
後ろから僕の頭をグリグリするアスカは、耳元でそう言った。
「ふん、安心しなさい!これから先は一生、アタシがアンタを見張っててあげるから!」
「え…それって…」
「ツンデレだねぇ。素直に『離れたくない』って言えない生き物なんだね彼女は」
「う、うるさいのよ!・・・はぁ、鈍感馬鹿のせいでウェディングドレス着て、こんなこと言うハメになるなんて…」

ガックリ肩を落としたアスカは僕の正面に立ち、スッと右手をむける。

「ほら…早く連れ去ってよ」
「つ、連れ去る?」
「馬鹿!アンタ、アタシが他の男と結婚するのに嫉妬してきたんでしょ!
そんなアンタがすることはただ1つ!」
「あ…。う、うんごめん!」
慌てて僕はアスカの手をソッと握る。

「・・・僕は…僕が嫌いだ、でも好きになれるかもしれない。
ねぇアスカ…僕はまだ君のことを好きなのかハッキリわからないんだ」
「バカ…アンタ自分を好きになれないクセに、他人を好きになろうなんて無理よ」
「うん。だから僕は僕を好きになるよ。そしてアスカに胸をはって…好きって言いたい」
287パッチン:2009/07/26(日) 23:07:14 ID:???
「はぁ〜あ!本当は今日みんなの前で、アンタとアタシの結婚式やるつもりだったんだからね!」
「わ、わかったよごめん…」
「ったく!じゃあサッサと連れ去ってよ!いつか必ずこの日の続きやるからね!」
怒るアスカに苦笑いしつつ、彼女の手を引き、ソッと抱きしめる。
「案外すぐかもしれないや。アスカと一緒にいれば」
「あ、アンタ馬鹿ねやっぱり!」

「結婚式まだやのに、夫婦喧嘩はやめや〜」

「「・・・」」

しばしの沈黙のあと、僕はヒョイとアスカを抱っこしてATフィールドをいっぱいにはる。

「じゃあ…連れていくよアスカ」
「はいはい。とりあえず婚前旅行にしましょうか」
「どこがいい?どこでも行くよ」
「う〜ん・・・とりあえず沖縄!修学旅行を取り戻しましょ」
「オッケー」

フワリとアスカを抱えながら、僕は空を飛ぶ。
僕の首に腕をまわしたアスカは幸せそうに目を閉じる。

ああ多分…この人といれば大丈夫だ。
僕は僕を傷つけたりしない。
理由の無い安心が僕を包んだ。

下を見れば僕を応援してくれるたくさんの人達。
声なんて聞こえないくらいの高さに昇ったはずなのに、僕にはみんなの言葉がきこえた気がしたんだ。

『おめでとう』
288パッチン:2009/07/26(日) 23:09:08 ID:???
ちょっと長々書きます…

まずお久しぶりです。
前スレの続きです。覚えてる人いるのかなぁw
本当は映画公開前に終わらせたかったんですけど、書き終わらなくて断然。
で、映画見に行ってその勢いのまま書いてやろうと思って公開2日目に見に行ったんですが…興奮しすぎて書けなくなる事態にw

本当に凄かったですね破!EOE以来ですこんな衝撃。
正直、あまりにハマりすぎて変な書き込みとか見て嫌な気分になるのも嫌だから、エヴァ板すら来なかったですし。
ちょっと熱も冷めてきたので、ようやく書ききれました。

SS界にはシンジが凄い力手に入れて、大暴れしちゃう話がよくありますが、
本当のシンジは凄い力手に入れたら誰かを傷つけるの怖がって引きこもっちゃうんじゃないかなぁ。
でも最後はアスカやみんなに励まされて出てきてほしい。
っていう思いで書いたんですけど…新劇のシンジは神の力手に入れちゃいましたね。
Qがどうなるか楽しみ。

そしてこのスレはじめ、LASスレが盛り上がってくれているようで嬉しいです。
自分もまたこれからチョコチョコ投下していきたいです。
おわり
289名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 23:09:41 ID:???
GJ!
書いてる人ってやっぱ凄いな〜
290名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 23:16:52 ID:???
おー、パッチン氏GJ!
291名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/26(日) 23:32:22 ID:???
GJ!!
292名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/27(月) 00:00:36 ID:???
もう続きないかもと
思っていただけにパッチンさんありがとうGJ
293名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/27(月) 02:20:03 ID:???
パッチンさんのって前スレの『あいたい気持ち』の続き?
294名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/27(月) 07:47:34 ID:???
YES
295名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/27(月) 18:22:48 ID:???
>>273
間違っていました。これからは、下書きをチャンと書きます。
で、今下書き中。今週中にはウプ出来るかな?
296名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/27(月) 18:26:41 ID:???
>>295
頑張れ〜
297293:2009/07/27(月) 20:37:12 ID:???
パッチンさんGJ!アスカの結婚相手がすごく気になってたんですよwよかったよかった。 これからも頑張ってください。
>>295
楽しみにしてますね!頑張ってください。
298if :2009/07/27(月) 22:38:56 ID:???
やっぱりプロは違うな
昨日、調子に乗ってサキエル話と
シャムシェル話を投下しようと思っていたが、やめて良かったよ
またこのスレが大惨事になるとこでした・・・いや俺か・・
この話はいいな。癒されるな
なんか元気が出てきた、明日も仕事が頑張れる。
みなさんお休みなさい
299名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/27(月) 23:53:37 ID:???
ifの駄作に引き摺られて、バッチンのもやけに拙くなったなw
300名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/28(火) 00:21:46 ID:???
何回も書いて何回も読んで上手くなるもんでしょ
301名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/28(火) 17:37:44 ID:???
仕事って小学生は夏休みだろ?
302名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/28(火) 18:07:24 ID:???
>>298
頑張れ。

無理にヤマやオチをストーリに盛り込まなくてもいいから、まずは、日本語的に違和感の無い文章をつくるとこから始めるのだ。
あと、キャラの性格、台詞、行動には一貫性を持たせるように。
書くこと自体に慣れていない今は、まだキャラの性格を変更するような冒険はしないで、あくまで原作に準拠してやったほうがいいかもね。
303if :2009/07/28(火) 18:29:55 ID:???
また近いうちに投下します
アスカ、シンジ、レイ話
前の駄作と違う話を、今考え中です
たとえ駄作といわれようと、自分流で書かしてもらいます
299さん、駄作ですいません
300さん、絶対に旨くなって見せます、ありがとうございます
301さん、ワシは小学生と違うわ
302さん、ありがとうございます
以上です
ありがとうございます
304名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/28(火) 18:38:20 ID:???
>>303
アンカーを付けろ。
嫌ならば、帰れ
305名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/28(火) 18:44:50 ID:???
>>303
もしかしてノンジャンル小説スレで連載してる人?
こっちにまで足伸ばさなくていいから、あっちでスルーされないようになってから来てよ
あっちだとダメ出しすら貰えてねえじゃん
306名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/28(火) 20:06:36 ID:???
ノンジャンル見てきたけど酷いな…
投下前にあんなに自分語りする書き手、初めて見たw
307if :2009/07/28(火) 22:32:33 ID:???
突然ですが
投下します
これで最後にします
では投下
308if :2009/07/28(火) 22:34:05 ID:???
あらすじ
エヴァ3号機、起動実験成功
その代わりJA号が使徒に乗っ取られる
そして、シンジ、アスカ、レイが使徒を倒す
シンジ、レイ、ゲンドウの食事会、一応成功する

               1週間後
そのお礼として、シンジ、アスカ、レイ、ぺんぺん
なぜかトウジ、ケンスケと、シンジの料理でお食事会
「アスカ!!またピーマンとタマネギ残してる。ちゃんと食べてよ」
「うるさいわね、バカシンジ。あ・れ・ほ・ど・入れないでって言ったでしょ!!」
「いろいろ考えて、・・・一生懸命、作ったんだから食べてよ。アスカ!!」
「生き物は生き物食べて生きてるんです
・・せっかくの命は全部もれなく食べ尽く差なければいけない・・・これも同じことなの?」
と綾波はアスカの耳元で囁いた
「おいおい、あの綾波が、あの女に言い返しとるで。」
「なんか凄い光景だ」
「何よ!!、エコヒイキ!ケンカ売る気なの!!あんた、私に借りがあるの忘れたの?」
「・・・・・・・・ぽかぽか」
綾波は自分の席に戻った。
「ああ、なんやもう玉砕してもたな」
「最後の砦が」
「クァ、クァ」
309if :2009/07/28(火) 22:35:25 ID:???
もーいいよ、食べなくて」
アスカの皿を持って台所に行き、ピーマンとタマネギを食べた。
「あ、ちょ・・まって・バ・・カ・・シンジ・・・」
アスカはシンジを呼び止めようと手を出したが、すぐに引っ込めた。
「せっかく・・・おいしく作ったのに・・・」
シンジは不機嫌な顔をしていた
「もう、・・・うるさいわね、バカシンジの癖に」
アスカは堪らず自分の部屋に逃げ込んだ
          その夜
シンジは自分の部屋で寝ている
アスカも背中合わせで寝ている
「バカシンジ・・・寝てるの・・・ね」
「・・・なんだよ・・アスカ・・」
「昼間のこと・・・ごめん・・」
「別に・・・いいよ・・・」
「怒ってる・・・の・・・」
「怒ってない・・・」
「怒ってるじゃないの!!!」
「怒って・・・・もういい・・寝る、おやすみ」
「ごめん、明日から残さずに食べる。おやすみ、バカシンジ」
「ん、おやすみ」
シンジは目をつぶり、頬を緩ませた



310if :2009/07/28(火) 22:36:25 ID:???
では
さようなら
ありがとう
311名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/28(火) 23:13:42 ID:???
乙。ちょっとマシになった。
日本語的に違和感はあんまない。
ただ事実やセリフを淡々と書き連ねてる感があるね。
これだけだと物語に厚みが出ないから、次は各人の心理描写にも挑戦してみよう。
誰々はどう思った、どう感じた、みたいに。
このへんをバランスよく書くのはなかなか難しいから、他の小説をよく読んで勉強しよう。
312名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/28(火) 23:36:10 ID:???
いや、大分マシになったぞ。
これ位なら及第だ。
元々、投下の平均レベルが高くないしw
313311:2009/07/28(火) 23:49:12 ID:???
ネット掲示板のファンフィクションにそんなに高いレベルを期待する読者もどうかと思うけどな。

とにかく、物語の起承転結と最低限の心理描写ができてれば大丈夫。
ツッコミ所はまだ満載だけど起承転結はしっかりしてる。
数日でここまでまともになるとはなかなか。
ハードルはそう高くはないんだから、これで懲りずにまた来るべし。
314if :2009/07/28(火) 23:53:56 ID:???
どうもありがとうございます
今、シンジ君に戦略自衛隊に入隊させて訓練する話を考えています
最後は旧劇場に絡めようと思います
多分、投下はしません
いや、出来ない
では、おやすみなさい
今度こそ、さよなら
315名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/28(火) 23:58:05 ID:r3krama5
>>314
さよならなんて悲しいこと云うなよ。
べつに構わんから、出来たら投下しなよ。

ひとつアドバイスだが、長編を書くわけでもなく、自分の作品に自信がないうちは名前欄に何も入れないほうがいい。
名指しで煽られやすく、スレが荒れる原因になる。
316名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 00:01:00 ID:???
sage忘れたスマソ
317名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 00:14:31 ID:???
>>314
こういう分野だとキモは「いかにキャラクターの魅力を引き出すか」だと思う。
皆が「慣れないうちは性格改変は勧められない」っていうのはその辺ね。
今回、前回のものに比べて評価が良いのは
ちゃんとアスカにツンデレさせてたりシンジ君が主夫っぽかったりっていう
キャラクターを立てる工夫をしたからだね。
シンジ君を熱血俺様キャラにするって事は、キャラクターが本来持ってる魅力を捨てるのと同義だよ。

まあ今後も色々突っ込まれる事は多いと思うけど、懲りずに頑張ってくれ。
318名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 09:29:34 ID:???
今回のみたいなほのぼの系を何回か書いて練習したら?
そういうのに拒否感覚える人あんまいないから、投下しやすいと思うよ

ポカポカって言って去っていくレイはちょっとワロタわw
319名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 12:02:34 ID:???
まぁ、思い付きで書きなぐる作文はイラネ
320名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 12:15:45 ID:???
一体、作文の何が悪いのか。
FFなんて思い付きで書きなぐるものだろ。
構わん、続けたまえ。
321名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 13:26:08 ID:???
思い付きでもいいが、そのまま投下するのはイカン。思い付きから読めるFFに昇華させなきゃならんし、そこが難しい
少なくともif氏はまだまだ力不足
322if :2009/07/29(水) 18:32:04 ID:???
ありがとうございます
なんか書き始めると面白いな
また新しい話を書きます
シンジ、レイ、ゲンドウの食事会の話と
その後の第2回食事会を考え中です
期待しないで待っててください
以上です
323名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 18:46:03 ID:???
頑張れ〜
324if :2009/07/29(水) 20:29:24 ID:???
はい
途中まで出来ましたので
投下
325if :2009/07/29(水) 20:31:06 ID:???
エヴァ3号機、起動実験成功
その代わりJA号が使徒に乗っ取られる
そして、シンジ、アスカ、レイが使徒を倒す
その3日後、シンジ、レイ、ゲンドウの食事会

チャイムが鳴った
あわててドアを開ける
「こんにちは、綾波、・・招待状、・・見て来たんだけど」
シンジが招待状をレイに見せながら言った
「・・・いらっしゃい、・・・碇君・・あがって」
「お邪魔します」
シンジは玄関で靴を脱いで上がり、部屋を見渡して
「綾波の部屋に上がるの久しぶりだな、あの時・・・・あっ!!・・・」
シンジは余計な事を言いそうになり口に手をやった
「・・・そうね」
そして奥の部屋に案内された
「・・・ここに座って待ってて」
テーブルに案内された
「うん、ありがとう。楽しみだな」
シンジはテーブルに目をやると
なぜか、3つの食器が並んでいた
「なんだろう、僕以外の人も招待したんだろうか?」
326if :2009/07/29(水) 20:33:45 ID:???
チャイムが鳴った
シンジは身を乗り出して玄関を見た
「レイ、招待状をありがとう。・・何が始まるんだ」
碇ゲンドウがいつもの服で来ていた
「父さん!!!、どうして、・・・・はっ!!」
シンジはテーブルを再び見て
「もしかして・・綾波・・・これは・・」
綾波は何も言わずに頷いた
「なんだ、シンジも来ていたのか?」
シンジはゲンドウの目を見ないで
「僕が、・・ここに・・居たら・・不味かったの・・・父さん」
「いいや、そんな事はない、シンジ」
「指令、・・ここで待ってて下さい・・もうすぐ出来ますから」
レイはテーブルまで案内した。シンジの目の前に
「・・・・」
「・・・・」
シンジとゲンドウはテーブルを囲んでお互いに何も喋らず数分がたった
シンジが痺れを切らし話をしているとき
「父さん、・・たのしみだ・・・」
「・・・・・・・・出来ました・・・美味しいと・・・思います」
レイの声がした
「えっ!・・あっ・・ふぅ」
シンジはホッとして
「綾波、何を、ご馳走してくれるの?」
そう言ってシンジは綾波を見た。シンジの後を追う様にゲンドウも綾波を見た
327名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 20:36:02 ID:???
なんも進歩してねえし誤字だらけじゃねえかwww
流し読みだけど
328名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 20:37:59 ID:???
誤字はなかったかw
329名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 20:42:37 ID:???
こいつ、タイトル読めるのか?ここは、LAS小説のスレッドだぞ。なんで、人形の話を書きたければ、
LRSへ行けよ
330名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 21:03:51 ID:???
ちょっと文章の最後が同じなんだね。
いる。ます。とか使えばいいんじゃないかな。
続き待ちしてます。

>>329
そういうのはやめてください。
331名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 21:40:24 ID:???
なにコイツ、こんなレベルで投下してんの?
332名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 21:49:33 ID:ci66qBdN
できれば10kbほどまとめて投下してほしいんだがなぁw

>>329 2レスの中にアスカが出てないからって切れるなよ、せっかちさん
333if :2009/07/29(水) 21:52:40 ID:???
なんか
凄いことになっているが
安心してください、これで最後にしますから
最後まで楽しんでください
ありがとうございました
では投下
334if :2009/07/29(水) 21:53:42 ID:???
「あ、あ、綾波そ、そ、れは、なんですか」
シンジは、大きな鍋を持って来た綾波を見て、びっくりしている。
それは3人分には見えない量だった
ゲンドウもその姿を見て、サングラスがずれた
「レイ、それは何だ」サングラスを上げつつ、ゲンドウが聞いた
「・・・・」
「綾波」
「レイ」
「・・・・お味噌汁」
「味噌汁、作ったんだ」
「味噌汁か、問題ない」
「味噌汁と何を作ったの、綾波」
「・・・・・」
「えっ!!もしかして・・・お味噌汁だけ」
綾波は、黙ってうなずいた
「そうか、レイ・・味噌汁・・・か・・量が多いぞ!」
ゲンドウが驚いて、レイと鍋を見た
シンジはお椀を綾波に渡して
「とにかく食べようよ、父さん」
「ああ、そうだなシンジ」
シンジとゲンドウは、恐る恐る味噌汁を吸う
「美味しいよ、綾波」
「問題ない」
シンジは味噌汁を食べ終えて
「お代わり」
ゲンドウも続いてお椀を出した
「私もだ」
綾波は鍋から味噌汁をよそいながら
「まだ・・・・あるから・・・お代わりしても・・いいです」
335if :2009/07/29(水) 21:55:55 ID:???
そして数分後
「綾・・・波・・もう・・お代わり・・・いいよ」
シンジとゲンドウは限界だ。もう何十杯とお代わりしていた。
「レイ・・・私はもう・・・はっ・・・」
ゲンドウはレイに、お代わりはもういいと言おうとした時
レイの姿がユイに見えて
「あなた、味噌汁とシンジをよろしくね」
その途端、ゲンドウはお椀を持った手をレイに差し出し
「レイ、お代わりだ」
ゲンドウは信じられない速さで味噌汁をすすり、お代わりをした。
「父さん!!!」
シンジは叫ぶ
「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」
シンジは呟き
シンジも「お代わり。綾波」
そして、ゲンドウは綾波の鍋を指差して
「それごとお代わりだ」と言った
「父さん、もうだめだよ!お腹が!!!」
ゲンドウはサングラスを上げこう言った
「問題ない」
「父さんが・・鍋ごと・・・味噌汁を食ってる」
シンジの目から何かがが、太ももに落ちた。
それを見てシンジは
「涙、・・・・僕は泣いてるの?」
その親子の様子を綾波は横から見ていた
綾波レイは満面の笑みで
                「ぽかぽかしてる」
336名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:02:46 ID:???
終わり!?
337名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:05:24 ID:???
よしよし、LASとは「らぶらぶ、アスカ×シンジ」の略なんだよ。
アスカが出てこん時点でこのスレぢゃ評価しようがない。
LRSスレにいきたまえ
338名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:06:16 ID:???
LRSへ転載したらいいよ。
339名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:11:13 ID:???
文章が苦手なのは仕方ないけどスレチなのはダメだぞw
340名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:11:38 ID:???
何が安心してください、だw
全然安心できねーくらいにひどいwww
341名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:14:28 ID:???
>>333
LASスレでアスカも出さずに
>最後まで楽しんでください
とはこれいかにw

とりあえず1年くらい修行してから再来すりゃいいと思うよ
342if :2009/07/29(水) 22:29:18 ID:???
           その夜
「ただいま・・・ゲップ」
アスカが歯を磨きながらシンジを出迎えた
「おかえり、バカシンジ」
シンジは玄関でアスカを見たまま動かない
「・・・・・」
「シンジ」
「・・・・・・・」
どうしたの?バカシンジ」
「んん・・・」
シンジは口に手をやり
「気持ち悪い」
その瞬間、アスカの蹴りが飛んでくる
「ぐへぇ」
「あたしを見ながら気持ち悪いって、なんなのバカシンジ!!!!」
シンジは足をピクピクさせながら
「味噌汁、怖い」
                   おわり
343名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:29:43 ID:???
おしやっと最後か
二度と来んなよ
344名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:31:00 ID:???
とってつけた様なオチいらねんだよカス
345名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:39:06 ID:???
とにかくスレチなのは一番嫌われるから控えよう
346名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:42:55 ID:???
欲しいのは、アスカとシンジが愛の物語なのよね。
アスカとシンジのコントが書きたいなら、ノンジャンルか、
ネタスレの方が良いよ。
347名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 22:47:05 ID:???
せっかくエヴァ板には色んなスレがあるんだしね
348???:2009/07/29(水) 23:03:02 ID:???
おれ、LASもLRSも好きだから両方の小説スレ見るんだけど、両方共ひどいことになってんのwww なんで? やっぱ夏休みだから?
349名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 23:06:18 ID:???
まず書くことより、いっぱい読んでほしいなぁ
350名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 23:18:28 ID:???
教訓
バカを甘やかすと、碌なことはないw
351名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 23:39:16 ID:???
両方共ゆーな(怒)
352名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 23:44:10 ID:ci66qBdN
やはり馬鹿は馬鹿だったか
煽りとかそんなの抜きで、if氏は2年ROMるべきだと思う
353名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/29(水) 23:55:10 ID:???
>>346
ネタスレにこんなの書き込まれちゃ困るだろ
質の問題
354名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 00:03:17 ID:???
夏だな...
355名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 00:40:23 ID:???
この板ではROMってるつもりだったけど、雰囲気悪くなってるから投下。

赤い海辺で・1


「気持ち悪い……」
 見下すように、拒絶するように、惣流アスカラングレーは言葉を吐き出した。
 彼女の視線が向かう先で、碇シンジはただひたすら嗚咽を繰り返している。
「殺すなら、せめてちゃんと殺しなさいよ」
「僕は……僕はぁ……」
 彼女の言葉を聞いても、少年は泣き続けていた。
 なんで、こんなことになったんだろう。
 アスカは、顔だけをゆっくりと動かして赤く染まった海を見た。
 赤い海の向こうには、自分がもっとも嫌悪していた少女の顔面が転がっている。
 異様なのは、その顔面の大きさがエヴァよりもはるかに大きいことだ。
 自分たちの世界に何が起きてしまったのか、彼女にはそれを正確にうかがい知る
ことは出来ない。今、自分の上に乗っている少年ですら説明できないだろう。
 ただ、一つわかることは何かが確実に終わってしまったということだけ。
「重たいから、いい加減降りてちょうだい」
 少年の腕を、手のひらで軽く叩いてからアスカがささやくく。
「いつまでも、こうしているわけにいかないでしょ」
「アスカ、許してよ……僕を許してよ……僕を殺さないで……僕を見捨てないで……」
 彼女の言葉を聞いているのかいないのか、少年はとても自分を殺そうとしていたとは
思えないような台詞を絞り出しつつ、少女の胸に顔をうずめて泣き続けている。
 降りる気配はまったくない。アスカは、もう何も言わないことにした。
 どれほどそうしていたのだろうか。やがて少年は泣きつかれたらしく、静かに寝息を
立てて眠りだした。
 人の上で呑気なものね。
 アスカは、諦めと呆れが入り混じった感覚を抱きながらシンジの寝顔を見る。
 その顔を見た彼女は、すべてを悟ったような気がした。
 少年は14才とは思えないほどの苦渋に満ちた表情で眠っている。
 彼は、人類の原罪を一身に背負ってしまったのだ。この絶望的な世界で。
356名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 01:54:59 ID:???
終わりかな?
とりあえずGJ!
首しめ後ってやっぱり想像膨らむなぁ
357名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 01:57:40 ID:???
いや、続きはあるけど眠くてかけんw
358名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 02:02:53 ID:???
>>357
あーごめんなさい急かしてwゆっくり書いて下さい。楽しみにしてます。

>>295
そして順調ですか?
359名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 04:08:45 ID:???
360名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 05:19:09 ID:???
>>358
下書き終わったから、今日か明日の夜には投下するつもり。
取りあえず。>>355が終わるか、中断してからにします。
361円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:04:38 ID:???
またLAS投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry
362円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:05:27 ID:???
【星空に 愛を こめて】


「ケガを早く治す方法?」
「リツコなら詳しいでしょ。教えてよ」

コーヒーの注がれたカップをデスクに置き、リツコは此方の少女の姿に眉を顰める。
滅多に技術部の研究棟に寄り付かないアスカが、今日に限ってリツコの研究室を訪れたことが、その原因である。

「そうね……。対処法は、ケガの種類や度合にもよるけど」

いきなり何を言い出すの? とばかりに。
一応はリツコも管轄は違えどミサト同様にアスカにとっては上司に当たる存在だが、
このユーロ空軍のエースたる少女はエヴァの整備以外に、赤木研究主任とは接点を持とうとはしなかった。それなのに、だ。

「た、例えば、なんだけど……包帯を巻くくらいのケガで……。かと言って、骨折ってワケでもないんだけど……」

アスカの言っているコトは、ちぐはぐだった。それ以前にリツコは医者ではない。
本来なら医療班に相談すべき事柄だ。かと言って、まだ日本に来て日の浅いアスカがネルフ内で頼れる人間など、ごく僅かだろう。
言いかえれば、ミサトにも相談が出来ないのでリツコのところに来た、と解釈すべきか。

「と、とにかく、傷が早く塞がるような方法ないの!?」
「……ビタミン、タンパク質、鉄分の摂取、かしら。野菜類、肉類、あとは乳製品で補えるわね」

と。とりあえず頭の中に浮かんだ食物をリツコは羅列する。
何となくだがアスカの魂胆が言葉の端から読み取れたらしく、リツコは小さく哂った。

「そうね。焼肉なんか喜ぶんじゃない? ……シンジ君が」
「なっ……!」

そうして段々と少女の頬が朱に染まっていった光景は、中々の見ものだった――――――と、後にリツコは語る。
363円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:06:24 ID:???
****************


「焼肉かぁ……」

ネルフの長い廊下をトボトボ歩きながら、少女が指折り、何やら呟いていた。
言わずもがな。エヴァ2号機のパイロット、式波・アスカ・ラングレー大尉である。

「肉は当然として……牛肉と豚肉、鶏肉……どれがいいのかしら」

ユーロにも焼肉に準ずる料理はあるにはあったが、日本の焼肉という料理がアスカにはイマイチ分からない。
ネットで検索して調べた限りでは、一般的に牛肉が人気とのこと。
人造肉の中でも牛肉はやや値が張るのだが、エヴァパイロットであるアスカの給料なら問題なく購入は可能だった。

「やっぱり牛肉かな……。あとは野菜だけど……バカシンジは、どういう野菜が好きなのかな」

セカンドインパクト以来、地軸が傾いて年中夏並の気温になってしまった日本では専ら夏野菜が好まれる傾向にあるという。
そして焼肉でスタンダードな野菜は、キャベツ、ニンジン、タマネギ、ジャガイモなど。変化球で豆腐やシイタケ、コンニャクを焼いても美味いらしい。

「まあ、ただホットプレートに油ひいて焼くだけなら……アタシにも出来そうだし」

火加減さえ見誤らなければ素人でも手軽に楽しめる、それが日本の焼肉の醍醐味とのこと。
バーベキューのように屋外に出て炭火などで焼くような手間もなく、これなら料理がほぼ未経験なアスカでも大丈夫そうだ。

「……よし」

シンクロテストが終わって、小一時間も経っていない。渦中のシンジもシャワーを浴び終えて、もう着替えも済んだところだろう。

「ア、アイツのためじゃないのよ。アタシがただ、無性に焼肉を食べたい……それだけなんだから!」

上昇の一途を辿る胸の鼓動を抑え込むように。キョロキョロと周囲を確認した上で、アスカは1人、息を整えた。
364円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:07:07 ID:???
「今日は焼肉を食べるわよ、バカシンジ!」
「え……や、焼肉?」
「ぼーっとしてないで、さっさと材料を買いに行く! グズグズしないでよね!!」
「ちょ、ちょっと、アスカ!?」

シンジが面喰らうのも無理はない。シンクロテストを終えて休憩所でのんびりと缶コーヒーを啜っていたら、
アスカに「今日は焼肉を食べるわよ!」と早口で捲し立てられ、あれよあれよと言う間に、気がつけば。

「ね、この『ホルモン』って何?」
「牛の腸の部分だけど……」
「ちょ、腸っ!? 日本人ってそんなトコロまで食べるの?」
「焼くとコリコリして美味しいんだけど……」

彼氏彼女は、ミサトのアパートから程近いスーパーに赴いていた。

「アスカ、腸は嫌い?」
「何て言うか……夢見が悪そうだからパス。あ、こっちの『骨付きカルビ』っいうの美味しそうじゃない?」
「じゃ、買ってこう。牛脂も」

人工的に創られ、再現された肉と言っても種類は多い。
普段からあまり料理に興味を示さなかったアスカだけに、牛や豚の部位を聞けば解説してくれるシンジが、不思議と頼もしく見えた。
尚、シンジの両手の包帯が“未だ取れていない”コトを考慮してか、買い物カートを押すのはアスカの仕事だったりする。

「野菜はどれにするの?」
「キャベツとかニンジン、タマネギあたりが焼肉じゃ一般的だけど……ミサトさんやペンペンの分も考えると
 野菜の他にも色んな材料を買っておいた方がいいかも。ジャガイモとか、シイタケ、コンニャク……あ、焼き豆腐もいいなぁ」

食糧難のセカンドインパクト直後ならいざ知らず、今は食の供給も安定している。ある意味、贅沢な子供達であった。

「あ、牛乳も買い忘れちゃダメよ!」
「? うん」
365円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:07:57 ID:???
******************


「ただいまー」

使徒殲滅の事後処理に追われる作戦部長のミサトだが、今日は早番だったらしく。
ちょうどホットプレートをテーブルに乗せ、温度の上がったプレートに油をひく直前という、ベストなタイミングでの帰宅であった。

「おかえりなさい。ミサトさん」
「おかえりー」
「あら、何? もしかして今日、焼肉だったりする?」
「もしかしなくても、そうよ」

ミサトが自室に戻るがてらキッチンを覗くと、ホットプレートの上で牛脂を走らせるアスカと、野菜を刻むシンジの姿を確認できた。

「アスカのアイディアなんです。何か、今日はすごく焼肉が食べたい気分なんだ、って」
「へー。アスカが焼肉、ねぇ」

口元に手をやって「ウププ」と訝しむミサトの視線を浴び、「な、何よ」と、アスカが憤る。

「しかも今日の買い物の代金全部、アスカが支払ったんですよ」
「あらあら。太っ腹だこと」
「し、失礼ね! アタシ、太ってなんかないわよ!!」
「気前がいい、ってコトよ。一体どーゆー風の吹き回しなのかしらねぇ〜?」

確かに前代未聞なだけに、シンジもアスカの真意は伺いしれない。
スーパーで代金を払おうとした時も「ユーロ空軍のエースを舐めないでよね!」などとワケの分からない理屈をごねられ、
結局アスカがクレジットカードで全額支払ってくれたのも今思うと、ちょっと引っかかる。

「それよりシンちゃん、その手で包丁持って大丈夫? 痛くない?」
「だいぶよくなってきてるし、このくらいなら平気です」
366円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:08:49 ID:???
「(あ……しまった)」

ミサトの指摘に、アスカも思わず心の中で呟く。
野菜を包丁で刻むくらいならアスカとて出来る。無理にシンジにやらせる必要はなかったのに、と。
かと言って、今になって交代するのもミサトに勘繰られそうで、出来ない。

「アスカ。ホットプレートの具合、どう?」
「え? あ、そ、そうね……そろそろ野菜、焼いてもいい頃かもね」
「なら、先にジャガイモとか火の通りにくいのを焼いてこっか」
「う、うん」

両手に包帯を巻いた痛々しい姿ながらも家事をこなすシンジは、主夫の鑑だ。
何だかんだで、いつもはシンジに任せっきりのアスカも率先して具をホットプレートに乗せている。

「(なーるほど。大体分かったわん)」

ミサトもアスカの意図が読めたらしく、早々に部屋に引き揚げて行った。

「……いっぱい食べなさいよね」
「え?」
「今日は、その……アタシの奢りだから。肉も野菜も、いっぱい食べなさいって、そう言ってんの!」
「? う、うん」

よく分からないが、たくさん食べていいらしい。
普段は食の細いシンジだが、アスカがそう言うなら遠慮なく食すのもいいだろう。皆で焼き肉を囲むのも悪くない。
そう言えば海洋研究所での昼食時でも、アスカは「生き物に感謝して食べなさいよね!」と言っていた気がする。なら、今日はアスカに感謝する日だろうか。

「よく分かんないけど……ありがとう、アスカ」
「ふん! アンタはただ、ガツガツモリモリ食べてれば、それでいーの!!」
「そ、そうするよ……(何で怒ってるんだろ……?)」
367円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:09:40 ID:???
*******************


「ぷっはー! やっぱ、この一杯のために生きてるって感じよねーっ!!」
「アンタ毎回それ言ってるじゃないの……」

ラフな部屋着に着替えたミサトも交え、いよいよ3人(と1羽)で焼肉を囲む。
ミサトがテーブルに着いた時には程良い感じに肉も野菜もジュウジュウと焼けていて、気を利かせたシンジによって缶ビールも用意済み。
白米を茶碗によそぎ、各々の皿に焼肉のタレを注いで、いざ。

「ほら、シンジ。この骨付きカルビ、よく焼けてるわよ」
「あ、ありがと」

「いただきます」の開口一番、焼けたカルビを箸で摘み、アスカがシンジの皿へと移す。

「野菜も食べなきゃダメよ。好き嫌いは許さないわ」
「う、うん……」
「(甲斐甲斐しいわねぇ)」

シンジが茶碗の白米に手をつけている間、ヒョイヒョイとシンジの皿にアスカが肉と野菜を持っていく光景は
まるで新婚夫婦のようで実に微笑ましい。敢えて長時間視線を落とさず、チラリと盗み見る程度だったが、ミサトも伊達に同棲を経験してはいない。

「牛乳も飲みなさい。やっぱ牛乳でしょ!」
「そ、そうだね」
「(新婚って言うより、世話好きなお姉さんって感じだけど……楽しそうだし、いっか)」

アスカの我が強いあまり、当初はシンジと打ち解けられないのでは、と内心は気に病んでいたミサト。
が、どうにも杞憂だったようで。シンジと共に使徒を殲滅し、シンジと同じ釜の飯を食う、というのが存外、アスカは気に入ったようだった。

「さっさと両腕治して、次の使徒戦に備えるのよ! シンジにはエヴァパイロットとしての、気概が足りないわ!!」
「無茶苦茶だなぁ……」
368円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:10:31 ID:???
*********************


「ミサトさんは?」
「部屋でペンペンと寝てた」
「あれだけ飲んで食べれば、ね……。明日、遅刻しなきゃいいんだけど」

食後の後片付けの後。
腹八分目を越える分量の肉と野菜をアスカから(無理矢理に)食べさせられたシンジは、
夕涼みも兼ねてベランダに佇んでいた。そのシンジを追うカタチで、アスカもサンダルを履いてベランダに出る。
吸い込まれそうな満点の星空の下ではセミも鳴き止み、眼下の第三新東京市は夜の顔を垣間見せていた。この街には、満月と星が似合う。

「ねぇ」

どちらからともなく隣同士で寄り添っていた時。
手すりに頬杖を付いて何気なく夜景を眺めていたシンジに、アスカが問い掛ける。

「今日の焼肉……美味しかった?」
「? うん、ちょっと食べ過ぎたけど」

ポンポン、と。やや普段より苦しそうな腹を擦り、シンジが苦笑いを浮かべる。
アスカの好意を無碍にするワケにもいかず、差し出されるままに肉と野菜を食べ続けた結果だった。

「ま、アタシの奢りだもの。当然と言えば当然よね」
「はは」

興味深げにアスカも、シンジの腹を擦ってみる。包帯の巻かれた、シンジの掌の上から。

「……手、まだ痛い?」
「大丈夫……だと思うけど。医療班の人は、もう生活に支障は無いって言ってたし……」
「……そ」
369円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:12:22 ID:???
言葉少なな中で、アスカは想いを巡らせていく。シンジの両腕が“こうなった原因”が自分にあるコトを、未だ引き摺っているせいもある。
第八使徒との会敵で2号機が着弾点にもう少し早く到達していれば。或いは、使徒のコアを1秒でも早く破壊出来ていたら、と。

「……気にしなくていいよ」
「……気にしてなんかないわよ。自惚れないでよね」

言葉とは裏腹に、アスカとシンジの距離は狭まっていく一方。

「戦いの時に足引っ張られると迷惑なだけ……それだけなんだから……」

アスカの頭がシンジの胸元に置かれる。互いの背が同じくらいなので、アスカが姿勢をやや丸めての逢瀬。
まだ風呂に入る前なので、年頃の少女特有の“いつもの”甘い匂いより、焼肉の匂いが強い。

「……焼肉臭く、ない?」
「アスカは……良い匂いしかしない」
「ば……馬鹿ぁ」

少し悪戯っぽく笑って、シンジがそっと両腕でアスカを抱きすくめると、
アスカも腕を伸ばし、シンジの身体を包み込む。夜になって気温は下がってきたはずなのに、互いの体温は上昇を止めることを知らない。

「……保安部の人達、きっと見てるよ」
「見せつけちゃえばいいのよ……アタシ達に文句言える奴なんて、誰もいないもの」

自分達がエヴァで戦っているからこそ、今の安寧のひと時があるんだ、と。

「世界で唯一のアタシの居場所……。エヴァ以外に、もう一つだけ……見つかりそうな気がする。もう、唯一って……呼べないかもね」
「それって……どこ?」
「ふんだ。バカシンジになんて……誰が教えるもんですか……」

煌く星。それぞれの歴史が輝いて―――――この星空に愛をこめて。
教えてほしかったら、もっとアタシを大切にしなさいよね、と。温かなシンジの胸の中で、アスカは無邪気に微笑んだ。           【終 劇】
370円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/07/30(木) 06:13:05 ID:???
タイトルは「帰ってきたウルトラマン」の44話から拝借
時系列的には「破」の第8使徒戦〜シンジの腕が完治するまでのパラレルで(>>212-219の補完)
ばいちゃ
371名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 07:55:32 ID:???
>>370
保安部「あまーい!」
素晴らしかった!!乙乙(^ω^)
372名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 08:47:20 ID:???
GJ
373名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 09:49:43 ID:???
素晴らしいけどこの後バルに…

とりあえず乙です
374名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 12:23:16 ID:???
円谷さんGJ!
いつも楽しみにしてます!
375名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 14:18:25 ID:???
>>219の買い物に行った話も見たいな
376名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 15:56:51 ID:???
リッちゃんの一言がいいな(´∀`)
かいがいしいアスカ可愛かったです!GJ!
377名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 20:59:34 ID:???
これは良いな〜GJ
かわいい2人が見れましたw
378if :2009/07/30(木) 20:59:40 ID:???
素晴らしい
円谷さんの話は、すばらしい
一日の疲れが吹き飛ぶ
ありがとうございます
379名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 21:06:59 ID:???
>>355さんの流れをぶったぎるのも悪いと思って自重していますが、続きを
書かれないなら、投稿しようかな?
内容は>>225の続編だけど、前回書けなかったシンジとの
絡みを中心に書いたんだけど
380199:2009/07/30(木) 21:19:48 ID:???
2話投下します
381199:2009/07/30(木) 21:20:53 ID:???
目を覚ますと。
天井の白さは掻き消え。ただの白さがあるだけだった。
単純な白い色。
気分が悪い。もっと白く白くなければ。
ぼくの世界に何もないように。
あまりに気分が悪いから。気色が悪いから。
その部屋を出て。廊下に出てしまった。
誰に会う事になるかを思い出せないまま。

382199:2009/07/30(木) 21:21:36 ID:???
廊下に出て少しだけどうでもいいことを。本当に心の底からどうでもいいことを考えてしまった。
そのせいで。
使徒に会ってしまった。
人間の皮をかぶった使徒に。
使徒は問いかける。
「何故?」
ぼくにそう問いかける。
淡さとは正逆の強さを持つ声で。
彼女は何の理由を聞いているのだろう。
わからないしわかりたくない。
わかる意味もない。

「どうでもいいからさ。」
答えた。
淡さと、同質の消え入るような弱い声で。

「そう。」
ただそれだけ。
「そう。」
ただそれだけで。
うたかたの会話はそれで終。ほんの泡沫、交差して。終わる。
今の会話には何の意味もない。ぼくは何の意味もこめてない。
ただ会話をしただけ。ただそれだけ。どうでもいい事柄。
愉快はない。

