−そんな状況で、また来年初夏から08年初夏にかけて、テレビシリーズ版『エヴァ』を再構築した
「エヴァンゲリオン新劇場版」を4部作に分けて公開するわけですが、その意図とは?多くのファ
ンが大月さんや庵野秀明監督に期待しているのは、「第二の『エヴァ』」なのであって、「『エヴァ』
のリメイク」じゃないと思うのですが。
大月 よく誤解されるんですが、実はこの12年間、僕からは一度も「『エヴァ』の続編をやろう」と
庵野さんに言ったことはないんですよ。
あまのじゃくな人なんで、そんなことを言えば、たちまちやる気をなくしますからね(笑)。
でも、やっと庵野さんから「『次のエヴァ』をつくるための”土台”を、まずつくりたい」という言葉
をもらったんです。
−つまり、今回の新劇場版は、あくまでも「次の『エヴァ』」に続くための、地ならしだと?
大月 そうですね、あまり言うとネタバレになっちゃうんですが(笑)。12年前の『エヴァ』では、あの頃
の社会状況や庵野さんの内面の問題があったりして、特に劇場版は「世界が破滅して、シンジ
とアスカだけ生き残る」という破滅的な形で終わりましたから、あの続きはありえないんですよ。
けれど12年がたち、年代がひとまわりしたことで、庵野さんの中で整理がついた。新劇場版は、
ある意味ハッピーエンドの『エヴァ』、一言で言うならば「希望に至る物語」になるはずです。
−ただ、それを聞いて心配なのが、”悪い意味”での「ガンダム」みたいに、今後、『エヴァ』の続編ばか
りがつくられるようになったりはしないかです。
大月 庵野さんは、”いい意味”で『ガンダム』にしたいと言っています。結局、特撮には『仮面ライダー』
『ウルトラマン』というスタンダードがそびえ立っているのに、アニメ界には『ガンダム』しかない。
ですから、この劇場版で『エヴァ』をアニメ界のニュースタンダードにしたいということです。
制作スタジオもガイナックスではなくて、スタジオ・カラーという新しい会社を中心に作ります。
http://homepage3.nifty.com/mana/new-eva-siryou1.html