けれど。もう一つの出会いは愉快なはずだった。
その事を思い出して。
葛城さんを待った。
383199:2009/07/30(木) 21:22:56 ID:???
「お待たせ。碇君…。シンジ君でいい?」
出来るだけの優しさといたわりらしきものをこめた声。

「ご自由に。」
出来るだけ、虚しく響く声で。

「そう。あの…体…大丈夫?」
そう。ぼくの右目は眼帯に覆われ、左腕は吊られている。
シンクロ率が功を奏し、あれは、ぼくの体に痛みを残してくれた。
後遺症はないというのが、どうでもいいということを、いやましたけど。
ないよりはあったほうがいい。
あったほうが愉快だ。
「大丈夫です。あれに乗ることは出来るでしょう。
乗るためだけにぼくはここに呼ばれたんでしょう?だったら大丈夫といっていいはずです。」
あの時の顔で。いつかいつだったか覚えていないけれど、あの人の手を振り払った時の顔で。
きっとこうしていれば。いいはずだ。
何もボクは感じてないし。望んでない。

葛城さんは何故だか哀しげな顔でぼくを見た後。
口を開きそうにしたけれど。
僕は無視して。どうでもいいから。
踵を返して、エレベータへ。
384199:2009/07/30(木) 21:25:35 ID:???
僕の後に続く葛城さん。
エレベータに向かうのは、あの男に会う為。

静かな音を立てて、エレベータが開き。

狭くはない空間にたった一人だけで立っている男。
あの男がいる。


僕は迷わず乗り込み。
葛城さんが入る前に。ドアを閉め。
狭くはない部屋の。狭い世界で二人になる。
楽しもう。短い時間を。ただ言葉だけで。
あの時のもあの時のもあの時のも。
かえしてあげよう。
かえしてあげよう。

ゆかいだ。
三千世界の烏を消すほどに愉快だ。
385199:2009/07/30(木) 21:27:33 ID:???
5階
エレベータは無音。
同乗者は無言。
響くのは僕の声だけ。世界に響くのは僕の声だけ。
口を開いたのはぼく。
「ねえ。あのロボットの中で女の声を聞いたよ。凄く愉快な声だった。
聞いてて気が狂いそうなくらい」
眉も動かない。気になって仕方がない癖に。
4階
「なんだか”憎い””復讐””許さない””裏切り”とか言う言葉が聞こえたんだよ」
さすがに振り向くか。あのヒトにだけは嫌われたくないんだろ。
自分の価値をそこに丸投げしてる。悪くも無いけどね。別にどうでもいい。
3階
「誰かの声に似てるんだよね」
2階
沈黙
1階
「誰の声だ。言え」
岩のような声。まさしく岩のような。
ただし今にも崩れ去りそうな。
砂へと還りそうな岩のような声。
「誰が教えるかよ。血も繋がってない親父に」
そう言った。
勿論嘘だけど。
こんな救いようも救われようもない僕の、父親はこれしかありえない。
だけれど、あの自分も信じられない男には。これでいい。
せいぜいこの言葉で苦しめ。
救いの神の碇ユイも信じられなくなって。
誰にもすがれずこの世を生きろ。
きっと、お前の中ではもはや意味のなくなった、補完計画なんて世迷いごとの舞台で、赤い靴を履いて踊り続けろ。
386199:2009/07/30(木) 21:28:54 ID:???
音もなく開いたドア。
男を置き去りに、何か問いかけたげな雰囲気だけは感じたけれど。
いつか誰かにされたように。
一瞥もせずドアを出て。
哂いながら。哂い転げながら。なき哂いながら。
愉快さに自分の体はどうにかなってしまったかのように、世界が極彩色に見えてくる。
そのまま、病院のドアを潜り抜けて。
あの時言われたはずの。
ネルフの、割り当てられているはずの個室へと向かった。
後ろからは当然何の気配も無かった。
誰の気配も。

ネルフの割り振られていた部屋で。
僕はベッドに横たわり。
愉快な一日を終えた。
あの時の答えがわかったので。
祈りたくなった。
きっと悪魔に祈るしかないんだろう。
この僕の願いは。
もっと愉快でたまらない一日に明日がなりますように。
と。
387199:2009/07/30(木) 21:29:36 ID:???
2話
おわりなのです。
388名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 21:31:27 ID:???
>>387
アスカはで無いんですか?
389名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 21:53:18 ID:???
スレタイ読めんのかね。
オナニーはよそでお願い。
390名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 21:57:02 ID:???
LASじゃないし
スレチだな
391ある、週末:2009/07/30(木) 21:58:21 ID:???
>>225を投下します。
392ある、週末:2009/07/30(木) 21:59:01 ID:???
間違いました。
>>225の続編を投下します。
393名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 21:59:38 ID:???
ドゾー
394ある、週末:2009/07/30(木) 21:59:47 ID:???
「ちょ、アスカ早過ぎ、死んじゃうよ。」
「大丈夫です。ワタシはこう見えて元は空軍のエースですよ。車なんて停まってるのも同じです。」
「でも、わー、もう止めてくれ。」
真紅のBMWで峠を攻めているアタシは、碇アスカ。専業主婦である。
そして、ナビ席で喚いている男こそアタシのダンナ、碇シンジだ。
元エヴァンゲリオン初号機の天才パイロットにして、現NERV事務局長と言う要職を務めている。
NERVと言っても...。え?知ってる、じやー省略ね(知らない人は>>225を見てね)。
人類の救世主にして再生者と言う世紀の英雄であるが、こうしている姿は、単なるヘタレ
男でしかない。
あ、でも誤解の無い様に言っとくけど、アタシはダンナを世界一愛しているよ。これは本当。
ただ、今日は、無茶苦茶腹の立つことが有ったので、気晴らしにダンナと楽しくドライブ
しているだけ。付き合わされている、ダンナには迷惑だろうけど、少しぐらい付き合って
くれても良いんじゃないかな。

「何言ってるんですか?アナタは、エヴァで音速を越えた男でしょ。こんな速度で
ビビらないで下さい。」
「エヴァと車じゃ全然違うしぃー。ちょと、タイヤが鳴ってるよぉーーーー。」
「それが、良いんじゃ無いですか。アナタもやってみます?」
「こんな車、アスカ以外に運転できるわけ無いだろ。」
そう、この車はBMWの最上級クラスの7er。Fセグメント車体の上にドイツから直輸入したMT車、
AT車が主流の日本人でこう言う車を乗りこなせる人は少ないかもしれない。
「大丈夫でしょ。こんな色のBMWなら、向こうが避けて行きますよ。」
「そんな事言って、少しでも傷付けたら、アスカに殺されるよ。アスカは、僕より車が大事だから。」
「そ、そんな事、無いですよ。ワタシは、...アナタの方が大事に決まってます。」
「なんで、そこで一瞬、ためらうんだよぉぉぉぉぉ。」
395ある、週末:2009/07/30(木) 22:01:54 ID:???
「アスカぁ、そこのローソン寄ってくれる?あ、ごめん、遅いか。」
「いえ、大丈夫。」
「え?」
アタシは、ミラーで後続車が居ないことを一瞬で確認して(この速度で付いてくる車は有るわけ無いんだけど)、
クラッチを踏みヒールアンドトウで、ブレーキを操作つつアクセルを煽って、エンジン回転数を一瞬レッドゾーン
まで突っ込むと、一気にローへシフトチェンジした。
これにより、強力なエンジンブレーキがかかり、車が急速に速度を落とす。強力なGでダンナの顔が恐怖に
引き攣り
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
と悲鳴を上げる。
ドリフトの要領で車をスピーンさせる。アタシの計算に狂いが無ければ、270度ほど回転してコンビニの
手前で止まるはずだ。90度回った所で、コンビニの駐車場や侵入口に人が居ないのを確認する。
思った通りに、スピーンが停まると
「ドンピシャ。」
と思わず、アタシは叫んでしまった。そのまま、バックにギヤを入れて、ハンドルで微調整しながらコンビニの
駐車場にBMWを押し込んだ。
余りに、上手く行ったのでアタシは大満足で、どうよって顔でダンナの顔を見た。
固まっているダンナを見て、アタシはやってしまった事に気づいた。
ダンナは、小声で
「もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。」
と繰り返して居た。
その場を取り繕う方法も思いつかずに
「あのぉ、アナタ、コンビニですけど.....。」
と言うのがやっとだった。しかし、ダンナは(無言)だった。
ダンナの反応がが限りなく0へと近づいて行く。
396ある、週末:2009/07/30(木) 22:04:07 ID:???
「アーズーガー。」
ダンナが地獄の底から戻ってきたような低い声で呻く。
「は、はい。」
アタシは、観念して背筋を伸ばす。
「君は、何処でこう言うテクニックを覚えたんだ?」
「そ、そのぉ、大藪春彦とか読んで、参考に...。」
「すると、君はぶっつけ本番でやってみたと?」
「い、いえ。その...、この辺でよく走って練習してます。」
アタシは小声で言った。
「聞こえない。もっとはっきり言って。」
「ゴメンナサイ!この辺で、よく練習しました。」
「最近ね。この辺りを管轄する警察署長さんと話す機会が有ったんだけど、半年位前まで、真っ赤な
フェラーリが走り回っていて、それが居なくなったと思ったら、同じ色のBMWが走り回ってるって
言っていたんだが、やっぱりアスカだったんだ。」
半年前、そうダンナにオネダリしてBMWを買って貰った時と一致する。その前は、確かにフェラーリー
に乗っていた。アタシはこの辺の有名人だったんだ。しばらくは、自粛しよう。
「大丈夫。レーダ積んでるし、覆面は直ぐに解るし、捕まっても優しいアナタが違反を取り消して
くれるから...。」
アタシは上目づかいに言う。
「あのね。幾ら、僕でも人身事故まではかばいきれないよ。事故起こしてからじゃ遅いから、
頼むから、無茶しないでよ。第一、ドリフトやってる子持ち主婦が何処に居るんだよ。」
「ゴメンナサイ。気を付けます。」
「やめるとは、言わないんだ。」
「でも、そのぉー。」
「もう、良いよ。取りあえず、買い物してくるから待っていて。」
「あ、はい。」
「あ、でも、あれか、囚人服のアスカってのも見てみたいな。刑務所でしおらしくしているアスカも
魅力的かも。」
「もー、何バカなこと言ってるんですか?早く買い物してきて下さい。」
397ある、週末:2009/07/30(木) 22:06:31 ID:???
ダンナが買い物に行ってる間に、アタシが怒っている理由を説明しておこう。
話は、1ヶ月程前に遡る。例のピクニックでアタシがVTOLの操縦が出来ると知った、ダンナの悪友、相田ケンスケの
奥さんユリコがとんでもない話を持って来たのだ。

「だから、ユリコさんってイベント会社の社員でワタシ達に映画の上映イベントに参加して欲しいって言うんですよ。
ね、親友の奥さんのお願いですよ。受けましょうよ。」
アタシはダンナにユリコが持ち込んだ話をした。
「いや、良いけど。アスカ、解ってる?メインは上映会だよ。アスカの興味は全然違う所に有るみたいだけど。」
「ギク、いえ。そんな事は...。」
図星である。この映画は実を言えばアタシ達の使徒との戦いを元にした映画で、上映イベントの一環として、
その主演の男女(要するにダンナの役とアタシの役をやってる人ね)をアタシの操縦するVTOLで試写会の会場へ
降ろそうと言う企画だ。街中にVTOLを降ろすと言う素敵な話を逃す訳には行かないのだ。
しかも、使用するのは、使徒戦にも活躍した往年の名機YAGR-3Bである。この機会を逃せば、平凡な主婦であるアタシに
操縦出来る可能性は二度と無いだろう。だから絶対、操縦したいんだ。
「まぁ、良いや。アスカが行きたいなら、僕には反対する理由がない。スケジュールは何とかするよ。でもね、
一つだけ覚えておいてほしいんだけど。」
「何ですか?」
「使徒との戦いは、公式には真実は殆ど出されていないんだ。だから、使徒戦を元にした物語は映画に限らず、
事実と全く違う。だから、ストーリーが事実無根でも絶対に怒らないこと。」
「そんな事で、怒る訳無いじゃないですか。」
全くもって、根拠のない自信だ。アタシの堪忍袋の許容量は極めて小さいから内容いかんでは、ブチ切れる
可能性は十分にある。でも、VTOLイベントしか頭の無いアタシには、その問題はとても小さく思えた。
「それと、もう一つ。感想を聞かれたら、映画の悪口は言わないでね。」
「そんなの当たり前ですよ。」
398ある、週末:2009/07/30(木) 22:08:13 ID:???
翌日から、アタシは毎日のようにイベント会社に通い、VTOL機を赤く塗る事を手始めにアタシの要望の多くを
受け入れさせた。断っておくけど、その間、アタシはチャンと家事もやっていたし、娘の幼稚園の送り迎えも
やっていたよ。アタシはこう見えて、けっこう真面目な奥さんなんだ。え、当たり前だって?

イベント当日、アタシはイベント会場のレッドカーペットのすぐわきにVTOLを降ろしてやった。ここまで、
近くに降ろせるとは誰も思わなかったみたいだ。そして、コックピットのアタシをダンナがお姫様だっこ
で持ち上げてくれる。アタシは、真っ赤なドレスにパンプス、そして付けている宝石は全てルビーやガーネット
と言った赤系ばかりと言う拘りの衣装だ。勿論、アタシ達は脇役なのでそこで、主演の二人が出てくるハッチが
開くのを待つ。その彼らと、レットカーペットを4人で歩くと言う夢の様な体験が出来た。
はっきり言って、ここで帰るべきだったのだ。なまじ、その後、映画を見たお陰で.....。

別に、CGがショボイとか、アタシ役の娘が来ているプラグスーツがどう見てもビキニだとか、そんな事はどうでも良い。
ダンナが無茶苦茶カッコ良く描かれていたのは大歓迎だ。しかし、アタシの役は何だよ。出たら、直ぐやられるし、
シンジに助けられて泣きついてばかり、大もてのシンジを影から見ているとか、単なるバカキャラにされているじゃないか。
アタシはあんな情けなく無かったわい。
上映後、舞台に上げられたアタシは、ダンナの腕にしがみ付き小刻みに震えていた。アタシの身長は150cmほどしか無いので
180cmを超えるダンナと並べば、例え10cmのヒールで有っても頭はダンナの肩より低い。腕にしがみつくていれば、はた目からは、
緊張して、夫に頼っている可愛い奥さんに見えるだろうが、実際は怒りを抑えるのに必死になって居ただけだ。
何を聞かれても裏返った声で、
「あ、いえ....。その...。」
と言うのが精一杯だった。それを、司会者や他の出演者は口々に可愛いとか言ってくるので、余計に腹がたって
また、震えると言う悪循環を繰り返した。まぁ、傍目にはそう言う可愛い奥さんが必死になっている姿に映った
事でイベントそのものは、無事に終えられたけど。
399ある、週末:2009/07/30(木) 22:11:37 ID:???
「何買って来たんです?」
「あ、うん。色々。」
アタシは、車をスタートさせようとギヤーを入れて、クラッチを繋ごうとした。
「ねぇアスカ、二人っきりの時ぐらい普通に話せば。」
「え゛」
いきなり、変な事を言われたので、クラッチペダルから足がはずれ、エンジンが止まってしまった。。
「へー、アスカでもエンストさせるんだ。」
アタシは、ダンナの方を向き、大口をあけた段階で、喉まで出た言葉を深呼吸とともに飲み込むと、
前を向き、エンジンをかけ、今度は慎重に車を発進させる。息を整えようやく口を開いた。
「イジワルな事、言わないでよ。」
「あんた、ばかぁって、怒鳴らないんだ。」
「それは、絶対に言わないって決めたの。娘に大泣きされたら反省するわ。」
「見たかったな。アスカの啖呵を切る姿。」
「イジワルね。そんなに、アタシが敬語で喋るのって変?」
「カワイイとは思うけど、痛々しくもあるかな。」
「仕方がないじゃない。何時までも子供みたいな事言ってられないもの。それに、アタシはアナタと言う人に相応しい
奥さんをやりたいの。」
「アスカは真面目すぎるんだよな。それで、色々貯め込んじゃうんだよな。」
「違う。アタシは、いい加減だから普段からチャンとして無いと駄目に成る。結局、アタシは、見た眼も中身も子供の
ままだから。」
「アスカは随分、変わったよ。僕なんかより、大人だよ。」
「そんな事、無い。アタシなんか、身長と同じく中身も変わってない、真っ赤な乗り物を乗り回しては、喜んでる子供。
エヴァのパイロットの時から進歩して無い。」
「でも、アスカは優しくなったと思うけど。」
「それは、アナタが立派に成って、アタシを守ってくれるから、アナタの広い背中に付いて行けばどんな強い風からも
守ってくれる。だから、アタシはとんがる必要が無くなっただけ。アタシ自身は何も変わってないわ。」
400ある、週末:2009/07/30(木) 22:12:59 ID:???
「僕が立派に成ったか、それこそ誤解だな。男はね。肩書きで一応、立派に見えるけど、実際には中身は変わってないんだよね。」
「そんな事無い。アナタは何時もアタシを守ってくれている。アタシを見てくれている。」
「君を守って居るのは、僕の地位だろ。しかもそれは、自力で手に入れた物じゃない。全て、成り行きだよ。」
「でも、アナタは今は立派に今の仕事をこなして居る。それは、アナタがその地位に居るのにふさわしいからよ。」
「とても、そうは思えないけどね。ただ、逃げずに居るのは、アスカのお陰かな。アスカが背中を温めてくれるから、
その温もりを失いたくないから、逃げずに済んでいる。」
「ふっ、アタシ達似たもの同士って事かしら。お互いに傷を舐めあえるから一緒に居る。」
「まぁ、そんな所だね。」
401名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 22:13:40 ID:???
私怨
402ある、週末:2009/07/30(木) 22:14:18 ID:???
「義父様、今日はありがとうございました。」
家に帰ると、義父がテレビを見て待っていた。
「レイはもう寝ました?」
「ああ、問題ない。まった、良く出来た娘だ。」
「父さん今日は、泊まっていく?」
「しかし、着替えが無いぞ。アスカ君が嫌がるだろ。」
「大丈夫、買って来たから。」
「どうして、そう言う事を教えてくれないんですか?ワタシ一人が悪い見たいブツブツ....。」
アタシは、少しむくれて言う。

全員が風呂から出た所で、アタシはリビングにビールとコップを持って行って
二人に注いだ。
「アスカも飲めば?コップ持っておいでよ。」
ダンナは優しいね。本当はアタシが飲みたかったのちゃんと解ってくれる。
アタシが、貞淑な妻を演じられるのはダンナのお陰だ。
「え?良いんですか、頂きます。」
と言ってニッコリ笑う。
結局、大ビン三本開けて、アタシが二本分飲んで居た。
403ある、週末:2009/07/30(木) 22:16:00 ID:???
子持ち主婦の日曜日の朝は早い。7:00に起きて娘とアニメ鑑賞をしなくてはいけない。
ダンナと義父は寝たままだ。9:00過ぎ位から、テレビを見ながら朝食の準備を
始める。と言っても、サラダと冷蔵庫にある適当な物にトーストなので、
大した手間はかからない。アニメ番組の梯子が終わる10:00時頃にダンナと義父
を起こして朝食にする。

「良いものがあります。」
朝食が終わると、ダンナが言った。
「なに?」
娘のレイが聞いてきた。
「昨日、パパ達が見て来た映画のディスクだよ。関係者だけに配られるらしい。見る?」
何でそんなもん貰ってくるかな?アタシが怒って居るの知ってるよね。
「見る。見る。」
「ワシも見る。」
オイオイ、父親までか。
「あ、じゃぁ、ママは後片付けするから、三人で見なさいね。」
「じゃぁ、おてつだいするから、いっしょに見よ。」
何て、良い娘なの?でもね。そう言うのは有難迷惑よ。
「ママはね、恥ずかしがり屋さんだから、自分と関係のある映画は、離れて見たいんだよ。」
「ほんとう?」
「うん、本当、だからね。三人で見てね。ママ、キッチンで後片づけしながら見るから。」
404ある、週末:2009/07/30(木) 22:17:15 ID:???
映画が始まると、娘が静かに成った。気に入っていったのか、かなり真剣にみているっぽい。
そんなもの真剣に見なくて良いよ。
アタシは、洗い物に集中しようとするが、はやり、気になって見てしまう。カウンターキッチンなので
洗い物しながらでも、リビングのテレビが丸見えなのだ。
あ、もうやられたよ。弱すぎ。怒られて落ち込んでるし、しかもシンジに慰められてる。シンジは
カッコいいな。昔は、もっとウジウジしていたよね。いかん、いかん、こんな物を見ないで家事をしないと、
あ、でも後片づけ、終わっちゃった。
そうだ。コーヒを淹れよう。豆引きからやれば、少しは時間が稼げるね。

アタシは、コーヒと娘用にアイスココアを作り、リビングテーブルへ運ぶ。
ダンナはにっこり笑って「有難う。」って言ってくれたたけど、他の二人はがん無視だ。
余程、真剣に見ているみたいだ。アタシは、そそくさと、キッチンに逃げ込みカウンター越にコーヒをすすりながら
テレビを見る。

こっからが、一番嫌いなシーンだ。クラスからバカにされるアスカ、何で反撃しない。そこへ、シンジが登場、
相手を殴ろうとする。ところがアスカは止めちゃうんだよね。情けないな、アタシならボコボコにしてやるのに。
で、このあと、アスカがやられながら頑張って、シンジの登場まで時間稼ぎ、それで最後にアスカがシンジに
泣きながら抱きついて終わり。あー情けない。
405ある、週末:2009/07/30(木) 22:20:54 ID:???
エンドロールが始まると娘が手を叩いて喜んで居た。余程、気に入ったみたいだ、嫌だな、こんなん気に入って。
結局、二人は飲み物には手を付けて居なかった。
「あ、義父様、コーヒ淹れなおしますか?」
「かまわんよ。それより、砂糖とミルクをくれたらもっといいんだが。」
「いけません。ウチに来た時ぐらいブラックにして下さい。」
この男、見かけとは裏腹に缶コーヒーはUCCミルク&コーヒ250mlが好きで、一日4〜5本ぐらい飲んで居た。
(一説には、旧NERVにおいて、セキュリティエリア内に無理して、缶コーヒの自販機を置かせたのは司令自身
と言われている。まぁ、今のこの人をみれば多分、本当だろう。)
余りに体に悪いんで、本数を減らさせて、ウチに遊びに来た時はブラックしか出さないようにしている。
「レイは?」
「これで、いい。」
「じゃー、氷入れてあげるね。」
「うん。」
406ある、週末:2009/07/30(木) 22:21:22 ID:???
「で、父さん、どうだった。」
「そうだな。CGが全然だめだ。実写部分との合成も全く合ってない。ストーリーも中だるみが有り過ぎ、退屈だ。」
えー、あんだけ真剣に見てそこまで言うの?でも、やはり子供騙しって事ね。
「まーぁ、戦闘より恋愛が中心だからね。父さん好みじゃないかもね。レイは如何かな?」
「面白かったよ。シンジはカッコいいし。アスカもすてきよね。」
「えー、でもやられてばっかりじゃん。」
アタシは口を尖らせて言う。
「そんな事無いよ。アスカは自分よりも強い相手でも逃げて無いもん。本当に強いのはそう言う人よ。」
この娘、どこでそんな事を覚えて来るのか解らないけど、良い事、言うじゃない。うん、その通り、偉いよ。
親バカと言いたければ言えばいい、単純でもいい。娘がアスカを誉めた事がこんなに嬉しいとは思わなかった。
「アスカとシンジどっちが、素敵かな?」
「アスカ。」
「ああ、アナタは良い娘ね。」
アタシは娘を抱きしめて言った。そして、ダンナに勝ち誇った顔を向けると、カレは優しく笑っていた。
もしかして、最初から解って居たんじゃ無いの?
「それにね。アスカはどんなに馬鹿にされても絶対に手を出さなかったでしょ。ママみたいに優しいんだよ。」
え、アタシみたいに?そっか、あのアスカは今、アタシが世間体から演じている貞淑なアタシそのものなんだ。
そして、シンジも今、世間が思っているダンナ....。
407名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 22:22:10 ID:???
支援
408名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 22:24:20 ID:???
内容はいいがアスカの敬語に違和感
409ある、週末:2009/07/30(木) 22:25:17 ID:???
使徒との戦いの真実を知っている人間は殆どいない。公式に発表されているのは、嘘ばかりだ。
アタシ達だって本当の事は知らない。知りたいとも思わない。
NERVのメンバーだって死んだのを良い事に最初から居なかった事にされている人も居る。
パイロットはアタシとダンナしか居なかった事に成っている。ファーストチルドレン、アタシの娘と
同じ名前のあの女は、アタシと共に戦った事も有ったのに、4才の時に事故死とされている。確かに
デリケートな存在ではあるが、そこまで情報を隠す必要は有ったのか?アタシは、今でもアイツが嫌いだけど
この事には、納得できないでいる。
そして、生き証人であるアタシ達が当時の事を殆ど語らないから、今のアタシ達を見て映画が作られるのは
当然だよね。

本当の事を知って居るのは、おそらくここに居るダンナの父親とそのパートナーの冬月元副司令だけだろう。
彼らは、多分、墓場までその秘密を持って行くつもりだ。彼らは、この世の理や、これから先、何百年も後に
何が起こるかすら知って居るんじゃ無いだろうか。でも、それを知る事に何の意味は無いと思う。変えられな
い未来を知って何になると言うのか?魂や神様という、人の概念でしか無かったものを科学で解明する事に何
の意味が有るのだろうか?

そんな事より、アタシにはもっと大事な事が有る。今日を生きて行く事だ。ダンナの為、娘の為に今日を
精一杯生き抜く。真実なんて、知らなくても生きて行けるんだ。いや、生きて行かないとダメなんだ。
それが、ヒトだと思うから.....。
410ある、週末:2009/07/30(木) 22:29:06 ID:???
てな感じです。今回は下書きを書いたので、前回よりも呉字は少ないかな?
411名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 22:34:44 ID:???
GJです!
412ある、週末:2009/07/30(木) 22:35:57 ID:???
>>410
訂正、呉字→誤字です
下書きしないと全然ダメじゃんorz
413名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 22:37:17 ID:???
>>410
>前回よりも呉字は少ないかな?

お約束なボケかw
414名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 22:45:32 ID:???
いい話だった。GJ!
415名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 23:12:34 ID:???
なんか不思議な雰囲気な話だなぁ
すごい良いよこれ
416名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 23:29:53 ID:???
独特のセンスがありますよね
417if :2009/07/30(木) 23:41:07 ID:???
399と400はなんか来ますね
グッとくる
なんか心に残る
418名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/30(木) 23:56:20 ID:???
>>417
精進しろw
419名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 00:30:12 ID:???
>>417
もういいよお前は

目障りだからせめてコテはずせ
420名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 00:42:58 ID:???
つーか>>399-400は一番中だるみしてる部分だと思うんです。
いや、全体としては好印象なんだけどね。
421名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 01:39:13 ID:???
GJ!
好きだなぁ、こういうまったりとした雰囲気の日常モノ
422名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 02:58:16 ID:???
とりあえず、投下してみます。
LASです。けど、現段階ではアスカの出番は殆どないです。
AEOEです。よければどうぞ。
NGワードは、「夜を独り」です。
423夜を独り・1:2009/07/31(金) 02:59:59 ID:???

 赤い海は繰り返し、
 蒼い空は語らない。
 ただの終わりのその続き、
 終局の果てそのもので、
 始まりと云う言葉もなく、
 そこにあるだけの。
424夜を独り・2:2009/07/31(金) 03:00:37 ID:???
 純白の海岸。打ち寄せる赤。
 此処には此処しかなく、広がるも平坦だけ。
 波間に彩るは、かつての日々の名残。崩れ落ちた人々の暮らしの堆積が、まばらに散る。
 世界を包む静寂を知る者は、ただ二人。
 少年と少女のみが、世界の住人だった。
 彼の名は碇シンジ。
 彼女の名は惣流・アスカ・ラングレー。
 少年と少女は、ただ、海岸に横たわっていた。二人とも、茫洋とした表情で視線を中空にさまよわせ
ている。互いの距離は、手を伸ばしたとして届かない程度には離れている。
 波が寄せ、引いた。
 少年はゆっくりと、体を起こす。いまだ不安定なその体が、ふと一つの方向を向き、固まった。その
先には、幻影がある、碧い髪、紅い瞳。彼の視線は幻影を捉えたまま微動だにしなかったが、瞬きをし
た次の瞬間、少女の姿は掻き消えた。静かに少年は視線を落とす。
 その先には少女がいる。少年はぎこちない足取りで近づいた。それほど経たずに、彼の影が、少女に
重なる。未だ少女は虚ろだ。自らの姿に少女の反応がないことを少年は理解する
と、ためらいがちに彼女の上に跨り、首に手を掛けた。
 再び波が寄せ、引く。
 力は篭っている。少女の首にしわが寄る。少年は俯いていた。手を緩めようとはしない。手は震えて
いる。力みながら、華奢な首を絞め続ける。
 かすかな気配。少年が振り向くと、果たしてそれは彼女の右腕だった。包帯で、過剰なほどに覆われ
ているその腕が、静かに持ち上がると――そのたおやかな手のひらで、少年の頬を、撫でた。
 途端、彼の手から力は抜け、嗚咽がこぼれだした。少女の顔に、少年の涙が頼りない雨のように、細
々と零れ落ちる。
 うずくまる少年。次第に嗚咽は激しくなっていく。波の音は、遮らずに繰り返す。
 少女の瞳が、ようやく明確な視線を紡いだ。ただ、彼を見ている。薄氷のように鋭利なその眼差しに、
しかし少年は咽ぶだけだった。
 少女が、云った。
 「――気持ち悪い」

 空と海は語らない。
 云葉で、想いで、語るのは、いつも人だ。
425夜を独り・3:2009/07/31(金) 03:01:23 ID:???
 終末から、四年が経った。
 青い星が、その大部分を紅く染めてから――

0.
 失望、だった。
 あの全てのヒトの心を繋ぐ、三度の報いの時――サード・インパクトは失敗に終わった。
 全てのヒトの心の壁は失せ、皆がL.C.L.に還った。それは心地いい安息の世界。自らだけ
が気持ちいい世界。誰にとっても、そこは理想であり、夢想のようなそれは、確かに一度成
されたのに、消えてしまったのである。
 それは一人の少年の意志によるもの。傷つけあい、恐れあい、怯えあって、それでもまた
他人を望んだ少年の意志が、再び心の壁を生み、今一度、厳然たる世界を構築したのだ。
 そう――彼は望んだはずだった。自らを傷つける他人を。自らを形作る他人を。しかし、
再び目を醒ました彼が、真っ先に取った他人への行動は、至極単純だった。
 首を、絞めた。それだけだ。
 その後、彼の胸に去来したのは失望だった。あれほど他人を求めておきながら、結局は拒
絶してしまった自分への、ただただ失望の一念。
 あの時、彼女に言われた言葉が今も胸に深く刻まれている。気持ち悪い。キモチワルイ。
きもちわるい。
 当然だ、と彼は今に至るまで思っている。首に手をかけておきながら、殺すわけでもなく、
ただ一度頬をさすられればそれだけで泣き出す。彼女からしてみれば、気持ち悪い人間以外
のなんだったというのだろう。
 だから彼は――碇シンジは、まだ、あのあの日にいるようなものだ。
 それは文字通りの意味ではなく、彼の心の半分は、今も赤い海のほとりにいて、そのまま
だということ。あの時、隣で横たわるかつて自らを拒んだ少女にどうすればよかったのか、
まだ、ずっと、考え続けている。
 それが、18歳の碇シンジの、おおよそだった。全てを犠牲にした少年の。
426夜を独り・4:2009/07/31(金) 03:02:25 ID:???
1.
「センセ、おはよーさん」
「よ、碇」
 いつも通りの時間に、トウジとケンスケの声がインターフォンを通して響く。今日も二人
でいるみたいで、そのことに改めて僕は安心してしまう。やっぱり、何かあってはほしくな
いんだ、あの二人の間には。それはこの四年間ずっと思ってきたことだけれど。
「今行くから」
 と返事をしながら、一通り制服をチェックする。細かい汚れや傷は、三年間使ってきた証
だ。これもまたいつも通り。念のためと鞄の中を見て、弁当と学習用具が一通り揃っている
ことも確認して、戸を開ける。
「お、おでましやな」
「どうせまたいちいち身辺整理してたんだろ? そろそろ神経質なの直そうぜ」
「はは、ごめんごめん。おはよう」
「おう」
「おはよう」
 挨拶をして、二人と一緒にマンションを下りる。今住んでいるのは、昔住んでいたところと
は違うマンションなので、昔よりも上り下りに時間がかかる。それでも面倒くさがらずに、毎
朝迎えに来てくれるのはこの二人くらいなものだ。独り暮らしをしていると、そういう友人の
何気ない心遣いが、胸に響くのだ。
「あんなシンジ、ちょいといわなあかんことがあんねんけどな」
 他愛もない話題で間を持たせつつ、ようやく1階まで下りたところで、トウジが急に何かを
言おうとして振り返ったけど、すぐにケンスケに遮られてしまった。
「どうしたのトウジ。それに、ケンスケも」
「や、なんでもあらへん!」
「そうそう。トウジのヤツさ、最近委員長とあまり進展がないからイライラしてんだ」
「そないなこと誰もいっとらんやないけ!オノレが独り身やからっちゅーてそないな嫉妬は見苦
しいんや!」
 トウジがごまかすように歩き出すと、僕らはそれに追従した。間髪入れず、ケンスケが茶々を
入れる。
「あれまー。図星を突かれると誰でも激高するよね。特にトウジは単純だからさ」
427夜を独り・5:2009/07/31(金) 03:03:27 ID:???
「図星やない、図星やないで、だからワイは怒っとらんのや。せや! ただ声を荒げただけな
んやで」
「はいはい」
「トウジ、それって怒ってることになるんじゃないかな……」
 二人のちょっとした漫才じみた会話に、ちょっとわざとらしさを感じたけれど、それは僕の勝
手な疑りかもしれない。まだ一方的に言い連ねているトウジを横目に、これはクールダウンまで
時間がかかるだろう、僕は歩道の周りの風景に視線をやった。
 街の姿は、枯れ木の虚のようにいびつで、ところどころ崩れた信号や歩道橋、ビルがアクセン
トとして散らばっている。元々セカンドインパクトの後からそれは多くの街の特徴だったけれど、
サードインパクトもそれに習ったらしく、益々侵食は進行していた。それでも、学校が出来るま
でに回復したのは、前に比べて、街が街の形を保てていたから、だと思いたい。それでも、視界
の端々には赤色が存在するのだけれど。
「なんやシンジ。また建物みとるんか」
 いつの間にやらクールダウンを終えたのか、トウジが話しかけてきた。その奥でケンスケが痛
そうに右頬を押さえている。また手を出したんだな、トウジ。
「うん。ちょっと、気になっちゃってさ」
「……ま気にすんないうんはワイらだから言えるんしなぁ。せやけど、最近人戻っとんのも確か
やと思っとるで」
「実際、クラスの人数だって増えてるだろ?」
「……うん。そうだよね」
 "あの"日、僕が赤い海から還って来てから、僕にとっての世界は次第にその姿を取り戻してい
った。最初は食料を探すので精一杯だったけれど、場所が場所、緊急時のための食料やら生活用
品やら、あるところにはしっかりとあったのだ。それを見つけるまでは、文字通り死ぬ思いをし
たけれども、今は、こうやって生きている。
428夜を独り・6:2009/07/31(金) 03:04:30 ID:???
 もちろん、何もかもが元通りというわけにはいかない。あそこから、戻ってこない人もいる。
ネルフの人たちもそうだ。日向さんと伊吹さんは、今の今まで戻ってきていない。冬月さんもそ
うだ。結局、あれからしばらくして、ぽつぽつと戻り始めた人で、何とか暮らせる環境まで立て
直すのに、三年ほどかかった。食べ物は備蓄品を使い、水は予めあった水の生産プラント(まさか
こんなものがあるなんて)、でなんとか賄っていくことになり、どうにか最低限生きていける環境
が整い、次に建物や家などを出来る限りもとの形に戻していき、その上でまた新たなシステムで
社会を運営していく。予想以上に早く進んだのは、元々この町が、常日頃死と隣りあわせだった
ことも、少なからず影響しているのだろう。
 今年の春――そう、春だ。あれ以来の何よりの変化として、四季が戻ったことがあげられる――
、僕たちはまた、学校に行きだした。昔のような管理された組織ではなく、ただ学校に行って、
先生(もちろん普通の人だ)の授業に近いお話を、学年を問わず生徒が机を寄せ合って聞くという、
青空教室のようなものだ。それでも、学校に行くという習慣を通じて、誰かに会えればいいな、と
いう気持ちがあったし、何か縋るものがほしくて、トウジたちと一緒に、僕は毎日通っている。
それから三ヶ月。また、あの日々を思い出させる夏が今、此処に着ている。
「だーもう、シャキッとせいや!」
「うわぁ!」
 黙考に浸っていた僕が落ち込んでいるように見えたのだろう、トウジが僕の背中を思いっきり叩い
てきた。当然痛い。そりゃケンスケだって顔をしかめるはずだ。ますます力が強くなってるんじゃな
いだろうか。
「シンジが、そんなに落ちこんどるとワイらまで暗くなってまうて。何度ゆうたらええんや、シンジ」
「だから委員長とうまくいってないの」
「じゃかしぃ!」
 またじゃれあいだした友人たちに、また心配させてしまったかな、と申し訳なくなる。
 学校まで、また三人で言葉を交わしていくのだろう。
 かけがえのない、僕の守れなかった日常が、今はある。
429夜を独り・7:2009/07/31(金) 03:05:17 ID:???
「あ、三バカトリオ」
「……ふん!」
「おはよ委員長」
「委員長、おはよう」
 今や懐かしくなった名前で呼びかけてきたのは、委員長、洞木ヒカリだった。彼女は紆余曲折を経て、
なんとここでも委員長をやっている。僕にはない、人徳と云うものが、やはりあるのだろう。年下の幼
い子供たちから先生に至るまで、殆ど誰にも分け隔てなく好意を持って接し、接されるのは、委員長の
風格と言って、言い過ぎではないだろう。おかげで、この学校もまとまりをみせてきている。
 その殆どから洩れた人が、目の前に、いた。
 僕の前の席を陣取っている鈴原トウジその人だ。
「やっぱりトウジ、なんかやっただろ」
「ワイはなんもしとらん。なんもや」
「ホラ俺の言ったとおりだろ。こいつ機嫌悪いって」
 また余計な油を火に注いだケンスケを遮って、僕が聞く。
「だったら、さっきのあのそっけない言葉はなんなんだよ。それにトウジの返事も」
「何もない! ワイは悪くないしヒカリも悪くない。何もおこっとらん。なんもしとらん」
「碇、いまコイツ"俺が悪い。何かが起こりました。委員長に何かしました"って言ったぜ」
「……そこまで、なのかな?」
「きっとこいつのことだから、サカって襲って返り討ちにされたんだろうな。俺はそれに賭ける」
「僕は単なる痴話喧嘩だと思うけど」
「オノレら、なんもないっつーワイの言葉をどうして信用せえへんのや……」
 登校中のケンスケとのじゃれあいで流石に懲りたのか、今度はトウジはケンスケにも僕にも突っかかっ
てこなかった。なんだか疲れ果てたような顔をして、窓の外を見ている。なんというか、トウジらしくな
い。
「あのさ、力になれるんだったら、なってもいいかな。その、友達だし」
「その気持ちは嬉しいで。でも、これはちょっとシンジには無理な相談や」
「そうなの?」
「こればっかりはセンセだと無理なんやな、ホンマシンジが頭ようても悪うてもや」
「なんなんだよ、それ」
「ま、確かになぁ。碇じゃどうにもなんないな」
 と、ケンスケがトウジに同調したので、流石に反論したくなった。僕"には"って何だ、にはって。
430夜を独り・8:2009/07/31(金) 03:07:26 ID:???
「どこがどう無理か教えてよ。なるべくなら、無理じゃなくしたいからさ」
「そないに前向きなこと言う様になって、ワイ嬉しいで」
「茶化すなよ……」
「茶化しとらんで。ホンネや」
 トウジが僕に目を合わせてきた。その瞳は、とても彼女との痴話喧嘩や、日常の雑談を話す時のものでは
なくて。
「それだけいえるんやったら、問題ないんかも知れへんけど」
「おい、トウジ」
 またもケンスケが止めに入ったけど、トウジはそれを遮った。
「実はな、今日――」
「みなさん、おはようございます」
 丁度、トウジの声にかぶさるようにして、先生の挨拶が教室に入ってきた。それにつられて、今まで僕た
ちのように喋っていたグループが静かになる。あわせて二十数名しかいない教室に、先生が入ってきた。す
かさず委員長が号令をかける。
「きりーつ。気をつけ、礼」
 よろしくおねがいしまーす、と少し寂しい礼に、先生も穏やかによろしくお願いします、と返す。いつも
ならここからさて、と間をおいて、出欠を取るのだけれど、今日は違った。先生は一旦教室を出て行ったの
だ。トウジがやってしまった、と顔を覆っている。なんだろう。
 二、三分経って、再び先生が教室に入ってきた。
「今日は、この学校に、皆さんの新しい仲間がやってきました」
 教室がざわつく。確かに、これからこの学校の生徒は増える一方になると思っていたし、実際こうして増
えているのだけども、それでもやはり、新しい人物は緊張するものだ。僕が第二中学校に転校してきた時、
トウジたちもこんな気分だったのかと、その瞬間。
 名前が聞こえた。
431夜を独り・9:2009/07/31(金) 03:27:50 ID:MMDDk7yi
「惣流・アスカ.ラングレーさんです。いらっしゃい、惣流さ
ん」
 耳を疑う。耳を疑う。その名前を、どうして此処に言うのだ
ろう。どうして此処で聞くのだろう。全く関
係ないじゃないか。全く関連しないじゃないか。どうしてだろ
う。
 恐る恐る目を上げる。先生の手に引かれたその姿が、教室の
中に現れる。
 碧の、異彩を放ちながらも人を射抜く瞳。
 髪留めのない、赤褐色を流した様な長髪。
 痛々しく閉じられた片目。
 うっすらと傷跡の残る右腕。
 それは、記憶にある姿とは違っていたけれど。
 間違いなく、惣流・アスカ・ラングレーだった。
432名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 03:29:13 ID:???
ageてしまったすいません。
一応、続きが出来たら投下します。
433名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 06:05:39 ID:???
>>432
いいね、本格派だね。
続き待ってるよ。
434名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 06:36:19 ID:???
続きが楽しみです
二人が幸せになれると良いね
435名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 08:14:09 ID:???
続き書いてないんだ…

とりあえずwktk
436名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 10:40:51 ID:???
続きwktk
437名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 13:31:51 ID:???
GJ!
文章が書き馴れてる感じがする
438名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 15:07:57 ID:???
>>410
ゲンドウが庵野でワロス
439名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 18:00:47 ID:???
本格派つか厨二っぽい・・・
440名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 18:28:38 ID:???
>>439の厨二っぽくない作品マダー?
441名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 18:31:16 ID:???
>>439
それ言ったらエヴァ自体厨二じゃ(ry
442名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 18:53:23 ID:???
真っ当なもん書いてくれりゃ満足よ

>>440
お前それ擁護になってないぞ
443名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/07/31(金) 20:16:23 ID:???
>432さん乙です。
続き楽しみにしてます。
444名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 00:29:32 ID:???
夏だなw
445名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 02:20:44 ID:???
でました夏だな厨w
446名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 03:02:04 ID:???
えーと、初投稿させていただきます。
読み飛ばししたい方はNGワード

アイスと夕立ち、蝉時雨

でどうぞ。

たぶん2回分けになると思います。
447アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/01(土) 03:03:36 ID:???
「あつーーい、あついあついあつい、なんっで日本の夏ってこんなに暑いのよ!信じらんない!」
「仕方ないよ……夏なんだから」
 シンジがぶら下げている体操着の入った袋をポンポン蹴りながら、私はいつものように毒づいた。
「そんなに暑い暑いって言ってると余計に暑くなっちゃうよアスカ」
「うっさいわねえバカシンジの癖に!」
 ひときわ大きく袋を蹴り上げるとバカシンジは一瞬むっとしていたけど、実際昼過ぎぐらいから
今日は元気が無い。体育のときにはしゃいでいたから、結構消耗していたのかも知れない。 
「でもさすがに今日はうんざりだなあ…体育あったし」
「あー、アイス食べたいアイス食べたぁーい」
「家に帰るまで我慢しなよ。買い食いは良くないし…」
「はぁ?アンタこの前鈴原達と買い食いしたとか言ってなかった?アンタは良くて私はだめなんて
不公平じゃない」
「そんなこと言っても…」
「決めた、今日はここでアイス買って食べる!」
 ちょうど通り過ぎた店の前でそう宣言した。気付かれないようにバカシンジの顔を盗み見すると、
ちらちら廻りを気にしていたが、小さくため息をつくと渋々従うことにしたようだった。
 岡部菓子店という店のテントは、前々から通りすがりに気になっていた。
 同じ中学校の子や、その辺の小学生がいつも連れだって店を出入りしていたからだ。
 店の客はいつも楽しそうにお喋りしていて、きっととても楽しい店なんだろうと思っていた。
 今日はバカシンジといういい連れもいることだし、心行くまで堪能できる訳で、期待に胸を膨ら
ませ、意気揚揚と店の中に入った。
448アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/01(土) 03:04:31 ID:???

「アスカ、何にする?」
 さっきまで買い食いを渋っていたくせに、いざアイスを目の前にするとバカシンジはヘラヘラ
笑いながらそんなことを私に聞いてくる。
 どんな店なのかと思って一歩踏み込んだとき……正直ドン引きした。薄暗い店内、原色も毒々
しい怪しいお菓子と、信じられないくらいに安い値段。極めつけはバカシンジが声を掛けるまで
そこにいるのすら気がつかなかった店のおばあちゃん。
「おばちゃん、僕これ」
「あいよ。そっちのお嬢ちゃんは?」
「ひ…人がいた」
「へ?何言ってんのアスカ?」
「ななな、何でもないわよ!私はこれでいいから」
 碌にモノも見ずに慌ててバカシンジにボックスの中のアイスを差し出す。
「はいおばちゃん。これと2つで」
「ありがとねえ、2つで210円だよ」
 シンジは後ろポケットから地味ーーなサイフを取り出そうとした。私はその手を止める。
「なに?」
「ま、私に付き合わせるんだからおごったげる。これ遠慮なく使いなさいよ」
 ちょっと誇らしげにアメックスのゴールドカードを出した。けれどなぜかシンジは怪訝な顔を
している。
「なによ…遠慮なく使ってもいいのよ?」
「あのねアスカ、ここ、カード使えない店…なん、だけど」
 後ろを郵便屋のカブが通り過ぎていく。
 ……私はこの後どういうリアクションをしていいか分からなくなってしばらく固まった。
449アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/01(土) 03:06:48 ID:???
 *

 結局お金は全部出してもらって、お目当てのアイスはバカシンジが持っている鞄の横の
ビニール袋に納まっていた。
 暑さのせいもあって機嫌が直下降になった私を、バカシンジはなだめすかして、
『ケンスケに前教えてもらった結構涼しい所あるんだ、そ、そこ行こうよ』
とか言いながら案内してくれた。
 バカシンジは心配そうにこちらをちらちら振り向きながら、私がついて来ているか確認する。
ま、これは以前、私がつむじ曲げて買い物途中にばっくれたことがあるから仕方がない。
 それから五分近く歩いて罵倒の一ダースもぶつけた所で、バカシンジは車道から石畳の道に
入っていった。
「こっちだよアスカ。もう少しだから」
「いやらしいわね……人目につかない所連れて行って何しようってのよ?」
「そ、そんなんじゃないよ!」
 精一杯の笑顔を作って気を使うバカシンジ。正直もう機嫌は直っていたんだけれど、その
困った顔をもう少し見ていたくて演技を続けることにした。
450アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/01(土) 03:08:52 ID:???

 石畳の道はすぐに高い木立に囲まれた。学校でも鬱陶しくなるくらい良く聞こえていた蝉の鳴き
声が、ここでは更に一段と強く聞こえる。
 バカシンジの二歩後ろを、背中を見ながら歩く。
 いつも台所に立っている時と雰囲気が違うもんだなと思った。
『それにしても陰気臭い所ね。ま、根暗なバカシンジにお似合いの場所よね…。と、確かこれは
トリイとかいう日本の寺院の門だったはっ、ず!』
 上ばかり見ていたので足元がおろそかになっていた。石段につまずいて、そのまま思いきり
鼻からシンジの背中に激突した。頭の奥にドスンと鈍い衝撃が走る。
 慌てて掴んだシンジの袖でほんの少し鈍い音がしたが、シンジは驚きつつなんとか踏みとど
まった。意外と反射神経いいのよねこいつ…
「だ、大丈夫アスカ?」
「ったー、ぃたたたたた」
 痛みを誤魔化すためにシンジのシャツを思い切り握り込む。丁度胸に顔を埋める様な形に
なっていた。
「アスカ…アスカ大丈夫?ちょっと見せてみなよ」
「んーー……」
 何も考えずに顔を上げると、そこにシンジのどアップが。
「な、泣いてるのアスカ?」
『いやいやいや、痛すぎて涙でただけ。いつもなら言い返してやるんだけどさすがに今は無理』
 と、思いつつ、涙目の向こうのシンジをじっと見つめてしまった。
「あ、あのあぁアス…カ?」
 シンジの顔がみるみる紅潮していく。
451アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/01(土) 03:11:15 ID:???
 私は私で今の状況を冷静に捉えつつあった。両肩に熱の塊を感じるということは、たぶん
シンジが両手を置いている。というか掴んでる感じがする。
 私は未だに両手をしっかりシンジのシャツが変形するくらいに握り込んでいる。シンジの心臓が
早鐘を打っているのがわかった。そんなことより、息がかかる位置にシンジの顔があって、蛇に
睨まれた蛙よろしく私をじっと見ている。

 ………というか、これって半分ハグされてない?

 自分の顔がシンジと同じように紅潮していくのがわかった。蝉の鳴き声がさっきよりさらに
激しくなった気がした。
 どうしようか頭の中でぐるぐる考えているうちに、頭の中とは相反して私の唇はシンジの唇に
向か…

 だら……

 っている間に鼻血が出た。
452アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/01(土) 03:13:53 ID:???
 *

「ほら、そこ座ってて、ハンカチ濡らしてくるから」
「ん」
 ポケットテぃッシュで鼻の頭を押さえながら、シンジに『危ないから』と言われてここまで手を
ひかれて来た。手を放すのは惜しかったけど、離さないわけにはいかない。
 久々の2人の帰り道で我儘言ったのが原因で赤っ恥を掻き、今こうしてシンジに手をひかれて
きたのと、さっきのニアミスで頭の中がてんやわんやになっていた。
 シンジが戻ってくると、血まみれのティッシュのかわりにハンカチを当ててくれた。ひんやりとし
た感触と水分で、重かった頭が少し軽くなった。
 聞こえたかどうかは分からないけど、ありがとうと口を動かしてみた。
 シンジは私の顔色が少し良くなったので安心したのか、ほっとした表情になる。
「あ、そうだ」
 何に気づいたのかと横眼でシンジを追うと、さっきの店で買ったアイスを取り出した。
「大丈夫?アイス食べれる?」
「たびる……」
 …なにこの変な声、うまく喋れない。もう喋りたくない。鼻つまんでるから声甲高いし……
 シンジは並んで建物の階段に腰掛けて、私のアイスを袋から出すと『はい』と言って渡して
くれた。店を出てからだともうだいたい10分くらい。すでに溶け始めている。
 片手で鼻の頭を押えながら食べるので少々不便だったけど、ラムネの味が渇いた口の中にゆっ
くり広がっていく。
 人目がないと禁止されてることもノビノビと堪能する。横でいい顔でアイス頬張るシンジは
そういう奴だ。
453アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/01(土) 03:15:15 ID:???

「あれ、もうヒグラシが鳴いてる」
「ひぐらじって、なに?」
「蝉の種類だよ。ほら、あのカナカナカナって鳴いてるの」
 あーそう、どうでもいいわ。でもなんで日本人って虫だとか鳥だとかの鳴き声好きなんだろう。
煩いだけなのに。
 蝉の大合唱の中からヒグラシの鳴き声を探してみる。賑やかな蝉の鳴き声の中で、ヒグラシの
鳴き声はどことなく哀調が滲む。日本人が好きそうな音だ。
「アスカのそれ、何味?」
「ラムネ。あんだのは?」
「宇治金時だよ」
「ぢょっと貰っでいい?」
「じゃ、一口交換しようよ」
 あ、これ間接キスだなって頭の中でぼうっと考えていた。
「甘ぁい。ごんな甘々好ぎなんで、あんだも子供ねぇ」
「好みだよ。大人とか、子供とか……関係ないじゃんか」
 口をつんとさせて拗ねてしまった。不貞腐れるシンジが可愛いいので、こうやってついからかって
しまう。そんなことを考えて上機嫌でいると、手に持ったアイスから溶けたぶんが腕を伝って下降を
始める。
「あ、アスカ、垂れてる」
「あ…」
 何故か咄嗟に右手のハンカチを使うより流れ落ちる滴を舐め取った。
 制服に染みを作ってしまうと、隣の小姑がまた染み抜きのときにぶつぶつ文句を言ってくる。
ヤレヤレそれだけは回避できたと思っていると、小言の一つでも言い出すかと思っていたシンジは、
バツが悪そうにこっちをみていた。
454アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/01(土) 03:16:20 ID:???
「なによ?」
「い、いやぁ、なんでも…ない」
「あんだバカぁ?そうやって曖昧に誤魔化してるってだけで、周りの人イラ付がせるっていい
加減気付きなさいよ」
『あぁ、我ながらへんに甲高い声でこんなこと言ってると滑稽だわ』
 そこまで言っても相変わらずシンジは言い淀んでいる。
『私何か変なことした?今のこの場に繋がるミスはしてないと思うけど…』
 興味もあるし、できるだけトーンを抑えて訊いてみる。
「別に怒らないがら言いなさいよ」
「いやぁそのぉ、アス…カがね、」
「うん」
 因みにさっきから溶けたアイスの飛沫がシンジのズボンにぼたぼた落ちている。
「アイス…をさ、舐めてたの…」
「うん」
「見てたら……そのぉ…」
「なんなのよ」
「その、なんか、何て言うか、ぃぃなって」
 何を言っているかよくわからない。
「バカじゃないの?なにが言いたいかわかんない」
「だ、だおあからその、か、か、可愛いなって思った!……そう、思った」
「ふぅん……」
 叱られた子供が言い訳するときこういう顔するよなって思いつつ、私の心臓がばくばく鼓動が
速くなっているのも自覚していた。ていうか、垂れたアイス舐めるのって……それとかわいいを
どう結び付けろというのだろうか?男心がわからない。
455アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/01(土) 03:17:56 ID:???
 アイスの最後のひとかけらを食べ終えると、傍らに棒を置いてハンカチで腕を拭う。
 こちらの反応に戦々恐々としているシンジをじっとみてみる。少しは余裕ある態度に見えてる
だろうか?主導権はこっちですって思わせることが出来たろうか?そういった姑息なことを考え
ながら、おどおどしたままのシンジの膝に頭を預けた。
「ア……スカ?…?」
「頭痛いからちょっと寝かせて…」
「あ、うん……そのさっきの……うん。いい…けど……」
 顔は見ていないけど、何の返事も聞かされず、その癖甘えられるのはちょっと複雑な気持ちだろ
うなと思う。逆の立場なら胸倉掴んで問いただしてる頃だろう。
 照れ隠しと悪戯心で膝枕要求したのだけれど、不覚にもそのまま寝てしまった……
 今日の私は、色々と油断しすぎだ。

つづく
456名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 03:26:29 ID:???
読みやすいし、ふいんき(ryもいいし早く続きが読みたい作品だな
GJです
457名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 03:48:36 ID:???
ちと冗長でねえか?
458名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 05:53:08 ID:???

めっちゃスキ
アスカもシンジも可愛いし
アスカ描写特に可愛い
459名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 07:09:25 ID:???
460名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 07:18:32 ID:???
>>431の続きが超読みたい
461円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:00:57 ID:???
またLAS投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry
462円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:01:55 ID:???
【あなた は だぁれ ?】


「だーかーら、そこはそーじゃないって何度も言ってるでしょーがっ!」
「ご、ごめん」

少女に檄を飛ばされ、少年は慌ててノートの上に消しゴムを走らせる。
解答を間違える度、比例して少女の怒声も大きくなっていく。

「馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、ここまで馬鹿だったのね。ウルトラ馬鹿よ」

人類を使徒の脅威から守るエヴァのパイロットとて、学生の本分がある。
休日を利用して今後の授業の予習と復習をやろう、とアスカに持ちかけたものの、開始して1時間足らずで“コレ”だった。

「ハァ……シンジ。アンタ、ちゃんと授業聞いてたワケ?」
「き、聞いてたよ……」

シンジが間違った箇所をトントンと人差し指で叩き、アスカは辟易する。
ドン臭いシンジの性格は勉強にまで影響を及ぼしているのか、飲み込みが悪い。

「こんな英語、初歩中の初歩じゃないの」
「だって僕、日本人だし……よその国の言葉なんて解んなくていいよ……」
「アンタねぇ……」
「アスカだって古文と日本史、苦手じゃないか!」
「そ、それは……アタシはいーの! ついこの間まで外国育ちだったんだから!!」

低俗ないがみ合い。五十歩百歩とは、こういうコトを言うのかもしれない。
シンジもアスカも互いに苦手分野が存在するので“その克服のための勉強会”のつもりだったのが、
結局はこうなってしまうらしい。と言うより、そもそもアスカは他人に物事を教えるコトに不向きなように見受けられる。
463円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:02:45 ID:???
「……ちょっと休憩しましょ」
「……うん」

とうとう2人とも一旦、筆を置くコトと相成った。
今日も炎天下。空に燦々と輝く太陽に対抗して冷房をガンガンに利かせたアスカの自室で、両者ともに床へと項垂れる。
引っ越し当初、大量にあったアスカの私物は未だにシンジの部屋にあるため、2人で勉強するのは“いつも”此処。

「(1時間も経たないうちから休憩なんて……やる気なさ過ぎよ)」

人間の集中力は3時間続けばいい方だと言われているが、1時間足らずでこのザマでは先行きは怪しい。

「(アタシには解り易く教えたクセに……どうしてアタシが教えると『解らない』ばっかなのかしら……)」

今でこそシンジを指導していたアスカだが、実は最初の30分程はシンジの指導を甘受していたりする。
先程シンジが指摘していた古文と日本史について、だ。結果の方は、あまり芳しくはなかったが。

「アスカ」

だらりと薄着を纏った四肢を広げて床で寛ぐアスカに、同じく床に寝転がっていたシンジが声掛けする。
先刻までいがみ合っていたはずなのに、もう彼の声に怒気は含まれてはいなかった。

「何よ」

シンジに対してツンとした姿勢を崩さないのがアスカ嬢である。
時間を共有するコトで態度は軟化したように見えても、見えざる彼女の心の壁―――――ジェリコの壁は、未だ健在の様子。

「手……握ってもいい?」
「……いちいち聞かないでよ」

が、まるで最初から壁など無いかのように、容易く彼女の領域に踏み込める行為こそ、碇少年の真骨頂だった。
464円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:03:47 ID:???
「アスカの指って綺麗だよね」
「当たり前でしょ。いつも手入れしてるもの」

適度に切り揃えられ、光沢を放つアスカの爪。指は細く、掌は柔らかい。
少女から女性への成長過程を隠さないアスカへ、シンジは忌憚の無い賛辞を贈る。

「軍って銃の訓練とかもあったんじゃないの?」
「まーね。まあ、下手なうちは指にタコ作っちゃうヤツもいるけど」

アタシは違うのよ、と。
少女の手を取り、自身の手と重ねて眺める少年に誇示するように、アスカはふふんと鼻を鳴らす。
「へぇ……」とシンジは流すが、“もう何度も見慣れている”はずなのに、相変わらず彼女の手は魅力的だった。

「アスカ……」

不意に指の間を互いの指で埋め、体温を分かち合う。
アスカは抵抗の素振りも見せなければ、拒絶の言葉も吐かない。シンジの行為を、暗に黙認している証。

「……手だけで、満足なワケ?」

意味深にアスカが呟く。
「アンタ、手だけで満足しちゃうようなヤツだっけ? ……違うわよね」と。そう言いたげに、薄い桃色の唇が微苦笑を零す。

「……え、いいの?」
「い、いちいち聞かないで、って言ったでしょ」

淡々と、それでいて情熱的に。
距離を詰め(この場合、シンジが一方的にアスカとの距離を狭めているのだが)、顔を近づけ合う。
見開かれたアスカの青い瞳は徐々に閉じられていき、シンジもまた彼女の唇まで残り一寸程の距離で、眼を閉じた。
こんな零距離で、やるコトは一つ。手に続き、今度は互いの唇を重ね合う。俗に言う、キス。
瞬間、心、重ねて。心臓が高鳴りっ放しのまま、互いを求める。鼓動すら伝わるように。
465円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:04:40 ID:???
「ん……」
「んっ、んぅ……んん……」

初めてのキスより、もっと上手くなったキスを捧げたい。“どちらがそう思っているのか”なんて、溶け合ってしまえば関係は無かった。
この行為はそれ程に刺激的で、愉しく、悦びに満ちている。

「……ぷはっ」

先に唇を離したのはシンジ。隙間なく重なり合わせた唇から糸が引かれ、伸び切った後、床にポタリと落ちた。

「ふぅ……」

お互いの前歯が出来るだけぶつからぬよう、大胆な中にも慎重を規すせいで、呼吸が疎かになりがちになる。
かと言って鼻で呼吸をするのをアスカが嫌うので、緩急をつけて息継ぎの必要があった。
それくらい、キスの間は互いを貪るのに夢中になってしまう。啄ばむのがせいぜいだった頃が懐かしくすら思える程に。

「シンジ……?」
「ご、ごめん。もう一回……」
「ぁ……。ふぁ……ん、んっ……」

アスカに促され、シンジは再び少女の唇を吸う。。
ミサトがいつ帰って来るか分からないリビングでの“勉強会”より、“こちらの勉強会”の方が楽しいコトを両者は知っている。
キスを覚えたての頃はアスカの肩を抱くのも躊躇していたシンジからすれば、目覚ましい進歩と言えるだろう。

「んくっ……!」

眉間に僅かな皺を寄せ、アスカが白く小さな喉をゴクリと鳴らす。
アスカを組み伏せるような姿勢だったシンジが唇を離すと、短い呼吸の後、

「けほっ……また飲ませたわね。バカシンジ」
466円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:05:29 ID:???
外気にも引けをとらぬ熱い吐息と共に。二度目の口付けから解放された少女は、怨嗟で以って少年を小さく非難する。
シンジから唾液を流し込まれるのが“何度目かは”覚えていないが、やられる方のアスカは少し苦しいらしい。

「嫌……なの?」
「い、嫌じゃないけど……飲ませるなら、もうちょっと……ゆっくり飲ませてよ」

がっつき過ぎなのよ、と。戒めの言葉で返す。
舌を絡め合う、または互いの歯茎を舌で突き合っていると、急に流し込まれた時、対応が遅れてしまうとのこと。

「今度から……気をつける」
「そうしなさい」

申し訳なさそうな表情のシンジに、これ以上責め立てるのも可哀想かとアスカもそれ以上は言及しなかった。

「(身体の奥が……熱い)」

冷房を利かせているはずなのに。剥き出しになっているアスカの肩は、少し汗ばんでいるように見えた。
端的に言えば“この二人の周囲だけが”暑(熱)いのだが。

「アスカ……。もっと……」
「え……? ちょ、ちょっと、シンジっ!?」

もっと先へ。もっと愉しいコトを。
唇だけでは物足りず、アスカそのものが欲しい。本能が疾走する。手に倍以上の力を込め、再び少年は少女を組み伏せる。
部屋着とは言え、上半身も下半身も程良く露出したアスカの日本人離れしている肢体は、14歳のシンジにはあまりに扇情的だった。

「いい……?」
「よくないわよっ! まだ日も明るいうちから、ぬゎ〜に考えてんの、アンタはぁっ!?」
「じゃあ、夜ならいいってコト?」
「夜もよくなーいっ!!」
467円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:06:13 ID:???
*******************


「引っ叩くコトないだろ……」
「ふんっ! 性欲もコントロール出来ない、バカシンジが悪いんじゃない!!」

シンジの左頬に赤く腫れ上がったモミジが一つ。
いくらシンジが男とは言え、軍属のアスカが組み伏せられて黙っているはずもなく。
あっと言う間に形成は逆転し、ユーロ空軍仕込みの痛烈な右ビンタが、シンジに炸裂していた。
部屋が冷えていただけに、バチン!と、音もよく響いたという。

「あーもう、これだから男の子ってダメなのよね! 頭の中、ホントどーなってんのかしらっ!?」

アスカは不機嫌を絵に描いたように御立腹だ。
つい少し前までシンジに解き放っていたジェリコの壁は再形成され、彼から距離を置き、更には胸元も手で隠している。
実のところ、アスカもシンジがキス以上のコトを望んでいたとは夢にも思わず、まだ少し混乱しているのだが。

「キスならいいわ、アタシだって嫌じゃないもの。……でも、その先は絶対ダメ!」
「何でさ」
「ダメなものはダメだからよっ! も、もしアタシが妊娠したら……アンタ、責任取れるワケ!?」
「に、妊娠って……ごめん、取れない」
「ほら見なさい! そりゃ……使徒を全部殲滅して、戦わなくていいようになったら……ひ、一人か二人くらいなら、考えてあげなくもないけどっ!」

もしアスカがシンジの子供を身籠ったら、どうなるのだろうか。
ミサトからこっぴどく怒られるのは目に見えているし、エヴァに乗れなくなるコトを危惧され、中絶を強いられるかもしれない。
最悪、シンジと別居させられるだろう。それだけは嫌だ。シンジの隣は、アスカが見つけたエヴァ以外での“世界で唯一の居場所”なのだから。

「でも、今は無理なの。……アタシの身にもなってよ」

ただ、人を好きになって一緒に居たいと思うだけなのに。
どうして、こんなに難しいのか。
468円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:07:07 ID:???
「……シンジ。アンタ、アタシのコト好きなのよね」
「い、今更、何言ってんのさ」
「ホントにホントに、好きなのよね?」
「す、好きだよ。アスカが好きなんだ」

Do you love me ?(私のこと、好き?) アスカはシンジに問い質す。彼の想いが本物なのか否か。

「アタシの傍に居るの、好き?」
「うん……。アスカの傍に居ると……元気になれるから」

溢れる生命力こそ、彼女の魅力なのだとシンジは思う。

「アタシを見てるの、好き?」
「授業中、気がついたら前の席のアスカを見てる……気になっちゃうんだ」

退屈そうに授業を受ける彼女は、何故か儚げで美しいとシンジは思う。

「アタシのコト考えるの、好き?」
「学校に居る時も、ネルフに居る時も、家に戻って来た時も……アスカが頭から離れないんだ」

頭の中がアスカで埋め尽くされて嬉しい反面、勉強が手に付かないのでちょっと困るとシンジは思う。

「アタシの匂いを嗅ぐの、好き?」
「……ミサトさんや母さん、綾波とも違う。……アスカの匂いが、一番好きだ」

ボディソープとシャンプーの匂いに混じって、ふわりと香るアスカの甘い匂いが好きなのだとシンジは思う。

「アタシに触るの、好き?」
「アスカは軟らかくて……その、何て言うか……さ、触ってると気持ちよくなれるから……す、好き、だよ」

抱き締めると暖かくて。軍属とは思えない程に軟らかく、“女の子”を意識させてくれるから好きだ、とシンジは思う。
469円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:08:26 ID:???
「……とんだ変態だわ。馬鹿な上に変態ってサイテーよ、アンタ」
「アスカが言わせたんじゃないか……」

誘導尋問の後、シンジを待っていたのは「変態」の2文字。アスカに応えるべく思いの丈を述べたにも関わらず、現実は非情である。
一方的にシンジがアスカを好きなだけで、アスカはシンジが好きではない―――――そんな解釈すら出来そうだ。

「……勉強会、今日はこれまでにしときましょ」
「え……」
「ほら。早く出てってよ」
「ア、アスカ? 待っ―――――――――――」

とうとうアスカはピシャリとスライドドアを閉め、無理矢理シンジを部屋から追い出す。
ドア向こうのシンジからすれば生殺しもいいところだが、機嫌を損ねたアスカの怖さは誰よりも知っている。
少し焦り過ぎたことを反省してか、何も言わず、次第にシンジの気配はドアから遠ざかっていった。

「はぁ……はぁぁぁ〜。あ〜、もうっ」

シンジの気配が去るのを確認すると、アスカはふらふらとベッドに横たわり、そのまま枕に顔を埋めた。

「アイツ……アタシのコト、そんなに好きだったんだ……」

シンジの言葉を頭の中で反芻させるだけで胸の奥が熱くなり、身悶えてしまう。冷房など無意味なくらいに。

「アタシの傍に居ると、我慢出来なくなっちゃうくらい……好きなんだ」

勝気な少女が“意中の少年を思い描きながら”ベッドの上でゴロゴロするなど、誰が想像し得えるだろうか。

「アタシ……シンジに愛されてるんだ」

アタシの心を掻き乱し、波立たせ、ざわつかせる―――――――あなたはだぁれ?
その胸の甘い痛みの真実に気づいた時。自分が既に孤独でなくなっていたことを、式波・アスカ・ラングレーは悟るだろう。        【終 劇】
470円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/01(土) 08:09:10 ID:???
タイトルは「ウルトラセブン」の47話から拝借
「破」を ベースにしただけで時系列は特に決めてなし(>>189が甘いのがいいと言うんで独自の解釈入れたらこうなった)
ばいちゃ
471名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 09:48:36 ID:???
作風が変わってもGJ
472名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 09:52:54 ID:???
乙!
473名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 09:58:11 ID:???
gj
474名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 10:18:11 ID:???
甘いよ〜w素晴らしいですGJ!
475名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 10:59:29 ID:???
>>189の俺歓喜
甘すぎてニヤニヤが止まらなかったです。
相変わらず素晴らしい話をありがとう
超GJ
476名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 11:07:27 ID:???
ジージェイ!
ちょっとタガが外れかけたシンジも良かった
477名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 12:33:25 ID:???
円谷さんの作品一番好きだぁぁぁ!

これからも頑張って下さい!
478名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 13:05:38 ID:???
嫁アスカを書いてる人だけど、サイドストーリーに結婚式編も
書いてみました。異論が無ければ、夕方位に投下します。
479名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 13:08:12 ID:???
異議あり
480名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 13:14:26 ID:???
>>478
異議なし!
楽しみにしてます
481名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 13:15:08 ID:???
意義なし!楽しみにしてます

>>479
なぜww
482名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 13:16:39 ID:???
投下の許可とか求める必要ないから
483名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 13:29:04 ID:???
щ(゚Д゚щ)カモーン!
速筆でうらやましい……
484名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 13:31:50 ID:???
>>482
まあ投下予告っていうことで
最近勢いあるから、誰かと投下タイミング被っちゃう可能性もゼロじゃないし…
485名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 14:02:46 ID:???
>>478
描写がクドイからイラネ
486名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 14:08:14 ID:???
異論出たし投下は無しか
余計な事聞かなきゃいいのに
487式日:2009/08/01(土) 15:31:02 ID:???
今日、アタシは世界で一番幸せな女の娘になる。

アタシは、中古で買った赤のミニクーパーSをこの街で一番のホテルへと走らせていた。こんな車一つ買うにも
爪に火を灯すようにしないといけないアタシにとって、5つ星クラスのホテルなんて、カレとの結婚式でも無けれ
ば入る事も無かっただろう。
日曜日の早朝なので、道路は空いている。何時ものアタシならアクセルをガンガンに吹かして爆走さえる
けど、今日は初心者の様に慎重に運転をする。こんな日に事故を起こしたり、パトカーに捕まったら目も
当てられないからね。

ホテルの車寄せで、ベルボーイにキーを預けて車の移動を頼むと、アタシはホテル内の美容室へ向かう。アタシを見つけた
支配人がすっ飛んできて、挨拶をする。
「アスカ・ラングレー様、今日は、おめでとうございます。天気が良くて何よりですね。」
「ええ、本当ですね。」
蹴り殺してやりたいのを必死に抑えて、笑顔で応える。
最初の頃は、ボロイ中古の小型車なんて、ホテルの駐車場に停めさせてもくれなかったが、碇シンジの婚約者と知ったら
この変わりようだ。本当に、腹が立つ。もっとも、アタシの格好は確かにこの高級ホテルに似つかわしくは無いのは
確かだけどね。
中古車とは言え、状態のいい車はそれなりに金がかかる。しかも、乗り方が無茶苦茶なのでエンジンや駆動系に負担がかかり、
維持費が馬鹿に成らない。稼いだ金の大半を車に使って、衣食住をなおざりにしてしまっているアタシの衣裳では、
ホテルの入口で止められても文句は言えない。こうまでして、車にこだわるのは、エヴァが無くなった今でもパイロット
への拘りを捨てらない子供だからだ。
488式日:2009/08/01(土) 15:32:52 ID:???
美容室で、ウエディングドレスを着せてもらうと一挙に、お姫様気分になる。先刻の怒りもいつの間にか収まってしまった。
着替えが終わると、カレが支度を終えて待っていた。まぁ、結婚式での男の準備なんて有って無い様なものだけどね。
でも、長身のカレのタキシード姿は他の誰よりもカッコいい。アタシのアタシだけの王子様だ。

「ねぇ、シンジ感想とか無いの?」
「か、可愛いよ。て、言うか奇麗だね。うん、凄く奇麗だ。」
カレったら思いっきり照れて可愛いね。一寸、からかってやろうかな?
「どう奇麗なのかしら?適当に言ってるだけじゃないの?」
「そんな事無いよ。アスカは、世界一奇麗だ。何て言うか、そう、童話のお姫様みたいだ。」
言えば言うほど無茶苦茶ね。あんまり、イジメるのも可哀そうに成ってきた。普段ならもっと、イジメる
アタシだけど、今日は幸せモード全開で優しく成っているみたいだ。
「ありがと。」
と素直に言えた。
489式日:2009/08/01(土) 15:34:50 ID:???
招待客が来る前に、二人だけでの写真を撮ってもらい。控室へ入る。
「もう暫くすると、皆さんお見えになります。暫くですが、リラックスしてくださいね。
今日は、一日、忙しいですからね。」
と言って、ブライダル担当の従業員が部屋を出て行く。
二人っきにに成った。チャンスだ。
アスカ、行くよ。
気合いを入れた、アタシは立ち上がりカレの前で深く頭を下げる。
「い、碇シンジさん。」
「は、はい。」
「フツカな嫁ですが、これからよろしくお願いします。」
決まった。鮮やかに決まった。アタシは、満足げに顔を上げる。
あっけに取られたカレが我に帰ると、予想に反して大声で笑い出した。
「あんた、ばかぁ、なんでそこで笑うのよ。」
「ごめん、アスカ、でもね。フツカって何だよ、それを言うなら不束だよ。」
「え、マジ?」
「知らなかったの、アスカ。意外と可愛いね。うん、すごく可愛い。」
アタシは、途端に惨めな気分に成り、気づくと、大声で泣き出して居た。
「なんで、こうなるの。一週間だよ。これ、ずーと練習したんだ。凶暴で我儘なアタシを卒業して、大人しくて控え目な
可愛い奥さんになる為の、第一歩の、記念する一言だったのに、これじゃー、何なのよ。もう、嫌だ。」
「アスカ、今、泣くのはヤバい。」
「え?」
アタシはそう言われて我に帰ると、鏡を見た。アイシャドーが流れ、顔じゅうに筋が出来てる。
アタシはムンクの叫び状態になった。
490式日:2009/08/01(土) 15:36:54 ID:???
異変を感じて、すっ飛んできた従業員が、メイク担当を呼んでくれた。手慣れた手つきでメイクを直してくれる。
「すいません。ご迷惑をおかけします。」
「ごめんなさい。」
カレとアタシは恐縮して言う。
「あ、お気になさらないで下さい。花嫁さんは、ナーバスになるんで時々、こう言う事もあるんですよ。でも、大声で
泣かれたのは、わたくしは初めてすけどね。」
「ご、ごめんなさい。」
「いえ、貴女には、色々と体験させて頂いて、勉強に成りましたから。」
アタシは胸に手を当ててみた。思い当たる節がありすぎる。慌てて手を離す。
とても、今日は話せる内容では無い事ばかりなので、いつか機会が有ったら話す事にしよう。
491式日:2009/08/01(土) 15:37:43 ID:???
「いや、おめでとう。君らが結婚するとは正直意外だったが、こうして見ると似合いの夫婦だね。」
「あ、冬月副司令...、じゃなくて、冬月さん。今日は、挨拶よろしくお願いします。」
冬月元副司令、今は、カレの良き相談相手に成っている。カレが親子続けて世話になっている人だ。今回、
お祝いの挨拶をお願いしている。挨拶に行った時、家に変なお面が飾ってあった、一体どういう趣味の人なんだろう?
NERVでは一番、真っ当な人だと思っていたけど、やはり、NERVに居ただけあって普通の人では無いんだね。
492式日:2009/08/01(土) 15:39:36 ID:???
「はぁー、こうして見ると、本当、普通のお嫁さんね。あのアスカがこんなに大人しくしているとは意外だわ。」
「シンジ君も良かったな。これからは、彼女を一生守ってやれよ。」
仲人をお願いした加持リョウジとミサト夫妻。こんな、酔っ払いのガサツな女に仲人をお願いするのは
どうかとも思ったが、アタシ達の上司だったことも有り、一番適当な人物では有る。
「はい、加持さんもミサトさんと仲良くしてますか?」
「多分、尻に敷かれているわ。」
アタシは少し声を落としたが、わざと聞こえるように言ってやった。
「失礼ね。こう見えてもアタシはチャンと旦那を立ててるわよ。ね、リョウちゃん。」
「うん、まぁな。」
明らかにあやしい。
二人ともNERVできな臭い仕事をしていたお陰で、今のNERVには用済みの存在だ。もっとも、用済みと言う意味では
アタシも同じだけどね。
加持さんは内務省に戻り、情報局長をやっているって話をしていた。問題は、ミサトだ。
こっちも、防衛省に戻ったのは仕方ないとして、統合幕僚長にまで上り詰めた。要するに軍人のトップだ。アタシは結婚に伴い、
国籍を日本に移すが、はっきり言って、こんな女が国防のトップをやって居る国に運命を託すのは怖くて仕方がない。
「それより、シンちゃんも尻に敷かれないように気を付けなさい。」
「アタシは、カレに尽くす良い奥さんに成るって決めてるの、ミサトと同じにしないで。」
アタシは思いっきりむくれて言う。
493名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 15:41:32 ID:???
支援
494式日:2009/08/01(土) 15:41:40 ID:???
「おお、馬子にも衣装やな。立派に見えるわ。」
「アスカ、きれいよ。本当に良かった。ゴメン、少し泣けてきちゃった。」
「おお、これは凄い。」
「凄い、凄い。」
カレの悪友がそろって家族を連れてやってきた。ヒカリ以外は無視しておこう。今日は、晴れの舞台だ、キレて
大喧嘩してはいけない。
「子供さんも連れて来てくれたのね。」
「当たり前よ。こんな奇麗な花嫁さんを見せない手はないわ。」
ヒカリはあの野蛮人との間に三人の子供を儲けている。幸せなんだろうな。あの野蛮人の何処が良いんだろう?
「アスカ、幸せに成りなさいよ。絶対にだよ。約束だよ。」
アタシは、コックリうなずく。
「シンジ君、アスカを泣かせたら承知しなからね。解ってるわね。」
「いや、泣かされんのは、センセの方だろ。」
どういう、意味よ。
495式日:2009/08/01(土) 15:44:07 ID:???
最上階のレストランを貸し切りにして行われる披露宴会場に入って、碇シンジと言う男の元に嫁ぐ意味を思い知らされた。
200人を超える来賓の中には、現役閣僚や経済団体の偉い人が居る。テレビでしか見た事無い様な人ばかりだ。
「ねぇ、アタシ上手にやってけれるかしら?」
「大丈夫だよ。僕みたいに流されて生きて来た人間でも相手が出来るんだ。アスカ見たいに何時も、全力でいきてる
人なら楽勝だよ。」
カレは、優しく微笑んでくれた。うん、カレに守ってもらえばチャンと進めるね。

「じゃ、ここでキスの写真を撮ろうよ。」
「そうそう、キス、キス。」
アタシ達の席にカレの悪友がやってきて、お決まりのショーを進めて来る。
「じゃ、皆さん、御唱和を。キス、キス、キス......。」
もう、やめてよ。恥ずかしいじゃん。
「良い?」
カレが聞いてきた。アタシは、小さくうなずく。
カレがキスをすると、フラッシュがたかれる。直ぐに離れると、ブーイングの嵐だ。
「アンコール、アンコール、...。」
アタシ達が長めにキスをする。そして、離れたら再度、催促される。
こうやって、延々とキスを晒す事になった。
496式日:2009/08/01(土) 15:44:59 ID:???
お色直しで、アタシは真っ赤なドレスを着せて貰う。
腰まである金髪も降ろしてもらった。頭には、大切にとっておいた、エヴァのシンクロ用インターフェイスヘッドセットを付ける。
色々な事が有った、カレを拒絶して逃げ続けた事も有った。
ファーストの代わりにされるのは嫌だった。逃げ場所にされるのはもっと嫌。
カレの全てが欲しかった、全てが手に入らないら、全てを壊してしまいたかった。
アタシは、カレをどんなに傷つけたろう。死にたい位に嫌な女だと自分でも解って居る。
でも、そんな嫌な女であるアタシをカレは優しく守ってくれた。我儘なアタシを受け入れてくれた。
今は、カレに感謝している。今、カレを世界で一番、愛しているのはアタシだと胸を張って言える。

そう、今日、アタシは世界で一番幸せな女の娘になるんだから....。
497名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 15:45:43 ID:???
結局書いてんじゃん

きも
498式日:2009/08/01(土) 15:46:39 ID:???
こんな感じです。
>>486
ごめんなさい。誤解を受けるような表現でしたね
499名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 15:52:25 ID:???
なんつーか少女漫画の読みすぎって感じなんだよね。設定が荒唐無稽すぎて。
権威や金が大好きな人なのかな?
500名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 15:57:26 ID:???
GJです!
タイトルは庵野作品のパロかな
501名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 16:06:08 ID:???
GJ!!
アスカとシンジの関係というか立ち位置が今までに無い感じだね。
本編の後の世界なのに、異世界に感じる。不思議な世界ですな。
502名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 16:26:23 ID:???
なんだかなあ
503名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 16:55:16 ID:???
乙です
504名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 17:32:38 ID:???
GJ!
505名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 19:01:18 ID:???
まぁ、このスレは拙い作家の習作の場でもあるからなw
506名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 20:42:21 ID:???
GJです!
やっぱ結婚前は元のアスカなんだね
507名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 22:01:34 ID:zr+xyqQc
神GJ!
らぶらぶなものを書かせたらやはり上手いなあ
508名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 22:03:52 ID:???
ageるなよカス
509名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 22:35:17 ID:???
続編まち
510名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 23:00:47 ID:???
神GJ(笑)wwwww
511名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/01(土) 23:05:02 ID:???
sage進行でマターリ行こうぜ
512名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:06:51 ID:???
キャラに統一感がないw>嫁アスカ
513名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:10:20 ID:???
前日談だからでしょ
アスカが敬語になる前なんだし
514名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:17:37 ID:???
まとめサイトで作品って全部読める?
515名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:21:58 ID:???
ここ最近のは無理だなぁ
516名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:24:15 ID:???
そっか
最近来たからログ無いしどうしようと思って
まあいいやありがとう
517if :2009/08/02(日) 01:34:46 ID:???
突然ですが
投下よろしいですか
518名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:37:07 ID:???
話がちゃんとLASなら別にいいと思うけど
519名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:38:20 ID:???
ダメ、絶対
520if :2009/08/02(日) 01:38:51 ID:???
期待しないでください
では投下
521名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:40:12 ID:???
結局投下すんなら聞くなカス
522if :2009/08/02(日) 01:40:42 ID:???
                エヴァ3号機起動実験 前夜前 会事食波綾
シンジは狭苦しい自分の部屋で寝ている。
襖がそろりと開き、その開いた襖から物音を立てないように人影が入ってくる。
電気は点いていないが、豆電球が点いているだけだ。
人影は辺りを見渡し、寝息を立てているシンジの枕元にあるラジオ見る。
ラジオのスイッチが入ったままで、ラジオのボリュームは小さく絞ってあるが、微かに爽快な音楽が流れているのが分かる。
ラジオを聞きながらいつの間にか寝ていたのだ
「もう!!またラジオを点けっぱなしで寝て、このバカシンジ!!」
と、いつもの様に呟き、いつもの様にラジオのスイッチを切る。
そして人影は寝息を立てているシンジの側に来て、枕を置いて寝転ぼうとして肘が軽く当たる。
「やばっ!!」人影は呟き、急いで立ち上がったがバランスを崩し、シンジを踏んだ
「ぎゃー!!!」
シンジはマンション中に聞こえるぐらい悲鳴を上げた。
幸い、マンション内には誰も住んでなく、ミサトは外出中だ。
人影は部屋の電気をつける。
523if :2009/08/02(日) 01:41:42 ID:???
明かりを点けると、シンジは大事な所を押さえてのた打ち回っていた。
「痛いよー!!痛いよー!!誰だよー?!すっごく良い夢を見て楽しんでいたのに・・・誰だ・・・アスカじゃないか!!
もしかして僕を起こしたのはアスカ?」
人影はアスカだ。アスカは両手を合わせて申し訳なさそうに謝る。
「御免なさいシンジ、起こしちゃった」
「「御免なさい」じゃないよ!!、アスカ!!起こすんだったら、普通に起こしてよ。今日は君に何にもしていないよ!!
いや・・・もしかして僕の作ったお弁当が不味かったから・・・」
「違うわよ!」アスカは首を横に振る。
「それで腹が立って僕の大事な所を潰そうとしたんだ。・・・御免よ、明日からもっと料理を美味しくするために頑張る。
だから、寝ている僕を毎晩・・蹴りに来るのだけは勘弁してよ。アスカ〜」
シンジはアスカに謝り倒した。
「だから違うわよ!!」
アスカは少し強い口調で言う。
「うぅっ、もう蹴らないで〜」
シンジはガタガタ震えた声で言う
アスカは落ち着かないシンジを怒鳴る。
「もう、バカシンジ!!!聞いてー」
シンジはビクッと肩を上げて返事をした。
「はい〜」
524if :2009/08/02(日) 01:43:35 ID:???
今度は普通の口調で言う。
「誤解よ!」
「何が誤解?」
シンジは聞き返す。
「あの〜その〜・・・・よこ・・た・・・」
アスカは返答に困った顔をして口ごもる
「え!!何?なんて言ったのアスカ?」
またシンジは聞き返す。
「いや・・あの・・・だから・・・」
アスカは、また口ごもる。
今度はシンジが怒った口調で言う。
「はっきり言いなよ!!アスカ!!!」
シンジの言い方が気に食わなかったのか、アスカは怒鳴りながら言う。
「あんたばか〜!!バカシンジの横で寝たかったからよ!!!!いつも寝てあげてるでしょ。・・・安心して眠れるから」
最後の「安心して眠れるからは」は小さな声で言う。
その言葉を言い終わったアスカの顔は少しずつ赤く染まる。
[その「いつも寝てあげてるでしょ」はアスカが勝手に寝にくるからだよ]
と、シンジはその言葉が喉から出かかったが我慢した。
「ところで明日は、エヴァ3号機の起動実験だよね。」
シンジが話題を変えるように聞いてきた。
「そうよあんたも明日、エコヒイキのお食事会じゃないの」
「うん、綾波がどんな食事をご馳走してくれるのかな楽しみだよ。」
シンジは楽しそうに答える。「そう、良かったじゃない」
そう言いながらアスカは後ろを向いた、シンジにムスッとした顔を見せないために。
そして、アスカは一呼吸して、シンジの方に振り向き手を出した。
「何この手は、アスカ」シンジは不思議そうに手を見て、アスカの顔を見みる。
「あんたバカ〜!!握手に決まってんでしょう!!あんたと・・・エコヒイキの食事会が成功するように」 シンジはアスカの手の意味を数秒考え、そしてアスカの手を握る。
「エヴァ3号機、起動実験成功に」「食事会成功に」
アスカとシンジはお互いに手を強く握った。
                           終わり
 
525名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:48:07 ID:???
一定の水準に達してないって自分でわからんかなあ……

これ一回でも読み返した?
526名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:48:46 ID:???
普通にいいと思うけど、ところどころキャラの性格がつかめてない感じがした。
527名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:51:04 ID:???
セリフ回しか不自然なんだよな。
めちゃくちゃ下手な役者が棒読みで芝居やってるみたいな違和感。
528名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:52:38 ID:???
>>526
いや、おかしいところが結構あるぞw
529if :2009/08/02(日) 01:55:15 ID:???
やっぱりダメだったか
また一から勉強してきます
読んでくださってありがとうございます
530名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:55:53 ID:???
描写が稚拙とかはまあ差し置いてだ
会話文に感嘆符が異常に多いし
そのくせ使い方が下手だからすごい間抜けに見えるわけよ

あとーと〜も多い
より間抜けに見える

マジで小学生位じゃないんか?
531名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 01:59:02 ID:???
>>529
やっぱり駄目ってなんだボケ
せめて自分で納得出来てから投下しろ
532名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 02:03:54 ID:???
>>530

197 名前: if [sage] 投稿日: 2009/07/22(水) 19:28:57 ID:???
どうも、6日ぶりに投下します
7月20日に二回目の破を見てきました
一回目は6月28日です
サウンドトラックも買いました
そして、今、話題のRE-Takeの同人誌も読みました
俺の書く小説は、俺の思い描いている物語です。
みんな、それぞれのエヴァの楽しみ方があります。
今までこんな夢中になったアニメは数える程度です
以上です



投下前にこんな長々と自己紹介するようなヤツなんだぞw
消防じゃなく厨房だな多分
533名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 02:05:07 ID:???
>>529
やっぱりってなんだ、ふざけんな!
ここはお前の練習場じゃねえぞ
534名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 02:09:45 ID:???
>>533
まあ練習場にする事自体は構わないでしょ。車でいう路上教習みたいなもんで。
ただ、彼に路上教習はまだ早いわな。
535名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 02:10:17 ID:???
>>532
自己紹介文はすらすら読めるw
536名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 02:24:40 ID:???
こんばんわ。からけ読まずに投下いたします。
読みたくない人のNGワードは前回と同じく

アイスと夕立ち、蝉時雨

で。
537アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/02(日) 02:26:15 ID:???
 *

 熱気と冷気が入り混じる、むせ返る様な重い空気の風が頬を撫でた。
 半身を起こしてさっき歩いてきた石畳を見る。雨だ。
「あ、起きた?」
「雨ぇ?」
「うん。だからまだ寝ててもいいよ」
 それはありがたい。言葉に甘えてまたすとんと膝枕に収まった。寝心地がいいので病みつきに
なりそうだ。
 そう言えばシンジはずっと何してるのか気になって、下からシンジを見上げてみる。
『本……読んでるのか』
 ご丁寧にブックカバーまでつけてる所がシンジらしい。気がついたら人差指で本をつついて
読む邪魔をしていた。私を無視だなんてさせやしない。
「なにすんだよもう…」
「何読んでるの?」
「ああ、これ?」
「他に何があるの?」
「あ、ごめん。これはええと、ダニエル・キイスって人の…」
「「アルジャーノンに花束を」」
 ハモった。
「アレちょっと切ない話よね、チャーリィが折角頭がよくな…」
「ちょ、ちょっと待ってよアスカ!まだ半分しか読んでないんだから…」
 そんなところに共通話題があるとは思っていなかったので、思わず調子に乗って話はじめて
しまった…
538アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/02(日) 02:27:38 ID:???
「あー、今読んでるんだもんね。ごめん」
「いや、いいけど。読み終わったら感想言うし」
「早く読んじゃってよね」
「はいはい」
 困ったときの笑い顔でそう言うと、シンジはまた本の世界に入っていった。なんだろう、何か
違和感がある。
『あーそうか、シンジがなんかおどおどしてないからか…なんかこれ居心地いいなあ……』
「もう少し、寝てていい?」
「うん。雨が上がったら起こすよ」
「そうしてちょうだい…」
 目を閉じると建物の屋根や地面に落ちる雨音が大きくなった。蝉の鳴き声は相変わらずで、
頭の後ろから人のぬくもりが伝わってくる。シンジが呼吸するとき、わずかに太腿が上下する
のも感じられた。
『誰かと聞く雨音って、悪くないものね……』
 よほど気持ち良かったから…だと言い訳だけはしておこう。寝たふりのつもりだったのに、
いつの間にか私は本当に寝てしまっていた……
539アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/02(日) 02:29:06 ID:???
 *

 雨も上がり、空も少し暗くなってきていた。薄紫に沈んでゆく東の空へ、カラスが一羽飛び
去ってゆく。石畳の向こうで、思い出したようにヒグラシが鳴いていた。
「アスカ、手」
 石段の入口で、そう言ってシンジは右手を差し出す。
「な、なによ。握手でもしようっての?」
 真意が判らず、思わず身構えてしまった。シンジはにこにこ笑いながら否定する。
「違うよ、石段滑るから、手をつないだ方がいいと思って」
「あー…そう。ま、迷惑かけたら、いけないからね……」
「アハハ、結構背中痛かったし」
「悪かったってば!」
 少しむっとして差し出された手を握る。握り返してくるシンジの力が心地いい。
 木立の下の石段は、鈍く濡れた石が光る以外は判然としなくなっていた。中段で切れかけの
街燈が点滅しているのが、不気味さをさらに醸し出す。
『確かにこれは危ないかもしれない…』
「アスカ、足元滑るから気をつけて」
「わ、わかってるわよ」
 そう言ったはいいが、途中二回ほどバランスを崩しかけた。
 あれ、何かいつもと違うなとまた思った。その違和感の正体には、石段を降り切った時に
気がついた。
『ああ、並んで歩いてたからか…』
 お手々つないでのおまけつきで。
 手を繋いでいたのに思い至って少し顔が紅潮する。顔色が判らないくらいの暗さで助
かった。
540アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/02(日) 02:31:22 ID:???
『でも、並んで歩くのがここでおしまいってのもなんか物足りないな……』
 だから何事もなかったかのように、そのまま手をつないで歩き続けることにした。
 シンジは切り出しかねて何も言わない。その辺は計算済だ。
「アーおなかすいた。晩御飯何にすんの?」
「うーん、買い物して考えようかと」
「スーパーよってくの?」
「そうだね。この時間でこの道だと…『しりげや』がいいかな。タイムセールやってるだろうし」
「あんたってホント生活感丸出しよねぇ」
 ため息交じりにそう言って顔を見ると、突然シンジが立ち止まった。
「な、なに?」
「あのぉ、アスカ……そろそろ、その、手を…」
『なるほど、車道に出たところで切り出そうって思ってたワケね』
 顔に出さず心の中でだけニヤリと笑った。
「あぁ、これ?別にこのままでいいじゃない」
「な、なんで?」
「アイスおごってくれたお返し、ご褒美よ」
「ごほう…び?これが?」
「あによ!これじゃ不満だっていうの?」
「そ、そんなんじゃないけど…、は、恥ずかしいよ…」
「こんだけ暗くなれば誰が誰かわかりゃしないわよ。ホラ、いこ」
「う、うん……」
 どことなく釈然としないシンジの手をきゅっと握り、多少引っ張り気味に歩き出す。何故か
犬の散歩をしている気がした。渋々ついてくる感じがまた犬っぽい。
541アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/02(日) 02:34:09 ID:???
 そんな感じで意気揚揚と歩き出して、五十歩も歩かないうちに飼い主失格になってしまった。
「アスカ危ないって!」
「へ?」
 突然腕を引っ張られて後ろによろめく。直後に車が1台結構なスピードで目の前を掠めた。
 なんか、なんというか、今日の私は全般的にダメダメだ…本気で落ち込みそう……
『犬は私の方かも……』
「こりゃ今日はご褒美とかじゃなくて…」
「え?なに?」
 本気でほっとしているシンジを尻目に、私は逆切れする気力も無くして一人ごちた。
「いやね、手を繋いでてもらわないと、まともに家に帰れない気がしてきた」
「うん、なんかアスカ今日は危なっかしいよ」
 シンジの目が本気で心配してた。
 らしくないなと思いつつ、その目に圧されるように、素直にシンジの言葉に従った。
「うん、気をつける…」
542アイスと夕立ち、蝉時雨:2009/08/02(日) 02:35:49 ID:???
 帰り道――
 無言の空気に耐え切れないシンジがあれこれ今日あったことを話し、私はえこひいき以外の
話には結構誠実に相槌を打った。
 スーパーでカートを押しながら、ピックアップする材料と家の冷蔵庫の中身を総合すると、
今日は八宝菜に中華サラダみたいだ。
 それならばと杏仁豆腐の三個パックをカゴに入れたとき、シンジと少し押し問答する。何でも
箱入りアイスの特売やってるからあっちにしようと言う事らしい。私としては今日のダメダメ
な自分の原因があの店のアイスにある気がしていたので断固拒否。ついでにズボンのアイスの
染みを指摘して引き下がらせる。
 レジの前でシンジがなにげにカゴに押し込んだ派手なパッケージは、あの店の商品を思い出させた。
 清算が終わって袋詰するとき、それを手にとって見る。
「花火セット……?何これ?」
「うん、皆でやると、楽しいかなって思って…」
 怪訝な顔をしていただろう私を、シンジは博愛主義的なあのいつもの笑顔で誤魔化す。
 どうも私に気を遣ってくれているみたいなので、流しておくことにした。

 スーパーを出て、シンジは差し出した左手をそっと握ってくれた。
 帰り道ではシンジの碇指令への愚痴と、私のミサトへの繰り言が、いつものように繰り返される。
 それに加えて今日は『日向さんのエアギターは何を弾いているか』が話題になり、下らない結論で
二人して声を出して笑った。

 そして私は、家のドアが開いてシンジの手を離したとき、
『今日はありがと』
と、やっと声に出して言うことが出来た。
 シンジは『どういたしまして』といつもの笑顔で答えてくれた。
 シンジが自分の部屋に消えると、普段は人に見せないゆるゆるな顔になり、私も靴を脱いで部屋に
向かった―――――


Ende
543名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 02:40:29 ID:???
以上です。
 時期的には二号機凍結から三号機テストの間の、宙ぶらりんな
立場になってしまったアスカと、それに付き合うシンジと思って
もらえれば幸い。


 感想レス頂いた方々ありがとうございました。

 それではスレ汚し失礼。
544名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 02:55:26 ID:???
>>543
すごく好みの関係ですほんと
中学生らしい二人がとても良かった
可愛かった
545名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 03:20:44 ID:gOsfscEJ
IFはタフな奴だw
ボロクソに叩かれても、めげずに投下するw
546名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 04:16:49 ID:???
>>543
GJ!
良い雰囲気
547名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 04:25:02 ID:???
日向さんのギター…



若葉さんではないんですね
548名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 04:55:15 ID:???
>>547
緑葉だろ
549名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 05:17:42 ID:???
青菜さんあんまいじめんなよ・・・
550名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 08:41:44 ID:???
>>524
ifのタフさに吹いた

でもなんだ、キャラクターのファンフィクションなんだから登場人物の性格を掴みきれてないのは致命的。
もう一度、原作アニメを1-26話+旧・新劇場版をみなおして来た方がいいと思う。

あと、自分の書いた文をよくみてみ。
誰が何をしたかという出来事の描写とセリフしか内容がないじゃん。
誰がどう思った、どう感じた、とかそういうのが全くない。それだと読む側もつまらんよ。
そこは、自分が登場人物になりきって想像力を働かせて補完するんだ。
551名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 08:44:37 ID:???
青田バカにすんなよ
552名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 10:30:40 ID:???
>>550

俺ifのタフさ結構好きだなw
頑張って欲しい。
553名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 10:43:37 ID:???
>>552
なん…だと…
554名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 11:00:10 ID:???
>>543
乙でした!また書いてくれ
ギターは日向じゃないような気がするけど、他に思い出せないから日向でいいや
555式日:2009/08/02(日) 11:03:15 ID:???
髪の長い人カワイソす
556名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 11:03:52 ID:???
>>545
ドMなんじゃね?
557if :2009/08/02(日) 11:57:05 ID:???
Mではない
資料を洗い直して勉強中です


558名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 12:13:56 ID:???
資料よりも日本語を勉強するべき
559名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 12:37:17 ID:???
資料って次元じゃねんだよ
まず本読めカス
560名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 13:06:20 ID:???
投下以外でコテつけんなよきもいな
561名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 13:07:46 ID:???
今度こそ、さよなら
とカキコしといてその後コテも外さず何度も日本語の不自由な作文投下してる辺り、
空気読めないふてぶてしい性格なのが伝わってくるな
562名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 13:11:07 ID:???
構って欲しいんだろ
リアルでハブられてんじゃね?
563名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 13:16:23 ID:???
頼むからifはもう来ないでくれ
不愉快だから

>>543
乙です
楽しめました
564名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 13:25:46 ID:???
ろくな文章も書けないおっさんが
リアルでハブられてるかどうかなんてどうでもいい

問題はいつまで空気読まずにゴミを投下し続けるかだ
565名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 13:54:26 ID:???
気に入らない投下はスルーしろ。ゴミとか悪し様に言うのはいかん、雰囲気悪くするばかりだ。
SS系スレの過疎は大抵そっから始まる。
566名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 14:08:54 ID:???
あと自治厨もな
567I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 15:54:22 ID:???
今日は、嫁さんが仕事で暇だったので、
嫁アスカの結婚編の前の話を書いたので投下します。
今回のアスカも敬語無しです。
568I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 15:56:14 ID:???
2025年
「NERVのトップになるのね。一応、おめでとう位は言っておくべきかしら?」
「全然、そんな資格は無いんだけどね。まぁ、飾りみたいなものだから良いのかな。」
サードインパクトから10年、ようやく文明らしいものが戻ってきた感じだ。
そんな中、アタシは人類の救世主様と喫茶店で話をしていた。
10年の内に背も伸びて、180cmは超えている感じだ。顔も母親似で良い顔している。
しかも地位もある。お茶を飲むには申し分ない相手だ。
「たしかに、アンタにはお似合いの仕事かも知れないわね。まぁ、精々、頑張んなさい。」
「アスカはどうするの?」
「まだ、決めて無い。どうでも良いって感じかな?」
「アスカもNERVに戻れば、良いのに。」
「あんた、ばかぁ?NERVって言うけど、本当は国連人類再生機関、単にNERVの人材を使ってるだけの
別組織、今や不要となった軍事部門の人間はもう用済みなのよ。」
「用済み」って言葉は、傷付くね。自分で言って自分で傷をえぐっていれば世話は無いけど...。
「そんな事は無い。アスカは頭も良いし、勉強も出来る。何よりも、僕なんか比べ物に成らない位の
努力家だ。アスカなら、大歓迎で迎えてくれるよ。」
「ダメね。アタシはパイロットとしての生き方以外知らないの。4歳だよ、4歳...、アタシがエヴァ
パイロットとして選抜されて、徹底的な教育を受けたのは。そんなアタシにエヴァの無い生き方なんか
考えられる訳無いわ。」
今のアタシはシンジと違い、エヴァパイロットの頃から何も変わって無い。成長もあの時から止まってる
上に、髪型も昔のまま、腰まで伸ばした長い金髪に、ご丁寧にエヴァのシンクロ用インターフェイスヘッドセット
を付けている。自分でもバカみたいだと思う。アタシは、口癖で他人をバカ呼ばわりするけど、一番のバカ
はアタシだ。
569I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 15:57:12 ID:???
「そんな事無いよ。アスカがパイロットだったのは10年じゃないか、これからの人生はまだ長い。十分に
やり直せるよ。」
「聞いた風な口きかないで!子供の頃の10年と今からの10年じゃ、全然違う。もう、アタシは手遅れなの。」
「じゃ、僕のお嫁さんになるってのは、如何かな?」
アタシは、息を飲んだ。嬉しくないと言えば嘘になる。そう言って貰って嬉しかった。しかし、それ以上に
嫌でもあった。そう、アタシはシンジが好きだ、でも憎んでいるのも確かだ。
「アンタ、本物のウルトラスーパーバカね。何で、アタシの様な美人でエリートな人間がアンタ見たいな
ショボイ人間と結婚しないと行けない訳?バカも休み休み言いなさい。」
「ごめん。でも、僕はアスカを...。」
シンジが何か言いだしそうなのが怖くて、アタシは慌てて言葉を遮った。
「あ、バカバカしいもう帰るわ。」
「アスカ、今の話、真剣に考えてほしい。答えは直ぐにとは言わないから...。お願い。」
それから数日後、アタシは誰にも言わずにシンジ達の前から姿を消した。
570I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 15:58:41 ID:???
数年後の冬
サードインパクト直後に起きた地軸の揺り戻しでこの国にも季節は戻っており、冬は寒いものに成っていた。
アタシは、暖房の無い4畳の安アパートでコートを脱がずにガタガタ震えていた。ストーブを買う金もなく、
暖房代りに入れた日本茶はとっくに冷めていた。電気も勿体ないので付けて無い。この暗い部屋では、窓から差し込む
街の明かりが頼りだ。
風呂は無く代わりにシャワーが付いているが、水しか出ない事も多く、真冬でも水浴びに成る事も多い。
水道はガステーブルが一個の台所にあるのが一つで、しかも水しか出ない。テレビも無ければ、冷蔵庫も無い。
その代わり誰にも邪魔されない。自由ってそんなものだろう。

ドアをノックする音が止まない。うるさいな。ぶっ殺すよ。アタシは、苛立ち半分にドアを開ける。
女の娘が不用心にと思うかもしれないが、舐めて貰っては困る。アタシは数人の男を一度に相手をしても負けない自信は
ある。銃でも持って来られたら別だが、殺されるならそれも良いかもしれない。
しかし、そこに立っていたのはよく知った長身の男だった。
「アスカ、みーけ。」
男は、無理におどけて言う。
「何よ。その言い方、殺される前に帰んなさい。」
アタシは、慌ててドアを閉める。
「アスカ、お願いだから入れてよ。話をさせてよ。」
「話すことなんかない。帰って。」
「帰らない。アスカが許可してくれないなら、合鍵で入る。」
「ちょ、アンタ何、用意しているの?」
「出来れば、アスカの許可を得て入りたい。」
「........。」
「大丈夫だよ。何もしない。それに、何か有ってもアスカなら手を出す前に僕ぐらい一撃で倒せるだろ。」
「はぁー、解った。でもね。外と変わんないよ。」
アタシは、ドアを開けてシンジを入れた。
571I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 15:59:51 ID:???
「車に全財産使ってるんだね。」
「普通の人間が自分の手足になって動かせるものって言えば、それ位しか無いからね。」
「さっき、見て来たけど、赤いんだね。アスカらしいよ。」
「そんな事より。どうやって、探したの?」
「色々、あらゆる手段を使って。例えばこれ。」
シンジはアタシに写真を見せた。
「これ、もしかして、衛星写真?呆れた、こんなもんまで使ってるのね。」
「アスカをロックオンしているから、もう何処にも逃げられない。逃がさない。」
おそらく、街中の監視カメラと連動させているからマジで何処にも逃げ場はないだろ。
「アンタ、何考えてんの?これストーカじゃないの。いや、それ以上に狂ってるわ。」
「アスカを手に入れるならなんでもする。そう決めたからね。」

「この分じゃ、アタシがどうやって、生きてるのかも知ってるわね。」
「ああ、酷いと思うよ。何で、アスカがそんな事しないと行けないんだって思った。」
「経歴を隠した女が出来る仕事なんてたかが知れてるからね。いい気味だと思ってるんでしょ?自業自得だと
嘲笑ってるんじゃないの?」
「違う!アスカがこうなったのは僕らのせいだ。誰もアスカを見なかった。誰もアスカを必要だと言わなかった。
アスカを利用するだけ利用して、必要が無く成ったらぼろきれの様に捨てた僕らのせいだ。」
「嘘ばっかり、アイツが怖いんでしょ。あの女が駄目だからアタシに逃げて来たただそれだけじゃない。」
「否定はしない。でも、確かに...綾波のとこは忘れれないけど、でも、アスカまで失う事は出来ないよ。」
572I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 16:01:45 ID:???
アタシは立ちあがると窓を開けて外を見た。
「ここから、確認しただけで5人か。ねぇシンジ、アンタ、ボディーガード何人連れて来た?」
「え、知って居たんだ。流石、アスカだね。冬月さんにこの辺に来るなら絶対に連れて行けって言われたので、
15人に来て貰ってる。」
「じゃー、十分ね。そいつ等を全員の部屋に呼びなさい。幾らアタシでもプロ相手なら5人が限度、そいつ等に
アタシを捕まえさせて、どっかの地下牢に監禁して言う事聞くまで暴行を続ける。強がってはいるけど、アタシは
壊れ女だから、一週間もしないうちにアンタの物になるわ。」
「それは、駄目だ。その時は、アスカじゃなくなっている。あくまでも、僕が欲しいのは強がっているけど、実は
優しいアスカなんだ。」
「そんな奇麗ごと言わないで。今のまま、アンタと一緒に居てもアンタを憎くなるだけ、うん、確かにアタシはアンタを
好きよ。でも同じ位に憎いの。だったら、この心を壊して、アンタの人形に成れば.....。」
もう自分でも何を言いたいのか解らなくなってくる。
「駄目だ!アスカは人形じゃない。アスカは、血の通った優しい女性だ。」

「そう、じゃー、こうするか。」
アタシは、台所から文化包丁を取り出す。
「これで、アンタを殺せば、アンタの中のアイツを消せる。そうすれば、アンタの全てが手に入る。」
それを聞くとシンジは立ちあがって、あの優しい微笑みを見せた。何て顔すんの?本気で、殺す気なんだよ。
解ってるの?
「そんな顔しても無駄よ。本気なんだから、助かりたかったら逃げなさい。土下座して謝んなさい。」
「何でだろうね。僕にもよく解らない。ただ、アスカに殺されるなら、良いかなって思ってね。君が何時も言うように
僕は本物のスーパーウルトラバカなんだろう。」
アタシの手から包丁が落ちて、畳に突き刺さる。
573I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 16:02:53 ID:???
シンジがアタシの方に近寄って来た。ちょっと、何する気?
「ごめん、アスカ。」
そういうと、アタシを抱きしめて、キスをした。更に、口に舌を入れて来る。アタシの力が抜けて行くのが
解る。その状態をしばらく続けた後、シンジはアタシをお姫様だっこをして、部屋の真中へ連れて行ってくれた。
「どこで、こんな事、覚えたの?」
「委員長に言われた。アスカに有ったらともかく抱きしめろってね。」
「ヒカリが?そう言う事か、アンタがそんな事、思いつく訳無いよね。でも、あのキスはどうやって覚えたの
かなり慣れていたみたいだけど。」
「練習したんだ。」
「練習、誰と?」
「それは言えない。とても言える話じゃないから。」
「別に、アンタも大人なんだから女の一人や二人いてもおかしくないわ。」
「そ、それは、違う。良いよ、言うから、でも笑わないと約束してくれる?」
「良いけど、それより早く教えなさいよ。」
「トウジと練習したんだ。」
「え゛、アンタ達変態だったの?」
「ち、違うよ。アイツが、親友の為だからと言って、僕だって気持悪いし、思いだしたくないけど...。でも....。」
アタシは声を出して笑った。余りにも間抜けな絵が浮かんでくる。
「ちょ、アスカ、笑わないって、言ったろ。そこまで、笑わなくても...。」
「ごめん、でもね。うん、こんなに笑ったのは、アンタと別れて以来だわ。ありがとう。
574I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 16:03:26 ID:???
「ねぇ、シンジ。アタシが寒くて凍えている時にアタシを抱きしめてくれる?」
「もちろん。」
「アタシが二度とこんな事しないように、アタシを守ってくれる?」
「当然だよ。何ってるんだ。アスカを失う何て考えられない。」
「アタシのやりたいこと、アタシの我儘ちゃんと、聞いてくれる?」
「ああ、当然だよ。何でもする。」
「夢を見て良いの?アナタの事を愛していれば、生きていけると言う素敵な夢を。」
「良いよ。」
「でも、そんなの一瞬だよね。直ぐに忘れちゃう。そして、捨てられる。人形の様に...。」
「そんな事、するもんか、絶対にしない。」
「アタシが年をとって、奇麗じゃなくなったら、捨てるんでしょ?」
「違う。絶対にしない。アスカを捨てることは絶対にしない。これは、信じて。」
シンジの背中が大きく見えた。この背中に守られたら、アタシはもう尖がらなくて良いと思えて来た。
575I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 16:04:33 ID:???
こんな感じです。
少し、壊れたアスカも良いかなと思っています
576名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 16:08:39 ID:???
終わりが少し物足りないけど面白かった。乙!
でもトウジはないなw
577名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 16:15:48 ID:???
乙!
これから更にさかのぼるんかな?
2人とも凄いヤンでるな。トウジは何なんだwww
578名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 16:17:37 ID:???
180超えのシンジかw
579名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 16:20:38 ID:???
投下乙
シンジのみならずトウジも上達してそう
ヒカリは嬉しいだろうな
580名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 16:26:12 ID:???
ちょっとやんだ二人の関係って大好き。すごくよかった。
でも、トウジwwww
581名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 16:32:25 ID:???
>>575
GJ!よくのほほんと結婚式来れたなトウジめw
>>543
亀ですがGJ!日常の中にいる2人って大好きです。

このスレペースが早くて読むのも大変だw

落ちLASスレも使ってあげてほしいな
582名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 16:50:06 ID:???
乙です。
「アスカを手に入れるならなんでもする。そう決めたからね」
シンジのわがままがいい
583名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 16:54:10 ID:???
トウジの下りは笑えばいいのか迷うw
584名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 17:05:52 ID:???
>>583
センセ思いの優しいやつだとほめてあげてよw
585名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 17:05:55 ID:???
乙です

もう少し最後に何か捻りが欲しかったですが…
586名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 17:09:55 ID:???
おつ!

しかしトウジってw
ヒカリもアスカもそれでいいのかw
まぁ他の女よりはいいか
587I'd Do Anything For Love:2009/08/02(日) 18:20:24 ID:???
以外に評判が良くて嬉しいですね。
シンジはゲンドウの息子ですから、目的を決めると手段を選ばない
って気がして居ます。
最後は確かに弱いですね。

>>577
これ以上は、さかのぼりません。また、夫婦ネタが思いついたら投下します
588名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 18:37:01 ID:???
>>578
待ってます!
589名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 18:38:00 ID:???
>>587だったw
590名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/02(日) 20:13:09 ID:???
トwwwwwwwウwwwジwwwww


乙。大儀であった。
591名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 04:48:09 ID:???
「空を知らない少年」マダー?
592名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 19:37:46 ID:???
そんなこと言ってるとifがまた「じゃあ僕が書きます」とか言い出すぞw
593名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 21:57:14 ID:XzTUbDyj
式波、惣流の入れ替わり、どうぞ
594名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:31:32 ID:???
ageるなカス
595名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:47:22 ID:???
惣流と式波を同じ部屋に閉じ込めてみた2部屋目にて投下をしていた者です。
こちらで投下していきたいと思います。
入れ代わりの10以降につきましては仕事が忙しいので、あまりすぐには投下出来ないかもしれませんが、よろしくお願いします。
596名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:47:59 ID:???
>>595
ドンマイ
あっちでは叩かれてたけどあんま気にしないでね
597名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:48:44 ID:???
別に叩かれてなかったと思うが
598名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:48:51 ID:???
入れ代わり1

(アタシ死んじゃたのかな?)
アタシはシンジの乗る初号機に、エヴァ三号機と共に使徒として殲滅された。
はずだった。
気が付くと、全裸で野外のバスタブの水にアタシは浸かっていた。
「キャー!なんでアタシがこんなとこで全裸でいるのよ?」
あと、ろくにご飯を食べていなかったらしく、強烈な空腹感がアタシを襲った。
「一体なんなのよ?とりあえず服を着ないと」
アタシはバスタブの横にあった制服を着た。
アタシの体はとても重く、やつれてはいたがケガは全く負っていないようだった。
「お腹が減り過ぎ……。とりあえず家に帰って、シンジにご飯を作ってもらおう」


アタシは思うように動かない重い体を引きずるように
歩き、なんとか家にたどりついた。
「疲れた…。シンジ…ただいま…」
シンジはアタシの姿を見ると、こちらに走ってきた。
「アスカ!無事だったんだね!」
シンジは目に涙を浮かべながら、アタシを抱きしめくれた。
599名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:50:34 ID:???
入れ代わり2

(アタシのこと心配してくれてたんだ)
アタシはシンジに抱きしめられて、えこひいき風に言うと、気持ちがとてもポカポカしていた。
(このままずっとシンジに抱きしめていてほしいな)
そんな幸せな時間を、アタシのお腹はぶち壊した。

グウーッ!グウ−−−!

空腹に耐え兼ねたアタシのお腹が、盛大に鳴ったのだ。
シンジはその音を聞いて冷静になったのか、抱きしめていた手をアタシから離した。
「ごっ、ごめん。いきなり抱きついたりして」
アタシは恥ずかしさのあまり、たぶん顔が真っ赤になっていたと思う。
「べっ、べつに気にしなくていいわよ。それよりシンジ。何か食べる物作ってくれない?」
「そういえばアスカ、かなりやつれてるね。わかったよ。あまり材料はないけど何かつくるよ」
「よろしく頼むわ。アタシ先にお風呂に入って来るから」
600名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:51:46 ID:???
入れ代わり3

アタシはお風呂でいろいろと考えていた。
アタシは体を洗いながら顔を見てみると、顔はゲッソリと痩せこけ、アバラも浮き出ていた。
「ひどい。これがアタシの体だなんて…」
アタシはエヴァを乗っ取られた時に、使徒に生気を奪い取られたため、こんな体になってしまったのだと結論付けた。
「シンジのおいしいご飯をこれからたくさん食べて、早く元通りにならなきゃ…」
お風呂から上がると、リビングからいい匂いが漂ってきた。
「アスカ。食事の用意ができたよ」
「わかった。今行く」
「挽き肉があったから、ハンバーグを作ったよ」
「ありがと。じゃ、いただきます」
合成肉でもシンジの作る料理はとてもおいしい。
アタシは大好物であるハンバーグに箸を付けた。
(何?この味。すっごくおいしい!)
「アスカ、味はどうかな」
アタシは今までに食べてきた合成肉の料理とは、明らかに異なる食感と美味さに、シンジを素直に誉めた。
「今まで食べてきた合成肉の料理とは比べ物にならないくらい、おいしかったわシンジ」
「合成肉って?それは牛肉だけど」
「えっ?牛肉?……シ・ン・ジ・く・ん♪アタシをバカにするのは百年早いわよ」
バカにされたと思ったアタシは、シンジの頭をグリグリした。
601名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:53:18 ID:???
入れ代わり4

「ほっ、本当に材料は牛肉だって。合成肉だなんて、そんなお肉、見たことも聞いたこともないよ」
どうもシンジは、アタシに嘘をついていないようだった。
(何か、おかしいわね)
アタシは自分の頭をフル回転させた。
そういえばアタシの部屋の扉の前に、ピカソのような文字で、シンジを威嚇する言葉が書かれたボードが掲げてあった。
部屋に入ると、アタシのママのお気に入りだった人形が無く、代わりに猿のぬいぐるみがあった。
アタシの愛用していたワンダースワンも無くなっていた。
まだ開けていない箱の名前を見ると、アタシの名前である式波ではなく、Sohryuと書かれいた。
アタシはどうやら使徒の力によって、別の世界に飛ばされてしまったようだ。
真剣に考え事をしているアタシを、シンジは心配そうに見つめていた。
「大丈夫?いろいろあったから、アスカは肉体的にも精神的にも疲れているんだよ」
「そうかもね。最近の記憶が喪失しているかもしれない」
シンジの話しにアタシは合わせると、シンジに出会いから、今までの出来事を聞いてみた。
602名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:54:21 ID:???
入れ代わり5

「ふーん。そんなことがあったんだ…」
アタシはシンジの話しを一通り聞くと、この世界でのシンジともう一人の自分に心から同情した。
「…カヲルくんを……僕は…僕は…この手で……」
シンジは体を震わせながら、涙を流していた。
「シンジは悪くないわ。シンジがそうしなかったら人類が滅んでいたんだもの…。アタシがこうして生きていられるのはシンジのおかげよ」
アタシはシンジを抱きしめた。
シンジはビクッ!と一瞬体を震わせたが、シンジもアタシの体を抱きしめてきた。
「アスカ…アスカ…アスカ…」
アタシの胸に顔を埋めたまま、シンジは何度も何度もアタシの名前を呼んだ。
しばらくの間、アタシとシンジが抱き合っていると、家の扉が開いた。
「アスカ!無事だったのね」
アタシは慌ててシンジから離れた。
ミサトはアタシ達の姿を見ると、急いで目の前までやって来た。
「シンジ君。アスカとの感動の対面のところ、悪いんだけど、急いで私と一緒に本部に来て欲しいの」
ミサトの感情の込もっていない事務的な物言いに、アタシはこの世界が、改めて別の世界であることを、再認識させられたのだった。
603名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:55:32 ID:???
入れ代わり6

アタシとシンジはミサトによって、ネルフ本部に連れて来られた。
アタシの体は思ったより衰弱していたみたいで、数週間の入院を命ぜられた。
アタシが病室のベットで横になって点滴を受けていると、扉が開きシンジがやって来た。
「アスカ。体調はどう?」
「うーん、万全ではないけどそんなに悪くはないわ」
「早く元気になってねアスカ」
「そうね、病院食はあまりおいしくないし。退院したらまたハンバーグ作ってね」
「う、うん。前よりもっとおいしいハンバーグをつくるよ」
「Danke!よろしく頼むわよバカシンジ」
アタシがそう言うと、シンジは肩を震わせていた。
(調子に乗ってバカシンジなんて呼んだから怒ったのかな?)
「うっ、ううっ…グスッ……」
どうやらシンジは泣いているようだった。
「アスカ、怖いんだ…綾波もミサトさんも…みんな怖いんだ…」
シンジはそう言うと、アタシに抱き着いてきた。
「ちょっ、ちょっとシンジ」
「アスカ…アスカ…アスカ…駄目なんだ…アスカが僕の傍に居てくれなきゃ駄目なんだ」
(この世界のシンジは、今のアタシではとても堪えられないくらいの、酷い思いをしてきたんだ…)
アタシはシンジが哀れに思い、シンジを抱きしめた。
「心配しなくていいわ。アタシはシンジの味方だから」
「アスカ…本当?」
「本当よ。だからシンジも早く元気になりなさい」
「う、うん。僕も早く元気になるよ」
「よろしい。それよりアンタ、顔がすごいことになってるわよ」
シンジの顔は涙と鼻水で、びちゃびちゃに濡れていた。
「えっ?あっ?ご、ごめん」
「ぷっ!あーはっははははは」
アタシは思わず大声で笑っていた。
その時、病室に警報音が鳴り響いた。
604名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:56:40 ID:???
入れ代わり7

ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!
『総員第一種戦闘配置』
『繰り返す、総員第一種戦闘配置』

ネルフ本部全体が戦闘状態に入ったことを告げる放送が流れた。
「シンジ、どうやら使徒が来たみたいね」
「そうみたいだね…」
「こうしちゃいられない!シンジ!行くわよ」
「うん、わかったよアスカ。でもあまり無理しないで」
「わかってるわ、シンジ」
アタシは点滴針を外し、体を起こした。



その時!



急に辺りが暗くなったかと思うと、目の前にプラグスーツを着たアタシが立っていた。
ケガをしているらしく、頭と左目、右腕が包帯で包まれていた。
右目でアタシを威嚇するように睨みつけると、嫌味たらしくこう言った。
『アタシの体を勝手に使わないでくれる?自称ユーロ空軍のエース、式波・アスカ・ラングレー大尉』
「アンタが惣流・アスカ・ラングレーなの?」
『そう、アタシが惣流よ』
アタシはこの世界のアタシと対面することになった。
605名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 22:59:26 ID:???
入れ代わり8

『アンタ、バカね。あんなヤツに優しくするなんて。アタシがこの世界で、シンジにどんな目に合わされたかアンタに教えてあげるわ』
睨みながら不敵な笑みを浮かべ、アタシに近付くと、アタシの頭に手を置いた。
「一体、何を?」
『いいから、そのままおとなしくしてなさい』
この世界でのアタシ、惣流・アスカ・ラングレーの体験が走馬灯のように、アタシの頭の中に流れ込んできた。
アタシは無意識の内に、涙を流していた。
「うっ、うっ、うああああ−−−−っ!」
アタシはしばらくの間、泣いていた。
『どう?これでもアンタはシンジのことが…』
「………うっさい!」
『!』
「アンタ、アタシより恵まれてるじゃない!」
『なっ、なんですって?』
「シンジがレイじゃなく、アンタを望んだんじゃない!」
『!!!』
「シンジは頑張った。どんなに困難で辛いことがあっても、そのたびに立ち上がった!辛いのはアンタだけじゃない!」
『うっさい!アンタにアタシの何が分かるのよ!』
「アタシはアンタとは違う!アタシはずっとシンジの傍に居たい!」
『……ふんっ!アンタの決意がどれほどのものか、見せてもらうわ』

アスカ……アスカ…

「アスカ!」
目覚めると、シンジが心配そうにアタシを呼んでいた。
「アスカ!よかった、急に意識を失ったから心配したんだよ」
「ごめん、急に起き上がったから貧血になったみたい」
シンジはアタシを抱きしめていた。
(惣流・アスカ・ラングレー。アタシの選択が誤りでないことを、必ず証明してあげるわ)
606名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 23:03:09 ID:???
入れ代わり9

(なにがシンジの傍にずっと居たいよ!…せいぜいそっちのシンジと一緒に絶望しなさい!)

式波ア…  式波アスカラングレー…
(うるさいわね!アタシは惣流よ!)
『応答せよ!式波アスカラングレー大尉!』
アタシは使徒戦直前の2号機の中で目覚めた。
『どうした?初の使徒との実戦の前に、緊張しているのか?』
「いいえ。申し訳ありませんでした」
『この使徒との戦いは、我々ユーロ支部の未来が掛かっているのだ』
(はいはい。この世界でのアタシのデビュー戦ってわけね)
「はい。分かっております」
『あと数分で使徒上空に到着する。切り離し後、使徒を殲滅せよ』
「了解」
(アイツの動きをそのままトレースするだけ。ちょろいもんね)
ただアタシには若干の不安があった。
(式波としてのコイツの記憶は3号機搭乗までなのよね。まっ、なんとかなるでしょ。3号機にはファーストに乗ってもらえばいいし♪)
『これから切り離す。派手に使徒を殲滅して、ネルフ本部のヤツラに我々、ユーロの力を見せつけてやれ』
「了解。これから使徒との戦闘に入ります」
アタシを乗せる2号機が、ウィングキャリアーから切り離された。
式波アスカラングレーとしての、アタシのデビュー戦が始まった。
アタシはアイツの動きを忠実にトレースし、難無く使徒の攻撃を裁くと、使徒のコアを蹴りで貫いた。
「使徒の殲滅を確認。任務完了しました。このまま地上に着陸します」
『了解。よくやった、式波アスカラングレー大尉。君は我々ユーロ支部の誇りだ。』
「ありがとうございます」
(何が誇りよ。人を道具として使い、役に立たなくなったらゴミのように捨てるくせに!)
着陸体制に入ったアタシの視界に、ミサトとシンジの乗った車が入ってきた。
(チャーンス。このまま踏み潰してやる!)
着陸する直前で、アタシは思い留まった。
(今復讐しても、つまんないわね。徹底的に追い詰めてから復讐してあげるわシンジ♪)
607名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 23:11:37 ID:???
反対する理由は無い。やりたまえ
608名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 23:13:00 ID:???
既に投下済みの入れ代わり1〜9を再度、投下させていただきました。
609名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 23:34:48 ID:???
GJ
610名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/03(月) 23:49:02 ID:???
GJ
おもしろい設定だね!これからの展開楽しみです!
611名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 00:42:57 ID:???
GJ!両パート楽しみですが、とくに惣流パートが楽しみw
612名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 04:56:41 ID:???
惣流パートはQが終わらないと書けないんじゃ無いの?
613名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 12:53:14 ID:???
糞つまんね
614名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 13:08:04 ID:???
稚拙な煽り罵倒は夏の風物詩みたいなものなので、作者さんは気にしないでください><
615名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 16:16:33 ID:???
内容があの糞のリテーク
616612:2009/08/04(火) 17:47:22 ID:???
仕事に出かける前に一寸見ただけだったので誤解していたけど、破の
最初に戻ったんですね。良い所に目を付けたかも
617名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 17:57:29 ID:???
まぁ、この手の設定は誰かしらがやるから、早い者勝ちだな。
つか、ネットに既にありそうw
618名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 18:25:30 ID:???
>>617
だから何?
619名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 18:36:20 ID:???
また、嫁アスカの続編を投下します。
その前に、すこし設定を整理しておきます

アスカはシンジの嫁
シンジ:アスカを守る事を決心したみたいで、アスカの為なら何でもする積りです。家出したアスカを探すのに人工衛星まで
使う位の無茶は平気でやります。
アスカ:シンジに愛されていると思う事で精神の安定を得ようと、必死でシンジに気にいらる可愛い奥さんを演じて居ます。
でも、時々地が出ます。娘の名前に大嫌いな綾波と同じ名前を付けるなど、少しでも自分を変えようとしているみたいです。
因みに、旧姓はラングレーとして居ます。エピソードは式波さんですが、惣流さんも救われたら良いなと言う思いで業と、
どっちでも取れるようにして居ます。

ヒカリはトウジの嫁
子供は三人いるみたいです。詳しい設定は考えてません。

ケンスケは10歳下の腐女子と結婚した。
ケンスケが一人だと可哀そうなので、適当に名前を付けたキャラ(ユリコ)と結婚している設定にしました。

ゲンドウ:NERVを辞めて、庵野化してますが実は、凄い人らしいです。
冬月:今でも健在ですが、流石に第一線は退いています。お面集めが趣味見たいです。
加持やミサト、リツコも生きているみたいです。
綾波は居ません。カヲルと宇宙に帰りました。
620トラウマ:2009/08/04(火) 18:39:21 ID:???
アタシには名前も言いたくない位嫌いにモノが二つある。
一つは、アタシの恋敵、ダンナの心に未だに住みついているあの女。
もう一つが、7月の終わり頃、日本人が土用の丑の日と呼ぶ日に食いたがるあのニョロニョロだ。

「しかし、センセの料理は美味いのぉ。どこぞのガサツ女とはえらい違いや。」
「それは、若しかしてワタクシの事ですか?」
「まぁ、まぁ、アスカ怒らない。」
ダンナはそう言った後に、小声で
「レイが怖がるよ。」
と付け加える。その通り。アタシは何時も碇シンジの貞淑な奥さんで居ようと思って努力している。特に、娘には
怒っている姿は絶対に見せたくない。
こう言うときは、話題を変えよう。
「アナタ、ビール飲みます?」
「そこ置いていおて、今、手が離せないから。」
今日は、ダンナの悪友(通称三馬鹿トリオ)の家族と家の庭でバーベキューパーティーを行っている。
仕込みから調理まで全てダンナ一人でやった。アタシが手を出すと、不味くなるから仕方がない。
しかも、三馬鹿のひとり野蛮人こと、鈴原トウジのペースがやたら早くてダンナは、手を休める暇がないのだ。
621トラウマ:2009/08/04(火) 18:40:09 ID:???
「ぬるくなると、美味しくないですよ。少しは、休んで下さい。そうだ、ワタシが飲ませてあげる。」
そう言って、ダンナの口にビールの入ったコップを持って行く。
ダンナは「ありがとう。」と言って飲んでくれた。残った分をアタシが飲む
「おお、見せつけてくれるのぉ。」
「ヒュー、ヒュー。」
ダンナの悪友がはやし立てる。アンタらが食い過ぎるからダンナが休む暇がないんだろ。
少しは遠慮しろ。
「しかし、アスカ飲み過ぎと違うか?」
「え?そんな事無いと...。」
「そのドイツのビール、アスカしか飲んで無いのに、何で空き瓶が一番多いいんや。」
やばー、確かにバイエルンビールの空き瓶が5本なのに対し、他がまだ4本だ。
「だ、だって、アタシも食べる暇ないのでビール飲むしか...。」
娘に食べさせたり、調理に専念しているダンナにも食べやすいように小分けにしたりしているうちに、アタシはビール飲む
暇しか無いんだよ。結局、アンタらのせいだろ。
「女の大酒飲みとは、関心せんな。」
「アンで...、そう言うのを前時代的な話は流行らないと思いますよ。」
アタシは、怒りを抑えて、すこしふてくされ気味で反論する。
622トラウマ:2009/08/04(火) 18:42:11 ID:???
「しかし、炭火とは本格的だね。碇のこだわりが解るよ。」
「炭と言えば、そろそろ土用の丑や。それで、ウナギ焼くと良いやないか?」
そんな気持わるいものの話をするな。
「いや、無理だよ。素人に焼けるもんじゃない。」
「ちょっと、止めて貰えます?そう言う変な話をするの...。」
「変?ウナギの何処が変なんや?」
「いえ。だから...。」
「ママは、ウナギきらいなのよ。」
ヤバい、それ以上言うな。アタシは、娘の手を引いて皆から離れた所へ連れて行く

「ねぇ、レイ。ママがアレを見て気絶したこと内緒にしてくれる?」
そう、アタシはマジで気絶した事が有る。アレだけはどうしても苦手だ。
「アレって?」
「アレと言えば、ママの嫌いなニョロニョロよ。」
「ああ、ウナギね。わかった。」
あいつ等にアタシの弱点を知られては困るのだ。

「何、話していたの?」
「女同士の秘密よねぇー。」
「ねぇー。」
「なんや、この親娘。」
「しかし、アスカがウナギを嫌いとは意外だな。」
うるさい、それ以上その名前を言うな。
「たしかに、ワタシ達の子供の頃は魚が普通にいなかったもんね。アスカが苦っ手ってのも解る気がする。」
そう、アタシ達の子供の頃は海は赤く、魚なんて居ない死の世界だったのた。今は、海も元に戻り、
天然ものは無理にしても養殖の魚は普通に食卓に並ぶようになっている。
623トラウマ:2009/08/04(火) 18:44:02 ID:???
「そういえば、中学の時に皆で行った。海洋研究所だけど、最近、水族館に改装されて一般開放されているんだよね。
イルカのショーとかやってるんだけど、今度、皆で行かない?」
おお、相原もたまには良い事言うじゃないか。イルカ、見たいよね。
「見に行くー。」
「アタシも見にい.....きたいです。」
娘につられて、危うくガキっぽい事を言いそうに成る。
624トラウマ:2009/08/04(火) 18:45:16 ID:???
数週間後の週末、アタシは娘とダンナを乗せてBMWを走らせていた。殆ど、ペーパードライバーに近いダンナ
を遠出で運転させるのは危険なので、運転はアタシの仕事だ。と言うのは建て前で本当は、アタシが運転した
いだけなのよね。もっとも、娘と居る時は安全運転だよ。精々、下道を100Km/hで走るぐらい、高速でも
150位しか出さないもんね。
「覚えてます?海洋研究所の水槽でアナタ、ファーストと二人っきりで話して居たでしょ。」
「い、いや、あれは綾波が寂しそうにして居たから...。その、深い意味は。」
「別に、良いですよ。あの時、凄く頭に来たの覚えてます。多分、あの時からアナタの事好きだったんだなー
って思って。」
「そうなんだ。全然気付かなかった。」
「アナタは、誰にでも優しいから、女の子は直ぐに勘違いしちゃうんですよ。特に、アタシの様な壊れ女には、罪ですよ。
本当に憎たらしい人でした。」
「他人に媚びてばかりだったからね。それで何とかなると思っていたけど、結局は、他人を傷付けて居たんだよね。」
「ワタシも悪いんですけどね。、意地っ張りだったから、あんまり人に好意とか言うの嫌で、ずい分、アナタに悪い事してしまった
事を後悔してます。」
「僕もウジウジして居たからな。ずい分、アスカを怒らせたんじゃないかな?」

水族館につくと、相原ケンスケとその奥さんのユリコが待っていた。と言うよりも、写真を撮りまくっていた
と言う方が適切か。鈴原親子が来た時点で、全員で水族館へ入る。
消毒層が有ったゲートをくぐると懐かしい、水槽が現れた。やっぱり、大きな水槽一杯の魚は圧巻だね。
娘も大喜びしている。来て良かった。移動に邪魔なパイプは取り払われているが元の水槽はそのまま使っている。
そうだ、あそこでダンナがアイツと話をして、アタシがふてくされてゲームしたんだよね。
甘酸っぱい思い出が蘇る。

イルカショーも良かったよ。イルカは可愛いね。アタシも思わす大はしゃぎしちゃった。
でもね。その後、とんでも無い事が起きたんだ。事の起こりは、淡水魚の所へ行った時。そう、アレが居たことなんだよね。
625トラウマ:2009/08/04(火) 18:45:43 ID:???
ダンナが、先に見つけて「アスカ、ヤバい。」と言った時にはもう遅かった。
アタシは、アイツから目を逸らす事が出来ずに、固まっていた。そうしたら、大きな口を開いて、ニヤって笑うんだよね。
その後、手足が生えて、羽まで出てきて。手には恐ろしく大きな両刃剣を持っている。そいつが、9体に分かれると、
水槽から抜け出して、アタシの真上をグルグル回り出した。もう、怖いとかそう言うレベルじゃない。アタシは、
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
と悲鳴を上げると、全身から力が抜けるのを感じた。遠のく意識の中で誰かが支えてくれているのは解った。
多分、ダンナだろう。
626トラウマ:2009/08/04(火) 18:46:25 ID:???
ああ、体が重い。動かない。話声が聞こえる。
「...りこみ?」
「そう言う事だと思う。僕も詳しくは知らないけど、彼女は4歳で選抜されて、英才教育を受けた、と言えば聞こえは
良いが、やっていたことは洗脳だよ。」
え!アタシの話?
「薬物が使われる事も有ったらしい。色々な記憶や精神構造の刷り込みが行われた。むりやり、色々の情報を刷り込まれたら
脳は混乱する。情緒不安定になるだけで済めば良い方、下手したら精神が崩壊する。本来、優しくて芯の強い彼女が情緒不安定に
なったのも実は、それが原因らしいんだ。」
「むごい、話やな。」
「ひどい、そんな事、人のやる事じゃない。悪魔の仕業よ。アスカがは道具じゃないのに。」
「仕方が無いんだ。そうしないと、僕らは生き延びれなかった。」
ちょっと、どういう事よ。そんな事知らないよ。
「大体、解ったが、それとウナギを異常に怖がる理由が解らん。態々、そんなものを刷り込んでなんになんねん。」
「詳しい事は、僕には解らない。何か理由が有るのか、手違いなのかも。」
「NERVのトップと言うのに、頼りない意見ばっかりだな。言えないって事?」
「僕はお飾りだからね。本当の事は解らないんだ。父さんにも聞いたけど、詳しい事は教えてくれなかった。
知っても仕方ない事なんだろう。ただ、二つ言われた。」
やっぱり、碇司令ってぼけた振り居ているだけで、色んなこと考えているんだね。
「一つは、同情なら彼女に関わるなって事。あらゆる犠牲を払ってもアスカ守る気が無いなら、結局、彼女を壊すだけだって。」
え、それって。アタシの事を真剣に愛してくれているって事?嬉しいよぉ。
「そして、もう一つは、自分と同じ轍は踏むなって。母さんの事を言ってるみたいだけど、詳しくは解らなかった。」

「綾波もそうなんか?」
「彼女は...、いや、多分、そうだと思う。」
アイツは違うんじゃない?でも、似たようなモノか。
「碇君はどうなのよ。」
「あ、僕は何もされてないよ。僕のウジウジしたのは生まれつきだから。」
「でも、碇もエヴァに乗れたじゃないか。」
「僕は特別らしい、どう特別かは教えてくれなかった。でもね、父さんは大切なことは教えないけど、嘘は言わないから信じて
良いと思ってる。」
627トラウマ:2009/08/04(火) 18:47:49 ID:???
「しかし、アスカをからかって、悪い事したな。これからは、もっと大切にしないとあかんな。」
「いや、彼女には今まで通に接して欲しいだ。彼女は敏感だから逆に気を使うからね。」
ちょっと、ヤバいよ。目を開けるタイミングがつかめない。ええい、もう起きちゃえ。
「あ、ココ何処?」
アタシは普通に言ったつもりだけど、声にまったく力が入って無い。
それでも、無理やり体を起こす。少し頭痛がした。
「あ、ママ、ママ。えーん、えーん。」
娘が泣きながら抱きついてくる。
「ごめんね。心配かけちゃったね。」
アタシは、娘の頭を撫でながら言った、
回りを見ると、三馬鹿とヒカリしか居なかった。まぁ、深刻な話をしているから、当然か。娘は聞いても
解らないだろうし。
「ほかの人は?」
「アスカが気付いたら、飲ませるための飲み物を買い行ったから。もう、戻るんじゃないかな?」

しばらくすると、買い出しに行った連中が戻ってきたので、アタシは低カロリーのスポーツドリンクを選んで飲む。
お陰で、少し気分が落ち着いてきた。
「しかし、アンタ達に弱点を知られたのは失敗だったな。」
「ワイがそんな卑怯な真似するか、おまえと勝負する時は堂々と勝負したる。」
「ふっ、言ったな。久しぶりに、ゲーセンでパンチングマシーン勝負しようか?」
華奢なアタシからは想像できないだろうが、アタシはパンチ一撃で大男を倒すこともできる。スピードと体重移動が
半端じゃないからだ、力だけの野蛮人には負けない。
「望む所じゃ。」
「上品な、アスカさんがやることとは思えないな。」
「い、良いじゃん、たまには...。」
皆がドット笑いだした。
628トラウマ:2009/08/04(火) 18:48:19 ID:???
しかし、ダンナが言ったことは本当だろうか?アタシはアレに襲われたと言う経験が確かにある。何時かは覚えてないけど
大口を開けて笑うヤツに全身を食い荒らされたんだ。
でもそんな事されたら生きて無いよね。そもそもそんな事、有るわけ無いし。

アタシは、頭を振ってその考えを外に出す。大丈夫よ、どんな事が有っても優しいダンナがアタシを守ってくれる。
カレが守ってくれる限り、アタシは前に進めるもの。
629トラウマ:2009/08/04(火) 18:48:55 ID:???
てな感じです。ネタが思いついたらまた投下します。
630名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 18:53:12 ID:???
GJ!

続きを楽しみにしてます(^O^)
631名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 19:22:37 ID:???
ぐっじょ
632名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 19:45:48 ID:???
>>628

相変わらず面白い!
今回は破のエピソードが使われてたけど、人となりのベースは旧作っぽいよね?
633名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 20:23:28 ID:???
GJ!
自分を押しころしてるアスカってちょっと切ないね
634名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 21:06:58 ID:???
GJ!!
635名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 23:03:31 ID:???
何か、キャラの性格が不安定だなw
636名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 23:48:54 ID:???
選民思想の臭いがイタイ
637名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/04(火) 23:51:02 ID:???
>>636
だな。
それに違和感感じない連中も気持ち悪い。
638名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 00:40:53 ID:???
>>606の続きを投下します。
639名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 00:43:05 ID:???
入れ代わり10(惣流パート)

ネルフ本部に輸送される2号機の上に、アタシは立っていた。
しばらくすると、ミサト、シンジ、ファースト、ジャージとメガネの姿が、アタシの視界に入ってきた。
アタシは2号機から降りると挨拶をするために、ミサトに近付いた。
「久しぶりね、ミサト」
「お久しぶり、アスカ。みんなに紹介するわ。彼女はユーロ空軍のエースでEVA2号機パイロット、式波・アスカ・ラングレー大尉よ」
(…葛城ミサト。アタシから大切な物を奪っていった偽善者、家族ゴッコ女、ヘドが出るわ!)
「ウッ!」
上面だけ笑顔でミサトに挨拶をしたアタシは、急に込み上げてきた吐き気を、なんとか堪えた。
(気持ち悪い……)
「大丈夫、アスカ?顔色があまり良くないみたいだけど…」
ミサトが心配そうな顔で、アタシに問い掛けた。
「大丈夫よ。ちょっと疲れただけだから」
(アンタなんかと対面したからよ!)
「で、ミサト。そっちのエースパイロット、碇シンジって誰?」
(もちろん知ってるけどね。一応、聞いておくわ)
「紹介するわアスカ。彼が初号機パイロット、碇シンジ君よ」
アタシはシンジに歩み寄ると、顔を近付けた。
「あなたがネルフ本部所属のエースパイロット、碇シンジね」
「う、うん。よろしくおねがい…」
(ミサトやファーストなんかにコイツを渡してやるものか!コイツを好きにできるのは、アタシだけよ)
640名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 00:44:29 ID:???
アタシはシンジの顔に両手を添えると、更に顔を近付けシンジの唇を奪った。
「ンッ!?」
シンジは突然の出来事に、どうしていいのか分からず、そのまま固まっていた。
抵抗しないシンジの口の中に、アタシは無理矢理舌を入れた。
「ンッ!う、うんんんー!」
アタシに舌を入れられても、シンジは抵抗をしなかった。
アタシは、とても濃厚で刺激的になるように、シンジと舌と絡めた。
シンジはアタシのキスで気持ちよくなっているらしく、目がトロンとしていた。。
(どう?シンジ。ミサトのキスなんかより気持ちいいでしょ?)
アタシが唇を離すと、お互いの唾液が糸を引いていた。
「あっ……」
シンジは名残惜しそうに、アタシを見つめていた。
「お前ら公衆の面前で、なんちゅうハレンチなことを」
「イヤーンな感じ」
「アスカったらまあ大胆♪」
「・・・・・」
ファーストは目の前で起きた出来事に対して、全くの無表情だった。
ただ、アタシが目を合わせると、ファーストは赤い瞳で殺気の込もった視線を向けていた。。
(いい気味ね。人形のアンタにはまだ分からないと思うけれど、それを嫉妬って言うのよ)
「あ、あ、あっあの…式波さん?」
「アタシ、アンタに一目惚れしたみたい。これからよろしくねシンジ♪」
「ひ、ひっ、一目惚れ!?」
「そうよ♪あと、アタシのことはアスカって名前で呼んで。アタシもアンタのこと、シンジって呼ぶから」
「ア、アスカ」
「Danke!これからもよろしくね、シンジ♪」
(フフフ…シンジ。せいぜい今の内に、いい夢を見ておくことね)
641名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 00:57:54 ID:???
惣流ってこんなんだっけ?
642名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 00:58:44 ID:???
破のシンジさんをなんとかできるのかな?惣流
643名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 01:00:05 ID:???
ミサトが警戒して、シンジをアスカに近づけなさそうだw
644名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 01:03:09 ID:???
碇アスカの策略のようになるかな?
続き待ってます
645名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 01:05:43 ID:???
惣流はシンジとミサトのキスを知らんだろww
てか、新劇パートのシンジに聞いてどーするw
646名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 01:08:58 ID:???
EOE後に雨後の竹の子のように乱立した逆行ものは、大体がイタイ作者の自己満で終わったんだよなw
書きたいことを羅列するだけで、オチを考えてないのが多過ぎたww
647名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 01:48:55 ID:???
>>636
具体的にはどのあたり?
648名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 01:51:59 ID:???
>>647
かまっちゃだめよ
649名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 01:58:02 ID:???
>>648
すまん
以後スルーするようにします
650トラウマ:2009/08/05(水) 05:38:46 ID:???
前のパートで、惣流さんが悪い子になったと思ったけど、シンジの事
好きでああ言う事やってるんだね。納得
651名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 05:40:57 ID:???
感想書くときはコテ外した方がいいよんっ
652円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:37:49 ID:???
またLAS投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry
653円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:38:34 ID:???
【ダーク ・ ゾーン】


「お祭り?」
「近所の公園で明後日やるんだって。スーパーでチラシ、貰ったんだ」
「ふ〜ん」

アスカの来日から数週間が経った、ある日のこと。
ミサト不在の2人きりの夕食の席で、シンジは何気なく話を切り出した。近々、公園で催される夏祭りについて、だ。

「えと……それで、どう?」
「どうって、何が」
「その……アスカも……」
「アタシ、ハッキリしない男って嫌い」

なかなか本題に入ろうとしないシンジに、渇を入れるアスカ。
黙々とシンジ手製のチャーハンを口に運び続け、頑として目を合わせようとはしない。
シンジの口からちゃんとした誘いの言葉が出てくるのを待っているのだ。

「だ、だから! ア、アスカも一緒に……行かない? 夏祭り……」

煮え切らないままではいけないと、シンジも腹を括る。
夏祭りが明後日開催ということも考慮すれば、アスカを誘う機会は今日の夕食時がベストだった。
タイミングを逃して明日以降に誘ってしまうと、時間的に彼女の関心を惹くことは難しくなるだろう。
而して。

「ダメ……かな」
「いいわよ、別に」

モグモグと口の中でチャーハンを咀嚼するアスカからの返事は、拒絶に非ず。
654円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:39:45 ID:???
「え……い、いいの?」
「その代わり、アンタがアタシに色々と奢るのよ。でなきゃ行かない」

このちゃっかり具合がアスカらしいと言えば、らしい。
彼女自身、ユーロ空軍での軍務経験が長いせいもあって、祭りの類にはとんと縁の無い生活を送ってきた。
大勢で群れるのを嫌い、独りで居ること―――――孤独を好んでいたせいでもあるが。

「ホントはちょっと興味あったのよね。庶民のサマーフェスティバルってヤツ」

実のところ、アスカも明後日に催される夏祭りについては知っていた。
知っていてこれまで話題に出さず、“シンジの方から誘ってくるのを待っていた”のだ。

「アンタの財布が頼りなんだからね。バカシンジ」
「う、うん! お小遣い、こういう時の為に取っておいたんだ」

こういう時って、どういう時よ……喜びを隠そうともしないシンジにアスカも思わず、苦笑いする。
廻りくどいが予想通りにシンジはアスカを夏祭りに誘い、労せず彼女の思惑は成功を見た、と言える。

「ミサトさんには僕から言っておくから」
「帰りは遅くなる、って伝えといた方がいいかもね」
「え……えっ?」

自由奔放な葛城家にも門限は存在する。エヴァのパイロットと言えども14歳の中学生、深夜の外出は御法度だ。
ミサトの監督責任が問われ、迷惑をかけてしまう。
それを敢えて“帰りは遅くなると伝えておいた方がいい”とは……アスカの言葉の裏に潜む“何か”に、一瞬ではあったがシンジの胸が高鳴った。

「……アンタがどうしても、って言うなら……門限、破ってあげてもいいけど」

そしたら、その時はアンタも一緒に怒られなさいよね、と。
チャーハンを全て平らげたアスカは「ごちそうさま」と一言だけ告げると、自室へと戻って行った。
心なしか彼女の背中が嬉しそうに見えたのは……シンジの気のせいではないのだろう。
655名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 06:39:53 ID:???
どんどん投下して下さい
656円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:41:36 ID:???
********************


「待たせたわね。バカシンジ」
「アスカ……それ……」

いよいよ夏祭り当日の夕方。
学校から帰宅後、入浴を終えたアスカがなかなか部屋から出て来ず、
まだかまだかと一日千秋の思いでリビングにて待ち侘びていたシンジに、衝撃が走る。

「……浴衣?」
「昨日、ヒカリに選んでもらって……買ったのよ」

満を持してシンジの前に姿を見せたアスカが纏っていたのは、所々に白い花模様をあしらった薄紅色の浴衣。
燈色の帯も目を惹き、まさに彼女にピッタリの配色センス。
何より、元々スタイルの良いアスカである。初めての浴衣でさえ違和感無く着こなすのはさすがと言える。
まだ仲良くなって日は浅いけれど、相談を受けたからには……と、ヒカリがアスカの為に一生懸命に選んだのだろう。

「……変?」

一人でも着られるようにヒカリに何度も着せてもらって、着方を覚えたんだけど……と。
シンジの手前、初めて着用する浴衣に不備がないか心配なのか、アスカにしては随分と不安げである。

「変じゃないよ! すごく、似合ってると思う……アスカに」

シンジでなくとも浴衣姿で恥じらう彼女を見れば否定の言葉など、浮かぶはずもなく。

「シンジって、こういうのが好きなんだ……?」
「……か、かもしれない」

はにかむアスカを見つめ、思い切って夏祭りに誘ってよかったと―――――――シンジが喜びを噛み締めた瞬間だった。
657円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:42:35 ID:???
「人、結構多いね」
「暇人ばっかってコトでしょ」

二人が夏祭りの会場に到着した時には日も傾き、夜の帳が落ちて始めていた。
初めて履く下駄と丈の長い浴衣に少々の動き難さを感じていたアスカだったが、
歩くうちに慣れたようで、カランコロンと下駄の奏でる音色を楽しんでいるようにも思える。

「アスカが浴衣なら、僕も買って着てくればよかったかなぁ」

アスカが夏祭りの為に浴衣を用意していたとは努々思わず、シンジは普段着にサンダルというラフな姿。
考えてみれば初めてのアスカとの夜間外出、もうちょっと服装を考えるべきだったんだろうか? とも後悔する。

「アンタは着なくていいわよ。いつものカッコのままでいい」
「そ、そう(……僕も浴衣、着たいのにな)」

キッパリと否定されてしまう。
と言うのも、浴衣姿のシンジと並んで歩いていたら“友達同士”よりも“恋人同士”として他者の目に映りそうで。
それが仄かに嬉しい半面、何となく気恥かしくて。
要するに、シンジと揃いの格好で連れ立って歩くことに関して未だ抵抗があったりなかったり、という状態なのだ。

「……シンジ」
「うん?」
「手、繋ごっか」
「え」

アスカからの意外な提案にシンジは一瞬、耳を疑う。
歩みを止めて固まっていると、やや伏し目がちのアスカがシンジの顔色を窺うように見つめていた。
そうして薄紅色の浴衣の袖口から、ほっそりとした白い手をシンジの前に差し出してきて、

「……アンタが迷子になると困るから。勘違いしないでよね」
「迷子って……(まあ……この際、迷子でもいいけど)」
658円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:43:35 ID:???
「シンジ、あれ何? おじさんが割り箸をクルクル回してるやつ」
「綿あめだよ。アスカは見たことないの?」
「実物を見るのは初めて。ね、食べたい」
「いいよ。買ってあげる」

シンジと手を繋ぎ、アスカは物珍しそうに目を輝かせて出店を巡る。
たこ焼き、焼きそば、焼きもろこしなどを筆頭に、クレープやアイス、かき氷などのデザート類の出店も多い。
特に前者は外国育ちのアスカにとっては不思議な食べ物に見えるかもしれない。
食糧難の時代にあって人造肉を必要としない日本独自の食物は、軍属のアスカの目から見てもユニークなのだろう。

「はい」
「ありがと。……ん、甘いわね」
「昔は焼き鳥とかイカ焼きもあったんだって」

鶏肉は人造肉で代用出来るだろうが、イカの代用は中々に難しいと聞く。
15年前のセカンドインパクトで海が紅く染まって以来、海洋生物の殆どが死滅したせいだった。

「……食べさせてあげよっか?」

綿あめを頬張っていたアスカが、嬉しい提案を行う。
アスカの歩幅に合わせ、ゆっくりと歩いていたシンジの眼前に綿あめが翳された。
アスカのものとは異なる甘い匂いが鼻腔を擽る。アスカの匂いも好きだが、こういう匂いも悪くはないとシンジは思う。

「一応、アンタのお金で買ったものだし」
「……じゃあ、遠慮なく」

アスカが譲歩してくれることなど滅多にないので、ここは甘んじておこうと綿あめを頬張っておくシンジ。
“ついさっきまでアスカが頬張っていた部分”が敢えて口許に来るように翳されたのは、きっと偶然だ。

「美味しいでしょ。アタシが食べさせてあげてるんだもの」
「……すっごく甘い」
659円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:44:30 ID:???
シンジと恋人同士に見られたくない、と思うアスカの心とは裏腹に。
誰がどう見ても初々しい恋人同士にしか見えない辺り、両者が居並ぶと否応なく絵になる、というコトか。

「たまにはこういうのもいいわね」
「よかった。アスカ、あんまり人が多い所は好きじゃなさそうだったから……」
「……アンタと一緒だと、何処に居ても変わんないわよ」
「そ、そうかな……」

勿論、肯定的な意味で、だ。
何だかんだでアスカ自身、シンジの隣に居るのが心地よくなり始めている兆候と言える。
自分はエヴァ以外に居場所を見つけたかもしれない、という自覚を。

「あれ〜? もしかして、わんこ君?」

と。
「次の出店を見て回りましょ」と、アスカがシンジの手を引いた時だった。

「やっぱりそうだ。おーい、わんこくーん!」
「え……わんこ、くん?」

素っ頓狂な呼び声に反応し、徐に首を声のした方向へと向けるシンジ。
すると、

「あ……。もしかして、あの時の……」

何時ぞや、学校の屋上で音楽を聴いていた時、空からパラシュートで降ってきたメガネの少女が。
シンジの体臭をクンクンと嗅いで「良い匂い」と評し「きみ、面白いね」と言って去って行った、あの少女が、再びシンジの前に立っていた。

「そーだよ。ね、こんな所で何してるの〜? 彼女とデート?」

桃色の浴衣を纏ったメガネの少女は、人懐っこい笑みで以って。“あの日”と同じく、優しげに微笑んだ。
660円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:45:25 ID:???
「……シンジ。この女、誰? シンジの知り合いなの?」
「知り合い、って言う程じゃないんだけど……」

思わぬ人物との再会に、シンジは戸惑った。
アスカと手を繋いだまま、忘れかけていた“あの日の出来事”の一部始終がフラッシュバックする。

『このコトは他言無用で。ネルフのわんこ君♪』

去り際、彼女は確かにそう言っていたはず。それにLCLのコトも知っていたようだった。
気にはなってはいたのだが、結局ミサトやアスカにも相談出来ないまま、時間だけが経ってしまっていた。

「ふぅん」

メガネの少女は訝しげにシンジに顔を近づけると、この前のように至近距離まで接触を試みてくる。
浴衣を着ているというコトは彼女も夏祭りが目当てで此処に居るのだろうが、

「(私のコト、ホントに誰にも喋ってないんだ……えらいね)」
「え……」

耳元でそう囁くと、ようやく少女はシンジの身体から離れた。
離れた、というよりは隣に居たアスカの眼光が気になり、離れざるを得なかった、というのが正しいのだが。

「ちょっと、アンタ誰よ! シンジとどーゆー関係っ!?」
「うーん。秘密を共有する、お友達、かな?」

それはそれは深〜い仲なんだよ、と。メガネの少女がからかい気味に嗤った。

「ぬゎんですってぇ〜っ!?」

アスカは見る間に不機嫌になっていき、絡め合っていたシンジの指を折らんばかりの勢いで、怒りを露わにする。
シンジと親しげに(それも“秘密を共有するお友達”だと言う)話す彼(か)の少女の存在が、アスカの心に沸々と対抗心を湧き起させた。
661円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:46:48 ID:???
「ア、アスカ、落ち着いて……い、痛い」
「シ・ン・ジ・ィ〜? アンタ、マジであの女と友達ってワケじゃないでしょうねぇ〜っ!?」
「そんなんじゃないよ! この前、ちょっと会って話をしただけって言うか……」

シンジからすれば身に覚えのない言いがかりなので、ここは正直に否定しておく必要があった。
アスカなら判ってくれる、そう信じて。ところが火に油を注ぐのが趣味なのか、メガネの少女曰く、

「そういう貴女は、わんこ君の彼女さん? はじめましてー」
「ちっ、違うわよっ! 彼女なんかじゃない!!」
「でも手、繋いでるし。彼女だよね?」
「こ、これは……」

数秒前まで綿あめをシンジに食べさせ、手まで繋いでおきながら、今になって「彼女じゃない」と言い張るのもどうか。
アスカの性格はシンジも理解してはいるが、面と向かって言われるとそれなりに“クる”ものがある。

「素直になってあげないと、わんこ君がいつまでも経っても可哀そうじゃん」

メガネの少女は瞳の奥を輝かせると面白いモノを見つけたとばかりに、喜びに満ちた笑みを漏らす。

「本当は彼女さんも、もっと素直になりたいんじゃないの? わんこ君にさ」
「うるさいっ! 勝手に入って来ないでよ、私とシンジの仲に!!」
「アスカ……」

心を見透かされているようで面白くない。
時間をかけてシンジに許してきた心を、一瞬で見ず知らずの少女に看破され―――――――――――アスカは憤った。

「君は……誰なの?」
「私? 私はねぇ……アンヌ。そう、アンヌって呼んで」
「ア、アンヌさん?」

メガネの少女改め、自称アンヌ。夜の帳の降りた第三新東京市―――――ダーク・ゾーンの中で、仕組まれた3人の子供達が邂逅する。        【続 劇】
662名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 06:47:14 ID:???
GJです
式波アスカの方なんですね
まさかエロい方向に進んだりするのかな?
続きを待ってます
663名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 06:47:47 ID:???
>>651
寝ぼけた状態だったのでやってしまいますた。すいません
664円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/05(水) 06:47:49 ID:???
タイトルは「ウルトラセブン」の6話から拝借
時系列は例によって「破」の第9使徒戦前のパラレル(まさかの前後編)
ばいちゃ
665名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 07:03:19 ID:???
着物の類いは、寸胴体型の法が似合うんとちゃうか、、、
666名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 07:03:31 ID:???
円谷さんすいません
投下途中の>>654の時点で662の感想書いちゃいました
あと、655で邪魔をしてしまいました
以後気をつけます
内容はとてもよかったです
667名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 07:32:32 ID:???
>>665
詰め物して着付ける場合もあるからそんなに関係ない
668名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 08:08:37 ID:???
>>665
タオル結構巻いたりして矯正するから大丈夫
ただ、アスカの浴衣も可愛いけど、シンジが似合うだろうなぁとは思うw
669名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 09:40:29 ID:???
GJ

両者続き待ってます
670名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 15:24:05 ID:???
いつも安定した面白さでGJ!
マリの偽名がアンヌww ウルトラ警備隊の紅一点ですね、わかります

あと関係ないけど今月のヤングエースの読み切りLAS漫画が適度にヤンデレ入ってて面白かった
671名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 16:04:34 ID:???
ぐっじょ
672名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 17:56:03 ID:???
このスレの作品に感化されて書き始めたはいいけど、
だんだんわけわからん内容になっていく・・・
LASかどうかも怪しくなってきた
673名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 18:01:00 ID:???
>>672
3にもあるけど、あなたがLASと思えばLASなのです

ただ全く違うのは駄目だけどw
674名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 18:44:26 ID:???
>>673
おk
出来たら投下してみるよ
675キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:10:30 ID:???
674です
・学園エヴァで異性系です
・イタモノかどうかは自分ではあんまワカンネ。ダメだったらすんません
・LASと言い張る
・アスカが臆病でスマヌ


風にまぎれて、甘い香りがあたしをかすめていく。
絆されそうなくらいに甘く、それでいて強く印象的な…切ない香り。
まるで初恋みたいね、なんてクサいことを言っていたのは、なんのドラマの女優だっただろう。
「いい香りだね」
急ブレーキで止まる自転車。それに合わせて、背中にぶつかるあたしの鼻とおでこ。
シンジのシャツと汗の匂いがあの香りに混じってあたしの鼻をくすぐる。
少し気恥ずかしくて、あたしは大げさに叫んだ。
「いったぁーい!急に止まんないでよばか!」
「あ、ごめん」
たいして悪びれもしない態度で、香りの元を辿るようにシンジは顔をキョロキョロさせた。
「ほら、あそこに」
指差した先に、淡いオレンジ色の小さな花。深い緑の葉っぱの上にそれはたくさん色づいていて。
「キンモクセイだっけ?あれ。そんな名前だよね」
「…うん」
 
一週間も経ってしまえば、儚く散ってしまう花。
そのくせ、その甘い香りはいつまでも記憶に留まり続け、心を捕らえて離さない。

「あたしこの花嫌いなの」
呟やくようにあたしはポツリと言った。

676キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:11:22 ID:???
「ふぅん、そうなの?」

そうよ、嫌い。
強すぎる香りが、あたしにあの時のことを思い出させるの。
いつまでも縛り付けて、あたしを苦しませる。
だから嫌い。

「いいから、早く行ってよ」

苦しい。胸が痛い。
この香りを、よりにもよってこいつと一緒に感じたくない。
シンジの背中を押して先に進むように促す。
「はやく!!」
不機嫌を隠しもしないで、あたしは強く叫んだ。たかだか花のひとつで、変なやつだと思ったんだろう。
シンジが、いぶかしげにあたしを横目で見る。
だけど何も言わずに、シンジは言とおりに再び自転車をこぎ始めた。
腰を浮かせて踏み出されるペダルと、揺れる丸い後頭部。
スピードに乗った自転車の後ろを、あの花の香りが通り過ぎていく。
嫌な気分はあたしの胸に残ったままで。
うつむいて、シンジの腰をぎゅっとつかんだ。
677キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:13:47 ID:???
「アスカがキンモクセイを嫌いだなんて、知らなかった。だからごめん」
「…なによ、いきなり。別にあんた悪くないじゃん」
「いやあ、今までのパターンでいくとさ、あんたのせいで気分悪くなったからジュース奢れとか言われちゃうかなって思って。なら、先に謝っちゃおうと」
そう言って、少し振り返って、にししと歯を見せて笑う。
「なにそれ、全然誠意こもってないじゃない」
あたしは笑って、シンジの頭を叩いてやった。
「罰として、ジュース奢って」
「結局そうなるのかよ…」

ちぇ、今月何度目だろ。今度はアスカが奢れよな!

シンジがなにか叫んだ気がするけど聞かなかったことにした。

678キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:14:34 ID:???
「ねぇ、あそこのコンビニにしようよ。帰り道のとこのローソン」
「りょーかい…まだやってるかな、キャンペーンのやつ」
「はあ?アヤナミレイのファイルならあんたもう貰ったでしょ」
「カツラギミサトとシキナミアスカのファイルもいるんだよ。全部集めてケンスケにあげるんだ。で、それが、誕生日プレゼント」
「やっすいプレゼント」
「いいの、オタクには最高のプレゼントだろ」
「オタクだったらもう全部集めてるに決まってるじゃん。ばーか」
「あ、そっか。…うん、まあいいや。こういうのは気持ちが大事だし」

結局、考えるの面倒なだけでしょ。このテキトー人間。
さースピードあげるよ!アスカ!しっかりつかまってて!初号機変形、裏コード・超加速!
……ごまかしたわね。

スピードをあげた自転車が風を切るように進む。
どんどん遠ざかるキンモクセイの花。今はもう振り返ったってその姿を見ることも出来ないだろう。
あんな花、ぜんぶ枯れちゃえばいいのにね。
そうすれば、あんな苦しい想いを、辛い想いを、二度と思い出さずにすむのに。
自分の心にフタをして、忘れたフリして、そうすれば、こうやってシンジと一緒にいられるのに。
ずっと、ずっと、一緒にいられる。

――あたしたち、終わりのない友だちとしてさ。

679キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:16:34 ID:???
「…お前、碇とはほんとに何もないの?」
「なにが?」
この言葉、何度目だろう。
あたしは眉を寄せてわずかに舌打ちをする。
「なにがって…、先週の日曜、俺とは遊べないっつってたのに碇と一緒にいただろ。チャリに二人で乗ってさ」
「シンジとの約束の方が先だったんだから、一緒にいただけ。別に問題なんてないでしょ」
「問題ないわけないだろ…お前、俺の彼女だったら」
「うるさい」

鬱陶しい。
これ以上この話はしたくない。
顔を背けて、屋上のフェンスに体をもたれかけた。
校庭に植えられた木の間から覗くグラウンドでは、サッカー部と陸上部の連中がバカみたいに練習してる。
屋上から見える景色は相変わらず変わり映えしなくて。
「彼氏だからって、あたしの交友関係まで口出ししないで。何度も言ってるじゃない」
「…悪い。でも、嫌なんだよ。お前のこと好きだから」
「ふーん、あたしのどこが好き?」
「…一緒にいたら楽しいし、頭イイし、キツいけど可愛いとこ」
そう言って、後ろから抱きしめられる。
あたしの髪をかきわけて触れた唇で、首筋を優しく吸い上げられた。
680キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:17:26 ID:???
「嘘つき」

あんたが好きなのは、この顔と身体でしょ。
ただ、付き合いと言われたから付き合っただけ、一緒にいたいと言われたから一緒にいるだけ、キスしたいと言われたからキスするだけ、セックスしたいと言われたからセックスするだけ。
相手への好意もなにも存在しない、求めることのない女なんて、ダッチワイフと同じようなものだ。
なんてつまらないんだろう。
こいつはきっと、それに気づいている。それでもあたしと一緒にいるのは、あたしが自尊心をくすぐることの出来る女だから。
今までの男とおんなじ。
そして、あたしがそいつらと一緒にいるのは、あたしの女としての寂しさを紛らわすことが出来るから。
「…今日、うち来いよ」
「ん……勉強しなくていいの?受験生のくせに」
結局、男を利用してるのはあたし自身。
フェンスを離れ、人から見えないよう屋上の扉の前へと移動する。
下半身に吸いつく男の頭を撫でながら、相変わらず変わり映えのしない景色を眺めた。

ああ、でも、空の色だけは違う。

夏が終わって、秋が始まるまでの中途半端な隙間。だんだん空が遠くなって、さえるような青色が淡い水色へと変わっていく。
3年前と同じだ。
キンモクセイの花が香るあの季節と。
681キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:18:28 ID:???
気持ちの良い気だるさにそのまま浸ってしまいたい体を起こして、あたしはベッドから立ち上がった。
床に散らばった下着を拾い集めて、ベタつく体に身に着けていく。
「もう帰んの?」
「あんたの母親と顔合わせるの面倒」
赤いギンガムチェックのお気に入りのブラに胸をおさめて、脱ぎ捨ててくしゃくしゃになったワイシャツを拾う。
汚れた体のままで制服を着るのは戸惑われたけど、裸で帰るわけにもいかないので仕方ない。
一枚、また一枚と、さらけ出された女の体を布で蔽うたびに女としてのあたしが奥へ奥へと逃げ込んで、いつものあたしが姿を現す。沸々とわき起こる自己嫌悪に胸を押さえた。
セックスの後はいつもこうだ。
「この臭い部屋、今度から何とかしときなさいよ」
余韻すらも気持ちの悪いものに思えてきて、あたしはオスとメスの匂いの充満する部屋をさっさと後にした。
後ろで何か喚いていた気がするけど、彼女として求められたものを果たした今は関係ない。

ああ、早くシャワーを浴びてすべてを洗い流してしまいたい。
明日は予備の制服を着ていくことにしよう。

682キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:20:26 ID:???
そうしてあたしはひとり、未だ慣れない道を帰る。
部活帰りの学生やサラリーマンの姿以外には人通りの少ない道は、今のあたしにはありがたかった。
人とすれ違うたびに自分の匂いに気づかれるんじゃないかって、そんな気がしてあたしは走り出したい衝動に駆られるから。
あいつはセックスを知ってる女だ。セックスをしてきた女だって。
女としての欲求を満たすためだけに男と付き合ってるサイテーの女だって。

本当はシンジとしたいくせに。

違う!
あたしはシンジと友だちでいたい。
ずっとずっとそばにいたい。
終わりのある男女の関係なんてまっぴらごめんだわ!

怖いだけでしょ?
自分が傷つくのが。
シンジの女になれない自分に気付くのが。
貪欲で醜い女の自分を、シンジに知られるのが。

違う違う違う!!!
あたしはパパやママみたいになりたくないだけよ!

認めたくないだけでしょ?
あんたはあの女以下だってことを。

他の男たちで寂しさ紛らわせてる、汚れた女だってことを。
臆病な、どうしようもないただの女よあんたは。
3年前からあんたの時は止まったまんま。
目を反らしたって無駄。
だってほら、あんたの中のキンモクセイ…今も綺麗に咲いてる。

683キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:21:11 ID:???
「…アスカ?」

穏やかで柔らかい、あたしを呼ぶ声がした。
声に惹かれて振り返ると、自転車に乗ったシンジがいた心配そうにあたしを見ている。
周りを見渡せば、もう自宅までずいぶん近い場所。
気づかないうちにあたしはずいぶんと歩いていたらしい。
「うつむいて変な様子だったからさ…、大丈夫?先輩のとこからの、帰り?」
「…あんたは?」
正直、今、シンジには会いたくない。
胸の中のぐちゃぐちゃした感情の渦が、今にもあたしの中から飛び出しそうだった。
なにより、今のあたしは汚れたままだ。
「トウジのとこからの帰り。新しいウイイレ借りて来たんだ。こないだの日独戦の続きやろう」
「…あとであんたの家に行く。だから先に帰ってて」
「後ろ、乗れば?」
「いいから!」
「よくないって。もう暗いし、危ないよ。なにより、怖がるだろ」
「…誰がよ」
「痴漢がアスカを見て」

…この男。
反論する気力もないあたしは、大きくため息をついた。
そんなあたしを見て、シンジが目を丸くする。
バツが悪そうに頬をかきながら自転車を降りて、あたしの隣をついてくる。
何も言わず、ただ一緒に歩くだけ。
小さい頃から変わらない、シンジのさり気ない、優しさ。
大人たちに内緒でふたりで飼った子猫が死んだときも、パパがいなくなったときも、3年前のあの日の後にも。
あたしが辛いときや苦しいとき、そばにいてくれる。
…あたしの大好きなシンジ。
けど今は、そんなシンジの優しさが辛い。
きっとすべては、あのキンモクセイの香りが、あたしの調子を狂わせたせいだろう。
あんな花、はやく枯れてしまえばいいのに。
684キンモクセイ:2009/08/05(水) 20:22:00 ID:???
ベランダから覗く空は、今日も高い。
ひんやりとした朝の空気を胸に吸い込んで、あたしはぶるりと身を震わせた。

あと、もう少し。もう少し待てば秋がやってくる。
あの忌々しい花が散って、あたしも苦しみから解放される。

「ママ!あたしのシャツ、洗ってある?」

そうだ。今日は、お気に入りのカーディガンを着ていこう。
少し大きめの、ベージュのメンズカーディガン。紺のチェックのスカートによく映えるから。

「シンジ!いつまで寝てるの?はやく起きなさい!」
「うるさいなあ…あともうちょっとだけ」
「シンジ!」

隣から聞こえる声は、今日も相変わらずで。
10年以上繰り返される同じやりとりに、あたしは自然と笑いが漏れた。
大丈夫、あたしも変わらずにやっていける。あいつもあたしも何も変わってなんかいない、だから大丈夫。
そう、自分に言い聞かせた。

685名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 20:23:12 ID:???
支援
686674:2009/08/05(水) 20:24:25 ID:???
とりあえず以上です
やべえ規制されちった
687名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 20:26:37 ID:???
続くの?
688674:2009/08/05(水) 20:31:57 ID:???
一応続く
だってこのまんまじゃLASじゃないし
689名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 20:33:46 ID:???
GJ!
アスカが切ないなぁ
シンジどうにかしてやってくれ
690名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 20:34:32 ID:???
>>688
なるほど。乙です!
痛いの久しぶりだなぁ。ちょっと耐性が無くなってて軽く凹んでしまったw
続き楽しみにしてます。
691名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 20:38:08 ID:???
よかった!
ぜひ続けていだたき、シンジと身も心も結ばれてほしいです
692名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 20:40:27 ID:???

イタモノスキーとしてはwktkせざるを得ない!
693名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 20:40:39 ID:???
GJです。
ちなみに>>672さんですよね?
694名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 20:56:33 ID:???
>>653
浴衣アスカと言えば、育成計画で有ったね。あのアスカは
健康的すぎてイマイチ萌えないけどね。

>>676
こう言うアスカは好きだな。続きを楽しみにしています
695名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 21:22:08 ID:???
切ないね。
696名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 21:32:50 ID:???
ぐっじょぶ
普通にいい作品でありました
697名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 21:56:46 ID:???
>>688
いいね、実力派。
つづき楽しみだよ。
存分にやりたまえ。
698名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 22:10:14 ID:???
>>676
エヴァ板は連続10レスでさるさん
投下する時は40字×30行を1レスの目安にするといいよ
続き楽しみにしてる
699名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 22:41:21 ID:???
うおおっ
感想サンクス
叩かれるかと思ってビクビクしてたから正直驚いている
嬉しさにやる気出た

SSってやっぱ難しいね。イラスト描いてる方が楽だ


>>693
yes
色々慣れなくてごめん


40×30か
次から気をつけます
700名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 22:54:22 ID:???
続きいつ頃になりそう?
気になって眠れない…
701名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 23:24:53 ID:???
>>700
今日はもう寝るから寝てください
702名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 23:30:02 ID:???
寝るのかよw
703名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/05(水) 23:50:16 ID:???
>>699
イタモノは痛い設定にした必然性がFF内にないと、
設定で目を惹きたかっただけかと、罵られるから難しい。
704名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 00:06:55 ID:???
LASなんだからちょっとこれは…

たとえオチがLASでもね…
705名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 00:26:58 ID:???
>>704
オチがLASになってもこの話はLASスレには向かないってちょっと矛盾してないか?
そんなこと言ったら、イタモノってジャンルが消滅するぞw
706名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 00:32:54 ID:???
>>704
一応痛いのOKなスレだから、読みたくなかったら、痛いよって最初に書いてあるヤツは回避しとけばいいよ
無理に頑張って読むこともないから大丈夫
707名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 01:46:37 ID:???
読みやすかった。
続き楽しみにしてます。GJ
708名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 02:22:57 ID:???
>>704
専ブラで名前をNG指定しておけばいいんじゃね?
709名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 16:58:43 ID:???
>>700
投下ははやけりゃ明日ぐらいになると思う
思ったより進まん
710名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 18:00:35 ID:???
>>703
例えば必然性のあるイタモノとかあるんかな
遊園地とかあらすじとかしか知らんけど、とてもじゃないがw
711名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 18:02:56 ID:???
所で、イタイ系って如何いう意味?
トラウマを抱えたアスカを書くとイタイ系に成るのか?
712名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 18:09:06 ID:???
>>711
暴力、異性、死別
例えば、アスカがシンジ以外に惹かれたり、シンジを遺してアスカが死んでしまったり
674氏のは典型的な異性系イタモノ
713543:2009/08/06(木) 18:34:58 ID:???
 こんばんは。
 前作で感想たくさん頂きありがとうでした。
 作中青葉さんと日向さんの名前を素で勘違いしていました。今更ですが
青菜さんに謝ります。ごめんなさい。でもあのままでもいいか(ry

 それはさておき、一作できましたのでUPしてみます。

 
読み飛ばししたい方はNGワード

ラフ・コミュニケーション

でどうぞ。
前回同様前後分けでの投稿になると思います。
714ラフ・コミュニケーション:2009/08/06(木) 18:36:23 ID:???
 *

 空に旋毛を曲げたような筋雲が連なっている。その筋雲を引き裂いて、三条の飛行機
雲が芦ノ湖の向こうの太平洋に伸びていた。

 何をするにも中途半端な空き時間のせいで、私は一人教室の窓から空をみていた。
 忌々しい事にゲーム機の電池が無くなってしまい、どこに行く当ても無く、教室で
無聊を囲っていたのだ。
 窓枠で頬杖をつき、ぼんやり外を眺める。
 まだこの時間は廊下を往来する人の気配や、時折聞こえてくる嬌声が人の気配を
濃密に感じさせてくれる。
「あ……バカシンジ…」
 下足室から出てくる人影を、最近私はすぐに見分けられるようになった。
 相変わらずSDATとかいう見たことも無いレコーダーを使っているらしく、イヤホンの
コードが耳から胸ポケットにのびていた。
 足取りは真っ直ぐ校庭と体育館の間を進み、躊躇無く校門に向かっていた。
『真面目だなぁ。ま、碇指令にいい所見せたいのかな。いい子ぶりっ子しそうなタイプ
だしね……』
 今日はアイツもシンクロテストだったはずだ。それにしたって本部に行くにはちょっと
時間が早い。
 少し冷ややかにその背中を見ていると、体育館の横合いからシンジに向かってサッカー
ボールが飛んできた。
 ボールは見事横顔に激突し、不意を食らってよろめくが、倒れるまでに踏みとどまった。
715ラフ・コミュニケーション:2009/08/06(木) 18:37:41 ID:???
『おー、えらいえらい』
 バカシンジは乱暴にイヤホンを取り外すと、ボールの飛んできた方向につかつか歩み出す。
 その先には腹を抱えて笑っているジャージとカメラがいた。
 暇なので何を話しているか想像してみた。
『いきなり何すんだよトウジ!ひどいじゃないか!』
『はっはっはー、センセイそんなんじゃ使徒にやられてまうでー』
『今度エヴァの写真撮らせてよー』
 やめた。つまんない。
 それにしても体育館の裏で何やってたんだろう?男子生徒が良く出入りしているのを見か
ける。
 ぼんやりそんな事を考えていた時、ポケットの中で携帯が三回振動した。
「お、メールだ」

from:misato
title:アスカへ
【トリートメント貸して】

「ま…た…、ミ・サ・ト・わぁ…」
 握りしめた携帯がギリギリ音を立てる。
 ドイツから持ってきた洗顔フォームとボディーソープは全て使い尽された。あまつ冷蔵庫
の奥に隠していたHARIBOのグミも、流しの戸棚に隠していたクッキーやプレッツェル缶類も、
今はかけらも残っていない。
716ラフ・コミュニケーション:2009/08/06(木) 18:39:05 ID:???
for:misato
title:Halten Sie es bitte an!
【じぶんで買ってください Buy it yourself!】

 いまだに日本語でメール打つのは苦手だ。英語ならミサトでも意味がわかるだろう(ドイツ
語も知ってるはずなんだけど…)。
 返事はすぐに来た。

from:misato
title:Re:Halten Sie es bitte an!
【今度買って返すから、ごめんね(^^)】

「ふざけないでよぉ!それが大人のやること!?こうなりゃ直接抗…んー?」
 一人教室で地団駄踏んで電話で抗議しようとしていたが、ふと気になってふと外を見ると、
三人に走り寄る女子生徒が二人いた。
 一人はかわいい紙包と封筒を大事そうに持っている。
 付添いらしい方の子が何事か話し、バカシンジが自分を指さすと、同時に残り二人がここまで
聞こえる大声で「どえーーーーっ!」と叫んで変なポーズを取った。
「んななななぁっ!まさかバカシンジに……」
『そういえば授業中に家庭科室からクッキーを焼く匂いがしてたな。…確か今日はC組が調理
実習やっていたから、さてはあのクラスの女子か!』
 シンジの横の二人と同じく、私も思わず食い入るように成り行きを見守る。
717ラフ・コミュニケーション:2009/08/06(木) 18:40:55 ID:???
「しっかしセミプロ級のバカシンジに料理で挑むってのも命知らずね。…ってお菓子か。いや
いや、お菓子だって立派な料理だし似たようなものよね。しっかしまあ、例えあのバカシンジ
が受け取っても不思議な顔で黙々と食べてる様が目に浮かぶようだわ。そう言えばこの前の
日曜アイツが作ったバナナマフィンおいしかったな…また作ってくれないかな、いや、作れって
言ったほうがアイツは作ってくれるかな……あーなんかおなかすいてきた……」
 何となく落ち着かず、無意味に思いついた言葉を並べる。
 シンジは両手を前で振り、受け取りたくないような態度を取る。たぶん顔はいつもの困った
笑い顔だ。間違いない。
『いやならもっとしっかり断りなさいよ!優柔不断なんだから……』
 会話の区切りごとに「ごめん」が何回入っているのか数えてやりたい気分だった。
 痺れを切らしたように付き添いの子がシンジに言い寄り、ジャージが横で何か突っ込みを
入れた。余程失礼なことを言ったのか、付き添いの子はジャージに詰め寄って捲くし立て
はじめ、件の女の子はその場にしゃがみこんで泣き出した。
 焦るジャージ、カメラは何もできないみたいだ。付き添いの子はジャージにさらに食って
かかり、たぶんシンジは途方にくれている。
『あ、今時計見た。時間はまだ十分あるわよバカシンジ』
 にひひと笑いつつ、こっちにも一言言っておきたいミサトに電話した。
「あ、ミサト、ちょっといい?」
[ゴ、ゴメンネアスカぁ、ちゃんと買って返すから]
 うそつき。
「約束だかんね。ま、それはそれとして、シンジの事なんだけど」
[え?シンちゃん?]
「あいつ今学校で女の子泣かしてるわよ。中々やるわねー、私も同居やめちゃおうかしら?
身の安全のために」
[ちょっと……、あのシンちゃんがそんなことできる訳ないじゃない!]
718ラフ・コミュニケーション:2009/08/06(木) 18:42:50 ID:???
「現に泣かしてるんだから仕方ないじゃない。あいつどんな事したか知らないけど、いつも
みたいにへらへら笑ってたわ。全くひどい話よねぇ、まだ中学生なの…む、切れたか」
 別に私は間違った事は何一つ言っていない。まあ泣き出すきっかけはあのジャージが
作ったっぽいけど。
 こちらも電話を切って外を見ると、丁度シンジが携帯を取り出すところだった。
『ふん、せいぜい報いを受けなさいバカシンジ』
 いきなり怒鳴られたらしく、うわっという声が聞こえてそうなよけ方をしたあと、今目の前
で起こっていることをきっと怒られている。
 何でミサトが知ってるかとか、身に覚えのない話で怒られていることに面食らっているに
違いない。
 見えもしないのにあたふた身振り手振りで状況を説明するシンジ。泣いていた子も状況が
飲み込めずにシンジを見ている。
『なーかなか面白いものを見せてもらいましたっと』
 シンジはどうにかミサトをなだめることが出来たようで、大きくため息つきながら電話を
切ると、あたりをきょろきょろし始める。
『?』
 何をしているのだろうと思って見ていると、こっちを向いたシンジと目が合った。
 瞬間、心重なって、シンジはこっちに向かって走り出した。
「やっば!」
 私は急いで自分の席にとって返し、慌てて机の中の教科書を鞄に放り込む。
 目が完全に怒っている。ミサトは律義に誰から聞いたか言ったに違いない。
 廊下に飛び出し、ドアも閉めずにシンジの来そうな方向と逆に駆けた。廊下を曲がって階段
を降りようとした瞬間、けたたましく開かれるドアの音と共にシンジの叫び声がした。
「アスカァーーーー!!」
『そこにいるわけないじゃんかっ!っと』
719ラフ・コミュニケーション:2009/08/06(木) 18:44:28 ID:???
 二段跳びで階段を駆け下り、廊下ですれ違う生徒にキョトンとされ、先生に怒られながら下足
入れに向かう。
 靴を出した瞬間、猛然と階段を下りてくるシンジの足が見えた。
「コラッーーー!そこの生徒!」
 追いつかれるかと思った直後、廊下に飛び出したシンジが怒鳴りつけられて急停止した。
 さすが『よい子』だ。怒られると条件反射で言う事を聞いてしまうらしい。
『ラッキーー』
 振り返るとシンジはやってくる先生とこっちを交互に見ていた。
「じゃ、そういうことで!」
 体に染みついた敬礼を上半身だけ決めて、そのまま脱兎のごとく駆けだした。
「すすいません先生、でも、僕が走ってたのは……あぁぁアスカが、だからその…」
 その辺でシンジの声は聞こえなくなった。
 さっきの四人は最後に見たのと同じ位置で固まっていた。
「大尉ご武運をーー」
「奥さんごちそーさん」
 通りすがりにカメラとジャージににやついた顔でそう冷やかされたが、構ってる余裕なんてない。
 校門をくぐるとショートカットの階段を駆け下りて、駅まで一気に走り抜けた。
『どうだバカシンジ!ザマミロ!』
 勝ち誇った後、今日の予定を考えない行動に後悔だけが残った……。
 改札を潜り抜け丁度来た電車に乗ると、座席に腰掛け深く溜息を吐いた。
「どうしよ………」
 開き直った時の言い訳を考えている間に、電車はジオフロントへ向かうトンネルに滑り込んだ。

つづく
720名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 18:51:03 ID:???
どうなるかが楽しみだ。続きを楽しみにしてます。
乙!
721名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 18:57:27 ID:???
やべ、こういう雰囲気大好き
722名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 20:30:15 ID:???
GJ!前作といい素晴らしいです!

ていうか新規さんがみんな上手くてワロタw
盛り上がってていいなぁ
723名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 21:53:13 ID:???
GJ!
724名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 21:55:11 ID:???
皆さん素晴らしいんですが
どれも中途半端に終わりすぎて…
どうせなら全部書いてから投下してほしいです

すみません調子乗りました
725名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 21:59:25 ID:???
>>724
気持ちはわかるよ
726名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 22:01:33 ID:???
酷いのはアスカが一切出ないまま冒頭だけ長々と書いて
作者が行方知れずになってるからなw
727名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 22:40:36 ID:???
>>726
アスカが出ないのと、シンジが出ないのはドッチが良いんだろう
728名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 22:44:42 ID:???
>>727
どっちも困るわ!w
LASじゃねえしw
729if :2009/08/06(木) 22:51:11 ID:???
空気を読まずに
予告を投下



テーブルに置かれる野菜炒め
監視する三人の少年少女
拒絶するアスカ
決断を迫るシンジ
微笑を浮かべるレイ
そして約束の時が
次回 
    ア           
    スカ、克服?

730if :2009/08/06(木) 23:00:27 ID:???
      夕暮れ時のマンションから声が聞こえる 
   
「何よ!これは」アスカがシンジに怒鳴る。
「野菜炒めだよ」「見たら分かる」

[アスカ克服?]

シンジは昨日の約束を実行させるために、夕食を野菜炒めにする。
勿論アスカが苦手とする、ピーマンとタマネギがタップリ入った野菜炒めだ。
「アスカ、約束覚えているよね」
皿を配る際に、アスカの側まで来て、小声で言う。
「うるさいわね!バカシンジ!!それに、なぜ部外者も呼ぶわけ?」
アスカはトウジ、ケンスケ、ヒカリを見る。
「アスカに嫌いな物を食べてもらうには、どうしたら良いかみんなに相談したら。「協力するから、夕食をご馳走さしてください」って言われたから」
(はぁ、もうバカシンジ!!余計なことを)
アスカは、ため息をつく。
「そうやで、好き嫌いなく食べんと、大きいならへんで」
トウジはアスカを見て、ニヤニヤしている
「なによ!あんたは、苦手な物とかないの?」
トウジを指差す。
「苦手なもん….ねぇ」
「ちょっと、鈴原!!何で私の顔を見るの?!」
「ヒカリね」「委員長ですね」「委員長だね」
3人は顔を見合わせた。
731if :2009/08/06(木) 23:01:24 ID:???
「ねぇ、アスカ、頑張って食べようよ」
シンジは皿に盛った野菜炒めを、アスカの目の前に置いた。
その様子を見ていたトウジとケンスケは、まだニヤニヤしている
「頑張って食べや」「頑張ってね」
「うるさい」
アスカは、イライラしながらトウジとケンスケを睨む。
「アスカ、頑張ってね」
「ヒカリ、ありがとう」
(なんか、ワシらと委員長とでは、ぜんぜん態度がちゃうやん)
「ほら、委員長だって応援しているじゃないか」
「うるさいわね!!バカシンジ、言われなくても分かっているわよ」
「さっきから、怒ってばかりだね」
(今日のアスカは、やけに突っかかるな)
「ねぇ、バカシンジ」「ん!イタッ」シンジの耳たぶを引っ張る。
「痛いよ、アスカ!何するの」
「どうして私の隣に、エコヒイキが座っているのよ」
隣に座っている綾波を指差し、シンジを見る。
(あぁ!!そうか、アスカは綾波が隣に座っているから怒っているのか?)
「綾波がどうしても、アスカの隣が言いというもので仕方なく」
「「仕方なく」じゃないわよ!!バカシンジ」アスカはそう言うと、引っ張っている耳たぶを放す。
「だって、「食べるところを見たいから、ポカポカするかもしれないから」って言ったものだから」
耳たぶを撫でながら、シンジは綾波を見る。
綾波はシンジと目が合い、やさしく微笑んだ。
(「笑えばいいと思うよ」碇君が言ったあの時の言葉。うまく笑えただろうか?)

732if :2009/08/06(木) 23:02:22 ID:???
アスカはシンジを見ている。
(この、バカシンジ。なにエコヒイキを見ているの、しかもバカシンジを見て笑っているし、どんな関係なのか気になるわね)
(綾波はどうして僕を見て笑っているの?
それに、なんかやたらと横からの視線が突き刺さるけど、気のせいか?)
チラッとアスカを見た。
「アスカ、僕を睨んでいるの?」
「睨んでないわよ」
(いえ、その目は明らかに睨んでいますよ。アスカさん)
「はは、み、みんなどう思う」
シンジは皆を見た。その瞬間、3人は目を逸らした。
「何で、みんなどうしたの?」
アスカが睨んでいる。
(とんでもない事になったな、話を元に戻すか)
「アスカ、冷めないうちに召し上がれ」
シンジは皿に野菜炒めをタップリと入れる、しかもピーマンとタマネギがやたらと多い。
「ねえバカシンジ、量が多いわよ」シンジに見せる
「普通だよ」
「そうじゃなくて、ピーマンとタマネギが」
「うん、食べてよ」
「少なくしてよ!!」
「やだ」
シンジは笑顔で答えた。

733if :2009/08/06(木) 23:04:34 ID:???
その様子を見ていた、トウジとケンスケは。
「シンジが反撃しとるで、しかも強気や」
「凄くない、あのアスカが押されているよ」
「アスカ、頑張って食べるのよ」
「アスカ、食べてよ。約束したじゃないか!!」
「うぅ、確かにしたけど」
「食べるの、食べないの、どっち」
シンジはアスカの目の前に来て凄む。
「もう!!食べればいいでしょ、食べれば」
アスカは覚悟を決めて、野菜炒めを食べる。
(嫌いなのに、なんで食べなきゃいけないの。それにしても、バカシンジが怖いよ)
すぐに飲み込み、また口に入れる。
「アスカ、食べられたね」
「お代わりよ、バカシンジ」
シンジを見てニコッと笑い、皿を突き出した。
「よかった!アスカ、おめでとう。お代わりあるから」
「アスカ、おめでとうよく頑張ったわね」「やるじゃないか、おめでとう」
「なんや、たべられるやないか」
綾波がアスカに微笑んだ。
(「笑えばいいと思うよ」これでよかったの・・・碇君?)

その夜。
シンジは自分の部屋で寝ている。
アスカもシンジの部屋で、背中を合わせて寝ている。
「バカシンジ!」「ん!」
「やっぱり無理」「わかってるよ」
「ごめんね、バカシンジ」
「ごめんよ、アスカ」
「でも、バカシンジ、また……作って」
終わり。
734if :2009/08/06(木) 23:05:40 ID:???
以上です
735名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/06(木) 23:13:51 ID:???
相変わらずヒd(ry
736名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 00:20:20 ID:???
お前が来ると荒れるからもう来るなよ
737自爆:2009/08/07(金) 00:33:42 ID:???
初投稿w

title:自爆

四時限目の終了を知らせるチャイムと共に授業は終了し、教員は職員室へ戻っていく。
校内は本来の活気を取り戻し、生徒たちは皆ワイワイガヤガヤ、空腹を満たす行動へ移る。
ある者は購買へ、ある者は買い置きしておいたパンを出し、
またある者は親しいもの同士で机を寄せ合い、持参した弁当を取り出す。
彼女、式波アスカ・ラングレーもその1人であり、
唯一の親しい友人である洞木ヒカリと昼食をとる事が当たり前の流れになっている。

「アスカ、今日のお弁当なに?」
「ふふん。あたしのはいつも、バカシンジが作ってくれてるの」

なぜか誇らしげに言う美人は、登校中いつもより軽く感じていた鞄を開けた。

…………。

場所をシンジの席の前へ移動すると、両手で力強く机を叩き、屈んで彼を睨み付ける。

「ちょっと!アタシのお昼無いってどーゆーことよ!!」
「………」
「人の話聞いてるの!?」
738自爆:2009/08/07(金) 00:34:24 ID:???
呆けた顔にゲンコツをお見舞いする。

「いたた…しょうがないじゃん、今朝は時間無かったんだし…」
「あんたが早起きすれば良かっただけの話でしょーが!!」
「なら今度からアスカが作ればいいでしょ」

2度目のゲンコツが良い音を立てて響く。

「痛いっ!…グーで殴ったら危ないじゃないか!」
「あんたバカァ!?料理以外取り柄無いあんたの仕事でしょ!?」
「…そんなんじゃお嫁にいけないよ?」
「人の処女奪っといてよくそんな事が言えるわね!!!!」

…クラス全体が凍りつく。

3度目のゲンコツが放たれ、

「ふぎゃっ!ご、ごめんなさいっ」

碇シンジは敗北した。

………。
739自爆:2009/08/07(金) 00:35:23 ID:???
隣、そのまた隣のクラスの喧騒が響いて聞こえるほど静まり返った。
それは、3度目のゲンコツでも無く、碇シンジの敗北でもなく、
夫婦漫才と呼ばれる喧嘩の中でポロリと出たカミングアウトに対して。

当の本人たちはヒートアップしすぎていたせいで、
その静寂と自分たちに集まる視線の理由に気付くわけも無く。

「なんか静かになったね」
「あんたたち、何見てんのよ」

………。

結局のところ、ヒカリが自分の弁当を半分わける事でなだめたが、
机を挟んだ彼女の顔は紅潮し口数も無く、チラチラとアスカを見るだけだった。

「……やっぱりお似合いだね…」

ボソリと呟いたヒカリの一言は、アスカの耳には届かなかった。



〜完〜
740自爆:2009/08/07(金) 00:39:07 ID:???
読みなれてない&書きなれてないので違和感ありまくり。
もっと長くしたかったけどこれくらいしか作れなかった。自爆乙です
741名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 00:50:11 ID:???
類は友を呼ぶ
悪貨は良貨を駆逐する by グレシャム
スレは低きに流れる by俺
742名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 00:51:07 ID:???
短編だな。乙です!
この2人は下ネタどつき夫婦漫才師だな。シンジ殴られすぎカワイソス…
743名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 01:11:33 ID:???
>>741
話が気に入らなかったのなら黙ってろ
スレの雰囲気が悪くなる
744名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 01:33:52 ID:???
最近活気づいてて嬉しいです。
頑張って完結お願いします。
>740短編ならこれ位の量で俺は十分です。

745543:2009/08/07(金) 01:48:49 ID:???
 続けてどうもです。
 感想レスがつくまでいつも心臓に悪い時間を過ごしてますw
 今回も受け入れられた様なので、少々安堵。

 明日(というか今日の夜)は投下できそうに無いので、ちょっと校正
巻き上げて投稿させていただきます。

 
読み飛ばししたい方はNGワード

ラフ・コミュニケーション

でどうぞ。
746ラフ・コミュニケーション:2009/08/07(金) 01:50:17 ID:???
 *

 シンクロテストは惨憺たる結果だった。
 台本を読んでるようなセリフを吐くミサト。露骨にえこひいきにばかり喋りかけるシンジ。
こめかみに手を当てて、溜息と煙草のペースが速い赤木博士。
 テストはシンジもかなり成績悪かったようなので、たぶん腹の底は煮えくり返ってるんだろう
なと思った。
 デブリーフィングで赤木博士の小言を三人で十分ばかり聞いて、今日は解散となった。
 更衣室でスーツを脱いでシャワーを浴びて出てくると、シンジの姿は無くえこひいきが一人で
立っていた。
「バカシンジは?」
「帰った」
「そう……」
 本部に来てから詫びを入れるタイミングはずっと無かった。まあ、最初から謝るつもりなら駅で
待っておけば良かったんだけど。
 少々不貞腐れていると、
「じゃ、お先に」
 と言い置いてえこひいきはさっさと帰ってしまった。
『何なのよこの取り残されたような感じ…』
 そういう感情を抱く自分が少し情けない。
 それでもとりあえず歩き出し、帰りにくいなと少し怖気づいていると、後ろから誰かに抱きつか
れた。
「アーースーーカッ!」
「わぁわ、わ…み、ミサトぉ?」
「んふふーーん、こんな所でなぁーにしてんの?」
「何って、か、帰るのよ。他に何かある?」
「へぇー、素直に帰れるのかなアスカはぁ?」
「う……」
747名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 01:51:39 ID:???
支援
748ラフ・コミュニケーション:2009/08/07(金) 01:51:42 ID:???
 見透かされていた。ふくらましたほっぺたをミサトの指がぐりぐり這いまわる。攻撃から逃げ
ようと体を揺するたびに、ミサトの髪から自分と同じ匂いがした。
「だぁーもう、やめてよミサトぉ!」
「ねえねえ、あのあとちょっと考えてたんだけどさぁ、もしかしてアスカ、クッキーの女の子に
やきもち妬いてたんじゃなぁーい?」
「はぁ?そんなわけないじゃない。ちょっとだけシンジをからかってみたかったのよ。大体ミサト、
あの時私が機嫌悪かったのはメールのせいだからね!」
「あぁ、ごめぇーん。大丈夫よん、本当にちゃんと買って返すからー」
 何故だろう、信憑性が全く無い。
「とにかく、シンジに謝ればいいんでしょ。なによ、簡単なことじゃない」
「そうよねー、いつでも謝れるから、本部に来るまでチャンス何度かあったけど、見送っても平気
だったんだもんねー」
 からかい気味のイントネーションが一々癪に障る。
「そ、そうそう、わかってるんじゃない」
「さ、それじゃあ一緒に帰りましょ?」
「はぁ?なんでミサトと…」
「いいのぉ?この時間帯だと本数少ないし、シンちゃんと同じ電車になるけど?」
「う…」
 そう言うとミサトは何も聞かずに歩きだした。私は観念してミサトについて歩いた。
 まだ顔を合わせ辛い。勿論時間が経つほど切り出しにくくなるのは分かっているけど…。
「あ、そうだ。アスカ、気づいてないと思うけど…」
「何よ」
「時々『バカシンジ』がただの『シンジ』になってるわよ?」
「へ…?あそ、そん…へ?」
 二の句が継げなかった。
749ラフ・コミュニケーション:2009/08/07(金) 01:53:34 ID:???
 *

『平常心平常心……』
 エレベーターの数字が大きくなるのを眺めながら必死で心を落ち着かせる。既にミサトに無茶
を言って遠回りして帰ってもらい、私の両脇にはエビスが二ケースぶら下がる羽目になった。
ミサトは約束通りお風呂用品を買ってくれて、ミサトが持つビニール袋の中で揺れている。
「たっだいまーー」
 ドアが開き、陽気なミサトの声を聞いてシンジもひょっこり顔を出す。
「あれ?ミサトさん今日は遅いって言ってなかった?」
「あなた達二人のシンクロ率が低い原因は何か特定しろってリツコから厳命されてねえ、強制的に
帰らされちゃったのよん」
「ははは、その割には嬉しそうですね」
「ま、ねー」
『私はガン無視かい』
 自分の所業はさておきその態度にちょっとカチンと来た。
 今日は和食かと思いなながら目線も合わさず部屋に入り、鞄をベッドに放り投げて着替えながら
考えた。
 ―もしかしたらバカシンジはお人よし精神を発揮して一連の事を無かったことにした。却下。
 ―誰かがフォロー入れてくれてそこそこ機嫌直した。確率は低い。
 ―まだ怒っているけど私の出方を見定めている。これはありえる。
 ―私が何をやっても頭をこつんと叩いて許してくれる。………いやこれは私の妄想だ。
「アスカァーー、ごはぁーーん」
 ビールのカンが開く音、いつもの「っっっかーーーーー!」が聞こえた後、ミサトは多少
勿体ぶったように私を呼ぶ。
750ラフ・コミュニケーション:2009/08/07(金) 01:55:28 ID:???
 無言で戸を開ける。というか、何を言って良いか解らずに開けた。
 テーブルに並ぶメニューを見て、顔が青くなった。
 第一の理由は苦手なメニューのオンパレードだったこと。ナットウ、オクラ、焼き魚にシイタケ……
もう二度とメニューに出すなとシンジにわがまま言ったものばかりだった。
 第二の理由はシンジの笑顔が限りなく作り物みたいだったこと。時々聞いたシンジのここに
来る前の話を髣髴とさせる、薄ら寒い笑い顔だ。
 謝るかどうかは別として、こういうリベンジされるなら、もう金輪際シンジを本気で怒らせる
のはやめようと思った。
 いただきますの掛け声の後、私は箸を手に取ることも出来ず、下を見たまま何をどうしたものか
身動きが取れなくなってしまった。
「アスカどうしたの?食べないの?」
 シンジの言葉に思わず肩がびくっと動く。
 そこにミサトが茶々を入れる。
「アスカはねー、シンちゃんに言いたいことがあるんだって」
『よ・け・い・な事をーー…』
 頭に血が上るのがわかる。シンジを怒らせたこと、自分の幼稚さ、結局ミサトに水を向けられ
ないと何も出来ない情けなさがない交ぜになって、段々目頭が熱くなってきた。
『泣くな泣くな泣くな泣くな私。こんなことでどうする。軍にいた頃はこの程度の逆境何度も
何度もあったじゃない。だから大丈夫。私は大丈夫。私は…』
 私はユーロ空軍のエースパイロット、私はエヴァのパイロット…いつも出てくるそんな言葉は
思い浮かばなかった。
「ごめん…なさ…」
 そのあとは言葉にならなかった。下を向いて泣き出すのを必死でこらえるくらいしか出来ない。
「いいよ、もう」
 シンジは静かにそう言った。言葉への安堵と、顔を上げて見たシンジの目の静かさが、私を
すとんと緊張状態から解放してくれた。その私の頭をミサトがぽんぽん叩く。
「良く言えたねぇ、アスカ」
 普段ならみっともないくらいに逆切れして悪態をつくのに、二人の反応が心の奥底に染み込むように
私を素直にさせた。泣き出さなかったのは私の最後のプライドだった。
751ラフ・コミュニケーション:2009/08/07(金) 01:57:01 ID:???
「アスカ、ちょっと食べてみてよ」
「うん…」
 慣れない箸を手にすると、それ自体に違和感が合った。握りにくいところにグリップがついていた
のだ。
「箸もだけど、アスカも食べやすいようにちょっと工夫してみたんだよ」
 自信満々にシンジが言ったとおり、口に入れるたびに私は沈んだ心が解き放たれるような気分を
味わえた。
 苦手なシイタケはカレー粉をまぶしてグリル焼きにされていて、独特の臭みがなくなっていた。
 オクラの酢の物は湯通ししてほかの千切り野菜と和えてあり、苦手なネバネバが随分無い。柚子
の香り付けも絶妙だ。
 ナットウは梅肉と合わせ刻みオオバを乗せられていて、苦手な二つのメニューが合わさっている
のに美味しいときてる。正直、ここまでやられると女として悔しい。
 隣のミサトは酒の肴という点でシンジの料理を大絶賛し、いつもの五割増のペースでビールの空缶を
量産していた。
 私は料理の腕もさる事ながら、何が苦手なのか覚えていたことに驚いていた。色々工夫して再び食卓
に並べる努力をしてくれていたことに、素直に感動していた。私だったら多分、二度と作らない選択を
したと思う。
 そんな中、最後まで手をつけなかった焼き魚は、このご時世の高級品だ。
 にも関わらず食べにくいというだけで、自慢気に食卓に出したシンジの心意気をへし折った事があった。
 今日は頑張って箸を使って食べようとしたけれど、巧く身をほぐせずに徒に箸を滑らせていた。
752ラフ・コミュニケーション:2009/08/07(金) 01:59:06 ID:???
「ちょっと貸して」
「あ……」
 シンジは私の皿を引き寄せ、丁寧に魚の身をほぐしはじめる。ミサトの講釈によると、これはアジ
という魚で、日本では一般家庭で食べられる魚の代表格らしい。
 ミサトは養殖で育てるしかない魚を食べるのがどれだけコストがかかって大変か説明してくれた
けれど、呂律が廻っていなくて二割も話が理解できなかった。
 そのほぐしてもらった魚の身すら箸で掴めない私は、素手で掴んで良いかシンジに聞いた。
 本気で怒られた。しょげているとシンジは少しむっつりして再び魚の皿を手元に引き寄せる。
「それならこれで食べられるだろ?」
 シンジは自分の箸で私の皿から身を小分けにして掴みあげて、私の口元に寄せる。何をしているか
理解できなかった。
「ほら、あーーーん」
 シンジの口真似をしたところにひょいと箸で掴んでいたものを放り込まれた。
 味わいだけだろうか?食感のせいだろうか?それとも、この場の空気のせいだろうか?私は幸せな
気分になった。因みにミサトは舌打ちするとぶつぶつ独り言を言い始めた。
 「美味しい」と口にした瞬間、シンジは蕩けるようないい笑顔になる。それで私も嬉しくなって、
次のおねだりをしていた。

「あーーーん」

ende
753名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 02:01:27 ID:???
このLAS未満たまんね
本編のふたり見てるみたいでぽかぽかする

GJ!!
754543:2009/08/07(金) 02:06:07 ID:???
以上です。
時期的には空から降ってきたでっかい使徒戦の後、アスカがシンジを
色々意識しだした頃って感じです。

ラフコミュニケーションのラフは、「rough」の方です。「laugh」じゃないよ!
つまりまあ、荒削りだったり、気兼ねない関係だったりの方です。

新劇の人間関係は、それぞれの葛藤を抱えながら、登場人物は人付き合い
に結構前向きな感じがしますねえ。この流れ続編でひっくり返されたら…
いや考えるのやめておこうw

感想レス頂いた皆様、いい励みになります。ありがとうございましたです。
それでは今日はこの辺でー。
755名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 02:18:38 ID:???
>>754
ヨカッタヨー
756名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 02:41:55 ID:???
GJってレベルじゃねえぞ!
あなたが神か

スレの専属LAS作家になってくださいm(__)m
757名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 06:55:00 ID:???
GJ!!
758名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 11:01:44 ID:???
すんげ好みですこのシンジ君
759名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 21:36:23 ID:???
オマイラ、許容範囲広いなw
760Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:27:33 ID:???
ふ、帰ってきたわね。ナナヒカリ。
「て、これ何?」
驚いている。
「あんた、ばかぁ、アンタは用済みって事、さっさと、出て行きなさい。」
「でも、...。」
「しかし、なんで、日本の部屋ってこうも狭いのかしら、荷物が半分も入らない。しかも、こんな無防備、
よくもこんな鍵の無い部屋に住めるわね。」
「それは、日本人の精神が察しと思いやりだからよ。」
げ、ミサト何時の間に。
「それからアスカ、用済みはアナタの方よ。」
「ど、どういう意味よ。」
ミサトはアタシ達にPADに映るデーターを見せた。アタシが最も見たくないものだ。
「これが、シンジ君のシンクロデータ、ここ3日で急激に伸びている。これからも、伸びるわ。
それに比べてアスカ、何このシンクロ率、ドンドン下がってるじゃない。完全にシンジ君に負けてるわ。
そう、アナタはもう用済みよ。」
「そう、アスカは用済み。」
「二番目は用済み。」
「アスカはもうダメね。」
「これは、もう使えない。」
ちょっと、エコヒイキに赤木博士、それに総司令までなんでここに居るの?
アタシは用済みなんかじゃない。アタシはエリートなの、何でこんな事になったの?
嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

「はぁ、はぁ、何て夢見るのかしら。」
アタシは苛立ち紛れに枕を壁にぶつける。
悔しい!憎い!もう嫌。
761名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 22:29:06 ID:???
ところどころセリフが・・・
762Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:30:09 ID:???
事の起こりは5日前、アタシが女に成った日。
その日は、朝から最悪だった。鈍い、腹痛で目覚めた、アタシは下腹部に違和感を覚えて、
恐るゝシーツを見ると、信じられない光景に思わず声を上げる。
「ちょっと、何よ、これ。ミサトーぉちょっと、来て。」
「どうしたのアスカ?」
「シ、シンジは入るな。ミサト、ミサトを呼んで。」

「どうしたのよ。アスカァー。ほほ、そう言う事ね。これは、おめでとうって言うべきね。」
部屋に入ってきたミサトは事態を察して、明るく言った。
「全然、めでたくない。もう無茶苦茶だよ。」
「今日は、シンジ君の復帰もあるし、アスカの記念日だし。シンジ君に赤飯を炊くように言っておくわ。」
そう今日は、第8の使徒との戦いで大けがをしたシンジの怪我も治り、ようやくシンクロ訓練に復帰する日でもあった。
「それより、アタシその...。あれ、持ってないけど...。」
「今日は、アタシの貸してあげるから、帰りにコンビニでも行って自分の買って来なさい。NERV内のローソン
でも売ってるからそこでも良いしぃ。」
「そ、そんな所で買えるわけ無いじゃない。」
アタシは顔を真っ赤にしながら言った。
763Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:32:00 ID:???
訓練用のエントリープラグでアタシは、下腹部の激痛に苛まれて、何時もの様に平常心を保つ事が出来ずに居た。
「アスカ、もっと集中なさい。」
「解ってるわよ。黙って居て。」
アタシは集中しようとすればするほど、苛立つ自分を感じ、八つ当たり気味にミサトへ言った。

訓練終了後、アタシは衝撃の事実を知らされる事に成った。
「シンジ君、久しぶりと言うのにシンクロ率がこんなに上がってる。今や三人で一番よ。」
何?このグラフ。アタシがバカシンジに負けてる。しかもエコヒイキにまで...。どうしてよ。
「アスカ、今日は調子悪いみたいね。明日は頑張りなさい。」

ロッカールーム、エコヒイキは何を考えているか解らないが、何時もの様に黙って着替えている。アタシは沈黙に
耐えきれず話しだす。
「しかし、あれね。こうもあっさり抜かれると、悔しいとか感じないわ。もう、バカシンジとか言っては失礼ね。
無敵のシンジ様ってお呼びしようかしら?」
着替えが終わったエコヒイキは黙って出て言った。チッ無視かよ。
「くそ!」
そう言うと、アタシはロッカーを思いっきり蹴った。ロッカーに足形がクッキリ残る。

ロッカールームを出た所で、アタシは猛烈な吐き気をもよおして、洗面所に駆け込む。
「なんで、女だけがこんな目にあわないと行けないの?こんな目にあうなら、赤ちゃんなんて要らない。」
アタシは泣き出した無いのを必死にこらえながら、おう吐を繰り返す。
764Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:33:25 ID:???
NERVの出口でシンジが待っていた。
「あ、アスカ、大丈夫?顔色悪いよ。」
「何で、待ってるのよ。先に、帰れば良いのに。」
「心配で待っていたんだ。一緒に帰ろう。」
「嫌!一人で帰るわ。付いてくるな。」
「家、同じだろ?」
どうして、付いてくるの?アレ買えないじゃん。

「用事があるの先に帰って良いて。」
そう言うと、いつもの駅より一駅前で降りる。
「ちょ、アスカ、大丈夫?」
「大丈夫、心配しないで、チャンと帰るから。御飯の準備しておいてよ。」
その日はアタシは、目的の物を買いに行ったが結局、レジに持って行くのが恥ずかしくて、中々買えず。
一時間以上、コンビニに居てしまった。

翌日も翌々日と立て続けに、シンクロ率は下がっていった。それに加えて、下腹部の痛みやおう吐感は酷く成る一方だ。
アタシは、訓練後、ミサトの執務室に呼ばれていた。
「あんで、アンタが居るのよ。」
「僕もミサトさんに呼ばれたんだ。」
何よ、シンジの目の前で説教をするつもり?ミサトって酷い事するのね。
「アスカ、アナタ体調が悪いみたいなんで、明日は土曜日だだから学校が終わったら、寄り道しないで家に帰って
休んでいなさい。そして、日曜日だけど、気晴らしにシンジ君と遊園地に行ってらっしゃい。」
「何で、アタシがバカシンジとそんなとこ行かないといけないの?」
「実を言えば、遊園地の券を貰ったんで、アスカの気分転換に丁度良いかなっと思ってね。遊園地と言えば
カップルで行くもんでしょ。シンジ君が嫌なら、シンジ君の友達に頼んでも良いわよ。」
「それ、命令ですか?」
「そう言う事ぉー。」
三馬鹿トリオの野蛮人とメガネオタクは論外だ。一番マシなのは...。
「仕方が有りません。シンジと行きます。」
765Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:35:35 ID:???
悪夢を振り払うようにベットから起きて、着替えをする。幸い、昨日まで有った痛みや倦怠感が無いのが唯一の救いだ。
リビングへ行くと、シンジが弁当を作っていた。
「あーら、シンジ様、アタクシめの様なやく立たずに為に、そのようなご足労をおかけして、申し訳ないですわね。」
「アスカ、僕と遊園地行くの嫌なら、辞めても良いよ。」
「遊園地に行くのは命令なの。しかも、アタシはシンクロ率がダダ下がり、命令に背いて更にシンクロ率が下がったら、
どういう処分が下るか解らないわ。行くしか無いのよ。」

遊園地に向かう電車で二人は気まずい沈黙の中にいた。このまま、行っても本当に息抜きには成らないわね。
まぁ、命令に従えば、明日は言い訳は出来るから、取りあえず何かをしよう。
「ねぇ、アスカ。何する?」
「あんた、ばかぁ、遊園地と言えばアレでしょ。」
指さす方向を見たシンジが酷く怯え始めた。
「い、いや、アレは、止めようよ。面白くないよ。」
チャーンス、シンジめ、マジで怖がってやがる。今まで受けた恥辱のお礼をさせて貰う。
「何言ってるの?サッサと行くわよ。」
アタシはシンジを引っ張って、歩きだす。
「嫌だー、助けてよー。」
766Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:37:00 ID:???
ジェットコースターが坂を登り始める。ところから、シンジは完全に震えている。
「嫌だぁ、助けてくれー。」
ジェットコースターより、こっちの方が面白い。
坂を下って、加速を始めると、更に悲鳴を上げる
「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

実に面白かった。何が面白いって、シンジの反応だ。
「もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。」
「シンジ、次行くよ。次は、アレ。」
アタシは次なる絶叫マシーンにシンジを引っ張っていく。
「嫌だぁ、殺される。」
何、人聞きの悪い事言ってるの?

「もう、だらしないわね。第8の使徒の時にあれだけ、高速で第三新東京市を走り回ったのに、何で、こんなのが
怖いのよ。」
「エヴァと遊園地の乗り物じゃ、全然違うよ。もう、助けてよぉ。」
「さて、次はどれに乗ろうかな?」
「あ、アスカ、アレ、アレに入ろう。」
「なに?まぁ良いか。この建物の後はまた、乗物に乗ろうね。」
良く解らないが、オカケヤシキと書かれた建物に入る事にした。シンジが入りたいものなので
大したものでは無いだろう。
767Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:39:25 ID:???
「何よ。やけに暗いわね。あれ、人が座ってる。アンタ何やってるの?」
そう言った瞬間、そいつが行き成り動いて、こっちを向いた。顔が無い。
「嫌ぁ。」
アタシは思わず。シンジに飛びついてしまった。
「ここは、何よ。」
「何って、お化け屋敷だよ。」
「オバケって何?」
「え?なんどだろう。英語で言うと、モンスターかな?ホラーって言った方が良いかな?」
「あ、あんですって。」
「アスカ、もしかしいて、お化けとか嫌いだったの?」
「そ、そんな訳無いでしょ。ただ、今回はいきなりなんで、驚いただけよ。どうせ、作りものでしょ。」

仕掛けが有る事は、解っていても行き成り、暗闇で何かが動いてこっちに迫るたびに、驚いて声をあげてしまう。
「アスカ、大丈夫?」
「へ、平気よ。驚いた振りした方が楽しいでしょ。」
しかし、行けばいくほど仕掛けは巧妙に成りついには、歩けなくなった。
アタシは目を閉じて、シンジにしがみ付く
「し、シンジ、アタシの耳を塞いで。」
「え?こう?」
「このまま、アタシを出口まで誘導して。」
「え、あ、うん。」
これで、出口まで何とかなるだろう。

「アスカ、出口だよ。」
その声に、前を見ると確かに前方に出口が有る。助かった。
アタシは、出口に向かって歩き出す。
もう一歩、と言う所で上から、生首が落ちて来た。
「嫌ぁぁぁぁぁ。」
アタシはまた、シンジにしがみ付いてしまった。
768Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:40:46 ID:???
疲れた。本当に疲れた。アタシは、木陰の芝生にへたり込む。
「アスカ、お弁当食べよっか?」
「そ、そうね。そうしましょう。」
シンジの料理は相変わらず美味かった。しかも、今日の弁当は消化の良さそうな物ばかりだ。
「今日は、やけに軽めの物が多いわね。」
「うん、アスカの体調が悪そうなんで、消化の良い物にしたんだけど、今日は顔色良いから
もっと、ボリュームのある料理の方が良かったね。」
「あ、別に良いよ。これも、美味いから。」

弁当を食べ終わると、アタシは草原に寝転んで、
「うーん。」
伸びをした。木陰からの木漏れ日が心地いい。
「アスカ、今日は体調が本当に良さそうで本当に良かったよ。この分なら、明日からのシンクロ訓練は
また何時も通りに成るんじゃないかな?」
アタシはムッとして、シンジを睨みつける。
「そんなに、上手く行くわけ無いでしょ。」
「ごめん。」
シンジが目を逸らす。
アタシはため息を付くと、
「でも、ありがとう。気休めでも嬉しいよ。」
と答えた。美味い弁当を食わして貰ったお礼にこれ位は言ってやろう。
769Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:41:15 ID:???
翌日、アタシのシンクロ率は回復して居た。
ミサトは自分の手柄と喜んで居たが、アタシはむしろ、アノ事に原因が有ると思っている。
それに関しては、一か月もすればはっきりするだろう。
770Women's Holiday :2009/08/07(金) 22:42:14 ID:???
こんな感じです。
この後、アスカはシンジ君に手料理を作る気に成ったみたいです
771名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 22:44:54 ID:???
>>770乙!

ポカポカしたよ
772名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 22:47:11 ID:???
GJ!!
773名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 22:50:46 ID:???
GJ!
おもしろいです
早く続きが読みたいよー

774名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/07(金) 23:37:37 ID:???
あまり長くありませんが>>639の続き、 入れ代わり11(惣流パート)を投下します。
775入れ代わり11(惣流パート):2009/08/07(金) 23:39:27 ID:???
ミサトのマンションで、アタシとシンジの同居が決まった。
シンジに、いきなりキスをしたりしたから、ダメかと思っていただけに意外だった。
アタシはミサトのマンションに向かう間、これからどうやってシンジに復讐しようかと、いろいろと考えていた。
(カヲルには感謝しないといけないわね。アタシに復讐のチャンスを与えてくれたもの)
アタシはシンジに捨てられ、ファーストの残骸と赤い海が眼前に広がる砂浜で、一人ぼっちにさせられたのだ。
ただ、カヲルと交わした約束を思い出し、アタシは軽く鬱になった。
(まっ、なんとかなるでしょ。いざとなったら、ごまかせばいいんだし)
『そうはいかないよ、アスカ』
(カ、カヲル?)
アタシの頭の中で、カヲルが語りかけてきた。
『やれやれ、全くこれだからリリンは。僕の大切なシンジ君に復讐とはね。約束が違うんじゃないかな、アスカ?』
(な、何のことかしら?)
『僕は君に、シンジ君を幸せにしてくれと頼んだはずだよ。不幸にしてくれと頼んだ覚えはないな』
(分かってるわ。だからシンジに優しくしてるじゃない!)
『残念ながら、僕には君の考えていることは全て分かるのさ』
(そっ、そんな……)
『悪いが、君には任せられない。君の身体を借りるよ』
アタシはカヲルに身体を乗っ取られてしまった。
(やはりシンジ君を幸せにできるのは僕みたいだね)
『ちょっとカヲル!アタシの身体を返せ!自分自身の身体でシンジと結ばれればいいでしょ!』
(悪いけど、僕の身体はもはや存在しない。魂だけになってしまったからね)
『だったら、あっちの世界の式波に乗り移ればいいでしょ!』
(あちらの式波君とシンジ君は、うまくいきそうなんでね。興味がないよ)
『くっ!』
(アスカ、あとは僕に任せて、君はおとなしくしていてくれないかな?)
『カヲル、アタシの身体を使って一体何をするつもり?』
(僕の身体ではないのは残念だけど、せっかく女性の身体になったからね。僕はシンジ君と一つになるよ)
『そ、それって、ま、まさか…』
(シンジ君と僕との甘美な聖なる愛の営み。つまり、性交するってことさ)
『それだけは絶対にイヤー−−!』
アタシはカヲルに乗っ取られた身体の中で、絶叫していた。
776入れ代わり11(惣流パート):2009/08/07(金) 23:44:01 ID:???
以上です。
続きは出来次第投下します。
777名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 00:43:30 ID:???
>>776
お疲れ
カヲルのシンジ愛っぷりは歪みねえな
778名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 01:04:37 ID:???
乙!
続きwktk
779674:2009/08/08(土) 02:55:21 ID:???
昨日投下すると言ってうそこいてすみません


>>724
スマヌ
一応投下分は出来たけど、せめて最後まで書いてから投下したいとおもた
だから遅れると言う言い訳です
すみません
780名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 03:23:06 ID:???
かまわんかまわん
781名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 03:32:25 ID:???
ライブ感覚で読むのが好きだから読みたいとか言っちゃだめ?
782名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 03:34:22 ID:???
なんだライブ感覚って?
783名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 03:39:23 ID:???
その場その場で出来たものを楽しみたい…の意味だなライブ感覚ってのは
この場合当てはまらない
恥ずかしい!


いや、単に続きが気になるだけです
784名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 05:02:58 ID:???
>>783
庵野の作り方そのものじゃないか
785Women's Holiday :2009/08/08(土) 05:29:42 ID:???
>>773
続きは無いですよ。これで終わりです。
アスカが、綾波に弁当を持って行ったシンジ見て、
アカラサマに嫉妬する前の話って意味で書きました
786名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 05:43:25 ID:???
>>775
シンジ君と成功するといいね。
787名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 11:29:27 ID:???
>>754
文章上手いしキャラ全員かわいいし素晴らしいです!
とくにシンジが…かわいすぎる…

>>770
旧の生理シーンは可哀想だったけど、これはほのぼのしました。良かったです!

>>776
カヲルwww続き待ってます
788名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 16:57:17 ID:59wCU96i
>>770

料理作るときはやっぱりブラにエプロンなのかな?
789名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 17:04:14 ID:???
ageるなカス
790名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 17:11:39 ID:???
いちいち突っかかるな。荒れるだろ
791名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 17:27:06 ID:???
みんな投下するのは構わないけど頼むから途中で放置みたいなのはもう止めてくれ
792名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 18:25:11 ID:???
>>791
そんなに途中放置作品あるの?
793名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 18:42:58 ID:???
特にない
794名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 19:12:54 ID:???
結構あるだろwww
795名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 19:45:53 ID:???
>>788
シンジ君を喜ばす為に、裸にエプロンだけで作ります
796名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 20:05:10 ID:???
>>775の続き、 入れ代わり12(惣流パート)を投下します。
797名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 20:07:11 ID:???
>>770
料理作ろうって発想がでるってことはこのアスカは式波かな
>>795
ブラにエプロンもそうとうエロいと思うぞw
798入れ代わり12(惣流パート):2009/08/08(土) 20:10:12 ID:???
僕が部屋で荷物の整理をしていると、シンジ君が帰ってきた。
「なんだこれ?一体どうなってるの?」
ダンボール箱の山を見て、シンジ君は驚いていた。
(お帰りシンジ君)
僕はアスカに成り切り、シンジ君を出迎えた。
「お帰り、シンジ。悪いけどアンタの部屋にアタシが入ることになったの」
「し、式波さん」
「アスカって呼んでって言ったでしょ。今日から同居することになったの。よろしくね♪」
「えっ、ええー−!」
帰宅したミサトさんが、シンジ君に僕との同居について説明してくれた。
「そういうことだからシンちゃん。アスカと仲良くね♪」
「でもミサトさん。僕は男ですよ」
(シンジ君、僕は求められれば心も身体も君に捧げるよ)
「シンジ、それってアタシを襲っちゃうかもってこと?アタシは別にいいわよ。シンジならいつでもOKよ♪」
僕がそう言うと、シンジ君の顔は真っ赤になった。
「ぼ、僕、夕飯の用意をしなきゃ」
シンジ君は、照れを隠す様に足早にキッチンに向かった。
(シンジ君。君の心は本当に硝子細工の様に繊細だね。好意に値するよ)

三人での楽しい夕食を済ませた僕がお風呂に入ると、ペンペンが入浴していた。
(初めまして、ペンペン。悪いけど、ちょっと利用させてもらうよ)
「キャ−−−!」
僕は大声で叫ぶと、お風呂場から全裸で飛び出した。
僕はキッチンで洗い物をしていたシンジ君まで走ると、そのまま抱き付いた。
「シンジー、お風呂に変な生き物がいるー!」
僕はシンジ君に胸の感触が伝わるように、押し付けた。
799入れ代わり12(惣流パート):2009/08/08(土) 20:11:34 ID:???
「!!!」
シンジ君は顔を真っ赤にして、そのまま固まっていた。
『ち、ちょっとカヲル!アタシの体でなんてことすんのよ!』
(いい所なんだから、少し静かにしてくれないか)
ミサトさんは突然の出来事に、呆気に取られている様で、何も言ってこなかった。
僕は胸の感触が、よりシンジ君に伝わるように押し付けた。
「あっ、ああ、あの、ア、アスカ!?」
「怖いよー助けてシンジー」
(シンジ君。君の体温、高鳴る鼓動が伝わり、僕の心は歓喜に満ちていくよ。自分の身体でないのが残念だけどね)
『キャー!アタシの身体で何てことすんのよカヲル!』
(全く、いい所なのに邪魔をするとは不粋だね君は。少し静かにしてくれないかな?)
『何がいいところよ!早くシンジから離れなさいよ!』
アスカは大声で僕に、罵詈雑言を浴びせ続けた。
(やれやれ、こうも騒がれると僕も疲れるよ。少しの間、休ませてもらうよ)
カヲルがそう言った後、乗っ取られていたアタシに身体の五感が戻った。

「…イッ、イヤー!」
アタシは急いで離れると、シンジの左側頭部にハイキックをかました。
アタシは顔を真っ赤にして、一目散にお風呂場に戻った。
アタシは羞恥のあまり、心臓の鼓動が早くなっていた。
(シ、シンジに裸で抱き着くなんて。は、恥ずかったよう…。……カヲル、覚えておきなさいよ!)
800入れ代わり12(惣流パート):2009/08/08(土) 20:14:40 ID:???
短いですが、以上です。
801名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 20:15:00 ID:???
>>796
wktk
802名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 20:16:03 ID:???
GJ!!
早く続きが読みたい!
803名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 20:20:44 ID:???
>>800
乙!
ガチホモのシンジへの執念は半端ねえな
804入れ代わり12(惣流パート):2009/08/08(土) 20:38:21 ID:???
皆様、応援ありがとうございます。
惣流パートばかりですが、続きが出来ましたらまた投下します。
携帯なので遅筆ですが、よろしくお願いします。m(__)m
それではまた。
805名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 20:59:19 ID:???
捻ろうとして迷走してるなw>入れ代わり
806名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 21:03:29 ID:???
式波と惣流が入れ代わって、さらに惣流とカヲルが入れ代わってだからね。タイトル通りの流れとも言える
続き楽しみにしてます
>>288
投下保管庫の作品読んで改めてファンになりました!一つ掛け布団の下みたいな作品また書いて下さい
807名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 21:21:10 ID:???
入れ代わりは、設定が杜撰過ぎるなw

三、四次小説だとこうなるって見本のようだw
808名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 21:31:00 ID:???
んまぁいいじゃまいか

ところでイタ系の続きマダー?
809名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 21:34:50 ID:???
入れ代わりの式波編の続き希望
810674:2009/08/08(土) 21:53:29 ID:???
>>781>>808
投下してもいいんだけど、話としてはぜんぜん進んでないし、
ここで終わらせたらたぶんイタいだけ。
ラストだけ考えてボヤっとしたまま書いてるもんだからなかなか上手く進まず書けず('A`)
811名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 22:27:53 ID:???
じゃあ投下して下さい
812名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 22:41:00 ID:???
どうせならハッピーエンド希望
813名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/08(土) 22:46:54 ID:???
完結のメドが立ってから投下した方がいいのでは
個人的には好きだし、完結してほしい
814674:2009/08/09(日) 03:20:43 ID:???
どうも

>>813ということで、
自分の考えてることを整理してまとめてプロット(?)を組み立てたらラストまで案外スムーズに書けたので、
あとは文章にまとめるだけだなと言うことで投下してみる。投下希望の方も何人かおられるようなので。
小説の基本の基本をすっ飛ばしていたっぽい自分に絶望

>>812
一応ハッピーなラストに向けて書いてる


・学園異性系イタモノ注意
・ストーリーは進んでません 過去の回想のようなもの
・たぶんここだけ読んでもイタイだけでして・・・続きとは言えな
・ストーリー進んでないからとりあえず飛ばして、次の投稿のときに読んでくださっても大丈夫
・アスカごめんよ


NGワード キンモクセイ
815キンモクセイ:2009/08/09(日) 03:23:14 ID:???
あの頃のあたしたちは、今と変わらずふたりでありふれた時間を無駄に過ごししていて、
お互いに友だちだっているのに、気がつけばいつも一緒にいた。
放課後になればふたりでだらだらして、部活に励む鈴原たちを邪魔したり、それで先生とヒカリに怒られたりして。
仕方なくテレビゲームで暇をつぶして、お互いの部屋の何度も読み返したマンガをまた読み返したり、
気が向いたら初号機と名付けた自転車を駆り出して、よく河川敷に行っては遅くまでキャッチボールしたりした。

それは、ずっとずっと変わらない小さいころからのあたしたちの日常。


「あたしたちさ、なんでこんなに一緒にいるのかな」
「…当たり前すぎて分からないや」
そう言って、シンジは笑った。
「ただ、今までもアスカと一緒だったから、これからもずっと一緒なんだろうって。それだけは僕にも分かるよ」
「なにそれ」
あたしも、つられて笑った。


あたしもシンジもこんな毎日がずっと続くと信じていたし、それは今でも同じ。
けれど、14歳のあたしの体は日を追うごとに女になっていって、
膨らむ胸の痛みも、初めて流す血の恥ずかしさもみんな誤魔化して、何も変わりたくないといくら願っても……
あたしを形作るイレモノに引っ張られるように、否応もなく心も女に変わっていった。
816キンモクセイ:2009/08/09(日) 03:24:08 ID:???
シンジの、石鹸混じりの汗の匂いに、そばで感じる体温に、あたしの名前を呼ぶときの声の響きに、
男の子にしては華奢な体に触れ合うたびに、前髪をかきあげる仕草に、集中したときの真剣な顔に、
はにかむようなその笑みに、何も言わずそばにいてくれるさり気ない優しさに。

あたしの中にいままで知らなかった感情がとめどなくあふれてきて。
熱くなる頬も、胸の奥がつまるような想いも、
それが何であるのか分かっていながら目を瞑って耳を塞いで、必死に自分を押し殺した。
あたしが女になってしまえばすべてが終わってしまう。そう思うと、怖かったから。
終わりを迎えたあたしのパパとママのように。

それなのに、あたしの欲しくて欲しくて、けれど手に入れることの出来ない大切なものを、
あの女はいとも簡単に奪い去った。
無邪気に笑いながら。



「霧島、マナです。よろしくお願いします!」

夏の終わりに突然現れたその女は、
人なつこい笑みを浮かべた、子犬のような女の子だった。
817キンモクセイ:2009/08/09(日) 03:25:39 ID:???
「碇、シンジ君って言うんだ。よろしくね、シンジ君。私、マナ。霧島マナ。マナって呼んでいいよ」
「知ってるよ、さっき自己紹介で聞いたし」
「いいの。シンジ君にだけあらためて言わせて?」
「あ…う、うん…まあ、よろしく」


やめて、そんな目でシンジを見ないで。


「シンジ君、一緒にかーえろっ」
「え?」
「方向、たぶん一緒だから。私この土地まだ慣れてなくて…ひとりじゃまだ、不安なんだ」
「悪いけど、これからアスカと河川敷に行くんだ。キャッチボールをしに」
「なにそれ楽しそう!私も一緒に行きたいな」
「別にいいけど…アスカはどう?」
「勝手にすれば」


嫌よ、嫌。
あたしたちの中に勝手に入ってこないでよ。


「シンジ君ってかっこいいよね」
「か、からかわないでよ。…そんな風に言われたことないって」
「可愛い、の間違いじゃないの?こいつ、女の子みたいな顔してるから」
「アースーカー。人の気にしてることほじくるのやめて下さい」
「えー?そーかな?私はかっこいいと思うなぁ」


媚びた言葉にどうして顔を赤くするの?

818キンモクセイ:2009/08/09(日) 03:28:53 ID:???
「シンジ、今日は」
「今から霧島のレポート手伝う約束したんだ。アスカも一緒にやる?」
「……いい。遠慮しとく。ふたりで楽しみなさいよ」
「楽しむって、べ、別にそういうんじゃないよ。やらしいことするみたいに言うなよ」
「…するつもりだったの?」
「アスカ!」


知らないところでどんどん距離が近づいていく。


「霧島から映画に誘われたんだ」
「ふーん、良かったじゃない」
「…あいつ、僕に気があるのかな」
「そうなんじゃない?別に女の子から好かれるの、初めてじゃないでしょ。今までと何が違うの?」
「なんか違うんだよ。よく分かんないけど…霧島といると」


ねえ、あたしとはどう違うの?
ねえ


「惣流さんってシンジ君のこと好きなんですか?その、男の子として」
「冗談、やめてよ。そんなわけないじゃん!」


嘘、嘘よ。


819キンモクセイ:2009/08/09(日) 03:31:24 ID:???
「よかった…私、惣流さんが相手だったらかなわないと思ってたから」


あたしはあんたにかなわない。どうしてそうも簡単に、好きなものを手に入れようと出来るの?


「だって、美男美女カップルって感じで…こんなにお似合いなふたりいないなぁって」


シンジより背が低くて、小柄で、女の子らしくて、どっちがお似合いなのかしら。


「だったら私、遠慮しなくていいですよね」


やめて。…あたしのシンジを奪わないで。


「私、シンジ君が好きだから」


あたし、あたしはシンジが…


「霧島のこと?彼女、うん、可愛い…と思う」


シンジはずっとこのままでいたいと思わないの?変わることに恐怖はないの?

どうして…あの女なの?
820キンモクセイ:2009/08/09(日) 03:32:20 ID:???
「僕さ、マナと付き合うことになったんだ」

3年前のあの時、シンジにそう告げられた日の空には、
淡い青のキャンバスに、ウェット・オン・ウェットで描いたように柔らかな綿のような白い雲が、ただ浮かんでいた。
手の届かないほどに、遠く、遠く。

「…そっか、おめでとう。やったじゃない!」

シンジが少しはにかんで、優しい風が、
短く切りそろえられた前髪をさらりと撫でていくのを眺めながら、あたしはちゃんと笑えていただろうか。

ああ、キンモクセイの香りがする。

哀れな花。
強く、噎せ返るほどに甘い匂いを放って、ここにいるんだと叫び続けて…
本当は小さくて弱々しい、儚い存在だと自分で知っていたから。

でも、だめ。

臆病なあたしは、意地っ張りなあたしは、怖がるだけで何もしなかったから。
あの女のものになるのを、ただ見ていることしか出来なかったから。
あたしの中のキンモクセイは、はじめから散ることが決まっていたのよ。

シンジはどんどん先に進んで、男になっていって、女を選んで。
そして、あたしだけが取り残されていく。
821キンモクセイ:2009/08/09(日) 03:33:49 ID:???



  碇君と、霧島さん…付き合ってるらしいね。
  あー、くっついたんだあのふたり。でもさー…かわいそう
  …惣流さんのこと?
  あのふたりあんまり仲がいいからさ、絶対デキてると思ってたのに
  案外、距離が近すぎると上手くいかないのかもね。でもさ、惣流さんの方は明らかに碇君のこと―
  だよね、男と女はわかんないねー。ほんと惣流さんかわいそう。


教室の陰で、ひそひそと囁きあう女の子たちの声が聞こえる。
なにがカワイソウだ、同情なんてこれっぽっちもしてないくせに。
いい暇つぶしの話題が出来たと、言葉の裏でニタニタと笑ってるんだろう。
教室の扉を勢いよく開けて、凍りつく女の子たちをキツく睨みつけてやる。
慌てて教室から去っていく女の子たちに、あたしの心はこれからも噂話として消費されていくんだ。
馬鹿な人間の戯れ言だと鼻で笑っても、胸の奥がペンチで捩じ切られるようにギリギリと痛みを増していく。
ぼんやりと見やった窓の外に、見覚えのある丸い後頭部の男の子と栗色の髪の女の子の姿を見つけて。
ふたりの繋がれた掌に、微笑み合う姿に、あたしは溢れてきた感情をついに抑えられなくて。

「…っ…うっ…あ…」

誰もいなくなった教室でひとり、とめどなく流れる涙を拭いもせずに、あたしはうずくまって泣くことしか出来なかった。

822キンモクセイ:2009/08/09(日) 03:34:49 ID:???
一歩を踏み出すにはシンジとの距離は近すぎて、離れて歩くには一緒にいた時間が長すぎた。
女としてシンジを独占出来ないなら、せめて友だちとしてそばにいたい。
それがあたしのちっぽけな願いだった。
例えシンジが他の女を好きでいても、あたしを見てくれなくても、全部あたしのものにならなくても、
ずっとずっと、そばにいたかったから。


ねぇ、シンジ。
あたし、シンジが…大好き。


あの女と付き合うようになったあとも、シンジは変わらずあたしと一緒にいた。
ふたりで笑って、ふたりでふざけ合って。
彼女が出来たからって、急に離れるのは変だからと、シンジは言った。
あたしだけは特別なんだ思えて、だからシンジがあの女と一緒にいようと、何をしようと、あたしは耐えることが出来た。
こみあげる想いを心の奥深くに隠して。
寂しさを他の男でごまかして。
これで良かったんだと自分に言い聞かせて。

高校に入るころには、あの女とシンジは別れていた。
いくらお互いを好きでも、その時の気持ちが本当のものだとしても、やがて男と女は終わりを迎える。
…やっぱりね、とあたしは笑った。
あたしは都合のいい男と付き合っては別れて、シンジも何人かの女の子と付き合っては別れて、
その間もあたしとシンジはそばを離れることはなかった。
そして、あれから3年が経って、あたしたちはいつの間にか17歳になっていた。
823名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 03:35:46 ID:???
切なすぎる
支援
824674:2009/08/09(日) 03:37:55 ID:???
以上っす

10行ぐらいで済ますつもりが意外に長くなったので独立して投下。
誰が悪いとかじゃなくて、恋ってぽかぽかするけど、時には残酷だよなあっていう。
本編アスカの片思いっぷりを見てるとそう思います。

825名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 03:43:54 ID:???
乙!
切ないのう…
826名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 04:28:34 ID:???
入れ代わりの設定って、「バスタブ時の惣流」と「3号機事件後の式波」だよな?
惣流とカヲルは面識がないってか、カヲルの登場前じゃね?
827名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 06:31:00 ID:???
いいわ、こう言うの。
828名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 07:13:42 ID:???
(´;ω;`)
829名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 07:18:21 ID:???
キンモクセイさんGJです。
アスカのシンジとの関係を変えたくない気持ち、せつないですね。
でも最後はシンジとアスカが結ばれるハッピーエンド
になると信じて
続きの投下を楽しみに待ってます。(^O^)/
830名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 08:58:25 ID:???
あら?落ちてたのか
831名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 10:23:31 ID:???
キンモクセイさん凄く良いです
832名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 11:05:43 ID:???
GJ!
シンジが何を考えてるのかも気になるところです>キンモクセイ
833堕とされたアスカ:2009/08/09(日) 13:02:49 ID:???
「はい、もしもし葛城です」
『よー、式波さん。今、お友達のシンジ君と居るんだけど』
「え?何言ってんの。誰よアンタ?」
『誰でもいいだろ。ただ最近、エヴァのパイロットとか言って威張ってるから遊んでやろうと思ってね。丁度、怪我もしているし面白いからな』
「今、どこに居んのよ」
『体育館の裏かな。早く来ないと終わっちゃうよ』
「待ちなさい!何やってんのよ。チッ!切れたか」
何よ、この電話イタズラ?両手を怪我しているシンジに何かしようっての?
アイツはエヴァに乗らなきゃ普通の、いやそれ以下の男じゃん。心配ね。アタシが見行くしかないか。
アタシは急いで、体育館の裏へ向かった。

「おー、来たな。アスカちゃん」
体育館に10人程の男子がいたが、シンジは居ない。
皆、いやらしい薄ら笑いを浮かべていた。
「アンタ達、何者?シンジは何処?」
「さーね。おーい、ここにシンジって奴は居るか?」
「知らねえよー」
「悪ふざけが過ぎたようね。良いわ、こういうバカには、体で教えてやる必要があるわね。覚悟しなさい。腕の1、2本へし折ってやるわ!」
「何を!みんな、やっちまえ!」
アタシは3人目の男子のアゴに、ケンカキックを決めたところで、後ろから木材で頭を叩かれた。
意識が遠のきかけたところで、もう一発決められたアタシは、体制を崩して倒れてしまった。
薄れゆく意識の中で、下卑た笑い声と「手こずらせやがって倍にして返してやるぞ」と言う声が聞こえた。
834名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 13:04:08 ID:???
エロ小説スレに投下した、LASあんま関係ないエロじゃねーか

なんでここにコピペ?
835堕とされたアスカ:2009/08/09(日) 13:07:52 ID:???
アタシは、頭から冷水をかけられて意識を取り戻した。
気が付くと、制服はおろか、下着まで脱がされていた。
更に、後ろ手に縛られた状態で足をM字の様にして、吊らされていた。
アタシの恥ずかしい所が、丸見えになっていた。
「へーえ、アスカちゃんはアンダーヘアーがあんまり生えて無いんだ」
アタシは、恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、相手を睨みつけた。
「何やってんのよ。解きなさい。こんなことやって、タダで済むと思ってんの?」
「そんな恰好で言っても怖くないぞ。それに、顔が真っ赤だぜ」
「だ、黙んなさい。今なら、大目に見てやるから…。これ以上、アタシに変な事したらたら、キャー!」
いきなり、お尻に激痛が走った。角材で打たれたらしい。
「あんまり大声出すと、人に見られるぞ。黙っていた方が良いんじゃねーの?」
そう言いながら、カメラで何枚も写真を撮っていた。 「イヤ、止めて。撮らないで…」
体育館倉庫の中でアタシは、声を殺して抗議をした。しかし、それは連中をただ喜ばせるだけだった。

連中は、角材でアタシの体を突き始めた。今何を言っても連中を喜ばすだけだ。
アタシは、声を殺して痛みに耐えるしかなかった。
目に涙が貯まるが、絶対に泣くもんかと必死に耐えた。
嫌がらせは更に続き、吊られたままで揺らされたり、回されたりする。そのたびに、歓声が上がる。
人が来たらどうすんの?でも、誰か助けて。 助けてママ……、助けてシンジ……。

「ちょっと、気分が悪いわ。ホントに吐きそう。」
「じゃ、そこで吐けば?」
再び、下卑た笑い声がアタシを包む。それを合図に、アタシへのいたずらが激しくなった。
何度かの、逆流を耐えたが、ついに耐えきれず、アタシは、今日のお昼ごはんを吐き出してしまった。
「うぁーきたねー」
「何、このゲロ女」
口々にアタシを罵る言葉をかけてくる。アタシは心が、壊れていく気がしていた。
連中は、アタシをゲロの所へ降ろした。
何処から持ってきたのかモップを頭に乗せて強引にアタシのゲロの所へ顔を押し付ける。
「おい、この汚いゲロ女。汚した床を自分の舌で拭けよ。」
もう、アタシには逆らう気力は無くただ、言われるがままにゲロを舐めるしかなかった。
836堕とされたアスカ:2009/08/09(日) 13:11:28 ID:???
バケツと雑巾がアタシの前に置かれた。
「おい、今日はこれ位にしておいてやるから。チャンと掃除しておけよ」
アタシが黙って相手を見ていると、いきなりビンタをされた。
「痛っ!」
髪をつかまれて、「返事はどうした?」と怒鳴られた。
アタシは怯えながら「ハイ」と言って慌てて、雑巾を使って床の掃除を始めた。
「誰にも言うなよ。言ったら、今日撮った写真をばらまくぞ」
その言葉にアタシはビクッと体を震わせる。
「高慢な、アスカ様の裸がばら撒かれたら皆、喜ぶだろうな」
「止めて。お願い。何でも言う事聞くから、お願い…」
「だったら、明日は下着を着ないで学校に来な。昼休みにここへ集合、良いな?」
「………」
「ほう、写真をばら撒かれたいんだ」
「いいえ、分かりました。来ます」
「はーい、じゃーお休みア・ス・カちゃん」
男子が出て行くと、体育倉庫の扉が閉じられた。
アタシは掃除をしながら、声を殺して泣いた。
どうして、こんな目に合わないと行けないの?もう、嫌。

アタシがミサトのマンションに戻ると、シンジが心配そうに待っていた。
どうやらミサトはまだ仕事みたいだ。
「アスカどうしたんだよ。携帯も電源入ってないし」
「………」
「怒ってるの?アスカ」
「何でもない。何でもないから、少し黙っていてくれる?」
「ごめん」
「あやまん無くて良い」
「ご飯は?手を怪我しているから、ろくなものは無いけど」
「いい、今日は、食べたくない。お風呂は入れる?」
「あ、うん」
837名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 13:12:14 ID:???
>>834
荒らしだろ
どうせ数レスで終わるからほっとけ
838堕とされたアスカ:2009/08/09(日) 13:14:28 ID:???
アタシは、お風呂の中で何度も何度も体をこすり洗った。
洗っても、洗っても汚いものが落ちないみたいだ。
悔しさと、絶望で再び涙がこぼれる。
これから、どうなるんだろう?

「ほー、来たね。アスカちゃん」
「身体検査だ。スカートを捲れ」
アタシは首を横に振る。
すると、一人の男子がアタシのスカートを捲った。恥ずかしい部分が丸見えだ。
「おお、約束通り穿いてこなかったな」
「次は、胸だな。自分で、ボタンをはずせ、でない引きちぎるぞ」
アタシは慌てて、制服のボタンを外して胸を晒した。 「お前外人の癖に胸が小さいな。何カップだ?」
「Bです」
「本当か?Aじゃないのか?」
「これは、オッパイ偽装罪だな」
「何だよ、それ?」
全員が、笑い声を上げる。
「じゃ、これを付けて貰おうか」
「何ですか?」
「リモコン、バイブって知ってる?」
「知りません。バイブって何ですか?」
「へーアスカちゃんは純情なんだね。中学生にもなって、バイブも知らないとは」
連中は、有無を言わせずバイブをアタシの恥ずかしい所に押し付けた。
そして、固定用のベルトでそこから外れないようにしていた。
「こっちも付けようか」
そう言うと、アタシの乳首に洗濯バサミの先に、棒状の様なモノが付いた機械を付けた。
「このボタンを押すと」
連中は、スイッチのついた機械のスイッチを入れる。アタシの体についた機械が震える。
「い、いや」
恥ずかしい部分を刺激され、力が抜ける。
839堕とされたアスカ:2009/08/09(日) 13:18:42 ID:???
「どう、楽しいだろ?」
そう言うと、スイッチを切った。
「午後は、この恰好で授業を受けるんだ。何時、スイッチを押されるか楽しみだよね」
「そんな。許して…」

「あ、アスカ。何処行ってたんだよ?」
「いいでしょ。アンタに関係ないし」
「お弁当作って来なかった事怒ってる?手が治れば作るから……」
「違う。良いから、放っといっ……て」
その時、バイブのスイッチが入れられた。
全身が、刺激されるような感覚が襲い、アタシは立っているのがやっとだった。
「ごめん…。気分が悪いから。少し、黙っていて…」
そう言うと、アタシは自分の席にへたり込んだ。
今日、いつ何時スイッチを入れられるか分からない恐怖がアタシを襲っていた。
授業中に、アタシが指名された時に限って必ずと言って良いほどバイブの電源を入れられた。
アタシは、必死に耐えながら答えるしかなかった。もう、許してよ。
「アスカ、顔色悪いよ。保健室行く?」
休み時間にシンジが心配そうな顔で、アタシに声をかけてくれた。
心配してくれるのはありがたいけど、人と話しているとスイッチを入れられるから、お願い、話しかけないで。
ヒカリも心配そうにしてくれる。ごめん、でも迷惑だよ。

第三新東京市の繁華街にアタシは、コート一枚の下は全裸と言う恰好で連れまわされた。
「アスカちゃん。なんで、こんな暑い日にコート着ているの?」
アタシは顔を真っ赤にして、うつむくしかない。
「ちょっと、前開けて、風を入れた方が良くない?」 そう言って、笑う。
もう、これ以上虐めるのは止めてよ。もう、死にたい。

人気の無い公園に連れ込まれると、コートすら取られて、全裸で歩かされる。
更に頭に犬の耳、首輪をされて、アヌスに尻尾型のバイブを入れられ、犬の様に這いつくばって歩かされた。
840堕とされたアスカ:2009/08/09(日) 13:21:12 ID:???
「ほら、犬が膝をつくか?チャンと歩けよ」
言われたように歩くしかない。人が来たらどうなるんだろう?
アヌスに入れられたバイブが振動していたため、アタシは足に力が入らなかった。
「しゃんとしろ」
そういうと、お腹に蹴りを入れて来た。
「痛い!」
「犬が痛いって言うのか?」
そう言って、お尻を蹴られた。
アタシは「ワ、ワン…」と言うしか無かった。

体育館で、両手を広げた状態で両手をモップに縛られて、膝まずかされた。
その状態で、男子のペニスを舐めるように言われた。 「ほら、全員。射精するまで帰さないからな」
その時、事件は起きた。
「おっと、そこまでや」
「アスカ、大丈夫?」
声の方向を見ると、信じられない人物が居た。
シンジとその悪友、三馬鹿トリオだ。
「いやぁ、見ないで!」
アタシは、両手を縛られて、手で体を隠をせないので、背中を向けるしか無かった。
「アスカ、大丈夫、もう、大丈夫だよ。」
「君たちの行動の写真は撮らせて貰った。アスカの部分は修正して消したけどね。この写真を警察に持ち込んだらどうなるかな?」
「聞くところによると、強姦とかやった奴は、刑務所や少年院では虐められるんやて。こら災難やな」
「やれるもんならやってみろ。アスカの写真をばらまくまでだ!」
「あまーい。僕がその対策も取らずに、のこのこやって来たと思う?これで、終わり」
そう言うと、ケンスケはノートパソコンのリターンキーを押した。
「これで、君らの持っているPCや撮影機無いのデータは全てポンだ」
「PCが消されても、カメラの中のは消えないぞ!」
「無知だね。今どきのカメラは無線機能が有って、常時ネットに繋がってるんだよね。嘘だと思うなら調べてごらん」
841堕とされたアスカ:2009/08/09(日) 13:23:28 ID:???
「アスカ、大丈夫だから。こっちに来て」
アタシがシンジ達の所へ行くと、シンジはヒモを解いてくれた。
シンジ達の後ろで制服を着る。
「僕はこれ以上、君たちに何かするつもりはない。だから、アスカの件、黙っていてくれないか?」
「センセは、ワシのダチや。そいつの彼女にこれ以上、酷い目にあわせんなら、ワシがパチキかましたるから、覚えとき。」
か、彼女?違う、そんなんじゃない。でも、ちょっと嬉しいかな。
アタシは制服を着て、状況が変わると、気分が落ち着いてきていた。
「ねぇー野蛮人。アンタ、こいつら何人までなら相手、出来る?」
「や、野蛮人ってワイの事かいな?まぁ、そうやな。3人、いや4人くらいやな」
「そう、アタシは6人か。ん、何とかなるわね」
「ちょ、ちょっとアスカ何考えてんだよ」
「シンジは黙ってて。アタシは頭に来てんの。こいつ等をブチのめさないと気が済まない!」

「立ちなさい。こないだの続きをしてあげるわ」
「クソッ!こう成ったらやけくそだ。連中から、PCを奪えば何とかなるぞ」
そう言って、襲いかかってきた。
「そこの二人、自分の身は自分で守んなさいよ」
「え?あ、はい」
「ちょ、ちょっとアスカぁー」
842堕とされたアスカ:2009/08/09(日) 14:05:17 ID:???
勝負は、あっけなく着いた。怒りに任せて、かなりの重傷を負わせたが、連中は何処にも訴えられないだろう。
野蛮人の方は、何発か殴られたのかアザができていたが、大丈夫そうだ。
「中々やるわね。流石、三馬鹿トリオの暴力担当だけあるわね」
「誰が暴力担当じゃ。おまえの方が無茶苦茶やろ。まあ6人相手で一発も打ち込まれなんだのは、誉めたるわ」
「ありがと。じゃ、シンジ帰ろっか」
「あ、うん。アスカ、もう大丈夫?」
「大丈夫、暴れたらすっきりした。今日は、ありがとね」
何だか、シンジって結構、役に立つのね。
ちょっと、惚れたかな?って何考えてるんだろう。
アタシは…… シンジのことが……。
「シンジ」
「何?アスカ」
「好き!」
アタシはシンジに抱き着くとキスをした。

終劇
843名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 14:08:56 ID:???
やっと終わったか
844名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 14:12:13 ID:???
人が、他の場所に落とした話を勝手に転載しないでくれる?
845名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 14:15:50 ID:???
気にせず次よろしくです↓
846名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 15:17:27 ID:???
こういう話はたまらんね〜
胸がキュッと引き締まるような、切ない気持ちになる。
文体も話も好きだから頑張って欲しい!!
続きも期待してます。
847846:2009/08/09(日) 15:19:47 ID:???
846は「キンモクセイ」の感想です
848名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 16:50:24 ID:???
>846
847で補足が入って良かったよ。
849名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 21:06:17 ID:???
キンモクセイめっちゃ切ないなぁ。続き俺も期待してる
待たされるの嫌だから、なるべく早く投下してくれ、というのが素直な希望w
特にこういうモヤモヤするのを待つのは辛いぜ
850名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/09(日) 23:30:11 ID:???
入れ代わりの人次は式波編でお願いします
851円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:23:23 ID:???
>>653-661のLAS完結編投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry
852円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:25:38 ID:???
【ダーク ・ ゾーン】

夏祭りを楽しむシンジとアスカの前に突如現れたメガネの少女。
自らを「アンヌ」と名乗り、シンジは自分の「友達」だと主張、妙に馴れ馴れしい態度の彼女にアスカは納得が行かない。
意地とプライドを懸けた、女の戦いが始まろうとしていた―――――――――。

「ねぇ。お祭り、私もわんこ君と一緒に見て回りたいな。いい?」
「ア、アンヌさんも一緒に?」

いいよね? 答えは聞かないけど、と。空いていたシンジの手を握り、真っ向勝負に出る自称アンヌ。

「(……にぃっ)」
「(な、何なの……この女!?)」

仮に彼女とも一緒に行動出来れば、シンジは“両手に花”状態。
アスカに負けず劣らずの端整な顔立ちと肢体を持つアンヌ、彼女からの誘いを断れば男が廃るというものだ。
が、

「ダメに決まってるでしょーがっ!!」

そんな不条理、アスカが許すはずもなく。

「アンタ、いきなり出て来て何様なワケ!? シンジはアタシと一緒に見て回ってんのが、分かんないのかしら!?」

誇示するようにアスカは、シンジと繋いだ手をアンヌに見せつける。
「彼女じゃない」と否定しておきながら互いの指を絡め合わせ、僅かな隙間も無い、堅く握られた2人の手。

「もうシンジは予約済みなの! 先着1名様限定、早い者勝ち! お生憎様ねっ!!」

綿あめをマリに向けビシッと振り翳し、アスカは宣言する。
言い回しは少々妙だが、要するに「アタシのシンジに手ェ出すんじゃないわよ!」とか、そんな意味合いだろう。
853円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:26:18 ID:???
「(てゆーか……何でアタシ、こんなマジになってんの……!?)」

声高らかに宣言したはいいものの、アスカの頭の中はいっぱいいっぱい。
謎の少女アンヌにシンジを奪われまいと息巻いたのはいいが、いざ言葉にしてみると
いかに自分が彼に固執しているか、彼の傍に居たいと思っているか……そんな羞恥の感情が、津波のように押し寄せてくる。

「と、とにかく……何処の牛の骨とも判んないような女と一緒に行動なんて、このアタシが絶対許さないんだから!」
「アスカ……“牛の骨”じゃなくて“馬の骨”だよ」
「ツッコんでる場合じゃなーい!」

アスカなりのシンジへの配慮でもあった。
基本、碇シンジという少年は人がいい。アスカもそれは知っている。
たまに意固地になったりもするが、他人からの頼みを断りきれない嫌いが有る。
なのでシンジが目の前のメガネの少女(本人はアンヌなどと名乗っているが、どうにも胡散臭い)の誘いを拒めない
可能性は大いに高く、それによってアスカの楽しい一時がパァになられては困るのだ。

「あの、アンヌさん……。アスカもこう言ってるし、悪いけど今日は、その……」
「えー。そんな冷たいコト言わないでさ、見て回ろうよ」

アンヌもアンヌでアスカの力説にもめげず、シンジの手を握り締めたまま離そうとしない。
傍から見れば何気に羨ましい光景ではあるが、その実、見えない火花がバチバチと飛び交う修羅場である。

「んもうっ、しっつこいわねぇ! バカシンジと一緒に見て回ったって、面白いコトなんてありゃしないわよっ!!」
「じゃあ何で彼女さんは、わんこ君と一緒にお祭りに来たのー?」

そっくりそのまま、アンヌはアスカに返す。彼と一緒に居てもつまらないなら、どうして仲良く手を繋いで祭りを見物しているのか、と。

「そ、それは……。シンジがアタシと一緒にどうしても来たいって、土下座するから……仕方なく来たの!」
「……わんこ君、土下座したの?」
「し、してないよっ!」
854円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:27:20 ID:???
土下座はいくら何でも出来ない。
アスカが土下座如きで頼みを聞き入れてくれる性格ではないのを、ここ数ヶ月の共同生活でシンジも学んでいる。
卑屈になるより、ストレートにぶつかった方が効果があることも。

「土下座はしてないけど……一緒に夏祭りに行かないかって、誘いは……した」
「へぇ。じゃ、やっぱり彼女さんは、わんこ君の彼女さん、ってコト?」

メガネの奥のアンヌの蒼い瞳がキラリと光る。

「……うん。だから、アンヌさんとは一緒に見て回れないんだ……ごめん」

勿論、シンジとアスカは“まだ”男女の関係にあるワケに非ず。
好意を寄せ合ってはいるのだが、どちらも「好き」と言ったことは無い。
そういう雰囲気になりかけたコトは幾度かあったが、結局言えず仕舞いなのだ。

「アスカとの時間……大切にしたいから」
「(シンジ……)」

アスカと繋いだ手に力を込めて、シンジはアンヌを優しく拒絶する。
他人の顔色を伺ってばかりだった頃とは違う。今は、時間を共有したいと思える大切な人が居るから。
気がつけば、一緒に居ることが心地よいと思える関係になっていた。
ずっと一緒に居られれば、とさえ思う。恥ずかしくて言葉に出したことはないけれど。

「そっかぁ。うーん、残念」

シンジの熱意が伝わったのか、

「ってコトは私、お邪魔虫になっちゃうね?」

納得した様子で苦笑いを浮かべると。
自称アンヌは、ようやく握り締めていたシンジの手を解放した。
855円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:28:49 ID:???
『さよなら、わんこ君。彼女さんとお幸せに』


アンヌと名乗ったメガネの少女は、それだけ言い残すと夜の闇に紛れて往った。
彼女が何処の誰で、どうして自分の前に現れたのか、これから何処へ行くのか――――――――シンジは知らない。
彼女と学校の屋上で出会ったコトは誰にも喋ってはいないし、これからも喋るコトはないだろう。
雑踏の中にぴょんぴょんと猫のような仕草でアンヌが駆けて行くのをシンジはアスカと2人で、ただただ見つめていた。

「……どさくさに紛れて、勝手なコト言って」

アンヌが遠ざかるのを見届け、アスカが小さく憤る。
アンタ、コレで2回目よ。アタシの許可無しに勝手なコト言うの、と。
射抜くようなアスカの視線の前では、夜の蒸し暑さも薄ら寒いものへと変わってしまうのが怖い。

「ご、ごめん……。でも、ああ言うしかなくて……」
「謝るくらいなら最初から言うなっちゅーの。……ま、いいわ。今回は許したげる」

てっきり彼女扱いをしたのを咎められると思い、ビンタの一発くらいは覚悟していただけに
アスカの方から許してくれたコトは、シンジにとって嬉しくもあり、また意外でもあった。

「……ちょっとカッコよかったし」
「え……」

何処がどういう風に? と聞くのは野暮だろうか。

「ホ、ホントにちょっとだけよ! 見直した、って程度! ……調子に乗らないことね!!」

熱っぽい視線を悟られまいと。アスカはやや俯き加減で、残りの綿あめを一心不乱に胃へと流し込むのだった。
856円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:29:35 ID:???
***************

「あー、お腹いっぱい」
「アスカ、よく食べたよね……全部で幾つ食べたっけ?」
「綿あめでしょ、りんご飴、クレープ、チョコバナナ、かき氷、アイス……後は忘れたわ」
「食べるコト以外にも、輪投げ、射的、ヨーヨー釣り、くじ引きもやったじゃないか……」

少し休憩とばかりに、公園の外れに設置されたベンチに腰を下ろす2人。
アスカは浴衣の上から腹部を摩り、シンジの奢りで食した屋台の出し物を指折り数えていく。
デザート系が多いのは御愛嬌だろう。今晩は蒸し暑いせいか、アスカも身体が冷えるものをよく食べたようだった。

「おかげで財布、殆ど空になっちゃった……」
「いいじゃないのよ。アンタ、こんな時の為にお小遣い貯めてたって言ってたでしょ」

エヴァに乗ってれば危険手当ってコトで、それなりにお金貰えるんだしさ、と。
シンジの場合、小遣いとして使用するのは僅かで、残りは全額貯金に回しそうではあるが(実際そうなのだが)。

「……次のデート、アスカは何処行きたい?」
「つ、次?」

次、あるの? アスカは内心、ドキリとする。
シンジの口から「データ」などという小洒落た単語が飛び出したのもある。
が、アスカを驚かせたのは寧ろ、

「……アンタ、もう次のコト考えてたんだ」
「アスカは行きたくないの?」
「そ、そうは言ってないでしょーが。……せっかち!」

今まで誰とも接点を持とうとせず、独りで生きようとしていたせいか、どうにもアスカはこういう流れに弱かったりする。
誰かが自分に好意を持ち、自分のことを考えてくれ、自分のために何かをしてくれる。
それが堪らなく嬉しくて、上手く言葉に出来ず、結果的に悪態をついてしまうという――――――――。
857円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:30:19 ID:???
「いつ使徒が来るか判らないし、早めに計画を立てておきたいんだ」
「まぁ……そうよね。行こうと思ってた場所が戦闘で壊れちゃったりしたら、身も蓋もないし」
「NN地雷でフッ飛んだり?」
「あー、それ最悪!」

戦自は使徒相手に、やるコトがいつも派手過ぎる。攻撃の度に地図が描き変わるコトなどザラなのだ。
ATフィールドに対して通常兵器では歯が立たないのは、とっくに理解しているはずなのに。
そのとばっちりを受け、2人で出かけようとしていた場所が破壊されてしまったら、デートどころではない。

「……アンタ。アタシとそんなにデート行きたいの?」
「……行きたい」
「ハ、ハッキリ言うじゃないの……調子狂うわ……」

エヴァに乗って戦うコトこそが全て。
使徒と戦い、勝利すれば、それでいい。そうしていれば世界で唯一の自分の居場所を守るコトが出来る。
以前の―――――――シンジと出会う前のアスカなら、その考えを曲げようとはしなかっただろう。
けれど、

「……アタシが弱くなったの、全部アンタのせいよ」
「僕の……?」
「シンジと一緒に居ると、楽しくて、温かくて……甘えちゃうから。……アタシ、弱くなっちゃったじゃないの」

使徒の殲滅など独りで簡単に出来ると思っていた。
しかし現実は非情で、シンジやレイの存在無しでは、とてもではないが単騎で戦い抜くコトなど不可能。
人智を越えた異形の人外は、アスカの想像を遥かに超えた化物だったのだ。

「アタシ、他人に頼るコトなんて今まで無かったのに。……なのに」
「……なのに?」
「……アンタになら、頼ってもいいかなって……思っちゃう時、あるの」

シンジの熱を欲するアスカのしなやかな指先が伸びる。絡めると指どころか、胸の奥まで熱くなるのを知っているから。
858円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:31:04 ID:???
「……アンタだから話すのよ。他の誰かに言ったら……判ってるとは思うけど」

自分の心の暗部――――――ダーク・ゾーンを曝すのは、この世界でシンジただ1人。
警戒心を緩めず、常に心の壁を張って自ら他人と距離を置いていたアスカにとって、シンジはまさに“特別”なのだ。
同じエヴァのパイロットという境遇から生まれた感情なのだと当初は思っていたが、どうにも違う。
自然と目でシンジを追ってしまうし、時たま無性に声が聞きたくなってしまう。
シンジの作る弁当が食べられない日は自分でも自覚出来る程に機嫌が悪くなり、シンクロテストの結果を芳しくないものにするコトもあった。
シンジはアスカの“お気に入り”なのだ。
お気に入りのオモチャにするつもりだった。そのはずが、いつの間にか“お気に入りの異姓”という認識に変わってしまって。
どうやらシンジも、自分を憎からず思っている……という想いを感じるようになると。
自然と、アスカもシンジに心を開いていくようになっていった。己の暗部を吐露する程に。

「言わない」

僕、口は固いから。
アスカの不安を掻き消すようにシンジも笑顔を交えて、真摯な態度で答える。

「一生、誰にも言わない。僕とアスカの秘密にするよ」
「ホントかしら? 一生って言われても、シンジじゃイマイチ説得力無いんだけど」
「……見張ってみる?」

ぎゅっ。一際強く、アスカに体温以上のものを伝えるように、シンジの指先が強張る。

「僕の傍に居て……見張ればいいだろ、ずっと」
「ちょ、ちょっと……それって……え?」

呆気に取られたアスカの目の前に、ポケットから銀色の指輪を取り出すシンジの姿が在った。

「……オモチャだけど」

アスカが射的に夢中になっている間、それとなく買っておいたんだ……笑いながら、そう言うのだ。
859円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:32:30 ID:???
「アスカ。はめていい?」
「……ア、アタシ、こんな安っぽいので満足しないわよ!」

などと言いつつ、アスカはシンジに言われるがまま、左手を差し出す。
こういう雰囲気で渡される指輪と言えば“アレ”しかない。日本で“アレ”をはめるのは一般的に左の薬指だというコトはアスカも知っていた。

「今は、まぁ……オモチャで我慢してあげるけどさ」

浴衣に包まれた胸の奥で心臓が痛いくらいにドクドク脈動して、煩いったらない。シンジに知られぬよう、平静を装うのも限界があった。

「いつか、本物をあげるよ」
「バカ……無理しちゃって」
「ホントだよ。約束する」

だから、僕がアスカの予約……してもいいよね、と。アスカの焦りを知ってか知らずか、シンジの殺し文句が決まる。
言い返せず、言葉にならない呻きを上げるアスカの左薬指に、いかにも安細工のオモチャの指輪をシンジはそっとはめた。
不思議とサイズはアスカにピッタリで。薬指の指輪をまじまじと見つめるアスカに促すように、

「手……いつも握ってるから、サイズは判ってたんだ」

などと余計に恥ずかしくなるような台詞を平気で言ってのける辺り、以前の内向的なシンジとは違うコトを窺わせる。

「……シンジ。今日……門限、破ろ」

言葉を途切らせると、アスカはブロンドの髪を頭ごとシンジの胸に預けた。
頭どころか身体全体を少年の胸に委ね、ぎこちなさを潜めつつ、頬擦りする。もっと、熱と想いを伝えたくて。

「一緒に怒られてあげるから……。今日はずっと……アンタと、こうしてたい」

2人でなら、ミサトに怒られてもいい。寧ろ、アタシがアンタを庇ってあげる。
少女の心の暗部―――――――ダーク・ゾーン。その深淵をこれからもシンジは照らして往く。アスカの居場所を守る為に。          【終 劇】
860円谷 ◆bgvu1ECAmM :2009/08/10(月) 07:36:41 ID:???
タイトルは>>653-661同様「ウルトラセブン」の6話から拝借
時系列は例によって「破」の第9使徒戦前のパラレル(これで完結)
ばいちゃ
861名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 07:39:32 ID:???
超乙!!
こういうのいいな!!!
862名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 08:00:03 ID:???
データって…
誤字に吹いたwww
863名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 10:23:53 ID:???
「アスカ。はめていい?」
この一言に凄く不埒な想像をしてしまった。
ごめんシンジ君。
864名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 12:14:06 ID:???
円谷さんGJです!!なんかもう月曜日なのに幸せな気分です
865名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 12:29:37 ID:???
GJです
新しい作品の投下を待ってます
866名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 12:36:39 ID:???
次は是非とも怪獣殿下のタイトルで書いてほしい
867名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 13:24:51 ID:???
ウルトラマンシリーズに興味出てきたわ
868名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 17:00:37 ID:???
素晴らしい…
869名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 18:29:22 ID:???
シンちゃんロマンチスト〜!w
GJ!
870名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 21:15:54 ID:???
シンジかっこよすぎだぜ!
と思いつつ気分よく読めました。乙
871名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 21:30:48 ID:???
490KB超えているので次スレ

LAS小説投下総合スレ19
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/eva/1249907308/
872名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 21:31:08 ID:???
何故か新スレが立ってる?
873名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 21:32:16 ID:???
>>871
ああなるほど乙です!
874名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 23:21:44 ID:???
            rー-y、,__
            | / /"::::::::::::::::::`'--''ー''"::-、_
        ー-=リ|_ry':::::::::::::::;::r::'"⌒`ー-:::'^ヽ\ `j
       、r'7:::::::T|l:;:::/'" ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\;::ヽ,
       /ノ::::l::::/-'ソ:::::::::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::::::::::ヽリ,
      /ハ/:::/::リ'"7'":::::::::/::::/::::ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
       /:::/::::ハ/:::::/:::/:::/// |::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::L,
       /:::/:::::::/:::::/ハ/:/-/ー-、,|::l::::;:::::::リ,ハ:l:::::::::::::::::::ヽ,_
      l:::/::::/ハr'⌒リ|'  、_,、r-、 lハ:::リ::::l'|__ト_|::::::::::::::r,ヽ, ̄
      l/:::::::/:::::'i(' j l   ‘ ヒ,'ツ '!  |ハ/ ' T l;:::::|:::|:::ハ:| `
      ノ:::::::/::::::::::\_,;   `”'    ' '-=ー,y  〉::l::ハ:l '
     /:::::::/:::::::::::/::::iハ,__          ,j   `/ハ/ ,リ
    /:::::::::/::::::__;:ノ:::::::リ|_j'|   |`  ,、,'"   /リ::::l::|,
   /::::::::::::ノ::::::|ー|:::::::::;;;;| |ヽ,  ヽ,_/   / ー-'<⌒`'ー-
  //:::::::::::;;i::::::::i |:::r-yri j_, \  _,、,rイ`- 、,   |
 ノ/::::::::::::;::::::___:r ,レ' ,/ ,! | '`ヽ, `'"|  `ヽ   ヽ  |
 lハ::::::::::::i:::::::!、)`i  '    |    \ / ̄.|    ,〉 |
  {:::::::::::::i::::::::;/`'ヽ     ヽ,ー-,_  \   l   /  l
,ノ:::::::::::::i::::::::/____\     `i `'=rー-y'ー'r<,___ \
/ハ:::::::::::i::::/~/    ̄'\     |  ヾ` ̄'ーラ`yー''"  ヽ
 l:::::::::::i:::::ト,|       l    l     \,/ /^ヽ\、   l
 |::::::::::l:::::;/       |    |     ヽヘ,  ヽl' ヽ  |
 l:::::::::i::::::ヽ,       l      ト、,      ヽ   '  |  i
875名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 23:30:04 ID:???
     ,.. -‐ ''ー‐-.、
    /:::::::::::::::::::::::::::\
    /:::::;イ/ソ \::i、:::::::::i
   l∧!'--'  `ー--`l::_/
    ( l '⌒   ⌒' !' )
      ヾ.゛ rァ ",凵J|
        フi,,7´!  Y
       /i' `´  | ̄
       l,fー=ー‐l
       |:::::il:::::::::|
       l:::::::l!:::::::|
       」;;;;∧;;;;;l
       "゛  `"
876名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 23:37:29 ID:???
           |_ |
           | `'|
          ノ,.、 ゝ、.__
         /ー 、,__、,.__ `\
         /_,,._/_,ジ=、\  \
       / - 、,_  ヽ、_ :》、\   l
       / ィ‐ 、_`'‐ 、,_ヾ゛\ `ヽ/´\
      / / |   \_ ` ‐ 、_> ヽ_/〉
      / | 〉、_/ヽ7\_i/__\_li∠、
      `'>|iヘ/'`Y´`|i //T/,-‐`ニ _‐、>'"\
      //ヽ∧_ハ.イ`メ‐|./ハ'、__ 〉ノ!丶、 \
   ,..、/./   ,.<ゝィ;;/ `゛‐イノ」|ヘ――‐ イ!ヽ  `丶\
  /ゝへヽ_./  〉YV'y‐|`vヘ \ヽ-t‐'"  ,|i   `i |
 /    `'ー‐'/r'v‐i'ヾ_,トイY'\_  ̄7\/ | / ト‐''´
 ヽ、_   ∠ーf_ハ.,l、.ト|´\ノ ソ! |ト、 \l\  !| /
    `''‐'゛  ̄||i`ヽ ‐| /`l/   |.| ヽ   \\V
         |l / `ヽ/   | |  ヽ  ヽ\\ _
         〉く   /   //   ヽ  ヽ \_\` ‐ 、
         |ヽ/  ,イ   _//    \  \_/ \\  \
         | |  /    | /       \   \_`ー 、_ \
         !  i.∧    |.|          //`ー、  r‐‐=ニ\
       //  ハ l     |.|    / ̄ ̄ /     \\
      /ヘ〈_/ ヽl |   //  /      ヽ
877名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/08/10(月) 23:41:11 ID:???
すげー
878名無しが氏んでも代わりはいるもの
     _ ―- ‐- 、
    (r/ -─二:.:.:ヽ
    7''´ ̄ヽ-─<:.:.',                  __
.   〈t<  く=r‐、\:く       _ ...-::‐::¬::::: ̄:::::::::::::::::::::::::::::::
   ∠j ` / ,j={_/ヽヽr'       >:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.    っ Y _/ ヽ了       /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.    し イ --─¬       /::::::/:/|:::/::∧:::∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::
      f: :_: : :_:_:_└ 、     |/f|/|/ .|/ |/ ∨ ヽ|\:::::::::::::::::::::::::
     /-ー/: : : : : : :\      {            ヘ:::::::::::::::::::::
    /7: : : :r: : : : : : : : : }     ',  .j /     }   .}::::::::::::::::::::
   /: : : : : :.|: :j: : : :\: : j      } /_       ミ   ヘ::::::::::::::::::
  /: : : : : : : j: ヘ、: : : : \|    /く<l´::<ニ二 ̄`>   ミ:::::::::/
 ./: : : : : : : \::::ヘ: : : : : : :ヽ    {::ア{:::::::}厂¨,`_______j:::::://
 {: : : : : : : : : : ヘ:::ヘ: : : : : : :',    V ヘ::::ノ` ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ .{::::|ヽ
 ',: : : : : : : : : : : :\ヘ: : : : : :ヘ.   /  ヘ¨       //:}::::|/
  ',: : : : : : : :::::::::::::::::::〉: :_:_.r--―く   >ヽ      /   _ノ::::{ _/
  '; : : : :.::::::::::::::::::::::r</ :.:..   `ー¬\__        /::::/
  〈: : : : :ー---‐‐r―'´  :.:.:.  ヘ: .  ヽ . . }ー、    ./::::<
  〈: : : : : : : : : : 〈r-‐、:.:.:.:ヘ.:.:.:.:.  ', : :  ',: . .|: : 〉  /:::::::/